第3回転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部安全課

日時

令和4年7月29日(金)14:00~16:00

場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 専用第15会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
※一部参集者は、オンラインにより参加

議題

3.議題

  1. (1)第1回検討会を踏まえた論点(残り)について
  2. (2)これまでの議論を踏まえた取りまとめ骨子案(第1回検討会を踏まえた論点(残り)に係るもの以外)について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○澤田中央産業安全専門官 お待たせいたしました。ただいまより、第3回転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会を開催させていただきます。まず、事務局に異動がありましたので、御報告をさせていただきます。6月28日付けで安全衛生部長の美濃が着任しております。
○美濃安全衛生部長 美濃と申します。よろしくお願い申し上げます。 ○澤田中央産業安全専門官 カメラ撮影はここまでとさせていただければと思います。 本日、井上構成員、河津構成員、信澤構成員、山﨑構成員がオンラインで御出席いただいております。今村構成員は御都合により御欠席されております。また、オブザーバーとして経済産業省がオンラインで入ることとなっております。それでは、本日これ以降の議事進行を髙田座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○髙田座長 よろしくお願いします。オンラインの先生方、聞こえていますでしょうか。大丈夫でしょうか。ありがとうございます。それでは、議事に入らせていただきます。まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○澤田中央産業安全専門官 資料につきまして、一通り御説明をいたします。まず、資料1です。第1回検討会を踏まえた論点(残り)です。これまでの議論を踏まえたものとさせていただいております。こちらは前回お示しした論点1~5のうち、引き続き御議論いただくこととなっておりました論点3及び論点4について、これまでの御議論を踏まえまして、項目は変えておりませんが、一部少し記述を具体化しております。
まず、前回、論点3としてお示しした部分で、1番、業種や業務の特性に応じた取組についてです。(1)事業者が取り組むべき事項ということで、例えばロコモ度や視力等の転倒リスク等の見える化。それを踏まえたリスク低減のための設備的対策や作業方法の見直し等という形で、事業者が取り組むべき措置を明確化すべきではないかとしております。
次に、労使の分かりやすい取組ということでして、(2)小売業・介護施設それぞれの業種の実情・実態を踏まえたハード・ソフトの両面における取り組みやすい手法を示していくこと、例えば直ちに職場で、現場で取り組むべき基本的事項を、業態に応じて端的にまとめることから始めて、職場環境改善、安全衛生管理体制の確立などの解説等へ発展させることなどが考えられないかとしております。
次に、前回と同じですが、(3)重量物のパッケージの重さ、大きさの標準化等、川上の産業における取組が考えられないか。
最後に、新しい機器や技術の活用ということで、(4)転倒・腰痛予防のために活用できる新しい機器や技術・テクノロジー、例えばということで、ウェアラブルデバイスなどによる転倒リスクの見える化や、パワーアシストスーツ等を調査し、普及を図っていくべきではないかとさせていただきました。
次に、前回、論点4としてお示しした部分で、2、職場における対策の実施体制の強化についてです。前回と同じく(1)1つの事業場のみでは実施できない取組や法人全体に及ぶ取組について、パートタイム労働者等の参画も得て、実効的な議論が行えるよう、安全衛生委員会等については、法人単位やオンラインで複数の事業場が参加できる形で実施することができるように検討してはどうかということ。
次に、自治体の取組との連携ということで、(2)職場における対策の効果的な推進のため、自治体が実施する健診事業等の職域での活用や、自治体による指導監督権限も活用した取組の推進が必要ではないか。地域・職域連携推進事業の枠組みを活用して、転倒・腰痛の防止を図っていくべきではないかとさせていただきました。
続きまして資料2として、御参考用に前回の御議論の概要を作成しております。議事録につきましては、厚生労働省Webサイトに掲載しております。
次に資料3です。前回までの御議論を踏まえた中間整理案ということで、作成しております。第1回の検討会のときに御説明をさせていただきましたとおり、本検討会におきましては、来年度を初年度とする第14次労働災害防止計画に反映すべき労働災害防止のための具体的方策について、御検討いただくこととしております。そこで、労働政策審議会における第14次労働災害防止計画に関する検討につながりますように、8月末をめどに本検討会で引き続き御議論いただく内容というものを除きまして、方策を整理させていただければと考えております。それで、こちらは前回までの御議論の範囲で事務局にてその素案として作成しているものです。今回御議論いただく論点に係るものはこちらに追記していくというような想定でおります。御説明いたします。
1、エビデンスに基づいた対策の推進ということで、まず、労働災害統計の基となる労働者死傷病報告について、災害が発生した状況、要因等の把握が容易となるよう見直すべき。また、統計処理を容易にするため、更なるデジタル化を進めるべきとしております。そして、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所において、必要な体制を構築した上で、転倒・腰痛の減少をアウトカムとする調査・研究を総合的に推進していくべき。労働安全衛生調査等も活用して、労働者死傷病報告のみでは収集できない情報、事業場における取組、労働者の意識に係る情報等対策に必要な情報も収集・分析していく必要があるとしております。
次に2、安全衛生教育の在り方、関係者の意識改革です。これまでの論点2の関係ですが、労働者への雇入時教育等の安全衛生教育やその責任者への教育については、業界の実態も踏まえ、一定時間の座学等の既存の手法にとらわれず、アプリ等も活用した効率的・効果的な実施方法を提示していくべきとしております。これに関連して2つ目に、新たな教育ツール等の作成に当たっては、これまでに行政で様々なツールを作ってきているものの、活用されていない理由、例えば業種のミスマッチ等も含んで、活用されていない理由も分析した上で作成する必要があるとさせていただきました。また、転倒・腰痛災害による経済的損失等の見える化を図り、企業や業界にとって経営上対処すべき課題であることとの認識が深まるように取り組むべき。その際、労災保険の情報を基に実休業日数等についても見える化を図るべき。また、そのような恐怖訴求的なものばかりではなく、転倒・腰痛等の労働災害の防止の取組が経営上のメリットになることを事業者に訴求していくことも必要としております。また、健康経営等の関連施策と連携し、健康経営優良法人認定に向けた支援や周知の強化を図ることにより、企業における取組を促進するべき。取組が進むよう、ナッジの活用等行動経済学の観点からの研究を進め、手法として取り組んでいくべき等としております。
次に3、労働者の健康づくり等ということでして、事業場において理学療法士等も活用して労働者の身体機能の維持改善を図ることは有用であり、国はそのための支援体制を拡充するべき。若年期から運動やスポーツを通じて筋肉量や持久力などを維持していくことが必要。このため、スポーツ庁と連携してスポーツの習慣化を進めることも有用としております。また、骨密度、ロコモ度、視力等の転倒あるいは腰痛災害の発生に影響する身体的要因のスクリーニング(リスクを自覚させること)も必要。その前提として労働者の不利益取扱いにつながらないような仕組みが必要としております。こちらは先ほど御説明した、今回の論点1の(1)と合わせて御検討いただければと思っております。
最後に、第1回検討会で頂いた御意見を踏まえたものですが、4、中小企業等事業者への支援ということで、労働力の更なる高齢化を見据え、身体機能の低下を補う設備・装置等の導入等について、中小企業事業者を国が引き続き支援していく必要があるとしております。たたき台として御検討いただければと存じます。事務局からの御説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○髙田座長 御説明ありがとうございました。今、資料1から資料3まで、簡潔に御説明いただきました。資料2、第2回検討会における「第1回検討会を踏まえた論点」に関する主な御意見は、事前に委員の皆様方には確認していただいていると思いますが、もし訂正等ありましたら、事務局に御連絡いただければと思います。それでは、議事の(1)第1回検討会を踏まえた論点(残り)について意見交換に入りたいと思います。意見等がある方は挙手いただきますか、御発言がある旨、オンラインの先生方はチャットに書き込みをお願いいたします。こちらから御発言者を指名させていただきます。
まず、会場にいらっしゃる先生方に、先にお伺いしたいと思いますが、1点目、業種や業務の特性に応じた取組について(論点3関係)の(1)転倒・腰痛リスク、例えばロコモ度や視力等の見える化と、それを踏まえたリスク低減のための設備的対策や作業方法の見直し等、事業者が取り組むべき措置を明確化すべきではないかということで、この内容につきまして、御意見がありましたら是非お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。小菅委員、お願いします。
○小菅構成員 事業者が取り組むべき措置は、もちろん明確にするべきだと思います。明確化に際しては、安全衛生法の第24条に「事業者は、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない」とあります。転倒・腰痛などは正に作業行動から発する労働災害ですので、例えば転倒の危険性が高い施設の整備や、滑らない靴の支給など、事業者として必要な措置を整理し、第24条に基づく形で具体的に分かりやすく明示することも検討すべきだと思います。
○髙田座長 ありがとうございました。ほかは、何かありますでしょうか。オンラインの先生方、御発言がある先生がいらっしゃいましたら挙手をしていただければと思いますが、いかがでしょうか。特にはよろしいでしょうか。島田委員、お願いいたします。
○島田構成員 島田です。「転倒・腰痛リスク(例えば「ロコモ度」や視力等)の見える化」と書かれているのですが、この(例えばの)内容というのは、どちらかというと作業者の身体的な点に関するリスクだと思います。それ以外の見える化としては、作業環境のリスク、転びやすいような作業環境になっているといった例も、「等」の中に含めて検討していただきたいと思います。
それから、3番目の重量物のパッケージの大きさ、重さなどの標準化という点ですが、私たちもこれまでの議論の中で、やはり事業場によっては、そういう基準を勝手に決めてもらっては困る、それぞれの業種、企業によってやり方が違うという意見もありました。そのため、一律に決めてしまうというよりは、こうした方がよい(望ましい)という程度で、制約を与えない形で提案する必要があると思いました。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。今の御発言は(1)にも関わるような御発言ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかは、設備的対策、それから作業方法の見直し、そういったことに関しまして、是非この場でという御発言がありましたら。小澤委員、お願いいたします。
○小澤構成員 少し話が前後すると思うのですが、ちょっと気付いた点を1つ。資料3で、エビデンスの中で統計処理について、労働安全衛生総合研究所でまとめていただくと、こういうのがありましたが、専門家集団ですから、現場においては理解しづらい、分かりづらいというのがありまして、なかなかマニュアルが使われないと、これが現実にあるのです。
したがいまして、すばらしい専門家ですが、平易な言葉で分かりやすく。だってお店で95%がパートタイマーのおばちゃん、おじさんですから、分かりやすい形にしていただきたいというように思います。現場を認識してほしいのは、95%は小さなお店なのです。イトーヨーカドーは10兆円で、イオンが10兆円で、あと8兆円が小売業、小さな店なのです。そういうことを踏まえたならば、その現場を見据えた中での作り方というのをしっかりしていただきたいと思います。
先般もお話したのですが、小売業の現場は常にお客様と対峙しています。商品が入ってきます。メーカーのように工場でゆったりした場面がありません。狭い所で補充したり、発注したり開梱したりしますので、スピーディに速やかにできる。体操もありましたが、私が調査した段階では、成城石井は3秒間で体操をして売場へ出ると。その3秒というのは、腰、そういう面をしっかりやると、背骨でやると、持ち上げるときはこうするという形の中で使われるもの、これをしっかりと我々は作っていかなければいけないだろうと。いろいろなものができてすばらしいと思うのですが、ただ、字が多くて読みづらいと。これはあるスーパーマーケットの話ですが、若しくは図表化して分かりやすくしてほしい。分かりやすくというのは、パートタイマーの55歳から70歳、若しくは嘱託社員が理解できるようにしてもらわなければ、我々はなかなか説明できませんよと、こういうことがありましたので、付け加えておきたいというように思います。
○髙田座長 ありがとうございました。ほかはありますでしょうか。そうしましたら、(1)についてはもう少し整理をしてということで。河津先生、御発言をお願いいたします。
○河津構成員 ありがとうございます。私も先ほどの御意見と一緒で、転倒・腰痛リスクの例がロコモ、視力となると、3管理の中の3番目に当たる健康管理ばかりになっております。やはり作業環境管理、作業管理、健康管理の順番はすごく大事だと思っておりますので、(1)が1番目がいいのか、もし健康管理という意味であれば、4番目に下ろしてもいいのではないのかというような気がします。設備的対策は恐らく(2)になると思いますが、そういうところも強調していただければいいかと思っております。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほか、よろしければ(2)に進みます。オンラインの先生方、ほかに御発言は大丈夫ですか。次に進ませていただきたいと思います。
そうしましたら、(2)小売業・介護施設それぞれの業種の実情・実態を踏まえた、ハード・ソフト両面における取り組みやすい手法を示していくことということで出ておりますが、この(2)に関しまして、御発言はいかがでしょうか。(1)で大体御発言されていることで特に追加はよろしいですか。桑原委員、お願いします。
○桑原構成員 桑原です。先ほどの1に重なるところもあるのですが、設備対策、作業方法のハード面で、事業者として昨今のいろいろな物価高の影響等々で、やはり経営側としてはどちらに投資するかという判断をするときに、小売ですので営業というほうにウエイトを掛けがちなところもあると思います。ですので、やはりそこに対してはしっかりと明記していただいて、こういう転倒災害、いわゆる労働災害リスクに対しては、しっかり書いていただきたいというように思っております。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。今、小売関係は結構御意見が出ておりますが、介護関係で何か御意見はございますか。山﨑委員、御発言をお願いいたします。
○山﨑構成員 新しく取組を進めるにしては、人手不足の現場ではちょっと業務が増加することにもつながって、現場としては非常に負担を感じてしまうのではないかと考えております。そのために、まず、なぜ安全衛生に取り組まなければいけないのかという入口の説明が非常に重要ではないかと思います。その上で、腰痛予防に向けた勉強会だったり、環境整備の取組を進めていくということが大事ではないかと思います。例えば、費用の掛からない身近な所からということで、腰をかがめる姿勢にならないような物の置き場所とか、そういったところから取り組んでもいいのではないのかなと感じております。以上です。
○髙田座長 御指摘ありがとうございました。ほかは、よろしいでしょうか。そうしましたら、(3)の重量物のパッケージの件については、島田委員からも先ほどございましたが。鈴木委員、どうぞ御発言をお願いいたします。
○鈴木構成員 重量物と一口に言っても多種多様ですので、資料に書かれている重量物のパッケージの重さを標準化することや、大きさを標準化することは、現実問題として結構難しい印象を持っております。事務局において、標準化の具体的な取組としてどのようなイメージをお持ちなのか、質問させていただきたいと思います。
○髙田座長 では、事務局からお願いいたします。
○中村産業保健支援室長 御質問にお答えいたします。重量物のパッケージの重さとか大きさの標準化というのは、一度この会議の中でも出た御意見を踏まえてなのですが、例えば重さを統一化するとか、大きさを統一化するというのは、御指摘のように実際、現実問題として難しいと思います。むしろ、これを取り扱う方の腰痛をどう防ぐかという観点からすると、それがどのぐらいの重さの物なのかという表示をするとか、重さを細かく表示するというよりも重い物かどうかが分かるようにするとか、そういうことも含めての論点として示しているものです。
○髙田座長 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木構成員 ありがとうございます。確かに労災防止という点では、取り扱う物が本当に重い物かどうか分かることのほうが重要ですので、事務局がそのようなことをイメージされているのは分かりました。次に、重量物に起因する労災の発生件数はどのぐらいかということと、重量物の表示に関して、既にISOに準拠したPL警告表示ラベルが存在すると認識していますが、こうしたラベルがどの程度普及しているかということについて、事務局に伺いたいと思います。
○髙田座長 事務局、お願いいたします。
○田口副主任中央労働衛生専門官 労働衛生課の田口です。重量物に起因する労災の発生件数についてですが、重量物に起因して労災が発生していること自体は確かです。死傷病報告を基に、そういったものが何件ということまで細かく分析したものはありませんが、重量物が腰痛の要因になっていることは確かです。ISOに準拠したPL警告表示のラベルについてですが、ISOで安全標識の形状や意味、色合い等が決められており、それを踏まえたステッカーが市販されております。ただし、普及している状況とはなかなか言えないところです。一方、腰痛予防対策指針では、重量物の明示という対策も示しており、その観点からいけばステッカー等ももっと普及がなされてもよいのではないかと担当として思っております。以上です。
○髙田座長 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木構成員 ありがとうございます。趣旨は分かりました。続けての発言となり申し訳ないのですが、具体的な措置として論点に盛り込むにあたっては、各種データが若干不足している印象を持っております。むしろ、何か次につながるステップとなる取組を考えております。例えば、重量物を取り扱うことに起因する労災やヒヤリハットが比較的多いと思われる複数の業種・産業を厚生労働省でピックアップしていただく。
そこで、まず、重量物に起因するヒヤリハットがどのくらいあるのか、また、重量物であることの表示がされているのか、実態を把握した上で、表示をしていない所にラベルを貼る取組を行い、1年後にヒヤリハットの結果がどのように変化しているかといった効果検証を行うことが考えられます。例えば、家電メーカーであれば製品を梱包するものはおそらく決まっているので、重量物を表示することが簡単なケースもあると思うのです。一方、部品メーカーであれば複数の部品を梱包するといった事情から、段ボールに入っている部品の総重量を都度確認、計量をしなければならないケースもあると思うのです。これを効率的に行える工夫を実証実験の中で探るといった、データをまず集めた上で、更にステップアップして措置内容を検討していくことが重要ではないかと思った次第です。以上です。
○髙田座長 後の資料3まで先に説明してしまったので、恐らく中間整理の所に皆さん意識が行ってしまっていると思いますが、その後もまだ検討を進めていくものがございますので、中間整理だけにとらわれず、更に検討していくべき論点というものがございましたら、積極的に御発言いただければと思います。もし、最初の(1)(2)についても、そういう観点だったらもう少し違う御意見があるということでしたら、それも含めて構いませんので、御意見を出していただければと思います。河津先生、お願いいたします。
○河津構成員 この論点は、恐らく第1回で私が出させていただいたものになるのではないかと思います。というのは、この後の別紙にも付いております腰痛予防対策指針の例えば42ページの所、人力による重量物の取扱いということで、男子労働者は体重のおおむね40%以下、女性は更にその60%ぐらいまでとなっているのです。あと、3番目の荷姿の改善ということで、(5)で荷姿が大きい場合や重量がかさむ場合は、小分けにして、小さく、軽量化することと書かれているのですが、小売業の立場としてお話させていただきますと、結局、納品形態が非常に重たいと、重たい物を取り扱わなければいけなくなってしまいます。
男女に分けて考えると、男性は大体60kgぐらいの人だったら24kgぐらいまでの物は持てるのですが、女性はもうちょっと体重が軽い方が多いので、例えば50kgぐらいある方で、50kgの4割だと20kgですよね。更に6割だと12kgになるわけですね。ですが、人力で取り扱うことが分かっているような、パッキンに取っ手が付いているような物でも20kgぐらいまでだったら持てるだろうというようにして納品してしまうと、女性労働者は取り扱うことができないと。実際は無理して取り扱って、腰を痛めてしまっている可能性が高いわけですが、そういうことが起きておりますので、できれば検討会からの提案としては、人力で取り扱うことが分かっているのであれば、ユニバーサルデザインで20kgを超えるような物に取っ手は付けないとか、荷姿も小売業ではどうしようもないと。納品されてしまうとしようがないので、荷姿を人力で取り扱うことを前提とした納品形態にするように、川上の製造業の皆さんに、規制ではなくていいのですが、努力義務でも構わないので、そのようにするように努めていただけるように、腰痛予防であれば提案していただければいいなと思っております。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。津下委員、お願いいたします。
○津下構成員 私も今おっしゃった意見を考えていたのですが、卸とか工場では機械で運んでいるので、その産業では大きいパッケージでも事故は起こらない。だけれども、次の職場で問題が起こるということなので、先ほどの調査という点でいきますと、大きい荷物だから起こっている起こっていないということではなくて、どういうシチュエーションでどのように取り扱われるか、そういう物の流れというか、川上・川下をしっかりと意識した調査をした上で基準というか、根拠に基づいた目安を作っていくことが必要だということだと思います。今、先生がおっしゃったコメントと同じかなと思います。それと、調査をした上でメッセージを出す必要性というのも同意するものです。
○髙田座長 ありがとうございます。桑原委員、お願いいたします。
○桑原構成員 私もちょうど河津先生がおっしゃっていた、人が持てるところ、今、津下先生もおっしゃっていた小売業の現場といいますと、やはり納品されたものを人が手で運ぶので、フォークリフトを使っている所はほとんどないと思います。町中の食品スーパーとかは、トラックから人が手で下ろして、それを積み換えて作業場に運ぶというのが仕事ですので、先ほど河津先生がおっしゃっていた体重に対して何パーセントというのは、ちょっと見付けきれなかったのですが、そういうのがもしあるのであれば男性、女性というのにはかかわらず、私も20kgぐらいかなと。
現場でお肉というのは大体塊、ブロックで冷凍して入ってくると30kg前後、20kgから30kgぐらいなのです。女性が30kgのを運ぶとなったときに、やはり腰痛というのが発生していたと。経営側としては大きく入れたほうが利益が取れるので、そこをどう判断するかというようになるので、やはり20kgぐらいという物が1つの基準なのかなと私も考えておりました。人が運べるところ、先ほど鈴木先生がおっしゃっていたように、パッケージで分かるようにすると。人が運べる物に関しては、そのパッケージにこういうマークを貼るとか、これ以上は人が運ぶのは推奨しないとか、そういうのが分かるような統一したルールを作っていくというのは、1つ検討してもいいのではないかなと思いました。以上です。
○髙田座長 ほかはいかがですか。そうしましたら、小澤委員、お願いいたします。
○小澤構成員 今、具体的にどのような労災が起こっているかという形で、昨年1年間、ある事業を調べました。売上げが約5,000億円、1万7,000名、そういう会社です。中堅よりちょっと大きな会社ですが、年間で370件、労働災害が起きています。370件、具体的数字です。その中で、転倒が全体の25%です。一方で、今、議論されている腰痛、無理な動作、動作の反動というとらまえ方をすると、5%ぐらい、17件、こういう状況です。確かに今、桑原さんが言ったように、重量がどれぐらいの重さなのかというのが横にちょっと書いてあれば、これは持っていい、これは手で運べる、これは台車だと。それらの表示が何かあればなと。今は一方的に送られてくる時代ですから、我々小売業も無理を言っているわけです。小分けしてだとか、3回運べだとか、そういうお互いに議論をする中で、折衷案はまだ生まれていないのですが、それをしっかりと、この商品は20kgだと、これがちょっとあれば、これなら持っていけるなということはあると思うのです。
大体、腰痛というのは無理に段ボールを上げてしまったとか、棚に上げてしまったとか、これで実際、現場で起きているというのが実態です。パッケージとか表示というのはなかなか難しいけれども、その辺をちょっと焦点を絞って表現していったらよろしいかなという感じがいたします。
それと同時に、巻き込まれたり挟まれたりと、こういうのも多いのです。商品と台車と個人と、それで挟まれてけがをする、これが34件ぐらい起きているのです。売場は狭いし、お客さんはいらっしゃるし、そういう点にちょっと目を向けてやっていく必要があるかなと。発生件数から見た対応という形で言えるかなと思います。以上です。
○髙田座長 ほかはいかがですか。新井先生、お願いいたします。
○新井構成員 皆さん非常に重さという面で一様にとらえているのですが、繰り返し同じ動作による腰痛というのが結構あるわけなのです。だから、1つのパッケージがたとえ10kgであったとしても、たくさん繰り返せば結構腰痛にはなるので、そういう文言を入れるのは難しいとは思うのですが、そういう点も考慮しないと、ただある程度、20kgにすればいいというものでもないのではないかなと思います。
○髙田座長 そこは作業管理でも重要になってくる部分かと思います。オンラインの委員の方で、何か御発言のある方はいらっしゃいますか。山﨑委員、お願いいたします。
○山﨑構成員 この(3)に関しては、ちょっと介護の現場とはマッチしていないのかなというのが第一印象でした。重さだったり大きさの標準化といいますと、利用者さんが相手になりますので、体重とか身長ということになるのかなと思います。そういったときに、やはり身体能力の差でも非常に重さを感じる度合いというのが変わってきますので、一概に標準化するのは非常に難しい業種になるのかなと感じております。以上です。
○髙田座長 今、小売と介護と同時に議論しているので、そういった御意見はごもっともだと思います。ありがとうございます。重量物の表示等についてはよろしいでしょうか。
そうしましたら、(4)です。転倒・腰痛予防のために活用できる新しい機器や技術・テクノロジーの調査、更に普及を図っていくべきではないかということで、こちらについて何か御意見等、こういったものも検討したほうがいいということがございましたら、河津委員、お願いいたします。
○河津構成員 はい、ありがとうございます。全体的には全く賛成です。というのはミドリ安全さんのような安全衛生器具のカタログを見ても、製造業だとか建設業のものばかりで、介護は介護で恐らくいろいろあると思うのですが、小売に関してはほとんどありません。非常にそれで困っております。
このような、もちろんウェアラブルデバイスだとか、パワーアシストスーツだとか、これはこれでいいものができたら有り難いなとは思ってはいるのですが、それよりももうちょっと前段階の基本的なところに関して、それこそ先ほどから出ている安衛研等でいろいろ研究して、それを商品化していただけるといいなと思っています。結局、小売業用の安全衛生器具はないので、製造業のように、お金があったら何ぼでも安全にできますわという状況ではなくて、お金を払っても買うものがないというところです。
例えば、その転倒に関して言うと、床材を滑らないものにするというのは前からいろいろやっているのですけれども、実際に起こっている滑りによる転倒としてはグリストラップで滑っているのです。グリストラップでドライでなくウエットな所だと、水が溝に流れる所に落ちないようにする網のようなものなのですが、あそこはもう全部金属製しかないので、床の摩擦係数と金属の網の摩擦係数が違うので、気付かずに歩いて滑って転ぶというのは、非常によくあるのですけれども、滑らないグリストラップというものはなかなかない。蓋になってそれが全面コーティングしてあるというようなものはあるのですけれども、水が通るようなものは全然なかったりするので、そういう基礎的な部分です。恐らく工場でグリストラップがある所に置いているというのはまずあり得ないと思うのですけれども、まだまだ小売の作業場では非常によくあります。
実際当社でも、例えば足の裏に、デリカシューズの裏にゴミが詰まったのを洗うブラシも全然なくて、しゃがんでやらなくてはいけなくて使えないものが多いので、実際ミドリ安全さんと一緒に使えるものを作っている状態です。それを作ると他社の皆さんも結構いいということで、使っていただいている所もあると聞いていますので、そういう小売業でも選べるような安全衛生の器具について、いろいろ検討していただけると有り難いという意味で、入れていただけると有り難いと思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほか、ございますでしょうか。小澤委員、お願いします。
○小澤構成員 今の意見に全く同じでして、ウェアラブルデバイスとかアシストスーツとか、それに行く前にやるべきことはたくさんあると思います。どうしても我々は、消費者なり第三次産業をベースに置いた物事の決め事をしなければ、先ほどありましたように、ミドリ安全のものもほとんどメーカーサイドで作られているから使えるものがないというのが、実際厳しい言葉ですけれども、そうなっています。そういう意味では、第三次産業と流通と小売と違うわけです。そういう視点の中でしっかりとやっていく。それまでやることがたくさんあると思うのです。
今、グリストラップとありましたけれども、もう1つは野菜くずなのです。スーパーマーケット、コンビニエンスの通路に野菜くずが落ちていて滑って転んでしまう。あとは階段の段差です。これは店作りで考えてほしいのだけれども、段差でつまづいて転ぶというのがありますが、特に高齢者、65歳~70歳が働いていますから、段差が分からないのです。転倒は65歳以上で大変増えていますから、それらの段差を直していく。その野菜くずと、水がこぼれているとか、段差とか、それだったらすぐできるものでかなり改善できるものがあるだろうと思います。その後で新たな技術にコストを掛けていくということではないかという感じがしています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかにございますか。桑原構成員、お願いします。
○桑原構成員 ここにウェアラブルデバイスとかパワーアシストスーツとあり、わざわざ用意をするというような、今使っているものに更に用意をするとなると、いわゆるコスト的なものが出てくるのかなと思っています。ですので、先ほど河津委員がおっしゃっていた、デリカシューズのような、普段使わなければいけないものが更に進化をしていくというように、今後の検討が必要かなと思っています。
一方で、今日も外は猛暑のような暑さですけれども、空調服というのが今当たり前のように市場に出回っています。この3年、4年前だと本当に珍しいものだったのが、一気に環境が変わったということで、製造側もやはり開発をしやすくなって一気に広まったというのもあるので、こういう転倒災害・腰痛災害防止ということで、パワーアシストスーツであったりそういったものを含めた開発は、開発業者もしっかり説明をして、メリットを感じれば一気にやっていただけるのではないかと思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかは。小菅構成員、お願いします。
○小菅構成員 パワーアシストスーツなどは、高齢者の対応を含めて利用され出しており、使っていける段階になっていると思います。補助金を利用している企業もあると思いますが、支援策の拡充は並行してやっていければよいと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。
○小澤構成員 それはメーカーの話でしょう。小売業は使っていませんよ。その辺、状況認識してもらわなければ。
○小菅構成員 小売業の話ではなく、介護産業で利用している例があると思います。
○髙田座長 介護のほうではパワーアシストスーツを使われていたりはすると思いますけれども、先ほどからの御指摘では小売業に適切なものがというところですね。小売業に適した物が十分足りていないという部分があるので、そういったところはメーカーも一緒になって開発していただけるような環境作りや支援策も必要になってくるというような御意見だと思います。介護のほうで何か御意見ございますでしょうか。オンラインの先生方で何かございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしたら、論点の1を終わります。
旧論点4関係ですけれども、2番の職場における対策の実施体制の強化ということで、(1)1つの事業場のみでは実施できない取組や、法人全体に及ぶ取組について、パートタイム労働者等の参画も得て実効的な議論が行えるよう、安全衛生委員会等については法人単位やオンラインで複数の事業場が参加できる形で実施することができるよう検討してはどうか、ということで出ていますけれども、こちらについて恐らく御意見があるかと思いますので、よろしくお願いします。小菅構成員、お願いします。
○小菅構成員 これからの検討内容として提案いただいていますが、安全衛生委員会等の現行の規定の変更につながるような対応は反対です。現場の声をより反映しやすくするための補完的な取組として検討していくならば、あり得るのではないかと思います。
安全衛生の体制としては、大店舗で複数の事業者が連携をする安全確保体制の整備は、これまでも通達が出ていますが、この検討会として改めて連携を促すことは考えられます。また、先ほども出ましたが、川下・川上の各事業者が連携して安全衛生について考えるような場もあればよいと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかに御意見は。鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 ありがとうございます。法人単位での労働安全委員会の開催は、以前にも申し上げたかと思いますが、労使で話し合う場を定期的に設ける機会が少ない、特に小さな事業場を含めて企業全体として安全衛生水準の向上を図る企業のサポートにもなると考えますので、運用やルール変更も含めて積極的に検討することがよろしいのではないかと思っております。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。会場の委員の方から、ほかに何かありますでしょうか。そうしましたら、オンラインのほうで河津構成員、お願いします。
○河津構成員 ありがとうございます。当社でも、全体のことを話し合う中央労働安全衛生委員会と、各店舗の労働安全衛生委員会を開くことで効果が出ています。法改正については難しいかもしれないのですが、中央で全社のことを考える安全衛生委員会というのは法的に何も決まりもないので、そこで話し合って議決したことがちゃんと各店舗の安全衛生委員会で話し合ったことにならないというのは、今ちょっと感じている問題点です。
例えばちょっと今回とは関係ないですが、ストレスチェックを実施するとなったときに、各店舗の安全衛生委員会でこういうふうな取扱いをしますとやっても余り意味がなくて、これは全社的にこういうふうにやるからと話し合えば、それは全社で話し合ったことになると労基の監督官の皆さんに思っていただけると有り難いと思います。全社でのことを話し合う安全衛生委員会を開いて、それは各店舗の社員に関することであれば、それは労使で話し合ったことにしていただけると、法改正までは要らないかもしれないですけれども、していただけると有り難いと思っています。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。ほかにございますか。オンラインの委員の方からは何かございますか。この安全衛生管理体制のことについて、追加で御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。小澤構成員、お願いします。
○小澤構成員 常に感じていることですけれども、第二次産業、メーカーの場合については、もし労働災害が起きた場合、大事故というのがあるのです。大変大きな事故です。一方で小売業を見てみますと、労働災害が起きても、ちょっと休業したとかけがをしたという形で、結構安易に見られているのです。それの視点の違いが大きくあるかと思います。
一方で、我々小売業というのは、常に従業員の前にお客様第一主義と。フォーザカスタマー、お客様は王様だ、従業員というのは次だと40年間言われて来たということです。そういう意味では、その辺の労働環境というのをもう一回見直す必要があるだろうと感じます。一方で従業員満足というものがなければ、売上げも利益も上がらないわけですから、カスタマーサティスファクションと同時にエンプロイーサティスファクションというものをしっかり入れて、安全衛生に取り組んでいくということが必要である。
ただ、大事なことは、トップの意識改革が必要だと思うのです。やはり毎日の売上げ、客数、客単価、利益となっていますから、そちらばかり目が行って、では従業員の安心・安全というのは、厳しい言葉ですが、私の体験からいくと、二の次三の次になっているかなという感じがします。やはり会社のトップの意識改革、方針の中にそれを入れていくぐらいの気持ちですね、それをしっかり入れていけば、かえって退職も減るし、労働力が減る中で従業員の定着管理もできるだろうと。それを目標にやっていく必要があるかなと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。ほかにこの論点についてはよろしいでしょうか。そうしましたら、(2)職場における対策の効果的な推進のため、自治体が実施する健診事業等の職域での活用や、自治体による指導監督権限も活用した取組の推進が必要ではないかということで、地域・職域連携推進事業の枠組みの活用等が出ていますけれども、こちらについては津下先生、お願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。小売業や介護は小規模事業所が多いと思うのですけれども、自治体は地域住民として働く人も含めて包括的に健康づくりや予防をしていくという立場で、健康増進事業を行っています。その中で、例えば骨粗しょう症検診又は転倒予防教室、ころばん塾というような取組をやっている自治体も多いと思います。
そこで、地域住民としてそういう所に個人が参加していただくことを推奨するということ可能ではないかと思います。また、健康増進事業の中に地域・職域連携事業というのが位置付けされていますので、そこで働く人の健康を事業所と一緒になって考えるという枠組みがあります。これは自治体によっては熱心にやっている所とやっていない所で結構差があるのです。自治体が実施している事業にうまく参加することを推奨するということであって、自治体が職域のために対策すべきというほどの位置付けにはなっていないので、ちょっと書きぶりが気になったところです。
一方で自治体による指導監督権限というのはどこの部署が持つのかということで、健康増進部門はそこまでの権限は何もないはずなのです。これは労働部局になるのではないかと思うのですけれども。自治体といっても立場の違いがあり、地域住民を包括して働く人に対しても健康づくりの視点で関われる、その範囲であるという点、そこが行き過ぎてしまうと自治体もびっくりするかなと思います。事業の位置付けと、この事業がコラボできるかということを念頭に置いた書きぶりにしていただけると有り難いと思っています。
○髙田座長 ありがとうございます。何か事務局からはありますか。よろしいですか。では、今の御指摘を基に検討していただきたいと思います。ほかに今のことに関して。追加で津下構成員、お願いします。
○津下構成員 自治体が実施する健診事業等の職域での活用、ここに健診事業という言葉が出てしまうと、何か特定健診とか生活習慣病健診をイメージされるので、ここを健康増進事業等にしていただいたほうがいいのかなと思いました。
○髙田座長 ありがとうございます。井上構成員、お願いします。
○井上構成員 御指名ありがとうございます。商工会議所の井上です。聞こえていますでしょうか。
○髙田座長 聞こえています。
○井上構成員 前回の検討会でも申し上げたとおり、商工会議所的には是非、転倒対策を健康経営の中の1つの項目として取り組んでいただきたいと思っています。そのことが会社の経営者の職場における対策、効果的な推進につながると考えていただければと思っています。
あとは、やはり会社側、企業が取り組む意識を持っていただくという側面では、転倒や腰痛の対策を取り組むことで、どういった経営上のメリットがあるとか、取り組まないと経営上どういったデメリットが発生するとか、そういったことも見える化して見せていくことで、経営者や人事労務担当者の意識を醸成できるのではないかと考えられますので、御検討いただければと思います。
更に加えて言うならば、皆さんでいろいろお知恵を出して検討いただく対策を今後講じていくと思います。中小零細企業でもハードルを低くして取組ができるような内容も必ず盛り込んでいただくことが重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
○髙田座長 ありがとうございました。前回も御発言をいろいろ頂いていると思います。そちらはまた後のほうに出てくると思いますので、そちらで議論させていただきたいと思います。
そうしましたら、資料1につきまして何か追加で御発言はありますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、ただいま頂いた御意見を基に、そちらをその後で議論します中間整理に反映させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次、議事の(2)これまでの議論を踏まえた中間整理案ということで、今回の論点に係るもの以外をまとめていただいていますので、そちらについて、議論をしていきたいと思います。
まず、1です。前回の論点1関係、エビデンスに基づいた対策の推進ということで3つ挙げていただいています。この中間整理について、何か構成員で追加で御意見がありましたらお願いできればと思います。島田構成員、是非お願いします。
○島田委員 島田です。2番目に研究所の名前が出ているので、これから取り組まなければならないことと感じています。「必要な体制を構築した上で」という点についてですが、現状だとやはり研究員のマンパワーが足りません。そのため、研究所だけでなく、いろいろな大学や研究機関の先生方、海外、また、企業・団体の方々にも協力を依頼して議論しながら、研究を進めていく必要があると考えています。
また、先ほどもご発言がありましたが、「現場に分かりやすく」というのは、我々にとっては苦手な部分でもあります。ここ数年、研究所でも単に論文を書くだけではなく、その考えを現場の人たちにどう伝えるか、成果をどのように使っていただくかを心掛けて研究すべきであるという指摘もあり、工学的な観点だけではなく、心理学を専門とする研究員にも参加してもらい、体制を整えて研究しようと考えています。
具体的な成果としては、転倒防止や腰痛防止活動の参考になる資料も作成する必要があると考えていますが、その際にも、イラストを使った資料や、現場で貼っていただいて、ここが危険ということが一目で分かるようなものも必要かと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。
○島田委員 ついでによろしいですか。
○髙田座長 お願いいたします。
○島田委員 1番目と3番目のことなのですが、死傷病報告について、第1回目から言われていることなのですが、現状の死傷病報告を分析していくと、やはりあくまで労災認定のためということがあるのか、被災した人が自分で書いて届け出る形となっており、実際にこれを使って具体的な原因を推定する、事故の背景要因を推定するということは難しいです。そのために私たちも去年、労働者死傷病報告書とは別に、事業場の方に例えば「どのような作業環境で作業していましたか」、「どういう管理体制の下で作業していましたか」などを追加で聞き取るための自主点検表を提案させていただいています。まだ実際に公開はされておらず、一度どこかで見ていただける機会があればよいのですが、これからはそういった情報収集もしていかないと、具体的な対策を考えていくことはできないと思います。
もう1つ、「統計処理を容易にするため更なるデジタル化を進めるべき」とあるのですが、実際に届出する人にとって、入力内容が多く、複雑になればなるほど、デジタル化は便利なものとなるはずですが、一方で、何を入力すればいいのか(事前に用意された項目からどれを選んだらよいのか)と悩むこともあれば、適当に選んでしまうだけということもあります。デジタル化で統計処理は容易になるかもしれませんが、先ほどの追加の情報を得ることとは別に考えていく必要があると思っています。まとまりのない発言ですが,以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかにこのエビデンス関係で追加で。河津先生、お願いいたします。
○河津委員 ありがとうございます。これも第1回、2回で言いましたが、やはりエビデンスに基づいた対策というのは私も非常に重要だと思っています。何度も出てきますが、腰痛予防健診に関しては有病率だけやたらと高いのに、それが腰痛対策につながっていないところもありますので、やはり科学的に意味のあることをやっていくということも大事だと思います。
特に後のほうで出てくると思いますが、骨粗鬆症検診などを20歳の人にやっても何の意味もありませんので、どの年代以上の人にこれは有効なのか。前回もお話しましたが、視力検査の1つを取っても、私の職場だけの調査ですが、60歳未満では全く差がないのに、60歳以上になると差が出てくるなど、やはり有効なところに対して、エビデンスのあることに関して、新しいことを入れるのであれば、必ず調査をして意味のあることをやっていくという考え方が大事だと思います。
その次、死傷病報告と労災保険のデータに関しても、やはり死傷病報告全部、労災の請求も全部紙であるので、その中のデータというのは全く今は使うことができません。私自身は別にテキストでデジタルで入れるだけでも、ものを拾うことはできるようになるのではないか。今の紙の状態とは大分違うのではないかと思います。当社は労災の申請のテキストデータを安衛研に提供して、いろいろ分析していただくと非常にいろいろなことが分かって、転倒対策を有効に行うことができました。やはり、せっかく集めるデータであれば、しっかり活用するということを検討していただければと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかにはありますか。お願いいたします。
○中村産業保健支援室長 (1)の関係で労働災害の届出のデジタル化の件なのですが、今、現状で各事業者から出していただいている労働者の死傷病報告は、どういう状況でその災害が起こったのかというところが、ある意味、自由記述のようになっていて、先生がおっしゃるように分析もしにくい、必要な情報が入っていない、そういう課題もあって、せっかくその届出を出していただくのに使いにくい、使えていないという課題があるのは確かです。これはデジタル化するに当たって、デジタル化の良いところというのは、今、実は入力の支援システムを作っていまして、入れようとする所に何を入れればいいのかということのヒントが出るような仕組みになっています。そういう入力の補助のような機能を付けながら、何を書けばいいのかということが分かるように教えながら書いていただくという仕組みと合わせてやっていくことによって、もう少し使えるデータにしていきたいなというのが我々の今の取組でもありますので紹介させていただきました。
○髙田座長 御紹介ありがとうございました。河津先生、お願いいたします。
○河津委員 是非、それはやっていただければと思っています。やはりまず、転んだ人がなぜ転んだのか気付いていないことが多くて、本人が滑りと言っていたのですが、よく調べるとつまずきだったということも非常によくありますので、こういうときは滑り、こういうときはつまずきということをやっていただけるといいと思います。特にこの3ポツで氷山の隠れている部分、特に小売業の話ですが、実際に労災になるようなものを調べると、実際はつまずきがほとんどなのです。けがをしている労災の転倒は、つまずきがほとんどなのですが、ヒヤリ・ハットを集めると圧倒的に滑りのことが上がってきます。先日も5,000件ほどが集まったもののほとんどが滑りなのです。結局、滑るところは誰が見ても水濡れしている、油があるから滑りそうだと分かっているので、誰でも滑りそうな所は分かるのですが、つまずきに関しては小売業の場合、10分経ったら置いてある物が変わってしまうところがあるのです。本来あるはずのない所に物があって、つまずいて転んで、現場検証に行くと、もうその物はきれいさっぱりなくなっているので、何もない所で、ここに昔、台車があったということしか分からないということがあります。これで例えば台車でつまずいていることが多いということだったら、その次のステップとして安全通路に物を置かないなど、いろいろな対策を打つことができるようになってくると思いますので、是非、誘導的に、教育的な意味も含めてデジタル化をしていただくというのは、大賛成です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかにはありませんか。新井先生、お願いいたします。
○新井委員 今、つまずきに関しての意見があったのですが、何かがあってつまずいて転ぶのは若い人なのです。高齢になってくると何もないのです。僕が言いたいのは、よく外来をやっていますと、つまずいたと来るのです。何につまずいたか分からないと、高齢者の皆さんはそう言うのです。ですから、原因が特定できるのは、大体若い人たちはちょっとした段差があった、何か木の根っこのようなものがあったなどで、つまずいたという言い方をするのですが、高齢者の場合は違うので、そういったことが統計に出るかどうか分からないのですが、この辺りも考えないといけないのかなと思います。
○髙田座長 貴重な御指摘ありがとうございます。ほかにはありませんか。島田委員、お願いいたします。
○島田委員 最初に重要事故の検討につながるというご説明がありましたが、「転倒・腰痛の減少をアウトカムとする」と書かれています。ここの対象は小売や社会福祉と考えてよいでしょうか。製造業、建設業などを含めた対象とすると、例えば転倒だけで何万件もの労災を対象に研究をするということになり大変ですが、(14次防では)どのように表現される予定でしょうか。
○髙田座長 事務局、お願いいたします。
○澤田中央産業安全専門官 ここは逆に御相談かなと思っていたのですが。
○島田委員 ここでの議論は小売と社会福祉と思っていますので、そこをターゲットにして研究する方が取り組み易いです。建設業などでも転倒した際の頭部損傷などが課題となっているようですが、それらは区別して検討したいと考えており、お聞きしました。
○澤田中央産業安全専門官 先ほど先生から御説明があった体制の確保というところとの関係もあると思いますので、別途御相談をさせていただければと思います。
○髙田座長 重点産業の絞り方というところで、恐らく問題が発生してくるかと思いますので、その点は御検討いただければと思います。ほかにはよろしいでしょうか。1つ目のエビデンスに基づいた対策の推進ということについては、今頂いた御意見で少しこの中間整理の文章の必要な所は検討いただくとして、次に論点2関係です。安全衛生教育の在り方、関係者の意識改革ということで、6つ書かれていますが、ここの内容について御意見がありましたらお願いできればと思います。津下委員、お願いいたします。
○津下構成員 先ほども経営者の意識改革や、その際に健康経営も結構重要などの意見がありました。一方、健康経営を意識している事業所はまだ介護関係では少ないという話も前回あったと思います。今回、健康経営等の関係施策と連携して、という記載が出ています。私は経済産業省の健康投資ワーキングのメンバーでもあり、この健康経営の指標についても議論している立場です。7月26日に経済産業省から令和4年度の健康経営度調査や中小企業向けの認定申請書の案というものが出されていました。その中で、大規模法人向けの調査には肩こり・腰痛等の症状の予防策への具体的な支援、高齢者従業員特有の健康課題に特化した取組として、運動機能チェック、体力等に応じた業務負担を考慮しているか、ということが選択肢に含まれていました。また、中小規模法人の認定申請書については、事業所が取り組んでいる課題のテーマの選択肢として、従業員の生産性低下防止、事故発生予防のために肩こり・腰痛等の筋骨格系の症状に加え、新たに転倒予防という言葉が加わっていました。また、運動機会の増進のほうに、運動機能のチェック、体力測定、転倒等のリスク、評価、セルフチェック、フレイルチェックということが、いずれも選択肢の中に加わっていまして、経営者がこのチェックをすることによって、従来よりも転倒予防の必要性などを理解できる項目体制となっていると感じました。
一方で、例えば禁煙など、食生活や運動機会、女性の健康、メンタルヘルスというのは、中項目があり、その下にどういう対策ということがずらずらと並んで、それをチェックするというようになっています。中項目レベルでそれが掲げられて、具体的な施策として何をするかという施策メニューが決まってくれば、今後は項目のレベルを1つアップして明記していただけるのかなと思ったところです。今回のこの検討会で、転倒予防のために事業所がどんなことに取り組めばよいのかという具体的な事業メニューと、具体的な対策の選択肢を明確にしていくことができれば、将来的に健康経営の指標としても更に踏み込んだ表現が可能になるのかなと思いました。一足飛びにできるかは分かりませんが、段階的にできるのかなと思ったりしました。
また、今年度の調査において、どのような取組がどのような業態で実施されているのかというデータが、経済産業省の調査で分かるわけなので、もちろん健康経営に関心のある企業の回答にはなりますが、そういう中でどのような取組がなされているのかということを確認していくことができるのではないかなと思いました。
一方で、介護や小売業など、なかなか健康経営に手を挙げる企業が少ないのではないかなと思いますので、その辺の裾野を広げるような取組と合わせていけば、経営者にこの情報が入っていくのかなと思った次第です。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。健康経営関係の新たな情報も合わせて御紹介いただき、御意見も頂きました。先ほどの論点の最初の所にも出てきたような取組、明示できるかどうか、そういったところも重要になってくるという御指摘だと思います。ほかにはありませんか。小菅委員、お願いいたします。
○小菅構成員 関係者の意識改革に関して、今までの議論で出た、安全衛生が経営上の課題のプラスになるということは否定しませんし、安全衛生に役立つためにそのような考え方を打ち出すことは否定はしないのですが、改めてこの議論を取りまとめていく中では、労働者の安全と衛生というものが、そもそもそれ自体が企業経営の大前提であって、ほかの経営課題よりも優先されるべきだという認識が必要です。そういう意味での意識改革をしっかりするというのがスタートだと思います。それがない中で、何かのための安全衛生となってしまうのは、ちょっと違うと思いますので、そこはぶれずにやっていけるとよいと思います。
○髙田座長 重要な御指摘だと思います。ありがとうございます。ほかにはありませんか。オンラインの委員の先生方は何かありませんか。追加で中間整理案に盛り込んだほうがいいことは、特によろしいでしょうか。あとは会場の委員の方々もよろしいでしょうか。2番目について、小菅委員、お願いいたします。
○小菅構成員 これは前にも発言があったことですが、KYやリスクマネジメントのような安全衛生活動についても、改めて取り組みやすいような形での定着を図るために、第三次産業になぜ根付いてこなかったのかという分析も含めて、対応していくことは考えたほうがよいと改めて思います。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかにはよろしいですか。津下委員、お願いいたします。
○津下構成員 製造業や大規模事業所ですと、若い人が入社してから安全衛生の教育の機会なども多いわけですが、パートタイムや、今まで仕事をしていない方が、子育てが離れたからこの仕事をしてみようということで、こういう小売や介護の現場に入られる。そういう場合には、基本的に安全衛生教育の考え方というものが、なかなか本人にも浸透していないし、雇用者にも浸透しにくい対象者ではないのかなと思います。ちょっと無理してでも頑張らないとと思ったり、主婦的な感覚で入ってしまうと、人様に迷惑を掛けるのがいけないから言わないでおこう、これを言ったらもう働けなくなるかななど、なかなか相談できなかったり、我慢してしまって事が大きくなるということもよくあるのだろうと思います。これは、例えば看護師さんなど、最初に職業教育をしっかり受けられているかどうかということによって、かなり違うのかなと思います。その人の職歴など、そういうことも考えて、新たに仕事を始められる方には丁寧に労働安全ということをお伝えしなければいけないと思います。それが小売など、それぞれの事業所でできるかというと、なかなかそれは難しいとなりますと、地域などで勉強する機会が提供されるといいのかなと。基本的なことについては事業所がそれぞれ独立してやらなくても、ある程度地域で取りまとめて安全教育ができるような仕組みを作れるといいのではないかなと考えます。今、そういう仕組みが思い当たらないかなと思っていますので、これから検討していただけると有り難いなと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。小澤委員、お願いいたします。
○小澤構成員 今、いろいろと意見を聞きまして、現場のお店を見ると、パートタイマーが90%です。そのパートタイマーは、1年間で55%が退職、入れ替わっている。これが現場なのです。ヨーカドーはちょっと定着率は高いかも分かりませんが、そのようなものです。人が常に入れ替わっています。その現状を見た場合、どういう教育をすれば一番いいかということなのです。我々も、私も大きく反省しているのですが、忙しいから、人がいないから、入ったら売場に出せと、商品を補充しろと、何も教育しないまま、しつけ・教育もしないまま現場に放り出す。そこで手を切った、転んでしまう、ぶつけてしまう、こういう事故がほとんどです。そういうことは大変難しいけれども、入社時に少なくとも規則・規定など、ルールは10分、30分やるわけですが、そのときに安全と衛生教育を30分でも1時間でも入れる、定型訓練の中に入れる。そうでなければ、現場に出さないということ。これが徹底されたらいいなと思います。ただ、私も現場にいたときはいつもそう言われていましたが、教育しないで売場に出すなと言いましたが、やはり人が現場で待っていますので、出してしまうという現場を私は体験しています。しかしなから、そこは我慢して、結局、教育しないで現場に置くと、けがをして、また早く辞めてしまうのです。しっかりとした教育を1時間でも30分でもして、そして現場に落とすという定型訓練、定型教育、イントロデュース、導入教育、その中に必ず安全衛生教育と接客教育としつけ、そしてレジ教育、それを必ず入れれば、商品教育も入れて、ちょっと変わってくるかなと。
あと1つは、事故を起こさないという意味では、ウォーニング情報です。ここはよく事故を起こしている場所だと、こういうことだと、そこにちゃんと掲示してあげる。これで全く違ってくると思います。特に現場ではスイングドアがあります。売場から真っ暗やみに入る、そこでお互いにぶつかるということがありますので、その辺もちゃんと目印、ウォーニング情報、それだけでもかなり減ってくるのかなと思います。ただ、大手はほとんどやっていますが、95%の企業はやっていない、これが現実なのです。それをしっかり理解した中でやっていかなくてはいけないと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。津下委員、お願いいたします。
○津下構成員 ここの1番目に、アプリ等も活用した効率的・効果的な実施方法とあります。オンラインで共通的な一通りのことは勉強した上で、あとは小澤委員が言われた、うちの所だとこういう所で事故が起きやすいんだよということを具体的にきちんと指導をするという、2本立てがどうしても重要かなと。どこか部内で新しい人が入ってきたときに、説明をするリーダーさんというか先輩は、そういう説明をしなければいけないとなると、安全に対する意識も職場の意識も高まってくる可能性があります。現場では個別性に高いこともきちんと伝えるという2本立てをやるということがいいのかなというように思いました。
○髙田座長 ありがとうございます。桑原委員、お願いします。
○桑原構成員 重なる意見になりますが、入社時、雇入れ時の教育ということはやっているかと思います。小澤先生がおっしゃったような所もあると思うのですが、小売業のどこの企業さんも共通なのは、レジは企業ごとに違うルールもありますが、人が体を動かして荷物を持つということは、小売業で働く上で避けて通れない作業動作だと思います。そういったことについては、最低限これとこれとこれは何分ぐらいやらないといけないですよみたいな内容を提示する。そのときに、書面であったり、アプリももちろん便利なのですが、やはり実際にやってみる。運転免許も一緒ですよね、学科と実務があるように。そういった案内を事業所にするというのも検討したいかなというように思いました。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。河津委員、お願いします。
○河津構成員 関係者の意識改革という所で、事務局に頂いた今回の資料の13ページの安衛則第558条、いわゆる安全靴等を使用させなければならないということが書いてありますし、いわゆるデリカシューズとかの安全用具に関しては、当然、事業者が負担しなさいよというような意識改革は、製造業なら余りにも当たり前すぎるのですが、小売業等では、やはりそういうことはしっかり書いてあげるといいのではないかというように思います。意識改革という意味で御提案です。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。一通り、御意見としてはよろしいでしょうか。今度は3番目、労働者の健康づくり等に関して、本日の議論にも一部関わってくるところはありますが、何か3番について追加で御意見があれば、お願いできればと思います。こちらは追加もよろしいでしょうか、多分、最初の議事(1)の所で御意見がもう重なって出ておりますので、その内容から必要なものを反映させていく形になるかと思いますが、それ以外で、健康づくりの所で追加でありましたらお願いできればと思います。津下委員、お願いします。
○津下構成員 3ポツ目で、骨密度、ロコモ度、視力等、身体的要因のスクリーニングなどが必要ということで、やはり、そういう体力などを本人が知るということで、健康づくりにつなげていただくとともに、事業主も、体力が低下した人たちが従業員に多くいるんだということを自覚した作業工程や作業の仕方、作業環境を工夫していただくことが可能になります。ただ、データが個人のものか会社のものかというのがあって、会社でやれば、体力テストがどうなのか本人も会社の経営者は分かりますが、例えば、先ほどの地域・職域連携の関係で、地域でこういう体力テストやロコモ度テストなどをやっているときに、そういうデータはなかなか会社の方が把握するのは難しいということになります。個人の健康づくりとしては、会社でやらなくても地域にいろいろな機会があることを周知していただくということが1つの方法なのだろうなと思います。一方で、会社がやらないと従業員の状況は分からないというジレンマはありますが、何も会社だけがやるのではなく、スポーツ庁の事業や健康増進の事業など、様々な機会を活用しながら、労働者自身が健康づくりに前向きに取り組むことに対して、例えば会社がインセンティブというか、会社が応援するような仕組みとか、会社が地域でやっていることを周知するような取組、そのようなことが具体的にはできることなのかなというように思いました。
○髙田座長 ありがとうございます。河津委員、お願いします。
○河津委員 私も全く津下先生に賛成で、やはり会社がやると、それは事後措置をする責任を負わされるわけで、だから会社がやりつつ不利益取扱いにつながらないというと、会社にとっては、じゃあどうしたらいいんだという、完全なダブルバインドになってしまいます。やはりそういういろいろなリソースがあるので、それを利用するように勧めるということで、会社がスクリーニングするのではないというようにやっていただけると、それが一次予防という位置付けとしてはより分かりやすくなるのではないかなと思います。転びやすそうな人を会社が探して、その人の事後措置をするという、いわゆる健康診断のようなアプローチに関してはそぐわないのではないかと思います。以上です。
○髙田座長 ありがとうございます。THPのようなものもうまく活用をしながらいけると。あとは、恐らく個人でそれぞれやっているものを継続的にきちんと記録できるようなシステムといったものがあれば、異動があったとしても継続的に見ていくということも可能になってくるのではないかと思いますので、そういった仕組み作りも必要になってくるのではないかと思います。健康づくりについて、ほかは何かありますか、よろしいでしょうか。
それでは、最後、中小企業事業者への支援ということで、もう既に御意見は一部頂いておりますが、そのほか、追加の御発言がありましたらお願いできればと思います。井上構成員はよろしいでしょうか、もし何か追加がありましたら。あとは、中小企業関係のことということで、特に国が引き続き支援していく必要があると、至極もっともなことが書かれておりますが、更に追加すべきことはよろしいでしょうか。あとはその他と書かれておりますので、今の中間整理案で今日議論したこと以外で、これは抜けているということで、何か必要なこととか、もしお気付きのことがありましたら御意見を頂ければと思いますが。小澤委員、お願いします。
○小澤構成員 先ほどの質問で、中小企業の事業場におけるいろいろな指導ですが、私が今一番問題に感じているのは、会員企業から、監督署が恐いと、何か指導してと怒られるのではないかと、是正勧告するのではないかということが、やはり小さな企業ではかなりあるのです。それがどういう現象に現れていくかというと、本当は労働災害なのに健康保険で、私傷病で処理してしまう、これがかなりあります。これをしっかり正しい手続きでやるように、そういう意味では、労働保険、労災保険というのはこんなものだというのを、もう少しパブリシティをしっかりとやっていくということも必要だし、労働基準監督署は指摘・指導だけではないよと、バックアップする所だと。それをやはりちょっとマーケットに情報を入れていく必要があるのではないかなと。監督署が来るときは必ず厳しい臨検指導というイメージがありますから、現場は、監督署は来ないでくれよと、我々も監督署へ行かないと、こうなっていますから、それの環境度合いを変えていく必要があると思います。監督署は指摘・調査をするだけではないと、指導・勧告する所だと、こういう形の流れです。行政のほうもそのようにやっておられたら我々も行きやすいしというような感じがしております。以上です。
○髙田座長 ありがとうございました。津下委員、お願いします。
○津下構成員 先ほどの資料1の、自治体による指導監督権限という言葉がきついなと思ったところもあるのですが、やはり労災というか転倒事故が多いなと思ったときに、気軽に相談できる所が欲しいだろうと。どうやって改善したらいいか、指導監督よりは、どういうことでうまくやっている所がありますよという情報提供とか、お互いに情報交換をしながらより良い方法を取り入れられるような、そういうサポーティブなニュアンスの言葉のほうが似合う気がいたしましたので、その文言も含めて御検討をお願いしたいと思います。
○髙田座長 ありがとうございます。河津先生、お願いします。
○河津構成員 資料2のその他の一番最後には、労災保険給付情報の活用も必要ではないかという所がありましたが、資料3のほうでは入っておりません。それは私が第2回のときに繰り返しお話させていただいたところではありますが、こちらも含めてデジタル化をして、死傷病報告等とある程度一緒に取り扱うようにできると。何と言うか、非常に貴重な情報がいっぱい含まれております。今回は載せないということかもしれないですが、是非、厚労省の皆様には御検討いただければというように思います。
○髙田座長 御意見を頂きましたが、コメントを事務局からお願いします。
○澤田中央産業安全専門官 事務局から申し上げます。今の河津先生の御指摘については、一応、資料3の2の3つ目のポツの後段で、「その際、労災保険の情報を基に実休業日数等についても『見える化』を図るべき」ということで盛り込ませていただいておりますがいかがでしょうか。
○河津構成員 こちらで反映していただいているということですね。
○髙田座長 整理した際に、そちらに入れたという形になっていると思います。
○河津構成員 了解しました。日数だけでも非常に正確な日数が分かりますので、まずはそういうところから、安全情報への転換というのは、私は非常に重要だと思います。そちらに入れていただけているのであれば、大分有り難いなと思っています。
○髙田座長 ありがとうございました。相談窓口としては、本来、産業保健総合支援センターや地域産業保健センターなどもあると思いますので、そういったところもどのように活用できるのかということも関わってくるかと思いますので、その辺も是非御検討いただければと思います。そのほか、よろしいでしょうか。そうしましたら、議事(2)の中間整理案については以上とさせていただき、今回出た御意見を基に、あとは議事(1)の意見も加えて、改めて中間整理案を作成いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、議事(3)その他ですが、何か追加で御発言はありますか。今日、オンラインで御発言されていない委員の方から、何かありましたらお願いできればと思いますが、何かありますか。オンラインの先生方はよろしいでしょうか。あと、会場の委員の方は追加でよろしいでしょうか。津下委員、お願いします。
○津下構成員 もう記載してあることなのでいいのですが、労働者の健康づくりは若年期からということがありまして、若年期からもそうなのですが、高齢者になって、又は低体力者が地域で運動できるように、医師会の健康スポーツ医と、例えば健康増進施設とか地域で連携する運動資源マップを地区単位で作って、体力又はリスクに応じて運動できる場をどんどん作っていこうという動きがあります。そういう動きなど、社会資源をよくウオッチして、従業員に紹介していただくとか、背中を押すような取組をしていただくといいのかなというように思いました。各部門が健康増進にいろいろなことをやっているのですが、省庁は縦割りで、なかなか情報が入っていかないということもありますが、どんどん積極的に相互活用していくのがいいのではないかなというように思います。
○髙田座長 ありがとうございます。そういったところも情報交換をうまくできるような場があるとよろしいかと思います。ほかはよろしいでしょうか。それでは、特に、ほかの御意見はないということでしたら、本日の議事はここまでとさせていただきます。事務局で検討をよろしくお願いいたします。それでは、進行を事務局にお返しいたします。
○澤田中央産業安全専門官 髙田先生、ありがとうございました。御意見を踏まえ、事務局で整理案を更に整理させていただきたいと思います。次回ですが、4回目として、8月30日火曜日14時から労働委員会会館の講堂で予定をしております。詳細は改めて御連絡させていただきます。それでは、今回は以上をもちまして、第3回検討会を終了させていただきたいと思います。本日もお忙しい中ありがとうございました。
○髙田座長 ありがとうございました。