第4回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和元年5月16日(木)13:00~14:28

 

場所

全国都市会館 第2会議室

議題

  1. これまでの議論の整理(案)について
  2. その他

議事

 

○五十嵐座長 それでは、委員の先生方が全員お集まりということですので、ほぼ定刻になりましたので、第4回「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」をこれから開催したいと思います。
きょうは、お忙しいところ、皆様方においでいただきまして、ありがとうございます。
構成員の出欠状況と資料について、事務局から初めに説明をお願いいたします。
○鹿沼課長 構成員の出欠状況ですが、井上構成員、九十九構成員から御欠席との御連絡をいただいております。
また、資料についてですが、議事次第にございますとおり、資料1として「これまでの議論の整理(案)について」ということで、前回までの検討会で御議論いただいた現状と課題、及び構成員の皆様からの御発言を事務局のほうで機械的にまとめさせていただきました。先生方のほうで、ここは趣旨が違うということがあれば、今日の会議の中で御発言いただければと思っております。
また、参考資料として「検討会の進め方について」というのを用意させていただきました。
事務局からの案内は以上でございます。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
それでは、これから議事に入りたいと思います。カメラは、ここで退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○五十嵐座長 前回までの検討会では、妊産婦の医療・保健に関して、構成員、参考人の先生方からプレゼンテーションしていただきまして、意見交換をいたしました。
きょうは、これまでの議論を整理して、次回以降の取りまとめに向けて議論を深めていきたいと思います。
事務局から資料が提出されておりますので、まず事務局から、この資料について全体を御説明いただきまして、その後、3つに分かれておりますので、この3つのそれぞれのパートごとに、現状と課題、主な御意見を踏まえながら、どのような対策や取組が今後必要かという点につきまして議論していただきたいと思います。
では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○木下課長補佐 事務局でございます。
それでは、お手元の資料1を御用意ください。「これまでの議論の整理(案)」ということでまとめさせていただいております。
まず最初のページにありますように、本検討会におけます第1回から第3回までの各構成員の主な御意見を項目ごとにまとめたもので、今後の議論の中で変更があり得るものということでまとめさせていただいております。
2枚目にお進みください。項目を整理するに当たりまして、大きく3つのパートで整理させていただいております。
1つ目といたしまして「妊産婦に対する相談・支援の在り方について」で、3つのサブパートを設けております。2つ目といたしまして「妊産婦に対する医療提供の在り方」につきましては、4つのサブパートを設け、3つ目の固まりとしまして「妊産婦を支える体制等」ということで、3つのサブパートを設けているところでございます。順次、それぞれに分けて御説明していきたいと思います。
3枚目にお進みください。
ここから「妊産婦に対する相談・支援の在り方について」ということで、(1)としまして、妊娠の前・妊娠中の相談・支援及び健康管理についてということになります。1つ目、現状と課題、次のページに主な御意見という形で分けて整理させていただいております。
まず、現状と課題になりますが、妊娠前の相談・支援については、思春期から更年期に至る女性を対象として、各ライフステージに応じた身体的・精神的な悩みに関する相談指導等を目的とした、女性健康支援センター事業を実施しているところでございます。
また、妊娠期及び授乳期は、母子の健康の確保のために適切な食習慣に努めることが重要な時期で、妊娠中の健康管理で困ったことや不安に思ったことの1つとして、栄養・食事に関することを挙げる方が一定数あるということで、正しい情報に基づいた食生活の改善を支援することが必要という課題がございます。
その中で、関連する施策を御紹介しているところでございまして、妊娠期及び授乳期における望ましい食生活の実現に向け、「妊産婦の食生活指針」を策定しているところでございます。また、平成30年度厚生労働科学研究事業の中におきまして、リーフレット等の作成を進めているところでございます。
次の○でございますが、妊娠の可能性がある女性における葉酸摂取と神経管閉鎖障害のリスクの低減の関連が明らかとなっていますが、国内において、過去20年間にわたって、その件数は変化していないという現状がございます。
また、将来の妊娠・出産に向けて、葉酸の摂取に対する知識が重要ということは認識いただいているところでございますが、その重要性がまだ十分に伝わっていないという状況もあろうかと思っております。
次のページにお進みください。こういった課題等につきまして、いただいた主な意見を2つ御紹介しております。
妊娠・出産に関して不安を感じる妊産婦がきちんと相談できるような仕組みが必要ではないかということで、既存の取組としまして「健やか親子21(第2次)」におきましては、こういった割合につきまして指標を設けて、取組を進めているところでございます。また、前回、前々回のプレゼンの中で、横浜市の取組としまして、妊娠中から出産後や子育てのイメージを持てるようなツールの活用でありますとか、両市におきまして、母子健康手帳交付時の全数面接を実施しているという取組の御紹介があったところでございます。
また、次の○でございますが、ワンストップの相談・支援が可能となるような一元的な連絡先を妊産婦に周知するという取組も必要ではないかといった御意見をいただいております。
5ページにお進みください。続きまして、産後の相談・支援についてになります。
まず、現状と課題でございますが、産後に感じた不安や負担につきまして、直後であります2週未満におきましては、御自身の体のトラブル、体の疲れ、十分な睡眠がとれないといった御自身の課題に加えまして、2週から8週に至っては、自分のトラブルに加えまして、家事が思うようにできない、自分の時間がないといったことがふえる傾向があり、不安や負担の具体的な内容はそれぞれの時期によって異なっているということが挙げられております。
次でございますが、出産後の健康管理で困ったことにつきましては、「授乳に関すること」が最も多かったというアンケート結果が得られているところでございます。それらに関連する取組としまして、平成31年3月には「授乳・離乳支援ガイド」の改定を行ったところでございます。
また、そういった不安や負担への支援事業として、傾聴等による不安の軽減や孤立感の解消を目的としまして「産前・産後サポート事業」を実施しております。
また、退院直後の母子に対しまして、心身のケアや育児のサポートを行う「産後ケア事業」も取り組んでいるところでございます。この「産後ケア事業」につきましては、大きく3つの類型があるということを付記してございます。
続きまして、平成29年度におきましては、母体の身体機能の回復や授乳状況及び精神状態の把握を行うことを目的としまして「産婦健康診査事業」を創設いたしました。これにつきましては、産後2週間、さらに1カ月と、産後間もない時期の産婦に対しまして健診費用の助成を開始しております。平成30年度、364市町村で実施いただいているところでございます。
また、産婦健診の平均受診回数でございますが、出産後の1~2週間の期間で0.8回、3~5週で1回、6週以降で0.5回という回数が把握できているところでございます。
また、関連する取組といたしまして、産婦人科医会におきましては、医療従事者向けでございますが、「母と子のメンタルヘルス研修会」というものを実施いただいておりまして、平成29年からこれまで計9回の開催をいただいているところでございます。
6枚目にお進みください。
こういった現状や課題につきまして、いただいた主な御意見でございますが、産後は、生まれたばかりの子どもを抱えて大変な中、自身の健康管理が困難になりがちであり、母親と子どもを同時にサポートしていくことが必要ではないか。
2つ目としまして、長期的な女性としての生涯の健康を考える上で、産後ケアの充実が重要ではないか。
3つ目といたしまして、出産後の不安解消に、産後ケア事業が有効と考えられることから、この取組を展開していってはどうか。
4つ目といたしまして、産後間もない時期に、子どもを連れて外出することは困難な場合があることから、状況に合わせた支援は有効であるといった御意見をいただいてございます。
7枚目にお進みください。ここは、ちょっと幅広いテーマになっておりますが、「支援を必要とする女性の相談・支援について」になります。
まず、現状と課題でございますが、1つ目としまして、若年妊娠や特定妊婦等は、増加傾向にあることを示すデータがあるということ。
2つ目としまして、女性健康支援センター事業における相談には、思春期から更年期に至る女性を対象とした、ライフステージに応じた対応をしているところでございますが、その中には、妊娠・避妊に関する相談も多く含まれているということもございます。実際の相談実績を見ますと、女性の心身に関する相談でありますとか、メンタルヘルスケアというものが多く含まれているということがございます。
これらに対する主な御意見としまして、支援が必要でありながら、みずから保健・医療サービスにつながろうとしない、そもそもつながることができない、つながったとしても、支援をうまく受けられない、また御自身のことを受けとめられない妊産婦をどのように把握して、支援の輪を形成していくのかが重要ではないか。
また、2つ目としまして、社会的な支援を要する妊婦に対して、行政と関係機関とのさらなる連携が必要ではないかといった御意見をいただいているところでございます。
8枚目にお進みください。ここからは2つ目のパートになります。「妊産婦に対する医療提供の在り方について」ということでございます。
まず、(1)といたしまして、妊産婦の診療・治療等についてということでございます。現状と課題を多く御指摘いただいていまして、2ページにわたって記載させていただいてございます。
まず、8ページでございますが、妊産婦の特性と診療における配慮についてということで、出産年齢が上昇すると、周産期死亡率、妊産婦死亡率は上昇することがわかっております。近年は、出産年齢が上昇傾向にあることに伴いまして、糖尿病や甲状腺疾患といった妊娠と直接関係しない偶発合併症が増加傾向というデータが得られております。
2つ目でございますが、妊産婦の診療・治療においては、妊娠中に特に重症化しやすい疾患があること、また生理学的変化によって検査結果が非妊娠時と異なること、診察時の体勢に制限があること、また薬とか放射線検査の胎児への影響を週数に応じて考慮する必要もあるということで、非妊娠時と比べまして特別な配慮が必要であるということも課題として挙げさせていただいております。
3つ目といたしまして、妊産婦の治療方法を決定する際は、胎児への影響に配慮して、妊産婦御本人だけではなくて、御家族も含めて時間をかけて説明して、意思決定の支援が行われているということが特性として挙げられております。
また、それらを支える産婦人科医・産婦人科医療機関の現状につきましては、他の診療科に比べて、医師数の増加率が低いこと。
また、他の診療科と比べた場合、病院の勤務医におきましては、労働時間が長くなる傾向があること。
3つ目といたしまして、分娩取扱施設が年々減少していることがございまして、地域によってはアクセスが不便な事例が指摘されているところでございます。
9ページにお進みください。
現状と課題-2としまして、産婦人科以外の診療科への受診の状況につきましては、さきに行いましたアンケートの結果等もございまして、その中で47.3%の妊婦の方が妊娠中に妊婦健診以外の目的で医療機関を受診されています。その際、13.6%は産婦人科を受診され、38.4%の方はそれ以外の診療科を受診されているという結果が得られております。
次の○でございますが、妊娠中の産婦人科への受診理由は、妊娠に直接関わる症状、感染症状、胃腸症状の順に多かったところでございます。他方、妊娠中の産婦人科以外の診療科への受診に関しましては、感染症状の次に口腔症状、持病の順に多く、診療科といたしましては、内科の次には、歯科・口腔外科が多かったという結果が得られております。
また、3つ目といたしまして、風邪やインフルエンザ、花粉症等、いわゆるコモンディジーズにおきましては、他の診療科から産婦人科に対しまして、診療情報が書かれることが少なかった。実際に、産婦人科以外の診療科を受診したうち、58%の方が主治医からの情報提供はなかったとの回答が得られているところでございます。
10ページにお進みください。こういった課題につきまして、いただいた御意見も2ページにわたっているところでございます。
まず、10ページでございますが、診療に関する主な御意見といたしまして、先ほど御紹介しました偶発合併症を持つリスクの高い妊婦がふえているということで、それらの診療におきまして、産婦人科とそれ以外の診療科の連携の拡充がもっと必要ではないか。
また、2つ目としまして、妊婦健診時以外においても、妊婦さん御自身が持っている母子健康手帳を提示してもらった上で、診療を進める必要があるのではないか。
3つ目といたしまして、妊産婦の診療については、先ほど御紹介したようなさまざまな特性も踏まえて、いろいろな配慮が必要ということで、妊婦加算の意義は理解できる。しかしながら、妊婦加算の趣旨を十分理解していない医療機関があったり、患者の納得が得られなかったりしたことから、今回のように凍結に至ったことは残念といった御意見もいただいております。
また、産婦人科医・産婦人科医療機関の現状に関する主な御意見といたしましては、体制の構築・維持のためには、産婦人科医の負担軽減が必要で、直接出産に関係しない妊産婦の診療については、地域ごとの連携体制をあらかじめ決めておくことも有効ではないかということ。それらの取組に関連しましては、都道府県におけます周産期医療協議会というものが設置されているということも御紹介させていただいております。
また、医療資源の少ない地域や分娩施設へのアクセスに困難がある地域におきましても、妊産婦さんへのケアが取りこぼされないように、産婦人科医以外の医療機関との連携体制の構築が必要ではないか。その際には、連携先の医療機関を明示するといった方策も有効ではないかといった御意見をいただいております。
11枚目にお進みください。
産婦人科以外の診療科への受診の状況を踏まえた御意見でございますが、妊産婦の医療機関へのアクセスが十分でない可能性を考慮すると、産婦人科以外の診療科においても、妊産婦の風邪といった疾患への対応ができるよう、診療への配慮や理解を深めていくことが必要ではないか。
また、産婦人科における妊産婦の健康管理におきましては、他の診療科との情報共有は必須ということで、歯科を含め、診療科間の情報共有として、より簡便なものが必要ではないかということで、例えば、これまでの議論の中では、スマートフォンや母子健康手帳、お薬手帳の利用も考えられるのではないかといった御意見をいただいております。
12枚目にお進みください。続きまして、妊産婦への診療の質の向上についてということになります。
まず、現状と課題でございますが、妊産婦の診療にはさまざまな配慮が必要であるにもかかわらず、なかなか研修を得る機会がなくて、自信を持った診療ができないとか、薬の考え方が変わってきていることも踏まえた正確な情報を伝えることができない。また、そういったことを踏まえて、妊産婦の診療に積極的でない医師や医療機関が一定数いるということが課題として挙げられております。
また、2つ目でございますが、産婦人科以外の診療科にかかった際に、他の医療機関に行ってはどうですかと勧められたということ、もしくは妊婦さんの診療はできないという回答をいただいたということがアンケート上、ございました。
また、○の3つ目でございますが、他の診療科を受診した際に、産婦人科も受診するように勧められた。そのときの一番の理由としましては、薬等の安全を確認するために産婦人科で再度確認するようにという指示があったという回答もございました。
○の4つ目でございますが、産婦人科以外の診療を受ける際に、妊婦が求めている気配りとしては、内容について説明文書を手渡して説明を受けること、診療に関しまして十分な経験のある方に診察していただくこと、母子健康手帳を確認するといったことが求めているものとして挙げられたところでございます。
また、日本医師会さんにおけます取組としまして、医師向けの生涯研修を行っておりまして、今後はその研修の中で妊産婦の診療に関する研修も考えていく予定といった御紹介もございました。また、日本医師会雑誌におきましては、「妊娠と薬の使い方」というテーマで特集を今後実施されると伺っております。
13枚目にお進みください。こういった妊産婦への診療の質の向上に関係しまして、いただいた御意見になります。
まず、1つ目でございますが、疾患の専門性や妊産婦のアクセスなどの利便性を考慮しつつ、安心して医療機関を受診できるように、産婦人科以外の診療科の医師であっても妊産婦の診療ができるように研修するような仕組みの構築が必要ではないか。
2つ目といたしまして、コモンディジーズを診るための教育や研修が必要ではないか。
その研修に当たっては、eラーニングとか動画等を活用して、受けやすい体制とすることも重要ではないか。
4つ目といたしまして、産婦人科以外の診療科の方々の診察に際して、産婦人科医のサポート体制ということも必要ではないか。
最後の○でございますが、診察に積極的でない診療科や医療機関もあることから、診察を行う医師や、積極的な医療機関の評価もあったらどうかという御意見もいただいております。
14枚目にお進みください。妊産婦の口腔の健康についてというテーマでまとめております。
まず、現状と課題でございますが、妊婦健診につきましては、全ての市区町村で14回以上実施しているところでございまして、その内容につきましては、望ましい基準という告示を示しているところでございますが、その中に、現行、歯科の項目は含まれていないところでございます。
2つ目の○でございますが、歯科健診につきましては、保健センターにおいて集団健診を受診した方が約7.5%、歯科診療所において個別に受けられた方が23.6%という結果が得られております。
また、母子健康手帳におきましては、歯・口腔の健康に関する記載があって、そういった重要性が記載されているところでございます。
○の4つ目でございますが、妊娠中におきましては、口腔清掃の困難さ、嗜好の変化、ホルモンバランスの変化によって、虫歯や歯周病が進行しやすい時期ということがわかっております。
また、歯周病に関しましては、早産や低体重児出生と関連するという報告も得られているところでございます。
また、さきのアンケート結果の中では、妊娠中や産後にかかった診療科としまして、内科に次いで2番目に歯科が多かったという結果も得られております。
15枚目にお進みください。こういった現状と課題につきまして、いただいた御意見でございますが、まず、行政における妊産婦に対する歯科健診の実施が少なく、進んでいないといった御意見がございました。
2つ目といたしまして、歯科治療の受診の頻度は比較的高いけれども、口腔の健康管理を推進する観点から、妊婦への健診の充実が重要ではないか。
○の3つ目といたしまして、安心・安全な歯科治療を提供するためには、全身状態を把握するということがあるのですけれども、妊婦さんのほうから手帳の確認等を拒否されることもあるということで、そういったことに対しては、産婦人科の医師や助産師から妊婦に対しまして、歯科医療機関受診時にも手帳を提示するようにといった声かけがあると効果的ではないかといった御意見もいただいております。
また、○の4つ目でございますが、日本歯科医師会では、つわりが落ち着く妊娠4カ月を目途に、歯科健診を受けること、また必要な歯科治療を受けることの推奨をいただいているところでございます。
16枚目にお進みください。(4)といたしまして、妊産婦と薬剤というテーマで、ここはまとめさせていただいております。
まず、現状と課題を5つ挙げさせていただいておりまして、1つ目でございますが、薬局において妊娠中や産後であることへの気配りとして特に大切と考えているものとしまして、妊娠中や授乳中であることを確認すること、さらには、それらに対して気を配って薬の説明をするということが薬局から挙げられているところでございます。
○の2つ目といたしまして、妊産婦が医師から説明を受けて処方された薬で、薬剤師さんから説明を受けていても、自己の判断で服薬を中止することがあることが課題として挙げられております。
3つ目は「妊娠と薬情報センター」についての現状と課題でございますが、「妊娠と薬情報センター」の拠点病院が、2017年度で全都道府県にできたところでございますが、相談件数そのものにつきましては、2009年以降、年間1200件前後で横ばいの状況ということがございます。
体制は全県にできたところでございますが、全ての相談の受付から回答作成までの作業を行っているということで、現行の相談対応に人手と時間を要し、適時の回答が困難という課題も挙げられているところでございます。
また、妊産婦に対する薬剤処方につきましては、添付文書の記載内容と、学術的に許容されている内容にギャップがあるといったところも指摘されているところでございます。
17ページにお進みください。これらの現状と課題に関連いたしまして、いただいた御意見でございます。
まず、1つ目で、医師が科学的エビデンスに基づいて処方できるよう、「妊娠と薬情報センター」の活用や研修、処方前からの薬剤師との連携等が重要ではないか。
2つ目としまして、臨床現場に即した情報に対して、全ての医師がアクセスしやすい体制の整備も必要ではないか。
3つ目といたしまして、ふだんよりもリスクに対して慎重になっている妊産婦に対し、配慮した説明ができるよう、薬剤師も含めたコミュニケーションに関するトレーニングが重要ではないか。
4つ目といたしまして、妊婦御本人に対する教育や情報提供も重要ではないかといったところがいただいた御意見でございます。
18ページから、3つ目のパート、「妊産婦を支える体制等」ということになります。
まず、(1)としまして、行政機関と関係機関の連携についてというところをまとめさせていただいております。
現状と課題でございますが、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供することを目的といたしまして、相談に応じる体制ということで、「子育て世代包括支援センター」を令和2年度末までの全国展開を目指しているところでございます。
また、「子育て世代包括支援センター」を設置した市町村においても、母子保健と子育て支援の連携が不十分との指摘もいただいているところでございます。
また、メンタルヘルスに関連する課題といたしまして、20~40代女性の自殺のうち、妊娠関連の割合が約4%。この割合につきましては、平均的な妊産婦死亡率よりも、自殺で亡くなっている妊産婦の方の頻度が高いのではないかという指摘もいただいているところでございます。
周産期のうつ病の特徴として、気づかれにくい軽症例であったり、精神科医からの助言を踏まえた地域との連携というものが重症化を予防できるということもいただいています。
また、平成30年度診療報酬改定におきましては、「ハイリスク妊産婦連携指導料」を創設したところでございますが、これらの活用をいただいているところの中では、行政機関との連携を促進する取組が始まっているという自治体からの取組の御報告もいただいたところでございます。
19ページにお進みください。これらの現状と課題に対していただいた御意見になります。
まず、1つ目でございますが、妊娠期から子育て期までつながるような支援のため、医療機関側に加えて、行政側も体制を手厚く保てるような配置・確保、体制づくりが重要ではないか。
2つ目といたしまして、安心できる保健・医療体制の構築を進めるためには、生活・医療に正確な知識を持ち、妊娠初期から育児期まで伴走できる人材や体制が必要ではないか。
3つ目といたしまして、妊産婦の方に、いつ、どのタイミングで、誰が、どのような情報を提供するかということも重要な課題ではないか。
4つ目といたしまして、母親・父親が、制度や利用できる施設等について知らないところがあるので、不安につながっていると考えられるために、簡単にそういった情報が得られるような納得できるような取組が必要ではないか。
5つ目といたしまして、妊産婦への支援制度は妊娠の届出がスタートとなるが、他の自治体から転入してくる場合については、顔の見える関係をつくることが難しい。複数の自治体を移動するような妊産婦にどう対応するかといったことも重要といった御指摘をいただいております。
20ページ目にお進みください。
伴走型の寄り添う支援の中には、産科や小児科だけではなくて、他の診療領域、特に精神科との連携が重要ではないか。
次に、合併症を持つ医学的にリスクの高い妊娠と、社会的ハイリスクの両方に該当するケースについては、特に診療科間だけではなくて、子育て世代包括支援センター等の自治体も含めた連携を行って、包括的に産前・産後も含めた継続的なサポートが必要ではないか。
産婦人科と他の診療科、産婦人科の中での高次施設と診療所、産婦人科と行政や国民との間の情報共有の在り方について考えていくことが重要ではないか。
妊産婦のメンタルケアや産後うつに対する精神科の医療機関が十分でなく、妊産婦を診ることのできる精神科医の確保が非常に大きな問題である。
最後になりますが、妊産婦のメンタルヘルスケアへの支援が継続できるような体制を維持するため、妊産婦の支援に関するスタッフが継続して業務に従事できるような取組も重要ではないかといったことをいただいているところでございます。
21ページにお進みください。母子健康手帳の活用についてということでまとめさせていただいております。
まず、現状と課題についてでございますが、母子健康手帳は、市町村が妊娠の届出をした者に対しまして交付するものでありまして、妊娠、出産及び育児に関する一貫した健康記録であるとともに、乳幼児の保護者に対する育児に関する指導書という位置づけになっております。
これらの手帳に記載された内容は、妊娠、出産、育児に関する指導心得の記事でありますとか、健康記録欄、予防接種記録欄等であり、幅広く利用されているところでございます。
横浜市からのプレゼンの中にありましたように、外国人の妊婦は一定数存在して、地域によっては外国人の妊婦への支援の充実が必要となっているということで、横浜市では、外国語に対応した母子健康手帳や子育てチャートというものを活用いただいているという御報告があったところです。
22ページにお進みください。母子健康手帳の活用につきまして、いただいた主な御意見でございます。
母子健康手帳交付時に、母親の体調等についての記入を促すような声かけをすることがよいのではないか。
2つ目といたしまして、母子健康手帳の電子化も進むといいのですけれども、それには一定の時間がかかるということで、既にある、いろいろなほかのツールを活用してはどうか。
3つ目といたしまして、産婦人科以外の診療科を受診する際にも、母子健康手帳を診察券と一緒に提示してもらうように、産婦人科医師や助産師からの御本人への声かけがあるとよいのではないか。
4つ目といたしまして、母子健康手帳を持ち歩いていない妊産婦もいるので、常に持ち歩くような声かけも必要ではないか。
5つ目といたしまして、母子健康手帳にかかりつけ医療機関を記載する欄や、診療科間の簡便な情報共有ができるよう、産婦人科以外の診療科が記載できる欄があればよいのではないか。
外国人の妊婦さんがふえるということで、言語コミュニケーションが十分に図れないことで現場で困難になることがあるので、そういった課題への対応も必要ではないかといった御意見をいただいております。
最後、23ページにお進みください。最後は、妊産婦の健診や診療に係る自己負担についてということでございます。
まず、現状と課題でございますが、健診につきましては、全ての市区町村で14回以上の公費負担制度を実施しているが、健診の内容によっては、公費の助成を超えるため、一部自己負担が生じている状況もある。
また、妊娠中は、妊婦健診に係る費用のほかに、冒頭御紹介しました偶発合併症に対する診療に係る費用も生じていること。
茨城県などの4県においては、所得に応じて妊産婦の診療に係る費用の一部を助成する制度を実施していること。
○の4つ目でございますが、医療費控除の申告を行っていた妊婦さんは、約4分の1にとどまっていることといった現状と課題が挙げられます。
それに関連する主な御意見としまして、妊産婦の診療については、さまざまな配慮が必要であり、それらを評価することも重要であるが、妊産婦にとって自己負担に見合う(患者として納得するメリット)であると実感できるかがポイントではないか。
○の2つ目といたしまして、妊産婦の医療機関受診時の負担に配慮するという視点は重要であり、妊産婦への医療費の助成制度を持つ自治体の状況も参考にしながら、妊産婦の自己負担に対し、どのような方策が考えられるか検討が必要ではないか。
○の3つ目といたしまして、費用負担の軽減につながるような医療費控除などのさまざまな制度についても、もっと情報提供することが必要ではないかといった御意見をいただいてございます。
説明は以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
今、お話をいただいた内容は、3つのパートから成り立っております。ということで、それぞれに分けて皆さんの御意見をいただきたいと考えております。
まず、1番目の「妊産婦に対する相談・支援の在り方について」、現状と課題、主な御意見を踏まえながら、どのような対策あるいは取組が必要かという点につきまして、御意見をいただきたいと思います。
いかがでしょうか。どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。健保連の松本です。
非常によくまとめていただいたと思いますが、この中で大事な視点が欠けていると思います。妊産婦の場合、パートナーの支援というのが非常に大事だと思っております。中島構成員がお立場かもしれませんが、読売新聞の医療ルネサンス、4月24日から5回のシリーズで「パパと産後ケア」が特集されました。この記事を読んで感じたのは、妊産婦に対する支援も大事ですが、そのパートナーの視点も大事ではないかと感じましたので、どこか1行書いておいてもらえばいいのではないかと思います。
それと、4ページにワンストップサービス、1つのところにアクセスすれば、いろいろな情報を取り入れられるということが重要だと思います。いろいろなところに行かないと支援制度がわからないということではいけませんので、例えば妊娠の届出を行う際や母子手帳を交付してもらうときに、どこにどういう制度があるか、あるいはどこに行けば、どういう民間のサポート体制があるかということがわかるようにすることが重要だと思います。あるいは、役所のホームページにリンクを張って、とにかくそこにアクセスすれば、いろいろな情報がわかるような仕組みをつくっていただければ、もっと支援を受けやすくなるのではないかと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○石井構成員 今のワンストップのところに関して、もう一つ大事だなと思っているのが、とにかく何度でも妊産婦の方との接点をつくるということです。今、私たちの会では、子どもの医療について正しい知識を得ることで、親が安心して子育てに向き合えるようにということと、プラス、不要な受診などを減らして、医療の現場の負担を軽減できればということを目的に、子どもの病気についてのお話会を開催しています。
参加者の方に話を聞くと、1回聞いたら、ああ、わかったというものではなくて、何回も聞くというのが大事だなと実感しています。妊娠中、産後すぐの入院中のとき、その後、おうちに戻って三、四カ月のころ、次は保育園に入る1歳のころ、というような形で、お伝えする内容はほぼ一緒なのですけれども、何度も聞くことでだんだん腑に落ちてくるというか。最終的には自分の子どもが熱を出したという当事者になって、初めて腹落ちするという部分があるので、例えば母子手帳をもらいに行ったときに一度言われるだけでは、なかなか頭に残らない。
なので、女性の健康ということを考えるのであれば、中高生の時やパートナーの男性も含めて、こういうセンターがある、こういう機関があるというのを知っていて、何となく聞いたことがあるなというのを積み重ねて、やっと相談にいくなどの行動に移せるのではないかと思います。妊娠する前から、妊娠中も産後も、それが行政の場でも、医療の場でも、口コミという場合もあると思うのですけれども、とにかく何度も何度もしつこいぐらいの接点をつくれるようになってはじめて、制度やセンター、施設みたいなものが本当に生かされるようになると思うので、一元化、プラス、しつこいぐらいの周知というのをぜひ考えていただきたいなと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。日本版ネウボラを目指して、一カ所で必要な情報を提供できるところを市町村レベルでつくっているところです。繰り返し情報発信が必要であるという御指摘でした。
どうぞ。
○平川構成員 日本医師会の平川です。
今の中高生、若い、学校教育の中での性教育というのは大変重要な問題だと思います。どうしても健康教育の一部にとどまっていますけれども、実際の医療とか社会保障も含めた、その子どもさんが社会に出てから、いろいろな医療を受ける中でどういう問題があるのか。女性については、妊娠も含めたさまざまな教育が必要だと、それも学校教育の中にぜひ取り入れていただきたいと思っております。
ちょっと追加になりますが、別の意見ですけれども、妊娠前からのケアというのは大変重要でありまして、このことはますます今、注目されているところだと思います。日本医師会でも、昨年12月に家族計画・母体保護法指導者講習会を行いまして、その中でプレコンセプショナルケアという、英語ですけれども、妊娠前からのケア。あるいは、妊娠前と妊娠初期を含めてペリコンセプセショナルケアという言い方もいたしますけれども、そういった概念で講演会をいたしました。その中で、心身のさまざまなサポートは妊娠前から行うべきであろうということがさまざまに議論されております。
もちろん、御病気を持っていらっしゃる方は、その疾病の内容や服薬の状況も含めたコンサルトが必要でございますし、ワクチンで予防できる病気は、妊娠中にかからないように妊娠前からきちんと接種を受けていただくといった指導も必要でありましょうし、また、心の問題についても、妊娠前からさまざまな問題を抱えている方もいらっしゃいますので、妊娠して初めて、そういった問題と妊娠の関係について直面しないように、妊娠前からの指導あるいは妊娠初期の指導が必要かと思います。
この課題の中には、葉酸摂取のことについて、特に取り上げて書かれてありますけれども、これは一つの例でございまして、さまざまな面から妊娠前からの相談支援の体制は、より強化する必要があるかと思っております。
以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
ほかはいかがでしょう。
どうぞ、中島構成員。
○中島構成員 読売新聞の中島です。
2点あります。3ページですが、前回、ちょっと時間がなかったので、神経管閉鎖障害の話で、前回、示していただいたもので一番びっくりしたのは、妊娠前から気をつけていたことで、57.6%の方が葉酸を積極的にとるようにすると答えていたと。それで、葉酸に関する認知度というのはかなり上がっているのかなと思います。
その一方で、これは3ページ、発症数じゃなくて発症率だと思うのですが、神経管閉鎖障害の発症率というのは、モニタリングではほぼ変わっていないと思うのですね。それを見たときに私、思いましたのは、情報提供というのは非常に大事ですけれども、それだけでは実際、こういったリスクを減らすという行動にはつながらないのかなということです。計画的に妊娠する方というのは限られていますし、またサプリメントというのはお金がかかります。
なので、何か新たな対策が必要ではないかと。ヒントとしては、アメリカとかカナダなど、60カ国ぐらいだと思うのですが、主食となるパスタとかの原料になる小麦などの穀類に葉酸の添加を義務づけていると聞きました。それをすべきかどうかというのは、そこまでは申し上げられませんけれども、何か新たな対策というのが必要ではないかと、このデータを見て思いました。
もう一点が、7ページですけれども、みずから保健・医療サービスにつながろうとしない妊産婦の話に触れていただいているのですけれども、未受診妊婦とか母子手帳未交付妊婦ということも、この検討会で少し触れていったほうがいいのではないかと思っています。最初にあるような増加傾向にあるデータはないと思うのですけれども、少なくとも虐待死、ゼロ日死亡等のデータを見ると、母子手帳未交付妊婦がかなり多いということがわかっています。
もう一つ、取材していますと、そういう方たちというのは、全員が全員そうではないですけれども、幼いころから虐待とか暴力というのが身近にあって、人を簡単に信頼できない、頼れないという方が多いように、私は感じています。そうなると、そういう方たちのSOSというのも非常に緊急性が高くて、ぎりぎりになって来るものなので、実際には民間のNPOなどがそういう形たちの支援をしている。相談を受けて、妊娠30週以降の方ですとか、きょう生まれましたという御相談もあって、そういう御相談に対応して、地域の保健師さんとか医療機関の受診に同行したり、そういうサポートに結びつけています。
なので、ここにあるような関係機関というのは、恐らく民間団体も入っていると思いますが、そういう団体は経済的な基盤がすごく弱いので、経済的なサポートも含めた行政の支援、そして連携というものが必要だと思います。
○五十嵐座長 御指摘ありがとうございます。
ほかはいかがでしょう。
どうぞ。
○髙松構成員 日本薬剤師会の髙松です。
関連ですが、今の3ページの葉酸のところ、私も気になったのですが、実際に葉酸を積極的に摂取すると認識されている方が58%いらっしゃるにもかかわらず、その重要性が十分には認識されていないというのは、どの辺のことをもって判断されたのか、お伺いしたいのですが。
○母子保健課 御指摘の点について、前回の3月に実施したアンケート調査によると、健康管理として気をつけているとお答えいただいている方が一定数いますが、実際のその結果として、防ぎたいことである神経管閉鎖障害というものが減ってきていないということを判断して、こういった記載ぶりにしております。
○髙松構成員 済みません、それは認識の問題ではなくて、結果の問題だと思います。ですので、逆に認識されていないのであれば、まだ不足していると思うので、我々薬剤師のほうもそのような窓口対応もしなければいけないと思うのですが、そこのところはもうちょっと詳しく調べていただいたほうがいいのかなと思います。
以上です。
○五十嵐座長 二分脊椎の予防のためには妊娠してから葉酸を摂取しても、間に合いません。妊娠する前の食生活においていろいろな食物をバランスよくとっていただくことが重要です。最近の若年女性の中には葉酸の含有量の多い野菜の摂取量がどうしても少ない人が居ます。
どうぞ。
○中井座長代理 ちょっと葉酸の研究をしているものですから。今、そういう認識が一般なのですけれども、それが最近の海外の研究では間違いで、妊娠前から初期が重要なのは、流産とか神経管閉鎖障害の初期の疾病を予防するということですけれども、妊娠中期から末期にかけては、いろいろな胎盤に関連して発生する妊娠高血圧症候群であるとか発育不全を、かなり強力に抑えているというデータがいっぱい出ていますので、きょうは報道の方もいるので、妊娠の初めだけという書かれ方をすると非常に困るので、実際、厚労省の栄養調査のほうでも、妊娠前と分けて、妊娠中も時期を限らずに付加量が必要であるということをちゃんと報告されておりますので、よろしくお願いします。済みません。
○五十嵐座長 神経管閉鎖障害の予防という点では妊娠前からの葉酸摂取が有効ですが、その他の効能もあるので妊娠のすべての時期に葉酸接収が重要ということですね。ありがとうございます。
どうぞ。
○髙松構成員 恐らく、今のような話がすごく重要で、そういう話をしていくと、若い女性の方にもいろいろなことを伝えやすいと思いますので、そういうこともあわせて、今後検討したいと思います。
○五十嵐座長 最新の情報をいただきました。
どうぞ。
○井本構成員 妊産婦に対する相談支援の在り方ということで、あるべき姿が非常にわかりやすくまとめられていると思いました。ですが、具体的な体制というところでは、もう少し議論が必要かと思っておりまして、先ほど来、発言されている松本構成員や石井構成員がおっしゃっているように、ワンストップの拠点が医療側にも行政側にも必要だと思っています。
行政側においては、ただいま進められている子育て包括支援センターの全国展開が来年度末までに期待されているところですが、医療側では、受け皿というか、窓口となるプラットフォームのような体制の整備がより必要だと思っています。前回も発言させていただきましたが、その点から見ると、院内助産、助産師外来の推進を図るべきだと考えておりますし、産科医師の負担軽減の観点からも必要だと思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいなと考えております。
よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ、平川構成員。
○平川構成員 女性健康支援センター事業のことについて申し上げます。妊娠前の相談・支援体制として、ここに挙げられておりますけれども、実際のところは、まだ現場ではなかなか見えにくいという事業だと思います。支援の内容として掲げられているものが、婦人科的疾患及び更年期障害、出産についての悩み、不妊症、女性の健康に関する悩みと非常に広い範囲で書かれておりまして、妊娠前の相談・支援の場としてなかなか認知されにくいのではないかと思います。
先ほど申し上げましたように、妊娠前からの支援というものが大変重要なことを考えますと、そして、先ほど来のワンストップの支援センターという考え方も入れますと、子育て世代包括支援センターと強い連携を持った、妊娠前の相談・支援も対象として、もう少し強く関与できるような仕組みも考えていただければと思います。全国73カ所ということですから、まだまだ少ないようでございますので、これが全国に広がるように強く希望しております。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○中西構成員 先ほど、若い女性というか、妊娠前の方への情報が大切だというお話があったと思うのですけれども、全くそのとおりで、葉酸についても、妊娠してからだと、妊娠雑誌が葉酸、大事だよと言っても、もう遅いといつも思っています。若い女性は、学生時代に家庭科で勉強したはずだと思うのですが、栄養知識が非常に乏しく、実践していないというか、栄養失調状態で世界でもまれなぐらい、先進国なのに若い人ががりがりに痩せていると問題になっているのが現状で、自分のことなのに大切なことがわかっていない。そういうことを解消するためにも、情報発信が大事だと思いました。
また、ワンストップという形の施設ができたとしても、情報の発信がホームページをつくっただけではだめで、SNSで発信するなど、もう一歩積極的なアプローチを検討する必要があると思います。ホームページは、検索して来てもらわないといけないのですが、実際のところそこに行かない人たちのほうが多いのではないでしょうか。様々な手段を使ってどんどん発信し、そこから「何だろう?」と興味を持ってホームページまで来てもらえるような工夫も具体的に考えないと、妊婦さんたちに情報が届かないという状態は結局変わらないのかなと思います。その辺りの視点も大事だと考えました。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○野口構成員 非常に要点よくまとめていただいて、どうもありがとうございます。
先ほどから皆さん、妊婦さんが産む前から、あるいは産前産後のケアが非常に重要だとおっしゃっていて、本当にそのとおりだと思うのですけれども、何か日本の場合、難しさがあるなというのは、例えば正常分娩だった場合、レセプトには上がってこないわけですね。何らかの形で、彼らのデータをしっかり整備する必要があって、アウトリーチするためには、一人一人の状況を細かくというか、情報としてデータとして構築する必要があると思うのですね。
例えば、ほかのアメリカとかヨーロッパとか、特に北欧の国などを見ていると、あれもちょっとツーマッチな気がしますけれども、本当に完全に社会保障番号で人のライフコースが把握されている。だからこそ、きめ細かいアウトリーチというか、サービスも提供できていけるわけで、それが同時に社会保障コストの持続可能性にもつながってくるので、非常に難しいとは思うのですけれども、社会インフラとなるようなデータ整備を将来的にはぜひ考えていただきたいなということが私のポイントです。
○五十嵐座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、次のパートの議論に移りたいと思います。2つ目のパートは、妊産婦に対する医療提供の在り方について」であります。これについて御意見をいただきたいと思います。
どうぞ。
○鈴木構成員 日本産婦人科医会の鈴木と申します。
9ページ目に診療情報提供書のことが書いてあるわけですけれども、合併症であったり、長期にかかる疾患に関しましては、診療情報提供者は必要だと思うのですけれども、感冒とかインフルエンザ、花粉症等で一々書かれてきますと、医師の負担とか。あと、これをもらう妊産婦様の経済的負担も大きくなりますので、ずっと議論されていますように、母子手帳やお薬手帳などを活用したような形の軽いメッセージのほうがいいのではないかと具体的に思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○中井座長代理 後押しするような同様の意見でありますけれども、診療情報の共有というものが物すごく大事で、今後、他の診療科に、より診ていただこうという方向性で進むのであれば、あわせて共有方法も明確に示していただきたいと思います。
それで、既存の日本の母子手帳というのは、本当に世界に注目されるシステムなわけですから、それがさらに充実するという意味では、形を変えるのは年度ごとにいろいろ大変ですけれども、今の予備欄みたいなところでも十分活用できますし。
それから、ついでに発言させていただくと、歯科の話のときと体制のほうにも出てきましたけれども、ほかの診療科に行くときに母子手帳を持っていきなさいという項目があるのですが、それをなぜかここでは産婦人科医が声かけをしてくれと書いてありますけれども、そうじゃなくて、行政が母子手帳を発行する際には、これはあなたの健康にかかわる全ての情報が載るものだというアドバイスといいますか、話をするという方向に持っていっていただければと強くお願いするところです。
○五十嵐座長 どうぞ。
○戸矢崎構成員 今、母子健康手帳の交付時の説明がありましたが、母子健康手帳に、妊婦さんの週数によって体調を書くページがかなり広くなりました。ですので、そちらに体調のことを記入してくださいという説明をさせていただいているのですが、妊婦健診時に医師へ体調を伝えるための記録はイメージできるかと思うのですが、他科受診時にも活用し、具体的な記載を進めることは、現実的にできるかなと思っています。なので、母子健康手帳の既存のもので活用できるところは、行政とてしも努力できることと考えます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○牧野構成員 歯科医師会の牧野でございます。
今、情報提供のところで産婦人科の方にと言ったのは私でございます。妊婦の方は、産婦人科の先生方を本当に頼っておられるので、産婦人科の先生が言うことによって、やっと歯科医も情報をいただけるということから、私、申し上げたということでございます。
それから、前にも申し上げて、ここにちゃんとまとめて書いてくださっているのですけれども、スライド14の一番上のところです。妊婦健診で望ましい、14回以上というのがここに出ておりますけれども、そこに書いてありますように歯科の項目の記載がないわけです。大臣告示で出ているものですから、そこに歯科も健診で、特につわりが終わるころの1回というのを義務づけるようなことが書かれると、もう少し歯科の健診がふえてくるのではないか。そこで何か見つけられたものが歯科の受診につながって、全体に早産といいますか、低体重児とか、そういうものもリスクが減っていくのではないかと思いますので、ぜひとも考慮いただけたらと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○平川構成員 先ほど、母子手帳に医療情報を記入して、産婦人科と他科との情報交換に用いるということですけれども、事務局の方にちょっと伺いたいのですけれども、母子手帳をそういう目的で記入して使用することについて、何か配慮すべきことがあるのか、そういったことがあれば教えていただきたいのですが。
○五十嵐座長 どうぞ。
○小林課長 母子健康課長でございます。
先ほどから母子保健手帳の活用ということで、いろいろ御議論いただいているところでございますけれども、1つは、そもそも母子保健法の概念の歴史的な経緯から申し上げますと、母子保健手帳は、妊婦さん御本人、それから生まれてきた後のお子さんの自己健康管理という観点からのツールでございます。一方で、非常に機微な情報も書き込む部分がございまして、プライバシー面の配慮とか、考慮する事項も実はございます。
先ほどデータヘルスというのでしょうか、データの関係の御指摘がございましたけれども、実は昨年、データヘルス時代の母子保健情報の利活用に関する検討会というのも開催させていただいたところでございまして、今後、データヘルスを見据えて、どのように個人管理に活用していくのかというところも御議論いただいたのですけれども、その際にも、母子健康手帳の情報源としての有用性とか共有の重要性が御指摘された一方で、機微情報に当たる。それを母子健康手帳に余り情報を書きたがらない御家族の方もいらっしゃる、あるいはプライバシーの観点から警戒される方もいらっしゃる。
そういったところの配慮も必要だというところの議論もいただいたところでございまして、そういった観点から一定の慎重さは必要かなという認識は持っているところでございます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○中井座長代理 小林課長、もしそうだとすれば、大事なことですけれども、妊婦さんにそういった同意であるとか、妊婦さんのほうが希望されれば活用できるぐらいの運用というのはないのですか。
○小林課長 まさに御指摘のとおりでございまして、まず同意をいただく。同意があって、御本人が望めばということの活用は十分あり得るかなということで考えているところでございます。
○五十嵐座長 どうぞ。
○青木構成員 関連してですけれども、ちょうど今、私、たまたま市の母子健康手帳を持っていますけれども、検査の記録のところで、検査結果を記録する場合は、妊婦に説明し、同意を得ることという記載があって、これは恐らく国の省令で決まっているのだと思いますので、このとおり運用すればいいということになると思います。
ただ、一方で、機微情報というお話が出ましたけれども、母子保健の中では大変重要で、大事な情報になってくるという面もありますので、そういう情報も含めた情報共有の仕方というのも、また別途御検討いただくと、一線で対応している者にとっては大変ありがたいなと思っています。
○五十嵐座長 母子健康手帳というのは、日本から始まりまして、東南アジアや世界にもかなり広がっているのですが、ヨーロッパにはなかなか広まらないのです。それはなぜかというと、母子の情報を一つにまとめること自体がプライバシーの侵害であるという考え方も一方にあるようです。ですから、アメリカでもベイビーというのは育てるという意味ですけれども、「BABY YOUR BABY」という立派な母子健康手帳があるのはユタ州だけで、ほかの州ではないのです。
ですから、日本人と欧米人とでは、こういう情報の取り扱いに関して、根本的に考え方が違う面があるようですし、それから日本もだんだん欧米化してくると、そういう考えを持っている女性もふえてくるのは当然のことなのかなと思って、いつもはらはらしながら母子手帳を見ているのですけれども、そういう文化的な違いもあるのかもしれないですね。
ほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○野口構成員 ただ、私がデータのことを先ほど申し上げましたけれども、デンマークとかスウェーデンとか、母子手帳みたいなものがないというのは、とにかく何世代にもわたってデータが完全につながっているのです。ですので、非常にプライバシーに気をつけて、彼らは活用していると思うのですけれども、逆に言うと、そういう社会インフラがあるからこそ、アウトリーチがしやすくて、母子手帳のようなきめ細かいサービスが必要ないのかもしれないです。これはわかりませんけれどもね。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○髙松構成員 日本薬剤師会の髙松です。
9ページにある産婦人科以外の診療科への受診アンケートの結果で、妊婦健診以外で、産婦人科以外の診療科に38.4%の方が受診されているということですが、それで薬物治療を受ける方もいらっしゃると思います。私のプレゼンでもお話ししましたけれども、かかりつけ薬剤師・薬局を一つに決めていただくと一元的な管理、そして継続的な管理をすることができますので、複数科を受診している方々のお薬の管理は、かかりつけを十分利用していただければいいと思います。
○中井座長代理 とっている。
○髙松構成員 もしとれない場合があったとしても、かかりつけ薬局は24時間対応するということが前提になっておりますので、それを活用していただいてもいいかなと思います。
以上です。
○五十嵐座長 どうぞ。
○中井座長代理 13ページにあります研修も重要なので、強調していただきたいのが1点と。
それから、最後の○にあります、より積極的な医療機関を評価するというのは大事なのですけれども、我々にとって一番わかりやすいのは、精神疾患、メンタルを、しかも妊産婦のメンタルに特化とは言いませんけれども、含めて見ていただけるような施設の一覧というのは、とんと見たことがありませんし、こういう研修をして、そこを一定の評価をする、認定というのはちょっと違いますか。そうするのであれば、そういったものが妊婦さんにも我々にもわかりやすいような一覧で示していけるような仕組みといいますか、ことも御検討いただければ助かると思いました。
○五十嵐座長 どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。健保連の松本です。
医療機関の評価というところで、平川構成員から、日本医師会で妊産婦の診療に当たっての講習会をこれからおやりになるというご発言がございました。その際、受講を修了したという証明書を出されると思いますが、証明書を医療機関のカウンターに提示するだけでもかなり違ってくると思います。
さきほど、SNSの話がありましたが、そのような医療機関に行った妊婦さんが、自分はここに行って、きちんとした治療を受けたということは、恐らく今の時代だと発信しますから、それがいろいろな意味で情報提供になると思います。医療機関の評価の仕方の一つとして、日本医師会あるいは日本産婦人科学会と日本精神科医学会が主になって、妊産婦のメンタル疾患に関する講習会を受けた方にきちんとした受講証明書を交付して、それを提示してもらうということも考えていいのではないかという気がいたします。
○五十嵐座長 どうぞ。
○平川構成員 医師会の名前が出ましたので。ありがとうございます。
私も同じ意見を持っております。と言いますのは、妊産婦さんの産婦人科以外での診療というのは、特殊な領域ということではなくて、かかりつけ医の方々が広く対応できるような体制が望ましいのではないかと思います。その点で、日本医師会の研修のことにお触れいただきましたけれども、まずはかかりつけ医の研修の中に、こういった妊産婦さんへの診療の留意点などを加えて、かかりつけ医の首尾範囲の一つとして、研修の一つとして、そういったことを考えていきたいと思っております。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。健保連の松本です。
この妊産婦に対する医療の提供の在り方の12ページで、3月に実施した調査結果だと思いますが、産婦人科以外の診療を受ける際に、妊婦が求める気配りで大切なものとして「妊娠に配慮した診察・薬の内容等について説明文書を手渡して説明を行うこと」とありました。お願いしたいのは、産婦人科の先生方と、内科の先生方が一緒になって、そういう指導を行った患者さんに手渡しするような説明文書をつくっていただけないかということです。
そこにチェックリストがあると、診察を行ったときに、こういう点をちゃんと指導しましたとチェックして渡していただくだけでもよくわかりますし、それ以外のところを見ていただくと、妊産婦の方への教育にもつながると思いますので、そういうものをぜひつくっていただきたいと思います。それが後のほうの評価につながりますから、自己負担に見合った評価といいますか、満足感が実感できる形の一つとして、また、調査結果にもあらわれておりますので、ぜひそのようなチェックリストつきの指導文書を産婦人科や内科の先生方が一緒になってつくっていただきたいというのがお願いでございます。
○五十嵐座長 これは、前回も同じような御意見が出たと思います。
どうぞ。
○鈴木構成員 産婦人科医会の鈴木と申します。
その研修を連携してやっていくということは非常に賛成しているのですが、余り特別な研修にしてしまって、資格にしてしまいますと、今度は資格を持っていないからと、かかりつけの先生から断られるような妊産婦さんが出るのではないかという危惧もあるわけです。ですから、できるだけ広く、その研修を受けるのが半ば当然みたいな形で広めるような形で内科と連携できればいいのではないかと思っておりますので、今後、そういったことで御議論をよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうぞ。
○石井構成員 今の鈴木先生のお話を聞いて思ったのですけれども、妊婦のときに受診して断られるのはものすごくショックだと思います。今、世の中で、ただでさえ妊婦は肩身が狭いというのがあると思うので、妊娠をポジティブにとらえて毎日過ごすためにも、そういう安心感はすごく大事だと思います。そういった意味で、医師の先生方の研修などが広がってくれたら、とても心強いなと思いました。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
では、最後のパートの議論に移りたいと思います。3つ目は「妊産婦を支える体制等について」、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
どうぞ。
○松本構成員 健保連の松本です。ありがとうございます。
妊産婦の負担に配慮するということは非常に重要だと思いますが、診療にかかった自己負担について、その自己負担を減額あるいはゼロにすることができるかというと、これはなかなか現行の医療保険制度上は難しいという気がしております。また、仮に自己負担割合を変更するという議論になったときに、妊産婦という状態に注目した基準というのが果たしてうまくできるかどうか、あるいは他の状態の方との公平性をどう考えるかということも含めて、慎重な対応が必要であると考えます。
それよりも、今回、この検討会のきっかけとなりました「妊婦加算」については、負担に見合った配慮を受けていないということが一番大きいと思います。ですから、先ほど3月に実施した調査結果の中で、配慮を受けた内容等について文書で手渡すということがありましたが、妊産婦の方が自己負担に見合った内容であると実感できるような取組を評価することが大事じゃないかと思っております。
○五十嵐座長 どうぞ。
○平川構成員 私は、今回の社会の中でさまざまな御意見が出た、妊産婦さんからの御意見が出た中で、そのポイントは、日本の国全体が少子化である中で、少子化を何とか克服しようと社会全体で取り組んでいる中で、妊産婦さんに自己負担の額をふやすということは、国全体の方向と違うのではないかという御意見があったように思います。ですので、これを根本から解決するには、既に少子化対策として全自治体で行われている乳幼児医療費の助成制度、ないしは子ども医療費の助成制度。これは、健康保険制度外のことでございますから、行政の支援なわけですけれども、そういった支援制度を妊産婦様にも広げて、妊産婦医療費助成制度という形で検討する必要があるのではないかと思います。
既にこの会で、茨城県から御経験が発表されたように思います。全国で、県内全ての市町村でやられている県が4県あると伺っておりますが、それ以外にもさまざまな自治体で行われると伺っておりますし、最近、4月から大分県臼杵市でもこれが開始されたという報道に接したように思います。ぜひ、そういった制度を検討していただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。
○野口構成員 皆さんおっしゃったとおりだと思いますけれども、医療保険制度というのは保険料と公費、一般税収と患者の自己負担の組み合わせで成り立っています。ですので、本当に子育て支援あるいはこの少子化の時代に非常に重要だと思うのですけれども、妊産婦さんの負担をできるだけ軽くするというのは重要なことだと思うのですけれども、その一方で、自己負担割合を見直す場合は、保険料とか公費が必ずふえることになります。これはトレードオフなので、仕方がない。
先ほど制度の持続可能性というお話しをしましたけれども、今の国民全員に医療に対して平等なアクセスを提供する。そういったポリシーのもとに成立している医療保険制度のもとでは、妊産婦加算あるいは高齢者に対して、働く人に対して、みんなそうですけれども、診療報酬において、その取組を評価する場合。つまり、供給側のサービスの質を評価する場合は、自己負担がふえるというのはシステム上しようがない、やむを得ないと思います。
むしろ、先ほどから皆さん議論されているように、妊産婦さんのほうがサービスの質が高い、自分はちゃんとしたサービスを受けたのだと思う、またそれに見合うお金を自分が払うのだ、払って構わないと実感できるような取組を評価することが非常に重要だと思います。ですので、保険制度の中だけで妊産婦さんに対する負担を考えるというよりは、次世代を支える子どもあるいは妊産婦さんに対して、どのような支援を行うかという観点を含めた検討が非常に重要だと思いますし、またその際には、ある政策がとられたときに妊産婦さんのどういう受療行動の変容につながるのか、そういった政策目標がちゃんと達成されるのかといった視点からも、検討が必要となると思います。
これは先ほどのデータの話にもつながるのですけれども、そういった政策の効果を見るためには、どうしても社会インフラとしてのデータの整備が必要だと思います。
ありがとうございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○青木構成員 先ほどお話が出ていました、妊産婦の自己負担への支援制度ということでございますけれども、これはさいたま市でも、今、妊産婦についてはやっていないのですけれども、子ども支援ということで、中学生まで、15歳未満の方に対して自己負担なし、所得制限もなしということで実施しておりまして、年間55億円の予算で実施しているところでございます。これは、各自治体ごとにどの年齢までやるのか、また自己負担を設けるのか、所得制限を設けるのか、それぞれの地域の実情に応じてやっているわけでございます。
きょうは妊産婦の検討会ということでございますけれども、自治体がいろいろ施策を考えるに当たっては、例えば母子保健であれば、妊娠から出産、その後の子育て支援まで一連の中で、どの期間にどの程度の支援をするのか、総合的に判断して、今の制度を組み立てているという状況でございますので、それぞれの地域の実情に応じて、みずからの政策ができるように、自由度があるようなことについても配慮いただければと思っています。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○髙松構成員 薬剤師会の髙松です。
17ページの妊産婦と薬剤についての意見の取りまとめについては、私たちもまさにこれからこういうことに関しても取り組まなければいけないなと思いました。
今、いろいろなお話を聞いてみて、利用者から見ると、さまざまな仕組みが複雑になってしまうと、逆に利用しにくくなるのかなという感触はあります。ですので、利用者側からしてみれば、わかりやすい、利用しやすいシステム。我々からしては、それをしっかり支えるようなシステムづくりをしていただければ、すごくいいなと思います。
先ほど石井構成員のほうから話がありましたように、少子高齢化ということで女性も労働人口をふやすために労働を推奨する国の施策に基づいて、共働きの方がふえています。そんな中で、妊娠された方が肩身の狭い思いをしていらっしゃるというのは、私たちとしても心苦しい面がたくさんありますので、そういう点も社会全体でも取り組んでいただければと感じました。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
それでは、一応3つ、パートごとに御議論いただいたのですけれども、全体を通して何かございますか。言い足りなかったこととか。
どうぞ。
○平川構成員 2番目の医療提供の在り方について発言、追加させていただきます。
今、妊娠中の薬の問題について少しお触れになりましたけれども、16ページの一番下に妊産婦に対する薬剤処方については、添付文書の記載内容と、学術的に許容されている内容にギャップがあるということで、それを是正するといった取組をしていただきたいと思うわけでありますが、その下に「妊娠と薬情報センター」、五十嵐先生のところの非常に重要な活動があるわけでございます。
この活動をぜひもっと活発にしていただいて、産婦人科医師、そして他の診療科の医師、医師のみならず薬剤師の先生方等々、それから看護師、助産師はもちろんですけれども、そういった全ての医療従事者が、同じ情報で、薬の問題について同じ知識を持てる。そういったことができるようなデータベース化、そして利用しやすい環境をぜひつくっていっていただきたいと思います。「妊娠と薬の情報センター」のサイトには、今、授乳期に使える、もしくは配慮が必要な薬剤の名称がリストとして挙がっておりまして、これは大変役立つ情報なわけですが、この取組をもっと進めていただきたいと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 大変貴重な御指摘、ありがとうございました。
それから、薬剤の添付文書の改訂作業がこの4月から始まって、5年以内に古い内容の文書が新しい形式に書きかえられることになっています。その機会を利用して、この妊娠と薬情報センター等から得られた新しい情報が加わると思いますので、そういうものをぜひ薬の添付文書のほうにも反映していただけると。妊娠と薬情報センターの情報だけではなくて、個々の薬剤の添付文書にも最新の情報が載るように、何でもかんでも禁忌ということにしないような形に変わっていくということが大変重要じゃないかと思います。厚労省としても、ぜひ御指導いただきたいと思っています。
ほかは、いかがでしょうか。どうぞ。
○中井座長代理 非常に漠然とした言い方なのですけれども、少子化対策の中で妊婦を守っていくのは国策として大事だということを、もう少し厚労省全体で強いプレゼンスを出してもらいたいというのが1点と。
僕たちが日々診ている妊婦さんは、例えば厚労省のマークを持っていても、電車で席を譲ってもらったことがほとんどないという方が大部分なのです。そういうところから改めていただきたいのと。
一方で、妊娠できない女性というのもすごく多くて、そういう人たちは妊婦負担なんてあって当たり前だろうという強い御意見を持っている方も、実際、僕の周辺にいっぱいいるので、そこにも配慮していただいて、でも、そういう人たちも本当はもう少し妊娠に導いてもらうのがいいのか。先ほどプレコンセプションという産前のいろいろなことも力を入れるべきだというところも、本当に言い方が粗末ですけれども、気がついたら40歳過ぎていたという人が大部分なのです。そういう年齢の重要性とか。
僕らから見れば信じられないことですけれども、本当に知らずにずっと過ごされてきた方がすごくいるので、いい機会ですから、その辺も含めて、周知という言い方なのでしょうか、そういうアクションをしていただきたいなとちょっと思いました。漠然とした意見で、申しわけありません。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
そのほか、全体を通して何か御意見はいかがですか。
どうぞ。
○松本構成員 健保連の松本です。
今、中井座長代理からご意見がありましたが、4月27日の読売新聞の記事で、「中小3割、妊婦ケアせず」という厚生労働省の調査が掲載されていました。中小企業では、妊婦さんがなかなかいないので、どう対処していいかわからず、対応しなかったとか、あるいは働いている女性の方も、なかなか言い出しにくかったので言い出さないという内容でした。そういう状況を反映するのが、3月に中井先生が書かれたインタビューの記事で、「休めないのでお薬をください」と言って、働きに行く妊婦さんや、具合が悪いときは安静が一番ですが、なかなかそうも言っていられない状況があるということです。事業者として労働者を守らなければいけない、特に妊婦さんに対して配慮しないといけないということすら十分周知されていないということなので、今回のテーマとちょっと異なると思いますが、労働基準局を所管する厚生労働省としても、そういうところの周知徹底をやっていただければと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
そのほかはいかがでしょうか。
では、どうぞ。
○石井構成員 今後、いろいろな制度とか仕組みが広がっていく中で、例えば医療だったり、行政だったりという専門家の方が考えて施策を実施していくことになると思いますけれども、その際には、普通に働いたり、主婦したり、子育てしていたり、趣味に生きていたり、いろいろな人に対して、それがちゃんと伝わるのか、それが本当に安心につながるのかという部分を、専門的なところだけでなく、普通のところの視点からも考えていただけたらと思います。そうすると、今後これが広がっていく中で女性がより安心して過ごせるなと思うので、皆さん、十分御存じかと思いますけれども、一応ということで発言しました。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○松本構成員 健保連の松本です。ありがとうございます。
いろいろな情報提供が大事だということで議論されましたが、今の若い方々というのはほとんどスマートフォンをお持ちで、何かというとすぐGoogleなどで検索されます。そのとき、例えば「妊娠と食事」について検索したときに出てくるのが、きちんとした正しい情報ではなく、トップには間違った情報が大体上がってきます。そのような間違った情報が出てこないよう情報提供や検索エンジンを提供しているGoogleやYahoo!に協力してもらい、間違った情報は余り載せないようにとするか、載せるにしても順番がトップにならないように協力を求める必要があるのではないかと思います。
また、同時に、提供する側としても、公的な機関がきちんとした情報を提供するにしても、わかりにくく、見てもよくわからないということでは困りますので、わかりやすく、かつ、それを見たら、こんないいことが知らせてあるので、さらにその情報をいろいろなところに発信できるような、中身の質が高いものが出せるような努力も必要だと思います。
GoogleやYahoo!に協力してもらうようなことも今後考えないと、せっかく情報を出して、検索しても、間違った情報だけあって、それを信じ込んで不幸な結果になるといけませんので、今後はそのようなことも考える必要があるのではないかと思います。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○戸矢崎構成員 戸矢崎です。
今回の会議の冒頭に松本構成員からのパートナーの支援という言葉が、キーワードと思います。今回の検討会は、どうしても妊産婦に対するということで、女性・母親を中心にお話しをさせていただいていたのですが、行政で継続的にかかわる上で、お母さんだけでは判断できないとか選択できないことが多々あります。医療機関の受診も1つです。あと、経済的なお金の使い方というところもあります。残念ながら、パートナー、男性の直接のアプローチというのは、行政ではなかなかできない場面が多く、間接的な関わりが多いと感じています。
妊娠、出産、子育ては、男性の参画も重要ですので、男性を巻き込むようなさまざまな施策というものをこれから意識的にやらなければいけないと思います。行政としても男性、子育て家庭全体のことをこれから考えられるような施策というのも、国とともに地方自治体でも考えていくべきと改めて感じました。
以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。大変重要な御指摘と思います。以前は乳幼児健診に、お母さんと、そのお母さんと2人で来る事が多かったのですが、今はお父さんとお母さんのお二人で来る事が増えています。その様に男性も育児に以前よりは参画してきています。ただ、まだまだ足りない状況であることは、御指摘のとおりだと思います。
どうぞ。
○平川構成員 今の御指摘、大変重要な問題だと思います。情報共有のために、医療機関と行政とのより密な共有は重要だと思います。医療機関では、パートナーの方との顔の見える関係がよりつくりやすいと思いますので、そういったところから解決の糸口があるかと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○髙松構成員 今のお話にも関連しますけれども、子育てしていて楽しい、そして喜びというものが感じられるような仕組みがあると、いろいろなところの解決も進んでいくのかもしれませんので、私たちのいろいろな情報の発信の仕方というのはすごく重要だと思います。
あと、先ほど松本構成員のほうからお話がありました情報のアクセスの仕方ですが、確かに個人で選ばれるサイトだと、情報が古かったり、誤った情報があると思います。先ほど来、母子手帳のお話が出ましたが、母子手帳も紙面に限りがありますので、情報の発出できる割合というのはある程度限られたものですが、QRコード等々でアクセス先を示しておいて、誘導するような方法、アプリを利用する方法など、新しい母子手帳の使い方として考えていただいてもいいのかなと思いましたので、提案です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
さまざまな機器を使って情報発信をしていったらどうかという御提案だと思います。ありがとうございます。
ほかはよろしいでしょうか。
どうぞ。
○牧野構成員 今、御提案があったものは、歯科医師会は妊娠中の方のために立ち上げかけたところでございまして、動き始めるところでございます。ですから、今後もそういう流れは出てくるのではないかなという気はしております。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
それでは、議論は一応、ここまでとさせていただきたいと思います。本日は活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
きょうの御議論を踏まえますと、次回の第5回の検討会で意見の取りまとめに向けた検討ができるのではないかと考えております。事務局に取りまとめの案をつくっていただいて、次回の検討会に出していただくという方向でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
それでは、次回の検討会で最終的に議論の整理に向けた議論を行って、報告書という形にしたいと考えております。事務局としては、資料の御準備をしていただきたいと思います。
もし、きょうの検討会で御発言し忘れたこと等がありましたら、なるべく早く事務局のほうに御連絡ください。次回の取りまとめに、使わせていただくことを検討致します。
その他、何か事務局からございますでしょうか。
○鹿沼課長 本日は、本当にありがとうございました。
今、座長のほうからもお話ありましたように、次回、取りまとめに向けての議論ができるように、資料をしっかり整えさせていただければと思いますし、また、それに当たりましては、先生方に個別に御相談させていただくこともあろうかと思いますが、その際にはよろしくお願いいたします。
また、次回の開催日時につきましては、改めて事務局から各構成員の皆様に御連絡をさせていただきます。
以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
それでは、これで第4回の検討会を終了します。どうもありがとうございました。