第102回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

 

 
第102回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録)
 
1.日時 令和3年12月14日(火)16:00~16:29
 
2.場所 AP虎ノ門会議室 C+Dルーム(一部オンライン会議)
     (東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

3.出席委員
(公益代表委員)
○学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授 守島 基博
○明治大学法学部教授 小西 康之
○名古屋大学大学院法学研究科教授 中野 妙子
○読売新聞東京本社編集委員 宮智 泉

(労働者代表委員)
○全日本海員組合奨学金制度運営管理部長代理 楠 博志
○UAゼンセン労働条件局部長 髙橋 義和
○全国建設労働組合総連合労働対策部長 田久 悟
○日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長 冨髙 裕子
○日本科学エネルギー産業労働組合連合会副会長 安原 三紀子

(使用者代表委員)
○日本通運株式会社人財戦略部専任部長 池田 祐一
○一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部上席主幹 坂下 多身 
○東京海上ホールディングス株式会社人事部専門部長 砂原 和仁
○セコム株式会社総務人事本部参与 二宮 美保
○鹿島建設株式会社安全環境部長 本多 敦郎
○日本製鉄株式会社人事労政部部長 山内 幸治

4.議題
(1)労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案の要綱等について(諮問)
(2)令和3年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)
(3)その他

5.議 事
○守島部会長 皆様方、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第102回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催いたします。皆様方、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございます。本日の部会は、会場及びオンラインの両方で実施いたします。
出欠状況ですが、水島委員、平川委員、武林委員が欠席と伺っております。あと、会場にいらっしゃる予定の本多委員は、30分ほど遅れると連絡を頂いております。出席者は、現在14名ですので、公益代表、労働者代表、使用者代表それぞれ3分の1以上の出席がございますので、定足数を満たしていることを御報告いたします。
それでは、カメラ撮影はこのぐらいで終わらせていただきたいと思います。
まず冒頭で、事務局より発言があるということなので、御説明をお願いいたしたいと思います。
○労災管理課長 労災管理課長の平嶋です。1つ、前回の資料に関しまして間違いがありましたので、訂正させていただきたいと思います。机上配布で冒頭が青くなっている資料です。全業種のうちの医療と介護の割合につきまして、計上ミスがあり、それぞれ医療が61.1%、介護が24.9%に訂正させてください。
それから、1事業場当たりの件数ですが、これは本来発生した全事業場で割るべきところを、医療の事業場で割っていたことで、数字が大きくなっておりました。改めて、全事業場で割っております。この訂正につきましては、委員の皆様には御連絡差し上げたところですが、ホームページに掲載しております。この間違った数字で御審議いただいたことを深くおわび申し上げます。今後は、このようなことが発生しないように注意したいと思います。どうも申し訳ございません。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、議題に入りたいと思います。第1の議題は、「労働者災害補償保険法施行規則及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱等について」です。こちらは、諮問案件となっております。それでは、まず事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○労災管理課長 前回の部会であん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の団体、視覚障害者の団体の方にヒアリングをしていただきました。そのやり取りを資料1でおさらいしたいと思います。まず特別加入団体として、どのように考えているかです。そのときはまだ検討中だったわけですが、その後の連絡の中で特別加入団体は4団体から複数設置し、会員外も含めて加入対象とすることを検討していることを団体からいただいています。それから、特別加入団体になることに、どの程度のニーズがあるのかと質問がありました。これについては、アンケートの中で8割程度が期待していることがあるので、十分ニーズはあると考えていると答えがありました。それから、現在どれくらいの視覚障害者の方がいるか、どのように対応していくのかでしたが、視覚障害者の比率は、あん摩マッサージ指圧師の中で22.3%、人数で2万4~5,000人。安全対策については勤める場所が決まると、事前に家族、友人、歩行訓練師などと協力して通勤の指導あるいは安全な歩行ルートの確認などを行っている。往療の際には、運転手を雇う、あるいはタクシーなどを利用する、家族の方のお迎えの場合もあります。腰痛などの障害が現われることもあるので、団体としても研修等を通じて、事故の防止に務めている答えがありました。
地方の加入者への安全教育について質問がありました。これについては、各都道府県の講習会等は会員外も受講できる状況となっていて、安全教育は可能と考えている話がありました。安全対策をしっかりやるべきだと思うという意見に対しては、地域によってケガの状況が変わります。雪の降る所、降らない所で差があったりということもあるので、全国の地方団体の会長会議などの場において、情報を提供できるようにしていきたいということでした。それから、加入団体についての質問は先ほどのとおりです。交通事故の防止についての質問もありました。中央団体で直接あるいは地方団体から情報を集めつつ、対策を検討したいと思っている答えでした。
ということで、対象範囲の拡大について検討いただきたいと思います。資料2に、概要をまとめております。業種全体の就業者数としては、このあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の延べ人数としまして約36万人です。業務の範囲は、それぞれの法律に基づく厚生労働大臣の免許を受けたあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師を行う事業です。それから災害の状況は、日本鍼灸師会等の調査によれば腰痛、捻挫等が見られ、通勤や往診による転倒による骨節や打撲も見られる状況です。同種若しくは類似の業種としては、9431医療業が当たると思っております。特別加入団体の担い手としては、日本鍼灸師会等が設立する団体を想定しております。一人親方等の数、会員は約25,000人です。団体の組織運営方法が整備されているかについては、定款で構成員の範囲、資格の得喪についての規定があります。事務の処理が可能であるかについては、定款に会員の相互補助に関する事業の規定があります。それから、定款に毎月構成員が収める費用に関する規定があります。団体の主たる事務所の所在地は、この日本鍼灸師会の東京都豊島区です。労災防止の措置については、日本鍼灸師会等において、労災防止についての研修内容を検討し、都道府県支部等による現地研修の実施、パンフレットの配布等を検討しているところです。
続きまして、資料3「料率設定案」についてです。災害の状況につきましては、患者の鍼が自分に刺さる負傷、それから腰痛、打撲、通勤時の災害が相当程度見られることです。それから腰痛、転倒などについては9431医療業でも同様に見られると考えております。同種の事業種としては9431の「医療業」が、類似の既存業種になります。料率につきましては9431医療業が含まれる94その他の各種事業における料率3/1,000とするのがいいのではないかと考えております。先般、承認されました柔道整復師と同様の料率と思っております。
資料4です。この関係省令の改正要綱です。第1ですが、特別加入の対象となる事業としてあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律に基づくあん摩マッサージ指圧師・はり師・又はきゅう師が行う事業を新たに規程する。第2で、保険料率は3/1,000とする。第3で、施行期日については、令和4年4月1日から施行することとしてはどうかと考えております。事務局からの説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいま諮問のあった件につきまして、御意見、御質問等がありましたらお受けしたいと思います。会場の方におかれましては挙手を、オンラインの参加の方は、チャットのメッセージからの挙手でも構わないですし、発言をしていただいても構いません。それでは、御意見、御質問のある方は御自由にお願いいたします。では、冨髙委員お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。本件に入る前に、先ほど冒頭で報告いただいた件ですが、政策判断に関わる重要な数字ですので、このようなミスが今後ないようにお願いいたします。
本件につきましては、あん摩、鍼、灸の業種で働いていらっしゃる個人事業主の方が、特別加入できるようになることは適切だと考えます。毎回申し上げていることですが、特別加入団体として行う安全教育については、既に団体会員の方も、既存の団体に入っていない方も含め対応が可能という話ではありましたが、特別加入団体設立後は、幅広い方々が加入を希望されるようになると思いますので、是非災害防止のための安全教育をしっかり行っていただきたいと思います。また、行政においても、安全教育が団体によって適切に行われているかどうか、しっかりチェックをしていただきたいと思います。
また、これも従来から申し上げておりますが、個人事業主であっても働き方の実態として労働者である場合には労働者としての保護が受けられることについて、引き続きしっかりと周知を図っていただきたいと考えております。諮問の内容については妥当と考えます。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、どなたか御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。特に御意見がないようですので、それでは諮問のあった件につきまして、当部会といたしましては妥当と認め、労働条件分科会長宛に報告いたしたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。労働政策審議会例第7条第7項により、部会の議決をもって分科会の議決とすることができ、同例第6条第7項により、分科会の議決をもって審議会の議決とすることができると定められております。また、労働条件分科会運営規定第7条におきまして、当部会の議決をもって分科会の議決をすることになっており、労働政策審議会運営規定第9条におきまして、分科会の議決をもって審議会の議決をすることになっております。したがって、当部会の議決が審議会の議決となります。
それでは、事務局に答申案を用意してもらっておりますので、読み上げていただきたいと思います。
○労災管理課長 それでは、読み上げます。3枚紙になっております。3枚目をお願いします。令和3年12月14日付け、荒木分科会長宛て、守島労災保険部会長からのものになります。労働者災害補償保険法施行規則及び、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について。令和3年12月14日付け、厚生労働省発基1214第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった票記については、本部会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。記、厚生労働省案は、妥当と認める。同様の内容が荒木労働条件分科会長から、清家労働政策審議会長宛て。清家労働政策審議会長から、後藤厚生労働大臣宛てに答申されます。以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいま読み上げられた内容で、部会長から分科会長、分科会長から労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおり厚生労働大臣宛てに答申を行うこととしたいと思います。
なお、オンラインでの参加の皆様には、答申案を後ほど送付させていただきます。
それでは、次の議題は「令和3年度第2回社会復帰促進等事業に関する検討会について(報告)」です。事務局から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。
○労災管理課長 先週の火曜日、12月7日に開催されました、今年度の第2回の「社会復帰促進等事業に関する検討会」でいただいた御意見を御紹介したいと思います。資料5の総論について1つ目、来年度向けの予算は今年度より5%削減という案を立てておりましたが、これについて、昨年より5%削減した点については、一定の評価をしたいという話の一方で、平成25年の予算と同じ水準くらいに向けて削減してもらいたいという御意見がございました。
2つ目、雇用保険二事業では財源が枯渇しており、保険料の引上げが不可避となっている。そうした中で、未払賃金立替払等の影響で、仮に労災保険料が上がるとなると企業としては耐えられない。働き方改革もフェーズが変わってきているのであれば、必要なものに絞っていくという考え方があると思う。
3つ目、総額の推移を見ると削減が5%に過ぎず残念に思う。平成24~26年は総額600億円程度であるのに対して、現在は1,000億円に近づく金額なので、1割、2割程度の削減を前提としないと自分たちの認識との乖離が継続する。事業の取りやめなど評価の在り方を含めて検討してほしい。
4つ目、単年度ではなく、例えば2年掛けて10%、5年掛けて30%削減といった議論ができないか。
次の○が、労働保険料の徴収は、災害補償を目的としており、社会復帰促進事業はそれに付随するものなので、事業の必要性や予算規模についての議論が必要ではないか。
既存の予算ありきではなく、例えば全体を2割減して、新規案件を1割増やす等、根本的な見直しをお願いしたい。
次の○はその資料に関するものですが、「労災保険経済概況」について、収入の内数として示されている事項を合算しても、全部列記しているわけではないので、合計額とならない。雑収入とか雑費といった項目を設けて、内数の合算額が合計と一致するように資料作りをお願いしたい。というようなお話がありました。
個別事業については、10番の労災ケアサポート事業経費について、これはいい取組ということだったのですが、訪問支援について、労災ケアサポート事業のようにオンラインでの支援に変えることで、他の事業も交通費が減るのではないか。15番の過労死防止対策推進経費については、インターバル制度などの普及を図る中で、予算が減額されるとちょっと厳しいのではないか。減らしすぎにも注意してほしいという御意見です。
16番のキャリアアップシステムの情報について、マイナンバーカードとの一体化を検討できないか。
22番、委託業者による36協定の入力・集計について、なぜ社会復帰促進事業で行う必要があるのか。パンフレットは既存のものでいいのではないか。
36番の産業医を安定的に供給するための取組、その後の進展はどうなっているのか。例えば医学部の地域枠の仕組みでは、仕組みを参考に新たな仕組みを作ることができないか。産業医は実際どの程度不足しているのか。取組の強化で産業医は復帰するのか。
未払賃金立替払の回収率についての御質問もありました。約25%という回答をしております。
38番の働き方改革支援センターの予算の減額をしてよい段階に来ているのか確認をしたい、地域差もあるのではないか。
次ページ、労働時間削減や人材確保、同一労働同一賃金の実施方法等について、課題や不安を抱えている企業の声は依然として多くある。十分な支援を行えるような体制は維持していただきたい。
39番のテレワーク普及促進等対策については、アウトプット指標について、相談件数と資料のダウンロード数、これを一緒にカウントして目標としていることについて、指標として適切ではないのではないか。
40番の医療勤務環境マネジメントの普及促進事業については、アドバイザーはどういう方がされるのか。アドバイザーが社会保険労務士だと、労働時間削減という観点では期待できるけれど、経営面の意味では、経営コンサルタントや弁護士などを入れる必要もあるのではないか。いうような御指摘もありました。
中退共の訪問勧奨の事業について、それが達成されていない理由が、新型コロナで直接訪問から、電話や文書へ対応を変更したとあるが、今後のことを考えると、オンライン化を進めるべきだ。
JILPTの運営費について、臨機応変に調査ができるように予算を組んでもらいたい。というような御意見を頂いております。駆け足でございますが、主な議論について御紹介いたしました。
○守島部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問のある方は自由に発言をお願いしたいと思います。先ほどと同じように、会場におられる方々は挙手、オンラインの方はチャット、若しくは手挙げ機能でもよろしいので、何らかの形で意思表示をお願いしたいと思います。では冨髙委員お願いいたします。
○冨髙委員 資料5の15番の過労死等防止対策推進経費についてです。実績をみての減額とのことですが、インターバル制度などの普及を図る中で予算が減額されてしまうと、厳しいのではないかというような御意見がありましたが、過労死防止大綱も見直しが行われたところであり、特に中小企業も含めた対応をしっかり行っていくことが重要かと思いますので、しっかりと対策推進していただけるようお願いできればと考えます。
○守島部会長 ありがとうございました。続きまして、田久委員お願いいたします。
○田久委員 聞こえますか。
○守島部会長 はい、聞こえます、大丈夫です。
○田久委員 資料5の16番の安全衛生啓発指導等経費は、キャリアアップシステムのことが1件出されていて、マイナンバーとの一体化も考えてみてはというような御意見が出されたとの御報告がありました。実際、そういう意見の議論もされていたのですが、実はマイナンバーとの一体化をしないという大きな理由としては、やはりこのキャリアアップシステムを使って、API連携を取って様々なアプリなどを使って、今建設業で一番大変と言われている働き方改革、いわゆる時間の管理とか、職業上の管理、こういったことに活かしていくことを検討する際に、マイナンバーと一体化することによって、API連携がすすまなくなる、かなりの厳しい条件になってしまうと発展がない。こういうことも含めて、マイナンバーとの連携をしないで、やはり限られた情報をきちんと出して、建設業の職業改善や働き方に対する改善、こういったものを目指していくためにキャリアアップシステムの位置付けをしていこうということでやっているという御理解を頂ければと思っております。
そうした意味でも今言ったことをやっていくことはなかなか難しいかと思いますし、320万いるそういった人たちに、今促進を進めていくということでは、ここの経費というものが本当に有り難いと思いますので、このままで是非使って、発表させていただきたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかにどなたか御質問、御意見等ございますでしょうか。
○労災管理課長 どうもありがとうございます。私ども事務局としましては、先日の検討会で、費用を負担している事業主の皆様から貴重な御意見をたくさん頂きましたし、この事業の必要性というものもしっかり考えながら、この社復事業が効率的に運営されるようにしっかり務めていきたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございました。そのほかに何か全体を通して、御意見等ありましたらお伺いします、どうでしょうか。大丈夫ですね、よろしいですね。
それでは、本日予定した議題は以上となりますので、部会は終了させていただきます。
次回の日程につきましては事務局より追って連絡させていただきます。本日は閉会とさせていただきます。皆様方お忙しい中お集まりいただきどうもありがとうございました。