第150回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年11月16日(水)10:00~12:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)

議題

  1. (1)第14次労働災害防止計画について
  2. (2)第三管理区分の事業場に対する措置の強化に係る大臣告示内容等について

議事

議事内容
○城内分科会長 定刻となりましたので、ただいまから第150回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は、公益代表委員の原委員、労働者代表委員の佐藤委員が御欠席です。本日は、感染症の防止対策として、対面及びオンラインの併用により開催することとしていますので御承知おきください。
労働者代表に新たに就任いただいた委員の方を紹介いたします。10月31日付けで、小菅委員が退任され、日本労働組合総連合会労働法制局長山脇義光委員が就任されました。山脇委員、一言お願いいたします。
○山脇委員 皆様はじめまして。連合労働法制局長の山協と申します。御指導どうぞよろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
まず、事務局から、オンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 事務局です。オンラインで御出席をされている委員の皆様方に対して、Zoomの操作方法等について御説明をさせていただきます。本日はハウリング防止のため、御発言をなされないときにおいては、マイク機能をオフに設定をよろしくお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、分科会長から指名がありましたらマイクをオンに設定していただいた上で、氏名をおっしゃってから御発言をよろしくお願いいたします。
このほか、進行中にトラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込んでいただく又は事務局にメールにて御連絡をよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○城内分科会長 それでは、議事に入ります。議題(1)「第14次労働災害防止計画」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○調査官 それでは、資料1-1、資料1-2ということで、資料を用意させていただきましたので、そちらに沿って説明させていただきます。
前回、14次労働災害防止計画の方向性ということで御議論いただきました。今回ですが、前回御議論できなかった部分を含めて、前回資料に箇条書き等で書いたもの全てについて、文書の形で準備させていただいたものが資料1-2ということになります。そちらに関連して、補足資料ということで今回、資料1-1を用意させていただきました。計画本文案について今回、それから次回に向けて御議論いただければと考えていますので、よろしくお願いいたします。
では、お手元の資料1-1を御準備ください。こちらの資料は、前回の振り返りも含めて、2ページから書いています。前回、現状の課題を整理させていただいて、分析のまとめと書かせていただいていますが、13次労働災害防止計画で達成が難しかった「転倒」、「動作の反動、無理な動作」、そういったものが相変わらず災害としては多くを占めていて、その背景として60歳以上の労働者の方の割合が増えている状況があるということです。
また、建設業、製造業、陸上貨物運送業等については、死亡災害は減少傾向ですが、業種特有の災害がまだ発生している状況が、特に中小企業の皆様の所での安全衛生対策が遅れているような状況が見られるということ、それからメンタルヘルス対策、化学物質対策等についても、同様に中小企業の取組が遅れているというような状況の中で、13次労働災害防止計画の目標達成も今、困難な状況にあるということです。そういったことも含めまして、それぞれの課題について、14次労働災害防止計画の期間においても対策を進めましょうというようなことで、前回御議論いただいたということと我々は考えています。
その上で、個別の課題に取り組むに当たっても、中小企業のほうで様々な御事情の中で安全衛生対策が遅れているということなのですが、それをやむを得ずとせず、中小企業さんが取り組みやすい支援を進めるべき、具体的には安全衛生に取り組むことが経営や人材確保・育成の観点からもプラスになることの周知等も含めて支援をしながら、結果的には安全衛生を頑張っている会社が社会的に評価されるような、そういった環境整備を図っていくことが大事ではないかというような御議論を頂いたところです。
そういった考え方の下に、前回、重点事項というものを御議論いただいております。前回の資料では、11項目の重点について取組を進めましょうということで、おおむね皆さんから御議論いただいたと思います。計画本文を作る編集の関係で、8項目に整理させていただいていますが、資料1-1の2ページに掲げている8項目、前回でいうところの11項目について計画に盛り込むということで、今回本文案を作らせていただきました。
3ページです。前回の議論の中で、前回以前もそうなのですが、分科会の中で災害の原因分析等、エビデンスをしっかりやってほしいというようなことを縷々御意見いただいていました。そういったことを14次防の中で実現するため、その分析を深く進めるために、指標を細かく立ててはどうかというような御提案を前回させていただきました。
アウトプット指標は、災害防止に向けて事業者のほうで取り組んでいただくものというような指標と考えていまして、その結果として、アウトカム指標として災害が減る等の効果を得るという、逆に言うとアウトカム指標の災害を防止するために、事業者のほうでアウトプット指標に代表されるような安全衛生の取組をやっていただく、そういったような関係を、まず指標として立てて、14次防の中でしっかりウォッチして、アウトプット指標がアウトカム指標につながっているのか、逆に言うとアウトカム指標のいわゆる災害防止に向けて、アウトプットが適当だったのかというところも含めて検証していこうと、そういったような議論を前回させていただいたところで、おおむね皆さんから御賛同いただいたのではないかと思っています。
その上で、こちらの表ですが、アウトプット指標については前回、鈴木委員からアウトプット指標については業種別の災害防止対策も立てたほうが望ましいのではないかということ、またそれぞれの重点に対してアウトプット指標に対応する形で、アウトカム指標を立てておいたほうが望ましいのではないかというような御議論もありました。そういった御意見も踏まえまして、アウトプット指標は前回に出させていただいたものに加えて、業種別の労働災害防止対策の推進ということで、こちらの資料では(エ)の所ですが、陸上貨物運送事業等の荷役作業対策といったものの指標をそれぞれ立てさせていただいたところです。
アウトカム指標についても、それぞれの重点に対して指標を立てるということで、上からの3つですが、行動災害、高齢者の災害、それから外国人労働者の災害防止対策等については、労働災害を減らすという大きな目的なのですが、その指標として千人率というものを加えています。こちらについては、災害件数だけではなく雇用者数もそれぞれ増えているということもありますので、千人率という形でウォッチして、後で分析しやすいような形でウォッチすればどうかということです。それから、転倒災害については、特に高齢者の方が転倒して重篤化するといったところもありますので、そういったけがの程度を測るために平均休業見込日数というものも、千人率と併せてウォッチしてはどうかということで、立てさせていただいています。
業種別の労働災害防止対策についても、こちらは13次防と同じような指標になりますが、死亡者数、死傷者数ということで件数で立ててはどうかということで掲げています。
4ページです。メンタルヘルス対策、過重労働対策についても、健康影響の観点から事業者さんのほうでメンタルヘルス対策、あるいは過重労働も含めた産業保健サービスを充実していただいて、その結果として長時間労働が減る、あるいは労働者のサイドから見てメンタルヘルスの相談ができるようなものが充実するなど、そういったことをアウトカムとして立ててはどうかというふうに考えています。
化学物質、熱中症についても同様な形で、事業者さんの取組に応じて災害件数が減るというような指標を立ててはどうかと考えています。
その結果として、全体としてのアウトカム指標の積上げ、合算したものを全体の指標として立ててはどうかと考えているところです。繰り返しになりますが、今回アウトカム指標を立てた上で、アウトプット指標について事業者にこういったことを取り組んでほしいということをお願いするわけですが、そこについて十分なエビデンスがないというのは確かにおっしゃるとおりで、そういった事業者の災害防止の取組がちゃんと安全衛生につながっているのか、災害防止につながっているかという点を、14次防の期間ではしっかり検証するといったことを強調したいですし、そこをしっかり計画の中に盛り込んでいきたいというふうに考えています。
5ページ以降は補足資料です。転倒災害については、先ほど指標を細かく説明しませんでしたが、千人率でも、年齢階層別、男女ともにというような書き方をしています。5ページの資料にありますように、年齢階層や男女で、同じ千人率であってもかなり差がありますので、実際アウトカム指標として数字を追っていくときには、年齢階層別、男女別にウォッチして分析しやすいような形で指標を拾っていきたいと考えています。
6ページです。先ほど、けがの程度を現す指標として休業見込日数というものを指標の1つの案として掲げました。実際、転倒災害の休業見込日数は今、平均47日となっていまして、先ほど40日という指標を書いていましたが、例えば5%減ったときには40日ぐらいといったような数字の指標であるということで、参考資料として付けています。
7ページも同様なのですが、高齢者の災害の千人率ということで、こちらについても結果としては男女で差がありますから、そういったそれぞれの数字を見ていけばどうかということで御提案させていただいているところです。
資料1-1の最後のページです。こちらは前回の資料の追加の補足資料ということになります。前回、安全衛生に取り組む企業が得られるメリット、あるいは取り組まないことで失うデメリットという資料をいろいろ紹介させていただきました。その補足資料ということになりますが、度数率、災害の発生頻度と、離職率、お仕事をお辞めになる率、こちらを単純に業種別に比較したものということで、こちらのグラフを用意いたしました。必ずしも、災害が多いからそういったものを見て辞めるということではないと思いますが、単純に数字だけを比較すると、災害が多い業種は離職も多いような傾向が見られるということで、1つの参考資料ということで用意したところです。
前置きが長くなりましたが、今回御議論いただきたい資料1-2について御説明したいと思います。お手元に資料1-2を御用意ください。事前に委員の皆様にお配りさせていただいていますので、逐一読み上げることはいたしませんが、幾つか全体の概要だけ御説明いたします。
2ページからが目次ですが、計画の構成自体は13次労働災害防止計画と同じような形で作っております。
まず最初に、1章で計画のねらいということで、計画の全体像や計画の中で取り得る指標を書いています。2章が安全衛生を取り巻く現状と施策の方向性ということで、前々回の13次防の4年目の実績報告、それから前回の課題整理の御議論の内容、こちらから御提出させていただいた各種統計資料、そういったものをまとめたものということになります。
3章の計画の重点事項については、前回お示しした11項目の重点、今回編集いたしまして8項目に整理させていただいていますが、計画期間中はこういったところを重点的に取り組みましょうということで、項目立てをしていて、4章でそれぞれの重点ごとの具体的な取組を書いています。
4ページ以降が実際の計画ということになります。今回、資料の一部に下線を引いている所がありますが、前回いろいろ御議論あったところについて下線を引いています。そこを中心に幾つか御紹介したいと考えています。
4ページですが、まずはじめにということで、次に1の(1)ということで計画のねらい、計画が目指す最終的な到達点を書いています。こちらについて、労側の委員から、前回、中小企業支援のために安全衛生に取り組むメリット、デメリットといったものも併せて説明していこうというお話もあったのですが、とは言え、やはりどんな事情があろうと、何にも増して安全衛生をしっかりやらなくてはいけないという、そこはいろいろな説明の仕方があるのですが、目指すべき姿としてはそこが一番なのだろうというような御意見もありました。そういったことも含めて、目指すべき姿ということで、まず安全衛生が大事だということを書いて、その上で、昨今の事情であるデジタルトランスフォーメーション、それから人に投資することで、最終的には経営にはプラスになるという、そういった考え方も取り入れながら、皆さんが安全に過ごせる社会というものを作っていこうということを書いています。
5ページです。計画期間ということで、来年度から5年間となります。(3)の指標については、先ほどの資料1-1でも抜粋していましたが、アウトプット指標、アウトカム指標を書いています。繰り返しになりますが、アウトプット指標については災害を防止するために、この計画に基づいて進めるために、事業者のほうでやっていただきたいこと、それを実施した結果として、災害が減るといったような事項をアウトカム指標を今回立てているところです。
7ページです。下線を引いている所は、先ほどもお話をさせていただきましたが、今回アウトプット指標、アウトカム指標を立てるのですが、その中身が仮説として正しかったかどうかも含めて、しっかり今回検証するということを書いています。
8ページ、PDCAの計画の評価という所ですが、ここも繰り返しそういった分析をしっかりやるといったようなことを書いています。
2の(1)から、災害分析でして、課題の整理をずっと書いています。この辺りは、前回、前々回お話した内容と重複しますので、割愛をさせていただきます。
16ページまで進んでいただければと思います。前回、御議論いただいた中小企業、いろいろな個別の課題に取り組むのですが、その横軸として中小企業の支援はしっかりやらなくてはいけないということを中心に御議論いただきました。その辺りのことを書かせていただいています。まず、安全衛生は何にも増して大事だということを書いていまして、当然、安全衛生を意図してやらないような会社等については、我々のほうでこれも従来どおり罰則も含めた対策はやらせていただきます。そういった前提の上でということになりますが、事業者が自発的に安全衛生に取り組むような支援を我々がやっていく、その中で事業者にとって安全衛生に取り組むことが経営や人材確保等にプラスになることを周知するといったアプローチで自発的な取組を促して、さらにそういった頑張っている企業が社会的に評価される、そういったものを進めていくということで、前回御議論いただいたような内容を今回の方向性として書いています。その他、助成金が必要であるとか、それから発注サイドの理解や働き掛けも必要であるというような御議論もありましたので、そういったことも今回書かせていただいています。
17ページを御覧ください。計画の重点ということで、前回御議論いただいた11項目をまとめて8項目としましたが、前回御議論いただいた重点項目を全て今回の計画に盛り込みました。
4章以降が具体的な取組ということなのですが、ここで13次労働災害防止計画と若干書きぶりを変えていることがあります。今回、アウトプット指標ということで事業者に安全衛生に取り組んでいただくこと、それからアウトカム指標として災害減少ということで立てていますので、前回の13次防は災害防止計画はというと国の取るべきことを主に書いていたのですが、今回、構成としてアウトプット指標に関連するものとして、事業者の安全衛生の取組、それぞれの課題に対して取り組んでいただきたいことを整理した上で、それに対して国はこんな支援をしますよと、そういったような構成で全体を書いています。
17ページで一部下線を引いている所ですが、安全衛生を頑張っている会社を見える化するような各種制度です。そういった点の周知はこれまでもやってきているわけですが、その安全衛生を頑張っている方が社会的に評価されるという具体的な方策として、取引先や職を求める方など、そういった方に頑張っている企業を見える化してあげるという、そういったような周知先の工夫も進めていければということで、前回御意見があったところを下線を引いています。
4(1)のアというのは中小企業支援についてなのですが、前回いろいろ好事例をなるべく提示したほうがいいなど、好事例についても、単に大企業さんだけではなくて、身の丈に合ったものを示したほうがいいとか、コンサルタントを活用した中小企業への支援がいいとか、そういったような御意見がありました。頂いた御意見については、17ページから18ページに掛けての下線の部分ですが、このように記載いたしました。
18ページのイについては、安全衛生の中小企業支援の1つとして、我々としても、災害防止のいろいろな指導をするに当たっても、それが実際に災害減少につながるのだというエビデンスも含めて、納得があるような形で説明していくことが重要なのだろうといったところで、19ページにつながりますが、我々は災害分析のほうをしっかりやるということで、死傷病報告の申請の在り方の見直し等について今後検討すると書かせていただいています。
それから、19ページですが、安全衛生におけるデジタルトランスファーの推進ということで、中央会様等にも御意見いただきましたが、中小企業全体では今、DX、業務効率化という観点で主に進めているわけですが、安全衛生の中でもそういったデジタル技術を活用したものがありますので、DX全体の流れの中で安全衛生対策を進めていただくよう、我々もいろいろな材料を提供させていただければということです。
(2)以降は、前回お時間がなくて御議論がなかったところではありますが、重点項目ごとの取組ということで、前回の資料としては箇条書きで縷々対策は書かせていただいたものを、改めて文章として記載させていただいております。
19ページの(2)が行動災害の防止対策ということでして、事業者さんのほうに行動災害に基づく転倒防止対策等、取り進めていただく中で、国としてということですが、基本的には転倒防止対策の検討会の内容を進めるということを書いています。その中で幾つか抜粋して計画に書いていますが、前回御議論があった転倒防止の装備等の普及の支援なども、しっかりやらせていただくということで記載しています。
(3)が高年齢労働者の災害防止対策ということで、「エイジフレンドリーガイドライン」に基づき事業者のほうで取り組んでいただいて、行政のほうではその取組を進めるような支援をさせていただくということで書いています。
(4)ですが、多様な働き方の対策ということです。こちらは、前回お出しした資料の箇条書きの部分をそのまま書いています。後で御確認いただければと思います。
21ページの(5)の個人事業者等に対する安全衛生対策の推進ですが、こちらについては今、検討会を正にやっているところでして、先般改正した労働安全衛生法22条に基づく関係省令の施行はしっかりさせていただくとともに、22ページになりますが、個人事業主の安全衛生対策については、安全衛生対策の検討会の内容に従って実施するということで、計画の中に先取りして書いているところです。
(6)の業種別の労働災害防止対策ということで、前回、陸上貨物運送業、建設業、製造業、林業について盛り込むというような御議論を頂きまして、それぞれについて書いているところです。
22ページの陸上貨物運送業では、いわゆる荷主の所での安全衛生対策、荷揚げ、荷下ろしの際の災害防止対策をしっかり国のほうで支援、周知等をやってほしいという話もありましたので、下線を引いている所ですが、そういった内容を書いているところです。
22ページの一番下からイということで、建設業対策です。前回、墜落・転落が割合としては多いということも踏まえて、そういった墜落防止対策を中心に書いています。
23ページ、ウの製造業対策です。こちらについては、はさまれ・巻き込まれが多いということで、そういった防止対策を進めるといったことを書いていまして、国のほうでも、24ページになりますが、より安全な装置ということで国際規格に準ずる形での構造規格等の見直しといったことを書いています。
24ページ、林業対策です。こちらも抜木作業で災害が多いということでして、そちらの災害防止対策ということです。前回、労側の中村委員から、特に発注サイド、それから元請のほうで、下請の安全衛生対策を契約等のいろいろな手段でしっかり見ていくといったことも大事ではないかというような御意見がありました。そういったこともありまして、まずは発注サイドのほうで何ができるかといったことも含めて、しっかり検討するために、林野庁等を含めた連携体制というものを図るということを書いています。
(7)は労働者の健康確保対策です。こちらについては前回、資料で箇条書きで書かせていただいたことを改めて文章として書いています。アはメンタルヘルス対策について、イは過重労働対策です。計画とは別に、過労死等防止対策推進法の中で「過労死等の防止のための対策に関する大綱」というものもありまして、そういったものと連動しながら、安全衛生過重労働対策をしっかり進めさせていただくというようなことを書いています。
産業保健活動の推進については、今やっている検討会等を踏まえた対策の取組を書いているところです。
(8)、26ページですが、化学物質対策ということで、こちらについては先般改正した化学物質規制をしっかり進めるといったような内容、同様に27ページのイになりますが、石綿対策、粉じん対策についても、改正の石綿則等も踏まえてしっかり進めるといったようなことを書いています。
28ページ、ちょっと駆け足になりますが、熱中症、騒音対策については、前回資料として箇条書きでお出ししたものを文章として書いています。
その他、最後ですが、電離放射線ということで、これは法令を遵守してしっかり取り組んでいただくといったようなことを書いています。資料1、計画本文については以上ですので、今回と次回も含めて御議論いただければと思います。
1点説明し忘れていましたが、今回出させていただいた計画案のアウトカム指標、アウトプット指標については、数値がペンディングということで付けていません。今回立てるアウトカム指標は新しく立てる指標でして、現状はまだ分からないという状況があります。そういうこともありまして、今、兵庫の監督署に御協力いただいて、管内の2,000事業場を対象としたアンケート調査をやっています。数が少ないので、統計的な正確な数字というものはなかなか出ないのですが、そういったものも参考にしながら、数字のほうは改めて行政のほうで計算して、次回御提案させていただきたいと思いますので、今回は指標の中身について御議論いただきつつ、具体的な数値については、次回も含めて御議論いただきたいと考えています。説明は以上です。よろしくお願いします。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について、御質問、御意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。また、会場の委員の皆様におかれましては、挙手をお願いいたします。中村委員、お願いします。
○中村(節)委員 中村節雄です。アウトプット指標、アウトカム指標について、2点意見を申し上げます。前回の発言とも重複しますが、まず1点目は、人手不足の中、働き方改革や物価・人件費の上昇などの対応に追われている中小企業に対して、アウトプットの目標達成のために強制力をもって安全衛生対策を講じさせることは、中小企業にその重要性を受け止められず、有効に機能しないことも懸念されます。人材の確保・定着の視点から経営上の効果を丁寧に伝え、安全衛生対策に関する十分な情報提供や支援策を講じながら、アウトプット項目の取組を促していくことが重要であると考えます。
2点目は周知に関してです。今回お示しいただいた案では、指標に定められている事項が多岐にわたっており、かつ、全業種を対象とする指標と特定の業種を対象とする指標があると理解しています。また、業種によって起こりやすい労働災害やその発生原因が異なることから、業種の特性を踏まえた対策と併せて周知することで、企業も具体的なアクションを起こしやすいと考えます。業界団体の支援も頂きながら、業種ごとにどのような対策を行う必要があるのか、丁寧に周知を図っていただきたいと思います。私からは以上です。
○城内分科会長 続いて、会場の中村委員、お願いします。
○中村(恭)委員 労働者側の中村です。よろしくお願いします。私から、質問3点と意見要望を3点発言したいと思います。まず、資料1-1の3ページです。(ア)の作業構造に起因する労働災害防止対策の推進について、アウトカム指標の2つ目に、転倒による平均休業見込日数を40日以下にするとあります。先ほどの御説明で、けがの度合を見るために、ほかの指標とは別に、平均休業見込日数を指標とするという説明があり、その点は理解したのですが、発生率を指標とすることができないのかどうか、また、見込日数ではなくて実績値とすることはできないのかどうか、質問したいと思います。
質問の2点目です。資料1-1の4ページの(オ)の労働者の健康確保対策の推進についてです。その中のアウトカムの指標の中で、週労働時間60時間以上の者の割合を5%以下とするとなっているのですが、これはどちらかというと、アウトカム指標というよりアウトプット指標ではないのかなと思いましたので、質問したいと思います。
質問3点目として、同じくアウトプット指標の中に、「必要な産業保健サービスを提供している事業場の割合を」ということになっているのですが、この必要な産業保健サービスとは何を指しているのか、質問をしたいと思います。
そして、3点ほど意見と要望です。資料1-2の24ページのエの林業対策の(イ)で、「(ア)の達成に向けて国等が取り組むこと」では、前回発言させていただいた趣旨については盛り込んだという説明がありました。ここは更に深掘りする意味で発言したいと思います。例えば、チェーンソーによる伐木等のガイドラインや緊急連絡体制のガイドラインについては周知徹底を図るとなっています。この間も、周知徹底を図るということで取り組んではきていると思うのですが、具体的な実効が伴っていないといったことが実態として否めないと思っています。現在、国や各自治体が事業を発注していますが、その契約に際して、こういったガイドラインがきちんと添付なり盛り込まれていない、周知されていないという実態が、私が調べた限りではありました。ここは、例えば社会的に見て、こういった安全対策を実施している企業がよいということであるならば、総合評価の加点を厚くするだとか、契約の中にガイドラインをしっかり付けて周知徹底を図るといったことが必要だと思っています。最低でも、国や関係自治体が発注する事業については、徹底してやらせるということで関係各省庁が共有を図るべきではないかと思いますので、意見として言わせていただきます。
2つ目が、資料1-2の同じ場所、「林野庁や地方公共団体、労働災害防止団体等と連携し」ということで各関係機関が連携した取組を行うとなっています。これはこれでよろしいと思うのですが、ただ、一人親方問題でも明らかになっていると思うのですが、事業体や各都道府県レベルで、個人事業主を含めて林業に従事している者がどれだけいるのか、それが把握されていない実態があります。きちんと把握しないと、対策の実効性や対策の入口は、なかなか見えてこないのではないかと思っています。これでは周知徹底をはかることは難しいと思っておりますので、きちんと把握をするべきということを意見として申し上げたいと思います。
最後3点目です。資料1-2の18ページの下から5行目、「国自らの安全衛生に係る施策を様々な機会を通じて積極的に周知」、「国の職員の指導力の向上を図る」と書いてあります。これはこれでいいとは思うのですが、ただ、この間も私から意見として申し上げているとおり、林業の安全対策でいうと一番課題となっているのが伐木作業、伐倒です。これについての指導力としては、実地訓練なり実地教育などをきちんとやって、各事業体に周知を図っていく、安全教育を行うということが有効だと思います。それをやることができるのは労働災害防止団体だと思っております。労働災害防止団体は地方段階で温度差があることも聞いているところ。中央がしっかりと指導力を発揮して、地方で安全教育、安全訓練等を行っていただき、それを全国的に広げる取組というのが重要ではないのかと思っておりますので、意見として言わせていただきました。私からは以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。出口委員、お願いします。
○出口委員 出口です。私からは、資料1-2の6ページの(カ)の化学物質等による健康障害防止対策の推進の内容についてお伺いします。危険性又は有害性等を有するとされる全ての化学物質について、ラベル表示、安全データシートの交付、リスクアセスメントを行っている事業場の割合を、2027年までにそれぞれ80%以上とするとなっております。リスクアセスメント対象物以外の目標が80%ならばよいのですが、リスクアセスメント対象物に関しても同率となっております。こちらの目標数値を80%とした理由についてお伺いしたいと思います。これは確認です。そして、令和3年の実績が、対象物以外の物質を含んだ結果が、ラベル表示が69.9%、SDS交付が77.9%、リスクアセスメントを実施している割合が66.2%と結果が記載されています。こちらの対象物と対象物以外の内訳の数値をが分かればお伺いします。これも確認です。
また、2023年4月から、リスクアセスメント対象物にばく露される程度を最小限にしなければならない法律が施行されます。2024年4月からは、濃度基準値設定物質は、労働者がばく露される程度を、濃度基準値以下としなければなりません。現在、化学物質管理に係る検討会で濃度基準値決定に向けて検討が進められておりますが、検討会の内容を見ていますと、事業者責任になる期限だけが迫っている状況であると感じます。化学物質製造業者へのラベル表示、SDS交付の徹底及びSDSシート、取扱説明書に濃度基準値の記載や使用する保護具の種類の記載を徹底させてしていただきたいです。これは要望になります。
製品化された化学物質を取り扱う事業者への義務付けは、その後に行うべきではないでしょうか。第13次防の目標達成状況の確認の際にもお願いしてきましたが、SDS交付率は、増えていない状況です。やはり製造者側の協力がなければ、使用する事業者だけでは、自律的管理は到底できないのではないでしょうか。この点については御配慮をお願いします。
そして、資料1-2の16ページ、(5)事業者が自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発の重要性です。こちらについては、下線の部分ですが、誰もが安全で健康に働くためには、いかなる経営状況であろうという記載がありますが、冒頭でも、こちらの御説明があった際には、いかなる状況でもとは、どのような経営状況を特定されたのか確認させていただきます。また、その下に進みますと、ポツの1つ目で「労働災害の発生件数・割合、死亡者数等」、「労働災害による損失時間」など人的投資の可視化による事業者自らの情報開示」で記載が止まっておりますが、こちらに関しては、情報を開示した後、開示内容が社会的に評価される仕組みを、是非具体的な内容となるように協議、検討していただくようにお願いいたします。そして、ポツの2つ目に関しては、「安全衛生対策に取り組む事業者を国が認定する取組等を通じて、民間の商取引」となっておりますが、先ほども御意見がありましたように、こちらに関しては、やはり民間だけではなく、官民の取引、こういう形で官民の取引についても事業者が優先的に選ばれるという仕組みを協議していただきたいです。
最後に、その下の下線の部分の、「中小事業者が様々な事情を抱える中で、自社の安全衛生対策に優先して取り組むためには、安全衛生対策に係る費用を助成することは有効と考えられる」と、こちらに関しては我々も有効と考えておりますので、予算付けをしていただき実施をしていただくようにお願いいたします。こちらに関しては要望です。以上です。
○城内分科会長 続いて、山口委員、お願いします。
○山口委員 山口です。私は公益の立場から総論的なコメントをお話したいと思います。例えば、これは本当に1例として申し上げるのですが、資料1-1の4ページ、アウトプット指標とアウトカム指標の関係について申し上げたいのです。例えば、4ページの上に、(オ)労働者の健康確保対策の推進とあって、メンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合を2027年までに何%以上とすると、あるいは50人未満の小規模事業場におけるストレスチェック実施の割合を50%以上とするうんぬんとあって、これはアウトプットでして、アウトカムのほうは、長時間労働者の割合を減らすとか外部の相談体制うんぬんと書かれているのですが、このアウトプット指標とアウトカム指標がどのように結び付くのかということを厳密に議論をしていただかないと、効果的な対策にならないのではないかと思います。例えば、小規模事業場でストレスチェックを実施すると、どういうメカニズムで何がどう良くなるのかということを、仮説レベルで結構ですから、こうなるはずだということをきちんと書き込んでいただきたいのです。
ただ、もしかしたらストレスチェックを実施している所は、もともとはストレスチェックを実施することが原因で結果的に労働時間が短くなっているのではなくて、そういう取組を行っている優良な事業場だから、労働時間も短くなってくるし、ストレスチェックも実施しているみたいなことで、因果関係ではないかもしれない、その辺も含めて、仮説で結構ですから、アウトプットとアウトカムの関係を厳密に議論をしていただきたいのです。それをやらないと、また同じことに、同じことというのは、要するにこれまでもいろいろ計画をするのだけれど結果は出てこないみたいな、そういうことの繰り返しになってしまう懸念があると考えますので、是非よろしくお願いします。以上です。
○城内分科会長 続きまして、勝野委員、お願いします。
○勝野委員 御説明ありがとうございました。私は、前回の会議を欠席しまして、論議に参加できず申し訳ありませんでした。資料1-2の計画案の項目の中で2点要望を申し上げたいと思います。
28ページの石綿、粉じんによる健康障害防止対策の中で、28ページの上段の2つ目のポツに「解体・改修工事発注者による取組を強化するため、関係省庁との連携や発注者の配慮義務にかかる周知」という点が記載されております。ここの部分については、私ども建設に携わる者として非常に重要なところだと思っております。特に個人住宅のリフォーム工事に関しては、非常に少額の工事が多いため、事前調査への理解がかなり難しいという声が現場の施工者から上がってきております。施主である消費者に、事前調査に関して説明をして適正に行うという話をした場合、「そういったことであれば、あなたではなくて、ほかの業者に頼みますよ」というように、断られるケースが実際に出ているという報告もあります。そうした点から、取り分け石綿の事前調査の件も含めて、安全対策全体に関わる消費者に対する周知と理解の徹底をお願いしたいと思っています。
もう1点は、熱中症対策についてです。特に入職間もない方の熱中症による死亡者が8人出ています。そのうち6人が建設業であったという調査結果も聞いているところです。そうした点からも、特に熱中症に対する安全教育については、強化を徹底していただきたい、検討していただきたいと思っております。以上です。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 続きまして、門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 御説明ありがとうございました。私からは資料1-2の4ページ以降、計画のねらいの(1)計画が目指す社会についてです。5ページの「また」から始まる段落では、経営戦略といった観点が記載されるなど、事業者側のメリットが挙げられていると感じます。また、本文中の他の箇所でも、同様の表現が随所に見られています。事業者側のメリットに注目し、取組を促すことで、結果として労働者の安全と健康を確保することにつながるのであれば、考え方として理解はできますけれども、そもそも安衛法の3条では、事業者に労働者の安全確保、健康確保をすることが責務とされています。こうした基本的責務を強調することが抜け落ち、事業者にとって聞こえの良い言葉のみが強調されるようなことはあってはならないと考えます。業態や企業規模にかかわらず、法制度の遵守が大前提であり、結果としてそのことが評価され、企業価値の向上につながっていくというのが本来の姿だと考えます。
次に4ページの最後の段落です。AIやウェアラブル端末などの活用が記載されています。これらによって、労働者の安全確保、健康確保につながっていくというのであれば望ましいと考えますが、その活用に当たっては、プライバシーや個人情報保護の観点を含め、労使双方の視点から、有用性をしっかりと評価した上で活用を図っていくことが必要だと考えます。
また、これまでの分科会での審議を踏まえ、個別の論点においては、小規模事業場への取組について記載していただいているところです。本労災防止計画の主要テーマの1つが、小規模事業場における労災防止にあることが分かるような記載に工夫をするべきではないでしょうか。
そして、もう1点、資料1-2の19ページ以降、(2)労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進についてです。転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会においては、今年9月末に中間整理が行われたところですが、転倒・腰痛の労災防止においては、安全衛生対策への事業場の意識改革も進めつつ、それぞれの事業場において安全衛生委員会を開催して、現場の労働災害を減らす取組を進めていくことが大切だと考えます。
20ページのイ、国等が取り組むことについては、この検討会の中間整理を一部抜粋して記載されているところですけれども、どのような基準で記載されているのかを伺いたいと思います。他の産業保健や個人事業者の検討会とは異なって、この検討会は一定の前進がある検討会でもありますので、中間整理について、もう少し網羅的に記載することも選択肢ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、「骨密度・「ロコモ度」・視力等の転倒災害の発生リスクの「見える化」」とあります。見える化した結果は、安全に配慮した職場環境の整備や災害防止に資する機器等の普及につなげていくことが重要であり、災害発生リスクが高い労働者を職場から排除することにはならないように留意していく必要があることを申し述べさせていただきます。私からは以上です。
○城内分科会長 続きまして、及川委員、お願いいたします。
○及川委員 中央会の及川です。まず、労働安全衛生におけるDXの推進について、詳しく書き込んでいただいたことについて御礼申し上げます。全体的に書き込みがされて、大変網羅的になったかと思っております。
私ども中央会も事業者団体として、これからこの計画に基づいて実際に中小企業の周知をしていきますけれども、先ほど他の委員からもあったように、公共調達のランクアップといった、細かいインセンティブが効く周知をしていく必要があると思っています。例えば、新規事業をやろうと思ったときの融資の相談とか、これから開業あるいは新卒を採用しようといったとき、スタートアップ事業者に対して融資をするときに、今回の第14次の防止計画が、しっかり融資計画に織り込めるような形が望ましいと思っています。是非、金融庁等の関係機関とも連携を取っていただいて、裾野の広い中小企業に対して、実効性のある計画が推進されることを希望しております。
計画の中の4ページ、はじめにの最後の段落で、「このような状況を踏まえ」ということで、今後5年間という書き込みがあります。5年間にわたってやっていくのは、このとおりだと思いますし、現在もやっていらっしゃると思いますが、是非1年ごと、あるいは2年と3年の間の中間的なところで、しっかりPDCAを回していただいて、5年後にこの計画が目標どおり達成できるように努力するという、もし御検討いただければ、そういったPDCAの観点も必要かと思っています。
また、18ページですが、今回の計画が国の計画だということもあるのかもしれませんけれども、このページの最後のアンダーラインを引いていただいた所に、「国自らの安全衛生に係る」、「国の職員の指導力の向上」というのがありますが、中小企業から見ますと、一番身近な行政機関というのは地公体です。県市町村ということなので、この計画の性格があるのかもしれませんが、地公体の観点も入れていただいたほうが、中小企業の立場からすると大変有り難いと思っております。以上です。
○城内分科会長 続きまして、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。私からは3点申し上げたいと思います。まず、総論的な内容です。今回、エビデンスベースの政策立案を念頭に置いた計画作りを志向しておられる点は大変良いと思いますし、賛成いたします。ただし、先ほど山口先生から御指摘のあったアウトプット指標とアウトカム指標の因果関係の分析、特にアウトプット指標の有効性の検証は大変重要だと考えております。したがって、計画期間終了後の検証に当たっては、場合によっては予算を付けて専門家による多角的な効果検証を御検討いただきたいと思います。これが1点目です。
2点目ですが、資料1-2の15ページの3行目に過重労働防止対策関係があります。この辺は、対策の必要性を含めて記載をする箇所と認識しています。その次の産業保健活動関係の中に記載のある治療と仕事の両立支援は、取り組むべき課題だということは認識しているのですが、前回も申し上げたとおり、労働災害の防止という観点からは、やはりサブに位置付けるべきテーマだと考えます。このように考えますと、それに比べて過重労働防止対策関係の記述が少々淡泊過ぎるのではないでしょうか。例えば、メンタルヘルス対策関連の中に精神障害等による労災認定に関する記述がありますが、このようなことにも触れていただくなど、過重労働防止対策の必要性が伝わるように追記をお願いしたいと思います。
3点目が16ページの(5)事業者が自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発の重要性です。先ほど来、他の委員からもこの関係で御発言がありました。安全衛生対策を一層進めるためには、消費者・サービス利用者の理解と協力が必要ということは私も理解できますし、このような記載を入れることに違和感はありません。ただし、消費者・サービス利用者への理解を求める趣旨にしては、表現が若干不適切ではないかという思いに加えて、事業者と並列して書かれている点が気になります。
具体的に申し上げますと、第1に、勝野委員からも御指摘がありましたが、消費者・サービス利用者の行動変容を促すために、例えば16ページに書いてあるようなことや、安全衛生対策にはコストが掛かるということなど、なぜ協力が必要になるのかを丁寧に、イメージを持ってもらえるような記載があったほうがよいのではないかと思います。
第2に、事業者・発注者というのは、御案内のとおり配慮義務を含めて法令上の位置付けも明確ですが、消費者・サービス利用者というのは、安全衛生対策の責任を負うという表現まで使うコンセンサスは得られていないのではないかと思っております。労働者については、後ろのほうで「協力」というような表現も出てきますので、「協力」や「役割」など、表現の再考をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○城内分科会長 続きまして、増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。アウトプット指標についてお伺いしたいと思います。種々のガイドラインに記載の内容の取組の実施率が目標として示されていますが、ガイドラインに掲載されている項目は、全ての実施が求められるのでしょうか。何をどこまで実施すればよいという想定なのかを確認させていただければと思います。
例えば、エイジフレンドリーガイドラインなどには、高年齢労働者の就労支援のための施策として素晴らしいものが掲載されていますが、労災防止という観点からは慎重に行うべきものもあるように思っています。例えば、熱中症の初期症状を把握するウェアラブルデバイスの利用といった内容がありますが、あれは高年齢労働者に無理をさせる、熱中症ギリギリまで仕事をさせるということにもつながりかねません。就労の機会を求める労働者には良いものと考えますが、労災の未然防止という観点では、また違った評価になるものも含まれると思いますので、種々のガイドライン全てやればいいのかどうか、全ての実施を求めるのではなく、労災防止という観点で有益なものに絞って推進し、実施率について評価を行うようにする必要があると考えております。
あとは瑣末な点ですが、資料1-1の3ページの(ア)で、転倒災害防止対策のアウトカム指標が平均休業見込日数となっています。見込みのほうを用いる理由について、個人的には理解しているつもりではおりますが、改めて確認させていただけたらと思います。
同じく資料1-1の4ページですが、こちらは山口委員、鈴木委員からも御指摘があったように、やはりアウトプット指標とアウトカム指標との関連性が、やや不明瞭かと思いますので、ちゃんと対応しているものかどうかということ、あと、資料1-2のほうで見ますと、どれとどれが対応しているかが分かりにくいかと思いましたので、一覧表を付けるか、書き方に少し工夫をしていただけたらと思っております。
あと、もう1点意見なのですが、労災防止に余り関係のないものも含まれていると思いました。例えば19ページに、「労働安全衛生法に基づく申請等について、電子申請を活用する」とあります。これはこれで進めていただくべきものであるとは思うのですが、果たして労災防止に関係があるのか。全体的にもう一度見直しをしていただければと思います。以上です。
○城内分科会長 水島委員、お願いいたします。
○水島委員 資料1-2の4ページ、「計画が目指す社会」について、13次防から記述を大きく変更されていますが、事業者以外にも、安全衛生対策についての自身の責任、ここは役割と言ったほうがいいのかもしれませんが、責任や役割を認識するように明確にしている点や、ポスト・コロナ社会やDX、VRなど、この5年間の変化や進展を踏まえている点も非常に適切と考えます。また、ウェルビーイングの確保も重要と考えます。ただ、先ほど門﨑委員も指摘されていましたが、聞こえの良い言葉が並んでいる印象も受けました。
ウェルビーイングについて意見を述べます。ウェルビーイングの内容は多様であり、SDGsの定義に限られるものではありません。また、SDGsの定義は、この安全衛生に完全には適合していないようにも思います。ウェルビーイングの確保の重要性は言うまでもありませんが、労働災害防止計画ですので、「ウェルビーイングの確保」という文言に替えて、13次防で使用されていた「労働者の安全と健康の確保」という文言を用いるほうが、計画のねらいがストレートに伝わるように考えます。御検討いただけますと幸いです。以上です。
○城内分科会長 続きまして、袈裟丸委員、お願いいたします。
○袈裟丸委員 御説明ありがとうございました。私からは3、4点あります。まず、24ページの製造業対策で国が取り組むところです。第13次防計画の中では、安全投資を促進するインセンティブを高める検討をするという文言があったと記憶しています。ここの1点目のボイラー構造規格等、より安全基準を高めるための見直しをするときには、場合によっては構造規格が変わって、機械の代替が進むということもありますが、代替を促進するためのインセンティブについての記載は今回は見当たりません。13次防で終わりということでしょうか。そうであれば、要望としては、特に中小企業などの負担を考えれば、そういった支援を引き続き盛り込んでいただきたいというのが1点目です。
2点目が、(7)労働者の健康確保対策の推進のメンタルヘルスと過重労働のところです。まず、メンタルヘルス対策の25ページ、国等が取り組むことですが、先ほど門﨑委員からもありましたが、小規模事業場における取組がメンタルヘルスにおいても重要な課題だと認識しております。その点については、14ページで引用されている調査結果からも明らかだと思います。また、厚労省のストレスチェック制度の効果検証に係る調査等事業における調査結果から見ますと、2021年度のストレスチェック実施率は、50人未満事業場は37.8%ですが、このうち50人未満の単独の事業場、つまり企業規模も50人未満の所では7.5%に過ぎないことが示されております。
現在、産業保健の在り方検討会でも既に議論が始まっていると認識しておりますが、小規模事業場における産業保健活動の効果的な推進が、これまで以上に重要性を増していることも踏まえたら、自力での追加措置が困難な中小企業に対しては、国として必要な対策を行って、中小事業場における労災発生率をいかに低減させていくかという、その具現化が極めて重要になってくると考えております。そうした観点から、マンパワーや、いろいろなリソースの問題はあるかと思いますけれども、国として中小企業からの相談を待つのではなくて、積極的に働き掛けていくアウトリーチ型の支援も強化していくべきではないかと考えております。
次に、同じページの過重労働対策についてです。こちらの(ア)の事業者の取組で、時間外・休日労働時間を削減するということが記載されております。過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置においては、そのほかにも、年次有休休暇の取得促進や労働時間等の設定の改善、労働者の健康管理に係る措置の徹底といったことも求められておりますので、これらについても記載すべきではないかと考えます。
また、今年1月には医師の労働時間短縮等に関する指針が策定されたほか、間もなく改善基準告示が取りまとめられる見込みとなっております。それぞれに課題は残るものの、医師及び自動車運転者の健康障害防止に向けた一歩だと受け止めております。ですから、(イ)の国等が取り組むことには、医師の労働時間短縮等に関する指針を加えるとともに、改善基準告示についても、改定されれば、最新のものに差し替えていくなど、必要な指針について遺漏なきよう記載をしていただくことをお願いしたいと思います。以上です。
○城内分科会長 続きまして、山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 まず、資料1-1について、既に他の委員から御指摘いただいているとおり、アウトプット指標とアウトカム指標の因果関係をより明確にしていく必要があるだろうと思っております。
その上で、5ページ目の「転倒」の場合の死傷年千人率についてですが、左上の矢印以降に「全ての年齢層で「転倒」の死傷年千人率を2021年の水準から増大させない」という目標が設定されており、右側のなお書きには、「今後、高年齢労働者は更なる増加が見込まれることから、目標を達成したとしても増加が見込まれる」と記載されています。例えば死傷者数そのものを増大させないという目標ならともかく、年齢階層別の年千人率を目標とするならば、全ての階層が高齢化の影響を受けるということではありませんし、またアウトプット指標に示されている各施策が有効に機能したならば、当然一定の削減が見込まれるべきだと思いますので、年千人率を取る場合には、これ以上増やさないといった消極的な目標ではなくて、具体的な削減目標を示すことが必要なのではないかと考えております。
削減目標を立て、仮にそれを達成できなかったとしてもそこにはできなかった理由があると思うので、原因分析も含めてしっかり示していくことが重要だと思います。過去を見れば、景気が良いときは初職で入職される方も増えるため事故が多くなるというのは、経験則から分かっていることです。なぜという分析を行い、達成できなかった理由が明確なら、それはそれで説明できると思いますので、プロセスの評価を行うことを含めて、しっかり評価するという共通認識に立った上で、一定の削減目標を立てていくということが、労災防止計画として重要なのではないかと考えています。
「転倒」の他にも、3ページを見ていただくと同様に、現状の水準から下回るという趣旨の表現が幾つか見られます。これらについても、具体的な引下げに向けた数値目標を示し取り組んでいくことが必要ではないかと考えています。
2点目からは14次防本文です。資料1-2の4ページを見ていただければと思います。「計画が目指す社会」という中で、「誰もが安全で健康に働けるためには」という一番最初の書き出しの所ですが、門崎委員からも発言がありましたように、法の3条に書かれているとおり、事業者には、労働者の健康と安全を確保する義務が課されておりますので、そのことが大前提なのだということを、しっかりこの計画の中でも盛り込んでいくということが必要だと考えております。
それから15ページの過重労働対策についてですが、鈴木委員の御指摘のとおり拡充が必要だと思います。記載が淡泊過ぎるかなと思いますし、ペンディングというような形になっておりますので、これから拡充されるという前提かと思いますけれども、自殺総合対策大綱も今年改定されていますので、同様に記述をするということも選択肢かと思いますので、御検討いただけないでしょうか。
最後、8ページに戻っていただきまして、計画の評価と見直しについてです。1段落目の後半のほうで、「また、必要に応じ、計画を見直す」という記載がされております。先ほども話に出ておりましたけれども、今現在、足下で3つの検討会が開催されていると思います。転倒防止・腰痛予防対策の在り方に関する検討会については中間整理が出されており、この14次防にも考え方が盛り込まれているところですが、産業保健と個人事業者の検討会については、まだ中間整理等のとりまとめにも至っていないので、本計画への反映というのは限定的ならざるを得ないということは理解するところです。それぞれ表現上は、検討するという形で記載されているところだと思いますが、一方で、この2つの産業保健、個人事業者の問題というのは、この5年間を見据えた場合にかなり大きな問題だと考えます。検討会の取りまとめ、あるいは本分科会での議論を経た後、必要に応じて14次防に反映していくことが望ましいと考えておりますが、具体的に見直しを行うのかどうか、この本分科会に諮られるという認識でいいのかどうか、この点を確認させていただきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 続きまして、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 私からは、資料1-2の16ページの(5)について発言をさせていただきます。第14次防の重点事項の1番目に書かれている「自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発」というところですが、13次防の結果、あるいはこの間の調査結果等を見ても、中小事業場における安全衛生対策の取り組みが遅れているという状況は紛れもない事実であると思います。人材や資金面で限りがある中小企業に対して、安衛対策をすることが経営上のメリットにもなるということを提示し、周知していくことで、社会的に評価される仕組みを入れていく、その環境整備をしていくことは非常に重要なことだと思っています。
一方で、適切な対策を講じるためには当然、一定の経費、費用が掛かるということも事実でありまして、中小事業者については、その余裕がなかなかないという実情もあるということは理解するわけですが、だからやらないとか、だからできない、ということでは労災はいつまでたっても減らないということになろうかと思います。まずは、安全対策を講じるために一定の経費が掛かる、それは必要経費である、ということを改めて広く周知し、安全経費をきちんと確保しているかどうかの指導、監督をしていくことが不可欠です。それを図った上で、きちんと取り組んでいる事業者を評価していく仕組みや費用の助成措置等について、前向きに御検討いただきたいということを、私から意見として発言をさせていただきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。たくさんの御質問を頂きましたので、事務局からお願いいたします。
○調査官 様々な御意見ありがとうございました。頂いた御意見、具体的な書きぶりなどにつきましては、全体のバランスを見ながら改めて事務局のほうで考えさせていただいて、次回に反映した形で御提示させていただければと考えております。
出口委員から、指標について、法的義務の部分も含んでいるのですかという御質問がありました。基本的には、法的義務の部分はやって当たり前というか、当然100%やらなければいけないということもありますので、それ以外の部分というように整理はさせていただいております。書きぶりが明確ではない所については考えさせていただきたいと思います。その上で、出口委員のほうからありました令和3年の統計の内訳につきましては、手元に資料がありませんので、また後ほど御報告したいと思っています。
それから、中村委員のほうから、個別の指標の所は、それぞれの担当から御回答させていただきますが、1点、労働時間の削減がアウトプット指標なのかアウトカム指標なのかという御質問を頂きました。今回の整理としては、事業者の安全衛生の取組をアウトプット指標として、その結果として災害が減る、あるいは労働者のほうでいろいろなサービスが受けられるといったようなところをアウトカム指標というようにしました。労働時間管理はどちらが主なのかというと、当然事業者のほうが主ということにはなるのですが、一方で、労働者が実際いろいろな事情の中で、結果として働いてしまっているというところの実態も考えると、アウトカム指標というように今回は整理したほうがいいのかなということで、今回こういう形でさせていただきました。この辺は御議論がありましたら、また整理したいと考えております。
門﨑委員のほうから、検討会でいろいろなものがまとまった上で、計画を見直すのですかという点につきましては、今、書いている計画の書きぶりに従って検討会の内容を進めるということであれば、計画の見直しはないのですけれども、計画の内容そのものが、計画のほかの部分にいろいろ反映する等がありましたら、それは当然、計画の見直しが必要になりますので、実績の報告等と併せて、改めてそういったことが生じましたら、分科会のほうに御相談させていただきたいと考えております。
あと、転倒災害のほうの書きぶりですが、全部書くべきかどうかというところについては、全体のボリュームで抜粋した形にさせていただいておりますが、どちらが正解ということではないと思いますので、委員の皆様の御意見を踏まえて検討したいと考えております。では、個別の質問について回答させていただきます。
○産業保健支援室長 先に私、産業保健支援室からお答えさせていただきます。何人かの委員の方々から、アウトプット指標とアウトカム指標が1対1対応になっていないのではないかとか、そもそもこのアウトプット指標でこのアウトカム指標につながるのかという御指摘を頂いております。今日、お示しさせていただいているこの指標の案もたたき台ということでお示ししておりますけれども、御指摘いただいたとおり、例えばアウトプット指標でメンタルヘルスで書いている内容ですが、メンタルヘルス対策の取組状況とか、ストレスチェックの状況の目指すところは、メンタルヘルス不調者の防止、減少ということではあるのですが、労働災害と違って、メンタルヘルス不調者やメンタルヘルスの障害があった方を網羅的に把握するということが非常に難しいので、現実としてアウトカム指標を何に設定するのかというのはなかなか悩ましいところではあります。ですので、こういうメンタルヘルス対策を講じた結果として何を見ていくのかということですが、今、案として出させていただいているのは、労働者側から見たときに対応していただけるような体制があるかどうかというところで、案として出させていただいているのですけれども、何が妥当なのかというのは、この検討会の委員の方々からの御意見も踏まえながら考えていきたい、これで絶対ということではありませんので、御意見を踏まえながら考えていきたいと思っております。
もう1つ、過重労働のことでも御指摘いただいたのですけれども、過重労働対策のほうは法令での義務という形になっているのが基本かなと思っておりますので、その結果として、過重労働する方が減っていくというところのアウトカム指標だけ、今のところは設定させていただいている整理にしております。ここも御議論いただければと思っておりますけれども、そういう考え方で設定させていただいているということです。
もう1つは、同じく御指摘いただきました必要な産業保健サービスを提供しているという指標については、次回、具体的にどういうものが含まれるのかということはお示ししたいと思います。この結果も、目指すところは、その業務によって疾病になる方を減らすというところではあるのですが、これも同じように、網羅的にどう把握するのかという難しいところがあって、なかなかアウトカム指標が設定しにくいという事情があります。私からの説明は以上です。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長でございます。出口委員から御質問のありました点につきまして回答させていただきます。ラベルSDSとかリスクアセスメントの実績について、努力義務になっているもの、義務になっているものはどうなっているのかという御質問ですが、ラベルにつきましては、2021年の実績としまして、努力義務のほうが69.9%、義務となっているものが66.3%です。SDSの交付につきましては、努力義務となっているものは77.9%、義務となっているものが74.5%です。リスクアセスメントにつきましては、努力義務が66.2%、義務となっているものが71.8%です。義務となっているものが低い項目もありますけれども、こちらは現在、義務対象物質を徐々に増やしている状態でして、そういったものの対応が追い付いていないという状態ではありますが、もちろんこちらにつきましては、当然100%を目指すということです。80%にしている理由につきましては、先ほど申しました数字で分かりますように、努力義務が80%まで現在は届いていないということですので、現実的な数字として80%ということです。
先ほど、樋口からも御説明がありましたが、ラベルSDS、リスクアセスメントにつきましては今後義務化を進めていく予定ですが、順次追加していくことになっておりまして、また順次追加してからも、経過措置を2年間程度置くということで、14次防の期間中につきましては、努力義務物質が相当残っているということですので、今回の指標につきましては努力義務を対象として80%ということを設定していく予定です。
それから、SDSの交付率が増えていないのではないかという御指摘がありましたが、SDSについては、努力義務となっているものが、2017年が62.6であったものが77.9、それから義務については、2017年実績で69.1であったものが、2021年で74.5ということですので、伸びてはおります。ただ、もちろん御指摘のとおり、なぜ100%ではないのだと言われると、全くそのとおりなのですが、我々もこちらにつきましては非常に重要な問題と捉えておりますので、こちらの徹底については引き続きやっていきたいと思っております。
また、濃度基準値や保護具の記載を徹底すべきという御指摘もありましたが、こちらは今回の5月の新たな規制の見直しの改正によりまして、SDSにつきましては使用上の注意というのを書き込むことを義務化しております。ここに何を書くのかということについては、JISなどに現在規制がありまして、今回JISの見直しを行う予定ですので、そういった中でもうちょっと詳しい規制をしていくという趣旨で考えているところです。以上です。
○安全課長 それでは、安全課長から、御質問を頂いた点、御意見について御回答申し上げたいと思います。まず、林業の安全対策で、中村委員から御指摘ありました点につきましては、労働災害の発生率を出すべきだと、実績値を出すべきだというお話につきましては、千人率をもって測っていきたいと思っています。それから、実績につきましては、データも含めて実施状況をきちんと確認してまいりたいと考えております。それから、一人親方も含めた林業従事者の把握につきましても、把握方法を検討しつつ、きちんと把握できるようにしたいと考えております。それから、国や自治体の契約にガイドラインが盛り込まれていないなどの話につきましては、発注者との連携の中で、国レベルですと林野庁、それから自治体レベルですと都道府県労働局が、それぞれ発注者と連携する中で働き掛けを行っていきたいと考えているところです。それから、国の職員の指導力の向上の関係では、林災防の重要性を御指摘いただきまして、ありがとうございます。林災防の本部ともしっかり連携して、指導力の向上にも努めてまいりたいと考えております。
次に、門﨑委員から転倒災害の防止の記述の関係で、樋口の方からも抜粋して書いているという説明がありましたけれども、考え方については、他の箇所にも書いてあるようなものは除いております。それから、類似した内容がありますので、そういうものは代表できるものを残しているということで、抜粋という形にしておりますけれども、その整理については、また検討して、何を書くかについて精査させていただければと考えております。
増田委員の御指摘で、ガイドラインの内容に、労働災害防止の観点から高齢者に無理させるというようなものまで含まれているのではないかと、どこまでやらせるかという御指摘がありました。エイジフレンドリーガイドラインに諸々記載しておりますけれども、そのような取組指標の在り方については、どこまでやるかという委員の御指摘を踏まえて、十分に検討してまいりたいと思います。DXというのは、当然のことながら労働者の健康、安全を確保のために、道具として、ツールとして入れるものでして、それが労働強化や負担増につながるべきものではないと考えております。
それから、転倒の見込日数について、指標の関係で、アウトカム指標で見込日数にした理由ということですけれども、労働者死傷病報告には災害の程度を速やかに把握するという趣旨から、休業見込日数を書いて提出いただいているということでして、実際、例えば労災保険で休業保障給付データから休業日数を抽出するという方法も考えられるのですけれども、まだそのようなデータ抽出ができるような仕組みにはなっておりませんので、今後の課題と考えております。引き続き検討してまいりたいと思います。
労働災害防止に関係の薄い記述があるのではないかということで、電子申請の御指摘がありましたけれども、労働者死傷病報告の電子申請によりまして、よりデータを適切に詳細に分析することができるようになると考えておりまして、これはエビデンスに基づく政策を進める上で必要不可欠であると考えておりますので、我々としては非常に重要、大事なものだと考えておりますので、御理解いただければ有り難いと思っております。
袈裟丸委員から、安全投資へのインセンティブということで、構造規格の改正があると機械の代替が必要になってきて、そのインセンティブは大事ではないかという御指摘で、13次防計画に入っていたけれども今回はないということですが、一般論として前の災防計画に書いてあったから、次の災防計画に入っていないから終わりというものではなく、中小企業への支援というのは引き続き大変重要なものだと考えておりますので、そこの書き方などは工夫できればと思っております。
山脇委員からの高年齢労働者の被災の千人率のところ、増大させないということで、具体的な数値目標が必要ではないかという御指摘については、目標としては、一応増大させない数字というのが数値目標であるのですけれども、そこについてプロセスも含めてしっかり検証するのが大事だというのは非常に重要な御指摘ですので、どういう書きぶりにできるかは検討したいと思います。取りあえず以上ですが、抜けていることがありましたら御指摘いただければと思います。
○産業保健支援室長 先ほど、1点漏れていたのですけれども、過重労働対策の記載が非常に薄いのではないかという御指摘を頂きまして、ここは検討したいと思いますのと、あと、対策の方でも医師の働き方改革を書くべきなのではないかという御指摘もありましたので、これは担当している労働条件政策課とも相談しながら検討したいと思っております。
○調査官 私も幾つかの御質問について回答が漏れていたところがありましたので、追加で回答させていただきます。
出口委員のほうから、前回の説明の中で経営状況によらず安全衛生が大事だという話もさせていただいての確認ということでした。こちらは、先ほども御議論ありましたように、労働安全衛生法の中でそういった位置付けがされており、大変大事であるという話をさせていただいたところです。それも含めて、様々御議論いただきましたので、全体の書きぶりについては、また検討させていただきたいと思います。
それから、先ほど安全課長からもありましたが、増田委員のガイドラインについてはどこまで拾うのかといったことにつきましては、ガイドラインはいろいろな、ケースバイケースで書いておりまして、網羅的にというよりは、そういったガイドラインを意識していただいて、各会社の経営状況等を踏まえながら1つでも2つでもやっていただくことが大事かと思いますので、統計的にはガイドラインに基づく施策の中の1つでも2つでもやっていただければやっているというような整理で、従来もそうさせていただきましたし、今後もそういう形で統計は取らせていただきたいと思います。
それから、鈴木委員から専門家会合の話がありました。いわゆる検証に向かって、そういったものを作ってほしいという話がありました。実は、来年の予算の中でそういった予算要求をさせていただいております。委託事業という形にはなりますが、専門家を集めた形でのエビデンスをどうするかということで、来年は多分、準備会合というか、検証そのものをどう進めるかという検討をして、2年目以降、前年の1年目の状況を把握するような形でのサイクルを回して、ちょっとできるかどうか分かりませんが、可能であれば、そういった専門家会合の内容も含めて御報告という形で、分科会のほうで、2年目以降、毎年報告するような形ができればなと、まだ現時点でお約束はできませんが、そういったことも検討して進めているところです。以上です。
○計画課長 計画課長です。私から1点、先ほど山脇委員から御質問があった部分で、この計画の見直しの中ということで、今、検討会が走っているものについてどのように位置付けていくのかということで御質問がありました。正しく、先ほど山脇委員からも話がありましたように、計画が動いている途中ですので、この14次防が始まる来年度からということになりますが、その時点で検討会で取りまとめられたもの、一定の成果物が出されたものを極力反映していくという形は当然やっていきたいと思っております。
他方で、この14次防が始まった段階でも、まだなかなか検討会の状況を盛り込めないと、結論的な内容を盛り込めないというものも出てくる可能性もあるかもしれません。そうしたものについて、どのように扱っていくのかというところにつきましては、その検討会での成果物がどの時期に出て、その内容がどのようなものであるのかといったことを踏まえつつ、この分科会の中でも、分科会長とも御相談しながら御議論いただくということも踏まえて対応していくのかなと考えているところです。そうした中で、必要に応じて計画の見直しといったところまでいくのかどうか、そこはまた、委員の皆様方に御議論いただきつつ考えていくものかなと思っているところです。
あと、今日、その他各委員の皆様方から御意見、御質問を頂いております。今日は十分にお答えできていないところもあるかと思います。次回、12月もまた予定をしておりますので、今日頂いた御意見、御質問等につきましては、改めて事務局のほうで整理をさせていただき、次回に何らかの形で対応させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 時間が押し迫っているところ申し訳ございません。先ほど、山脇委員から転倒防止の目標について志が低いのではないかという趣旨も含んだ御発言があったように存じます。私自身は、転倒災害がこれまで急激なピッチで増加している実態を直視すれば、増大させないというのは、相当現実的な目標ではないかと思っておりまして、事務局より提案された案は適当ではないかと考えているところです。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。これまで頂いた御意見等を基に、また事務局のほうで更に検討していただいて、次回また、防止計画案について提出していただければと思います。
続きまして、議題の2つ目に移りたいと思います。議題(2)「第三管理区分の事業場に対する措置の強化に係る大臣告示内容等について」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長です。私からは、資料2について御説明いたします。第三管理区分の事業場に対する措置の強化に関する大臣告示ということですが、こちらは本年の5月に公布された新たな化学物質規制の中で、告示に委任されている部分についての告示を制定したというものです。
1ページめくっていただくと、省令にどのような規定があるのかということが記載してあります。右上に図がありますけれども、まず作業環境測定の結果、第三管理区分というものになっている事業場があります。こちらは、いわゆる管理濃度を超える濃度に作業環境がなっている可能性が高い作業場所ということでなっているわけです。こちらは従来であれば、第二管理区分あるいは第一管理区分を目指して戻さなければいけないという規制になっていたわけですが、現実問題としては5~7%ぐらいの事業場について、第三管理区分が継続している実態があります。こういったものについて規制の強化を行ったというところです。
右上の図にありますけれども、まず作業環境管理専門家というものを位置付け、こちらに改善の可否の可能性についての意見を聴取するということです。それによって、改善可能と判断され、改善の措置が実施されて、結果的に第二管理区分になったり第一管理区分になったりすれば、それはそれでいいわけですが、それをしても第三管理区分に引き続きなってしまったという場合、あるいはそもそも専門家の判断として、ここはもう改善困難であるという判断がある場合があります。こういった場合については、環境が改善できないわけですので、呼吸用保護具によるばく露対策を徹底するしかないというところです。
左の(2)です。具体的に省令にどのように記載されているかというと、(2)の①ですけれども、個人サンプリング法などによる化学物質の濃度測定を行って、その結果に応じて労働者に有効な呼吸保護具を使用させることになっております。これが告示事項です。それからもう1つ、呼吸用保護具が適切に装着されていないと、適切な保護具を選んでいても、労働災害防止になりませんので、それを適切な装着確認をする方法についても告示委任ということになっております。
さらに、告示委任なっていない部分としては、保護具着用管理責任者を選任して、その方に業務をきちんと行わせるということと、それから(3)にありますが、6月以内に1回、定期に個人サンプリング法等による測定を行って、その状況に応じて呼吸用保護具の選択を6か月に1回きちんとやり直すということです。また、1年に1回、呼吸用保護具が適切に装着されていることの確認も定期的に行う必要があるというところです。
2ページが具体的に定められている今回の告示の内容です。まず、濃度の測定、測定の対象物質、呼吸用保護具の選択、呼吸用保護具の装着確認の4点について規定しておりますが、それぞれ特化則、有機則、鉛則、粉じん則とありまして、今回は特化則を使って御説明したいと思います。
まず、濃度の測定ですが、こちらについては、作業環境測定のうち個人サンプリング法が義務付けられてできるものについては、それを行っていただくということになります。個人サンプリング法というのは、労働者の身体に装着するサンプリング機器を用いて行う作業環境測定でして、労働者が実際に吸い込む呼吸域の濃度を正確に測ることができる測定ですので、それを原則とするということです。ただ、この測定ができない物質が幾つかありますので、その場合は、従来のいわゆる定点測定であるAB測定というのを実施するということです。また、これ以外の方法として、個人ばく露測定も認めるということです。これは個人サンプリング法と同じような形で、サンプリング機器を体に装着した上で直接測定する方法でして、作業環境測定と違って、統計的な評価を行うことなく、生の実測値で判断するというやり方です。
測定対象物質については、特化則の一部、非常に管理濃度が低い物質、特定低管理濃度特化物と書いておりますが、そういったものについては個人サンプリング法若しくは個人ばく露測定、それ以外については従来の定点測定であるAB測定をやっていただくということになっております。
それから、呼吸用保護具の選択なのですが、こちらは要求防護係数というものを計算する方法です。考え方としては簡単でして、実際に測定した値が管理濃度の何倍なのかということをまず計算して、それに見合った指定防護係数を上回る能力を有する呼吸用保護具を選択するということです。
呼吸用保護具の装着確認というのは、フィットテストというものを行って、呼吸用保護具の外側の濃度が内側の何倍になっているかというのをフィットファクタということで計算するわけですが、それが全面形の呼吸用保護具であれば500、半面形であれば100となるように、合格するまで何回もやり続けるというものでして、これを1年に1回必ずやることによって、マスクがきちんと装着されて漏れがないことを確認するというものです。こういったことを告示で定めるということでして、こちらの施行は令和6年4月1日でございます。
続いて、最後のページになりますけれども、こちらは前々回の分科会で御報告した内容についての追加の御報告です。こちらについては、化学物質管理専門家の要件というのを告示で定めているわけですが、パブリックコメントで様々な御意見が寄せられたということですので、それに伴った修正を行ったという御報告です。
まず、修正前というのが左なのですが、化学物質管理専門家の要件として労働衛生工学のコンサルタントに合格し、その後5年間、実務を行った場合に認めるということにしていたわけですけれども、労働衛生コンサルタントは、受験資格として作業環境測定士の資格を取ってから3年間の実務経験をするなど、十分な実務経験があることを前提にしているので、これを求めてしまうと、ほかのものと比べて著しく実務経験に要する時間が長くなるという不公平感があるといった御指摘があり、それを踏まえて、コンサルタントとしての登録を行った前後を問わず、合計で5年以上、化学物質の管理に係る業務の従事経験があればいいという修正をしたところです。
それから、③ですけれども、もともと作業環境測定士については、8年間以上の実務経験があれば専門家として認めるということでしたが、これについて、従来作業環境測定士の業務とは試験範囲に直接含まれていないリスクアセスメント等について、実務経験だけで果たして全ての人間について担保できるのかという、非常に御疑問を呈されるコメントが多くあったということで、それを踏まえて、こういった方については厚生労働省労働基準局長が定める講習を修了することを義務付けた上で、6年間の実務経験を求めるという形で修正したところです。こちらについては、いずれもパブリックコメントの御意見を踏まえた修正ですので、御報告ということでございます。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について、質問、意見等のある方は、御発言がある旨をチャットに書き込み、あるいは挙手等をお願いいたします。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 御説明ありがとうございました。2点質問させてください。資料の1枚目に第三管理区分だった場合の対応として、作業環境管理専門家の意見聴取というのがございますが、この作業環境管理専門家の意見はいつまで有効なのでしょうか。そこが明確になっていないと、作業環境測定を実施する都度、これをぐるぐる回していかないということになって、とても煩雑な手続が求められることになるかと思いましたので、確認させていただけたらと思います。
あと、3枚目の、先ほど御説明いただいた労働衛生コンサルタントの実務経験のところなのですが、コンサルタントとして登録後の実務経験の確認はどのように行うことになるのか、確認させていただければと思います。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。まず、1点目の御質問につきましては、法令上1回だけ聴くという形になっておりますので、有効期限という概念はないのですけれども、1回聴けばいいということになってございます。
2点目のコンサルタントを登録した後の実務経験につきましては、当然コンサルタントとしての業務として、化学物質に関するコンサルティングを行った者が実務経験になるということでございます。
○増田委員 2点目につきましては、どこか事業場に所属している場合は確認できると思うのですが、コンサルタントとして特に独立して業務を行いますので、自己申告によらざるを得ないということになると思うのですが。
○化学物質対策課長 そうなります。一応、添付書類の中に実務経験の一覧などを付けていただくような形で判断するということを想定してございます。
○増田委員 分かりました。ありがとうございました。
○城内分科会長 山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 御説明いただいた内容につきましては、特段異論はございません。その上で、1点要望を申し上げたいと思います。改めて申し上げるまでもなく第三管理区分というのは作業環境管理が適切でない状態であります。労働者の安全、健康確保の観点からも早急に改善措置が講ぜられるべきもので、作業環境の改善が困難な場合には、ばく露防止対策の徹底が必要欠くべからざる措置だと言えます。
今般の告示を踏まえて、個人サンプリング法等による適切な測定の実施、そしてその結果に基づいた有効な保護具の使用、労働者が保護具を適切に使用しているかどうかの確認など、適切な対策がとられているかどうか、しっかり周知徹底をお願いしたいことと、同時に、厚生労働省として監督、指導の徹底ということにも努めていただくよう要望申し上げます。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。事務局からはよろしいですか。そのほか、御発言ございませんでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局から説明いただいた方針で進めていただくこととしたいと思います。
これで全ての議題を終了いたしました。本日も熱心に御議論いただき、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。