第29回肝炎対策推進協議会 議事録

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

日時

令和4年3月18日(金)13:00~15:00

場所

オンライン開催

出席者

委員
  • 泉 並木(武蔵野赤十字病院院長)
  • 出田 妙子(薬害肝炎原告団)
  • 及川 綾子(薬害肝炎原告団)
  • 釜萢 敏(公益社団法人日本医師会常任理事)
  • 河本 滋史(健康保険組合連合会常務理事)
  • 考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長、肝炎情報センター長)
  • 小池 和彦(公立学校共済組合関東中央病院病院長)
  • 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科疫学・予防医学教授)
  • 後藤 千代美(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 坂上 博(読売新聞調査研究本部主任研究員)
  • 鹿野 さゆり(全国B型肝炎訴訟東京原告団)
  • 清古 愛弓(葛飾区健康部長兼葛飾区保健所長)
  • 辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
  • 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
  • 村松 正道(国立感染症研究所ウイルス第二部長)
  • 山﨑 喜彦(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 米澤 敦子(日本肝臓病患者団体協議会代表幹事)

参考人
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 副院長)  

議題

  1. (1)肝炎対策基本指針について
  2. (2)肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について
  3. (3)研究報告について
  4. (4)その他
     

議事

議事内容
○簑原肝炎対策推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第29回「肝炎対策推進協議会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
厚生労働省の肝炎対策推進室長の簑原でございます。冒頭の議事進行を担当させていただきます。
本日の協議会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、委員の皆様におかれましてはオンラインで御出席をいただくということで、傍聴される方やメディアの方に対してはYouTube配信という形式でやらせていただいております。
本日は委員の皆様にウェブ上で参加をいただいておりますので、接続状況等によりまして画像・音声が乱れる場合がございますので、あらかじめ御承知おきいただきますようお願いを申し上げます。
また、会議中は基本的にビデオをオフにしていただいて、マイクはミュートにしておいていただくようにお願いいたします。
御発言をされる際には、ビデオをオンにしていただき、その後、会長から御指名をされましたら、ミュートを解除していただいて御発言をしていただければと思います。御発言の際にはお名前をお伝えいただいて、可能な限りゆっくりお話をいただければと思います。
また、委員の方々の御発言の機会を確保するため、できる限り簡潔に御発言をいただければ幸いでございます。
操作などの関係で御質問等がある場合は、事務局までお問合せをいただければと思います。
続きまして、委員の出席状況について御報告を申し上げます。
本日は、味木和喜子委員、及川勝委員、大久保暁子委員から御都合により欠席の御連絡をいただいているところでございます。20名のうち17名の委員に御出席をいただいておりますので、定足数に達しております。本日の会議は成立いたしますことを御報告させていただきます。
また、本日の資料でございます。まずは議事次第、委員名簿、座席表、配付資料一覧、資料は資料1から資料3、また、参考資料1から参考資料7となってございます。
もし資料の不備等ございましたら、事務局までお申しつけをいただければと思います。
また、この後、議事に入らせていただきますけれども、接続状況等で御質問等がございましたら、併せてお申しつけをいただければと思います。
それでは、以後の議事進行につきましては小池会長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○小池会長 会長の小池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の協議会では、事務局より肝炎対策基本指針の告示について御報告いただくとともに、国及び自治体における肝炎対策の取組状況について御説明いただきます。また、参考人として、国立病院機構長崎医療センターの八橋弘先生から研究成果の御発表をいただくこととしております。
それでは、まず、議題(1)「肝炎対策基本指針について」、事務局から資料の御説明をよろしくお願いいたします。
○簑原肝炎対策推進室長 それでは、資料の説明をさせていただきます。「肝炎対策基本指針について」ということで、資料1を御覧いただければと思います。
昨年1月から、この協議会におきまして精力的に御議論いただいて、肝炎対策基本指針の見直しを検討していただきました。各省への協議、パブリックコメントなどの手続を経まして、3月7日に告示をさせていただいたところでございます。委員の皆様方におかれましては、多くの貴重な御意見を賜りまして誠にありがとうございました。
本指針につきましては適用日を告示日と同日といたしまして、施行通知を各自治体に送付をさせていただいているところでございます。地域の実情に基づきました肝炎総合対策の実施に取り組むようお願いをしているところでございます。
肝炎対策のより一層の推進を図るため、国や地方自治体のみならず、あらゆる関係者が一体となって、より一層の連携を図ることが重要であると考えているところでございます。
新しい基本指針に基づきまして、厚生労働省としても積極的に肝炎対策を推進していきたいと考えておりますので、引き続き委員の方々の御協力をお願いしたいと思います。
続きまして、前回の協議会において御提示をさせていただきました案から主な変更点につきまして、簡単ではございますけれども、御報告をさせていただきたいと思います。改正後の基本指針全文につきましては参考資料2、また、新旧対照表につきましては参考資料4でございます。見やすいかと思いますので、新旧対照表、参考資料4を基に御説明をさせていただきますので、そちらを御覧いただければと思います。
まず、2ページ目をお開きいただければと思います。前文の7段落目でございます。上段の左側に線が引いてある「加えて、世界保健機関(WHO)が」と始まる部分で、こちらにつきましては、WHOが「公衆衛生上の脅威としての肝炎ウイルスの排除達成を令和12年までに目指すことを持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献する目標として掲げている」ことを追記させていただきました。また「公衆衛生上は、現在、C型肝炎はウイルス排除薬の開発により、その撲滅が視野に入る状況となってきた」としております。この部分について、前回の案においてはこの「撲滅」の部分を「制圧」とさせていただいていたところでございますが、WHOの掲げるeliminationと異なりまして、C型肝炎そのものは、インターフェロンフリー治療により「公衆衛生上はその撲滅が視野に入る状況」という表現を用いることについては違和感がないことについて肝炎の専門の先生方に御確認をさせていただきましたので「撲滅」という形で変更させていただいているところでございます。
続きまして、9ページをお開きいただければと思います。「第三 肝炎検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項」の5段落目で、右のほうにある部分につきまして、ページ上段の2行目でございます。「また、受検率の向上に当たっては」と始まる部分で、案の段階では、肝炎ウイルス検査の未受検者に対する「働きかけを行う」とさせていただいておりましたが、より具体的な取組として明記するために「肝炎に関する正しい知識の普及啓発や受検勧奨等」の対応を図っていくことが重要というふうに修正をさせていただいているところでございます。
また、同じページで、少し左のほうに目を移していただきまして「(2)今後取組が必要な事項について」のカの項目を御覧いただければと思います。医療機関に対しまして、その規模を問わず、手術前等に行われる肝炎ウイルス検査の結果について、受検者に適切に説明を行うように依頼する旨を記載させていただいているところでございます。こちらは、前回の案文では「診療所等も含めた医療機関」という記載になっておりましたけれども、医療機関自体の定義には診療所等が含まれているところで、文言上の整理といたしまして「その規模を問わず」という形に修正をさせていただいているところでございます。
続きまして、11ページにお移りをいただければと思います。上段の左側の部分になります。肝炎医療を提供する体制を確保するために、今後取組が必要な事項といたしまして「地方公共団体及び拠点病院は、医療機関等と連携して、肝炎医療コーディネーターの活動を可能な限り支援する」という前回の案文にさせていただいていたところで「重要である」という文言を加えさせていただいているところでございます。また、肝炎医療コーディネーターにつきましては、13ページにも同じような記載がございますので、こちらについても「重要である」と明記をさせていただいているところでございます。
続きまして、12ページ目を御覧いただければと思います。上段の1行目で、前のページから続いておりますが、肝炎医療を提供する体制の確保をするために、今後取組が必要な事項といたしまして「専門医療機関は、提供された情報に基づき、適切な肝炎医療の提供に取り組む」という記載を追記させていただいております。
こちらは、前回、坂上委員から御指摘いただいた項目について反映する形で記載を修正させていただいているところでございます。
その他、重複する文言、軽微な点の修正につきましては、御説明を省略させていただきたいと思います。
簡単でございますが、以上でございます。
○小池会長 どうもありがとうございました。
それでは、議題(1)「肝炎対策基本指針について」、御意見がございましたらよろしくお願いします。
いかがでしょうか。前回も皆様方、御確認いただいたところではございますが、改めて何か御質問や御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
どなたからも特に御意見はないようですね。
○米澤委員 小池先生、すみません。米澤です。
○小池会長 どうぞ。
○米澤委員 ごめんなさい。意見といいますか、肝炎対策基本指針について一言だけ述べさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○小池会長 どうぞ。
○米澤委員 このたびの肝炎対策基本指針改定につきましては、私たち患者団体が提案した改正案について前向きに御検討いただきました。特に肝炎対策の均てん化と患者の人権について深く皆様方に御理解をお示しいただき大変感謝しております。今後はできる限り私たち患者も患者の立場で肝炎対策を推進していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○小池会長 米澤委員、どうもありがとうございました。
ほかはございませんでしょうか。
及川委員、どうぞ。
○及川(綾)委員 お願いいたします。
ただいま米澤委員から、今回の指針で患者の意向を酌んでいただいたというお話がありました。その一つの人権のことなのですけれども、新旧対照表の6ページの第一の(5)と17ページの第八のコの部分なのですが、細かいことで恐縮なのですけれども、人権の尊重の取組に関しまして「地方公共団体、学校教育関係者、患者団体等の様々な関係者と連携し」という文言が加えられました。今後の具体的な取組で考えていらっしゃることがあれば、資料2と関係することがあるのであればそのときでも伺いたいと思いますので、お聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 事務局からどうぞ。
○簑原肝炎対策推進室長 後ほど資料2の御説明でも触れさせていただこうとは思っておりますけれども、人権の問題につきましては患者講義等に関しまして積極的に行っていただいているところでございます。そういった活動等について、ぜひとも様々な形で国や自治体の活動との連携や、関係を持って御協力いただけるような形で、引き続き意見調整や情報交換をさせていただきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○小池会長 どうもありがとうございます。
○及川(綾)委員 ありがとうございます。
今後の取組も患者団体をぜひ入れていただいて進めていただければありがたいと思います。
以上です。
○小池会長 どうもありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、本指針につきましては、前回の協議会において、委員の皆様から一任をいただき、事務局と確認を進めてまいりました。事務手続を経て告示がなされましたので、今後はこの指針に基づき、さらなる肝炎対策の推進が図られるよう期待しています。
それでは、続きまして、議題(2)「肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について」、事務局より御説明をお願いいたします。
○簑原肝炎対策推進室長 それでは「肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について」ということで、資料2に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
本日の協議会におきましては、基本指針に定められた取組の状況について、国は定期的に報告するものとされていることを踏まえまして、国及び地方自治体における肝炎対策の取組状況について御報告をさせていただき、今後の肝炎対策の進め方などについて御議論をいただければと考えております。
また、前回の協議会におきまして、患者を代表されております委員の皆様方から「ウイルス性肝臓病の肝炎対策推進均てん化について」と題しまして御提案をいただいているところでございます。本日はその御提案も踏まえまして実績やデータなどを御紹介させていただきたいと考えております。例年より少し資料が多くなっておりますけれども、簡潔な御説明をさせていただきたいと思っておりますので、全て御紹介というわけにはいかない部分がございますが、その点については御了承いただければと思います。
それでは、まず、1ページ目の目次でございます。こちらは10項目ございますけれども、順を追って御説明をさせていただきたいと思います。
1つ目でございますが、2ページ目より「令和4年度肝炎対策予算案の概要」につきまして御説明を申し上げます。
3ページをお開きいただければと思います。肝炎対策につきましては、基本指針に基づきまして、肝硬変・肝がんへの移行者を減らすことを目標といたしまして、肝疾患治療の促進、肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進、肝疾患診療連携体制の強化、普及啓発、研究の推進を5つの柱といたしまして推進するため、令和4年度予算案につきまして総額173億円、前年度とほぼ同額を計上させていただいているところでございます。現在、国会で御審議をいただいている状況でございます。
まず、1つ目で、肝疾患治療の促進につきましては、肝炎治療の医療費助成及び肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業に合わせて88億円となってございます。また、2つ目で、肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進につきましては39億円、3つ目でございますが、地域における肝疾患診療連携体制の強化につきまして5億円、国民に対する正しい知識の普及といたしまして2億円、5つ目の研究の推進につきまして38億円となっているところでございます。予算案につきましては以上でございます。
続きまして、4ページ目より「肝炎総合対策」につきまして御説明を申し上げます。
5ページ目をお開きいただければと思います。B型肝炎及びC型肝炎につきまして簡単にまとめた資料でございますけれども、キャリア数につきまして、委員の方々御承知おきのとおり、B型肝炎につきましては少なくとも110万人、C型肝炎については90万人と推計をさせていただいているところでございます。患者数につきましては、B型肝炎については約19万人、C型肝炎については約30万人と研究の中で推計がなされているところでございます。
続きまして、6ページ目をお開きいただければと思います。こちらの資料は肝がんの年齢調整死亡率を都道府県ごとに表した資料で、左上に総計として平成25年から令和2年までの年齢調整死亡率の平均値を記載させていただいているところでございます。平成25年に人口10万対6であったところ、令和2年には3.9となっているところで、次第に下がってきているという状況になってございます。
なお、75歳年齢調整死亡率、死亡率順位、肝がん死亡者数、肝がん罹患者数等の指標につきましては、国立がん研究センターのがん情報サービスにおいてエクセルでダウンロード可能となってございます。この点については、前回、患者を代表されている委員の方々から御提案をいただいているところで、そういったところでより詳細なデータを御覧いただけるようになっているところでございます。
また、提案にありました陽性者数のフォロー数で、そういったことについては、現状、把握できていない状況で、指針の中でまさにフォローアップ状況についてしっかりと把握することというところが入っているところでございますので、こちらは今後、どういった形で把握するかも含めまして検討させていただきたいと思っているところでございます。
続きまして、7ページ目より「都道府県の肝炎対策に係る計画等」につきまして御説明を申し上げます。
8ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらは都道府県の肝炎対策に係る計画や目標の策定状況について都道府県にアンケート調査を行った結果でございます。全ての都道府県におきまして肝炎対策に係る計画や目標を作成いただいているところでございます。各都道府県が策定した主な計画、目標につきましては、参考資料5にまとめてございますので、また後ほど御覧いただければと思います。
続きまして、9ページ目をお開きいただければと思います。こちらは肝炎対策推進協議会の開催状況について調べさせていただいたものでございます。括弧内につきましては令和元年度の数字で、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響でなかなか開催が難しいような都道府県があるという状況になっているところでございます。
10ページ目をお開きいただければと思います。こちらは都道府県の肝炎対策推進協議会の構成メンバーでございます。拠点病院関係者につきましては、全ての都道府県で構成メンバーとなっているところでございます。また、医師会や専門医療機関、肝臓専門医、肝炎患者・患者団体につきましては多くの都道府県でメンバーとなってございます。
11ページで、肝炎対策推進協議会の主な議題となってございますが、肝炎に関する計画目標や予算、実績報告が多くを占めている状況でございます。また、昨年4月に要件の緩和を行いました肝がん事業につきましても多くの協議会において取り上げていただいているところでございます。
続きまして、12ページからは「肝炎ウイルス検査について」でございます。
13ページをお開きいただければと思います。こちらは「地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数」となってございます。地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数につきましては、令和元年度は全体でB型肝炎が98万3122人、C型肝炎が97万1477人となってございます。平成30年度と比べますと若干減少しているところで、おおむね100万人前後で推移をしているような状況になってございます。
続きまして、14ページを御覧いただければと思います。B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの受検者数と陽性率の推移を記載しております。いずれの検査結果におきましても陽性率は毎年減少しているような傾向になってございます。
15ページにつきましては、B型肝炎ウイルス検査の受検者数を都道府県別にグラフで数値にさせてお示しをしております。
16ページにつきましては、先ほどお示しをいたしました都道府県別のB型肝炎ウイルス検査の受検者数につきまして、特定感染症検査等事業と健康増進事業の事業別にそれぞれ内訳を示しているところでございます。
17ページ、18ページで、こちらはC型肝炎ウイルス検査に係る受検者数と事業別の内訳を示しているところでございます。
続きまして、19ページ、20ページで、こちらについてはB型肝炎、C型肝炎ウイルス検査の20歳以上人口比を取ったものでございます。
21ページで、こちらは都道府県、保健所設置市、特別区において特定感染症検査等事業として実施しております肝炎ウイルス検査の実施状況になってございます。
22ページで、こちらは市町村の健康増進事業における肝炎ウイルス検査の実施状況になってございます。資料にございますとおり、1,612の市町村で肝炎ウイルス検査を実施していただいているところでございます。
23ページから26ページにつきましては、各自治体における肝炎ウイルス検査の周知方法、利便性を高める取組について、アンケートを行った結果について記載をさせていただいております。こちらについても後ほど御覧いただければと思います。
では、27ページに移っていただければと思います。こちらは職域検査促進事業の概要と実施状況になってございます。平成29年度から、職域検査における肝炎ウイルス検査の実施を促すために、職域への啓発活動を実施させていただいておりますが、令和2年度につきましては、15の都道府県、8つの保健所設置市で事業を実施させていただいているところでございます。
続きまして、28ページからは「重症化予防の推進について」でございます。
29ページで、肝炎患者等の重症化予防推進事業の流れについて記載をさせていただいております。陽性者の方を早期に発見するため、まずは肝炎ウイルス検査を行っていただき、陽性者の方については御本人の同意の下、フォローアップを実施する流れになってございます。
30ページに移らせていただきます。初回精密検査費用助成と定期検査費用助成制度の内容をまとめております。初回精密検査費用の助成対象につきましては、令和元年度より職域検査での陽性と判定された方、令和2年からは妊婦検診・手術前検査で陽性となった方を追加させていただいているところでございます。
31ページで、こちらも重症化予防推進事業の実施状況で、初回精密検査につきましては47都道府県で実施をされているところでございます。定期検査につきましては、未実施の自治体が1つございますけれども、令和3年度から事業を開始されていると伺っておりますので、定期検査につきましても、自治体における単独事業も含めますと、47都道府県で実施されている状況でございます。
続きまして、32ページに移っていただければと思います。初回精密検査費用助成の都道府県別の受給者数でございます。こちらの実績値については、自治体検査、職域検査、妊婦検診、手術前検査で陽性となった方全ての合計値と現状はなっているところでございます。こちらにつきましては、セグメントに応じました対応を行うことができるようにするために、来年度より検査種別ごとに実績を報告いただくよう、交付要綱の実績報告の様式を改定する予定でございます。
33ページで、こちらは直近3か年の都道府県ごとの実績を記載させていただいております。
続きまして、34ページで、定期検査費用助成の都道府県別の受検者数。
35ページで、こちらは直近3年間の実績となってございます。
36ページで、こちらは初回精密検査の勧奨方法、37ページは、初回精密検査の後、受療が必要となった方に対する勧奨方法となってございます。お時間があるときにまた御覧いただければと思います。
続きまして、38ページから「肝疾患治療の促進について」でございます。
39ページは、左側に肝炎治療特別促進事業の概要で、右側に医療費助成の受給者証交付件数を記載させていただいております。まず、インターフェロンフリー治療につきましては、平成26年度に助成対象となって、直後の平成27年度は8万9012件でございました。その後、減少しておりまして、令和2年度につきましては1万3981件となってございます。一方、インターフェロンにつきましては179件、核酸アナログ製剤治療につきましては8万3694件となってございます。
続きまして、40ページで、受給者証の交付件数の推移を示したグラフでございます。
41ページは、それぞれの治療につきまして、各都道府県別の受給者数をまとめたものでございます。
続きまして、42ページは、核酸アナログ製剤治療助成受給者の割合を都道府県別に示したものでございます。折れ線グラフは患者数に対する受給を受けている方の割合で、令和2年度の全国平均は60.4%となっているところでございます。
43ページは、インターフェロンフリー治療の助成受給者の割合で、全国平均は4.1%となっているところでございます。
44ページからが「肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業」でございます。
45ページを御覧いただければと思いますが、こちらは委員の皆様方も十分御承知の内容でございますが、医療費の負担の軽減を図りつつ、患者から臨床データの収集等を行いまして、治療に係るガイドラインの作成など、治療研究を促進するための支援といたしまして、年収約370万円以下の方々を対象に、助成要件を満たした月の自己負担額が1万円となるような助成をする事業ということで平成30年12月から都道府県を実施主体という形で開始をさせていただいているところでございます。
46ページに移っていただきまして、令和3年4月には、分子標的薬を用いた化学療法による通院治療を助成の対象に追加をするとともに、高額療養費を超えた月数要件につきまして4月から3月に短縮するという見直しを実施したところでございます。
見直し後の助成実績につきましては、4月分について報告のあった助成件数を、暫定値ではありますが、9月の協議会では82件、11月の協議会では123件というふうに口頭で御報告をさせていただいておりましたが、11月12日現在の再集計では125件となっているところでございます。
また、5月分以降につきましては、同日11月12日現在の暫定値で、5月分は127件、6月分は134件、7月分は158件、8月分は119件となっているところでございます。
こちらは、今年度の見直し自体につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響につきまして、各自治体で業務多忙という状況もございまして事業の見直しに伴う要綱の改正などが遅れているところもございまして、見直し後の実績報告、完全なる実績報告となっていない部分があるのではないかと考えているところでございます。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けまして、受診控えや治療の延期といった治療件数自体も減少しているといったことも拠点病院の先生方からお聞きをしているところでございますので、見直しの効果を評価するためには、全ての自治体において要件緩和の見直し後の実績が報告される状況になるとともに、新型コロナウイルスの影響を十分に見ながら判断することが適切であると考えているところでございますので、もう少しお時間をかけて評価をしていくことが必要であると考えているところでございます。
続きまして、47ページでございます。事業周知用のポスター等の御紹介です。引き続き、周知に加えまして、今回改正されました指針を踏まえまして、本事業による支援を必要とされている方々が助成を受けられるように、実施状況等を勘案しながら各種検討をしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。
48ページから「肝疾患診療体制の整備」でございます。
49ページを御覧いただければと思います。肝疾患診療連携拠点病院につきましては、各都道府県に原則1か所以上を選定して、肝疾患専門医療機関は2次医療圏に少なくとも1か所以上確保することが望ましいとされているところでございます。資料にありますとおり、診療所、病院など、それぞれの役割に応じまして、肝疾患の連携体制を各地域において構築していただいているところでございます。
50ページ、51ページにつきましては「肝疾患に関する診療及び肝疾患患者に対する支援体制の整備について」の通知の概要を載せさせていただいております。指針の中で、今後の取組の方針といたしまして、全ての肝疾患患者の方が継続的かつ適切な肝炎医療を受けられるよう、国は地域の肝疾患連携体制の在り方を示す旨が規定されているところでございます。本通知において、支援体制の基本的な考え方等を示しているところでございます。
続きまして、52ページで、拠点病院等連絡協議会の開催状況でございます。拠点病院等連絡協議会につきましても、新型コロナウイルス感染症の影響等がやはりありまして、開催できていない都道府県がある状況でございます。
53ページで、連絡協議会の構成メンバー、54ページは、主な議題について調査結果を記載させていただいているところでございます。
55ページで、令和2年度の「肝疾患診療連携拠点病院と専門医療機関の状況」でございます。拠点病院につきましては全国で71か所が選定されております。専門医療機関につきましては全国で3,140か所が選定されている状況になってございます。
続きまして、56ページで、全ての都道府県で専門医療機関を選定して、また、指定要件を定めているところでございます。指定要件につきましては、厚労省の通知に掲げている要件に準拠していると回答した都道府県が45か所になってございます。また、要件を満たしているかを定期的に把握している都道府県も徐々にではございますが、増えている状況でございます。
57ページで、こちらは肝炎医療コーディネーターについての資料となってございます。
肝炎医療コーディネーターにつきましては、指針の中で「地方公共団体は、国、拠点病院等と連携して、地域や職域において肝炎の普及啓発、受検勧奨や肝炎ウイルス検査後のフォローアップ等の支援を進める肝炎医療コーディネーター等の人材の育成と活躍の推進に取り組む」とされているところでございます。この際、肝炎医療コーディネーターの基本的な役割や活動内容等について、国が考え方を示すこととしております。
この規定を踏まえまして、こちらの通知を発出しておりますが、今回の基本指針の見直しにおきましては、肝炎医療コーディネーターの方々について、活躍の推進に取り組むことや、育成後の活動状況をしっかり把握をするというところが規定をされており、また、情報共有や連携がしやすい環境の整備に努めるとされているところでございます。これらの観点を踏まえまして、また、この通知についても見直すことを予定させていただいているところでございます。
続きまして、58ページに移っていただければと思います。肝炎医療コーディネーターの養成数で、47都道府県全てで肝炎医療コーディネーターの養成が行われているところでございます。令和2年度は2万4197名の養成がされているところでございます。
59ページで、こちらは肝炎医療コーディネーターの職種をグラフにさせていただいているところでございます。養成数増加によりまして、当然ながら、全体的に数値が増加しておりまして、調剤薬局薬剤師、管理栄養士、介護福祉士、福祉関係者の方々が増加をしている状況でございます。
続きまして、60ページで「肝炎医療コーディネーターの養成、認定など」に関してまとめております。
養成研修の内容につきましては、主に肝疾患の基本的な知識とか、肝炎医療コーディネーターに期待される役割、心構えが取り上げられているところでございます。
また、資料の下のほうで認定に関しての表がございますが、名簿作成をして定期的に更新をしている都道府県が令和2年度については増えてきている状況になってございます。
61ページで「コーディネーターの技能向上、活動支援」についてでございます。
技能向上の取組といたしましては、文書やインターネットを使用した情報提供を実施している都道府県が増加をしているところでございます。活動支援といたしましては、要望を聞く機会を設けている都道府県や、コーディネーターを配置している機関のリストを公表している都道府県、また、コーディネーターバッチなどを作成する都道府県も増加をしていっているところでございます。
62ページをお開きいただければと思います。「肝炎医療コーディネーターの活動場所と活動度合」でございます。拠点病院、保健所で積極的に活動していると評価をしている都道府県が多くなっている状況でございます。
続きまして、63ページからが「普及啓発」についてでございます。
64ページを御覧いただければと思いますが、こちらは都道府県における普及啓発の実施状況を記載しております。主にリーフレットを作成して啓発に取り組んでいただいている状況でございます。また、ポスターの作成、ラジオやテレビなども活用しながら啓発を実施していただいている形になってございます。
65ページで、肝炎患者支援手帳の作成と内容についてお示しをしております。令和2年度については31の都道府県で肝炎患者支援手帳を作成いただいているところでございます。
66ページ以降で、こちらは肝炎総合対策推進国民運動事業の概要、いわゆる「知って、肝炎プロジェクト」でございますけれども、杉良太郎さんを健康行政特別参与といたしまして、多くの著名人の方々に特別大使、広報大使、スペシャルサポーターとして肝炎対策の普及啓発に御協力をいただいているところでございます。
67ページで、こちらは「知って、肝炎プロジェクト」におきまして、これまで知事等を表敬訪問させていただいて、肝炎対策の取組強化を要請するといったことをやっておりますが、その実施状況でございます。これまで39の都道府県に伺っているところでございます。
68ページで、令和3年度の「知って、肝炎プロジェクト」の活動についてお示しをしているところでございます。
69ページで、今年度につきましては、啓発ポスター・リーフレットを2種類作成いたしまして、各自治体、拠点病院、関係機関に配布をさせていただき、御活用いただいているところでございます。また、啓発動画も作成をさせていただいて、都内各路線のトレインチャンネル等で広告を展開させていただきました。
70ページでございます。こちらは例年、7月28日の日本肝炎デーに合わせまして啓発イベントを開催させていただいております。令和3年度につきましては、第1部といたしまして拠点病院等の先生方との意見交換や肝炎患者の方々に経験談をお話しいただきました。また、第2部といたしましては著名人の方々によるPRイベントを実施させていただいて、その内容を各メディアで取り上げていただいたところでございます。
また、集中広報県でございます和歌山、福岡、宮崎、それぞれの県におきましても、地元のテレビ局やラジオ放送の中で、著名人の方から県民の皆様へ肝炎ウイルス検査の重要性を呼びかけていただいたということで、各地域でも様々な活動を展開させていただいているところでございます。
71ページ目で、情報発信の取組といたしまして、公式インスタグラムのアカウントの開設をさせていただいて、定期的な投稿を実施させていただくとともに、インフルエンサーの活用などもさせていただいて、様々なメディアを通じて発信をさせていただいているところでございます。
続きまして、72ページで、コロナ禍という状況ではございましたが、感染防止対策を徹底した上で、山形県知事、宮崎県知事へ表敬訪問させていただきまして、肝炎対策について懇談をさせていただいたところでございます。
73ページで、イベントの実施や表敬訪問のほか、大学や学校、地域イベントとの連携によりまして、肝炎対策の啓発を実施させていただきました。
以上が「知って、肝炎プロジェクト」の活動でございますけれども、引き続き、各世代でありますとか各地域の取組に応じた啓発を実施させていただきたいと考えているところでございます。
続きまして、74ページで、集団予防接種による感染被害を含むB型肝炎に関する正しい知識の普及を図ることを目的といたしまして、中学校向けのB型肝炎教育に関する副読本『B型肝炎 いのちの教育』を全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団の皆様の御協力の下、作成をさせていただいているところでございます。こちらの副読本につきましては、文部科学省と連携をさせていただいて、全国の中学3年生の教員に配付をさせていただくとともに、生徒分につきましても配付を希望する学校については希望部数の送付を行っているところでございます。副読本を用いた授業の実施につきましても、患者団体の皆様による講義、いわゆる先ほど申し上げた患者講義の派遣につきましても、希望する学校に対して派遣を実施させていただいているところでございます。先日、文部科学省さんでの会議で我々からお邪魔して御紹介をさせていただいたところで、現状、4件ほど依頼をいただいているところで、こちらについて調整を実施しているところでございます。
また、副読本につきましては、厚生労働省のホームページに掲載しているところで、中学校以外の場でも活用いただけるよう周知を図っていき、B型肝炎に関する正しい知識の普及啓発に努めてまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、77ページから「研究開発」でございます。
78ページを御覧いただければと思います。こちらは肝炎研究の今後の方向性やその実現に向けた対策を定めた肝炎研究10カ年戦略の概要をお示しさせていただいております。
79ページでございますが、この肝炎研究10カ年戦略につきましては、令和3年度が最終年で、令和3年3月の第20回肝炎治療戦略会議で御議論いただいた見直し案につきまして、先日告示をいたしました肝炎対策基本指針と整合性が取れたものとするために、3月8日から10日にかけて第21回肝炎治療戦略会議を書面開催させていただいて、委員の先生方に見直し案の内容の最終確認を行っていただいております。新規の戦略につきましては、今後、パブリックコメントを実施した後に策定という形の予定になってございます。
80ページを御覧いただければと思います。こちらはAMEDで実施しております肝炎等克服実用化研究事業についてお示しをさせていただいております。肝炎の予防、診断、治療に係る技術の向上及び医薬品の開発等の研究を推進する肝炎等克服緊急対策研究事業、B型肝炎の新規治療薬の開発・実用化を目指した研究を推進するB型肝炎創薬実用化研究事業がございます。
81ページを御覧いただければと思います。こちらは厚生労働科学研究の政策研究における政策課題の一覧となってございます。
長くなりましたけれども、説明は以上でございます。
○小池会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの件に関しまして、御意見、御質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
及川委員、どうぞ。
○及川(綾)委員 お願いいたします。
3ページの予算案について御説明いただきたいところがございます。総額が昨年並みということで少しほっとはしておりますけれども、細かいことで恐縮ですが、1~5の予算の内訳を見ますと、4と5以外、1~3は昨年と比べますと数字的には減額になっておりまして、患者としてはとても不安になるところなのです。その辺を御説明願えたらと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○簑原肝炎対策推進室長 よろしいでしょうか。
まず、1の医療費は、直近の実績等に基づきまして予算を推計いたしましたところ、こういう状況になってございますので、何か政策的に減額をしたというところではございませんので、御安心をいただければと思います。
また、3の地域における肝疾患診療連携体制の強化の部分でございますが、この金額は今、億円でお示しをしておりますが、端数等がございまして、こちらは大幅に減っているわけではございません。政府全体といたしましてはかなり予算の減について厳しい状況になっている中で、何とかしっかりと肝疾患診療連携体制の強化をするため、必要な予算を確保するために頑張らせていただいた状況でございます。
以上でございます。
○及川(綾)委員 ありがとうございます。
○小池会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
辰巳委員、どうぞ。
○辰巳委員 B型肝炎原告団の辰巳です。
多分、順番はひょっとしたら前後するかもしれないのですけれども、私から42ページのところを質問というか、意見を述べさせていただきたいのですが、42ページには令和2年度の核酸アナログ製剤治療助成受給者の割合ということで、都道府県別でお示しいただいています。この中の折れ線グラフを見ると、分母がB型肝炎の治療患者数。これは平成27年度のデータを基に分母を出していて、分子のところが核酸アナログ製剤治療助成受給者数となっていて、その率が出ていると思うのですが、多分、治療患者数のところには核酸アナログの治療をそもそも受けていなくて、ウルソだけ飲んでいる人とかも含まれているのかなと思うのですが、その人はもともと、核酸アナログの医療費助成は受けないのは当然で、むしろ、こういうデータを出すのであれば、分母の核酸アナログの治療を受けている患者数のうち、それを分母にして、そのうち、医療費助成を受けている方の数という形でもし出せるのであればそうしたほうがより正確になるのではないかというのが意見です。
それを、今のデータを見たとしても、例えば長崎県は100%に近い数字で核酸アナログの医療費助成を受けていて、逆に低いところでいうと、茨城県などは20%を切っているような数字が出てきていて、やはり均てん化というものが、基本指針にもありますけれども、課題になっているのかなと思います。
続けて、もう一点言わせていただいて、まとめて回答いただけたらと思うのですが、いいでしょうか。
○小池会長 どうぞ。
○辰巳委員 もう一点、56ページのところは肝疾患の診療連携拠点病院と専門医療機関の状況を示したものになっているかと思うのですが、患者から見る限り、表の中で要件を満たしていない医療機関があるところで、4の学会等の診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っているというところが減ってはいるのですけれども、そもそも満たしていないところが4件から2件に減ってはいるのですが、まだ2件ある。
ほかの資料と照らし合わせると、どこの県とどこの県かはすぐ分かるのですけれども、患者としてはやはり専門医療機関として、この4の診療ガイドラインに準ずる標準的治療を行っているというところを満たしていない専門医療機関が2つの県にわたって存在するのは残念に思うところでして、やはり均てん化という観点から、この点も改善していっていただきたいと思うところです。
私からは以上です。
○小池会長 2点、御質問いただきましたので、まず、最初の42ページですね。事務局のほうはいかがでしょうか。
○簑原肝炎対策推進室長 42ページをお開きいただければと思います。こちらは現状、今、御指摘いただいたように、肝炎の治療患者数ということで、こちらは平成27年のデータになっておりますので、そもそも、令和2年と平成27年で時点がずれております。現状、研究班で新しいデータを把握していただいているところでございますので、こちらはまた更新をさせていただきたいとは思っております。
また、その中での御指摘で、分母を核酸アナログ製剤の治療を行っている方にすべきではないかというところの御指摘がございましたが、現状でそういう統計データ自体をなかなか持ち合わせておりませんので、また引き続き検討をさせていただきたいと思います。
2点目の専門医療機関の要件でございますが、こちらについてはまた都道府県等と連携をさせていただきまして、要件の充足に向けまして努めてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○辰巳委員 ありがとうございました。
○小池会長 ありがとうございます。また統計データについては確認をしていただけるということですね。
それでは、鹿野委員、どうぞ。
○鹿野委員 全国B型肝炎訴訟東京原告団の鹿野さゆりと申します。
また前に戻ってしまって申し訳ないのですが、肝炎総合対策の6ページの肝がん年齢調整死亡率のグラフがあるのですが、先ほど簑原室長からホームページに罹患率なども掲載されているということを伺ったのですけれども、ちょっと聞き取りにくかったので、もう一度、どこのホームページのどちらに出ているのかということを教えていただきたいと思いまして、よろしくお願いいたします。
○小池会長 事務局、お願いします。
○簑原肝炎対策推進室長 すみません。失礼いたしました。
75歳年齢調整死亡率や死亡率順位、肝がん死亡者数、肝がん罹患者数などの指標につきましては、国立がん研究センターのがん情報サービスにおきましてエクセルという形でダウンロード可能となっているところでございます。
以上でございます。
○小池会長 恐らく、がん統計でサーチすると上のほうに出てくると思います。
○鹿野委員 分かりました。ありがとうございます。
○小池会長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 日肝協の山崎です。
15ページ、17ページ、19ページ、20ページ等のグラフの表示方法について意見があります。
15ページと17ページの都道府県別のB型肝炎、C型肝炎ウイルス検査の受検者数のグラフですが、北海道から沖縄の順に受検者数を棒グラフで列記するのではなくて、単位人口当たりの受検比率を6ページの表示の仕方のように成績や成果のよい都道府県から順に並べていただいて、平均受検率を横棒で示すようなグラフに統一していただきたいと思います。そうすることによって各都道府県での取組の成果や課題が見つけやすくなり、今後の取組の改善につながると考えます。
また、19ページ、20ページの都道府県別のB型肝炎、C型肝炎ウイルス検査の受検者数の対20歳以上人口比のグラフについても、年度ごとに成果のよい都道府県から順に並べて、平均受検率を横棒で種別グラフに統一していただきたいと思います。理由は先ほど申し上げたとおりです。グラフ表示を成果のよい都道府県から順に並べるように統一することで各都道府県も取組の成果が分かりやすくなり、厚生労働省からも取組の進んでいる都道府県の取組方法等を他の都道府県に紹介しやすくなって、全国的に改善が図れると思いますので、ぜひともよろしくお願いします。
以上です。
○小池会長 事務局からお願いいたします。
○簑原肝炎対策推進室長 御指摘いただきました15ページ、17ページは絶対数としてお示しをしているところで、そういう意味で言うと、今、御指摘をいただきました19ページ、20ページが20歳以上人口比になってございます。こちらのほうが現実問題としては人口を加味した形での実施の順位と申しますか、それぞれの都道府県の比較に資するようなものかと思っております。
一方で、これまでの累計の受検者数等との関係もありまして、順位としてどのようにお示しできるのかといったことについてはまた引き続き検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
○山崎委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
○小池会長 出田委員のほうが先ですか。どうぞ。
○出田委員 薬害肝炎原告団の出田と申します。
53ページの拠点病院等連絡協議会の構成メンバーについてお尋ねいたします。メンバーの多くは医師と行政の方で占められていますけれども、その他の構成メンバーが委員となっております都道府県は16か所しかございません。16か所のうち、患者が委員となっている都道府県はどれくらいあるのでしょうか。かなり少ないと考えられますが、都道府県の肝炎対策推進協議会と同様に患者委員の設置を進めていただけたらと思っております。
よろしくお願いいたします。
○小池会長 事務局、どうぞ。
○簑原肝炎対策推進室長 すみません。今、お調べをさせていただきますので、ちょっとお時間をいただければと思いますので、次の御質問に移っていただければ、大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
○小池会長 では、米澤委員、御質問をお願いします。
○米澤委員 日肝協の米澤です。
ちょっと戻りますけれども、34ページの定期検査費用助成の受給者数なのですが、このグラフは毎回出していただいていて、埼玉県と広島県がいつも突出して受給者数が多いという結果になっています。埼玉の方にその理由を伺ったところ、C型肝炎で医療費助成を使っている、SVR後の方のデータが自治体にはあるので、その方たち全員に機械的にはがきで通知をしているということを教えていただきました。ですので、ぜひそういったことをほかの県の方たちも率先してやっていただきたいと思っています。
それから、広島県も以前から受給者数は非常に多いのですが、この受給者数が多い理由がどういったことなのかということを自治体によく足を運ばれていらっしゃる簑原室長に伺いたいと思います。御存じであればぜひ教えていただきたいと思います。
ほかにもあと2つありますが、一緒に質問してしまってもよろしいでしょうか。
○小池会長 では、ここでちょっと。
○米澤委員 分かりました。
○小池会長 まず、米澤委員の最初の質問、簑原室長、いかがでしょうか。
○簑原肝炎対策推進室長 すみません。広島の状況については、今、把握できておりませんので、また自治体にお聞きをして把握をさせていただきたいと思います。
また、埼玉のような取組は非常に有用かと思いますので、フォローアップの状況等を把握していく中で各都道府県の状況をお聞きしますので、それを自治体にフィードバックできるような形で各都道府県の取組が推進されるようにしていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○米澤委員 ありがとうございます。
○小池会長 出田委員の先ほどの質問はまだ調査中ですね。
○簑原肝炎対策推進室長 すみません。失礼いたしました。
参考資料6に肝炎対策の取組状況等についてという一覧表をつけておりまして、かなり小さい字で大変恐縮ですが、6ページ目の左のほうですが、協議会の状況ということでメンバーのことが書いてございます。今、でてきているところでは佐賀県でありますとか兵庫県が患者会、また、長野県も患者会というふうに、あとは滋賀県のほうですか。そういったところが書いておりますので、こういったところで患者さんの方々も参画をいただいているところでございます。
また、今後につきまして、今、御指摘もございましたので、患者の団体の方がどれぐらい入っているかというのはその他の中からまた抜き出して把握できるように改めて対応していきたいと思います。
以上でございます。
○出田委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございます。
それでは、米澤委員の次の質問に参りましょうか。
○米澤委員 あと2つあるのですけれども、1つ目は肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業のところ46ページです。4月から陽子線と重粒子線治療が保険適用になることが決まっておりますが、この治療を年間何度もというのは少し難しいかもしれませんが、この治療についてもこの医療費助成の対象になるかどうかを伺いたいと思います。
○簑原肝炎対策推進室長 よろしいでしょうか。
○小池会長 どうぞ。
○簑原肝炎対策推進室長 まだ正式にお示しできていませんが、対象になる形になります。
○米澤委員 ありがとうございます。
もう一個よろしいですか。
○小池会長 どうぞ。
○米澤委員 すみません。59ページ、肝炎医療コーディネーターの職種というところですが、先ほど少し御説明いただいたのですけれども、この59ページの右側に「患者の参画状況」というものがあります。コーディネーターの養成対象に患者が入っているかについて令和2年度は26都道府県ということで、これは少しずつ増えてきているのかなという状況ですが、先日、ある県の患者さんが、患者も養成研修会を受講させてもらいたい、患者も肝炎コーディネーターになりたいということで県に要望したら、医療者と違って守秘義務がないので駄目ですと断られてしまいましたというお話を伺いました。それから、患者がコーディネーターになっても活動せずに終わってしまうパターンが多いのではないかということですとか、そういった県側の意見によって患者が養成研修会を受けられない、患者がコーディネーターになれないところが複数あると伺いました。
研究班ですとか学会のメディカルスタッフセッションでも私自身は訴え続けているのですが、患者コーディネーターしかできないこと、例えば患者の気持ちを共有するといったいわゆるピアサポートのようなことはもちろん患者にしかできない大きな役割になるので、守秘義務が問題になるのであれば医療者とは別の枠で設けていただいて養成していただければいいかなと思います。埼玉県などはそのようなことを実施していると伺っていますが、ぜひそのような工夫をして、患者をコーディネーターとして養成していただきたいと思っています。
以上です。
○小池会長 事務局、お願いします。
○簑原肝炎対策推進室長 各都道府県の守秘義務について、どういう具体的なやり取りがなされたのか、十分に承知しておりませんので一概に申し上げられませんが、患者さんの方がコーディネーターになって活動する場所などによって守秘義務の要否といったことも大分変わってくる部分もあろうかと思います。そういったあたりはまさに指針で触れられております肝炎医療コーディネーターの活動状況をしっかり把握をするというところで、これを国として把握をし、各自治体にそれをまたフィードバックすることによって、患者さんがコーディネーターとして活動されているところの実態や、活動状況をしっかりと都道府県の方々に知っていただくことも大事なところかと思いますので、そういった形でしっかりと対策を進めていきたいと考えているところでございます。
○米澤委員 ありがとうございました。
○小池会長 どうもありがとうございました。
いかがでしょう。あとはよろしいですか。
及川委員、御質問ですか。どうぞ。
○及川(綾)委員 薬害肝炎原告団の及川です。
46ページの肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業についてなのですけれども、実績数につきまして、先ほど簑原室長から口頭で発表がございました。以前、坂上委員からも実績数につきましては質問があったと思いますが、患者団体としましては客観的に評価する材料としまして、やはり資料として頂きたい。暫定的で構いませんので、実績数を資料として頂きたいと思いますので、肝炎対策推進協議会で定期的に御報告していただけたらありがたいと思いますので、その辺、よろしくお願いいたします。
もう一点なのですけれども、この件に関して、やはり時間をかけてということを前回からお話をしていただいていることは重々承知しております。コロナ禍でということもございますのでというお話がありましたが、難しいかもしれませんが、大体いつ頃評価していければというお考えなのか、伺いたいと思います。
○小池会長 事務局、お願いいたします。
○簑原肝炎対策推進室長 1点目の実績値については、書面で報告できるように考えていきたいと思います。
2点目は、現状いつという形で具体的に申し上げるのは難しい状況でございますので、御了承いただければと思います。
○及川(綾)委員 分かりました。そのような状況になりましたら患者ともお話しさせていただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
○小池会長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 失礼します。日肝協の山崎です。
78ページと79ページの肝炎研究10カ年戦略について、B型肝炎患者の立場から意見があります。
79ページの肝炎研究推進戦略の目標の中で、B型肝炎については核酸アナログ製剤治療によるHBs抗原陰性化率の改善、現状約3%から約5%にするという目標が示されていますが、今後10か年に及ぶ戦略としては極めて不十分であると考えます。
78ページのこれまでの戦略では研究成果目標として、B型肝炎については「ウイルス排除を可能とする治療薬・治療法を開発し、臨床試験・臨床応用につなげる」と示されており、治療成績目標では「(1)抗ウイルス療法による5年後のB型肝炎のHBs抗原陰性化率 約6%→約8%」と示されておって、明らかに目標が後退していると考えます。
私も現在、核酸アナログ製剤を服用しており、かつてのように入退院を繰り返す生活が一変し、1日1錠のお薬を飲むことで安定した生活が営めることには大変感謝していますが、ウイルスがいる以上、発がんのリスクからは逃れられません。
全国のB型肝炎患者が望むのは、C型肝炎同様に、完全に体内からウイルスを排除できる薬です。B型肝炎患者は一日も早く、この薬ができることを切に願っています。よって、今後10か年の肝炎研究推進戦略の目標にはぜひともB型肝炎ウイルスの排除を可能とする薬の開発と掲げていただきたいと思います。ぜひともよろしくお願いします。
以上です。
○小池会長 事務局、お願いいたします。
○簑原肝炎対策推進室長 まず、創薬のところでございます。79ページを御覧いただければと思いますが「1.課題」の1で「B型肝炎」と書いてございますが、創薬に資する研究は引き続き重点課題ということで、今、御指摘のありました、ウイルス排除を可能とする治療薬の開発については、今までの計画と同様、しっかりと目標として掲げているところでございます。
また、具体的なアウトカムの目標でございますB型肝炎のところで、今、3%から5%の御指摘がございました。前回の計画のところは、78ページでは抗ウイルス療法というところでインターフェロン治療のところがかなり加味されて、数字としては、その当時は6%から8%というふうに値を定めていたところで、研究戦略につきまして、戦略会議で様々御議論いただいて、現状は核酸アナログ製剤がメインになっているところもございまして、そういった足元の実態を加味すると、3%から5%という目標が適切ではないかと御議論いただいたところでございます。
また中間年等で御議論を検討させていただく形になろうかと思いますので、随時、足元の状況なりをしっかりと見させていただいて、この戦略等については随時チェックをしていくという形で対応させていただきたいと思っております。
○小池会長 要するに、ウイルス排除を可能とする治療薬・治療法の開発は引き続き重要目標として掲げられるということですね。それには変更がないということですね。
○簑原肝炎対策推進室長 はい。そちらは変更ございません。
○山崎委員 ありがとうございました。非常に現実的な目標の設定かもしれませんが、B型肝炎患者としてはやはりウイルスを排除できる創薬を期待して待っておりますので、ぜひとも早期に開発できるようにどうぞよろしくお願いいたします。
○小池会長 あとは後藤委員ですか。
○後藤委員 日肝協の後藤千代美です。よろしくお願いいたします。
78ページ、79ページの肝炎研究10カ年戦略の肝硬変・肝がんについてです。
私は日肝協の埼玉県に所属しています。最近、埼玉の役員の中で2人が亡くなりました。肝がんの再発を繰り返して、その方は医療費助成を受けられることを長いこと願っておりましたが、かなわず亡くなりました。また、ほかにも肝がんがベースで多臓器に転移されて亡くなりました。
肝がんは再発を繰り返すので、患者としては心身ともに経済的にも不安と恐怖の闘いです。重度の肝硬変の方はウイルス排除の経口薬を服用できないので、がんにならないための治療薬と肝がん再発予防の研究・治療法を、こちらのページに掲げてある戦略目標を今後も力を入れてお願いしたいと切に願っております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
○簑原肝炎対策推進室長 まさに今の御指摘の点は重要な点で、御指摘いただいたように、重要な目標として掲げさせていただいているところでございますので、この目標に基づきましてしっかりと研究等を推進していきたいと思っております。
以上です。
○後藤委員 ありがとうございました。
○小池会長 ありがとうございます。
そろそろ、予定の時間に近づいておりますが、あとはよろしゅうございますか。
では、もし御質問がなければ次に移りたいと思います。
それでは、次は議題(3)「研究報告について」でございます。国立病院機構長崎医療センターの八橋弘先生から研究成果の御発表をいただきます。
では、八橋弘先生、よろしくお願いいたします。
○八橋参考人 長崎医療センターの八橋です。スライドを共有したいと思います。
今日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。
私の研究班は「ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究」ということで行っています。患者さんの人権を扱う研究班ということで、本日は、その研究内容を発表したいと思います。
まずは研究班の目的ですけれども、肝炎対策基本法には、肝炎患者さんに対する差別偏見が問題であることと、人権を守ることが明記されています。今回、この研究班では偏見や差別を解消するために、特に最近、若い方がソーシャルメディアを使われているということを考慮して、ソーシャルメディアを有効活用することで医療従事者とか高校生などの若年層を対象に啓発活動を行うということを目的とした研究班でございます。
研究組織の代表は私が務めていますが、あと、東京大学の感染症学会の理事長をされています四柳先生。今日の委員でもある東京肝臓友の会の米澤さん。弁護士の中島先生。全国B型肝炎訴訟九州原告団の梁井さん。今日の委員でもある薬害肝炎全国原告団の及川さん。それと朝日新聞の元編集委員で肝炎の記事をよく書かれてこられた浅井さん。あと、国府台病院の是永先生と、佐賀の肝疾患センターの磯田先生に入っていただいて、このメンバーで研究班を行っています。
主に3つのことを活動しています。まずはホームページを立ち上げる、後ほど御説明したいと思います。もう一つは公開シンポジウムの開催ということで、コロナ禍で初年度は難しかったのですけれども、今年度は2週間前に東京で開催しました。それも後ほど報告したいと思います。3番目が患者アンケート調査で、多数の方を対象としてアンケート調査をおこなっています。
まず、ホームページですが、これは実際のホームページのトップページです。ウイルス肝炎、ウイルス肝炎患者さんについて理解を深めていただきたいと考え、理解度クイズというものと差別偏見の相談事例を御紹介しています。コンセプトは、「ひとりで悩まないで」です。悩んでいる方が、このホームページにたどり着くことで、問題の解決の糸口にならないかと思っています。
理解度クイズですが、これはどちらかというと、感染性について、一般の方や学生さん、医療従事者も含めて、どの程度理解されているかを御自身で確認していただきたく、クイズ形式で正解を理解していただく形にしています。
例えば第3問なのですが「C型肝炎の患者さんと一緒に鍋料理を食べることになりました。食事をすることで、あなたが感染する確率はどれくらいであるか、1つ選んでください」。選択肢は、0%、2%前後、20%前後、80%以上、分からない、という5択になるのですが、正解は0%でございます。
実は、この問題は患者さんから寄せられた相談事例をそのまま問題にしています。正解を知るとともに解説を読むことで、C型肝炎は血液や体液を介して感染するのであって、食事とか鍋料理を食べることで感染することはないということを明確に理解いただきます。
実はこれはホームページに載せる前に2万人近くの方を対象としてデータを収集しました。対象者別に正解率を分析すると、医師では91.1%が0%と答えているのですけれども、看護学生の場合は30%しか正解率がないということです。病院職員でも職種によって正解率が大きく異なり、事務の方は一般国民の方とみなしていいのではないかと思うのですが、そのように解釈すると、一般の国民の多くの方で、鍋料理でC型肝炎にかかるかもしれないと思っているかもしれないということです。
大変興味深いのは医学部の学生の正解率です。医学部学生1年生だと正解率は18.5%なのですが、6年生では99.1%で、学年が上になるにつれて正解率がアップします。C型肝炎がどのような病気で、どのようにして感染するのかということを医学部の授業の中で学習します。感染症を正しく理解することが、差別偏見を回避することにつながるのではないかと考えた次第であります。
第4問ですが、これは少し難しい問題です。「C型肝炎の患者さんを刺した蚊が、次にあなたを刺しました。あなたがC型肝炎に感染する確率はどれくらいであるか」という問題で、同じように選択肢は5つあります。
蚊に刺されると蚊は人の血を吸う。それがC型肝炎の患者さんに刺した後、自分を刺すとなると、C型肝炎ウイルスがその蚊の中に入っているのであれば、蚊で感染するのではないか。一般の方が、そのように考えるのは不思議ではないのかなと思います。研究班としては、蚊の生態も含めてで、その点を明確にしました。B型肝炎も蚊で感染することはありません。ただ、肝臓専門医にも、この問題を同様に尋ねた時、蚊を介して感染する可能性があるのではないかという意見を複数お聞きしました。研究班として、これは明確にしないといけないと思いました。
正解率を職種別に検討しました。医師でも正解率は62%で、約4割の方では蚊で感染するかもしれないと理解されていたということであります。医学部の学生に関しては、学年が進むにつれて正解率は高まるのですが、1年生だと2割ということで、8割近くの学生が蚊で感染するかもしれないと考えています。C型肝炎の方の隣に座っていて蚊が飛んでいると、蚊を介して感染するかもしれないと多くの一般の方は思われているのだということが分かりました。
今から45年前ぐらいの古い論文を紹介します。B型肝炎の患者さんに御協力いただいて、患者さんのご自宅にいる蚊を集めて、どの程度、HBs抗原、B型肝炎の作るたんぱくが検出されるかということを検討した論文がございます。これによると、B型肝炎の患者さん11例の方の協力をえて、家にある蚊を捕まえてくると、11例中10例の方で、蚊の中にB型肝炎の抗原が見つかったということです。一方、B型肝炎に感染していない3例では誰もHBs抗原は見つからなかったということであります。
これは、蚊の中にウイルスのたんぱくがいることを明確に示した論文です。その当時、似たような報告は海外からもありまして、今から40~50年前は、蚊で肝炎が感染するではないかと考えられていたことが分かりました。
しかし、最近の知見では、蚊を介して肝炎は感染しないことが明らかとなっています。これはアメリカの医学系の情報ホームページからの引用ですが、2020年に、蚊によって肝炎が広がらないことが論理的に説明されています。
蚊は、血を吸うのですが、蚊が注入するものは蚊の唾液であること。蚊の針は1本に見えますが、その中に実は6本の針が隠れてあって、唾液を出す針と血液を吸う針は別にあることが分かっています。血を吸うのは雌の蚊でお産の時にだけに限定されること、雄の蚊は血を吸わないこと、また、蚊は連続して人から血を吸わないことも分かりました。
蚊で広がる病気として有名なのはマラリアとか黄熱病なのですが、これは蚊の唾液を介して感染するということがわかっています。蚊で感染する病原体は、血液ではなくて唾液の中にいるというのがポイントかと思います。
また、蚊には肝臓がないので、蚊の中で肝炎ウイルスは増えることができないということです。
蚊は、いわゆる昆虫の仲間になりますが、HIVも昆虫や蚊を介して感染しないことが確認されています。このような理由で肝炎は蚊では拡がらないことが明確に示されています。
日本では、今までこのような情報提供がなされていないことから、この研究班ではこのようなことも広報してゆきたいと考えています。
もう一つは差別偏見事例についてです。現在までに11事例を紹介しています。これは実際に患者さんから寄せられた事例です。米澤さんに御協力いただきまして、東京肝臓友の会でよく相談を受ける事例を取り上げて、研究班員で回答しました。肝炎患者さんで悩みごとがありましたら、ぜひ、このホームページを見ていただいて、心配なこととか困っていることが、ひょっとしたらホームページでの紹介事例と重なっていると参考になるのではないか、解決策が見つかるのではないかで思っています。
例えば、C型肝炎の方で、今はウイルスが排除されている状態です。元C型肝炎の患者だが、元の病名だけで歯科診療を断られた場合、どうすればいいかということです。研究班としては、治癒した状態であれば、C型肝炎と言わなくていいだろうと提案しています。しかし、コメントは医師の観点と患者さんの観点とで若干ニュアンスが違いますので、そのため、コメントする者の立場も踏まえて、幾つか複数回答にしているものもあります。
もう一つは患者アンケートです。アンケート調査結果について少し御紹介したいと思います。
実を言うと、患者アンケートというものは2012年に一度行っています。今から10年ぐらい前になるのですが、そのとき、肝炎患者さんの困っていることは何かということを調査しました。その後の治療法の進歩によって、C型肝炎に関してはウイルス駆除が可能となりました。C型肝炎ウイルスの排除が困難だった2012年と、ウイルス駆除がほぼ95%可能になった現在では、肝炎患者さんの困っている内容も少し改善しているのではないかと期待しながら検討しています。
2012年の調査で、肝炎患者さんの差別偏見の頻度は16.3%で、C型とB型の比較では、C型よりB型の頻度が高くて、男性よりも女性が差別偏見の頻度が高いことを確認しています。
今回、新たに2021年から調査を行っていますが、まだ回収自体が十分ではないことから、中間成績として御紹介します。
まず、差別偏見で嫌な思いをしたことがあるかということに関して今回調査したのですが、16.2%でありました。16.2%が高いか低いかというのはちょっと微妙ではあるのですけれども、ただ、これは2012年の頻度も16.3%でしたので、ほとんど頻度としては変わっていないということが分かりました。
ただ、嫌な思いをした時期について、昔のことなのか、現在も続いているのかということを今回、追加でお尋ねしました。そうしますと、82%の方が昔のことであり、現在も続いている方が17.8%ということが今回新たに分かった次第であります。過去のことはエピソードとしては消せないということかと思います。また現在も嫌な思いをされている方もおられることがわかりました。
それとは別に、差別偏見のエピソードはないのだけれども、やはり肝炎ということでいろいろな気を遣わないといけないことがありますか?ということをお尋ねすると、34%の方があるという回答でした。実際、体験しなくても心の中で、やはり肝炎であることで、どうしても躊躇せざるを得ないことがあるという頻度が3人に1人であるということが今回新たに分かりました。
悩みやストレスに関しては3割ということで、これは前回の頻度は47.6%ですので、統計的なものは処理していないのですが、頻度としては低下しているだろうと考えています。
それと、悩みを誰に相談するかということに関して、最も多いのが家族と医師でした。数字として1つ注目したいのが、誰も相談する人がいないと回答された方の頻度が2012年は16%だったのですけれども、今回の調査では9.2%でした。肝炎相談センターの設置など、以前に比較すると相談できる方にアクセスしやすい世の中になったのかなと考えています。
2012年の調査、2021年の調査、差別偏見のエピソードの頻度は16.3%と16.2%と変わっていませんが、内容を分析するとウイルス排除が可能となって一部改善したところもあるようです。しかし今でもウイルスが排除されても診療を断られるというエピソードがあり、もう少しきめ細やかに分析したいと考えています。
次に、公開シンポジウムです。コロナの流行以後は、実施できなかったのですが、3月6日、今から2週間ほど前になりますが、東京で公開シンポジウムを開催しました。感染対策として、参加者全員、事前にコロナの簡易抗原検査キットを送付して、陰性確認していただいて参加いただきました。
参加数は40名前後で、多くはなかったのですが、歯科医の先生方も来ていただきました。肝炎患者さんやその御家族にも来ていただきまして、対面でお話を聞くことができ、いろいろな御意見を聞くことができました。やはりいまだに歯科診療で断られることがある、病院での検査で順番を最後にされるということが、現在もあることが分かりました。
とても印象的だったのは、4年前、お産をするときにB型肝炎であるということで、病院の中で病室にいわゆる赤いテープを貼られたということをお聞きしました。恐らく、これは今、コロナ診療で良く用いられているゾーニングの手法です。いわゆるレッドゾーン、イエローゾーン、グリーンゾーンなどコロナ診療では感染性に従ってエリアを分けるということは一般的におこなわれています。この手法を妊婦である肝炎患者さんに対しておこなっている施設があるのだと私は理解しました。コロナと肝炎は、感染経路も感染性も全く異なります。しかし感染者に対する対応ということで病院の中で混乱があるのではないか思います。今は感染対策をしっかりしなければいけないという世の中ではありますが、ゾーニングエリアの中にいる対象となった患者さんが、どのような気持ちになるのか、どのように思われるのか、という想像力を持つことが医療者にとっては必要ではないかと思います。妊婦である肝炎患者さんに対してゾーニングという手法を適応するのは、ナンセンスであることを改めて申し上げます。3月6日の公開シンポジウムで、このような事例があることを紹介いただき、このようなことが現在も続いていることを知り、考えさせられました。
これは公開シンポジウムの一番に最後に使用しているスライドと同じものです。本日のプレゼンの最後のスライドになります。肝炎ウイルス患者さんに対する差別偏見を減らすために必要なことということで、私たちの研究班では3つのことを提言しています。
まず、差別偏見の実態を明らかにする。どのようなことが肝炎患者さんに対して行われているのか、どのようなことで困っているのかということを明確にしたいと思います。
差別偏見をなくす為には、感染経路とか感染性について正しく理解することが大切だと考えています。食事とか蚊では、肝炎は感染しないことを理解することだけでも、差別偏見の行動が減少するのではないかと考えています。
一般市民に向けての学習教育も考えています。患者さんからのお話をお聞きすると、今でも病院に行って対等に扱っていただけないことをお聞きします。社会としてのいろいろな仕組みを構築する、これは医療者も患者さんも共に考えながら実現化することが必要ではないかと考えています。
研究班としては、多くの方の協力を得ながら、一生懸命やってはいるつもりなのですが、まだまだ社会全体を変えるには時間とエネルギーが必要、まだまだやらないといけないことがたくさんある、そのような思いで研究班活動をおこなっています。
最後まで御清聴いただきありがとうございます。
○小池会長 八橋先生、どうもありがとうございました。
今日は八橋先生の厚生労働省の研究班の成果として、ホームページあるいはソーシャルメディアを使った、偏見差別を防止するための方策、それから、患者アンケート調査、そして、公開シンポジウムの成果について御発表いただきました。患者アンケート調査も大変貴重な情報を教えていただいたように思います。
それでは、ただいまの御講演、御説明に関して、何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
郡山委員、どうぞ。
○郡山委員 ありがとうございます。鹿児島大学の郡山と申します。八橋先生、非常に興味深いお話ありがとうございました。
最後のほうでも先生が少し触れられていた、歯科の先生の治療で結構、患者様が困っていらっしゃる状況があるということですが、先生が御発表の中で示された、例えば先生方がつくられた質問に対しての医療従事者、職種別の回答率。その中に歯科医師の方がいらっしゃらなかったので、やはり現在の歯科医師の先生方がどれぐらいの認識を持っていらっしゃるのか、あるいは歯学部での教育課程において、どのような、医学部と多少違うのではないかということもありますので、その辺の現状を何か一つ調べられてもいいのかなと思いました。それが一点。
もう一つ、やはり歯科医師の先生方も実は困っていらっしゃるというか、どこかに相談したい、あるいは悩んでいるけれども、どうしたらいいのか、困っていらっしゃる先生方も実は多いのではないかと思いますので、またその辺も先生方の研究班で何か御検討いただければいいのかなと思いました。
今日はどうもありがとうございました。
○八橋参考人 ちょっとコメントよろしいですか。
○小池会長 どうぞ。
○八橋参考人 歯科医師の先生方に対する調査は、このときは行っていないのですが、実はその後、名古屋市立大学の井上貴子先生が、この研究班と同じアンケート調査用紙を用いて数百人規模で歯科医師の先生方を対象として調査を行われています。その調査結果を拝見させていただいたのですが、それほど正解率は悪くなかったと記憶しています、恐らくは歯科医師の中でも良く理解されている方と理解されていない方とばらつきがあるのだろうと思います。またこれは明確には分からないのですが、比較的若手の先生方では理解度が高くて、若干年配の先生方では標準予防策の理解が足りないのではないかといった印象を持っています。その傾向は医師も同じなのですが、医師の中での専門性とか年齢層とか、あとどの時期の学校教育だったのとか、そのあたりで理解度に差があるのではないかと思っています。
ありがとうございます。
○郡山委員 ありがとうございました。
○小池会長 ほかはいかがでしょうか。
坂上委員、どうぞ。
○坂上委員 読売新聞の坂上といいます。八橋先生、そして、研究に携わった皆様、本当にありがとうございました。勉強になりました。
先ほど厚労省から、令和2年度の国と自治体の取組の中で、協議会で討議されたテーマの調査結果が紹介されましたが、差別偏見をテーマにした都道府県は一つぐらいしかありませんでした。協議会の中で差別の問題については話し合われていないのかなと、ちょっと心配になりました。ぜひとも今回の結果をフィードバックしていただき、単にホームページに出すのではなくて、やはり協議会の皆様に見てもらって、地域で一般の皆さん、県民の皆さんに発信をしていただければと思います。
よろしくお願いします。
○八橋参考人 ありがとうございます。
実は、今日の協議会で発表する機会を与えていただいたこと自体が、とても有意義で大切なことになったのでないかと思います。今日の協議会ではいろいろな方に参加して頂き研究班の活動状況を報告できて良かったと思っています。この活動を少しずつ広めていきたいと思います。
ありがとうございます.
○小池会長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、八橋先生、どうもありがとうございました。
○八橋参考人 どうもありがとうございました。
○小池会長 その他のことで委員の皆様からこの場で何か御発言したいことがございましたらお願いいたします。
よろしいですか。
もしないようでしたら、あと、事務局から連絡事項等ございましたらお願いいたします。
○簑原肝炎対策推進室長 本日は、長時間にわたりまして誠にありがとうございました。
次回の開催日程につきましては、後日、事務局のほうから調整の上、御連絡をさせていただきたいと思います。
以上でございます。
○小池会長 それでは、閉会とさせていただきます。本日は、どうもありがとうございました。
 

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健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

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