2023年3月1日 第1回賃金構造基本統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和5年3月1日(水) 9:56~10:56

場所

オンライン会議

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  土屋 隆裕
  •  樋田 勉
  •  原  ひろみ
事務局
  •  岸本政策統括官
  •  田中政策立案総括審議官
  •  牧野参事官(企画調整担当)
  •  藤井統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  角井賃金福祉統計室長

議題

  1. 1 賃金構造基本統計調査について
  2. 2 標準誤差率の算出について
  3. 3 その他

議事

議事内容

○藤井統計企画調整室長
 皆様、おはようございます。定刻より早いですが皆様お揃いのようですので、ただいまから第1回賃金構造基本統計調査の改善に関するワーキンググループを開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席を頂き、誠にありがとうございます。私は統計企画調整室長の藤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は本ワーキンググループ初回の開催となりますので、委員の方々の紹介をいたします。参考資料8に本ワーキンググループの設置要綱を付けておりますので、御覧いただければと思います。当ワーキンググループの構成員及び主査は、第26回厚生労働統計の整備に関する検討会において、座長から指名されております。各構成員の皆様方の紹介をいたします。慶應義塾大学商学部教授の風神委員です。明治大学政治経済学部教授の加藤委員です。加藤委員におかれましては、本ワーキンググループの主査を引き受けていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。横浜市立大学データサイエンス学部教授の土屋委員です。獨協大学経済学部国際環境経済学科教授の樋田委員です。最後に、明治大学政治経済学部准教授の原委員です。委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に事務局の紹介をいたします。政策統括官の岸本です。政策立案総括審議官の田中です。企画調整担当参事官の牧野です。審査解析室長の渡邉です。賃金福祉統計室長の角井です。それでは、会議の開催に当たり、政策統括官の岸本から挨拶を申し上げます。
 
○岸本政策統括官
 本日はお忙しい中、皆様御出席いただき、ありがとうございます。委員の皆様には、日頃から厚生労働統計の改善について多大なる御尽力、御理解を賜り、この場を借りて御礼を申し上げます。
 賃金構造基本統計調査については、平成29年7月にワーキンググループを設置し、5回にわたって御審議を頂き、統計委員会から指摘のあった労働者数の推計方法、調査対象職種、学歴区分などに関する調査項目の見直しについて御議論いただいたことがあります。この内容については、令和2年調査から変更を行い、賃金構造基本統計調査の改善を図ったところですが、標準誤差率の算出方法など、引き続き検討すべき課題があり、この度また専門的な見地からの御議論、御助言を賜りたく、改めてワーキンググループを設置することといたしました。引き続き賃金構造基本統計調査の改善を図ってまいりたいと考えておりますので、どうか今回も活発な御議論を頂き、御指導いただければと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 
○藤井統計企画調整室長
 続いて、本日の出欠状況です。本日は全ての委員の皆様に御出席を頂いております。それでは、以後の進行については加藤主査にお願いいたします。
 
○加藤主査
 皆様、おはようございます。本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。本ワーキンググループ主査の加藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは議事を進めてまいります。本日の議題は、「1 賃金構造基本統計調査について」、「2 標準誤差率の算出について」、「3 その他」となっております。本日のワーキンググループは12時までを予定しておりますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定がある方は御退席いただいても結構です。
 まず、議事1の「賃金構造基本統計調査について」です。賃金構造基本統計調査は歴史のある調査ですし、過去、統計委員会等での指摘に対応するため、整備検の下にワーキンググループを設置し、いろいろな検討がなされてきたという経緯もあります。そこで、今後の議論に資するため、私から事務局に指示をし、現在の状況などを説明する資料を作成していただきました。事務局から説明をお願いいたします。
 
○角井賃金福祉統計室長
 資料については、資料1、資料2、参考資料、それから一番下に付けている席上配付資料があります。最初に、資料1、賃金構造基本統計調査における調査及び近年の見直しの概要並びに現行の課題から説明いたします。1ページ目は、調査の概要です。調査の概要については、まず調査の目的があります。主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態等の属性ごとに明らかにすることとなっております。次に調査事項及び時期ですが、毎年6月分の賃金について7月に調査をしております。客体数は約8万事業所、労働者は約170万人です。調査方法は本省から郵送で調査票を配布し、都道府県労働局及び労働基準監督署が郵送により回収していきます。回答については、オンラインでも可能になっております。それから集計・推計方法は御覧の通りです。
 右側は主な結果です。一般労働者と短時間労働者についての賃金額が書いてあります。短時間については、時間当たりの賃金として公表しております。主な利活用については、下を御覧ください。
 2ページ目は、近年の見直しの概要です。大きく2つに分けております。1つ目は令和元年調査の変更内容です。令和元年については、外国人の就労状況及び賃金の実態を的確に把握するため、調査票に「在留資格番号」を追加しております。調査票については参考資料1に付けております。少し細かいですが、後ほど御覧ください。経緯については、平成31年4月より出入国管理法の改正に伴う新たな在留資格による外国人の受入れが開始され、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の中で、「就労目的の外国人の雇用形態、賃金等を把握することができるよう統計の見直し等を行い、平成31年度中の実施を目指す」とされました。それを受けて、賃金構造基本統計調査で新たに在留資格番号を把握するということになりました。内容については、下にあるとおり、在留資格番号は28区分ありますが、それを6区分に集約して、集計・公表しております。これが令和元年調査の変更です。
 次のページが令和2年の調査です。先ほどの挨拶の中にもありましたが、前回のワーキンググループでかなり細かく検討され、それを踏まえて令和2年調査の変更をいたしました。まず復元方法の変更がありました。賃金構造基本統計調査については、まず「事業所」を1次抽出し、その事業所の中から「労働者」を第2次抽出する層化二段抽出法となっております。1次抽出については、母集団を都道府県、産業中分類、事業所規模別に層化し、一定の精度に基づき標本事業所数を決定します。その中から、各事業所については、参考資料2にあります「労働者抽出率」の表に従い、例えば2分の1でしたらその事業所の労働者数の2分の1の労働者を抽出してもらうということになっております。
 下段が復元倍率です。右側に変更前がありますが、変更前については、単純に事業所抽出率の逆数をそのまま有効回答事業所数に掛けて復元をしていましたが、変更後については、これに回収率の逆数を掛けて、より精度の高い復元にしています。労働者については、先ほど申しました参考資料2の抽出率の逆数をそのまま掛けて復元をしていたのですが、事業所の労働者数に対する記入された労働者数の割合の逆数により復元するということで、こちらも精度がより高くなっています。これが復元方法です。
 4ページは、調査事項及び集計方法の変更です。幾つかピックアップしますが、一番上の職種区分については、変更前は、事務系職種を除いた技能系に少し偏った129区分でしたが、これを事務系も含めた全ての職種、日本標準職業分類と整合的な職種区分144に変更しております。具体的には参考資料3にあります。2つ下の最終学歴については、4区分だったものを7区分に細分化しております。一番下の短時間労働者については、変更前は、比較的時給が高かった医師や大学教授等、時給ベースで3,000円を超えるような方を集計から除外していたのですが、それらを短時間労働者に含めて集計するということに変更しております。
 5ページには、これからワーキンググループで議論していただきたい項目を列挙しております。3つあります。1つ目は標準誤差率です。こちらは、前回のワーキンググループで指摘があった項目です。次の資料2で説明いたします。その下の2つ目が外国人労働者に係る国籍等の把握です。これは、令和元年の変更の際に、統計委員会からの答申の中で御指摘いただいたものです。1番目が、外国人労働者に係る調査事項について、「国籍」等の把握も検討すること、2番目が外国人労働者の在留資格に関連した集計事項について、性別、地域別等の集計の充実を図る余地を検討することとなっております。答申の内容については、参考資料4に付けております。
 こちらの外国人労働者については、現在、省内の職業安定局において、外国人をターゲットにした調査を検討しております。その調査で国籍あるいは賃金等も調査されますので、こちらの状況を見ながら検討していくのかなという感じで考えております。
 右側は、3つ目の集計要件の見直しです。これは特に総務省等の指摘ではないのですが、賃金構造基本統計調査の集計には集計要件というものがありまして、それが青色の中にあります。例えば一般労働者については、実労働日数が18日以上、1日当たりの所定内労働時間が5時間以上、所定内給与額が5万円以上の要件を満たした労働者を集計しています。昭和42年、49年などと書いてあるように、かなり古い時代からこの要件で行ってきました。この点については、室内でこの要件を整理したいと思いましたので、今回このワーキンググループの中で検討していただければと考えております。ちなみに、一番下にある表を御覧いただくと分かるのですが、どれぐらいの方が集計から外れているかを示していますが、一番上の令和3年で言いますと10.2%、令和2年で14.3%となっています。これは、コロナの影響が絡んでおり、18日以上に達していなかった方が大分いらっしゃったということだと考えられます。令和元年や平成28年を見ると1.5%や0.9%ということで、ほとんど影響はないのかなという感じがしておりますが、コロナなど大きなインパクトがあるような社会現象が起こると、この集計要件による影響を加味していかないといけないのかなという感じがしています。少し駆け足になりましたが、資料1の説明は以上です。
 
○加藤主査
 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問等、御自由に御発言いただければと思います。どなたさまからでも構いませんので、御発言がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○樋田委員
 御説明ありがとうございました。3点質問と意見を述べさせていただきます。まず、令和2年の調査では調査項目や調査方法の変更が行われましたけれども、回収状況や無回答の状況等、これまでと何か変化があったのでしょうか。例えば、職種の区分や役職の調査、学歴の細分化などが行われたわけですけれども、これらが原因で回収率が下がったり、未記入率が増えたりということがあったのか教えてください。
 それから、2点目なのですけれども、5ページ目の一番最後のところで、令和2年、令和3年で集計要件外の労働者数が増加しているということを御説明いただきました。近年の働き方の変化や、コロナ禍をきっかけにした働き方の変化があると思いますので、これらの状況をよく確認した上で対応する必要があると思います。まずは、どのような要件を満たさないことで対象外が増えたのかを確認する必要があるのではないかと思いました。
 それから、短時間労働者の丸3の集計要件についての感想なのですけれども、この調査では、賃金の調査が基本的な目的の1つなので、その賃金が低いと集計の対象から外れてしまうというのは、ちょっと違和感があると言いますか、検討する余地があるのかなというふうに思いました。どのような経緯でこの様な基準が設けられたのかということも含めて、次回以降で資料等を見せていただければと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。いかがでしょうか。
 
○角井賃金福祉統計室長
 御指摘ありがとうございました。最初の調査変更後にどういう変化があったかというところですが、回収率につきましては特段大きく変化があったということではなくて、70%程度で増減しているという感じです。70%は一応キープしておりますので、大きく減少したというところはありませんでした。ただ、質問項目が多かったというところは、職種のところでして、事務系等を除く技能系の129区分だったものが、ホワイトカラーも入ってきたというところで、実際に事業主のほうからのこういう人はどの職種になるのかというところが多かったという話は聞いております。その他につきましては、令和元年の在留資格のところにつきましても、初めてということで当時は例えば付け方が分からないとか、そういう質問があったと聞いております。
 それから、2点目の5ページの集計要件の所です。先生の御指摘のとおり、まず10%や14%になった令和2年、3年のコロナの影響のところにつきましては、もう少し慎重に分析していかないといけないのかなと考えております。その点は、どういう資料がいいのか等も含めまして、また先生方と御相談しながら、いろいろ検討していきたいと考えております。
 それから、3点目の集計要件の短時間の丸3の400円以上という所で、おっしゃるとおり、確かに400円未満だから外していいのかというような御議論もあるかと思います。20年前ほどから要件にしているようですが、資料では詳細不明と書きましたが、この辺はもう少し掘り下げてみて、当時の考え方等も含めて、提示していきたいと考えています。ただ、何分古いものですから、これといった明確なものが出てくるかはまだ現時点では分かりませんけれども、なるべく御議論しやすい形で我々も資料を提供していきたいと考えております。以上です。
 
○加藤主査
 樋田先生、よろしいでしょうか。
 
○樋田委員
 はい、ありがとうございました。よろしくお願いします。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。原先生がちょっと早かったようで、原先生、お願いします。
 
○原委員
 外国人労働者に係る国籍等の把握のところで、別途調査が走り始めたということなのですが、参考資料としていつかどういう調査なのかをちょっと見せていただけると有り難いというのが1点目です。
 2点目が、集計要件の見直しのところです。樋田先生とも重なるのですが、やはり丸1から丸3という制限する項目があって、その中のどれが効いているのかというのは、やはり興味があるというか、議論する上で重要な情報になると思いますので、どの要件が効いて落ちる人たちが出てきているのかが分かると大変有り難いと思います。
 あと関連して、事務局の方から御発言があったので、それにかぶる形になるのですけれども、こういう要件が決まったということは、当時いろいろ議論があって、その中で妥当だと思われる議論が採用されて、こういう要件が採用されているのだと思うのです。なので、やはり当時何があって今こういうふうになっているのか、そして、当時と今で何が変わっているから変えなければいけないのかということを、きちんと精査する必要がある。なかなか過去のことなので昔の経緯はなかなか分からないということをおっしゃっていましたけれども、調べられるだけ調べていただいて、もし御提示いただけたら、私たちも有益な議論ができるかなと思っています。
 最後なのですけれども、またこの集計要件の見直しのところに関連するのですが、やはりコロナの影響で令和2年以降10%の欠落が出ているというところは、コロナの影響を否定できないという点は私もそうだろうと思うのすが、確認のためにコロナの前とコロナの後を政府統計を使って比べてみたらいいのではないかと思います。労働力調査とか、あるいは就業構造基本調査などというのも去年2022年に新しいものをやっていて、ワーキングの間にデータを使えるように、見られるようになるのかなと思うので、前後の比較をしていただいたりすると、ほかの調査との比較から見えてくるものもあるのかなと思いました。
 事務局にお願いすることばかりで恐縮なのですが、もしそういったものを資料として挙げていただけましたら議論がスムーズにできるかなと、今の御説明を聞いて思いました。以上です。
 
○角井賃金福祉統計室長
 ありがとうございました。まず、現在省内でやっている外国人調査につきましては、一部既に研究会などでの公表ベースがあると思いますので、そちらは後ほどお送りしたいと思います。
 それから集計要件のところです。まず、一般労働者の丸1、丸2、丸3でどれが一番効いているかというところなのですけれども、先ほど申しました令和2年、3年の調査で言えば、やはり丸1の「18日以上」、これが一番効いていました。労働日数が17日とか16日とか、18日に少し足りない方がいたかなという感じがしています。この辺につきましても、この集計要件の議論の中でやるときには、例えばヒストグラム的なものも提供できると考えています。
 それから、この18日とか5時間とかという要件の当時の考え方、こちらも、もう少し我々自身も知りたいところがありますので、もう少し過去のものについては調べてみたいと思います。ただ、昭和42年とか49年なので、先ほど申しましたけれども、どこまで明確なものが出せるかは、現時点では未定なのですけれども、なるべく頑張ってみたいと思います。
 それから、最後の令和2年、3年のコロナの影響ということがあるのですけれども、ほかの調査、労調とか就調という調査の名前が出ましたけれども、次の集計要件の議論のときには、こちらも一緒に比較した資料を作成したいと考えています。御指摘ありがとうございました。
 
○原委員
 ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。風神先生よろしくお願いします。
 
○風神委員
 私のほうからですが、まず最初に外国人労働に関することです。現在も1つ別の統計が検討されているということですが、そちらがもし外国人のみに限った調査であるならば、こちらの調査のほうは、同一事業所の日本人との比較なども可能なのかと思います。最終的にはいろいろなことを総合的に判断されると思いますけれども、もしこちらでは把握しないというのであるならば、外国人に特化した、あるいは特化しないにしても、もう1つの外国人を把握する調査とこちらの調査が、事業所番号であったり法人番号であったりといったもので接続できる形であると、利用者にとっては有益なのかなと思いました。
 また、国籍についてですけれども、これもいろいろ考え方があると思いますが、何のために把握するのか。例えば、日本に来る前にアメリカで経済活動を行っていて、生まれはインド人で、アメリカに渡ってアメリカ国籍を取ってから日本に来るという人と、生まれがインド人で、アメリカに渡ってアメリカで経済活動を行っていてインド国籍のまま日本に来る人、その差を見たいのか。あるいは、日本に来る前に、主に経済活動であったり教育をアメリカで受けたということを把握したいのであるならば、国籍ではなくなってくるので、別の聞き方になると思います。ただ、国籍のほうが把握のしやすさであったり、正確さということは出てくるのかなと思いました。
 また、短時間労働の要件についてです。現状ではまだまだ少ないのかもしれませんけれども、最近いろいろな柔軟な働き方ということが世の中で検討されていて、選択的な週休三日制を取り入れる企業などもあるときに、たまたま調査のときに例えば18日に満たない人であったと、そういった人を果たして短時間と捉えてしまっていいのかどうか。今後働き方自体も変っていく中で、適切な要件というものを考えていく必要があるのかなと思いました。
 また、これは感想になってしまうのですけれども、集計要件というものが、恐らく一般の人に分かりやすくなるように、Webでは、一般労働者は短時間労働者以外、短時間労働者と言ったら、1日の所定労働時間が短い、又は、1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ないと書かれているとは思うのですけれども、若干今お示しされた要件とは異なっているのだなという感想を持ちました。
 もう1つの標準誤差については、この後もう一度資料についての御説明があってからだと思いますので、そのときに発言したいと思います。以上です。
 
○角井賃金福祉統計室長
 ありがとうございました。まず、外国人の調査につきましては、御指摘のとおり、より具体的な形で、どういう形で省内の調査が出るかはまだ分かりませんけれども、外国人と日本人両方を調べるようです。一方で、賃金構造基本統計調査においては、同じ事業所の中で日本人と外国人を調べられるのですけれども、御指摘の接続ということであれば、法人番号などでリンクできると思います。ただ、法人番号は全ての事業所に付いているわけではありませんので、少し不備があるかもしれませんがそういう形では一応、接続はできるかと思います。
 それから、感想ですが、確かに安定局の外国人調査では、より精度が高い調査ができるかと思いますが、賃金構造基本統計調査の方は要らないかと言いますと、それは少し議論が必要かと思います。それぞれの調査が外国人の賃金を把握できても、一定期間は、両方の調査結果を見ながら、動きなどを精査する必要があると考えていますので、拙速に賃金構造基本統計調査の在留資格番号をどうするかというのは、まだ考えていません。
 それから、要件のところで、働き方の変化を考慮して検討する必要があると考えています。週休三日制以上の事業所割合はまだ少ないですが、これからいろいろな柔軟な働き方で増えていく可能性があります。そうしますと、要件の18日以上というのは、ハードルが高い可能性がありますので、この辺も含めて、集計要件の議論のときには、関連する資料を提示しまして、先生方に是非御議論いただければと考えています。
 あと、どういった御指摘がありましたでしょうか。
 
○風神委員
 あと、ホームページに出ている要件と、ここに挙がっている条件が若干異なるという、私の単なる感想です。
 
○角井賃金福祉統計室長
 ありがとうございました。この点は、我々のほうも見てみたいと思います。ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。風神先生、よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。土屋先生、お願いします。
 
○土屋委員
 御説明ありがとうございます。4ページ目に復元方法という令和2年度の変更内容がありますけれども、ちょっと気になりましたので、教えていただければと思います。第1次抽出、事業所の抽出が都道府県(47)×産業中分類(81)×事業所規模(8)別に層化ということがありますけれども、これを掛け算しますと3万456という数字になります。一方で、調査客体約8万事業所で回収率7割ということですから、5万から6万の事業所です。これを3万の層に平均に割り当てても、1つの層当たり2つの事業所という非常に小さな標本になってしまうと思うのですけれども、ここの点については、今後はどういう、このままでいくのか、あるいは見直しなど検討されているのでしょうか。あるいは、抽出の仕方が3万にも分けていないということなのでしょうか。 
 
○角井賃金福祉統計室長
 御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり、単純に掛けますと3万以上になるのですけれども、この都道府県の47区分につきましては、層化はしているのですが、産業と規模に係る精度計算では、都道府県はまとめた形になっていまして、産業81×規模8において精度が保たれるように算出しています。
 
○土屋委員
 はい、分かりました。では、また後ほど標準誤差のところでもう一度教えていただければと思います。ありがとうございます、以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。
 
○角井賃金福祉統計室長
 すみません、先ほどの私の説明が分かりにくかったので再度回答します。母集団事業所は何百万事業所とあるのですが、47×81×8の3万の層でまず母集団事業所をこの層に分けまして、そこから抽出はしています。当然、歯抜けの部分はありますけれども、歯抜けは歯抜けでそのまま処理しています。
 
○土屋委員
 そうしますと、母集団を約3万に層化をしているので、それぞれの層では母集団事業所は存在しているけれども、標本を抽出したときに層によっては標本となる事業所が存在しない層も出てきている。
 
○角井賃金福祉統計室長
 はい、そういうことでございます。
 
○土屋委員
 そうしますと、推計のときに、その辺りも、もしかするときちんと考慮していかないといけないのかなと思います。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。委員の先生方からは一通り御意見を頂いたかと思います。外国人労働者の調査の関係については、できれば次回その関係の資料を付けていただいて、もう一度皆様方に御説明いただけたらいいかなと思っています。
 また、先生方から御意見いただいたように、集計要件については、次回以降またいろいろと資料を示していただけるということかと思います。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。原先生、お願いします。
 
○原委員
 2回目で申し訳ありません。1点確認し忘れたのですけれども、外国人労働者の国籍の把握をしようと思うと、また質問が増えるわけですけれども、以前に質問票がいっぱいで増やす方向は難しいという御説明を受けた記憶があるのですが、まだ増やせる余地は実際にあるのですか。現在の調査票は詰まっていますが、増やす方向での議論をする余地はあるという理解でよろしいのでしょうか。
 
○角井賃金福祉統計室長
 御指摘ありがとうございます。調査票は参考資料1に付けていまして、一番右側の備考欄があります。備考欄はまだ余白があると言えばあるので、どうしても入れるということになりますと、こちらを少し削りながら入れるのかなと。ただ、国籍と言っても何十とありますので、それを番号化しながらやるのか、実際に書いてもらうのかというところによって余白の幅が変ってきますので、そこは議論の余地がありますけれども、全くないかというとそうでもないと考えています。
 
○原委員
 分かりました。ありがとうございます。次回、別の調査の御説明もあるということなので、そのときにまた議論させていただければと思います。ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次の議事に移りたいと思います。続いては、議事2の「標準誤差率の算出について」です。資料について事務局から御説明をお願いします。
 
○角井賃金福祉統計室長
 続きまして、資料2の標準誤差率の算出について御説明いたします。1ページ目です。最初に、賃金構造基本統計調査につきましての現在の達成精度に係る誤差率の計算についてです。副標本方式を取っています。副標本方式につきましては、ここにありますとおり、まず個票データを任意の5つの組(副標本)に分けます。そして、それぞれの平均値と全体の平均値の分散、これから出しているところです。より具体的には、副標本の組、事業所ごとに1番、2番、3番、4番、5番と番号を付け、それぞれ1番なら1番の平均値を出していきます。見てのとおり、これは比較的単純で簡単なやり方になっています。それに対して、分散推定方式、これから御議論いただくところですけれども、こちらにつきましては、層化二段抽出により抽出した標本の分散を理論式から推定します。実は、標本設計するときは、この分散推定方式の形を使っているところです。具体的な計算式につきましては参考資料5に付けていますので、後ほど御覧いただければと思います。
 2ページ目です。副標本方式と分散推定方式の特徴が書かれています。副標本の長所につきましては、先ほど申し上げたように、計算が非常に簡便だということです。当時、古い話ですけれども、まだメインフレームの時代で、省内のコンピュータで処理していたということがございます。当然、計算スピードが遅いということがありますので、この簡便な方法をやっていたということだと思います。短所につきましては、留意点と言ったほうがいいかもしれませんけれども、副標本の組数が少ない場合あるいは組み替えた場合は誤差が安定しないということがあります。そういうことがありますから、どの副標本にも同じ性質を有することが必要で、そのためには一定の大きさの標本が必要になってきます。ただ、下の※に書いてあるとおり、賃金構造基本統計調査だけでなく、例えば労働力調査、就業構造基本調査などでは、副標本で算出しています。
 それから、分散推定方式です。こちらの長所は、理論式に基づいた計算ができるということです。計算は少し面倒になりますけれども、現在のコンピュータを使えばそれほど難しくないと考えています。それから短所は、これも留意点に近いのですが、多段抽出など複雑な標本設計を行っている場合については、この立式を最初に組まないといけないのですが、それが複雑なので困難度が増すことと、集計区分ごとに集計条件の設定を行う必要があって煩雑さがあることです。ただ、一度組んでしまえば、コンピュータによる計算なので、ここでの短所に当たらないかもしれません。これが特徴です。
 3ページ目です。具体的に比較をしたらどうなるかというのがこちらになります。参考資料6-1と6-2に、より具体的に細かいものがございますけれども、ここでは抜粋しています。上段が一般労働者、下段が短時間労働者になっていて、5年の推移になっています。表が細かいですが、誤差率の比較として副標本と分散推定の数字がございます。左側の2017年からありますけれども、例えば副標本は0.16になっています。これが2018年だと0.58、次が0.48、0.75、2021年が0.41と、一定の範囲に入っていますが数字が少しぶれている感じがしています。一方、分散推定にしますと、0.27から始まって0.30、0.27、0.32、0.27と比較的安定した数字になっています。産業分類別については、サンプルサイズなどの影響で副標本と分散推定で数字が多少ばらけるところもありますけれども、おおむね全体的に見ると乖離はないと考えています。今、少し申し上げましたサンプルサイズにつきましては、席上配付資料にあります。これも少し細かいですが、都道府県別、企業規模別・産業大分類別のサンプルサイズで、事業所数と労働者数のものを付けていますので、後ほど参考に御覧ください。これが両誤差率の比較になります。
 最後、4ページ目になります。これまでのところをまとめたものです。今後の達成精度における誤差率の算出にあたってはということで、丸1~丸4がございます。丸1につきましては、前回のワーキンググループで、厳密な手法である分散推定方式が望ましいとして、早期に移行を目指すことが指摘されました。丸2につきましては、分散、副標本ともに成果については大きな乖離はないということです。丸3につきましては、抽出のときの方式と達成精度の方式が違うのはどうかというところで、我々としては、同一方式がいいのではないかということで書いています。丸4につきましては、システム環境、処理能力が今では十分であり、効率的にできることから、副標本方式から分散推定方式へ早期に移行することとしてはどうかとしています。下段に留意点があります。現在、賃金構造基本統計調査につきましては、業務委託により統計センターで集計しています。当然、我々が変更したいと思っても、先方がそれに応じてくれないといけないというところがありますので、調整が必要であるということです。したがって、移行につきましては最短で令和6年調査からになると考えています。私からは以上です。
 
○加藤主査
 御説明ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、分散推定方式に移行するということも含めまして、御質問、御意見等がございましたら御自由に御発言いただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。風神先生、お願いします。
 
○風神委員
 些細なコメントですけれども、頂いた資料で、一般労働者、短時間労働者、また産業別に、副標本のときと分散方式のときとで標準誤差を比較すると、短時間労働者のみで、C産業の鉱業とかP産業の医療のところが、ここ数年分で分散方式のほうが誤差の値が大きくなっていることが若干気懸かりではありました。しかし、事業所数は一般労働者と短時間労働者の両方とも少ないですが、短時間労働者のほうが労働者の数が少なくなっているので、御説明にもあったように、こういったことが発生するのかなと思いますし、ほかの産業等全体的に見ますと分散方式のほうが標準誤差も小さくなっていますし正確に取れるのかなと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。サンプルサイズの話も先ほどございましたが、それも含めましていかがでしょうか。樋田先生、お願いします。
 
○樋田委員
 御説明ありがとうございました。これまで行っていた副標本法というのは簡便な方法ですが、理論的な分散の式を使うのが難しいときに利用する方法として適切な方法だったと考えています。現在、システムの改修やコンピュータの性能の向上によって分散の式による計算ができるようになったということで、そちらに移行していくという方向性については適切なものだと思いますし、精度設計に使った式と同様の方法で達成精度を計算するという方向性も適当かなと思います。分散も推定しているわけなので、副標本法による推定値と公式による推定値、どちらが正しいのかを判断することはなかなか難しいところだと思います。副標本法の数字と分散の式による数字がずれているのは当然だと思います。達成精度の計算の結果を見ると、幾つかの区分で副標本法と分散式の計算結果に乖離があり、サンプルサイズが小さいと予想されるところで乖離が起きているように見えます。事務局のほうで計算される中で、何かこういったところでは乖離が起きやすいといった傾向があれば、計算方法を変えるときの対外的な説明としても必要になると思いますので、検討されてはいかがかなと思います。
 もう一つは、先ほどの土屋先生のお話とも少し重なるのですが、この統計は層の数が非常に多くなっていまして、実際の調査をすると回答数がゼロになる層が出てくると思います。そのゼロになる層をどのように扱うのかというのが、これまで明示的に示されてこなかったと思います。このゼロの層の扱い方というのを、きちんと決めておくことが必要ですし、これを適切に取り扱わないと、推定結果自体にも影響が出る可能性や、推定精度の計算にも問題が発生する可能性があると思います。この回答数がゼロの層の扱いについてご検討されていることがあれば教えていただきたいと思います。以上です。
 
○角井賃金福祉統計室長
 ありがとうございました。最初に御指摘いただきました分散推定と副標本の誤差率の比較ですが、御指摘のとおり、方式による乖離につきましては、サンプルが小さいことが効いていると思います。ただ、各産業別とか規模別など、より具体的に細かい分析等はしていませんでしたので、今の御指摘を踏まえまして、何が効いているのか、どういう影響でこの乖離が起きているのか少し分析したいと思っています。
 それから、ゼロセルにつきましては御指摘のとおりですけれども、ここの処理等は具体的にこうやっているということはございません。ゼロセルの処理につきましては、また先生からもいろいろ御指摘いただきたいと思いますけれども、どういう形にしていったらいいのかも少し検討してみたいと思っています。ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。樋田先生、よろしいでしょうか。
 
○樋田委員
 乖離についてはかなり難しくなると思いますが、いろいろデータを見ていただいて、どういった傾向があるのか、是非、調べてほしいと思います。また、回答数がゼロの層のほうがより重要な問題だと思いますが、土屋先生の御専門と思いますので、御意見を頂いて検討していただけたらと思います。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。土屋先生、御指名がありましたけれども、いかがでしょうか。
 
○土屋委員
 ありがとうございます。樋田先生に全ておっしゃっていただいたので、私も同意見です。まず、樋田先生がおっしゃっていた1点目の副標本と数式によるもので違いが出るのは、全くと言いますか、それは問題なくて、どちらが正しいというものでもありませんので、それなりに同水準であれば問題ないと判断できると思いますし、今後、分散推定方式に移行することにつきましても私も賛成いたします。
 一方で、標準誤差の算出の方法は、副標本の場合も数式を使う場合も、サンプルが小さいときには同じように問題が生じてくると思います。2枚目に副標本方式の式がございますけれども、平方根のルートの中の分母にK-1という式があって、層ごとに少なくとも副標本が2つは必要、つまり2つの事業所は必要です。事業所が1つ、ゼロですとそもそも計算できないですが、1事業所しかなかった場合も、副標本のこの計算式では計算できないので、もしそこがゼロになっているとしますと、標準誤差を過小に推定してしまっているかもしれない。さらに、樋田先生もおっしゃっていましたが、より重要な問題としましては、参考資料5に計算式があり、Tハットというのが合計の推定量になっていると思いますけれども、もしゼロというセル、層があったのだとしますと、合計に関しても過小推定してしまっているおそれがあるのではないか。ただ、平均にしますと、平均を求めるときの分母と分子の両方が過小になっていて、平均にしたときには問題はなくなっているのかもしれませんけれども、合計を出すときに偏りが生じてしまっていることによって、平均を推定するときにも、偏りが生じてしまっている可能性が全くないとは言えないのではないかと思います。ですので、標準誤差の算出式をどうするのかという問題もあるかもしれませんけれども、より重要な問題としては、ゼロになるセル、層が生じている可能性がある、そこに対してどう対処していくのかという問題、これが非常に重要な問題かなと思います。以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。いかがでしょうか。先生方の御意見として、分散推定方式のほうに移行するという方向は、その形でいこうと。ただし、1つは、サンプルサイズの違いがどれだけ副標本方式と違っているのかを確認すること。それから、一番大きいのが、ゼロとなる層の影響がどうなっているのかということかと思います。今回のワーキングの中では、まずは分散推定方式に移行することをお認めいただいた上で、今の宿題という形で引き取らせていただいて、今後、事務局のほうで精査をしていただこうと考えていますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。何か付け加えるようなことがございましたら、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、以上、申し上げましたように、標準誤差率の算出につきましては、事務局の御提案のとおり分散推定方式のほうに移行するということで、若干の宿題を頂いたというふうに考えて、どちらかと言うと、土屋先生、樋田先生から伺ったように、ゼロとなる層の問題のほうが大事だということもございますので、この点も含めて御検討いただくことで進めさせていただきたいと思っています。
 続きまして、議事3として「その他」となっています。事務局から何かございますか。
 
○藤井統計企画調整室長
 事務局からは特にございません。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。予定していました議事は以上となりますが、ここまでのところで、先生方、付け加えてお話しておくべき点、御意見、コメント等がございましたら、まだ時間が少しありますので伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。本日の議題は以上で全て終了となります。事務局へお返しいたします。
 
○藤井統計企画調整室長
 皆様、本日はお忙しい中、御出席いただき、ありがとうございました。これをもちまして、第1回賃金構造基本統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会させていただきます。次回以降の日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
 
(了)
 

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