令和3年度第7回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和3年5月24日(月) 10:00~12:00

場所

TKP 新橋カンファレンスセンター5A 会議室
(オンライン会議場)
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)

議事

○医薬品安全対策課長 それでは、時刻になりましたので、令和3年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開会いたします。御出席の先生方、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中御出席いただき、どうもありがとうございます。本日の調査会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、一般傍聴を制限させていただき、報道関係者の皆様に限り傍聴を可としており、カメラ撮りは冒頭から禁止とさせていただいております。議事録については後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。また、審議の方法についても、対面ではなくWeb開催としており、委員及び参考人の先生方は、外部より審議に御参加いただくこととなります。そのため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、これまでのWeb開催と同様ではありますが、議事に先立ち審議の進行方法について、事務局より説明させていただきます。

○事務局 それでは、御説明申し上げます。まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問をしていただく際には、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったり、音声のみでの判別が難しいほど混雑したりした場合には、一度発言を控えていただき、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。その他、システムの動作不良等がございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンする等のトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡する場合もありますので、その際は御確認をお願いいたします。御不便をお掛けする場合もあるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 それでは、ここからの議事進行については、調査会長の岡先生にお願いいたします。

○岡座長 岡です。よろしくお願いいたします。委員の皆様も、円滑な議事進行にどうか御協力をよろしくお願いいたします。まず、Web開催ということで、何かこれまでの御説明で御質問等はございますか。よろしいでしょうか。そうしましたら、まず委員の出欠状況等について、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 御説明申し上げます。本日の委員の出欠状況ですが、6名全員の委員に御出席いただいております。薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立することを報告いたします。

 続いて、参考人の先生を御紹介申し上げます。議題()「クロザピンの無顆粒球症等に係る血液モニタリング及び再投与について」の関係で、日本精神神経学会より、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部部長の橋本亮太先生、日本血液学会より、国立病院機構東京医療センター教育研修部長・血液内科医長の矢野尊啓先生に御出席いただいております。以上です。

○岡座長 よろしくお願いいたします。続いて、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。

○事務局 本日、御出席の委員及び参考人の方々について、議題()の対象品目・競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金、契約金等の受取状況を報告いたします。対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業については、事前にリストを各委員、参考人にお送りして確認いただいたところ、石井委員及び舟越委員より、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取りとの御申告を頂いております。よって、全ての委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも参加していただくことが可能です。また、参考人についても意見陳述が可能なことを確認しております。なお、これらの申告については、追ってホームページで公表させていただきます。

 続いて、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告申し上げます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを報告申し上げます。報告は以上です。

○岡座長 ただいま、事務局から御説明のありました審議参加に関する遵守事項についてはよろしいでしょうか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性も含めて御了解いただいたものといたします。

 それでは、事務局から本日の資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。資料は、あらかじめお送りさせていただいており、議題()に関して資料1-1から1-5があります。このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人一覧及び競合品目・競合企業リストをお送りしております。以上です。

○岡座長 よろしいでしょうか。お手元は御確認いただけましたでしょうか。それでは、議題()「クロザピンの無顆粒球症等に係る血液モニタリング及び再投与について」に進みたいと思います。審議を行いたいと思いますので、まず事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、御説明いたします。資料1-1を御覧ください。「治療抵抗性統合失調症」を効能・効果とするクロザピン(販売名クロザリル、以下、「本剤」)については、フィンランドにおける無顆粒球症の死亡例を受けて、海外で一時販売停止等の措置が取られ、当時、開発段階であった本邦での開発も中断され、その後、海外では、本剤投与による無顆粒球症の発現予防、早期発見等を目的とした患者モニタリングを導入することにより、無顆粒球症による死亡率を減少させることが示されたとして臨床開発が再開され、承認・販売されました。このような経緯があることから、本邦でも2009年4月の製造販売承認時より、無顆粒球症等の早期発見を目的として規定された手順であるクロザリル患者モニタリングサービス、以下「CPMS」と略しますが、CPMSによる患者モニタリングを主とした安全対策が行われております。

 血液検査の実施頻度について、現行の添付文書及びCPMS運用手順において、投与開始から最初の26週間は週1回、26週間以降は2週に1回と規定されております。また、無顆粒球症が発現するおそれがあるとして、添付文書の禁忌の項に、「CPMSで定められた血液検査の中止基準により、本剤の投与を中止したことのある患者」「無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者」が設定されております。CPMSで定められた血液検査の中止基準により中止した患者は、添付文書上は禁忌となっているわけですが、一方でCPMS運用手順では、資料1-1の2ページ目に記載の4つの条件を満たした場合に、クロザリル適正使用委員会における審議を行った上で、本剤の再投与を許容する場合があることが規定されております。クロザリル適正使用委員会というのは、CPMS運用の適正性の監視等を行う第三者委員会です。

 このような状況の中、令和3年3月、日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、日本臨床精神神経薬理学会及び日本統合失調症学会より、投与開始52週以降の血液検査間隔を4週に1回とすること、CPMSの再投与検討条件を緩和すること、無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者にも投与可能とすることを求める要望書が提出されました。学会からの要望理由を列挙しておりますが、主に、本剤が唯一の治療抵抗性統合失調症治療薬であること、無顆粒球症の発現頻度は、日本も諸外国も約1%であり、52週以降の発現は少なく、諸外国では4週に1回の血液検査間隔であること、現行のCPMS運用手順では、再投与を行う場合、CPMS登録医により本剤と発現した白血球数又は好中球数減少との関連が否定されている必要がありますが、関連がないと考えられても完全に否定することは難しいこと等が要望理由として挙げられています。

 調査結果を御覧ください。海外添付文書の記載状況や公表文献、本邦における無顆粒球症等の発現状況、再投与の状況等を調査いたしました。無顆粒球症等の発現頻度については、海外よりも本邦で高いとは結論付けられませんでした。当初は52週以降の血液検査間隔が2週に1回であった海外の複数の国・地域において、4週に1回と変更しても無顆粒球症等が増加したというような明らかな問題は報告されておりません。また、緊急事態宣言下において42日まで血液検査間隔を実際に延長した患者さんがいましたが、新たな安全性の懸念は見られておりません。再投与に関しては、国内外で実際に行われており、再投与例で明らかな問題は報告されておりません。無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴に関しては、過去にそのような既往歴があることがクロザピン誘発性の無顆粒球症のリスクであるという報告はなく、本剤以外の要因によると考えられる無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者が禁忌に設定されていない海外の複数の国・地域において、臨床上明らかな問題は報告されておりません。

 以上を踏まえ、対応方針を御覧ください。添付文書について以下の改訂を行ってはどうかと考えております。検査間隔について、「重要な基本的注意」の項に、52週以降は4週に1回の血液検査とすることが可能である旨を追記する。再投与については、CPMSで規定されている再投与検討条件の見直しについては下のマルで御説明いたしますが、まず現行の添付文書上で再投与は禁忌となっているので、禁忌の項の記載を「CPMSで定められた血液検査の中止基準により本剤の投与を中止し、CPMSで定められた再投与検討基準に該当しない患者」に変更し、重要な基本的注意の項に、再投与の可否については、CPMSで定められた血液内科医等と相談し検討するとともに、本剤の再投与を可能とする場合には、本剤の投与開始時と同様の血液検査モニタリングを実施する旨の注意喚起を追記する。「無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者」については、「禁忌」の項から削除し、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項にて、CPMSで定められた血液内科医等との連携の下で投与を行う旨の注意喚起を行うということです。

 具体的な添付文書改訂案は、資料1-2の33ページからお示ししております。また、CPMSで規定されている再投与検討条件については、CPMS登録医により本剤と発現した白血球数・好中球数減少の関連がないと考えられており、患者又は代諾者が本剤の再投与を希望し同意を得ているならば、再投与を検討できるように条件を変更してはどうかと考えています。御説明は以上です。

○岡座長 ありがとうございます。それでは、続いて本日御出席いただいております日本精神神経学会の橋本参考人より御意見を頂けますか。

○橋本参考人 国立精神・神経医療研究センターの橋本です。本日は、この場に呼んでいただき、ありがとうございます。それでは、治療抵抗性統合失調症に唯一適応のあるクロザピンというお薬なのですが、まず統合失調症の御説明をさせていただきます。幻覚や妄想などの陽性症状等があり、なかなか再発の多い病気でして、約3分の1が治療抵抗性と言われております。この病気は国内に約80万人ほどいると言われているのですが、精神疾患の中で病床数でいうと大体30万床ぐらい、全国は200万床あって精神疾患は30万床なのですけれども、そのうちの大部分が統合失調症ではないかと言われており、かなり重症度の高い疾患です。このような疾患で、治療抵抗性統合失調症はクロザピン以外の治療法がないと従来言われておりますので、我々精神科医としては非常に必要な薬です。

 それにもかかわらず、先ほどちょっと御発言がありましたけれども、2009年に日本で導入されたのですが、諸外国と比べて約20年遅れております。20年遅れているということもなかなか難しい問題があったからなのですけれども、その後も更に10年以上たつわけですが、普及がなかなか困難だという現状があります。10万人当たりでどれぐらいの普及がされているかというのを諸外国と比べた調査があるのですが、それによりますと大体10倍から100倍ぐらい諸外国では使われているのですけれども、日本は10分の1から100分の1ぐらいしか使われていないということがあって、なかなか普及しないという問題があります。その理由の1つとして、幾つか理由はあるのですが、諸外国とまだ規制のレベルがちょっと違うということがあります。諸外国でも実は、最初はいろいろ規制が厳しく始まって、実情、使っていった実績を見て変更するということが行われてきたのですが、日本はそれをこれからしていかないといけないという段階でして、例えば今日話題になっている2週から4週に変えるとか、再投与の問題とか、そういうものに入っているところです。

 ほかにも、日本独自の規定として、入院でしか開始ができないとか、そういうような独自なものもあります。いろいろそういう問題があって、なかなか日本では普及がされていないということがあります。実際にたくさんの患者さんから導入してほしいという声も聞くわけですけれども、なかなか導入が進まないということがあったりとか、実際に導入されている患者さんに我々が直にアンケートを取ったりもしたのですが、そういたしますと2週に1回で通院を必ずしないといけないというのは、非常に生活上困るというようなアンケートがあります。8割ぐらいの患者さん、御家族もそうなのですが、2週が4週になると非常にQOLが上がって、生活がしやすくなるという話も聞いておりますので、何とか精神科医療をより良くしていくために、規制の緩和を行っていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○岡座長 ありがとうございます。続いて、本日御出席いただいております日本血液学会の矢野参考人より御意見を頂けますか。

○矢野参考人 よろしくお願いいたします。矢野です。私自身が、先ほど橋本先生もおっしゃったように、2009年にこの薬が一応認可されて、CPMSシステムが導入されて以来ずっと関わってきておりますし、今回もPMDAから薬の細かいことを改訂して、もう少し現場の精神医療にこの薬が使えるようにということで、意見を求められてやってまいりました。確かにこの薬自身は、もともと統合失調症の薬、それこそ昔のフェノチアジン系の頃からやはり造血器障害はずっとあって、この薬を取ってみても確かにある程度の頻度で造血器障害が出ると。なおかつ、やはり問題は52週を過ぎてから4週間に1回というのが問題になっていますが、長期になった後でも少しそういった発症が起こるということがありますので、ある程度のフォローアップはやはり必要で、なおかつ長期フォローになっても一定の間隔で採血、血液検査が必要だろうと思います。

 もちろん、精神科の先生としてはいろいろなことを考えられると思うのですが、やはり患者さんにとっては、こういったいわゆる造血器障害が起こりますと、それが結構致命的なものになることがありますので、やはりある程度の間隔でやって、ちゃんとそれなりに早期の時期に発見していないと危ないということがあって、私自身は今回の4週ということを含めて大変妥当なタイミングであって、なおかつクロザピンというお薬の立ち位置を考えた場合に、やはり統合失調症の患者さんにとってはこれがないと、なかなかコントロールが難しいということも多々あると思いますので、非常にタイミングとしてはいいかなと思います。私としては血液学会を代表して、血液の専門医を代表して今回参加させていただいていますが、前向きの議論になるかと思います。以上です。

○岡座長 ありがとうございました。それでは、本件について委員の方から御意見、御質問等はありますか。伊藤委員からお願いいたします。

○伊藤委員 1つだけ確認させていただきます。再投与の所ですが、資料を拝見しますと、3ページの()で、血球減少の再発時期がより早いということが書いてあります。4ページの対応方針を見ますと、本剤再投与の場合に、本剤の投与開始時と同様の血液検査モニタリングを実施するとあるのですが、血球減少の再発がより早くてもモニターは同じということで大丈夫なのでしょうか。その辺り、もし分かりましたら教えていただけますか。

○事務局 事務局より御説明します。再投与時の血球減少の再発時期は、より早いというところは文献で報告はあるのですが、最初に投与するときは週1回の検査となっており、その週1回よりも更に頻回に検査をしなければいけないほど再発が早いなど、そういったようなデータはありませんので、初回投与のときと同じ頻度のモニタリングでよいかなと考えているところです。

○伊藤委員 参考人の先生方に、もしお伺いできたらと思ったのですが。

○矢野参考人 矢野ですが、よろしいですか。

○岡座長 では、矢野先生、お願いいたします。

○矢野参考人 血液の専門からしますと、もともと最初の投与のときは週に1回調べる。それから、1回トラブルがあった患者さんでも再投与する場合には、毎週調べるところからスタートするのがいいと思います。基本的に造血抑制ですから、例えば骨髄のほうで赤血球、白血球、血小板。血球の寿命を考えるとやはり一番トラブルが早いのは白血球。まあ血小板も近いですが、それを考えた場合に、多くは、例えば白血球では1週間なので、毎週測るということであれば十分で、さらにそれを例えば3日や2日などに短くする必要は私はないと思っています。よろしいでしょうか。

○伊藤委員 ありがとうございます。

○岡座長 ありがとうございました。柿崎委員、お願いいたします。

○柿崎委員 柿崎です。資料1-2の12ページに、日本での特定使用成績調査のデータがあるのですが、この特定使用成績調査では52週を超えての無顆粒球症の発症は1例もなかったようなのですが、この特定使用成績調査のとき、どのぐらいの期間までフォローアップしたのかということが1点。

 先ほど、参考人の先生から52週を超えても無顆粒球症を発症するケースがあるので、適切なフォローアップは必要というお話で、このフォローアップの期間というのは4週が妥当な線ではないかというお話があったのですが、その辺もう少し長くしてもいいなどではなく、4週辺りが妥当という判断でよろしいのでしょうか。

○岡座長 これは事務局、分かりますか。あるいは参考人の先生、いかかがでしょうか。まず特定使用調査の期間というのは事務局、分かりますか。

○事務局 今、確認中ですので、少々お待ちください。

○岡座長 分かりました。あと、4週間というのが適切なのかどうか、あるいは柿崎委員の御質問としては、例えばもう少し長い選択肢はないのかということも含めてですが、何かその辺りで参考人の先生から御意見はありますか。

○矢野参考人 矢野ですが、よろしいですか。

○岡座長 はい、矢野先生、お願いいたします。

○矢野参考人 なかなかこれは難しいところで、確かに時期がたってくると、やはり患者さん自身が2週間に1回とか1週間に2回では、もう到底、外来ベースではなかなか難しい。しょっちゅう採血されるということになると、なかなか大変だと思います。やはりそこまで血球減少の副作用の頻度がないので、そう考えていろいろ海外を見ると、海外ではやはり4週間に1回になっている。海外と日本では、こういったこの薬剤に関して起こる造血障害も余り頻度が変わらないということを考えると、正直に言って4週間というところがどこに根拠があるかというのは、なかなか難しいのですが、4週間というのはそれなりのコンプロマイズと言いますか、真ん中を取ったのかなと。本来は、もっと長くてもOKになるかもしれないので、これはもう一旦4週間にして、経過を見ながら、社会的な反応を見ながら、また変えていくということも視野に入れながらやっておくことなのかなという気はします。8週間となってしまうと、実際に患者さんは楽でしょうし、精神科の先生も楽でしょうが、やはり実際にどこで起こるか分からないところがありますので、患者さんの安全を担保という点では若干心配は残ります。やはりまず4週間というところに関しては、確かになぜ4週間かというのは非常に難しいと思いますが、妥当な線かなというふうに私としては考えています。以上です。

○柿崎委員 ありがとうございます。臨床の場で4週間が妥当という御判断で理解しました。

○岡座長 そのほか何かありますか。石井委員、お願いいたします。

○石井委員 はい、ありがとうございます。今の4週間のところで、私はこれで結構だと思いますが、有効性をモニタリングするのも4週間で大丈夫でしょうか。できれば、参考人の先生の御意見をお伺いしたいと思います。

○岡座長 橋本参考人、いかがでしょうか。

○橋本参考人 橋本です。ありがとうございます。有効性に関してですが、クロザリルが本当に有効なのかどうかというのは、どの時点で判断するのかということは、導入直後から考えないといけない問題です。実際問題として、抗精神病薬は一般的なのですが、2、3か月ぐらい診れば、大体有効かどうかという印象は分かるということは言われているのですが、実際の臨床試験なども大体8週から12週でされることが多いです。クロザリルの場合は、これは最後の薬ということがありまして、結構、長期的に診た研究がちょっと多くあります。半年ぐらいは、ちょっと診ないといけないのではないかというようなことは言われています。実際問題、私も何十人か自分で導入して診させていただいたのですが、半年ぐらい診て、2、3か月だとちょっとどっちか分からないというふうな患者さんも、半年ぐらい診るとやはりよくなっている。それがまた、1年、2年経つともっと分かるという患者さんもおられまして、それでも1年も診れば大体分かるようになってくる。そうなりますと、そこから先は頻繁に効いているのか、効いていないのかを診る必要も余りなくて、1月に1回ぐらい診れば大丈夫だと思います。もちろん、再発の多い病気ですから、また調子を崩したりする場合やいろいろな問題が起こってくる場合も当然ありますので、その場合は別に血液検査のタイミングに捕らわれて、4週に1回だから4週に1回しか診ないというわけではなく、必要に応じて毎週診る場合、2週に1回診る場合というのも我々はしますし、実際に今回のコロナのロックダウンが起こった場合に、42日まで処方できるということをさせていただきました。そうした場合に、ではみんな42日になったのかと言いますと、そうではなくて、それでも14日などで診ている患者さんなどもいるのです。それはやはり主治医が、必要に応じてそういうことはやっていて、最大これまで延ばせますよという使い方しかしませんので、そういう意味で有効性に関しても、そこは主治医が考えて必要に応じてやるのではないかと思っています。

○石井委員 ありがとうございました。実際に、やはり今回のコロナのことで、同じような問題も当院で起きています。どちらかと言うと、有効性、安全性の両方とも確認しなくてはいけないので、少しお話を聞かせていただきたいと思いました。ありがとうございました。

○橋本参考人 ありがとうございました。

○岡座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。私からちょっと1点、教えていただきたいのですが、先ほどの橋本参考人のお話で使用の数がなかなか我が国では増えてこないということですが、もしこれで緩和して増えた場合に、添付文書の改訂では、CPMSで定められた血液内科の先生方と十分連携を取ってというふうに記載があるのですが、使用する患者さんが増えた場合に、十分連携が取れた先生方がいらっしゃるという理解でよろしいですか。その辺りは大丈夫でしょうか。

○橋本参考人 血液内科の先生にお伺いすべきで。

○岡座長 矢野参考人、いかがでしょうか。全国的に十分、そういう連携が取れているのかどうかというのは。

○矢野参考人 具体的に言いますと、この薬が2009年にいわゆるCPMSというシステムを通じてOKになった時点から今に至るまで、この薬に関して直接依頼を受けたのは1例だけなのです。しかも私のいる病院そのものが、いわゆる閉鎖病棟がない病院なので、なかなか難しいですね。特に精神科では単独の病院が多いことと、慢性期の事象なので、やはり血液はどちらかというと急性的なものが多いものですから、血液内科がある病院でもって精神科のほうもフォローというのはなかなか難しいので、その辺はどうでしょう、何かシステムが必要なのかも分かりません。実際に私自身がそこまで個人的に関わっていないので、例えば精神科の医者がどのくらい苦労している、どのぐらいの血液内科医がどのぐらい受けていて、どういう状況にあるかということに関しては余り把握ができていないです。

○橋本参考人 では、橋本からよろしいでしょうか。これは実際、私が自分で導入して、友人の血液内科医の先生などいて、いろいろ御相談させていただくのですが、血液内科医の先生からしますと、無顆粒球症に仮になった場合や無顆粒球症になる場合でも減少の段階で相談する場合もあるのですが、なったとしてもそもそも原因が分かっている、原因薬剤をやめている、そうすると待っていれば回復していくわけなので、血液内科的にはすごく大変な労力のいる患者さんではない。例えばそのときに、この人は無菌室が必要だから血液内科で用意しろなどと言われると、それはちょっと無理ですよと。それは精神科で診る限りにおいて、必要なコンサルトをするなど、そういうことは余り難しくないので、患者さん自身も例えば無顆粒球症が起こる頻度は大体1%ぐらいと言われていまして、今、日本で大体1万人ぐらい導入されていまして、転院の人の数なども数えられてしまったり、再投与の人も入ってくるのでちょっと正確ではないのですが、それで80例ぐらいいます。無顆粒球症の人が80例ぐらいいて、その人たちは間違いなくそういうコンサルトに行っているわけですが、せいぜいそれぐらいなのです。これが仮に10倍、20倍になったとしても、多分すごい数にはならないと考えられますので、恐らく血液内科の先生方からすると、ほかの科からもいっぱいそういう方が来るわけですし、何かやっていただけるのかなと私は勝手に大船に乗ったつもりになっていますが、矢野先生、いかがでしょうか。すみません。

○矢野参考人 橋本先生のおっしゃるとおりで、別に私自身が負担に思ったことは全くないし、確かにちゃんとこれだけの間隔で採血してあれば、ある程度見付かりますから、まずやめて様子を見て、多くの場合には回復しますので、トラブルになることは少ないかなとは思います。ですから、実際問題、例えば甲状腺機能亢進症の薬は本当にかなりの頻度で好中球がなくなるケースもありますし、いろいろなほかの薬もありますので、その中でこういった抗精神薬も有名ではありますが、実際にはそんなに大きな問題にはなっていないのかなと個人的には思っています。もちろん私どもも自分のいる施設で年間に何人も同じようなケースを受けますが、ただ先ほど私が申し上げたのは、実際に精神科の先生が精神の診療をしていて、ちゃんと連携できるような血液内科医が近くに、あるいは少なくともオンラインでつながれるような範囲にいるかどうかということに関しては、データがないものですから分からないと申し上げましたが、そういうところがありさえすれば、余り問題はないかなとは思います。

○岡座長 ありがとうございます。そのほかいかがですか。佐藤委員、お願いいたします。

○佐藤委員 国衛研の佐藤です。今回の無顆粒球症等という非常に重篤な状況を理解しました。少し話がそれてしまって申し訳ないのですが、先ほど添付文書を見ていて、ちょっと教えていただきたいことがあります。重大な副作用で一番最初に上がってくるのが無顆粒球症なのですが、血糖値が上がることがかなり頻度が高くて、こちらのほうが頻度が高いようです。実際、糖尿病性の昏睡から死亡に至った例も報告があるということで記載があるのですが、この血液モニタリングというのはその辺りもきちんとカバーされているのでしょうか。

○岡座長 橋本参考人、いかがでしょうか。

○橋本参考人 ありがとうございます。こちらのほうは、実際、日本の血液モニタリングに関しては、これは入っています。実はこれは日本だけの独自のシステムで、世界中でそういうことはされていません。

○佐藤委員 行った方が絶対よいですね。ありがとうございます。それを聞いて安心しました。

○橋本参考人 ありがとうございます。

○岡座長 そのほかいかがでしょうか。先ほど柿崎委員の御質問の使用後の調査の期間については、何か情報は分かりましたか。

○事務局 先ほどの柿崎委員の御指摘の特定使用成績調査のフォローアップというのは、52週以降の検査間隔の頻度という御指摘でよろしいでしょうか。

○柿崎委員 検査間隔の頻度と、あとは最後どの辺ぐらいまでフォローアップしているのか、最終の何か月ということですが、資料がなければ大丈夫です。

○事務局 検査間隔に関しては、2週に1回となっていまして、調査の期間に関しては、2年となっています。

○柿崎委員 ありがとうございます。

○岡座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、今までの議論を踏まえて議決を取りたいと思います。クロザピンの添付文書について、事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂し、CPMS運用手順を変更するということで、よろしいでしょうか。全員の委員がうなずいておられるということで、よろしいですね。では、事務局は、これは御異議なしということでよろしいですか。

○事務局 御異議なしとさせていただきます。

○岡座長 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 御議論いただきありがとうございました。クロザピンの製造販売業者に対して、使用上の注意及びCPMS運用手順を改訂するよう指示します。また、本調査会での議論については、安全対策部会に報告します。

○岡座長 ありがとうございます。事務局からの御説明で、何か御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは意見が出尽くしたようですので、本議題を終了にしたいと思います。ありがとうございます。予定した議題は以上ですが、事務局から何かありますか。

○事務局 次回の本調査会の開催ですが、ワクチンの副反応検討部会との合同開催のものが明後日、26日水曜日6時から予定されているところです。先生方には本当に高頻度の開催で御迷惑をお掛けしていますが、引き続きよろしくお願いいたします。ワクチンの部会と合同ではない単独の調査会については、改めて御連絡申し上げます。事務局からは以上です。

○岡座長 それでは、本日の調査会を閉会とさせていただきます。先生方、どうもありがとうございました。