田村大臣会見概要

(令和3年8月31日(火)10:09 ~ 10:31 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
おはようございます。私からまずいくつかご報告をいたします。まず本日公表の雇用統計についてでありますが、令和3年7月の有効求人倍率は1.15倍ということで前月より0.02ポイント上昇いたしております。総務省から公表されました7月の完全失業率でありますが、これも0.1ポイント低下して2.8パーセントというようなご報告がありました。両方とも改善しております。
 ただ、求人自体は弱含み、もちろん求職者もコロナ等の影響で下がっているということがございますので、有効求人倍率等、完全失業率もそうなのでしょうけれど改善しているように見えますが、雇用自体は非常に厳しい状況だと思います。特に飲食店などを中心に非常にパート等で働いている方々には厳しい状況が、引き続き続いていると思っております。有効求人倍率が1倍を下回る地域があるということでございます。そういう意味では新型コロナウイルス感染症の影響というのはしっかりとこれからも我々対応して雇用等を守っていかなければならないと思っております。
 続きまして、武田/モデルナ製の異物混入の件でございますが、沖縄県の事例についてでありますが、穿刺、針を刺すときのいわゆるコアリング等による異物が混入をした可能性が高いということであります。どういうことかと言うと、針をゴムのところへ刺すときに、まっすぐ刺すとそのまま下の方へ入るのですけれども、針が斜めに削られていますので斜めに入れてしまうとその角がゴムに当たってゴムをそのまま落としてしまうということがあり得るということでございまして、その可能性が高いということ。
 それから、群馬県の事例については製造工程においてごくまれにこういうことが発生するという、そのゴム栓由来の破片の混入と考えられるということであります。いずれにいたしましても安全性等には問題ないと報告を受けております。ちなみに、こういう製造工程等において異物混入、ゴム片などが入るというのは新型コロナワクチンだけではなくて、一般的に様々なワクチンの製造工程でたまに見られるということでございますので、特別、新型コロナワクチンに限った話ではないということですが、我々としてはしっかりと情報収集していってしっかりと皆様方に状況をお伝えしていかなければならないと思っております。  
 続きまして、ワクチン3回目接種に関してですが、いろいろと報道がなされております。我々もいろいろな報道があるということは承知をいたしておりますが、現時点で何ら決まったということではございません。3回目接種につきましては、様々な諸外国の方針・見解が示されておりますが、我が国でもその必要性や実施時期については科学的知見を基に今後、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会、ここでの議論を経た上で適切に判断をするということでございます。10月か11月のできるだけ早い時期に、まずは希望する方々が2回目接種をしっかりやるということをまずは進めていくということで、3回目に関してはしっかりと科学的にご議論をいただいた上で最終的な方針を決定してまいりたいと思っております。
 続きまして、HPVワクチンについてでございます。昨日自民党の議連からHPVワクチンに関する要望を受け取らせていただきました。これは、平成25年、HPVワクチンの定期接種化、積極的勧奨を決定したわけでありますが、ちょうどそのとき私が大臣をやっておりまして、いろいろな状況の下で積極的勧奨の差し控えを決定いたしました。これは専門家の方々に審議会でご評価いただいた上でそのような形にしたわけであります。
 そういう意味では私自身が今2回目の大臣をやっておりますが、これの積極勧奨をどうするかというのは、私に与えられた大きな宿題であったと思っております。今は差し控えているわけでありますけれども、できるだけ早く、どうするのかということを判断していかなければならないと思っております。
 世界中で、やはり子宮頸がんワクチンが接種されて、WHOからも日本に対して今のような状況に対してはいろいろなご意見をいただいているわけでございます。やはり一定年数経ってまいりますとその後の子宮頸がんの状況に大きな影響を与えるというようないろいろな科学的な評価もいただいているわけでありまして、そういう意味では、これに関しても今新型コロナの対応で予防接種部会もワクチンの問題、副反応の問題等いろいろな形で、本来は2ヶ月に1回というお話だったのですが、2週間に1回、場合によっては毎週対応いただいておりますので、これとのいろいろな日程的な調整もございます。
 新型コロナの状況がある程度一段落ついたときという話になってくるのだと思いますが、審議会の方でご評価・ご議論をいただかなければならないと思っておりますので、その準備は進めていかなければならないと思っております。いずれにいたしましても、いつまでも今のような状況でいいというわけではございませんので、しっかりと積極勧奨に向かってご評価いただけるのかどうかということを専門家の方々にしっかりご議論・ご審議をいただく。こういうことが必要になってこようと思っておりますので、そのようなことを昨日は議員連盟の皆様方にお答えをさせていただきました。私もしっかりそのような意識を持ってこれからもこの問題には取り組んでまいりたいと思っております。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年8月31日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナの感染状況についてお伺いします。昨日の東京都の新規感染者数は先月下旬以来2000人を下回りました。一方で全国の自宅療養者数は先週11万人を超えています。現状について大臣はどのように見ているかお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
重症者の方々がまだ増えておりまして、これは感染の状況から遅れて重症者の発生ということになってまいりますので、まだ重症者が減っていくということは想定できていないと思います。一方で感染者は、全国でいうと横ばいくらいになってきております。東京は若干減ってきておりますが、一方で東海はまだ高い伸びです。関西も伸びております。
 全国的に伸びているところ、若干伸びが収まりつつあるところありますが、首都圏一つとっても、たぶんこれも明日またアドバイザリーボードでご評価いただくと思いますが、お盆の間は人出が首都圏ではある程度減っていた、それまでも減っていたのですがそれ以上に減ったというのがあります。
 それから大雨もあります。大雨の影響で全国的にやはり人の出がある程度抑えられたということもあると思います。一方でお盆明けからやはり首都圏はまた以前から比べると減っているのですが、減り方が弱まっているという状況です。
 更に9月から新学期が始まるということで、今までとはまた人の動きが変わってまいります。こういう感染症は人の動きが変わることによって拡がりがでてくる恐れがあるわけでありまして、決して安心できる状況ではないと我々は思っておりますので、若干今足下が横ばいもしくは首都圏で下がっているといっても、決してそれ自体、我々として安心できる状況ではなく、更にこれからも感染の状況というものに対して危機感を持って対応していかなければならない。同時に病床等の確保を全国的にしっかりやっていただかなければならないと思っております。今まで同様、もしくはそれ以上に我々としては危機感を持って対応してまいりたいと思っております。
記者:
今日が国と都からのコロナ療養の協力要請の締切日ですが、現時点で把握できている回答の状況ですとか、どの程度協力に応じるところがあるのか分かれば教えていただきたいです。
大臣:
東京都において、今日期限で集約いただいておりますので、そういう意味ではその結果について東京都とご相談をさせていただきながら、速やかに取りまとめをさせていただきたいと考えております。要請する中でいろいろとご協力もいただいていると思いますし、具体的に私もいろいろなテレビに出演する番組でも申し上げましたが、地域医療機能推進機構の下でコロナの専門病院というものをご決定いただくというような方向性も出てきております。様々な医療機関・医療従事者の方々にご協力をいただいておると思っております。しっかりと都とともに取りまとめをさせていただきたいと思っております。
記者:
補助金を受け取っていながら、実際には患者さんを受け入れていない病院があるという指摘があるのですが、16条を使った要請で改善できるとお考えでしょうか。
大臣:
前から申し上げておりますが、確信犯的に受け入れないということ、これは補助金をお出ししているわけでありますので、それに対しては我々としても補助金の本来の意図をご理解いただかないと対応せざるを得ないということになってまいりますが、要はベッドというのは常にずっと空けっ放しであるわけではないわけで、感染が増えてきて入っておられる方々等への対応をいただいて、新たなベッドを確保するというようなこともやっていただいておりますので、そういう、言うなればしっかりとした理由があればベッドを空けていただくように努力をしていただいているということになろうと思いますので、即座に今確保されている病床が提供できなかったからといって、それはちゃんと対応いただいていれば我々としてはそれに対して何らペナルティをかけるというものではないと考えております。
記者:
子宮頸がんワクチンのことについてお伺いします。昨日議連は10月での再開ということを求めていたと思うのですが、今の大臣のお話ですとやはり新型コロナワクチンの接種がある程度目処がつくまで、ついたあとに再開の是非そのものを審議会で判断することになるだろうという見通しということでよろしいでしょうか。
大臣:
まず、審議会はいろいろな業務が、今ご無理をお願いしてかなり負荷がかかって大変申し訳ない状況であります。コロナの、今も申し上げました、ワクチンをどうするのかという、それはブースターだとか交差接種だとかそれから副反応の問題もあります。それはいろいろなことを同じ先生方に対応いただいているというようなこともございますので、やはりそこはそれが滞ってはならないと思っております。
 それともうひとつは、積極勧奨というのは、国が積極勧奨と言っても実際対応いただくのは地方自治体、基礎自治体になります。当然のごとく積極勧奨であれば郵送等で接種券を送っていただくと、予算等も必要になってきますから、地方議会などで補正予算などの対応も必要になってきますし、いろいろな業務、今は地方自治体もワクチン接種をやっていただいている状況で、しかも3回目をどうするのかということが決定していない中において、それぞれ地方の皆様方の業務もあると思います。そういうことを勘案しますと、なかなか10月というのは物理的に難しいというお話は昨日させていただきました。
 しかしなるべく早く方向性を出していかなければならないと思っておりますので、審議会の先生方にご議論いただくというのは、コロナの状況というのが今非常に厳しい状況でございますので、いろいろなことをお願いしなければいけない状況になっております。そういうことが一段落ついてご評価いただく、ご審議いただく、そういうような物理的な状況になればそれは早いうちにご議論いただかなければならないということで、決して遅れさせているという意味ではなくて、状況に応じて適切に速やかに対応をお願いしていきたいと思っております。
記者:
今の10月までにというのはなかなか物理的に難しいということでしたが、それでしたらいつ頃までに。「10月までに再開を」という要望があるのは、高校一年生の女子が3回接種に間に合うためには10月、遅くても11月までに1回目を打たないと3回打てないという定期接種のチャンスを逃すという重大な節目がそこにあると皆さん仰っているわけですが、10月が難しいならいつならできるのか。
 しかも、予算のことを仰いましたが、既に(地方)交付税措置がなされています。既にワクチン接種のためのお金は交付税として出ているはずなので、それを地方に補正予算が組めないからという理由で遅らせるのは、非常に国民の納得を得られないと思いますが、いつなのか。副反応検討部会にかけるのは、少なくとも今年度中には行われるのか、今年中には行われるのか、大臣の目標でも良いので、時期を明言なさってください。
 それともう一つ。製薬会社からこのまま積極的勧奨の差し控えが長引いて、ワクチンを廃棄することがあれば、国際的な批判も免れず、ワクチンの確保も難しくなるという文書が大臣に提出されたところです。これについて、コロナ流行でワクチン確保の重要性を痛感なさっているところだと思いますが、この要望についてどう受け止めているのか、ワクチン確保が今後できなくなったとしたら、HPVワクチンの接種に非常に悪影響を及ぼすことになると思いますが、大臣は、積極的勧奨の差し控えを行った大臣で、今度は再開も握っている大臣だと思いますが、この責任をどう考えるのかお願いします。
大臣:
今、HPVワクチンは打てるので、積極勧奨はしておりませんが、打っていただくために各自治体の6割くらいが、文書等発出していただいているのはよく分かっておられると思いますし、そこで、今まで分かってきたいろいろな情報を伝えさせていただき、若干なりとも接種率が上がり出したというのはご理解ください。打てないわけではありませんし、予算もちゃんと措置されています。
 一方で、積極勧奨となると、それに対応するのは自治体です。それは、ワクチンを打つお金ではなく、積極勧奨を知らしめるためにいろいろな対応をしなければなりません。それは補正予算で組まないとすぐにはできないということはご理解ください。
 それから、いつまでにと言われますが、コロナの状況がまだ分からないので、いつまでにというのは、今申し上げられません。私の日程というよりかは、審議会の皆様方のご日程を諮らなければなりません。
 しかしながら、先ほど申し上げたとおり、いつまでも後延ばしをして良いとは私思っておりませんので、先ほど来、申し上げておりましたとおり、当時、言うなれば積極勧奨を勧めてすぐにマスメディアも含めていろいろなご意見が出ました。これもご承知だと思います。その中において、審議会にお諮りをして、積極勧奨を一時、停止をしたという状況があります。
 その責任は今私の方で感じておりますし、あの頃から比べれば、マスメディアもいろいろな報道が出るように今なってきております。ですから、そういうことも踏まえた上で、なるべく早くこれは検討してまいりたいということを申し上げているということでございます。
 それとあと製薬メーカーの話は、新たな今ワクチンの方も出てきております。ですから、今言われている4価のワクチンに関しては、そういうご意見もありますが、製薬メーカーのご意見でございますので、我々契約しているわけでも何でもありませんから、そういう意味からすると、製薬メーカーのご意見として、承らせていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、新たなワクチンも含めて、しっかりと確保していかなければならないと思っております。
記者:
それは不足する可能性については、重くは受け止めていないということでしょうか。
大臣:
新たなワクチンは新たなワクチンで確保していきたいと思います。4価のワクチンは4価のワクチンで、いろいろなご意見があると思います。
記者:
医療的ケア児の支援法が来月18日に施行されます。保育所とか学校の看護師配置の拡充ですとか、都道府県の支援センターの設置など進めていくことになりますが、地域のばらつきなく支援を受けられるような体制整備に向けて当事者が注目しているところですが、改めてどのように進めていくか、また、促していくか大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
この医療的ケア児の支援法でありますが、基本理念でありますとか、もう一つ重要な柱として、医療的ケア児支援センター、これを都道府県に設置をできると規定があります。支援センター自体が一体どういう役割を果たすのか、その業務内容を、こういうものを含めてお示しをしながら、やはりセンターの設置、これを促していきたいと思いますし、これに関しては予算、マンパワー、人件費等を踏まえてですが、これに関しても来年度の概算要求に向かって強化する。そういう予算を概算要求の中に盛り込ませていただく、そういう対応の下で、各自治体にしっかりと体制を整えていただくようなお願いをしてまいりたいと思っております。
大臣:
あともう一点。私の方から先ほどワクチン3回接種の話がございました。もう一つは、交差接種の話もいろいろと言われておりますが、これも同じように、これも実は先ほど来の厚生科学審議会、同じメンバーの方々にお願いをしていかなければいけないのですが、ここでしっかりとご評価をいただいた上で、交差接種がいかなるものかということは、判断をしてまいりたいと思いますので、そういうものを踏まえながら、専門家の方々にご議論をいただいて、最終的に方向性を示してまいりたいと思っております。

(了)