2023年4月6日 第65回中央最低賃金審議会 議事録

日時

令和5年4月6日(木) 第11回目安制度の在り方に関する全員協議会終了後

場所

厚生労働省省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)

出席者

公益代表委員
 藤村会長、鹿住委員、権丈委員、小西委員、中窪委員、松浦委員
労働者代表委員
 伊藤委員、古賀委員、永井委員、仁平委員、平野委員、水崎委員
使用者代表委員
 池田委員、大下委員、佐久間委員、志賀委員、新田委員、堀内委員
事務局
 鈴木労働基準局長、青山大臣官房審議官、岡賃金課長、友住主任中央賃金指導官、
 古長調査官、長山賃金課長補佐、青野賃金課長補佐、川辺副主任中央賃金指導官

議題

  1. (1)中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告について
  2. (2)その他

議事

○藤村会長 
 ただいまから、第65回中央最低賃金審議会を開催いたします。本日は、所用により、中窪委員、堀内委員には、オンラインで御出席いただいております。
 目安制度の在り方に関する全員協議会につきましては、令和3年5月に中央最低賃金審議会から付託を受けた後、計11回にわたって審議を重ねてまいりました。本日、全員協議会報告として取りまとめが行われました。お手元に全員協議会報告を用意しておりますので、事務局から読み上げていただきます。お願いいたします。
 
○川辺副主任中央賃金指導官 
 それでは、報告を読み上げますので、御確認をお願いいたします。
 中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告(令和5年4月6日)。
 中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会(以下「全員協議会」という。)は、令和3年5月26日の中央最低賃金審議会において、現行の目安制度の見直しについて付託を受けた後、①中央最低賃金審議会における目安審議の在り方、②地方最低賃金審議会における審議に関する事項、③中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料について、最低賃金を取り巻く状況の変化も踏まえ、目安制度の原点に立ち返って鋭意検討を重ね、下記のとおり全員協議会報告として取りまとめたので報告する。
記。
1 中央最低賃金審議会における目安審議の在り方について
(1)最低賃金のあるべき水準
 ナショナルミニマムとしての水準を議論すべきとの意見や、全国加重平均1,000円という政府が掲げてきた目標へ近づきつつある状況を踏まえ、最低賃金のあるべき水準についても労使で議論を深めていく必要がある等の意見を踏まえ、検討を行った。
 議論の中では、持続的かつ安定的に最低賃金を引き上げるために、少なくとも賃金決定の当事者である労使がいる場において、労使で合意した上であるべき水準を設定し、毎年の目安審議ではその目標を意識しながら、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第2項の3要素を踏まえた引上げ額を議論することが建設的ではないかとの意見があった。一方、政府から全国加重平均1,000円より更に高い目標額が提示され続けると、経営者としては先が見えずに非常に厳しいという意見があった。また、あるべき水準を定めた場合には、経済や雇用の情勢の予見可能性が必ずしも高い状況ではない中で、毎年の審議会での3要素のデータに基づく自由闊達な審議を縛ることになるのではないかという意見もあった。
 このように、あるべき水準を定めること及び定める場合の水準については、意見の一致に至らなかったが、引き続き労使で議論することが適当であるとの結論に至った。なお、あるべき水準の検討に当たり、諸外国における最低賃金の金額及び目標水準やその決め方との比較をすることも考えられるが、その際には、各国と適用労働者の範囲や減額措置の内容が大きく異なることも踏まえることが必要であるという意見があった。
 (2)政府方針への配意の在り方
 近年の目安審議は、①法の原則(最低賃金法第9条に定める地域別最低賃金の原則をいう。)、②目安制度(これまでの全員協議会において合意を得た目安制度の在り方及び賃金改定状況調査等参考資料等を総称する。)を基にするとともに、それらの趣旨や経緯を踏まえ、③時々の事情(時々の目安審議で中央最低賃金審議会目安に関する小委員会が踏まえた事情を総称する。)を総合的に勘案して行われている。この時々の事情に含まれる政府方針への配意に関して、地方最低賃金審議会の一部の委員において、政府方針ありきの議論ではないかとの認識があることへの対応については、これまでの全員協議会でも指摘があったところである。
 これに関しては、令和4年度の目安審議のように、目安額に対する納得感をできるだけ高めるために、最低賃金法第9条第2項の3要素のデータに基づき労使で丁寧に議論を積み重ねて目安を導くことが非常に重要であり、今後の目安審議においても徹底すべきであることについて合意が得られた。
 また、中央最低賃金審議会における目安審議や地方最低賃金審議会の審議においては、公労使三者構成で議論した上で決定することが重要であり、政府方針が中央最低賃金審議会や地方最低賃金審議会の毎年の審議を過度に縛るようなことがあってはならないことについて確認がなされた。
 その上で、政府が、賃金水準あるいは最低賃金の在り方について、広く意見を聞いて一定の方向性を示すこと自体は否定しないが、政府方針を決定する際には、公労使がそろった会議体で、現状のデータや先行きの見通しを示すデータ等を踏まえて、時間をかけて議論されることが望ましいとの認識で一致した。
 (3)議事の公開
 中央最低賃金審議会運営規程において、会議は原則公開とされ、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれるおそれがある等の場合には非公開とすることができるとされている中、目安審議の透明性を高める観点から、議事の公開について検討を行った。
 これに関しては、議論の透明性の確保と率直な意見交換を阻害しないという2つの観点を踏まえ、公労使三者が集まって議論を行う部分については、公開することが適当との結論に至った。その際、事務局においては、円滑な進行及び傍聴者に配慮した、公開に係る企画運営の在り方を検討すべきである。
 加えて、議事の公開が議論になるのは、目安審議における議論のプロセスが見えづらいものであると外部から受け止められていることが原因であると考えられる。この問題への対応としては、目安審議の報告において最低賃金法第9条第2項の3要素のデータに基づく議論の結果をより丁寧に記載し、地方最低賃金審議会を含む目安審議の議論を注視する者に対して議論のプロセスをできるだけ分かりやすく示すことで、審議の透明性や納得感を一層高めることも重要である。また、議事録の早期公開については、引き続き事務局において努めることが適当である。
 2 地方最低賃金審議会における審議に関する事項について
(1)目安の位置付け
 目安は、地方最低賃金審議会が審議を進めるに当たって、全国的なバランスを配慮するという観点から参考にするものとして、その必要性について異論は無かった。その上で、目安が地方最低賃金審議会の審議を拘束するものではないことを改めて確認した。また、この趣旨が、地方最低賃金審議会の各委員にも確実に伝わるよう、都道府県労働局への周知方法について検討することを事務局に対し要望する。
 (2)ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)
①ランク制度の必要性について
 目安をランクごとに示すことによって地域の実情に沿った最低賃金額の改定を望む地方最低賃金審議会の意向を反映できていることや、制度としての継続性・安定性の観点を踏まえると、ランク制度を維持することは妥当であることを改めて確認した。
 ②指標の見直し
 ランク区分については、平成7年の見直しにおいて、賃金動向を始めとする諸指標を総合化した指数(以下「総合指数」という。)を各都道府県の経済実態とみなし、それに基づき各ランクへの振り分けを行うこととした。当該諸指標については、平成29年の全員協議会の見直しにおいて、各都道府県の経済実態を示す指標のうち特に最低賃金に関係が深いと考えられるものとして、所得・消費に関する指標(5指標)、給与に関する指標(9指標)、企業経営に関する指標(5指標)の計19指標を選定した。今回の全員協議会においても、これらの19指標に基づき各ランクへの振り分けを行うことについて合意された。
 ただし、これらのうち、所得・消費に関する指標中の、消費を示す代表的なものとして世帯支出を示す指標については、平成29年の全員協議会報告において、1世帯1月当たりの消費支出(単身世帯)を用いたが、当該指標は調査対象月の一部の世帯の支出の動向の影響を受けやすいことを踏まえ、数値の安定を図るために、単身世帯のみならず2人以上世帯の結果も加えるとともに、都道府県ごとの世帯人員の偏りの影響を除外するために、他の政府統計で用いられている手法と同様に、平均世帯人員の平方根で除した数値を用いることとする。
 19指標については、都道府県の経済実態の中期的な変化の的確な把握の必要性、数値の安定性等に鑑み、別紙1のとおり、これまでの算出方法を踏まえながら、原則として直近の5年間で得られた数値の平均値をとった上で、当該平均値について最大値となる都道府県を100とした指数を算出して単純平均し、東京を100とした総合指数を算出した結果、新しい総合指数は別紙2のとおりとなった。
 ③新しい総合指数に基づくランク区分及び各都道府県の各ランクへの振り分け
 上記の新しい総合指数の状況を踏まえ、ランク区分について検討を行った。目安制度についてまとめた昭和52年の中央最低賃金審議会答申においては、地域別最低賃金について、47都道府県を数等のランクに分け、最低賃金額の改定についての目安を示すこととされた。これを受け、昭和53年度の目安を示す際には、地域別最低賃金額の実態が4つにグループ分けできたことを踏まえて、ランク区分は4ランクで示された。また、総合指数によるランクの振り分けが導入された平成7年の全員協議会報告では、「昭和53年度以来実施され定着している面もある現行のランクとの継続性に留意する必要があるとともに、目安が法定労働条件としての最低賃金額に関わるものであることにかんがみ、その法的な安定性という面も考慮しなければならないことを踏まえつつ検討」し、その結果、総合指数の格差や、分布の状況からみてランク数の変更を特に必要とする顕著な事情は見られないことから、「従来と同様4つとすることが適当」とし、平成16年及び平成23年の全員協議会報告においても4ランクを維持した。平成29年全員協議会報告では「47都道府県の総合指数の差、分布状況に鑑みると、4ランク程度に区分することが妥当」とした。
 今般の検討においては、47都道府県の総合指数の差が縮小する一方、地域別最低賃金の差が拡大していること、また、近年はランク間の目安額の差が縮小し、複数ランクで同額が示されるケースもあること等を踏まえ、昭和53年度に目安制度が始まって以降4ランクとされてきたランク数について、維持すること及び見直すことの双方を視野に丁寧かつ慎重に議論を行った。その上で、ランク数については、以下の考え方に基づき、3ランクとすることが適当であるとの結論に至った。
 ・ 47都道府県の総合指数の差、分布状況に鑑みると、格差が縮小傾向であることから、ランク区分の数を減少させることに相当の理由があると考えられる。
 ・ ランク区分の数が多ければ、その分、ランクごとに目安額の差が生じ、地域別最低賃金額の差が開く可能性が高くなることを踏まえ、ランク区分の数を減らす。なお、これまで4つの目安額を示した年度に比べ3つ以下の年度では、ランクごとの目安額の差 は小さい。
 ・ 平成26年度以降、4ランクとしつつも、目安審議における検討の結果、目安額を3つ又は2つとした年度があることから、目安額を4つ示すほどの差がつきづらくなっていると言える。このため、最大3つの目安を示す構造となることで大きな混乱は生じにくく、かつ、ランクを減らすことの合理性もあると考えられる。
 ・ ランク数の変化による影響をできるだけ軽減するため、現行の4ランクから1つランク数を減らした3ランクとする。
 また、各都道府県の各ランクへの振り分けについては、平成29年の全員協議会報告において、総合指数の差が比較的大きいところに着目すること及び各ランクにおける総合指数の分散度合いをできる限り小さくすることに留意するという考え方が示された。今般の検討においては、その考え方をそのまま踏襲するのではなく、より納得感を高めるため、振り分けの際に考慮する事項について、総合指数に加えて、例えば適用労働者数の比率や直近の地域別最低賃金額、地域における経済圏など複数の要素を組み合わせて議論していくことについて、意見の一致が見られた。
 さらに、今般の見直しにおけるランクの振り分けについては、様々な観点から議論し、特に、地域間格差の拡大抑制、ランク間の適用労働者数の偏りの是正が図られるものとすることが重要であるとの認識で一致した。
 その上で、特に、Aランクを中心に地域別最低賃金額が引き上げられてきた経緯も踏まえ、地域間格差の拡大抑制の観点から、Aランクの適用労働者数を少なくすべきという意見もあったが、
 ・ 3ランクに変化することによる影響をできるだけ軽減する必要性、Aランクの地域数が増えてきたというこれまでの経緯及び直近の地域別最低賃金額の状況も踏まえ、現行のランクとの継続性を重視し、Aランクの地域は現行のAランクと同じとする。
 ・ ランク間の適用労働者数の偏りをできるだけ是正するため、Aランクの適用労働者数とBランクの適用労働者数は同程度とする。
 ・ BランクとCランクの間は、各都道府県の経済実態を示す総合指数に比較的大きな格差のある県間に注目する。
 等の考え方を総合的に勘案し、別紙3のとおり各都道府県を各ランクに振り分けることが適当であるとの結論に至った。
 また、これまで中央最低賃金審議会が決定した目安額においては、下位ランクが上位ランクを上回ったことはなかった。この点について、今後の目安審議においては、最低賃金法第9条第2項の3要素のデータの状況次第では、下位ランクの目安額が上位ランクを上回ることは理論上あり得ることを確認した。
 (3)発効日
 改定後の地域別最低賃金額の発効日については、法令上特定の日付が定められているわけではないが、地方最低賃金審議会において、10月1日など10月のできるだけ早い時期でなければならないと認識している場合も見受けられることに鑑み、改めて、発効日とは審議の結果で決まるものであることや、発効の時点を規定する最低賃金法第14条第2項においても発効日は公労使で議論して決定できるとされていることについて、地方最低賃金審議会の委員に周知することが適当である。
 その上で、未組織労働者にも春闘における賃上げ結果を速やかに波及させるという地域別最低賃金の改定の趣旨も踏まえ、発効日については10月1日にこだわらず前倒しを含めて議論すべきであるという意見があった。一方、最近の最低賃金の引上げは影響率が高まっていることを踏まえ、最低賃金の引上げによる賃金改定に向けた準備のための時間を設けるために発効日に余裕を持たせ、後ろ倒しするべきという意見があった。
 さらに、税・社会保障制度自体については中央最低賃金審議会において議論するものではないが、税・社会保障制度の正確な理解の普及が重要であるという意見があるとともに、最低賃金額が上昇したにもかかわらず、税・社会保障制度上のいわゆる「年収の壁」を踏まえて就業調整が行われること、中には労働者の実質的な所得が向上しない事例も一部生じていることについて、公労使それぞれが重要な問題であるとの認識を示した。
 発効日との関係では、特に使用者側委員からは、10月から最低賃金額が改定され、年末の繁忙期に就業調整が行われて人手不足が生じている現状に鑑み、これを避けるためにも、例えば発効日を年明け以降に後ろ倒しすべきという意見があった。一方、労働者側委員からは、いわゆる「年収の壁」を踏まえて就業調整が行われていることを理由に最低賃金の引上げが阻害されることはあってはならないこと、また、発効日については、労使ともに年末の繁忙期の働き方の計画を立てやすくするためにも、10月1日より早く改定後の最低賃金額を発効させるべきとの意見があった。
 また、地方最低賃金審議会で十分に議論を尽くした上で準備期間を設けることができるよう、中央最低賃金審議会としても配慮することが必要である。
 3 中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料について
(1)現在の主要統計資料の過不足やデータ取得時点の確認、新規のデータ取得が不可となった参考資料の見直し等
 中央及び地方最低賃金審議会の審議に当たっては、最低賃金法第9条第2項の3要素に係る各種統計資料を収集・整備してきたところである。
 このうち、特に「労働者の生計費」や「通常の事業の賃金支払能力」に関する資料を充実させるために、「家計調査」による1月あたりの消費支出額の推移及び日本生産性本部による就業1時間当たり名目労働生産性の推移についても、新たに主要統計資料に追加することとする。また、新規のデータ取得が不可となった、「職業安定業務統計」の年齢別常用求人倍率の推移に代えて、「労働力調査」の性・年齢別完全失業率の推移を参考資料に加えることとする。
 さらに、以下のとおり、技術的な見直しを行うこととする。
 ・ 「職業安定業務統計」による有効求人倍率の推移(ランク別・都道府県別)について、現行は受理地別の数値を掲載しているが、より一般的に使用されるようになった就業地別の数値を掲載する。また、ランク別有効求人倍率の算出に当たって、現行は各都道府県の有効求人倍率の単純平均としているところ、有効求職者数による加重平均とする。
 ・ 「小売物価統計調査(構造編)」による消費者物価地域指数について、現行は各都道府県の都道府県庁所在都市の数値を掲載しているが、ランク分けの指標にも用いられている都道府県下全域を対象とした数値も追加で掲載する。
 ・ 「法人企業統計」による企業利益について、現行は「規模計」の欄に年度データと四半期データを並べて掲載しているが、年度データは資本金規模1,000万円未満の企業を含むのに対し、四半期データはこれらの企業を含まないことから、誤解を招かないよう四半期データの「規模計」については、「資本金規模1,000万円以上」として掲載し、年度データについてもこれに対応する数値を追加する。併せて、年度データについては、資本金規模1,000万円未満の企業の数値も掲載する。また、年度データと四半期データは別頁とし、趨勢的な動向が観察できるよう、それぞれ掲載する期間を拡大する。
 ・ 「毎月勤労統計調査」による、賃金(現金給与総額)指数、パート比率、所定内給与、月間出勤日数、所定内労働時間、定期給与の推移、常用労働者1人平均月間総労働時間及び所定外労働時間の推移について、現行は事業所規模30人以上の数値を用いているが、より一般的に利用されている事業所規模5人以上の数値を用いる。
 ・ 主要指標の推移(GDP、鉱工業生産指数、製造工業稼働率指数、倒産件数、完全失業者数、完全失業率、求人倍率、消費者物価指数、国内企業物価指数、賃金(現金給与総額)指数及びパート比率)について、現行は季節調整値と原数値が混在しており分かりづらいことから、季節調整値及び季節調整値の前期比(差)については、斜字で記載する。
 これらに加え、引き続き、最低賃金の水準や影響、最低賃金法第9条第2項の3要素の状況などについて様々な検討及び評価を行うための参考資料の一層の整備・充実に向けて検討することが必要である。
 (2)賃金改定状況調査について
 賃金改定状況調査については、加工の仕方なども含めて、アウトプットの出し方なども工夫できるのであれば様々な観点により検討すべきとの意見があったが、短期間に調査結果の集計を行う必要があることから、賃金改定状況調査の集計方法等について、当面は現行の方法を維持することとする。
 また、審議における賃金改定状況調査の活用の在り方に関し、最低賃金法第9条第2項の3要素を総合的に示している賃金改定状況調査の第4表を重視した協議を基本とするべきとの意見がある一方、第4表の位置付け、重視の仕方、数字の解釈については労使間で隔たりがあることから、公益委員も含め三者で認識をすり合わせながら審議を進めていきたいとの意見もあった。また、一般労働者及びパートタイム労働者の賃金上昇率(調査年の前年の6月と調査年の6月の両方に在籍していた労働者のみを対象とした集計)については、令和4年度目安審議においては公益委員からの要望を踏まえ、第4表③として提出したが、令和5年度以降の目安審議においては毎年提出することとする。
 (3)その他参考資料の在り方について
 参考資料については、経済社会状況の変化等も踏まえ、各種統計資料の取捨選択を行うとともに、地方最低賃金審議会の自主性を発揮できるよう、都道府県別の参考資料の充実についても検討すべきという意見があったことも踏まえつつ、引き続き見直しについて検討することが必要である。
 4  今後の見直しについて
 目安制度の在り方については、平成7年の全員協議会報告において、今後概ね5年ごとに見直しを行うことが適当であるとされているところである。次回の目安制度の在り方に関する見直しの際には、平成7年の全員協議会報告に復して概ね5年ごとに見直しを行い、令和10年度(2028年度)を目途に、当該見直しの結果に基づいて目安審議を行うことが適当である。
 最後に別紙3を読み上げますので、御確認いただければと思います。
各都道府県に適用される目安のランク
Aは、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪。Bは、北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡。Cは、青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄。
以上でございます。
 
○藤村会長 
 ただいまの全員協議会報告について、中央最低賃金審議会として了承することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
                                  (異議なし)
 
○藤村会長 
 どうもありがとうございます。この報告については、追って事務局より各都道府県労働局宛てに伝達をし、地方への周知を図っていただきたいと思います。
 最後に、鈴木労働基準局長より、一言御挨拶を頂きたく思います。
 
○鈴木労働基準局長 
 委員の皆様におかれましては、目安制度の在り方に関する全員協議会の報告を取りまとめいただきまして、誠にありがとうございます。
 令和3年5月に議論を開始して以来、11回にわたり大変真摯な御議論を頂き、特に昭和53年度に目安制度が始まって以来、初めてランク数を変更するという大きな見直しも、皆様の御尽力のおかげで取りまとめられました。
 厚生労働省としましては、公労使三者構成の検討で取りまとめられた報告として、今回の報告も重く受け止め、今後の最低賃金制度の運営に当たりましても、これを踏まえて的確に運営できるように努めてまいります。
 また、地方最低賃金審議会に対しても、報告の内容、趣旨を伝達・周知し、今年度以降の各地方最低賃金審議会における地域別最低賃金額の改定審議が円滑に進められるようにしてまいりたいと考えております。
 皆様方の御尽力に心から感謝申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。長期間にわたる御審議、誠にありがとうございました。
 
○藤村会長 
 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして第65回中央最低賃金審議会を終了いたします。長期間にわたる御審議、御議論どうもありがとうございました。