福岡大臣会見概要

(令和7年7月1日(火)10:59~11:19 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
冒頭私から2点ご報告がございます。まず、幹部職員の人事異動についてです。本日の閣議において、局長級以上の幹部職員の人事異動について、内閣の承認が得られました。今回の人事異動の内容については、お配りしている資料のとおりであり、これらの人事については、7月8日付けで発令します。田中誠二厚生労働審議官が退官し、その後任に、山田雅彦職業安定局長を登用します。また、伊原和人事務次官、迫井正深医務技監は留任します。女性の登用については、新たに宮本悦子人材開発統括官、青山桂子大臣官房総括審議官を登用します。私からお伝えする内容は、以上です。もう1点です。生活保護の基準改定訴訟最高裁判決についてです。平成25年から3年間かけて実施した生活扶助基準の改定に関する訴訟について、6月27日、最高裁判所で判決がありました。判決においては、当時の生活扶助基準の改定に関する行政処分が取り消されたものと承知しています。厚生労働省としては、司法の最終的な判断を真摯に受け止め、判決の趣旨及び内容を十分精査のうえ、今後の対応について検討してまいります。具体的には、判決の趣旨及び内容を踏まえた対応の在り方について、早期に、専門家によりご審議いただく場を設けるべく、検討を進めていきたいと考えております。詳細については、事務方にお問い合わせいただければと考えています。

質疑

記者:
先週金曜に最高裁で「生活保護費の引き下げは違法」という判決が言い渡された件ですが、改めて大臣の受け止めをお伺いしたいのと、原告団側が謝罪を求めているかと思いますが、今後そういった機会や、大臣から謝罪の意のコメントはあるのでしょうか。
大臣:
冒頭申し上げたとおりですが、厚生労働省としては、司法の最終的な判断を真摯に受け止め、判決の趣旨及び内容を十分精査のうえ、今後の対応について検討してまいりたいと思います。具体的には、判決の趣旨及び内容を踏まえた対応の在り方について、早期に、専門家によりご審議いただく場を設けるべく、検討を進めていきたいということです。
記者:
最低賃金について質問させていただきたいと思います。中央最低賃金審議会への諮問と議論のスケジュールの検討状況についてと、政府が掲げる2020年代1,500円目標について、赤澤大臣との役割分担を踏まえてどのように取り組むのか、お考えを教えてください。
大臣:
最低賃金の改定については、今後、厚生労働省から中央最低賃金審議会へ諮問した上で、最低賃金法に定める3要素のデータに基づき、審議会でご議論いただきます。具体的な日程については、確定した後に、事務方から発表したいと思います。政府としては、政労使の意見交換での議論等を踏まえ、赤澤大臣を中心に賃金引上げに向けた対応策を取りまとめ、適切な価格転嫁と生産性向上支援により、2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続するとともに、官民で最大限の取組を5年間で集中的に実施することとしています。厚生労働省としては、最低賃金の引上げに向けた中小企業等への支援に取り組むとともに、審議会の円滑な運営に取り組んでまいりたいと考えています。
記者:
百日咳の流行に関連して伺います。昨日、今年これまでに全国で少なくとも4人の乳児が感染し、死亡したとの報道がありました。厚生労働省として今年1月以降、百日咳の感染による死亡事例について、何件把握されているでしょうか。ワクチンの定期接種前に感染して死亡した事例もあるとのことでしたが、現在の流行状況の評価と、感染や重症化予防の対策をどのように進められるかについての見解もお願いいたします。
大臣:
感染症法においては、患者が発生した場合の届出数を把握しているが、その患者が死亡した場合に改めて届出がなされることはないため、直ちにお尋ねの今年の死亡数をお答えすることはできないが、今年4月の国立健康危機管理研究機構による報告において、人工呼吸器管理を行った事例のうち、亡くなられた事例があったことについては承知しています。百日咳の感染状況については、本日公表された6月16日から22日までの1週間における患者数が3,211件となり、全数把握を開始して以来、過去最高を更新しています。百日咳の予防にはワクチンが有効とされており、百日咳の抗原を含む5種混合ワクチン等を予防接種法の定期接種に使用しています。生後2か月から生後90か月までのお子さんのいらっしゃる家庭においては、ワクチンの接種をご検討いただきたいと思います。また、国民の皆様に対しては、手指衛生や咳エチケットなどの基本的な感染防止対策に努めていただくとともに、咳が持続する場合には、医療機関の受診を検討いただくことをお願いするとともに、引き続き、患者の発生状況を注視してまいりたいと考えています。
記者:
生活保護の最高裁判決について質問します。原告側は、大臣による謝罪や減額分の遡及支払いのほか、違法と認定された基準改定の経緯の調査・検証も求めています。「判決を十分に精査して適切に対応する」ということには、こうした調査・検証というのも含まれるのか、また、大臣自身は違法認定された以上、何らかの調査・検証が必要というお考えかどうか、改めてお願いいたします。
大臣:
今回の最高裁判決では、国家賠償は認められませんでしたが、物価変動率のみを直接の指標として改定することとした点において違法と判断され、当時の生活扶助基準の改定に関する行政処分が取り消されたものと承知しています。まずは、当時の経緯の検証よりも、今回の判決を踏まえた対応の在り方について、急ぎ検討を進めていきたいと考えています。いずれにしても、冒頭申し上げたように、司法の最終的な判断を真摯に受け止め、今ご指摘のあった点も踏まえ、今回の判決を受けた今後の対応については、判決の趣旨や内容を十分精査のうえ、適切に対応したいと考えています。
記者:
幹部人事についてお伺いします。高額療養費制度などを巡って丁寧な対応を欠くなど、その対応が問われました。今回の人事では、伊原次官が留任で、保険局長は異動ということになりました。今回の人事のねらいについてお聞かせください。
大臣:
政策を推進していくに当たって、適材適所の観点から人事を行ったものです。申し上げられることは以上です。
記者:
6月27日に発出された事務連絡「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料」の内容についてお伺いします。有効期限切れの健康保険証や「資格情報のお知らせ」単体については、法令上の資格確認方法ではないと認識していますが、これらを持参した患者の資格を被保険者番号等により確認する暫定的な対応は、医療現場での混乱を回避するための超法規的措置という理解でよろしいでしょうか。また、マイナポータルの画面のみを使っても、被保険者番号等は確認できますが、同様の対応になりますでしょうか。また、有効期限切れから3か月を過ぎたマイナ保険証が、医療現場に持ち込まれているんですけれども、これを持参した患者に対しての対応はどのようにすべきとお考えでしょうか。また、この件について医療機関や患者に周知するように考えていますでしょうか。
大臣:
ご指摘のありました、6月27日付けで発出した事務連絡については、本年8月1日以降、多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより順次失効していくことにより、当面は、有効期限が切れた健康保険証だと気づかないまま、引き続き従来の保険証を持参したり、健康保険証の切り替えに伴って通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参したりして、保険医療機関等を受診する方がいることも想定されるため、暫定的な対応としてお示ししたものです。保険医療機関等における患者の資格確認については、療担規則等において、マイナ保険証や資格確認書等によって行うこととしていますが、「緊急やむを得ない事由によって資格確認ができない患者については、資格が明らかな場合はこの限りではない」旨についても規定しており、今回の暫定的な対応はこれに該当するものです。今回の事務連絡については、マイナ保険証への移行に伴い、気づかずに古い保険証を持ってきてしまう、資格確認書と勘違いして資格情報のお知らせを持ってきてしまうといったケースに柔軟に対応できるように示したものです。ご指摘のあったマイナポータルの画面には、被保険者番号等の情報の記載はありますが、このような方は手元にマイナンバーカードがあり、そのカードを使って資格確認をしていただきたいと考えています。また、マイナ保険証の電子証明書の有効期限については、有効期限切れから3か月の間は引き続き資格確認ができる一方で、3か月を経過した場合については、再診の場合は、患者さんに対して過去の資格情報の口頭確認を行うことで、また、初診の方の場合は、資格申立書を記載いただくことで、保険診療を受けられることとしているほか、資格確認書についても、有効期限が3か月経過する前に送付されることとなっています。今回の対応については、事務連絡の発出に併せて関係団体に周知したところであり、保険医療機関等の窓口において適切に運用がなされるよう、引き続き対応してまいりたいと思います。
記者:
暫定的な対応ということですが、今のところその期限はいつぐらいを設けられているのかというところと、それを設定される意図、健康保険証の有効期限が切れていても暫定的に使えるという対応だと思いますが、その趣旨というか、混乱を避けるですとか、そういう趣旨があるのかどうかを併せて確認できればと思います。お願いします。
大臣:
6月27日付けで発出した事務連絡については、本年8月1日以降、多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が、有効期限切れにより順次失効していくことにより、当面は、有効期限が切れた健康保険証だと気づかないまま、引き続き従来の保険証を持参されたり、健康保険証の切り替えに伴って通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参されたりして、保健医療機関等を受診する方がいらっしゃることも想定されるため、暫定的な対応として、被保険者番号等により、オンライン資格確認システムに資格情報を照会するなどした上で、患者さんに対して、3割という一定の負担割合を求めてレセプト請求を行うこととする運用も差し支えない旨をお示ししたものです。この運用については、来年3月31日までを想定しています。
記者:
子供への新型コロナウイルスワクチン接種の位置付けについてお尋ねします。6月20日の記者会見で福岡大臣は、同ワクチンは現在、若者に対して接種を推奨していませんと答弁されました。しかし、日本小児科学会は現在も「推奨する予防スケジュール」の中に新型コロナワクチンを含めています。そのため、こども家庭庁の母子健康手帳情報支援サイト「予防接種スケジュールの例」にも新型コロナウイルスが残ったままとなっています。このままの状態では、母子手帳などを見た親御さんたちは、子供に打たせなければいけないと思うのではないでしょうか。また、日本産科婦人科学会も、同ワクチンを推奨したままと思われます。自治体でも子供や妊婦を対象に助成しているところがあるようです。これらから新型コロナワクチンを外すため、厚生労働省の方から日本小児科学会とこども家庭庁、日本産科婦人科学会、各自治体に指導されるべきだと思いますがいかがでしょうか。
大臣:
新型コロナワクチンについては、審議会等での議論を踏まえ、個人の重症化予防を目的として、65歳以上の高齢者の方等を対象に予防接種法に基づく定期接種を実施しています。ご指摘のあった日本小児科学会や日本産科婦人科学会などの各学会が、それぞれの判断において新型コロナワクチンの接種を推奨することについては、否定すべきとは考えておりません。また、こども家庭庁において母子手帳の任意様式として示している「予防接種スケジュールの例」についても、任意接種の欄に、「日本小児科学会が推奨するもの」として新型コロナワクチンの記載があることをもって、厚生労働省からこども家庭庁に指導や要請等を行うことは考えておりません。なお、ご指摘の小児に対する新型コロナワクチンの接種のように、公的関与の対象となっていないものについて、他のワクチン同様、自治体の判断で独自の助成を行うことは否定されず、個別の助成を行っている自治体に対して、特段指導等を行うことは考えておりません。
記者:
現在、厚生労働省としては、妊婦には推奨しているのでしょうか。していないのでしょうか。
大臣:
していません。
記者:
福岡大臣が就任されて9ヶ月経ちましたが、私が最初に伺った質問が、「薬害の発生防止のために何をなさいますか」ということで、「それは非常に重要だと思う」とおっしゃって、就任したばかりだったので「しっかり検討してまいります」とおっしゃいました。その後9ヶ月経ちましたが、薬害防止のための大臣の取組について教えていただけますでしょうか。
大臣:
ご指摘いただきましたように、最初就任した後の会見においても、薬害発生防止は最も重要な任務の一つであるということを申し上げたと承知しています。その際、更問でも申し上げましたが、私自身の思いとしては、薬害というのは当然あってはなりませんし、一方で、ドラッグ・ロスやドラッグ・ラグなどが言われている中で、薬を必要とされる方に、必要な薬をお届けするのが私の任務だと思います。そういう意味では、薬害発生の防止、安全性をしっかり確保しながら、必要な方にしっかり薬が行き渡る、そういう体制に引き続き努めてまいりたいと考えています。
記者:
具体的に9ヶ月でなさったことをお伺いしたいんですけれども。
大臣:
何をもって「具体的に」とおっしゃっているのか、なかなか理解できていませんが、日々のいろいろな業務において、先ほども申し上げたように、両方の観点、それは、薬の安全性がしっかり確保されているか、もう一つは、必要とされる方にしっかり薬が行き渡るか、そういったことに常に気を遣いながら行政運営してきたということです。
記者:
新型コロナワクチンの健康被害は、過去最大のワクチン被害である。これはご認識ありますか。
大臣:
そこについては、一例一例、専門家によって評価していただいているという状況です。そういった状況をしっかり見ていきながら、最新の知見等について、皆様方に。
記者:
過去最大であるか否か、いかがでしょうか。
大臣:
そこについては様々な評価があることだと思います。当然、一例一例についてしっかり評価をしてまいりたいと思います。

(了)