福岡大臣会見概要
(令和7年6月27日(金)10:41~10:57 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭私から2点ございます。まず1点目は、病床数適正化支援事業の第2次内示についてです。病床数適正化支援事業については、本日、都道府県に対して、公立病院も含め、約4,000床分の予算配分の第2次内示をいたしました。医療機関の皆様に速やかに支援を届けられるよう、都道府県と連携して対応を進めてまいります。なお、本事業については、5万床を超える申請があり、1次内示とあわせ、約11,000床分の予算配分を内示したところです。引き続き、地域の医療提供体制の状況を丁寧に把握した上で、さらに必要な対応を検討してまいります。詳細については、事務方にお問い合わせいただければと思います。2点目は、雇用統計についてです。令和7年5月の有効求人倍率は1.24倍と、前月より0.02ポイント低下となりました。また、完全失業率は2.5%と、前月と同水準となりました。求人・求職の動向や、労働力調査の結果を見ますと、現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。
質疑
- 記者:
- 昨年度の精神障害を原因とする労災認定が、過去最多の1,055件となりました。中でも、パワーハラスメントやカスタマーハラスメントなどを要因とするものが目立っています。この認定件数の受け止めと、厚生労働省として、今後、職場のハラスメント対策をどのように進めていきたいか、お考えをお願いいたします。
- 大臣:
- 令和6年度の精神障害に係る労災保険の支給決定件数のうち、パワーハラスメントを原因とするものは224件、カスタマーハラスメントを原因とするものは108件であり、精神障害に係る支給決定件数である1,055件の約3割を占める状況にあります。働くことで命を落としたり、健康を損なったりすることはあってはならないことであり、長時間労働の削減や、職場におけるメンタルヘルス対策・ハラスメント対策など、過労死等の防止対策に一層取り組んでまいりたいと思います。職場におけるハラスメント対策においては、先般の通常国会において成立した労働施策総合推進法等の改正法において、職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて、規範意識の醸成に国が取り組む旨を定めるとともに、カスタマーハラスメントの防止措置を事業主に義務づけるなど、ハラスメント対策の強化を行ったところであり、今後、その施行に万全を期してまいりたいと考えています。
- 記者:
- 病床数適正化支援事業について質問させてください。1次内示で実質的に対象外とした自治体病院を、2次内示で対象とした理由についてお聞かせください。また、依然として、申請があった4万床以上の支援が決まっていない状態です。例えば、3次内示を行うなど、今後の厚生労働省としての対応をお聞かせください。
- 大臣:
- 本事業については、当初の想定を大幅に上回る5万床を超える申請があったところであり、1次内示においては、行政からの支援が期待できず、特に経営的に厳しい医療機関を早急に先行して支援することとしたものです。今般の2次内示については、こうした1次内示の取扱いや、関係者の皆様のご意見を踏まえ、1次内示で算定対象としていない公立病院を含め、経営的に厳しい医療機関を支援するという考え方に基づいて、予算の配分を行うこととしたものです。今回の内示については、令和6年度補正予算で措置した「医療施設等経営強化緊急支援事業」における他の事業の執行残を活用して行ったものです。今後については、まだ決まった予算等があるわけではありませんが、先ほども申し上げたように、引き続き、その取扱いについては検討を行っていきたいと考えています。
- 記者:
- 新型コロナワクチンのスパイクタンパク質の長期残存に関して2点質問いたします。6月20日の大臣会見において福岡大臣は「mRNAワクチン接種後のスパイクタンパク質の残存に関する報告はなされておりません。」と発言されました。一方、6月24日に私がお伝えしたとおり、残存を示す査読前論文も複数存在しています。査読済論文は薬機法における報告対象と大臣自身がご発言されておりますので、今回の件は、本来報告されるべきものが報告されていなかったという理解でよろしいでしょうか。2点目ですが、同様のこの件について「今後、専門家の意見を伺った上で検討する」と大臣は発言されました。具体的な検討スケジュールについて教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- 製造販売業者については、薬機法に基づいて、国内外の学術雑誌等に掲載された論文のうち、ワクチン等の使用により重大な疾病、障害、死亡が発生する可能性があることを示す研究論文を、研究報告として報告することが義務づけられています。これは薬機法の施行規則において義務づけられています。この間、説明足らずのようなところがあったのですが、査読された論文で、薬機法に基づいて報告するものについては、重大な疾病、障害、死亡が発生する可能性があることを示す研究論文ということであり、今回ご指摘のあった論文は、そこにあたらないということで、報告がなされていないということです。ここでいう研究論文とは、査読を経たものを指しており、20日の会見でご指摘のあったイェール大学の論文は、査読前のため、薬機法に基づく報告の対象外と申し上げたところです。重ねてになりますが、24日の会見でご指摘のあった2つの論文は査読を経た研究論文ではありますが、重大な疾病に係る該当性や発生の可能性の観点を鑑みれば、法律に基づく報告が必ずしも必要とは考えておりません。その上で、前回の会見で「検討する」と申し上げたのは、ワクチンの安全性を評価する観点から、重大な疾病等の発生等に関わらず、ワクチン接種後のスパイクタンパク質の残存と副反応の可能性を示唆する論文について、専門家の意見を伺った上での検討が必要であると判断したためです。今後の検討スケジュールについては、ご指摘の論文以外の知見も含めて収集を行った上で検討を行うこととなるため、現時点で具体的には決まっておりませんが、必要な情報の収集、整理が終わり次第、検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 厚生労働省はmRNAワクチンの安全性について、始まるときに大変危惧されて国民もいたと思うんですね。人類に初めて大々的に投与されるということで。その長期的な安全性に関する不安の声に対して、スパイクタンパク質がすぐ消える、河野担当大臣は当時、2週間ほどでほとんど消えると発言している。その長期的な安全性の根拠として、スパイクタンパク質がすぐ消えるということがあったと思うんですけれども、1年以上たっても消えなかったという論文が数々出てきているということですけれども、福岡大臣、これは重大な懸念といいますか、重要な問題ではないかと思うんですけれども、そのように軽視してよろしいのでしょうか。
- 大臣:
- 様々な論文においても、スパイクタンパク質の残存と、様々な副反応においても、この因果関係というのがしっかり証明されたものではありませんが、先ほど申し上げたように、査読された論文のうちに、重大な疾病、障害、死亡が発生する可能性があることを示す論文については、しっかり報告をしていただく。今回の論文については、報告対象ではなかったものの、ご指摘がありましたように、海外も含めて、そういったことを示唆する論文が複数出てきているということを受け止め、改めて検討するということを申し上げたところです。その中で、しっかり整理してまいりたいと思います。
- 記者:
- 今、1,026名の死亡認定、救済制度が出ています。こういった新しい知見などが出てきた。大臣、危機感をお持ちですか。
- 大臣:
- いろいろな副反応については、必ず全例、専門家の方々に評価していただいているということです。
- 記者:
- 大臣の危機感があるかどうかをお伺いしているんですけれども。国民の命が1,000名以上死亡して、厚生労働省は認定しています。危機感をお持ちですか。コロナワクチンの安全性について。
- 大臣:
- 安全性を引き続き、しっかり見ていくことは大切だと思っております。
- 記者:
- 新型コロナの分科会会長などをお務めだった尾身茂さんが、毎日新聞のインタビューに答えて、新型コロナワクチンに関連して「2022年春に開始した接種、オミクロン株になってからの接種では、若年層を接種対象外としました」などと発言されていたようです。どうも事実関係があやふやになってきているようですので、今一度、政府の認識・見解を確認させてください。1点目、2022年春の3回目接種が行われていた時期は、12歳以上の若年層も努力義務・接種勧奨の対象であったと認識していますが、間違いないでしょうか。2点目、若年層が努力義務・接種勧奨の対象であったのは、2023年9月頃までと認識しておりまして、解除されたのはそれ以降と認識しているが、間違いないでしょうか。3点目ですが、国の公費全額負担の特例臨時接種は2024年3月まで、若年層を含めて継続されていて、2024年4月以降に有料の任意接種に切り替わったと承知していますが、これも間違いないかどうか、事実関係にはなりますが、確認させてください。
- 大臣:
- まず、第3回目の接種における12歳以上の若年層の取扱いについて、ご指摘の記事に記載されている「2022年春に開始した接種」とは、2022年5月に開始した4回目接種のことと思われ、この接種の対象者は60歳以上の方等であり、12歳以上の若年者は対象に含まれていません。「3回目接種を指しているのか」ということですが、その真意は、発言者ではありませんが、「2022年春頃に開始した接種」とは、5月に開始した第4回目の接種のことを指しているのではないかと推察されます。2番目の若年層の努力義務・接種勧奨の終了時期については、先程述べたとおり、2022年5月に開始した4回目の接種が初めてとなります。ご指摘がありました、2023年9月から開始した秋開始接種については、ワクチンを全て国が買い上げ、接種を希望する者に接種機会を確保するために、接種対象を6ヶ月以上の者とし、接種の目的を重症化予防とし、努力義務等の公的関与の対象は重症化リスクが高い65歳以上等に限定したところです。3番目のご質問について、若年者の特例臨時接種の終了時期ということですが、特例臨時接種は2024年3月まで継続しており、その間、接種を希望する者に接種機会を設けるよう、若年者も対象としていたところです。なお、2024年4月以降は、ワクチンが一般に流通していることから、定期接種は65歳以上等の者を対象としつつ、若年者は任意で接種を受けることが可能となっているところです。いずれにしても、新型コロナワクチンの若年者への接種については、重症化のリスクや、ワクチンの効果の持続期間に関する知見などを踏まえ、審議会で議論を行い、その時点での最新の知見を踏まえ、接種対象等の見直しが行われてきたものと承知しています。
- 記者:
- 確認ですが、4回目の接種は若年層は努力義務の対象外になっていたということなんでしょうか。
- 大臣:
- 2022年5月に開始した4回目の接種については、接種対象者は60歳以上の方でございまして、12歳以上の若年者は対象に含まれておりません。
- 記者:
- 「対象」という意味は、努力義務からも外れていたということなんでしょうか。「対象者」ということの意味というのは、努力義務から外れていたということですか。
- 大臣:
- 内容を事務方にしっかり確認してもらっていいですか。
- 記者:
- 分かりました。そこは確認させていただきます。
- 記者:
- マイナ保険証の期限切れ問題で、J-LISから決算報告書が発表されて、有効期限通知を約1,109万件送付しましたが、更新されたのは771万件、つまり338万件が有効期限切れの状態になっていることを示しておりますが、その事実関係を確認したいのと、25年度は約2,800万件の更新が必要とされていますが、医療現場等でマイナ保険証の更新切れ、更新漏れによるトラブルが多発するのではないかと危惧しますが、ご見解をお願いします。
- 大臣:
- ご指摘の更新件数については、マイナ保険証の利用登録をしていない方も含め、マイナンバーカードをお持ちの方が、電子証明書を有効期限の3か月前からの更新期限内に更新した件数を示しているものです。この中には、有効期限後に更新した件数は含まれておらず、必ずしも338万件のマイナ保険証の電子証明書の有効期限切れが発生したものではないですが、電子証明書を適切に更新いただくことは大変重要だと考えています。マイナンバーカード本体と電子証明書の更新件数が2025年に増加することが見込まれる中で、有効期限が近づいた際の顔認証付きカードリーダーでの更新の案内や、有効期限を過ぎてから3か月間は、お手元のマイナンバーカードで資格確認を可能とするなど、従来どおりの保険診療が確実に受けられるよう、必要な対応を重層的に講じているところです。引き続き、国民・医療機関双方に対して、こうした運用の周知や電子証明書の早期更新の呼びかけに取り組んでまいりたいと考えています。
(了)