第7回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年11月30日(月)14:00~

場所

厚生労働省専用22~24会議室

議題

1.(1)フリーディスカッション
2.(2)その他
 

議事

議事内容
○船井補佐 本日は、お忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより、第7回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催いたします。本検討会は会議の資料及び議事録は原則公開とさせていただきますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日は、鹿野委員、日下部委員、出口委員、三柴委員の4名がオンラインでの参加となっております。また、参集者に交代がございましたので御紹介させていただきます。日本労働組合総連合の小菅様が交代されまして、小菅様に代わりまして第7回、今回の検討会以降は総合政策推進局労働法制局長の山脇様に御参画を頂きたいと思います。山脇様、一言、御挨拶をお願いいたします。
○山脇参集者 ただいま御紹介いただきました連合労働法制局長の山脇と申します。御指導、よろしくお願いいたします。本会は大変重要な検討会であると認識しており、労働者保護の立場からしっかりと参画をしてまいりたいと思います。
○船井補佐 ありがとうございます。それでは、以降の議事進行につきましては、土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは、皆様、よろしくお願いいたします。前回の検討会では、これまでの議論やヒヤリングを通じて関係団体の皆様からお聞きした実態を踏まえて事務局が整理いたしました論点整理、今日の資料1-1と資料1-2に関するものが配布されましたが、前回は委員の皆様に御議論いただく時間が十分にございませんでした。今回は、各論点ごとに十分な時間を取ってフリーディスカッションを行っていただくことを予定しております。それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○船井補佐 お手元に配布させていただいております資料は、議事次第と書いてあるものが1枚、その裏に配布資料の一覧がございます。資料本体が3種類、資料1-1、資料1-2、資料2と、参考資料として開催要綱が付いています。資料1-1と資料1-2は、ヒヤリングなどを踏まえて論点を掘り下げて整理した資料になっていまして、今回は先にこちらを議論していただきます。資料2につきましては、論点2ということで第3回検討会のときに資料説明だけさせていただきましたが、ヒヤリングと関連が深い論点1と3、資料1-1と資料1-2に関する部分の議論を先行してやらせていただいていましたので、今回、改めてこの資料2を基に御議論を頂くという形になっています。論点が多岐にわたりますので各資料ごと、各論点ごとに時間を分けて、十分にフリーディスカッションしていただく時間を設けていますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○土橋座長 それでは議事に入ります。まず、議題1としてフリーディスカッションということに今日はなります。論点が複数ございますので、論点ごとに時間を分けて御議論いただきたいと思います。初めに、論点1関係につきまして資料1-1ですが、これを基に御議論いただきたいと思います。事務局から御説明がありましたように、前回までの意見のポイントのまとめ、さらに資料の後半では論点(案)ということで少し掘り下げたまとめになっています。こちらにつきましてフリーディスカッションいただきたいと思います。発言いただく際は、資料のどこの観点についての御意見であるかおっしゃっていただきますようにお願いいたします。御発言のある方は挙手をお願いしたいと思います。本田委員、お願いします。
○本多参集者 資料1-1、論点1についてでよろしいですか。
○土橋座長 そのようにお願いいたします。
○本多参集者 分かりました。まず資料の8ページ、9ページの所です。(1)検討の基礎となる災害の実態の深掘りについてという所ですが、個人事業主等の災害を防止していくには、これまで皆様が御指摘されましたとおり、個人事業主等が被災した災害の発生状況を的確に把握して、実情を踏まえた効果的な災害防止対策に結び付けていくことが重要だと考えています。ただし、現行の労働者死傷病報告と同様に安衛法の義務として報告を求めることは差し控えるべきだと考えます。災害が発生しているにもかかわらず報告を行わなかった場合には、いわゆる労災隠しと同様に刑罰ですね、安衛法の100条、97条の罰則を課されることになりかねず、個人事業者等が被災した際に関する法律制度が全くない今の現状を考えますと、一気に実施しますと社会的にはとても受入れが困難であると考えるためであります。
 そのため、厚生労働省が通達を発出し、個人事業主等が被災した災害について労働基準監督署に報告を求める制度を構築することを検討すべきであると考えています。通達で報告を求める方式については、類似の前例があると考えます。安衛法によって実施義務が課された健康診断以外に、厚労省が通達で一定の業務に従事した労働者に対する健康診断の実施を勧奨していますけれども、例えば重量物取扱い作業、振動工具を取り扱う業務、著しい騒音を発生する屋外作業場等における騒音業務等に労働者を従事させた場合には、あらかじめ厚労省が定めた指導勧奨による特殊健康診断結果報告書という用紙を用いて、実施結果を労働基準監督署に報告することを求めています。それらの報告は安衛法上の義務ではございません。個人事業者が被災した災害を把握するための報告制度についても同様の仕組みを構築することが可能であり、かつ、現時点では現実的ではないかと考えています。なお、その場合の報告者については、個人事業者等本人とすることが基本だとは思いますけれども、個人事業者等が所属する企業や団体等が個人事業者等の委任を受けて報告を代行することも認めるなど、災害データを収集・把握することに力点を置いた取組とすることが望ましいと思っています。
 続きまして、10ページの(2)個人事業主等自身による措置やその実行性を確保するための仕組みのあり方についての所です。立入禁止等の措置の遵守等については、事業者に対する周知義務や配慮義務等が新たに課されることが決まっているわけではなく、災害発生状況を踏まえた検討も、ほとんど行われていない状況であることを忘れてはならないと思います。以前から意見を申し述べておりますとおり、個人事業者自身、注文者等による対策と事業主による対策を無理に切り離そうとすることから、このような矛盾が生じるのでありまして、あくまでも災害発生状況を踏まえて個別具体的に検討を行っていくべきであると考えます。なお、以前の会合において建設業での災害分析結果を説明させていただいた際に、個人事業者等が単独で作業している場合や、御自身が元請として工事を施工している場合の災害が極めて多いことなどについて説明させていただきましたが、このような状況を踏まえると、罰則をもって強制することがどれだけ効果を上げることにつながるかは疑問であります。個人事業者等自身の安全意識を高める方策を、より優先的に検討すべきであると考えます。
 同じく10ページの中段辺りですけれども、機械等に係る安全の確保については、個人事業者等に対して特定の機械等に係る定期自主検査を義務付けたり、構造規格を具備していない機械等の使用を禁止するという論点が示されていますが、本検討会の目的は、個人事業者等に関する業務上の災害の実態把握、実態を踏まえた災害防止のために有効と考えられる安全対策のあり方について検討を行うことであることを踏まえますと、定期自主検査の未実施や構造規格を具備していない機械に起因して、個人事業主等が被災したという報告はないことを留意すべきであると思います。
 以前、説明させていただいたとおり、厚労省から御提供いただいた災害データによれば、個人事業者等が被災した災害に関係する機械の大部分は車輌系建設機械でありました。一部に移動式クレーンが関係した災害もありましたので、車輌系建設機械と移動式クレーンを用いた作業について優先的に検討する必要があるとは思われますが、いずれの災害も機械自体に問題があったわけではなく、御本人の操作方法を含めた作業方法が不適切であったというものでありまして、当該機械の操作を行う個人事業者等の資質に焦点を当てた検討が行われるべきであると考えます。
 次、11ページです。安全衛生教育の受講、危険有害業務に係る健康診断の受診等については、個人事業者等の資質を高める必要について優先的に検討を行う必要があると考えています。特に安衛法で労働者に対して技能講習の修了や特別教育の受講などを求めている業務に関しては、個人事業者にも同様の義務を課すべきだと思います。実際の災害事例を見ても、個人事業者等が不適切な作業方法で作業したことに起因する災害が目立っています。こうした災害を防止するためには、技能講習の修了や特別教育の受講などを義務付けることは効果的であると考えます。また、一般的な安全教育については、法令で個人事業者等に受講を強制することには無理があると思われますので、行政指導により安全教育の受講を勧奨していくことが望ましいと思われます。さらに、個人事業者等の特殊健康診断については法令上の義務付けは過剰対応であり、あくまでも健康診断の受診は行政指導を基本として個人事業者等に受診を促す方針とすべきであると思います。なお、被災者を年齢別に見ると、一人親方の67%、中小事業主の65%が60歳以上であり、特に70歳以上の被災者は年代別で最も多く、一人親方の47%、中小事業主等の42%を占めていることが注目されます。個人事業者等が被災する災害を減少させるためには、高齢労働者対策についての検討も必要不可欠だと考えます。
 続きまして12ページです。建設業、造船業及び製造業における混在作業現場における連絡調整については、厚生労働省から提供いただきました災害データを踏まえた場合には、混在作業であることが災害発生に直接関係した災害が見当たらないこと、さらに、建設業の場合には、木造建築工事と小規模な設備工事で個人事業者等の災害が多く発生している一方で、ビル等の建築工事や土木工事における災害はわずかにとどまっていることなどを考慮すべきであると思います。個人事業者等は自らが元請として工事を施工したり、または単独で作業を行っている際に多く被災していることが分かっていますので、罰則を伴う安衛法30条の適用は馴染みませんし、反対であります。個人事業者等が作業を行う場を統轄する者に対して、入場時に個人事業者等の安全衛生教育や特殊健康診断の実施状況を確認する等の取組を促すことも、さほど効果を上げるとは思われません。むしろ平成12年に厚労省さんが発出されている、「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」というものが建設現場における労働災害防止に大きく寄与していることに鑑みれば、この通達は全ての工事を網羅した総花的なものであるところから、そのうち木造建築工事や小規模な設備工事等に特化した新たな通達を発出して、実際の災害発生状況を十分に踏まえた安全対策を個人事業主等に促すほうが、よほど効果があるのではないかと考えているところです。
 次に、13ページから17ページです。(3)個人事業者以外も含めた災害防止のための発注者による措置のあり方についての所です。注文者の責務の範囲の明確化などにつきまして、安衛法第3条第3項は、建設業に限らず仕事を他人に請け負わせる者に対する規定であることは文脈上明らかであると考えていますが、抽象的な内容にとどまっているために、むしろ安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件とはどういうものかを、通達等で具体的に幅広く例示していくことが望ましいと考えます。また、建設業の現場感覚としましては、発注者から示された工期や施工方法等では、安全対策を十分に講じることが困難な場合が生じることもあり、また、発注者が十分な安全経費を積算しない場合も少なくないのが実情です。特に工事の途中で何らかの事情が生じ施工に変更を来したような場合に、発注者が工期の延長や安全経費の増額等に応じないようなケースも散見されています。そのため、発注者と受注者が災害防止のために求められる事項に関して協議を行う枠組みを整備するとともに、発注者には、受注者からの工期の延長や安全経費の増額等に関する協議を求められた場合には、一定の要件のもとで応じるべきであることを、国が通達等で示していく必要があるものと思います。また、発注者から安全が確保されていない機械あるいは工法、材料の使用指示が行われるなど、労働者の災害に直接結び付きかねない悪質な事案が生じた場合には、受注者が国に通報し国の関与を求めることができる枠組みの構築についても、これからは検討の余地があるのではないでしょうか。
 続きまして、18ページです。(4)発注者以外の災害原因となるリスクを生み出す者等による措置のあり方についてです。措置を講ずべき者の明確化につきましては、発注者、注文者対策を考える場合と同様に、災害リスクをコントロールすることができる権限を有する者を明確化する、現行の法第31条、第33条及び第34条の規定について、その範囲の拡大も含めて整理するといった論点が示されていますが、個人事業者等の災害発生状況を踏まえた場合には、的外れな論点提示になっていると言わざるを得ないと考えています。厚労省から提示されたデータに基づく災害分析結果によれば、個人事業者等は自らが元請として工事を施工したり、または単独で作業を行っている際に多く被災していることは前々回の場で御説明させていただいたとおりです。また、足場に係る墜落・転落災害の94%、はしご等に係る墜落・転落災害の73%は建築工事で発生していますが、その全てが木造家屋建築工事又はその他の建築工事で発生しており、鉄骨鉄筋コンクリート造家屋建築工事では1件も発生しておりません。土木工事で発生した被災者は全員が中小事業主等又は元請として工事を施工する一人親方でした。土木工事で発生した死亡災害の事故を型別に見ると墜落・転落が最も多くなっていましたが、実際には、そのうちの大部分は車輌系、建設系で転落したという災害であり、足場や作業床、端部等から墜落・転落したという事案は1件もありませんでした。このような状況を踏まえた場合には、災害リスクをコントロールすることができる者とは個人事業者等自身にほかならないことは明白であり、安衛法31条、33条及び34条の対象範囲拡大は無意味なので必要ないと思っています。いかにして個人事業者等に自らの安全を確保すべき措置を講じさせるかを、優先的に検討すべきであると考えています。
 申し述べたいことは以上ですが、私としては個人事業者等の被災の実態、それから現場における実情を踏まえた冷静な意見だと認識しています。以上です。
○土橋座長 論点1から各項目について御意見を頂きました。その他、発言はございますでしょうか。それでは、山脇委員。
○山脇参集者 御指名ありがとうございます。まず個別の論点に入る前に、2つほど述べさせていただきたいと思います。
 1つは、規制のあり方についてです。これまでも前任の小菅が申し述べてきたかと思いますが、個人事業者の中には現行法に照らしても労働者性が認められる者が相当程度いることはこの間のヒヤリングからも明らかではないかと思いますが、これらの者には労働者としての保護が与えられるよう行政からの指導監督を行われることが大前提であると考えます。偽装請負に対する労働基準局としての適切な対応を改めて要請しておきたいと思います。また、これも繰り返しになるかと思いますが、社会環境の変化に合わせて、労働者性そのものを見直し、拡充していくことが不可欠だと考えます。
 その上で、今般の見直しにおける規制のあり方ですが、個人事業者の中には真に独立性・専門性が高い方から、そうでない方まで、様々いらいしゃいます。中には応諾の自由があり、かつ、専属性はなくても、生活を維持するためなどの理由で仕事を必要とするようなケースも多くて、仕事が打ち切られるということを懸念して、無理があっても仕事を請けざるを得ない、そうしたケースも少なくないということを念頭に、弱い方の立場に立って、議論していく必要があると考えています。
 そうした意味で、今回、事務局から示されている規制は、個人事業者本人への責任追及の側面が強すぎると考えています。労働安全衛生においては、事業者あるいは発注者などが労働者あるいは個人事業者に対して、繰り返し安全衛生を徹底することが何より重要であり、実行性が高いと考えています。しかしながら、今回事務局から示されている案は、指揮命令関係がないということを根拠に、仕事を発注する事業者に対する措置義務を回避し、個人事業者に安全措置を義務付ける傾向にあると理解しております。個人の責任追及という手法が労働安全衛生にとって望ましい規制と言えるのか、慎重な検討が必要ではないかと考えています。どこまで義務としてやるのかという程度の問題は別として、仕事を発注する事業者等に対しても一定の義務付けを行うような仕組みを構築しなければ、個人事業者の労働災害の防止、減少につなげることはできないのではないか。これがこの後申し述べたいことの前提となるところです。
 あとは資料の作り方についてのお願いです。資料1-1の7ページ以降には、事務局として具体的な方向性が示されているものが多数あります。現在の資料の造りは、これまで出された意見は3~6ページまでにまとめられておりますけれども、7ページから方向性として示されている案が、これまでに出された意見を踏まえたものなのか、関係性が不明瞭な箇所が複数見られます。それぞれの論点ごとに、これまでに出された意見を整理し、記載していただくことで、意見がどのように反映されているのか明確になるのではないかと考えております。併せて、方向性を示すその背景や考え方についても、方向性だけではなくて、どのような考え方でこの方向性を示しているのかということも併せてお示しいただくと、より深い議論につながっていくのではないかと思います。
つぎに、各論の部分を幾つか申し述べさせていただきたいと思います。
 まず8ページです。報告義務は個人事業者に課すべきではないと考えます。8ページの○の1つ目には、報告義務は個人事業者に課すという考え方が示されておりますが、先ほども御発言がありましたけれども、例えば被災されて死亡した場合、これは当然ですけれども、重篤な状況にある当事者は当然ながら報告することはできませんまた、軽傷であっても、特に個人事業者の場合には、余り労働災害に被災したという認識がなくて、被災状況を正しく把握できていないというケースも想定されます。さらには、事故を起こしたとしても、仕事を失うことを危惧して報告を怠るというケースも十分に想定されると考えます。先ほど、基本的な考え方を申し述べましたが、個人事業者本人に過度な規制を課すということについては慎重であるべきではないかと思っております。
 そういう意味では、労働者同様に、仕事を発注する側に報告義務を課すということも含めて、幅広に検討すべきと思っています。
 また、報告義務を個人事業者に代わって関係団体に課すという点についてです。これらの関係団体のそもそもの自主性や民主性について、実行性をどのように担保するのかという点が課題であると思っています。自主性とか民主性が整っている団体もあれば、そうでない団体も現段階では玉石混交であると思いますので、一定の縛り、仕組みというものを前提にしなければ、実行性に課題が残りかねないと思っております。また、関係団体があっても入っていない個人事業者、あるいはそもそも団体のない業種の取扱いなどについても、並行して整理をし、どう取り扱うのかということを議論すべきではないかと考えています。
 続いて11ページに移ります。安全衛生教育の受講、危険有害業務に関する健康診断の受診等です。こちらの○の3つ目には、注文者に対して、労働安全衛生、労災防止上必要な講習等に対する配慮を求めるとしておりますが、配慮を促すだけでは実行性は確保できないのではないかと思っています。実行性を確保するための何らかの仕組みづくりが必要ではないでしょうか。例えば、注文者に対して、労働災害防止上必要な講習や教育の受講、特殊健診の受診を行っていない事業者を従事させてはならないというような、させてはならない規定のようなものを設けるということも含めて検討してはどうかと思っております。これは元方事業者に対する施策についても同様であると思います。
 続いて、14ページに移ります。業務上災害の報告についてです。○の1つ目の所に、注文内容が災害に影響を及ぼすようなおそれがある場合のみ、業務上災害について報告義務を課すとしておりますが、先ほど申し述べたとおり、全ての労災について何らか対応が必要であり、注文者に報告義務を課すということも含めて検討が必要ではないかと思います。
 19ページに移ります。プラットフォーマー等の仕組みを提供する者に対する措置の所です。プラットフォーマーなど、実質的に作業の安全衛生に影響を及ぼす立場にある者に対しては、注文者に求めているのと類似の配慮を求めるとしておりますが、やはり配慮を求めるだけでは実行性を確保することはできないのではないかと思います。例えば、実質的に作業の安全衛生に影響を及ぼす立場にある者に対しては、注文者に求めているのと類似の義務を課す、あるいはプラットフォーマーなどに対して、施工方法、工期などについて、安全で衛生的な作業の遂行に関する措置を講じない事業者を作業に従事させない、いわゆる「させない規定」ということも含めて検討してはどうかと思っているところです。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかの御意見等はありますでしょうか。それでは、森委員お願いします。
○森参集者 少し各論的なことになるのですが、個人事業者に対して注文者その他が周知をするとか、促すという項目について、それぞれどのような情報を周知しなければいけないのか、又は与えないといけないのかを明確にしないと、実行性のないものになるのではないかと危惧する項目が幾つかあります。
 過去にもお話をしてきましたが、例えば保護具であれば、どのような場でどのような保護具をだけでは足りなくて、どのような方法ではめるかというような情報までが必要でしょうし、先ほどございました特殊健康診断でも、どのような項目を実施するというだけでは足りなくて、特殊健康診断の判定を受けるためには、自分はどの程度のばく露を受けているのかという情報がなければ、特殊健康診断が成立しないということになるので、実行性が上がるような中身を明確にしていく必要があるのではないかと考えております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。中村委員、どうぞ。
○中村参集者 2つ申し上げます。1つは11ページの所で、これからは個人事業者に対する教育をかなり義務化しようという書き方をされていると思いますが、それに関して、今、私が実際に人材育成等をやっている状況から言いますと、中小並びに個人事業主の方は、その教育を受ける資金そのものがなくて困っていて、受けたくても受けられないというのが実情ではないかと思います。義務付けるなら、先ほど発言があったように、元方事業所に、そういう者でなければ使ってはいけないということを義務付けて、元方の負担とするのか、あるいは国や地方公共団体が、そういう教育に対しては補助をするなど、そういう支援をしていかないと、この条文を書いても、実際上は実施できないのではないかと思います。これが1点目です。
 2点目は15ページです。このように書いていただいたのは、私としては、いろいろな元方の方と話をしていて大変納得できる条項なのです。「安全上の指示」と「指揮命令」との関係を分かりやすくしてくれと言われて、そのとおりなので、実際には各事業者が本当はどこまで言っていいのかをもう少し分かりやすく言ってくれと言われておりますので、ここのところはお願いしたいと思います。その際に、今回、元方事業者に対する責任という部分が全般的には結構書かれていくと思うのです。そのときに必要になってくるのは、それだけ責任を課す以上は、実際に働く人への元方からの安全上の指示をもっとしっかりやられるようにしたほうが実効が上がるような気がします。この2点です。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは、オンラインの鹿野委員、お願いします。
○鹿野参集者 個別の論点ではなくて全般に関する要望を1つと、意見を1つ、質問を1つ申し上げます。
 1点目は、既に先ほど御発言があったところと重なるのですが、論点がいきなり出てきているという感じがします。もちろん、今までのいろいろな資料と合わせて、その上でということは分かるのですが、検討の背景とか考え方という、総論的な部分がまずあった方がよいと思います。また、各論についても、今まで実態のヒヤリング等をしてきたわけですから、その実態をどのように整理して、それをどのように踏まえたのかを書いて方向性を示されたほうが、どこまで共通認識として共有できているのかが明らかになり、その上で議論を進めるということになって、やりやすいのではないかと思いました。これは要望です。
 2点目です。各論点について、配慮義務とか、もう少し強力な義務などの提案があるわけなのですが、今まで指摘してこられたように、かなり多様な業種・業態がありますので、どこまで共通での義務付け等をすることができるのか、それが分かれるところもあるのではないかとも思います。しかし、そのとき、いきなり具体的にこの業種についてはというのも議論の進め方としては問題だと思います。具体的な適用対象が分かれる可能性があるものについても、まずは、そこにおける共通の視点とか、基準になる考慮要素などを整理していく必要があるのではないかと思いました。これは意見で、1点目の要望とも実質は関わるところだと思っております。
 3点目は質問です。例えば13ページなど、いろいろな所に「発注者」と「注文者」という言葉が出てきます。私は、何回か前の検討会のときに発注者の概念について確認させていただき、その資料における発注者とは、民法の請負契約というレベルでの注文者を意味しているわけではないということで御説明がありました。今回の資料では、例えば13ページの一番上の見出しは「発注者による措置のあり方」と書いてあって、下の所は「注文者」という言葉が何回か出てくるのですが、これは完全に区別した概念として自覚的に使われているのかどうかがよく分かりません。区別して使われているとすると、どのような趣旨で区別して使われているのかが、私が労働法の専門家でもないということもありまして、よく分かりませんでしたので、質問させていただければと思います。
○土橋座長 質問につきましては、事務局からお願いいたします。
○船井補佐 事務局でございます。最後の「発注者」と「注文者」の部分ですが、何回か前の会議の資料で用語解説のようなものをお配りしたのですが、安衛法上の「注文者」というのは、先生が御指摘の、民法で言う、いわゆる請負の仕事を注文する人ということで、非常に幅広い概念でして、注文者が労働者を使って事業をやっている場合には、事業者にもなりうるといった形になります。「発注者」というのは、注文者のうち、誰からも仕事を請け負わずに注文している方ということで、役割としては非常に近いのですが、仕事が数次の請負契約により行われる場合には、一番上位に位置する方ということになります。例えば建設業に代表されるような重層下請がありますと、発注者は1人しかいないのですが、注文者はたくさんいると、こういう整理になると御理解いただければと思います。
 資料の中で、きっちりとここは発注者で、ここは注文者かということを明確に整理しているのかと言われると、十分に整理できていない部分があるのですが、タイトルとしては、「注文者」と書くよりも、仕事を生み出すような人、仕事に伴ってリスクも生み出すような人というニュアンスが伝わりやすいように、「発注者」という言い方をして、後で出てくる「注文者」というのは、条文上は注文者で捉えている規定がありまして、それに対応したような形で書いているということで、分かりやすさ重視で書いたつもりが、先生の目から見ると逆に整理ができていないというようになってしまったのかということで認識しております。また、今後ブラッシュアップしていくに際しては、そこら辺のワーディングについても注意しながら、まとめさせていただきたいと思います。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは、オンラインの三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 主に、先ほどの建設業界様からの御意見について、コメントを差し上げたいと思います。まず、強調すべきは、フリーランスなどについても、ここでは労災と言わないで、あえて業務災害と言いますけれども、災害を減らそうと思ったときに鍵になるのは、その管理体制作りと情報共有だろうと思います。これは今まで安衛法が骨格としてきたものですので、それをどれだけどのように広げられるかということが、ポイントなのだろうと思っています。
 その前提でですが、まずデータについてお話がありました。今までフリーランス等についてのデータが乏しいのはやむを得ないわけですけれども、しかし、管理に基づく災害、管理に不備があって生じた災害の場合には、これは分析の仕方によって全く評価が変わってくるわけです。つまり、同じ災害でも、管理に問題があったとするか、本人や機械の問題とするかは、分析の仕方次第ということです。安全衛生を考える場合には、社会工学的あるいは組織論的な視点で分析しなければいけないと。と言うのは、そういう視点で対策を打ってきたから、災害が減ってきたという歴史があるからです。
 現在、厚労科研を頂いて、判例とか監督指導の事例をかなり集めて分析を掛けていまして、たしかに、個人要因、特に行動災害と言えるような、一人親方等に問題があったかなというケースもあるわけなのですが、災害を減らすという観点に立って、元方等に責任を課しているという実例が非常に多いわけです。これは申し上げないといけないところです。
 その上で、改めて理論的、理念的な整理なのですが、なぜ現在は労働者とはされていない方を保護の対象にしていかなければならないか、また、現在、使用者や事業者とはされていない方に、責任を課していく必要が検討されるべきかと言うと、恐らく3つあります。1つは経済的従属性です。そういう方々によって生計を立てているという実態があることです。2つ目は、勤務条件の一方的決定性だと思います。要は、約款を用いて、その仕事をしてもらう、契約書自体を交わさないという例も多いですが、そういう場合であっても、やはり発注者、注文者の側の立場が強い、だから働く条件も自ずと決まってきてしまうということが一つあります。それから、何より業務災害防止の実効性だと思います。災害を減らすためには、誰が一番やりやすいかという観点が、安衛法でも、その他の関係法規でも、重視されてきたと思われるからです。
 その際、今、厚労省の、しかも安全衛生部傘下の検討会で話し合っているわけですけれども、労使の枠組みをどこまで応用するかという視点も必要です。その際に、使用者団体の方にもお考えいただきたいと思うのは、1つには、労働者扱いしないことで責任を切り分けてきたという経過があります、そういう中で、ドイツの『労働4.0』という報告書などがいい例ですが、労使が社会的役割を意識していく、たとえ直接的には労使関係の問題でないとしても、ある程度労使で話し合っていくということが考えられないかということです。それと、見方によっては労働者としてもいいもの、グレーなものを労働者から外すということになると、外部不経済の問題にもなるわけで、そこをもう少し考えられないかということを御検討いただきたいという点です。
 最後に、報告義務を誰が負うかという点です。これは海外の例にも倣って考えますと、基本的な理念としてはリスク管理権者、広い意味でのリスク創出者に出してもらう、そこは義務化してもいいのではないかと私は思っています。そして、本人については報告する義務ではなくて、報告する権利を与えるというようにするのが適当かなと思っています。その権利も、もちろん支援体制がないとうまく回らないので、そういう体制も考えるということになると思っております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。オンライン参加の方で御発言のある方はいらっしゃいますか。出口委員、お願いします。
○出口参集者 よろしくお願いします。資料1-1、10ページにある、(2)個人事業者等自身による措置やその実行性を確保するための仕組みのあり方に記載がありますが、建設業の中でも、住宅の戸建ての個人事業者や、ゼネコンの専門業者から一部を請け負っている個人事業者など、非常に多種多様な働き方がございます。それについては、安衛法の第21条から第25条の改正については、他業種も一括して早急に進めるのではなく、個人事業者等に対する国の支援、また団体の働き、教育や災害の報告、特別加入制度等の仕組みをしっかりと構築した後に、把握された個人事業者の災害発生状況を踏まえながら、取り組むべきではないでしょうか。これは要望です。
 12ページに関しては確認です。1つ目○は、建設業、造船業及び製造業における混在作業現場における連絡調整、2つ目の○は、安全衛生教育の受講、危険有害業務に係る健康診断の受診等、これらを措置することによって、個人事業者等の実行性を確保する仕組みというようにございますが、こちらに関して、個人事業者等の入場時に、安全衛生教育や健康診断の実施状況を確認するなどの取組に関しては、既に建設業では行っており、入場時に入場者届により把握されているものです。
 あと、「混在作業による労働災害を防止するための統括管理の対象には個人事業者等自身も含むことを明確化」するということで、こちらに関しては安衛則の第636条に作業間の連絡及び調整について、特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人の相互間における連絡及び調整を行わなければならないとなっております。関係請負人というところに、個人事業者も既に含まれているのではないでしょうか。明確化するのは個人事業者以外だと考えるのですが、この明確化について、関係請負人との関係を厚労省でどのようにお考えになっているのか、2点について確認させていただきます。
○土橋座長 確認の件について、事務局からお願いいたします。
○船井補佐 事務局からお答えいたします。入場時の教育、健診の確認というのは、出口委員が御指摘のとおり、現在、大き目の建設現場だと思いますが、そういう所で実施されていることを念頭に書いております。全く新しいことをお願いするような話ではないということで、御理解いただければと思います。
 また、やり方についてもいろいろなやり方があると思いますし、建設現場と、ヒヤリング対象で事務局から報告させていただいた化学プラントなどですと、またやり方も違うと思いますので、そこら辺は柔軟に対応できるようにしていただければと思います。
 2点目は、安衛法第30条の混在作業に伴う災害の防止の関係ですが、ここで申し上げたいのは、12ページの下の所に労働安全衛生法第30条という条文がありまして、先ほど労働安全衛生規則の第636条を御紹介いただきましたが、この規則については、この第30条を根拠にしている条文になると思います。この大元の第30条の条文を読んでいただきますと、「特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が混在する場合」ということをうたっておりまして、関係請負人には個人事業者は入るのですが、ここで言っているのは「関係請負人の労働者」と言っているので、関係請負人自身の混在というのは、条文上は読めなくなっているのではないかと。ここは実際の現場においては、関係請負人である個人事業者の方の混在も念頭に置いた統括管理がなされているという実態があると思いますので、実態に合わせて、この条文を改正するなり、何らかの手当が必要ではないかということで書いております。
○土橋座長 よろしいですか。ほかに御発言はございますでしょうか。それでは、小野委員。
○小野参集者 前回まで、建設業に始まったスタートから考えてみれば、IT業界、芸能業界、軽貨物の運送事業業界、飲食デリバリー、様々な個人事業者がいるような業界について、皆でヒヤリングをしてきました。そのときの私の感想としては、様々だ、災害の内容も様々、実際の働きぶりも様々だという印象です。ここで言うと、資料の7ページ目に書いてあるように、多岐にわたる個人事業者が属するような業種に対しては、内容を本当に共通化できるのだろうかというのが、最初の印象でした。
 そこで、業種・業態特有の課題に分けて検討してはどうかとあるとおり、たくさんの業界を全て個別にやるのは大変ですので、幾つかに分類はできないかなと。少なくとも3つか4つ、あるいは2つか3つでもいいです。その中で、具体的な対策を、実際の労働災害の内容、分析、把握の仕方、それを縮減するための具体的な対策はどういったことがいいのか。実際の発注者の役割、個人事業者の役割、義務付けといったものも、個別の業界の中で少し検討してみて、実行の有り様、内容を考えてみて、そして、それを今度は全体を見わたしたときに、共通化できるものが見えてくるのではないかと思います。
 ですので、私は委員会のスケジュールの全貌を知らないのですが、もしも時間的な余裕があれば、分科会、小委員会に分けて、特有の課題対策の議論をしてはどうかということを1つの提案として言いたいと思います。基本的には3月までのスケジューリングは聞いておりますので、今年度でこの委員会自体は終わるのでしょうか、それとも、来年度も引き続き続くものなのでしょうか。それもお答えいただけたらと思います。
○土橋座長 ありがとうございました。田久委員、どうぞ。
○田久参集者 最初に全体として、1つは個人事業主という関係で、先ほど発注者の問題もありましたが、個人事業者ということに対する概念ですが、この部分ももう少ししっかりとはっきりさせるべきかと思います。「個人事業者等」と書いてあれば、これには個人事業主が含まれるのか、若しくは一人親方と言われている人たちが個人事業者なのか、こういったことがはっきりしないということが1つあります。
 また、安衛法第2条第3項の「事業者」という所では、雇用している人となっている関係では、仕事だけを委託している事業者というのもいるので、そういったところの人たちの区別や、そういった人たちに対しても範囲を適用するのかということも一つ考えていくことが必要かなと思っているところです。
 先ほど出ていましたように、個別の仕事内容によって様々な安全の問題があることは認識をしていましたが、大きく考えれば、1つは場所と言うか、そういったところでは様々な点で共通したものとしての安全対策は考えていけるのではないかと認識しています。特に、場所ですから、元方なども含めてですが、実際問題、そこが安全の管理をしていく、報告もする、こういうことによって、一定の整理ができるのではないかということも考えています。
 特に、第30条の関係で言いますと、ここの元方自身に、責任を大きく付けるということではなくて、責任を持っていただくという認識の下、個人事業主等のことも入れていく。建設で言えば、職人基本法の中では、そういった元方責任のところの位置付けもされていますので、そういった点では、こういった方向性というのは、私自身は、この方向で是非検討していただきたいのと同時に、もう1つは、建設や製造業だけではなくて、似たように、その場所ごとによって起こる産業、特に映画とかテレビ局なども含めれば、テレビ番組を作る場、そういうところで言うと建設にも似ている、以前もお話したかと思います。ITで言えば、そういった1つのシステムを作り上げるということでは同じことですから、そういった関係でも、元方の第31条の部分というのは、少し拡大をしていくことも含めたところを検討していくことがいいのではないかと思っているところです。
 次に、中村委員からもあったように、個人事業者の関係の安全衛生の教育は、建設で言うと、日給月払いですから、こういったところでは休んで行けということになると、収入は減るということも考えられます。また、休むと、そのためだけに休むということが、元請も含めたところの理解が、若しくは発注者、元請も発注者に対して理解が、それによって工期が延びたりするということもありますから、そういった理解がきちんとされていなければ、なかなかこの部分は改善されないかなと思いますので、こういったところでは行政からの指導や、発注者への理解というところもきちんと進めていっていただければなと改めて思っています。
 もう1つ、相談窓口についてですが、基本的には監督署や労働局がやるのか、行政がやるのか、それとも委託とか民間がやるのか。やはり、きっちりとした知識を持っている人たちが対応しなければいけないかなと思っているので、その辺は是非、今後の議論の細かな整理をする際に検討していただければなと思っています。
○土橋座長 ありがとうございました。相談窓口については、何か事務局からございますか。
○船井補佐 すみません、具体的な事業化のイメージがまだあるわけではないのですが、1つ言えるのは、事業場の中で個人事業者の方が働く場面がかなりの部分を占めるというところがあることを踏まえれば、監督署、労働局というのは当然、対象になってくる。ただ、それ以外にも、例えば、既存の請負関係の契約に着目した相談を受けている公正取引の関係や、そういう観点から設置されている窓口もあろうかと思いますので、そういった所に契約の話で持っていったら、実は安全衛生のことも含まれていたということはよくある話だと思いますので、そういったところとの連携みたいなことも必要になってくるのではないか。そういう意味での体制整備ということで、いろいろな選択肢も含めてここで書かせていただいております。今後の検討課題だと思います。
○土橋座長 あと論点が2つありますので、そろそろ次にいきたいとは思いますが、よろしいでしょうか。
○船井補佐 すみません、小野委員から御質問を頂いていたと思います。1つは、検討会は今年度で締めるのかどうかということですが、これは引き続きやらせていただきたいと思っています。
 もう1つ、分科会のようなものを設けてというお話もありましたが、今回まとめさせていただいた内容を見ていただければ分かりますとおり、例えば、場所に着目したものや、注文者が作業を制約するような条件を付す、付さないなど、そういったものについては、作業や業態が異なっていても、取り扱うものが違っていても、同じような仕組みというものがあるのではないかと思っていまして、共通課題として書かせていただきました。
 では、そこから先、発注者が配慮すべきことは具体的に何なのかという話になると、法令や国が示したガイドラインをもとに、各業界で、うちの業界では国のガイドラインで言っているこれはこういうことだよねという整理を、業界が進めていただくということは非常に重要だと思いますし、どういうバックアップができるか分からないですが、国としてもそういった取組が促進されるように、何かしら考えていかなければいけないとは思っています。
 ただ、今時点で、何か分科会を設けて、カテゴライズして、掘り下げた議論をということは考えていません。今、申し上げたような方向で、現場の実態に即したような取組が促進されるようにしていきたいと思っています。以上です。
○土橋座長 それでは、次の論点にいきたいと思います。次は論点3になります。本日の資料1-2をもとに御議論いただきたいと思います。御発言いかがでしょうか。すみません、オンラインから先にありましたので、高山委員、お願いいたします。
○高山参集者 発言の機会をありがとうございます。ITフリーランス支援機構の高山です。私からは資料1-2の論点全般に関して、特にここを重点的にということはないのですが、基本、感じたことと、それから御提案も含めて4点ほど発言をさせていただきたいと思っています。
 まず発注者に対して、安全衛生対策をどのようにどこまで求めるかという御議論があったかと思いますが、皆さんのこれまでの御意見を伺っていて、やはり業界や業種によってくるのかなと思っています。と言いますのも、フリーランスとして働くことに対して、そもそもフリーランスになっている理由というところ、背景に違いがあるように思っています。例えば、労働者とフリーランスのいずれかを自由に選択できる、私どものようなITフリーランスのような世界が1つあります。一方で、フリーランスとして働くことが余儀なくされている、若しくは慣習的に昔からずっとそうなっていて、基本的にはフリーランスなのだという部分と、大きく2つあるのかなと思っています。安全衛生対策を進める上では、いずれの特性がある業界、業種なのかということを踏まえた上で検討することが重要なのかなと思っています。
 例えば、私どものようなITフリーランスの方々というのは、労働者として働く選択肢もありながら、意図的にフリーランスを選択しているということになります。そういった業界で、発注業者に過度な規制を掛けていくことが、結果的にフリーランスの活用に対して消極的になるような、そういった展開も考えられますので、そういう場合はちょっと別の方法を考えたほうがいいのではないかなとは考えています。
 その流れで、2点目になるのですが、我々のようなITフリーランスの世界では仲介事業者、いわゆるエージェントと言われるような企業が最近、増えてきています。発注企業だけではなくて、エージェントの存在をうまく活用しながら安全衛生対策というものをやっていくことが、非常に有効ではないかなと思っています。
 例えば、就業場所の問題や就業時間数の問題、あるいは定期的な面談を行うようなこともできますし、ヘルスリテラシーの啓蒙や啓発などといったところや、定期的なヘルスチェック、健康診断促進など、そういったものが課題、問題点に挙がっていたと思いますが、これらのことというのは、エージェントのほうが日頃やっている部分もありますし、もっとその辺りを強化していくというのは非常に有効になってくるのではないかなと思っています。
 また、そのような安全衛生に対する取組を積極的にやっているようなエージェントに対しては、優良エージェントということで認定したり、あるいは助成金などを付けて更に加速するような仕組み作りなどというところも考えていけるのではないかなと思っています。
 3点目なのですが、一方で、そういったエージェントなどを介さずに直接ユーザーと契約される、そういったフリーランスの方々もいらっしゃいます。そういった場合はエージェントを介さないので、今度は特別加入団体のようなところを強化して、現状、もう特別加入団体に対しては一定の努力義務みたいなところは課せられていると思いますが、そこをもう少し推し進めて、定期的なヘルスチェックを義務化していくなど、健康診断の促進、相談窓口の設置、医療機関との連携などが強まるような、そういう枠組みで特別加入団体に要件を求めていくということも有効な手段なのではないかなと思っています。
 最後なのですが、IT業界というのは、ほかの業界と比べますと、やはり違う部分がありますので、先ほど先生もおっしゃっていましたが、やはり業界に特有な課題というものがありますので、そこの業界に合わせた課題を議論するための推進の主体というものを決めまして、その上で進めていくということが非常に重要かなと思っています。ITフリーランスの場合は、現状、その所管する省庁というものはありませんので、特別加入団体や業界団体との連携を進めていくということが、現状では一番よいのではないかなとは思っています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。森委員、お願いいたします。
○森参集者 ありがとうございます。この論点の長時間労働、過重労働やメンタルヘルス、健康管理、専門的な立場で見ても、何をやったら実行性が上がるかというのは極めて難しいなというのが、正直なところです。現行の労働安全衛生法で行われているような健康診断、ストレスチェック、長時間労働、面接指導というものを並べてみたということだと思いますが、どの項目も、その項目をやっただけではほとんど成果が上がらないものばかりで、結果的に、その結果に基づいて、次の対策があって初めて結果が改善するというものです。個人事業主の場合は、その結果を自分で受け止めて、何らかの対応をしないといけないということになってしまうのでしょうか。先ほどもありましたが、そのときにその後のことを相談できるのかという相談窓口をどう確保するかということが、その促しを行ったことによって生じる責任ではないかなと思います。それを行政がどこまでできるのか、そして、先ほど業界団体、いろいろな団体又はエージェントという言葉が出ましたが、どこが窓口になり得るのかということを探っていくことで、初めて多少なりとも促したことの価値が出てくるのではないかと思います。
 一方で、ストレスや長時間労働というのは、日の単位で何らかの仕事を受けているような状態で、その1日の単位のことを発注者が責任を取るというのは非常に難しいわけですが、前回ウーバーイーツさんやアマゾンさんの事例などプラットフォーマーの事例がある中で、かなりのところそのプラットフォーマーの中で仕事をしている、拘束されているというような事例があった場合には、そのことが分かっている以上、当然その中で何らかの配慮を行う責任が生じるのではないかと思っています。恐らく労働時間や時間外という、時間で管理するということが、一般の労働者のようには簡単ではないので、前回のインタビューのときに思ったのですが、やはり睡眠が取れないような働き方をしているというようなことがあれば、それは例えば1週間の単位でも、かなり健康影響があるようなものなので、そういったところの範囲の責任を少し明確にして、そこに配慮を求めるということが現実かなと思っています。
 もちろん、ハラスメントのような事例は、これは労働衛生の事例なのかどうかというのは、ちょっとなかなか範囲が難しいのですが、そのあったこと自体でリスクを生み出しているということなので、そういったものに対する責任と、それがあったときに個人事業主がどこに相談ができるのかというその受け皿を明確にしていくということは必要でし、できるはずです。それによって、多少なりとも安心して働けるという環境ができてくるのかなと思います。いろいろ考えてみたのですが、かなりの限界があり、以上のことが私が考えたことです。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。では、オンラインから三柴委員、お願いいたします。
○三柴参集者 御指名ありがとうございます。1つは、時々話題となった業種等の分類についてですが、以前、御紹介をしたオーストラリアなどでは業種による分け方というのはしていなくて、要はリスクに応じて対策を分けるというふうにしていて、結局、職場がどうか、設備がどうか、有害物の在り様がどうかといった、そういう分類をしているということです。日本でも危害防止基準を分析すると、結局、物のリスク、場所のリスク、作業ないしは作業方法のリスク、それから人、そこに着目して規制を掛けてきたということは言えるので、業種で分ける方法は伝統的だから守るとしても、そこを再度意識した分類をして、業種分類から漏れてしまう例、例えば商店でものを作っているという場合は、製造業なのか、それとも販売業なのか、そういうグレーゾーンに当たるところも、そういうリスクの種類に応じて、どこかにカテゴライズできるようにするというのがあるのかなということです。
 それから、その契約の形態で分ける、請負か、委託か、雇用かなど、そういうもので分ける方法もあり得るのですが、これは実態とは離れてしまうおそれが大きいので、どちらかというとリスクと、それから前に申し上げたそのアレンジメントですね、条件付け、その働く条件をどういうふうに誰が設定しているかということで分類するのがいいのかなと思います。
 もう1点、今、森委員から受け皿のお話がありました。ここについての私自身の展望は、やはり展望の1つは安全衛生対話というものを、発注者やプラットフォーマー、リスク管理権者と受注者の間で促進していくことで、様々、区々多様なリスクに対応できるようなことにしていく。やはり対話の促進ということが大事になってくるかなというふうには思います。しかし、ただ、ソフトに対話してもらえればいいということではなくて、発注条件を少なくとも透明化するような規制を掛けていく。したがって、対話自体を何らかの形で公的に担保しつつ、情報の一般的な共有、行政による取得を図っていくということが必要になるかなと考えています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほか御発言はありませんか。中村委員、お願いいたします。
○中村参集者 すみません、私はよく分からなくて、ちょっと的外れなことを言うかもしれないのですが、全体の論調を見ていたら、おっしゃること一つ一つはもっともだなと思って読むのですが、でもこれはこのとおり書いたとしても、果たしてここの分野の個人事業主は本当に改善できるのだろうかということを、すごく疑問に思いました。何を言いたいかと言うと、先ほどの論点1の場合は、例えば発注者や元方など、何らかの恰好で規制をする相手はちゃんといるのですが、こっちの場合は2つタイプがあって、1つは自分の才能をもとに自己責任的に仕事をしている人がいる、それから、もう1つのグループはいわゆるアルバイト的にウーバーみたいにやっているグループがある。それを一緒にしてはいけないので、そこは多分、分けなくてはいけないのだろうと思いますが、前者のほうの自分の才能、あるいは自己責任という形で仕事をしている人に対して、あなたは過重労働と言っても、やはりやってしまうような気がするので、そうすると何か違う。本当になぜ過重労働になるかということを何らかの恰好で誰かが言ってあげなくてはいけない。例えば最低賃金保障的なものは要るのかもしれない。何らかの処遇面をやってあげないと、これを個人の才能、それから自分の裁量で仕事をしている人に対しては、おっしゃっていることはもっともなのですが、実際にはなかなか実効が上がらないような気がしていました。すみません、ちょっと言っていることが的外れかもしれませんが。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。山脇委員。
○山脇参集者 御指名ありがとうございます。7ページの過重労働に関して発言させていただきたいと思います。中村先生からお話を頂いたところと重なってくるのですが、ここで書いてあるような自己管理と言っても、限界があるのではないかと思います。過労死をはじめとする健康障害を防止するためには、仕事を発注する側に、長時間労働の方については業務に従事させないというような制限を加えるべきではないかと考えます。フリーランスの方も、納期を守らないといけない、あるいは売上を守らないといけないという意識のもと、働き過ぎていることが十分考えられるので、「させない規定」のようなものを設けていくということを、検討いただけないかと思っています。
 こうした規定は、過重労働だけではなく、メンタルヘルス防止や、健康診断、あるいは健康障害防止以降のところも同様であり、「させない規定」を設けていかないと、働く人の健康は守れないのではないかと思っています。これが1点です。
 あとは全体にかかわるところですが、安全衛生に関わる経費が計上されていない契約をどう扱うのかという論点も重要ではないかと思っています。今回、示されている方向性については、労災防止、あるいは健康障害防止のための措置と実行性をどう担保していくのか、そのための仕組みのあり方ということを中心に提起を頂いています。ただ、安全衛生に関わる経費が計上されていない契約をどう扱うのかということを含めて、契約のあり方、あるいは商慣習そのものへの対応というものも、重要なのだろうと思っています。請負契約であれば、当然、安全衛生対策経費を計上されるべきことは言うまでもありませんが、その額が十分なのかどうかも含めて、本検討会で改めて俎上に載せていただければと思っています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。本多委員、お願いいたします。
○本多参集者 私どもは御案内のとおり、元方事業者団体という立場なものですから、全産業的には非常に狭いのですが、個人事業主は圧倒的に数が多いというところは前提でお話ししたいと思っています。今回、記載されている内容に関して、特段、違和感、異論はありません。内容については特に何もないかなと思っています。
 皆さん方のお話と繰り返しになりますが、これまでの検討会で発表された各業界、ITフリーランス、芸能従事者、イラストレーター、林業従事者等の実態説明がありましたが、これらの方々と、個人事業者の多くを占める建設作業従事者とでは、かなりいろいろな発生状況や課題が大きく乖離することが明らかなのだなというのは、皆さんの御認識のとおりだと思います。と言いますのは、建設業の場合、既に何度か御説明していますが、実態調査を現場でやったところ、労働者と一人親方を比べた場合に、労働時間、稼働日数、それから賃金に関しては、逆に労働者よりも一人親方等のほうが非常に状況がよいというのは1つ言えます。先ほどもお話がありましたが、建設業の中での一人親方の方々というのは、自己責任と言いますか、独り立ちをして稼げる人たちなので、全然、実態が違うということは改めて申し述べたいと思います。もちろん、そういう方々なので一般の労働者の人よりも健康障害は比較的少ない、それから、ハラスメントはほとんどないと認識している次第です。その中で、全産業的にはこの課題というのは大きな取り組むべき内容だと思っていますので、記載の内容については基本的には異論はありませんので、全体的に進めていくべきだと思います。
 そこで総論的に、若干、申し述べさせていただくと、個人事業者等に関する過重労働による健康障害やメンタルヘルスの不調を防止するには、やはり労働者の場合と同様に稼働する時間を削減するとともに、健康管理を徹底し、個人事業者等の心身の負荷を軽減していく必要があると思っています。これは全産業的な話ですが、これらの措置を個人事業者等に講じるためには、働き過ぎなどによる健康障害を防止する重要性を、個人事業者に理解していただくべきで、そのためには、やはり皆さんもおっしゃっているとおり、行政とその関係業界が連携してキャンペーンを行うなど、啓蒙活動を積極的に取り組むことが必要なのではないかと思います。また、個人事業者等が脳・心臓疾患や心理的負荷に起因する精神障害を発症した事例等を、パンフレットで周知することなどにより、個人事業者等に自らの稼働時間や疲労蓄積状況、ストレス状況等を把握する必要性を理解していただき、自主的な取組につなげていくことが求められているのだと思います。労働者を対象としたストレスチェックを、個人事業者にも推奨して普及させるなどが効果的であるとも考えます。そういう意味で、国や地方自治体等が過重労働による健康障害やメンタル不調に関する相談窓口を開設していますので、それらの窓口に個人事業者等が行きやすい環境づくりを進めていくべきです。そして、建設現場で申し上げれば、新規入場者教育の場で労働者、一人親方を全く区別なく実施していますので、その機会を活用して、行政が作成された、あるいは業界等が作ったパンフレットの内容を個人事業者に周知することは、十分可能であると考えています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。森委員、お願いいたします。
○森参集者 ありがとうございます。すみません、追加なのですが、いろいろなことを個人事業者に促すときに、果たしてその時間を彼らは確保できるだろうかということを、やはり収入の問題と掛け合わせて、常に我々は考えておかないといけないなと思っています。実はコロナワクチンの接種率を分析すると、やはり個人事業主の接種率は明らかに低いという結果が出ます。それから、日本でワクチン接種瓦解しになる前の2020年12月にワクチンが手に入るならすぐ打ちたいと言った人が、実際には打たなかったのはどんな人かという分析をすると、世帯収入ということがすごく大きく影響しているという結果が、我々の分析では出ています。恐らくワクチンを打つだけならいいのですが、打った後に何日間か休まないといけない、副反応があって、これだけ休みが取れるだろうかということが、かなり仕事のスケジュールのことや、その分、収入が失われるなど、そういうことに対して影響していたのではないかと、私たちは考察をしています。健康診断をやって、その後、相談に行くなどという、そういった時間を、個人事業者全部とは言いませんが、彼らは確保できるのだろうか。そうすると、そのことは安全衛生経費というものが、どう見積もられているのかということにも関わってくることかなと思います。場を作っただけではなかなかこれは解決できないなというのも、今、お話を聞いて、もう一度、発言したほうがいいかなと思いました。ありがとうございます。
○土橋座長 ありがとうございました。そろそろ次の論点にいきたいと思いますが、今の論点3についてはほかに、それでは青木委員、お願いいたします。
○青木参集者 住団連の青木です。住宅業界に関しても、今、本多さんがおっしゃったように、一人親方のほうが収入も高くて、それから労働時間も短いという結果が同じようにやはり出ています。そういった形で申しますと、ほかの業界と比べて、一緒にはなかなか論じることはできないというようなこともあると思います。
 それから住宅業界の場合は、非常に狭い地域、もともと受注金額も小さい物件が多いですから、狭い地域にいる職人さんを集めて、その中で職人さんを囲い込んで、ずっと継続的に発注するというような形を行っています。これは一人親方に関しても、ほぼ同じです。そういったこともありますので、大体、安全協力会のような形でそれぞれ元請若しくは工務店自身がその関係する下請の事業者若しくは一人親方を集めて、定期的に例えばこういった安全衛生に関しても、勉強会を開いたりしているのが現状です。
 一方で、非常に小さなリフォーム工事なども含めて、小さい業者さんが多いこともありまして、いろいろな意味でアウトロー的な、どの団体にも入っていないという事業者も結構います。そういった所が、どういう働き方をしているのかということは全く分かりませんし、また、いろいろな法令で決められたことを守ってやっているかどうかということも分かりません。そんな意味合いもあって、本来であれば、そういった建設業を行う事業者全て、何らかの団体なり組合に入って、やはり何らかのそういった情報を定期的に得ることができる、そういった状況になれば、いろいろな意味で、知らなかったというようなことも含めて、諸々の問題を解決できるのではないかなと思いました。
先ほど申し上げたような、例えばそういった安全協力会や、一人親方も加入が可能な地域の労働組合など、何かそういったものを幾つか利用しながら、それをある意味受け皿のような形にして、事業者がどの団体にも入らずに、勝手に仕事をしているということがなるべくないような形に、何とかすることができれば、全般的にいわゆるアウトロー的な問題というものもなくなるのではないかなと感じました。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。田久委員、お願いいたします。
○田久参集者 すみません。時間がないところ、申し訳ないです。メンタルヘルスの関係と過重労働の関係も含めると、先ほど山脇委員も言われたように、収入ベースというものがかなり大きなウエイトを占めているということが、私たちの仲間の中からの声です。働き方改革を進めている中でも、週休2日になっても俺はまた違うところで土曜日働くなど、こういうことが平気で言われてきているというところで、やはり賃金単価の上昇、いわゆる収入を上げていく、生活水準を上げる、こういうことによって、先ほど言った働き過ぎを防ぐということにつながるかなと、若しくは先ほど言った安全経費などもきちんともらえるような体制というのは、やはりきちっと考えないと、この労働安全衛生の問題としてはなかなか解決できないかなと。今、建設では国交省等も含めて、厚労省さんもオブザーバーで参加をしていると思いますが、安全経費の関係での確認表を作ったりしていて、その元請、下請、又はそういったところの中での安全経費とは何かということを、きちっと今、整理もし始めてきているというところでもありますから、やはりそういったところは業界を含めたところがきっちりやるべき問題かなとも思っています。ですから、その点では、関係省庁が決まっていない、先ほどITフリーランスの方が言っていましたが、これを機にそういったところをきちっと固めていくことも重要ではないかなとも思っています。
やはり賃金単価が上がらないという部分が、実は5年ぐらい前ですが、山梨の組合さん、個人事業主でしたが、会社で抱えている人たちに給料を払わなくてはならないということで、単価が安いために仕事をたくさん取り過ぎて、逆に言うとそれが負担になって、メンタルヘルスになって自殺をしてしまったという事例も生まれてきているというところでは、先ほど言ったように、やはりそういったきちっとした窓口の体制も、このメンタルヘルスの中でもきちっと位置付けていかないといけないのかなと。やはり事業主の方というのは、どこかのアンケートで出ていましたが、金銭面などのほうでの悩みということですから、一人親方とはちょっと違うのかなと、フリーランスの一人でやっている人たちとはちょっと違うなということがあるので、そういった点も整理しながら検討が必要かなと思っています。ただ、働き過ぎというところでは、そのとおりだなと思うので、是非、この部分を議論しながら、そういったところをきちっと整理していただければなと、改めて感じているところでもあります。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。続いて、論点2にまいります。論点2は、本日の資料2です。資料2を基に御議論いただきたいと思います。御発言ございますか。三柴委員、発言を御希望でしょうか。
○三柴参集者 日下部委員からあるので、その後でと思いますが、一言。業者さんがこれまでの仕組みの中で、実務の中で、一般に就労者の方の不満やリスクをどういうふうに吸い上げておられるかを伺いたいと思いました。今回、検討会を開くということでそれに合わせて調査されたとは思いますが、そういうことではなく、普段どうしておられるかをうか、住宅さん、建設さん、ITさん等にうかがえれば幸いです。以上です。
○土橋座長 1つ前の論点に戻りますが、一言ずつ、住宅、建設、IT関係等で何か御発言がございましたら。労働者の不満やリスクを、どのように業者さんが吸い上げているかというお尋ねです。
○高山参集者 ITフリーランスから、よろしいでしょうか。
○土橋座長 お願いします。
○高山参集者 ITフリーランスの場合は、我々は同時にエージェント企業もやっておりますが、エージェントを通してやる場合は、大抵、現場で就業されているフリーランスの方に対して担当者が付くケースが普通なのです。担当者が、月1回現場訪問したり、電話、最近ではWeb面談も可能ですので、そういうコミュニケーションを通して、体調面だけではなくお仕事全般、就業環境も含めてヒヤリングをしていきます。そこで一定、その方の状態が分かると思っています。ただ、これが直接お取引されておりエージェントを通さない場合は、そこの部分が弱いのかというふうな印象は持っています。以上です。
○土橋座長 高山委員、ありがとうございました。住宅は、青木委員でしょうか。
○青木参集者 住団連です。大手ハウスメーカーの話になってしまいますが、例えば、建災防など、新ヒヤリハット方式の報告、これはメンタルなども含めた形で、いかに事故を減らしていくかというようなものになるわけですが、そういうものを、ソフトを使いながら簡単に職人さんの意見を集めて、今こういう問題がある、今こういう精神的な問題点もあって少し仕事に手が付かない、そういうことを集めるなど、そういうことで全体的な労災防止につなげていくというようなことをやっております。恐らく、日建連さんでも同じようなことをやられていると思います。大手に関しては、結構、元請がもとになってやっているということがあります。
 ただ、正直に言って、それ以外の中小がどうしているかということになると、残念ながら住団連では把握できておりません。住団連は、どちらかというと元請の企業の集まりの団体ですので、どうしても職人さんを直接雇用している団体は少ないものですから、残念ながら、そういう所について何をどういうふうにしているかというところまでは、ここで発表できる状況ではありません。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。田久委員、お願いします。
○田久参集者 全建総連は、基本、労働組合でもありますので、中小零細、若しくは一人親方を多く抱えている組合ですから、1つは、設立当初から1年に2回、春、秋に必ず仲間の所に訪問しながら実態把握をしています。その点では、不満も含めたりできます。同時に、定期的に月を決めながら安全パトロールを、自分たちの仲間の現場に行くなどして意見交換をして把握することを進めています。2019年からは、建災防さんが委託事業として受けていますが、その協力として、一人親方の支援事業という形で、一人親方に限定して現場に伺い、その現場の安全の状況を把握したり、意見を交わしたり、指導したりという取組をしながら実態把握をしてきております。
 そういう意味では、かなり前から現場に訪問して、安全の状況や働いている人たちの声を含めたところを、不平不満も含めて聞けるような体制作りは進めてきたところですが、これが完璧かと言われると、なかなか全部に行きわたっているわけではなく、大体、全国に対して年間2,000~3,000件ですから、ここをもう少し上げていくことは労働組合としても今検討しておりますが、そういうところで把握している状況です。
○土橋座長 ありがとうございました。建設業は、本多委員でよろしいでしょうか。いいですか。大木委員、何かありますか。
○大木参集者 我々、30~50人ぐらいの規模の会社では、定期的に月1などに集まり、安全集会をやって、そのときに現場でのヒヤリハット等を吸い上げていく。あるいは、5、6人ぐらいの小さな会社の親方連中では、日常的に仕事が終わり帰ったときにそれぞれ今日はどうだったというようなことをやって、その辺りで、不平不満、あるいはヒヤリハット等があれば吸い上げていくということもやっております。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは、論点3に移ってよろしいでしょうか。中村委員、どうぞ。
○中村参集者 5ページです。私が気になるのは、欄外に「請負人に指揮命令はできないため周知義務」と書いてあります。ここについて、例えば保護具の使用、仮にここの例で言えば安全帯ですよね。これは本当に周知する義務でいいのですか。やはり、これは実際に「使用させる」ではないでしょうか。そこが不明確だと、先ほどから言っている安全指導をどこまでやればいいかというところの課題になると思います。
 例えば、安全帯をやれというのは当然の話ではないでしょうか。これは周知する義務ではなく、実施しなければいけないのではないですか。静電気の除去も一緒だと思います。作業服の静電気を除去しないようにしてやった例で、粉塵爆発事故がありますよね。そういうことを考えると、仮に一人親方、下請業者であったとしても、それを周知する義務なのか。やはり、これは実施しなければいけないのではないですか。作業方法、やり方のところは周知する義務かもしれないけれども、安全に直接関わる事項については、この書き方でいいのかという質問です。
○船井補佐 質問ありがとうございます。今見ていただいた前のページ、4ページを御覧ください。これは今回の検討会で御議論いただくきっかけとなった、最高裁の判決を踏まえた関係省令の改正のときの考え方ですが、労働安全衛生法22条で規制している化学物質などの有害物について、やはり、同じように保護具などがありますが、これをどうするかというときの整理を、安全と言うのでしょうか、危害防止措置に当てはめるとこうなるということで書いた資料です。
 まだ必ずしもこの方向で絶対にやるのだと固まっているわけではないのですが、基本的に、22条のときのやり方を踏襲すればこうなのかと。22条のときにも保護具は周知義務になっております。中村委員が言われたように、マスクもちゃんと着けさせなければいけないという考えもありますが、一方で、最高裁の判決の中でも、やはり個人事業者には指揮命令関係はないので、マスクを着けさせるところまで事業者に期待するのは少し難しいけれども、どういう場面でどういう保護具が必要なのかということをちゃんと周知して知る立場にあれば、自分でそういう措置を講じ得たというような判断がなされていて、そういうことも踏まえて、周知義務で対応した経緯がございます。それと同じ考え方でいけば、安全帯なども含めて周知なのかということで、資料としては提案させていただいております。
○中村参集者 今のお話では、例えば、元方の指針などで言っているのは、作業方法の指示等は偽装請負に当たるけれども、安全上の指導はOKと言っていますよね。つまり、保護具の使用はある意味では労安法の規定であるし、静電気の除去も当然の措置だと思うので、この書き方よりも一歩進んだ書き方をしてあげないと、逆に、現場において一人親方が何かをやっていることに対して、きちんと安全上の指導ができなくなるのではないでしょうか。そこを少し懸念して私は申し上げました。
○船井補佐 分かりました。御意見として承ります。周知するだけで本当に実行性が確保できるのかというのは、先ほどの論点1でも複数の委員から御指摘いただいているところです。この部分について、ちゃんと周知を受けた部分について、周知を受けた側がどうするかというところも、最高裁判決を踏まえた省令の改正のレベルでは余り議論が尽くせていなかったのですが、そういう点も含めて、この検討会で御議論させていただいて。
○中村参集者 私が申し上げたいのは、安全衛生法等で規定していることについては、当然、指導してよい、というぐらいのことは書いてもらわないと、これは難しくなるので、是非、よろしくお願いしたいと思います。
○船井補佐 安全衛生法で規定しているのは、労働者に個人用保護具を着けさせろという事業者の義務が規定されている。今回、新たに事業者のほうに、作業の一部を請け負わせるような請負人さんにも、同じシチュエーションで働くのであれば同じ水準の保護が必要だろうということで、何らかの措置を求めていく。その際に、保護具であれば、周知することを新たに求めていってはどうかということで御提案させていただいております。
 今まで個人事業者も安全帯を着けなければいけないという義務が、既に安衛法に存在するわけではないという点は御理解いただければと思います。ただ、いずれにしても周知だけして何もしなくていいというわけではないので、そこの実行性をどう担保していくかはしっかり議論していただきたいと思っています。
○中村参集者 例えば同じ所で働いていて、一方の労働者にはやれと言って、一方には周知する義務というのは、やはり、管理上難しいと思います。実際、やってはいけないというのであれば、きちんと同一にやってはいけないと言わないと、安全上の指導にならないので、その辺りについてよろしくお願いしたいと思います。
○船井補佐 御指摘も踏まえて、検討していきたいと思います。
○土橋座長 ありがとうございました。引き続き、資料2について御意見をお願いいたします。森委員、お願いします。
○森参集者 基本、私も中村委員に賛成です。先ほども申し上げたように、まず、この記載方法です。例えば、「保護具の使用が必要である旨」ではなく、「必要な保護具とその使用方法を周知する旨」というふうに具体的に書かないと、多くの場合、保護具が必要ですと、粉塵マスクなのか防毒マスクなのか分かりませんし、恐らく、防毒マスクはどうはめてカートリッジをどう換えるかまで全く伝えずに周知して終わってしまうことになるので、やはり、もう少し具体的に周知する言葉も書いたほうがいいです。例えば、「作業方法の遵守が必要」ではなく、「遵守が必要な作業方法を周知する」ということなのかと思うのが1点です。
 もう1つは、先ほどの中村委員のお話との関係です。周知して、守っていないことを発見したらどうするのかということです。そこで指導しないと、逆に、その事業者は中に入るなというふうに、恐らくそういう判断に契約上なってしまうので、かえって個人事業主の契約上の立場が不利になることが普通の事業所では起きるので、そういうところにもう一歩踏み込んでいただきたいと、私も思いました。
○船井補佐 分かりました。実際、条文を作るときには、単に保護具を着けろというのではなく、どういう場合には何を着けろというところまで具体の規定で定めております。22条の関係もそういうふうにいたしました。
 先ほど来、申し上げている周知の先ですが、そこから先を、罰則をもって法律上事業者に求めるところまでは最高裁の判決を踏まえてもなかなか厳しいというのはありますが、実際、運用面で、ガイドラインなどの中で、周知だけではなく、周知を受けた側はしっかり守らなければいけないし、守っていないところを見付けたらちゃんと指摘して直させていくというようなことを求めていくのは、実行性を確保する1つのやり方としてはすごく重要なことだと思います。
○中村参集者 今おっしゃっていただいたような文章が入ると分かりやすいです。そうしないと現場は守らないと思います。
○船井補佐 実行性の確保の所でまたもう少し深めて検討していきたいと思います。
○土橋座長 そのほかはいかがでしょうか。山脇委員。
○山脇参集者 ありがとうございます。私も課題認識は中村先生と一緒です。そのうえで、確かに請負人は個人事業主ですので、保護具を使用させるとしてしまうと指揮命令だというのはそのとおりなのですが、たとえば、これを回避するための手段としては、先ほど来申し上げているとおり、保護具を使用していない者を従事させてはならないというような規定を設けることが選択肢であると考えます。させてはならないという規定を全般的に設けるということも含めて、周知ではなく、一歩進めたような規定も選択肢に是非御検討いただけないかと思っています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。本多委員、お願いします。
○本多参集者 先生方の御発言がいろいろある中で、私がこれから申し述べることは四面楚歌的なことで申し上げづらいのですが、建設現場に限って申し上げれば、個人事業者の被災状況、それから元方各事業主の指導実施内容を踏まえると、非常に違和感、異論がございますので申し述べたいと思います。
 まず、総論、前提として2つ、それから記載内容の各論について少々申し述べたいと思います。まず、総論の1つです。論点の1と3については、具体的な問題点など危険性を把握した上で議論が進められておりましたが、論点2については、先ほどから話題になっておりますが、先般行われた安衛法22条関係の省令改正時の方針を踏まえて検討していくという提案が厚生労働省から行われて、これらについては既成事実化しつつあることについて危惧している次第です。
 なぜ論点2の、事業者による対策では、個人事業者等の災害発生状況等に関する検討が行われない状態で、最初から法令改正ありきという方針で臨まなければならないのか。しかも、建設アスベスト訴訟に伴う最高裁判決の射程外にあることが明白な安全管理に関する事項についても、法令改正を行うことがあたかも前提であるような進行が行われているのが非常に疑問でございます。このような方向性の下で、本質的な議論が行われなかった場合には、真に個人事業者等が被災する災害を、少なくとも建設業では減少させるための方策を示すことができず、安全管理についても有害業務と同じレベルの法制改正を行うことだけとなり、不本意な結果になりかねないと懸念している次第でございます。
 そして、総論の2点目です。私ども建設事業者の立場で申し上げれば、個人事業者等に関するものは何ら俎上に載っていろいろなことがなされていない状況の中で、なぜいきなり法令改正なのか。しかも、安衛法は罰則付きですので非常に重いのです。ものすごく重いのです。中途半端なものではございません。何回か前にも申し上げたかもしれませんが、ビジネスに直結するところがたくさんございます。それを単にこの場の、この場とは申しませんけれども、やはり、安易にいきなり法令改正とはいかがなものかと申し上げているだけです。私どもとしては、先ほども発言させていただきましたが、まずは厚労省のガイドライン的なものをしっかり業種別に作り、それを浸透させ、徹底した上で、必要であれば検討するということが妥当ではないかというのが総論の2つ目です。
 各論で、資料の内容について、4ページ以降について申し述べさせていただきます。まず、4、5ページです。安衛法第20条や21条は、ほとんどの安全基準の根拠となっている極めて重要な条文です。墜落、転落、飛来、落下、通路、足場、掘削、工作機械、荷役運搬機械、建設機械、爆発・火災、電気、建築物等の組立てなど、建設現場における作業を幅広く規制しています。一方、厚生労働省から提供された個人事業者等の被災データによれば、その被災状況には労働者の場合とは明らかに異なる特徴が認められています。安衛法に根拠を置く厚生労働省令を改正することになれば、最も影響を受けるのは建設業であることについては衆目が一致しているところです。
 個人事業者等は、木造建築工事や小規模な建設設備工事で被災している事例が多いことが分かっておりますし、これまでの議論においても、個人事業者等が稼働している現場では、木造建築工事や内装工事、給排水設備工事などで、自らの作業のみで一定の工事を完成させることができる工種にほぼ限られていることが分かっております。ですから、建設業では、個人事業主とは、基本的に自らが単独で1つの工事を完結できる能力を有する者であり、他者の指揮命令の下で労働提供を行っているわけではありません。自らが単独で1つの工事を完結できるというからには、建設現場における作業内容も当然限定されることになります。このような状況を無視して法令改正ありきの姿勢で臨んだとしても、個人事業者が被災する災害を減少させることには結び付かないと考えております。
 それから、6ページです。厚生労働省が本検討会に資料として出されている事業者における対策の内容について、検討対象の省令として、安衛則、ボイラー則、クレーン則、ゴンドラ則が掲げられています。果たして、個人事業主等がボイラー則やゴンドラ則が適用される業務で被災しているとお考えなのでしょうか。
 また、7ページで典型的な条文例として、ベルトの切断による危険の防止を規定した安衛則102条、走行クレーン等を設置する場合の建設物等との間に設ける歩道の幅を規定したクレーン則の第14条、地中工作物の破損による危険の防止のための掘削機械等の使用禁止を規定した安衛則第363条を掲げられています。これらの規定を改正することにより、個人事業者等が被災する災害の減少が図れるわけではないと思います。なぜなら、これらの条文が適用されるような作業環境の下で個人事業者等が稼働している状況ではないためです。
 一方、同じ7ページにある、高さ2メートル以上の箇所における作業床の設置等を規定した安衛則518条については、個人事業者等が稼働する木造建築工事等において問題が生じていると認識しておりますので、検討対象とすること自体には異論ありません。ただし、建設工事現場において作業床を設置するためには足場を構築するのが一般的ですが、先般、別途厚生労働省が設置された、「建設業における墜落・転落防止対策の充実強化に関する実務者会合」において、足場は本足場を原則として、敷地が狭隘であるなど本足場を設置することが困難な場合に限り一側足場とすることを認めるという画期的な法令改正事項が報告書に盛り込まれたばかりでございます。これに関する安衛則の改正作業が今後進められていくものと考えていますが、高さ2メートル以上の箇所における作業床の設置等に関しては、法令改正の効果などを見極める必要があると考えています。本検討会においては、このような情勢変化などについても十分に監視していく必要がございます。
 なお、9ページでは、安衛法第25条を根拠としている落盤等により労働災害の急迫した危険がある際の退避等を規定した安衛則389条の7も例示されています。建設業では、労働者と個人事業者を区別して安全対策に差を設けるような対応は行っておりません。建設現場で稼働する全ての者の安全を確保するという認識を持ち、日頃から安全管理の充実に努めているのであります。そのため、万一、災害発生の急迫した危険がある場合には、個人事業者等に対しても退避を促すことは当たり前のことであります。そういう意味では法令改正の必要は全く感じませんが、どうしても法令改正を行い法文上明確にする必要があるということであれば、この点についてだけはあえて反対するつもりはございません。
 長々と申し述べましたが、繰り返しになりますけれども、建設業の個人事業者の災害発生の実情と現場の実態、本当に個人事業者の災害を減少させたいという視点で発言させていただいていることを御理解いただければと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかに発言ございますか。田久委員、お願いします。
○田久参集者 今、いろいろお話を聞かせていただいた部分でいくと、安全措置と補償というところを一緒に考えていかないと、今の問題というのも解決できないような気がしています。やはり、何かあったときにということで、立ち位置が変わることがよくあります。本多委員には申し訳ないのですが、実際に数年前に大きな現場で一人親方さんが事故を起こした際に、うちの事故ではないという発言をそこの現場監督がしたという報告も頂いています。やはり、そういうことも含めると、多分、事故があったときの事故の補償に対しての言葉だと思っています。
 こういうところでは安全措置は、先ほど本多委員の言われているところも一部あるというふうに思いながら、やはり、同時に補償という点での考え方も一緒に考えていかないとなかなか難しいということを、今、感じたところです。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかに御発言。鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 ありがとうございます。本日は大変重要な議論をしていると感じています。頭の整理ができていないので、的外れなことを言ってしまったら申し訳ございません。
 先ほど、連合の山脇委員から、従事させてはならないという規定を設けるというようなお話がございました。各種周知の実行性を高めるツールとして、そのような手法とセットにする考え方はあり得るとも思いつつ、そのような手法が現行の労働法制の中でポピュラーなのか、あるいは少し気にしすぎかもしれませんが、気に入らない者を作業に従事させないという濫用のような事態につながりはしないかなど、かなり強権的なツールだと思いますので、慎重に考えなければならないと思います。むしろ、個人事業者等の教育や相談窓口の確保も含めて、委員の皆様方から重要なワーディングが出ておりましたが、このような取組みをの実行性をどのように高めていくかに重きを置いた議論をするのが本筋ではないかというような気がしましたので、一言申し上げたいと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。ほぼ時間になっております。それでは、多方面から様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。本日の議論については、事務局におきまして次回までに整理をお願いいたします。最後になりますが、そのほかとして、事務局から何かございますか。
○船井補佐 最後ですが、本日は長時間にわたり、いろいろな御意見をありがとうございました。頂いた意見一つ一つについて、事務局側の考え方を御説明させていただくことはできませんでした。例えば、災害が起きたときの報告主体、果たしてそれを義務化するかどうかという点、資料の作り方についても、これまでの議論を踏まえてどういう考え方でどういう方向性をもって論点としているのか。あと、配慮や周知がたくさん論点の中に入っておりますけれども、その実行性を高めるために周知や情報共有の中身などをどうすればいいのか。運用する際に重要になる論点もたくさん頂きました。そういう点も次回までに整理させていただき、後日、改めて正式に御連絡させていただきます。
 年末になりますが、次回は、12月22日(木)の午前中に同じ場所で開催させていただく予定です。また、それまでに今日頂いた御議論を踏まえて資料を整理させていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。
 事務連絡ですが、本日の議事録については参集者の皆様に御確認いただいた上で公開することといたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○土橋座長 本日は、長時間にわたり活発な御議論をいただきありがとうございました。以上で、第7回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を閉会いたします。本日は、ありがとうございました。