福岡大臣会見概要
(令和7年4月1日(火)9:38~10:00 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 新年度を迎えました。どうぞよろしくお願いいたします。私から冒頭、3件ございます。まず1点目、国立健康危機管理研究機構の設立についてです。本日、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合いたしまして、国立健康危機管理研究機構、JIHSを設立いたしました。両組織の機能・役割を承継・発展させることによりまして、感染症有事の初動対応の強化、研究開発力の強化、健康危機時の臨床機能の強化、人材育成・国際協力の推進などの役割を担う「新たな専門家組織」となることが期待されています。JIHSの設立を契機に、地方自治体や、国内外の専門機関等とのより一層の連携を深め、我が国の感染症危機管理体制を強化し、次なる感染症危機への備えを着実に進めてまいりたいと思います。
2点目でございます。「世界自閉症啓発デー」と「発達障害啓発週間」についてです。毎年4月2日は、国連が制定いたしました「世界自閉症啓発デー」でございまして、我が国では、この日から8日までを「発達障害啓発週間」と位置付け、自閉症をはじめとする発達障害への理解促進のための啓発を行っております。明日には、東京タワーや日本全国のランドマークを青色でライトアップする「ライト・イット・アップ・ブルー」が開催されます。また、世界自閉症啓発デーの公式ウェブサイトでは、自閉症の特性がある「セサミストリート」のキャラクターを起用した啓発ポスターの掲載など、様々なコンテンツを公開させていただいているところでございます。国民の皆様が、発達障害への理解を深めていただくきっかけとなればと考えておりますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。
3点目です。雇用統計でございます。令和7年2月の有効求人倍率は1.24倍と、前月より0.02ポイント低下いたしました。また、完全失業率は2.4%と、前月より0.1%低下してございます。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。私からは以上です。
質疑
- 記者:
- 新年度予算案が成立したが、受け止めについてお聞かせください。また、当初盛り込んでいた高額療養費の見直しが見送られるなど、大きな修正を迫られることになりましたが、予算編成過程を通じて今後に生かすべき教訓などありますでしょうか。
- 大臣:
- 令和7年度の厚生労働省予算については、衆参両院で充実したご審議の上、修正をいただき、昨日成立をいたしたところでございます。全世代型社会保障の実現に向けた保健・医療・介護の構築、持続的・構造的な賃上げ、包摂的な社会の実現等に向けまして、国民の皆様の生活を支えるために必要な予算でございまして、迅速かつ着実な執行を進めてまいりたいと思います。特に、ご指摘ございました高額療養費制度の見直しにつきましては、検討プロセスに丁寧さを欠いたというご指摘を真摯に受け止め、見直し全体について実施を見合わせることといたしました。厚生労働省としましては、関係者の皆様のご意見を丁寧にお伺いしながら、各分野の施策を推進してまいりたいと考えております。
- 記者:
- 冒頭発言に関連して、国立健康危機管理研究機構についてお伺いします。本日の設立にあわせ、大臣が指示等行ったことがあれば具体的に教えてください。また、パンデミックを経てできた機構ですが、これまでのコロナ対応ではどのような課題があり、今回の機構設立でそれをどう変えていくのか、お考えをお聞かせ下さい。
- 大臣
- 本日、国立健康危機管理研究機構法に基づきまして、中期目標を定め、国立健康危機管理研究機構、JIHSに対しまして指示をさせていただいたところでございます。また、今般の新型コロナ感染症の流行を踏まえまして、引き続き、様々な課題に対応していく必要があると思いますが、特に、科学的な知見に基づく評価・分析の在り方や、平素の疫学研究や臨床研究の体制整備などの中長期的な課題について、JIHSにおいて、感染症インテリジェンスのハブとなり、診療から調査分析・リスク評価までを一体的に行うこと、また、平時から国内外の共同治験等のネットワーク構築を推進することなどにより、次なる感染症危機に備えた体制整備を進めてきたいと考えております。
- 記者:
- 桐生市の生活保護をめぐっては、1日1,000円の分割支給や受給者の認印の窓口保管など、不適切な制度運用が相次いで発覚しています。3月28日に市が設置した第三者委員会は、申請権の侵害や複数の法令違反の疑いを指摘した報告書をまとめました。そこで2点伺います。1点目は、厚生労働省の今後の対応についてです。厚生労働省は2014年度に桐生市に監査に入り、今年2月にも改めて監査に入ったと聞いています。これまでの監査の経過と、今後の方針を教えてください。2点目は、桐生市の第三者委員会による元幹部への聞き取りでは、窓口の警察OBについて「時に大きな声を出す者もいた」との証言が得られ、威圧的な対応や申請権の侵害の疑いも検証対象となりました。市は今後、生活保護窓口への警察OB配置をとりやめる方針です。厚生労働省としては、2012年3月1日の社会・援護局関係主管課長会議で、不正受給者対策として、警察OBの配置の積極的な検討を要請していますが、この方針は、現在も妥当なのでしょうか。以上2点についてお願いします。
- 大臣:
- 群馬県桐生市における生活保護をめぐりましては、これまでご指摘ありました2014年のほか、2017年にも、厚生労働省において監査を実施したところでございます。また、今回の事案を受けて昨年実施されました群馬県の特別監査における是正改善状況を確認するため、本年2月にも監査を実施しているところでございます。監査の結果として、改善に向けて取り組まれている一方、組織としての業務の進行管理等に課題がありましたことから、昨日3月31日付けで群馬県を通じまして桐生市へ監査結果通知を発出し、6月上旬までに是正改善報告書を提出するように指示したところでございます。引き続き、厚生労働省といたしましても、桐生市の是正改善状況を確認いたしますとともに、改めて確認監査を実施するなど、群馬県と連携して対応してまいりたいと思います。(警察OBの配置について、)生活保護制度における不正受給対策であったりや不当要求への対応は引き続き重要でありますことから、警察OBの活用に係る国庫補助事業を設けているものでございまして、各自治体にはこの趣旨に沿って人員を配置いただいておりますが、生活保護の申請権を侵害することはあってはならないと考えており、引き続き、自治体に対しまして生活保護の適切な運用の確保について周知徹底を図ってまいりたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチン被害者による要望書提出についてお尋ねします。兵庫県西宮市に住む大学教授の男性、46歳が予防接種健康被害救済認定を受けたにもかかわらず、医師に副反応疑い報告を拒まれたため、医師が適切に報告するよう国から全自治体に促す指示を出すことなどを求めた要望書を厚生労働省の医薬局医薬安全対策課の担当者らに提出しました。このことはご存知だったでしょうか?
- 大臣:
- 個別事案についての答弁は差し控えさせていただきますが、お尋ねの要望書が提出されたことは承知しております。
- 記者:
- 関連で、この要望書について、どのような対応をお考えかお聞かせいただけますでしょうか。
- 大臣:
- 副反応疑い制度においては、厚生労働省令で定める基準を満たす症例を報告することを求めてございまして、健康被害救済の対象となるか否かの判断とは異なるものであると承知しております。その上で、お尋ねの対応につきましては、副反応疑い報告制度の趣旨も踏まえまして、令和5年10月付けで事務連絡を発出しまして、健康被害救済制度に申請された方について、副反応疑い報告がなされているかどうかを確認し、報告がない場合、当該健康被害を診断した医師等に対し、必要に応じて、副反応疑い報告の提出を促すよう、各市町村を通じて依頼しており、引き続き、こうした対応の周知により、必要な報告を促していきたいと考えております。
- 記者:
- 関連で、医師が見つけた場合は国に報告するように、従来から行われているにも関わらず、こういったケースがあるということだが、これについて何か新たに指示を出すおつもりはありませんでしょうか。
- 大臣:
- これまでも各市町村を通じて、医師等に対し、必要に応じて、副反応疑い報告の提出を促すよう依頼してきているところでございまして、引き続きそういった対応を徹底してまいりたいと思います。
- 記者:
- 全国保険医団体連合会で、従来の保険証の新規発行が停止された昨年12月2日以降のマイナ保険証に関する医療現場の実態調査を行っております。全国8,330件の医科歯科の診療所と病院から回答が寄せられました。結果について、厚生労働省に報告をしておりまして、大臣もご存じのことかと思います。医療機関の約9割で、マイナ保険証に関するトラブルが発生しておりまして、カードリーダーの接続不良ですとか、資格情報の有効期限切れが特に今回増えております。その上で3点質問がございます。1点目については、まずこうしたトラブルの発生時に、トラブルが発生した医療機関の約8割では、「その日に持ち合わせていた健康保険証で確認した」と回答しております。医療現場でこのようにトラブルが続いている現状を考えると、従来の健康保険証を復活させることが必要ではないでしょうか。2点目は、対応として、一旦10割負担していただいたという回答が全体の約1割ありました。少なくとも、1,720件以上発生しております。大臣が昨年12月の会見で10割負担が生じないような体制をとるというふうにお答えしていただいてますが、現在でもかなりの件数が発生しておりまして、こうした現状についてどのようにお考えでしょうか。3点目に、厚生労働省のスキームのとおりに、患者に資格申立書を書いてもらって、不詳レセプトとして出したら、保険者から返戻された事例が発生しております。この点について認識していらっしゃいますでしょうか。
- 大臣:
- マイナ保険証につきましては、本人の健康であったり、医療情報を活用した適切な医療の提供に大きく寄与するものでございまして、そのメリットが早期に享受されるよう、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行しているところでございます。他方で、マイナ保険証の利用促進と併せて、マイナ保険証をお持ちでない方には、当分の間、申請によらず資格確認書を発行することや、何らかの事情で、マイナ保険証で資格情報の確認ができなかった場合には、保険証でなくても、10割負担ではなく適切な負担割合で円滑に保険診療を受けられることとしておりまして、医療機関、国民双方に対して周知しているところでございます。周知が不十分ではないかというご指摘があるとすれば、しっかり周知の徹底を図っていきたいと思いますし、10割をお支払いいただかないといけない医療機関等についても、もし具体名を把握されているのであれば、ご指摘いただければ、こちらからしっかり連絡を取らせていただきたいと思います。なお、医療機関で患者の資格確認ができず、被保険者番号等を「不詳」としてレセプト請求する場合でも、レセプトの記載に不備があるときは、審査支払機関から医療機関に当該患者さんのレセプトを返戻することがありますため、不詳レセプト請求時の適切な対応について医療機関に周知してまいりたいと思います。加えまして、医療機関向けのコールセンターも設置しておりまして、医療機関等でお困りの事象が発生した際には、是非ともそちらにお問い合わせいただきたいと考えております。また、ご指摘いただいたトラブルのなかには、黒丸が出るなど外字に対する仕様の課題も含まれておりますが、いずれにしても、マイナ保険証が使えずに患者さんが不利益を被ることがないよう、引き続き国民の皆様や医療機関等に対して丁寧な周知を実施してまいりたいと考えています。
- 記者:
- 今10割負担の場合の医療機関に具体例があれば連絡をとのことでしたが、それは医療機関としては、どちらのほうに連絡をすればよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 連絡先は後で教えますので、そちらにお願いします。
- 記者:
- 3月26日公表された1月の人口動態統計速報によりますと、死亡数が前年1月と比べて21,762人に増加、178,412人となっています。まるで東日本大震災級の震災が起きたような死者の激増です。当然高齢化では説明できませんし、1月は新型コロナの大きな流行もみられませんでした。2月25日の大臣会見で福岡大臣は「1月の死亡数について、今後公表する死亡数などを確認した上で、対策や分析の必要性について検討していきたい」とおっしゃっていますが、この1月の死亡数をご覧になられて、対策や分析の必要性についてどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- 前回、記者会見でやりとりさせていただきました。その上で、3月26日に公表いたしました人口動態統計速報におきましては、令和7年1月分の死亡者は17万8,412人で、対前年同月比で13.9%増加しているという状況でございます。今回公表しました速報においては、死亡数の件数が増加していることについては把握してございますが、どのような死因で増えているのかなどについては、本年7月上旬に公表予定の死因別などの状況を確認した上で、必要に応じて分析や対策を行ってまいりたいと考えております。
- 記者:
- 死亡者の激増については、2020年2月、3月から起きておりまして、この約3年間で30万人規模だと私は思っておりますが、コロナや高齢化では説明できない謎の大量死が起きています。これも2020年以降も死亡数の激増がありながら、死因や年齢毎の公表がされていますけども、一向に原因分析されておりません。おそらく、1月の死亡数も、老衰や循環器系の疾患が増えているではないかと推測しますが、新たに何か対策が、これまでの発表で分析するのではなく、この危機をもって新たに分析が必要かと思いますが、大臣そのあたりの危機感をどうお考えでしょうか。
- 大臣:
- 数字をちゃんと見ていかないといけないというのはご指摘のとおりでありまして、平成2年以降の月別死亡者数のデータを手許に持ってございますが、10%を超えるような伸びがあったというのは、過去も同様の月というのは、コロナ関係云々の前から発生している状況がございます。死因別でみますと、近年では新型コロナウイルス感染症による死亡数、それ以外では呼吸器系の疾患による死因が増加しているケースが多くなっておりますが、今後この単月だけでなく2月以降の死亡数の動向を見ていくことが必要であると思っておりまして、ご指摘ございましたように、そういった状況を確認した上で、必要に応じて分析や対策を行ってまいりたいと思います。
- 記者:
- 2月はそれほど増えてませんが、1月だけなぜ突出して増えているのかという、是非問題意識も、単月でもみていただいて、是非分析していただければと存じます。
- 記者:
- 新型コロナmRNAワクチン施策について質問します。京都大学名誉教授でワクチン問題研究会代表理事の福島雅典氏は、mRNAワクチン施策の問題点について、次のように指摘しています。「mRNAワクチンは、遺伝子治療薬、つまり、通常の薬剤であり、ワクチンではない。従来のワクチンであれば接種部位にとどまるタンパク質が、mRNAワクチンでは、血流に乗って、あらゆる臓器の細胞に入り込み、あらゆる種類の健康被害が生じる。続けて、遺伝子治療薬をワクチンとして扱ったため、この重大な健康被害リスクを審査するはずの「生体内分布」、「標的臓器の同定」、そして「タンパク質発現に伴う毒性」などの薬物動態など、薬剤の審査の場合には必ず通過する試験項目が行われず、結果、甚大な健康被害を生んでしまった。この問題について、福島教授は1月16日に、「「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン」改正に関する提言書」を福岡大臣宛てに提出していますが、厚生労働省の対応状況、そして、福岡大臣はこの提言書をどのように受けとめたのかご教授ください。
- 大臣:
- 福島先生から提出いただいた要望書については、私も読ませていただきました。その上で、先ほど福島先生のご指摘について述べられた部分については、その直接の引用が要望書には書かれておりませんので、その部分の出所については、私自身、把握できていないところでございます。ご質問の要望書においては、「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン」についてワクチンの作用機序ごとに個別のガイドラインを策定すべき」などのご意見があったものと承知しています。このガイドラインにつきましては、感染症予防ワクチンの開発の際に実施すべき非臨床試験の一般的な考え方を示したものでございまして、欧米であったり、WHOのガイドラインとも整合しておりまして、現時点で改定する必要があるとは考えておりませんが、今後の科学的な知見を踏まえまして、必要に応じて適宜見直しを行ってまいりたいと考えております。
- 記者:
- この提言書に対して、具体的に何か応答するという予定はないでしょうか。
- 大臣:
- 先ほども申しましたように、必要に応じて適宜見直しを行っていきます。それは要望書に対して個別にということではなく、常に様々なことを検証しながら、必要に応じて見直しを行っていきます。
- 記者:
- この提言書は適正な手順を踏んで提出されたものであるので、厚生労働省側も適正な応答をよろしくお願いします。
(了)