令和3年度 第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

日時

令和3年9月8日(水) 13:30~15:30

場所

TKP新橋カンファレンスセンター 12I

議題

  1. (1)令和2年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価の実績について
  2. (2)職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書について
  3. (3)令和3年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価実施方針について
  4. (4)令和3年度リスクコミュニケーションの進め方について
  5. (5)その他

議事

○福田有害性調査機関査察官 本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、令和3年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会を開催いたします。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、有害性調査機関査察官の福田と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まず本日の委員の出席状況につきましては、吉田委員以外の8名の委員の先生方に御出席いただいております。
なお、緊急事態宣言下での新型コロナウイルス感染症対策のため、本日は6名の委員の先生方がWebでの参加となっております。
また、本日の会議の一般の傍聴者につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況にも鑑みまして、Webでの参加、音声配信のみとさせていただいております。
それでは、最初に、令和3年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会の開催に当たりまして、化学物質対策課長の木口から一言御挨拶申し上げます。
よろしくお願いします。
○木口化学物質対策課長 厚生労働省化学物質対策課長の木口でございます。
委員の先生方には日頃より労働安全衛生行政の推進に御協力を頂きまして、ありがとうございます。また、本日は大変お忙しい中委員会に御参集いただきまして、ありがとうございました。
この企画検討会につきましては、昨年は第1四半期のうちに1回目の検討会を開催していたのですけれども、前回、昨年の9月に開催されました検討会でも御紹介いたしましたとおり、厚生労働省で「職場における化学物質の管理のあり方に関する検討会」というものをやっておりまして、その中でリスク評価のあり方の検討などを進めていたということもありまして今年の分のスタートが遅れていたという事情がございます。この検討につきましては7月19日に報告書を公表して、今度はそちらの報告書の提言を受けて制度改正に走っていくことになるのですけれども、そのあたりの状況も本日御報告いたしながら、昨年のリスク評価の状況の御報告、今後のこの会の進め方などについて先生方から御意見を賜りながら進めてまいりたいと思います。
本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
○福田有害性調査機関査察官 ありがとうございます。
続きまして、本年度事務局側に異動がございましたので、御紹介いたします。
8月1日付で化学物質評価室長に佐藤が着任しました。
7月20日付で室長補佐に吉見が着任しておりますので、2名からそれぞれ一言御挨拶申し上げたいと思います。
よろしくお願いします。
○佐藤化学物質評価室長 ただいま御紹介にあずかりました、8月1日付で化学物質評価室長を拝命いたしました佐藤と申します。前任の内田同様、どうぞよろしくお願いいたします。
○吉見化学物質評価室長補佐 私は、4月から対策課に来ておりましたけれども、その後、7月20日付で化学物質評価室長補佐を拝命いたしました吉見と申します。よろしくお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 ありがとうございます。
また、改めまして、私は6月1日付で有害性調査機関査察官を拝命いたしまして、リスク評価を担当することになりました福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今年度も大前先生に座長をお願いすることにいたしまして、大前座長に以降の議事進行をお願いしたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
○大前座長 大前です。引き続きまして座長をやらせていただきます。今日は第1回目の委員会でございますけれども、進行にどうぞ御協力よろしくお願いいたします。
それでは、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○福田有害性調査機関査察官 資料がお手元にございますか確認させていただきたいと思います。
まず議事次第を事前に送らせていただいております。
そのほか、資料1-1「令和2年度のリスク評価の実績について」、資料1-2「令和2年度化学物質のリスク評価検討会報告書」、資料1-3「令和2年度化学物質のリスク評価結果(報告)」、資料1-4「リスク評価の実施状況(令和3年9月現在)の概要」、資料2「化学物質規制の見直しについて(職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書のポイント)」、資料3「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(令和3年度)(案)」、資料4「令和3年度のリスクコミュニケーションの進め方(案)」となります。
また、参考資料としまして、参考1「化学物質のリスク評価に係る企画検討会 開催要綱・参集者名簿」、参考2「リスク評価の実施状況(2021年9月時点)」、参考3-1「日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案に関する検討会報告書」、参考3-2「日本バイオアッセイ研究センターにおける試験手順書からの逸脱行為事案による規制等への影響評価に関する検討会報告書」、参考4-1「国が行う化学物質等による労働者の健康障害防止に係るリスク評価実施要領(令和2年改訂版)、参考4-2「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン(令和2年改訂版)」、参考4-3「リスク評価の手法(2020年改訂版)」、参考5「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書」。
以上となっておりますが、メール等も含めて資料はお手元に無事届いておりますでしょうか。何かありましたら事務局に御連絡いただければと思います。―大丈夫ですか。
それでは、座長に進行をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○大前座長 それでは、早速本日の議題に入ります。
まず議題1でございますけれども、昨年度のリスク評価の実績でございます。
これにつきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○佐藤化学物質評価室長 私、佐藤から説明いたします。
資料1-1を御用意ください。この会議につきましては紙媒体の資料ではなく、タブレットで資料を映して御審議いただくということですので、できるだけ同じ資料に沿って御説明したいと思います。
資料1-1です。昨年度先生方に御検討いただきましたリスク評価の実績となります。
まず(1)ですが、化学物質のリスク評価に係る企画検討会、この検討会のことですけれども、昨年度は2回開催しております。
最初は令和2年6月22日に開催いたしまして、令和2年度のリスク評価実施方針、リスク評価対象物質・案件選定の考え方、中期発がん性試験の対象物質の選定、リスクコミュニケーションの進め方について御審議いただきました。
第2回目は9月4日に開催いたしまして、リスク評価対象物質・案件を選定いただきまして、リスクコミュニケーションの進め方を御審議いただいております。
続きまして、化学物質のリスク評価検討会(合同)と呼んでいるものです。
これにつきましては、昨年度は2回開催しております。まず最初は10月19日、2回目は1月28日に検討会を開催しております。
この2回の会議におきまして、合計8つの化学物質、1つは詳細リスク評価、7物質は初期リスク評価ということで、合わせて8物質のリスク評価を御審議いただきまして、報告書として公表しております。
そのリスク評価の結果なのですけれども、アにありますように、オルト-フェニレンジアミンにつきましては詳細リスク評価ということで、経気道ばく露について作業工程に共通して高いリスクが認められたという結果となっております。
イが初期リスク評価で、7物質となります。(ア)が経気道ばく露に関するリスクが高いなどと判定された2物質です。1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンとアクロレインになります。続きまして、(イ)経気道ばく露のリスクは低いと判定されたものの経皮吸収のおそれが指摘されている物質として4物質となります。めくっていただきまして、2ページになりますけれども、2-(ジエチルアミノ)エタノールとジエタノールアミン、りん酸トリ(オルト-トリル)です。最後に2-クロロニトロベンゼンとなります。続きまして、(ウ)です。経気道ばく露のリスクは低いと判定され、かつ経皮吸収のおそれの指摘もない物質といたしましてアジピン酸。
これまでに合計8つの化学物質のリスク評価を行っております。
続きまして、10月19日に検討会を開催いたしまして、そのときには、リスク評価に係る様々なマニュアル、手引書のようなもの、ルールがあるのですけれども、その3つにつきまして改定を行っております。その内容について御審議いただきまして、改定を行っております。
主なポイントのところで御説明いたしますけれども、最初の白丸(○)となります。リスク評価におけるばく露限界の決定には、ACGIHのTLV-TWAや日本産業衛生学会の許容濃度に加えまして、新たにACGIHのTLV-Ceilingや日本産業衛生学会の最大許容濃度なども考慮することを明確化しております。Ceilingなどに基づくばく露限界に対応するばく露レベルといたしましては、TWAなどに対応するばく露レベルを把握するための通常の個人ばく露測定と併せまして、作業ごと、短時間ごとの捕集による個人ばく露測定、スポット的な測定になりますけれども、その最大値を用いるということで結論を頂いております。
2つ目の白丸(○)になります。有害物ばく露作業報告がないなどの理由によりまして、対象物質などの日本国内における使用実態がない、またはばく露濃度測定などが実施可能な事業場がない場合には、そこから先になかなか進むことができないという状態にございます。そういったばく露レベルの把握ができない場合などにつきましては、学識経験者の意見を聞いた上で、ばく露限界の把握だけにとどめ、リスクの判定は行わない、そこで打ち切ってしまうといったことも明記していただいております。
続きまして、有害性評価小検討会になります。
この検討会は3回開いております。7月20日、10月5日、11月11日に開催しております。
その検討内容ですけれども、2ページ目の一番最後の行にありますように、リスク評価に係る有害性評価及び評価値の検討ということで、詳細リスク評価1物質及び評価値が未設定であった初期評価8物質、ここで※印がありますけれども、※印のところに具体的な物質名を書いてございます。初期リスクを行ったのは7物質なのですけれども、ほかに別名フェニトロチオンを加えまして、合計8物質について御検討いただいております。
続きましてマル2ですが、先ほどのリスク評価検討会と同じように、様々なルールブックの改定について御審議いただいております。内容が重複いたしますので、説明は省かせていただきます。
続きまして、発がん性評価ワーキンググループです。
この会議は6月11日に1回開いております。
まず行ったことなのですけれども、マル1といたしまして、中期発がん性試験候補物質の選定を頂きました。6物質選んでおります。個々の物質名につきましては説明を省かせていただきます。
続きましてマル2ですが、遺伝子改変動物を用いた発がん性試験の評価を行っていただいております。この試験につきましては、令和2年度に初めて評価を行ったということで、昨年度に初めての評価を行っております。
内容なのですけれども、2017年度~2019年度に4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールを対象としまして、2種類の遺伝子改変マウスを使いまして、強制経口投与による中期発がん性試験並びに二酸化窒素、2種類の物質を用いて試験を行っているのですけれども、その結果について御検討いただいております。
結果なのですけれども、マル1~マル4にございますように、2種類の物質について同じような結果だったのですが、がん原性は陽性と判断されるが直ちに長期試験などを実施する必要性を見出すほどの強度は認められない、マル2がん原性指針への追加の必要はない、マル3長期発がん性試験の実施の優先順位は低い、マル4リスク評価の実施はほかの情報を含めて判断する必要があるという結論を頂いております。
続きまして、すみません、番号の振り方が間違っていまして、マル5ではなくてマル3なのですが、昨年度初めて遺伝子改変動物を使った試験結果を評価いただいたので、評価に当たって何かしら基準がなければならないということで、事務局で用意した「遺伝子改変動物を用いた発がん性試験の結果の評価基準」の策定に係る検討を行っていただきました。結局、この評価に当たりまして、4ページ目の最初のほうになるのですけれども、遺伝子改変動物を用いた発がん性試験の結果の評価だけでは長期発がん性試験の実施を決めることは困難であるという結論に至っております。この評価基準によらずに、1つのデータとして個々に検討するという結論に至っております。
続きまして、遺伝毒性評価ワーキンググループでの検討結果です。
2月25日に1回開催しております。
最初は微生物を用いた変異原性試験の評価などを行っております。平成28年度までに実施した文献調査に基づく遺伝毒性評価の結果、遺伝毒性はあるが強弱の判断が不能、遺伝毒性の有無の判断が困難とされた物質につきまして、構造活性相関による予測におきまして陽性の判定となった物質の中から、試料の入手性も考慮いたしまして、製造・輸入量、用途、物理化学的性質を総合的に判断いたしまして、令和2年度の試験対象物質として選定された17 物質の試験結果の評価を行いまして、そのうち2物質について、強い遺伝毒性ありとの判断をいたしております。
続きまして、イです。非遺伝毒性物質の発がん性スクリーニング試験の評価についても検討を行っていただいております。平成28年度までに実施された文献調査に基づく遺伝毒性評価の結果、遺伝毒性なしとされた物質の中から、構造活性相関による予測を用いて陰性と判定された物質の中から、適切な溶媒の有無なども考慮いたしまして、製造・輸入量、用途などの観点から優先順位付けを行いまして、令和2年度の試験対象物質として選定された19物質を対象として評価をしていただきました。その結果、10物質について陽性であるとの判断をいたしております。
続きまして、ばく露評価小検討会です。
これは3回開いております。8月27日、9月14日、11月30日です。
以下の検討を行っていただいております。
ア、最初ですが、ばく露実態調査結果の検討ということで、10物質、これは初期リスク評価を行った7物質と詳細リスク評価を行った1物質に併せまして、初期評価1物質及び酸化チタンということで、合計10物質になります。これにつきまして、個々のばく露実態調査の結果を検討いただいております。
検討の結果なのですが、リスク評価報告書を取りまとめた8物質以外の初期評価1物質につきましては、ばく露実態調査の追加実施などを行うこととなっております。すみません、物質名がすぐ出てこないのですが、1物質はそういった扱いになっております。酸化チタンにつきましては、ナノ酸化チタンとナノ以外の酸化チタンに分けて再度まとめて報告するという結論になっております。
続きまして、5ページをお願いいたします。測定分析法の検討も行っていただいております。下のマル1~マル4に具体的な物質名が書いてございますけれども、この4物質に係る測定・分析法と、昨年、経気道に係る詳細リスク評価の結果高リスクと判断された塩化アリルにつきまして、標準測定・分析法を検討していただいております。
資料には書いていないのですけれども、化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会というのも1度開いております。ここでは中間報告的な試験結果につきましていろいろ御議論いただいておりますので、検討結果は出ていないということで、この資料には掲載されておりません。
続きまして、四角で囲っている2「リスク評価にかかる情報提供等の推進」になります。
まず意見交換会ということで、昨年度は2回リスクコミュニケーションを行っております。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、初めてオンラインを通じてリスクコミュニケーションを実施しております。その結果、一昨年より参加人数が増えております。ただし、双方向の意見交換がなかなかできなかったのではなかろうかという課題も出ております。
6ページ目を御覧ください。最後になりますが、(2)パブリックコメントということで、パブリックコメントを1回実施しております。
資料1-1につきましては以上となります。
このリスク評価の結果を受けまして、資料1-2を御用意ください。令和2年度化学物質のリスク評価検討会の報告書として取りまとめまして、公表し、関係する団体・機関に、リスク評価の結果を踏まえてリスクアセスメントの実施をお願いするような文書を出しております。
飛ばしまして、資料1-4を御覧ください。
これがこれまでに御検討いただきましたリスク評価の実施状況の概要になります。昨年度までのリスク評価、長年にわたる結果になりまして、左上にありますようにリスク評価対象物質は220ございます。個々の物質につきましては、参考2の細かい資料でどのステージにあるかというのをまとめてございます。このうち初期リスク評価が終わったものが184物質、詳細リスク評価が終わったものが41物質となっております。
資料1-4につきましては以上となります。
○大前座長 ありがとうございました。
今事務局からお話がありました資料1関係につきまして、委員の先生方から御質問、御意見はいかがですか。これは令和2年度の報告でございますけれども。
特にないようでしたら、次の議題2に進んでよろしいですか。
それでは、議題2「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書について」、事務局より説明をお願いいたします。
○佐藤化学物質評価室長 引き続き佐藤から御説明申し上げます。
資料2を御用意ください。資料が横長になっておりますので、タブレットで御覧の先生につきましては横に直していただければと思います。もしくは縦で2ページずつとなりますけれども。
少しページを飛ばしていただきまして、5ページ目を御覧ください。
このページは、今の化学物質規制の仕組みを簡単にまとめた絵になります。先生方に御説明するのは恥ずかしいのですけれども、傍聴されている方もおりますので、簡単に概要を説明したいと思います。
左側の下のほうに三角形で描いてあるところがありますけれども、ここに化学物質がいろいろ区分されているということです。
当然情報量が多いものからリスク評価を行いまして、厳しい措置をかけているということになりまして、一番上の濃い青色の部分、これは8物質ありますけれども、一番厳しい規制がかかっております。
その下の赤い点線で囲ってあるところ、123物質とありますけれども、ここにつきましては自主管理が困難で有害性が高い物質ということで、これも厳しい規制がかかっております。
どんな規制かというのが右側の四角に書いてある中身です。赤字で書いてあるところに特化則、有機則などとありますが、規則に基づき個別具体的な措置まで決めております。さらにその右側にありますように、ラベル、製品の表示ですね。あと、SDSというのがあるのですけれども、安全性、逆に言えば有害性・危険性の情報を網羅したシート、書類を化学物質を受け渡しするときに必ず添えてくださいというような義務もかかっております。
左側の三角に戻っていただきまして、3番目のところにあるのですけれども、これは個別具体的な措置、こういったことでリスクを低減してくださいということが決まっておりません。一般的な措置を行ってくださいというものがあります。先ほどの赤い枠で囲った123と合わせて合計674物質となります。この674物質はラベルとSDSが義務付けされております。また、リスクアセスメントも行ってくださいという義務もされております。
このように一部の物質については管理がかなり厳しい方法でなされているのですけれども、それ以外のものがありまして、それが数万物質あると言われております。一番左側にあるのですけれども、労働災害の8割は実はこのあまり厳しい管理がされていない物質が原因ではなかろうかというデータがございます。我々の使命は労働災害を防ぐことですので、この8割の部分を何とかして減らしたいという思いで行政を行っているわけです。
1ページに戻ってください。
そういった現状を踏まえまして、職場における化学物質等の管理のあり方につきまして、どういった規制、どういった管理がいいのかということで、一昨年の9月から2年間かけてこの検討会が開催されております。本日企画検討会に御参加の漆原先生、大前座長、名古屋先生にも御参加いただいて、検討を行っていただいたということになります。
2番のところに本検討会とリスク評価ワーキンググループと2つ書いてありますけれども、本検討会では大枠の方針を御検討いただきまして、専門的・技術的な部分はリスク評価ワーキンググループで御検討いただいております。課長からの挨拶の中にございましたように7月19日付で報告書を公表しております。
めくっていただきまして、2ページ目を御覧ください。
2ページ目は検討会でも出した資料なのですけれども、今職場における化学物質の管理をめぐる状況がどうなっているかという資料になります。
(1)ですけれども、労働災害の発生状況です。右側に表がありますけれども、左から2番目の列に件数があります。一番上が一番厳しい規制がかかっている物質なのですが、それが原因で起きている労災が18.5%ということで、残りの80%を超える部分がそれ以外の物質だということです。
何でこんなことになっているのかというのが(1)の2つ目の白丸(○)に書いてございます。特別規則対象物質になりますと、個々に何をしなければいけないという措置が義務付けられますので、そういったものを使うのを避けまして、危険性・有害性が十分に確認・評価されていないほかの物質に変更して、その結果十分な対策が取られずに労働災害が発生しているのではなかろうかという現状がございます。
(2)ですが、有害作業に係る化学物質の管理状況ということで、特定化学物質障害予防規則などに基づいて作業環境を測定するという義務があります。それに基づきまして1から3まで管理区分が設けられています。直ちに改善が必要な第3管理区分、これが一番緊急に対応しなければいけないところなのですけれども、それに該当する事業場の割合が右側の表にございます。上から粉じん作業といった作業の種類に分けてありますけれども、平成26年度がピークといいますか、増加傾向にあるということです。令和元年度にそれぞれ若干下がっているのですけれども、平成18年、平成13年に比べたらまだまだ高いということになっております。
(2)の2つ目の白丸(○)ですけれども、リスクアセスメントが義務付けされているのですけれども、アンケートの結果、50%少々を超える割合でしか実施されていないということでした。理由といたしましては、「人材がいない」、「方法が分からない」といったことが挙げられております。
飛びまして(4)、諸外国における化学物質管理ですけれども、欧州と米国は、GHS分類、化学物質の分類方法が別途あるのですけれども、それで危険性・有害性があると判断された全ての物質についてラベル表示・SDS交付を必ずしなければいけないという義務がかけられております。
また、欧州では個別規制はしていませんけれども、リスクアセスメントが義務化されております。また、アメリカにおきましてはインダストリアル・ハイジニストという専門家の判断が重視されているということで、それに基づいた措置がとられているといった実態がございます。
めくっていただきまして、検討会の報告書が文書であるのですけれども、そのポイント、どういったことをまとめたかというのがこの5つの黒丸(●)になります。
最初に化学物質規制体系を見直すということで、自律的な管理を基軸とする。これは後ほど詳細に御説明いたします。
2つ目、その自律的な管理を行うためには当然運用上無理がない実施体制が必要なのですけれども、そういったものを確立していくこと。
3つ目、これも自律的な管理に必要なのですが、化学物質の危険性・有害性に関する情報伝達を強化していく。
4つ目になりますけれども、特化則などに基づいて行っている措置を一部柔軟化。
5番目になりますけれども、がんなどの遅発性の疾病の把握とデータを長期間保存していくあり方といったことがまとめられております。
めくっていただきまして、4ページ目を御覧ください。これは化学物質規制体系の見直しの概要になります。
一番上に黒四角(■)でありますけれども、特定の化学物質に対する個別具体的な規制から、危険性・有害性が確認された全ての物質について国が定める管理基準の達成を求める、そして達成のために手段は指定しない、どういった方法で管理基準を下回るか、措置は国のほうでは指定しない、そういった方向に大きく転換するといった内容です。
新たな仕組みを便宜上「自律的な管理」と言っていますけれども、下の黄色で枠囲いされたところが主なポイントになります。
まず一番上の黒い四角(■)のところですけれども、国でGHSのルールに基づいて化学物質を分類しているのですけれども、そこで危険性・有害性が確認された全ての物質につきまして、以下の事項を義務付けする。今までは一部の化学物質だけに義務付けされていたものを、危険性・有害性が確認された全ての物質に広げるということです。
1つ目のポツです。危険性・有害性の情報の伝達。ラベル表示とSDS交付の義務化です。
2つ目が、リスクアセスメントを実施していただく。
3つ目が、労働者が吸入する濃度を国が定める管理基準以下に管理するということです。下げる方法につきましては国のほうで指定するのではなくて、以下の優先順位、マル1からマル4までありますけれども、事業者が自ら選択するということになります。マル1が有害性の低い物質への変更です。マル2が密閉化・換気装置を設置するなどです。マル3が作業手順を改善する。マル4が最後の措置といたしまして有効な呼吸用保護具を使うということになります。
数行飛びまして、下から5行目のポツですけれども、薬傷や皮膚吸収がある場合、そういった化学物質につきましては保護眼鏡、保護手袋などを使用してくださいということになります。
2つ目の黒四角(■)ですけれども、どうしても労働災害が多発し自律的な管理が困難な物質があれば、特定の作業、物質を禁止したり許可制を導入するといったことも書いてございます。
最後の黒四角(■)ですけれども、特化則・有機則で規制されている物質、今123物質ありますけれども、5年後をめどに自律的な管理に移行できる環境を整えた上で、個別具体的な規制は廃止することも想定しております。
5ページ目を飛ばしまして、6ページ目を御覧ください。
6ページは、先ほど4ページ目で御説明した内容を図にしたものです。
下のほうにいろいろ図が描いてあるのですけれども、どうしても個々の化学物質について得られる情報が限られています。オレンジ色のところになるのですけれども、有害性に関する情報量ということで、左から右のほうにまず分けてございます。
実は国のほうでモデルラベル・SDSを作成している物質がございます。約2,900物質。これらにつきましてはGHS分類に基づき分類を行っておりまして、危険性・有害性のあるなしを判断しております。
その下になるのですけれども、国のGHS分類により危険性・有害性が確認された全ての物質につきまして、点線で囲ってあるこの部分を義務付けようということになります。繰り返しになりますけれども、ラベル表示・SDS交付を必ずしてくださいと。SDSにも危険性・有害性の情報が載っておりますので、それに基づいて事業者の方がリスクアセスメントを実施し、それに基づいてばく露濃度をばく露限界値以下とする義務が発生するということになります。約2,900物質あるのですけれども、これをいきなり義務化することはなかなか大変ですので、数年間かけて順次義務化をかけていくといった方向性が打ち出されております。
右側の数万物質と書いてあるところですが、これにつきましても国のほうで計画的にGHSに基づいて分類していきます。年間50~100ぐらいずつなのですけれども、順次分類いたしまして、真ん中の2,900物質にどんどん追加するといったことを考えております。
こうして、数万物質あるのですけれども、その中からどんどん分類されたもの、危険性・有害性が確認された物質につきましては国の化学物質の管理の仕組みのほうに乗せていくといった仕組みになります。
めくっていただきまして、7ページ目を御覧ください。
先ほど御説明したことの重複になりますけれども、国がGHS分類を行い、モデルラベル・SDSをつくっていくのに合わせてどんどん義務化の方向に持っていくといったことが書いてございます。
少し下に行っていただきまして、2つ目なのですけれども、GHS分類の分類済み危険・有害物質の管理ということで、ラベル表示・SDSの交付義務、リスクアセスメントの義務がかかる物質につきましては、左側にありますけれども、安衛法の規則、これが法的根拠になりますので、これにどんどん追加していくということになります。先ほど2,900物質がGHSに基づいて分類されて、これを義務化の方向に持っていくと御説明いたしましたが、既に義務化された物質もありますし、環境有害性だけのものがありますので、それを引いて残った約1,800物質を数年間かけて義務化していくということになります。今年度からGHS分類をどんどん始めておりまして、分類が終わったものにつきましても令和6年度以降順次義務化していくといった流れになります。
その下にありますけれども、ばく露濃度基準の設定ということで、令和4年度、来年になりますけれども、リスク評価が終わった化学物質が150ぐらいあるのですけれども、これにつきまして、管理ができるような数字の目安といったものを決めていくということを考えています。令和5年度以降は許容濃度やTLV-TWAを参考に、毎年200物質ぐらいずつ設定していくといったことを書いてございます。
めくっていただきまして、8ページ目を御覧ください。
これは全く新しい仕組みで、化学物質規制体系の見直しの中でリスクアセスメントが義務付けされるのですけれども、それが実施されているかどうかを労使双方によりモニタリングしていくという仕組みになります。
左側の四角囲いで自律的な管理の実施状況とありますけれども、リスクアセスメントをやっているかどうかといった内容になります。こういった内容が実際に行われているかどうかを、右側にあるのですけれども、労使によるモニタリングで見ていくということになります。50人以上と50人未満で手法を分けております。50人以上だと人数がどうしても多いので、衛生委員会で調査・審議してくださいということが書いてございます。その下にあるのですけれども、リスクアセスメントの結果につきまして、もしくは健康診断といったものもありまして、そういったものは例外があるのですけれども、記録は必ず3年間とっておいてくださいということになっております。
下のほうに行きまして、労働災害を発生させた事業場で、監督署が必要だと思った場合には、外部の専門家の方のお力を得まして確認・指導を義務付ける、そういった仕組みも新たに設けてございます。
次のページをお願いします。
化学物質を事業場ごとに自律的に管理していただくということなのですけれども、ではどういった体制をとればいいのかということをここに図で示してございます。
左側にありますけれども、まず赤字で太く書いてある部分で、「化学物質管理者」という方を決めて置いてくださいということになります。この方が、その下に職務とあるのですけれども、リスクアセスメントを実施したり、リスクアセスメントの結果に基づいてばく露防止措置を選んだり、実施したり、そういった責任者になります。
そして、措置として保護具を選んだ場合には、保護具を扱う専門家の方、「保護具着用管理責任者」という方を必ず決めて置いてくださいといった内容になります。
化学物質管理者と保護具着用管理責任者の方々が、その下にあります職長という方に指示をするということになります。職長はいわゆる作業主任者に相当する方です。この方は教育を受けることになっているのですけれども、リスクアセスメントの内容の教育は一部の業種に限定されていますので、その業種の拡大といった内容が盛り込まれております。
一番下に作業者がいるのですけれども、雇入れ時や作業内容が変わったときには、当然そういった危険・有害物質について、また業務について教育を受けていただく、これを全業種に拡大するということを考えております。
いきなり人材は育たないですし、確保することも難しいので、右側にございますように、国、関係する業界団体、関係機関が協力してこういった人材の育成に努めていくといった内容になっております。
続きまして、10ページ目を御覧ください。
10ページ目が化学物質の危険性・有害性を伝達する情報の内容になります。
真ん中にSDS記載義務項目というのがございまして、黒字で書いてある部分が今法律で義務付けられている内容になります。黒くて小さく書いてあるところは変わりません。黒くて太字の部分と赤字の部分が変わったり追加になったりするところです。
まず上から2つ目の成分及び含有量ですけれども、営業上の秘密に該当するときには省略可能とする。、含有量は今は10%刻みで記載することになっていますが、これを重量%の記載にしていただくということになります。
上から4つ目の人体に及ぼす作用ですけれども、この内容につきましても5年以内ごとに情報の更新状況を確認する義務があり、内容変更がある場合には1年以内にSDSを再交付してくださいということになっております。
その次、貯蔵または取扱い上の注意ですけれども、この項目に保護具の種類の記載を義務化という内容になっております。
その次、赤字で書いたところが全く新しく追加になりまして、推奨用途と使用上の制限ということです。その化学物質の使い方と扱い方といったものを加えていただくということになります。
そのほかは今までどおりSDSの内容として記載していただくということになっております。
この資料の下のほうなのですけれども、今までSDSはどういった形でどういった媒体で渡していたのかということで、文書の紙、あとは磁気ディスク、フロッピーとかファクスといったもので渡してくださいということだったのですけれども、科学技術がどんどん進歩しておりますので、バーコード、2次元コード、もしくは商品販売ホームページに特設のサイトを設けていただくといったことも可能になるという内容になっております。
めくっていただきまして、11ページ目を御覧ください。
11ページ目は状況が変わっているのですけれども、化学物質を購入した場合に、小分けして保存したり別の容器に移し替えてしまうといった場合があります。そうすると、せっかくSDSで危険性・有害性が分かっているのですけれども、分からなくなってしまうという場合がありますので、そういったことにならないように、小分けとか別の容器に移し替えた場合もラベルもしくは何らかの形で必ず情報を伝えるということを義務化しているという内容になります。
その資料の下で、細かいのですけれども、例えば工場を改造する、直す、修理する、丸ごと掃除してしまうといったときに外部の方にお願いする場合があります。外から来た人は全く情報がなくて化学物質に触れてしまうという危険性もありますので、そういったことにならないように、そういった方々に文書交付を義務付ける対象設備を拡大するといったことになっております。
続きまして、12ページ目を御覧ください。
12ページは特化則等に基づく措置の柔軟化ということで、今、特殊健康診断というのが義務付けられておりまして、これは6か月以内に1回ということになっております。これを、一定の基準を満たす場合に限ってなのですけれども、1年以内に1回と間隔を空けてもいいというような柔軟化をしてはどうかということでまとめてございます。
めくっていただきまして、13ページ目を御覧ください。
13ページは同じく特化則等に基づく措置の今度は強化になります。環境測定の結果に基づきまして作業場、事業場が管理区分1~3に区分されるわけですけれども、直ちに措置を講じなければいけない第3区分のままではなかなか厳しくて、第1区分、第2区分に移行していただきたいというのが我々の思いでございまして、なかなか第3管理区分から移行できないところについては下の赤い点線で囲ってある部分を義務化しようということが書いてございます。
具体的に申しますと、マル1のところにあるのですけれども、何でなかなか改善できないのかということにつきまして外部の専門家の意見を聞いてくださいということが大きなポイントになります。それで改善が困難な場合には、直ちに保護具などを導入するなど、講ずるべき措置がここに網羅されております。
こういったことに取り組んでいただきまして、第3区分のところを第1管理区分、第2管理区分に移っていただきたいというのが大きな目的になります。
めくっていただきまして、これが最後のページになりますが、14ページです。
がんなどの遅発性の疾病の把握とデータの管理のあり方です。
どうしてもがんなどの病気は発生するまでに長い時間がかかりまして、なかなか原因解明とか対策がとりづらい状況にございます。右側にありますように、化学物質を取り扱う同一事業場で複数の労働者が同じ種類のがんになった場合、産業医の方が把握し必要と思った場合には、都道府県の労働局に報告する。同じように、化学物質を取り扱う事業場で複数の労働者の方が同種のがんにかかっているということを外部機関の医師の方が必要だと思った場合には、これも同じように都道府県の労働局に報告する。こういった仕組みを作ってはいかがかという内容が書いてございます。
その報告を受けた場合、都道府県の労働局では、同じ化学物質を扱っている事業場について調査を行い、状況を把握し、対策を練るといったことができるようになります。
下のほうにあるのですけれども、今、発がん性物質に関わるようなデータで30年以上保存が義務付けられているものがございます。ただし、労働者が転職してしまった場合、あとは事業者が倒産してしまった場合、長期保存すべきデータが失われてしまう可能性が非常に高いです。そういったことを防ぐために、公的な第三者機関に保存をお願いする。保存するだけではなくて、ビッグデータとして化学物質の危険性の予防対策に活用できるのではないか。こういう仕組みも検討してくださいということを報告書にまとめてございます。
いろいろ網羅的に御説明いたしまして、報告書全体の中身の範囲が広く多岐にわたっておりまして、理解しがたい部分もあるのですけれども、リスク評価につきましてもかなり管理の仕組みが変わります。今までSDSの交付とかラベル表示を義務付ける物質につきましてはこの企画検討会で御審議いただきまして、この物質を追加しましょうということを検討していただきました。今度は、この報告書に書いてあるような新しいルールに基づきまして、GHS分類に基づき危険性・有害性が確認された物質は全て順次義務付けていくという方向性が打ち出されておりますので、企画検討会で昨年度まで御審議いただいた1つの検討事項がなくなってしまうということになりますけれども、これも新しい化学物質の管理のあり方に移行していく結果でございますので、そこは御了承いただければと思います。
長くなりましたが、私からの説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
随分大きなテーマで、これから先どうするかというこの検討会の報告書、それから、今のパワーポイントの中身は既に公表されておりますので、委員の皆さん、あるいは傍聴の皆さん、ぜひ厚労省のサイトにアクセスしてしっかり読み直していただきたいと思いますけれども、今の段階で今の事務局からの説明に御意見、御質問はございますか。
御意見、御質問のある方は、手を挙げる、もしくは丸をつくる等々のことで意思表示してください。こちらで一応画面は見えておりますので。
特に皆さん手が挙がっておりませんので、この件に関しましてはもう一度報告書等々を読んで確認していただくということでよろしいですか。―ありがとうございました。
それでは、議題3になります。「令和3年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について」、事務局から説明をお願いいたします。
○佐藤化学物質評価室長 資料3を御用意ください。
これは、例年その年度に行うリスク評価の方針を取りまとめたペーパーです。例年ですと年次を修正してこの企画検討会にかけていたのですけれども、先ほど御説明いたしました化学物質規制の見直しの報告書が取りまとめられたため、その内容を受けてこの資料3を修正しております。
大きく変わったところが、1ページ目の真ん中あたりです。1の(1)で「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」、まさしくこの検討会なのですけれども、ここで御審議いただく内容を一部外しております。昨年度までは5つあったのですけれども、先ほどの報告書の内容に基づきまして、特定のルール、新しいルールに基づきましてリスクの管理を行っていくという方向が打ち出されましたので、そこを省いております。それで新たに残った部分、マル1とマル2なのですけれども、マル1はリスク評価に係る方針の策定ということで、今年度どんな検討会、ワーキンググループを開催するのかといったこと、マル2といたしましてリスクコミュニケーションの推進、どういったテーマで、いつの時期、どういった形でリスクコミュニケーションを開催していくのか、そういったことが御審議していただく内容となっております。
(2)以降は、若干日本語を修正いたしましたが、内容的には変更はございません。
以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
この企画検討会のミッションは、去年までは5つぐらいあったのですが、それが今のあり方検討会の報告書に基づいてマル1、マル2の2つということでございます。何か御意見あるいは御質問はいかがですか。そのほかの有害性評価検討会等々は前回と変わっていないということなので、企画検討会だけに関して何かあればと思いますけれども、よろしいですか。―ありがとうございました。
そうしましたら、議題3も終了ということでございます。
それでは、次に議題4です。リスコミをどうするかということに関しまして、事務局から説明をよろしくお願いします。
○吉見化学物質評価室長補佐 それでは、資料4を御覧ください。こちらは吉見から説明させていただきます。
委員の先生方には改めての御説明になりますけれども、リスクコミュニケーションにつきましては、国が決めたリスク低減措置について国からの一方的な説明で理解を求めるものではなくて、措置導入までの各段階で利害関係者、ステークホルダーの皆様との双方向の情報交換あるいは対話を通じて理解を促進していくといった取組でございます。これについては昨年度に引き続き今年も実施していきたいと考えております。
具体的な取組の内容でございますけれども、まず1点目のパブリックコメントにつきまして、従来はリスク評価の対象物質の決定過程におきましてもパブリックコメントを実施していたところでございますけれども、先ほど来の説明にもあるとおり、職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会の報告書を踏まえまして、今後のこのリスク評価企画検討会の役割も一部変わっております。現在の形でのリスク評価は今のところ今年度が最後となる予定ですので、リスク評価対象物質の追加についてのパブリックコメントは今年は予定しておりません。ただ、現在リスク評価を実施している物質につきまして、その評価結果を踏まえて、例えばがん原性指針に追加するといったような健康障害防止措置を導入する場合には、その過程でパブリックコメントを実施する予定でございます。
続いて2番です。意見交換会。こちらがリスコミのメインの取組になります。
テーマとしては(1)のマル1~マル3の3つを考えております。このテーマ自体は昨年度と変えておりませんけれども、特に今年度は、先ほど説明いたしました今年7月のあり方検討会の報告書の内容も踏まえて、今後の化学物質管理のあり方、制度の見直しの方向性、内容などについて、あるいはそこで事業者に求められることはどういったことか、そういったことについても意見交換をしていきたいと考えております。
続いて(2)、令和2年度開催状況につきましては、先ほど資料1-1で御説明したことと重複しますので、省略させていただきます。
続いて(3)、昨年度のアンケート結果でございますけれども、昨年度の意見交換会の実施に当たっては、一昨年までのアンケート結果を踏まえ、テーマをそれぞれ2つに絞って、あらかじめ当日の資料をWebサイトに公開して、出席者の皆さんにも事前に御覧いただいた上で実施したところ、当日の時間配分とか理解度についてはアンケートでおおむね肯定的な意見が多くを占めております。
昨年度大きく変わった点につきましては、御承知のとおり、コロナ禍の状況で会場に参加者を入れての実施を断念いたしまして、初めてオンライン形式で実施したということでございます。
このオンライン形式が初めての試みであったこともありまして、昨年度2回やった意見交換会のうち1回目につきましては、参加者の皆様には事前に質問を受け付けて、その中から当日御回答するといった形の対応になり、結果、質問の数も少なくなってしまったような状況がございました。2回目の開催のときにつきましては、事前質問に加えまして、当日チャットによる質問も受け付けまして、1回目のときよりは充実した意見交換になったのではないかと考えております。
開催後、事後に回収したアンケートでの御意見、御要望としては、1回目の参加者の方につきましては、双方向のコミュニケーションをとれるようにしてほしいとか、Webの挙手、チャット機能などを活用して当日の質問を受け付けてほしいといった御意見がございました。2回目の意見交換会につきましては、当日チャットでの質問を受け付けたということもございまして、そのことについて、当日質問が受け付けられたのはよかったといった御意見もございました。あとは、共通しまして、どうしてもWeb形式の限界があるかと思いますけれども、音声が途切れるとか聞き取りづらい部分が一部あったというような御意見も頂いております。あるいは、事前、当日以外に後日質問を受け付けてほしいといった御意見もございました。
昨年度2回やった状況につきましては、本日の委員の中では、意見交換会で堀口委員にコーディネーターを務めていただいております。それから、第1回のときには大前座長にも御講演を頂いております。特に堀口委員、大前座長のほうで昨年度実際にやってみた上でお気づきの点あるいは改善点等ありましたら、後ほど御意見を頂ければと思います。
続いて(4)、令和3年度の開催要領でございますけれども、現時点で東京、大阪の2会場、それからオンラインのハイブリッドでの開催を考えております。
昨年度初めてオンライン形式で実施したところでございますけれども、オンラインにはメリット・デメリット両方ございまして、デメリットとして双方向のやり取りが対面に比べてやりづらいという面もありますけれども、一方で遠方でなかなか会場に足を運べない方々も気軽に参加できるというメリットもございますので、今年は当初から会場とオンライン両方のハイブリッドで企画したいと考えております。
テーマの設定につきましては、先ほども御説明したような化学物質管理のあり方の見直しを踏まえた最新動向のテーマを設定して開催したいと考えております。
会合の持ち方については基本的に従来を踏襲して行いたいと考えておりますけれども、オンラインの方式については昨年度実施してみた上で見つかった改善すべき点があれば改善いたしまして、会場参加については新型コロナの状況も踏まえて最終的に決定したいと考えてございます。
続いて(5)のその他に書きましたリスコミの普及促進の観点、あるいは3番のパンフレット、4番のホームページ、こういったものによる分かりやすい周知にも引き続き取り組んでいきたいと考えております。
資料4の説明は以上でございます。
○大前座長 ありがとうございました。
昨年度のリスコミは、そのもっと前の年と比べますと少し変わりまして、その前の年まではどちらかといいますとその年度に決まったリスク評価物質に関して説明する等々のことが多かったのですが、去年はそれだけではなくて総論をやったということで、私がやらせていただきましたけれども、非常にやりやすかったと思います。
それから、私がやりましたのは第1回目で、これはチャットの質問がなかったのですけれども、2回目のチャットの質問はうまく回ったのですか。事前の質問とチャットでの質問で重複があったり、いろいろなことがあったと思うのですけれども、この辺は実態はどうだったのでしょうか。
○吉見化学物質評価室長補佐 当日コーディネーターをお願いした堀口委員、そちらについて御感想があればお願いいたします。
○堀口委員 2回目に関しましてはチャットに書き込みができましたので、ぱらぱらと質問が来ていまして、重複することもなく進めることができたのでよかったのかなと思っています。なので、1回目と2回目は全然違った形になっていました。
○大前座長 2回目はコミュニケーションという意味ではよかったという評価ですか。
○堀口委員 はい。
○大前座長 ありがとうございます。
○堀口委員 経験してなのですけれども、資料が事前に見られて、質問も事前に受け付けていたので、そういう意味では皆さんじっくり勉強されたのではないかなという気がいたしました。というのは、外れたような質問がほとんどなかったので。多分チャットに書き込むと、やり方だと思うのですけれども、2回目のときに、チャットといっても質問で書き込むので多分ネットに入っている人に見えていないと思うのですが、チャットに書き込んで全員に見られるとなるとまたちょっと変わってくると思うのです。そちらのほうが質問が重複しないので、全員が見られる形のほうがありがたいといえばありがたいところはあります。
それで、今日の資料もですが、昨年度から資料がすごく見やすくなっていまして、リスコミをやっていたときもすごく資料が見やすくなっていたのがまた皆さんの理解を促進したのかなと思っています。今日も資料2のあり方検討会の概要を御説明いただきましたけれども、非常に資料が分かりやすいなと。これもリスクコミュニケーションの技の1つなので、いいなと思っています。
先ほど、後日質問を受け付けてほしいというお話があったと思います。後日質問に対応した経験も放射線の災害のときにあるのですが、先生にかなり負担が来ますので、そこをどうするかというのは講演される先生と厚生労働省でしっかり打合せをされるとよろしいかなと思います。
○大前座長 ありがとうございました。
そうしますと、今回初めてですけれども、チャットの質問も受け付ける。それで、もし可能だったらそのチャットの質問が見えるような形になればいい。これは恐らく技術的な問題だと思うので、なかなか難しいのかもしれませんけれども、それは考えてみる必要がある。
それから、後で質問していいかどうかに関しては、堀口先生は演者の先生と相談しろということですけれども、ここら辺はどうしましょうか。確かに後に質問がたくさん来ると大変でもありますし、答え方が結構難しいです。多分文章か何かで返事することになると思うのです。口頭ではなくて。そうすると答えるほうはなかなか大変かなという気はしますけれども、そこら辺はいかがですか。
○吉見化学物質評価室長補佐 まずチャットでのやり方とかそういった点は、事務局とも調整しまして、技術的に対応可能な点はできるだけ対応していきたいと思います。どうしても現在のWeb会議のシステム上できることとできないことがあると思うのですけれども、その辺りは対応を考えていきたいと思います。
それから、事後の質問について、アンケートでそういった御意見がありましたという御紹介をしたのですけれども、確かに御負担もありますし、文章でたくさん御回答を作成していただくということにもなりますので、その辺りの対応ができるかできないかは演者の先生などとも御相談しながら決めたいと考えております。
○堀口委員 今回はテーマが3つあって、3番目の話とかだと質問がたくさん来そうな気がするのです。厚労省のほうで、今私はホームページを確認していないから分からないのですけれども、リスコミを踏まえた上でQ&Aを作成してホームページにアップするとかいうことをするのであれば、全部質問は後日でも受け取って引き取ってしまって、体系立ったQ&Aという形で公表するというのは一つあり得ると思います。
○大前座長 ありがとうございます。
○吉見化学物質評価室長補佐 ありがとうございます。御意見も参考に対応については検討させていただきます。
○大前座長 そのほか、リスコミに関しまして、委員の先生方、何か御意見はございませんでしょうか。今年はあり方検討会のことについて相当大きなエリアでリスコミをすることになるだろうと推測しますけれども。去年はまだ報告書が出ていない段階でしたから非常に不確定な話でしたけれども、今年はもう出てしまった後なので。いかがでしょう、委員の先生方。今あったようなこと以外であれば御意見を頂きたいのですが、特にございませんか。―ありがとうございます。
確認ですが、今年はハイブリッド型になるだろうということ、それから1回目、2回目ともにチャットを使った質問を受ける形になるだろうというのはほぼ決まりで、それから事後の相談、あるいはチャットの中身を画面上に出せるかどうか、これは技術的な問題等々もあるので検討するということでございますけれども、よろしゅうございますか。―ありがとうございます。
それでは、この議題もこれで終了ということで、最後に「その他」ということですが、事務局から何かございますか。
○福田有害性調査機関査察官 検討をお願いしたい案件につきましては以上となっております。
本日頂いた御意見を踏まえて修正したものにつきましては、後日皆様に送付させていただきます。特にリスコミのところは、資料に一部修正等がある部分、番号とか誤字脱字の部分だけ直したものを改めて送らせていただきたいと思います。
また、次回の日程でございますが、検討会での結果報告のため、年明けを予定しております。別途委託業者から調整の連絡があるかと思いますので、その際にはよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○大前座長 先生方、その他、企画検討会全般に関して議題以外のところで何かございますか。特になければこれで終了してよろしいですか。
それでは、本日の第1回の企画検討会を閉会とさせていただきます。
どうもありがとうございました。