地域の健康を支える薬局へ 認定制度が変わります

2025年5月21日に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」)の改正が公布され、段階的に施行されることとなっています。今回は、2027年5月20日から始まる認定薬局の制度の見直しについて紹介します。

「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ

薬局というと、病院でもらった処方箋の薬を受け取る場所というイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、高齢化の進展や生活習慣病の増加に伴い、患者が複数の医療機関を受診する機会が増え、薬剤師には薬の重複や相互作用を確認しながら継続的に患者を支える役割が求められるようになりました。
こうした背景から、厚生労働省は2015年に「患者のための薬局ビジョン」を公表し、「『門前』から『かかりつけ』、そして『地域』へ」という将来像を示しました。

薬を渡すだけでなく、患者一人ひとりの服薬状況を継続的に把握する「かかりつけ薬局」としての機能に加え、健康相談や在宅医療などを通じて地域住民の暮らしを支える存在へと発展していくことが期待されるようになったのです。

健康サポート薬局の誕生

こうした流れを受けて、2016年に創設されたのが「健康サポート薬局」です。
健康サポート薬局は、かかりつけ薬局としての機能に加え、地域住民の健康の保持・増進を積極的に支援することを目指した制度です。
薬や健康食品に関する相談だけでなく、健康相談や禁煙支援、健康教室の開催などを通じて、病気になる前の段階から住民を支える役割が期待されました。
また、健康サポート薬局は、薬局だけで相談を完結させるのではなく、必要に応じて医療機関や地域包括支援センター、行政機関などにつなぐ「地域の相談窓口」としての役割も担っています。

地域連携薬局と専門医療機関連携薬局

その後、日本の高齢化はさらに進み、医療の中心は病院から地域へと移り始めました。
入院期間の短縮に伴い、自宅や介護施設で療養する患者が増加し、薬局にも在宅医療への対応や多職種との連携が強く求められるようになりました。
また、がん治療など専門的な薬物療法を地域で支える必要性も高まってきました。
そこで薬機法が改正され2021年から「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」という二つの認定薬局が創設されました。
これは都道府県知事が一定の基準を満たした薬局を認定する制度であり、患者が必要な機能を持つ薬局を選びやすくすることを目的としています。

地域連携薬局は、病院、診療所、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所などと連携しながら、地域の患者を支える薬局です。
入退院時の情報共有、在宅患者への薬学的管理、夜間・休日対応、医療用麻薬への対応などを通じて、切れ目のない医療を支える役割を担っています。
一方、専門医療機関連携薬局は、がんなど高度な薬学的管理を必要とする患者を支援する薬局です。
専門医療機関と連携しながら、副作用管理や服薬支援を行い、患者が住み慣れた地域で安心して治療を継続できる体制を支えています。

2027年、新たな認定薬局の制度へ

健康サポート薬局は先駆的な取り組みとしてスタートしましたが、制度運用の中で課題も見えてきました。
最大の課題は、住民にとって「普通の薬局との違い」が分かりにくかったことです。
健康サポート薬局は届出制度であり、地域連携薬局のような認定制度ではありませんでした。
そのため、住民にとって制度の意義や利用するメリットが十分に伝わらず、認知度も低い状況が続いていました。
また、健康相談やセルフメディケーション支援は本来すべての薬局が取り組むべき方向性であり、地域連携薬局との役割分担も必ずしも明確ではないとの指摘がなされていました。

こうした課題を踏まえ、厚生労働省では制度の見直しと薬機法の改正を行い、新たな認定薬局の制度が2027年5月20日から始まります。
地域連携薬局については在宅医療や医療機関との情報共有を中心的に担う薬局として位置付けをより明確化しました。
また、健康サポート薬局は「健康増進支援薬局」として再構築され、地域連携薬局と専門医療機関連携薬局に続く第3の認定薬局へ移行する予定です。
今後は、健康・介護相談対応やセルフメディケーション支援の拠点として、地域住民にとって分かりやすい制度になることが期待されています。

地域の健康を支える薬局へ

2016年の健康サポート薬局から始まった薬局機能の見える化は、2021年の認定薬局の制度の創設を経て、2027年には新たな段階を迎えようとしています。
これからの薬局は、薬を受け取る場所にとどまりません。
 
  • 在宅医療や入退院時の薬物療法を支える「地域連携薬局」
  • がんなどの専門的な薬物療法を支える「専門医療機関連携薬局」
  • 地域住民の健康づくりや介護予防を支える「健康増進支援薬局」
 
この三つの機能を柱として、地域住民の暮らしと医療を支える重要な社会基盤としての役割を担っていくことになります。

薬と健康の週間

「薬と健康の週間」をご存じですか。
毎年10月17日から10月23日までの1週間は「薬と健康の週間」とし、医薬品を正しく使用することの大切さ、そのために薬剤師が果たす役割の大切さを一人でも多くの方に知ってもらうために、SNSやポスターなどを通じて積極的な啓発活動を行っています。
この期間は全国各地で医薬品に関する相談会や講座が開かれるなど、啓発イベントが行われますので、ぜひお近くのイベントに足を運んでみてください。

WOWOW 「連続ドラマW MR -医薬情報担当者-」とのタイアップ

医薬品の適正使用や安全対策等に対する理解を促進するため、2026年10月4日(日)WOWOWで放送・配信が始まる医薬品業界を舞台とする連続ドラマW「MR -医薬情報担当者-」とタイアップしています。
今回のタイアップは、医薬品が患者の皆さまのもとに届くまでの過程や、その有効性・安全性を確保するためのさまざまな取り組みについて広く知っていただくことを目的として実施します。
タイアップのページも公開しています。ぜひご覧ください。

・令和8年度「薬と健康の週間」の実施について
・WOWOW 「連続ドラマW MR -医薬情報担当者-」とタイアップ!