- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 障害保健福祉部が実施する検討会等 >
- 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会 >
- 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第13回)議事録
福祉・介護視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第13回)議事録
1.日時
令和7年8月4日(月曜日)10時00分~12時30分
2.場所
全国都市会館3階 第1会議室
3.議題
1.各省庁における「これまでの取組成果・達成状況」の報告について
2.構成員による視覚障害者の読書環境の整備の推進に係る取組等について
取組報告:日本点字図書館・全国視覚障害者情報提供施設協会
3.特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて
2.構成員による視覚障害者の読書環境の整備の推進に係る取組等について
取組報告:日本点字図書館・全国視覚障害者情報提供施設協会
3.特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて
4.議事録
(インターネット環境トラブルにより約50分遅れのスタート)
ただいまから、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会」第13回を開催させていただきます。
最初に事務局より、委員の出席状況等について御説明をお願いいたします。
【吉元補佐(厚労省)】 大変御迷惑をおかけしております。本日、事務局を務めさせていただきます厚生労働省障害保健福祉部自立支援振興室室長補佐の吉元と申します。
このたびは、たび重なるネットワーク接続の不良等、不手際がございまして大変御迷惑をおかけしております。どうぞよろしくお願いいたします。
本会議の構成員につきましては、参考資料1の設置要綱に記載されているとおりでございますが、今回の会議より御参加いただく委員がお一人いらっしゃいますので、申し訳ございませんが、改めて御紹介をさせていただきますので、オンラインの先生方向けにということで一言御挨拶をいただければと思います。
一般社団法人電子出版制作・流通協議会副事務局長の二見委員でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
【二見委員】ただいま御紹介いただきました電子出版制作・流通協議会の事務局を代表して参加させていただいております二見と申します。今回から参加させていただきます。
不勉強な点が多く、皆様に資するような発言ができるかどうか非常に疑問なのですが、これから勉強を重ねて、そういう意味ではここに参加する意義をしっかりと認識しながら引き続き努力したいと思います。よろしくお願いいたします。
【吉元補佐(厚労省)】 ありがとうございました。
続きまして、構成員の出欠状況につきまして御報告いたします。
本日は御欠席の委員が6名いらっしゃいますが、うち1名の方につきましては代理の方に出席をいただいているところでございます。
まず御欠席の委員の方について御報告させていただきます。
日本眼科医会常任理事の井上委員、愛知県福祉局福祉部障害福祉課長の今宮委員、東京大学先端科学技術研究センター教授の近藤委員、全国学校図書館協議会理事長の野口委員、堺市健康福祉局障害福祉部障害施策推進課長の吉田委員、以上の5名の方となります。
また、一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長の市川委員の代理といたしまして、副理事長兼事務局長の日詰様が代理で御出席をいただいているところでございます。
以上、会場参加13名、オンライン参加5名となっております。
続きまして、事務局を代表しまして、文部科学省及び厚生労働省から一言御挨拶を申し上げます。大変お待たせして申し訳ございません。
初めに、文部科学省大臣官房審議官の橋爪様より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
【橋爪審議官(文科省)】 おはようございます。文部科学省大臣官房審議官の橋爪でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は御多忙の中、また大変暑い中、多くの構成員の皆様に御出席いただきまして本当にありがとうございます。
本年3月に、第2期読書バリアフリー基本計画が策定されました。構成員の皆様におかれましては、本基本計画の策定に当たりまして多大なる御協力をいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
第1期計画期間内におきまして、文部科学省では普及啓発、それから公立図書館等における取組の充実など、読書バリアフリーの推進に取り組んでまいりました。一定の成果は見られますものの、いずれもまだ道半ばでございます。第2期基本計画を踏まえ、引き続きしっかりと進めてまいる所存でございます。
構成員の皆様におかれましては、ぜひとも本日の会議でも率直かつ建設的な御議論をいただき、引き続き読書バリアフリーの推進に当たりましてお力添えをよろしくお願い申し上げます。
本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【吉元補佐(厚労省)】 ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害保健福祉部長の野村より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
【野村部長(厚労省)】 皆さんおはようございます。
厚生労働省の障害保健福祉部長の野村でございます。
構成員の皆様方におかれましては、今日も非常に暑い朝の中、また御多用の中、今年度の第1回目となるこの協議会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それと併せまして、システム上の不備などで開会をお待たせしてしまいまして誠に申し訳ございませんでした。
今しがた橋爪審議官からも御紹介がございましたけれども、昨年度をもって第1期基本計画期間を終了するということで、この協議会で御議論いただきまして、今年の3月28日に第2期基本計画というものが策定されたところでございます。その間の御協力、誠にありがとうございました。
いわゆる読書バリアフリー法に基づきまして、これまでも地方公共団体であるとか関係機関、あるいは当時者の方々、多くの方々が御協力をいただいて、この読書バリアフリー関連の施策が進んできたところでございます。その結果、視覚に障害のある方々などの読書環境を取り巻く状況といったものも前進をしてきているのではないかと思っております。
厚生労働省の関係で申し上げますと、点字図書館でございますとか障害者情報総合ネットワーク、サピエに対する支援などを行うことによりまして、アクセシブルな書籍の製作というものを着実に進めていきたいと考えております。実際に年々利用される方々も増えているということでございまして、この読書バリアフリーに向けた各種環境整備、こうしたものの取組の自治体への支援というのも進めていかなければならぬと感じているところでございます。
各省庁関係団体の皆様などと政策を進める中で、この制度を当時者の方々、障害のある方々にとってさらに有益なものにしていくという観点から、視覚障害のある方以外にも読書に困難を感じておられる方に対する利用促進とか、まだ課題があると認識をしております。こうした課題の解決に向けた取組などにつきまして、第2期基本計画に基づいて各般の施策を講じたいと考えております。
つきましては、本年度初回というふうに先ほど申し上げましたけれども、本日の協議会では構成員の皆様方からの忌憚のない御意見を賜りながら今後の施策に生かしていきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
【吉元補佐(厚労省)】 ありがとうございました。
恐れ入りますが、公務の都合によりまして橋爪審議官、野村部長におかれましては、ここで御退席をさせていただきます。
次に、本日の資料について確認をさせていただきます。
本日の会議は、構成員の皆様には事前に資料送付をさせていただいているところですが、同じものが机上にあるか、まず御確認をさせていただければと思います。
また、傍聴の方におかれましては、厚生労働省及び文部科学省のホームページに資料を掲載しておりますので、そちらを御確認ください。
本日の資料につきまして、改めて確認をさせていただきます。議事次第のほか、資料1から4、そして参考資料1から3の以上8点となります。資料が机の上にないなど、御不明な点がございましたら事務局までお声がけをお願いいたします。
それから、資料につきまして早速ですが、議事次第のところで修正がございます。議事次第のタイトルのところと、あと議題の(2)、4.配付資料の資料2、それから参考資料の1に「視覚障害者」となっているのですが、ここは「視覚障害者等」の「等」が抜けているというミスがございましたので、この場で修正をさせていただきますとともに、後ほどホームページ掲載用とか、資料の最終版につきまして皆様のほうには改めて送らせていただきますので御了承いただければと思います。
それからまた、本日オンラインで御出席の構成員の皆様へのお願いがございます。カメラは通常はオンのままにしていただき、御発言の際にはZoomの「手を挙げる」機能の使用をお願いいたします。御発言時以外は、マイクをミュートにしていただきますよう御協力ください。
なお、通信障害などで不具合が発生した場合には、事前にお伝えしております事務局の連絡先までお知らせいただければと思います。
次に、本日のスケジュールにつきまして簡単に御説明をさせていただきます。
今、既に50分以上遅れているところでございますが、議題1につきまして各省庁からの御報告と意見交換とを含めまして1時間程度お時間を取らせていただいているところでございます。それで、議題1でもって配付資料の資料1と資料2、合わせて御報告をさせていただくという形で考えております。
それから、議題2につきまして「構成員による視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る取組等について」ということで、本日は日本点字図書館さんと全国視覚障害者情報提供施設協会さんから現状の取組報告等につきまして御報告をいただきます。こちらにつきまして、30分程度お時間を設けさせていただいているところでございます。
それから、最後に「特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて」の報告ということで、10分程度の時間を設けさせていただいているところでございます。
また、今年度は協議会につきまして本日1回目ですが、年末と年明けくらいにあと2回程度を予定をしております。各団体さんからの取組の報告などの議題を予定しておりますが、その詳細につきましては決まり次第、事務局のほうから連絡させていただくということで、冒頭でまずお知らせをさせていただきます。
事務局からは以上となります。
【中野座長】 進行の中野でございます。ありがとうございました。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラがもし入っておられる場合にはここで御退場をお願いしたいと思います。
それでは、先ほど御説明がありましたように、既に会議は大分遅れております。それで、30分程度は延長させていただくことになろうかと思いますので、申し訳ありませんけれども、御了承いただければと思います。
本日は議題が3つあるのですけれども、まずは第1番目の議題である「各省庁における「これまでの取組成果・達成状況」の報告について」、各省庁より報告をよろしくお願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 まず、事務局分につきまして厚生労働省の吉元から御報告をさせていただきたいと思います。
事務局からは、地方公共団体における読書バリアフリー計画の策定状況について御報告をいたします。
資料1の1ページから3ページが関係する部分となります。
資料2につきましては、この資料1の御報告の内容につきましてまとめたものですので、資料1に基づいて私のほうから説明させていただきます。
令和7年2月1日時点での集計となりますが、都道府県に関しましては昨年度調査の段階で計画を策定済み、策定作業中、検討中も含めてですが、その回答が100%となったところでございます。また、策定済みの数が昨年度の19自治体から38自治体に倍増し、全都道府県での策定完了が視野に入ってきたというところでございます。
一方で、指定都市では約80%、中核市では約40%にとどまっておりまして、自治体の規模が小さくなるにつれまして策定に向けた動きがちょっと鈍いというか、遅れている結果となっております。
特に策定する予定なしの自治体数につきまして、指定都市につきましては昨年度の6自治体から4自治体と減ってきてはいるのですが、中核市につきましては策定する予定なしの数がこちらの表でいきますと36自治体とあるのですが、これは昨年度調査から変わっていない状況となっております。
3ページのグラフにおきましても、令和2年度の調査結果と比較すると、全体としては策定完了に向けて着実に伸びているところですが、中核市につきましては先ほど述べさせていただいたとおり、一番上の表を見ますと、全体の棒グラフの高さが変わらないというところで頭打ちとなっていることが分かります。
未策定である理由といたしましては昨年と同様に、いまだに策定担当部局が決まっていないという自治体が多く散見されるなど、法律の趣旨が十分に浸透していると言えるような状況でないということが続いているところでございます。
いずれにしましても、今年度から始まりました第2期基本計画に基づく各種施策について地域間の格差なく推進していただくためには、未策定自治体に対して計画策定に向けたより一層の働きかけが重要であると認識しておりまして、全国会議など、様々な機会を通じて普及啓発活動を行ってまいりたいと考えております。
事務局からは以上となります。
【中野座長】 ありがとうございました。
今のは事務局としての報告ということで、引き続き厚労省から報告をお願いいたします。
【前田室長(厚労省)】 皆さんはじめまして、この4月に自立支援振興室長に着任しました前田と申します。よろしくお願いいたします。
また、本日、ネット環境の不備、資料等の不備等がございまして、改めておわびを申し上げます。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、議題1のうち厚生労働省の主な取組状況を御報告させていただきたいと思います。資料は1と2と重複する部分がございますので、資料1の8ページから17ページを御覧いただければと思います。それに沿った形で御説明を申し上げたいと思います。
初めに、厚生労働省として読書バリアフリーに関する施策の周知につきましては、読書バリアフリー法の成立以降、文部科学省とも連携をさせていただき、公立図書館や点字図書館におけるサービスの内容でありますとか、アクセシブルな図書の紹介を記しましたリーフレットの作成、それとホームページへの掲載、自治体を通じた関係機関への配付といったような普及啓発を図ってきたところでございます。
第2期基本計画が今年度からスタートいたしましたことも踏まえまして、文部科学省とよく協力をし、第2期計画に基づいたリーフレットの作成を予定しています。
資料8ページを御覧いただきたいと存じますが、こちらは団体における周知広報の取組といたしまして、全国視覚障害者情報提供施設協会のものになります。こちらでは、視覚障害に関する情報への窓口である「シカクの窓」を通じ、サピエ図書館も含めました様々な視覚障害関連の情報を発信しております。
サピエ図書館の利用方法等の周知をするためのPR動画の発信でありますとかチラシの配布、サピエ研修会の開催など、サピエ図書館についての周知を行うほか、PR動画やチラシの配布先に視覚特別支援学校図書館などを加えるといった周知範囲の拡大も図っているところでございます。
資料10ページを御覧いただきたいと存じます。
厚生労働省における視覚障害者等の読書環境の整備に対する取組についてでございます。
まず1の点字図書館等事務費では、点字図書館における点字図書や音声図書の製作環境の整備を支援する加算の補助単価の上限額を増額してきたところです。
2の地域生活促進事業での取組といたしましては、1つ目は障害者ICTサポート総合推進事業であります。こちらの概要は15ページを御覧いただきたいと思いますが、本事業ではICTサポートセンターの運営でありますとか、パソコンボランティアの派遣、養成などの支援を行っております。
2つ目は、障害者等のICT機器利用支援事業です。概要は、次の16ページを御覧いただきたいと存じます。
本事業では、ICTサポートセンターにおける好事例の取組や課題の共有などを図りますことで、センター機能の標準化、質の向上を図ることを目的としており、令和6年度にはセンター運営の手引でありますとか、支援事例集といったものにつきまして全県へ周知をしたところでございます。
3つ目は、「地域における読書バリアフリー体制強化事業」でございます。資料といたしましては、11ページ、12ページを御覧いただきたいと存じます。
本事業では、公共図書館との連携でありますとか、視覚に障害のある方などへのアクセシブルな図書の利用の促進、点訳、音訳奉仕員の養成などの取組に対する経費の補助を行っており、令和6年度には、より地域での読書バリアフリー体制の整備が進むよう、補助対象を従前の都道府県、指定都市、中核市のほか、一般市町村も加えた全自治体へ拡大をしたほか、高知市において読書困難者の方がサービスを受けている可能性が高い福祉医療教育関係機関等との連携をし、これらの機関の職員の方に読書困難者にバリアフリー図書などがある図書館を知っていただくための橋渡しとなってもらう取組を全国会議において周知をいたしました。
4つ目は、今年度より文部科学省、経済産業省と連携して行う読書バリアフリー環境整備のためのモデル事業、いわゆる実証調査でございます。こちらは13ページを御覧いただきたいと思います。本事業では、特定書籍等の製作に当たりまして、電子データの提供過程における課題解決に向けた整理をすることとしており、厚生労働省側の所管する図書館といたしまして日本点字図書館ほか4館の方に参加をいただく予定でございます。
5つ目は、サピエ図書館についてでございます。こちらは資料の14ページを御覧いただきたいと思います。
団体や各点字図書館などの御尽力により、蔵書数、利用登録者数、図書データの提供数などは着実に伸びている状況でございます。
最後に、日常生活用具給付等事業でございます。こちらは、資料17ページを御覧いただきたいと存じます。
本事業は、地域の特性でありますとか利用者の状況に応じまして、実施主体である市町村において柔軟な対応が可能となりますよう、用具の要件や用途のみの告示で定め、実施主体の市町村が事業実施に必要となる具体的な用具の種目、基準額、対象者、耐用年数などを定めて行っているものでございます。
厚生労働省では、各市町村への地域実情に即した適切な種目でありますとか基準額といったものについても見直しの依頼を行うなど、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
厚生労働省からの説明は以上となります。ありがとうございました。
【中野座長】 ありがとうございました。
質疑は後でまとめてさせていただきますので、続きまして文部科学省より御報告をお願いいたします。
【星川室長(文科省)】 文部科学省障害者学習支援推進室でございます。
私からは、学校図書館、公立図書館以外の取組について、主なもの3点を御説明させていただきたいと思います。
字が大変小さくて恐縮ですが、18ページを御覧ください。
①で「総論(2)国民等への周知」の2のところに、りんごプロジェクトについて記載しております。こちらは、関係者協議会の構成員でもある日本図書館協会の佐藤様に御協力をいただきながら、NPO法人ピープルデザイン研究所への委託事業において、りんごの棚の普及の取組などを通じて読書バリアフリーの啓発活動に取り組むものでございます。
成果・達成状況の欄にも記載しておりますが、令和6年度は全国各地の図書館や学校などでアクセシブルな図書の体験会を19回開催するなど、精力的に活動していただきました。今後も引き続き、この取組を文部科学省として応援をさせていただきたいと思っているところでございます。
続きまして、19ページを御覧ください。
④のところに【大学図書館等における取組】としまして、読書バリアフリー使用メタデータ共有システムについて記載しております。
成果・達成状況に記載しましたが、令和7年3月末時点での登録済みメタデータ数は921件となっておりまして、1年間で倍増したという状況がございます。大学での取組が広がってきているところですので、引き続きシステムの機能改善、利活用における周知、認知度向上などを進めまして、登録データ数の充実、障害のある方の円滑な利用を促進してまいりたいと考えております。
さらに、続きまして20ページを御覧ください。
先ほど厚生労働省からも御説明がありましたが、⑥に「特定書籍等の製作に係るデータ提供に関する実証調査」について記載しております。こちらについては、この後、本会議の議題3にて詳細を御説明させていただきますが、令和7年度、公立図書館など6館が参加して、データ提供に係る公立図書館に活用いただくマニュアル作成などを進めてまいる所存です。
続きまして、公立図書館、学校図書館における取組について担当課より御説明させていただきます。
【稲田専門官(文科省)】 それでは、同じく文部科学省の総合教育政策局地域学習推進課で図書館、学校図書館を担当しております稲田でございます。御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
公立図書館、学校図書館における取組につきまして、資料1に記載のうち主だったものを3点御報告させていただきます。
まず19ページの⑤番の記載でございますけれども、「視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等」と、「アクセシブルな書籍等の充実」、「円滑な利用のための支援の充実」に関する取組につきましては、【読書バリアフリーコンソーシアム】を令和3年度以降に組織しております。こちらは、公立図書館、学校図書館、大学図書館、点字図書館等が連携した体制を構築するものであり、各館の物的、人的資源の共有、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化等のモデル的な取組を行う公共団体、法人を支援するといった取組でございます。
これまで佐賀県、鳥取県立図書館、東京大学先端科学技術研究センター、筑波技術大学、高知県教育委員会へ委託し、実施してまいりました。これまでの委託先のうち、佐賀県と高知県では本事業を通じて県の読書バリアフリー計画を策定してございます。
同じく⑤の【調査】におきましては、令和4年度及び令和6年度に隔年で実施している「電子図書館・電子書籍と子供の読書活動推進に関する実態調査」を行い、自治体や学校で電子図書館がどのくらい導入されているのか、どのように活用されているのかを調査いたしました。
その中で事例等も併せて御紹介をしておりますが、例えば令和6年度調査結果において長野県における電子書籍サービス、「デジとしょ信州」を御紹介しております。「デジとしょ信州」とは、市町村と県による協働電子図書館であり、県内の地域住民が利用できますが、住民に加えて学校での利用を進めており、小・中・高校のほか、特別支援学校においても一括登録ができるよう改善したという事例も報告書に掲載してございます。今後も本調査報告書を周知し、公立図書館及び学校図書館での読書バリアフリーの普及に努めてまいります。
そして、⑦の「司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上」に関する取組につきましては、令和6年度、国において実施しております図書館職員を対象といたしました研修についての実態把握を実施いたしました。
調査の対象は、主に新任の館長が参加対象の新任図書館長研修、主に指導的立場にある司書が参加対象の図書館司書専門講座、また主に若年層の司書が参加対象の図書館地区別研修の3つでございまして、それぞれの研修において障害者サービスに関する内容を理解し、支援方法を習得するための研修が行われているかどうか、調査を実施いたしました。
新任図書館長研修及び図書館司書専門講座におきましては、基本計画の施行以降、毎年行われておりまして、新任図書館長研修においては、毎年200名前後の方が、図書館司書専門講座においては、40名から70名の方が研修を修了されている状況でございます。
最後に、図書館地区別研修につきましては、読書バリアフリー推進計画の施行以降、令和5年度を除き、ほとんどの地区で実施している状況でございます。今後は各研修・講座を委託、または実施するに当たり、委託要綱や運用指針等において、基本計画を踏まえた内容を取り入れることを明記し、確実な実施につなげたいと考えております。
以上でございます。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、総務省より御報告をお願いいたします。
【輿石課長補佐(総務省)】 総務省情報活用支援室で情報アクセシビリティを担当しております輿石と申します。
総務省からは、第16条の先端的技術等の研究開発の推進につきまして、資料1の47ページに沿って説明をいたします。
総務省では、誰もがICTによる恩恵を享受できる情報バリアフリー環境を実現するため、障害のある方が便利に活用いただけるICT技術等の研究開発や、サービス提供を行う者に対する補助事業を実施しております。
令和7年度より設定テーマ型事業というものを設けまして、一定規模以下の事業者に対しては初年度に限定して定額補助を行うよう事業内容の拡充をしております。令和7年度は研究開発に対して5社、サービス提供に対して5社の助成を行っております。設定テーマには、読書バリアフリーの実現に資するものを設けたものの、残念ながら令和7年度には該当する応募がございませんでした。読書バリアフリー関係分野の周知を強化しまして、読書バリアフリーに資する応募の働きかけを行っていきたいと考えております。
以上でございます。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
では、続きまして国立国会図書館よりお願いいたします。
【川西課長(国立国会図書館)】 国立国会図書館企画課長の川西と申します。
資料48ページから御説明をいたします。
まず「アクセシブルな書籍等の充実」について、これまで公共図書館、大学図書館等から視覚障害者等用データを収集してまいりました。当館も学術文献について視覚障害者等向け録音図書やテキストデータを製作し、またデジタル化資料からOCRによりテキストデータを作成しました。
視覚障害者等用データ送信サービスでの提供データ件数は、令和6年度末時点で約324万件となり、令和2年度から令和6年度までの5年間で約322万件増加しました。
また、令和3年度以降、OCRの開発を行い、CC BY ライセンスで一般公開しております。
令和6年度末には、「障害者サービス実施計画2025-2029」を策定いたしました。
令和7年度以降は、この計画に沿って視覚障害者等用データ収集をさらに推進します。
また、学術文献の録音図書テキストデータ製作については、生成AI等技術により効率化を図ることを検討いたします。
また、出版者の方から視覚障害者等による利用のために、国立国会図書館へ無償での提供申出があったテキストデータ等について、視覚障害者等用データ送信サービスを通じて利用提供を行うこととしております。
このほか、OCRによるデジタル化資料のテキスト化に加え、全文テキストデータの利用促進に向けた取組を行います。
続いて②でございます。同じく「アクセシブルな書籍等の充実」について、日本点字図書館様などと共同校正システムに係る取組を行ってまいりました。令和6年度までの5年間では2,205点のテキストDAISY等を作成いたしました。
令和7年度以降は、日本点字図書館様と協力して、図書館等における視覚障害者等用テキストデータの製作及び提供に係る取組を進めるとともに、共同校正システムを用いたテキストデータ製作の今後の在り方を検討いたします。併せて、当館で研究開発したOCRの活用可能性も検証いたします。
続いて、「インターネットを利用したサービスの提供体制の強化」についてです。視覚障害者等用データ送信サービスの参加館、登録利用者の拡大を図り、令和6年度末で参加館は389館、登録利用者数は952名となっております。
また、全国にあるアクセシブルな書籍等を統合的に検索できる新たなシステムとして、令和6年1月にみなサーチ正式版を公開しました。日本図書館協会様との共催で障害者サービス担当職員向け講座を毎年度実施し、当館が提供するインターネットサービスやサピエ図書館等の周知を図りました。
令和7年度以降は、より多くの視覚障害者等が円滑に利用者登録手続を行えるよう、活字による読書が困難であることを確認する手法の多様化等を検討すること、視覚障害者等用データ送信サービスについて読字に困難がある発達障害者や肢体不自由者など、視覚による表現の認識が困難な方々が広く対象であることをさらに周知すること、そのほかデータ送信サービスへの参加促進、みなサーチのより一層の周知等の取組を予定しています。
次のページにまいりまして、「アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」についてです。令和2年度以降、こちらの協議会の関係の方々に御参加をいただいて、「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」を開催し、令和5年度には「電子図書館のアクセシビリティガイドライン1.0」を、今年の5月には発達障害等による読み困難を抱える人たちからのニーズが高いアクセシビリティ要件等を追加した「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0」を公開したところです。
今後の取組としては、このガイドライン2.0の利用を促すため、各団体の皆様と協力して普及広報活動を行うこととしています。
⑤でございますが、「外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備」についてです。当館では令和2年度から令和6年度までの5年間で、外国で製作された点字データ、音声DAISY等、230タイトルを収集、提供しました。また、海外の機関に対しては国内で製作された視覚障害者等用データ19タイトルを提供しました。
今後の取組としては、外国で製作された視覚障害者等用データの検索を容易にする等の方策の検討、国内で製作された視覚障害者等用データの国際的な総合目録サービスへの登録拡大、サービスの認知度向上に向けた普及啓発を行います。
「司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上」については、先ほど述べました障害者担当職員向け講座などを実施しておりまして、今後も継続することとしています。
以上でございます。
【中野座長】 ありがとうございました。
それでは、最後に経済産業省より御報告をお願いいたします。
【早坂補佐(経産省)】 経済産業省文化創造産業課の早坂と申します。今年の6月より担当することになりました。よろしくお願いいたします。
経済産業省からは、お手元の資料の52ページになります。大変字が小さくて恐縮ですが、その内容を御報告いたします。
経済産業省としましては、大きく2つの取組を実施しております。
1つ目が「出版者からの製作者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備への支援」、2つ目につきましては「アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」といったところになっております。
1つ目の環境整備につきましては、令和5年の3月に業界の中で日本出版インフラセンターの下にアクセシブルブックサポートセンターが設置されております。こちらにつきましては、出版者側の窓口となるサポートセンターとして立っておりまして、様々な取組を進めていただいておりますが、経済産業省につきましては先ほど文科省様、厚労省様からも御報告がありましたが、3省連携での電子データ提供のための実証実験を進めてございまして、今、書籍製作の要望といったところの受付も進めております。今後、この実証実験から出た課題であるとか運用上の問題点等を整理しまして、間違いない運用といったところに進めていければいいかと思っております。
「アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」につきましては、昨年度、出版社、電子書籍製作事業者、ピューア開発者などの業界関係ステークホルダーに対するアクセシビリティーに関するガイドブックの骨子の策定を行っております。こちらはEPUBを対象としたものでございますが、国内及び国際的な最新標準動向の調査といったところも併せて実施しております。
今年度につきましては、昨年度策定しましたこのガイドブックの骨子から具体的な内容ですね。例えば、電子書籍製作者がどういったことをしなければならないか、あるいはどういったことを実施すべきかといったような点を細かくまとめまして分かりやすいガイドブックの策定を行っていきます。ガイドブックが策定されましたら、業界関係者の皆様に御協力いただきながらガイドブックの周知を図って、提供できる電子データの充実を図っていきたいと考えております。
私からは以上です。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
以上で、全ての省庁からの御報告をいただいたことになります。
それでは、この後、構成員の方から御意見等をいただきたいと思います。ちょっと時間が押している関係もございますので、それぞれできるだけポイントを絞って簡潔に御発言いただきまように御協力をお願いしたいと思います。
では、発言を希望される方は挙手、もしくはオンラインの方は挙手ボタンを押していただきたいと思います。
今、4名の方が挙手されていますので、まず会場から宇野委員、その後にオンラインから3名の方にお願いしたいと思います。
お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
省庁にまたがる質問が複数ありますが、まとめて質問すればよいですか、それとも分けた方がよいですか。
【中野座長】 分けてお願いできればと思います。それぞれについて簡潔に質問していただき、簡潔に回答していただきたいと思います。もし関連しているものがあれば、まとめでも構いません。
【宇野委員】 まず1点目は事務局に質問です。
都道府県、政令指定都市、中核市の計画の策定状況に関する報告がありました。確認ですが、政令指定都市でも中核市でもない市町村は、都道府県の計画が適用になる。
一方、政令指定都市や中核市は自治があるので、独自で作成していただくということででしょうか。要するに、市町村というのは都道府県がつくっていればそれを適用するということでよろしいのでしょうか。
【中野座長】 では、事務局、お願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 調査上では、都道府県、指定都市、中核市を相手に調査を対象としておりますけれども、おっしゃられるとおり、都道府県の計画が基本は一般市町村のほうに係るという形で考えていただいていいと思います。調査をしていないので分からないですけれども、一般市町村で個別につくられているというケースも否定はできないので、そこは御了承いただければと思います。
以上です。
【中野座長】 では、続きでお願いいたします。
【宇野委員】 続いて、厚労省関連です。
まずICTサポートセンターの話が以前から出ていますが、資料では設置されていない自治体もあると書かれています。ICTサポートセンターは法的に都道府県に置かなければならないとなっているのでしょうか。法的根拠があれば教えてください。
【中野座長】 厚労省、お願いいたします。
【前田室長】(厚労省) 厚生労働省です。
資料15ページで都道府県は47ございますけれども、全県となっていません。これは実は補助事業でございますので、法律上設置しなければならないという規定はないことによるものです。
しかしながら、障害者の方に幅広く利用していただくという点においては設置をしていただけるようにお願いをしているという状況でございます。
以上です。
【宇野委員】 その名称というのは「ICTサポートセンター」という単語で検索すれば都道府県のホームページ内で出てきますか。それとも、違う名前で運用されているのでしょうか。
【前田室長(厚労省)】 補助事業上こういう名称を使っておるのですが、実際に現場ではIT何とかとか、障害情報何とかセンターとか、名称は個々にかなり変わっていると思いますので一律なことは申し上げられないです。
ホームページ上に一覧を載せているので、名称がかなり異なっていますが、それを御覧いただければ大丈夫だと思います。
【宇野委員】 分かりました。
【中野座長】 今の点、ちょっと中野からも補足させていただきますが、先ほどお話をされたように地域生活支援事業の補助事業になっていますので、これはそれぞれの地域の中でそういったニーズがあれば補助事業なので、地域の中でそれが立ち上がるというような仕組みになっているかと思います。
【中野座長】 続けてお願いします。
【宇野委員】 分かりました。
次に厚労省関係ですが、質問ではなく、感想です。お話の中で高知県の取組のご紹介がありました。図書館と障害者福祉、医療、教育機関の連携は大変すばらしい取組だと思います。例えば障害福祉課が発行している障害者向けの広報などの中に、点字図書館はこういう取組をしているんだとか、公共図書館にもこういう図書があるんだということを伝えていくことはとても大事だなと思いました。
【宇野委員】 次に、文部科学省に質問です。言及はありませんでしたが、中学生や高校生のための参考書や問題集、大学生のための専門書などの学術文献は重要であるということが基本計画の中にも書かれています。
先日、2つの出版社に参考書のデータ提供を求めたところ、どちらもすんなり書籍データを提供していただけました。これはひょっとして何らかの通知等が文科省からあったのではと思いました。これから他の出版社にも依頼していくに当たり、例えば検定教科書を発行している出版社や教育関係の出版社に対し、読書バリアフリー法や基本計画の趣旨を通知していただけると、話もスムーズに通るように思います。ご検討いただけませんでしょうか。
【中野座長】 これは、御意見ということでよろしいですね。
【宇野委員】 一言、今のことについて思いを。
【中野座長】 一言が欲しいということですね。
では、お願いします。
【星川室長(文科省)】 障害者室の星川でございます。
御意見をいただきましてありがとうございます。積極的な働きかけを今後とも続けてまいりたいと思います。
以上です。
【中野座長】 中野から補足させていただきますが、教科書協会に関しては研修会を毎年やっておりまして、読書バリアフリーについても研修会の中で言及をさせていただいております。
次の御質問をお願いいたします。
【宇野委員】 次に、総務省関連です。これは確認ですが、AIを使った様々な技術が読書バリアフリーに寄与するということがたくさんあると思います。先ほどのお話では助成する団体がなかったということですが、これは応募がなかったということなのか、応募はあったんだけれども今回は通らなかったということなのか、どちらでしょうか。
【中野座長】 では、お願いします。
【輿石課長補佐(総務省)】 総務省でございますけれども、応募がなかったという状況でございます。
【宇野委員】 分かりました。ありがとうございます。
では、続いて国会図書館に意見です。
まず、みなサーチの中で324万点までテキストデータを増やしていただいたというご尽力について、本当に読める本がかなり増えてきているということを実感しています。これまでのとてもありがたい取組に感謝申し上げます。
これは要望になるんですが、現在みなサーチはブラウザー上でアクセスするようになっています。
一方視覚障害者のために、ある民間企業からマイブックという読書用のソフトウエアが販売されています。このアプリはとても使いやすく、いろいろな本の検索をするときに、効率的に短時間で検索できるようになっています。みなサーチも、ブラウザー上での操作に慣れてしまえばできる人も多いんですが、ブラウザー上では、操作が難しいと感じる人も実際にいます。
そこで、みなサーチもマイブックのように、パソコンのソフトウエアになれば、いろいろな立場の人にとって使いやすくなると思います。
視覚障害の世界では、マイブックというソフト名にピンとくる人は多いと思います。でもおそらく肢体不自由や発達障害の人からすると、“マイブック”とは何か分からないと感じる人も多いと思います。このような視点で、みなサーチのアプリケーションソフトウエアの開発もご検討いただけるとうれしいです。
それから、テキストDAISYについての言及がありました。これは全視情協や日点、総務省にも関係しますが、テキストDAISYの音質についてです。テキストDAISYの音質は以前よりはよくはなっているんですが、最近のAIの音声を聞くと、本当にきれいで、人間の肉声と変わらなくなってきています。テキストDAISYの音源に最新のAIの音声を使って録音し、聞けるようになれば、ぎこちなさがほとんどなくなると思います。その可能性について国会図書館や全視情協、日点にご意見を伺えればありがたいです。
【中野座長】 では、国会図書館、お願いいたします。
【川西課長(国立国会図書館)】 まずテキストDAISYのAIの活用ですが、今この場で技術的可能性をすぐにお答えできる状況ではないのですけれども、今いただいた御意見を踏まえましてこちらのほうでも検討してまいりたいと思います。
また、最初にいただきましたみなサーチのアプリ開発の件ですが、現在こちらで独自のアプリ開発というところまでの検討には至っていないのですけれども、マイブックなどのアプリケーションとの連携なども含めまして、いろいろ可能性は考えてまいりたいと思います。
【中野座長】 中野から補足ですが、マイブックはもう既にできているとお聞きしました。それで、情報について国会図書館から連携のための情報をメーカーに提供しているというお話をいただいていますが、最新バージョンになっていませんでしょうか、宇野先生。
【宇野委員】 DAISY図書や点訳図書についてはマイブックから国立国会図書館のデータベースにアクセスできるのですが、テキストデータについてはできないという状況です。
【中野座長】 分かりました。ありがとうございました。
それから、AIについては私も開発者なので、先ほどのテキストDAISYが見られるときに、これはアプリのほうが対応すればオーケーで、私のアプリも実は対応しています。
ところが、ある程度の利用が増えると、AIを利用する場合というのは当然ながらアプリ開発者がAI業者にお金を払わないといけないということが発生してくるので、その辺りのことも含めて多分開発というのは考えられないといけないのではないかと思っております。
では、引き続き宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 以上です。ありがとうございます。
【中野座長】 分かりました。ありがとうございました。
それでは、オンラインからも御意見をいただいておりますので、まず阿部委員よりお願いします。
【阿部委員】 ありがとうございます。阿部です。
まず最初は2ページのところなのですけれども、それぞれの自治体における読書バリアフリー計画について単独計画で策定しているところが14か所あるということで、まずは都道府県だけを見てまいりますと、そしてこれを手がかりに調べさせていただいたところ、単独計画をつくっているところは九州、中・四国、関西というふうにある意味、地域性に偏りがあると思いました。これに関してはどのような要因が考えられるのか教えていただきたいとともいます。
それから、関連するので一緒にお話をさせていただきますけれども、厚労省の説明の中で先ほど宇野委員も御指摘のように高知市での橋渡し的取組とか、様々な好事例についてお話しいただきましたが、それもやはり単独計画をつくっている地域であったように思います。そのようなことで、単独計画というのは大事なのかなと考えます。連絡会等を行っているわけでしょうから、そう思いながら今度は障害者政策の計画の一部として位置づけているところについても、これから単独計画策定ということが期待され得るものなのかどうなのか。それは地域への周知という点からちょっと思ったところです。
これについても後から教えていただければと思いますし、先ほどもお話ししましたけれども、地域の強化、その他を考えていくとき、特に17ページで説明していただきましたが、日常生活用具給付事業で端末の給付は重要なことです。これは市町村事業ですから周知が十分に行われているのかとても心配なことです。そのことによってそれぞれの地域で暮らしている利用したい方々に利用できる機会が得られないのは大きな問題だと思います。
これらについても、先ほどの個別計画、単独の計画というものの位置づけは大事かと思いながら、それぞれの地域の好事例についてはお話しいただきました。そして、好事例についてはやがて一般化していくことが大事だと思いますのでそのことと、日常生活用具等、細かく言うと切りがないかもしれませんけれども、それぞれの市町村でしっかり理解して取り組んでいただくようにするためにも、この単独の計画は重要と思いながらお話をさせていただきました。このことについて、関連することでコメントいただければありがたく思います。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
では、事務局及び厚生労働省からお願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 事務局です。
阿部委員がおっしゃられました、この単独の計画としての策定が九州、四国地方のほうに多いのではないか。地域の偏りが多いのかというところにつきまして、詳細な分析はしてはいないのですが、この事業に限らず、よくあるのは、周辺の自治体に様子をうかがいながら、ではうちもこういうふうにしましょうとか、そういう連携的な部分があるのかもしれないということを否定はできないのです。具体的にここの地域が多いと言った分析はしてはいないところでございます。
また、先ほどおっしゃられました高知県の事例等につきましては、先ほど室長の前田からも御説明をさせていただきましたが、好事例ということで全国会議等でも周知をさせていただいているところでございます。こういうものが一般化して全国に広がっていくということを期待しているところでございます。
以上でございます。
【前田室長(厚労省)】 厚生労働省の前田です。
今、事務局の吉元から御説明したことで大体お答えしたところですが、最後に阿部委員から御発言がありました日常生活用具給付等事業のところなのですが、これは補助事業であることから、実施主体の市町村が柔軟に考えて対応できる。そういう意味では、どういうものを品目としてするか、もしくは見直すか、追加するか、そういったことについてもある意味、一番の利用者の方と近い、自治体の市町村の方に考えていただくという事業でございます。
そういう意味では物品について、もしくは具体的な品目について示してしまいますと、逆に言うと我々のほうから市町村にバイアスをかけてしまうことになるので、そういうことはちょっとできないというのが事業の主旨です。
しかしながら、地域の実情に応じたものが選定されているのだろうか、もしくは基準額などが適切なのか、こういったことは重要だと思っていまして、定期的に市町村のほうに、本当にそのものでいいのですか、追加するものはないですかというようなことを確認させていただくことで、阿部委員がおっしゃられたような端末も必要な市町村においては追加をされていくと考えているところでございます。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
阿部委員、よろしいですね。
【阿部委員】 阿部です。
日常生活用具等については、それを利用する可能性のある方にも知っていただくようにというのも大事なことだと思いますので、その端末等の利便性の周知についてもどうぞお知らせいただくようにお願いいたします。
以上です。ありがとうございます。
【中野座長】 阿部委員、ありがとうございました。
では、三宅委員、お願いいたします。
【三宅委員】 日本視覚障害者団体連合の三宅です。
私からは2点ございます。
1点目は事務局に対してで、各地域における基本計画の策定状況の調査についてなのですが、今まで資料で示されているものに関しましては、いわゆる第1次の国の基本計画に基づいてそれぞれの地域において基本計画が定められてきたかと思います。まだ取組の最中、まだ検討中というところもあるようですけれども、ただ、今度令和8年の2月時点で公表されるものに関しては、もう既に第1次計画の初期段階から取組、あるいは策定をされてきたところが、何がしかの目標値の再設定とか内容の変更というものが考えられてくるかと思います。
そこで、調査の中にそういった国の2次計画が策定されたところで、その状況も問うような項目も入れていただきたいと考えております。具体的なところまで入れる必要はないかなという気はしますけれども、1次計画はもう5年経過をしようとしているところでもありますので、そういった内容を盛り込んでいただければという御提案でございます。
2点目です。こちらは厚生労働省に関してで、日常生活用具等給付事業に関してなのですが、私は前の関係者協議会の中でも発言はしているのですけれども、先ほど前田室長の御説明の中に、各地域において柔軟に給付基準額、品目などが得られるように、対応できるようにしているというお話がありました。
ただ、これは残念ながらと言わざるを得ないのですけれども、いまだにある日常生活用具等給付を受けると違う用具のものが受けられない状況にあるということが散見されます。
具体的に言うと、読書関連の用具でDAISYプレイヤーを給付されると、例えば点字に関する端末が給付されない。あるいは、拡大読書器が給付されないというようなことで、そのDAISYプレイヤーの耐用年数が切れるまではほかのものが給付できない、申請できないという状況がまだあるというふうにこちらに伝わってきております。
これに関しては、DAISYプレイヤーを給付したからといって、その人はいわゆる音声DAISY、テキストDAISYのみを聞くという読書スタイルでいくわけでもありませんので、やはり柔軟な図書の利用ができるようにという観点から、このような対象要件にしないようなことを厚生労働省からできるだけ自治体のほうに促していただきたいと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
【中野座長】 では、事務局、続いて厚生労働省からお願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 まず事務局からでございます。
今、三宅委員からいただきました意見を御参考にさせていただきまして、この調査の中で各自治体共通で取れるような項目がないか、事務局の中で調整をして検討していきたいと思います。
以上でございます。
【前田室長(厚労省)】 三宅委員、ありがとうございました。
おっしゃられるところについて、どういうような実態になっているのかを自治体、もしくは三宅委員にもお知恵を借りながら、よく確認をして対応してまいりたいと思います。
以上です。
【中野座長】 三宅委員、よろしいでしょうか。
【三宅委員】 では、一言だけ追加でよろしいでしょうか。
【中野座長】 はい。
【三宅委員】 具体的な事例ですと、よくあるのは、1つの機器に2つの品目にまたがるような機能が備わっている場合にもう認められないという場合があります。例えば、メインは点字ディスプレイの機器なんだけれども、そこにDAISYのデータを入れることで再生ができるという機器があるのですが、ただ、こちらには例えば録音ができないとか、CDを直接入れるところがないとか、そういうふうなものがあって、やはりメインで点字の端末で使いたい、あるいはメインでDAISYのプレイヤーを使いたい。だけど、もう一つの端末もないと点字データやDAISY図書が使えなくて非常に困っているという声を聞いておりますので、また今後具体的な事例等々もお話しさせていただければと思っております。
以上です。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして工藤委員、お願いいたします。
【工藤委員】 DPI日本会議の工藤です。
様々な取組を進めていただいてありがとうございます。
私のほうからは、電子図書サービスの運用する自治体についての意見です。
様々な自治体で電子図書サービスを広げていただいていると思うのですけれども、実際には視覚障害者のみに限定してサービスを行っているという自治体が複数あるかと思います。
例えば、私がよく利用する江戸川区は、電子図書サービスをやっているのですけれども、視覚障害者専用となっています。それで、肢体不自由でページをめくることが難しかったり、同じ体勢で読むことが難しいことから、そのために音声の読み上げサービスを利用したいといっても、視覚障害がなければ利用することができないといったような状況です。
ですので、今後各自治体、市町村に対して周知を徹底していただきたいということと、電子図書サービスを導入していても実際にはそのように利用者を視覚障害の方のみというふうに限定している場合は、環境整備した自治体の中にはカウントしないでいただきたいと思っています。
私からは以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
これは事務局、もしくは厚生労働省、いかがでしょうか。文科省もあり得ますか。
【吉元補佐(厚労省)】 いただいていました意見、電子図書サービスのことにつきましてはまた内部で検討させていただきまして御報告させていただきたいと思います。
以上です。
【中野座長】 工藤委員、是非会議後でも詳細な情報をお教えいただいて、今のような事態が生じているというのはこの法律上、望ましいことではもちろんございませんし、もし勘違いがあるとするならば是正していただくことが必要かと思いますので、後ほど詳細な情報を事務局のほうにお寄せいただければと思います。
工藤委員、いかがでしょうか。
【工藤委員】 承知しました。ありがとうございます。
【中野座長】 どうもありがとうございます。
議題1について、これまでいただいていた御意見は以上ですけれども。
それでは、藤堂委員、お願いします。
【藤堂委員】 2つございます。
1つは8ページの厚生労働省の視覚障害の情報サイト「シカクの窓」というものがあるのですけれども、視覚障害の情報窓口というところからサピエ、読書というものにつながるということがありまして、「等」はどこにいっちゃったかなと、このページは仕方ないのかもしれないというところはありますが、やはり「等」があっという間になくなるというのが今の工藤委員の発言からも分かるかと思います。
次の右側にある紹介動画、PRチラシのところですけれども、ここに書いてある文章ではディスレクシアのことは分からないということと、点字図書館という名前ではディスレクシアの人は使わないだろうということは当初からずっと申し上げていて、それを変えるのはすぐには難しいという返事はいただいていますが、ではいつなのかということを聞きたいと思っています。
もう一つは、文科省に対してです。りんごの棚というのを広げていただいているというのはとてもうれしいことだと感じております。
それからもう一つ、関連して2次の計画の中で図書館員の研修の中に利用者に関する理解促進の研修をしてくださいというふうに申し上げて入れていただいていると思いますけれども、実際にりんごの棚とか、図書館員の方たちとお話をすると、ディスレクシアに対しての理解がほとんどないという状態を見てきております。
それで、一番の問題はやはり視覚障害からきて見えにくいとか、どういう見え方をしているのかとか、そういう話になるのですが、そうではないんです。脳の中で起きていることで、読み書きが大変であるという状態があるので、その研修材料の中にまず一回ディスレクシアの、または本当に手を使うことが難しいとか、そういう方たちの正しい理解を入れていただきたいのです。研修材料をつくるときに、私たちの意見とか聞いてほしいというふうに感じております。そして、それを促進していただきたいと思います。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
では、最初の質問は厚生労働省からでしょうか。お願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 御意見ありがとうございます。
こちらの8ページの表記の方法等につきましては、全視情協さんとも相談をしながら適切な修正等を踏まえましてやっていきたいと思っております。
それから、先ほどの点字図書館ではなかなかディスレクシアの方は、そもそも点字図書館というと恐らく視覚障害の方のということになってしまうのでたどり着かないというところもあるという御意見は昨年もいただきました。
ただ、ここの部分は繰り返しになってしまうのですが、点字図書館というのは法律的な表記等々もございまして、なかなか修正は難しいというところもございますので、今のディスレクシアの方がこういう情報にたどり着くように、そこの部分について手法として工夫ができないかということを考えさせていただきたいと思います。
すみませんが、よろしくお願いします。
【中野座長】 続きまして、文部科学省よりお願いいたします。
【稲田専門官(文科省)】 申し訳ありません。ただいま研修で明記がされているかどうかというのは直ちには分からないのですけれども、研修を担当している係等に確認しながら検討してまいりたいと思います。
【藤堂委員】 それで、その内容を教えていただきたいと思うんです。それが本当にディスレクシアをきちんと伝えているか、または手でめくるのが大変とか、ほかの困難さを持っていらっしゃる方のことがきちんと伝わっているのかを見せていただきたいと思います。
【中野座長】 貴重な御意見、ありがとうございます。是非これは当事者参加で研修内容についても最初から構築していただきたいという御意見でございますので、御検討いただきたいと思います。
そのほかはよろしいでしょうか。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 日本図書館協会の佐藤です。
まず今の藤堂委員のお話で、私たち日本図書館協会のほうでも障害者サービスの研修会はいろいろさせていただいているので、ディスレクシアという読み書きに困難のある人たちがいるという話はなるべくいろいろな所でしているつもりなのですけれども、これからも心がけていきたいと思います。
それで、話題になっている自治体の計画、読書バリアフリー計画についてなのですが、ちょっと補足させていただきますと、私は鳥取県で読書バリアフリーのこういう小さい関係者協議会を持っておりまして、そこの構成員なのですが、多分、鳥取県は最初に自分たちで独自の読書バリアフリー計画をつくったところだと思います。
それで、その計画が恐らくその近隣、高知とかもそうなのですけれども、その周りに影響しているということで、いち早く計画をつくってこの協議会を持って、それが非常によかったのかなと。
ちなみに、鳥取では今年度、計画自体は第2期のバージョンアップを図っておりまして、その検討をまさに今やっております。ですから、第2期という形で計画がつくられる。それで、これは私の感想的なことなのですけれども、逆に自治体によって小さい自治体のほうがそういうふうにやろうと思えばやりやすいのかもしれないと思っています。非常に大きな自治体は厚労省と、例えば厚生関係と福祉部局ですね。要するに、都道府県で福祉部局と教育部局が連携しないとこの計画はつくったりできません。
ですから、逆に小さい自治体のほうがつくりやすいのかもしれません。大きな自治体は教育と福祉の連携というのはあまりやったことがなくて、その辺が結構ネックになっているのかなと、そんなふうに感じているところです。
取りあえずそれについてはそんな感じで、一応補足です。ありがとうございます。
【中野座長】 補足の御説明、ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。
ちょっとスタートが遅れてしまったこともあって時間が押しておりますので、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
議題の2番目は「構成員による視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る取組等について」ということで、取組の御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【澤村委員】 それでは、まず日本点字図書館から事例を御紹介させていただきます。
日本点字図書館では、ふだんの業務として著作権法37条等で著作権の制限下で資料を製作したり提供したりということを行っておりますほか、サピエ図書館の保守ですね。その裏方の役割を担っているほか、日常生活用具のあっせん販売等を行っております。
こういった日常業務自体が読書環境の整備に関する事業なのですけれども、今回は、そういうふだんの枠組みとはちょっと毛色が違う事例をお話しさせていただきます。大きく分けて3点挙げさせていただきました。
1つは「出版者との連携事例」と書きましたが、点字図書館から出版者への協力事例と言い換えてもいいかもしれません。具体名を出しますが、小学館さんが発行されている文芸誌『GOAT』、その姉妹誌『GOAT meets』というものがあるのですが、こちらの雑誌のテキストDAISY化に協力しております。
この2つの雑誌は文芸誌でございますが、読書バリアフリーの取組ということをかなり大きく取り上げて対応されていらっしゃいます。まず電子書籍版、リフロー型とフィックス型を用意されておりますし、オーディオブック化も進めていらっしゃいます。そして、購入者にはテキストデータの提供もされています。
今ここに2号を持ってきたのですけれども、6月に発行されたものです。この巻末辺りに「GOATのバリアフリーへの取り組みについて」というページがあって、今申し上げたようなことが書いてあります。テキストの請求はQRコードがありまして、ここからスマホを持っていらっしゃる方は読み取って請求ページに飛ぶことができますし、URLも書いてありますので、ベタ打ちで飛ぶこともできる。
それで、ここにテキストデータの提供に加えてテキストDAISYもということで、視覚障害者等の方はDAISYのプレイヤー等のほうになじみがある方も多いですので、そういった方にも対応できるように当館が提案して協力しております。
ちょっと余談なのですけれども、先月出た『GOAT』の姉妹誌ですね。『GOAT meets』の中に小説家の滝口悠生さんがテキストデータについて思考と提案ということでエッセイを寄せていらっしゃいます。著作者の側からテキストデータに対して提供の経験を書いていらっしゃいまして、そこで感じたいろいろな課題ですとか提案等が書かれています。そして、最後には出版者側や国等にちょっと刺激的な提案等も書かれていらっしゃいますので、もし御興味があればお読みください。
単行本とか新書とかでテキストデータの提供を購入者にされている出版者等はいらっしゃいますけれども、文芸誌という媒体でそこまでバリアフリーに取り組んで読み方の選択肢を複数用意されているのは珍しいかと思いまして御紹介させていただきました。
2つ目は、「オーディオブックサービス事業者の協力事例」です。これは、サービス事業者さんから我々点字図書館に協力いただいたという方向性の事例です。日本点字図書館では2022年度からAudibleさんから権利の許諾が得られた音源を提供いただいています。
当館では夏と冬に2回、「セレクトパック」というサービスを企画しています。これは、いわば音声DAISY図書の詰め合わせサービスみたいなものでして、利用者さんの読書推進のためのお楽しみ企画として行っているのですけれども、そのパックの一つとして「Amazon オーディブルセレクト」という名前をつけて、いただいたAudibleの音源を毎回20タイトル前後DAISYフォーマットに変え編集をして提供しております。当館の利用登録者に、SDカード等のメディアでのみですが、提供しております。サピエ図書館にはアップしておりません。
最後に、3つ目の事例は「オーディオブックの紹介イベントの開催」です。点字図書館では主にDAISY図書をつくって、それを日常的に利用者さんに提供しているのですけれども、読書の方法としてオーディオブックというものもあるんですよ、ということもなるべく紹介していきたい。そして、選ぶのは利用者さんですので、それぞれのいいところ等を紹介して、読書方法の情報提供としてこういったイベントを開催いたしました。
これは日本点字図書館の中ではなくて、日本点字図書館が指定管理者として運営している川崎市視覚障害者情報文化センターで行いました。今年の5月31日です。小学館さんとのコラボレーションの企画として「オーディオブック・サロン」という名前で1日かけて行いました。約150名の参加がありまして、中には視覚障害当事者だけではなくて図書館関係者や出版関係者、支援者等も含まれますが、そのような参加がありました。
中身といたしましては、オーディオブックのつくり手さんからのトークですね。小学館の木村匡志さん(マーケティング局アクセシブル・ブックス事業室)に登壇いただいてお話しいただいたり、利用者さんに対してオーディオブックとDAISY図書の違いはどこにあるのかということを知っていただくために、同じタイトルの一部の箇所をオーディオブック版とDAISY版で聞き比べてもらうというようなコーナーを設けたりして、情報提供の一つとしてこういったイベントを開催いたしました。
当館からは以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
では、続きまして全視情協の川崎さんからお願いいたします。
【川崎委員】 全国視覚障害者情報提供施設協会の川崎でございます。
今、御発言されました日本点字図書館さんがサピエのシステム管理を担っていただいておりまして、私どもがサピエの運営を担わせていただいております。サピエ図書館自体は2010年に始まっておりますので、今年15年となります。ただ、その前にも1988年に開始されました点訳広場というところが大本になっておりますので、その頃まで遡りますと22年プラスの歴史がございます。
当時は、製作に関わる部分もまだ重複製作があったり、いろいろな形でちゃんとした製作基準ができていなかったりということもあって、なかなか難しい面はあったのですけれども、おかげさまでサピエ図書館が始まりましてからそういった重複製作もなくなり、出版者の方々にも安心していただけるように、著作権法を明示しながら製作基準もかなり厳しいもので現在運営をさせていただいているところでございます。
私どものところには今4つの専門委員会がございまして、サービス、それから点訳、録音ですが、この録音は主に音声DAISYに関わる部分ですね。それから、電子書籍という専門委員会がございまして、こちらはテキストDAISY、マルチメディアDAISY、それからシネマDAISYに関わる部分をやらせていただいています。それぞれに点訳のほうは点字データに関するものですけれども、専門の点字指導員とか音声訳の指導員等の養成講習、それから試験等も行いながら、データについては審査のちゃんとしたプロジェクトがございまして、サピエにデータ提供していただくところをかなり厳しくやらせていただいています。理事長がいる施設は少し甘くしろなどということもできませんので、そういう意味では私どももテキストDAISYをつくるときにはかなり厳しい審査を受けてやらせていただいているところです。
そういった中で15年を迎えましたサピエですけれども、今年の第2期計画が始まるに当たって、先ほど藤堂委員からも厳しい御意見をいただきましたが、視覚障害者等の「等」を入れさせていただきました。これまでは視覚障害情報総合ネットワークサピエという形で運営してきましたけれども、「等」を入れることによってさらに今、読書困難であられる方たちを取り込んでいきたいという思いでございます。読書を諦めないということを念頭に置いて、私たちはサピエの運営をさせていただいております。
令和元年度より、厚労省様から運営にかかる補助金をいただくようになりますが、これがだんだん増額をしていただきまして、これまでサピエ図書館開館当時からずっと利用者の方に協力金をお願いしてきて、二千数百万円の協力金をお願いするようなことが続いていたのですけれども、今は補助金をいただけるようになりまして協力金をいただかなくて済むようになりました。これは非常に大きく前進したことで、ありがたく思っております。
また、サピエを運営するに当たって、今までもっと使いたかった職員の増員とか、広報にかかる部分の支出等にも使えるようになりましたし、おかげさまでこの8月にAIスピーカーですね。これはアマゾンスキルによるものですが、こちらの開発にもこぎ着けまして、加盟施設、それからサピエに加盟している団体等への説明から始まるのですが、これから利用者の受入れも始めていこうかと思っております。先ほどリーダーの読み上げに関することとかもありましたけれども、これからまたさらにそういったことも含めてしていきたいと思っております。
サピエの施設、団体会員の推移に関しては表でお示ししたとおり、公共図書館が非常に多く参加していただいています。点字図書館はもちろんですが、障害者サービスをやっているであろう公共図書館、これは日図協の佐藤聖一様にも御尽力いただいて、今は300館をちょっと超えるくらいの数の図書館がやっていただいているということで、かなりそこに迫る数字の公共図書館が関与していただいている。大学図書館ももちろんそうですけれども、ただ、盲学校、視覚特別支援学校に関しては本当に緩やかな増加でございまして、67校のうちのやっと半分を超えたところでございます。
公共図書館には毎年チラシ等の配布をしているのですが、昨年度、全国の特別支援学校1,200校に対して初めてサピエの案内チラシをまくことができました。これは、各都道府県に設置されております点字図書館の情報提供施設を通じてもやっていただいてはいるのですが、なかなか全てにということにはいきませんでしたので、初めてそういったこともできる。それも、一つの補助金をいただいた成果かなと思います。
サピエをこれから多くの方に知っていただいて、今日は御欠席ですけれども、近藤委員の学校図書館、読書バリアフリーコンソーシアムでサピエの総会をさせていただいたりしますと、初めて知ったという方たちがまだまだ多くおられるので、そういった情宣活動が必要かと思っております。
サピエの個人会員の推移に関しましても、おかげさまで伸びてはきています。
ただ、まだまだ伸びる余地がございます。2万人を超えて喜んでいる段階ではございませんので、この中で視覚障害以外を主な原因とする方たちが900名ということで、まだまだ点字図書館という言葉を使うとなかなかということも言われております。私たち加盟施設の問題はやはり様々な事情を抱えておる中で、一気にどうこうということはなかなか難しいのですが、視覚障害でさえまだ十分ではないのにどうしていくんだというようないろいろな突き上げをいただいている。私たちもそういう中で一つの指定管理を受けている施設からは、条例によって手帳を持っている視覚障害者だけしか利用できないんだと言う声もいただいています。そういうことがないように、サピエ図書館はどなたでも使えるように、読書困難であればどなたでも使えるんだということを私どもはこの加盟施設に対しても、または自治体に対しても言っていかないといけないということを常々感じながら事業を行っているところでございます。
サピエ図書館の図書数については、これも御覧いただくとおり、書誌数については84万タイトルございます。このうち、点字図書27万タイトルと録音図書13万タイトルはサピエ図書館のホームページからダウンロードができます。ダウンロードできない図書は、製本された点字図書や録音図書CDという形にはなりますけれども、リクエストして借りることができるようになっております。
また、マラケシュ条約に基づきますAE業務、これは国立国会図書館と全視情協がやることになっておりますけれども、全視情協としましては加盟団体でもございます河村委員がおられる支援技術開発機構にお願いをしまして、サピエに登録している書誌をABSCのほうへ上げていただきまして、現在提供された書誌情報がもう11万タイトルを超えております。それがABSCに反映をされておりまして、世界各国で御覧になれる形になっております。英語、フランス語に次いで日本語のものが第3位の数を今、誇っておるというのは非常にありがたいことで、そこに登録するということは、もう既にいろいろな方々が御覧になっているということで、カナダのほうからの問合せがあったりとか、今もう始まっておるところでございます。
サピエ図書館で利用できる本というのは、音声DAISY図書であったり、テキストDAISY図書、マルチメディアDAISY図書であったり、点字図書であったりします。これはちょっと長くなりますのでここで申し上げることはできないのですけれども、DAISYは皆さん御存じのとおりアクセシブルな情報システムで、読みたい場所に効率的に移動できるということで、河村委員は今DAISYコンソーシアムの委員長ですけれども、河村委員がおられなかったら多分日本のDAISYはここまで早く普及することはなかったかなと私たちも思っております。
全国の図書館や団体では、2万人近いボランティアの方が無償で図書の点訳、音訳、録音、データ編集を行い、1週間で約数百冊の図書がつくられています。年間にしますと、点字と録音で今1万5000タイトルほどが製作されてできております。
ただ、これは全て無償でございますので、今始まりました実証調査等も含めて、今後17条の問題にもこれは絡んでまいりますけれども、これから私たちのアクセシブルな電子書籍の製作に関わる部分がこの無償のボランティアに頼るものでいいのかどうかというのもこれから考えていかなければなりません。
次に、製作基準による品質保持です。先ほども申し上げましたとおり、標準化された質の高いデータの製作ということで、今やっております専門委員会の中のプロジェクトで厳しくこれは追求しております。今はデータ授受のお話になりましたときに、出版者の方々からやはり懸念が出ております。著作権に関すること、法律に関することもさることながら、データ自体がちゃんとしたものなのかどうかということも出ておりますので、この辺は私たちも胸を張って、間違いなくちゃんとしたデータがサピエに上げられているんだと言えるように、これは精進していくしかないと思っております。研修会を開催したり、様々なところで質の高いデータを作成してアップができるように、今サピエ事務局のほうでも日々監視をしながら、また委員会のほうでも審査プロジェクトで抽出をしながらやっているところでございます。
それから、著作権に関する明示ですね。これも音声データの中では音声でしかできませんけれども、こちらもちゃんとしていけるようにしております。これも、出版者の皆さんにも御安心していただけるようにということでやっております。
最後にサピエ図書館の図ですけれども、こちらはダウンロードができる利用者はどうするか、点字図書館、公共図書館、学校図書館はどうなっていくのか、やりとりを示した図ですが、これは公共図書館と学校図書館等の方々にもこうやって図でお示しをして御紹介させていただいているところです。自分たちのところで図書がなくても、こうやってサピエ図書館を使っていただくと情報提供できるんだよということを載せております。
最後に、全視情協のホームページでサピエの動画を公開しておりますので、是非御覧ください。23分に及ぶので、PR動画としては非常に長いということで随分お叱りをいただいているのですけれども、詰め込みたいことがいっぱいありまして、いろいろな方々、当時者の方も様々な方が出演していただいてやっております。
これまでこの協議会の中でもいただきました課題につきましては、私どもも真摯に受け止めてこれからも精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【中野座長】 御報告ありがとうございました。
ただいまの御報告に関しまして、何か御意見等ございますでしょうか。
では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
感想を2つと質問を3つお願いします。
まず感想の1つ目です。川崎委員の発言の中で、自治体がまだ点字図書館のサービス提供の対象を視覚障害者に限定している条例が残っているというお話がありました。この問題については、何年か前にも同じお話があり、それはおかしいという議論をこの会議でしたかと思います。国が読書バリアフリー法を制定し、障害者差別解消法でも障害者への不当な取扱いを禁止し、合理的配慮の提供義務を規定している中で、いまだに自治体がそのような条例を残しているのは、国の動きを認識していないように思います。
国にそのような自治体を把握していただき、ピンポイントで指導していただいてもよいような内容だと思います。条例レベルでこのような不合理を残しているのは早く解消すべきだと思います。
感想の2つ目です。澤村委員のお話の中でオーディオブックについての言及がありました。私たち視覚障害者はこれまで音訳ボランティアの方の淡々とした読み方に慣れてきたわけですが、オーディオブックは抑揚も豊かで、私はこれもすばらしい読み方だなと思っています。障害者の中でもサブスクの契約が金銭的に厳しい人もいるかもしれませんが、中にはオーディオブックのようなものが市場に出ているのなら、是非オーディオブックをサブスクで聞きたいという人もいると思います。そういう意味では、お話のあったようにオーディオブックの存在を知らしめていただくことにより、オーディオブックの市場も大きくなっていくということも考えられますので、さらに広げていただきたいと感じました。
質問の1つ目です。先ほども少しお話しさせていただきましたが、テキストDAISY作成におけるAIの音声の利用についてです。音訳ボランティアに限らず、点訳ボランティアも拡大写本ボランティアも今日、少人数化や高齢化の問題を抱えています。
ひょっとすると20年、30年後にはボランティアにお願いするということが難しい時代になるかもしれません。そうなると、ボランティアに頼れなくても障害者への読書が保障される仕組みを考えなくてはなりません。
そういう意味で、セリフのない書籍だけでも、きれいな読み方で、機械的に供給できるようにしていくことは大事な研究だと思います。その展望について、現場の立場からどうお感じになりますでしょうか。
2点目の質問です。これも第1期の5年間では、ずるずると後回しにされてしまったので、第2期の中でこそ解決すべき問題だと思っていることです。先ほど川崎委員のお話の中で、ようやく全国の盲学校でサピエに加入しているのが半分を超えたということでした。それでも半分強なわけです。これは現場というよりは、厚労省、文科省のレベルで解決してもらわなければいけない問題かもしれません。やはり、年会費の4万円がネックになっておるということです。国が視覚障害の専門機関としての盲学校を設置しているわけです。また、読書バリアフリーの対象となった肢体不自由の特別支援学校も専門機関として教育機関を設置しているわけです。読書の資源はきちんと届け、子供たちの読書の環境を整えることは、国としても必要な環境整備だと思います。
例えば厚労省、または全視情協が学校の年会費を無料にするとか、文部科学省が盲学校や肢体不自由の特別支援学校のサピエの年会費を予算化するということを、基本計画の第2期の中で進めるべきだと思います。
ディスレクシアの子供たちは地域の通常の学級にたくさん就学していますので、どのようにして環境を整えるべきなのか、私にはすぐには分かりません。しかし、少なくとも視覚障害と肢体不自由については専門の教育機関を設置しているという意味で、どのような方針をお持ちでしょうか。
3つ目は日点に質問です。シネマDAISY(※)はとても人気があり多くの視覚障害者が楽しんでいます。同じように日点が所蔵しているテレビDAISYもネットワークに乗せたほうが多くの人が楽しめるのではないかと思います。SDカードの貸出しではなく、シネマDAISY(※)と同じように私たちが気軽に楽しめるようにしてもらえないかなと思うのですが、難しいでしょうか。
以上です。
【中野座長】 では、3つ質問がありましたので、それぞれ関係のところから御回答をいただきたいと思います。時間がかなりオーバーしておりますので、簡潔な御説明をよろしくお願いします。
【川崎委員】 1点目と2点目についてですけれども、川崎のほうから、AIの活用につきましてはこれから本当に研究材料となってくると思っております。まだ具体的にどうするかということに関しては何を使うかとか、リーダーの問題とか、もろもろございますので、まずはテキストDAISYがちゃんと読めるように、これは製作側の問題が非常に大きくなりますのでちゃんと誤読なくスムーズに読めるように、現在のリーダーでもちゃんと読めるようにまずしていくのが先決だと思っております。その上で聞きやすさを追求するというのは、私もそれはそう思います。
今、実はテキストDAISYができると、音声DAISYはいつできるのかというようなお問合せがあります。それだけまだテキストDAISYが途上なんだということも思っておりますので、そこは今後も課題とさせてください。
2点目については、実は私ども文部科学省へ毎年大会が終わるたびに出向きましてお願いをしているところです。文部科学省のほうからも回答としましては、各都道府県へちゃんと通達を出していて、これは負担金の形で各教育委員会のほうへお願いしているんだけれども、それ以降は教育委員会がどうするかという問題があるそうです。
ただ、これは民間の点字図書館も私どものところもそうですけれども、点字図書館はウェブ図書館を使っている関係でサピエに対して年間6万円の支出をしています。これは全視情協の加盟施設でさえ6万円負担しているわけです。公共図書館にも4万円をお願いしている。それで、学校図書館のほうだけ、これを例えば全視情協から出すのかとか、厚労省から出すのかというのは、またこれも違う話かと思いますので、全視情協としては文部科学省のほうへ是非お願いをしたいということで毎年お願いに上がっているところでございます。
以上です。
【中野座長】 では、澤村委員、お願いします。
【澤村委員】 1つ目と3つ目の御質問に対してお答えいたします。
まずAIの活用ですけれども、言い換えれば音声合成による音声図書の製作ということかと思いますが、当館としては実は10年以上前から取り組んでおりまして、NPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネットさんとソフトウエアをつくったことがあります。これは、特定の音声エンジンとの連携によって音声合成でもって音声コンテンツがつくれる。音声DAISY、あるいはマルチメディアDAISYがつくれるというもので、実はサピエに上がっていないようなコンテンツに関しては結構業務の中で使っております。あとは、マルチメディアDAISYで教科書をつくる場合にもそれが使われています。
さらに進化させて、もっと人間に近い音声でリアルタイムに進化していく仕組み、これは我々も非常に興味がありますし、ボランティアさんの高齢化ですとか減少という傾向が明らかに見えていますので、取り組んでいかないといけない課題だと思っております。製作ソフトウエア、システムをどうするかという問題で、当館単体ではなかなか解決できないところですので、是非国ですとか企業さんなどから、あるいは業界から御支援いただきたいところでございます。
3つ目ですね。テレビDAISYはサピエに上げられないのかということなのですけれども、これはNHKから特別な許可をいただいて製作しているものです。つまり著作権の制限下で製作しているというよりは許諾を得て製作している、提供しているものですので、これは本当に放送事業者さんの考え次第になってくるかと思います。テレビのコンテンツですと、かなり権利関係は複雑で難しいので、なかなか一筋縄ではいかないかなと想像しております。
以上です。
【中野座長】 では、最後は文科省からお願いします。
【星川室長(文科省)】 障害者学習支援推進室の星川でございます。
先ほど宇野委員から御指摘いただきましたサピエの活用の件ですけれども、図書館室から冒頭御説明をさせていただきましたとおり、読書バリアフリーコンソーシアムで、サピエの御紹介などをさせていただいておりまして、実際にその活用をするかどうかは確かに学校の判断というところはございますが、そのような機会を通じて普及啓発を進めているということが1点です。
また、それ以外にも、例えば国立国会図書館において様々なデータを掲載いただいているというところもございます。そういったデータを活用しながら、学校の読書環境の整備を進めていけたらいいのではないかと思っているところです。
以上です。
【中野座長】 では、手短にお願いいたします。
【宇野委員】 今の文部科学省のご発言についてですが、国会図書館にはサピエのデータは流れていません。サピエのデータは、あくまでもサピエからもらうしかないという状況です。国会図書館のデータは、サピエに流れていますので、サピエ側からはダウンロードできるということだと思います。
私が質問した意図は、サピエ内の資源が、教育委員会の考えや予算などの理由はさておき、子供たちに届けられていないということです。文部科学省は教育をつかさどる限り、結果責任として、今の状態があまりよくないということはご理解いただけるかと思います。ここは関係者協議会ですし、もう協議をしていく段階だと思います。もう少し前向きにご検討いただければありがたいです。
以上です。
【中野座長】 御意見ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。もう一つ議題が残っておりますので、申し訳ございませんけれども、もう既に御予定のある方に関しましては御退席いただかざるを得ないかと思っておりますが、もうしばらくお願いいたします。
議題の3番目です。「特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて」の御報告をお願いいたします。
文科省、よろしくお願いします。
【星川室長(文科省)】 文部科学省から、ワーキンググループの検討状況について御説明をさせていただきます。
資料は4となります。時間の関係で、手短に説明させていただきます。
まず<目的>として書かれておりますが、そもそもこの実証調査は、特定書籍の効率的な製作を促進するため、国において環境整備等を講ずるということが読書バリアフリー法11条2項にございますので、その目的を達成するために実施しています。
実証調査のスキームは、資料の下のほうにございますが、ごく簡単に申し上げますと、出版者と読書困難者の間にABSCさんに入っていただきまして、特定書籍の製作者と出版者の円滑な電子データのやりとりをどういうふうにしたら進められるのかということを検討していくというものでございます。
先日実証調査は開始したところではございますが、調査開始までには、本当に様々な調整が必要となりました。これは、資料上はひとつの調査に見えるのですけれども、実際には厚生労働省、経産省、文部科学省と、三省それぞれが予算を確保して、それぞれ民間事業者ですとか関係団体などとの契約などによって調査をひとつ立ち上げています。つまりひとつの調査に見えて、三つ別々の調査を連携させながら進めなければいけないというものでございました。そうしますと、それぞれのお立場で、要望や懸念など調整すべき事項が多々ございました。
具体的な進め方においても、例えば「データ提供を依頼する」といっても、どういう様式で、何曜日に依頼して、何日以内に回答をもらうのか、ということや、データ漏えいを防止するためにどういう内容を覚書に記載すべきなのかとか、そういった細々したところを一つ一つ調整しながら、実証調査なのでそれ自体を明らかにすることが調査の目的ではあるのですけれども、一方で実際にデータを出していただくものとなっておりますし、特定書籍の製作を希望する読書困難の方の要望にもこたえる必要があるということで、一気に何かを進めるというよりも一つ一つ課題を解決しながら進めているという状況でございます。
今後のスケジュールにつきましては、資料の2枚目にございます。昨年度は基本計画の策定などもありまして、ワーキングは1回しか開催できなかったのですけれども、今年度はもう少し丁寧に進めたいと思っております。既に1回開催しておりますので、今年度中にできればあと3回、進捗状況ですとか、状況に応じてさらにワーキングを開いたり、もしくはそれぞれ関係者同士で協議をしたりするとか、そういった会も開催しながら、調査を進めてまいりたいと思います。
また、進捗状況につきましてはこの関係者協議会の場で御説明、御報告をさせていただきたいと思っております。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
この件に関しましてこれから議論をしていただきたいと思いますけれども、先ほど国立国会図書館からも御報告がありましたように、この調査研究で仕上がったデータに関しては国会図書館のほうに収めていくというようなスキームがもう既に出来上がっていて、調査研究ではあるけれども、そこで出来上がったものはそうやってコンテンツとして増えていくというような形で、極めて実証的な調査研究になっているということでございます。
それでは、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
モデル事業の中で、現場からこの図書のテキストデータをお願いしたいというような希望は、出せるものなのでしょうか。
【中野座長】 文科省、御回答をお願いします。
【星川室長(文科省)】 今回、実証調査に参加する図書館はあまり大きな規模でできないということもありまして、厚生労働省側で5館、文部科学省側で6館と、限られた図書館になっております。それらの図書館に要望を出していただければ、この調査のスキームに乗せることができるという状況になっております。
それで、そこがどこなのかということについては、既にABSCさんがホームページを立ち上げていただいており、そこを御覧いただければどの図書館が参加しているのかが分かるということになっております。
以上です。
【宇野委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中野座長】 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今の実証調査に関しましては、先ほど御説明がありましたように、今後も適宜ワーキングの内容についてこの委員会で報告をしていただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今回、最初のトラブルがありましてこのようにすごく時間が押してしまいまして申し訳ございません。本日予定していた議事3件に関しましてはこれで全て終了となりました。今後、この議論をどう進めていくかということにつきまして、今後のスケジュールということで事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【吉元補佐(厚労省)】 事務局の厚生労働省の吉元と申します。
本日は、長時間にわたりまして活発な御議論をいただきましてありがとうございました。また、冒頭、通信障害等がございまして大きく遅れましたことを改めておわび申し上げます。また、資料等の不備につきましてもおわびを申し上げさせていただきたいと思います。
本日いただいた意見等につきましては、事務局及び関係省庁で中身を改めて確認させていただきまして、しっかり進めていきたいと思いますとともに、いただいた意見の内容につきまして関係者協議会の場を通じまして、進め方とか方針について回答させていただきたいと考えている所存でございます。
今年度の関係者協議会につきましては、年度内にあと2回程度開催させていただく予定です。内容といたしましては、ワーキングの進捗等もございますけれども、本日いただきました意見等につきまして回答できるものは回答させていただきたいと思いますし、今回は日点さんと全視情協さんに御報告いただきましたが、より建設的な議論ができるような場にしたいということもありまして、関係団体さんなどの取組につきまして、この協議会の場では見えない部分でこういうことをやっていますよという取組等につきましての発表の場も設けさせていただければと思います。関係団体さんにはまた事前に調整等の御連絡をさせていただきますので、是非とも御協力をよろしくお願いいたします。
私のほうからは以上となります。
【中野座長】 どうも説明ありがとうございました。
ただいまの御説明に関して、何か御質問等ございますか。
宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
今年度、あと2回関係者協議会を開催していただけるということを聞いて、とても安心しました。年1回限りでは、省庁側の報告があり、それに対し私たちが意見を述べ、それがどうなるかを待つという運営に終始していたかと思います。
今日も会議時間は2時間ありました。「簡潔に」とお尻をたたかれ発言していましたが、やはり1年に2時間だけではとてもとても足りません。今までも年に数回開催してほしいと要望していましたが、第2期にはいってそのような取組を始めていただけるというのは大変ありがたいことだと思います。是非よろしくお願いします。
【中野座長】 どうもありがとうございます。皆様からいただいた御意見については、このように反映させながら進めていきたいということでございますのでお願いします。
では、河村委員、お願いします。
【河村委員】 今日、報告に出るのかなと思って期待していたのですが、経済産業省のほうで大変重要な調査が令和6年度の報告書として発表されました。それについて、今日は多分時間の関係でほとんど御報告がなかった項目なのですが、ずっと私のほうから申し上げておりましたいわゆるDRMに関して、アクセシブルなDRMとして注目されている国際標準規格になっておりますLCPについての大変詳しい報告が、経済産業省の令和6年度の報告書のEPUBの動向という中の2の6というところにリーディアムLCPという形で、こそっとあるのです。
これは大変重要なもので、特に出版者の方々に是非御覧いただきたいし、今後の議論の中で共有させていただきたいと思うのですが、これが国際標準規格、ISOになっておりまして、日本DAISYコンソーシアムを協力させていただいて、これのJIS化が決まっております。JIS化の作業が始まっておりますので、次回には進捗など御報告できるかと思うのですけれども、これまでせっかく中身をアクセシブルにしても、DRMで結局はアクセシビリティーが阻害されるという事態だったと思うのですね。その意味で12条関係がなかなかはかどらないということだったと思うのですが、今後は是非皆様、経産省の報告書をお読みいただいて、このアクセシブルなDRMがこれから使えるようになるということをベースに次回検討、議論をさせていただきたいと思います。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。大変重要な情報提供と、それから次回に向けての御提案をいただきましたので、この件に関しましては省庁のほうで是非次回への対応を御検討いただきたいと思います。
そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、最後に進行役からお願いですが、次回は是非事前にネットワークの確認をしていただいた上で、延長がないように進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
短時間でしたけれども、進行に御協力をいただきましてどうもありがとうございました。
それでは、本日はこれで終わりとさせていただきます。御協力ありがとうございました。
※テレビ番組・ドラマの解説放送音声を収録したコンテンツ。形式としては音声DAISY。
―― 了 ――
ただいまから、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会」第13回を開催させていただきます。
最初に事務局より、委員の出席状況等について御説明をお願いいたします。
【吉元補佐(厚労省)】 大変御迷惑をおかけしております。本日、事務局を務めさせていただきます厚生労働省障害保健福祉部自立支援振興室室長補佐の吉元と申します。
このたびは、たび重なるネットワーク接続の不良等、不手際がございまして大変御迷惑をおかけしております。どうぞよろしくお願いいたします。
本会議の構成員につきましては、参考資料1の設置要綱に記載されているとおりでございますが、今回の会議より御参加いただく委員がお一人いらっしゃいますので、申し訳ございませんが、改めて御紹介をさせていただきますので、オンラインの先生方向けにということで一言御挨拶をいただければと思います。
一般社団法人電子出版制作・流通協議会副事務局長の二見委員でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
【二見委員】ただいま御紹介いただきました電子出版制作・流通協議会の事務局を代表して参加させていただいております二見と申します。今回から参加させていただきます。
不勉強な点が多く、皆様に資するような発言ができるかどうか非常に疑問なのですが、これから勉強を重ねて、そういう意味ではここに参加する意義をしっかりと認識しながら引き続き努力したいと思います。よろしくお願いいたします。
【吉元補佐(厚労省)】 ありがとうございました。
続きまして、構成員の出欠状況につきまして御報告いたします。
本日は御欠席の委員が6名いらっしゃいますが、うち1名の方につきましては代理の方に出席をいただいているところでございます。
まず御欠席の委員の方について御報告させていただきます。
日本眼科医会常任理事の井上委員、愛知県福祉局福祉部障害福祉課長の今宮委員、東京大学先端科学技術研究センター教授の近藤委員、全国学校図書館協議会理事長の野口委員、堺市健康福祉局障害福祉部障害施策推進課長の吉田委員、以上の5名の方となります。
また、一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長の市川委員の代理といたしまして、副理事長兼事務局長の日詰様が代理で御出席をいただいているところでございます。
以上、会場参加13名、オンライン参加5名となっております。
続きまして、事務局を代表しまして、文部科学省及び厚生労働省から一言御挨拶を申し上げます。大変お待たせして申し訳ございません。
初めに、文部科学省大臣官房審議官の橋爪様より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
【橋爪審議官(文科省)】 おはようございます。文部科学省大臣官房審議官の橋爪でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は御多忙の中、また大変暑い中、多くの構成員の皆様に御出席いただきまして本当にありがとうございます。
本年3月に、第2期読書バリアフリー基本計画が策定されました。構成員の皆様におかれましては、本基本計画の策定に当たりまして多大なる御協力をいただきましたこと、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
第1期計画期間内におきまして、文部科学省では普及啓発、それから公立図書館等における取組の充実など、読書バリアフリーの推進に取り組んでまいりました。一定の成果は見られますものの、いずれもまだ道半ばでございます。第2期基本計画を踏まえ、引き続きしっかりと進めてまいる所存でございます。
構成員の皆様におかれましては、ぜひとも本日の会議でも率直かつ建設的な御議論をいただき、引き続き読書バリアフリーの推進に当たりましてお力添えをよろしくお願い申し上げます。
本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
【吉元補佐(厚労省)】 ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害保健福祉部長の野村より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。
【野村部長(厚労省)】 皆さんおはようございます。
厚生労働省の障害保健福祉部長の野村でございます。
構成員の皆様方におかれましては、今日も非常に暑い朝の中、また御多用の中、今年度の第1回目となるこの協議会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それと併せまして、システム上の不備などで開会をお待たせしてしまいまして誠に申し訳ございませんでした。
今しがた橋爪審議官からも御紹介がございましたけれども、昨年度をもって第1期基本計画期間を終了するということで、この協議会で御議論いただきまして、今年の3月28日に第2期基本計画というものが策定されたところでございます。その間の御協力、誠にありがとうございました。
いわゆる読書バリアフリー法に基づきまして、これまでも地方公共団体であるとか関係機関、あるいは当時者の方々、多くの方々が御協力をいただいて、この読書バリアフリー関連の施策が進んできたところでございます。その結果、視覚に障害のある方々などの読書環境を取り巻く状況といったものも前進をしてきているのではないかと思っております。
厚生労働省の関係で申し上げますと、点字図書館でございますとか障害者情報総合ネットワーク、サピエに対する支援などを行うことによりまして、アクセシブルな書籍の製作というものを着実に進めていきたいと考えております。実際に年々利用される方々も増えているということでございまして、この読書バリアフリーに向けた各種環境整備、こうしたものの取組の自治体への支援というのも進めていかなければならぬと感じているところでございます。
各省庁関係団体の皆様などと政策を進める中で、この制度を当時者の方々、障害のある方々にとってさらに有益なものにしていくという観点から、視覚障害のある方以外にも読書に困難を感じておられる方に対する利用促進とか、まだ課題があると認識をしております。こうした課題の解決に向けた取組などにつきまして、第2期基本計画に基づいて各般の施策を講じたいと考えております。
つきましては、本年度初回というふうに先ほど申し上げましたけれども、本日の協議会では構成員の皆様方からの忌憚のない御意見を賜りながら今後の施策に生かしていきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
【吉元補佐(厚労省)】 ありがとうございました。
恐れ入りますが、公務の都合によりまして橋爪審議官、野村部長におかれましては、ここで御退席をさせていただきます。
次に、本日の資料について確認をさせていただきます。
本日の会議は、構成員の皆様には事前に資料送付をさせていただいているところですが、同じものが机上にあるか、まず御確認をさせていただければと思います。
また、傍聴の方におかれましては、厚生労働省及び文部科学省のホームページに資料を掲載しておりますので、そちらを御確認ください。
本日の資料につきまして、改めて確認をさせていただきます。議事次第のほか、資料1から4、そして参考資料1から3の以上8点となります。資料が机の上にないなど、御不明な点がございましたら事務局までお声がけをお願いいたします。
それから、資料につきまして早速ですが、議事次第のところで修正がございます。議事次第のタイトルのところと、あと議題の(2)、4.配付資料の資料2、それから参考資料の1に「視覚障害者」となっているのですが、ここは「視覚障害者等」の「等」が抜けているというミスがございましたので、この場で修正をさせていただきますとともに、後ほどホームページ掲載用とか、資料の最終版につきまして皆様のほうには改めて送らせていただきますので御了承いただければと思います。
それからまた、本日オンラインで御出席の構成員の皆様へのお願いがございます。カメラは通常はオンのままにしていただき、御発言の際にはZoomの「手を挙げる」機能の使用をお願いいたします。御発言時以外は、マイクをミュートにしていただきますよう御協力ください。
なお、通信障害などで不具合が発生した場合には、事前にお伝えしております事務局の連絡先までお知らせいただければと思います。
次に、本日のスケジュールにつきまして簡単に御説明をさせていただきます。
今、既に50分以上遅れているところでございますが、議題1につきまして各省庁からの御報告と意見交換とを含めまして1時間程度お時間を取らせていただいているところでございます。それで、議題1でもって配付資料の資料1と資料2、合わせて御報告をさせていただくという形で考えております。
それから、議題2につきまして「構成員による視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る取組等について」ということで、本日は日本点字図書館さんと全国視覚障害者情報提供施設協会さんから現状の取組報告等につきまして御報告をいただきます。こちらにつきまして、30分程度お時間を設けさせていただいているところでございます。
それから、最後に「特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて」の報告ということで、10分程度の時間を設けさせていただいているところでございます。
また、今年度は協議会につきまして本日1回目ですが、年末と年明けくらいにあと2回程度を予定をしております。各団体さんからの取組の報告などの議題を予定しておりますが、その詳細につきましては決まり次第、事務局のほうから連絡させていただくということで、冒頭でまずお知らせをさせていただきます。
事務局からは以上となります。
【中野座長】 進行の中野でございます。ありがとうございました。
頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラがもし入っておられる場合にはここで御退場をお願いしたいと思います。
それでは、先ほど御説明がありましたように、既に会議は大分遅れております。それで、30分程度は延長させていただくことになろうかと思いますので、申し訳ありませんけれども、御了承いただければと思います。
本日は議題が3つあるのですけれども、まずは第1番目の議題である「各省庁における「これまでの取組成果・達成状況」の報告について」、各省庁より報告をよろしくお願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 まず、事務局分につきまして厚生労働省の吉元から御報告をさせていただきたいと思います。
事務局からは、地方公共団体における読書バリアフリー計画の策定状況について御報告をいたします。
資料1の1ページから3ページが関係する部分となります。
資料2につきましては、この資料1の御報告の内容につきましてまとめたものですので、資料1に基づいて私のほうから説明させていただきます。
令和7年2月1日時点での集計となりますが、都道府県に関しましては昨年度調査の段階で計画を策定済み、策定作業中、検討中も含めてですが、その回答が100%となったところでございます。また、策定済みの数が昨年度の19自治体から38自治体に倍増し、全都道府県での策定完了が視野に入ってきたというところでございます。
一方で、指定都市では約80%、中核市では約40%にとどまっておりまして、自治体の規模が小さくなるにつれまして策定に向けた動きがちょっと鈍いというか、遅れている結果となっております。
特に策定する予定なしの自治体数につきまして、指定都市につきましては昨年度の6自治体から4自治体と減ってきてはいるのですが、中核市につきましては策定する予定なしの数がこちらの表でいきますと36自治体とあるのですが、これは昨年度調査から変わっていない状況となっております。
3ページのグラフにおきましても、令和2年度の調査結果と比較すると、全体としては策定完了に向けて着実に伸びているところですが、中核市につきましては先ほど述べさせていただいたとおり、一番上の表を見ますと、全体の棒グラフの高さが変わらないというところで頭打ちとなっていることが分かります。
未策定である理由といたしましては昨年と同様に、いまだに策定担当部局が決まっていないという自治体が多く散見されるなど、法律の趣旨が十分に浸透していると言えるような状況でないということが続いているところでございます。
いずれにしましても、今年度から始まりました第2期基本計画に基づく各種施策について地域間の格差なく推進していただくためには、未策定自治体に対して計画策定に向けたより一層の働きかけが重要であると認識しておりまして、全国会議など、様々な機会を通じて普及啓発活動を行ってまいりたいと考えております。
事務局からは以上となります。
【中野座長】 ありがとうございました。
今のは事務局としての報告ということで、引き続き厚労省から報告をお願いいたします。
【前田室長(厚労省)】 皆さんはじめまして、この4月に自立支援振興室長に着任しました前田と申します。よろしくお願いいたします。
また、本日、ネット環境の不備、資料等の不備等がございまして、改めておわびを申し上げます。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、議題1のうち厚生労働省の主な取組状況を御報告させていただきたいと思います。資料は1と2と重複する部分がございますので、資料1の8ページから17ページを御覧いただければと思います。それに沿った形で御説明を申し上げたいと思います。
初めに、厚生労働省として読書バリアフリーに関する施策の周知につきましては、読書バリアフリー法の成立以降、文部科学省とも連携をさせていただき、公立図書館や点字図書館におけるサービスの内容でありますとか、アクセシブルな図書の紹介を記しましたリーフレットの作成、それとホームページへの掲載、自治体を通じた関係機関への配付といったような普及啓発を図ってきたところでございます。
第2期基本計画が今年度からスタートいたしましたことも踏まえまして、文部科学省とよく協力をし、第2期計画に基づいたリーフレットの作成を予定しています。
資料8ページを御覧いただきたいと存じますが、こちらは団体における周知広報の取組といたしまして、全国視覚障害者情報提供施設協会のものになります。こちらでは、視覚障害に関する情報への窓口である「シカクの窓」を通じ、サピエ図書館も含めました様々な視覚障害関連の情報を発信しております。
サピエ図書館の利用方法等の周知をするためのPR動画の発信でありますとかチラシの配布、サピエ研修会の開催など、サピエ図書館についての周知を行うほか、PR動画やチラシの配布先に視覚特別支援学校図書館などを加えるといった周知範囲の拡大も図っているところでございます。
資料10ページを御覧いただきたいと存じます。
厚生労働省における視覚障害者等の読書環境の整備に対する取組についてでございます。
まず1の点字図書館等事務費では、点字図書館における点字図書や音声図書の製作環境の整備を支援する加算の補助単価の上限額を増額してきたところです。
2の地域生活促進事業での取組といたしましては、1つ目は障害者ICTサポート総合推進事業であります。こちらの概要は15ページを御覧いただきたいと思いますが、本事業ではICTサポートセンターの運営でありますとか、パソコンボランティアの派遣、養成などの支援を行っております。
2つ目は、障害者等のICT機器利用支援事業です。概要は、次の16ページを御覧いただきたいと存じます。
本事業では、ICTサポートセンターにおける好事例の取組や課題の共有などを図りますことで、センター機能の標準化、質の向上を図ることを目的としており、令和6年度にはセンター運営の手引でありますとか、支援事例集といったものにつきまして全県へ周知をしたところでございます。
3つ目は、「地域における読書バリアフリー体制強化事業」でございます。資料といたしましては、11ページ、12ページを御覧いただきたいと存じます。
本事業では、公共図書館との連携でありますとか、視覚に障害のある方などへのアクセシブルな図書の利用の促進、点訳、音訳奉仕員の養成などの取組に対する経費の補助を行っており、令和6年度には、より地域での読書バリアフリー体制の整備が進むよう、補助対象を従前の都道府県、指定都市、中核市のほか、一般市町村も加えた全自治体へ拡大をしたほか、高知市において読書困難者の方がサービスを受けている可能性が高い福祉医療教育関係機関等との連携をし、これらの機関の職員の方に読書困難者にバリアフリー図書などがある図書館を知っていただくための橋渡しとなってもらう取組を全国会議において周知をいたしました。
4つ目は、今年度より文部科学省、経済産業省と連携して行う読書バリアフリー環境整備のためのモデル事業、いわゆる実証調査でございます。こちらは13ページを御覧いただきたいと思います。本事業では、特定書籍等の製作に当たりまして、電子データの提供過程における課題解決に向けた整理をすることとしており、厚生労働省側の所管する図書館といたしまして日本点字図書館ほか4館の方に参加をいただく予定でございます。
5つ目は、サピエ図書館についてでございます。こちらは資料の14ページを御覧いただきたいと思います。
団体や各点字図書館などの御尽力により、蔵書数、利用登録者数、図書データの提供数などは着実に伸びている状況でございます。
最後に、日常生活用具給付等事業でございます。こちらは、資料17ページを御覧いただきたいと存じます。
本事業は、地域の特性でありますとか利用者の状況に応じまして、実施主体である市町村において柔軟な対応が可能となりますよう、用具の要件や用途のみの告示で定め、実施主体の市町村が事業実施に必要となる具体的な用具の種目、基準額、対象者、耐用年数などを定めて行っているものでございます。
厚生労働省では、各市町村への地域実情に即した適切な種目でありますとか基準額といったものについても見直しの依頼を行うなど、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
厚生労働省からの説明は以上となります。ありがとうございました。
【中野座長】 ありがとうございました。
質疑は後でまとめてさせていただきますので、続きまして文部科学省より御報告をお願いいたします。
【星川室長(文科省)】 文部科学省障害者学習支援推進室でございます。
私からは、学校図書館、公立図書館以外の取組について、主なもの3点を御説明させていただきたいと思います。
字が大変小さくて恐縮ですが、18ページを御覧ください。
①で「総論(2)国民等への周知」の2のところに、りんごプロジェクトについて記載しております。こちらは、関係者協議会の構成員でもある日本図書館協会の佐藤様に御協力をいただきながら、NPO法人ピープルデザイン研究所への委託事業において、りんごの棚の普及の取組などを通じて読書バリアフリーの啓発活動に取り組むものでございます。
成果・達成状況の欄にも記載しておりますが、令和6年度は全国各地の図書館や学校などでアクセシブルな図書の体験会を19回開催するなど、精力的に活動していただきました。今後も引き続き、この取組を文部科学省として応援をさせていただきたいと思っているところでございます。
続きまして、19ページを御覧ください。
④のところに【大学図書館等における取組】としまして、読書バリアフリー使用メタデータ共有システムについて記載しております。
成果・達成状況に記載しましたが、令和7年3月末時点での登録済みメタデータ数は921件となっておりまして、1年間で倍増したという状況がございます。大学での取組が広がってきているところですので、引き続きシステムの機能改善、利活用における周知、認知度向上などを進めまして、登録データ数の充実、障害のある方の円滑な利用を促進してまいりたいと考えております。
さらに、続きまして20ページを御覧ください。
先ほど厚生労働省からも御説明がありましたが、⑥に「特定書籍等の製作に係るデータ提供に関する実証調査」について記載しております。こちらについては、この後、本会議の議題3にて詳細を御説明させていただきますが、令和7年度、公立図書館など6館が参加して、データ提供に係る公立図書館に活用いただくマニュアル作成などを進めてまいる所存です。
続きまして、公立図書館、学校図書館における取組について担当課より御説明させていただきます。
【稲田専門官(文科省)】 それでは、同じく文部科学省の総合教育政策局地域学習推進課で図書館、学校図書館を担当しております稲田でございます。御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
公立図書館、学校図書館における取組につきまして、資料1に記載のうち主だったものを3点御報告させていただきます。
まず19ページの⑤番の記載でございますけれども、「視覚障害者等による図書館利用に係る体制整備等」と、「アクセシブルな書籍等の充実」、「円滑な利用のための支援の充実」に関する取組につきましては、【読書バリアフリーコンソーシアム】を令和3年度以降に組織しております。こちらは、公立図書館、学校図書館、大学図書館、点字図書館等が連携した体制を構築するものであり、各館の物的、人的資源の共有、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化等のモデル的な取組を行う公共団体、法人を支援するといった取組でございます。
これまで佐賀県、鳥取県立図書館、東京大学先端科学技術研究センター、筑波技術大学、高知県教育委員会へ委託し、実施してまいりました。これまでの委託先のうち、佐賀県と高知県では本事業を通じて県の読書バリアフリー計画を策定してございます。
同じく⑤の【調査】におきましては、令和4年度及び令和6年度に隔年で実施している「電子図書館・電子書籍と子供の読書活動推進に関する実態調査」を行い、自治体や学校で電子図書館がどのくらい導入されているのか、どのように活用されているのかを調査いたしました。
その中で事例等も併せて御紹介をしておりますが、例えば令和6年度調査結果において長野県における電子書籍サービス、「デジとしょ信州」を御紹介しております。「デジとしょ信州」とは、市町村と県による協働電子図書館であり、県内の地域住民が利用できますが、住民に加えて学校での利用を進めており、小・中・高校のほか、特別支援学校においても一括登録ができるよう改善したという事例も報告書に掲載してございます。今後も本調査報告書を周知し、公立図書館及び学校図書館での読書バリアフリーの普及に努めてまいります。
そして、⑦の「司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上」に関する取組につきましては、令和6年度、国において実施しております図書館職員を対象といたしました研修についての実態把握を実施いたしました。
調査の対象は、主に新任の館長が参加対象の新任図書館長研修、主に指導的立場にある司書が参加対象の図書館司書専門講座、また主に若年層の司書が参加対象の図書館地区別研修の3つでございまして、それぞれの研修において障害者サービスに関する内容を理解し、支援方法を習得するための研修が行われているかどうか、調査を実施いたしました。
新任図書館長研修及び図書館司書専門講座におきましては、基本計画の施行以降、毎年行われておりまして、新任図書館長研修においては、毎年200名前後の方が、図書館司書専門講座においては、40名から70名の方が研修を修了されている状況でございます。
最後に、図書館地区別研修につきましては、読書バリアフリー推進計画の施行以降、令和5年度を除き、ほとんどの地区で実施している状況でございます。今後は各研修・講座を委託、または実施するに当たり、委託要綱や運用指針等において、基本計画を踏まえた内容を取り入れることを明記し、確実な実施につなげたいと考えております。
以上でございます。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
続きまして、総務省より御報告をお願いいたします。
【輿石課長補佐(総務省)】 総務省情報活用支援室で情報アクセシビリティを担当しております輿石と申します。
総務省からは、第16条の先端的技術等の研究開発の推進につきまして、資料1の47ページに沿って説明をいたします。
総務省では、誰もがICTによる恩恵を享受できる情報バリアフリー環境を実現するため、障害のある方が便利に活用いただけるICT技術等の研究開発や、サービス提供を行う者に対する補助事業を実施しております。
令和7年度より設定テーマ型事業というものを設けまして、一定規模以下の事業者に対しては初年度に限定して定額補助を行うよう事業内容の拡充をしております。令和7年度は研究開発に対して5社、サービス提供に対して5社の助成を行っております。設定テーマには、読書バリアフリーの実現に資するものを設けたものの、残念ながら令和7年度には該当する応募がございませんでした。読書バリアフリー関係分野の周知を強化しまして、読書バリアフリーに資する応募の働きかけを行っていきたいと考えております。
以上でございます。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
では、続きまして国立国会図書館よりお願いいたします。
【川西課長(国立国会図書館)】 国立国会図書館企画課長の川西と申します。
資料48ページから御説明をいたします。
まず「アクセシブルな書籍等の充実」について、これまで公共図書館、大学図書館等から視覚障害者等用データを収集してまいりました。当館も学術文献について視覚障害者等向け録音図書やテキストデータを製作し、またデジタル化資料からOCRによりテキストデータを作成しました。
視覚障害者等用データ送信サービスでの提供データ件数は、令和6年度末時点で約324万件となり、令和2年度から令和6年度までの5年間で約322万件増加しました。
また、令和3年度以降、OCRの開発を行い、CC BY ライセンスで一般公開しております。
令和6年度末には、「障害者サービス実施計画2025-2029」を策定いたしました。
令和7年度以降は、この計画に沿って視覚障害者等用データ収集をさらに推進します。
また、学術文献の録音図書テキストデータ製作については、生成AI等技術により効率化を図ることを検討いたします。
また、出版者の方から視覚障害者等による利用のために、国立国会図書館へ無償での提供申出があったテキストデータ等について、視覚障害者等用データ送信サービスを通じて利用提供を行うこととしております。
このほか、OCRによるデジタル化資料のテキスト化に加え、全文テキストデータの利用促進に向けた取組を行います。
続いて②でございます。同じく「アクセシブルな書籍等の充実」について、日本点字図書館様などと共同校正システムに係る取組を行ってまいりました。令和6年度までの5年間では2,205点のテキストDAISY等を作成いたしました。
令和7年度以降は、日本点字図書館様と協力して、図書館等における視覚障害者等用テキストデータの製作及び提供に係る取組を進めるとともに、共同校正システムを用いたテキストデータ製作の今後の在り方を検討いたします。併せて、当館で研究開発したOCRの活用可能性も検証いたします。
続いて、「インターネットを利用したサービスの提供体制の強化」についてです。視覚障害者等用データ送信サービスの参加館、登録利用者の拡大を図り、令和6年度末で参加館は389館、登録利用者数は952名となっております。
また、全国にあるアクセシブルな書籍等を統合的に検索できる新たなシステムとして、令和6年1月にみなサーチ正式版を公開しました。日本図書館協会様との共催で障害者サービス担当職員向け講座を毎年度実施し、当館が提供するインターネットサービスやサピエ図書館等の周知を図りました。
令和7年度以降は、より多くの視覚障害者等が円滑に利用者登録手続を行えるよう、活字による読書が困難であることを確認する手法の多様化等を検討すること、視覚障害者等用データ送信サービスについて読字に困難がある発達障害者や肢体不自由者など、視覚による表現の認識が困難な方々が広く対象であることをさらに周知すること、そのほかデータ送信サービスへの参加促進、みなサーチのより一層の周知等の取組を予定しています。
次のページにまいりまして、「アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」についてです。令和2年度以降、こちらの協議会の関係の方々に御参加をいただいて、「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」を開催し、令和5年度には「電子図書館のアクセシビリティガイドライン1.0」を、今年の5月には発達障害等による読み困難を抱える人たちからのニーズが高いアクセシビリティ要件等を追加した「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン2.0」を公開したところです。
今後の取組としては、このガイドライン2.0の利用を促すため、各団体の皆様と協力して普及広報活動を行うこととしています。
⑤でございますが、「外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備」についてです。当館では令和2年度から令和6年度までの5年間で、外国で製作された点字データ、音声DAISY等、230タイトルを収集、提供しました。また、海外の機関に対しては国内で製作された視覚障害者等用データ19タイトルを提供しました。
今後の取組としては、外国で製作された視覚障害者等用データの検索を容易にする等の方策の検討、国内で製作された視覚障害者等用データの国際的な総合目録サービスへの登録拡大、サービスの認知度向上に向けた普及啓発を行います。
「司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上」については、先ほど述べました障害者担当職員向け講座などを実施しておりまして、今後も継続することとしています。
以上でございます。
【中野座長】 ありがとうございました。
それでは、最後に経済産業省より御報告をお願いいたします。
【早坂補佐(経産省)】 経済産業省文化創造産業課の早坂と申します。今年の6月より担当することになりました。よろしくお願いいたします。
経済産業省からは、お手元の資料の52ページになります。大変字が小さくて恐縮ですが、その内容を御報告いたします。
経済産業省としましては、大きく2つの取組を実施しております。
1つ目が「出版者からの製作者に対する電磁的記録等の提供の促進のための環境整備への支援」、2つ目につきましては「アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」といったところになっております。
1つ目の環境整備につきましては、令和5年の3月に業界の中で日本出版インフラセンターの下にアクセシブルブックサポートセンターが設置されております。こちらにつきましては、出版者側の窓口となるサポートセンターとして立っておりまして、様々な取組を進めていただいておりますが、経済産業省につきましては先ほど文科省様、厚労省様からも御報告がありましたが、3省連携での電子データ提供のための実証実験を進めてございまして、今、書籍製作の要望といったところの受付も進めております。今後、この実証実験から出た課題であるとか運用上の問題点等を整理しまして、間違いない運用といったところに進めていければいいかと思っております。
「アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等」につきましては、昨年度、出版社、電子書籍製作事業者、ピューア開発者などの業界関係ステークホルダーに対するアクセシビリティーに関するガイドブックの骨子の策定を行っております。こちらはEPUBを対象としたものでございますが、国内及び国際的な最新標準動向の調査といったところも併せて実施しております。
今年度につきましては、昨年度策定しましたこのガイドブックの骨子から具体的な内容ですね。例えば、電子書籍製作者がどういったことをしなければならないか、あるいはどういったことを実施すべきかといったような点を細かくまとめまして分かりやすいガイドブックの策定を行っていきます。ガイドブックが策定されましたら、業界関係者の皆様に御協力いただきながらガイドブックの周知を図って、提供できる電子データの充実を図っていきたいと考えております。
私からは以上です。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
以上で、全ての省庁からの御報告をいただいたことになります。
それでは、この後、構成員の方から御意見等をいただきたいと思います。ちょっと時間が押している関係もございますので、それぞれできるだけポイントを絞って簡潔に御発言いただきまように御協力をお願いしたいと思います。
では、発言を希望される方は挙手、もしくはオンラインの方は挙手ボタンを押していただきたいと思います。
今、4名の方が挙手されていますので、まず会場から宇野委員、その後にオンラインから3名の方にお願いしたいと思います。
お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
省庁にまたがる質問が複数ありますが、まとめて質問すればよいですか、それとも分けた方がよいですか。
【中野座長】 分けてお願いできればと思います。それぞれについて簡潔に質問していただき、簡潔に回答していただきたいと思います。もし関連しているものがあれば、まとめでも構いません。
【宇野委員】 まず1点目は事務局に質問です。
都道府県、政令指定都市、中核市の計画の策定状況に関する報告がありました。確認ですが、政令指定都市でも中核市でもない市町村は、都道府県の計画が適用になる。
一方、政令指定都市や中核市は自治があるので、独自で作成していただくということででしょうか。要するに、市町村というのは都道府県がつくっていればそれを適用するということでよろしいのでしょうか。
【中野座長】 では、事務局、お願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 調査上では、都道府県、指定都市、中核市を相手に調査を対象としておりますけれども、おっしゃられるとおり、都道府県の計画が基本は一般市町村のほうに係るという形で考えていただいていいと思います。調査をしていないので分からないですけれども、一般市町村で個別につくられているというケースも否定はできないので、そこは御了承いただければと思います。
以上です。
【中野座長】 では、続きでお願いいたします。
【宇野委員】 続いて、厚労省関連です。
まずICTサポートセンターの話が以前から出ていますが、資料では設置されていない自治体もあると書かれています。ICTサポートセンターは法的に都道府県に置かなければならないとなっているのでしょうか。法的根拠があれば教えてください。
【中野座長】 厚労省、お願いいたします。
【前田室長】(厚労省) 厚生労働省です。
資料15ページで都道府県は47ございますけれども、全県となっていません。これは実は補助事業でございますので、法律上設置しなければならないという規定はないことによるものです。
しかしながら、障害者の方に幅広く利用していただくという点においては設置をしていただけるようにお願いをしているという状況でございます。
以上です。
【宇野委員】 その名称というのは「ICTサポートセンター」という単語で検索すれば都道府県のホームページ内で出てきますか。それとも、違う名前で運用されているのでしょうか。
【前田室長(厚労省)】 補助事業上こういう名称を使っておるのですが、実際に現場ではIT何とかとか、障害情報何とかセンターとか、名称は個々にかなり変わっていると思いますので一律なことは申し上げられないです。
ホームページ上に一覧を載せているので、名称がかなり異なっていますが、それを御覧いただければ大丈夫だと思います。
【宇野委員】 分かりました。
【中野座長】 今の点、ちょっと中野からも補足させていただきますが、先ほどお話をされたように地域生活支援事業の補助事業になっていますので、これはそれぞれの地域の中でそういったニーズがあれば補助事業なので、地域の中でそれが立ち上がるというような仕組みになっているかと思います。
【中野座長】 続けてお願いします。
【宇野委員】 分かりました。
次に厚労省関係ですが、質問ではなく、感想です。お話の中で高知県の取組のご紹介がありました。図書館と障害者福祉、医療、教育機関の連携は大変すばらしい取組だと思います。例えば障害福祉課が発行している障害者向けの広報などの中に、点字図書館はこういう取組をしているんだとか、公共図書館にもこういう図書があるんだということを伝えていくことはとても大事だなと思いました。
【宇野委員】 次に、文部科学省に質問です。言及はありませんでしたが、中学生や高校生のための参考書や問題集、大学生のための専門書などの学術文献は重要であるということが基本計画の中にも書かれています。
先日、2つの出版社に参考書のデータ提供を求めたところ、どちらもすんなり書籍データを提供していただけました。これはひょっとして何らかの通知等が文科省からあったのではと思いました。これから他の出版社にも依頼していくに当たり、例えば検定教科書を発行している出版社や教育関係の出版社に対し、読書バリアフリー法や基本計画の趣旨を通知していただけると、話もスムーズに通るように思います。ご検討いただけませんでしょうか。
【中野座長】 これは、御意見ということでよろしいですね。
【宇野委員】 一言、今のことについて思いを。
【中野座長】 一言が欲しいということですね。
では、お願いします。
【星川室長(文科省)】 障害者室の星川でございます。
御意見をいただきましてありがとうございます。積極的な働きかけを今後とも続けてまいりたいと思います。
以上です。
【中野座長】 中野から補足させていただきますが、教科書協会に関しては研修会を毎年やっておりまして、読書バリアフリーについても研修会の中で言及をさせていただいております。
次の御質問をお願いいたします。
【宇野委員】 次に、総務省関連です。これは確認ですが、AIを使った様々な技術が読書バリアフリーに寄与するということがたくさんあると思います。先ほどのお話では助成する団体がなかったということですが、これは応募がなかったということなのか、応募はあったんだけれども今回は通らなかったということなのか、どちらでしょうか。
【中野座長】 では、お願いします。
【輿石課長補佐(総務省)】 総務省でございますけれども、応募がなかったという状況でございます。
【宇野委員】 分かりました。ありがとうございます。
では、続いて国会図書館に意見です。
まず、みなサーチの中で324万点までテキストデータを増やしていただいたというご尽力について、本当に読める本がかなり増えてきているということを実感しています。これまでのとてもありがたい取組に感謝申し上げます。
これは要望になるんですが、現在みなサーチはブラウザー上でアクセスするようになっています。
一方視覚障害者のために、ある民間企業からマイブックという読書用のソフトウエアが販売されています。このアプリはとても使いやすく、いろいろな本の検索をするときに、効率的に短時間で検索できるようになっています。みなサーチも、ブラウザー上での操作に慣れてしまえばできる人も多いんですが、ブラウザー上では、操作が難しいと感じる人も実際にいます。
そこで、みなサーチもマイブックのように、パソコンのソフトウエアになれば、いろいろな立場の人にとって使いやすくなると思います。
視覚障害の世界では、マイブックというソフト名にピンとくる人は多いと思います。でもおそらく肢体不自由や発達障害の人からすると、“マイブック”とは何か分からないと感じる人も多いと思います。このような視点で、みなサーチのアプリケーションソフトウエアの開発もご検討いただけるとうれしいです。
それから、テキストDAISYについての言及がありました。これは全視情協や日点、総務省にも関係しますが、テキストDAISYの音質についてです。テキストDAISYの音質は以前よりはよくはなっているんですが、最近のAIの音声を聞くと、本当にきれいで、人間の肉声と変わらなくなってきています。テキストDAISYの音源に最新のAIの音声を使って録音し、聞けるようになれば、ぎこちなさがほとんどなくなると思います。その可能性について国会図書館や全視情協、日点にご意見を伺えればありがたいです。
【中野座長】 では、国会図書館、お願いいたします。
【川西課長(国立国会図書館)】 まずテキストDAISYのAIの活用ですが、今この場で技術的可能性をすぐにお答えできる状況ではないのですけれども、今いただいた御意見を踏まえましてこちらのほうでも検討してまいりたいと思います。
また、最初にいただきましたみなサーチのアプリ開発の件ですが、現在こちらで独自のアプリ開発というところまでの検討には至っていないのですけれども、マイブックなどのアプリケーションとの連携なども含めまして、いろいろ可能性は考えてまいりたいと思います。
【中野座長】 中野から補足ですが、マイブックはもう既にできているとお聞きしました。それで、情報について国会図書館から連携のための情報をメーカーに提供しているというお話をいただいていますが、最新バージョンになっていませんでしょうか、宇野先生。
【宇野委員】 DAISY図書や点訳図書についてはマイブックから国立国会図書館のデータベースにアクセスできるのですが、テキストデータについてはできないという状況です。
【中野座長】 分かりました。ありがとうございました。
それから、AIについては私も開発者なので、先ほどのテキストDAISYが見られるときに、これはアプリのほうが対応すればオーケーで、私のアプリも実は対応しています。
ところが、ある程度の利用が増えると、AIを利用する場合というのは当然ながらアプリ開発者がAI業者にお金を払わないといけないということが発生してくるので、その辺りのことも含めて多分開発というのは考えられないといけないのではないかと思っております。
では、引き続き宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 以上です。ありがとうございます。
【中野座長】 分かりました。ありがとうございました。
それでは、オンラインからも御意見をいただいておりますので、まず阿部委員よりお願いします。
【阿部委員】 ありがとうございます。阿部です。
まず最初は2ページのところなのですけれども、それぞれの自治体における読書バリアフリー計画について単独計画で策定しているところが14か所あるということで、まずは都道府県だけを見てまいりますと、そしてこれを手がかりに調べさせていただいたところ、単独計画をつくっているところは九州、中・四国、関西というふうにある意味、地域性に偏りがあると思いました。これに関してはどのような要因が考えられるのか教えていただきたいとともいます。
それから、関連するので一緒にお話をさせていただきますけれども、厚労省の説明の中で先ほど宇野委員も御指摘のように高知市での橋渡し的取組とか、様々な好事例についてお話しいただきましたが、それもやはり単独計画をつくっている地域であったように思います。そのようなことで、単独計画というのは大事なのかなと考えます。連絡会等を行っているわけでしょうから、そう思いながら今度は障害者政策の計画の一部として位置づけているところについても、これから単独計画策定ということが期待され得るものなのかどうなのか。それは地域への周知という点からちょっと思ったところです。
これについても後から教えていただければと思いますし、先ほどもお話ししましたけれども、地域の強化、その他を考えていくとき、特に17ページで説明していただきましたが、日常生活用具給付事業で端末の給付は重要なことです。これは市町村事業ですから周知が十分に行われているのかとても心配なことです。そのことによってそれぞれの地域で暮らしている利用したい方々に利用できる機会が得られないのは大きな問題だと思います。
これらについても、先ほどの個別計画、単独の計画というものの位置づけは大事かと思いながら、それぞれの地域の好事例についてはお話しいただきました。そして、好事例についてはやがて一般化していくことが大事だと思いますのでそのことと、日常生活用具等、細かく言うと切りがないかもしれませんけれども、それぞれの市町村でしっかり理解して取り組んでいただくようにするためにも、この単独の計画は重要と思いながらお話をさせていただきました。このことについて、関連することでコメントいただければありがたく思います。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
では、事務局及び厚生労働省からお願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 事務局です。
阿部委員がおっしゃられました、この単独の計画としての策定が九州、四国地方のほうに多いのではないか。地域の偏りが多いのかというところにつきまして、詳細な分析はしてはいないのですが、この事業に限らず、よくあるのは、周辺の自治体に様子をうかがいながら、ではうちもこういうふうにしましょうとか、そういう連携的な部分があるのかもしれないということを否定はできないのです。具体的にここの地域が多いと言った分析はしてはいないところでございます。
また、先ほどおっしゃられました高知県の事例等につきましては、先ほど室長の前田からも御説明をさせていただきましたが、好事例ということで全国会議等でも周知をさせていただいているところでございます。こういうものが一般化して全国に広がっていくということを期待しているところでございます。
以上でございます。
【前田室長(厚労省)】 厚生労働省の前田です。
今、事務局の吉元から御説明したことで大体お答えしたところですが、最後に阿部委員から御発言がありました日常生活用具給付等事業のところなのですが、これは補助事業であることから、実施主体の市町村が柔軟に考えて対応できる。そういう意味では、どういうものを品目としてするか、もしくは見直すか、追加するか、そういったことについてもある意味、一番の利用者の方と近い、自治体の市町村の方に考えていただくという事業でございます。
そういう意味では物品について、もしくは具体的な品目について示してしまいますと、逆に言うと我々のほうから市町村にバイアスをかけてしまうことになるので、そういうことはちょっとできないというのが事業の主旨です。
しかしながら、地域の実情に応じたものが選定されているのだろうか、もしくは基準額などが適切なのか、こういったことは重要だと思っていまして、定期的に市町村のほうに、本当にそのものでいいのですか、追加するものはないですかというようなことを確認させていただくことで、阿部委員がおっしゃられたような端末も必要な市町村においては追加をされていくと考えているところでございます。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
阿部委員、よろしいですね。
【阿部委員】 阿部です。
日常生活用具等については、それを利用する可能性のある方にも知っていただくようにというのも大事なことだと思いますので、その端末等の利便性の周知についてもどうぞお知らせいただくようにお願いいたします。
以上です。ありがとうございます。
【中野座長】 阿部委員、ありがとうございました。
では、三宅委員、お願いいたします。
【三宅委員】 日本視覚障害者団体連合の三宅です。
私からは2点ございます。
1点目は事務局に対してで、各地域における基本計画の策定状況の調査についてなのですが、今まで資料で示されているものに関しましては、いわゆる第1次の国の基本計画に基づいてそれぞれの地域において基本計画が定められてきたかと思います。まだ取組の最中、まだ検討中というところもあるようですけれども、ただ、今度令和8年の2月時点で公表されるものに関しては、もう既に第1次計画の初期段階から取組、あるいは策定をされてきたところが、何がしかの目標値の再設定とか内容の変更というものが考えられてくるかと思います。
そこで、調査の中にそういった国の2次計画が策定されたところで、その状況も問うような項目も入れていただきたいと考えております。具体的なところまで入れる必要はないかなという気はしますけれども、1次計画はもう5年経過をしようとしているところでもありますので、そういった内容を盛り込んでいただければという御提案でございます。
2点目です。こちらは厚生労働省に関してで、日常生活用具等給付事業に関してなのですが、私は前の関係者協議会の中でも発言はしているのですけれども、先ほど前田室長の御説明の中に、各地域において柔軟に給付基準額、品目などが得られるように、対応できるようにしているというお話がありました。
ただ、これは残念ながらと言わざるを得ないのですけれども、いまだにある日常生活用具等給付を受けると違う用具のものが受けられない状況にあるということが散見されます。
具体的に言うと、読書関連の用具でDAISYプレイヤーを給付されると、例えば点字に関する端末が給付されない。あるいは、拡大読書器が給付されないというようなことで、そのDAISYプレイヤーの耐用年数が切れるまではほかのものが給付できない、申請できないという状況がまだあるというふうにこちらに伝わってきております。
これに関しては、DAISYプレイヤーを給付したからといって、その人はいわゆる音声DAISY、テキストDAISYのみを聞くという読書スタイルでいくわけでもありませんので、やはり柔軟な図書の利用ができるようにという観点から、このような対象要件にしないようなことを厚生労働省からできるだけ自治体のほうに促していただきたいと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
【中野座長】 では、事務局、続いて厚生労働省からお願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 まず事務局からでございます。
今、三宅委員からいただきました意見を御参考にさせていただきまして、この調査の中で各自治体共通で取れるような項目がないか、事務局の中で調整をして検討していきたいと思います。
以上でございます。
【前田室長(厚労省)】 三宅委員、ありがとうございました。
おっしゃられるところについて、どういうような実態になっているのかを自治体、もしくは三宅委員にもお知恵を借りながら、よく確認をして対応してまいりたいと思います。
以上です。
【中野座長】 三宅委員、よろしいでしょうか。
【三宅委員】 では、一言だけ追加でよろしいでしょうか。
【中野座長】 はい。
【三宅委員】 具体的な事例ですと、よくあるのは、1つの機器に2つの品目にまたがるような機能が備わっている場合にもう認められないという場合があります。例えば、メインは点字ディスプレイの機器なんだけれども、そこにDAISYのデータを入れることで再生ができるという機器があるのですが、ただ、こちらには例えば録音ができないとか、CDを直接入れるところがないとか、そういうふうなものがあって、やはりメインで点字の端末で使いたい、あるいはメインでDAISYのプレイヤーを使いたい。だけど、もう一つの端末もないと点字データやDAISY図書が使えなくて非常に困っているという声を聞いておりますので、また今後具体的な事例等々もお話しさせていただければと思っております。
以上です。
【中野座長】 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして工藤委員、お願いいたします。
【工藤委員】 DPI日本会議の工藤です。
様々な取組を進めていただいてありがとうございます。
私のほうからは、電子図書サービスの運用する自治体についての意見です。
様々な自治体で電子図書サービスを広げていただいていると思うのですけれども、実際には視覚障害者のみに限定してサービスを行っているという自治体が複数あるかと思います。
例えば、私がよく利用する江戸川区は、電子図書サービスをやっているのですけれども、視覚障害者専用となっています。それで、肢体不自由でページをめくることが難しかったり、同じ体勢で読むことが難しいことから、そのために音声の読み上げサービスを利用したいといっても、視覚障害がなければ利用することができないといったような状況です。
ですので、今後各自治体、市町村に対して周知を徹底していただきたいということと、電子図書サービスを導入していても実際にはそのように利用者を視覚障害の方のみというふうに限定している場合は、環境整備した自治体の中にはカウントしないでいただきたいと思っています。
私からは以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
これは事務局、もしくは厚生労働省、いかがでしょうか。文科省もあり得ますか。
【吉元補佐(厚労省)】 いただいていました意見、電子図書サービスのことにつきましてはまた内部で検討させていただきまして御報告させていただきたいと思います。
以上です。
【中野座長】 工藤委員、是非会議後でも詳細な情報をお教えいただいて、今のような事態が生じているというのはこの法律上、望ましいことではもちろんございませんし、もし勘違いがあるとするならば是正していただくことが必要かと思いますので、後ほど詳細な情報を事務局のほうにお寄せいただければと思います。
工藤委員、いかがでしょうか。
【工藤委員】 承知しました。ありがとうございます。
【中野座長】 どうもありがとうございます。
議題1について、これまでいただいていた御意見は以上ですけれども。
それでは、藤堂委員、お願いします。
【藤堂委員】 2つございます。
1つは8ページの厚生労働省の視覚障害の情報サイト「シカクの窓」というものがあるのですけれども、視覚障害の情報窓口というところからサピエ、読書というものにつながるということがありまして、「等」はどこにいっちゃったかなと、このページは仕方ないのかもしれないというところはありますが、やはり「等」があっという間になくなるというのが今の工藤委員の発言からも分かるかと思います。
次の右側にある紹介動画、PRチラシのところですけれども、ここに書いてある文章ではディスレクシアのことは分からないということと、点字図書館という名前ではディスレクシアの人は使わないだろうということは当初からずっと申し上げていて、それを変えるのはすぐには難しいという返事はいただいていますが、ではいつなのかということを聞きたいと思っています。
もう一つは、文科省に対してです。りんごの棚というのを広げていただいているというのはとてもうれしいことだと感じております。
それからもう一つ、関連して2次の計画の中で図書館員の研修の中に利用者に関する理解促進の研修をしてくださいというふうに申し上げて入れていただいていると思いますけれども、実際にりんごの棚とか、図書館員の方たちとお話をすると、ディスレクシアに対しての理解がほとんどないという状態を見てきております。
それで、一番の問題はやはり視覚障害からきて見えにくいとか、どういう見え方をしているのかとか、そういう話になるのですが、そうではないんです。脳の中で起きていることで、読み書きが大変であるという状態があるので、その研修材料の中にまず一回ディスレクシアの、または本当に手を使うことが難しいとか、そういう方たちの正しい理解を入れていただきたいのです。研修材料をつくるときに、私たちの意見とか聞いてほしいというふうに感じております。そして、それを促進していただきたいと思います。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
では、最初の質問は厚生労働省からでしょうか。お願いします。
【吉元補佐(厚労省)】 御意見ありがとうございます。
こちらの8ページの表記の方法等につきましては、全視情協さんとも相談をしながら適切な修正等を踏まえましてやっていきたいと思っております。
それから、先ほどの点字図書館ではなかなかディスレクシアの方は、そもそも点字図書館というと恐らく視覚障害の方のということになってしまうのでたどり着かないというところもあるという御意見は昨年もいただきました。
ただ、ここの部分は繰り返しになってしまうのですが、点字図書館というのは法律的な表記等々もございまして、なかなか修正は難しいというところもございますので、今のディスレクシアの方がこういう情報にたどり着くように、そこの部分について手法として工夫ができないかということを考えさせていただきたいと思います。
すみませんが、よろしくお願いします。
【中野座長】 続きまして、文部科学省よりお願いいたします。
【稲田専門官(文科省)】 申し訳ありません。ただいま研修で明記がされているかどうかというのは直ちには分からないのですけれども、研修を担当している係等に確認しながら検討してまいりたいと思います。
【藤堂委員】 それで、その内容を教えていただきたいと思うんです。それが本当にディスレクシアをきちんと伝えているか、または手でめくるのが大変とか、ほかの困難さを持っていらっしゃる方のことがきちんと伝わっているのかを見せていただきたいと思います。
【中野座長】 貴重な御意見、ありがとうございます。是非これは当事者参加で研修内容についても最初から構築していただきたいという御意見でございますので、御検討いただきたいと思います。
そのほかはよろしいでしょうか。
佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】 日本図書館協会の佐藤です。
まず今の藤堂委員のお話で、私たち日本図書館協会のほうでも障害者サービスの研修会はいろいろさせていただいているので、ディスレクシアという読み書きに困難のある人たちがいるという話はなるべくいろいろな所でしているつもりなのですけれども、これからも心がけていきたいと思います。
それで、話題になっている自治体の計画、読書バリアフリー計画についてなのですが、ちょっと補足させていただきますと、私は鳥取県で読書バリアフリーのこういう小さい関係者協議会を持っておりまして、そこの構成員なのですが、多分、鳥取県は最初に自分たちで独自の読書バリアフリー計画をつくったところだと思います。
それで、その計画が恐らくその近隣、高知とかもそうなのですけれども、その周りに影響しているということで、いち早く計画をつくってこの協議会を持って、それが非常によかったのかなと。
ちなみに、鳥取では今年度、計画自体は第2期のバージョンアップを図っておりまして、その検討をまさに今やっております。ですから、第2期という形で計画がつくられる。それで、これは私の感想的なことなのですけれども、逆に自治体によって小さい自治体のほうがそういうふうにやろうと思えばやりやすいのかもしれないと思っています。非常に大きな自治体は厚労省と、例えば厚生関係と福祉部局ですね。要するに、都道府県で福祉部局と教育部局が連携しないとこの計画はつくったりできません。
ですから、逆に小さい自治体のほうがつくりやすいのかもしれません。大きな自治体は教育と福祉の連携というのはあまりやったことがなくて、その辺が結構ネックになっているのかなと、そんなふうに感じているところです。
取りあえずそれについてはそんな感じで、一応補足です。ありがとうございます。
【中野座長】 補足の御説明、ありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。
ちょっとスタートが遅れてしまったこともあって時間が押しておりますので、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
議題の2番目は「構成員による視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る取組等について」ということで、取組の御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
【澤村委員】 それでは、まず日本点字図書館から事例を御紹介させていただきます。
日本点字図書館では、ふだんの業務として著作権法37条等で著作権の制限下で資料を製作したり提供したりということを行っておりますほか、サピエ図書館の保守ですね。その裏方の役割を担っているほか、日常生活用具のあっせん販売等を行っております。
こういった日常業務自体が読書環境の整備に関する事業なのですけれども、今回は、そういうふだんの枠組みとはちょっと毛色が違う事例をお話しさせていただきます。大きく分けて3点挙げさせていただきました。
1つは「出版者との連携事例」と書きましたが、点字図書館から出版者への協力事例と言い換えてもいいかもしれません。具体名を出しますが、小学館さんが発行されている文芸誌『GOAT』、その姉妹誌『GOAT meets』というものがあるのですが、こちらの雑誌のテキストDAISY化に協力しております。
この2つの雑誌は文芸誌でございますが、読書バリアフリーの取組ということをかなり大きく取り上げて対応されていらっしゃいます。まず電子書籍版、リフロー型とフィックス型を用意されておりますし、オーディオブック化も進めていらっしゃいます。そして、購入者にはテキストデータの提供もされています。
今ここに2号を持ってきたのですけれども、6月に発行されたものです。この巻末辺りに「GOATのバリアフリーへの取り組みについて」というページがあって、今申し上げたようなことが書いてあります。テキストの請求はQRコードがありまして、ここからスマホを持っていらっしゃる方は読み取って請求ページに飛ぶことができますし、URLも書いてありますので、ベタ打ちで飛ぶこともできる。
それで、ここにテキストデータの提供に加えてテキストDAISYもということで、視覚障害者等の方はDAISYのプレイヤー等のほうになじみがある方も多いですので、そういった方にも対応できるように当館が提案して協力しております。
ちょっと余談なのですけれども、先月出た『GOAT』の姉妹誌ですね。『GOAT meets』の中に小説家の滝口悠生さんがテキストデータについて思考と提案ということでエッセイを寄せていらっしゃいます。著作者の側からテキストデータに対して提供の経験を書いていらっしゃいまして、そこで感じたいろいろな課題ですとか提案等が書かれています。そして、最後には出版者側や国等にちょっと刺激的な提案等も書かれていらっしゃいますので、もし御興味があればお読みください。
単行本とか新書とかでテキストデータの提供を購入者にされている出版者等はいらっしゃいますけれども、文芸誌という媒体でそこまでバリアフリーに取り組んで読み方の選択肢を複数用意されているのは珍しいかと思いまして御紹介させていただきました。
2つ目は、「オーディオブックサービス事業者の協力事例」です。これは、サービス事業者さんから我々点字図書館に協力いただいたという方向性の事例です。日本点字図書館では2022年度からAudibleさんから権利の許諾が得られた音源を提供いただいています。
当館では夏と冬に2回、「セレクトパック」というサービスを企画しています。これは、いわば音声DAISY図書の詰め合わせサービスみたいなものでして、利用者さんの読書推進のためのお楽しみ企画として行っているのですけれども、そのパックの一つとして「Amazon オーディブルセレクト」という名前をつけて、いただいたAudibleの音源を毎回20タイトル前後DAISYフォーマットに変え編集をして提供しております。当館の利用登録者に、SDカード等のメディアでのみですが、提供しております。サピエ図書館にはアップしておりません。
最後に、3つ目の事例は「オーディオブックの紹介イベントの開催」です。点字図書館では主にDAISY図書をつくって、それを日常的に利用者さんに提供しているのですけれども、読書の方法としてオーディオブックというものもあるんですよ、ということもなるべく紹介していきたい。そして、選ぶのは利用者さんですので、それぞれのいいところ等を紹介して、読書方法の情報提供としてこういったイベントを開催いたしました。
これは日本点字図書館の中ではなくて、日本点字図書館が指定管理者として運営している川崎市視覚障害者情報文化センターで行いました。今年の5月31日です。小学館さんとのコラボレーションの企画として「オーディオブック・サロン」という名前で1日かけて行いました。約150名の参加がありまして、中には視覚障害当事者だけではなくて図書館関係者や出版関係者、支援者等も含まれますが、そのような参加がありました。
中身といたしましては、オーディオブックのつくり手さんからのトークですね。小学館の木村匡志さん(マーケティング局アクセシブル・ブックス事業室)に登壇いただいてお話しいただいたり、利用者さんに対してオーディオブックとDAISY図書の違いはどこにあるのかということを知っていただくために、同じタイトルの一部の箇所をオーディオブック版とDAISY版で聞き比べてもらうというようなコーナーを設けたりして、情報提供の一つとしてこういったイベントを開催いたしました。
当館からは以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
では、続きまして全視情協の川崎さんからお願いいたします。
【川崎委員】 全国視覚障害者情報提供施設協会の川崎でございます。
今、御発言されました日本点字図書館さんがサピエのシステム管理を担っていただいておりまして、私どもがサピエの運営を担わせていただいております。サピエ図書館自体は2010年に始まっておりますので、今年15年となります。ただ、その前にも1988年に開始されました点訳広場というところが大本になっておりますので、その頃まで遡りますと22年プラスの歴史がございます。
当時は、製作に関わる部分もまだ重複製作があったり、いろいろな形でちゃんとした製作基準ができていなかったりということもあって、なかなか難しい面はあったのですけれども、おかげさまでサピエ図書館が始まりましてからそういった重複製作もなくなり、出版者の方々にも安心していただけるように、著作権法を明示しながら製作基準もかなり厳しいもので現在運営をさせていただいているところでございます。
私どものところには今4つの専門委員会がございまして、サービス、それから点訳、録音ですが、この録音は主に音声DAISYに関わる部分ですね。それから、電子書籍という専門委員会がございまして、こちらはテキストDAISY、マルチメディアDAISY、それからシネマDAISYに関わる部分をやらせていただいています。それぞれに点訳のほうは点字データに関するものですけれども、専門の点字指導員とか音声訳の指導員等の養成講習、それから試験等も行いながら、データについては審査のちゃんとしたプロジェクトがございまして、サピエにデータ提供していただくところをかなり厳しくやらせていただいています。理事長がいる施設は少し甘くしろなどということもできませんので、そういう意味では私どももテキストDAISYをつくるときにはかなり厳しい審査を受けてやらせていただいているところです。
そういった中で15年を迎えましたサピエですけれども、今年の第2期計画が始まるに当たって、先ほど藤堂委員からも厳しい御意見をいただきましたが、視覚障害者等の「等」を入れさせていただきました。これまでは視覚障害情報総合ネットワークサピエという形で運営してきましたけれども、「等」を入れることによってさらに今、読書困難であられる方たちを取り込んでいきたいという思いでございます。読書を諦めないということを念頭に置いて、私たちはサピエの運営をさせていただいております。
令和元年度より、厚労省様から運営にかかる補助金をいただくようになりますが、これがだんだん増額をしていただきまして、これまでサピエ図書館開館当時からずっと利用者の方に協力金をお願いしてきて、二千数百万円の協力金をお願いするようなことが続いていたのですけれども、今は補助金をいただけるようになりまして協力金をいただかなくて済むようになりました。これは非常に大きく前進したことで、ありがたく思っております。
また、サピエを運営するに当たって、今までもっと使いたかった職員の増員とか、広報にかかる部分の支出等にも使えるようになりましたし、おかげさまでこの8月にAIスピーカーですね。これはアマゾンスキルによるものですが、こちらの開発にもこぎ着けまして、加盟施設、それからサピエに加盟している団体等への説明から始まるのですが、これから利用者の受入れも始めていこうかと思っております。先ほどリーダーの読み上げに関することとかもありましたけれども、これからまたさらにそういったことも含めてしていきたいと思っております。
サピエの施設、団体会員の推移に関しては表でお示ししたとおり、公共図書館が非常に多く参加していただいています。点字図書館はもちろんですが、障害者サービスをやっているであろう公共図書館、これは日図協の佐藤聖一様にも御尽力いただいて、今は300館をちょっと超えるくらいの数の図書館がやっていただいているということで、かなりそこに迫る数字の公共図書館が関与していただいている。大学図書館ももちろんそうですけれども、ただ、盲学校、視覚特別支援学校に関しては本当に緩やかな増加でございまして、67校のうちのやっと半分を超えたところでございます。
公共図書館には毎年チラシ等の配布をしているのですが、昨年度、全国の特別支援学校1,200校に対して初めてサピエの案内チラシをまくことができました。これは、各都道府県に設置されております点字図書館の情報提供施設を通じてもやっていただいてはいるのですが、なかなか全てにということにはいきませんでしたので、初めてそういったこともできる。それも、一つの補助金をいただいた成果かなと思います。
サピエをこれから多くの方に知っていただいて、今日は御欠席ですけれども、近藤委員の学校図書館、読書バリアフリーコンソーシアムでサピエの総会をさせていただいたりしますと、初めて知ったという方たちがまだまだ多くおられるので、そういった情宣活動が必要かと思っております。
サピエの個人会員の推移に関しましても、おかげさまで伸びてはきています。
ただ、まだまだ伸びる余地がございます。2万人を超えて喜んでいる段階ではございませんので、この中で視覚障害以外を主な原因とする方たちが900名ということで、まだまだ点字図書館という言葉を使うとなかなかということも言われております。私たち加盟施設の問題はやはり様々な事情を抱えておる中で、一気にどうこうということはなかなか難しいのですが、視覚障害でさえまだ十分ではないのにどうしていくんだというようないろいろな突き上げをいただいている。私たちもそういう中で一つの指定管理を受けている施設からは、条例によって手帳を持っている視覚障害者だけしか利用できないんだと言う声もいただいています。そういうことがないように、サピエ図書館はどなたでも使えるように、読書困難であればどなたでも使えるんだということを私どもはこの加盟施設に対しても、または自治体に対しても言っていかないといけないということを常々感じながら事業を行っているところでございます。
サピエ図書館の図書数については、これも御覧いただくとおり、書誌数については84万タイトルございます。このうち、点字図書27万タイトルと録音図書13万タイトルはサピエ図書館のホームページからダウンロードができます。ダウンロードできない図書は、製本された点字図書や録音図書CDという形にはなりますけれども、リクエストして借りることができるようになっております。
また、マラケシュ条約に基づきますAE業務、これは国立国会図書館と全視情協がやることになっておりますけれども、全視情協としましては加盟団体でもございます河村委員がおられる支援技術開発機構にお願いをしまして、サピエに登録している書誌をABSCのほうへ上げていただきまして、現在提供された書誌情報がもう11万タイトルを超えております。それがABSCに反映をされておりまして、世界各国で御覧になれる形になっております。英語、フランス語に次いで日本語のものが第3位の数を今、誇っておるというのは非常にありがたいことで、そこに登録するということは、もう既にいろいろな方々が御覧になっているということで、カナダのほうからの問合せがあったりとか、今もう始まっておるところでございます。
サピエ図書館で利用できる本というのは、音声DAISY図書であったり、テキストDAISY図書、マルチメディアDAISY図書であったり、点字図書であったりします。これはちょっと長くなりますのでここで申し上げることはできないのですけれども、DAISYは皆さん御存じのとおりアクセシブルな情報システムで、読みたい場所に効率的に移動できるということで、河村委員は今DAISYコンソーシアムの委員長ですけれども、河村委員がおられなかったら多分日本のDAISYはここまで早く普及することはなかったかなと私たちも思っております。
全国の図書館や団体では、2万人近いボランティアの方が無償で図書の点訳、音訳、録音、データ編集を行い、1週間で約数百冊の図書がつくられています。年間にしますと、点字と録音で今1万5000タイトルほどが製作されてできております。
ただ、これは全て無償でございますので、今始まりました実証調査等も含めて、今後17条の問題にもこれは絡んでまいりますけれども、これから私たちのアクセシブルな電子書籍の製作に関わる部分がこの無償のボランティアに頼るものでいいのかどうかというのもこれから考えていかなければなりません。
次に、製作基準による品質保持です。先ほども申し上げましたとおり、標準化された質の高いデータの製作ということで、今やっております専門委員会の中のプロジェクトで厳しくこれは追求しております。今はデータ授受のお話になりましたときに、出版者の方々からやはり懸念が出ております。著作権に関すること、法律に関することもさることながら、データ自体がちゃんとしたものなのかどうかということも出ておりますので、この辺は私たちも胸を張って、間違いなくちゃんとしたデータがサピエに上げられているんだと言えるように、これは精進していくしかないと思っております。研修会を開催したり、様々なところで質の高いデータを作成してアップができるように、今サピエ事務局のほうでも日々監視をしながら、また委員会のほうでも審査プロジェクトで抽出をしながらやっているところでございます。
それから、著作権に関する明示ですね。これも音声データの中では音声でしかできませんけれども、こちらもちゃんとしていけるようにしております。これも、出版者の皆さんにも御安心していただけるようにということでやっております。
最後にサピエ図書館の図ですけれども、こちらはダウンロードができる利用者はどうするか、点字図書館、公共図書館、学校図書館はどうなっていくのか、やりとりを示した図ですが、これは公共図書館と学校図書館等の方々にもこうやって図でお示しをして御紹介させていただいているところです。自分たちのところで図書がなくても、こうやってサピエ図書館を使っていただくと情報提供できるんだよということを載せております。
最後に、全視情協のホームページでサピエの動画を公開しておりますので、是非御覧ください。23分に及ぶので、PR動画としては非常に長いということで随分お叱りをいただいているのですけれども、詰め込みたいことがいっぱいありまして、いろいろな方々、当時者の方も様々な方が出演していただいてやっております。
これまでこの協議会の中でもいただきました課題につきましては、私どもも真摯に受け止めてこれからも精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
【中野座長】 御報告ありがとうございました。
ただいまの御報告に関しまして、何か御意見等ございますでしょうか。
では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
感想を2つと質問を3つお願いします。
まず感想の1つ目です。川崎委員の発言の中で、自治体がまだ点字図書館のサービス提供の対象を視覚障害者に限定している条例が残っているというお話がありました。この問題については、何年か前にも同じお話があり、それはおかしいという議論をこの会議でしたかと思います。国が読書バリアフリー法を制定し、障害者差別解消法でも障害者への不当な取扱いを禁止し、合理的配慮の提供義務を規定している中で、いまだに自治体がそのような条例を残しているのは、国の動きを認識していないように思います。
国にそのような自治体を把握していただき、ピンポイントで指導していただいてもよいような内容だと思います。条例レベルでこのような不合理を残しているのは早く解消すべきだと思います。
感想の2つ目です。澤村委員のお話の中でオーディオブックについての言及がありました。私たち視覚障害者はこれまで音訳ボランティアの方の淡々とした読み方に慣れてきたわけですが、オーディオブックは抑揚も豊かで、私はこれもすばらしい読み方だなと思っています。障害者の中でもサブスクの契約が金銭的に厳しい人もいるかもしれませんが、中にはオーディオブックのようなものが市場に出ているのなら、是非オーディオブックをサブスクで聞きたいという人もいると思います。そういう意味では、お話のあったようにオーディオブックの存在を知らしめていただくことにより、オーディオブックの市場も大きくなっていくということも考えられますので、さらに広げていただきたいと感じました。
質問の1つ目です。先ほども少しお話しさせていただきましたが、テキストDAISY作成におけるAIの音声の利用についてです。音訳ボランティアに限らず、点訳ボランティアも拡大写本ボランティアも今日、少人数化や高齢化の問題を抱えています。
ひょっとすると20年、30年後にはボランティアにお願いするということが難しい時代になるかもしれません。そうなると、ボランティアに頼れなくても障害者への読書が保障される仕組みを考えなくてはなりません。
そういう意味で、セリフのない書籍だけでも、きれいな読み方で、機械的に供給できるようにしていくことは大事な研究だと思います。その展望について、現場の立場からどうお感じになりますでしょうか。
2点目の質問です。これも第1期の5年間では、ずるずると後回しにされてしまったので、第2期の中でこそ解決すべき問題だと思っていることです。先ほど川崎委員のお話の中で、ようやく全国の盲学校でサピエに加入しているのが半分を超えたということでした。それでも半分強なわけです。これは現場というよりは、厚労省、文科省のレベルで解決してもらわなければいけない問題かもしれません。やはり、年会費の4万円がネックになっておるということです。国が視覚障害の専門機関としての盲学校を設置しているわけです。また、読書バリアフリーの対象となった肢体不自由の特別支援学校も専門機関として教育機関を設置しているわけです。読書の資源はきちんと届け、子供たちの読書の環境を整えることは、国としても必要な環境整備だと思います。
例えば厚労省、または全視情協が学校の年会費を無料にするとか、文部科学省が盲学校や肢体不自由の特別支援学校のサピエの年会費を予算化するということを、基本計画の第2期の中で進めるべきだと思います。
ディスレクシアの子供たちは地域の通常の学級にたくさん就学していますので、どのようにして環境を整えるべきなのか、私にはすぐには分かりません。しかし、少なくとも視覚障害と肢体不自由については専門の教育機関を設置しているという意味で、どのような方針をお持ちでしょうか。
3つ目は日点に質問です。シネマDAISY(※)はとても人気があり多くの視覚障害者が楽しんでいます。同じように日点が所蔵しているテレビDAISYもネットワークに乗せたほうが多くの人が楽しめるのではないかと思います。SDカードの貸出しではなく、シネマDAISY(※)と同じように私たちが気軽に楽しめるようにしてもらえないかなと思うのですが、難しいでしょうか。
以上です。
【中野座長】 では、3つ質問がありましたので、それぞれ関係のところから御回答をいただきたいと思います。時間がかなりオーバーしておりますので、簡潔な御説明をよろしくお願いします。
【川崎委員】 1点目と2点目についてですけれども、川崎のほうから、AIの活用につきましてはこれから本当に研究材料となってくると思っております。まだ具体的にどうするかということに関しては何を使うかとか、リーダーの問題とか、もろもろございますので、まずはテキストDAISYがちゃんと読めるように、これは製作側の問題が非常に大きくなりますのでちゃんと誤読なくスムーズに読めるように、現在のリーダーでもちゃんと読めるようにまずしていくのが先決だと思っております。その上で聞きやすさを追求するというのは、私もそれはそう思います。
今、実はテキストDAISYができると、音声DAISYはいつできるのかというようなお問合せがあります。それだけまだテキストDAISYが途上なんだということも思っておりますので、そこは今後も課題とさせてください。
2点目については、実は私ども文部科学省へ毎年大会が終わるたびに出向きましてお願いをしているところです。文部科学省のほうからも回答としましては、各都道府県へちゃんと通達を出していて、これは負担金の形で各教育委員会のほうへお願いしているんだけれども、それ以降は教育委員会がどうするかという問題があるそうです。
ただ、これは民間の点字図書館も私どものところもそうですけれども、点字図書館はウェブ図書館を使っている関係でサピエに対して年間6万円の支出をしています。これは全視情協の加盟施設でさえ6万円負担しているわけです。公共図書館にも4万円をお願いしている。それで、学校図書館のほうだけ、これを例えば全視情協から出すのかとか、厚労省から出すのかというのは、またこれも違う話かと思いますので、全視情協としては文部科学省のほうへ是非お願いをしたいということで毎年お願いに上がっているところでございます。
以上です。
【中野座長】 では、澤村委員、お願いします。
【澤村委員】 1つ目と3つ目の御質問に対してお答えいたします。
まずAIの活用ですけれども、言い換えれば音声合成による音声図書の製作ということかと思いますが、当館としては実は10年以上前から取り組んでおりまして、NPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネットさんとソフトウエアをつくったことがあります。これは、特定の音声エンジンとの連携によって音声合成でもって音声コンテンツがつくれる。音声DAISY、あるいはマルチメディアDAISYがつくれるというもので、実はサピエに上がっていないようなコンテンツに関しては結構業務の中で使っております。あとは、マルチメディアDAISYで教科書をつくる場合にもそれが使われています。
さらに進化させて、もっと人間に近い音声でリアルタイムに進化していく仕組み、これは我々も非常に興味がありますし、ボランティアさんの高齢化ですとか減少という傾向が明らかに見えていますので、取り組んでいかないといけない課題だと思っております。製作ソフトウエア、システムをどうするかという問題で、当館単体ではなかなか解決できないところですので、是非国ですとか企業さんなどから、あるいは業界から御支援いただきたいところでございます。
3つ目ですね。テレビDAISYはサピエに上げられないのかということなのですけれども、これはNHKから特別な許可をいただいて製作しているものです。つまり著作権の制限下で製作しているというよりは許諾を得て製作している、提供しているものですので、これは本当に放送事業者さんの考え次第になってくるかと思います。テレビのコンテンツですと、かなり権利関係は複雑で難しいので、なかなか一筋縄ではいかないかなと想像しております。
以上です。
【中野座長】 では、最後は文科省からお願いします。
【星川室長(文科省)】 障害者学習支援推進室の星川でございます。
先ほど宇野委員から御指摘いただきましたサピエの活用の件ですけれども、図書館室から冒頭御説明をさせていただきましたとおり、読書バリアフリーコンソーシアムで、サピエの御紹介などをさせていただいておりまして、実際にその活用をするかどうかは確かに学校の判断というところはございますが、そのような機会を通じて普及啓発を進めているということが1点です。
また、それ以外にも、例えば国立国会図書館において様々なデータを掲載いただいているというところもございます。そういったデータを活用しながら、学校の読書環境の整備を進めていけたらいいのではないかと思っているところです。
以上です。
【中野座長】 では、手短にお願いいたします。
【宇野委員】 今の文部科学省のご発言についてですが、国会図書館にはサピエのデータは流れていません。サピエのデータは、あくまでもサピエからもらうしかないという状況です。国会図書館のデータは、サピエに流れていますので、サピエ側からはダウンロードできるということだと思います。
私が質問した意図は、サピエ内の資源が、教育委員会の考えや予算などの理由はさておき、子供たちに届けられていないということです。文部科学省は教育をつかさどる限り、結果責任として、今の状態があまりよくないということはご理解いただけるかと思います。ここは関係者協議会ですし、もう協議をしていく段階だと思います。もう少し前向きにご検討いただければありがたいです。
以上です。
【中野座長】 御意見ありがとうございました。
ほかはよろしいでしょうか。もう一つ議題が残っておりますので、申し訳ございませんけれども、もう既に御予定のある方に関しましては御退席いただかざるを得ないかと思っておりますが、もうしばらくお願いいたします。
議題の3番目です。「特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて」の御報告をお願いいたします。
文科省、よろしくお願いします。
【星川室長(文科省)】 文部科学省から、ワーキンググループの検討状況について御説明をさせていただきます。
資料は4となります。時間の関係で、手短に説明させていただきます。
まず<目的>として書かれておりますが、そもそもこの実証調査は、特定書籍の効率的な製作を促進するため、国において環境整備等を講ずるということが読書バリアフリー法11条2項にございますので、その目的を達成するために実施しています。
実証調査のスキームは、資料の下のほうにございますが、ごく簡単に申し上げますと、出版者と読書困難者の間にABSCさんに入っていただきまして、特定書籍の製作者と出版者の円滑な電子データのやりとりをどういうふうにしたら進められるのかということを検討していくというものでございます。
先日実証調査は開始したところではございますが、調査開始までには、本当に様々な調整が必要となりました。これは、資料上はひとつの調査に見えるのですけれども、実際には厚生労働省、経産省、文部科学省と、三省それぞれが予算を確保して、それぞれ民間事業者ですとか関係団体などとの契約などによって調査をひとつ立ち上げています。つまりひとつの調査に見えて、三つ別々の調査を連携させながら進めなければいけないというものでございました。そうしますと、それぞれのお立場で、要望や懸念など調整すべき事項が多々ございました。
具体的な進め方においても、例えば「データ提供を依頼する」といっても、どういう様式で、何曜日に依頼して、何日以内に回答をもらうのか、ということや、データ漏えいを防止するためにどういう内容を覚書に記載すべきなのかとか、そういった細々したところを一つ一つ調整しながら、実証調査なのでそれ自体を明らかにすることが調査の目的ではあるのですけれども、一方で実際にデータを出していただくものとなっておりますし、特定書籍の製作を希望する読書困難の方の要望にもこたえる必要があるということで、一気に何かを進めるというよりも一つ一つ課題を解決しながら進めているという状況でございます。
今後のスケジュールにつきましては、資料の2枚目にございます。昨年度は基本計画の策定などもありまして、ワーキングは1回しか開催できなかったのですけれども、今年度はもう少し丁寧に進めたいと思っております。既に1回開催しておりますので、今年度中にできればあと3回、進捗状況ですとか、状況に応じてさらにワーキングを開いたり、もしくはそれぞれ関係者同士で協議をしたりするとか、そういった会も開催しながら、調査を進めてまいりたいと思います。
また、進捗状況につきましてはこの関係者協議会の場で御説明、御報告をさせていただきたいと思っております。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。
この件に関しましてこれから議論をしていただきたいと思いますけれども、先ほど国立国会図書館からも御報告がありましたように、この調査研究で仕上がったデータに関しては国会図書館のほうに収めていくというようなスキームがもう既に出来上がっていて、調査研究ではあるけれども、そこで出来上がったものはそうやってコンテンツとして増えていくというような形で、極めて実証的な調査研究になっているということでございます。
それでは、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。
宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
モデル事業の中で、現場からこの図書のテキストデータをお願いしたいというような希望は、出せるものなのでしょうか。
【中野座長】 文科省、御回答をお願いします。
【星川室長(文科省)】 今回、実証調査に参加する図書館はあまり大きな規模でできないということもありまして、厚生労働省側で5館、文部科学省側で6館と、限られた図書館になっております。それらの図書館に要望を出していただければ、この調査のスキームに乗せることができるという状況になっております。
それで、そこがどこなのかということについては、既にABSCさんがホームページを立ち上げていただいており、そこを御覧いただければどの図書館が参加しているのかが分かるということになっております。
以上です。
【宇野委員】 分かりました。ありがとうございます。
【中野座長】 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今の実証調査に関しましては、先ほど御説明がありましたように、今後も適宜ワーキングの内容についてこの委員会で報告をしていただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今回、最初のトラブルがありましてこのようにすごく時間が押してしまいまして申し訳ございません。本日予定していた議事3件に関しましてはこれで全て終了となりました。今後、この議論をどう進めていくかということにつきまして、今後のスケジュールということで事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【吉元補佐(厚労省)】 事務局の厚生労働省の吉元と申します。
本日は、長時間にわたりまして活発な御議論をいただきましてありがとうございました。また、冒頭、通信障害等がございまして大きく遅れましたことを改めておわび申し上げます。また、資料等の不備につきましてもおわびを申し上げさせていただきたいと思います。
本日いただいた意見等につきましては、事務局及び関係省庁で中身を改めて確認させていただきまして、しっかり進めていきたいと思いますとともに、いただいた意見の内容につきまして関係者協議会の場を通じまして、進め方とか方針について回答させていただきたいと考えている所存でございます。
今年度の関係者協議会につきましては、年度内にあと2回程度開催させていただく予定です。内容といたしましては、ワーキングの進捗等もございますけれども、本日いただきました意見等につきまして回答できるものは回答させていただきたいと思いますし、今回は日点さんと全視情協さんに御報告いただきましたが、より建設的な議論ができるような場にしたいということもありまして、関係団体さんなどの取組につきまして、この協議会の場では見えない部分でこういうことをやっていますよという取組等につきましての発表の場も設けさせていただければと思います。関係団体さんにはまた事前に調整等の御連絡をさせていただきますので、是非とも御協力をよろしくお願いいたします。
私のほうからは以上となります。
【中野座長】 どうも説明ありがとうございました。
ただいまの御説明に関して、何か御質問等ございますか。
宇野委員、お願いします。
【宇野委員】 宇野です。
今年度、あと2回関係者協議会を開催していただけるということを聞いて、とても安心しました。年1回限りでは、省庁側の報告があり、それに対し私たちが意見を述べ、それがどうなるかを待つという運営に終始していたかと思います。
今日も会議時間は2時間ありました。「簡潔に」とお尻をたたかれ発言していましたが、やはり1年に2時間だけではとてもとても足りません。今までも年に数回開催してほしいと要望していましたが、第2期にはいってそのような取組を始めていただけるというのは大変ありがたいことだと思います。是非よろしくお願いします。
【中野座長】 どうもありがとうございます。皆様からいただいた御意見については、このように反映させながら進めていきたいということでございますのでお願いします。
では、河村委員、お願いします。
【河村委員】 今日、報告に出るのかなと思って期待していたのですが、経済産業省のほうで大変重要な調査が令和6年度の報告書として発表されました。それについて、今日は多分時間の関係でほとんど御報告がなかった項目なのですが、ずっと私のほうから申し上げておりましたいわゆるDRMに関して、アクセシブルなDRMとして注目されている国際標準規格になっておりますLCPについての大変詳しい報告が、経済産業省の令和6年度の報告書のEPUBの動向という中の2の6というところにリーディアムLCPという形で、こそっとあるのです。
これは大変重要なもので、特に出版者の方々に是非御覧いただきたいし、今後の議論の中で共有させていただきたいと思うのですが、これが国際標準規格、ISOになっておりまして、日本DAISYコンソーシアムを協力させていただいて、これのJIS化が決まっております。JIS化の作業が始まっておりますので、次回には進捗など御報告できるかと思うのですけれども、これまでせっかく中身をアクセシブルにしても、DRMで結局はアクセシビリティーが阻害されるという事態だったと思うのですね。その意味で12条関係がなかなかはかどらないということだったと思うのですが、今後は是非皆様、経産省の報告書をお読みいただいて、このアクセシブルなDRMがこれから使えるようになるということをベースに次回検討、議論をさせていただきたいと思います。
以上です。
【中野座長】 ありがとうございました。大変重要な情報提供と、それから次回に向けての御提案をいただきましたので、この件に関しましては省庁のほうで是非次回への対応を御検討いただきたいと思います。
そのほか、よろしいでしょうか。
それでは、最後に進行役からお願いですが、次回は是非事前にネットワークの確認をしていただいた上で、延長がないように進めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
短時間でしたけれども、進行に御協力をいただきましてどうもありがとうございました。
それでは、本日はこれで終わりとさせていただきます。御協力ありがとうございました。
※テレビ番組・ドラマの解説放送音声を収録したコンテンツ。形式としては音声DAISY。
―― 了 ――
お問い合わせ先
障害保健福祉部企画課
自立支援振興室情報・意志疎通支援係
TEL:03-5253-1111(内線3076)