福祉・介護視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第11回)議事録


1.日時

令和6年10月28日(月曜日)15時00分~18時00分

ページの先頭へ戻る

2.場所

全国都市会館3階 第1会議室

ページの先頭へ戻る

3.議題

1.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)案について
2.今後の進め方について
3.特定書籍等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて

ページの先頭へ戻る

4.議事録

【中野座長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第11回)を開催させていただきます。
 まず初めに、本日の出席状況や資料の確認など、事務局から御報告をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  本日事務局を務めます、文部科学省障害者学習支援推進室長の星川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議の構成員については、参考資料1の設置要綱に記載されているとおりですが、今回の会議より御参加いただく委員がいらっしゃいますので、御紹介をさせていただきます。
 社会福祉法人日本点字図書館総務部長 野村委員の後任として、同館図書製作部長の澤村委員が着任されました。なお、澤村委員については、遅れてオンラインで御参加の予定です。
 続きまして、公益社団法人全国学校図書館協議会理事長 設楽委員の後任として野口委員が着任されました。なお、野口委員は本日御欠席となっております。
 続きまして、構成員の出欠状況について御報告いたします。本日は欠席の委員が4名いらっしゃいますが、うち2名については、代理の方に御出席いただいております。御欠席は、公益社団法人日本眼科医会常任理事の井上委員、堺市健康福祉局障害福祉部障害施策推進課長の吉田委員です。また、一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長の市川委員の代理として副理事長兼事務局長の日詰様、先ほど御紹介をしました公益社団法人全国学校図書館協議会理事長の野口委員の代理として、調査部長の磯部様に御出席をいただいております。
 以上、会場参加16名、オンライン参加6名となっております。
 最後に、事務局内での異動がありましたので、御報告をさせていただきます。
 文部科学省男女共同参画共生社会学習・安全課長について7月5日付で異動があり、安里課長の後任として中園和貴課長が着任しておりますので、御挨拶をさせていただきます。
【中園男女共同参画共生社会学習・安全課長】  ただいま御紹介にあずかりました男女共同参画共生社会学習・安全課長として参りました中園と申します。この協議会におきましては、読書バリアフリー法に基づく基本計画の次期策定に向けた見直しの御議論ということで、これまでの事業の取組の内容の盛り込み、あるいは新しい取組として、基本的施策に関する指標の盛り込みといったことをただいま御議論いただいているところでございます。是非、関係の皆様からの活発な御意見をいただければ幸いでございます。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  次に、本日の資料について御説明をさせていただきます。本日の会議は、ペーパーレス開催とさせていただいております。構成員の皆様には事前に資料を送付しておりますが、同じものが机上のタブレットにございますので、そちらを御覧ください。また、傍聴の方は、厚生労働省及び文部科学省のホームページに資料を掲載しておりますので、そちらを御確認ください。本日の資料は、議事次第に続きまして、資料1から3、そして参考資料1から3、以上の6点になります。また、本日、佐藤委員より、りんごプロジェクトの冊子を配付いただいております。資料が表示されないなど、御不明の点などありましたら事務局にお声かけください。
 また、本日オンラインで御出席の委員の皆様へお願いです。カメラは通常はオンのままにしていただき、御発言の際には、Zoomの「手を挙げる」機能の使用をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにするよう御協力ください。なお、通信障害などで不具合が発生した場合などは、事前にお伝えしております事務局の連絡先までお知らせください。
 最後に、事務局より会場の退出時間についてのお願いがございます。前回の第10回協議会と同様に、本日は遅めの時間からの開催となりました関係で、会場の退出時間まであまり余裕がない状況です。委員の皆様におかれては、限られた時間となり大変恐縮ですが、会議の運営について御協力をいただけますと幸いです。
 事務局からは以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。申し遅れましたが、座長の慶應大学の中野と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、頭撮りはここまでとさせていただきますので、カメラは御退場をお願いしたいと思います。
 では、これから議題に入っていきたいと思います。本日、長い時間でございますけれども、三つの議題について議論をさせていただきたいと思います。1番目が「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)案について」でございます。二つ目に、「今後の進め方について」議論をしていただき、最後に、「特定図書等の製作に係るデータ提供のあり方についての検討ワーキンググループについて」議論をしていきたいと思います。
 それでは、早速、議題の1番目に入りたいと思います。第二期の計画案についてです。事務局から資料と議事の進行についての御説明をお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  資料1について御説明をいたします。その前に、基本計画(第二期)案の作成に至る経緯を簡単に御説明させていただきます。
 まず、7月の第10回関係者協議会の前に書面で聴取した御意見と関係者協議会の場で頂いた御意見を反映しまして、事務局で基本計画(第二期)の素案を作成し、関係省庁等で確認をさせていただきました。8月27日に開催しました関係省庁等会議での了解を経まして、同日付で構成員の皆様には素案を御提示し確認をいただき、再度御意見をいただいたところです。それらの御意見を反映しまして、関係省庁等で再度確認したものが今回資料の案として提示をさせていただいたものとなっております。構成員の皆様におかれましては、御多忙の中、積極的に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
 なお、案の作成に当たり、構成員の皆様から大変多くの御意見をいただいたところですが、基本計画という位置付けを踏まえまして、例えば協議会構成員の中での合意形成が不十分と思われているものや、具体的な事例など粒度が細かいと思われるもの、読書バリアフリー法の範囲外に言及されているものなどは、関係省庁等において十分に協議検討した上で、基本計画に盛り込まないという判断に至ったものもございます。なお、基本計画に盛り込んでいないものも含めまして、今回頂いた御意見は全て関係省庁等で共有をしております。今後の施策推進の参考とさせていただきたいと考えております。
 なお、資料1ですが、基本計画(第一期)からの追記・修正等を行った部分を赤字で示しています。削除部分も含めた修正の全体については、参考資料3に対照表の形でお示しをしております。
 最後に、議事の進め方ですが、基本計画の項目ごとに頂いた御意見の反映状況について事務局から主なものを御説明させていただきますので、その後に、その項目全体に関する意見交換を行うという形で進めていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。今説明をしていただいたように、それぞれブロックに分けて議論をしていきたいと思います。3時間という全体の時間を取ってありますけれども、それぞれ議論をしていると時間がすぐなくなってしまいますので、各項目10分程度を上限としたいと思います。それから、より多くの御意見を多くの構成員の方から頂きたいと思っておりますので、御発言される際には、できるだけポイントを絞って簡潔に御発言いただきますよう、御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、まず「はじめに」から、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  「はじめに」のところから御説明をさせていただきます。実はこの部分、一番長いところでございます。最後7ページまで至りますので、主な変更点のみ言及する形で御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、本基本計画の名称も含めまして、全体を通じて「視覚障害者等」を「障害者」として広く読めるようにすべきとの御意見をいただきました。こちらについては、法律の名称でもございますので、法律で視覚障害者等の範囲を決めているという性質も考えた上で、従来のまま変更せずとさせていただいたところです。
 次に、「1.法律成立までの背景やこれまでの経緯」についてです。こちらにつきましては、「これまでの」という言葉を追記して、基本計画の第一期期間中の取組について記載することとさせていただきました。そのため、全体のボリュームがあまり長くならないように、前半部分の法律成立までの背景については、既に第一期に記載しているということを踏まえて、一部割愛をさせていただいております。一方で、法律成立後の動きとして、関係者協議会での議論や情報保障への社会の関心の高まりなどについて追記をしているところでございます。
 1については以上になります。
 次に、2の基本計画のところに移ります。2ページの最後のところでございますけれども、「2.基本計画について」の(1)の位置付けについては、自治体における計画策定を促す文章を記載するとともに、注釈としまして、3ページの欄外に、自治体における計画策定の最新の状況を記載することとしております。
 続いて、「(2)対象期間」については年度の更新になります。「(3)構成」につきましては、今回、新たに「Ⅳ 基本的施策に関する指標」を設けましたので、その旨を追記しているところでございます。
 続きまして、「3.視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る意義と課題」という4ページに移りたいと思います。こちらにつきましては、障害者差別解消法の施行により、合理的配慮の提供義務が民間企業に拡大されたということについて追記をしているところです。また、注釈には最新の視覚障害児・者の数字を追記しています。
 少し飛ばさせていただきまして、6ページの「借りる」の部分でございます。6ページの「借りる」に関する修正部分ですが、サピエ図書館や国立国会図書館を含む各図書館が所有するアクセシブルな書籍について、第一期では共有されていないという記載であったところですが、第二期では、共有する仕組みが構築されてはいるが、周知が十分ではないというような記載に変更しております。
 続いて、「購入する」に関する修正部分ですけれども、こちらは7ページの前半部分に、電子書籍の普及状況を踏まえて、全体として数は増えてきたものの、その利用方法や書籍の種類に課題があるとの記載をしています。
 最後の部分には、読書バリアフリーの趣旨の理解を進めること、そして、それは地域を共生社会にしていくという視点でも重要であることなどを追記させていただいているところでございます。
 すみません、駆け足ですが以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、今御説明いただきました大きな1番、「はじめに」の記載について、御発言を希望される方は挙手、若しくは、オンラインの方はリアクションボタンを押していただきたいと思います。いかがでしょうか。
 では、河村委員、お願いいたします。
【河村委員】  いくつか反映していただいた改正もありまして、いろいろな論点を書かせていただいたんですが、大変御苦労されたことだと思いますので、私は自分の申し上げたいことは申し上げましたけれども、ただ法律のことですので、どこかでみんなで合意を図らなければいけないというふうには思っておりますので、その点をまず申し上げておきたいと思います。
 その上で、先ほど御説明のありました法律の名前が「視覚障害者等の」となっているとおり、ここでは「視覚障害者等の」という範囲で課題を取り上げるんだという御説明ですが、私は文言の上ではそれでも構わないと思うんですが、もう一方、2010年に大規模改正が行われました著作権法37条、ここでも「視覚障害者等」という言葉と、それから、そのとき以来、2010年以来、図書館関係の5団体でずっと実施してきた、試され済みの「視覚障害者等」というカテゴリーがございます。その中には聴覚障害者等もはっきり入っておりまして、そこに障害者サービスが対象とするときの「視覚障害者等」というカテゴリーとこの法律でいうカテゴリーとの間に何か微妙な差があるのではないかというところが、図書館、あるいは自治体が読書バリアフリー計画を実施する上で戸惑いがあるというふうに全国から聞いております。
 そこの点を勘案して、同じような言葉を使っているけど実は違うんだというふうなのは、どういうところがどう違うのかということを明確にしないと、なかなか自治体も計画を立てづらいし、それまであった障害者サービス、あるいは図書館の利用に障害のある人々へのサービスというものとの関係というのが明確になりにくいと。その点、これから基本計画の中できちんと取り組んでいくことを期待いたします。
 それから、もう一つ重要なのは、2020年の、これは国勢調査ですね、10年に1回の。その国勢調査のときに、それまで未就学というカテゴリーで回答していた部分に「小学校卒」というものが入りました。その結果、小学校卒で義務教育を完了していない人の数が80万人という数が出ております。これは基礎教育が完了していない方で、そのほかに未就学約10万がいますので、90万人の未就学ないしは基礎教育を完了していない方々、この方々の中の多くは、普通のコミュケーションはいいんですけど、読むことが難しいということで、夜間中学等での再学習の機会を保障されているという事情がございます。これは文科省がよく御存じだと思います。こういった方々は、明らかに読書にバリアがあるという方々ですので、最終的に障害のある人もない人も、日本語に通じない人も含めて読者バリアフリーを図るという目的であるとすれば、こういった方々も最終的には包摂できるような、そういう計画というものが望まれるというふうに思います。
 以上です。
【中野座長】  河村委員、ありがとうございました。御意見ということだと思いますが、もし文科省の方から何か御回答あれば、お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  事務局としては、今頂いた御意見を踏まえまして、今後の基本計画といいましょうか、この関係者協議会も含めて、検討課題として認識をさせていただきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。
 では、植村委員、お願いします。
【植村座長代理】  植村です。この報告書で気になる点は、地方公共団体の読書バリアフリー計画制定の遅れです。脚注にありますが、策定する予定なしの自治体が42もあるということに、いささか失望と驚きを禁じ得ません。調査するに当たって、なぜ予定なしとしているのか、その背景とか理由が分かれば教えていただけますか。この質問の理由は、もし本当にやむを得ない事情があるのだったら、そこをもう一つ手当てしなきゃいけないのかなと思うからです。ただ作りなさい、作りなさいだけではうまくいっていない理由というのがあればと思いました。
【中野座長】  御質問ということですので、事務局、お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  聞き取りになりますけれども、いくつかの自治体に調査をしております。遅れているところは、例えば担当する部署が決まっていないとか、そもそも住民からのニーズを聞いていないといった御意見がありました。当然、我々としては、それは、体制の問題だと思いますので、しっかりやるようにというようなお話はしているんですけれども、それをプラスアルファ何か後押しできるようなことがないかというのは、まだ明確な支援策というのはできていないなと思っているところでございます。
【植村座長代理】  ありがとうございます。ようは、怠慢なのかという気持がしますので、ここはしっかりと指導いただきたいと思います。よろしくお願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。もう一件ぐらい、もしあれば。
 では、三宅委員、お願いいたします。
【三宅委員】  日本視覚障害者団体連合の三宅です。(4)の対象範囲のことについてお尋ねをいたします。
 ここのところで最後のところに、身体障害者という言葉が出てきます。私、コメントのところで、このような言葉を使ってもよろしいんでしょうかというような投げかけをしたんですが、修正案にはそのまま身体障害者となっております。身体障害者という言葉になってくると、私の認識では、いわゆる身体障害者福祉法に言われるところで定義がなされているものであるというふうにあるんですが、ここで身体障害者という言葉を用いても差し支えないんでしょうか。私はむしろ身体ということを取ってしまって、障害者という方がここでは誤解がないんじゃないかなと思っているんですけども、お答えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
【中野座長】  ありがとうございました。では、事務局より御回答をお願いします。厚生労働省の方からお願いいたします。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  委員の御意見としては、ここは眼球使用が困難である障害者という方が適切じゃないかということでよろしいでしょうか。
【三宅委員】  誤解がないのではないかというふうに思いました。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  背景をちょっと調べさせていただきまして、もし必要であれば、修正等について検討させていただきたいと思います。
【三宅委員】  よろしくお願いします。
【中野座長】  三宅委員、ありがとうございました。これはいろんな法律が絡まる話なので、各法律での定義というのとここでの定義というのがきちんと一致して理解されるように再度御検討をお願いしたいと思います。
 それでは、ほかに特にないようでしたら、次に話を進めてまいりたいと思います。大きな2番目の基本的な方針について、事務局よりまず御説明をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  「Ⅱ 基本的な方針」場所としては8ページからになります。8ページの2ポツ、アクセシブルな書籍等の量的拡充・質の向上のところに追記がございます。量的な拡充においても、質の向上においても、新しい技術の導入などによって効率化や人材不足に対応できる可能性があるというような追記をさせていただいております。また、注釈のところには、御意見を頂きましたので、読書バリアフリーに関する三団体共同声明等についての注釈を入れさせていただいております。
 大きな変更点としては、以上となります。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、御意見等ありましたら、挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  宇野です。今から申し上げることが、この今のカテゴリーに該当するかどうかがちょっと不安なんですが、2点お伺いをします。
 一つは、図書の種類の名称として、「大活字本」と「大活字図書」と「拡大図書」という言い方があります。これらはそれぞれどういう意味で使い分けているんでしょうか。
【中野座長】  御質問ですので、事務局より御回答をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  先生、御指摘ありがとうございます。実は、まだそこまで言葉の平仄が取れていない部分がございますので、これは清書の段階で改めて定義等、確認をさせていただいて修正をかけたいと思っております。
 以上です。
【宇野委員】  分かりました。教育現場では、拡大教科書や拡大教材と言っていますので、拡大図書がなじみが深いです。大活字本とか大活字図書と言うと、実は株式会社「大活字」の本なのではという誤解をされるかもしれません。行政の文書としては、統一した用語を用いるのがよいように思います。
 もう一つは、所蔵数のところで、延べ何十何万点というような書き方がされているところがあります。例えばサピエでも、大半が点字図書や録音図書なんですが、点字は、点字使用者しか読めません。別の障害種別の人からすると、延べ数で書かれると、自分が読める図書がどのくらいあるのかが分かりにくいような気がします。また一方で、延べで書かれると、数は多くなるので、それなりの数があると思われても困ります。やはり資料の種類ごとに分けて書いた方が、実態を理解しやすいんじゃないかなというふうに思いました。
【中野座長】  重要な御意見ありがとうございます。今の御意見については、事務局の方で精査をしていただいた上で、どのような表記にするかというところを御検討いただきたいと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 上田委員、お願いいたします。
【上田委員】  オーディオ協議会の上田でございます。量の拡充のところ、質の向上部分なんですけれども、オーディオブックがアクセシブルな書籍であるというところは、既にこの文章の中でも……。
【中野座長】  上田委員、音が消えてしまいました。上田委員、聞こえておりますでしょうか。音が聞こえていないようです、こちらに。何かトラブルが起こっているようでございますので、また後ほど上田委員に御発言の時間を取らせていただきたいと思います。
( 通信調整 )
【中野座長】  では、申し訳ございませんけれども、時間の関係もございますので議事を進めさせていただきたいと思います。上田委員以外の方で御発言ございますでしょうか。では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  日本図書館協会の佐藤です。ありがとうございます。
 基本的な方針のこの部分ですけども、全体として非常にここのところは大変よくまとめられているというふうに感じました。皆さんが御努力されたんだなというふうに読みました。ちょっと1点だけ、先ほど宇野委員が言われていた拡大教科書、拡大図書の件なんですけど、図書館界ではあまり拡大図書という言い方ではないと思うので、事務局の方で決めるときに、いろいろ検討いただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  貴重な御意見ありがとうございました。
 それでは、「Ⅲ 施策の方向性」について御説明をお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  それでは、「Ⅲ 施策の方向性」について、条ごとに御説明させていただきます。
 視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等(第9条関係)からでございます。こちらについては、まず、(1)アクセシブルな書籍等の充実につきましては、全体として具体例などを盛り込み、記載の充実を図ったところでございます。
 次の(2)の円滑な利用のための支援の充実についてですけれども、こちらも多数の御意見をいただいております。12ページの中段にございます、初等中等教育機関や高等教育機関における読書環境の整備について、①の点字図書館や公立図書館と学校図書館の連携の推進につきましては、教科書以外の参考書や副読本などについても充実を図るということを記載しました。
 さらに、③のところですが、国立情報学研究所において整備をしたリポジトリにつきまして、みなサーチとの連携等を通じた高等教育機関における学術論文等のアクセシブルな書籍の公開の推進について記載をしているところです。
 また、9条関係の最後の部分ですけれども、図書館において読書バリアフリーの普及のために、アクセシブルな書籍の紹介コーナーを設置するべきとの記載を入れております。
 また、注釈としまして、本日、佐藤委員よりパンフレットで配付をいただいたところでございますが、「りんごの棚」に関する説明を追記しているところです。
 以上となります。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。
 では、御意見等ございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。日本図書館協会の佐藤です。
 「施策の方向性」のところで、全体的な今の9条関係については非常によくまとめられていると思っています。その中で細かいところで大変恐縮なのですが、途中で地域のICTサポートセンターについての記述がありまして、その中で、そこがアスタリスク19としてその説明が書かれています。それ自体は、もちろん方向として結構なことなんですけども、例えばアスタリクス19のところを見ていただけると分かると思うんですけども、ボランティアの派遣とか(個別支援)という表現が書かれておりまして、これ自体はすごく望ましいことなんですね。前々からこの会議で申し上げていると思うんですけども、読書に困難のある人たちがなかなか集合型の研修会などで習得するというのは難しい中で、個別支援というのが非常に重要なことになってくる。個別支援は一体どこができるのかなと考えてみると、ここに正に書かれているように、ICTサポートセンターなどは非常に可能性を持っていると思います。ただ、現実として、個別支援まで行っているところというのは果たしてどれだけあるのかなということを考えると、この表現で、表現としてはそういうことなんだけども、こういうところまで踏み込んでほしいということをもうちょっと出していただけるといいのではないかなと、そういうふうに思っております。
 それから、それにちょうど近いのでアスタリスク20、今、私の方で、りんごプロジェクトというところのパンフレットを皆さんに差し上げているところなんですが、私どもは文科省の助成などを受けて、りんごプロジェクトという活動をしております。そこで皆さんにパンフレットは、それが「りんごの棚」を図書館や学校図書館に広めようというような活動をしております。パンフレットはまた見ていただければ、こういう資料はこんなふうにやっていますよというお話が書いてあります。
 それで、アスタリスク20の表現のところで、対象となる人たちが、要するに読書に困難のある人たちのための資料を設置しているというか、そのような感じのことが書いてあるわけで、まさにそのもの自体はそういうことなのですが、例えばこれが始まったスウェーデン、広く進んでいるスウェーデンでは、障害を持つ子供のための棚としてりんごの棚があるんですけども、日本では、障害を持つ、障害のある対象の人たちだけではなくて、広く市民全体に様々な資料をお知らせしたい、みんなに知ってほしい、そういう意味があってりんごの棚を設置しておりまして、広く市民の人に知ってほしい、体験してほしい、それを図書館でやってほしいというふうな感じの活動をしております。ですので、もうちょっと全体に知ってほしいというところの部分をアスタリスク20の説明に入れていただけるといいのではないかなと思います。
 ちなみに私どもは、学校においてもりんごの棚の普及をやっておりまして、学校の子供たちが物すごくこれらの図書でインクルーシブな世界とか、様々な者がいて当たり前、いろんな読書のスタイルがあって当たり前というのを、子供たちが自分たちなりにすごく勉強になるんですね。ですので、こういう活動をまた引き続き展開していきたいと思っています。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。非常に重要な御意見だと思いますので、今後、最終版を作る際に今の御意見に基づいて修正をしていただければと思います。
 それでは、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  アクセシブルな書籍の紹介コーナーの設置にも関係しますが、9条で公立図書館等も読書バリアフリーに取り組むことは条文にもありますが、最後は予算だと思います。以前にも申し上げましたけども、なかなか地方交付税措置の中では、予算がそのまま図書館資料に使われていない自治体もあるようです。更に障害者のための読書バリアフリーとなると、にどこまで予算が割けるのかというのはなかなか厳しい実態もあるようです。何らかの形で予算を確保していくということを指標の数値で明らかにしていき、インセンティブにつなげ、法予一体として、予算を確保していくということをここの基本計画の中に盛り込んでいくということは難しいでしょうか。
【中野座長】  いかがでしょう。事務局の方から、現状含めて、回答できるところまでで構いませんので、御回答をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  大変重要な御指摘だともちろん理解をしているところですし、そういった御要望が我々のところに届いているという実態もございます。ただ一方で、基本計画に予算のことを入れ始めると、収まらない部分もございます。というのは、やはり予算は国の財政状況全体を見て決められていくものでございますので、基本計画に入れたから付くものでもございませんし、書いていないから付かないというものでももちろんございません。そのため事務局としては、予算も含めて何らかの形で引き続き支援をしていくとか、そういった体制を整備していくというような書き方をして、予算そのものに言及をするという形では、通常こういった基本計画には記載していないというところでございます。
 すみません、回答自体も曖昧になってしまって大変恐縮なんですけれども、事務局として今言えるのはそれぐらいかなと思っております。
【中野座長】  その件に関しては、なかなか苦しい説明だとは思いますけれども、御理解をいただければと思います。
 ほかにこの件に関しまして、9条関係いかがでしょう、御意見。
 河村委員、お願いします。
【河村委員】  今ちょうど予算のことが出たので、実は7ページの最後のパラグラフのところでも少し予算のことを考えていたので、今の議論のところと併せまして、これは質問と意見なんですけれども、7ページの最後のパラグラフですね、読書バリアフリー法の活動というのは、障害者サービスの提供という側面だけではなく、地域共生社会の実現という考えを持って臨むことが重要であるというふうに書いてございます。私もまさにこのとおりだというふうに思うんですが、一方で、地域共生社会の実現というのは、例えばソサエティー5.0の実現とかという全省庁的な、省庁横断したプロジェクトというのがあるかと思うんです。共生社会というふうに言いますと、様々なそれぞれの予算財源もあるかと思います。そういったものとこの読書バリアフリーの基本計画に関わるものとの予算上重なり合っているところをどういうふうにお互いに出し合って、無駄なく相互に補強し合うのかというのが非常に重要な点だと思うんです。
 特に学校に関してはGIGAスクールの予算というのはすごいものがございますし、GIGAスクールは当然、コンテンツをどう扱うかというところで、まさに読書バリアフリー法に関するICTスキルを一人一人の生徒が義務教育の中で学んでいくという重要な要素、更には学校図書館をどういうふうにしていくのかという部分もございます。ですから、是非そこは省庁間の無駄のない、効率のよい予算的な相互補完的な措置でもって効率を上げていくという辺りを、この読書バリアフリー法のところではこの7ページに書いてあるのかなというふうに思っているんですが、その辺りについて何か補足の御説明をいただければというふうに思います。
【中野座長】  補足説明の御要望ですので、事務局お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  ありがとうございます。地域共生社会の実現というのは広く、先ほど河村委員おっしゃったように、様々な捉え方ができると思っております。例えば、予算要求をする際にも、要求自体は各省庁が行っておりますが、例えば今回、読書バリアフリーの関係でどういった予算を要求していくのかとか、どういったテーマで要求していくのかということは、関係省庁で連携をしながら取り組んでおりますので、それが実際の政権の意向とどういうふうな形でつなげていけるのかということは当然意識をして予算要求等を行っているところでございます。それがその部分の中にどこまで書き込めているかというと、あまり明確には書き込めていないかもしれませんけれども、実際に予算要求の現場では、我々しっかり意識をして、例えばこういうことがキーワードになるような形で盛り込ませていただいているところでございますので、この記載を踏まえた要求というのは、これからもしっかり続けていきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。
 上田委員はつながりましたでしょうか。
【上田委員】  はい。聞こえております。
【中野座長】  こちらもよく聞こえております。先ほど申し訳ございませんでしたが、御発言どうぞよろしくお願いいたします。
【上田委員】  ちょっと場所が戻ってしまうのかもしれませんが、アクセシブルな電子書籍等の量的拡充及び質の向上のところに関しまして、今回、オーディオブックがアクセシブルな書籍の一つということでキーワードが挙がっていたのはありがたいなというところなんですけれども、オーディオブックの既存のラインナップ、ライブラリーだけで数万点あるんですね。なので、ここの議論ですと、製作することに関しては書かれているんですけども、既存のライブラリーを活用するだけでも、かなり読書バリアフリーに貢献できるというふうに考えておりまして、そういった意味ですと、作っていくのはもちろんあると思うんですが、そういったものの導入を進めるというようなところもコメントとして記載いただくのがいいのかなと思っております。
 以前から申し上げているとおり、図書館ですとか、学校ですとか、そういったいろんなところにおいてオーディオブックを導入するに当たって予算の問題、地方自治体レベルなのか、国レベルなのかという議論はありますけれど、予算の問題があるというのは承知しておるんですけれども、一方で、ライブラリーを導入するだけでその辺りをかなり、読書バリアフリーを実現することができるといったところもあると思っておりまして、そういった意味では、既存ライブラリーをいかに活用するかという議論も当然あってしかるべきかなと思っておりますので、是非そういった視点を組み込んでいただけないかなというふうに考えております。
 以上です。
【中野座長】  貴重な御意見ありがとうございました。既にたくさんのライブラリーがあるのではないかということですので、これはまた様々な数値等を書き込んでいただく際に今の御意見も参考にしていただいて、まとめていただければと思います。
 そのほかよろしいでしょうか。よろしければ、10条関係に話を進めさせていただきたいと思います。事務局、御説明よろしくお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  第10条関係になります。ページで言いますと、13ページからになります。インターネットを利用したサービスの提供体制の強化(第10条関係)につきましては、みなサーチの運用など、国立国会図書館におけるサービスですとか、サピエ図書館の運営について、最近の状況を踏まえて、全体的に具体例などを盛り込んで記載の充実を図ったところでございます。
 事務局としては以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 それでは、御意見等ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  後の指標にも関係しますが、サピエの加入の問題です。資料の中に公立図書館等の加入率が出ています。この「公立図書館等」には学校図書館も入るという説明になろうかとは思いますが、学校図書館を別枠にして、きちんと分かるような形で指標も作っていただきたいと思います。前から申し上げているとおり、盲学校でさえまだ半分程度しか加入していません。まして、肢体不自由の特別支援学校には、恐らくサピエの存在も、十分伝わっていないのではという気もします。子供たちの教育ですから、是非資源をきちんと届けるというルートを作っていただきたいと思います。またこれも予算に関係しますが、1校4万円ですから国の予算からすると少ないはずです。今度こそこの第二次計画の5年間の中できちんとした道筋を付けて、具体的に子供たちの読書環境につなげていっていただきたいと思います。それが達成できる基本計画になっているのか、具体的にどう進めるのか、アクションプランとの関連も分かれば教えてください。
【中野座長】  御質問なので、事務局より御回答をまずお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  後ほど指標のところで御確認をさせていただきたいと思っておりますが、例えば、第10条関係で言いますと、公立図書館等の視覚障害者等用データサービス及びサピエ図書館の館種別登録館数みたいな形で様々な数値を取ろうとしているところでございます。学校図書館の数字が出るかどうかにつきましては、指標に設定できるかどうか、恐らく恒常的にそのような調査ができるかどうかという点に関してのところだと思いますので、そういった数値を把握することができれば、その進捗状況というのは分かっていくのではないかなと思っております。
 以上です。
【宇野委員】  その4万円の年会費が問題で、5年間の第一次基本計画が終わろうとしています。これを解決する方向性は出せそうでしょうか。
【星川障害者学習支援推進室長】  事務局としましては、この基本計画にそれを、例えば具体的なアクションをまだこの協議会の場で検討がなされておりませんし、それ以外の場においても何か具体的な動きがあれば、これは基本計画に盛り込めるのかもしれませんけれども、今の段階で基本計画に盛り込むのは難しいというふうに考えています。
【中野座長】  関連した話として、近藤委員のところで実施していただいている学校図書館等のコンソーシアムがありますよね。先ほど、近藤委員のところでは、先ほどもしかしたら特別支援学校の中で知らない学校もあるのではないかというお話があったのですが、こちらのコンソーシアムでは、特別支援学校長会にも入っていただいて、様々な普及啓発活動をやっていただいていると認識しておりますが、近藤委員いかがでしょうか。
【近藤委員】  東京大学の近藤です。おっしゃるとおりでして、学校図書館等による読書バリアフリーコンソーシアムの中では、例えば設置校長会であるとか、特別支援学校長会であるとか、盲学校長会、様々な方々に御参加いただいて、特に毎年シンポジウムを行ったり、それから、あとは第五次調査を令和4年に行って、令和5年に分析を行ってその結果を公開したんですけれども、その結果、特に通常の特別支援学校ではないところで、視覚の特別支援学校以外のところでは取組がほとんど行われていないということであったり、通常の学校の学校図書館においても、9割以上では取組が行われていないといったことが分かりましたので、それらの周知等は校長会を通じて行うことをやっています。
【中野座長】  ありがとうございます。近藤委員のところの事業も国の事業として実施していただいているので、もしそういった記載が必要な箇所があれば、記載をしていただいてもよろしいのではないかなというふうに思います。
 川崎委員、お願いします。
【川崎委員】  全国視覚障害者情報提供施設協会の川崎です。サピエ図書館を運営する立場として、今、近藤委員のところのコンソーシアムでお話をさせていただいて、サピエのことを広めていただいたり、私どもも国の予算を今頂いている立場でございますので、この運営費の問題というのはやっぱりこれからの中でも議論していかなきゃいけないと思うんですけども、まだ広めていくということに関しましては、今年初めて、今までは公共図書館向けにはチラシを配布させていただいたりしていました。毎年、3、200館に対してですね。今年初めて視覚特別支援学校以外の全特別支援学校、全国で今1、200校ほどあると思いますけども、そちらにもサピエの御案内を送らせていただきました。ですから、これから特別支援学校を含めて、皆さんの方にサピエをもっとどんどん広めていただきたい。
 それから、公共図書館向けに少し大判のB2のポスターも作らせていただきましたので、これからまた配布等をさせていただきたいと思いますので、それでまた何か運営費の関係とか、年会費の問題とかが出てきましたら、またそこで御相談させていただければと思っております。とにかく広めていかないといけないと思っておりますので、よろしくまた御指導いただきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。今回の基本計画の中に文言として書いていけるかどうかは今後、事務局に精査していただきたいと思いますが、いろんな取組は行われているということが今確認できたかと思います。
 そのほかいかがでしょうか。10条関係、よろしいでしょうか。
 よろしければ、11条関係に進みたいと思います。事務局、御説明お願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  続きまして、第11条関係、「特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援」については、15ページにございます(2)出版者からの製作者に対する電磁的記録の提供に関しまして、特定書籍・特定電子書籍等の製作に関する環境整備として、出版者と製作者間における電磁的記録の提供の仕組みについて検討する旨を今回記載しております。また、11条部分の最後にございますが、出版者・製作者間の電磁的記録の提供に関する実証調査に関しても記載をしたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。
 では、御意見等を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
 では、河村委員、お願いします。
【河村委員】  ここで出版者への対応のところなんですけれども、出版者自身が質のいい電子ファイルを提供してくれないと、製作団体としては非常に製作が困難になりますので、そこの質についての向上、あるいはそれの担保というふうな措置というものはここでは考えられているんでしょうか。
【中野座長】  御質問ということですので、事務局お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  こちらに書かれている部分は、環境整備への支援ということになりますので、その具体的なデータ形式については、たしかここではなかったと思うんですけれども、例えば研究開発のところなどは、様々な快適な支援について記載をしているところなんですけれども経産省さんから回答していただけると助かります。
【髙野文化創造産業課係長】  経済産業省の髙野です。ここでは特にデータの質、電子ファイルについては特に触れていませんので、ここは、例えば(2)のところの最後のパラグラフ、「その際、特定書籍等製作者が望むデータ形式を相互に変更するための仕組みについての検討も必要である」辺りで入れるかどうかというところになるのかなと思っております。
 以上です。
【中野座長】  では、河村委員、再び。
【河村委員】  すみません、もうちょっと明確に言えばよかったんですが、経産省の令和5年の調査結果ですと、多くの小規模の出版者は電子出版がなかなか難しいということ。それゆえに、多分、合理的配慮としての電子ファイルの提供も難しいのではないかという課題が浮かび上がってきたというふうに私は認識しているんですが、そこを、ここには支援と書いてございますので、出版者に対してそこの部分をどう支援していくのかということがないと提供そのものが難しいのではないか。難しい出版者というのも相当多数あるのではないかということへの懸念からの質問です。
【中野座長】  明確化ありがとうございました。経済産業省の方で何か、今の御発言を聞いていただいて補足されることございますでしょうか。
【髙野文化創造産業課係長】  ありがとうございます。そういう意味では、令和5年度の調査のところが、電子書籍の製作と、ここでいうデータ提供というのが私の方で結びついていなかったので、また詳細、お話を聞かせていただいて検討という形でもよろしいでしょうか。
【河村委員】  結構です。
【髙野文化創造産業課係長】  よろしくお願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。では、是非、後日ヒアリングをしていただいて、この部分について、修正が必要であれば修正を加えていただきたいと思います。
 そのほかいかがでしょうか。
 もしないようでしたら、もう大分長く議論をさせていただいていますので、ここで10分ほどの休憩を挟ませていただきたいと思います。14時15分から、申し訳ないんですが再開させていただきたいと思いますので、10分ちょっと御休憩をお願いしたいと思います。オンラインの方、接続はそのままで結構ですが、音声等は切っておいていただければと思います。
 では、15分から再開いたしますので、その間、休憩をお願いします。
( 休憩 )
【中野座長】  それでは、時間になりましたので、議論を再開させていただきたいと思います。
 後半は、12条関係から始めたいと思います。まず、事務局より説明をお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  16ページにございます「4.アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(第12条関係)」でございます。
 12条関係では、(1)技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進について、アクセシブルな電子書籍の販売等に関して、書籍のアクセシビリティの明示とともに、購入時におけるアクセシビリティについても環境整備を進めるということや、アクセシブルな電子書籍の出版に関する検討を行うこと。そして、最後の(4)、17ページになりますけれども、こちらのその他に記載しておりますが、電子図書館におけるアクセシビリティ対応ガイドラインの普及などについて記載をしているところでございます。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、御意見等をお願いしたいと思います。
 宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  前から申し上げていますが、12条は障害当事者からすると、読書バリアフリー法の中の一丁目一番地の条文だと思います。読書障害者は自力では活字が読めませんが、印刷前に作られているデータであれば、自分たちでもワンソースマルチユースしながら読むことができます。ですので、お金を支払いますから、データを売っていただきたい、これが切実な願いであり、12条になったわけです。
 この5年間の間で何度かこの条文の具現化ということを申し上げてきました。残念ながら、24年の4月を迎えても、つまり、合理的配慮の提供が義務化された後も、出版者によってばらばらな状況が続いています。出版者の御努力もさることながら、やはりこの12条の主語は「国は」です。そうなると、国は小さな出版者ができないことをきちんとバックアップをして、支えながら販売を促進していくのが筋だと思うんです。本来は24年4月までに形づくるべきだったと思います。この後の議題3のワーキンググループの設置案にも関係しますが、11条2項を優先させる案になっています。では、12条については、果たしてこれからの5年間でどこまで進むのか、とても不安です。もちろん、文言としては、いいことが書いてあります。これが実際に進むためには、やはりモデル事業やワーキンググループ、アクションプランなど、形を作ってステップ・バイ・ステップで進めていくということが必要だと思います。ワーキンググループの対象にも12条のことはありません。文言も、一次計画や法律の条文と大きな差はないように思います。この二次計画の中で具現化していくんだということを文章の中でも表現していくべきだと思います。具体的に進めていく気概や文章への盛り込み方についてはいかがでしょうか。
【中野座長】  御質問ですので、事務局より御回答をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  経産省さんの方でお願いできればと思います。
【髙野文化創造産業課係長】  経済産業省、髙野です。ありがとうございます。第12条に関しましては、おっしゃるとおり、まず、アクセシブルな電子書籍をどう作っていくかというところに主軸を置いております。そういった意味では、現在、出版者、電子書籍製作者、ビュアー開発事業者、この三者を集めまして、アクセシブルな電子書籍に必要な要素や、国際標準も作られていますので、そういったものをどう落とし込むかというところ、落とし込んだものをどう小さな出版者でも使えるものにしていくかというところの検討を始めております。
 以上です。
【中野座長】  では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  電子書籍の販売促進について、大きな枠組みが三つあると思います。
一つは、電子書籍として本が発売されれば、読書バリアフリーが進展する障害者です。主に、上肢障害のある人や発達障害のある人たちは、紙の活字の本は読みにくいけれども、とにかく電子書籍になれば、画面上で読み進めることができるということです。
 二つ目は、たとえ電子書籍になっても、読み上げ対応してもらえないと読めない人たちです。視覚障害者や音声を補助として使いたい発達障害のある人です。
 第3のグループは、学齢期の子供たちや大学生、研究者たちの学術文献図書です。これは、電子書籍として音声で読み上げられても、漢字が分からない、引用ができないということです。あと、盲ろう者にとっても点訳が必要になってきます。つまり、テキストデータの提供が販売ベースとしても必要になってくるということです。このような三つのニーズを把握しながらデータを販売していくためには、中小の出版者であれば、テキストを作るところまではできるかもしれませんが、それを販売するためには、国が電子書店を作って縁の下の力持ちをするなどの具体的なプランが必要だと思います。いかがでしょうか。
【中野座長】  更なる追加の質問です。お願いします。
【髙野文化創造産業課係長】  購入した書籍についてのデータの提供のところは、ユーザーごとに必要とするデータは様々であるかと思っています。今回、4月から合理的配慮の提供が義務化されていますので、ここに関してはユーザーの方と出版者の方で建設的対話がなされていく必要があるかと考えております。今年の8月には、出版者に向けて合理的配慮の義務化を周知するようなチラシも作っていますので、出版者の皆さんのところで説明会を開くなど、引き続き必要なサポートは行っていきたいと考えております。
【宇野委員】  今のお答えだと、結局、出版者には合理的配慮の提供をやってくださいと言っているだけのように聞こえます。でも、そうであるならば、読書バリアフリー法の12条は要らないと思います。障害者が、あるの本のテキストデータを売ってくださいと言ったときに、その体制が整っていないとします。そうなると、「すみません、まだ売れません。」ということで合理的な配慮がなされずに終わってしまいます。これは「教育を受ける権利」から考えても、何とかしていかなければならないと思います。そう考えると、「合理的配慮のチラシを作りました。そして出版者と建設的な対話を進めてください。」だけでなく、国が必要な措置を講じることが義務として定められていると思います。この5年間放置して、更に10年間放置されるのではということが心配です。次の5年間で、12条も含めてワーキンググループで進めていくということはできないでしょうか。
【中野座長】  これは最後の質問ということでしたので、今のワーキング等についてはまた後でお話があるのかもしれませんけれども、現時点で答えられる範囲でお答えいただけるとありがたいですが、経産省いかがでしょうか。
【髙野文化創造産業課係長】  ワーキングの設置については、現在のところ、想定しているものはないのですが、少し検討させていただきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございます。先ほど御意見がありましたが、全く取組がなされてないわけではないかとは思いますので、その点については、何ができていて何が足りないのかというところを事実に基づいてしっかり整理していただいた上で、何が目指されるべきなのかというところを明らかにしていただけるとよいと思います。
 そのほか、いかがでしょうか。
 では、藏本委員からまずお願いします。
【藏本委員】  (1)の2項目目のところの国内電子書籍販売サイトについてのところなんですけども、最後に「環境整備を進める」というふうに書いてあるんですが、ここでの主語は「国は」ということになると思いますが、障害者差別解消法では事業者は「合理的な配慮」を行うとともに、的確に行うための「環境の整備」に努めるとあります。(障害者差別解消法において努力義務とされる「環境の整備」と分ける目的で)ここは主語をきちっと「国は」というように入れた方がいいと思います。また、読書バリアフリー法の文脈の中で、電子書籍販売サイトがアクセシブルになるというのは、もちろん進めるべきことだと思うんですけども、障害者の方に電子書籍を購入する際にどういうところでつまずきますかというふうに聞いたところ、例えばログインをするときの多要素認証ですとか、決済時の認証とかが非常に複雑で分かりにくいというような声を聞いたりもします。そうなると、なかなか個々の事業者だけでは対応し切れない大きな課題となってきます。しかし、障害者の方からするとそんな事情は関係ないことだと思いますので、そういったところの課題というのをきちっと整理して、販売サイトだけでは解決し得ないようなところについては、国がもっとEC全体の問題とか、課題としてどうしていくのかといったところの検討というのをしていっていただきたいと思います。これをこの計画に明記するかどうかはともかくとして、この機会を借りて御提言を差し上げたいというふうに思います。
 以上でございます。
【中野座長】  ありがとうございました。
 川崎委員、お願いします。
【川崎委員】  全視情協の川崎です。先ほど宇野委員からも御意見ありましたように、私ども全視情協としての立ち位置というのは、基本的にアクセシブルな電子書籍が販売されることが一番、一義的に求めていることなんです。それを求めて、視覚障害者等がアクセスするためには電子書籍がやっぱり必要だということですね。
 今、Books等、非常に分かりやすいものも作っていただいていますし、私もずっと毎日見ていて、例えば、先週の金曜日は1、339タイトルの書籍が販売されています。そのうち700タイトルぐらいが電子書籍。ただ、その電子書籍の中のほとんどがコミックですよね。ですから、いわゆる文芸書とか学術書で電子書籍になっているものはないんです。本来であれば、電子書籍が出来て、そこから必要なものを紙にするとか、いろんな形でデータで提供するとかいろんなことができれば、我々本当にやろうとしていることが全てうまくいくと思うんですけど、なかなか今のところ、まだ紙の本から脱却できていない部分がいまだにあるという事実を、全国的なところを何とか進めていただければ、私たちも提供する、本来だったら電子書籍が出来ていれば、それを購入してお貸しするというような図書館としての本来の意味での製作から離れてできれば本来はいいんでしょうけど、そういうところまでまだ全然行っていないというのが、そういう歯がゆさが宇野委員の方にもあると思いますので、是非そこは、せっかく枠組みがいろんな形でできてきているんですから、積極的に進められるような方策ができるといいと思っております。これは私の意見です。よろしくお願いします。
【中野座長】  御意見ありがとうございました。
 河村委員、お願いします。
【河村委員】  12条の(1)の冒頭に、技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進とあるんですが、これをどういうふうに具体的に実現するかという問題だと思うんですね。それで、脚注の方には幾つかの、ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインの2.2、EPUB3.3、EPUBアクセシビリティ1.1等を含むと書いてありますので、当然、これらについてはどのような内容であり、それから、どこまで現在、日本の国内で普及しているのか、普及していないのか。それから、これは国際的な規格ですので、国際的にはどのように活用されているのかという調査がされるんだと思うんですね。それは経産省の方の毎年やっております海外展開促進事業ですか、コンテンツ海外展開促進事業の令和6年度の調査として行われるというふうに承知をしているんですが、その中で、令和6年度については、電子状況に対するヒアリングがございまして、私も出させていただいたんですけれども、具体的なアクセシビリティのガイドラインですね、電子出版物のアクセシビリティのガイドラインの骨子案を作るんだというふうにされていると思うんです。
 これは経産省に質問なんですけれども、この骨子案、私どもが伺っている範囲では、出版事業者、ビュアー関係者、電子書店関係者のサイドでもってこれを作るというふうになっているんですけれども、これに対して利用者サイドの意見というのは、どのように最終的にアクセシブルな電子書籍の出版ガイドラインに反映されるスケジュールになっているんでしょうか。そこをお聞かせいただきたいと思います。
【中野座長】  御質問でしたので、経済産業省、お願いいたします。
【髙野文化創造産業課係長】  御質問ありがとうございます。今ちょうどその骨子案を作り始め、要件を洗い出しているところではありますが、最終的に骨子案の全貌が見えたときに、レベル感を付けたいと思っています。要は、ほかのアクセシビリティの規格のように、レベルA、AA、AAAのような形にしたいと思っていまして、その段階で必須項目は何かというところは、障害者の方のニーズをヒアリングさせていただきたいと考えております。
 以上です。
【河村委員】  具体的に申し上げますと、来年の2月か3月にこの調査は完了して報告書が出るということなんですが、それまでにヒアリングをするということなんでしょうか。それとも、まとまった後にヒアリングするんでしょうか。
【髙野文化創造産業課係長】  おそらく年明け、骨子案にしますので、来年度どういった調査にするかというところもあるのですが、年明けに1回させていただくということになるかと思っています。報告書が出る前ですね。
【河村委員】  前ですね。その際に、是非、ここの脚注のところにないんですが、非常に根本的に重要な技術として、前回も申し上げましたLCP、国際標準規格になっておりますアクセシブルなDRM、それの調査も含めて報告書を障害者側に提示していただきたいと、これはお願いです。
【中野座長】  それでは、最後の点はお願いということでしたので、まとめる際に御検討いただければと思います。
 そのほかいかがでしょうか。
 藤堂委員、お願いします。
【藤堂委員】  ちょっと見落としていたんですけれども、ここに研修というのが入ってきていると思うんですけれども……、外国からのに入っているのかな。ちょっとどこか見落として……。ぱっと目に入って、どこか行っちゃったんですけれども、ごめんなさい。研修ということで、ICTに関しての研修というのが入っていたんですけれども、それだけではなく、そのもっと前の整備のところで、物をそろえるというところはいっぱい書いてあるんだけれども、それを扱う人たちの研修というのが抜けているなということを今気がついたので、それについて伺いたいなと思いました。
【星川障害者学習支援推進室長】  多分、14条、15条のところかと思いますので。
【中野座長】  それでは、後ほど御回答いただくということでお願いします。
【藤堂委員】  はい。すみません。
【中野座長】  説明の際に御配慮いただければと思います。
 そのほかいかがでしょうか、12条の関係。12条関係では、電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン等も言及してございまして、このガイドラインには、国立国会図書館や、それから佐藤委員、近藤委員が関わられたとお聞きしておりますけれども、もし何か御発言があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。特にいいですか。いきなり振ってすみません。
 以前にも御紹介ありましたが、電子書籍を増やしていくために、公共図書館等が借りられるものを増やしていく際に、どういった要件が必要かということをガイドラインでおまとめいただいたのだと理解しておりますが、佐藤委員、何か発言ありますか。お願いします。
【佐藤委員】  日本図書館協会の佐藤です。ありがとうございます。実はこの検討会の座長が近藤委員なので、近藤委員に発言いただくのがいいのかと思うんですけども、図書館の話なので私の方から。
 図書館で電子書籍の配信システムというものを導入するためにどのようなアクセシビリティを確保するのかということで、このガイドラインの場合は具体的に、先ほどA、AAAとかレベルの話がありましたけども、具体的に細かく一応提示をさせていただいておりまして、ビュアーの問題とか、検索の問題とか、あと、サイトの使い方から様々な部分について細かく基準を出させていただいておりまして、その部分が多分、初めてそういう形で出させていただいて、今、第1版が出ているわけですけども、それは音声をまず前提に書かれています。現在、音声だけじゃないほかの障害者について、音声以外の部分についてまたバージョンアップを図っているというところなので、それはすごく前向きな形で、先ほどの検討会の話ですけども、これは出版業界の方だけではなく、図書館や点字図書館の私たちのメンバー、あと利用者団体の方々とか、そういう様々な関係者の方々がお集まりになって検討しているので、その部分は非常にいいのではないかなと思っているところです。
 あと、すみません、さっきの話で、発言をいただいたのでちょっと話してしまいますが、前回会議でお話ししたように、来年の6月でヨーロッパとアメリカではアクセシブルな電子書籍しか発行できなくなると。そのために努力を皆さんされているところです。日本の12条のここの部分ですけど、物すごく温度差があるなというのは正直言って感じるところです。この温度差はどうしてあるんだろうなと、それを考えておりまして、それはやっぱり権利意識なのかな。アクセシビリティの確保、障害者が情報にアクセスするということを、多分ヨーロッパでは基本的な権利として考えている。だから、それを何とかするために、各者みんなが努力している。やっぱり何とかしようと。何とかする方法としてないのかというふうにものすごく、必ずやらなきゃいけないという権利意識の中でああいうことが起きてきて、じゃあ、どのような形で出版とかをやればアクセシブルなものが出せるんだろうかと。そういうふうに結論として必ずやるんだということがあって、ああいうヨーロッパなどの方式が生まれてきている。先ほど河村委員が言われていたような方式を生み出してきているという、その辺の温度差ですね、それをものすごく感じるところですので、先ほど宇野委員が言われたみたいに、この12条はこの法律の肝となる部分なので、是非、経産省などで頑張っていただきたいなと思っています。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 近藤委員、お願いします。
【近藤委員】  近藤です。今、佐藤委員の方から御説明いただきましたが、NDLのガイドラインの方ですね。あちらのガイドラインは、基本的には電子図書館のアクセシビリティということですので、電子図書館、言ったらコンテンツそのもののアクセシビリティ、書籍のコンテンツそのもののアクセシビリティについては、基本的には直接は取り扱っていないものです。
 電子図書館が、それはビューワーも含めてなんですけれども、どこまでを達成すべきかということで、いわゆる開発を行う技術者にとっても分かりやすい記述をやりましたし、かつ、それが調達等の外部の方とかの発注だったりとか、それらを判断するのは図書館員になりますので、図書館員にもそれが理解できるという、そのちょうどいいところをどこに持っていくかということでかなり議論しまして、そこで、NDLの皆さんがそれを取りまとめてくださって発行ができたというものです。
 かつ読書活動、いわゆる電子図書館というのは読書活動への入り口になりますので、電子図書館のシステム自体がどれだけ優れていても、そこに案内する図書館員が例えばログインするところが、当事者の方に紹介できないということになっちゃうと、優れたものがあるのに誰もそこにアクセスできないということになってしまうので、そういうユースケース、使い方の場面においてもきっちり説明を加えていくということで、様々な工夫をしてつくったところがあります。
 ただ、これは12条で言うところの、いわゆる電子書籍そのもののアクセシビリティというお話ではないですので、今後、このコンテンツのアクセシビリティについては、私たちまだそこをつくれていないですので、その辺り、是非つくっていっていただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。国会図書館からは何かございますか、せっかくですので、お願いします。
【小澤企画課長】  では手短に。もう佐藤委員、近藤委員は聞いていて感無量でして、本当に検討会をそういうものとしてつくり上げてきたというところが表れているのかなと思います。
 今もお二人からあったとおり、コンテンツそのものではなくて電子図書館サービスということを対象としておりまして、少し宣伝というか、させていただきますと、実際に、自治体等で電子図書館を調達するときに、その調達の中でこのガイドラインに言及していただいているというケースがございます。また、電子図書館のベンダーが、このガイドラインを参考にして、アクセシビリティを改善したという御報告もいただいておりまして、着実にそういうところが進んできているのかなと思いますので、今のところはスクリーンリーダーで使うというか、視覚障害者の方が使うというところがメインで最初始めたんですけども、この後、さらにほかのところにも発展していければと思って今議論をしているところでございます。
 以上でございます。
【中野座長】  ありがとうございました。この話題は、12条のその他に入っている事項なのですが、間接的には、電子書籍のアクセシビリティを後押しする環境の一つになり得るのではないかなというふうに思います。
 御指摘ありましたように、コンテンツを制作するときのアクセシビリティのガイドラインなので、さらに、このノウハウを発展させていただけるといいのではないかという御意見がございました。そのほかいかがでしょう。河村委員、お願いします。
【河村委員】  特に電子図書館に関しては、12条のところの(1)の最初のパラグラフの中に、新たに書き込んでいただきました海外の先行事例等を参考としつつというところが極めて重要だと思います。
 今、佐藤委員からありましたように、来年6月にはヨーロッパアクセシビリティ法が、これは実施ですので、電子図書館も一斉にアクセシブルであることが求められると。そのための準備が今行われているところですし、アメリカに関しては、連邦はもうADAの適用がずっとあったんですが、タイトル2というADAのタイトル2が改正されまして、2026年から2027年にかけて、順次、地方自治体も含めて全ての地方自治体でもってADAに定める、レベルAAのアクセシビリティを実施しなければいけないというスケジュールが示されましたので、これはもう本当に実施で、それはアメリカの場合は訴訟になり得るということで、かなり強制的なものになります。
 そういったものに対応するために、先ほど欄外にあったWeb Content Accessibility Guidelinesの2.2、EPUB3.3、EPUB Accessibility1.1及びLCPが準備されてきたということですので、そういう海外における実践的な要望、要求に沿って技術が開発されて、それがいよいよ実施されるということについて、やはりしっかりと調査をしてその成果を日本の国内での取組にも是非生かしていただきたいというふうに思います。
【中野座長】  ありがとうございました。今、いくつもの御要望いただきましたが、経済産業省の方でさらに精査をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次の第13条に進ませていただきたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  第13条関係、17ページにございます。外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備でございます。
 外国で製作されたアクセシブルな電子書籍等の学術文献の入手について、サービス認知度の向上やさらなるアクセシビリティの改善等について、今回の第二期においては具体的な例を記載するような形で充実を図ったところでございます。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。では、御意見等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。
 特に、御意見ないようでございますので、次に進ませていただきます。14条関係をお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  続きまして、18ページにございます14条関係と15条関係をまとめて御説明をさせていただきたいと思います。
 端末機器の入手支援、それから情報通信技術の習得支援のところでございます。こちらも全体として具体例などを盛り込みまして、記載の充実を図ったところでございます。先ほど、藤堂委員から御指摘があったところは、もしかするとこちらかなと思うんですけれども、ポツでいうと2つ目ですかね。「上記の取組を推進するため、ICTサポートセンターの普及の支援を行うとともに、端末機器等の習得支援等を行う公立図書館や学校図書館の職員、障害福祉課等の自治体職員に対する研修を実施し」というような記載を今回具体的に、図書館職員であるとか障害福祉課の職員というふうに追記をしたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。それでは、御質問等いただきたいと思いますが、藤堂委員、いかがでしょうか。
【藤堂委員】  ちょっと先走りまして、失礼いたしました。
 まず、ここで必要だということと、12ページのところでずっと前なんですけれども、気がつかずに飛ばしてしまったんですけれども、こちらはインクルーシブ教育システム理念にのっとってと言って、体制整備、サービスを与える側が体制整備をしなくちゃというので、あれを備えろ、これを備えろというのはあるけれども、そこにいる職員の方たちがきちんと研修を受けて、そういう方たちへの理解があるかといったら、私の経験から言うとない方が多いので、これは一個入れていただきたいと思いますということです。
【中野座長】  ありがとうございました。強い御要望いただきましたので、御検討いただければと思います。ほかにいかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  すみません、日本図書館協会の佐藤です。一つは用語の問題なんですけども、この2の部分でみなサーチという言葉。これは今まで例えば10条とかいろいろなところで出てきております。全体としてこの基本計画の中で、このみなサーチという言葉と国立国会図書館という言葉と視覚障害者等用データ送信サービスという言葉がある意味ちょっといろんな出方をしています。
 もちろん私としては、みなサーチというのが一番広い言い方というのかな、全てのいろんなものを包括したものとして、みなサーチがあって、その中で重要なものとして、視覚障害者等用データ送信サービスというのがあるということを理解しているんですけども、多分これを読んだ方々が、あるところではみなサーチだけ出てきて、あるところは国会図書館が出てきて、あるところは視覚障害者等用データ送信サービスだという形で出てくる。これをもうちょっと整理できないかな、非常に分かりにくいので、例えばもう最初の方でもう少し説明をちゃんとアスタリスクか何かでして、用語を一つに、みなサーチならみなサーチにしてしまったほうが分かりやすいとは思うんですけども、何かその辺、一工夫していただけるといいかなというのが1点です。これはだから要望で御検討くださいということです。
 それからもう一つ、そこの部分の続いて3です。3で給付事業を行う。これは多分日常生活用具給付事業などを指している文言だと思うんですけども、この部分が要するに給付事業を行いますよという感じしか書いていないので、もう少し積極的な表現が必要であるというふうに考えています。これは御存じのように市町村事業でございまして、市町村がどのような対象や給付期間、年限とか、その辺を市町村のルールとして決めているわけですけども、それが物すごく足かせになっていて、実際に求めている人がいても必要なものが必要な人たちに給付できないということがあって、このことはずっとこの関係者協議会で皆さん、各方面、障害者などの方も含めてお話しになっているところですが、残念ながら進んでないです。
 このままこの表現、ただ給付事業を行うみたいな表現では非常に不足しているので、この部分は是非御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。今後、御検討いただきたいという御説明でしたが、もしこの場で厚生労働省の方から何か御発言あれば、補足していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  厚生労働省自立支援振興室の吉元です。御意見いただきまして、ありがとうございます。
 委員ご指摘のとおり、ここの給付のメインは日常生活用具になるのですが、改めて給付という表現にした背景には、日常生活用具の予算は裁量的経費であり、予算が非常に厳しいという状況であります。今、御説明があったとおり、支障を生じているという部分も否定できないというところですので、今後、この日常生活用具の給付に限らず、例えば補正予算等があれば、何か他の施策とかで対応する事は考えられないかなど、そういう政策、戦略的な意味合いを込めて、この様な形の表現にさせていただいているところであり、御理解いただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  ほかにいかがでしょうか。宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  今までほぼ日本の障害者の読書というのは、視覚障害者にしかターゲットが当たっていなかったんですが、読書バリアフリー法によりそのほかの読書障害者に光が当たるようになってきました。ところが、読書支援機器については、佐藤委員もおっしゃったとおり、日常生活用具の補助が広がっていないというのが現状だと思います。
 ここで一つのステップとして、どういうニーズがあるのかという実態調査をしてみてはどうかと思います。例えば、拡大読書器やデイジープレーヤーは基本的には視覚障害者を対象とした機器ですが、上肢障害のある人にとってもデイジープレーヤーの単発が有効なのか、それともデイジーが再生できるアプリで事足りるのかというようなことです。
 また、発達障害のある人が、どういう機器を必要とするのか、一度調査をして、そのような数値を基礎データとして明らかにしていくということも、ステップとしては大事なんじゃないかなと思いました。
【中野座長】  ありがとうございます。調査の御意見をいただきましたので、厚生労働省の方で是非御検討いただきたいと思います。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 特になければ、次に、進めさせていただきたいと思います。次は、16条関係よろしくお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  19ページにございますアクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等、第16条関係でございます。
 こちらはアクセシブルな電子書籍等に係る研究開発について、開発プロセスへの障害者の参画や、障害種別や程度への対応に留意することなどについて追記をしたところです。また、閲覧システムですとか生成AIの活用に関する研究開発への支援についても記載をしたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。御意見等ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。河村委員、お願いします。
【河村委員】  具体的にこういう研究開発というのは、経産省、総務省、厚生労働省、文部科学省もございますね、それぞれの公的な研究開発の公募で行われることが多いかと思うんですが、ここで言っているこの研究開発というのは、どういったスキームでもってされるという想定をしているのか、それについてもう少しお聞かせください。
【中野座長】  御質問ありがとうございます。事務局、どなたがお答えいただけますか。
【星川障害者学習支援推進室長】  経産省さん、もし可能であればお願いします。
【髙野文化創造産業課係長】  経済産業省です。ここに関しては、当省では特に研究開発、大学の研究機関とかの研究開発になってしまうので、趣旨から外れるかというところです。
【星川障害者学習支援推進室長】  そうですね、失礼しました。こちらは総務省さんと厚労省さんで関係するところでございますので、まず、厚労省さん、お願いします。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  私も直接の担当でないので、ほかのやり方もあるかもしれないですけど、先生も御存じだと思いますが、厚労科研などで中心に研究を進めているところです。
【中野座長】  他の省庁で、今の件に関してお答えいただけるところはございますか。今、もしかして手が挙がっていますか。
【輿石情報活用支援室課長補佐】  すみません、総務省でございます。
【中野座長】  お願いします。
【輿石情報活用支援室課長補佐】  総務省では、障害者等の利便に資するICT製品サービス等の研究開発を行う企業への助成事業というのをやっておりまして、電子書籍に関するシステムですとか、端末機器を利用するための先端的な技術に関する研究開発というところも、公募の枠組みの中ではありますけれども、支援してまいりたいと考えております。できるだけ読書バリアフリー関係の応募が来るように工夫しながら進めていきたいと思っております。
【中野座長】  ありがとうございました。河村委員、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 では、ほかに御質問ありますでしょうか。澤村委員、お願いします。
【澤村委員】  よろしくお願いします。日本点字図書館、澤村と申します。
 16条のほかに11条に関係するかと思うんですけれども、製作のシステムに関する問題、ここに注目していただきたいなというところが実はあります。16条に関しては電子書籍そのものの問題ですとか、利用端末に関して注目されていますけれども、実はシステム整備的なところ、そこの問題があるということを知っていただきたいなと。
 といいますのは、点字のことに関して申し上げますと、点字の高速プリンターですとか製版機は非常に先行きが不安な状況でして、つまり、たくさんのベンダーさんが参入して競合しているという状態ではない。特定のメーカーさんに依存しているところがありまして、そこの経営状況によってかなり左右されるところがあります。
 昨日、選挙がありましたけれども、それの選挙広報の点字版、これを短納期で万単位で印刷するには、製版機というものが必要でしたけれども、そういったものが非常に心もとない状況にあるということがありますので、16条において、是非利用端末側だけではなくて、製作システム、製作機器に関する研究開発助成、そういったものも考慮に入れてほしいというのがお願いです。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。厚労省はじめ研究開発の際に今の製作システムについても、助成がちゃんと出せるように御検討いただきたいということですので、是非それぞれ精査をしていただければと思います。ほかにいかがでしょうか。
 そのほかいかがでしょうか、16条関係です。よろしいでしょうか。長い議論でお疲れと思いますが、あともう少しですので、議論を続けさせていただければと思います。
 続きまして、第17条関係、事務局より御説明をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  20ページにございます、8、製作人材・図書館サービス人材の育成等(第17条関係)でございます。こちらにつきましては、製作人材・図書館サービス人材の育成の関係でございますので、(1)司書、司書教諭・学校司書、職員等の資質向上につきましては、障害者サービスの高度多様化や、ICT技術の進展等に対応するため、司書等を対象とした研修についても、社会変化に対応すべきといった記載を追記したところでございます。
 また、(2)点訳者・音訳者・アクセシブルな電子データ製作者等の人材の確保と養成につきましてでございますけれども、こちらはボランティアの高齢化や減少といったことについて言及をしまして、重要な課題であるということを記載をしたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。御意見等ありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。藤堂委員、お願いします。
【藤堂委員】  ここに書いてあるんだなという感じなんですけれども、何か一貫して必要なのが利用者の理解というのが抜けているんですね。サービスの理解はいいんですけれども、それを必要としている対象者に対する理解という言葉が抜けているなというふうに感じます。それがなくしてサービスを理解しても、本当にその人に必要なサービスが行くかというのは違うと思うので、入れていただきたいと思います。
【中野座長】  御意見ありがとうございます。今の御意見につきましては、事務局の方で精査をしていただきたいと思います。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】  ありがとうございます。私からこの17条関係のところで、この(1)の資質向上のところでお願い、検討していただきたいというお願いがあります。
 これ研修等については触れてあるんですけれども、やはりポイントになってくるのが、読書活動へのアクセシビリティ保障をその図書館等の中で誰がやるのかという役割の部分で、この辺り、その個々の組織における職務の存在があるということが定義できないかなと、そういう重要性を示すような工夫ができないかなと考えていまして、例えば図書館各館にアクセシビリティ保障や支援技術に関する専門性のあるものを配置することとか、あとは各館に書籍のみではなく、読書活動の社会的障壁やそのアクセシビリティ保障に関して役割や職務とする担当者を置くことといったような、研修ももちろんなんですけれども、何となく研修するというよりは、この人がその役割がある人なんですよということが明確化できないかなと思うようになりまして、そうした書き方ができるかを御検討いただければありがたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。今の件に関しまして、事務局の方で何かもし補足の説明があればお願いしたいと思いますが。
【星川障害者学習支援推進室長】  御意見ありがとうございます。第17条関係に入れるか、もしくはもう少しその大きなところに入れられるか、少し検討を進めてみたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。宇野委員、お願いします。宇野委員、川崎委員という順番でお願いします。
【宇野委員】  今の近藤委員の意見に賛同です。実は立法時から提起していたんですが、17条に関し、私は以前から、読書支援コーディネーターみたいなのを、まずは都道府県の図書館の中で任命できないものかと提起していました。というのは、学校現場では、地域の小中高校にも障害のある子はいますから、特別支援教育コーディネーターを決めてやっているという時代です。
 公立図書館においても、域内に障害者がいるわけですから、障害者サービスののリーダーとなる人を、サポーターやコーディネーターとして任命する。そして、その人から波紋が広がるように広げていく。このような人の存在が大事だと思うので、是非この第二次計画で進めていただきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございます。続きまして、川崎委員、お願いします。
【川崎委員】  すみません、川崎です。私は(2)のところなんですけども、製作人材として点訳者・音訳者、ありますが、いまだに交通費も含め全て無償でやっていただいているところです。
 公共図書館の方では、少ないながらも製作に関して、音訳協力者として、例えば謝金が支払われるとか、そういったものが用意をされているようですので、せめてそういった形のものを文言としてどういうふうに入れるかはお任せすることになるんですけども、例えば21ページの2行目と3行目の間に、「また、現在、交通費を含め無償となっているボランティア等の労働環境の改善を図るよう支援する」とか、何かそういった文言を入れていただかないと、国の基本計画にそれがないともう地方は全く動きませんので、今、例えば私のところは千葉県ですけど、千葉県のところで必死に言っても、国の基本計画になければ、それは推進計画の中では動かないみたいな形になりますので、是非そういった文言の一つでも入っていると、非常に私ども、仕事をする上でもありがたいと思いますので、よろしく御検討いただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  御意見ありがとうございました。修文案までいただきましたので、是非御検討いただきたいと思います。そのほかいかがでしょうか。澤村委員、お願いいたします。
【澤村委員】  日本点字図書館の澤村です。先ほどの川崎委員の御意見とかぶるところ、21ページの3行目から、「なお、製作人材の確保に関しては、ボランティアのみに頼ることなく、様々な方策を関係者間で検討していく必要がある」とありますけれども、ここも「検討していく」ですと、なかなか前向きかなと思うんですけれども、「必要がある」という評論的な言葉で終わってしまっているのがちょっとどうかなと考えておりまして、何かボランティアさんを前提とした製作体制ではない方向性を第二期では知恵を絞って検討していけないかなというふうに考えております。
 以上です。
【中野座長】  御意見ありがとうございます。この点に関しまして、事務局から何か補足ございますか。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  厚生労働省の吉元です。御意見ありがとうございます。
 川崎委員、澤村委員の課題とされているところは、当方でも重く受け止めております。いろいろとどの様な形にするかなどありますが、予算等の絡みとかもありますので、また、いろいろと実務的に御相談をさせていただければと思います。また、記載ぶり等につきましては、検討させていただきます。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。17条関係、よろしいでしょうか。
 それでは、施策の方向性については、以上とさせていただきたいと思いますが、言い忘れた点等、大丈夫でしょうか。
 では、次の大きな4番目の基本的施策に関する指標について、事務局より説明をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  22ページにございます基本的施策に関する指標でございます。
 今回の基本計画(第二期)については、各施策の進捗状況を把握するための指標を掲載いたしております。これらの各調査項目については、今後定期的に実態把握のための調査を行い、関係者協議会等で確認を進めるということを想定して盛り込んでいるところでございます。様々な項目について実態調査を行うべきという御意見をいただいているところです。
 本日の協議会においてもいただいたところですが、スポット的に実態把握のために行う調査とは別に考えた上で、基本計画に掲載するものとしては、調査者、調査対象者の負担増につながらないように、各担当省庁等で確認し、既存調査を中心に設定したものでございます。もちろんこの項目だけを調査すればよいという意味ではなくて、これらを代表的な指標として定期的に確認を続けていくということを考えており、また、調査事項につきましては、より進捗状況の把握がしやすい項目などがございましたら、適宜、関係省庁等で検討して、今回掲載したものに加えて、協議会等の場で共有するということも考えられるかと思っております。
 なお、現在の値については、年度内に取りまとめしつつ、事務局内で関係者協議会へのお示しの方法や、今後取りまとめていく時期などを検討しまして、次年度の関係者協議会での検討事項とさせていただきたいと考えております。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。それでは、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。まず、小池委員からお願いします。
【小池委員】  ありがとうございます。17条関係の2つ目ですか、点訳・音訳奉仕員養成研修の受講者数とありますけども、何か実際に調査がされているもので使う言葉を取られるのがいいのかなと思うのですけど、今回の資料をいただいて当館の担当にも聞いてみたところ、言葉の使い方としてあったもので確認したいということです。
 ほかのことについても同様にいくつか数ということであるわけですけれども、既存の調査があって、それが比較的、定期的に計算されているとか調査できているという数字だという理解でよろしいのかということが2つ目です。
 例えばこの11条関係で提供されているとなった時とはどういう意味なのかなと。例えば図書館で提供できる状況にあるということと、実際に買っているというのか、それはどのように調査するのだろうか。提供されている、つまり買える状況にあるというのは、数はある程度把握できるとは思ますけれども、実際にそれなりにある数の図書館が実際にそれを買っているということを調査することがそもそもできるものなのか、されているものなのか分からなかったので、そのような調査をするとすれば、そういう定義がされているものが存在しているものかという、そこがもし分かれば教えていただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。では、事務局からお答えいただきたいと思いますが、最初の名称のところは厚生労働省の方で把握されていますよね。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  厚生労働省でございます。御指摘ありました点訳・音訳奉仕員という表現ですが、当省所管の地域生活支援事業の実施要綱等において事業名として使用している表現でもあるので、この表現であれば各自治体では認知されており、数字は把握できる状況でございます。
 以上です。
【中野座長】  そのほかの指標に関しましても、基本的にはこれ最初の説明ありましたように、現時点で定期的にデータが収集できるものというふうな御説明でしたが、補足ありましたら、事務局、お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  御指摘ありがとうございます。確かに分かりにくい、もしかすると調査事項をそのまま持ってきている可能性はあるんですけれども、より分かりやすい表現をやはりする必要もあるとございますので、それぞれ各条ごとに、担当省庁が出し合ったものになりますので、それぞれ改めてその表記の仕方も含めて、確認をさせていただきたいと思います。
【中野座長】  小池委員、よろしいでしょうか。
 では、眞鍋委員、宇野委員という順番でお願いします。
【眞鍋委員】  電書連の眞鍋でございます。よろしくお願いします。
 22ページのところのこの指標なんですけれども、この第12条というところが非常にシンプルに書かれているんですが、先ほど宇野委員から話のあった16ページの12条のところですよね。ここのところで、宇野先生がおっしゃったのは販売できるようにするということと、それから、3つのポイントでおっしゃって、これは非常に分かりやすかったと思うんですよ。そうすると具体的にこの12条の肝って、宇野先生がおっしゃった販売できるというベースのことと3つのイシューとがあって、これで具体的にどう進めていけるのかというのを落とし込まないと、これ指標としては、成り立たないんじゃないのかなと。
 今の書かれている12条の書き方だけではきっと駄目なんじゃないのかなということを感じましたので、一言ちょっと付け加えさせていただきます。
 以上でございます。
【中野座長】  ありがとうございます。では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  申し上げたい3点のうち、1点目は今言っていただいたとおりです。負担が増えないようにとくぎを刺された感があるので、なかなか申し上げにくいんですが、必要なこととして意見を申し上げさせていただきます。
 まず、今、眞鍋委員から言っていただいたとおり、12条については本の種類や販売形態、例えば巻末にテキスト引換券を付けているというような情報が重要だと思います。文芸書なのかコミックなのか学術文献なのかというようなことも含めて、どういう本がどういう形態でどのように売られているのかが分かったほうがいいと思います。
 2点目は15条関係です。ICTサポートセンターというのが前から出ていますけれども、障害者で話すと、あまり認知されていませんし、利用されていないように感じます。ですので、一体どのくらいそれぞれの都道府県で利用されているのかを明らかにしていくと、分かりやすい数字が出てくるんじゃないかと思います。
 3点目は17条についてです。司書等の養成課程において、どの程度読書バリアフリーや障害者サービスに資する講座が開かれているのか、実施率の数字を明らかにすることによって、間接的に背中を押すということになると思います。
 それから先ほどのやり取りを聞いて思ったんですが、点訳奉仕者、音訳奉仕者というように、ボランティア活動というのは点訳と音訳と思われるかもしれません。しかし、数は少ないんですが、拡大写本もあります。これを文章に盛り込むかどうかはさておき、ボランティア活動イコール点訳・音訳と思いこまず、拡大写本ボランティアの方も活動されていることを申し述べたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。何か事務局から補足されることございますか。
【星川障害者学習支援推進室長】  御意見を踏まえまして、改めて検討させていただきたいと思います。
【中野座長】  河村委員、お願いします。
【河村委員】  指標の8条関係のところに、地方公共団体における読書バリアフリー計画の策定状況とあるんですが、具体的には、例えば図書館のデジタル、電子図書館の導入計画とか、それから新館の建築計画とか、何かそういうふうなもっと全体的なものの中に、こういった視点が含まれてくるというようなものもあるのではないかというふうに思うんです。ですから、そういったものを拾えるような指標にしておく必要があるのではないかというふうに思いました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。この点、いかがでしょう、自治体に調査できますでしょうか。
【星川障害者学習支援推進室長】  実際これは事務局が直下でやっているものでございます。あまりそういったところを具体的に調査自体は今していないところですので、どういったところが考えられるのか、少し調査できるのか考えてみたいと思いますが、そのスポットで確認するものと、定期的に確認するものというのはある程度分けて考えていくべきかなとも思っておりますので、例えばこの指標に盛り込まなくても、定期的に同じようなものを聞いていく。例えばそれは毎年ではなくて何年に一回とか聞いていくとか、そういった方法も含めて検討させていただきたいと思います。
【中野座長】  そのほかいかがでしょうか。お願いします。
【安形委員】  亜細亜大学の安形です。先ほど来、アクセシブルな電子書籍に関する内容の部分に関しても出ているかと思うんですけれども、ここでは、新規発行数、第12条関係だったり第11条関係なんですけれども、絶対数が出ているんですけれども、全体の発行タイトル数に対する割合、あるいは主題別の割合などが出るとよいのかなというふうに思います。ただ、すぐにできないかもしれないんですけれども、将来的にはやはり考えていただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  御要望ということですので、よろしくお願いいたします。そのほかいかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  日本図書館協会の佐藤です。ありがとうございます。
 先ほどの説明でちょっとよく分からないところがあったんですけども、既に実施している調査がありまして、それをなるべくまたはインターネットなどから数値が取りやすいものというのも、基本に据えているということだったのかなというふうに聞いたんですけども、例えばそうであるならば図書館の施設面、アクセシブルな施設のようなことが書いてあったと思うんですけども、そういうものを調査されているのでしょうか。それとも、それは大体そもそもアクセシブルな施設なりになって、一体何を指しているのかそういうのも細かく何かあるのでしょうか。それとも、そういうことはこれから具体的なものを詰めていくと、そういうお考えなのでしょうか。これが質問です。
 例えばこれから追加である程度、毎年または定期的に何年に一回でもいいんですけども、何か調査をされるということをもしも前提にされているのであれば、例えば第9条関係で言えば、資料のことや利用者については書いてあるわけですけども、やっぱり図書館だと来館できない方々がたくさんいらっしゃいまして、その方々は、視覚障害者の多くも来館が難しい方がいるわけですが、例えば郵送や職員による宅配サービスなど、こちらから、図書館側から利用者に寄り添っていくサービスが必要なんですけども、もしも実施、調査をされるということであれば、そういうものも加えていただけるといいのではないかなというふうに思います。
 それから17条のこと、先ほど小池委員が言われたところと同じなんですけど、例の奉仕員の話なんですけど、これはつまり先ほどの説明だと、これは既に多分全視情協だとか、実態調査を行っているところの数字を取るということで、恐らくこういう言葉が出ているんだと思うんですが、ということはこれは公共図書館とかの製作者の研修受講などについては、この数字には入ってこないというような感じ。要は今やっている調査から数字を取ってくるんだという理解でよろしいのでしょうか。
【中野座長】  御質問ですので、事務局から回答をお願いします。
【毛利図書館・学校図書館振興室専門官】  ありがとうございます。最初のお尋ねの第9条関係について、バリアフリー関係設備の整備状況は、社会教育調査で一定の整備状況を調べておりまして、例えば対面朗読室の有無、拡大読書器・拡大鏡、スロープ、障害者用トイレ等、基本的なところについては整備状況を把握しております。3年に一回の調査ではありますが、それらのデータ等を活用することを今考えているところです。
【星川障害者学習支援推進室長】  17条の関係は厚労省さんですよね。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  佐藤委員からありました、この受講者数というのは、先ほど申し上げたとおり地域生活支援事業の事業における養成研修の受講者数でありますので、データ自体は毎年取っているものです。ご指摘のような図書館等の奉仕員の中には、本事業による養成研修を受けた方が含まれている可能性もゼロではないのですが、その様な切り口でのデータを取っていないので、この様な形での受講者数という整理にさせていただいているところです。
 以上です。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
【中野座長】  そのほかにはいかがでしょうか。植村委員、お願いします。
【植村座長代理】  植村です。今ある調査を集めるという説明を理解した上であえて発言いたします。この指標はすごく重要だと思います。「促す」とか「進める」とか計画を文章化するだけでなく、指標を出すことによってさらに事業を進めていく効果が期待できます。
 例えば、冒頭聞きましたけど、地方公共団体の計画が進んでない自治体を明らかにしていくことで、地元の人たちの関心と問題意識も高まり、計画の後押しになるかと思います。
あと、ICTサポートセンターがパソコンの普及とともに始まっていますが、かなりのところ、パソコン入門にとどまっていると聞きます。電子書籍バリアフリーについて特化することをやれないかと思いますが難しいでしょうか。電子書籍を読もうとしても諦める方が結構多いのです。何かもう少し個別に沿った研修があるといいと思います。
 17条の図書館員向けの研修も実際やっているのでしょうが、一般論にとどまっているようです。せっかくだからアクセシブルな電子書籍の具体的な使い方に、もっと特化する項目ができたらいいと思います。その辺を促すことと、指標でフィードバックをかけることを具体的に付け加えられないかという気はしました。今あるのだけ集めるだけでなく、詳しくやるということが要望としてあります。
【中野座長】  事務局からの説明では、今あるものは継続していきますが、スポット的に調べるものは調べますよという御説明は最初にあったと思いますので、新しいものを全部拒否しているわけではないかと思います。その上で、今の御意見について事務局からもし御回答あればお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  御指摘ありがとうございます。今、座長からおっしゃっていただいたとおりでして、基本計画にこのような形で例えばすごく詳細な項目まで盛り込むということは現実的ではないかなとは思っています。例えばその一つの項目が、あまり意味がなくなった場合ですとか、新たに取り組まなければいけないもので調査を行う必要があるものが出た場合に、一々基本計画を改定していかなければいけないと。そうすると、この5年間の計画ということでつくっているものですので、なかなかそこまで盛り込むのは難しいかなと思っているところなんです。
 なので、基本的な、例えば先ほど一例ありましたが、社会教育調査のように定期的に国が行っているものを中心に、こちらの指標というものを設定をさせていただいておりますので、今お話をいただいたような形で、もう少し例えばこの記載を充実させていこうとするならば、基本計画そのものには指標は盛り込まないで、例えば毎年、関係者協議会の方で検討していくというような方法も考え得るかと思っています。
 現時点で事務局としては、これが明示的に代表例を盛り込む形でお見せするほうが趣旨に沿っているかなと思って、このような形にさせていただいたんですけれども、今の御意見を踏まえた形でどういう在り方がいいのか、もう少し事務局内で検討させていただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。必ずしも新しいもの全然駄目だよという意味ではありませんので、もし引き続き御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。植村委員、お願いします。
【植村座長代理】  なるほどと思いました。大づかみであっても、指標を決めて、基本計画の中に入れていくのはよいことだと思います。今までは指標的なものはなかったかと思いますが、さらに細かなものを各省庁の中で、つくっていただければなと思います。これは要望です。 
【中野座長】  ありがとうございました。御要望ということで、今後、この会議等で引き続き議論できると良いと思います。そのほかいかがでしょうか。
 指標につきましては、先ほど様々な御意見をいただきましたので、その中で定期的にチェックすることができる項目というのについて再度、表現を含めて事務局の方で精査をしていただきたいと思います。
 では、次に進めさせていただきたいと思いますが、「5 おわりに」について、御説明をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  最後のページ、23ページにございます「5 おわりに」というところです。こちらにつきましては、1つ目のパラグラフのところで、第二期は第一期基本計画をベースに、第二期をつくったということと、それから調査指標を新たに設定したということを記載をさせていただいたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  御質問、御意見等ございましたらお願いします。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】  すみません、簡単な質問で、この5のところと戻ってしまいますけど、1-2-4のところで共通している対象者についての確認なんですけれども、これは対象者の視覚障害者等については先ほども議論があったんですが、基礎的な質問で大変恐縮ですけども、図書館協会の37条の3項の障害者サービスのガイドライン対象となっている人と対象者は同じと考えてよいですか。
【中野座長】  事務局、お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  37条のガイドラインと同じということではないかもしれないです。こちらは法律の中で対象の条文がございますので、そちらをベースに考えています。
【近藤委員】  近藤です。そうするとそこのすり合わせが例えばこれまでなかったとなると、結構物事がいろいろ困ることが出てくるなと思っているんですけども、これはどうしたらいいですか。多分、図書館は37条、ガイドラインで動いていると思うんですけども、この法で言うところとは違うということになるんですね。どこが違うかとか教えていただいていいでしょうか。
【星川障害者学習支援推進室長】  そちらにつきましては、これまで、具体的な議論をこちらの場では特段してきていないと、承知しております。当然そのすり合わせについては、先ほど来、御意見いただいているところでもございますので、何らか方向性を出していくということは、課題としては考えているところでございますが、今回その基本計画の中でそれを整理するのはちょっと難しいかなと思っています。
【中野座長】  近藤委員、まずよろしいですか。
【近藤委員】  今いただいたことを考えるので大丈夫です。ありがとうございます。
【中野座長】  河村委員、お願いします。
【河村委員】  多分そこを解決するためには、やはり12条というのは物すごく広い範囲で、ユニバーサルデザインまで含んでいるものですので、12条の対象者が誰なのかといえば、障害の有無に関係なく全ての人というのが12条ですよね。ですから、法として誰を対象にしているのか、広義の対象者は12条の対象者になるので、私は12条をしっかりやれば、まさにユニバーサルデザインがこの法律の最終的な目的ですよと言っていいんだと思うんです。
 特に留意点として2か所出てきて、特に「おわりに」というまとめのところの一番最後から2番目のパラグラフに、やはり特に技術的な研究開発においてはユニバーサルデザインであることということをはっきり言っているわけです。これはやはり将来はユニバーサルデザインというのにつなげていくんで、過渡的にいろんなステップがあるとしても、この法律そのものは、ユニバーサルな読書バリアフリーを目指すんだというふうに言い切っていいのではないかというふうに理解するんですけど、それでよろしいでしょうか。
【中野座長】  事務局、いかがでしょうか。即答は難しいと思いますが、いかがでしょうか? この会議での議論は、読書バリアフリー法に基づいて実施しているので、そもそもの法律がどのように解釈されるかというところがまず、第一義的にあると思います。その上で、今回の読書バリアフリー法で扱うべき範囲と、読書バリアフリー法以外の法律と併せて進めていくべき理念や目標と2つ論点があるのだと思います。
 座長から前置きの説明をさせていただいている間に、事務局の心の準備も整ったと思いますので、回答をお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  座長、ありがとうございます。おっしゃるとおりでして、その整理が不要だということではもちろんございませんので、それぞれその関係する部分です。どこを対象としているのか、先ほど近藤委員から御指摘いただいたところも、当然、我々としては今回基本計画をつくるに当たって御意見をいただいたところもございますので、改めてそこは整理をさせていただきたいと思っております。すみません、この場ではなかなか回答が難しいところでございます。
【中野座長】  では、宇野委員お願いします。
【宇野委員】  まず、読書障害者とは誰かということですが、理想論から言えば、河村委員がよくおっしゃるように、聴覚障害者の中でも日本手話は理解できるが、活字は読めないという人もいます。だから手話つきDVDが存在するんだと思うんです。
 ですから、本来は、読書障害者全てを救うような法体系になっていれば、理想だったと思います。ところが、読書バリアフリー法は、マラケシュ条約に端を発しています。ですので、どうしてもマラケシュ条約が定義した受益者に縛られてしまうわけです。著作権法37条3項の改正も、読書バリアフリー法の対象者もそれに縛られてしまいます。これは行政の立場としては致し方ない側面もあろうかと思います。
 一方で、後で佐藤委員から補足していただきたいですが、日本図書館協会が作成されたガイドラインは、出版社や著作権者関係団体との間の民民のガイドラインということです。つまり、関係者が協議して、締結したガイドラインということです。ですから、ガイドラインが適用されるのは、その締結に関わった関係者に限定されると思います。おそらく点字図書館はこのガイドラインの対象ではなかったと記憶しています。
 法律の対象はは全国すべてですが、ガイドラインはあくまでも民々で約束したことに基づいて、その関係者が受けられる恩恵になると思います。「おわりに」に書いてあるのは、将来的に、ガイドラインが規定しているのと同じように、いろんな読書障害者を含むように目指していくというのは、国の目標としてはあってもいいと思います。
 それから、河村委員がおっしゃったユニバーサルサービスとの関係も、基本的にはその通りです。私たちが読書バリアフリーという言葉を立法時に用いたのは、アリの一穴ということなんです。まずは読書に最も困難のある障害のある人たちが困らないように、バリアフリーを求め、これであれば多くの人の理解を得られるだろうと考えたわけです。でもそもそも出版社が最初からいろんなデータを販売してくれていたなら、多分この立法は要らなかったと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。整理をしていただきました。
 オンラインで手を挙げていただいている方、ちょっとお名前が見えないのですが。阿部委員ですね。お願いします。
【阿部委員】  阿部です。よろしいでしょうか。今行われている議論については認識しているつもりです。その上でなんですけれども、私は身近な図書館に行っていろいろ聞いてきたり、体験して驚いたことがありました。というのは、今回はまずは視覚障害者とマラケシュ条約を基盤とした検討だということは承知した上で、ですけれども、図書館では、移動困難な人には図書を送るサービスもしているし、いろんなサービスが結構あるんだということを知りました。
 それで私は身近な障害のある人たちに、伝えたところ、図書館はそういうサービスもしているのか、本当にそうなのかと聞かれました。身近な図書館で行われていたんですけれども、もし可能であれば、その他多くの図書館でも、そのようなサービスもしているものなのかどうか、一般化できているものなのかということについて教えていただきたく思います。移動困難な多くの人たちが必要な本について依頼すれば送ってくれるし、回収もしてくれるというふうに聞きましたたので、ありがたいことだと思いました。今回の検討の内容ではないというのは承知の上なんだけれども、それが一般的なことであれば、もっと多くの人たちに周知したいと思って発言させていただきました。いかがなものでしょうか。
【中野座長】  阿部委員、ありがとうございました。これは佐藤委員が回答していただく内容だと思いますので、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。阿部委員、ありがとうございます。宇野委員から、まずガイドラインの話が少しあったみたいなので、日本図書館協会など図書館関係団体と出版社や著作権者などの人たちで検討チームをつくって、ガイドラインを作成して、具体的に37条第3項、著作権法の第37条第3項で言うところの視覚障害者等を図書館などが特定するためにどういうふうにしたらいいのか。利用者の特定だけじゃもちろんないんですけども、様々なことを決めております。
 これはあくまでも図書館などが利用者をちゃんと特定して資料を提供するという37条3項のところをちゃんと運用できるように、私ども、みんなで話し合って決めておりまして、いわゆるこの関係者を含めて全てで合意しているので、いわゆるソフトローと言われている部分です。例えば今日の論議の中で、今まさに例えば車椅子で図書館まで来られない人たちがいますよね。そうした人には図書館から図書を郵便で貸し出ししたりしております。ただ、そういう車椅子で本が読めるんだけども、図書館に来られない人というのはある意味、音声デイジーの対象ではないんですよね、そういう意味では。本そのものは利用できる、だけど、手が不自由で本が読めないという方々はそういう音声版とかの37条第3項の使用が利用できるというふうに、かなりきっちりとやる必要があります。
 これは権利者の権利をちゃんと守りながら、本当に読書に困難のある人たちに資料を提供したいという、これをちゃんときちっと私たちがやる責任がありまして、それをちゃんとしたいということです。
 それから、阿部委員の御質問なんですが、非常にいいところを突いていただいてありがとうございます。残念ながら、公共図書館の中で、例えば郵送や宅配などのサービスをちゃんとやっていて、しかもちゃんと実際に利用者がいる、本当にサービスをしているというんですか、そういう実績が出ている図書館って全国の図書館の2割もないんです。つまりほとんどの図書館はやっていない、平気でやっていないというと申し訳ないんですけども、非常に厳しい状態にあります。
 例えば本を郵便で貸すなんていう話はそんなに難しい話じゃないんですよね。それでも残念ながらやられていない。それはお金のこともあるかもしれない、送料は誰が負担するんだって、点字や録音図書は図書館や点字図書館から無料で郵送できますが、一般の図書は無料で郵送できないんです。割引制度があるんですけども、さすがに無料にはならないんです。この辺ちょっと郵便の問題とかそういうところも問題です。例えば寝たきりの方に音声デイジーを送りたいんですけども、残念ながらそこには無料で送ることができないんです。これはずっとこの会議でも言っていますが、総務省が管轄しているところの郵便の問題です。これも非常に大きな問題なんですが、今日この中では出て全く書かれていませんけども、どうやって届けるかというのが大きな問題です。
 ということで是非図書館でもっとやってくれるように、だから多くの図書館利用者の方が、是非言っていってください、送ってくれないかと。それをもしかすると開ける可能性があるから、是非利用者の方々も一緒になって図書館のお尻をたたきたいと思っているので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
【阿部委員】  ありがとうございました。またもう一つだけですが、その際に電子図書の貸出について当然ですけども、視覚障害者等の方が借りられるものの他に私でも借りられる、一般的なもの電子図書があることを図書館から教えてもらったので、それらを借りたりすることがあります。そういうことも今まで知らなかったので、図書館には行ってみるものだなと思いました。
 また、送料は無料で送るというふうに言っていましたので、その辺のところも、すばらしい取組だなと思いました。また、地元で、活用できる人は活用するようにと伝えながら取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。
【中野座長】  もう終わりの時間が大分近づいておりまして、あと10分しかない中で議題が2つ残っております。手が挙がっておりますので、どなたでしょうか、ちょっと見えないんです。工藤委員、手短に御発言をお願いできればと思います。
【工藤委員】  DPI日本会議の工藤です。今お話の話題に関連してなんですけれども、私の方でも認識している問題として、図書館に出向くことができない肢体不自由の障害者が図書館に相談をして、配本サービスがあるということを聞いたという電話をしたんですけれども、その申込みをするためには、直接、図書館の受付で来てくださいというふうに言われました。出向くことができないから電話で相談しているのに、出向かないと手続ができないというような、すごく矛盾した対応方法になっているというところがありますので、その点も是非改善していっていただけたらと思います。
 以上です。
【中野座長】  とても重要な体験談をありがとうございます。こういった問題を含めて解決できるように、今後この計画を進めていければよいかなと思います。
 それでは、たくさんの御意見をいただいておりまして、多分まだいろんな御意見あるのではないかと思いますけれども、残りの時間が少なくなっていますので、今後の進め方についてという議題2に進めさせていただいて、そこで、今日十分に議論し尽くせなかった問題等も含めてどうするのかということについて整理したいと思います。まずは事務局より説明をお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  資料2を御覧ください。資料2は、第10回の本協議会でお示ししたスケジュールです。そちらを時点更新を行ったものでございます。
 本日の御議論を踏まえまして、事務局としましては、予備回として設定しておりました第12回の関係者協議会については、開催する方向で調整をさせていただいたほうがよいのかなと思ったところでございます。委員の皆様、もし御意見あれば後ほどいただければと思いますが、事務局としては、開催する方向で調整をさせていただきたいと考えております。既に日程調整については御協力をいただきまして、12月16日月曜日15時から18時を予定しているところでございます。
 その際には、再度本日いただいた御意見を踏まえまして、基本計画第2案、第二期の案、こちらを調整させていただいて、お示しするような形になるかと思います。実際の情報保障の関係なんかもありまして、実際省庁の方で作業できる期間が恐らく1か月弱だと思います。いただいた御意見全て、例えばこの段階で清書して盛り込むことができるかどうかはちょっと分からないところでございますし、より重要な議題であれば、あえてこの基本計画に盛り込まずに、次年度への協議議題として申し送りをさせていただくとか、そういった方法も含めて我々で対応できる範囲で対応させていただきたいと考えているところでございます。
 その後パブリックコメントを経て、最終的な公表までに至る予定につきましては、次回の関係者協議会の際に御説明をさせていただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。今後、もう一度協議会を開いて議論を続けていくという御提案でございました。御意見等ございますでしょうか。
 それでは、次回予備日として用意させていただいた12月16日に、次回の関係者協議会を開催するということで進めさせていただきたいと思います。
 それでは、最後の議題ですけれども、特定書籍等の製作に係るデータ提供の在り方についての検討ワーキンググループについて、議論をさせていただきたいと思います。ワーキンググループ事務局の厚労省より御報告をお願いします。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  厚生労働省の吉元です。資料3を御覧いただければと思います。こちらにも書いてありますとおり、本ワーキンググループは令和7年度より、法第11条第2項に基づく出版社から特定書籍等製作者に対する書籍のデータを円滑に提供するための仕組みを確立するための実証調査を行うこととしておりまして、当該実証調査の実施に際して必要な事項の検討及び調査結果等を踏まえた全国実施に向けた課題の整備等を行うということを目的としたものでございます。
 メンバーはこういった事務手続的なものなので、本実証調査の実施主体となり得る出版社側の方から、ABSCセンター長の落合様、日本書籍出版協会の樋口様、特定書籍の製作者である図書館側からは全国視覚障害者情報提供施設協会の川崎様、あと日本図書館協会障害者サービス委員会の佐藤様、日本点字図書館の澤村様と、以上の5名の方に構成員となっていただいているというところでございます。
 9月18日に第1回を開催させていただきまして、そこでの議題では先ほどの繰り返しになりますが、来年、実証調査を行うに向けて、国としてもその実証調査のための予算の要求をしないといけないということで、厚労省、文科省、経産省の予算の要求状況についての説明と、あと特定書籍等の製作に係るデータ提供に関する実証調査の概要、スキーム等、あとそれぞれの役割の説明、認識共有、それから実証調査に向けて事前に整理すべき事項ということで、図書館側と出版社側の間で事前にどのような覚書とか手続が必要か等について検討させていただいたところでございます。
 来年度の実証調査を行うに当たり必要となる仕様書の作成に向けて、提供スキームや役割の確認、検証すべき内容、提供データの管理方法、活用範囲など、構成員の方々からいろいろと意見を頂戴したところでございます。
 現在事務局におきまして、仕様書のたたき台を作成中であり、ワーキンググループの先生とも調整をさせていただきまして、完成しましたら、この場で御報告をさせていただく予定で考えております。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。時間が少ないのですけれども、少し延長させていただくということを御了解いただいた上で、御意見等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  先ほどの議論の中でも申し上げさせていただきましたが、私は本来は11条2項と12条であれば、12条から先に制度設計を進めるべきだったと思います。ただ、既に11条の設計が進められています。きっと2つの条文に共通することもあるかと思いますので、11条2項と並行し、12条も具現化していただきたいと思います。
 昨年11月に個別ヒアリングがあり、、3月にはまとまって意見を交換する会もありました。そのときに今後のスケジュールも示されました。調査を行い、モデル事業を3年程度実施し、問題点を検証し、本格的な運用は2030年からだったと思います。そのスケジュールは前倒しされることなく、当初の予定通り動いていくということでしょうか。
【中野座長】  まず、質問に御回答ください。
【吉元自立支援振興室室長補佐】  今後のスケジュールにつきましては、前回お示ししたもので、今の現時点では変わっておりません。
【宇野委員】  私は正直、かなりのんびりしたプランだと思います。2030年までかかるのか、モデル事業に3年もかかるのかという気もします。前倒しが必要なのではないかと感じます。
 それから、ワーキングのメンバーについてですが、野口先生が本協議会に学校図書館の代表として入られました。学校図書館のニーズに応えていくという意味でもそうですし、野口先生は、この分野に非常に知見も深いので、是非ワーキングに入っていただいたらどうでしょうか。
 以上です。
【中野座長】  御意見ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。
 ワーキングについては、今後、この協議会で進捗を報告していただきながら、情報を共有させていただくことになるかと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、予定の時間にもう既になってしまっておりますので、この辺りで、議題を終了させていただきたいと思います。これで本日予定していた3つの議題は全て終了となりました。
 最後に事務局より一言お願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  本日は長時間にわたりまして、活発な御議論いただきまして、ありがとうございました。
 次回12月16日の関係者協議会に向けまして、また、事務的な連絡も含めまして、皆様に御連絡をさせていただきます。年末の御多忙のところ恐れ入りますが、引き続き御協力をいただきますようお願い申し上げます。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。議事に御協力いただいてありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
 
 

ページの先頭へ戻る

お問い合わせ先

障害保健福祉部企画課
自立支援振興室情報・意志疎通支援係

TEL:03-5253-1111(内線3076)