福祉・介護視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第10回)議事録


1.日時

令和6年7月1日(月曜日)15時00分~17時45分

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2.場所

全国都市会館2階 大ホール

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3.議題

1.「これまでの取組成果・達成状況、今後の取組・目標」の報告及び今後のスケジュールについて
2.「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)」の見策定について

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4.議事録

【中野座長】  本日の進行を賜ります、慶應大学の中野でございます。定刻になりましたので、ただいまから視覚障害者等の読書環境の整備の推進に係る関係者協議会(第10回)を開催させていただきます。
 最初に、本日の出席状況や資料の確認など、事務局からの御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  本日事務局を務めます、文部科学省障害者学習支援推進室長の星川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議の構成員については、参考資料1の設置要綱に記載されているとおりですが、今回の会議より御参加いただく委員がお二人いらっしゃいます。御紹介をさせていただきますので、一言御挨拶をいただければと思います。
 まず、一般社団法人日本出版インフラセンターアクセシブル・ブックス・サポートセンター長の落合委員です。
【落合委員】  ただいま御紹介にあずかりました出版インフラセンターより参りました、ABSC、アクセシブル・ブックス・サポートセンター、センター長になりました、落合早苗と申します。よろしくお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  ありがとうございます。
 続いて、愛知県福祉局福祉部障害福祉課長の佐藤委員の後任として坂上委員です。オンラインでの御参加になります。
【坂上委員】 愛知県障害福祉課長の坂上と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  ありがとうございました。
 続きまして、構成員の出欠状況について御報告いたします。本日は欠席の委員が5名(※)いらっしゃいますが、うち二人については、代理の方に御出席いただいております。御欠席は、公益社団法人日本眼科医会常任理事の井上委員,そして,日本オーディオブック協議会常任理事の上田委員(※)、それから,堺市健康福祉局障害福祉部障害施策推進課長の吉田委員です。また、一般社団法人日本発達障害ネットワーク理事長の市川委員の代理として副理事長兼事務局長の日詰様、そして、社会福祉法人日本点字図書館総務部長の野村委員の代理として図書製作部長の澤村様に代理で御出席をいただいております。以上、会場参加19名(※)、オンライン参加2名(※)となっております。
 
(※)日本オーディオブック協議会常任理事の上田委員は、オンラインでご出席いただいていたため、欠席の委員は4名。また、1名オンライン出席への変更があり、会場参加18名、オンライン4名。
 
 続きまして、事務局を代表して、文部科学省及び厚生労働省から一言御挨拶を申し上げます。初めに、文部科学省大臣官房審議官の淵上より御挨拶を申し上げます。
【淵上大臣官房審議官】  文部科学省大臣官房審議官の淵上でございます。本協議会の開催に当たりまして、文部科学省を代表して御挨拶を申し上げます。
 本日は御多忙の中、多くの構成員の皆様に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。さて、本年度は、読書バリアフリーの第一期基本計画の最終年度となりますが、これまで文部科学省におきましては、国民への普及啓発や図書館における取組の充実など、読書バリアフリーの推進に資する様々な施策を講じてまいりました。一定の成果は見られるものの、いずれもまだ道半ばであり、引き続きしっかりと取組を進めてまいる所存です。
 本日の会議では、これまでの取組の進捗状況の確認とともに、来年度より始まります基本計画の第二期に向けまして、構成員の皆様より様々な御意見をいただきたいと考えております。皆様におかれましては、引き続き読書バリアフリーの推進に当たり、お力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  続いて、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長の辺見より御挨拶を申し上げます。
【辺見障害保健福祉部長】  厚生労働省障害保健福祉部長の辺見と申します。構成員の皆様方におかれましては、御多用のところ本協議会に御出席を賜り、ありがとうございます。
 令和2年度に読書バリアフリー法に基づく具体的な取組を進めるための基本計画を文部科学省並びに厚生労働省において策定し、今年度は基本計画の最終年となります。これまで地方公共団体や関係機関、当事者など多くの関係者と協力をし、施策を推進してきたことによりまして、視覚に障害がある方などに対する読書環境を取り巻く状況は大きく前進してきたものと考えております。
 厚生労働省におきましても、点字図書館や障害者情報総合ネットワーク「サピエ」に対する支援を行うことによりまして、アクセシブルな書籍作成を着実に進め、年々利用者も増えているところでございます。一方で、各省や関係団体の皆様と政策を進める中、この制度を当事者の方にとって更に有益なものにしていくためには、視覚障害者以外の方の読書困難者に対する利用促進など、依然として課題があるものと認識をしており、こうした課題解決に向けた対応について、第二期基本計画に反映し、更なる読書環境の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 本日の協議会では、皆様から忌憚のない御意見を賜りたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
【星川障害者学習支援推進室長】  ありがとうございました。
 恐れ入りますが、公務の都合により、淵上審議官、辺見部長はここで退席をさせていただきます。
 次に、本日の資料について御説明します。本日の会議は、ペーパーレス開催とさせていただいております。構成員の皆様には事前に資料を送付しておりますが、同じものが机上のタブレットにございますので、そちらを御覧ください。また、傍聴の方は、厚生労働省及び文部科学省のホームページに資料を掲載しておりますので、そちらを御確認ください。本日の資料は、議事次第のほか、資料1から3、そして参考資料1から3の以上7点となっております。資料が表示されないなど御不明な点がございましたら、事務局までお声掛けをお願いいたします。
 また、本日オンラインで御出席の構成員の皆様へお願いがございます。カメラは通常はオンのままにしていただき、御発言の際には、Zoomの「手を挙げる」機能の使用をお願いいたします。御発言時以外はマイクをミュートにするよう御協力ください。なお、通信障害などで不具合が発生した場合には、事前にお伝えしております事務局の連絡先までお知らせください。
 最後に、事務局より会場の退出時間についてお願いがございます。本日は日程調整の結果、遅めの時間からの開催となりました。その関係で、会場の退出時間まで余り余裕がないという状況がございます。委員の皆様におかれては、限られた時間となり恐縮ではございますが、会議運営に御協力いただけますと幸いでございます。
 事務局からは以上です。
【中野座長】  事務局、御説明ありがとうございました。
 それでは、これより議題に入りたいと思います。本日は議題が二つございます。第1番目の議題は、「これまでの取組成果・達成状況、今後の取組・目標」の報告及び今後のスケジュールについてでございます。それから、第2番目の議題が、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画(第二期)」の策定についてでございまして、この2番目の議題が、本日より多くの時間を割いて皆様と議論したい議題でございます。
 それでは、第1番目の議題から議論を進めていきたいと思います。事務局及び各省庁から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  それでは最初に、事務局より御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。
 資料1は、昨年7月に開催をいたしました第9回の本協議会でお示しをしました基本計画(第二期)の策定スケジュールに、より具体的なプロセスを追記したものとなっております。一番左側の枠にありますとおり、本日は今年度1回目の関係者協議会ということで、関係者協議会丸1番と表記をしてございますが、本日の関係者協議会では、基本計画(第二期)に向けた意見聴取を行うこととしています。構成員の皆様には既に書面にて御意見をいただいておりますので、本日の協議会ではその確認と補足などを御意見いただければと考えております。
 本協議会が終了した後のスケジュールでございますが、本日いただいた御意見、それから書面でいただいた御意見を踏まえまして、事務局を中心に基本計画(第二期)の素案を作成しまして、次の枠にございます、8月上旬をめどに、関係省庁等会議、こちらの方を開催いたしまして、この素案を確認するということとしております。この素案を確認しましたら、8月をめどに構成員の皆様に素案を書面にて御提示いたしますので、御意見をいただきたいと考えております。
 皆様からの御意見をまとめまして、10月に開催予定の第11回、今年度第2回目の関係者協議会におきまして、基本計画(第二期)の案を提示したいと考えております。その後、調整等を行いながら案を固めてまいりたいと思いますが、状況によっては関係者協議会の予備会を12月に開催することも検討しているところでございます。その後、案が固まりましたら、事務局にてパブリックコメントなど所定の手続を経まして、今年度中に基本計画(第二期)の公表を行いたいと考えております。
 また、こちらの資料に記載はないのですけれども、スケジュールに関係して御報告をさせていただきたいことがございます。今年度は、基本計画策定の動きと並行しまして、特定書籍等の製作に係るデータ提供の在り方について検討するためのワーキンググループを設置したいと考えております。具体的には、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3省で第9回の関係者協議会でお示しした令和7年度より実施予定の実証調査に係る課題整理、それから、仕様書策定に向けまして、関係する団体から御意見をいただく機会を設けることを考えております。
 資料1のスケジュールに関しては以上でございます。
 また、引き続きまして、資料2にございます「これまでの取組成果・達成状況、今後の取組・目標」について、各省より御説明をさせていただきたいと思います。
 初めに、事務局の方から御説明をさせていただきたいと思います。事務局からは、地方自治体における読書バリアフリー計画の策定状況について御報告をいたします。資料2の1ページから3ページに関係する記載がございます。
 令和6年2月1日時点での集計となりますが、都道府県に関しては、計画を策定済み又は策定作業中との回答がやっと100%となったところでございます。一方で、指定都市では約70%、中核市では約40%にとどまっているという状況もございます。
 3ページにグラフがございますが、3ページのグラフのとおり、令和2年度の調査結果と比較しますと、全体として伸長していると言うことはできますけれども、未策定の自治体へのヒアリングでは、基本計画の策定から既に3年以上経過しているところではございますが、いまだに策定担当部局が決まっていないというところも見られるところです。法律の趣旨が十分に浸透しているとは言えないという状況でございます。未策定の自治体に対しては、より一層の働き掛けが必要であると認識しておりまして、様々な機会を通じて普及啓発活動を行ってまいりたいと考えております。
 事務局からは以上となります。
【中野座長】  ありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省から御説明をお願いいたしたいと思います。
【川部自立支援振興室長】  厚生労働省になります。障害部の川部と申します。よろしくお願いします。
 厚生労働省の資料は、ページ4から始まっています。それで、4ページから6ページまでは、それぞれの定めた項目に応じた細かい数字を挙げていますが、時間の制約上、これらをまとめた資料が、例えば4ページでいきますと、右側の肌色の部分で資料番号がそれぞれ振ってあると思います。
 この資料をまとめたものが7ページからになりますので、この資料を用いて御説明申し上げたいと思います。右上に厚-1と書いてある資料でございます。まず、周知広報ということで、「シカクの窓」というホームページを作成していたりとか、サピエ図書館の動画PRチラシなどを周知しているという取組をやっております。
 それから、8ページは点字図書館の概要でございますので、ほぼ皆さん知っていることが多いと思いますので、この説明は割愛します。
 めくっていただきまして、9ページになります。我が方としまして視覚障害者などの読書環境の整備にどのように取り組んできたかということで、大きく1番、2番、3番と書いています。一つは補助金ですけれども、加算単価の増額ということで、読書バリアフリー法が出来た後、1施設当たりの上限を上げたりということで、着実に補助金の方で活動を支援しているというのが1番でございます。2番の方は、私どもが持っています予算事業の中で、ICTサポートセンターの総合推進ということで、こういう新規事業を立ち上げています。それから、3番の方はサピエの充実強化ということで、それぞれ予算を増額してしっかり、例えばコールセンターの設置とか、サピエは少し情報を取るようなサーバーの機器などの充実も必要でございますので、こういうことを足元でやってきたということを書いています。
 それから続きまして、10ページの方ですが、地域でどのように読書バリアフリー法の体制強化に取り組んできたのかということで、2例ほど事例を提示しています。10ページに書いているのが滋賀県の例でございます。滋賀県は県立の視覚障害者センターに人、推進員を配置してハブ的にやっていた。この推進員がすごくいい働きをしまして、例えば公共図書館などと連携を取るということと、真ん中ほどに書いてありますとおり、ポイントと書いてありますが、県立図書館それぞれと意見交換を行ったものを基に、六つの研修プログラム、例えば視覚障害者との接し方とか、読書支援機器の体験などのプログラムを作成し、公共図書館のニーズに応じた研修を行ったということと、それから、アウトリーチということで出前講座を行ったということです。それから、もう一つ行ったのは、サポートした内容をまとめまして、要は、説明した時点ではすぐ分かるのですが、時間がたつと忘れてしまうということで、振り返ってそういうことが確認できるマニュアルを作成して、そのマニュアルどおりに訪問サポートを行ったということでございます。
 それから、11ページ、もう一つの事例でございます。これは徳島県ということで、やはり音訳、点訳というのを、今現場の方の御意見を聞くと、どうしても高齢化というのが多くなりまして、今後の人材確保という意味で、徳島県は総合的な探究の時間というような授業の中で、福祉をテーマにするグループの参加などを利用して、高校生を対象に例えばデイジー図書とか点字図書の製作方法などについて学ぶような機会を設けて、製作体験を実施したというのが11ページの事例でございます。
 それから、12ページの方は、視覚障害者等用情報総合ネットワーク、いわゆるサピエの運営支援ということです。これは大きく、システムの経費に係るもの、それから、運用に係る経費のものということで、目的としましては、全国の視覚障害者等に情報が届くようにということで取組をやって、これの補助を、例えば令和6年度の予算額で申し上げますと、1.3億ほど補助をしているということです。
 それから、13ページの方は、ICTの機器利用支援事業ということで、都道府県の方にICTサポートセンターを設置しまして、視覚障害者などにいろいろな情報を届けているということです。ICTサポートセンターは全国にあるのですが、それを中央で管理する、連携を図ったりとかそういうことをやっているICTサポートセンターの連携事務局も、この赤囲いの破線でありますが、こういうことをやっているということです。
 それから、14ページになりますが、令和5年度に、読書バリアフリー法の施行を踏まえて、私どもの予算事業の中で、日常生活用具の給付事業があります。それの中で、どういうものが新たに、特に視覚障害者とか読書バリアフリーに資するもので、見直して、こういうものを新たに対象としたものだという一覧。まだ市町村数等は少ないですが、例えばポータブルレコーダーとか、活字文書の読上げ装置とか、そういうものを各市町村も、少しずつではありますが、支給の対象としていただいているというような状況が進んでいます。
 厚生労働省からの説明は以上になります。
【中野座長】  どうもありがとうございました。説明をしていただく際に各省庁にお願いなのですけれども、この会場には視覚障害等の、資料を直接、今指示されたページ等を見るのが困難な場合があり得ますので、資料を見なくても分かるように御説明をいただけるとありがたいところでございます。
 では続きまして、文科省、文化庁からお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  続きまして、文部科学省及び文化庁における第一期基本計画期間の成果に関しまして、御報告をさせていただきます。資料は15ページ以降となります。かなり分量がございますので、ポイントを絞って御説明をさせていただきたいと思っております。
 まず、国民等への周知に関してですけれども、各種シンポジウムやフォーラムなどを開催しまして、読書バリアフリーの普及啓発活動を進めております。例えば令和5年10月に開催しました「超福祉の学校」というイベントの中で、読書バリアフリーに関するオンラインのシンポジウムを開催したところ、視聴者数が5,000人を超え、また、アクセシブルな書籍の展示にも多数の参加者をいただきました。今年度も同様の取組を検討しているところでございます。このような機会を積極的に設けて、普及啓発の取組を進めてまいります。
 次に、公共図書館等における取組でございます。資料は19ページより掲載をしているところです。令和5年3月に策定しました第五次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画では、多様な子供たちの読書機会の確保を柱の一つとしまして、図書館においてアクセシブルな書籍などの整備・提供に努める必要があることや、学校などにおいて多様な子供たちの読書機会の確保に取り組むことなどを掲げているところでございます。自治体に対しては、読書バリアフリー基本計画を踏まえて、多様な子供たちが利用しやすい書籍などの整備・提供や読書環境の充実に努めるよう周知を行っておりますほか、読書バリアフリーに関するリーフレットの配布や研修機会などを通じまして、読書バリアフリーの周知を図っているところでございます。
 また、資料24ページから26ページになるのですが、読書バリアフリーの普及啓発を進めるための事業も行っております。令和3年度より、公立図書館や点字図書館、学校図書館など様々な館種の図書館等が連携をした読書バリアフリーコンソーシアムの取組を進めています。各館の物的・人的資源の共有を図るとともに、図書館を利用する視覚障害者等の増加を目的とした広報の強化などの取組を実施しまして、成果の普及を進めております。
 さらに、こちらは資料27ページになりますが、図書館における障害者サービスの現状を把握するため、学校図書館や公共図書館におけるアクセシブルな書籍の整備状況や、特別な支援を必要とする子供のための取組の実施状況の調査を行ったほか、司書や司書教諭等の講習を実施する大学等に対しては、各種講習会などで視覚障害者等に対する図書館サービスに関する内容の取扱い状況を調査いたしました。
 また、人材育成の取組としては、資料は飛びまして42ページになるのですが、令和2年度より司書や司書教諭、ボランティア等を対象とした、図書館における障害者サービスの内容を理解し支援する方法を習得するための研修や、読書支援機器の使用方法に習熟するための研修等を行っております。引き続き、各種取組により、公共図書館、学校図書館における読書バリアフリーに関する取組の普及を図ってまいります。
 続いて、高等専門学校の附属図書館の体制整備等についてでございますが、個別の資料はこちらはございません。全51国立高等専門学校において、新統合図書館システム、OPACの端末に表示画面内容の音読機能を導入いたしました。また、朗読CDや朗読CD付きの図書、英語多読用電子ブックの充実、リーディングトラッカー等の読書補助用具の整備を行いました。引き続き、利用者のニーズに応じたアクセシブルな書籍等の充実に努めてまいりたいと思います。
 続いて、大学図書館等における取組です。資料は23ページにございます。令和4年10月より図書読書バリアフリー法対応のメタデータ共有システムの正式運用を開始いたしました。令和6年1月には、国立国会図書館障害者用資料検索システムである「みなサーチ」の正式版の公開に伴いデータ連携を開始し、令和6年3月の時点で申請機関数は100機関、登録済みメタデータは460件となっています。こちらも引き続き、システム機能の改善を図るとともに、本システムの活用における周知啓発を行ってまいります。
 そのまま続きまして、文化庁における取組についても御説明をさせていただきます。44ページに記載がございますが、外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための読書整備につきまして、令和2年度より継続して文化庁ホームページにおいて、その入手に必要な情報の提供について周知を行ってまいりました。また、文化庁著作権課が著作権の普及啓発のために開催するセミナーや講習会におきまして継続して受講者に対して周知を行い、令和5年度の受講者数は1万1,618名となり、令和2年度からの受講者合計は2万1,241名となります。ホームページの情報を更新するとともに、著作権に関する講習会等の機会を捉えて、積極的に周知活動に取り組んでまいります。
 最後に、文部科学省及び文化庁といたしましては、第一期基本計画の成果と課題を踏まえまして、読書バリアフリーの推進により一層努めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
【中野座長】  ありがとうございました。
 続きまして、総務省、お願いいたします。
【輿石情報活用支援室課長補佐】  総務省でございます。総務省から御説明申し上げます。資料につきましては、45ページからとなっております。
 総務省は、通信ネットワーク、そしてICTの利活用推進の観点から施策を推進しておりまして、本読書バリアフリー法の基本計画との関連で申しますと、アクセシブルな電子書籍、端末機器等に関する先端的な技術等の研究開発の推進の観点から施策に取り組んでおります。
 資料としては、46ページから御説明させていただきます。総務省ではデジタルデバイドを解消……。
【中野座長】  音声が切れてしまったようです。通信状況でしょうか。止まっていますね。
 では、順番を替えさせていただいて、総務省の方は、接続ができましたら再びお願いしたいと思います。
 では続きまして、国立国会図書館よりお願いいたします。
【渡邉図書館協力課長】  国立国会図書館図書館協力課長の渡邉と申します。では、私の方から、当館のこれまでの取組等を御説明させていただきます。
 まず、第9条関係ということで、アクセシブルな書籍等の充実ということの取組を幾つか挙げております。成果・達成状況のところを中心に御説明申し上げますと、令和2年度から令和5年度までの4か年で視覚障害者等向け録音図書、デイジー仕様のものを45タイトル製作いたしました。また、テキストデータにつきましては、校正済みテキストデータを170タイトル、未校正のテキストデータを311タイトル製作いたしました。これが当館が製作したものでございます。
 また、令和2年度から令和5年度までの4か年で、公共図書館や大学図書館等から計1万6,186件の視覚障害者等用データを収集いたしました。データの提供館につきましてはこの4年間で50館増加いたしまして、令和5年度末現在で141館となっております。それから、令和5年度末時点で当館が製作したデータ、データ提供館等から収集いたしましたデータ、それから、後ほどまた御説明いたしますが、デジタル化資料からOCR処理により作成した全文テキストデータを合わせまして約251万件のデータを視覚障害者等用データ送信サービスで提供しております。したがいまして、令和2年度から令和5年度までの4か年で約248万件増加したということになります。
 また、明治期以降に刊行された活字のデジタル化資料を当館においてテキスト化するためのOCRを令和3年度に開発いたしまして、NDLOCRと名づけました。こちらは令和4年5月にCC BYのライセンスで一般公開しております。このNDLOCRにつきまして、令和4年度には、読み順の整序等の機能を付与し、性能改善も行う追加開発を実施いたしまして、NDLOCRのバージョン2として令和5年5月に同じくCC BYライセンスで一般公開しております。
 もう1点、第9条関係のアクセシブルな書籍等の充実というところでは、令和2年度から令和5年度までの4か年で、当館の共同校正システムを用いまして、日本点字図書館様等の参加機関が1,860点のテキストデイジー等を製作されています。
 次に、第10条関係ということで、インターネットを利用したサービスの提供体制の強化についてでございます。全国にあるアクセシブルな書籍等を統合的に検索できる新たなシステムといたしまして、令和6年1月5日にみなサーチ(国立国会図書館障害者用資料検索)の正式版を公開いたしました。昨年度のこの関係者協議会の場ではまだベータ版というところで御紹介をさせていただいておりましたが、今年の1月に正式版ということで公開いたしました。
 また、公共図書館や大学図書館等で障害者サービスを担当されている司書・職員の方々を対象とした障害者サービス担当職員向け講座を毎年度実施しております。こちらの講座は、日本図書館協会様と共催ということで実施しております。この講座では、当館が提供しておりますインターネットサービスやサピエ図書館様に関する講義を設けまして、インターネットを利用したサービスの周知を図っております。令和2年度から令和5年度まで4か年開催いたしまして、図書館員の方等延べ810名がこの講座に参加されております。
 なお、この10条関係のところで、先ほど御説明したみなサーチにつきましては、別添資料ということで資料1をお付けしております。全部は読み上げませんが、ポイントだけ御説明申し上げますと、「国立国会図書館障害者用資料検索(みなサーチ)正式版の公開」という資料でございますが、概要と事業内容ということで記載しております。
 事業内容の方に項番1、2、3と三つ挙げておりますが、まず、1としてアクセシビリティ・ユーザビリティを高めたシステムということで、音声読み上げ、画面拡大、点字表示など様々な支援技術を使用する、視覚障害者の方等にとってアクセシブルな書籍等をより見つけやすく、使いやすいユーザーインターフェースを備えた統合検索サービスということにしております。
 また、2番目で検索対象の拡大ということで、これは先ほど文部科学省様の方でも御説明がございましたが、国立情報学研究所様の読書バリアフリー資料メタデータ共有システム等を新たに検索対象に追加しております。
 それから、三つ目がデジタル化資料へのアクセスの拡大ということで、先ほど製作・提供した資料点数で言及いたしましたが、国立国会図書館が作成したデジタル化資料はそのままですと画像データですので、それでは利用することが困難な視覚障害者等の方々がいらっしゃるため、これを全文テキストデータを提供するということで約247万点をNDLOCRにかけまして、みなサーチで提供し始めたということになります。
 次が第12条関係ということになります。アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等ということになります。こちらにつきましては、アクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスに関するガイドライン作成の基礎的な情報を共有することを目的といたしまして、当館の方で図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会を立ち上げました。こちらの検討会につきましては、本日のこの関係者協議会の構成員の方々にも数多く御参加いただいて、大変有益な御意見等を賜っております。この場を借りて御礼申し上げます。
 こちらの検討会での御議論を通じまして、令和3年度に、報告書を取りまとめて公表いたしました。次に、電子図書館を視覚障害者等が利用するに当たって必要なアクセシビリティに係る要件を整理いたしまして、電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0を作成・公表いたしました。このガイドラインの公表が昨年度の7月のこちらの関係者協議会の前日ということになります。
 そして、その後ということですが、今年度、令和6年度にこのガイドラインの更新を計画しておりまして、そちらの検討の基礎とするデータを得るために、昨年度、ディスレクシアを含む発達障害等の児童を対象とする調査を外部委託で実施したところでございます。
 こちらの取組につきましては、資料2ということで、別紙をお付けしております。「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会における令和5年度の検討状況について」としております。まず、項番が二つありまして、一つ目がガイドラインの普及広報活動ということで、ガイドラインをより多くの方々に知っていただくために、刊行物への原稿執筆や研修やイベント等での登壇・開催ということで取り組んでおります。主なものだけ資料には抜き出しておりますが、例えばイベントの方で、令和5年10月25日に昨年度の図書館総合展の方で、この構成会のメンバーでもいらっしゃいます近藤武夫先生、植村八潮先生、佐藤聖一様、それに日本書籍出版協会の田中敏隆様に御登壇いただきまして、フォーラムを開催して、ガイドラインについてより広く知っていただくという取組などをしております。
 この資料の項番2の方が、先ほど言及いたしました令和5年度に実施した、令和6年度にガイドラインの更新を行うための調査ということで、大阪医科薬科大学に委託して行った調査の概略でございます。こちらは先ほども申しましたとおり、ディスレクシアを含む発達障害等の児童を対象とする調査ということで、文献調査、そして実験調査を行ったということになります。
 続きまして、第13条関係ということで、外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備でございます。令和2年度から令和5年度までの4か年で、国内の図書館等から21件の依頼を受けて、外国で製作された点字データ、音声デイジー等84タイトルを収集して当館の送信サービスを通じて提供いたしました。また、逆に海外の機関からの依頼が2件ございまして、それを受けて国内で製作された視覚障害者等用データ19タイトルを提供いたしました。
 最後が第17条関係ということで、司書、司書教諭、学校司書職員等の資質向上ということになりますが、こちらは先ほど御説明申し上げました、障害者サービス担当職員向け講座を毎年度実施したということの繰り返しということで、資料上は再掲ということで載せております。
 私からは以上となります。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、総務省戻ってこられましたかね。では、御報告を改めてお願いいたします。
【輿石情報活用支援室課長補佐】  先ほどは申し訳ございませんでした。総務省でございます。資料46ページの部分から御説明させていただきます。
 総務省では、デジタルデバイドを解消して、障害者や高齢者を含めた誰もがICTによる恩恵を受けられる読書バリアフリー環境を実現するために助成事業を行っております。具体的には2種類の助成を行っておりまして、一つ目は、新たなICT機器やサービスの研究や開発への助成を行っておりますものと、もう一つ目は、既に存在するICTサービスをより高度化し、自走化を目指す事業者に対する助成の2種類の助成を行っております。令和5年度につきましては、本助成を通じて合計11件の助成を行いました。特にデジタルデバイド解消に向けた技術等研究開発については、応募要項の中に読書バリアフリーを推進するためのテーマを積極的に募集する内容を追加し、募集を行っております。
 資料47ページになりますが、令和5年度に助成した11件中2件が読書バリアフリーに資するものとなっており、これらは令和3年から3年間助成を行ってまいりました。本事業を通じて、引き続き障害者にアクセシブルなICT機器等の研究開発助成を通じ、読書環境整備に取り組んでまいります。
 御説明は以上となります。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは最後に、経産省よりお願いいたします。
【髙野コンテンツ産業課係長】  経済産業省でございます。経済産業省からまず、これまでの取組等を御説明させていただきたいと思います。
 読書バリアフリー環境の整備においては、リフロー型電子書籍の拡大を基本としつつ、それにより対応できない課題は、テキストデータや電子データの提供を行うことを大きな方向性とし、令和2年度から取り組んでまいりました。それで、ロードマップとアクションプランを策定しております。まず、第12条関係で二つです。(1)総合的なデータベースの構築、(2)電子書籍(リフロー形式)の基準の検討。続いて第11条関連で2点です。(3)サポートセンターの設置・運営、(4)テキストデータ抽出等に関する基準の検討ということでアクションプランを策定しております。
 成果・達成状況につきまして、まず第11条関連からお話しさせていただきます。テキストやPDF等の電子データの受渡しについて、出版者から利用者までの提供スキームを整理し、出版者側の窓口となるサポートセンターについては、日本インフラセンターの下にアクセシブル・ブックス・サポートセンター、ABSCを設置させていただいております。こちらにつきまして、今後の取組目標についてですが、テキストやPDF等の電子データが川上である出版者からABSCを通じて利用者側の機関である特定電子書籍等製作者、その先の障害者の方々の手に渡るまでのフローについては、先ほど事務局から御説明がありましたとおり、3省、文科省さん、厚労省さん、当省経産省において、関係機関の協力の下、検討を進めていきたいと考えております。また、ABSCと特定電子書籍等製作者間で必要となるデータの保持の仕方や契約等について、出版業界の関係者等を含めて議論を進めてまいりたいと考えております。
 続いて、第12条関係です。成果達成状況についてですが、令和4年度には電子書籍製作に係るワークフローの整理を実施しております。大手出版社を除き、ほとんどが外部への委託により作成しており、その製作費は、InDesign等のDTPソフトによるデータからであれば、ページ数等による変動はあるものの、1冊当たり3万円から5万円程度に作成可能なことを確認しております。他方で電子書店ビュアーのアクセシビリティ機能の脆弱さや電子書店ごとの機能のばらつきが指摘されており、こうした機能の強化が課題として挙げられております。
 昨年度、令和5年度には、一層の中小出版社への普及を促すため、約2,700社に対してアンケート調査を実施しております。リフロー型電子書籍の製作における各社の工夫の事例収集や普及への課題を調査していますが、TTSによる読み上げを見据えて外字の使用を避けるなど、各出版社で実施している工夫が見られております。
 他方で中小出版社の多くから、そもそもの製作方法が分からない、統一したルールが必要といった声も上がっております。こうした声も踏まえて、今後は中小事業者でも活用可能なアクセシブルの電子書籍製作におけるガイダンスを策定していく予定でおります。策定に当たっては、電子書籍製作事業者、あとはビュアー開発事業者等の関係者を招聘し、電子書籍の標準的なファイル形式であるEPUBを対象に、アクセシビリティに関する国内及び国際的な最新の標準動向を踏まえるほか、アンケート調査で収集した各社の工夫等も盛り込んでいきたいと考えております。また、策定したガイダンスの普及啓発の方法についても、関係団体と連携し、検討を行っていきたいと考えております。
 続いてまた、12条関連、その他のところです。成果・達成状況につきまして、近刊情報等を一元管理しているデータベース(JPRO)については、紙の書籍だけでなく、電子書籍やオーディオブック等の販売情報や、国立国会図書館の視覚障害者等用デジタル資料、サピエ図書館資料の登録情報とも連携を実施しております。JPOが管理する一般利用者が出版情報等を検索できるサイト、こちらにおいても上記連携データの表示が可能となっておりまして、電子書籍等の販売状況、電子データ等の提供状況を探せるための環境整備を行っております。また、このBooksサイトにおけるアクセシブル化を行い、視覚障害者等におけるサイトの検索性向上を図っております。こちらについては、当課が持つ補助金なんかも活用していただきながら、今後も支援していきたいと考えております。
 続いて最後、補足のところになります。こちら、ABSCの活動として、著作権者等の理解醸成にも取り組んでおりまして、本年4月には、文藝家協会、日本推理作家協会、日本ペンクラブの3団体による「読書バリアフリーに関する三団体共同声明」を発出しております。こちらは読書バリアフリー法における賛同を得ているという形になっております。また、つい最近には、出版5団体も似たような読書バリアフリー法に関する共同声明を出しておりますので、今後は著作者団体、出版社、ABSCと関係団体等連携して、業界内の読書バリアフリーに関する理解促進及び着実な進展を図っていきたいと考えております。
 以上になります。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、各省庁の取組に関しましてはこの後の議題2で議論をさせていただきたいと思いますが、それまで、各省庁の取組に関する御意見ではなく、最初に説明をしていただいた策定スケジュール等について御質問がありましたらお願いしたいと思いますが、よろしくお願いします。いかがでしょうか。
 宇野委員、お願いいたします。
【宇野委員】  スケジュールの後段の方で話されたデータ活用の件のワーキンググループを設置されるというお話について、質問させてください。11条2項や12条をどう具現化するのかはとても大事な問題でしたので、3年越しにはなりましたけれども、ワーキンググループを設置していただけるのは一歩前進と思っています。ありがとうございます。
 その中でヒアリングをされるというようなお話もあったのですが、昨年11月頃に各個別の団体からヒアリングはされていますし、この3月には意見交換会という形で全体的なヒアリングはされたと思います。もうこれからは、論点を整理し、具体的に問題をどう解決していくかという段階です。関係者が集まって議論していくことが必要だと思うのですが、その中で、どういう議論を進めていくおつもりなのか、また年間のワーキンググループの開催回数及び時期について想定がありましたら教えてください。
【中野座長】  事務局、お願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  事務局でございます。今、御質問いただいた件について、主な検討事項としましては、もう既にヒアリングで御意見をいただいているところもございますけれども、より具体的に、例えばABSCさんとデータ製作に関してどのような契約を結ぶべきであるかとか、それから、より具体的なお話としましては、例えば障害種別や程度などによって、障害者側の窓口としてどれぐらいの費用や体制、それから、設備などが必要になるかということを具体的にお聞きして、それを仕様の方に盛り込んでいくと、そういったことを考えてございます。
 また、スケジュールにつきましては、現段階では、急ぎ、何とか8月には第1回目、それから、10月には第2回目を開催したいと考えております。
 以上です。
【宇野委員】  ありがとうございます。8月や10月のワーキンググループは、個別ヒアリングというより、集まって関係者で議論するというイメージでよろしかったでしょうか。
【星川障害者学習支援推進室長】  具体的な進め方はまだ検討をし切っていないところではございます。ただ、御意見を聞くだけというよりも、もう少し具体的なお話ができればと考えてはおります。
【宇野委員】  分かりました。多分関係者が膝を交えて話すことが大事だと思いますので、そのような形で場を設定していただければありがたいです。よろしくお願いします。
【中野座長】  ほかに御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、先ほど、非常に分量が多うございましたけれども、各省庁からの御報告をいただきました。この御報告を踏まえて、議題2に議論を進めてまいりたいと思います。議題2は、第二期の計画の策定に関してなんですけれども、事務局より、資料と議事の進め方について、最初に御説明をお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  事務局でございます。資料3を御覧いただければと思います。こちらは、事前に基本計画(第二期)の策定に向けて、書面で皆様方に意見聴取に御協力をいただいたものでございます。大変たくさんの御意見をいただきましたので、御提出いただいた御意見を事務局である程度まとめさせていただいたものがこちらの資料3になります。御提出いただきました意見書そのものは、参考資料3として別途配付をさせていただいております。
 議事の進め方ですけれども、条ごとにこの資料3はまとめてございますので、条ごとにポイントとなる御意見を事務局の方から少し御紹介をさせていただきまして、その条に関する意見交換を行うという形で進めていただきたいと思っております。
 また、その他の方にも記載があるのですけれども、構成員からの御意見として、進捗状況を確認するための指標を設定すべきではないかといった御意見もございました。こちらに関しては、各条に共通する課題でもございますので、議題2の最後にその他という時間を設けておりますので、そちらで事務局の案について御説明をさせていただければと思っております。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。これからの意見交換では、第二期の計画に向けて皆様からいただいた御意見について、事務局が整理をしてくださった。その整理された内容について紹介をしていただきながら、更にそこに付け加えるべき御意見等がないか、若しくはいただいた御意見が正確に反映されているかどうかというような御確認をしていただきたいと思っております。
 具体的な第二期の基本計画そのものに関する御意見は、まだこれは素案が出ておりませんので、8月に事務局から、今日の議論に基づいて事務局が素案を作りますので、その素案が出た後に、具体的な第二期の基本計画に対する御意見はいただきたいということでございます。本日は時間の関係もありますので、それぞれの条について10分程度を上限として、より多くの構成員の方が御発言できるように、できるだけポイントを絞って簡潔に御発言いただきたいと思っておりますので、御協力よろしくお願いいたします。
 それでは、第9条から始めたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  それでは、先ほど申し上げました資料3の、1.第9条関係、図書館の利用に係る体制整備というところでございます。大きく三つに区分をいたしました。まず一つ目、周知・啓発に関する御意見でございます。丸1番にございます、公共図書館、学校図書館など全ての図書館においてアクセシブルな書籍の充実を図るべき。また、読書バリアフリーやアクセシブルな書籍の普及啓発のため、各図書館においてアクセシブルな書籍について紹介するコーナーの設置を積極的に進めることが重要であるといった御意見。また、丸4番のところにございます、視覚障害者等と同様にディスレクシアや全身性障害等により読書に困難のある人も読書バリアフリーの対象であり、障害者サービスを受けられることについて、全国の自治体に通知するなど、普及啓発を行う必要がある。また、これらの読書に困難のある人が障害者手帳の提示などを条件とせず、利用申込みの手続が円滑に進められるような仕組みづくりについて検討する必要があるといった御意見がございました。
 次に、(2)の支援のところでございます。丸1番に、公共図書館や学校図書館でのアクセシブル対応を進めるため、障害者サービス職員の配置やアクセシブルな書籍の製作等に要する予算の増額などを含めた支援の充実を図るべきであるといった御意見がございました。
 (3)職員研修についてでございます。こちらは、後半にまた人材育成のところがございますので、そちらの方にある程度まとめさせていただいたところもございますが、こちらの第9条関係として記載しましたのは、丸1番のところ、図書館において障害者の読書について指導ができる司書等の育成及び配置が重要である。そういった御意見をいただいているところでございます。
 以上でございます。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。
 それでは、第9条について御意見を希望される方は挙手をお願いいたします。
 河村委員、宇野委員の順番で御発言をお願いします。まず、河村委員からお願いします。
【河村委員】  ありがとうございます。実は私、今回のこの意見を出す書式に記入することができませんで、申し訳なかったのですけれども、実はつい先日までこの関係することについて、そもそも図書館でアクセシブルな電子図書を貸し出すということが、例えば欧州アクセシビリティ法ではそれができるという前提でこれからの目標を立てる。今そのためのカウントダウンをしているという状況であることを知っておりましたので、これらの質問がみんな、図書館に入ってくる電子書籍がアクセシブルではない、それから、普通に貸し出すことができないということが前提となっての質問であるように思われて、私としては、そこら辺をよくまとめて1回議論させてほしいなと思って来たところでございます。
 したがいまして、ここで私の意見として申し上げたいのは、少なくとも欧州アクセシビリティ法は来年の6月から実施されます。これまでそれぞれの分野で様々な技術開発等準備をして、今カウントダウンで、ヨーロッパのEU圏内の書店と図書館、特にオンライン書店と図書館は、この新しい法律を違法にならないようにクリアするということで、現実的な準備をしております。そこの行き着く先というのは、アクセシブルな電子書籍が普通に販売されていて、そして、それを図書館は購入して普通に貸し出すということで将来計画を考えると。
 そのための努力を今しているということですので、そういうふうな発想で、もう1回この部分、以後の各質問についても同じなのですけれども、見直してまとめて、次の将来計画の議論をする機会が是非欲しいなと。また、そのためには、きちんとした調査研究をしなければなりませんので、是非そういった調査研究、特に日本にそれを適用するというのは、言語の問題もありますので、技術的な問題もあります。そこら辺も含めた壮大な、2030年までにSDGsを達成するんだと、そういうふうな展望を共有できる、そういうふうな議論を是非一度まとめさせていただきたいと思います。
 以上、意見です。
【中野座長】  ありがとうございます。御意見として賜りたいと思います。
 宇野委員、お願いいたします。
【宇野委員】  今の調査研究の話にも関係しますし、先ほどの予算の増額ということにも関係する話です。地方公共団体から各公共図書館に対する予算は、国から地方交付税措置という形で行なわれていると思います。でも、実際、公共図書館の方に話を聞くと、とにかく図書館資料の予算が減ってきて大変なんだという話をよく聞きます。これらは、いろいろな調査をしてデータを示していくという第1段階が必要なんじゃないかなと思います。
 そういう意味では、図書館に使うことを想定された予算が実際どの程度図書館に使われているのか。一説には道路やダムに化けているという話もありますが、一度調査して、数値を明らかにしていくということも、図書館資料の予算確保には有効なのではと思います。
 同じく調査という意味では、アクセシブルなバリアフリー図書の紹介コーナーの設置も重要な施策です。最近、著作権者や出版者の団体から声明がでたり、芥川賞受賞者の話もあり、いろいろなところで読書バリアフリー推進の動きが続いています。「りんごの棚」という名称で紹介コーナーを設置している図書館も増えてきています。全国の約3,300の公共図書館のうち、どのくらいの図書館が紹介コーナーを設置しているのかも調査をして数字を明らかにすることにより、まだ設置していない図書館の背中を押すという効果もあると思います。このような基礎的な調査をこの次の5年間で進めていくということも重要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
【中野座長】  これ、事務局、お答えになりますか。今ここは御意見をいただくということなので、今の宇野先生からの御意見は、是非今おっしゃられたような調査を進めてほしいという御意見として理解させていただいてよろしいでしょうか。
【宇野委員】  分かりました。
【中野座長】  繰り返しになりますが、ここでは皆様から御意見をいただいて、その御意見に基づいて、次の基本計画の素案を作る、そのための土台とさせていただきたいと思いますので、今いただいた御意見も、調査が必要であるということを前提に素案を書いていただくということになろうかと思います。宇野委員、よろしいでしょうか。
【宇野委員】  はい。
【中野座長】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。
 では、今手を挙げていただいているお二人、まず、市川委員のところからお願いします。
【日詰氏(市川委員代理)】  市川委員代理の日本発達障害ネットワークの日詰です。よろしくお願いします。
 この取組、様々な取組、視覚障害の方が切り開いてくださった様々なバリアフリーは、発達障害の中でいろいろ書いていただいていますが、ディスレクシアの方にも大変役立っていることで大変ありがたいと思っております。ただ、先ほどの厚労省の7ページの資料等を見ると、まだ視覚障害の方のみが対象となっているような書きぶりの発信が多いので、資料3の(1)の丸4番で、そうではないことについてもこれから周知を図ってほしいということを我々は要望していますので、いろいろな省庁の資料には既にディスレクシアもとたくさん書いていただいているんですが、そのことが本当に国民の方に伝わるように、是非発信をよろしくお願いします。
 以上です。
【中野座長】  御意見ありがとうございます。
 では続きまして、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。日本図書館協会の佐藤です。お世話になっております。
 この9条の部分というのは、図書館や点字図書館の役割を示しているところの、私どもにとって非常に重要なところです。それで、現行の基本計画はまだ大変にこれは9条の部分は書き込みが不足しているというか、非常に簡単に書かれてしまっていて、より充実させる必要があると考えています。特に図書館では、先ほどから話題になっています資料の問題があります。まず、資料の充実ということが一つと、それと、余りちゃんと書かれていないんですけれども、サービスの充実の部分が重要です。つまり、例えば郵送であったり、宅配であったり、様々な来館困難な障害者のための様々なサービス方法があるわけですけれども、その部分がほとんど書かれていない感じなので、要は、資料とサービスが大きな柱として必要です。
 あと、職員の問題は第17条の方で挙がっていると思うので、そちらでお話をしたいと思います。
 この資料の充実の中で、今回話題になっているサピエ図書館の話とか、要は、ネットワークを活用した資料の入手・提供というのが図書館にも大きく関係があります。ですので、そこら辺も絡めながら、9条の根本的な内容の充実を是非お願いしたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは、ほかにありますか。では、近藤委員からお願いします。
【近藤委員】  東京大学の近藤です。この9条のところなんですけれども、私も是非入れてほしいなと思っているところが、図書館の体制を充実させましょうとか、研修をやりましょうということは書かれているんですけれども、9条にしか何のためにそれをやらなきゃいけないかということが書きづらいと思うんですね。
 そもそも例えば私たちが今、学校図書館との連携をやらなきゃと言っているのは、教室で使われている教材で、特に通常校なんですけれども、アクセシブルなものがないものですから、それを誰かが複製して提供しないといけない、アクセシビリティを確保しなきゃいけないんですね。それをやろうと思ったときに、学校の中ですと、やっぱり学校図書館がそれを複製してアクセシビリティを確保したものを提供するということをやらないといけない。いけないわけじゃないですが、基本的にはその形になるわけなので。それがこれまでだと、例えば公共図書館とか地域のボランティアに任されてしまっていて、学校図書館は全然機能できていないということがこれまで分かってきていることです。
 そうすると、そこのアクセシビリティ保障に向けて学校図書館が動かなきゃいけないんだということがどこかに書いていないと、ネットワークの接続の課題とか職員研修の課題とかということは分かるんですけれども、何のためにそれがあるのかは9条以外書きづらいなと思っているところです。ほかが周辺的な目標についての充足についての項目になっているので、そうすると、この辺りのことをやっぱり9条にはっきり書いておいていただかないと、なかなか副教材で電子化されていないものを電子化するということが書き込めないんです。そこで研修しましょうとかだと、ちょっと隔靴掻痒というか直接本質的なところにアクセスできないような記述になってしまうので、是非9条にはそういった部分を書き込んでいただけると大変ありがたいなと思いました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 では、安形委員、お願いします。
【安形委員】  亜細亜大学の安形です。今の近藤委員の意見にもちょっと関連するんですけれども、学校図書館の資料に関してアクセシブルな環境にあるかないかも分からないというのがですね。学校の資料に関して、OPACが整備されていて、どのような資料があるかというところが分かって、さらに公開されているような学校というのは非常に少ないということがあるので、アクセシブルな環境にする前のところでもやはり学校図書館はかなり様々な課題がありそうなので、なかなかこちらに学校図書館関係者はいらっしゃらないんですけれど……。
【設楽委員】  います。
【安形委員】  余り……、すみません、ありがとうございます。やはりその充実に向けたところについての少し記述があるとうれしいなと思いました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 では、今、御指名がありましたので、お願いします。
【設楽委員】  御指名がありましたので。学校図書館関係者です。御指摘のとおり、学校図書館は非常にアクセシビリティについての認知度が低い状況です。私の方で提案したのは、バリアフリー図書って何だろうかということからきちんと学校関係者や、児童生徒に分かってもらうことが非常に大切だと思います。これがバリアフリー図書だということをきちんと各学校で認識してもらいたいと思います。例えば点字コーナーを作ることで示していくということが、基本のキだと思います。以上です。
【中野座長】  議論が盛り上がっておりますが、では、お願いします。
【植村座長代理】  既にここに(2)支援と書かれていますが、ご承知のように読書バリアフリー法は、国並びに地方自治体の責務ということになっています。こういう議論をしていくと、現場任せになりがちです。学校図書館頑張れ、公共図書館頑張れということではないんだということはよくよく指摘しておきたいと思います。これまでも公共図書館は視覚障害者等への対応をしてきているわけです。すでに手一杯かも知れない現場に対して、新しい仕事を何の人的予算的手当もないまま下ろさないようにしていただきたい。先ほど滋賀県の例で読書バリアフリー法推進員を手配したとありましたが、そのような何か別な手配をしっかり設けていくことについて、是非議論を進めていただきたいと思います。お願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。それでは、このままだと最後まで行かなくなってしまいますので、次に進めさせていただきたいと思います。第10条について、御意見ありましたらよろしくお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  まず、では、第10条について簡単に御説明させていただきます。2ページの2の第10条、インターネットを利用したサービス提供体制の強化というところでございます。こちらも大きく二つに分けまして、一つ目は周知啓発の取組でございます。丸1番にございます、インターネットを利用したサービスについて、ディスレクシアが使えることについて周知を図る必要があるという御意見。また、丸2番のところ、サピエ図書館の会員加入を増やす方策を検討する必要がある。公共図書館や学校図書館がサピエに加入できるよう支援を検討すべきである。また、丸3番でございます。国立国会図書館のみなサーチはよい取組だが、認知が低いことが課題であり、当事者への積極的な周知が必要であるという御意見がございました。
 次に、(2)利便性の向上でございます。丸1番インターネットを利用したサービスについて、利用に当たり障害者手帳の提示などを条件とせず、申し込みしやすい手続の仕組みについて検討をするべきであるといった御意見。また、丸2番サピエ図書館と国立国会図書館のデータの管理方法、情報の一元化など、サピエ図書館と国立国会図書館の役割について整理する必要がある。そういった御意見をいただいたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 では、御意見をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、宇野委員、お願いいたします。
【宇野委員】  10条についてです。4年前からずっと言い続けていることですが、この4年間ではあまり進展しなかったことです。視覚障害教育の専門機関の盲学校でさえサピエに加入しているのがまだ半数程度です。これは年会費4万円の問題が重くのしかかっているからです。厚労省でサピエの運営費を予算化していただいたのはとてもありがたいですし、個人の寄附に頼らなくてもよくなったことは大きな前進です。しかし、子どもたちの読書環境を考えると、なぜ盲学校や肢体不自由の特別支援学校がサピエにつながっていないのでしょうか。
 厚労省か全視情協で盲学校や肢体不自由の学校の年会費を免除してもらうことはできないものでしょうか。できないのであれば、文科省の方で4万円は予算化して、当該の学校には、自治体の予算措置に関わらず、サピエにつなぐことはできないでしょうか。
 このように二つの案を提起するから、駆け引きが生じ、ずるずる長引いているのかもしれませんが、国として障害児の専門教育機関を設けている限り、4年間も先延ばししたのはまずかったと思います。この問題は次の5年でじっくり検討するのではなく、来年にでもどちらかの省で思い切って結論を出して、進めていただきたいと思います。
 それから、サピエにしろ、みなサーチなどの国会図書館のサービスにしろ、視覚障害者等の「等」に当たる人に対する周知など、いろいろな課題が出てきていると思います。サピエ図書館と国会図書館の連携強化について、私は「一元化」を言いたいところですが、もっと連携できるところはたくさんあると思います。提出した文書には書きましたが、例えば、利用のためのIDとパスワードも、両方で取得するのではなく、どちらかで取ったら両方で使えるようにすることなどが考えられます。所蔵データも国会図書館のデイジー図書や点字図書は、サピエには流れますが、逆にサピエから国会図書館には流れません。連携強化の名の下に、本当に効率的で意味のある改革を進めていっていただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。オンラインの方ももし御発言ありましたら、挙手ボタン、若しくは挙手がうまく操作できない場合には声を出していただければと思いますが、よろしいですか。
 では、川崎委員、お願いします。
【川崎委員】  今お話があったように4万円の問題というのはやっぱり付いて回るんですけれども、私どももこれはずっとお願いし続けていまして、できれば財政措置の方でお願いできればと思っています。又は、本当にこれは4万円が足かせになっているのかどうかというのを本当に調査していただきたいところもあります。というのは、国会図書館の方へも承認申請をしていない盲学校が結構あるみたいなんですね。私どもが調査研究事業でやらせていただいたときに、5館しかやっていない。例えば、無料であるからできるのに、承認申請していないということで利用ができないということになれば、これはサピエの方も、単に4万円があるからできていないとも思えなくなってしまうんですね。ですから、そこはお互いにやり取りをしながら、また、財政措置も文科省の方でしていただきながらですね。
 今、公共図書館の方も274館入っていただいています。障害者サービス実施館のなかでは結構MAXに近くはなってきているとは思うんですけれども、是非これをもっと広めていただきたいと思っていますので、サピエが便利、有用なんだということも含めて、もっと周知を私たちもしていかないといけないと思います。その上で、今、宇野委員がおっしゃったようなお金の問題については、お互いにまた考えていかないといけない。これも本当にそういう意味では結論出さなきゃいけないというのは私も認識はしていますので、是非進めていただければと思います。よろしくお願いします。
【中野座長】  ありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  日本図書館協会の佐藤です。今の4万円問題については、今お話しの論議のあったとおりだと思っておりますが、国会図書館の方の話なんですけれども、みなサーチになって大変によくなりまして、私たちは大変に感謝しています。それで、実は私、鳥取県の読書バリアフリー関係者協議に関係しているんですけれども、実は全特別支援学校を全てみなサーチに入れようということで、鳥取県では県立図書館がやってきておりました。結局、達成できたのかな。でも、相当ハードルがあったんです。
 それはどちらかというと書類上の問題でして、例えば今ちょっと話題になっているように、職員の問題。例えば学校図書館というところは、なかなかちゃんとした正規とか、非正規も入れたとしても、学校司書や司書教諭が余りいなかったりするんです。そういう中で、学校図書館が視覚障害者等の読書に困難のある人のためのサービスをやっているんですよということを証明する書類がないと駄目なんですね。職員も満足にいない状態の中で、そういうちゃんとした学校図書館運営を証明しなきゃならないという。ちゃんとした運営をされているところももちろんあるわけですけれども、なかなか難しいところもあるという状態の中で、国会図書館の方がやりやすい方法。もちろん国会図書館の方々が努力されていることは重々理解しているんですけれども、サピエ図書館の入りやすさに比べると相当入りにくいというのはまだまだ感じますので、その辺で学校図書館などがみなサーチに入りやすくなるというか、その辺のことを引き続き御検討いただくのがいいのではないかなと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。オンラインから手が挙がっております。ちょっと私、視力が低くてよく見えないんですが、上田さん? 上田さん、どうぞ御発言をお願いいたします。上田委員。
【上田委員】  日本オーディオブック協議会の上田でございます。風邪で声が出にくくて、しゃべりづらくてあれなんですけれども、私が事前送付していた資料が、どうも資料に記載がないみたいなので、口頭での補足にしようかなと思いまして、今、発言の機会をいただきました。
 私が書いた9条に関しての意見としては、図書館体制の整備にディスレクシア、老眼、読書が苦手な人といういわゆる読書困難者も利用が可能なコンテンツ充実が必要だと思っています。読書困難者にとってはやっぱりオーディオブック。これはTTSの電子書籍が有用という見方もあるんですけれども、まだTTS対応されている電子書籍が少ないということと、技術的に未成熟だと思っていまして、オーディオブックの利用が望ましいと考えています。
 オーディオブック充実のための電子図書館対応の予算組みがまだされていないという現状がございますので、オーディオブック予算が雑費とかシステム費とかという形で図書館から捻出されるのではなくて、図書費という形で算入できるようにすることで、予算の潤沢な割り振りができるのではないかと思っています。あとは、オーディオブック導入のために補助金という、何らか政府からの予算という形で出すことができれば、より導入が促進されるんじゃないかと思いますので、是非その予算組みと補助金の充実というところを御検討いただければなと思っています。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。御意見が反映されてなかったというところは、後で事務局の方で確認をさせていただきます。
【上田委員】  必要でしたら、また紙を改めてお送りしても構いません。
【中野座長】  ありがとうございます。
 そのほか、10条関係ではよろしいでしょうか。
 それでは、ここで10分間の休憩を挟ませていただいて、続きをその後、4時半からスタートさせていただきたいと思います。休憩時間に入らせていただきます。
 オンラインの方はそのままお待ちいただければと思います。
( 休憩 )
【中野座長】  それでは、時間になりましたので、再開をさせていただきたいと思います。
 これまで9条、10条について御意見を賜ってまいりました。続きまして、第11条について議論をしていきたいと思います。まずは、事務局より御説明お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  同じく2ページの3でございます。第11条関係、特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援というふうにまとめてございます。大きく二つございまして、一つ目、(1)製作に関する支援の御意見でございます。丸1番特定書籍等の製作環境の整備には、障害種別ごとの提供媒体や利用方法についての対応が必要であり、出版者側ではなく障害者などに近いところでの細かなケアが必要であることから、障害当事者の期待に応えられる窓口の整備が期待される。丸2番点字図書館や公立図書館においてアクセシブルな書籍の製作等に携わる人材を確保するため、国や自治体による支援が必要である。そういった御意見がございました。
 続きまして、3ページに移りますが、(2)提供に対する支援・仕組みづくりでございます。丸1番のところ、ABSCが設立されるなど一定の進展はあるが、書籍に係る電磁的記録の提供を促進するための環境整備を進めるための調査研究を早急に実施すべきであるといった御意見とか、丸3番出版者の理解を得るためには、特定電子書籍等の製作者ごとに品質の違いが出ないようにする必要があり、そのための製作手順の共有化が必要である。そういった御意見をいただいたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、追加での御意見等ございましたらいらいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  11条2項についてです。この間の読書バリアフリーの機運が高まってきたことに伴い、ある出版者が、「本のテキストを障害者の方に利用してもらって結構です」と申し出られました。テキストファイルは、ご存じのとおりワンソース・マルチユースにとってとても有用です。全国的なネットワークに載せて、多くの障害者が点訳したり、音で聞いたり、拡大したりできるわけですが、これを実際にどこかのネットワークが受けてくれるかというと、サピエが扱っているのは点字図書とデイジー図書ですので、テキストファイルは扱っていません。国会図書館は、みなサーチを始められたり、全文テキスト化をされているので預かってもらえるのかと思ったら、まだその仕組みがないということで断られました。せっかくの出版者の好意が宙に浮いた状況になったということです。
 アメリカのブックシェアは、当初はスキャナーで読み取った図書データを蓄積していましたが、今は出版者から提供された100%正確なデータを預かっています。このようなスキームが十数年前からあるわけです。国立国会図書館がスキャナーで読み取っているデータも99%は正確だと思いますけれども、100%ではありません。出版者からデータが提供されれば、それは100%正確ですし、スキャナーで読み取らなくてよくなるわけなので、障害者にとっても図書館側にとってもwin-winになると思います。11条2項において、データをどう蓄積して、どう障害者に届けるか。国立国会図書館はこの間、みなサーチや全文テキスト化、電子図書館ガイドライン作成など、多くのことを行っていただき、とてもありがたく思っていますが、出版社からのデータの受け取りについても、是非今後検討をお願いできればと思います。
 それからもう1点、11条2項と12条に関係する件です。以前、河村委員からLCPの紹介がありました。一方で、以前から出版者からは、「テキストデータの不正流用が心配」という懸念が出ていました。私はLCPについてあまり見識はないんですが、これが果たしてアクセシビリティに有効なのか、障害者が問題なく使えるものなのか、出版者の懸念を払拭できるものなのかということを検証することから始める必要があると思います。そして日本でも導入した方がいいという結論が出るのであれば、いろいろな問題を解決していくツールになり得ると思います。これをどこかで調査し、検証し、日本での導入の可否を検討するプロセスを是非どこかに入れていただきたいと思います。電子書籍を扱う経産省か、電子図書館を担当する国会図書館のどちらかで、LCPに関する調査研究を勧めていただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。河村委員、お願いします。
【河村委員】  今、宇野委員の方から御発言の中にLCPが出ましたので。私、実は3月21日の関係者協議会でヒアリングが行われたときにLCPのことを皆さんに申し上げたんですが、その後実はずっと調査をしておりまして、この5月末から6月一杯、LCPについてあちこちで調査をしました。その結果を皆様と共有させていただきたいと思います。
 ヨーロッパの欧州アクセシビリティ法の施行に備えて、アクセシブルなコンテンツを提供するんだ、そうしないと違法になるということで、出版者はもう本気でアクセシブルなコンテンツを提供せざるを得ないということが今進行しているんです。その中で、やはり図書館もちゃんとアクセシブルなコンテンツを貸し出すということが義務付けられるということで、何もしないでも出版のときからアクセシビリティが確保されているという出版が2025年6月からは当たり前になる。そうじゃないと違法になるという厳しい環境の中で、でも、著作権はどうしても守らなきゃいけないというところで、LCPが急速に普及をしているということを目の当たりにしてまいりました。
 具体的に、スウェーデンのストックホルムの公共図書館は有名なので皆さんよく御存じだと思いますが、2000年ぐらいからLCPを使って、特に問題なく、むしろ利用は伸びていて、利用者にも大変便利になっていると喜ばれているというレポートもございます。それから、東欧諸国あるいは南米、北米等で多数の図書館・出版者がLCPを採用して、ほぼ国際的にLCPでもって、いわゆる大手のグーグルとかキンドルとかアマゾン、そういったところは独自に自分たちでやっているんですけれども、それ以外のところはこのLCPを使って、利用者にはアクセシブルなコンテンツを届ける、出版者はアクセシブルなコンテンツを作って売り出す。そのことによって、利用者も拡大するし、それから、売上げも伸ばすというふうな見通しが立ってきているという印象を受けました。
 もちろん日本ではまだ導入例が私の知る限りはないので、特にコンテンツのアクセシビリティは、日本語対応といういろいろな問題がございますので、そういったことと、それから、ブラウザーの方の対応がやはり日本語対応は厳しいものがあると思いますので、ブラウザーがLCPに対応している必要があるんですね。ですから、そういったことをやはりオールジャパンできちんと調査研究して、この課題を乗り越えていくということで、ヨーロッパに後れを取らないで、当たり前に出版者が提供するものがアクセシブルであるという状態を前提とした将来像が出来れば、当然、著者、出版者にとっても、これはマーケット増える、大きくなるわけですし、障害のある方にとってもすぐ読めるようになるわけですし、それから、公共図書館も貸し出すものが障害者サービスというふうに特別に作ったものでなくて、すぐ貸出しになるので、やっぱりそういう意味で三方徳の可能性が高いと思いますので、是非とも先ほど宇野委員からおっしゃられていた調査研究を早急に行っていただきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、時間もちょっと押しておりますので、次の12条に議論を転じていきたいと思います。ではまず、事務局より御説明をお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  同じく3ページ4番のところでございます。第12条関係、アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等とまとめてございます。大きく三つに分類いたしました。まず、一つ目、(1)製作者・出版者(データ提供者)に対する支援というところでございます。丸1番読書困難者の種別や書籍の特性により提供が求められるデータ形式が異なるため、多様なニーズを分析し先端技術を活用しつつ、取り組む姿勢が重要であるといった御意見。また、丸3番著作権者や出版者においてデータ提供に向けた意識醸成が見られてはいるものの、どんな本でもアクセシブルなデータが入手できるという段階は程遠い状況である。ABSCに行政から支援がない状況では、実効的な活動に結び付けるのは困難であるといった御意見がございました。
 続いて(2)販売における環境整備でございます。丸1番国内書籍販売サイトについて、書籍情報の検索時や購入時の案内等がアクセシブルなウェブサイト・ウェブコンテンツになるようにすべきである。続いて丸3番出版業界では、紙の出版物の売上げは減少しており、電子書籍もコミック分野以外では伸び悩んでいる。経産省の書店支援プロジェクト等の動きとも連携し、電子書籍の販売促進策を検討すべきといった御意見がございました。
 続きまして、(3)規格についてというところでございます。電子書籍出版において、国際規格(EPUB)に準拠する環境整備を進めるべきといった御意見がございました。
 以上でございます。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 では、今整理していただいた内容に加えて御意見がありましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  12条は、読書バリアフリー法の立法時に、私は最も重視していましたし、障害者の間でも期待度が高かった条文です。しかし、4年たって、本当に果実が障害者に届いているかというと、それほど大きな果実にはなっていないと思います。
 先ほどの昨年度の取組の報告のところで経産省の方からお話があった件にも関係しますので、一つ質問させていただいてもよろしいでしょうか。
【中野座長】  はい。簡潔にお願いいたします。
【宇野委員】  昨年のこの会議で、「24年4月から障害者差別解消法に基づき、合理的配慮の提供が義務化される。子どもたちの参考書・問題集は喫緊の課題である。来年の4月を意識して進めてほしい。」と申し上げたと思います。経産省からは「それに向けて頑張ります。」という発言もあったかと思います。
 出版社からのデータ提供について、3月にもヒアリングをされていますが、その時に出てきた意見を踏まえて、私は今回の会議に3省からバージョンアップした原案が出てくるものと思っていました。その原案は8月のワーキンググループに委ねたということで、今は一旦、一時停止ということなのでしょうか。
【中野座長】  では、御回答お願いします。
【髙野コンテンツ産業課係長】  経済産業省です。御質問ありがとうございます。12条2項に関して、電子データのところは、まず11条のところで、特定書籍、図書館とABSCとあと、出版者の実証実験をやりますので、そこで契約の在り方とかそういったものを決めたものは、恐らく12条2項の方でも使えるんじゃないかということを考えていまして、そこでまず11条2項をしっかり進めた上で、12条2項で使えるものは使って12条2項を進めていきたいと考えております。
【宇野委員】  3省のプランだと、11条2項についてはモデル事業を行い、2030年に全面実施ということだったかと思います。12条については、モデル事業の計画もありませんし、2030年以降に具現化するというのは、果てしない先延ばしだと思います。モデル事業を経るかどうかはさておき、ワーキンググループ等で12条も並行して議論する。やはり合理的配慮の提供の義務化とともに本当は進めるべきだったと思います。
 現に、障害者から社会的障壁の除去を申し出られた場合、環境整備をして合理的配慮をしなければならないと法律にも書いてあります。この申し出が過重な負担であれば断れますが、読書バリアフリー法12条にも書いてありますからそれはないと思います。このままの状態を放置するのは、読書バリアフリー法12条の具現化という意味でもよくないと思います。
 出版者側はABSCを立ち上げて鋭意努力されています。障害者側もアクセシブルなデータを欲しがっています。国にお願いしたいのは、縁の下の力持ちとしてのお膳立てです。一社ではできないことでも、例えば電子書店を立ち上げて販売のサイトを作ってあげれば、販売できるようになるというようなことです。出版社と著作権者の間の契約のひな形の話はありましたが、InDesignからどうやってEPUBやアクセシブルなテキストデータを書き出すかなどのノウハウの共有もそうです。そのような縁の下の力持ち的な役割を国にはやっていただいて、中小出版者でもデータ販売に取り組めるようなお膳立てをしていただける、そういうスキームを早急に検討していただきたいと思います。4年間は延ばし過ぎだと思います。
 それから先日出版関係5団体からの声明が出てとても心強いんですが、学術文献図書についてどうするかという問題が残っています。第一次基本計画の11条2項及び12条のところに、児童生徒、学生又は研究者に必要な書籍が重要であることに留意するという文章もあります。学術文献図書のアクセシブル化も考えていかなくてはいけない重要な柱だと思います。
 例えば検定教科書を作っている会社に対しこの会議への参加とかを要請するなど、いろいろな形で啓蒙も進めていく必要があると思います。ワーキンググループの検討までに、これらをどう進めるのか、是非3省で検討いただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 河村委員、お願いします。申し訳ないんですが、残りの時間が少なくなっておりますので、御意見は簡潔にお願いできればと思います。お願いします。
【河村委員】  ありがとうございます。経産省の方にお願いしたいんですけれども、この要約の規格についてというところにありますEPUB、これの3.3、それから、LCP、さらに、ここには書いていないんですが、EPUBアクセシビリティの1.1、そして、ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドラインの2.2、これらが全て必須のアクセシビリティの要件になりますので、これをJIS化するということを是非経産省にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。では、落合委員、お願いします。
【落合委員】  落合でございます。私、今日が初参加なので、もしかしたら見当違いのことを申し上げるかもしれないんですけれども、特に今、宇野先生から御指摘のあった教科書関係とか学術参考書とかそういった学術書、これと教科書バリアフリーとの関係が実はよく分かっていませんで、その辺りのすみ分けを整理していただかないと、私たちといいますか出版業界としても進めづらいなといいますか、そこは伏してお願いしたいと思います。どういうふうに連携するのかも含めて考えていかなければならない問題かと思いますので、そこもちょっと入れていただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。教科書バリアフリー法は検定教科書のみが対象ですので、それ以外はこちらの法律の範囲内になるとお考えいただければと思います。
 ほかによろしいでしょうか。よろしければ、後で時間が残ればまたその他のところで御意見をいただきたいと思いますが、次に進めさせていただきまして、13条について、まずは御説明お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  第13条関係、同じく4ページにございます、外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備についてでございます。大きく二つに分けております。(1)周知・啓発について、丸1番外国で製作されたアクセシブルな電子書籍などの入手に当たり、課題整理や環境整備、好事例などについて具体的に検討する必要がある。それから、(2)利用促進についてです。丸2番のところにございます、海外で製作されたコンテンツの利用について、視覚障害者等が公共図書館経由で国会図書館を活用し、利用できる体制の拡充が必要である。こういった御意見をいただいているところでございます。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございます。
 では、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 オンラインの方もよろしいでしょうか。
 では続きまして、14条についてお願いいたします。
【星川障害者学習支援推進室長】  第14条関係、端末機器等及びこれに関する情報の入手支援とまとめました。(1)周知・啓発についてでございます。丸1番地方自治体における点字ディスプレイやデイジープレーヤーの日常生活用具としての給付状況について、調査・公表するべきであるといった御意見とか、また、丸3番自治体の障害福祉課等の窓口や教育機関がアクセシブルな電子書籍等について相談を受けた際に的確な情報提供が行えるよう職員への教育を推進すべきといった御意見がございました。
 続いて、(2)入手に係る支援についての御意見です。丸1番視覚障害者等が使用する専用機器は市場が限られており、民間企業の努力のみでは採算が取れない。今後とも、障害当事者が利用しやすい機器類が安定的に利用できるよう、生産体制への資金面での支援や使用者の機器操作サポート支援体制の充実の方法等について検討する必要がある。そういった御意見をいただきました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 では、追加の御意見等ありましたら、いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 三宅委員、お願いします。
【三宅委員】  日本視覚障害者団体連合の三宅です。特に(2)の入手のことについて意見を申し上げます。厚労省の説明から、日常生活用具の給付について、必要なものが利用者の手元に速やかに届くようにという形でいろいろ御努力されていることは理解しております。各自治体に説明されているということも、各年度ごとに丁寧に資料に基づいて説明されているのも理解はしておるんですが、実際は自治体ごとによってこの取扱い方が非常に分かれております。
 自分の利用したい、例えば音声デイジーを聞きたいからデイジープレーヤーを給付してもらいたい、あるいは印刷物のものをそのままスマートグラスのようなものを使って読書をしたいんだけれども、それで適切に給付されているところもあれば、一緒くたに読書補助具ということで、一つのものが給付されていれば一つのものが給付できないという事実がございます。そういったことがこれはやっぱり誤解だというふうなこと、限られた予算の中で申請を受け付けるという事情もあるかとは思うんですけれども、具体的な利用用途の例なども説明の段階で入れていただく、あるいは基本計画のところで参考として載せていただく。このような併給のようなことは望ましくない例ともし入れられるようであれば、是非そのような形の取扱い方を御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、次に進みたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  続いて、第15条関係、情報通信技術の習得支援についてでございます。(1)ICTサポートについて。丸1番サピエ図書館とICTサポートセンターの運営に関する課題の抽出と支援が必要であるといった御意見とか、(2)技術の習得について、丸1番日常生活用具の物販やそれらの開発等に対する助成はあるが、一般事業者が障害のある顧客に対して行うアクセシブルな技術の活用に関する利用支援サービスに対する支援の仕組みが構築されていないため、整備が必要と考える。そのような御意見をいただきました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 追加の御意見等ありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょう。
 佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。日本図書館協会の佐藤です。
 ここの条文と前の条文、ちょっと間違ったら申し訳ないんですけれども、例えば先ほどのEPUBの話でも、なかなか日本で普及してこない理由がやはりビュアーの問題というのが大きいと思っています。音声環境でさえビュアーが満足に読めないというか、一部読めない部分があるというか、もっとちゃんといろいろなものが使えるような形のビュアーの問題は非常に重要だと思っているので、その辺の技術開発の支援をお願いしたいところです。
 それと、例えば今、学校でタブレットなどを子供たちみんな普通に使っているようになりました。ただ、例のAndroid、iOS問題ですね。例えばiOSだと再生できるんだけれども、Androidでは再生できないという事例がたくさん出てきております。なのでやっぱり機種によって使える使えないというふうに、マルチメディアデイジーでさえそうなっているという状態はゆゆしき問題であって、この辺はもう業者に積極的に支援して、様々な機械で使えるような形を早くやっていただきたい。せっかくいい資料が出来てきているのに使えない状況になっています。これはもう急いでやらなきゃならない仕事ではないかなと思っています。
 それから、紙でしか提供されていないものがあり、やっぱりディスレクシアの子供たちであったり、せっかく学校で一生懸命データ化したりしてやろうとしているんだけれども、なかなかそれができなかったりすることもありますので、紙でしか提供していないいろいろな様々なものについてデータで出せるようなことを、やっぱり国全体として取り組んでいくテーマなのではないかなと思っています。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では続きまして、事務局より御説明をお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  続いて、第16条関係、アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等というところでございます。(1)開発支援について、丸1番国は新たな技術開発、助成の内容等を公開し、視覚障害者と利用者の普及に関する支援と開発者への啓発を実施すべきである。そういった御意見とか、丸2番視覚障害者等が利用しやすい端末機器について、国内メーカーの撤退により機器の選択肢が少なくなっている現状を踏まえ、研究開発や既存機器の維持について、国の積極的な働き掛けが必要である。
 続きまして、丸6番アクセシブルの電子書籍の利用に当たり、容易に扱うことができる安価な機器や使いやすいEPUBビュアーの開発を積極的に支援し、その機器や情報が容易に入手できるような支援が必要。そのような御意見をいただいたところでございます。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 では。河村委員、お願いします。
【河村委員】  アクセシビリティに関して、きちんと客観的に検証できる、そういう機関を設ける必要があると思います。これには、様々な障害を持つ利用者の方の、実際にアクセス可能なのかどうかということでの参加を得た検証のそういう仕組みというものが、これはやはり国、あるいは国立国会図書館は納本義務がありますので、出版されたものは、自動的に国立国会図書館に本来は納本されなければいけないわけです。そういった機能などを生かして検証の実を上げるようなシステムが必要だと思います。
 ちなみにヨーロッパでは、これまで国の製作機関に当たるところが、今度は欧州アクセシビリティ法によるアクセシビリティの検証をする機関を担うというところもございます。その場合、検証した後、ここをこういうふうに改善するとアクセシブルになるというふうな助言をしたり、技術的な支援をするということも当然予測されておりますので、そこにこれまで点字図書館等で培ってきたアクセシブルにするための技術が出版者側に提供されて、検証だけではなく、実際にアクセシブルなものが市販されるという仕組みに持っていく、そういうふうな構想が必要かと思います。
【中野座長】  ありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  先端技術についてはいろいろ期待していますが、前から話が出ているスマートスピーカと音訳図書との連動はかなりのところまで来ていると聞いています。これが実現すれば、例えば寝たきりの人にとってもとても有効な読書ツールになります。何とか実現までこぎ着けていただきたいと思います。
 それから、昨年も意見が出ていましたが、AI技術を用いて写真や挿絵の解説をすることが考えられます。音訳ボランティアの方も苦労されていることですし、そもそも音訳ボランティアの方の数も減ってきているとも聞いています。そういう意味でも、最新技術に頼れるものは頼るという時代を見越し、図表等のAIによる解析も是非実用化を目指して研究を進めていただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございます。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、第17条に進みたいと思います。事務局、お願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  第17条関係、製作人材・図書館サービス人材の育成等というところでございます。(1)ボランティアへの支援。丸1番人材育成の対象として、図書館運営を受託する民間事業者等も含めるべき。アクセシブルな書籍等の製作を担っているボランティアの高齢化への対応として、出版者がそのノウハウを継承することも検討すべきといった御意見がございました。
 続いて、(2)研修等の充実。丸1番公共図書館や学校図書館の現場では非正規職員等が増えており、人材育成とは真逆の傾向となっている。図書館単位での取組や成果が問われがちだが、国や自治体の責務として対応すべき。続きまして、丸6番でございますが、司書や司書教諭、学校司書、職員等の図書館に携わる人材について、ディスレクシアを含めた障害への理解を深める取組が重要。それから、丸7番点訳者や音訳者、アクセシブルな電子データ製作者の人材養成は急務。公立図書館等への人員配置やインセンティブの提供が不可欠である。実態把握とともにボランティア依存しない体制整備を検討すべきであるといった御意見をいただきました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 それでは、御意見等いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  日本図書館協会の佐藤です。17条のこの部分も大変重要な条文だと考えております。それでまずは、この17条そのものは、職員の問題と資料製作者の問題が一緒に書かれちゃっているんです。なので、是非、次期基本計画では、ちゃんと分けて書かれる、整理してほしいと思っています。
 職員については、基本的にやはり研修。担当者を置くは当たり前の話なんですけれども、それも当たり前になっていない現状があります。都道府県単位の研修会が実施できるように是非支援してほしい。これは文科省が既にされていることは重々承知していますけれども、一層やってほしいというのが一つあります。
 それから、私ども日本図書館協会に大きく関係あるわけですけれども、司書の資格を取るに当たって、例えばうちの図書館ではほとんど司書職制度をひいているので、司書の方で図書館を運営しておりますが、残念ながら障害者サービスを学んだことがあるという人はほとんどいないんです。なので、やっぱり大学の教育の中の司書科目の中で、是非ちゃんとした障害者サービス、図書館利用に障害のある人々へのサービス、今これを読書バリアフリーのサービスというのかな、名称はとにかくいいんですけれども、それをきちんと学べるような形に是非直していただきたい。そこのところは是非国にお願いするテーマだと思っています。
 それから、音訳者等についてはまた、私どもではなくて、全視情協さんとか関係者の方のお話をお伺いしたいと思っています。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 では、お願いします。藤堂さん、その次にお願いします。
【安形委員】  亜細亜大学の安形です。今の佐藤委員の発言に関連しまして、司書資格、司書教諭資格、学校司書のモデルカリキュラム等において、こちらの読書バリアフリー法の考え方やその他法規などについて盛り込む場合に、科目等を増やすというのはなかなか難しいかもしれないんですけれども、ねらいや内容の部分に入れていただく分には多分可能ではないかと思います。例えば図書館制度経営論という中に様々な法律名が入っていますけれども、その中に追加していただくとか、情報技術論のところにやはりこちらのアクセシビリティのある、EPUBに追加して読書バリアフリーに対応した様々な電子的な資料などについて取り上げる等入れられることかと思いますので、是非とも入れていただきたいなと思いました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございました。
 今のに関連してでしょうか。では、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。佐藤です。すみません。今の話なんですけれども、今、図書館の司書の科目数の問題がありまして、それは国の制度で決まっております。それがあって、科目が増やせないという課題があるんです。図書館の司書の学習って、昔と違って、最近とにかくいろいろなデジタル化が進む中で、様々なことがどんどん増えてきています。ですので、ちゃんとやらないとできないんです。障害者サービスは専門的な科目なんです。なので、例えば点字について1時間2時間話を聞きましたではサービスはできないんです。きちんと科目を増やす。司書の科目を増やす方向で、それで障害者サービスなりが学べるというような形に持っていかないと、このままでは、ちょっと数時間話を聞きました、デイジーってちょっと聞いたことがありますよ、程度ではサービスはできません。ですので、もっときちんとした形で科目を増やしていただくように、根本的な制度の改正を御検討いただきたいと思います。
 以上です。
【中野座長】  御意見ありがとうございました。
 藤堂委員、お待たせいたしました。よろしくお願いします。
【藤堂委員】  二つあります。一つは、今のカリキュラムという形で、やはり職員の方たちが、視覚障害者「等」といったときに何が入るのかということをきちんと分かるということが大事だなと思います。今、図書館に頼まれて話をしに行くんですけれども、ほとんどの方が、言葉は聞いたことあるけれども、それが何なのかというのは分からないままというのが多いので、それは何なのかということと、どういうサービスを必要としているのかというところまで必要だなと思っています。
 ここの今の作る方の技術とか習得に関してですけれども、今、市販のプログラムですごくいい、音声化する技術が進んでおりますので、私たちはそういうものを使っていますけれども、そういうのをもっと普通に使えるようにしていくということが大事なのかなと思っています。今、障害者のためにというふうに限定しないでいくと、もっと楽に。私はこの条項を入れてもらった1人ではあるんですね。最先端の技術を使っていかなくちゃいけないという中に、巷にいいものが一杯あるので、そういうものをうまく使っていくということもあるかなと思っています。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 では、川崎委員、宇野委員という順番で御発言をお願いします。
【川崎委員】  全視情協の川﨑です。製作人材の育成については、いろいろと御配慮いただきまして、ありがとうございます。ただ、私たちは、12条で言います、アクセシブルな電子書籍の販売が軌道に乗ることを願っているところなんですけれども、文芸書以外で、なかなかまだ軌道に乗るには時間がかかるということも理解しています。そのためには、やはり作る側の製作人材の育成ということで、まだまだこれはやっていかなければなりません。
 そのためには、これは本当にこの法が出来たときに、今ボランティアでお願いしているところに何とか資金的なものを入れていただけるという、ちょっと安易に思っていたところもあるんですけれども、是非ここは、本当に私たちは、職員は職員として頑張っていますけれども、ボランティアの皆さんにも、交通費プラスアルファのものが支払われるようなそういった世の中になっていければいいかと思っていますので、是非ここは、公共図書館の方も、製作費に関して、図書館協力員に謝金的金額は出せるかもしれませんが、十分ではないと思います。そこのところを法にのっとって財政的な措置が取られるようにお願いできればと思っております。
【中野座長】  ありがとうございます。
 では、宇野委員、お願いします。
【宇野委員】  3点あります。一つ目は、学校司書の件です。学校図書館法では、以前は学校司書は当分の間、置かなくてよいということになっていましたが、ようやく努力義務として、「置くよう努めなければならない。」となりました。これは一歩前進だったと思いますが、専修大学の野口先生の調査によると、特別支援学校の配置率は非常に低いです。それから、雇用形態は、嘱託や非常勤、または複数の学校を兼務しているなど、かなり劣悪に近い状態になっています。人あっての図書館ですので、併せて御検討いただきたいと思います。
 2点目です。「読書バリアフリー論」のような講義は、司書の養成課程において、mustの時代に入ってきていると思います。おそらく司書の教育課程が編成された時には、読書バリアフリーの動きはなかったと思います。でも、時代が変わって、養成課程の内容も見直し、このような講義を入れていくことが今の時代に求められると思います。
 3点目です。各自治体の計画の作成状況にも表れていますが、自治体間の格差が出てきています。そのような状況の下、一つの方策として、各都道府県立図書館に、仮称「読書支援コーディネーター」を任命し、その人を中心に障害者サービスを展開していくという仕組みを設けてはどうかと思います。
 盲学校現場における特別支援教育コーディネーターもそうですが、人の立場に役割をあててこそ、その人が意識を持って進めていくということもあると思います。市町村立図書館も順に力を入れていってほしいと思いますが、まずは核となる都道府県にそういう人を置き、そこから波紋を広げるように市町村にも啓蒙を勧めていただくということです。そうでないと、鳥取県のような熱心な自治体はいいですが、そうでない自治体の底上げはそう簡単には進まないんじゃないかなと思います。このようなコーディネーターの任命も是非入れていただきたいと思います。
【中野座長】  ありがとうございました。
 そのほかよろしいでしょうか。近藤委員、どうぞ。
【近藤委員】  すみません、意見を言おうかどうしようかためらっていたところ、当ててくださってありがとうございます。
 ここで述べるべきことかどうか分からないんですけれども、障害のある当事者としての図書館員の育成ということについて、やはり特別な支援が必要になってくることもあると思うんです。その点について是非どんどん、それこそ今回も参加してくださっている佐藤委員のような方がどんどん全国の図書館に増えていくということが望ましいなと思いますので、是非そういった点も御考慮いただければありがたいということです。
 あと、私の意見のところに書いて、ちょっと分かりにくかったかなと思ったので、ここで一旦述べさせていただいて、どこかに反映できないかなと御検討いただきたいのが、どうしても私、いろいろな図書館の方と関わっていると、既存の図書館での典型的な障害者サービスの一般的な技術に話題がとどまりがちで、本来は図書館が地域市民と共に提供している様々なサービスが全て、障害のある人にとってもアクセシブルになるということが望ましいんですが、これまでの例えば朗読のことをやりましょうとか、テキストデータをしっかり作りましょうとかそういうことになってしまっていて、市民全員で図書館が提供している様々な機会にアクセスできるようにしていこうというところが後回しになってしまうことが見受けられるんです。
 特に、これはちょっと偏見かもしれませんが、民間委託等で行われているところは、典型的サービスは提供しようとしてくださるんですが、そういった全てのサービスがアクセシブルになったり、市民にアウトリーチを掛けていって、アクセシブルな機会が障害のある人にとっても広がるようにしようという意識が弱いように思うんです。なので、図書館での障害者サービスの一般的技術だけにはとどまらない、地域課題解決の中でのアクセシビリティ保障を是非このどこかの中に、これが読書バリアフリー論に関わるのか分からないんですが、何か盛り込んでいただけるとありがたいなと思いました。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 そのほか、17条に関してはよろしいでしょうか。それでは、その他としてまとめていただいた事項について御説明をいただきたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  その他としてまとめたものについて、幾つか御紹介させていただきます。
 まず、丸1番一般国民の理解が進むような積極的な情報発信を行う必要がある。それから、丸3番次期計画の策定に当たっては、これまでの取組を通じて明らかとなった課題を明確化するとともに、できれば数値目標を作成することが望ましいといった御意見。また、丸6番読書バリアフリー基本計画を策定していない自治体に対しては、これまで以上に強い要請を行う必要があるといった御意見をいただいているところでございます。
 以上です。
【中野座長】  ありがとうございます。
 今のそれぞれの条に分けることができなかった課題について、もし追加の御意見等ありましたらいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 佐藤委員、河村委員、宇野委員という順番でお願いします。では、佐藤委員からお願いします。
【佐藤委員】  すみません、ありがとうございます。佐藤です。度々すみません。
 その他の部分で書き方が、日本図書館協会の方では、今回の第二期に向けて数値目標、指標のようなものを作成すべきではないかというのを大きな主張として述べさせていただいています。やはり国の計画ですので、細かいところまで目標として定めることはなかなか難しいかもしれませんけれども、数値目標がちゃんとこの5年間でどこまで達成するのかというところは非常に重要だと思うので、是非、指標・数値目標の作成について検討いただきたいと思っています。
 もしかすると国の方でこの指標を作るのはなかなか難しいという可能性もあるので、その場合は、例えばこの関係者協議会の中の幾つかの団体でワーキングチームを組織して、それで指標の素案を作るとか、そういうやり方をした方がいいのではないかと考えています。一応、日本図書館協会では、指標の案としてこのような項目はいかがでしょうかというのを今回の意見の中に出していますので、参考にしていただければと思います。
 それからもう1点ですけれども、どなたかの委員の御意見で、図書館には望ましい基準という国の規則というのか規定がありまして、これが図書館サービスに非常に基本として捉えられているところです。それが、読書バリアフリー法、私たちの今やっているまさにこの内容について、やっぱり直さないとかなり、前回実は望ましい基準の改訂のときも私も発言をさせていただいたんですけれども、やはりそのとき既に不足しているかなという感じは実は思っておりました。ちょうどいい機会というか、機会と言っては申し訳ないんだけれども、この計画とは別なんですけれども、望ましい基準についても見直しを是非御検討いただきたいなと私も思いました。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。今いただいた指標に関しては、後ほど文科省から御説明をいただきたいと思います。
 まずは御意見をいただきたいと思いますので、河村委員、お願いいたします。
【河村委員】  ありがとうございます。私はここで、6月に衆参両院で議決されて、議員立法で教科書バリアフリー法の一部改正が行われて、7月19日に発効する改正教科書バリアフリー法では、障害がないけれども日本語に通じない児童生徒が、デイジー教科書等の特定教科書等と言われている、著作権を制限して作った教科書へのアクセスが認められるという法改正が行われております。その同じ子供たちが、37条第3項で作った資料はアクセスできないんですね。37条の方は改正されていませんので、障害がないと、37条はアクセスできない、サピエ図書館を使えないという状況が生まれます。
 これはやはりSDGsが最終的には誰もが読み書きできる世界を目指すということでやっているように、これは著者の方、出版者の方も含めて、やはり社会的にそういう不利な状況にある人たちがきちんと読んで書けるようになる社会を一緒に目指していくという、そういう大きな目標の中で今後できることは何なのかという形で取り組んでいく必要があるんだろうと思います。その中で、最初からアクセシブルな出版をするというのはやはり持続的な解ですので、その解に向けてやっぱりみんなで努力していくということ以外に解決策はないんじゃないかなと思う。新しい法的な状況が生まれますので、その点も勘案して、本来的な解決に向けてこの読書バリアフリーを進めるべきだと思います。
【中野座長】  ありがとうございます。
 続きまして、宇野委員、お願いいたします。
【宇野委員】  18条についての意見です。読書バリアフリー法が立法された時の18条の関係者協議会の位置付けは、障害者の読書環境についてはいろいろな課題はあるが、立法時に全て条文化できるわけではないし、解決できるわけでもないので、関係者で協議していこうというものでした。しかし、その後の4年間は年1回の開催でした。今回の協議会も昨年度の振り返りと第二次基本計画の意見集約をまとめて3時間弱でやろうとしています。これはどうしても窮屈にならざるを得ません。そもそも私は、年1回というのが少し無理があるんじゃないかなと思っています。
 ようやくワーキンググループが設置されたのはよかったと思いますが、立法事実に立ち返ると関係者協議会が年1回で3時間で終わっている。また主な議事も、関係省庁からの報告に対し、委員が意見を言うという形で終わっていると思います。だから、本当に議論したいことが、言いっ放しとか、意見だけ言ってスルーされているということも起こっていると思います。ここはきちんと協議する場ですので、立法事実に基づけば、年1回の開催というのは果たしてどうなのでしょうか。または、もっとワーキンググループのような場を柔軟に開いていただき、きちんと議論が進められるような体制を是非第二期においては検討していただきたいと思います。
 それから著作権法の課題についても提起させてください。37条3項のただし書は2009年の法改正の時に、出版者のアクセシビリティの促進を目的とし、加えられたとうかがっています。当時としてはその趣旨は正しかったと思いますが、こういう時代になってくると、私たちが求めている「買う自由」と「借りる権利」を両立するためにこれがどうなのかなという疑問を感じています。
 というのは、障害のない人は、本屋に行けば好きな本が買えますし、図書館に行けば好きな本が借りられるわけです。しかし、このただし書によると、アクセシブルな図書が販売されれば、それまでに作成されたアクセシブルな図書が借りられる対象から除かれるということです。現に、国会図書館では、販売されたものは借りられる対象から削られています。これが進めば進むほど、障害者は買うしか本を読む手段がなくなっていきます。お金のある人はいいかもしれませんが、年金で暮らしている方や学生は、読みたい本を全部買えるわけではありません。このただし書が、果たして、「他の者との平等を基礎として」という国連障害者権利条約の理念と照らし合わせてどうなのでしょうか。これもいつか議論し、著作権法の改正が必要なら、検討していく必要があるんじゃないかと思います。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、三宅委員、お願いします。
【三宅委員】  日本視覚障害者団体連合の三宅です。すみません、1点だけ。事務局の最初の説明にありました、各地域での基本計画の策定状況について報告がありましたけれども、ようやく都道府県においては、検討すらしないというのがゼロになったというのはすごくよかった結果だなと思います。
 一方で、3年間も議論がまだされていないというところがあるというのは今後の検討としては残ったかと思うんですが、この頂いている資料の中に、連絡会すら設置していないというのがまだ一定数あるというふうに見受けられました。地方における基本計画もすごく大事なものであるのに、どうやってこれが作られようとしているのか、どうやって維持していこうとしているのかというのが非常に疑問に思うところです。恐らく今すぐにはこの詳細については分からないかもしれないですけれども、基本計画を策定する過程において、実際にどういった立場が入っているのか。国の関係者協議会はあらゆる立場の人が入っていますけれども、地方のところでは、本来入ってなきゃいけない人たちが入っていないのではないかと。そういうものも含めてもう少し細かな情報を今後提供していただければと思います。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございます。
 そのほかはいかがでしょうか。
 大分残りの時間が少なくなってきてしまっていて、誠に申し訳ありません。先ほど佐藤委員から御指摘があった指標について、事務局の方にまずは説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
【星川障害者学習支援推進室長】  それでは、冒頭、議題2のところでも触れましたとおり、今回いただいた御意見の中に、各施策の進捗状況を確認するために指標を設定すべきという御意見をいただきました。第一期基本計画に戻りますと、4の「おわりに」に、『今後更に実態把握を行い、より具体的な目標や達成時期等についての検討や定期的な評価を行っていく』といった記載もございます。そのため、指標の設定は、事務局としても重要な課題と認識をしています。
 そのため、事務局にて対応を検討したところではございますが、例えば指標の設定に当たっては、既存の取組の中で既にデータが取得できているもの、例えばサピエ図書館におけるアクセシブルな書籍の目録数とか、国立国会図書館におけるアクセシブルな書籍の製作数などは、継続して確認することが可能であると考えております。一方で新たに調査が必要なものについては、既存調査との重複とか、また、調査に対応する側の業務負担、そういったものも十分に考慮する必要がございます。そのため、本日の御意見も踏まえまして、一旦お時間をできれば頂戴いたしまして、各省庁において指標の設定について、その有無も含めてではございますけれども、まずは検討させていただいて、可能であれば、次回の10月に開催予定の関係者協議会までにお示しできればと考えております。
 先ほど佐藤委員の方からお話がございましたとおり、もし各団体様の方で御意見等ありましたら、我々に是非アイデアとして頂戴できれば、その全てを当然指標に盛り込むというのは難しいとは思うんですけれども、是非参考にさせていただける部分があると思います。御協力をいただければと考えております。
 以上です。
【中野座長】  御説明ありがとうございました。指標については、今説明がありましたように、これまで実施していただいた調査との重複など、各省庁でなければデータが分からない部分もあるかと思います。改めて今の御提案では、各省庁で既存のデータ等を検討していただいた上で、案を提案させていただきたいというお話でした。
 この件に関しまして、御意見がありますでしょうか。佐藤委員、よろしいでしょうか。いかがでしょう。
【佐藤委員】  ありがとうございます。今のお話で、前向きに捉えていただいているということで、ありがとうございます。今のお話だと、どうやら10月の関係者協議会に向けて、国の方で調整して何らかの指標の本案のようなものをお出しになるというような感じの理解でよろしいのでしょうか。
【星川障害者学習支援推進室長】  おっしゃるとおりでございます。できるだけ早くと思っておりますが、遅くとも関係者協議会、今年度第2回目になりますが、現在では10月下旬を予定しておりますけれども、それまでにお示しできるよう努力してまいりたいと思います。
【佐藤委員】  それまで、ほかの構成員の皆さんでも、指標についていろいろ、こういうものを載せた方がいいんじゃないかってある方はみんな、提案をしていただければということですよね。
【星川障害者学習支援推進室長】  そうですね。我々の方でできれば精査をさせていただく時間をいただければと思いますので、その点についてはもう少し早めに、可能であれば8月とかそれぐらいまでにいただければ、こちらの方で確認はできると思いますので、御協力をいただければと思います。具体的なものについては、事務局の方で皆様にお示しをするか、又は感触などをお聞きしながら、何らかお示しできるように調整を進めてまいりたいと思います。
【佐藤委員】  ありがとうございます。是非よろしくお願いします。
【中野座長】  ありがとうございます。今やり取りがありましたように、皆様からの御希望等については事務局に早めにお寄せいただいて、それぞれの省庁では、既存の調査等を確認していただいた上で、指標の原案を作成していただくということで進めさせていただきたいと思います。
 この件に関しましては、ほかに御意見ございますか。今の進め方でよろしいでしょうか。それでは、事務局の方では、次回にきちんと議論ができるように、進捗を確認していただきながら着実に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 そろそろ終わりの時間が近づいてきましたけれども、これまで、途中、私の方で残りの時間との関係で皆様に発言を急いでいただくような進行をさせていただいたんですけれども、どうしてももう一言、言いそびれたところがあるとかという件がありましたら、御発言をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。御協力感謝いたします。それでは、この辺りで本議題を終わらせていただきたいと思います。
 これで、本日予定していた二つの議題についての議論は終了となりました。最後に、今後のスケジュールにつきまして、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【星川障害者学習支援推進室長】  本日は長時間にわたりまして、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。いただいた御意見については、事務局、また、関係省庁等でしっかりと中身を改めて確認をさせていただいて、しっかりと進めてまいりたいと思います。
 今後のスケジュールにつきましては、議題1で御説明をさせていただきましたが、本日いただいた御意見、それから、書面でいただいた御意見を踏まえまして、事務局で基本計画(第二期)の素案を作成しまして、8月をめどに構成員の皆様に御提示をさせていただく予定でございます。その後、第11回、今年度第2回目の関係者協議会を10月に開催を予定させていただきたいと思います。日程調整につきましては、改めて事務局より御連絡をさせていただきたいと思いますので、引き続き御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
【中野座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、本日はこれで閉会といたします。オンラインの皆様も御参加ありがとうございました。では、閉会といたします。

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