- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 国際課が実施する検討会等 >
- ILO懇談会 >
- 第42回ILO懇談会議事要旨
第42回ILO懇談会議事要旨
大臣官房国際課
日時
令和7年4月25日(金)15:30~17:30
場所
中央合同庁舎第5号館 共用第6会議室(3階)
議題
1.第353回ILO理事会の報告
2.未批准条約について
第111号条約(差別待遇(雇用及び職業))
2.未批准条約について
第111号条約(差別待遇(雇用及び職業))
議事
- 1.第353回ILO理事会の報告
- 政府側から資料に基づき説明を行い、その後使用者側から発言がなされた。
(使用者側)
今回の理事会は、ILOの持続可能な運営に対する危機感の高まりや、より民主的なガバナンスを求める加盟国の声の高まりを象徴する会合となっていた。
2026-2027年の計画予算案に関する議論については、加盟国がゼロ成長予算を求める中で、労使共に、ILOの中核的な機能を担うプログラムや、労使団体の能力強化に資する活動への資源分配をきちんと維持してほしいという主張を行ってきた。また、性的指向や性自認をめぐって各国の意見が対立する中で、2023年の総会のときのように予算が承認されない事態の再発を防ぐため、労使が一致して打開策を模索でき、ILOの三者構成という特性が十分に生かされた議論になったのではないか。これが総会に持ち込まれた場合には、最終的には加盟国だけの議論になり、投票になったときにも同様なので、予断を許さない状況だと思う。
もう一つはガバナンスの民主化についての議論も毎回理事会で議論になっているが、今回提案された話は、理事会の運営規程に基づいて主要な経済産業国を決めるクライテリアをどうするかをどうやって決めていくかというプロセスの話である。使用者グループは、民主的かつ公平な代表権の実現と、手続の法的な確実性を確保してほしいということを発言してきたので、今回の決定事項には反対しなかったという立場である。
この2つの議題が示しているように、理想としての民主的なガバナンスの問題と、現実としての財政的持続可能性という2つの価値をいかに調和させていくかということが、ILOのみならず、国際機関全体が直面する共通の課題になっている。今後も多角的かつ継続的な対話が求められるテーマであると実感した。
最後に、理事会の会期中にレナーテ・ホルヌング=ドラウスILO使用者側の副議長が退任し、後任としてIOE事務局次長としての経験も持つマティアス・ソーン氏が選任されたことを報告したい。
- 2.未批准条約について
- 政府側から資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。
(労働者側)
第155号条約の批准に向けた取組が進む中で、残された未批准の中核的労働基準は第111号条約のみとなる。これまでも繰り返し述べているが、ILO加盟国中の175か国が第111号条約を批准しているにもかかわらず、日本が未批准のままでは人権尊重などに後ろ向きであるとの評価を受けかねない。日EU・EPAの「市民社会との共同対話」においても、EU側から深く憂慮している旨の指摘も受けている。
本懇談会で第111号条約が議題となった2023年5月以降、批准に向けた進捗どころか、検討すら進んでいないと言わざるを得ない。この間、ILO議連の場でも第111号条約を批准できないかという声は多く聞いている。批准に向けて様々な課題、障壁があることは理解しているが、幾つかある課題の中でも解決し得るものがあるのではないか。批准に向けて解決すべき規定として、公務員の政治活動に制限を設ける規定と、肉体的・生理的差異を考慮して就業・労働条件に関して性に基づく保護等を設ける規定などがあるが、例えばまずは就業・労働条件に関する性に基づく保護の課題解決に取り組む、また、公務員の政治活動についても、どうすれば批准できるのかという視点に立って、現行法令の個々の規制を具体的に検討することはできるのではないか。条約の批准は国会承認が必要となるが、政治の理解を得るためには、何をどうすれば批准できるのかという考え方を示すことが不可欠であると認識している。諸外国の法令などを参考に、必要に応じてILOの技術支援を受けて検討を進めていくべきである。また、日本と同様に第111号条約の批准国で男性助産師を法律で禁止している国について教えてほしい。
(政府側)
課題として挙げられているもののうち、性に基づく差異を設けている規定については、労働基準法の規定で、交替制によって深夜業に従事できる年齢に男女差が設けられており、満18歳未満の年少者を午後10時から午前5時までの間に使用してはならないとした上で、満16歳以上の男性に限り、交替制で働く場合は上記の時間帯に使用することができるとされている。
これは、年少者の深夜労働を原則として禁止する一方で、満16歳以上の男性については、女性に比べて相対的に深夜労働に耐え得るとの考え方に基づいて、一定期日ごとに昼間勤務と深夜・夜間勤務の交替で従事する勤務形態に限り、例外的に午後10時以降も就業させて良いというものであり、労働基準法が制定された昭和22年から設けられているものである。この規定の見直しに当たっては、制定趣旨や、深夜営業の実態、労働者の健康に与える影響等を踏まえ、慎重な検討が必要であると考えているところ、ご指摘も踏まえ、引き続き検討したい。
また、助産師の関係については、男性助産師を法律で禁止している国もある。この助産師の性別限定の規定に関しては、助産師の業務内容について、医療関与を伴わない形の自然分娩のケアであるため、特にケアを受ける女性の尊厳の保護等を図る必要があり、男性の就業を認めることについては、一部の関係団体や利用者からの反対があるというところであり、男性の助産師を認めることについては引き続き慎重に検討する必要があると考えている。諸外国の事例について網羅的に把握しているわけではないが、男性助産師を法律で禁止している国で第111号条約を締結している国として、カンボジア、サウジアラビア、アフガニスタンの3か国があると承知している
一般的にその条約の締結を進めるに当たっては、締結後に条約を誠実に実施するために国内法令との整合性を確保するということとしており、第111号条約についても、こういった他の国の事例を踏まえて、我が国の法令との整合性を引き続き検討する必要があると考えている。
(使用者側)
基本的な考え方として、以前からも申し上げているが、この第111号条約は中核的労働基準であり、できる限り早く批准されることが望ましい。これまでも様々な場面で早期批准に向けた対応をお願いしているが、引き続き批准に向けた精査、関係者との協議を進めていただければと思う。

