2026年3月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第11回議事録

日時

令和8年3月27日 13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、後藤 温委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、矢部 大介専門委員、石原 寿光専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
梅木医療技術評価推進室長 他

議題

○ アウィクリ注に係る分析枠組みについて

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、アウィクリ注についてですが、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について、先生方に御議論をいただきたいと思います。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。

(事務局・国立保健医療科学院より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず、本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者 入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、アウィクリ注の総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。

○意見陳述者
改めまして、意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。意見陳述者でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
2枚目を御覧ください。
アウィクリ注は、世界初週1回投与の持効型インスリン製剤です。
薬価収載時には、治療方法の改善、特に週1回の利便性により、患者負担の軽減が期待されることから、有用性加算が認められております。
3枚目を御覧ください。
今回の追加的有用性の検討は、本剤の臨床試験である、ONWARDS試験の結果を中心に評価されております。
4枚目を御覧ください。
集団(b)及び(c)における追加的有用性の評価には、企業は追加的有用性があると評価した一方、公的分析では追加的有用性がないと評価されております。
5枚目を御覧ください。
公的分析の評価に対する当社の見解を整理したものです。
公的分析では、低血糖の発現頻度について、本剤で発現率が高い点が指摘されておりますが、その差は極めて小さいものと考えております。
また、HbA1cの変化量については、臨床的意義がないと評価されておりますが、FDAの糖尿病薬治療開発ガイドラインに従い、インスリン製剤の臨床試験は、目標血糖値を目指して用量調整を行う非劣性試験であるため、得られた点推定値の差が小さいことは、試験デザインの制約に起因する部分が大きいと考えます。
弊社としては、インスリン製剤の追加的有用性の判断に当たり、これらの指標のみで追加的有用性を評価することには限界があるため、HbA1c7%未満の達成率や、QOLの改善といった臨床的に重要な指標を含めて総合的に判断することが適切と考えます。
これらの点について、以降のスライドで、より詳細に弊社の考えを述べさせていただきます。
6枚目を御覧ください。
臨床試験における本剤と対照薬群の低血糖の発現を示しております。公的分析において、低血糖の発現率が高く、点推定値が1を上回ったと御指摘をいただいておりますが、この差は、2から6年に1回増える程度の差であり、臨床的な差があるとは言えないと考えております。
スライド7枚目を御覧ください。
HbA1cの変化量について、公的分析では追加的有用性なしとの評価でしたが、過去の事例において非劣性試験であっても優越性検定の結果をもって、追加的有用性が認められております。
本剤も過去事例と同様に、非劣性試験における優越性が示されたことにより、追加的有用性の根拠になると考えます。
8枚目を御覧ください。
糖尿病診療では、日本の疫学研究をはじめとする複数の大規模研究の結果から、合併症の発生率が大きく変わるHbA1c7%を基に治療目標が定められております。
そのため、インスリン製剤におきましても、HbA1c7%未満の達成率は臨床上重要な指標となります。
スライド9枚目を御覧ください。
本剤の臨床試験におけるHbA1c7%未満の達成率を示しております。分析集団(b)に該当するONWARDS3の試験において、HbA1c7%未満の達成率、さらに、重度の低血糖を伴わないHbA1c7%未満の達成率、2つの指標において、統計的有意差をもって本剤の優越性が示されております。
前のスライドのとおり、臨床上の重要な指標は、HbA1c7%未満の達成率であり、この結果は本剤の追加的有用性の根拠になると考えます。
また、本剤の有用性に関して、もう一つ重要な点となるのが利便性でございます。
スライド10枚目を御覧ください。
左は、本剤の臨床試験で糖尿病に特化した評価指標であるDTSQを用いてQOLを比較した結果です。
本剤群が対照薬群に対して、QOLが有意に改善していることが示されております。
なお、弊社が算出したEQ-5D-5Lの値は、右側に示す週1回投与または1日1回投与、GLP-1受容体作動薬を使用している日本人2型糖尿病患者のデータを基に算出しております。
週1回投与と1日1回投与のQOLの差は、複数の研究で一貫して観察されており、システマティックレビューにおいても同様の結果が得られております。
したがって、このQOL値をモデルに反映することは妥当であると考えております。
11枚目を御覧ください。
本剤では、既存のインスリン製剤と比較して、高齢者の使用が多く、また、治療継続率が高いことが示されております。
これらは、週1回投与という本剤の高い利便性が、臨床的意義があることを一貫して示しており、治療継続率については、有意差をもって本剤が優れていることを示しております。
本剤の利便性は、このように複数のデータで示されており、1日1回と比べて全く追加的有用性がないと評価することは不適切であると考えます。
12枚目を御覧ください。
先ほどの実臨床の使用実態に加え、本剤の臨床的意義については、○○先生に御説明いただきます。
○○先生、よろしくお願いいたします。

○意見陳述者(専門家)
では、紹介いただきました○○でございます。
私自身は、インスリンの導入の患者さんの障壁をいかに取り除くかということをライフワークとしてやってきたものでございますが、この利便性、週に1回ということは、患者さんの早期導入ができると、インスリンの導入ができるということはもちろんのことでありますけれども、導入してからというところも大きなポイントになります。
患者さんのアドヒアランスが非常に高くなる。つまり、今までの毎日製剤であると、7回ちゃんと打てば、この週1回のアウィクリと同じぐらいのHbA1cになるということを考えますと、実臨床の中で、毎日きっちり本当に7回できるのかというと、それは、実際にはそうではない。
ですから、ONWARDS試験などで示されているHbA1cが、ほぼ同等であるということになってくると、現実の世の中では、有効性がかなり上がるということが言えると思います。
そして、もう一つ、これは非常に大きな臨床的価値だと考えておりますけれども、今、増え続けている高齢者の患者でございます。インスリン治療というのは、高齢者にはなかなか難しい部分がございます。自己管理ができない方がたくさんいらっしゃいます。〇〇にも、HbA1cが11、12%と非常に悪くなって入院して来られる患者さんがたくさんいらっしゃいますが、そういう方は、ちゃんと入院して食事療法をやってインスリンをやれば、見事に血糖コントロールがよくなります。
ただし、よくなって、では退院しようかというときになると、これが全くもって自分では注射ができないわけですから、では、インスリンをやめようかと言って止めて、無理やり止めて薬だけにすると、結局元の木阿弥になってしまって、また、もう一度入院するということを繰り返してしまいます。
やはり、若い我々の医局の医師とも、いつも、この自己管理ができない人のためのインスリンはないのかということを考えたときに出てきたのが、このアウィクリでありまして、現実に今までは、せめて毎日1回注射をすれば何とかなるという患者さんの、この毎日1回ができない、独居であったり、老老介護であったり、あるいは家族が離れたところにいらっしゃると、毎日注射することはできません。
ところが、この週1回であれば、いわゆる訪問看護等を利用することによって、非常に有効な治療ができるということで、これは今までのインスリンの開発の歴史の中で、4つの大きな分岐点があったと思います。発見、それからヒト型ができて、いわゆる分子生物学的な方法で確立されたインスリンができるようになった。そして、そのおかげでアナログインスリンができるようになって、非常に生理的なインスリン補充ができるようになった。
しかし、実用という意味で、この週1回でよいというインスリンは大きな変革であり、私は、この追加的有用性が非常に高いインスリンだということを申し上げたいと思います。
以上です。

○意見陳述者
最後、13枚目を御覧ください。
本日の陳述のまとめとなります。集団(b)及び(c)の追加的有用性の判断に当たり、臨床的に重要な指標であるHbA1c7%未満の達成率において、有意な差が認められている点並びに週1回製剤の利便性がQOLや治療継続に寄与している点、この2点を御考慮いただき、既存治療に対する本剤の追加的有用性について、改めて御評価いただきたく存じます。
なお、これらを追加的有用性の主張として御承認いただける場合、当社が提出しておりますモデルには、HbA1cの差及びQOLの差を反映することが可能となっております。現行モデルを変更することなく、費用対効果評価を実施いただくことが可能でございます。
企業陳述は以上となります。御清聴ありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方から御質問等ございますでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
御説明ありがとうございます。
1点、お伺いしたいのですけれども、確かにHbA1c7%未満達成は重要な指標だと理解はできますが、そもそも御社が提出されている報告書での追加的有用性の検討では、指標としてHbA1c変化量のみが評価されており、7%未満達成に関しては議論されていないようです。なぜ、そもそも7%未満達成を指標として追加的有用性に関する議論をされなかったのかについて、詳細を教えてください。

○意見陳述者
御質問ありがとうございます。
当初の弊社からの提案に関する御質問というところで、回答をさせていただきます。
○○から回答いたします。

○意見陳述者
先生、御質問ありがとうございます。
HbA1cの差という我々が当初評価させていただいていた項目につきましては、やはりヘッドトゥヘッドのONWARDSの臨床試験のプライマリーエンドポイントであったというところで、なおかつ明確な有意差が認められておりましたので、過去事例に照らしても追加的有用性ありと判断するのが妥当であると考えておりました。
また、この結果をもちまして、この差のみでも追加的有用性の判断は可能であったというところでございますので、企業分析としては、そのほかの指標まで考慮する必要まではないのかなと考えていた次第でございます。
ただ、今回、公的分析様の評価で、この点に追加的有用性がないという評価をいただいたのですが、スライド5枚目にお示しさせていただいておりますように、治験デザイン上の制約という観点等もあるかなと思っておりますので、ぜひ、こういった点も考慮いただきまして、ほかの指標についても御考慮いただいた上で、本当に本剤の追加的有用性がないのか、ないと言えるのかといったところを、改めてぜひ御評価いただきたいと思っている次第でございます。

○○○委員
ありがとうございます。
先ほどの説明の中で、恐らく今日の資料の7ページ目に書かれている、過去事例で非劣性から優越性の仮説のスイッチングで追加的有用性を認められているものがあることを説明されていますが、本品目と過去の事例では状況が大きく異なっています。何を言っているかというと、基本的に非劣性マージンは臨床的に意味のない値と設定されているので、実際に観測された結果と非劣性マージンの関係を検討する必要があります。
提示された■■の事例では、非劣性マージンは割合の差に対して■■と設定されているのに対して、実際に群間差は■■ぐらいです。ということは、非劣性マージン■■として非劣性が示され、実際に観測された群間差■■は非劣性マージンよりも大きい値であるため仮説のスイッチングにより優越性までが示され、追加的有用性が認められた状況です。本品目に関しては、非劣性マージンはHbA1cの変化量に対して0.3%と設定され、実際に観測されている平均値の差が0.2%となっています。つまり、非劣性と優越性は示されたとしても、その平均値の差は非劣性マージンである臨床的に意味のない差0.3%よりも小さい差ですので、たまたま偶然に95%信頼区間がゼロをまたがなかったということで、過去事例と同様に優越性を主張するには根拠が不十分です。
仮説のスイッチングが達成できたということで追加的有用性があると判断されたと思うのですが、得られた群間差の大きさと非劣性マージンとの関係や他の評価指標など十分に評価した上で、何をもって追加的有用性を主張するかというところを、事前に検討すべきだったのではないのかと考えます。


○意見陳述者
コメントをいただきまして、ありがとうございます。
○○から、その点に関して少し補足をさせていただきます。

○意見陳述者
ありがとうございます。
確かに、こちらは〇〇を出させていただいています。まず、■■については、公的分析報告書及びその議事録も専門組織の中で読ませていただきましたけれども、そのような非劣性マージンとの比較という議論は行われておりませんでした。統計的有意差が得られているという点をもって、議事録の中での議論もなく、こちら、有意差があったと述べられているところでございます。
その部分に関しまして、このアウィクリも優越性の結果をもって得られているというところで、こちらを比較させていただいております。
あとは、おっしゃるとおり、数字上の非劣性マージンの点推定値というところでお話をいただいております。
こちらについては、非劣性マージンは、先生御存じのとおりではありますが、あくまで非劣性の部分の95%、今回の場合で言うと、上限の部分を設定して比較をしているというところでございまして、その点推定値の部分の理解というところは、おっしゃるとおりの部分もあるかもしれないのですけれども、あくまで弊社が述べたいのは、この点推定値を見てという判断よりも、総合的に考えて、現在、既存の毎日製剤と比べて、全く追加的な効果がない、全くその部分での差が得られていないような分析を、公的分析では行っていただいているところですから、総合的に考えて、本当に追加的有用性がないのかというところを考えていただきたいというところが趣旨でございます。

○○○委員
おっしゃられることは十分理解しますし、私も追加的有用性がないものだとは思っていませんが、解釈や説明の仕方というものは、十分考えておく必要があったのではないかというコメントです。

○意見陳述者
ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他、○○委員、どうぞお願いします。

○○○委員
この製剤は、週1回ということで、利便性の改善ということで加算がついている製品ですし、先ほどの専門家の先生が言われたように、利便性は、すごく有用なものだと感じています。
一方で、臨床試験は管理されている状況でやるので、結局、この週1回の製品の、変な話をすると、メリットというのは、なかなか見いだしづらいものだし、それが非劣性で、ほぼ同等という評価にしかなっていないと思うのですけれども、やはりこういう製品の場合は、実臨床の中で使って初めてどういうメリットがあるかということをちゃんとデータとして示していかないと、有用性の評価ができないと思うのですけれども、御社では、いわゆる承認を取る段階以降、そういう実臨床の中で、どういうエビデンスをつくられているかということが1つ質問です。
もう一個は、先ほど低血糖のリスクはないよという話をしていましたけれども、それも臨床試験の中での評価しかしていないので、やはり実臨床の中で使われていて、本当に低血糖が出ていないのかとか、発生率が上がっていないのかというのは、ちゃんと市販後調査等であるはずなので、そういう議論が全くないのですけれども、そういうのは、データとして示すことができるのでしょうかという質問です。

○意見陳述者
○○先生、御質問をいただきまして、ありがとうございます。
今、御質問いただきました今後のエビデンスも踏まえて、医学専門家である○○先生から、コメントをさせていただきたいと思います。
では、先生、お願いします。

○意見陳述者(専門家)
ありがとうございます。
先生おっしゃるとおりで、実臨床で使って意味があるとおっしゃっていただきまして、ありがとうございます。
今、企業としてやられているのではなくて、〇〇の臨床研究としては、市販後の中で、例えば、僻地における高齢者の、実際に今まで毎日1回やっていた方、そして、第三者の介助を必要とした方の切り換えの研究というのを進めておりまして、そういうものをまとめていくつもりであります。
さらに、〇〇でも積極的に、これを切り換えていくことによりQOLがいかに改善するか、そして、実際にアドヒアランスが上がることにより、先ほど申し述べましたような、実臨床の世界では、この1週間に1回で簡単に行けて、アドヒアランスが上がってよくなるのかどうかというところの検証は進めさせていただいております。
実際に私、かなりの患者さんにこれを使いまして、個々の感触としては、非常に患者さんのQOLが上がっているなということを常日頃から感じております。
以上です。

○○○委員
ありがとうございます。
これは、制度上の問題かもしれませんけれども、どうしても臨床試験に基づく追加的有用性の中では、こういう利便性の改善とか、実臨床下でのメリットというのは、なかなか証明していきづらいので、何か今の段階のエビデンスとしては、致し方がない結果かなと思っているのですけれども、今後、やはりエビデンスの蓄積することによって、これは改善ができるのではないかなと、個人的には思います。
以上です。

○意見陳述者
○○先生、ありがとうございます。企業から少しだけ補足をさせていただければと思います。

○意見陳述者
○○先生、ありがとうございます。
おっしゃっていただいたところ、利便性の改善というところが、弊社の、こちらの問題だと思っています。現状としては、利便性の改善として、少し話題になっているのは、HbA1cも話題にはなっていましたけれども、やはりQOLの部分も、ぜひモデルの中では考えていただきたいというところがあります。
そういった利便性の改善というところは、どちらかというと、QOLの部分をモデルに反映することによって、少しよりよいモデルにはなるのではないかなと考えています。

○費用対効果評価専門組織委員長
何か、まだコメントはございますか。

○意見陳述者
企業のほうから1点だけ追加で、大変恐縮です、お伝えさせてください。
先ほど、○○先生から御指摘いただいた点、実臨床のデータという点につきまして、少し補足をさせていただきたく存じます。
スライド11枚目にお示しをさせていただいております、治療継続率につきましては、今回、まだ、アウィクリ注は、発売されたばかりではあるのですが、実臨床におけるデータというところで、治療継続率の差というところをデータとしてお示しさせていただいております。
また、参考資料のほうになりますが、19枚目、20枚目というところで、複数の実臨床のデータベースを用いまして、本剤の継続率を他剤と比べた、1日1回製剤と比べたデータをお示しさせていただいております。
中でも20枚目にお示しさせていただいておりますデータ、一番長期のデータをキャッチしておりますが、こちらにつきましては、下の2本、1日1回製剤を合算したものと、本剤の治療継続率を計算、分析いたしましたところ、有意な差がついているといったところでも、こちらを示させていただけるかなと思っております。
また、弊社は、現在、市販後調査を実施しておりまして、そちらで低血糖も含めて、現在は評価をしている、将来的には結果もお出しできるかなと思っております。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員の方々いかがでしょうか。
○○委員、どうぞお願いいたします。

○○○委員
ありがとうございます。
1点だけ指摘をさせていただきたいのですが、資料で、先ほどからの御説明の中にもQOLの改善ということを、スライドの10ページ目ですかね、DTSQという治療満足度尺度を用いて、これがQOLの改善とおっしゃられていますが、QOLと満足度は別物で、やはり満足度は治療者と患者さんとの関係が反映されやすいので、QOL尺度とは言いませんので、そこだけ少し御注意いただきたいと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

○意見陳述者
お時間をいただきまして、ありがとうございました。失礼いたします。

(意見陳述者 退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析についての御意見がございましたので、科学院から何か御意見等ございますでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほどの費-3-3の後段に、企業陳述資料へのコメントを附随させていただいていますので、そちらを御参照ください。
まず、1点目としましては、HbA1c7%未満の達成率あるいはQOLの向上といった臨床的に重要な指標を含めて、追加的有用性を判断すべきだということであります。
また、製造販売業者は、■■から提供された大規模なデータベースを用いて、QOL値を分析して、EQ-5D-5Lのスコアが改善したのだと御主張されているところです。
24ページ目、こちらについての公的分析からのコメントですけれども、まず、HbA1c7%未満の達成率を考慮しても、追加的有用性に関する判断というのは変わらないものと考えています。
こちらにお示ししていましたように、試験によって、ONWARDSは1から6までありまして、ONWARDS試験の5というのは、イコデクプラスアプリケーションということなので、それを除外した5つの試験ですけれども、その5つの試験中において、3試験ではイコデク群のほうが優れていて、2試験では対照群のほうが優れている。また、日本人集団を見みても、結果が一貫しておらず、ONWARDS3については、日本人集団は評価不明なのですが、ONWARDS2、4、6については日本人集団では、比較対照群のほうの治療効果が高くなっているということでありまして、このような結果は、なかなか解釈が困難でありまして、7%未満の達成率に関して有用性が示されているとは考えられないのではないかと考えています。
また、QOLの件につきましては、先ほど○○先生からありましたように、こちらは、必ずしもQOLと認めるのは適切ではないと考えています。
25ページ目ですけれども、失礼しました、ずれていて、26ページ目を御参照ください。QOLについてのコメントですけれども、QOL値については、QOLが適切に評価されているとは言い難く、追加的有用性は認められないと考えています。
まず、1点目ですけれども、○○先生から先ほどありましたように、DTSQは治療満足度を測定する尺度であり、QOLとは違うという点、また、ウェブ調査を用いる結果については、患者のQOL値に影響し得る背景要因が調整されていないことから、比較可能性に限界があると考えています。
また、お戻りいただきまして、25ページ目ですけれども、事前合意した分析対象集団を変更することは、やはり慎重に対応する必要があるのではないかと考えています。後づけ解析の結果から、有効性の高い集団や費用対効果のよい手段を取り出すということは、分析者に都合のよい結果を導きかねないということから、もし仮に変更するのであれば、やはりそれなりに強いエビデンスや、その他の臨床試験結果等によって、補強がなされるべきだと考えています。
なお、この7.0%という効果指標は、事前規定されていたものの、セカンダリーエンドポイントではなく、探索的な評価項目ということですし、また、分析前協議あるいは企業分析報告書等で、この7.0%に対する主張はございませんでした。
最後、27ページ目になりますけれども、製造販売業者の方の陳述内容としては、本剤では高齢者で広く使用され、家族、介護者の負担軽減に寄与しているという御主張であります。
公的分析からのコメントといたしましては、上記の指摘については、公的分析では臨床専門家等の見解から、理解できる部分があるということは否定しませんけれども、当初の企業分析にそのような主張はなく、評価に十分なデータも提出されていないため、現時点では対応が困難と考えています。
仮に、訪問看護等の費用を考慮すれば、費用対効果評価の結果が異なる可能性があるということは理解するところでありますが、訪問看護というのは、週に3回に制限されていますし、あるいは自己注射のみのために訪問看護を受けている方というのがどれほどいるかというのは、少し詳細な検討が必要なのではないかと考えています。
科学院からは以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますよう、お願い申し上げます。
臨床の先生方が御参加されておりますので、○○先生、いかがでしょうか、御意見いただければと思います。

○○○委員
ありがとうございます。
前回のこの品目の議論のときにもコメントをさせていただいたと思いますが、今日、○○先生がおっしゃられたように、この製剤というのは、非常に実臨床の中では高齢者で、介護が必要な方々に対して、初めてインスリン治療を安心してできるツールとして、非常に現場の医師としては、ウェルカムな製剤ではあります。
ただ、企業様が、そういった将来的なビジョンを持って開発をされていなかったので、残念ながら、実際に、そういったケアを提供する人たちのコストであったり、時間であったり、そういったものをどれぐらい節約できるかとか、QOLがどれだけよくなるかという評価もないですし、そもそも臨床試験において、〇〇、今回、HbA1cと低血糖という軸で評価をされるところから始まっているので、現状では公的分析のほうが、よりサポートしやすいと思いますし、むしろ企業の努力として、早期からそういった尺度で、この製剤を評価されていれば、もう少し違った議論がここでもできるのかなと思いました。
長くなりましたけれども、以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
議論の部分に少しフォーカスを絞って、○○先生にお聞きしたいのですけれども、7%未満のコントロールについての辺りは、先生、どうお考えでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。
これも、なかなかまた難しい話で、この製剤を使っている高齢者というのは、必ずしも7%未満を目指しているわけではなくて、感染症等を回避するという意味合いで8%未満を目指せれば十分という使い方をよくするので、7%未満という指標を持ち出して来られたのも、若干、唐突感があるかなと個人的には思っています。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
事務局さん、○○先生は御参加されていらっしゃいますでしょうか。

○事務局
費用対効果評価専門組織委員長、○○先生は御欠席されていらっしゃいますので、私のほうから意見書を代読させていただいてもよろしいでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
そうですね、お願いします。

○事務局
○○先生から事前に委員の意見書を頂戴しておりまして、まず、分析対象集団(a)(b)(c)の追加的有用性については公的分析を受け入れる。血糖降下薬の併用割合についても公的分析結果を受け入れる。その他の議論すべき論点はなし。追加分析の要否については、インスリン注射が必要であるが、自己注射ができない高齢者などの治療における家族や医療従事者の負担削減などの観点からの評価法があれば、なければ、そのような観点からの評価法を新たに作成して追加分析することは有用であると思われますと書かれておりまして、現状、公的分析結果が全て妥当であり、追加分析は不要となっています。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、先生方、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
これは、前回も言っていますし、今回のコメントにも書きましたけれども、やはりこういう製剤をHbA1cの低下率みたいなサロゲートで評価できるものでは全くないので、本当に事前協議のときに、やはりどういうデータを出してくれれば、きちんとこの製剤のいいところを評価できますよというのは、やはり詰めておくべき話かなと、今、思っています。だから、今さらではあるのですけれども。
それで、やはり企業も、先生方の御意見も伺ったように、いいものではあると思うのですけれども、全くそれをサポートするエビデンスがないので、現状では、本当に臨床試験で出てきた値でしか評価できないので、これは、本来は、いい製品なのだけれども、データがなくて評価できないよということをきちんと分かる形でレポートを書かれたほうがいいと、私は思っています。
それで、先ほど言ったみたいに、事前評価、協議のときに、きちんとこの製品を評価する軸をちゃんと議論していただいたほうがよかったなと思います。これから利便性の改善みたいなものがいっぱい出てくると思うので、やはり今までみたいなものでは無理だと私は思っています。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。

○○○委員
ありがとうございます。
毎回こういう話になると意見を申し上げているのですけれども、もう委員の先生方がおっしゃられているとおり、今回の基準で言えば、この評価、公的分析が妥当と言わざるを得ないのですが、企業からすると、薬価算定の段階では、便利さを評価してもらっているのに、ここへ来ると一切ないというところで、何となくそこも、もやもやとされるのだと思いますが、先ほど臨床の先生が意見を言われたように、アドヒアランスの話などは、例えば、いわゆるアドヒアランスが100%というのは、この手の慢性的な治療の患者においては、なかなかまれでありまして、そうすると、当然、治療成績というのは変わってくるわけですね。だから、どのくらいアドヒアランス低下群がいるのかとか、それによって、いわゆる治療成績にどれだけ反映しているのかみたいなところもありますし、それから、私どももそうなのですけれども、やはり、1日おきに注射しているのが、週1、2週に1、月1になっているというのは、もちろん患者はすごくうれしくていいわけですけれども、例えば、注射する場所のかゆみが減ったりとか、そういう話は、やはりあるのですね。何回も刺すのと、そうではないのというのがあって、そういった微細なもの、例えば掻痒感が少なくなったとか、やはりそういうところを企業としても開発段階で、やはり十分その価値を示すようなエビデンスを取っていかないと、やはり今、診療報酬がいろいろ厳しい中で、患者が便利になったからといって、そのコストを投入するのかみたいな議論にもつながりますので、やはり逆に言えば、企業にそういう努力をしていただくことによって、ある種QOLに反映しない患者の喜びに、ある程度企業のイノベーションが投入されるという環境が守られるということにもつながりますので、そういうことを期待したいと思っています。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。貴重な御意見かと思います。
その他いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
7%未満達成ということに関して、少しだけ補足なのですけれども、先ほど○○先生から8%未満を達成することがこの集団にとって臨床的な観点で重要とのお話がありましたが、ONWARD試験のでは7%未満達成の割合、6.5%未満の達成の割合が副次評価項目として設定されていたので、まずこれらの指標を利用するのが適当かと思います
公的分析の資料の24ページに、7%未満達成率のスライドが用意され日本人集団における異質性として説明されているのですが、日本人が含まれている試験、含まれていない試験、国際共同試験という形で実施されています。例えば、ONWARDS2の試験、分析対象集団(c)に該当するような集団で見ると、全体集団では効果が上回り、日本人集団では逆に数値的に劣っているように見えますが、実際には日本人集団の例数が全体に比べて少なく分母の数が若干違うだけなので、サブグループの日本人集団で全体との異質性があると評価する点は、国際共同試験の評価という面においては、少し注意が必要かなと個人的には思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他いかがでしょうか。
私も○○委員がおっしゃった、科学院さんの資料と、あとは企業さんの資料について、予見性というか、ポテンシャルがありそうだったので、もう少しここの部分については議論を深めてもいいかなとは思っていました。ただし、なかなかデータとしてシャープではないところもありますし、また、対象集団とか実臨床との関係でどうなのかという議論もありそうなので、いろいろと御意見をいただきつつ、整理はしているところでございます、その他の先生方いかがでしょうか。
○○委員、どうぞ。

○○○委員
すみません、教科書レベルの話で恐縮なのですけれども、やはり、臨床試験はHbA1cの変化率みたいな形で、サロゲートで評価するというのは全然おかしくはないのですけれども、経済評価というのは、そもそもHbA1cが1%下がったから幾らって評価はできないので、やはり最終的なアウトカムで評価をしなければいけないよと、いつも教科書で言っているのですけれども、この追加的有用性をHbA1cの値が変わらないからなしというのは、分からないのですけれども、乱暴な気がしていて、本当にここで評価しなくてはいけないのは、本来は、例えば合併症だとか、死亡とか、そういうアウトカムが、実際どう変わるかというところが一番大きな視点なのですけれども、今までの議論だと、そういう話が全くなくて、やはり、経済評価のあるべきアウトカム、今度、名称を変えて追加的有用性が臨床アウトカムになると思うのですけれども、やはりそういう議論もどこかで残しておいていただいたほうがいいのかなと思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他、先生方いかがでしょうか。
一応、ガイドラインのほうでは、HbA1c7%未満にコントロールすると、心血管の合併症とか、死亡率が下がるということで、これは、○○先生のほうが御専門かと思いますけれども、そういうのを背景に企業様も御説明はされていたと思います。一方で、今回の品目においてはそのテーマにそって、ちゃんとしたデータを用意していないという御指摘があったと思います。
その他、先生方いかがでしょうか。
なければ、少しまとめさせていただきます。まず、利便性に関しては、薬価のほうでも評価されているわけですし、この組織においても、それを否定しているわけではないということであります。主張にそった理論に対して、実際のデータを用意していただければ評価するということは、たしか、前からも御議論させていただいていると思います。よって、企業さんのほうには、そういったメッセージを改めてお返ししていくしかないのかなと思っておりました。
あと、その他の論点については、科学院様のほうでお話をされているものが一定の説明力もありましたし、実際上、考え方としてあったとしても、データがない場合は、研究デザイン的に眺めると、少し後出しジャンケンみたいな主張になるかと思います。そこで、今回は科学院さんのほうの再分析を採用させていただくという方向になろうかと思います。一方で、企業さんの御指摘とか御意見を全面否定するのではなくて、それを受け入れる体制とか、準備はこちらではできているので、あとは企業様のほうで、準備をしていただきたいということを示せるようにしたいと思いますが、先生方、いかがでしょうか。
○○委員、どうぞ。

○○○委員
やはり、そういう話は、事前協議のところで、こういう利便性みたいなものはエビデンスがないと評価できないというのは、やはりきちんと伝えたほうがよくて、あと後出しで、いろいろとない、あるという議論をする前に、やはり準備していただくというのが筋のような気がするので、その辺もぜひ改善点として挙げておいていただけるとありがたいです。

○費用対効果評価専門組織委員長
そうすると、これは科学院様のほうで対応されている事前協議のところで、そこをピン留めと言ったら変ですけれども、きちんとお話をし、後から変な形で変更されて、ある意味では、組織の中で時間を無駄に使ってしまうようなことがないように留意していただきたいというメッセージを、共有していただくのが良いでしょうか。科学院さん、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
我々のほうでも、気をつけながら議論をできればと思っています。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
そういう形で、少し川上のほうに、この議論は反映できるようにしていきたいと思いますけれども、○○委員、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、議決に入らせていただきますが、議決に入る前に、○○委員におかれましては、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員 退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、アウィクリ注に関する費用対効果については、公的分析による再分析結果を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、以上の再分析結果を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しましては、委員長のほうに一任していただくということで、こちらもよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。