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2025年12月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第9回議事録
日時
令和7年12月26日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、後藤 温委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、矢部 大介専門委員、石原 寿光専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
梅木医療技術評価推進室長 他
議題
○ アウィクリ注に係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、次に、アウィクリ注に係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について、企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本品目に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、アウィクリ注に係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。
○意見陳述者
承知いたしました。お時間をいただきありがとうございます。意見陳述者でございます。本日はアウィクリ注の企業分析概要について御説明いたします。よろしくお願い申し上げます。
2ページ目と書かれたスライドを御覧ください。
本日の内容は、こちらの3点になります。1つ目は、本剤の特徴や臨床的位置づけ。2つ目は、企業分析の概要と結果。3つ目は、価格調整に関する事項でございます。
3ページ目のスライドを御覧ください。
評価対象技術であるアウィクリ注の概要をお示しします。インスリン療法が適応となる糖尿病に対して、1週間に1回の皮下注射です。比較薬と比べて注射頻度が少なく、患者負担の軽減が期待されることから、有用性加算5%が適用されております。
4ページ目のスライドを御覧ください。
本剤の特徴・臨床的位置づけについてお示しします。本剤は、世界初の週1回投与のインスリン製剤です。臨床試験では、1日1回投与の持効型インスリン群と比較して治療満足度スコアが統計的に有意に高い結果が得られました。また、血糖コントロールにおいても優越性が示されました。審査報告書では、週1回投与の本剤は新たな治療選択肢になり得ると評価されています。
5ページ目のスライドを御覧ください。
本剤の費用対効果評価における分析枠組みと、各分析対象集団における追加的有用性の判断について御説明します。専門組織で合意された分析枠組みに従い、患者背景や治療歴に応じた4つの分析対象集団と比較対照技術が選定されました。なお、これらは先行する他国の医療技術評価機関での評価における分析対象集団と比較対照技術の設定とは異なるものとなります。
まず、集団(a)は1型糖尿病患者です。本剤の臨床試験では、HbA1cのベースラインから26週までの変化量について、本剤は対照群に比べ点推定値で劣っていたものの、統計的に有意な差は示されませんでした。一方、52週までの変化量を確認すると、本剤は対照群に比べ統計的に有意に劣る結果となりました。追加的有用性は効果が劣ると判断し、費用対効果分析は実施しませんでした。
次に、集団(b)は、2型糖尿病患者のうち、インスリン療法の治療歴がない患者であり、集団(c)は、2型糖尿病患者のうち、基礎インスリン療法の治療歴がある患者です。各集団における本剤の臨床試験では、HbA1cのベースラインから26週までの変化量について、1日1回投与の持効型インスリンに対する本剤の優越性が示されました。追加的有用性は示され、費用対効果分析を実施しました。なお、インスリン グラルギンU300とインスリン デグルデクの有効性及び安全性は両剤で同等であると分析枠組み協議時に合意されたことから、本剤とインスリン デグルデクの直接比較を行った臨床試験を用いて、追加的有用性を評価しております。
最後に、集団(d)は、2型糖尿病のうち、基礎-追加インスリン療法の治療歴がある患者です。ネットワークメタアナリシスを用いて、HbA1cのベースラインから26週までの変化量や低血糖頻度を比較しましたが、両群間で統計的に有意な差はありませんでした。追加的有用性は示されていないと判断され、費用最小化分析を実施しました。
6枚目のスライドを御覧ください。
分析集団(b)と(c)における分析は、マルコフモデルを用いました。このモデルは、日本人2型糖尿病患者に最適化された合併症予測アルゴリズムを基に構築されております。分析期間は一生涯、1サイクルは1年で、QOLや費用は日本人データを用いて推計しています。費用分析には市販のレセプトデータベースを活用し、全年齢層の糖尿病患者をカバーしています。
7ページ目のスライドを御覧ください。
分析モデルの構造をお示しします。本モデルでは、患者のベースライン情報を基に、治療経過やバイオマーカーの変化、有害事象の発生を追跡します。リスク方程式により、糖尿病に起因する細小血管障害、大血管障害、死亡の発生を予測し、状態ごとに臨床アウトカムと費用対効果アウトカムを算出します。各健康状態に存在する患者割合を1年ごとに推計し、各イベントに相当する費用やQALYを累計し、総費用及び総QALYを算出しました。
8ページ目のスライドを御覧ください。
分析モデルのICERに影響する主な要素は、HbA1cの改善、eGFRやBMIの変化、そして、QOLです。QOLについて、1枚前のスライドで御説明した、健康状態に依存するQOLに加えまして、複数の臨床試験や患者調査で一貫して示されている週1回投与と1日1回投与の間でのQOLの違いをモデルに反映しました。本剤の臨床試験では、週1回投与群の治療満足度スコアが1日1回投与群よりも有意に高い結果となりました。また、先行研究やシステマチックレビューでも、注射頻度が少ないほどQOL値が高いことが報告されております。この点について、次のスライドで御説明します。
日本人2型糖尿病患者を対象とした調査でも、週1回投与患者のEQ-5D-5L値が1日1回投与患者よりも高いことが確認されており、審査報告書では、治療負担軽減の観点から高く評価されております。
9ページ目のスライドを御覧ください。
投与頻度とQOLの関係について、システマチックレビューを実施しました。その結果、1日1回投与と比較して、週1回投与ではQOL値が増加することが抽出された全ての研究で一貫して示されました。特に、Boyeらの研究をはじめとした複数の研究では、週1回投与が統計的に有意に優れた結果を示しています。本分析におけるQOL解析においても、これらの先行研究と同様のQOLの差が確認されました。
10ページ目のスライドを御覧ください。
基本分析の結果について御説明いたします。集団(a)において、効果が劣ると判断されたため、分析不能となりました。集団(b)において、基本分析の結果、ICERはドミナントという結果でした。感度分析を通して、結果の頑健性が示されています。
集団(c)において、基本分析の結果、ICERは167万円/QALYという結果でした。感度分析を通して、結果の頑健性が示されています。集団(d)では、費用最小化分析の結果、費用増加となりました。
11ページ目のスライドを御覧ください。
分析対象技術/比較対照技術ごとのQALYと費用を示しております。
12ページ目のスライドを御覧ください。
基本分析の結果及び価格調整に係る情報をお示しします。集団(b)(c)においては、価格引上げ条件に該当すると考え、加重平均後の価格調整を実施しています。患者割合は、医師調査に基づき、集団(a)は4.8%、集団(b)は56.7%、集団(c)は27.6%、集団(d)は10.9%と推計しました。
13ページ目のスライドを御覧ください。
最後に、企業分析の結果のまとめです。1点目として、本剤と比較対照技術を比較した臨床試験及びネットワークメタアナリシスの結果、分析集団(b)及び(c)では本剤における追加的有用性が示されました。一方で、集団(a)は効果が劣るため分析不能、集団(d)は追加的有用性が示されていないという結論に至っています。
2点目として、集団(b)及び(c)の基本分析では、ICERがドミナントまたは200万円/QALY未満という良好な費用対効果が示されました。さらに感度分析でも、両集団ともに本剤の費用対効果が良好であるという結果の頑健性が確認されています。
3点目として、集団(d)について、費用最小化分析の結果、費用増加となりました。
企業陳述は以上となります。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の先生方から御質問等ございますでしょうか。
○○○委員
○○先生、1つよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
この製品は週1回ということで、利便性の向上ということで加算がついている製品だと思っていますが、さっき利便性の向上はQOLの値にはいいという話があったと思うのですけれども、なかなか臨床試験の中では条件が決まっているので、週1回だろうが、なかなか臨床的な効果に結びつかないとは思うのですけれども、ただ、利便性が向上することによって治療効果ですとか、アドヒアランスも含むのですけれども、実臨床ではそういうふうにつながるとも考えられるのですけれども、QOL以外で、利便性が向上することによって臨床的な価値がどう上がるかみたいな御意見があれば教えていただきたいのです。
○意見陳述者
御質問いただきましてありがとうございます。今、御質問いただきましたQOLの改善のほかに、本剤における利便性、血糖の改善について御説明をさせていただきたいと思います。
1点目、従来のインスリン製剤が1日1回投与というところで、各インスリン製剤全てにおいて、1日真っすぐに、フラットに引くわけではなく、どこかしらピークですとか、あるいは効果の切れ目というものが存在してまいります。そういった中で、週1回インスリン製剤といいますのは、1週間、効果が継続しておりますので、また、血糖の変動、あるいはインスリンの切れ目というところが1日1回製剤に対して週1回製剤のほうが安定しているというところでございます。
今回、本剤アウィクリ注の臨床試験におきましても、TIRという血糖変動の幅を測定する副次的評価項目がございます。こちらに関しましても、既存製剤、インスリン デグルデクに対してアウィクリ注はTIRの改善が認められておりますし、こちらに関しましても効果があるというところでございます。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
実は、臨床試験ですとどうしても毎日のものでもちゃんと使ってしまうので、むしろ、週1回製剤のメリット、いわゆる差が出にくいのかなと思ったので、実臨床の中でやはり週1回の製剤がどう臨床的にメリットがあるかみたいなもののデータがあるかとか、そういうことを質問したかったのですけれども、なかなか、そういうデータはないという御理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
本分析におきましては、御指摘のとおり、インスリン製剤そのものの週1回製剤と1日1回製剤というところの差につきましては、本剤はまだ発売されたばかりでございますので、なかなかないというところで、代わりに、同じく糖尿病の治療薬でございますGLP-1製剤というものの週1回製剤と1日1回製剤の、実際のそちらを使用している患者様におけるEQ-5Dの値というものを調べて、そちらをモデルに反映させていただいております。
その内容につきましては、お配りしております陳述資料の9枚目のところに詳細を記載させていただいておりまして、こちらは分析の結果、1日1回投与と比較して、週1回投与ではQOL値が増加したというところで、実臨床におきましても、このインスリンの1日1回製剤と週1回製剤というところでQOLに差が見られるのではないかと考えております。
○○○委員
ごめんなさい。QOLではなくて、実臨床のいわゆる血糖コントロールとかインスリンのという意味で質問したのです。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○○○委員
いや、別にないならないで構わないのですけれども、そうすると、追加的有用性をQALYみたいなことに落とし込むのがなかなか難しいのかなと思っただけです。
以上です。
○意見陳述者
ありがとうございます。
HbA1cの結果が直接的に開示されているというものではないのですけれども、実際に注射回数が多いということ自体がインスリン導入における障壁の一つであるといったことに関しては多くの論文で御報告が上がっております。その結果、インスリン導入が遅延することによって適切な血糖マネジメントが得られずに、合併症のリスクが高まるといったところも多くの論文で御報告が上がっております。
これらのことから、今回の分析対象集団でもインスリン治療未治療の患者さんが含まれていますが、週1回のインスリン製剤になることで、今までインスリンの導入が遅れていた患者さん、また、なかなかインスリン治療に踏み切ることができなかった患者さんにおいて、血糖の改善といったところの有効性でも差が出てくるインスリン製剤ではないかと考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
御説明ありがとうございます。
今のところで1点だけお聞きしたいのですけれども、例えば現在実施されていると思われる使用成績調査の中とかで、実際のこの週1回製剤のアドヒアランスに関係するような情報というものはお取りになられているのでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
現在実施中の本剤の製造販売後調査におきまして、投与の状況というものは調査をさせていただいております。ただ、現時点で、残念ながら、PMSのほうから新しいデータがタイミング的に上がってきていないというところで、本日の時点ではお示しできないところを御了承いただければと思います。
○○○委員
分かりました。
今回の週1回製剤を使うことによってアドヒアランスの向上が期待されることが臨床的な効果にどの程度寄与しているかの定量的なエビデンスが今回の分析には直接的には含まれていないと思いますので、市販後調査などで補足的な情報が得られているかを確認させていただきました。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○委員、お願いします。
○○○委員
お願いいたします。
お伺いしたいのですけれども、ONWARDS試験等々で低血糖の発現頻度というものが出ていたかと思うのですけれども、今回の比較対照薬剤に比べて低血糖の頻度がどうかということと、あとはそれがマルコフモデルに低血糖の頻度というものが組み込まれているのかどうかということについてお伺いできればと思います。
○意見陳述者
御質問いただきありがとうございます。
低血糖の頻度としましては、ONWARDS試験で群間での有意な差はございませんでした。そのため、モデルにおきましても低血糖の頻度で差をつけるということはしておりません。
〇〇さん、これでいいのですか。
○意見陳述者
そのとおりでございます。
○意見陳述者 以上になります。
○○○委員
ありがとうございます。
私の調べ方が悪いのかもしれませんけれども、試験の中には低血糖の頻度が高かった試験結果もあったようで、今回、低血糖の重症度とかによって、差がある、差がないところがあろうかと思いますが、もしそういう詳細な情報などを教えていただければ、マルコフモデルに組み込むべきかどうかの妥当性の検討というものがしやすいのかなと思いました。
○意見陳述者
ありがとうございます。補足させていただきます。
先生のおっしゃるとおり、低血糖の頻度が高く出ている試験もございます。特にONWARDS 6試験に関しては1型糖尿病の集団に関して行っているものでございまして、こちらは低血糖の頻度がかなり出ているというところで、添付文書上でも強く推奨されていないようなところになっています。
ただし、先ほどお答えさせていただきましたとおり、マルコフモデルを使った分析対象集団(b)と(c)に関しては、試験の中でも低血糖の頻度は統計的有意差が出ていない、両群で同じぐらいのものというところで示されていますので、ガイドラインにのっとりまして、そこは同一の値を使用したというところでございます。
○○○委員
どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院から、アウィクリ注に係る企業分析についての公的分析のレビュー結果の説明をお願いいたします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。資料ですけれども、費用対費-5-4「インスリン イコデク(アウィクリ)に関する公的分析のレビュー結果」を御参照ください。
1ページ目が、専門組織1で決定された分析枠組みになります。
2ページ目以降、製造販売業者による分析の課題について、論点が6つほどお示しさせていただいております。
3ページ目ですけれども、まず、論点1としまして、分析対象集団の追加的有用性についてです。
製造販売業者は、インスリン イコデクのピボタル試験であるONWARDS試験を用いて追加的有用性の評価を行い、下表のように追加的有用性を整理しています。
しかし、上記の3試験については、HbA1c変化量を主要評価項目とした非劣性試験であり、仮説切替えによって統計的な有意差は示されているものの、その点推定値は小さいものとなっています。HbA1c変化量の統計的な有意差のみではなく、その差が臨床的に重要なものであるか等も踏まえて追加的有用性を評価する必要があるものと考えています。
4ページ目、論点の2番目といたしまして、血糖降下薬の併用割合についてです。
製造販売業者は、薬剤費用の算出に当たって両群でそれぞれ異なる血糖降下薬の併用割合を用いていますけれども、本分析は同一集団を対象として分析するものでありますので、両群で同じ併用割合とすることが適切ではないかと考えております。
5ページ目、論点の3番目ですけれども、低血糖の発現頻度についてです。
製造販売業者は、先ほどもございましたが、低血糖の発現を分析モデル上で考慮しており、評価対象技術と比較対照技術で同じ発現頻度として計算しております。しかし、製造販売業者が分析対象集団(b)の追加的有用性評価に基づいたONWARDS 3試験では比較対照技術に対する低血糖の発現率の比が、26週までの期間では3.12、31週までの期間で1.82であり、インスリン イコデクでは低血糖発現の頻度が多い傾向が見られております。分析モデルにおける低血糖の発現頻度の妥当性について検討を行う必要があると考えてございます。
6ページ目、投与頻度の減少におけるQOLの改善についてです。
製造販売業者は、システマチックレビューの結果から1日1回投与に対して週1回の投与ではQOLが改善するものと主張されています。しかし、特定された文献は毎日の注射と週1回注射について外国人を対象としたビニエット法による調査であり、シナリオで提示されているその内容も含めて妥当性を検討する必要があるものと考えています。
また、分析モデルにおいては、1日1回または週1回のGLP-1受容体作動薬を使用している患者におけるオンライン調査の結果から、投与頻度が減少することによるQOL値の改善を0.026と設定して分析されています。しかし、オンライン調査の結果では1日1回のものと週1回群で回答した患者の背景因子に差異がある可能性もありまして、投与頻度の減少におけるQOLの改善については検討が必要であると考えております。
7ページ目、糖尿病合併症についてです。
製造販売業者は、将来に生じる糖尿病合併症の発生率や費用等を、モデルを用いて検討しています。しかし、既存の疫学データと比較すると、例えば下肢疾患の発症率あるいは眼疾患の医療費等が過剰推計されている可能性があります。したがって、糖尿病合併症の発生率や費用パラメーターについて、妥当性を検討する必要があるものと考えています。
8ページ目、最後の論点ですけれども、後治療へ移行する際のHbA1cの設定についてです。
企業分析モデルでは、治療開始時にHbA1cが下がり、その後は時間とともに上昇していく設定となっており、HbA1cが8.0%まで上昇した時点で後治療に切り替えるという設定となっております。しかし、先行研究における治療切替え時のHbA1cには7.7~9.1%と幅があるものでありまして、このカットオフ値の妥当性について検討する必要があると考えています。
以上から、9ページ目になりますけれども、今後再分析を実施させていただきたいと考えております。
科学院からは以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、今の御説明に対して、委員の方々から御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。失礼します。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をいただきたいと思います。
論点が幾つか御提供されておりましたが、臨床の御専門の先生方がお二人参加されておりますので、最初に、○○先生、御意見いただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
では、分かりやすいといいますか、論点6の最初の8.0%で切替えといいますか、さらにというものは、確かにこの薬は、自分で頻回に打てない人に多く使う傾向があって、そうすると高齢者なのですけれども、高齢者の場合、本当にある程度いろいろ悪くなるのはしようがないかなというものがあって、8.5%ぐらいなのです。がくんと悪くなるといいますか、いろいろな、肺炎が悪くなるとかなので、8.0%というものは低過ぎるかなという気がするので、ちゃんともう一回再検討する必要があるかなと思いました。
あと、先ほど意見陳述に対して、実際に検査値とかでいい面はないかという御質問をされた先生、申し訳ありません。お名前を忘れましたけれども、向こうが言っていたTIRといいますか、このいいレンジに入っている時間が少しよくなるというデータは、臨床的には私もそんな感じがあるかなとは思っているので、そんなに多くの症例に使っていないので、まだ分かります。
それから、そのときに、また企業が言っていた、インスリン注射に対する障壁がなくなって、早く入れる割合が多くなるから全体的によくなるということを言っていましたけれども、逆に医者のほうは、やはりこれは1回に何十単位と打つので、低血糖を起こすのではないかなと、怖いので、医者の側からこの薬を入れるのには障壁があるような点もあるので、そう簡単にインスリンに移行する人が増えるのかなというのは疑問かなと思いました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
ありがとうございます。
幾つも論点が上がっていたかと思います。私からは○○先生のコメントをフォローするような形になるのですけれども、この薬について誰が一番ベネフィットを受けるかというものを我が国で考えたときに、やはり高齢者で、御自身で注射ができていない人たちで、ここに対して、今まで毎日の注射というものが実際できていなかったから、何をもって比べるかというものは非常に難しいのですけれども、そういった人にもしっかり治療ができるようになったという点では極めて有用性の高いものだと思いますので、この製品で実臨床の中で血糖改善がという軸で見たときには、高齢者では非常によくなるということがあるのですが、では実際、シミュレーションに落としていくときに既存のものがそもそも打てないからというので、毎日注射が打てないというので、何をコントロールにしてシミュレーションがされるのかというのが難しいのかなと思っています。
それから、もう一つ、患者さんの障壁が是正できるというところは確かにそうなのかもしれないのですけれども、先ほど○○先生おっしゃられたように、医療者側は結構、これは使い慣れていないインスリンなので、皆さん、こわごわとやっているのと、実際に重症低血糖などが案外起こっていて、それを目の当たりにして、やはり実地医科の先生方は怖くて使えないというところであります。
○○先生がおっしゃられていましたか。いろいろな試験を見られた中で、これは低血糖が毎日注射のものよりは結構出やすいというところで、特に1型糖尿病、今回は解析対象を、十分な解析をされないということを企業はおっしゃられていましたけれども、1型糖尿病に関してはFDAもこれの薬剤を認めていなかったと記憶をしています。それの理由は、やはり毎日、1日1回の注射に比べると圧倒的に低血糖が多くなってしまうので、あまりベネフィットがないというところがありますし、そういう意味では1日頻回注射の方がこういう製剤を使ったときに、低血糖ということを意識した費用対効果分析というものをしないといけないかなと。それで、低血糖は心血管イベントのリスクになりますので、その辺りでむしろ、この製剤は手軽なのだけれども、そういったものを考えると長期的にはあまりよくない可能性というものも十分あるというところではないかなと臨床家の視点からは思っています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今のお二人の臨床の御専門の先生からの御意見を踏まえながら、皆様方から御質問あればと思いますが、では、○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
こういったロングアクティブなもので利便性というものはなかなか費用対効果に反映しにくい議論という面もあって、私もそこは気になるところであったのですけれども、さっき企業の言っている意味が分からなくて、企業へ直接聞いても恥をかいてもと思って、ここで聞くのですけれども、要するに、QOLだと日本の、いわゆるEQ-5Dだと、例えばふだん活動という形の語訳になって、ふだんの活動が問題がないが、増えたら、それはQOLのEQ-5Dに反映して、間接的に利便性というところが反映されれば、それはQOLのEQ-5Dに反映しているので評価するという意味だったのか。あと、満足度とかという話をしたので、満足度は何かなという、そこを科学院さんに教えてほしい。
それから、私は糖尿病の患者さんと一緒に活動すると、皆さんは、1日1回の人は結構、このドラッグダイナミクスといいますか、つまり、AUCが同じであっても、ピークが重要か、トラフが重要かみたいな話で、食事のタイミング等を考えながら結構マネジメントしているように見えたのです。お年寄りが注射を訪問看護に打ってもらうのが楽だという、それはよく分かるのですけれども、そう考えたとき、低血糖が起きる起きないというものは、そういったドラッグダイナミクスといいますか、ピークをどこに持ってくるかとか、全体の血中がAUCにならせば同じかもしれないけれども、それは若い患者さん方は結構マネージするのかなとか、その辺のところは臨床の先生はどう考えているかという、この2点について教えてもらえたらと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、1点目、科学院さん、いかがでしょうか。EQ-5Dの話です。
○国立保健医療科学院
このONWARDS試験の中では、いわゆるEQ-5Dを含めたQOL尺度で測定はされていないようなのですけれども、いわゆる満足度の調査は測定されていて、それについては少し差があるというようなことを聞いております。
○○○委員
いや、そこは満足度で聞いたら、それは差が出るではないのかと思われるので、それは今まで、やはり利便性に近い尺度かなという評価という理解で今回はよろしいですか。
○国立保健医療科学院
はい。満足度が変わっても、健康アウトカムにどのような影響があるかというものは不明ですので、その点は慎重に考える必要があるのかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、2点目、先生方、お二人いらっしゃいますか。今のドラッグダイナミクスとかAUCに関して、先生方の御解釈というものはいかがでしょうか。
○○先生、いかがですか。
○○○委員
ありがとうございます。
これは週1回の製剤として初めて出てきて、まだまだ改良の余地があるのですが、その一つは、注射して1日目、2日目ぐらいは若干、狙っているところよりも血中濃度が上がってしまって、むしろ、5日目、6日目の辺りで狙っているところよりも減ってしまうというものがありますので、低血糖という観点からすると、やはり打って数日のところがリスクになってしまうというところがあります。
高齢者は、先ほど○○先生がおっしゃっていただいた、低血糖リスクを回避しつつ、感染症とかのリスクを下げるという点では、HbA1cで言うと8.0~8.5%ぐらいまで許容しているのですけれども、若い人はむしろ、結構タイトにマネージしに行きたくて、そうなると、やはりしっかりインスリンを入れていきたいわけですよ。でも、こういった簡便なものでやると、そこまで精緻なマネジメントがしにくいので、むしろ、1日1回のある程度完成し切ったいいインスリンが今はありますので、そういったものを使うことのほうが多くなるのかなと。もちろん、それぞれの患者さんごとでお好みといいますか、そんな毎日打ってまでやりたくないとかとおっしゃられる方もおられるので、それはケース・バイ・ケースかなと思います。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。
自己注射組で、実感と極めて同じ感じなので、よく分かりました。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、よろしいですか。特に何かありますか。
○○○委員
大体、○○先生、○○先生がおっしゃられたとおりだと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。ありがとうございます。
その他の先生方、御意見、御質問ございましたらお願いします。
○○委員、お願いします。
○○○委員
今のお話を聞いていると、科学院が再分析をやることに対して意見はないのですけれども、むしろ、高齢者とか、本来、この人たちが使われるべきものをフォーカスしたような再分析もないと、この製剤のメリットが反映できないのではないかなと思ったので、どうでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
私も気になっていたのですが、年齢の層別化みたいな話は、科学院さん、いかがですか。その点、どんなふうに考えられますか。
○国立保健医療科学院
我々、専門組織1で設定された分析枠組みに従って検討を行っていますので、特に年齢によって層別したような分析というものは、今のところ、検討していないところです。恐らく、年齢によって分析すると、比較対照技術もそもそも無治療であったり、あるいはその他のものになる可能性もあって、なかなか、パラメーターを変えるだけで簡単にできるかどうかというものは、今の段階からだと、もしかしたら難しい可能性もあるかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがですか。
○○○委員
ただ、さっきの先生方のお話だと(b)のインスリン治療がなくて導入された人などは高齢者で今まで使われていなかった人とか、そんな話もあったので、何か工夫すればできるかなと。もしくは、集団の中での高齢者の割合みたいな形でもいいのかなと思いました。
○費用対効果評価専門組織委員長
結果が悪かったら、多分、企業の方々からそういうような御意見も出てくるかなとは思うのですが、現段階では数字がある程度出ているので、一回再分析した後に意見をいただきながらフィージビリティーを見てもいいと思いますが、その辺りについて、科学院さん、いかがですか。
○国立保健医療科学院
御案内のように、糖尿病の分析モデルというものはなかなか医療経済評価の中でもハードルの高いものでありまして、現時点で残り一月、報告書の提出の一月という段階で今から糖尿病のモデルを組み立てて、恐らく比較対照技術についても精緻に検討しないといけないという状況で、短期間で実施するというのはなかなか実務的には難しいのかなとは考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
では、○○先生、お願いします。
○○○委員
すみません。これは個人的な質問で、今のお答えで、そういう新しい解析をやってくださいというわけではなくて、こういったものが出てきた場合に、僕たちは臨床の場で患者さんとか、その家族と話をしていて、いいかというと、やはりこういうものが出てくると、サポートしている家族が週1回の注射でいいわけですので、仕事とかで忙しい人がこの注射のために家で取られる手間とかが結構軽減されるので、そこのコストとか、あと、低血糖が起きたときに、救急外来に連れていく手間とか、救急車の搬送費用とか、そういったものも将来的にこういう費用対効果分析は入っていくのか。今は合併症の観点で費用対効果分析が主にはなされているように2型糖尿病に関しては個人的に感じるのですけれども、今後、その辺りはどんなふうにやっていくのか、もしよかったら教えていただければと思いました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生のお話は、大変重要な御指摘かなと思います。科学院さん、今までの品目の議論も含めながら、サポートされている家族のコストとか、救急みたいな社会的なコストは費用対効果ではどう議論すべきかとか、海外の評価機関でどうされているとか、もし御説明があったらいただきたいと思います。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
○○先生御指摘の、いわゆる社会的な費用あるいは労働生産性の問題については、分析ガイドライン上、提出することも可能ということになっておりまして、そのようなデータを御提出いただくこと、そういうもので状況を反映したデータを御提出いただくことは可能なのかなとは考えています。
ただ、原則としては、やはり公的医療費を勘案する分析というものが標準的な分析となっておりますので、恐らく、その際には例えば訪問看護とか、そういった医療費の軽減分のようなものを考慮していくのかなと考えております。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。大変勉強になりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
有意義な御議論かなと思いました。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
何度もすみません。
先ほどのてんかん薬でもあったのですけれども、新しいモダリティーの薬が、特に高分子のものがどんどん増えている。そうすると、慢性疾患組というものはレジメンがテーラーメード化していくのです。様々な自分たちのライフスタイルに合わせて、様々な新しいモダリティーのものを含めて、テーラーメード化したレジメンになっていって、それを一生涯続けるみたいな行動になるので、急性期治療の費用対効果と相当違う実態というものが現れてくるので、今の枠組みは今の枠組みなのですけれども、今後、そうなるか。
私どものような者でも、昔はそんなに薬は種類が多くないから単純だったのですけれども、やはり高分子化と新モダリティーが増えてくると、個人のライフスタイルに合わせたレジメンというものも増えていって、評価が本当に難しくなるなとは思っているので、そういったこともまた今後、一つの論点になるのかなという、これは感想です。
すみません。失礼します。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。今後のモデルとか枠組みの議論のときにそういった視点も必要だということを含めた、御意見としていただくということかなと思います。
もしよろしかったら、科学院さん、その辺りで何か最近のトレンドで、評価でこんな新しいものが海外の評価機関で出ているとかがあれば伺っておきたいと思います。
○国立保健医療科学院
いや、特に○○先生がおっしゃった点について、申し訳ないのですが、私は勉強不足で、知見等を持ち合わせていないのですけれども、恐らくそういう個人で、テーラーメードで合わせていくことの便益・メリットをどのように考えていくかというものは恐らく、今後重要になってくるのかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他、先生方、いかがでしょうか。
そうすると、論点をたくさん御提示いただいておりますが、基本的にはその論点をしっかりと評価をしてほしいというものが、今、先生方の御意見であったかなとは思っております。そういう前提で議決に入らせていただきたいと思います。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いできますでしょうか。
(○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきまして、決定された分析枠組みに沿って分析がなされているということで、こちらはよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
次に、企業の分析データ等の科学的妥当性は妥当でないと考えられる部分があるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
最後に、公的分析によるレビュー実施により再分析を実施するという結果の妥当性はおおむね妥当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析において御提示された6つの論点を中心に再分析を実施していただくことといたします。
こちらは、これでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございま
それでは、次に、アウィクリ注に係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について、企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本品目に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、アウィクリ注に係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。
○意見陳述者
承知いたしました。お時間をいただきありがとうございます。意見陳述者でございます。本日はアウィクリ注の企業分析概要について御説明いたします。よろしくお願い申し上げます。
2ページ目と書かれたスライドを御覧ください。
本日の内容は、こちらの3点になります。1つ目は、本剤の特徴や臨床的位置づけ。2つ目は、企業分析の概要と結果。3つ目は、価格調整に関する事項でございます。
3ページ目のスライドを御覧ください。
評価対象技術であるアウィクリ注の概要をお示しします。インスリン療法が適応となる糖尿病に対して、1週間に1回の皮下注射です。比較薬と比べて注射頻度が少なく、患者負担の軽減が期待されることから、有用性加算5%が適用されております。
4ページ目のスライドを御覧ください。
本剤の特徴・臨床的位置づけについてお示しします。本剤は、世界初の週1回投与のインスリン製剤です。臨床試験では、1日1回投与の持効型インスリン群と比較して治療満足度スコアが統計的に有意に高い結果が得られました。また、血糖コントロールにおいても優越性が示されました。審査報告書では、週1回投与の本剤は新たな治療選択肢になり得ると評価されています。
5ページ目のスライドを御覧ください。
本剤の費用対効果評価における分析枠組みと、各分析対象集団における追加的有用性の判断について御説明します。専門組織で合意された分析枠組みに従い、患者背景や治療歴に応じた4つの分析対象集団と比較対照技術が選定されました。なお、これらは先行する他国の医療技術評価機関での評価における分析対象集団と比較対照技術の設定とは異なるものとなります。
まず、集団(a)は1型糖尿病患者です。本剤の臨床試験では、HbA1cのベースラインから26週までの変化量について、本剤は対照群に比べ点推定値で劣っていたものの、統計的に有意な差は示されませんでした。一方、52週までの変化量を確認すると、本剤は対照群に比べ統計的に有意に劣る結果となりました。追加的有用性は効果が劣ると判断し、費用対効果分析は実施しませんでした。
次に、集団(b)は、2型糖尿病患者のうち、インスリン療法の治療歴がない患者であり、集団(c)は、2型糖尿病患者のうち、基礎インスリン療法の治療歴がある患者です。各集団における本剤の臨床試験では、HbA1cのベースラインから26週までの変化量について、1日1回投与の持効型インスリンに対する本剤の優越性が示されました。追加的有用性は示され、費用対効果分析を実施しました。なお、インスリン グラルギンU300とインスリン デグルデクの有効性及び安全性は両剤で同等であると分析枠組み協議時に合意されたことから、本剤とインスリン デグルデクの直接比較を行った臨床試験を用いて、追加的有用性を評価しております。
最後に、集団(d)は、2型糖尿病のうち、基礎-追加インスリン療法の治療歴がある患者です。ネットワークメタアナリシスを用いて、HbA1cのベースラインから26週までの変化量や低血糖頻度を比較しましたが、両群間で統計的に有意な差はありませんでした。追加的有用性は示されていないと判断され、費用最小化分析を実施しました。
6枚目のスライドを御覧ください。
分析集団(b)と(c)における分析は、マルコフモデルを用いました。このモデルは、日本人2型糖尿病患者に最適化された合併症予測アルゴリズムを基に構築されております。分析期間は一生涯、1サイクルは1年で、QOLや費用は日本人データを用いて推計しています。費用分析には市販のレセプトデータベースを活用し、全年齢層の糖尿病患者をカバーしています。
7ページ目のスライドを御覧ください。
分析モデルの構造をお示しします。本モデルでは、患者のベースライン情報を基に、治療経過やバイオマーカーの変化、有害事象の発生を追跡します。リスク方程式により、糖尿病に起因する細小血管障害、大血管障害、死亡の発生を予測し、状態ごとに臨床アウトカムと費用対効果アウトカムを算出します。各健康状態に存在する患者割合を1年ごとに推計し、各イベントに相当する費用やQALYを累計し、総費用及び総QALYを算出しました。
8ページ目のスライドを御覧ください。
分析モデルのICERに影響する主な要素は、HbA1cの改善、eGFRやBMIの変化、そして、QOLです。QOLについて、1枚前のスライドで御説明した、健康状態に依存するQOLに加えまして、複数の臨床試験や患者調査で一貫して示されている週1回投与と1日1回投与の間でのQOLの違いをモデルに反映しました。本剤の臨床試験では、週1回投与群の治療満足度スコアが1日1回投与群よりも有意に高い結果となりました。また、先行研究やシステマチックレビューでも、注射頻度が少ないほどQOL値が高いことが報告されております。この点について、次のスライドで御説明します。
日本人2型糖尿病患者を対象とした調査でも、週1回投与患者のEQ-5D-5L値が1日1回投与患者よりも高いことが確認されており、審査報告書では、治療負担軽減の観点から高く評価されております。
9ページ目のスライドを御覧ください。
投与頻度とQOLの関係について、システマチックレビューを実施しました。その結果、1日1回投与と比較して、週1回投与ではQOL値が増加することが抽出された全ての研究で一貫して示されました。特に、Boyeらの研究をはじめとした複数の研究では、週1回投与が統計的に有意に優れた結果を示しています。本分析におけるQOL解析においても、これらの先行研究と同様のQOLの差が確認されました。
10ページ目のスライドを御覧ください。
基本分析の結果について御説明いたします。集団(a)において、効果が劣ると判断されたため、分析不能となりました。集団(b)において、基本分析の結果、ICERはドミナントという結果でした。感度分析を通して、結果の頑健性が示されています。
集団(c)において、基本分析の結果、ICERは167万円/QALYという結果でした。感度分析を通して、結果の頑健性が示されています。集団(d)では、費用最小化分析の結果、費用増加となりました。
11ページ目のスライドを御覧ください。
分析対象技術/比較対照技術ごとのQALYと費用を示しております。
12ページ目のスライドを御覧ください。
基本分析の結果及び価格調整に係る情報をお示しします。集団(b)(c)においては、価格引上げ条件に該当すると考え、加重平均後の価格調整を実施しています。患者割合は、医師調査に基づき、集団(a)は4.8%、集団(b)は56.7%、集団(c)は27.6%、集団(d)は10.9%と推計しました。
13ページ目のスライドを御覧ください。
最後に、企業分析の結果のまとめです。1点目として、本剤と比較対照技術を比較した臨床試験及びネットワークメタアナリシスの結果、分析集団(b)及び(c)では本剤における追加的有用性が示されました。一方で、集団(a)は効果が劣るため分析不能、集団(d)は追加的有用性が示されていないという結論に至っています。
2点目として、集団(b)及び(c)の基本分析では、ICERがドミナントまたは200万円/QALY未満という良好な費用対効果が示されました。さらに感度分析でも、両集団ともに本剤の費用対効果が良好であるという結果の頑健性が確認されています。
3点目として、集団(d)について、費用最小化分析の結果、費用増加となりました。
企業陳述は以上となります。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の先生方から御質問等ございますでしょうか。
○○○委員
○○先生、1つよろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
この製品は週1回ということで、利便性の向上ということで加算がついている製品だと思っていますが、さっき利便性の向上はQOLの値にはいいという話があったと思うのですけれども、なかなか臨床試験の中では条件が決まっているので、週1回だろうが、なかなか臨床的な効果に結びつかないとは思うのですけれども、ただ、利便性が向上することによって治療効果ですとか、アドヒアランスも含むのですけれども、実臨床ではそういうふうにつながるとも考えられるのですけれども、QOL以外で、利便性が向上することによって臨床的な価値がどう上がるかみたいな御意見があれば教えていただきたいのです。
○意見陳述者
御質問いただきましてありがとうございます。今、御質問いただきましたQOLの改善のほかに、本剤における利便性、血糖の改善について御説明をさせていただきたいと思います。
1点目、従来のインスリン製剤が1日1回投与というところで、各インスリン製剤全てにおいて、1日真っすぐに、フラットに引くわけではなく、どこかしらピークですとか、あるいは効果の切れ目というものが存在してまいります。そういった中で、週1回インスリン製剤といいますのは、1週間、効果が継続しておりますので、また、血糖の変動、あるいはインスリンの切れ目というところが1日1回製剤に対して週1回製剤のほうが安定しているというところでございます。
今回、本剤アウィクリ注の臨床試験におきましても、TIRという血糖変動の幅を測定する副次的評価項目がございます。こちらに関しましても、既存製剤、インスリン デグルデクに対してアウィクリ注はTIRの改善が認められておりますし、こちらに関しましても効果があるというところでございます。
○○○委員
分かりました。ありがとうございます。
実は、臨床試験ですとどうしても毎日のものでもちゃんと使ってしまうので、むしろ、週1回製剤のメリット、いわゆる差が出にくいのかなと思ったので、実臨床の中でやはり週1回の製剤がどう臨床的にメリットがあるかみたいなもののデータがあるかとか、そういうことを質問したかったのですけれども、なかなか、そういうデータはないという御理解でよろしいでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
本分析におきましては、御指摘のとおり、インスリン製剤そのものの週1回製剤と1日1回製剤というところの差につきましては、本剤はまだ発売されたばかりでございますので、なかなかないというところで、代わりに、同じく糖尿病の治療薬でございますGLP-1製剤というものの週1回製剤と1日1回製剤の、実際のそちらを使用している患者様におけるEQ-5Dの値というものを調べて、そちらをモデルに反映させていただいております。
その内容につきましては、お配りしております陳述資料の9枚目のところに詳細を記載させていただいておりまして、こちらは分析の結果、1日1回投与と比較して、週1回投与ではQOL値が増加したというところで、実臨床におきましても、このインスリンの1日1回製剤と週1回製剤というところでQOLに差が見られるのではないかと考えております。
○○○委員
ごめんなさい。QOLではなくて、実臨床のいわゆる血糖コントロールとかインスリンのという意味で質問したのです。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○○○委員
いや、別にないならないで構わないのですけれども、そうすると、追加的有用性をQALYみたいなことに落とし込むのがなかなか難しいのかなと思っただけです。
以上です。
○意見陳述者
ありがとうございます。
HbA1cの結果が直接的に開示されているというものではないのですけれども、実際に注射回数が多いということ自体がインスリン導入における障壁の一つであるといったことに関しては多くの論文で御報告が上がっております。その結果、インスリン導入が遅延することによって適切な血糖マネジメントが得られずに、合併症のリスクが高まるといったところも多くの論文で御報告が上がっております。
これらのことから、今回の分析対象集団でもインスリン治療未治療の患者さんが含まれていますが、週1回のインスリン製剤になることで、今までインスリンの導入が遅れていた患者さん、また、なかなかインスリン治療に踏み切ることができなかった患者さんにおいて、血糖の改善といったところの有効性でも差が出てくるインスリン製剤ではないかと考えております。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
御説明ありがとうございます。
今のところで1点だけお聞きしたいのですけれども、例えば現在実施されていると思われる使用成績調査の中とかで、実際のこの週1回製剤のアドヒアランスに関係するような情報というものはお取りになられているのでしょうか。
○意見陳述者
ありがとうございます。
現在実施中の本剤の製造販売後調査におきまして、投与の状況というものは調査をさせていただいております。ただ、現時点で、残念ながら、PMSのほうから新しいデータがタイミング的に上がってきていないというところで、本日の時点ではお示しできないところを御了承いただければと思います。
○○○委員
分かりました。
今回の週1回製剤を使うことによってアドヒアランスの向上が期待されることが臨床的な効果にどの程度寄与しているかの定量的なエビデンスが今回の分析には直接的には含まれていないと思いますので、市販後調査などで補足的な情報が得られているかを確認させていただきました。
○意見陳述者
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○委員、お願いします。
○○○委員
お願いいたします。
お伺いしたいのですけれども、ONWARDS試験等々で低血糖の発現頻度というものが出ていたかと思うのですけれども、今回の比較対照薬剤に比べて低血糖の頻度がどうかということと、あとはそれがマルコフモデルに低血糖の頻度というものが組み込まれているのかどうかということについてお伺いできればと思います。
○意見陳述者
御質問いただきありがとうございます。
低血糖の頻度としましては、ONWARDS試験で群間での有意な差はございませんでした。そのため、モデルにおきましても低血糖の頻度で差をつけるということはしておりません。
〇〇さん、これでいいのですか。
○意見陳述者
そのとおりでございます。
○意見陳述者 以上になります。
○○○委員
ありがとうございます。
私の調べ方が悪いのかもしれませんけれども、試験の中には低血糖の頻度が高かった試験結果もあったようで、今回、低血糖の重症度とかによって、差がある、差がないところがあろうかと思いますが、もしそういう詳細な情報などを教えていただければ、マルコフモデルに組み込むべきかどうかの妥当性の検討というものがしやすいのかなと思いました。
○意見陳述者
ありがとうございます。補足させていただきます。
先生のおっしゃるとおり、低血糖の頻度が高く出ている試験もございます。特にONWARDS 6試験に関しては1型糖尿病の集団に関して行っているものでございまして、こちらは低血糖の頻度がかなり出ているというところで、添付文書上でも強く推奨されていないようなところになっています。
ただし、先ほどお答えさせていただきましたとおり、マルコフモデルを使った分析対象集団(b)と(c)に関しては、試験の中でも低血糖の頻度は統計的有意差が出ていない、両群で同じぐらいのものというところで示されていますので、ガイドラインにのっとりまして、そこは同一の値を使用したというところでございます。
○○○委員
どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院から、アウィクリ注に係る企業分析についての公的分析のレビュー結果の説明をお願いいたします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。資料ですけれども、費用対費-5-4「インスリン イコデク(アウィクリ)に関する公的分析のレビュー結果」を御参照ください。
1ページ目が、専門組織1で決定された分析枠組みになります。
2ページ目以降、製造販売業者による分析の課題について、論点が6つほどお示しさせていただいております。
3ページ目ですけれども、まず、論点1としまして、分析対象集団の追加的有用性についてです。
製造販売業者は、インスリン イコデクのピボタル試験であるONWARDS試験を用いて追加的有用性の評価を行い、下表のように追加的有用性を整理しています。
しかし、上記の3試験については、HbA1c変化量を主要評価項目とした非劣性試験であり、仮説切替えによって統計的な有意差は示されているものの、その点推定値は小さいものとなっています。HbA1c変化量の統計的な有意差のみではなく、その差が臨床的に重要なものであるか等も踏まえて追加的有用性を評価する必要があるものと考えています。
4ページ目、論点の2番目といたしまして、血糖降下薬の併用割合についてです。
製造販売業者は、薬剤費用の算出に当たって両群でそれぞれ異なる血糖降下薬の併用割合を用いていますけれども、本分析は同一集団を対象として分析するものでありますので、両群で同じ併用割合とすることが適切ではないかと考えております。
5ページ目、論点の3番目ですけれども、低血糖の発現頻度についてです。
製造販売業者は、先ほどもございましたが、低血糖の発現を分析モデル上で考慮しており、評価対象技術と比較対照技術で同じ発現頻度として計算しております。しかし、製造販売業者が分析対象集団(b)の追加的有用性評価に基づいたONWARDS 3試験では比較対照技術に対する低血糖の発現率の比が、26週までの期間では3.12、31週までの期間で1.82であり、インスリン イコデクでは低血糖発現の頻度が多い傾向が見られております。分析モデルにおける低血糖の発現頻度の妥当性について検討を行う必要があると考えてございます。
6ページ目、投与頻度の減少におけるQOLの改善についてです。
製造販売業者は、システマチックレビューの結果から1日1回投与に対して週1回の投与ではQOLが改善するものと主張されています。しかし、特定された文献は毎日の注射と週1回注射について外国人を対象としたビニエット法による調査であり、シナリオで提示されているその内容も含めて妥当性を検討する必要があるものと考えています。
また、分析モデルにおいては、1日1回または週1回のGLP-1受容体作動薬を使用している患者におけるオンライン調査の結果から、投与頻度が減少することによるQOL値の改善を0.026と設定して分析されています。しかし、オンライン調査の結果では1日1回のものと週1回群で回答した患者の背景因子に差異がある可能性もありまして、投与頻度の減少におけるQOLの改善については検討が必要であると考えております。
7ページ目、糖尿病合併症についてです。
製造販売業者は、将来に生じる糖尿病合併症の発生率や費用等を、モデルを用いて検討しています。しかし、既存の疫学データと比較すると、例えば下肢疾患の発症率あるいは眼疾患の医療費等が過剰推計されている可能性があります。したがって、糖尿病合併症の発生率や費用パラメーターについて、妥当性を検討する必要があるものと考えています。
8ページ目、最後の論点ですけれども、後治療へ移行する際のHbA1cの設定についてです。
企業分析モデルでは、治療開始時にHbA1cが下がり、その後は時間とともに上昇していく設定となっており、HbA1cが8.0%まで上昇した時点で後治療に切り替えるという設定となっております。しかし、先行研究における治療切替え時のHbA1cには7.7~9.1%と幅があるものでありまして、このカットオフ値の妥当性について検討する必要があると考えています。
以上から、9ページ目になりますけれども、今後再分析を実施させていただきたいと考えております。
科学院からは以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、今の御説明に対して、委員の方々から御質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。失礼します。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をいただきたいと思います。
論点が幾つか御提供されておりましたが、臨床の御専門の先生方がお二人参加されておりますので、最初に、○○先生、御意見いただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
では、分かりやすいといいますか、論点6の最初の8.0%で切替えといいますか、さらにというものは、確かにこの薬は、自分で頻回に打てない人に多く使う傾向があって、そうすると高齢者なのですけれども、高齢者の場合、本当にある程度いろいろ悪くなるのはしようがないかなというものがあって、8.5%ぐらいなのです。がくんと悪くなるといいますか、いろいろな、肺炎が悪くなるとかなので、8.0%というものは低過ぎるかなという気がするので、ちゃんともう一回再検討する必要があるかなと思いました。
あと、先ほど意見陳述に対して、実際に検査値とかでいい面はないかという御質問をされた先生、申し訳ありません。お名前を忘れましたけれども、向こうが言っていたTIRといいますか、このいいレンジに入っている時間が少しよくなるというデータは、臨床的には私もそんな感じがあるかなとは思っているので、そんなに多くの症例に使っていないので、まだ分かります。
それから、そのときに、また企業が言っていた、インスリン注射に対する障壁がなくなって、早く入れる割合が多くなるから全体的によくなるということを言っていましたけれども、逆に医者のほうは、やはりこれは1回に何十単位と打つので、低血糖を起こすのではないかなと、怖いので、医者の側からこの薬を入れるのには障壁があるような点もあるので、そう簡単にインスリンに移行する人が増えるのかなというのは疑問かなと思いました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
ありがとうございます。
幾つも論点が上がっていたかと思います。私からは○○先生のコメントをフォローするような形になるのですけれども、この薬について誰が一番ベネフィットを受けるかというものを我が国で考えたときに、やはり高齢者で、御自身で注射ができていない人たちで、ここに対して、今まで毎日の注射というものが実際できていなかったから、何をもって比べるかというものは非常に難しいのですけれども、そういった人にもしっかり治療ができるようになったという点では極めて有用性の高いものだと思いますので、この製品で実臨床の中で血糖改善がという軸で見たときには、高齢者では非常によくなるということがあるのですが、では実際、シミュレーションに落としていくときに既存のものがそもそも打てないからというので、毎日注射が打てないというので、何をコントロールにしてシミュレーションがされるのかというのが難しいのかなと思っています。
それから、もう一つ、患者さんの障壁が是正できるというところは確かにそうなのかもしれないのですけれども、先ほど○○先生おっしゃられたように、医療者側は結構、これは使い慣れていないインスリンなので、皆さん、こわごわとやっているのと、実際に重症低血糖などが案外起こっていて、それを目の当たりにして、やはり実地医科の先生方は怖くて使えないというところであります。
○○先生がおっしゃられていましたか。いろいろな試験を見られた中で、これは低血糖が毎日注射のものよりは結構出やすいというところで、特に1型糖尿病、今回は解析対象を、十分な解析をされないということを企業はおっしゃられていましたけれども、1型糖尿病に関してはFDAもこれの薬剤を認めていなかったと記憶をしています。それの理由は、やはり毎日、1日1回の注射に比べると圧倒的に低血糖が多くなってしまうので、あまりベネフィットがないというところがありますし、そういう意味では1日頻回注射の方がこういう製剤を使ったときに、低血糖ということを意識した費用対効果分析というものをしないといけないかなと。それで、低血糖は心血管イベントのリスクになりますので、その辺りでむしろ、この製剤は手軽なのだけれども、そういったものを考えると長期的にはあまりよくない可能性というものも十分あるというところではないかなと臨床家の視点からは思っています。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今のお二人の臨床の御専門の先生からの御意見を踏まえながら、皆様方から御質問あればと思いますが、では、○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
こういったロングアクティブなもので利便性というものはなかなか費用対効果に反映しにくい議論という面もあって、私もそこは気になるところであったのですけれども、さっき企業の言っている意味が分からなくて、企業へ直接聞いても恥をかいてもと思って、ここで聞くのですけれども、要するに、QOLだと日本の、いわゆるEQ-5Dだと、例えばふだん活動という形の語訳になって、ふだんの活動が問題がないが、増えたら、それはQOLのEQ-5Dに反映して、間接的に利便性というところが反映されれば、それはQOLのEQ-5Dに反映しているので評価するという意味だったのか。あと、満足度とかという話をしたので、満足度は何かなという、そこを科学院さんに教えてほしい。
それから、私は糖尿病の患者さんと一緒に活動すると、皆さんは、1日1回の人は結構、このドラッグダイナミクスといいますか、つまり、AUCが同じであっても、ピークが重要か、トラフが重要かみたいな話で、食事のタイミング等を考えながら結構マネジメントしているように見えたのです。お年寄りが注射を訪問看護に打ってもらうのが楽だという、それはよく分かるのですけれども、そう考えたとき、低血糖が起きる起きないというものは、そういったドラッグダイナミクスといいますか、ピークをどこに持ってくるかとか、全体の血中がAUCにならせば同じかもしれないけれども、それは若い患者さん方は結構マネージするのかなとか、その辺のところは臨床の先生はどう考えているかという、この2点について教えてもらえたらと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、1点目、科学院さん、いかがでしょうか。EQ-5Dの話です。
○国立保健医療科学院
このONWARDS試験の中では、いわゆるEQ-5Dを含めたQOL尺度で測定はされていないようなのですけれども、いわゆる満足度の調査は測定されていて、それについては少し差があるというようなことを聞いております。
○○○委員
いや、そこは満足度で聞いたら、それは差が出るではないのかと思われるので、それは今まで、やはり利便性に近い尺度かなという評価という理解で今回はよろしいですか。
○国立保健医療科学院
はい。満足度が変わっても、健康アウトカムにどのような影響があるかというものは不明ですので、その点は慎重に考える必要があるのかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、2点目、先生方、お二人いらっしゃいますか。今のドラッグダイナミクスとかAUCに関して、先生方の御解釈というものはいかがでしょうか。
○○先生、いかがですか。
○○○委員
ありがとうございます。
これは週1回の製剤として初めて出てきて、まだまだ改良の余地があるのですが、その一つは、注射して1日目、2日目ぐらいは若干、狙っているところよりも血中濃度が上がってしまって、むしろ、5日目、6日目の辺りで狙っているところよりも減ってしまうというものがありますので、低血糖という観点からすると、やはり打って数日のところがリスクになってしまうというところがあります。
高齢者は、先ほど○○先生がおっしゃっていただいた、低血糖リスクを回避しつつ、感染症とかのリスクを下げるという点では、HbA1cで言うと8.0~8.5%ぐらいまで許容しているのですけれども、若い人はむしろ、結構タイトにマネージしに行きたくて、そうなると、やはりしっかりインスリンを入れていきたいわけですよ。でも、こういった簡便なものでやると、そこまで精緻なマネジメントがしにくいので、むしろ、1日1回のある程度完成し切ったいいインスリンが今はありますので、そういったものを使うことのほうが多くなるのかなと。もちろん、それぞれの患者さんごとでお好みといいますか、そんな毎日打ってまでやりたくないとかとおっしゃられる方もおられるので、それはケース・バイ・ケースかなと思います。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。
自己注射組で、実感と極めて同じ感じなので、よく分かりました。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、よろしいですか。特に何かありますか。
○○○委員
大体、○○先生、○○先生がおっしゃられたとおりだと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。ありがとうございます。
その他の先生方、御意見、御質問ございましたらお願いします。
○○委員、お願いします。
○○○委員
今のお話を聞いていると、科学院が再分析をやることに対して意見はないのですけれども、むしろ、高齢者とか、本来、この人たちが使われるべきものをフォーカスしたような再分析もないと、この製剤のメリットが反映できないのではないかなと思ったので、どうでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
私も気になっていたのですが、年齢の層別化みたいな話は、科学院さん、いかがですか。その点、どんなふうに考えられますか。
○国立保健医療科学院
我々、専門組織1で設定された分析枠組みに従って検討を行っていますので、特に年齢によって層別したような分析というものは、今のところ、検討していないところです。恐らく、年齢によって分析すると、比較対照技術もそもそも無治療であったり、あるいはその他のものになる可能性もあって、なかなか、パラメーターを変えるだけで簡単にできるかどうかというものは、今の段階からだと、もしかしたら難しい可能性もあるかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、いかがですか。
○○○委員
ただ、さっきの先生方のお話だと(b)のインスリン治療がなくて導入された人などは高齢者で今まで使われていなかった人とか、そんな話もあったので、何か工夫すればできるかなと。もしくは、集団の中での高齢者の割合みたいな形でもいいのかなと思いました。
○費用対効果評価専門組織委員長
結果が悪かったら、多分、企業の方々からそういうような御意見も出てくるかなとは思うのですが、現段階では数字がある程度出ているので、一回再分析した後に意見をいただきながらフィージビリティーを見てもいいと思いますが、その辺りについて、科学院さん、いかがですか。
○国立保健医療科学院
御案内のように、糖尿病の分析モデルというものはなかなか医療経済評価の中でもハードルの高いものでありまして、現時点で残り一月、報告書の提出の一月という段階で今から糖尿病のモデルを組み立てて、恐らく比較対照技術についても精緻に検討しないといけないという状況で、短期間で実施するというのはなかなか実務的には難しいのかなとは考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
では、○○先生、お願いします。
○○○委員
すみません。これは個人的な質問で、今のお答えで、そういう新しい解析をやってくださいというわけではなくて、こういったものが出てきた場合に、僕たちは臨床の場で患者さんとか、その家族と話をしていて、いいかというと、やはりこういうものが出てくると、サポートしている家族が週1回の注射でいいわけですので、仕事とかで忙しい人がこの注射のために家で取られる手間とかが結構軽減されるので、そこのコストとか、あと、低血糖が起きたときに、救急外来に連れていく手間とか、救急車の搬送費用とか、そういったものも将来的にこういう費用対効果分析は入っていくのか。今は合併症の観点で費用対効果分析が主にはなされているように2型糖尿病に関しては個人的に感じるのですけれども、今後、その辺りはどんなふうにやっていくのか、もしよかったら教えていただければと思いました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生のお話は、大変重要な御指摘かなと思います。科学院さん、今までの品目の議論も含めながら、サポートされている家族のコストとか、救急みたいな社会的なコストは費用対効果ではどう議論すべきかとか、海外の評価機関でどうされているとか、もし御説明があったらいただきたいと思います。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
○○先生御指摘の、いわゆる社会的な費用あるいは労働生産性の問題については、分析ガイドライン上、提出することも可能ということになっておりまして、そのようなデータを御提出いただくこと、そういうもので状況を反映したデータを御提出いただくことは可能なのかなとは考えています。
ただ、原則としては、やはり公的医療費を勘案する分析というものが標準的な分析となっておりますので、恐らく、その際には例えば訪問看護とか、そういった医療費の軽減分のようなものを考慮していくのかなと考えております。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。大変勉強になりました。
○費用対効果評価専門組織委員長
有意義な御議論かなと思いました。
その他の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
何度もすみません。
先ほどのてんかん薬でもあったのですけれども、新しいモダリティーの薬が、特に高分子のものがどんどん増えている。そうすると、慢性疾患組というものはレジメンがテーラーメード化していくのです。様々な自分たちのライフスタイルに合わせて、様々な新しいモダリティーのものを含めて、テーラーメード化したレジメンになっていって、それを一生涯続けるみたいな行動になるので、急性期治療の費用対効果と相当違う実態というものが現れてくるので、今の枠組みは今の枠組みなのですけれども、今後、そうなるか。
私どものような者でも、昔はそんなに薬は種類が多くないから単純だったのですけれども、やはり高分子化と新モダリティーが増えてくると、個人のライフスタイルに合わせたレジメンというものも増えていって、評価が本当に難しくなるなとは思っているので、そういったこともまた今後、一つの論点になるのかなという、これは感想です。
すみません。失礼します。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。今後のモデルとか枠組みの議論のときにそういった視点も必要だということを含めた、御意見としていただくということかなと思います。
もしよろしかったら、科学院さん、その辺りで何か最近のトレンドで、評価でこんな新しいものが海外の評価機関で出ているとかがあれば伺っておきたいと思います。
○国立保健医療科学院
いや、特に○○先生がおっしゃった点について、申し訳ないのですが、私は勉強不足で、知見等を持ち合わせていないのですけれども、恐らくそういう個人で、テーラーメードで合わせていくことの便益・メリットをどのように考えていくかというものは恐らく、今後重要になってくるのかなと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他、先生方、いかがでしょうか。
そうすると、論点をたくさん御提示いただいておりますが、基本的にはその論点をしっかりと評価をしてほしいというものが、今、先生方の御意見であったかなとは思っております。そういう前提で議決に入らせていただきたいと思います。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いできますでしょうか。
(○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきまして、決定された分析枠組みに沿って分析がなされているということで、こちらはよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
次に、企業の分析データ等の科学的妥当性は妥当でないと考えられる部分があるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
最後に、公的分析によるレビュー実施により再分析を実施するという結果の妥当性はおおむね妥当ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析において御提示された6つの論点を中心に再分析を実施していただくことといたします。
こちらは、これでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございま

