2025年9月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第6回議事録

日時

令和7年9月26日 13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、後藤 温委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、朝野  和典専門委員、岩田 敏専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
梅木医療技術評価推進室長 他

議題

○ パキロビッドバッグに係る分析再開について

議事

〇費用対効果評価専門組織委員長
パキロビッドパックに係る分析再開の要否について、先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。

(事務局より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず、本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、パキロビッドパックの総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。

○意見陳述者
1枚目の資料を御覧ください。
意見陳述の機会を頂戴して、ありがとうございます。意見陳述者の〇〇と申します。陳述時間短縮のため、口頭ではラゲブリオ、パキロビッドと、製品名を用いて陳述いたします。
2枚目を御覧ください。
まず、当スライドから3枚で、先ほどの専門組織Ⅲの陳述内容を振り返ります。
パキロビッドの費用対効果評価において、正式に合意された比較対照技術はラゲブリオです。
我々は、分析ガイドラインを基に両剤のRCTを用いて、かつ当RCTにおけるパキロビッド患者の個票を用いて間接比較をしました。
その結果、パキロビッドは、ラゲブリオ群よりも入院または全原因死亡を有意に減少させたことを示しました。
一方、当方法は、オミクロン株流行期以降、ワクチン接種者という分析対象集団の条件を満たしていないことから、公的分析報告書では、追加的有用性について一定の評価の方向性を出すことは困難であると記載されました。
ここでお伝えしたいのは、先行したラゲブリオが標準治療に対して追加的有用性を示せなかったため、パキロビッドと標準治療のRCTであるPANORAMICを待っているということになっていますが、厳密に申し上げれば、ラゲブリオのPANORAMICとパキロビッドのPANORAMICの間接比較をすることが、追加的有用性の正しい評価方法であることを、ここで強くお伝えしたいと思います。
3枚目を御覧ください。
このPANORAMIC試験の問題は、昨年の専門組織の課題として挙げられており、意見陳述者は企業分析提出から専門組織Ⅲまでに公表された論文をシステマティックレビューし、1年前の時点で2報のメタアナリシス、2報のシステマティックレビューを特定しました。
上2つの2報のメタアナリシスはRCTではなく、観察研究のメタアナリシスではありますが、パキロビッドは、オミクロン株優勢期、ワクチン接種者を対象とした研究において、ラゲブリオ及び標準治療のどちらに対しても統計的に有意に入院/死亡を減少させることが示されておりました。
4枚目を御覧ください。
それを踏まえて、昨年の陳述資料のまとめとなります。
我々は昨年時点で、PANORAMIC試験を待たずとも、パキロビッドのラゲブリオに対する追加的有用性は評価できると主張をしておりました。
そんな中、専門組織がくだした結論は、PANORAMIC試験を待つということであり、その決断に関しては、ちゃんと思い出しながら、今回御議論をいただきたいと思っております。
企業としては、PANORAMICクラスのRCT及びPANORAMICを待たずして分析を再開することは合意できないということを、ここで強くお伝え申し上げたいと思います。
5枚目を御覧ください。
ここからは、直近の論文検索結果です。昨年の専門組織Ⅲから、先週6月18日までの間にデータベース上で確認された論文を対象とし、パキロビッドもしくは何らかの治療を比較したメタアナリシス、システマティックレビュー、RCT、そして、コホート研究や、ケースコントロール研究等の観察研究を対象として検索しました。
6枚目を御覧ください。
追加の論文検索をすることになったのが、9月9日の事務局との事前打合せであったため、時間がなく、システマティックレビューの立てつけでは実施できませんでした。したがって、あくまでも論文検索と呼んでいます。対象としてはPubMedだけです。
手順は、システマティックレビューに類似させて、TLRとしてスクリーニング、フルテキストスクリーニングを実施しました。
その結果、一番下の10本の論文が特定されました。
ちなみにCOVID-19の喘息患者のみを対象にした試験や入院患者のみを対象にした研究は、赤字で示しているポピュレーションのところで、それぞれ除外しています。
7枚目を御覧ください。
10報のうち、いわゆるエビデンスピラミッドの上位に当たるものとして、ネットワークメタアナリシス1報を含むメタアナリシスが3報該当し、システマティックがゼロ報、RCTがゼロ報でした。
8枚目を御覧ください。
これが組み入れられた3報のメタアナリシス及びネットワークメタアナリシスの概要です。
1番目は、14研究を対象としたパキロビッドのメタアナリシスにおいて、パキロビッドの無治療群に対するリスクレシオは入院で52%、全死亡で84%低いことが示されました。P値は0.092ですが、信頼区間はゼロをまたいでおりません。
論文2番目のネットワークメタアナリシスでは、全薬剤群として39報がネットワークメタアナリシスの対象となり、パキロビッドのハザードレシオは死亡で62%、入院で48%ラゲブリオ群よりも信頼区間はゼロをまたがずに低かったことが示されております。
3番目のメタアナリシスは、パキロビッドは、非抗ウイルス薬群と比較して、死亡と入院の複合アウトカム及び死亡を減少させた可能性が高いが、入院を減少させたという確証度は低かったと結論づけられております。
9枚目を御覧ください。
先ほど10報の論文が該当したと言いましたが、3報がメタアナリシス及びネットワークメタアナリシスで、残りの7報の結果は、こちらです。
こちらの7報の観察研究は、コホート研究もしくはターゲット・トライアル・エミュレーションが該当しております。
比較対照群の分類としては、2報が他の抗ウイルス薬、5報が無治療群となっております。こちらは、観察研究ですので、参考情報として後で御覧いただければと思います。
10枚目、最後のスライドです。
冒頭でもお伝えしたように、我々は昨年時点でPANORAMIC試験を待たずともパキロビッドはラゲブリオに対する追加的有用性を評価できると主張をいたしました。
これも繰り返しになりますが、やはりラゲブリオのPANORAMIC試験とパキロビッドのPANORAMIC試験を比較しないことには、追加的有用性の評価はできないと考えていて、たとえパキロビッドのPANORAMIC単体でも評価は難しいと考えております。
昨年、専門組織にくだしていただきましたPANORAMIC試験を、こういったデータがある中で待つという決断を再度思い出していただいて御議論いただきたいと思います。
改めて、PANORAMICクラスのRCTを待たずして、分析を再開することは、企業としては同意できないということをお伝えしたいと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。
よろしいですか。それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

○意見陳述者
ありがとうございました。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析についての御意見がございましたので、科学院から何か御意見があれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。我々からは、特にコメントはありません。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目の分析再開について御議論をお願いしたいと思います。
論点は、分析の再開の要否と分析の期間についてということになりますが、いかがでしょうか。
御専門の○○先生、いかがでしょうか、御意見をいただければと思いますが。

○○○委員
どうもありがとうございます。
この分析に関してというよりは、臨床的立場からということでコメントを書かせていただいておりますように、今、インフルエンザは、私たち臨床をやるときに、どういう治療をするか、どのような適用を考えるかというと、ほかの類似するような感染症と比べて、この疾患は重篤なのか、重症化しやすいとか、死亡率が高いとか、そういうものを一応頭の中に入れて、これは、もう使わざるを得ない、命を助けるためにはやらないといけないという判断を大体臨床の現場ではやっておりまして、そういう意味でいうと、まず、私たちは季節性インフルエンザと比べてどうかということを、まず、念頭に置いて治療選択をやっております。
これは、個人的な意見でも構わないのですけれども、その場合、データが全く日本にはありませんで、海外のデータ、特にアメリカでは、これを経時的に見ていったという論文がございまして、これは退役軍人省の高齢者の男性を中心とするコホート研究ということになるわけですけれども、それを見てみますと、オミクロン株になってから、かなりインフルエンザと予後が変わらない方向に、少しずつインフルエンザの重症化、死亡/入院ということとの比較をいたしますと、インフルエンザにかなり近づいてきているというのが、2022年、2023年までのシーズンのデータでありました。
大体、今、ここに書かせていただいたように、65%から、さらに35%と、つまり死亡率が35%まで近づいてきた、1.35倍になったということなのですけれども、最初、オミクロンの前は、死亡率が5倍近くあったのです。それに比べると、1.35倍ぐらいになった。
それで、今年の2024、2025シーズンのインフルエンザとの比較を待っていたのです。つい先日、そのデータがJAMA Openのほうで公表されまして、そうしますと、今回アメリカでも、日本でもそうだったのですけれども、インフルエンザが急激に増加したのですね。日本も今までにないぐらいピークが高くなったのですけれども、その結果を見ると、退役軍人省のコホートでは、今年ようやくインフルエンザが、死亡率、入院率、重症化率が逆転してしまったという報告があって、もちろん日本においては、インフルエンザというのはすぐに治療します。タミフル等で治療をするということで、日本と全く同じ状況ではないのですけれども、アメリカでは、特にタミフルとかは使わないので、純粋に疾患だけの病原性と比べると、かなり近づいてきたなということになります。
御存じのようにタミフルは、薬価1回のワンクールで2,000円前後、つまり3割で600円ぐらいのタミフルの薬価なので、それに比べてかなり近づいてきた疾患に数万円のお薬を使うという適用が適切かどうかということを判断します。
ということで、かなり絞られた症例に対してしか、これはお勧めできないし、まして御高齢の方で1回の治療、1割だったら1万とか、そのくらいでいけるのですけれども、そのような方に、どのようにこのお薬を勧めるのか、かなり対象を絞って使わないといけないという判断をするというのが現状でございますので、このパキロビッドの信頼性というのは、私は一番あるだろうと思っておりますが、やはり薬価のこと、そして病原性のことを考えると、なかなか簡単には処方できないお薬になっているという現状でございます。
以上でございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
○○です。コメントに書いたとおりで、基本的には、やはりPANORAMIC試験の結果を待つというのが筋かなとは思うのですけれども、予定の1年間を過ぎて、あまり待てないということだったので、再開を始めるということに関しては、事務局案に反対いたしません。
ただ、今、査読にかかっていて、1番目のコメントを返したところというのは、どのぐらいかかるか分からないのですけれども、結果が出たところで、ぜひ、そのデータを参考にいただくようにして、事務局の意見もありましたけれども、再分析を始めて、その結果が出た後に、PANORAMIC試験の結果が出て、それが何か評価に影響するものであれば、もう一度検討するということだったので、そういったことを条件に、事務局案に賛同したいと思っています。
以上でございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今、御意見いただいたものを踏まえて、先生方のほうからコメントはございますでしょうか。
分析の再開については、約束事と言ったら変ですけれども、予定として決めていたものでありますけれども、科学院さん、査読が1回済んで返しているという話ですけれども、やはり先は分からないですね。

○国立保健医療科学院
そうですね、残念ながら査読プロセスの時間については、我々のほうでも分かりかねる状況です。

○費用対効果評価専門組織委員長
おっしゃるとおりですね。さりとて、新興感染のお薬ですので、今、先生方のほうからも御意見があったとおり、臨床上の位置づけが随分変わってきていますので、ある程度早く結果を出すというのも必要なのだろうと思って伺っていました。それらも含めて何か御意見はございますでしょうか。
よろしいですか。では、再開するということについては、先生方に御承認いただくというお話で、次は、分析期間とかについて御意見とかはございますでしょうか。
○○先生のほうから、少し分析期間については配慮したほうがいいという話などもございましたけれども、いかがでしょうか。

○○○委員
先ほどから皆さん、査読のことをおっしゃっているのですけれども、3か月は厳しいかなという気がしていて、ただ、それがタイムリミットですかね。

○費用対効果評価専門組織委員長
3か月という辺りを1つ目安にということですね。

○○○委員
そうですね。やはり査読というと半年ぐらいは見たほうがいいのかなと思ったのですが、タイムリミットがあるでしょうから。

○費用対効果評価専門組織委員長
分析期間については、3か月ということで、○○先生も何かコメントがございましたけれども、よろしいですかね。○○先生はいらっしゃらないかな。
よろしいですか、では、再開するということと、3か月という期間で御対応いただくということで、先生方、御異論なければ、それで進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、議決に入らせていただきますので、○○委員におかれましては、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、パキロビッドパックについて分析再開として決定するということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
また、分析期間については、3か月が妥当であるとすることで、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、以上の分析再開について、中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくということで、こちらもよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。