2024年8月23日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第4回議事録

日時

令和6年8月23日(金)13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、朝野 和典専門委員、岩田 敏専門委員、福田 敬専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○ パキロビッドパックに係る総合的評価について

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
続きまして、パキロビッド・パックについて、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について、先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは、パキロビッド・パックについて、事務局から、説明をお願いいたします。

(事務局・国立保健医療科学院より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
まず、本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者 入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、パキロビッド・パックの総合評価について、御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
始めてください。

○意見陳述者
本日は、陳述の時間をいただきまして、ありがとうございます。意見陳述者、〇〇と申します。
本日は、ラゲブリオに対するパキロビッドの追加的有用性の部分に絞って、陳述いたします。また、陳述時間短縮のため、今日は、口頭では「パキロビッド」や「ラゲブリオ」といった製品名で陳述いたします。
2枚目を御覧ください。分析枠組みと企業分析結果の内容です。分析対象集団として、重症化リスク因子を有するCOVID-19患者、本邦の変異株やワクチンの接種状況を考慮するとなっておりました。比較対照技術は、標準治療ではなく、あくまでラゲブリオです。我々が分析で使用したデータは、まず、RCTを優先するという中医協の分析ガイドラインの推奨にのっとって、パキロビッドとラゲブリオのそれぞれピボタルなRCTを用いて間接比較を実施しました。その結果、パキロビッドはラゲブリオに対して有意に入院・死亡を減少させるという結果が得られ、我々は、パキロビッドはラゲブリオに対して追加的有用性を有すると判断しました。一方で、こちらのRCTはいずれもデルタ期のものですので、分析モデルに挿入するパラメータは、可能な限り、オミクロン期以降、ワクチン接種者が考慮されているデータを使用して分析しました。
3ページを御覧ください。公的分析による評価結果では、追加的有用性は「示されている」でも「示されていない」でもなく、その他という結果でした。具体的には、現時点で追加的有用性について一定の評価の方向性を出すことは困難である、追加的有用性に関する最終的な判断は、症例集積が完了しているパキロビッドのPANORAMIC研究の結果を参照した上での検討が推奨されると記載されておりました。その理由として、2024年4月に公表されたパキロビッドのワクチン接種済み患者を対象に実施された、ラゲブリオではなく、プラセボ比較対照試験であるEPIC-SR試験の結果において、主要評価項目で有意な結果が認められず、かつ、入院・死亡割合についても、点推定値ベースではパキロビッドで改善傾向が認められたものの有意差を認めなかったからとのことでした。ちなみに、このEPIC-SR試験もデルタ期に実施されております。
4枚目を御覧ください。こちらは、EPIC-HR、EPIC-SRの統合解析の結果です。学会発表ですので、参考データ扱いです。当データは、現在、論文公表の準備中であり、本疾患のエビデンスの移り変わりの速さを踏まえて、あえてまだ論文になっていない学会発表データを示しております。恣意的な意図がないことは御承知おきください。①のグラフの箇所は、EPIC-HRにおいて、ベースラインでCOVID-19の血清を有していた患者群、つまり、ワクチン接種と同等とまでは言いませんが、COVID-19に対してある程度免疫を有していた可能性がある集団、②は、EPIC-HRにおいてベースラインでCOVID-19の血清を有していた患者とEPIC-SRにおけるワクチン接種者を統合した国です。この①と②では、標準治療と比較して、パキロビッドは有意に入院・死亡を減少させております。一方、③が、このEPIC-SRの単体の結果、そのままです。EPIC-SRのワクチン接種者のみの解析では、プラセボと比較して有意差は認められませんでしたが、点推定値ではよい傾向にありました。
5枚目を御覧ください。公的分析報告書から抜粋です。公的分析の皆様におかれましては、状況の変化が非常に激しいCOVID-19という非常に特殊な疾患において、この費用対効果評価が非常に難しい中で、可能な限り、本剤に対しての中立な記載を多くしていただいています。心から敬意を表し、公的分析の皆様に御礼申し上げたいと思います。62ページでは、パキロビッドは、デルタ株でも、オミクロン株でも、ウイルスへの活性は同程度ある、よって、デルタ株で有効性が示されているのであれば、オミクロン株でも同様の効果が期待される、しかし、このことは臨床データとしては十分な情報は得られていないと記載いただいています。
6枚目を御覧ください。公的分析の報告書、63ページからの抜粋です。ヘッダーがすぐ下、オレンジに塗った部分、パキロビッドは、オミクロン株流行、ワクチン接種環境下でのエビデンスは乏しいものの、抗ウイルス薬の中では最も有効性に関するエビデンスが集積しており、国際的に評価が高いものになっているということで、公的分析報告書に評価をいただいております。具体的には、パキロビッドはワクチン接種下でも効果が示唆されている、ラゲブリオはワクチン接種下で効果が示されているものはない、パキロビッドとラゲブリオの直接比較試験はないが、世界的には第一選択薬のパキロビッドの推奨度のほうが高く、ラゲブリオは第二選択薬として使用されてきた、重症化リスクを有する患者に推奨しない国も存在する等々、公的分析報告書に記載いただいております。
7枚目を御覧ください。ここからは、企業分析提出後、当専門組織に向けて、追加で補助金にシステマティックレビューを実施しましたので、その内容を紹介します。企業分析提出が12月1日、公的分析結果受領が5月31日、当SRにおけるデータベース検索日が6月10日となっております。企業分析では、RCTを対象にSRを実施しましたが、このCSRでは、パキロビッドを対象にした観察研究を含めて、オミクロン後ワクチン接種者に限定した試験を組み入れて、実施しました。
8枚目を御覧ください。システマティックレビューSRの結果、73報が該当しました。公的分析報告書でも既に言及されているものが多く含まれております。
9枚目を御覧ください。6月10日時点の検索においても、オミクロン株優勢期・ワクチン接種者が対象のパキロビッドのRCTはなく、その代わりに、観察研究を対象にしたメタアナリシスとシステマティックレビューが、それぞれ2報ずつ、該当しました。
10ページ目を御覧ください。上から2つのブルーの部分の試験、論文が、メタアナリシスです。RCTではなく、観察研究のメタアナリシスではありますが、オミクロン株優勢期・ワクチン接種者が対象の研究を組み入れた2つのメタアナリシスにおいて、パキロビッドは、ラゲブリオ及び標準治療と比較して、統計的に有意に入院・死亡のリスクを減少させたことが示されております。
11枚目を御覧ください。こちらは、前ページの一番上の試験、パキロビッドがラゲブリオに対して有意に入院・死亡の減少を示したオミクロン期・ワクチン接種者が対象の観察研究のメタアナリシスの概要です。オミクロン株に感染した患者の死亡率を減少させるという点で、パキロビッドはラゲブリオよりも優れていると結論づけるということがディスカッションに記載されております。
12ページ目を御覧ください。こちらは、当システマティックレビューの結果によって該当した観察研究の結果です。公的分析報告書にもあるように、観察研究単体で評価することは不確実性が生じますので、ここでは、SRの結果として、数だけ示したいと思います。
13枚目を御覧ください。最後のスライドです。本日お伝えしたいことです。当費用対効果評価において、パキロビッドの比較対照がラゲブリオであって、ラゲブリオに対する追加的有用性の有無を判断する必要があると考えております。また、ダイヤの2つ目、パキロビッドは、公的分析の結果において、以下のように、非常によく評価いただいています。例えば、FDAによると、パキロビッドは、デルタでも、オミクロンでも、ウイルスへの活性は同程度であると。パキロビッドは、オミクロン株流行以降、ワクチン接種環境下でのエビデンスは乏しいもの、抗ウイルス薬の中では最も有効性に関するエビデンスが集積していて、国際的に評価が高いものとなっています。ダイヤの3つ目、今お話しした専門組織2以降で実施したSRにおいて、オミクロン株優勢期・ワクチン接種者が対象の研究を組み入れた2報のメタアナリシスを特定しております。それぞれ、モルヌピラビル、ラゲブリオ、標準治療と比較して、パキロビッドは統計的に有意に入院・死亡リスクを減少させることが既に示されております。ダイヤの4つ目、COVID-19を取り巻く状況は刻一刻と変化していて、当費用対効果評価制度ではある1時点におけるエビデンスを用いて評価せざるを得ないため、可能なデータを用いての判断が求められます。ダイヤの5つ目、パキロビッドのPANORAMIC試験の結果が公表されてから再評価することによって薬価の調整が複数回発生することは、臨床現場に混乱をもたらす可能性があると考えております。一番下、結論として、現時点のエビデンスによって、パキロビッドは追加的優勢をラゲブリオに対して有するということを、我々は、本日、主張したいと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
委員の方々から、御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
説明をありがとうございます。
最近のエビデンスのレビューをしていただいて、ありがとうございます。ただ、システマティックレビューとは言っても、中身はほとんどオブザベーショナルスタディということでよろしいわけでしょうか。

○意見陳述者
あのメタアナリシスは4報の研究が組み入れられていますが、オミクロンワクチン以降に限定しますので、全て、観察研究、オブザベーショナルスタディです。RCTも、あの中に入っていません。

○○○委員
仕方のないところですね。了解です。ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は、御退室ください。お疲れさまでした。

(意見陳述者 退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、議論に先立ちまして、企業から、公的分析についての御意見がございましたので、科学院から、何か御意見等はございますでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
科学院からは、特にコメントはありませんので、よろしくお願いいたします。

○費用対効果評価専門組織委員長
了解しました。
それでは、当該品目について、御議論をお願いしたいと思います。なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらが科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
最初に、○○先生と○○先生から御意見をいただきたいのですが、○○先生、お願いしてもよろしいでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。○○でございます。
今日、企業の御意見を伺って、確かに、企業の方の言うことも納得できる面はもちろんあるとは思います。確かに、オミクロン株以降のデータを集めることは非常に大変かなとは思うのですけれども、科学院、公的分析のほうで、データの収集が済んだPANORAMIC試験、RCTの結果を参照した上で検討することとしてもよいのではないかという推奨が出ていますけれども、私としては、そこまで待って最終的に評価してもいいのではないかと思いました。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、お願いできますでしょうか。

○○○委員
私も、今の企業側あるいは科学院の解析、どちらも、今のエビデンスのところで説明できることを全て網羅されていると思っております。ただ、PANORAMIC試験がもう少ししたら分かるということであれば、RCTを優先したいと思いますので、できれば待つべきではないかなということを考えております。現状、パキロビッドを使うことはほぼなくなりまして、専門の先生がたまに使われるぐらいという状況でございます。本当にこの感染症の移り変わりの激しさを考えると、致し方ないのかなと。これは9万9000円いたしますので、なかなか普通の感染症になったときにこれを使うことはないということが現状でございます。ただ、RCTは待ちたいと思います。
以上でございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今のお2人の先生も含めて、他委員の方々の意見書でも、さきほど御意見のあったPANORAMIC試験、RCTの結果を待つほうがいいのではないかという御意見も多数ございました。そこで今回は、待つような形で、専門組織ではまとめていくのがいいのかなと思っております。これに関して、先生方から、御意見はございますでしょうか。特にないようであれば、待つという方向で、その待つ方法というか、条件等について、少し先生方と意見交換をしたいと思います。例えば、期間のみならずデータがもし出てこなかった場合の対応方法も含め何か先生方から御意見や御注文があればとは思っているのですが、いかがでしょうか。
○○委員、いかがですか。先生の御意見書にもそういったお考えが入っていましたけれども、そうであればどういう形で待つとよろしいと思いますでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。
私も、多くの先生のお考えと同じで、待つべきと思います。ただ、これは無期限に待つわけにもいかないので、どこかの時点でと思いますが、一般的に、この研究の解析から論文としての出版、あるいは、日本に特別にデータをいただけるとか、どうなのでしょうか。これまでの経験などではどのくらいの期間でそういうことが見込めるのか。私としては、例えば、1年とか、そのぐらいは待ってよろしいとは思うのですけれども、どのくらいのタイミングで入手できることが想定されるのか。それこそ不確実性がありそうですけれども、何か科学院のほうでその辺りの見通しや見込みはおありなのでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、今までの経緯もありますので、その辺についての御意見をいただけますでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございました。
前回、ラゲブリオの評価のときにPANORAMIC試験を同じように参照させていただきましたけれども、あちらが、患者のラストビジット、登録終了から結果が出るまで、約10か月程度という形でしたので、今回も、1年前後、同程度の期間があれば、およそ、出るものは出ないし、それ以上を超えたら、出ないものは出ないという形になるのではないかなと考えているところです。

○費用対効果評価専門組織委員長
そうすると、1年ぐらいがほぼ適切と考えてよろしいでしょうかね。科学院さん、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
1年お待ちいただければ、十分かなと考えています。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他、先生方から、期間について、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
科学院さんから、心配というか、確認しておいたほうがいい点とか、条件をつけておいたほうがいい点とかはございますか。今までの経験からも含めてですが。

○国立保健医療科学院
我々からは特にないのですけれども、こちらはオックスフォード大学が研究者主導で実施している研究になりますので、必ず出てくるとか、必ず日本人集団に限定した解析ができるということを保障できるものではないので、その点、御留意いただければと考えています。

○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。相手があっての話であるということと理解しました。
先生方から、その他の質問、御希望、要件とかはございますでしょうか。
ないようであれば、待つという方向性で、今いただいた条件を念頭に、まとめさせていただきたいと思います。
先生方のお話を確認させていただくと、PANORAMIC試験の際の患者登録終了後から論文発表までの期間を基に、現時点から1年間待つという整理でよろしいと考えておりますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、そういう形で議決をさせていただきたいと思います。
議決に入る前に、○○委員におかれましては、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員 退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、パキロビッド・パックに関する費用対効果については公的分析による分析結果を基にしつつ、オミクロン株流行下での試験であるPANORAMIC試験の結果を待つことは、科学的妥当性があるという先生方の御意見を踏まえて、最長1年間分析を中断する形として、現在データ解析中の試験であるPANORAMIC試験の結果が入手され次第、公的分析は、速やかに、事務局、及び、委員長に御報告していただいて、直ちに分析を再開するという形でまとめさせていただきますが、先生方、これで御了承していただけますでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。