2023年6月23日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第3回議事録

日時

令和5年6月23日(金)13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、朝野 和典専門委員、岩田 敏専門委員、福田 敬専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○ パキロビッドパックに係る分析枠組みについて

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
パキロビッドパックに係る分析枠組みについて御議論いただきます。
まずは事務局から御説明をお願いいたします。

(事務局より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でパキロビッドパックに係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。

○意見陳述者
意見陳述者の〇〇と申します。
本日は、このような意見陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、パキロビッドパックに関する意見陳述を開始させていただきます。
資料2枚目を御覧ください。
こちらは、本剤の効能または効果及び関連する注意でございます。
本剤の効能・効果はSARS-CoV-2による感染症となっております。関連する諸注意としては、臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する方が投与対象となっております。重症化リスクは、この資料の下のほうに書いてございます。
それでは、3枚目の資料を御覧ください。
こちらは、本剤の用法及び用量を示したスライドです。
通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与するとなっております。
資料の4枚目を御覧ください。
本剤は本邦で特例承認されたものであって、承認時において有効性、安全性、品質に係る情報は限られており、引き続き情報収集中でございます。
スライド5枚目を御覧ください。
こちらは本剤の作用機序でございます。本剤の主成分であるニルマトレルビルがSARS-CoV-2のタンパク質の分解を阻害します。そのことによってウイルスの複製/転写を抑制して、ウイルスの増殖を結果として抑制いたします。リトナビルは抗ウイルス活性を示しませんが、ニルマトレルビルの代謝を阻害することによってニルマトレルビルの血中濃度を上昇させます。
資料6枚目を御覧ください。
このリトナビルの代謝酵素に起因して、このように禁忌の薬剤が幾つか設定されております。こちらは資料を御覧いただければと思います。
7枚目の資料を御覧ください。
ここからは、資料4枚ほどで本剤の臨床成績を示します。
国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験、EPIC-HRと呼ばれる試験でございます。
試験概要としては、18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者対象に、本剤を併用で1日2回5日間投与したときの有効性及び安全性を評価したものでございます。
試験デザインはプラセボ対照、無作為化、二重盲検、並行群間比較試験となっております。
対象は18歳以上のSARS-CoV-2による感染症患者で、中間解析において1,361例のうち日本人が1例、最終的な解析で2,246例のうち日本人が6例含まれております。
主要評価項目としては、無作為化28日目までのSARS-CoV-2による感染症に関連のある入院または理由を問わない死亡のイベントが認められた被験者の割合となっております。
資料8枚目を御覧ください。
ここからは結果です。
中間解析の結果ではございますが、こちらがメインの結果となりまして、本邦の特例承認の申請にも使われております。mITT集団、本剤のイベント発現割合は0.8%、プラセボ群のイベント発現割合は7.0%でございました。その差は、6.317%本剤のほうが少なく、相対減少率は89.1%でございました。
スライド9枚目を御覧ください。
こちらは無作為化された全ての被験者における補足的な解析となっております。同じくmITT集団で本剤のイベント発現割合は0.717%、プラセボ群で6.452%でございます。その差は本剤のほうが5.807%少なく、相対減少率は88.9%とこちらもメインの中間解析と同様の傾向が見られました。
資料10枚目を御覧ください。
こちらは当試験における安全性でございます。
こちらは因果関係を問わない有害事象、いずれかの群で発現頻度1%以上のものを全て示しております。特に注意すべきものとしては、本剤においては、味覚不全5.6%、下痢3.1%が挙げられております。
資料の11枚目を御覧ください。
ここからは、資料を4枚ほど用いまして分析前協議において合意した分析枠組みについてお話ししたいと思います。
分析前協議において合意した分析枠組みの比較対照技術名は、モルヌピラビルでございます。こちらは、当社から分析前協議において提案したものと科学院様から提案いただいたものが同じであって合意しております。
資料の12枚目を御覧ください。
こちらはモルヌピラビルが比較対照技術である理由を示したスライドでございます。
向かって左側のフィギュアは厚労省の新型コロナウイルス感染症診療の手引きより引用しております。
これにおける臨床的位置づけを表にしたものが右上の青いテーブルでございます。御覧のように、患者さんの重症度もしくは重症化するリスクの高い因子を持っているかという整理をしますと、本剤とモルヌピラビルのみが臨床的位置づけが一緒だったということでございます。
下のほうのピンクのテーブルは参考情報ですが、本来の臨床試験における比較対照は先ほど示したとおりプラセボでございますが、本剤の薬価算定における算定比較薬のモルヌピラビルとなっております。
資料13枚目を御覧ください。
こちらは分析前協議において合意した枠組みの分析対象集団でございます。
分析対象集団として、重症化リスク因子を有するSARS-CoV-2による感染症患者(小児を除く)。なお、本邦のSARS-CoV-2変異株流行状況やワクチン接種状況を考慮するという分析対象集団となっております。こちらも科学院様と我々企業のほうで合意したものでございます。
14枚目、最後の資料を御覧ください。
分析前協議において合意していない分析枠組みはございません。
企業からの陳述は以上でございます。御清聴いただきましてありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
説明いただきありがとうございました。
おおむね理解したつもりですが、ワクチン接種状況の考慮というのは具体的にはどういうことなのですか。つまり、ワクチンを接種していたほうが重症化になる方が少ないと。その少ない状況での分析なのですかね。それとも、そもそもワクチンを接種している方としていない方、もちろん打ってからの時期にもよると思いますけれども、臨床試験の中でワクチンの接種の時期によって効果が違うようなことが分かっていて、それを当てはめるのかとか、このワクチン接種の状況はどのように考慮されるのかというのがもし決まっていたら教えていただけないでしょうか。

○意見陳述者
おっしゃられるとおりで、ワクチンを接種されている方は、入院する割合ですとか重症化する割合が低いということが知られているかと思います。分析においてワクチンの接種状況を考慮するとは、そもそも本剤は重症化や死亡を抑制する効果が認められております。ただ、母集団のポピュレーションがどれぐらい入院しやすいか、あと、死亡しやすいかという状況は違うかと思います。なので、ワクチン接種状況を考慮するとは、そもそも本剤が投与されていない方の重症化率ですとか、死亡率を下げたポピュレーションに対して本剤の効果を当てはめて分析すると理解しています。

○○○委員
分かりました。
そうすると、一般的にワクチンが適切に打たれていれば、本剤の重症化抑制の効果が低めに出る。つまり、費用対効果は保守的な傾向に傾くというか理解でよろしいですか。

○意見陳述者
そのとおりだと思います。

○○○委員
分かりました。ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

○意見陳述者
ありがとうございました。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、パキロビッドパックに係る分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。先ほどの品目と同じような議論になろうかとは思いますけれども、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
先ほどの品目とかなり共通で分析できるところもあるように思うのですけれども、モデルなど、先ほどの品目とある程度整合といいますか、少し調整しながら行っていくような形になるのでしょうか。公的分析に関してのことですけれども、例えば費用などは同じデータを使うとか、逆に違うものを使うと結果が不整合になったりすることもあるので、きっと同じものを使うのかなと思いますが、そういうような分析モデルですとか費用やQOLに関するデータソースなど、その辺りはある程度整合を取りながらやっていくと理解してよろしいですか。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、科学院さん、お答えいただけますでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
我々の公的分析の立場としましては、メーカーさんが出していただいた分析を可能な限り尊重しながら科学的に妥当なモデルを再構築するという観点で実施していますので、メーカーさんがあまり違うモデルですとかあまり違うパラメーターを出してきたときに、そこで無理やり整合性を取るかというのは少し検討が必要なところかなと思うところです。
ただ一方で、臨床的なデータについては、これは例えば代表関係が品目ごとに変わったりするとまずいということは承知しておりますので、パキロビッド、ゾコーバ、それから、先行するラゲブリオも併せて、可能な限り整合性を取りながら進めていければなと感じているところです。

○○○委員
ぜひそのように御検討いただければと思います。特に重症化リスクのある方についての分析については相当共通部分もあるのかなと思いましたので、そのように進めていただければいいと思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他の委員の先生方、いかがでしょうか。
○○先生、事前に意見で感染症分野の費用対効果の在り方というのでしょうか、特に分析期間についてコメントをいただいているのですが、もしよろしかったら少し御解説いただければと思います。

○○○委員
ありがとうございます。
今回のパキロビッドとモルヌピラビルですけれども、現在、欧米では試験がどんどん進んでおりまして、そうしますと、先生方も御存じのように、今度の8波とか7波では高齢者がたくさん亡くなったというのが大きなニュースになっておりました。その半分近くが感染症以外の直接死因で亡くなっているという現状がございます。そうすると、高齢者が亡くなるのはどうしてかというと、感染症を契機として亡くなっていくのですけれども、感染症で亡くなるわけではないのです。インフルエンザなどでも肺炎を起こすのはどうしてかと言われたら、インフルエンザに罹患して、その後、細菌性肺炎になって亡くなっていく。そうすると、それは感染症による死亡なのかどうかという問題が出てまいりますが、そこのところも含めて、今、日本でも大きな問題になっている高齢者の死亡というものを感染症とどう直接的あるいは間接的に結びつけるかということで、現在、多くの研究が日本以外のところでですけれどもやられておりまして、つまり、通常は感染症の場合28日の致死率とか、その以前の入院とかを対象にしますけれども、今、120日、180日という長いスパンで見たときの死亡率はどうだろうかという研究がエミュレーションスタディーのほうでやられておりまして、RCTがあるかどうかは分かりませんけれども、エミュレーションでは非常にインパクトの高い論文が幾つか出てきておりまして、感染症というものの死亡というのを、短時間の感染症直接死というものだけが費用対効果なのか、あるいは長期に見て間接的に影響を及ぼして死に至ることを予防できるとすれば、それも費用対効果なのかという問題が今から出てくると思います。弱毒化してきて、それなのに何で死亡者が多いのですかという問題が今、日本でもありますよね。そういう意味で、ただ、そこを今度はLong COVIDとか後遺症という問題とどう切り分けていくか。Long COVIDも費用対効果に入るのかという問題。そうすると、Long COVIDというのは、先ほどからお話にあるソフトエンドポイントなのですよね。倦怠感とか、それは測定のしようがないでしょうと。診断のしようがないのです。ところが、先ほどから言っている死亡というのはかなりハードなエンドポイントになりますので、長期の死亡というアウトカムを費用対効果にこれから、特にコロナの場合は入れていくのかどうかという問題が今後出てくるかなと勉強させていただきながら思いました。
それと、パキロビッドの場合のお示しいただいたEPIC-HRの試験ですけれども、これは多分デルタのときのデータではないかと思うのです。2021年の12月までのデータで6月から12月までのデータというのは論文に書いてございますので、そうしますと、オミクロンは2021年の12月に南アフリカからはやり始めたのです。日本にも2022年の1月からはやり始めた。そうすると、これはオミクロンの解析を主として行っているものではないのではないかなというのが疑問点ではあります。
以上でございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。もし追加であれば、御意見をいただければと思います。

○○○委員
特にないのですけれども、対照薬がモルヌピラビルということで、実際の処方する側の処方の行動としては、もちろん基礎疾患のある方がコロナになったときにこういったお薬を処方するのですが、多分ニルマトレルビルのほうがいろいろ相互作用が多い薬があって禁忌のお薬が多いので、効き目で言うとニルマトレルビルを選ぶ先生は多いかなと思うのですけれども、併用薬の関係でどうしても使えないとモルヌピラビルを選ぶというような処方動向に今なっているかと思うので、そういうのがこういう分析に何か影響したりしないのかなというのが気になっておりました。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
科学院さん、今のお二人の先生のコメントに関して、多少テクニカルな面はありますが、コメントがあればいただきたいと思います。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
まず、○○先生にいただいたコメントについてなのですけれども、死亡をどこまで見るかというのは非常に重要な論点だなと改めて感じさせていただきまして、先生の御期待にどこまで添えるかというのは分からないのですが、そういうことを少し肝に銘じながら公的分析を進めていきたいと、我々もまた勉強させていただきたいと思っているところです。
それから、2点目にいただいたところですけれども、EPIC試験については御案内のとおりデルタ株の試験ですので、これをそのまま使うというのはなかなか厳しいところで、ただ、今、エミュレーションスタディーのお話がありましたけれども、リアルワールド系のデータがオミクロン下でも幾つか出てきていますので、そういうものを参照しながら少し検討するのかなと今のところ考えている次第です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の先生方、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、議決に入らせていただきたいと思います。
議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席ください。お願いします。

(○○委員退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、○○委員を除く先生方の御意見をまとめますと、パキロビッドパックに係る費用対効果評価に係る分析枠組み案を了承するということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。