第44回ILO懇談会議事要旨

大臣官房国際課

日時

令和8年4月22日(水)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

  1. (1)第356回ILO理事会の報告
  2. (2)未批准条約について
    第190号条約

議事

1.第356回ILO理事会の報告

 政府側から資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。

労働者側

 主要産業国の見直しの議論については、労働者側、特にアフリカ諸国は大変関心が高い。今後どのように議論が動いていくか分からないが、日本政府とも連携していきたい。

使用者側

 ILOの民主化については、1986年の憲章改正以来、進展のない状況が続いており、様々な考えがある国が混在するILOの中の議論の難しさが象徴的に表れていると思っている。日本が分担金を適切に支払い、安定的に理事国としての役割を果たしてきている点は尊重されるべきものだと思っている。どのような形で本議論が決着するかは分からないが、専門家委員会の議論の状況を見ながら、適宜日本政府とも連携しながら適切に対応したい。

2.未批准条約について

 政府側から資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。

労働者側

 第190号条約に関する国内法の整備に向けて、労働施策総合推進法等の改正に対して、労働者側からも様々な主張を行い、成立したという背景がある。連合の労働相談でも、特にパワハラ、嫌がらせ、セクハラといったハラスメント・差別の相談が2021年以降5年間連続して一番多い状況である。このことは、法改正が進んでも解決されない非常に難しい課題だと認識している。
 また、職場においては、メンタル疾患による休職や離職も起こっている。さらには、報道等でも取り上げられるように、自死に至るような痛ましい事件もあるなど、現場の深刻な実態がある。ハラスメントは、まさしく人権の問題であると認識しており、決して行ってはならない、あってはならないと強く感じている。こうした背景もあり、日本としても、第190号条約の批准に向けて取組を加速させていくべきだという声が、連合の加盟組織などからも寄せられている。
 昨年、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法の改正によって、カスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主に義務づけられたことは、働く上では非常に大きな前進だと認識している。国内法の整備が一定程度できたという認識の下、仕事の世界における暴力及びハラスメントの根絶に向けては、さらに前に進めていかなければならない。連合は、第190号条約を批准することが法律の実効性を高め、日本は人権を重視しているという姿勢を世界に発信することにつながると認識している。あらゆるハラスメントを根絶し、誰もが持てる能力を発揮し、安心・安全に活躍できる職場や社会の実現のため、第190号条約の批准に向けて政府の取組を加速していただきたい。あわせて、未批准の中核的労働基準である第111号条約についても、早期批准に向けて取り組んでいただきたい。

使用者側

 ハラスメントは人権を侵害する行為であり、決してあってはならないものというのが使用者側の立場。この点は労働者側と共通認識と思っている。
 その上で、第190号条約が採択された2019年当時から条約の趣旨には賛同していたものの、ハラスメントの定義や対象者の範囲など解釈によってはかなり広範になり、企業の対応可能性が不透明と考えていた。その後、日本政府や企業労使の取組もあり、ハラスメントに対する社会全体の理解は着実に高まっている。加えて、フリーランス・事業者間取引適正化等法の制定や、今般の労働施策総合推進法の改正等により、ハラスメント対策はさらに進展するものと期待している。こうした状況の変化も踏まえ、使用者側としても、政府において、同条約を批准している各国の対応状況等について情報収集、精査を進めることを支持する。我が国の現行法制の枠組みを前提として、同条約の批准に向けた積極的な調査、検討をお願いしたい。