2026年2月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第10回議事録

日時

令和8年2月27日 13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、後藤 温委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、髙橋  祐二専門委員、山野 嘉久専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
梅木医療技術評価推進室長 他

議題

○ ブリィビアクト錠の総合的評価について

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
まずは、事務局から説明をお願いいたします。

(事務局・国立保健医療科学院より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず、本品目に関わる公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ブリィビアクト錠の総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。

○意見陳述者
では、よろしくお願いいたします。
ブリィビアクト費用対効果評価に対する不服意見を御説明いたします。
スライドの2枚目を御覧ください。
当社の不服意見は、以下のとおりですが、本日は時間の都合上、後治療を分析に組み込むことの妥当性、及び分析不能集団の取扱いに絞って陳述いたします。
あわせて、○○病院てんかん専門医の○○先生、及び○○大学の○○先生に陳述をお願いしております。
スライドの3枚目を御覧ください。
「『後治療』を分析に組み込むことの妥当性に対する不服意見」となります。
専門組織の決定事項1において、患者は生存しているため、医療費は増加し、QOLもゼロにはならないため、後治療は分析に含めるべきではないかと御指摘を受けました。
これに対し、公的分析のモデルを用いて、後治療なしでの費用対効果評価を再計算いたしました。
主な結果の違いは、赤枠で示したとおりです。
非レスポンダーのQOLが、後治療なしでは0.191であるのに対し、後治療ありでは、20以上まで約100倍増大していることが分かります。
スライドの4枚目を御覧ください。
公的分析班が計算したQALYの課題について御説明いたします。
横棒グラフは、4つの健康状態の獲得QALYを表しています。
青が、本剤、ブリィビアクト。
赤が、比較薬となります。
後治療とは、ブリィビアクトと比較薬に効果がなかった患者、及び有害事象によってその使用ができない治療と定義しております。
グラフを見てのとおり、後治療を分析に含めることで「非レスポンダー(後治療)」の獲得QALYが約100倍に増加していることが分かります。
そのため、本来、注目すべきブリーバラセタムとレベチラセタムの「完全発作消失」と「50%レスポンダー」との差が「非レスポンダー(後治療)」に埋没してしまっております。
この原因は、分析される大部分の患者が「非レスポンダー(後治療)」に偏在しているためです。必要な差を見るためには、後治療を含めずに分析する必要があると考えております。
スライドの5枚目を御覧ください。
過去に当社別製品、ビンゼレックスにおいても、費用対効果分析において、公的分析班の判断により、後治療を考慮しなかった事例があります。
乾癬の効能・効果を持つビンゼレックスですが、長期間における後治療の費用の影響によって不確実性が上昇し、本来見るべき治療費の差が見えないとの理由から、後治療が基本分析から削除されました。
本剤においても同様の問題が生じており、前例に倣い、見るべき差を明らかにするためには、後治療を削除すべきであると考えます。
スライドの6枚目を御覧ください。
後治療を含めることで、分析結果の不確実性が大きくなる問題は、これまでも議論されてきました。
こちらの論文では、非関連医療費を含めることで、関連医療費の推計誤差が大きくなり、本来、分析によって見るべき医療費などのデータが埋没するおそれがあることを示しています。本剤においても、同様の問題が生じていると言えます。
スライドの7枚目を御覧ください。
こちらは、公的分析班が実施した弊社2製品の費用対効果における方法や条件を比較した表となります。
主な違いは、過去に分析したビンゼレックスでは、後治療を削除するように求められております。
一方で、ブリィビアクトでは、後治療を含めるように求められました。
後治療の取扱いについては、両者で正反対の分析条件が適用されており、費用対効果評価の分析において、整合性が取れていないと感じております。
スライドの8枚目を御覧ください。
こちらは、後治療の考慮なしで分析されたビンゼレックスの基本分析の抜粋となります。
後治療の費用とQALYをゼロとして計算されています。
今回、ブリィビアクトの決定事項で指摘されている医療費が増加し、QOLもゼロにはならないケースと類似しているにもかかわらず、ブリィビアクト錠では正反対の決定がなされております。
ブリィビアクトにおいても、不確実性を減らす目的で、後治療をゼロとすることは妥当と言えると考えております。
スライドの9枚目を御覧ください。
こちらは、異なるQOLを用いることで、ICERが変動することを表した表です。
赤枠内の数値を見てのとおり、異なるQOL対象集団によって、ICERが大きく変動しております。
スライドの10枚目を御覧ください。
こちらは、前ページのICERの変動を棒グラフにしたものです。
グラフのとおり「後治療なし」における変動幅は、約310~640万円/QALYと幅が少ないのに対して「後治療あり」では650~4800円/QALYと幅が非常に大きくなっています。
両群の変動幅の差の大きさは顕著であり、後治療を含めることで、不確実性が大きくなるケースに該当すると考えます。
後治療の考慮によって、分析の不確実性が増大する状況においては、後治療を含めないことが妥当と考えております。
スライドの11枚目を御覧ください。
こちらは「不服意見5」に対する当社の陳述となります。
2025年10月30日付にて受領した公的分析の結果において、単剤療法は分析不能という判断に対して、当社も合意しております。
中医協資料では、このような状況においては、評価を一時中断し、期間を設定した上で、企業に必要なデータの提出を求めると明記されています。
現在、企業は、既に単剤療法の試験データの取得に向けた準備を進めております。
したがいまして、データ取得までの期間に対して、分析・評価の中断を再度希望いたします。
当社からの説明は以上です。
治療方法の改善及びQOLの指標選択に対する不服意見に関しましては、残りのスライドに記載しております。併せて御確認をよろしくお願いいたします。
それでは、臨床医のお立場より、てんかん専門医の○○先生による陳述をお願いいたします。

○意見陳述者(専門家)
よろしくお願いいたします。
○○病院の○○と申します。
貴重なお時間をいただき、先生方には心から感謝申し上げます。
臨床医の立場から発言させていただきます。
てんかんの治療は、先生方も御存じのとおり、患者背景を考慮しつつ、かつ、長期間、20年、30年間、もしくは一生涯と続いてまいります。
てんかんの治療は、抗てんかん薬の内服による治療が基本ですが、日本では、現在、2016年にラコサミド(ビムパット錠)が上市されてから10年ぐらいの間、オーファンドラッグ以外には、日本では新しい抗てんかん薬が発売されておりませんでした。
これらは、海外諸外国との大きなドラッグラグを生むだけではなくて、これらの解消を意味する上でも、今回のブリィビアクトが使用できることになったことは、我々医療従事者、また、てんかんで苦しんでいらっしゃる患者さんにとって、10年間待ち望んできたことでございまして、ブリィビアクトの価値は、現在、もしくは今後も増大していくものと臨床の立場からは考えます。
あと少しの時間で、後療法の多様性についてもコメントいたします。
先ほど御説明したとおり、てんかんの治療は、長期間、20年、30年、一生涯と続いてまいります。
てんかんは、数十年と治療が継続する慢性疾患でございます。
小児、成人、高齢者、妊娠、内科合併症など、治療方法は多種多様となってまいります。
そのような背景を踏まえますと、費用対効果分析において、本剤の真の有効性をより正しく評価することについて、後療法を一律に取り込むことは妥当ではないと臨床医からも考えます。
何しろ我々医療従事者、また、てんかんで苦しんでいらっしゃる患者さんにとって、10年ぶりに使用することができるようになった新しい抗てんかん薬、ブリィビアクトでございますので、その価値は、現在、また未来へとより高い評価をされ、それには正しい評価方法が求められると考えております。
私からは以上になります。

○意見陳述者
続きまして、薬剤経済学の専門家としての立場から、○○先生に陳述していただきます。

○意見陳述者(専門家)
○○でございます。よろしくお願いいたします。
以前の専門組織でありましたとおり、通常の医療経済評価であれば、もちろん後治療を入れた上で評価する。生存しているにもかかわらず、それを入れないのはイレギュラーであるというのは、もちろん一理ある意見だと思います。
しかし、企業の方に御説明いただいたとおり、今回に関しては、後治療を組み込むことが分析に関して著しく不確実性を増す結果になる。
後治療が多岐にわたるか、わたらないかということではなくて、従前、議論になっております、QOL値で何を入れるかによって、評価が大きく変わってしまうことを導くものであります。
以前のビンゼレックスの評価、あるいは私も関与した関連医療費に関する研究論文にあったように、本来見たい差が、後治療を入れることで埋没してしまう。
そういうことであれば、入れないというオプションも十分に考えられてしかるべきではないかと考えます。

○事務局
○○先生、すみません。
時間が過ぎておりますので。

○意見陳述者(専門家)
これで大丈夫です。
以上です。
申し訳ありません。

○意見陳述者
これで企業側の陳述を終わります。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。
よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は御退室ください。
お疲れさまでした。

○意見陳述者
ありがとうございました。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析についての御意見がございましたが、科学院から何か御意見等がございましたら、お願いします。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
1点ですが、企業のスライドの6ページ目にありましたように、費用が埋没してしまうケースの取扱いですが、本記載については、非関連医療費、つまり、介入に関係ない費用について記載されているものでありまして、今回のように、後治療のような関連する費用について、これを用いて議論するのは不適切だと考えています。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について、御議論をお願いいたします。
なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらが科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
論点は3つございます。
後治療を分析に含めるかどうか。
分析対象集団(a)の場合の追加的有用性。
ビニエット法により調査したQOL値の取扱いということでございます。
よろしければ、臨床の御専門の先生、○○先生、○○先生から御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。
後治療の扱いをかなり気にされていたのかなと思うのですが、制度の原則から考えると、生涯分析の中で検討して考慮していくのが基本と理解しておりますので、不確実性がある場合には、いきなりゼロとする、除外するという対応は、慎重であるべきなのかなと思いました。
なので、今後、データが出てきたら、そのようなデータにもう少し基づいて、論理的に御提案いただいたほうがいいのかなという印象を受けました。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
○○先生は、御参加されていらっしゃいますでしょうか。
事務局さん、いかがでしょうか。私の画面では確認できていないのですが。

○事務局
今、一覧に見当たりません。

○費用対効果評価専門組織委員長
そうですね。
○○先生からは結構御意見も意見書でいただいていたので、コメントをいただきたいと思ったのですが、お戻りになったらまた御発言いただくということで、その他の先生方、御意見はいかがでしょうか。
意見書では、随分先生方からコメントをいただいているところであります。私からは後学のため一点伺いたいと思っていますが、よろしいでしょうか。

○○○委員
委員長、すみません。

○費用対効果評価専門組織委員長
どうぞ。

○○○委員
公的分析の意見に関して、特に異論があるわけではないのですが、先ほど費-1-3の資料の説明で、状態①と状態②の説明として、50%レスポンダーや完全消失率の改善によって、状態①にとどまる期間が比較対照群よりも長いという説明ですが、たしか公的分析で実施した分析によると、発作抑制効果に関しては不確実性が高くて、両群のオッズ比を1にして分析されていたと記憶しています。そうであれば、両群の状態①にとどまる期間の長さは一緒になるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
○○先生の御指摘の点ですが、分析上においては、企業の分析を尊重しまして、原則として、公的分析では1にしているのですが、感度分析は企業の値を用いて分析しておりまして、両者は結果が大きく変わらないことを確認しております。

○○○委員
分かりました。
総合的評価案でも説明があった内容になるのですが、意見書にも記載させてもらっていますが、今回は、有害事象による治療中断率のオッズ比から追加的有用性ありと判断されていたので、中断率などから説明することはできないでしょうかというのが続きの質問です。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
有効性の点では、公的分析では差をつけていないのですが、追加的有用性のところで御検討いただいたように、公的分析のモデルですと、安全性に関しては、追加的有用性を認めており、そこについては、推移確率に差がついている状況ですので、状態①にとどまる期間が長いのは御理解いただければと思っております。

○○○委員
説明の仕方として、①の状態が長いという判断は、これまでの追加的有用性の議論からではできないはずであって、①足す②の期間は両群で一定なのであれば、中断率が本剤群で少ないからこそ、状態②に移行する人の数が少なくなるという説明のほうが、整合性が取れているのではないかというコメントです。

○国立保健医療科学院
おっしゃるとおり、患者の数で記載したほうが分かりやすかったかもしれませんが、患者の数を延べた平均的な期間としては、こういう状況かなと思っているのです。

○○○委員
状況は理解しているのですが、分析全体の設定や仮定のいろいろなところで判断している材料をちょっとずつ変えているような感じも若干するので、ある程度整合性を持って説明されたほうが、企業側からの納得も得やすいのではないかという考えだけなので、内容というか、結果的について否定しているものではありません。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
私もそれに関わるところで御質問しようと思っていたのですが、それにプラスアルファで、科学院さんに御確認させてください。分析枠組みで、こういった後治療みたいに、多少細かいところまで議論するのは難しいとは思っていたのですが、事前の打合せとかで、後治療については、企業さんと議論があったのかどうかはいかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
後治療については、分析枠組みで検討していないのですが、原則としては入れるのだという理解を我々は進めてきたところです。

○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。
原則論ですね。
できるだけ分析枠組みのところで対応可能なものは潰しておくと、後での議論が少しきれいになる可能性もあるかなと思っていました。その他の先生方、御意見はいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
事務局さんどうぞ。

○事務局
委員長、1点、分析対象集団(a)の追加的有用性についてという点で、分析中断の取扱いについては、企業の方の論点として挙げていただいていたので、こちらについても、恐縮ですが、再度審議いただくことは可能でしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
もちろん可能です。
ありがとうございます。
その前に、○○先生は、結局、御参加されていらっしゃいませんね。

○事務局
まだ戻られていません。

○費用対効果評価専門組織委員長
分かりました。
今、事務局さんから御確認として上がってきた分析対象集団(a)の追加的有用性は、中断の話ですが、先生方から御意見はいかがでしょうか。
恐らく、中断はふさわしくないというようなお考えなのかなと、意見書等を拝見していたのですが、そのような整理でよろしいですか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
では、事務局さん、そういう形で一旦ここまでまとめさせていただいておりますが、よろしいですか。

○事務局
はい。確認いたしました。
ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
あと、QOLの論点とかでも御意見があれば、いただきたいと思いますが、よろしいですか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
不服意見をいただきましたが、公的分析を支持するというような議論であったかと思います。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、ブリィビアクトに関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、ブリィビアクト錠に関わる総合的評価については、専門組織で決定された総合的評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、企業に対する内示及び中医協に提出する資料に関しては、委員長に一任いただくということで、こちらもよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。