2025年6月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第3回議事録

日時

令和7年6月27日 13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、薄井  紀子専門委員、谷口 修一専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他

議題

○ エルレフィオに係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について

議事

〇費用対効果評価専門組織委員長
エルレフィオに係る企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。

(事務局より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でエルレフィオに係る企業分析についての企業の御意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答させていただきます。
それでは、始めてください。

○意見陳述者
ありがとうございます。意見陳述者でございます。
本日は、このような貴重なお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、エルレフィオ皮下注に関する費用対効果評価の内容について、意見陳述者からお話しさせていただきます。よろしくお願いします。

○意見陳述者
まずはスライド2を御覧ください。
本剤は、B細胞成熟抗原とCD3を標的とする二重特異性抗体になります。
効能・効果は、免疫調整薬、プロテアソーム阻害剤及び坑CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効または治療後に再発した多発性骨髄腫となります。
本陳述では、この3つのクラスの薬剤の治療を受けていることをtriple class exposed、略してTCEと呼ばせていただきます。
用法・用量は記載のとおりです。
本年6月24日に一変承認を取得しており、2週間間隔で24週以上投与した場合は投与間隔を4週間間隔とすることが可能となりました。
続いて、スライド3を御覧ください。
分析対象集団は、TCEで、かつB細胞成熟抗原を標的とした治療薬がない多発性骨髄腫患者になります。
比較対照技術は、エロツズマブ、ポマリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法、EPd療法となります。
こちらの比較対照技術を選定した理由は、こちらに記載のとおりとなっております。
続いて、スライド4を御覧ください。
システマティックレビューを実施するに当たり、分析枠組みに沿って、こちらに記載のPICOSを設定いたしました。
システマティックレビューの結果、こちらの3つの文献が抽出されております。
上から順に、1つ目は本剤のピボタル試験であるMagnetisMM-3試験に関するもの。
2つ目は、EPd療法を含む医師選択治療に関する前向き観察研究。
3つ目は、医師選択治療に関する後ろ向きデータとMagnetisMM-3との間接比較になります。
続いて、スライド5を御覧ください。
MagnetisMM-3試験が単群試験であるため、比較対照技術との間接比較により追加的有用性を評価いたしました。
TCEの多発性骨髄腫におけるEPd療法の有効性評価試験がないことから、EPd療法を含む医師選択治療の有効性を評価したLocoMMotion試験をデータソースに用いました。MagnetisMM-3試験とLocoMMotion試験のMatching Adjusted Indirect Comparison(MAIC)の結果、OSとPFSともに、エルレフィオのEpd療法に対する優位性が示されました。
スライド6を御覧ください。
分析に当たっては、無増悪、増悪、死亡の3つの健康状態を仮定するPartitioned Survival Modelを構築いたしました。こちらはがん治療薬における最も一般的な分析モデルとなっております。
続いて、スライド7を御覧ください。
分析モデルで使用した主な仮定を示しております。
まず分析期間は、分析ガイドラインの推奨にのっとりまして生涯といたしました。
1サイクルの長さについては、1週間としております。
また、治療開始から終了までの期間であるtime to treatment discontinuation(TTD)について、有効性のデータソースに基づき設定いたしました。
その他の要素については、こちらに記載のとおり仮定しております。
続いて、スライド8を御覧ください。
こちらが分析結果になります。
本剤のEPd療法に対する増分費用効果比(ICER)は、5万8168円/QALYとなりました。
また、確率的感度分析の結果、ICERの基準値を750万円/QALYとした場合、ICERが基準値を下回る確率は95%となっております。
スライド9を御覧ください。こちらが最後のスライドです。
先ほど申し上げたとおり、本剤はがん治療薬であり、配慮が必要な項目に該当すると考えております。さらに、基本分析におけるICERが約6万円/QALYであり、確率的感度分析においても95%の確率で基準値を下回ったことから、本剤のICERは200万円/QALY未満に所属する確率が最も高いと考えております。
以上で企業からの御説明を終わります。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
○○先生、どうぞお願いします。

○○○委員
○○の○○でございます。
企業の分析の方、ありがとうございます。
このお薬(エルレフィオ)は非常に有効なお薬ですから、納得できるところもあるのですけれども、質問というか確認でございます。3剤併用(EPd療法)が、対象となっていますが、この治療法も治療薬が結構高額ですから、6万円程度の費用がかかります。このお薬(エルレフィオ)はT細胞のエンゲージャーなので、CRSですとか、ICANSとか、独特の副作用が特に初回のところで出ると思います。したがって、恐らく通常では初回のDay1、Day4、場合によってはDay8まで入院治療ということになると存知じます。
一方の対象治療(EPd療法)のほうは、初回から外来ということもあると思うので、その辺の入院費などの増加分も含んでいるのでしょうか、それを確認するのが一つです。また、CRS(Cytokine release syndromeの治療)に対する治療もちゃんと(費用に)含まれているのかどうか、その辺のところを教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○意見陳述者
ありがとうございます。
御質問いただきましてありがとうございます。
まず回答させていただきます。
1つ目の質問に関して、おっしゃられるとおり、入院費用ですとか、外来費用ですとか、通常それらの薬剤が使用され得るときの医療費をしっかり分析モデルに組み入れてございます。
続いて、CRSなどの有害事象が起こってしまった場合、例えばそれをレスキューするための薬剤とかを使ったりすると思うのですけれども、それは発現頻度に応じて、医師インタビューの下に、しっかり有害事象をレスキューするためにかかる費用も分析に入れた上で両剤を比較しているということになります。

○○○委員
ありがとうございます。

○意見陳述者
こちらこそ御質問ありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院から、エルレフィオに係る企業分析についての公的分析のレビュー結果の御説明をお願いいたします。

○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料ですけれども、費用対 費-2-4、エルラナタマブに関する公的分析のレビュー結果を御参照ください。
1ページ目に分析の枠組みをお示ししております。
2ページ目に、製造販売業者による分析の課題について、論点を2つ挙げさせていただいております。
1点目は、エルラナタマブの投与期間の長期推定についてということであります。製造販売業者は、エルラナタマブの投与期間について、ピボタル試験のtime to treatment discontinuation、投与中止までの期間において観察された投与期間の中央値を用いて、指数分布に基づく長期推計を行っています。
一方で、同試験では、12か月時点で35.8%の患者がエルラナタマブを使用したと報告されています。しかし、製造販売業者による推計では、その値が21.8%となっておりまして、上記の観察と一致していません。
同様に、より観察期間が長い同試験のデータによれば、16.3%の患者が33.9か月時点で治療継続中と報告されていますが、製造販売業者による推計では1.5%となっております。
このように、製造販売業者が長期推計したTTD曲線は臨床試験の観察値と乖離しているため、エルラナタマブの投与期間における長期推計方法について検討が必要であると考えております。
論点の2番目ですけれども、こちらはIVIGの投与についてということです。
エルラナタマブの投与に伴う重大な副作用の一つとして、低γグロブリン血症が挙げられます。こちらはピボタル試験では43.1%の患者が免疫グロブリン補充療法を受けたと報告されています。
しかし、製造販売業者の分析においては、有害事象として低γグロブリン血症が考慮されておらず、IVIG投与にかかる費用も計上されていません。
IVIG投与を考慮しないということになりますと、エルラナタマブの治療費用の過小評価につながるおそれがあるため、その妥当性について検討させていただきたいと考えております。
最後になりますが、先ほど御説明がありましたように、新規データ等に関連する論点に関する対応についてです。
エルラナタマブにつきましては、投与開始48週時点で奏功が認められた場合、投与期間が2週から4週間隔に延長になる一変申請が6月6日の薬事審議会で承認されています。この決定を受けまして、6月1日付で製造販売業者から投与間隔の延長を反映した報告書の第2版が提出されております。
しかし、これらの変更に伴う部分のレビューについては、現時点では実施されていません。初版の報告書からの課題も併せて、以下の点についてレビューを実施させていただければと考えております。
1点目は、エルラナタマブの投与による長期寛解の有無、その場合の長期的な予後について。
2点目は、エルラナタマブの臨床現場における実際の投与期間、臨床試験データとの乖離について。
3点目が、長期寛解時におけるエルラナタマブの投与の在り方、投与中断や再開などについて。
最後にPFSあるいはOSの長期推計方法について。
こちらについて改めて検討させていただければと考えています。
以上から、公的分析としては再分析が必要であると考えています。
我々からは以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、今の御説明に関して、委員の方々から御質問等はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。
論点は3つあると伺っておりますが、臨床の先生も参加されておりますので、先に〇〇先生にお話を伺いたいと思いますが、先生、追加で何かコメントございますでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。
意見書にも書いたのですけれども、IVIGの投与についての御指摘があったと思います。これは非常に重要な点だと思うのですけれども、実臨床ですと、多発性骨髄腫そのものが免疫不全を持っておりますので、治療薬がEpd療法であっても低γグロブリン血症は起こしますので、IVIGは双方投与することになるのかなと思います。ただ、エルレフィオのほうがより重症感染症を起こす頻度が高くなる可能性もなくはないので、そちらのほうの治療費が増える可能性はあると思います。
企業分析は不十分かなと思いますけれども、公的分析の御指摘は先生方のおっしゃるとおりだと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
まず、最初にこのデータを見させてもらったときに、対照薬の3剤もそんなに古い薬ではないのです。最近と言うには古いかもしれないけれども、こういった薬が出たときの多発性骨髄腫の治療の進歩には我々は驚きました。それまでの治療からすると、長期生存例がそれほど大きな副作用なく出てきていますし、もう行けるところまで来たかなと思っていたところに、またエルラナタマブのデータを見させていただいて、特に5万円でしたか過去聞いたことがないようなICERのデータを見させていただいて、すごいなと思って、細かいことを考えるのがおろそかになってしまいましたけれども、今、○○先生がおっしゃったIVIGの件も、正常のグロブリンがなくなる病気ですから、その補充も必要だということで、そうだなと思って聞いていて、ただ、対照薬でも本当に補充していくのだと思いました。もう一点、エルラナタマブの薬価に比べたら、IVIGの薬価なんて比較にならないかもしれないともちょっと思いました。
公的分析班が御指摘なさった長期投与、長期寛解であるとかどこまで使うのか云々については、まだまだ分からないことが実際には多いと思いますけれども、解析すべきところで、どこまで多発性骨髄腫の患者さんは生きていけるのだろうと明るい気持ちに、解析と全然違って申し訳ないですけれども、とてもすごいなと思って聞かせていただきました。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
比較的、臨床面では非常に有効な薬であるようなお話なのかなと思って素人ながら聞いていたところでありますし、それを踏まえた費用対効果の結果も、企業側のものでは出てきているという理解だと思います。
ただ一方で、費用のところについては幾つかお話があったと考えておりますので、その辺を御考慮いただく必要もあるということと思いますが、その他の先生方、いかがでしょうか。
科学院さんのほうにお伺いしますけれども、初期入院費用の取扱いとかについてはどのようにお考えでしょうか。今の〇〇先生からの御意見にも関わるかと思いますけれども。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
企業分析においては、入院費用が1週間分加えられているということですので、おおむね考慮されているのではないかなと考えています。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。
実際には結構高齢者の方たちも治療の対象になるので、1週間でぴたっと終わりになるということはほとんどないのではないかと思います。実際には実臨床でもう少し、少なくとも第4投与ぐらいまでは見ている可能性があると思います。データにも出ていましたけれども、CRSが出てくるのは第4投与ぐらいまで出ていますので、安全性を考えると恐らく2週間ぐらいの入院になるのではないかと思っていまして、実臨床のデータは企業がお持ちでしょうから、それも踏まえて考えたら良いと思っています。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
その後の御意見、総じてデータの解析については幾つか妥当性に欠けるところがあるということで、チェックをすべきという御意見と理解しております。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。
○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議決に入らせていただきます。
○○委員を除く先生方の御意見を参考に、先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきまして、決定された分析枠組みに沿って分析がなされているということでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
次に、企業の分析データ等の科学的妥当性は妥当でないと考えられる部分があるということでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
こちらもありがとうございます。
最後になります。公的分析によるレビュー実施により再分析を実施するという結果の妥当性はおおむね妥当ということでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析において、エルレフィオの投与期間の長期推計についてということと、免疫グロブリンの補充療法の費用に関して、初期入院費用についても含めてですけれども、御検討いただきたいということかなと思います。あと、新規データ等に関する論点についての対応についても進めていただくという論点整理で再分析を実施していただければと思います。
こちらで先生方よろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。