2024年8月23日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第4回議事録

日時

令和6年8月23日(金)13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、薄井 紀子専門委員、谷口 修一専門委員、福田 敬専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○ エルレフィオ皮下注に係る分析枠組みについて

議事

〇費用対効果評価専門組織委員長
まずは、エルレフィオ皮下注に係る分析枠組みについて、御議論いただきます。
事務局から、説明をお願いしたいと思います。

(事務局より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品の検証作業に係る分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、エルレフィオ皮下注に係る企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
始めてください。

○意見陳述者
本日は、このような時間をいただきまして、ありがとうございます。意見陳述者でございます。
それでは、早速、企業の意見陳述をさせていただきたいと思います。
資料の2枚目を御覧ください。本剤の効能・効果、効能または効果に関する諸注意でございます。本剤の効能・効果は、再発または難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)となっております。効能または効果に関連する注意として、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効または治療後に再発した患者を対象とすることとなっております。用法・用量としては、1日目に12mg、4日目に32mgを1日1回投与して、8日目以降は1日1回76mgを1週間間隔で皮下投与する。なお、24週間以上投与し、奏功が認められている場合は、投与間隔を2週間間隔とすることとなっております。
資料の3枚目を御覧ください。本剤の作用機序ですので、お手元の資料を御覧ください。
4枚目を御覧ください。ここからは、本剤の承認申請における主な臨床データパッケージについて、お話ししたいと思います。4つの臨床試験が記載されておりますが、本日は、その中でも、赤く囲ったピボタルな臨床試験である国際共同第Ⅱ相試験、MagnetisMM-3、我々は「MM-3試験」と呼んでおりますが、本日はこのMM-3試験についてお話ししたいと思います。
5枚目を御覧ください。MM-3試験の目的は、再発または難治性の多発性骨髄腫(RRMM)患者を対象として、本剤を単剤投与したときの有効性及び安全性を検討することです。試験デザインとしては、非無作為化、非盲検、多施設国際共同、第Ⅱ相試験となっております。MM-3試験は、コホートが2つあります。コホートAとして、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬及び抗CD38抗体のそれぞれ少なくとも1剤に対して治療抵抗性を示し、BCMAを標的とした治療歴のない再発難治な多発性骨髄腫患者、123例となっております。この中には、日本人患者12例を含んでおります。一方、コホートBは、諸条件はコホートAと一緒ですが、BCMAを標的とした治療歴のある患者を対象としております。現在、日本では、BCMAを標的とした治療として臨床で使用されていますものは、本剤を除くと、CAR-T療法のアベクマしかないという状況ですので、コホートBは日本では非常に限られた集団であることがお分かりいただけるかと思います。
6枚目を御覧ください。早速、ここからは、MM-3試験の結果でございます。まず、この6枚目は、コホートAにおける奏効率を示しております。コホートAの奏功率は61.0%で、事前に定めた閾値30%に対して統計的に有意な結果でございました。
7枚目を御覧ください。コホートBにおける奏功率です。奏功率は29.7%であり、閾値15%に対して統計的に有意であったという結果でございました。
8枚目を御覧ください。こちらは、PFS、無増悪生存期間の結果です。コホートAは、PFSの中央値は未到達であり、カプランマイヤー法を用いた9か月時点でのPFSは63.0%でございました。コホートBのPFSは、中央値は3.5か月、カプランマイヤー法を用いた9か月時点での無増悪生存率は35%でございました。
9枚目を御覧ください。ここからは、MM-3試験の有害事象について、お示しします。治験薬と関連ありと認定されて発現率5%以上のものをテーブルにして、2枚のスライドでお示ししております。概要としては、安全性解析対象集団である187例中171例(91.4%)に副作用が認められ、その主な副作用は、サイトカイン放出症候群、CRS、110例(58.8%)、好中球減少症、68例(36.4%)、貧血、49例(26.2%)等でございました。
10枚目を御覧ください。テーブルの中身が違いますが、グレーで上に書いている概要の部分も一緒ですので、割愛します。
11枚目を御覧ください。ここからは、分析枠組みについて、お話したいと思います。まず、分析対象集団です。分析前協議において事前に合意している枠組みでございます。本剤の効能・効果は、先ほどお話ししたとおり、再発または難治性の多発性骨髄腫でございます。関連する諸注意としては、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効または治療後に再発した患者を対象とすることになっております。したがって、分析対象集団は、効能・効果、効能または効果に関連する諸注意と全く同じ集団でございまして、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効または治療後に再発したBCMA標的療法による治療益がない多発性骨髄腫患者となっております。1つ、違うのは、コホートAの方を分析対象集団としていることです。その理由としては、まず、黒ポチが2つあるうちの1つ目、臨床専門家への意見聴取等によると、イデカブタゲンビクルユーセル、アベクマによるCAR-T細胞療法が実施可能であれば、治療実績が蓄積されつつあるなどの理由から本剤より優先されると考えられるため、アベクマによる治療の対象となる集団については分析対象集団に含まないということを科学院とお話ししております。コホートAのみにした理由は、ここの黒ポチの2つ目です。再発・難治性多発性骨髄腫におけるアベクマを使用する患者の割合は非常に限定的で、患者の集団としては少ないと考えられることから、当該治療歴のある集団については除外するとなっております。また、アベクマを既に投与した患者における臨床データは、本剤はコホートBの単群の結果がありますが、比較対照技術に関してはこれがないと考えられますので、分析の観点からも困難であるということから、コホートAのみを対象としております。
12枚目を御覧ください。分析前協議において合意した分析枠組みでございます。比較対照技術名としては、エロツズマブ、ポマリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法、頭文字でEPd療法でございます。選定した理由としては、診療ガイドラインによると、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効または治療後に再発した患者に対する治療としては、様々な救援療法が提案されており、明確に収集されたレジメンは存在しません。一方、3剤併用療法のほうが2剤併用よりも臨床効果は高いのだけれども毒性が高い可能性もあるので、前治療薬に対する抵抗性や個々の患者の状態を把握した上で治療レジメンを決定することとなっております。その中で、レナリドミドとボルテゾミブ、それぞれ、免疫調節薬とプロテアソーム阻害剤の両者に抵抗性及び抗CD38モノクローナル抗体製剤に抵抗性の再発・難治性多発性骨髄腫に関しては、ポマリドミド、カルフィルゾミブを含む併用療法が推奨されております。臨床専門家への意見聴取等によって、ポマリドミド、カルフィルゾミブのいずれかを含む3剤併用療法のうち、最も安価なものがいわゆるEPd療法だったことから、こちらを比較対照技術とすることで合意しております。
13枚目を御覧ください。こちらは、最新のガイドラインにおける各レジメンの推移でございます。右側の箱を見ていただいて、移植非適応で奏功期間が9~12か月未満の場合、救援療法の対象になりますが、ここのピンクで囲っているところがEPd療法でございます。一方、さらにこの救援療法で再発・難治になりますと、3レジメンの前治療歴がある方はBCMA標的療法となって、この一番下、ピンクで囲っているところが、バイスペシフィック抗体、エルレフィオでございます。一方で、日本では、アベクマが治療できる施設はまだ90施設ぐらいしかないことから、この1つ上の一番大きい箱で治療が非対応だったとしても、別の救援療法が継続されることが臨床的に最も多いと聞いておりますので、エルレフィオが、最も置き換わる、この中で効果が高いものはEPd療法と考え、我々はこのEPd療法との比較対照を合意いたしました。
14枚目を御覧ください。分析前協議において合意していない分析枠組みはございません。
企業からの意見陳述は、以上でございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
委員の方々から、御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
1つ、文言の確認だけなのですが、MM-3のコホートAで、プロテアソーム阻害剤と免疫調節薬と抗CD38抗体、それぞれ少なくとも1剤ということは、結果としては、この3種類のお薬は使われている患者さんという理解でよろしいのでしょうか。

○意見陳述者
御質問いただきまして、ありがとうございました。
おっしゃられるとおり、非常に分かりづらいのですけれども、少なくとも3種類全てに1剤以上抵抗性がある方ですので、今おっしゃっていただいたことで正しいと思います。

○○○委員
ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。

○○○委員
御説明ありがとうございました。
本剤の用法・用量では、24週間以上投与し、奏功が認められている場合は、投与間隔を2週間隔にすること、となっていますが、薬事承認でのピボタル試験(MM-3試験)では、実際に24週以上で2週間隔に投与が可能になった症例がどのぐらいいるのかなどの情報は、お持ちなのでしょうか。また、製販後調査などでの実態についても、どうなっているのかということを教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

○意見陳述者
MM-3試験では、187例中77例がQ2Wに移行しておりまして、割合としては41.2%の患者さんがQ2Wに移行しております。したがいまして、同程度の患者さんが実臨床でもQ2Wに移行するのではないかと予想しております。市販後調査においては、Q2Wへのスイッチについても情報は収集しておりますが、まだデータ収集中でして、実際にどの程度の患者さんがQ2Wに移行しているかということは、現時点では、不明でございます。

○○○委員
分かりました。奏効が認められた際には1週間隔で投与する用法・用量の記載になっていなかったので、実際に得られる効果で用法・用量が変わり、その費用も変わり得ると思い、質問させていただきました。
ありがとうございます。

○意見陳述者
ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は、御退室ください。お疲れさまでした。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、エルレフィオ皮下注に係る分析枠組みについて、御議論をお願いしたいと思います。
御専門の先生方が御出席ですので、○○先生、御意見はいかがでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。○○の○○でございます。
企業の御説明でほぼ納得なのですけれども、多発性骨髄腫の治療薬はとてもたくさんありまして、コンビネーションによって無数にあるわけです。けれども、それでも基本になるドラッグが3つぐらいあって(3種類というのでしょうか)、それぞれに対して、少なくとも1つ、抵抗性となると、コンビネーションでどれかに抵抗性という判断ですので、そういう意味では、妥当な対象症例かなと思います。
先生方から御質問があったと思いますけれども、他のリンパ腫にも同様のBiTE療法は実施されますけれども、薬剤は結構頻回に投与されます。多発性骨髄腫の場合は、1回効いてくると、比較的ゆっくり進行することもあって、1週間隔、(あるいは、24週間効果が持続しているのであれば、)2週ごとという治療法になるのかなと思っています。
分析枠組みも妥当だと思いますし、CAR-T療法を受けた症例を対象に入れないという選択も正しいと思います。日本の場合は、CAR-T療法(ide-cel)はありますけれども、先ほど企業の御説明があったように、治療ができる施設は移植を専門にやっているところに限られるので、一般的には使われないだろうなと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
もう追加することはないのですが、事実確認というわけではないけれども、今、3剤の組合せを対象とすると。その3剤も、この10年か20年の多発性骨髄腫治療の発展に大きく貢献した薬なのですね。そのコンビネーションとまた新たなこの薬剤を比較することは、極めて納得できると思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
今の御意見も踏まえながら、委員の先生方、何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。
議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、○○委員を除く先生方の御意見をまとめますと、エルレフィオ皮下注に係る費用対効果評価に係る分析枠組み案を了承するということで、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。