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2025年6月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第3回議事録
日時
令和7年6月27日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、後藤 温委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、野﨑 博之専門委員、髙橋 祐二専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
議題
○ レケンビ点滴静注に係る総合的評価について
議事
〇費用対効果評価専門組織委員長
レケンビ点滴静注に係る総合評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思います。
まずはこのレケンビについて、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る総合評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でレケンビ点滴静注の総合評価について御説明をお願いします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
企業の〇〇と申します。
本日、レカネマブの費用対効果評価について、不服の意見を陳述いたします。
2ページ目を御覧ください。
公的分析の結果が妥当であるとする総合評価結果について、3つの論点を陳述いたします。
1点目として、臨床実態を反映するためには長期推計の分析が必要であり、これは企業分析モデルが可能であること。
2点目として、投与中止後の有効性について、中等度に至るまでは効果が継続し、その後の病期の進行に伴い、hazard ratioを1とする効果減弱シナリオの検討について。
3点目として、介護者QOL全体で評価できるAdditive approachの採用が必要であること。
以上の3点について述べさせていただきます。
3ページ目を御覧ください。
最適使用推進ガイドライン、全例調査に加えて、日本認知症学会からは保険診療における留意点も臨床医向けに通知されており、18か月以降の投与継続に関する長期推計はレカネマブの適切な評価において必要不可欠であると考えております。
企業分析では、第Ⅲ相試験であります301試験OLE期におけるエビデンスを活用し、18か月以降の投与継続を考慮した分析を行っています。18か月以降の長期推計を含めた実臨床の実態を反映しレカネマブを適切に評価するためには、企業分析モデルを用いることが妥当であると考えております。
4ページ目を御覧ください。
費用対効果評価においては、臨床実態を反映することが重要です。国際医薬経済・アウトカム研究学会(ISPOR)が提案するモデルの透明性と検証を実現するための推奨事項では、モデルの構築方法を確認できる透明性と、モデルが現実をどれだけ正確に再現しているかを示す検証が必要であると述べています。また、日本の分析ガイドラインにおいても、使用するモデルの妥当性について示すことが記載されています。
当社の分析モデルは、ISPORの推奨に沿って透明性を持ち、内部検証、外部検証、交差検証を実施し、妥当性が示されたモデルです。
5ページ目を御覧ください。
専門組織が妥当と判断した公的分析モデルは、レカネマブの長期投与モデルを反映しておらず、投与を18か月に限定しています。
また、公的分析は、投与期間を延ばした場合のICERへの影響を見た感度分析を提示しています。この感度分析において、投与期間を変化させても同じ結果が試算されるというモデルの頑健性は示されていますが、公的分析が設定した仮定の検証はなされておらず、アルツハイマー病の病態推移を正しく再現しているかといった妥当性は示されていません。
6ページ目を御覧ください。
さらに公的分析が実施した感度分析では、投与期間の延長分に比例して、線形に治療効果を拡大する仮定を前提としています。しかし、これは治療効果であるCDR-SBの変化量の群間差が非線形に拡大する301試験OLEの結果と異なっています。
つまり、公的分析や長期集計の補強として実施した感度分析は、臨床実態と照らし合わせて長期推計の代替とならないことから、企業分析による長期推計が必要です。
続きまして、7ページ目からは投与中止後の有効性について説明いたします。
当社は、投与中止後すぐに効果がなくならないことを第Ⅱ相試験のエビデンスやエキスパートオピニオン、病理学的な見解などを交えて説明してまいりました。
一方、公的分析の報告書では、投与中止後すぐに効果がなくならないことは理解されつつも、定量的に示すことは困難であるとし、hazard ratioを1とする設定にしています。
先ほど説明したとおり、実臨床が考慮されず、投与期間を18か月のみとし、投与中止後の有効性が全くないとする設定により、ICERは1QALYあたり約1000万円上昇します。本薬剤の真の価値を示すためにも、分析方針について、実臨床に沿った効果減弱シナリオを検討いただきたいと考えております。
8ページ目を御覧ください。
301試験では、Core期間、OLE期間ともに、投与中止例も当初のスケジュールどおり臨床的有効性評価を実施する規定としています。そのため、投与中止例を含めて算出されたhazard ratio0.704をOLE期間内の中止後の有効性に設定することは妥当であると考えています。また、欠測値においてもMMRM法を活用し、hazard ratioに反映しております。
ここで、これまでの議論を踏まえつつ、費用対効果評価の枠組みとして、OLE期間後の投与中止例は、中等度に至るまでは効果が継続するとし、中等度への病期移行に伴い、hazard ratioを1とする効果減弱シナリオの検討について提案いたします。
9ページ目を御覧ください。
介護者QOLの評価方法について当社の意見を述べます。
Additive approachは、一人暮らしの患者が存在する臨床実態は反映できないとコメントをいただきました。当社の介護者QOL値は301試験で評価したものを使用していますが、その内訳を見ていただきますと、介護者と同居していない、つまり一人暮らしの患者が2割以上含まれています。
10ページでは、介護者QOLの評価方法について意見を述べます。こちらは〇〇先生が作成した資料を改変し、掲載しております。
介護者QOLを評価する各アプローチに関して説明いたします。
Additive approachは、介護者のQOL値そのものを積算いたします。Decrement approachは、介護者のQOL低下分を積算いたします。NICEで使用されているIncremental approachは、健康状態ごとに最も悪い健康状態との差分を積算いたします。また、公的分析の手法については、健康状態ごとにさらに一段階悪化したときとのQOL値との差分を積算しています。
11ページ目を御覧ください。
介護者QOLの評価手法に関する課題を示しております。
Decrement approachとIncremental approachは介護負担のみを評価していますが、当社は介護負担のみが介護者のQOLではないと考えております。そもそもEQ-5Dは介護負担を評価するスケールではなく、対象者のQOL全体を評価するスケールです。そのため、介護負担のみを評価することは、EQ-5Dのコンセプトとも異なります。
また、Incremental approachと公的分析の手法は、最も介護負担の大きい重度アルツハイマー病のQOL値がゼロと設定されています。そのため、レカネマブによる重度アルツハイマー病の期間の短縮が介護者QALYに反映されず、Decrement approachで生じるQALY trapとは逆のQALY trapが発生いたします。
また、公的分析の手法については、これまで海外評価機関で使用された事例がなく、研究報告等もないため、一般的な手法ではありません。加えて、QALY trapによって過小評価が問題となっているDecrement approachよりもさらに小さい評価となっています。
12ページ目を御覧ください。
当社がAdditive approachを使用する理由を述べます。
まず、QALY trapを回避することが可能です。それによって、治療による患者の早期アルツハイマー病の期間の延長や、重度アルツハイマー病の期間の短縮を介護者QALYに反映することができます。
また、当社の考え方として、介護者QALYには、介護者が患者と共に過ごす時間の価値も含まれるものと考えております。そのため、患者の生存期間延長を介護者のQALYに計上するAdditive approachは過大推計ではなく、むしろそれ以外の手法が過小推計となると考えます。
最後になりますが、スライド13を御覧ください。
当事者やその家族におけるレカネマブの価値は適切に評価されるべきと考えております。そのためには、費用対効果評価の根幹をなす臨床実態やリアルワールドデータに基づいた審議を改めてお願いしたいと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
企業からの意見陳述にもございましたとおり、公的分析に対する御指摘がございましたので、これらに対して公的分析から御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
公的分析としましては、先ほど御説明したとおりですので特にコメントはございません。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
よろしければ、これで質疑応答を終了したいと思います。
企業の方々、御退室をよろしくお願いいたします。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは議論に先立ちまして、企業からの不服意見がございましたということで、科学院から改めて追加で御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
先ほど御説明したとおりで、これ以上見解等ございません。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について先生方に御議論をお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた企業からの提案と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようよろしくお願い申し上げます。
論点が4つほどございましたが、先生方、御意見いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○○先生、意見書に御意見をいただいておりますけれども、対照群のデータソースについて御意見をいただいておりますが、もしよろしかったら御解説いただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
オープンラベル試験の期間というのは、やっている人はみんな治験にエントリーした人たちだと思うのですけれども、●●ということを私は感じております。
ただ、費用対効果のいわゆるquality of lifeに関しての分析については、私は専門ではないので、コメントは差し控えさせていただきます。
したがって、18か月以上の先にメリットがあるということで分析をされている企業型というのは、論議に飛躍があるのではないかなというのが私の意見でございます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
先生、ありがとうございました。
○○先生からも御意見を頂戴しておりますが、効果減弱シナリオ、投与中止後のお話について、先生からもし御意見があればいただきたいと思います。
○○○委員
ありがとうございます。
まず、先ほどの先生の御意見と同じで、ADNIを対照群としているところでバイアスがかかっているというのは全く私も同じ意見です。
それから、病理学的なメカニズムでこうだと今回は主張されていらっしゃいましたけれども、やはり基本は臨床データをベースに考えるべきで、病理なりメカニズムがこうだからといって、治療効果がそれと一致しないことは枚挙にいとまがないというかたくさんございますので、あまりそれは説得力がない意見かなと思いました。
結局、中等度ADに移行するまでは、ハザード比0.704を提供し続けるということの根拠を何か示してくださるのかなと思ったのですけれども、示してくださらなかったので、基本的にはその他の部分も含めて判定としては変わらないということになります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
この介護者QOLの扱いなのですけれども、認知症は一番それが正面に出やすいと思うのですが、ほかの例えば神経難病系の今までの薬での費用対効果評価専門組織、我々の議論でどのような議論があったのかなということを確認したいと思いました。介護者QOLということは今までどういうふうになっていたでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
これは科学院のほうにお聞きしたほうがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
介護者のQOLが入った分析が提出されたのは今回が初めてでありまして、以前の検討というのはないという状況かなと理解しています。
以上です。
○○○委員
分かりました。大きな問題なので、これが先例になっていくのだとすると、コンサバティブにいく必要があるのかなと思いながら、それを含めながら何かワーキンググループなどで今後のガイドラインの改定も考えていく必要があるかなと思いました。
今回のことについては、科学院の御提案で私は賛成です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
介護負担の評価のところですけれども、企業側のスライドで4つほどパターンを挙げられていて、公的分析の手法が一番下のパターンだということですが、これはそういうことでよかったのかどうかということと、2番目、3番目とのパターンの違いといいますか、その辺をもう少し教えていただければと思ったのです。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、科学院さん、お願いします。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど御説明したとおり、additive incremental decrement approachというのは、患者さんが死亡した後に、介護者の方がどの程度のQOLで生存されるのかという問題と対応しているものと理解しています。
Additive approachについては、患者さんが亡くなった後に、介護者がQOLがゼロの状態で死亡まで生きるという設定と同じものであります。
また、incremental(2)については、介護者の方が患者死亡後に重度の介護状態と同じQOLで生存し続けるという設定でありまして、最後のdecrementについては、同じように死亡後、介護者が亡くなるまでの間、QOL値が1の状態、全く健康な状態で生存を続けるという仮定に基づいて計算されているものだと理解しています。
我々が御提案申し上げましたincremental(1)の手法については、患者さんのQOLが重度の介護をしているときとQOL値が1のときのおおよそ間を取っている場合の介護者負担というものに相当するものでありまして、我々としてはそのような仮定が最も妥当なのではないかと理解しているところです。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他いかがでしょうか。
では、私のほうから念のために、先ほどNICEのほうでは非推奨というようなお話がございましたが、他の評価機関の動向についても何かアップデートがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
他の評価機関についてはまだガイダンスが出ておりませんで、今のところイギリスのNICEが我々の知る限り最も早いガイダンスではないかと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
今回は、公的分析が出された結果とNICEの結果はほぼ同じというような解釈でよろしいでしょうか。
科学院さん、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
ICERの数値としては、おおよそ類似した値なのかなと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
先生方、その他いかがでしょうか。
御意見とかを踏まえますと、基本的には今回は公的分析の内容を支持するという形だと理解しておりますが、その他何か御質問、御確認があればいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきます。
先生方の御意見を参考に、レケンビ点滴静注に関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、レケンビ点滴静注に係る総合的評価について、専門組織で決定された総合評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告をいたします。
なお、企業に対する内示及び中医協に提出する資料に関しましては、委員長に一任していただくということで、こちらもよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
レケンビ点滴静注に係る総合評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思います。
まずはこのレケンビについて、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る総合評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でレケンビ点滴静注の総合評価について御説明をお願いします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。
○意見陳述者
企業の〇〇と申します。
本日、レカネマブの費用対効果評価について、不服の意見を陳述いたします。
2ページ目を御覧ください。
公的分析の結果が妥当であるとする総合評価結果について、3つの論点を陳述いたします。
1点目として、臨床実態を反映するためには長期推計の分析が必要であり、これは企業分析モデルが可能であること。
2点目として、投与中止後の有効性について、中等度に至るまでは効果が継続し、その後の病期の進行に伴い、hazard ratioを1とする効果減弱シナリオの検討について。
3点目として、介護者QOL全体で評価できるAdditive approachの採用が必要であること。
以上の3点について述べさせていただきます。
3ページ目を御覧ください。
最適使用推進ガイドライン、全例調査に加えて、日本認知症学会からは保険診療における留意点も臨床医向けに通知されており、18か月以降の投与継続に関する長期推計はレカネマブの適切な評価において必要不可欠であると考えております。
企業分析では、第Ⅲ相試験であります301試験OLE期におけるエビデンスを活用し、18か月以降の投与継続を考慮した分析を行っています。18か月以降の長期推計を含めた実臨床の実態を反映しレカネマブを適切に評価するためには、企業分析モデルを用いることが妥当であると考えております。
4ページ目を御覧ください。
費用対効果評価においては、臨床実態を反映することが重要です。国際医薬経済・アウトカム研究学会(ISPOR)が提案するモデルの透明性と検証を実現するための推奨事項では、モデルの構築方法を確認できる透明性と、モデルが現実をどれだけ正確に再現しているかを示す検証が必要であると述べています。また、日本の分析ガイドラインにおいても、使用するモデルの妥当性について示すことが記載されています。
当社の分析モデルは、ISPORの推奨に沿って透明性を持ち、内部検証、外部検証、交差検証を実施し、妥当性が示されたモデルです。
5ページ目を御覧ください。
専門組織が妥当と判断した公的分析モデルは、レカネマブの長期投与モデルを反映しておらず、投与を18か月に限定しています。
また、公的分析は、投与期間を延ばした場合のICERへの影響を見た感度分析を提示しています。この感度分析において、投与期間を変化させても同じ結果が試算されるというモデルの頑健性は示されていますが、公的分析が設定した仮定の検証はなされておらず、アルツハイマー病の病態推移を正しく再現しているかといった妥当性は示されていません。
6ページ目を御覧ください。
さらに公的分析が実施した感度分析では、投与期間の延長分に比例して、線形に治療効果を拡大する仮定を前提としています。しかし、これは治療効果であるCDR-SBの変化量の群間差が非線形に拡大する301試験OLEの結果と異なっています。
つまり、公的分析や長期集計の補強として実施した感度分析は、臨床実態と照らし合わせて長期推計の代替とならないことから、企業分析による長期推計が必要です。
続きまして、7ページ目からは投与中止後の有効性について説明いたします。
当社は、投与中止後すぐに効果がなくならないことを第Ⅱ相試験のエビデンスやエキスパートオピニオン、病理学的な見解などを交えて説明してまいりました。
一方、公的分析の報告書では、投与中止後すぐに効果がなくならないことは理解されつつも、定量的に示すことは困難であるとし、hazard ratioを1とする設定にしています。
先ほど説明したとおり、実臨床が考慮されず、投与期間を18か月のみとし、投与中止後の有効性が全くないとする設定により、ICERは1QALYあたり約1000万円上昇します。本薬剤の真の価値を示すためにも、分析方針について、実臨床に沿った効果減弱シナリオを検討いただきたいと考えております。
8ページ目を御覧ください。
301試験では、Core期間、OLE期間ともに、投与中止例も当初のスケジュールどおり臨床的有効性評価を実施する規定としています。そのため、投与中止例を含めて算出されたhazard ratio0.704をOLE期間内の中止後の有効性に設定することは妥当であると考えています。また、欠測値においてもMMRM法を活用し、hazard ratioに反映しております。
ここで、これまでの議論を踏まえつつ、費用対効果評価の枠組みとして、OLE期間後の投与中止例は、中等度に至るまでは効果が継続するとし、中等度への病期移行に伴い、hazard ratioを1とする効果減弱シナリオの検討について提案いたします。
9ページ目を御覧ください。
介護者QOLの評価方法について当社の意見を述べます。
Additive approachは、一人暮らしの患者が存在する臨床実態は反映できないとコメントをいただきました。当社の介護者QOL値は301試験で評価したものを使用していますが、その内訳を見ていただきますと、介護者と同居していない、つまり一人暮らしの患者が2割以上含まれています。
10ページでは、介護者QOLの評価方法について意見を述べます。こちらは〇〇先生が作成した資料を改変し、掲載しております。
介護者QOLを評価する各アプローチに関して説明いたします。
Additive approachは、介護者のQOL値そのものを積算いたします。Decrement approachは、介護者のQOL低下分を積算いたします。NICEで使用されているIncremental approachは、健康状態ごとに最も悪い健康状態との差分を積算いたします。また、公的分析の手法については、健康状態ごとにさらに一段階悪化したときとのQOL値との差分を積算しています。
11ページ目を御覧ください。
介護者QOLの評価手法に関する課題を示しております。
Decrement approachとIncremental approachは介護負担のみを評価していますが、当社は介護負担のみが介護者のQOLではないと考えております。そもそもEQ-5Dは介護負担を評価するスケールではなく、対象者のQOL全体を評価するスケールです。そのため、介護負担のみを評価することは、EQ-5Dのコンセプトとも異なります。
また、Incremental approachと公的分析の手法は、最も介護負担の大きい重度アルツハイマー病のQOL値がゼロと設定されています。そのため、レカネマブによる重度アルツハイマー病の期間の短縮が介護者QALYに反映されず、Decrement approachで生じるQALY trapとは逆のQALY trapが発生いたします。
また、公的分析の手法については、これまで海外評価機関で使用された事例がなく、研究報告等もないため、一般的な手法ではありません。加えて、QALY trapによって過小評価が問題となっているDecrement approachよりもさらに小さい評価となっています。
12ページ目を御覧ください。
当社がAdditive approachを使用する理由を述べます。
まず、QALY trapを回避することが可能です。それによって、治療による患者の早期アルツハイマー病の期間の延長や、重度アルツハイマー病の期間の短縮を介護者QALYに反映することができます。
また、当社の考え方として、介護者QALYには、介護者が患者と共に過ごす時間の価値も含まれるものと考えております。そのため、患者の生存期間延長を介護者のQALYに計上するAdditive approachは過大推計ではなく、むしろそれ以外の手法が過小推計となると考えます。
最後になりますが、スライド13を御覧ください。
当事者やその家族におけるレカネマブの価値は適切に評価されるべきと考えております。そのためには、費用対効果評価の根幹をなす臨床実態やリアルワールドデータに基づいた審議を改めてお願いしたいと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
企業からの意見陳述にもございましたとおり、公的分析に対する御指摘がございましたので、これらに対して公的分析から御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
公的分析としましては、先ほど御説明したとおりですので特にコメントはございません。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方々から御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。
よろしければ、これで質疑応答を終了したいと思います。
企業の方々、御退室をよろしくお願いいたします。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは議論に先立ちまして、企業からの不服意見がございましたということで、科学院から改めて追加で御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
先ほど御説明したとおりで、これ以上見解等ございません。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について先生方に御議論をお願いしたいと思います。
なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた企業からの提案と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようよろしくお願い申し上げます。
論点が4つほどございましたが、先生方、御意見いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○○先生、意見書に御意見をいただいておりますけれども、対照群のデータソースについて御意見をいただいておりますが、もしよろしかったら御解説いただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
オープンラベル試験の期間というのは、やっている人はみんな治験にエントリーした人たちだと思うのですけれども、●●ということを私は感じております。
ただ、費用対効果のいわゆるquality of lifeに関しての分析については、私は専門ではないので、コメントは差し控えさせていただきます。
したがって、18か月以上の先にメリットがあるということで分析をされている企業型というのは、論議に飛躍があるのではないかなというのが私の意見でございます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
先生、ありがとうございました。
○○先生からも御意見を頂戴しておりますが、効果減弱シナリオ、投与中止後のお話について、先生からもし御意見があればいただきたいと思います。
○○○委員
ありがとうございます。
まず、先ほどの先生の御意見と同じで、ADNIを対照群としているところでバイアスがかかっているというのは全く私も同じ意見です。
それから、病理学的なメカニズムでこうだと今回は主張されていらっしゃいましたけれども、やはり基本は臨床データをベースに考えるべきで、病理なりメカニズムがこうだからといって、治療効果がそれと一致しないことは枚挙にいとまがないというかたくさんございますので、あまりそれは説得力がない意見かなと思いました。
結局、中等度ADに移行するまでは、ハザード比0.704を提供し続けるということの根拠を何か示してくださるのかなと思ったのですけれども、示してくださらなかったので、基本的にはその他の部分も含めて判定としては変わらないということになります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員の先生方、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
この介護者QOLの扱いなのですけれども、認知症は一番それが正面に出やすいと思うのですが、ほかの例えば神経難病系の今までの薬での費用対効果評価専門組織、我々の議論でどのような議論があったのかなということを確認したいと思いました。介護者QOLということは今までどういうふうになっていたでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
これは科学院のほうにお聞きしたほうがよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
介護者のQOLが入った分析が提出されたのは今回が初めてでありまして、以前の検討というのはないという状況かなと理解しています。
以上です。
○○○委員
分かりました。大きな問題なので、これが先例になっていくのだとすると、コンサバティブにいく必要があるのかなと思いながら、それを含めながら何かワーキンググループなどで今後のガイドラインの改定も考えていく必要があるかなと思いました。
今回のことについては、科学院の御提案で私は賛成です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員、いかがでしょうか。
○○委員、お願いします。
○○○委員
介護負担の評価のところですけれども、企業側のスライドで4つほどパターンを挙げられていて、公的分析の手法が一番下のパターンだということですが、これはそういうことでよかったのかどうかということと、2番目、3番目とのパターンの違いといいますか、その辺をもう少し教えていただければと思ったのです。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、科学院さん、お願いします。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど御説明したとおり、additive incremental decrement approachというのは、患者さんが死亡した後に、介護者の方がどの程度のQOLで生存されるのかという問題と対応しているものと理解しています。
Additive approachについては、患者さんが亡くなった後に、介護者がQOLがゼロの状態で死亡まで生きるという設定と同じものであります。
また、incremental(2)については、介護者の方が患者死亡後に重度の介護状態と同じQOLで生存し続けるという設定でありまして、最後のdecrementについては、同じように死亡後、介護者が亡くなるまでの間、QOL値が1の状態、全く健康な状態で生存を続けるという仮定に基づいて計算されているものだと理解しています。
我々が御提案申し上げましたincremental(1)の手法については、患者さんのQOLが重度の介護をしているときとQOL値が1のときのおおよそ間を取っている場合の介護者負担というものに相当するものでありまして、我々としてはそのような仮定が最も妥当なのではないかと理解しているところです。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他いかがでしょうか。
では、私のほうから念のために、先ほどNICEのほうでは非推奨というようなお話がございましたが、他の評価機関の動向についても何かアップデートがあればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
他の評価機関についてはまだガイダンスが出ておりませんで、今のところイギリスのNICEが我々の知る限り最も早いガイダンスではないかと思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
今回は、公的分析が出された結果とNICEの結果はほぼ同じというような解釈でよろしいでしょうか。
科学院さん、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
ICERの数値としては、おおよそ類似した値なのかなと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
先生方、その他いかがでしょうか。
御意見とかを踏まえますと、基本的には今回は公的分析の内容を支持するという形だと理解しておりますが、その他何か御質問、御確認があればいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきます。
先生方の御意見を参考に、レケンビ点滴静注に関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、レケンビ点滴静注に係る総合的評価について、専門組織で決定された総合評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告をいたします。
なお、企業に対する内示及び中医協に提出する資料に関しましては、委員長に一任していただくということで、こちらもよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。

