- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 >
- 2025年1月24日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第8回議事録
2025年1月24日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第8回議事録
日時
令和7年1月24日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、野﨑 博之専門委員、髙橋 祐二専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
議題
○ レケンビ点滴静注に関わる企業分析報告及び公的分析レビュー結果について
議事
〇費用対効果評価専門組織委員長
まずはレケンビ点滴静注に関わる企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で企業分析の内容について、先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に関わる企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でレケンビ点滴静注に関わる企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。では、始めてください。
○意見陳述者
よろしくお願いいたします。企業の〇〇です。本日はレカネマブの費用対効果評価における企業分析結果について御説明させていただきます。
まず、こちらに分析の枠組みをお示ししております。今回の分析では中医協での要請を受け、公的医療の立場に加えて、公的医療・介護の立場の分析も実施をしております。
その他の指摘事項でございますけれども、レカネマブと症状改善薬の交互作用についてエキスパートオピニオンにおいて検討いたしましたところ、作用機序が明確に異なるため、その可能性は低いという御回答を得ております。
また、301試験の全体集団を用いた分析につきましては、シナリオ分析として企業分析報告書に記載をしております。
3点目の企業分析の特徴でございますけれども、まず、本分析はレカネマブの第三相試験であります301試験の結果から病態推移予測を行い、可能な限り日本のリアルワールドデータを活用して分析を行いました。
レカネマブの有効性につきましては、投与18か月間は301試験Core studyの患者データから病態推移を使用し、18か月以降は昨年7月にAAIC2024で発表された301試験のOLE期間36か月で得られたデータを使用しております。
レカネマブの治療中断は36か月までは301試験の中止率の推移、36か月以降の中止率は36か月までの年間中止率を月当たり変換して使用しております。
また、レカネマブの長期有効性、投与中断のルール、中断後の有効性については、日本の6名の治験担当医によるアドバイザリーボードを開催し、エキスパートオピニオンとして参考にしております。
18か月など、投与期間での中止は判断せず、中等度ADに進行した場合及び施設入所した場合は投与を中止するということといたしました。
301試験OLE期の結果から、投与を継続している限りは有効性が継続するとし、中断後には適切なエビデンスを示す数値がないことから、効果がすぐになくなることはないというような御意見を踏まえ、中断前のHazard ratioで仮定をしております。
公的介護費用、介護者QOLについては、後段で詳細について御説明いたします。
次の分析結果というスライドでございますが、こちらが企業分析の結果でございます。(a)(b)2つの集団についてレケンビ特例に対応し、基本分析である公的医療・介護の立場に加え、公的医療の立場での分析をICER及びICERが500万QALYとなる価格として示しております。
次のページも分析結果でございますけれども、レケンビ特例の価格調整方法として、現行薬価とICERが500万/QALYとなる価格の差の25%を薬価が調整することから、企業分析の結果における調整後価格は、こちらに示しているとおりとなります。
次に公的介護費用の分析に関する説明です。この項目では本分析における重要項目でございます公的介護費用の分析について御説明いたします。
本分析におきましては、公的医療・介護の立場を基本分析としておりますが、レケンビ特例を踏まえ、公的医療の立場の分析も併せて実施をしております。
企業分析における介護費用に参照した研究というLIFE Studyのスライドでございますが、介護費用は自治体が保有する保健・医療・介護・行政などの健康関連データを個人単位で統合したデータベースであります九州大学のLIFE Study研究成果を参照しました。
まず、LIFE Studyを参照した経緯について御説明いたします。介護費用の取扱いについては、中医協において研究の推進が求められていることから、当初、C2HとNDB/介護DBの連結データの共同解析を申請いたしました。しかしながら、データ入手時期の見通しが立たないということから、企業分析期間中での共同解析は困難と判断され、受け入れられませんでした。
そのため、医療・介護レセプトが連結された数少ないデータベースであるLIFE Studyによる介護費用の研究成果を参照することにいたしました。
下段右側のグラフでお示ししているAD重症度別の介護費・医療費が実際に参照した費用のデータとなります。
次の8ページ目のスライド、企業分析における介護費用に参照した研究:LIFE Studyというスライドでございます。LIFE Studyの研究成果を参照するに当たりまして、一般化可能性とAD重症度別の費用の算出方法について、事前に検証を行っております。今回参照したLIFE Studyは、12自治体を対象としたものでありますので、2021年度の厚生労働省介護給付費実態統計などを使用して比較を行いました。その結果、LIFE Studyの集計結果と全国の実態に大きな違いは見られませんでした。
また、AD重症度別の費用の算出方法についても検証を行っております。LIFE Studyに限らず、現在参照可能な医療・介護のデータベースはADの重症度に関する情報が含まれておりません。そこで、2013年の朝田の報告におけるAD重症度別の要介護度分布を使用してADの重症度別の費用を算出しました。10年前の朝田の報告を使用するに当たっては、直近のJMDC社のデータベースにおける要介護度の分布と比較し、全体の傾向に大きな違いがなかったということを確認しております。
以上が介護費用について参照したLIFE Studyの説明になります。
9ページ目、レカネマブによる医療費・公的介護費の削減効果でございます。今回のシミュレーション結果で得られたレカネマブによる医療費・公的介護費の削減効果は、医療費の約5~8倍であり、レカネマブによる公的介護費を含めた社会的インパクトの大きさがうかがえると考えております。
次のページから、公的分析班からの照会事項に対する説明に移らせていただきます。こちらに対して当社の見解を御説明します。
次の11ページ、公的分析からの照会事項と当社の見解について述べさせていただきます。
まず、介護者のQOLについては、分析ガイドラインで公的医療・介護の立場からの分析の場合、家族などの介護者に与えるQOL値への影響について考慮してもよいとあります。
これに関し、公的分析からの照会事項では、QALY算出時に考慮してよいのはあくまでもその影響、すなわち差分であり、介護者のQOL値自体ではないとありました。
しかしながら、このガイドラインの記載では、公的分析の主張する影響が差分であり、しかもそれが減少分に限定されること、さらに介護者のQOL値そのものではないということまでは読み取れないと考えております。
また、公的分析が主張する減少分の使用については、海外の評価事例で課題が報告されております。そちらでは患者が亡くなられたとき、その瞬間に介護者のQOLが元に戻ることで、QALY上、患者の早期死亡は介護者のQALY改善という矛盾が起こるからです。
当社は減少値を用いる仮定は不合理であり、死亡後もある程度の期間、QOLの低下が持続すると考えております。介護者のQOLへの影響そのものが生存期間を超えて持続することを前提としておりますことから、QOLへの影響が差分であると読み解くこと自体が不適切であると考えております。
次のスライドでは、これを実際のレカネマブの例でお示しいたします。次のページの当社見解の根拠というスライドでございます。
レカネマブのモデルシミュレーションでは、レカネマブ治療によってMCI due to ADの期間を1.32年、軽度ADの期間を0.31年延長し、これらを合わせた早期ADと呼ばれる期間を1.62年延長することが推計されました。この期間の延長は絶対値を用いる方法、Additive Approachにおいては、介護者のQALYが患者の早期AD期間の延長分、そのまま1.51QALYの増加として表されます。
一方、減少値を用いる方法では、介護者のQALYは0.005QALYの損失として表されます。つまりレカネマブの効果により、患者様にとって認知機能がある程度保たれ、家族とコミュニケーションを取れる期間が延長するということは、家族介護者にとってもベネフィットであるといえますが、減少値を用いた場合、家族介護者がQALYを失うという矛盾する結果がもたらされることになってしまいます。
次のページ、Decrement Approachにおける「Carer QALY trap」のスライドでございます。
実際に301試験においてZaritを指標とした介護負担の評価では、レカネマブ治療は18か月時に介護負担度の増大を38.4%抑制するという結果が示されました。公的分析が主張する減少分を使用した結果は、この301試験で得られたZaritの結果とも矛盾します。このようなCarer QALY trapが発生する手法は、当社としては不適切であると判断し、代わりにこの問題を回避し、介護者の実際の経験を最もよく反映する手法として、絶対値による手法、Additive Approachを採用しております。
当社の説明は以上となります。御清聴どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方から御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院からレケンビ点滴静注に関わる企業分析についての公的分析のレビュー結果の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答させていただきます。お願いします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料ですけれども、費用対 費-1-4、レケンビ(レカネマブ)のレビュー結果概要を御参照ください。
1ページ目、こちらに企業によって御提出いただいた分析の課題について整理しております。
論点の1点目としてはレカネマブの有効性に関する推計について、2点目は患者及び介護者のQOL値の設定について、3点目は費用の推計方法について、4点目がモデルの再構築についてということで挙げさせていただいております。
2ページ目、論点の1番目ですけれども、レカネマブの有効性に関する推計についてということでありまして、企業によって御提出いただいた分析では、MCI、軽度AD、中程度AD、重度AD、死亡という5つの状態を一定の確率で動く分析モデルを用いて分析されています。
このモデル自体については、アルツハイマー型認知症の分析においては一般的に用いられる構造でありまして、モデルの構造自体については公的分析としても受入可能なのではないかと考えているところです。
しかし、特に製造販売業者によって提出されたモデルについては、次ページ以降で御説明するような課題がありまして、レカネマブの増分費用効果比が過少に推計されている恐れがあるのではないかと考えているところです。
3ページ目、論点1のaの論点になりますけれども、レカネマブの投与と効果の関係性についてとさせていただきました。真ん中に図のようなものを書かせていただきましたが、レカネマブの投与状況、投与継続率、レカネマブの効果がどのように設定されているかということを表したものになります。この表を御覧いただけますとお分かりになるように、製造販売事業者による分析モデルでは、レカネマブの投与状況とその効果の関係が対応していないものと考えているところです。
具体的に申し上げると、4ページ目、レカネマブの投与割合というのは、モデル上で経時的に一定の割合で減少していくことになっていますが、集団としての重症化抑制効果というのは、投与割合にかかわらずそのまま外挿されているところになります。そのため、投与割合が減少しても、そのまま効果の差が拡大していくような設定となっています。
また、患者が中等度ADに移行した後の有効性については、軽症例と同等の効果を有するとしていますが、企業モデルでは中程度に移行した瞬間にレカネマブの投与が中止されることになっています。
また、中等度ADの重症化抑制効果について観察されたデータは今のところ存在しません。
上記の点について、公的分析としては課題を整理して検討を行いたいと考えているところです。
5ページ目、2点目になりますけれども、レカネマブの長期的な効果の推計についてということになります。こちらも真ん中のほうに表を書かせていただいておりまして、使用した臨床データ、分析対象集団、モデルにおける投与の継続率、モデル上のレカネマブの効果という4点について表形式でお示しさせていただきました。この表を御覧いただければお分かりかと思いますけれども、18か月目前後で使用した臨床試験データの対象集団、あるいは投与継続率というのが異なる値で設定されております。
6ページ目、製造販売業者の分析モデルでは、ピボタル試験の期間を超えた18か月以降の重症度の推移確率を301試験の非盲検長期継続試験を用いて推定しています。CDR-SBスコアが悪化するまでの時間をアウトカムとした場合のレカネマブとコホート研究、これをマッチさせた対照群のハザード比が0.704と推定されたため、18か月以降の治療効果として0.704というものを用いて長期効果を推計しています。
しかし、継続試験におきましては、301試験のITT集団ではなく、レカネマブの投与が継続された患者さんが組み入れられているため、選択バイアスが生じている可能性があります。
7ページ目は参考までに治療効果のイメージ図をお示ししています。投与終了後も差が拡大する場合というのは2つの直線、緑と青の直線の幅というか差が広がっていきますが、投与終了後は差が維持されるような場合というのは、レカネマブと比較対照群の差が一定に保たれるというような関係を示すことになります。
8ページ目は企業の報告書で提出された図になりますけれども、左側の白い部分は301のピボタル試験、青い部分が後継の継続試験になりますけれども、この18か月のところで使うデータを切り換えたところで、明らかに緑線と赤線が折れ曲がっているということが視覚的にお分かりになるのではないかなと思っております。
このような点から、9枚目になりますけれども、公的分析では製造販売業者が設定したレカネマブの有効性に関する長期予測について、以下の点に課題があると考えました。
1点目は、18か月以降のデータというのは、18か月以降の継続試験に移行した患者のものであり、ITT集団ではなく、そのため、患者集団が異なっている。
36か月目以降については、18か月から36か月までのデータをそのまま外挿していますが、しかし、そこに実際に観測されたデータは存在しません。
また、患者が中等度ADに移行した後の有効性、重度への移行の抑制効果については、軽症等と同等の効果を有するとされています。しかし、中等度ADの重症化抑制効果について観察されたデータはありません。
10ページ目は3点目の有効性に関する論点になりますけれども、レカネマブによる生存期間の延長効果についてということになります。
製造販売業者は日本人の85歳の地域居住高齢者を対象とした観察研究の結果に基づいて、重症度別の死亡率を設定されています。
そのため、軽度認知障害や軽度アルツハイマー型認知症の期間が延長されるレカネマブ群では、生存期間が延長するという前提で分析がされています。実際に提出いただいた分析においては、レカネマブ群は分析対象集団(a)で0.7年、分析対象集団(b)で0.5年の生存延長となっています。
しかし、そもそも臨床試験においては、レカネマブのプラセボに対する生存延長の効果を示されていません。また、仮に生存期間が延長するとしても、その程度は明らかではないと考えております。
公的分析では上記の点について課題を整理し、検討を行いたいと考えているところです。
11ページ目以降、こちらは論点の2番目、患者さん及び介護者のQOL値の設定についてという論点を挙げさせていただいております。
1点目ですけれども、まず、治療群間でのQOL値の差についてです。製造販売業者は301試験におけるEQ-5Dの測定値を用いてQOL率を設定しています。
各群における推定値をそのまま分析に使用しているため、重症度の同じ集団に対してもレカネマブ群のQOL値が比較対照群より高く設定されているということになっています。
しかし、これらの両群間のQOL値に群間の差はなく、また、同一の健康状態においてQOL値に差があるということの臨床的な解釈も困難かと考えています。
12ページ目が2点目、家族介護者のQOL値の算出方法についてです。先ほど企業の方の御説明でQALY trapというお話がありましたけれども、それに関する御説明になります。製造販売業者では家族介護者のQOL値について、家族介護者のQOL値の減少分、disutilityと呼んでいますけれども、これではなくて、先ほど御説明があったように、その絶対値を用いて計算をしています。
そのため、認知症患者の生存年数が延長する場合、家族介護者のQOL値が群間で相殺されず、介護者のQOL値そのものが認知症患者の生存期間の延長に対応して加算されることになります。
製造販売業者は公的分析からの照会に対して、Carer gapが存在するため、QOL値の絶対値を用いたという回答をいただきましたが、QOL値の絶対値を用いるということは、このことの解決にはならないと伺いますし、また、学術的にはこのようなQALY trap、あるいはCarer gapの存在を問題視するかどうかというのは、議論の分かれるところかなと考えています。
13ページ目、これはQOL値一般論として、介護者負担のQOL値の考え方について、仮想的な例でありますけれども、数値例を用いて御説明したいと考えています。
上のバーが評価対象群の生存期間で、2年間生存して、その後死亡する、比較対照群の生存期間は1年間で、その後死亡するというようなヒストリーを考えます。それぞれの期間に対応したQOLは下の表に書いてありますように、(a)(b)(c)(d)で、患者さんのQOLが0.7、介護者自身のQOLが0.8、介護がなかったときの介護者自身のQOLが0.85、よって介護者のQOLの減少分は0.05と設定しております。これはあくまで仮想的な例です。この際に介護者の介護負担をどのようにQALYに反映させるかということが今回の論点の課題と考えています。
14ページ目、こちらは先ほど御説明いただいたように企業分析での計算方法をお示ししています。
評価対象群が2年間生存する、これに対応して獲得されるQALYというのは、患者さんのQOLと介護者自身のQOLの2年分でありまして、合計で赤字部分の3.0QALYが獲得されることになります。
一方、比較対照群では、1年間で患者さんが亡くなることから、患者さんのQOLと介護者自身のQOL、この2つが合わさって1.5QALYと計算されることから、評価対象群で獲得できる追加QALYは1.5QALYと計算されることになります。
しかし、この際に獲得される介護者の増分QALYというものは、上の図における紫の矢印1本分ということになり、0.8QALY追加で獲得されることになります。しかし、この0.8QALYというのは介護負担の大きさではなく、介護者自身のQOLということになりますので、患者と介護者の2人分のQALYが二重に計算されていることになります。
一方、15ページ目、これが通常の計算方法と考えているのですが、介護者によるQOLの減少分、介護負担の大きさのみを考慮する場合は、このような計算方法になるという数値例であります。
評価対象群では、患者さんのQOLと介護者のQOL値の減少分、この両方を考慮すると、1.4QALYから0.1QALYを引いて1.3QALY、比較対照群は1年間で死亡するので、患者さんのQOLと介護者のQOL値の減少分も合わせて0.65QALYですので、評価対象群で獲得できる追加QALYは1.3から0.65を引いた0.65QALYと計算されます。介護者の増分QALYとして想定されるのは、薄紫の矢印1本分、0.05QALYと考えるのが適当なのではないかと考えております。
16ページ目、先ほど御説明した数字は非常に簡単なものだったのですけれども、もう少し複雑に考えてみるとこのようになるということでありまして、今回詳細に御説明するのは割愛させていただきますけれども、御参照いただいて疑問点などがあれば、後ほどの議論のときに御質問いただければと考えております。
また、17枚目がCarer gap、あるいはQALY trapといわれるものの仮想例でありますけれども、レカネマブ群の生存期間が12か月、生存期間の延長が6か月だと考えますと、介護負担による介護者のQOL値の低下は0.05と考えると、レカネマブ群のQOL値の低下、介護者のQOL値の低下が18か月分、これが0.075QALY、一方、比較対照群のQOL率の低下分というのが0.05QALYと計算されますので、生存期間が延びる分だけ評価対象群のQOL値の低下幅が大きくなるという問題が生じるということかと理解しております。
このような現象が起こることは公的分析としても十分理解しているところなのですが、このことが生存期間延長分の介護者QOLを不利に評価しているのだと企業側が御主張されているように考えるか、実際の介護者負担を正常に反映しているものだと考えるかどうかというのは、少なくとも議論の分かれるところかと考えています。
18ページ目、QOL値の設定における3番目の論点、施設入所が介護者のQOL値へ与える影響についてです。
製造販売業者は、先行研究において施設入所により介護者のQOL値が低下する傾向を示していたため、施設の介護入所により介護者のQOL値が0.05低下するという設定をされています。
しかし、このデータ源となった研究はイギリスのものであり、我が国への適用可能性については不明であると考えています。また、回帰モデルで推計された係数でありますけれども、こちらに有意差はありません。
通常考えるところでは、患者さんが施設入所すると家族等による介護負担が軽減することが一般的であり、施設入所により家族介護者のQOL値が低下するということは非常に考えにくいのかなと考えております。
19ページ目、公的医療の立場での分析についてですけれども、製造販売業者は公的医療の立場からの分析においても家族介護者のQOL値を考慮に入れて計算しています。
しかし、費用対効果の分析ガイドラインを参照すれば、あくまで家族介護者のQOL値というのは、公的医療・介護の立場から分析いただく際に入れてよいとされているものでありまして、このことから公的医療の立場からの分析においては、家族介護者のQOL値の影響を除外する必要があるものと考えております。
20ページ目は論点の3番目、費用の推計方法についてです。
aの論点として挙げさせていただいたのは、施設入所の費用についてということでありまして、製造販売業者はMCI、あるいは軽度認知症患者においても施設入所の費用を分析に含めておりますが、MCI、あるいは軽度認知症患者が認知症の症状のみで施設入所することはまれではないかと考えています。
製造販売業者は既存の疫学研究データに基づいて入所率等を推計していますが、当該疫学研究の対象者には脳血管性の認知症の患者さんなどが含まれており、それらに起因して介護が必要になっているものと想定するのが妥当ではないかと考えています。
また、費用の2点目の論点ですけれども、介護費用の推計について、こちらは先ほど御説明があったように、企業の分析では九州大学のLIFE Studyのデータベースを用いて算出されていますが、LIFE Studyというのは限られた自治体におけるレセプト情報から抽出されたデータであるため、いわゆる介護データベースを使用して介護費の妥当性について改めて検討させていただきたいと考えております。
22ページ目、論点の4番目のモデルの再構築についてです。
製造販売業者が作成したマルコフモデルにおいては、レカネマブの投与期間、投与割合と治療効果等を対応づけて分析するなど、技術的な困難さがあるため、今まで御説明したような差異分析を実施するためには、製造販売業者による提出モデルをそのまま用いて行うことが困難であります。そのため、公的分析として新たな分析モデルを作成して検討を行うということにしました。
その際には、重症度別の状態間の推移を考えるのではなく、状態が悪化するまでの期間に着目し、モデルを構築しようと考えているところです。現在、実際のモデルや評価結果については精査中でありますが、次回お示しできればと考えています。
状態が悪化するまでの期間については、次ページのように製造販売業者により計算されておりまして、この結果に基づいて分析モデルに関する検討を行いたいと考えています。
最後の24ページ目、以上の検討、レビュー結果から、公的分析としては再分析の必要がありだと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方から御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了します。
企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。
議論の論点ですけれども、大きく4ついただいております。レカネマブの有用性に関する推計、患者及び介護者のQOL値の設定、費用推計の方法、モデルの再構築ということで、先ほど科学院さんのほうから御説明があったとおりだと思います。これらを中心に御議論いただきたいと思っております。
まずは臨床の専門委員の先生が出席されておりますので、そちらから御意見をいただきたいと思います。
○○先生、コメントをいただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
科学院の方と全く同じ意見なので、あまり付け加えることはないのですけれども、結局軽度から中等度に移行したというところの差を生存期間と同じ扱いをしているところがどうしても問題なのかなというのがあって、そこで結局いろいろな課題、例えば介護者のQOLの課題とか、そういうのも全部そこに関わってくるのではないかという気がしているので、そういう遷移モデルよりも時間的な経過によって徐々に悪化していくというのをうまくモデル化するほうが妥当なのではないかなと思ったわけでございます。
あとは意見書に書いてあるとおりです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
生存期間の延長というところが非常に重要であるという御指摘かと思います。
○○先生、御意見をいただいてよろしいでしょうか。
○○○委員
○○でございます。これは非常に難しいと思いますけれども、実際には、恐らくMCIというのは生活に支障がないわけだから介護とかそういうのは多分ないはずで、軽度もMMSEの値から考えてもそんなにひどい状態では多分ないのです。介護負担の評価というのは、印象的には非常に難しいのかなと感じたところでございます。
あとは国立保健医療科学院の意見のとおりと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
軽度のステージにおける介護負担者の水準の話を伺ったところであります。
その他の先生から御意見をいただきたいと思います。
○○委員、結構意見書をいただいておりますけれども、最初にコメントをいただければと思いますがいかがでしょうか。
○○○委員
○○先生がおっしゃるのと私も全く一緒で、MCIの期間が延びるということをそのまま生存期間の延長というように、知らない間に論点をずらして、長生きするからトラップみたいなことが生じるというのですけれども、そもそもそこがかなり恣意的な前提を置いているような気がするので、そこは押さえておかないといけないと思います。延びるかもしれませんけれども、延びるというデータがどこにもないので、それはあまりに仮定がすぎると思います。
それから、○○先生がおっしゃったのですけれども、MCIで生活に支障のない人に介護の負担が生じるというのも、理屈では考えにくいです。それから、認知症スコアみたいなものについてです。あれも前回、私は御質問したのですが、そのスコアの一部を使ってちょっとよくなったからというので、主要な効果指標にしていいでしょうかということもお伺いしたのです。
そのスコアでも○○先生のおっしゃるように、介護負担が増すようなマイルドなものでもなさそうということでいうと、企業はデータを示していらっしゃいましたけれども、あれぐらい軽いところでも負担があるというデータがあるのは、どういうことに由来するのかなと感じました。いずれにせよ、まずは生存期間を延長するという前提を置いた企業の分析は、そのままではアクセプタブルではないので、再分析は絶対に必要だと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生も同じような観点の御意見をいただいていますが、コメントをいただけますか。
○○○委員
生存期間の延長に関しては、これは印象ですけれども、エビデンスはもちろんないわけですけれども、重篤な状態をある程度遅らせることができれば、多少ともQOLがかなり低い状態であったとしても延長するということは、可能性としては考えられるかなという印象を持っています。
それから、介護者のQOLなのですが、ガイドライン上は介護者のQOLは考慮に入れていいということになっていると思うのですけれども、ただ、それも実際のデータがある場合ということになっているわけで、実際のデータがどの程度信頼性のあるデータが得られるのかというところが、かなり半信半疑な印象です。例えば介護者にEQ-5Dをもしやったとしても、EQ-5Dは活動度とか痛みとか、ふさぎ込みだとか、そんなことを評価しているのですけれども、そういった質問で果たして介護者のQOLの妥当性のある評価ができているのかどうかというようなことが疑問で、そういう点で介護者のQOLを分析に入れることがいいのかどうかというところを少し疑問に思っているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
貴重な御意見をありがとうございます。
○○委員も御意見をいただいていましたが、何かコメントはございますでしょうか。
○○○委員
○○でございます。科学院の論点に関しては全て賛成でありまして、ぜひこの点を直して再分析のほうを検討いただければと思います。
特に企業のほうがいわゆる介護者のQOLの算出の仕方についていろいろな論文を、●●しているところが大変気になったところでございます。
例えばいわゆるQALY trapのところで、患者さんが亡くなられた瞬間に介護者のQOLが元に戻るという仮定で今回公的分析は主張しているということですが、必ずしもそうではなくて、両群とも患者さんが亡くなられた後に一定の間、介護者はQOLが下がった状態で、それが徐々に治るとすれば、その差分を見ると、これはキャンセルアウトされてしまうので、公的分析がこういうおかしな仮定を置いていて矛盾する計算結果になるということでは全くないと、私としては理解をしております。
また、Additive Approachということで企業のほうは計算しているわけですが、これは仮にこの薬剤によって患者さんの生存期間が延長するとしたら、実はその同じ期間、介護者も命が延びているという、二重にQALYを足し合わせているような計算になっているように思います。これは明らかに過大推計になると思います。
これらの点も含めまして、ぜひ再分析のほうで、より妥当な結果のほうをお示しいただければと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員、いかがでしょうか。
かなり特殊なケースであり、なおかつ結構重要な内容を含んだ御議論いただいたかと思いますがいかがでしょうか。
科学院さん、私から御質問を1点、介護者側の負担の話についてEQ-5D-5Lで測定できるかどうかという御指摘もあったのですけれども、がん治療のエンドオブライフで亡くなった場合、パートナーの方が喪失感でQOLがという、悲しみについての議論などは伺ったことがあるのですが、こういった認知症とかの辺りでそのような先行研究というか事例はあるのかどうかというといかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
がん治療等で亡くなった後の喪失感みたいなものについて、EQ-5Dで測定したような結果があるというのは聞いているのですけれども、認知症の領域で、例えば重度になったからどのぐらい介護者の方が心理的な負担があるとか、あるいは亡くなった後にどういう心理的負担があるとか、そういうデータについては、私は現時点で見たことがないというか、聞いたことがないような状況になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
確認でございますが、亡くなった後の喪失感というのが仮に定量的に把握できていたとしても、それは両方の群に起きることなので、それが先延ばしされたということで、例えば割引率とか、そういう関係で若干の数字の変化は生じるかもしれませんが、恐らく増分という意味で引き算すると、そこはほぼゼロ、考えなくていいのかなと思いました。
これは非常に冷たい言い方かもしれませんけれども、介護をされている方が長生き、例えば2倍長生きされた場合には、介護の負担というのは時間的には2倍になるわけで、それは本来そのように計算するのが恐らくQALYの考え方だと思うのです。ですので、それは直感と合わないとかということであって、計算方法をいろいろ、こうすればそこがプラスに出るとかというのは、逆に答えをプラスに出すためのいろいろな詭弁になる部分もあるので、そこはよく検討したほうがいいかなと考えております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今の話題に関して、先ほど〇〇委員のほうからもお話があったのですけれども、そもそも介護者の負担はこのEQ-5Dというツールで測定することの妥当性、本来、こういったものを検証された後に初めてツールとして応用して、そのデータをある程度議論するということなのですが、○○委員、この辺りについて何か御知見・御意見があればいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○○○委員
多分2つあって、一つはEQ-5Dという尺度で網羅的に全ての要素が測れるか、特に患者さん御自身ではなくて介護者の負担感のようなものを捉えられるかというのは限界があるかなと思います。
あと、いわゆる健康関連QOLという尺度での介護者の負担感しかEQ-5Dでは測れないわけで、それ以外の様々な思いもあるわけなのです。本来の費用対効果の評価、QALYを使うという点では、それ以外の要素というのは逆に入れ込んでいくと、薬剤によっていろいろなものを追加的に特別に考慮するということは横並びの評価が難しくなるので、今回はEQ-5Dという尺度の限界もございますが、健康関連QOLという物差しの中でどのように書かれるのか、どのように定量化されるのかというところで、この費用対効果評価というのは本来数字を出すべきで、そこはそれで測れないような様々な価値については別途検討すべきと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。勉強させていただきました。
科学院さん、今のお話にあったEQ-5Dの介護者への測定ツールとしての応用についての限界みたいなものについて、今回精査をされるような、そういう御予定はありますか。
○国立保健医療科学院
ぜひ精査をしたいと思っているのですが、一方、ヨーロッパなどでは介護者用のQOL測定尺度などがつくられてはいるのですが、なかなかデータの蓄積が進んでいない状況でありまして、現実的な観点ではEQ-5Dの測定値を使用せざるを得ないような印象もあるところです。また、EQ-5Dの測定値、介護者の測定値につきましては、ピボタル試験で測定された介護者の方のEQ-5Dの値に基づいて設定しています。MCIと軽症のところはデータが存在するのですが、中等度、重度については、そもそもデータが存在していませんので、かなり難しい仮定なり、外挿の関係なりを設定して状態を推定しているというところですので、その辺りの関係性もできるようになってくるのかなと考えるところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
たびたび失礼します。介護者のQOLのところは少し幅を持った感度分析などを行って、結果にどの程度の影響あるかというようなことの確認は可能になりますでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
その点についても感度分析等をさせていただいて御提示できればと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員、いかがでしょうか。御意見をいただければと思います。
○○先生、お願いいたします。
○○○委員
介護者の負担ということに関しては、認知症の場合、BPSDというか、周辺症状の程度によってかなり左右されるので、MMSEなりいわゆるメモリーというか、そういったコグニティブのほうの下がり方と必ずパラレルではない可能性を考えておかないといけないと思うのです。ですから、かなり複雑になるのかなというのと、BPSDも考慮に入れた上でのQOLの評価をしないと、大分重要な部分が抜けてしまうのではないかなという印象を持ちます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
介護者の負担についてはかなり不確実性があるというところで、再分析においてはかなり感度分析を含めてある程度しっかりチェックをしていただきたいというような御意見が多かったと理解しております。
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本品目について議決に入らせていただきます。
議決に入る前に、○○委員におかれましては議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは議決とさせていただきます。○○委員を除く先生方の御意見を参考に先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきましては、決定された分析枠組みに沿って分析がなされているということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
次に、企業の分析データなどの科学的妥当性は妥当でないと考えられる部分があるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
こちらもありがとうございます。
最後に、公的分析によるレビュー実施により、再分析を実施するという結果の妥当性はおおむねよろしいということでよいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析においてお示しされたレカネマブの有用性に関する推計、あとは患者及び介護者のQOL値の設定について、あと、費用の推計方法、あと、モデルの再構築を中心に、論点について再分析を実施していただくとさせていただきます。こちらでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
まずはレケンビ点滴静注に関わる企業分析報告及び公的分析レビュー結果について御議論いただきたいと思います。
対象品目について企業分析が提出されておりますので、企業からの意見聴取を行った上で企業分析の内容について、先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に関わる企業分析に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でレケンビ点滴静注に関わる企業分析についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。では、始めてください。
○意見陳述者
よろしくお願いいたします。企業の〇〇です。本日はレカネマブの費用対効果評価における企業分析結果について御説明させていただきます。
まず、こちらに分析の枠組みをお示ししております。今回の分析では中医協での要請を受け、公的医療の立場に加えて、公的医療・介護の立場の分析も実施をしております。
その他の指摘事項でございますけれども、レカネマブと症状改善薬の交互作用についてエキスパートオピニオンにおいて検討いたしましたところ、作用機序が明確に異なるため、その可能性は低いという御回答を得ております。
また、301試験の全体集団を用いた分析につきましては、シナリオ分析として企業分析報告書に記載をしております。
3点目の企業分析の特徴でございますけれども、まず、本分析はレカネマブの第三相試験であります301試験の結果から病態推移予測を行い、可能な限り日本のリアルワールドデータを活用して分析を行いました。
レカネマブの有効性につきましては、投与18か月間は301試験Core studyの患者データから病態推移を使用し、18か月以降は昨年7月にAAIC2024で発表された301試験のOLE期間36か月で得られたデータを使用しております。
レカネマブの治療中断は36か月までは301試験の中止率の推移、36か月以降の中止率は36か月までの年間中止率を月当たり変換して使用しております。
また、レカネマブの長期有効性、投与中断のルール、中断後の有効性については、日本の6名の治験担当医によるアドバイザリーボードを開催し、エキスパートオピニオンとして参考にしております。
18か月など、投与期間での中止は判断せず、中等度ADに進行した場合及び施設入所した場合は投与を中止するということといたしました。
301試験OLE期の結果から、投与を継続している限りは有効性が継続するとし、中断後には適切なエビデンスを示す数値がないことから、効果がすぐになくなることはないというような御意見を踏まえ、中断前のHazard ratioで仮定をしております。
公的介護費用、介護者QOLについては、後段で詳細について御説明いたします。
次の分析結果というスライドでございますが、こちらが企業分析の結果でございます。(a)(b)2つの集団についてレケンビ特例に対応し、基本分析である公的医療・介護の立場に加え、公的医療の立場での分析をICER及びICERが500万QALYとなる価格として示しております。
次のページも分析結果でございますけれども、レケンビ特例の価格調整方法として、現行薬価とICERが500万/QALYとなる価格の差の25%を薬価が調整することから、企業分析の結果における調整後価格は、こちらに示しているとおりとなります。
次に公的介護費用の分析に関する説明です。この項目では本分析における重要項目でございます公的介護費用の分析について御説明いたします。
本分析におきましては、公的医療・介護の立場を基本分析としておりますが、レケンビ特例を踏まえ、公的医療の立場の分析も併せて実施をしております。
企業分析における介護費用に参照した研究というLIFE Studyのスライドでございますが、介護費用は自治体が保有する保健・医療・介護・行政などの健康関連データを個人単位で統合したデータベースであります九州大学のLIFE Study研究成果を参照しました。
まず、LIFE Studyを参照した経緯について御説明いたします。介護費用の取扱いについては、中医協において研究の推進が求められていることから、当初、C2HとNDB/介護DBの連結データの共同解析を申請いたしました。しかしながら、データ入手時期の見通しが立たないということから、企業分析期間中での共同解析は困難と判断され、受け入れられませんでした。
そのため、医療・介護レセプトが連結された数少ないデータベースであるLIFE Studyによる介護費用の研究成果を参照することにいたしました。
下段右側のグラフでお示ししているAD重症度別の介護費・医療費が実際に参照した費用のデータとなります。
次の8ページ目のスライド、企業分析における介護費用に参照した研究:LIFE Studyというスライドでございます。LIFE Studyの研究成果を参照するに当たりまして、一般化可能性とAD重症度別の費用の算出方法について、事前に検証を行っております。今回参照したLIFE Studyは、12自治体を対象としたものでありますので、2021年度の厚生労働省介護給付費実態統計などを使用して比較を行いました。その結果、LIFE Studyの集計結果と全国の実態に大きな違いは見られませんでした。
また、AD重症度別の費用の算出方法についても検証を行っております。LIFE Studyに限らず、現在参照可能な医療・介護のデータベースはADの重症度に関する情報が含まれておりません。そこで、2013年の朝田の報告におけるAD重症度別の要介護度分布を使用してADの重症度別の費用を算出しました。10年前の朝田の報告を使用するに当たっては、直近のJMDC社のデータベースにおける要介護度の分布と比較し、全体の傾向に大きな違いがなかったということを確認しております。
以上が介護費用について参照したLIFE Studyの説明になります。
9ページ目、レカネマブによる医療費・公的介護費の削減効果でございます。今回のシミュレーション結果で得られたレカネマブによる医療費・公的介護費の削減効果は、医療費の約5~8倍であり、レカネマブによる公的介護費を含めた社会的インパクトの大きさがうかがえると考えております。
次のページから、公的分析班からの照会事項に対する説明に移らせていただきます。こちらに対して当社の見解を御説明します。
次の11ページ、公的分析からの照会事項と当社の見解について述べさせていただきます。
まず、介護者のQOLについては、分析ガイドラインで公的医療・介護の立場からの分析の場合、家族などの介護者に与えるQOL値への影響について考慮してもよいとあります。
これに関し、公的分析からの照会事項では、QALY算出時に考慮してよいのはあくまでもその影響、すなわち差分であり、介護者のQOL値自体ではないとありました。
しかしながら、このガイドラインの記載では、公的分析の主張する影響が差分であり、しかもそれが減少分に限定されること、さらに介護者のQOL値そのものではないということまでは読み取れないと考えております。
また、公的分析が主張する減少分の使用については、海外の評価事例で課題が報告されております。そちらでは患者が亡くなられたとき、その瞬間に介護者のQOLが元に戻ることで、QALY上、患者の早期死亡は介護者のQALY改善という矛盾が起こるからです。
当社は減少値を用いる仮定は不合理であり、死亡後もある程度の期間、QOLの低下が持続すると考えております。介護者のQOLへの影響そのものが生存期間を超えて持続することを前提としておりますことから、QOLへの影響が差分であると読み解くこと自体が不適切であると考えております。
次のスライドでは、これを実際のレカネマブの例でお示しいたします。次のページの当社見解の根拠というスライドでございます。
レカネマブのモデルシミュレーションでは、レカネマブ治療によってMCI due to ADの期間を1.32年、軽度ADの期間を0.31年延長し、これらを合わせた早期ADと呼ばれる期間を1.62年延長することが推計されました。この期間の延長は絶対値を用いる方法、Additive Approachにおいては、介護者のQALYが患者の早期AD期間の延長分、そのまま1.51QALYの増加として表されます。
一方、減少値を用いる方法では、介護者のQALYは0.005QALYの損失として表されます。つまりレカネマブの効果により、患者様にとって認知機能がある程度保たれ、家族とコミュニケーションを取れる期間が延長するということは、家族介護者にとってもベネフィットであるといえますが、減少値を用いた場合、家族介護者がQALYを失うという矛盾する結果がもたらされることになってしまいます。
次のページ、Decrement Approachにおける「Carer QALY trap」のスライドでございます。
実際に301試験においてZaritを指標とした介護負担の評価では、レカネマブ治療は18か月時に介護負担度の増大を38.4%抑制するという結果が示されました。公的分析が主張する減少分を使用した結果は、この301試験で得られたZaritの結果とも矛盾します。このようなCarer QALY trapが発生する手法は、当社としては不適切であると判断し、代わりにこの問題を回避し、介護者の実際の経験を最もよく反映する手法として、絶対値による手法、Additive Approachを採用しております。
当社の説明は以上となります。御清聴どうもありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方から御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
続きまして、科学院からレケンビ点滴静注に関わる企業分析についての公的分析のレビュー結果の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答させていただきます。お願いします。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
資料ですけれども、費用対 費-1-4、レケンビ(レカネマブ)のレビュー結果概要を御参照ください。
1ページ目、こちらに企業によって御提出いただいた分析の課題について整理しております。
論点の1点目としてはレカネマブの有効性に関する推計について、2点目は患者及び介護者のQOL値の設定について、3点目は費用の推計方法について、4点目がモデルの再構築についてということで挙げさせていただいております。
2ページ目、論点の1番目ですけれども、レカネマブの有効性に関する推計についてということでありまして、企業によって御提出いただいた分析では、MCI、軽度AD、中程度AD、重度AD、死亡という5つの状態を一定の確率で動く分析モデルを用いて分析されています。
このモデル自体については、アルツハイマー型認知症の分析においては一般的に用いられる構造でありまして、モデルの構造自体については公的分析としても受入可能なのではないかと考えているところです。
しかし、特に製造販売業者によって提出されたモデルについては、次ページ以降で御説明するような課題がありまして、レカネマブの増分費用効果比が過少に推計されている恐れがあるのではないかと考えているところです。
3ページ目、論点1のaの論点になりますけれども、レカネマブの投与と効果の関係性についてとさせていただきました。真ん中に図のようなものを書かせていただきましたが、レカネマブの投与状況、投与継続率、レカネマブの効果がどのように設定されているかということを表したものになります。この表を御覧いただけますとお分かりになるように、製造販売事業者による分析モデルでは、レカネマブの投与状況とその効果の関係が対応していないものと考えているところです。
具体的に申し上げると、4ページ目、レカネマブの投与割合というのは、モデル上で経時的に一定の割合で減少していくことになっていますが、集団としての重症化抑制効果というのは、投与割合にかかわらずそのまま外挿されているところになります。そのため、投与割合が減少しても、そのまま効果の差が拡大していくような設定となっています。
また、患者が中等度ADに移行した後の有効性については、軽症例と同等の効果を有するとしていますが、企業モデルでは中程度に移行した瞬間にレカネマブの投与が中止されることになっています。
また、中等度ADの重症化抑制効果について観察されたデータは今のところ存在しません。
上記の点について、公的分析としては課題を整理して検討を行いたいと考えているところです。
5ページ目、2点目になりますけれども、レカネマブの長期的な効果の推計についてということになります。こちらも真ん中のほうに表を書かせていただいておりまして、使用した臨床データ、分析対象集団、モデルにおける投与の継続率、モデル上のレカネマブの効果という4点について表形式でお示しさせていただきました。この表を御覧いただければお分かりかと思いますけれども、18か月目前後で使用した臨床試験データの対象集団、あるいは投与継続率というのが異なる値で設定されております。
6ページ目、製造販売業者の分析モデルでは、ピボタル試験の期間を超えた18か月以降の重症度の推移確率を301試験の非盲検長期継続試験を用いて推定しています。CDR-SBスコアが悪化するまでの時間をアウトカムとした場合のレカネマブとコホート研究、これをマッチさせた対照群のハザード比が0.704と推定されたため、18か月以降の治療効果として0.704というものを用いて長期効果を推計しています。
しかし、継続試験におきましては、301試験のITT集団ではなく、レカネマブの投与が継続された患者さんが組み入れられているため、選択バイアスが生じている可能性があります。
7ページ目は参考までに治療効果のイメージ図をお示ししています。投与終了後も差が拡大する場合というのは2つの直線、緑と青の直線の幅というか差が広がっていきますが、投与終了後は差が維持されるような場合というのは、レカネマブと比較対照群の差が一定に保たれるというような関係を示すことになります。
8ページ目は企業の報告書で提出された図になりますけれども、左側の白い部分は301のピボタル試験、青い部分が後継の継続試験になりますけれども、この18か月のところで使うデータを切り換えたところで、明らかに緑線と赤線が折れ曲がっているということが視覚的にお分かりになるのではないかなと思っております。
このような点から、9枚目になりますけれども、公的分析では製造販売業者が設定したレカネマブの有効性に関する長期予測について、以下の点に課題があると考えました。
1点目は、18か月以降のデータというのは、18か月以降の継続試験に移行した患者のものであり、ITT集団ではなく、そのため、患者集団が異なっている。
36か月目以降については、18か月から36か月までのデータをそのまま外挿していますが、しかし、そこに実際に観測されたデータは存在しません。
また、患者が中等度ADに移行した後の有効性、重度への移行の抑制効果については、軽症等と同等の効果を有するとされています。しかし、中等度ADの重症化抑制効果について観察されたデータはありません。
10ページ目は3点目の有効性に関する論点になりますけれども、レカネマブによる生存期間の延長効果についてということになります。
製造販売業者は日本人の85歳の地域居住高齢者を対象とした観察研究の結果に基づいて、重症度別の死亡率を設定されています。
そのため、軽度認知障害や軽度アルツハイマー型認知症の期間が延長されるレカネマブ群では、生存期間が延長するという前提で分析がされています。実際に提出いただいた分析においては、レカネマブ群は分析対象集団(a)で0.7年、分析対象集団(b)で0.5年の生存延長となっています。
しかし、そもそも臨床試験においては、レカネマブのプラセボに対する生存延長の効果を示されていません。また、仮に生存期間が延長するとしても、その程度は明らかではないと考えております。
公的分析では上記の点について課題を整理し、検討を行いたいと考えているところです。
11ページ目以降、こちらは論点の2番目、患者さん及び介護者のQOL値の設定についてという論点を挙げさせていただいております。
1点目ですけれども、まず、治療群間でのQOL値の差についてです。製造販売業者は301試験におけるEQ-5Dの測定値を用いてQOL率を設定しています。
各群における推定値をそのまま分析に使用しているため、重症度の同じ集団に対してもレカネマブ群のQOL値が比較対照群より高く設定されているということになっています。
しかし、これらの両群間のQOL値に群間の差はなく、また、同一の健康状態においてQOL値に差があるということの臨床的な解釈も困難かと考えています。
12ページ目が2点目、家族介護者のQOL値の算出方法についてです。先ほど企業の方の御説明でQALY trapというお話がありましたけれども、それに関する御説明になります。製造販売業者では家族介護者のQOL値について、家族介護者のQOL値の減少分、disutilityと呼んでいますけれども、これではなくて、先ほど御説明があったように、その絶対値を用いて計算をしています。
そのため、認知症患者の生存年数が延長する場合、家族介護者のQOL値が群間で相殺されず、介護者のQOL値そのものが認知症患者の生存期間の延長に対応して加算されることになります。
製造販売業者は公的分析からの照会に対して、Carer gapが存在するため、QOL値の絶対値を用いたという回答をいただきましたが、QOL値の絶対値を用いるということは、このことの解決にはならないと伺いますし、また、学術的にはこのようなQALY trap、あるいはCarer gapの存在を問題視するかどうかというのは、議論の分かれるところかなと考えています。
13ページ目、これはQOL値一般論として、介護者負担のQOL値の考え方について、仮想的な例でありますけれども、数値例を用いて御説明したいと考えています。
上のバーが評価対象群の生存期間で、2年間生存して、その後死亡する、比較対照群の生存期間は1年間で、その後死亡するというようなヒストリーを考えます。それぞれの期間に対応したQOLは下の表に書いてありますように、(a)(b)(c)(d)で、患者さんのQOLが0.7、介護者自身のQOLが0.8、介護がなかったときの介護者自身のQOLが0.85、よって介護者のQOLの減少分は0.05と設定しております。これはあくまで仮想的な例です。この際に介護者の介護負担をどのようにQALYに反映させるかということが今回の論点の課題と考えています。
14ページ目、こちらは先ほど御説明いただいたように企業分析での計算方法をお示ししています。
評価対象群が2年間生存する、これに対応して獲得されるQALYというのは、患者さんのQOLと介護者自身のQOLの2年分でありまして、合計で赤字部分の3.0QALYが獲得されることになります。
一方、比較対照群では、1年間で患者さんが亡くなることから、患者さんのQOLと介護者自身のQOL、この2つが合わさって1.5QALYと計算されることから、評価対象群で獲得できる追加QALYは1.5QALYと計算されることになります。
しかし、この際に獲得される介護者の増分QALYというものは、上の図における紫の矢印1本分ということになり、0.8QALY追加で獲得されることになります。しかし、この0.8QALYというのは介護負担の大きさではなく、介護者自身のQOLということになりますので、患者と介護者の2人分のQALYが二重に計算されていることになります。
一方、15ページ目、これが通常の計算方法と考えているのですが、介護者によるQOLの減少分、介護負担の大きさのみを考慮する場合は、このような計算方法になるという数値例であります。
評価対象群では、患者さんのQOLと介護者のQOL値の減少分、この両方を考慮すると、1.4QALYから0.1QALYを引いて1.3QALY、比較対照群は1年間で死亡するので、患者さんのQOLと介護者のQOL値の減少分も合わせて0.65QALYですので、評価対象群で獲得できる追加QALYは1.3から0.65を引いた0.65QALYと計算されます。介護者の増分QALYとして想定されるのは、薄紫の矢印1本分、0.05QALYと考えるのが適当なのではないかと考えております。
16ページ目、先ほど御説明した数字は非常に簡単なものだったのですけれども、もう少し複雑に考えてみるとこのようになるということでありまして、今回詳細に御説明するのは割愛させていただきますけれども、御参照いただいて疑問点などがあれば、後ほどの議論のときに御質問いただければと考えております。
また、17枚目がCarer gap、あるいはQALY trapといわれるものの仮想例でありますけれども、レカネマブ群の生存期間が12か月、生存期間の延長が6か月だと考えますと、介護負担による介護者のQOL値の低下は0.05と考えると、レカネマブ群のQOL値の低下、介護者のQOL値の低下が18か月分、これが0.075QALY、一方、比較対照群のQOL率の低下分というのが0.05QALYと計算されますので、生存期間が延びる分だけ評価対象群のQOL値の低下幅が大きくなるという問題が生じるということかと理解しております。
このような現象が起こることは公的分析としても十分理解しているところなのですが、このことが生存期間延長分の介護者QOLを不利に評価しているのだと企業側が御主張されているように考えるか、実際の介護者負担を正常に反映しているものだと考えるかどうかというのは、少なくとも議論の分かれるところかと考えています。
18ページ目、QOL値の設定における3番目の論点、施設入所が介護者のQOL値へ与える影響についてです。
製造販売業者は、先行研究において施設入所により介護者のQOL値が低下する傾向を示していたため、施設の介護入所により介護者のQOL値が0.05低下するという設定をされています。
しかし、このデータ源となった研究はイギリスのものであり、我が国への適用可能性については不明であると考えています。また、回帰モデルで推計された係数でありますけれども、こちらに有意差はありません。
通常考えるところでは、患者さんが施設入所すると家族等による介護負担が軽減することが一般的であり、施設入所により家族介護者のQOL値が低下するということは非常に考えにくいのかなと考えております。
19ページ目、公的医療の立場での分析についてですけれども、製造販売業者は公的医療の立場からの分析においても家族介護者のQOL値を考慮に入れて計算しています。
しかし、費用対効果の分析ガイドラインを参照すれば、あくまで家族介護者のQOL値というのは、公的医療・介護の立場から分析いただく際に入れてよいとされているものでありまして、このことから公的医療の立場からの分析においては、家族介護者のQOL値の影響を除外する必要があるものと考えております。
20ページ目は論点の3番目、費用の推計方法についてです。
aの論点として挙げさせていただいたのは、施設入所の費用についてということでありまして、製造販売業者はMCI、あるいは軽度認知症患者においても施設入所の費用を分析に含めておりますが、MCI、あるいは軽度認知症患者が認知症の症状のみで施設入所することはまれではないかと考えています。
製造販売業者は既存の疫学研究データに基づいて入所率等を推計していますが、当該疫学研究の対象者には脳血管性の認知症の患者さんなどが含まれており、それらに起因して介護が必要になっているものと想定するのが妥当ではないかと考えています。
また、費用の2点目の論点ですけれども、介護費用の推計について、こちらは先ほど御説明があったように、企業の分析では九州大学のLIFE Studyのデータベースを用いて算出されていますが、LIFE Studyというのは限られた自治体におけるレセプト情報から抽出されたデータであるため、いわゆる介護データベースを使用して介護費の妥当性について改めて検討させていただきたいと考えております。
22ページ目、論点の4番目のモデルの再構築についてです。
製造販売業者が作成したマルコフモデルにおいては、レカネマブの投与期間、投与割合と治療効果等を対応づけて分析するなど、技術的な困難さがあるため、今まで御説明したような差異分析を実施するためには、製造販売業者による提出モデルをそのまま用いて行うことが困難であります。そのため、公的分析として新たな分析モデルを作成して検討を行うということにしました。
その際には、重症度別の状態間の推移を考えるのではなく、状態が悪化するまでの期間に着目し、モデルを構築しようと考えているところです。現在、実際のモデルや評価結果については精査中でありますが、次回お示しできればと考えています。
状態が悪化するまでの期間については、次ページのように製造販売業者により計算されておりまして、この結果に基づいて分析モデルに関する検討を行いたいと考えています。
最後の24ページ目、以上の検討、レビュー結果から、公的分析としては再分析の必要がありだと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
では、委員の方から御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了します。
企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。
議論の論点ですけれども、大きく4ついただいております。レカネマブの有用性に関する推計、患者及び介護者のQOL値の設定、費用推計の方法、モデルの再構築ということで、先ほど科学院さんのほうから御説明があったとおりだと思います。これらを中心に御議論いただきたいと思っております。
まずは臨床の専門委員の先生が出席されておりますので、そちらから御意見をいただきたいと思います。
○○先生、コメントをいただいてもよろしいでしょうか。
○○○委員
科学院の方と全く同じ意見なので、あまり付け加えることはないのですけれども、結局軽度から中等度に移行したというところの差を生存期間と同じ扱いをしているところがどうしても問題なのかなというのがあって、そこで結局いろいろな課題、例えば介護者のQOLの課題とか、そういうのも全部そこに関わってくるのではないかという気がしているので、そういう遷移モデルよりも時間的な経過によって徐々に悪化していくというのをうまくモデル化するほうが妥当なのではないかなと思ったわけでございます。
あとは意見書に書いてあるとおりです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
生存期間の延長というところが非常に重要であるという御指摘かと思います。
○○先生、御意見をいただいてよろしいでしょうか。
○○○委員
○○でございます。これは非常に難しいと思いますけれども、実際には、恐らくMCIというのは生活に支障がないわけだから介護とかそういうのは多分ないはずで、軽度もMMSEの値から考えてもそんなにひどい状態では多分ないのです。介護負担の評価というのは、印象的には非常に難しいのかなと感じたところでございます。
あとは国立保健医療科学院の意見のとおりと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
軽度のステージにおける介護負担者の水準の話を伺ったところであります。
その他の先生から御意見をいただきたいと思います。
○○委員、結構意見書をいただいておりますけれども、最初にコメントをいただければと思いますがいかがでしょうか。
○○○委員
○○先生がおっしゃるのと私も全く一緒で、MCIの期間が延びるということをそのまま生存期間の延長というように、知らない間に論点をずらして、長生きするからトラップみたいなことが生じるというのですけれども、そもそもそこがかなり恣意的な前提を置いているような気がするので、そこは押さえておかないといけないと思います。延びるかもしれませんけれども、延びるというデータがどこにもないので、それはあまりに仮定がすぎると思います。
それから、○○先生がおっしゃったのですけれども、MCIで生活に支障のない人に介護の負担が生じるというのも、理屈では考えにくいです。それから、認知症スコアみたいなものについてです。あれも前回、私は御質問したのですが、そのスコアの一部を使ってちょっとよくなったからというので、主要な効果指標にしていいでしょうかということもお伺いしたのです。
そのスコアでも○○先生のおっしゃるように、介護負担が増すようなマイルドなものでもなさそうということでいうと、企業はデータを示していらっしゃいましたけれども、あれぐらい軽いところでも負担があるというデータがあるのは、どういうことに由来するのかなと感じました。いずれにせよ、まずは生存期間を延長するという前提を置いた企業の分析は、そのままではアクセプタブルではないので、再分析は絶対に必要だと思います。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○先生も同じような観点の御意見をいただいていますが、コメントをいただけますか。
○○○委員
生存期間の延長に関しては、これは印象ですけれども、エビデンスはもちろんないわけですけれども、重篤な状態をある程度遅らせることができれば、多少ともQOLがかなり低い状態であったとしても延長するということは、可能性としては考えられるかなという印象を持っています。
それから、介護者のQOLなのですが、ガイドライン上は介護者のQOLは考慮に入れていいということになっていると思うのですけれども、ただ、それも実際のデータがある場合ということになっているわけで、実際のデータがどの程度信頼性のあるデータが得られるのかというところが、かなり半信半疑な印象です。例えば介護者にEQ-5Dをもしやったとしても、EQ-5Dは活動度とか痛みとか、ふさぎ込みだとか、そんなことを評価しているのですけれども、そういった質問で果たして介護者のQOLの妥当性のある評価ができているのかどうかというようなことが疑問で、そういう点で介護者のQOLを分析に入れることがいいのかどうかというところを少し疑問に思っているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
貴重な御意見をありがとうございます。
○○委員も御意見をいただいていましたが、何かコメントはございますでしょうか。
○○○委員
○○でございます。科学院の論点に関しては全て賛成でありまして、ぜひこの点を直して再分析のほうを検討いただければと思います。
特に企業のほうがいわゆる介護者のQOLの算出の仕方についていろいろな論文を、●●しているところが大変気になったところでございます。
例えばいわゆるQALY trapのところで、患者さんが亡くなられた瞬間に介護者のQOLが元に戻るという仮定で今回公的分析は主張しているということですが、必ずしもそうではなくて、両群とも患者さんが亡くなられた後に一定の間、介護者はQOLが下がった状態で、それが徐々に治るとすれば、その差分を見ると、これはキャンセルアウトされてしまうので、公的分析がこういうおかしな仮定を置いていて矛盾する計算結果になるということでは全くないと、私としては理解をしております。
また、Additive Approachということで企業のほうは計算しているわけですが、これは仮にこの薬剤によって患者さんの生存期間が延長するとしたら、実はその同じ期間、介護者も命が延びているという、二重にQALYを足し合わせているような計算になっているように思います。これは明らかに過大推計になると思います。
これらの点も含めまして、ぜひ再分析のほうで、より妥当な結果のほうをお示しいただければと思っております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
その他の委員、いかがでしょうか。
かなり特殊なケースであり、なおかつ結構重要な内容を含んだ御議論いただいたかと思いますがいかがでしょうか。
科学院さん、私から御質問を1点、介護者側の負担の話についてEQ-5D-5Lで測定できるかどうかという御指摘もあったのですけれども、がん治療のエンドオブライフで亡くなった場合、パートナーの方が喪失感でQOLがという、悲しみについての議論などは伺ったことがあるのですが、こういった認知症とかの辺りでそのような先行研究というか事例はあるのかどうかというといかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
がん治療等で亡くなった後の喪失感みたいなものについて、EQ-5Dで測定したような結果があるというのは聞いているのですけれども、認知症の領域で、例えば重度になったからどのぐらい介護者の方が心理的な負担があるとか、あるいは亡くなった後にどういう心理的負担があるとか、そういうデータについては、私は現時点で見たことがないというか、聞いたことがないような状況になります。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
確認でございますが、亡くなった後の喪失感というのが仮に定量的に把握できていたとしても、それは両方の群に起きることなので、それが先延ばしされたということで、例えば割引率とか、そういう関係で若干の数字の変化は生じるかもしれませんが、恐らく増分という意味で引き算すると、そこはほぼゼロ、考えなくていいのかなと思いました。
これは非常に冷たい言い方かもしれませんけれども、介護をされている方が長生き、例えば2倍長生きされた場合には、介護の負担というのは時間的には2倍になるわけで、それは本来そのように計算するのが恐らくQALYの考え方だと思うのです。ですので、それは直感と合わないとかということであって、計算方法をいろいろ、こうすればそこがプラスに出るとかというのは、逆に答えをプラスに出すためのいろいろな詭弁になる部分もあるので、そこはよく検討したほうがいいかなと考えております。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今の話題に関して、先ほど〇〇委員のほうからもお話があったのですけれども、そもそも介護者の負担はこのEQ-5Dというツールで測定することの妥当性、本来、こういったものを検証された後に初めてツールとして応用して、そのデータをある程度議論するということなのですが、○○委員、この辺りについて何か御知見・御意見があればいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○○○委員
多分2つあって、一つはEQ-5Dという尺度で網羅的に全ての要素が測れるか、特に患者さん御自身ではなくて介護者の負担感のようなものを捉えられるかというのは限界があるかなと思います。
あと、いわゆる健康関連QOLという尺度での介護者の負担感しかEQ-5Dでは測れないわけで、それ以外の様々な思いもあるわけなのです。本来の費用対効果の評価、QALYを使うという点では、それ以外の要素というのは逆に入れ込んでいくと、薬剤によっていろいろなものを追加的に特別に考慮するということは横並びの評価が難しくなるので、今回はEQ-5Dという尺度の限界もございますが、健康関連QOLという物差しの中でどのように書かれるのか、どのように定量化されるのかというところで、この費用対効果評価というのは本来数字を出すべきで、そこはそれで測れないような様々な価値については別途検討すべきと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。勉強させていただきました。
科学院さん、今のお話にあったEQ-5Dの介護者への測定ツールとしての応用についての限界みたいなものについて、今回精査をされるような、そういう御予定はありますか。
○国立保健医療科学院
ぜひ精査をしたいと思っているのですが、一方、ヨーロッパなどでは介護者用のQOL測定尺度などがつくられてはいるのですが、なかなかデータの蓄積が進んでいない状況でありまして、現実的な観点ではEQ-5Dの測定値を使用せざるを得ないような印象もあるところです。また、EQ-5Dの測定値、介護者の測定値につきましては、ピボタル試験で測定された介護者の方のEQ-5Dの値に基づいて設定しています。MCIと軽症のところはデータが存在するのですが、中等度、重度については、そもそもデータが存在していませんので、かなり難しい仮定なり、外挿の関係なりを設定して状態を推定しているというところですので、その辺りの関係性もできるようになってくるのかなと考えるところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
たびたび失礼します。介護者のQOLのところは少し幅を持った感度分析などを行って、結果にどの程度の影響あるかというようなことの確認は可能になりますでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
その点についても感度分析等をさせていただいて御提示できればと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員、いかがでしょうか。御意見をいただければと思います。
○○先生、お願いいたします。
○○○委員
介護者の負担ということに関しては、認知症の場合、BPSDというか、周辺症状の程度によってかなり左右されるので、MMSEなりいわゆるメモリーというか、そういったコグニティブのほうの下がり方と必ずパラレルではない可能性を考えておかないといけないと思うのです。ですから、かなり複雑になるのかなというのと、BPSDも考慮に入れた上でのQOLの評価をしないと、大分重要な部分が抜けてしまうのではないかなという印象を持ちます。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
介護者の負担についてはかなり不確実性があるというところで、再分析においてはかなり感度分析を含めてある程度しっかりチェックをしていただきたいというような御意見が多かったと理解しております。
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本品目について議決に入らせていただきます。
議決に入る前に、○○委員におかれましては議決の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは議決とさせていただきます。○○委員を除く先生方の御意見を参考に先生方の御意見をまとめますと、企業の分析につきましては、決定された分析枠組みに沿って分析がなされているということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
次に、企業の分析データなどの科学的妥当性は妥当でないと考えられる部分があるということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
こちらもありがとうございます。
最後に、公的分析によるレビュー実施により、再分析を実施するという結果の妥当性はおおむねよろしいということでよいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、公的分析においてお示しされたレカネマブの有用性に関する推計、あとは患者及び介護者のQOL値の設定について、あと、費用の推計方法、あと、モデルの再構築を中心に、論点について再分析を実施していただくとさせていただきます。こちらでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。

