2025年4月25日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第1回議事録

日時

令和7年4月25日 13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、赤沢 学委員、木﨑 孝委員、大寺 祥佑委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、能登 真一委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、矢部  大介専門委員、石原 寿光専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他

議題

○ ウゴービ皮下注に係る総合的評価について

議事

〇費用対効果評価専門組織委員長
ウゴービ皮下注について公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案策定について、先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは、事務局から御説明をお願いいたします。

(事務局・国立保健医療科学院より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る総合的評価案に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内でウゴービ皮下注の総合的評価に対する不服意見について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答させていただきます。
それでは、始めてください。

○意見陳述者
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
ウゴービ皮下注の費用対効果について、決定事項の一部につき改めて御検討いただきたく陳述させていただきます。
スライド2枚目は割愛させていただきます。
スライド3枚目を御覧ください。前回の専門組織では、本剤終了後の食事・運動療法の継続率が10年目までに線形減弱する公的分析の仮定は妥当であるとの結論でした。今回私どもからは、公的分析の設定が本剤の処方条件や患者層を考慮すると、実臨床から大きく解離しており、肥満症専門医からも違和感があり適切な設定とは言えないという御意見を頂戴していることを御説明させていただきます。それらを踏まえ、より日本の肥満症の臨床実態を反映しており、かつ、エビデンスに基づく継続率の設定を用いた分析を理由とともに御提案させていただきます。
加えて前回の専門組織以降、新たに取得できた最新データに基づき、実臨床での本剤処方患者に近いBMIを反映した分析を行っていただきたく考えております。
スライド4枚目です。本剤終了後の食事・運動療法継続率について、改めて概要図をお示しさせていただきます。
前提として、公的分析の10年減弱の設定にはエビデンスがなく、本分析モデルにおける継続率の設定は不確実性が極めて高いという点を改めて述べさせていただきます。
また、スライド下部では企業分析のBMIの推移をお示ししております。科学院様からは、食事・運動療法の継続率に関し、ウゴービの効果が長期に残るのは不適切と御指摘がありましたが、治療終了後は両群ともBMIが自然増加する設定になっており、その上昇スピードは両群で同じです。さらに、黄色のウゴービ群では、御覧のとおり投与終了後に体重のリバウンドが反映されております。ウゴービによる体重減少効果は4年以内に消失いたします。
このように両群間のBMIの補正はモデル内で既に反映されており、食事・運動療法の継続率を線形減弱させる必要性はないと考えます。
治療期間後の食事・運動療法の継続については、施設における治療方針や現在処方患者のプロファイルによる要因が大きく変わることから、そのような視点での検討が重要と考えます。
5枚目です。本剤の患者及び施設要件について改めて御説明させていただきます。
まず、ウゴービの効能効果上、患者は合併症を1つ以上併発しており、治療必要性が高い患者集団であること。また、本剤の処方が可能な施設は約●●件と限られており、他施設では管理栄養士が常駐していないことから、治療の必要性の高い患者は継続して同施設に通い、食事・運動療法を行うと考えられます。
こうした背景を踏まえ、肥満症の医学専門家に臨床的な観点から御意見を頂戴いたしましたので、次以降のスライドで医学専門家に代わり述べさせていただきます。
6枚目です。患者は肥満症に加え1つ以上の合併症を有している治療の必要性が高い患者であり、処方が終わった後も体重のリバウンドを可能な限り抑制し、リバウンドに伴う心血管イベントや長期予後の悪化を防ぐことが極めて重要であると伺っております。
このような背景から、本剤患者は栄養管理士が常駐している専門施設で引き続き食事・運動療法を続ける可能性が高いと考えられます。これを裏付けるデータとして右の図にお示しするとおり、弊社が本剤を処方する大学病院等の肥満症専門医に聞き取りを行いましたところ、担当患者の●●%は自院で引き続き食事・運動療法を継続する予定であると御回答いただいております。
7枚目です。最新の本剤患者のデータを確認したところ、患者の平均BMIは〇〇と非常に高いBMIであることが分かりました。これは分類上高度肥満症に該当する患者層です。このことからも肥満症の中でも特に本剤を処方する患者では、診療ガイドラインに従い標準治療である食事・運動療法を継続していくことで、体重のリバウンドや予期せぬイベントの発生を予防しようとする医師が大半であると考えられます。
なお、本剤患者のBMIに関して医学専門家からは、今後にわかに大きく変化する可能性はないと思うとの御意見をいただいています。
8枚目を御覧ください。これまでに御説明した本剤の処方要件や最新の実臨床データを踏まえ、肥満症治療においては本剤終了後も診療ガイドラインに従い食事・運動療法を継続させるものであって、公的分析のように本剤群のみが食事・運動療法からより多く脱落する仮定は実臨床を反映していないとのことでございます。実臨床を考慮した脱落率を反映させる場合には、両群とも同程度で脱落するような仮定が適切であり、そのような設定で分析が行われるべきとのことでございました。
また、医学専門家の先生より別途のコメントも賜っておりますので、代読させていただきます。

○意見陳述者
減量による健康障害の改善が医学的に必要な患者さんに処方される肥満症治療薬は、現在の保険診療では68週までしか継続して使用ができません。だからこそ治療期間中からウゴービの治療が満了する後を見据えた食事・運動療法の維持・定着を戦略的に図った上で、ウゴービを導入しているという御意見を臨床の現場で肥満症診療に従事なさっている多くの専門医の先生方から頂戴しております。●●の先生方も、保険診療で使える68週を過ぎた後は、リバウンドによる予期せぬイベントの発生や長期予後悪化への影響を避けなければならないという共通認識をお持ちで、肥満症治療に携わる先生方は、ウゴービ処方期間後のフォローをおろそかにすることは考えにくいと伺っております。
なお、肥満症治療に携わる専門医の先生方の治療戦略やコミットメントを正しく反映した分析が行われることを強く望みます。

○意見陳述者
先生からのコメントは以上でございます。
9枚目を御覧ください。これまでの主張を踏まえ、資料にお示しした3つの図のうち一番右の図の設定、すなわち両群で同じ変化率の患者が脱落する設定を提案いたします。
これは、Ohira2024から外挿した脱落率で、公的分析において提示された対照群の設定3です。その変化率を本剤群にも適用しているという意味で、最もエビデンスに基づく設定であり、なおかつ、肥満症専門医の御意見やデータに基づく臨床実態を反映した設定であると言えます。
これらの2と3の設定、すなわち公的分析の設定と今回御提案する設定をモデルのサイクルに合わせ縮尺をより適切に表現した図を次のスライドにお示しさせていただきます。
10枚目を御覧ください。2の公的分析と3の今回の案について、長期のサイクルで見た場合の相違を御確認いただけるよう示しております。
大きな違いは10年限弱という公的分析の設定はエビデンスがないということ。一方、今回提示の案は、よりエビデンスに基づいており、公的分析に比べ臨床実態を反映していると医学専門家より御評価いただいているということです。
冒頭に御説明いたしましたとおり、本剤の治療効果の消失は既に本剤群のBMIの急激な増加として反映されておりますことから、ウゴービ投与後の食事・運動療法継続については、あくまでも臨床実態やガイドラインの指針、患者集団の特徴を元に設定するべきではないかというのが企業の意見でございます。
11枚目は結論です。
本剤終了後の継続率の設定は、図のとおりとするのが適切と考えます。この設定は、公的分析のモデルから容易に修正が可能で、その詳細は参考資料にお示ししております。
また、最新のデータに基づき本剤処方患者のプロファイルを反映した分析を行うことが適切と考えます。公的分析でもBMIが40の分析がシナリオ分析として実施されており、参照が可能です。エビデンスが不十分であるということであれば、本剤患者の食事・運動療法の推移を市販後データとして収集し、結果が明らかになり次第、本費用対効果評価の長期の食事・運動療法の継続率に対する議論を再開することも選択肢としてあり得るのかと認識しております。
ぜひ、今回お示ししたデータや本剤の治療に携わる医学専門家の御意見、本剤の特徴や臨床実態、そして相対的によりエビデンスに基づく分析である点を御考慮いただき、総合的な御判断をいただけますようお願い申し上げます。
陳述は以上でございます。お時間を頂戴し、まことにありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
企業からの意見陳述にもあったように、公的分析に対する指摘がありましたので、これらの指摘に対して公的分析から御意見があればお願いします。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。公的分析としては特に見解はありません。よろしくお願いします。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは次に、委員の方々から御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

○意見陳述者
ありがとうございました。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
投与終了後の食事・運動療法の継続率の御意見が中心であったのかなと思いますが、こちらについて科学院さんから追加で御意見等があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
科学院といたしましては、上乗せ効果の十分長期な期間として10年間という値を設定させていただいて、その間で減弱していくのだという設定をしております。このような上乗せ効果が投与終了後30年、40年にわたって続くという設定は少し不自然なのではないかと考えている次第です。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目について御議論をお願いしたいと思います。なお、御議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた企業からの提案と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
先生方からコメントはございますでしょうか。よろしくお願いします。
○○先生は、意見書にいろいろと御意見いただいているところでございますけれども、基本的には公的分析の再分析を支持するということとプラス、データが蓄積した時点では再評価もある程度考慮すべきという御意見かと思いますが、いかがでしょうか、追加で何かコメントございますか。

○○○委員
もちろん10年というのにも根拠はないかもしれませんけれども、普通に考えても10年ぐらいでかなり落ちるだろうなというのは考えられるので、公的分析のとおりでよろしいのではないかと思いますが。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
その他の委員の先生方いかがでしょうか。よろしいですか。
○○委員、どうぞお願いします。

○○○委員
さっきの10ページのある程度継続できるようにした場合の結果への影響というのがよく分からなくて、つまり割引を考えたら後ろのほうのデータにされるのかなと思ったのですけれども、最後の企業が提案されたようなものは科学院で検討されていたりするのでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、お答えできる範囲で結構ですので、お願いします。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。今回、企業からいただいた10ページの提案というのは本日受け取ったものですので、我々としては検討できていないところですけれども、当然、食事・運動療法の効果が上乗せされますので、費用対効果としては改善するのだろうなということは推測しております。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいですか。

○○○委員
どのくらい変わるのかなというのはちょっと気になっていて、話だけ聞くとエビデンスがないので落ちることも続くこともというのは、どっちでもあり得るかなというのは聞いていて思いました。

○費用対効果評価専門組織委員長
そうすると、この部分の追加分析を公的分析にお願いするかどうかという一つの御提案かなと思っているのですが、やっていただかなくても、この段階で現状の結果でよろしいという話もあろうかと思いますし、念のためにやった方がいいという話もあろうかと思いますが、この点に関して、先生方から御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
科学院さんとしてどんな印象ですか。これは、やって結果が逆転する可能性はありますか。

○国立保健医療科学院
現時点では一定の効果はあると思うので、確たることは申し上げにくいかなと思っています。

○費用対効果評価専門組織委員長
そうですよね。

○○○委員
さっきシナリオ分析で、ある程度できるのではないかみたいなことを企業の方が言われたと思うのですけれども、その辺がよく分からなかったのですが、どうですか。

○費用対効果評価専門組織委員長
技術的には多分できる話ですよね。

○○○委員
時間がかかるだけなので、ただ、今、企業の方が言われたのは、ある程度今まで科学院が出された結果から類推できるという話をされていたので、その辺のことが分からなかったので教えてくださいという質問です。

○費用対効果評価専門組織委員長
教えてくださいということに関しては科学院さんのほうで、今の○○委員の御質問にお答えできる範囲でお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
10ページの右側の設定したときの状況ですかね。申し訳ないですけれども、10ページの右側の算定した状況というのは本日出していただいた状況なので、ICERがどれくらいかに関して申し述べるのは非常に難しいところなのですが、このような状況が20年、30年、40年とウゴービによる治療の上乗せ効果が継続するという設定が臨床的に妥当であるのか、あるいは常識的に考えて適切なのかどうか、そういう観点から御検討いただくとよいのではないかという気がしております。

○○○委員
11ページの図の下の公的分析でも、BMI40の分析がシナリオ分析として実施されており参照可能ですと書いてあるので、その点について質問したのですが。

○国立保健医療科学院
ごめんなさい、11ページのBMIが40程度の集団に絞りますという。

○○○委員
これは違いますね、すみません。勘違いしていました。

○費用対効果評価専門組織委員長
よろしいですか。ただ、重要な視点だと思います。ただ、今、臨床の御専門の先生とかその他の今までの議論を踏まえると、多分ある程度の整理はでき上がっているのではないかとは思うのですけれども、この段階の内容で一度先生方とまとめてみたいと私は思っていますがいかがでしょうか、よろしいですか。ありがとうございます。
その他、御意見ございますか。なかなかこれはデータがない中いろいろな御意見があるので、比較的保守的な評価をある程度固いデータで御議論した結果と理解しておりますが、よろしいでしょうか。

○○○委員
さっき企業の方が、今エビデンスがないので追加でエビデンスをとって、本当にこういうことが長期で証明できたら後でやってもいいよみたいなコメントがあったではないですか。今までの議論と一緒で、それは結構大事かなと思ったのでコメントとして残させていただきます。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、それは御意見としていただくことにさせていただきます。
その他、○○委員、お願いします。

○○○委員
1点、前回の議論で公的分析によるシナリオ分析などの結果で、よりBMIが高い集団のほうが、ICERがかなり良くなっていたような印象を受けたのですが、今回の企業の説明だと、実態としてBMIが40に近いような集団に本剤が使用されているとのことで、ベースラインのBMIの影響というか検討は不要と考えてよろしいのでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
○○先生御指摘のとおり、BMIがかなり高い集団に限定して分析しますと、ICERの値が1,000万を切るぐらいの程度になるのではないかと考えておりまして、費用対効果は改善するものと認識しています。長期的な水準としてウゴービが投与される集団のBMIがどの程度になるのかというのは我々でも分かりかねるところではありますが、ぜひ臨床の先生方の御見解をいただきながら、御検討いただければと考えています。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生に御意見いただいてよろしいですか。

○○○委員
だんだん処方が増えれば減ると思うし、現段階で〇〇というのも私も本当にこんなに高いかなと思うぐらいなので、もう少し低い人でも使いたいという人はいっぱいいるし、それで来る人もいるし、どんどん下がっていくのではないかと思いますけれども。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、どうでしょうか。

○○○委員
実態として、どういう患者集団の方々に使われるのかがある程度分かればいいと思うのですが、このあたりのエビデンスもまだ十分ではない状況かと思いますので、現状のままの検討でもやむを得ないかと考えます。ただし、ベースラインのBMIによってICERの結果がかなり変わりますので、そこの影響の大きさは考慮しておく、議論しておく必要があるとは思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。いわゆる分析枠組みなどで集団の議論をするときに、そういう視点やデータがあれば、もう少し精緻な議論をしておいたほうがいいのかもしれないなという話でもあったのかなと思いますので、それは今後の議論につなげていくような形にさせていただくという話でよろしいかと思いますが、その他先生方いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうすると、意見書より今までの議論を踏まえますと、公的分析案を採用するという方針と理解しておりますので、その方針でまとめさせていただきたいと思います。
それでは、議決に入らせていただきます。先生方の御意見を参考に、ウゴービに対する費用対効果を総合的に評価いたしますと、ウゴービに係る総合的評価について専門組織で決定された総合的評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中医協に報告いたします。
なお、企業に対する内示及び中医協に提出する資料に関しては、委員長に一任していただくということで、こちらもよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。