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2025年3月28日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第10回議事録
日時
令和7年3月28日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、福田 敬専門委員、矢部 大介専門委員、石原 寿光専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
議題
○ウゴービ皮下注に係る総合的評価について
議事
〇費用対効果評価専門組織委員長
ウゴービ皮下注について、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ウゴービ皮下注の総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。
○意見陳述者
本日は、お時間をいただき誠にありがとうございます。早速、企業意見を陳述させていただきます。
2ページ目に本剤の概要を、また、3ページ目には分析枠組みと公的企業分析の結果をお示ししております。両分析ともに、追加的有用性あり、ICERは表中に赤字でお示しするとおりでございました。
スライド4枚目です。本日の陳述内容です。3点ございます。1点目に「食事・運動療法の継続率の上昇効果」に関し、公的分析と企業分析の間には考え方に相違があると考えられました。2点目に、前回の専門組織で御討議いただいた論点を踏まえ、食事・運動療法の継続率について再検討した結果、継続率の設定は、双方の分析に一定の課題があると考えられました。また、両者を支持するエビデンスの不足、継続率の設定の不確実性の大きさも重要な課題と考えられました。以上の点より、継続率の設定に代え、Stopping ruleの考えを用いた分析を基本分析として御提案いたします。
5枚目です。簡単のため、以降の資料中ではこちらの表記とさせていただきますことを御容赦いただければと存じます。
6枚目です。まず、公的分析報告書では、企業分析の治療期間後の食事・運動療法の取扱いについて、セマグルチドの治療期間中に得られた継続率の上昇に対して効果減弱の考慮がなく、継続率の上昇が生涯継続すると設定されたとの御指摘をいただきました。
7枚目です。治療期間後の継続率に関連し、前回の専門組織では、薬剤の機序から、薬剤を中止すると食欲が回復することが予想されるとの御意見を頂戴しました。この点に関して、企業分析でのBMIの推移をお示しいたします。企業分析では、治療期間後、両群ともに食事・運動療法となり、BMIは速やかに上昇し、食事・運動療法を継続していたとしても自然増加し続ける設定となっております。薬剤中心の影響や食事・運動療法の効果減弱に関しましては、BMI上昇という形で分析に反映している点を御説明させていただきました。
続いて、8枚目を御覧ください。御指摘のありました、治療期間後の食事・運動療法の継続率の差については、本剤治療終了時点で各群に残っている患者を母集団とし、その後の継続率の推移を臨床的な観点から検討することも必要ではないかと考えます。
スライド右図でお示ししておりますのは、モデルのサイクルごとの脱落率です。企業分析では、本剤治療が行われる最初の1年は本剤の治療効果に基づく継続率の上昇が反映されていますが、治療期間後はいずれの群も新たな脱落は発生せず、継続率に差は設けておりません。モデル上、生涯、食事・運動療法を継続していることになりますが、これはNICE等でも採用されている設定です。本邦の診療ガイドラインにおいても、治療年数により患者の診療や食事・運動療法の指導を中断するような推奨はされていないため、本剤治療終了後の標準治療である食事・運動療法の継続率に対しては、あえて臨床ガイドラインと矛盾する仮定を設定せず、諸外国のHTAで採用されている手法を用いました。
9枚目を御覧ください。こちらは、公的分析における治療期間後の継続率の考えを図示させていただいたものです。公的分析では、本剤群に「効果減弱期間」が設定され、赤枠内に示すとおり、本剤を投与した群のみ食事・運動療法の継続率が急速かつ大幅に低下する設定となっています。すなわち、本剤による治療が、その後の治療継続率に負の効果を与えるとの設定がされていることになります。このような仮定を支持する国内外のエビデンスは確認できないことに加え、臨床的に不自然な設定であると考えられますため「効果減弱期間」の設定は適切とは言えないと考えました。
10枚目を御覧ください。治療期間後の治療継続について、実臨床の観点から検討するため、本剤の処方経験のある先生方に対し、処方終了後の患者への食事・運動療法の指導意向についてお尋ねしました。多くの医師は、食事・運動療法は肥満症の標準治療であることから、通院を継続してもらい、食事・運動療法を継続させる意向があり、本剤治療後は特に重要であるとの御意見でございました。このことからも、公的分析がモデルに設定する本剤群のみでの急速な食事・運動療法からの脱落は実臨床とそぐわない設定であると考えられました。
11枚目では、両分析を比較した概念図をお示ししております。それぞれの図で大きく異なるのは、赤枠で囲った治療期間後の食事・運動療法継続率です。この違いによって、それぞれのICERが367万円/QALY、1310万円/QALYと、大きく異なっていることが分かります。また、この治療期間後の食事・運動療法継続率の設定はいずれの分析にもエビデンスが不十分であります。
12枚目で、治療継続率を用いた分析の不確実性について、さらに補足させていただきます。こちらの図は、縦軸に本剤群、横軸に対照群の食事・運動療法脱落率を取った二元感度分析です。図中黒枠部分を例に取りますと、本剤群で脱落率を10%、対照群で5%変化させるだけで、ICERが500万円/QALY未満から1400万円/QALY以上にまで変化することが分かります。このように、改めて検討した結果、継続率の設定自体が極めて不確実性の高いものであることが明らかになりました。
13枚目を御覧ください。ここまでの検討内容を、前回の専門組織で御指摘いただいた4つの論点に対応する形でお示しさせていただきます。論点2~4が継続率に関する御指摘でございます。これらの点に基づき、企業分析及び再分析の治療継続率について検討を行いました。
その結果、治療期間後の食事・運動療法継続率は、両分析とも明確なエビデンスに基づかないこと、さらには継続率の設定は大きな不確実性が伴うことが明らかになりました。このことより、継続率の設定には大きな課題と限界があり、前回の専門組織の御指摘に沿って考えた際には、そのような設定を価格調整のための分析に用いることは妥当ではないと考えました。
14枚目を御覧ください。分析枠組みでは、日本における継続率等の診療実態や治療効果を反映させるものとするとあります。企業は治療継続率でこれを実践しようとしましたが、前述のとおり、治療期間後の継続率に関してはエビデンスがなく、分析モデルに反映することには限界があると考えました。そこで、この継続率に代えて、客観的な治療効果に基づく治療中止を分析モデルに設定することで、分析枠組みの規定を実践することができると考えました。
この点を考慮し、NICEにおける本剤の基本分析でも使用されたStopping rule、すなわち、一定期間後に体重減少が5%に満たなかった患者は本剤治療を中止するルールに基づく分析を基本分析とすることを御提案させていただきます。公的分析においてもシナリオの一つとして分析をいただいているため、公的分析の分析モデルを活用した提案でございます。
15枚目です。本剤治療におけるStopping ruleの考え方をNICEにおける定義並びにスライド下部に記載のありますとおり、国内の診療ガイドラインに基づき整理させていただいたものです。本剤の治療・投与開始から6か月時点で5%超の体重減少が未達の場合、そのようなノンレスポンダーは本剤の処方を中止し、食事・運動療法のみの治療に戻るというもので、本剤の最適使用推進ガイドラインにおいても、本剤を投与して改善傾向が認められない場合には投与の中止を検討することとございますため、Stopping ruleの考え方を適用した分析には臨床的な妥当性があると考えております。
16枚目です。Stopping ruleを用いた分析は公的分析において御実施いただいておりますが、分析の一部について、より適切な設定があると考えられましたので、その点を御説明させていただきます。1点目、食事・運動療法と本剤の併用で十分な体重減少を認めなかったノンレスポンダーの取扱いについてですが、公的分析においては、ノンレスポンダーは無治療に移行するようでした。しかしながら、本剤の最適使用推進ガイドラインに基づくと、食事・運動療法まで中止させる運用ではないため、ノンレスポンダーは食事・運動療法のみの治療に戻るのが適切と考えられました。
また、公的分析ではStopping rule、すなわち、5%未達の場合の投与中止と、さきに陳述しました継続率の考えが併用されておりました。併用により、右下の図のとおり、重複する患者の取扱いをモデル上で適切に処理することができないことに加え、前述のとおり、脱落率の考えには多くの課題があるため、Stopping ruleのみを設定することが適切かと考えております。
これらの点を修正した上で分析した結果を、参考資料の最後に示させていただいております。分析の詳細に関しましては、必要なときに御精査いただけるよう、前もって科学院様にも提出させていただいております。
17枚目、まとめです。分析の論点の一つである継続率の設定は、本剤の費用対効果分析に用いることのできる適切なエビデンスがないこと、また、分析の不確実性が極めて高いため、設定には多くの課題があると考えられました。そのため、継続率の設定に代えてStopping ruleを用いた分析を行い、その際には、より適切な設定を採用いただき、基本分析としていただきたく考えます。
公的分析後のモデル変更については前例もあると承知しており、企業としては追加分析に最大限協力する所存でございますので、ぜひ委員の皆様には臨床的に適切な分析について御検討を賜りたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。
陳述は以上でございます。お時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析について御意見がございましたので、科学院から何か追加で御意見があればお願いしたいと思います。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
何点かお話しさせていただきたいのですけれども、まず、効果の減弱効果、食事・運動療法の継続率の上昇効果についてです。ウゴービ投与終了後に、長期的には食事・運動療法のみ群と同程度の継続率になることに関してエビデンスがないのは企業側御指摘のとおりかと認識しています。しかし、ウゴービにつきましては、投与可能な施設はかなり限定されておりまして、実質的に大学病院等に限られていると推測しているところから、食事・運動療法のみを実施するためにそういった施設に通い続けるのはなかなか困難な状況なのではないかと推察しているところです。
また、企業側がおっしゃっているStopping ruleについてですけれども、日本においてはそのようなStopping ruleに該当するような定量的な基準については存在しておりません。イギリスのNICEにおいて、このようなルールが適用されている点については、まさに薬事承認上、そのような条件がついているからだと推測しておりまして、実際に添付文書上には最大投与量を12週間投与しても、12週間で5%以下の体重減少の場合には投与を中止することが明確に記されているところになります。
また、企業側から提出された新しいモデルについては公的分析としては検討できていないところでありますが、比較対照技術の食事・運動療法が100%永続的に続くという設定になっておりまして、それは分析枠組み設定時における比較対照技術の意図とは大きく異なっております。
なお、食事・運動療法における日本における脱落率を考慮すべきというのは、そもそも、企業側からのリクエストに基づいて対応したものであることから、なかなか難しいのではないかなと考えているところです。
また、最後に、新たなモデルを提出していただきましたが、モデルについては構造や設定が大きく変わっておりまして、通常は分析提出後に大きなモデルの変更等は公的分析としては受け入れておりませんので、他社から同様のリクエストをたくさんいただいても対応は困難であることから、公平性の観点から課題があるのかなと考えている次第です。
公的分析としては以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について、御議論をお願いいたします。
なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようお願いいたします。
いかがでしょうか。先生方からコメントいただければと思いますが、企業側から出されている論点は大きく4つございました。その中で、肥満治療の継続率が比較的、議論として大きいのかなと伺っておりましたし、Stopping ruleもそこに関わってくるところもあろうかと、今、お話を伺って理解していたところでございますが、いかがでしょうか。
では、私から科学院さんに御確認ですけれども、企業さんでは最適使用推進ガイドラインにおいて、NICEは3か月のようですが、日本は6か月での5%という話が少しされていましたが、その辺りはいわゆる一つの基準目安として位置づけはどうなりますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
日本の最適使用推進ガイドラインにおいては、効果を随時見直すこととはなっておりますが、12週で5%等といった定量的な基準については定められていないものと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。私の理解が不足しておりましたが、概念は出ているのですが、いわゆる具体的な数値目標が出ていないという御説明かなと思いました。
いかがでしょうか。
先生方の御意見を踏まえますと、今回の再分析を支持されるような方向ですし、先ほど科学院さんも御説明ありましたが、今回、論点について4つある中において、1つ目はいわゆる科学院さんでは御対応はされていないですが、説明としてかなりしっかりとお話しされていたということで、あと、残り3つについては、シナリオ分析、感度分析で御対応いただいていて、比較的、企業さんの御意見を踏まえて、しっかりと今回はお返ししていただいているかなと思います。
○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
肥満症治療の継続率について、Ohiraらの文献のデータを利用することに合意されているようですが、公的分析の報告書で懸念されているとおり、この文献ではBMIが結構高めの35以上を対象としている研究であるのに対して、今回のSTEP6試験でのベースラインのBMIは32なので、そのまま利用することが適切なのかについて、もう少し補足説明をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、このOhiraらの論文についてはBMI35以上の高度肥満を対象にした研究でありまして、食事・運動療法の治療継続率については、比較的、通常の集団よりも高止まりしている可能性があることについては否定できないものなのかなと考えています。
ただ、食事・運動療法の率が高くなりますと、企業分析に示されているとおり、費用対効果が改善することから、高止まりしてもこの程度の費用対効果であると解釈いただくのがよいのではないかなと考えているところです。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。よく分かりました。
もう一点ですが、この薬剤に関しても、薬事申請には国際共同試験で臨床データパッケージが構成されています。また、国内外の民族的な要因の影響については、若干あるものの、ほとんどベースラインの体重の違いで解決できるとされ、民族的な要因に国内外の差がないことがPMDAの審査報告の中でも述べられています。今回の費用対効果の分析において国際共同試験のデータを利用する際には、やはり日本人集団でなければだめなのか、全体集団でも良いかについての御意見を伺いたいのです。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
○○先生御指摘のとおり、海外とアジア圏ではかなりBMIのベースライン値が異なっているものと考えておりまして、恐らく下がり具合については同程度かなと思うところなのですけれども、ベースラインの値が異なっていることから、今回、企業側もSTEP6試験というアジア圏を中心にした臨床試験を用いておりますので、我々もその結果を使わせていただいたところになります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいでしょうか。
○○○委員
ただ、STEP6の他に2試験ぐらい、薬事申請には評価資料という形で提出されていたようですが、それらの試験では例数の規模が多かったので、うまく利用できるのではないかというコメントのみです。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、今のコメントに関して、念のため、何かありますか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
御指摘の点、そのとおりかなと思うのですけれども、特にSTEP1、STEP2については肥満症の定義が違うなど、少しバックグラウンドの要因等、異なっている側面もあるようですので、我々としては企業側の見解、STEP6試験、前回のレクビオのときと異なりまして、STEP6試験は単独の試験で解釈可能なものかなと考えておりますので、その辺りを踏まえましてSTEP6試験を使わせていただいた次第になります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。
先生方の御意見を参考に、ウゴービ皮下注に関する費用対効果については、公的分析による分析結果を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、以上の再分析結果を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、内示及び中医協に提出する資料に関しましては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
ウゴービ皮下注について、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について先生方に御議論いただきたいと思います。
まずは、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、まず本品目に係る公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ウゴービ皮下注の総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
それでは、始めてください。
○意見陳述者
本日は、お時間をいただき誠にありがとうございます。早速、企業意見を陳述させていただきます。
2ページ目に本剤の概要を、また、3ページ目には分析枠組みと公的企業分析の結果をお示ししております。両分析ともに、追加的有用性あり、ICERは表中に赤字でお示しするとおりでございました。
スライド4枚目です。本日の陳述内容です。3点ございます。1点目に「食事・運動療法の継続率の上昇効果」に関し、公的分析と企業分析の間には考え方に相違があると考えられました。2点目に、前回の専門組織で御討議いただいた論点を踏まえ、食事・運動療法の継続率について再検討した結果、継続率の設定は、双方の分析に一定の課題があると考えられました。また、両者を支持するエビデンスの不足、継続率の設定の不確実性の大きさも重要な課題と考えられました。以上の点より、継続率の設定に代え、Stopping ruleの考えを用いた分析を基本分析として御提案いたします。
5枚目です。簡単のため、以降の資料中ではこちらの表記とさせていただきますことを御容赦いただければと存じます。
6枚目です。まず、公的分析報告書では、企業分析の治療期間後の食事・運動療法の取扱いについて、セマグルチドの治療期間中に得られた継続率の上昇に対して効果減弱の考慮がなく、継続率の上昇が生涯継続すると設定されたとの御指摘をいただきました。
7枚目です。治療期間後の継続率に関連し、前回の専門組織では、薬剤の機序から、薬剤を中止すると食欲が回復することが予想されるとの御意見を頂戴しました。この点に関して、企業分析でのBMIの推移をお示しいたします。企業分析では、治療期間後、両群ともに食事・運動療法となり、BMIは速やかに上昇し、食事・運動療法を継続していたとしても自然増加し続ける設定となっております。薬剤中心の影響や食事・運動療法の効果減弱に関しましては、BMI上昇という形で分析に反映している点を御説明させていただきました。
続いて、8枚目を御覧ください。御指摘のありました、治療期間後の食事・運動療法の継続率の差については、本剤治療終了時点で各群に残っている患者を母集団とし、その後の継続率の推移を臨床的な観点から検討することも必要ではないかと考えます。
スライド右図でお示ししておりますのは、モデルのサイクルごとの脱落率です。企業分析では、本剤治療が行われる最初の1年は本剤の治療効果に基づく継続率の上昇が反映されていますが、治療期間後はいずれの群も新たな脱落は発生せず、継続率に差は設けておりません。モデル上、生涯、食事・運動療法を継続していることになりますが、これはNICE等でも採用されている設定です。本邦の診療ガイドラインにおいても、治療年数により患者の診療や食事・運動療法の指導を中断するような推奨はされていないため、本剤治療終了後の標準治療である食事・運動療法の継続率に対しては、あえて臨床ガイドラインと矛盾する仮定を設定せず、諸外国のHTAで採用されている手法を用いました。
9枚目を御覧ください。こちらは、公的分析における治療期間後の継続率の考えを図示させていただいたものです。公的分析では、本剤群に「効果減弱期間」が設定され、赤枠内に示すとおり、本剤を投与した群のみ食事・運動療法の継続率が急速かつ大幅に低下する設定となっています。すなわち、本剤による治療が、その後の治療継続率に負の効果を与えるとの設定がされていることになります。このような仮定を支持する国内外のエビデンスは確認できないことに加え、臨床的に不自然な設定であると考えられますため「効果減弱期間」の設定は適切とは言えないと考えました。
10枚目を御覧ください。治療期間後の治療継続について、実臨床の観点から検討するため、本剤の処方経験のある先生方に対し、処方終了後の患者への食事・運動療法の指導意向についてお尋ねしました。多くの医師は、食事・運動療法は肥満症の標準治療であることから、通院を継続してもらい、食事・運動療法を継続させる意向があり、本剤治療後は特に重要であるとの御意見でございました。このことからも、公的分析がモデルに設定する本剤群のみでの急速な食事・運動療法からの脱落は実臨床とそぐわない設定であると考えられました。
11枚目では、両分析を比較した概念図をお示ししております。それぞれの図で大きく異なるのは、赤枠で囲った治療期間後の食事・運動療法継続率です。この違いによって、それぞれのICERが367万円/QALY、1310万円/QALYと、大きく異なっていることが分かります。また、この治療期間後の食事・運動療法継続率の設定はいずれの分析にもエビデンスが不十分であります。
12枚目で、治療継続率を用いた分析の不確実性について、さらに補足させていただきます。こちらの図は、縦軸に本剤群、横軸に対照群の食事・運動療法脱落率を取った二元感度分析です。図中黒枠部分を例に取りますと、本剤群で脱落率を10%、対照群で5%変化させるだけで、ICERが500万円/QALY未満から1400万円/QALY以上にまで変化することが分かります。このように、改めて検討した結果、継続率の設定自体が極めて不確実性の高いものであることが明らかになりました。
13枚目を御覧ください。ここまでの検討内容を、前回の専門組織で御指摘いただいた4つの論点に対応する形でお示しさせていただきます。論点2~4が継続率に関する御指摘でございます。これらの点に基づき、企業分析及び再分析の治療継続率について検討を行いました。
その結果、治療期間後の食事・運動療法継続率は、両分析とも明確なエビデンスに基づかないこと、さらには継続率の設定は大きな不確実性が伴うことが明らかになりました。このことより、継続率の設定には大きな課題と限界があり、前回の専門組織の御指摘に沿って考えた際には、そのような設定を価格調整のための分析に用いることは妥当ではないと考えました。
14枚目を御覧ください。分析枠組みでは、日本における継続率等の診療実態や治療効果を反映させるものとするとあります。企業は治療継続率でこれを実践しようとしましたが、前述のとおり、治療期間後の継続率に関してはエビデンスがなく、分析モデルに反映することには限界があると考えました。そこで、この継続率に代えて、客観的な治療効果に基づく治療中止を分析モデルに設定することで、分析枠組みの規定を実践することができると考えました。
この点を考慮し、NICEにおける本剤の基本分析でも使用されたStopping rule、すなわち、一定期間後に体重減少が5%に満たなかった患者は本剤治療を中止するルールに基づく分析を基本分析とすることを御提案させていただきます。公的分析においてもシナリオの一つとして分析をいただいているため、公的分析の分析モデルを活用した提案でございます。
15枚目です。本剤治療におけるStopping ruleの考え方をNICEにおける定義並びにスライド下部に記載のありますとおり、国内の診療ガイドラインに基づき整理させていただいたものです。本剤の治療・投与開始から6か月時点で5%超の体重減少が未達の場合、そのようなノンレスポンダーは本剤の処方を中止し、食事・運動療法のみの治療に戻るというもので、本剤の最適使用推進ガイドラインにおいても、本剤を投与して改善傾向が認められない場合には投与の中止を検討することとございますため、Stopping ruleの考え方を適用した分析には臨床的な妥当性があると考えております。
16枚目です。Stopping ruleを用いた分析は公的分析において御実施いただいておりますが、分析の一部について、より適切な設定があると考えられましたので、その点を御説明させていただきます。1点目、食事・運動療法と本剤の併用で十分な体重減少を認めなかったノンレスポンダーの取扱いについてですが、公的分析においては、ノンレスポンダーは無治療に移行するようでした。しかしながら、本剤の最適使用推進ガイドラインに基づくと、食事・運動療法まで中止させる運用ではないため、ノンレスポンダーは食事・運動療法のみの治療に戻るのが適切と考えられました。
また、公的分析ではStopping rule、すなわち、5%未達の場合の投与中止と、さきに陳述しました継続率の考えが併用されておりました。併用により、右下の図のとおり、重複する患者の取扱いをモデル上で適切に処理することができないことに加え、前述のとおり、脱落率の考えには多くの課題があるため、Stopping ruleのみを設定することが適切かと考えております。
これらの点を修正した上で分析した結果を、参考資料の最後に示させていただいております。分析の詳細に関しましては、必要なときに御精査いただけるよう、前もって科学院様にも提出させていただいております。
17枚目、まとめです。分析の論点の一つである継続率の設定は、本剤の費用対効果分析に用いることのできる適切なエビデンスがないこと、また、分析の不確実性が極めて高いため、設定には多くの課題があると考えられました。そのため、継続率の設定に代えてStopping ruleを用いた分析を行い、その際には、より適切な設定を採用いただき、基本分析としていただきたく考えます。
公的分析後のモデル変更については前例もあると承知しており、企業としては追加分析に最大限協力する所存でございますので、ぜひ委員の皆様には臨床的に適切な分析について御検討を賜りたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。
陳述は以上でございます。お時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の方々から御質問はございますでしょうか。
いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
○意見陳述者
ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析について御意見がございましたので、科学院から何か追加で御意見があればお願いしたいと思います。
○国立保健医療科学院
国立保健医療科学院です。
何点かお話しさせていただきたいのですけれども、まず、効果の減弱効果、食事・運動療法の継続率の上昇効果についてです。ウゴービ投与終了後に、長期的には食事・運動療法のみ群と同程度の継続率になることに関してエビデンスがないのは企業側御指摘のとおりかと認識しています。しかし、ウゴービにつきましては、投与可能な施設はかなり限定されておりまして、実質的に大学病院等に限られていると推測しているところから、食事・運動療法のみを実施するためにそういった施設に通い続けるのはなかなか困難な状況なのではないかと推察しているところです。
また、企業側がおっしゃっているStopping ruleについてですけれども、日本においてはそのようなStopping ruleに該当するような定量的な基準については存在しておりません。イギリスのNICEにおいて、このようなルールが適用されている点については、まさに薬事承認上、そのような条件がついているからだと推測しておりまして、実際に添付文書上には最大投与量を12週間投与しても、12週間で5%以下の体重減少の場合には投与を中止することが明確に記されているところになります。
また、企業側から提出された新しいモデルについては公的分析としては検討できていないところでありますが、比較対照技術の食事・運動療法が100%永続的に続くという設定になっておりまして、それは分析枠組み設定時における比較対照技術の意図とは大きく異なっております。
なお、食事・運動療法における日本における脱落率を考慮すべきというのは、そもそも、企業側からのリクエストに基づいて対応したものであることから、なかなか難しいのではないかなと考えているところです。
また、最後に、新たなモデルを提出していただきましたが、モデルについては構造や設定が大きく変わっておりまして、通常は分析提出後に大きなモデルの変更等は公的分析としては受け入れておりませんので、他社から同様のリクエストをたくさんいただいても対応は困難であることから、公平性の観点から課題があるのかなと考えている次第です。
公的分析としては以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、当該品目について、御議論をお願いいたします。
なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようお願いいたします。
いかがでしょうか。先生方からコメントいただければと思いますが、企業側から出されている論点は大きく4つございました。その中で、肥満治療の継続率が比較的、議論として大きいのかなと伺っておりましたし、Stopping ruleもそこに関わってくるところもあろうかと、今、お話を伺って理解していたところでございますが、いかがでしょうか。
では、私から科学院さんに御確認ですけれども、企業さんでは最適使用推進ガイドラインにおいて、NICEは3か月のようですが、日本は6か月での5%という話が少しされていましたが、その辺りはいわゆる一つの基準目安として位置づけはどうなりますでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
日本の最適使用推進ガイドラインにおいては、効果を随時見直すこととはなっておりますが、12週で5%等といった定量的な基準については定められていないものと考えているところです。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。私の理解が不足しておりましたが、概念は出ているのですが、いわゆる具体的な数値目標が出ていないという御説明かなと思いました。
いかがでしょうか。
先生方の御意見を踏まえますと、今回の再分析を支持されるような方向ですし、先ほど科学院さんも御説明ありましたが、今回、論点について4つある中において、1つ目はいわゆる科学院さんでは御対応はされていないですが、説明としてかなりしっかりとお話しされていたということで、あと、残り3つについては、シナリオ分析、感度分析で御対応いただいていて、比較的、企業さんの御意見を踏まえて、しっかりと今回はお返ししていただいているかなと思います。
○○委員、どうぞ。お願いします。
○○○委員
ありがとうございます。
肥満症治療の継続率について、Ohiraらの文献のデータを利用することに合意されているようですが、公的分析の報告書で懸念されているとおり、この文献ではBMIが結構高めの35以上を対象としている研究であるのに対して、今回のSTEP6試験でのベースラインのBMIは32なので、そのまま利用することが適切なのかについて、もう少し補足説明をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、このOhiraらの論文についてはBMI35以上の高度肥満を対象にした研究でありまして、食事・運動療法の治療継続率については、比較的、通常の集団よりも高止まりしている可能性があることについては否定できないものなのかなと考えています。
ただ、食事・運動療法の率が高くなりますと、企業分析に示されているとおり、費用対効果が改善することから、高止まりしてもこの程度の費用対効果であると解釈いただくのがよいのではないかなと考えているところです。
以上です。
○○○委員
ありがとうございます。よく分かりました。
もう一点ですが、この薬剤に関しても、薬事申請には国際共同試験で臨床データパッケージが構成されています。また、国内外の民族的な要因の影響については、若干あるものの、ほとんどベースラインの体重の違いで解決できるとされ、民族的な要因に国内外の差がないことがPMDAの審査報告の中でも述べられています。今回の費用対効果の分析において国際共同試験のデータを利用する際には、やはり日本人集団でなければだめなのか、全体集団でも良いかについての御意見を伺いたいのです。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
○○先生御指摘のとおり、海外とアジア圏ではかなりBMIのベースライン値が異なっているものと考えておりまして、恐らく下がり具合については同程度かなと思うところなのですけれども、ベースラインの値が異なっていることから、今回、企業側もSTEP6試験というアジア圏を中心にした臨床試験を用いておりますので、我々もその結果を使わせていただいたところになります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいでしょうか。
○○○委員
ただ、STEP6の他に2試験ぐらい、薬事申請には評価資料という形で提出されていたようですが、それらの試験では例数の規模が多かったので、うまく利用できるのではないかというコメントのみです。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さん、今のコメントに関して、念のため、何かありますか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
御指摘の点、そのとおりかなと思うのですけれども、特にSTEP1、STEP2については肥満症の定義が違うなど、少しバックグラウンドの要因等、異なっている側面もあるようですので、我々としては企業側の見解、STEP6試験、前回のレクビオのときと異なりまして、STEP6試験は単独の試験で解釈可能なものかなと考えておりますので、その辺りを踏まえましてSTEP6試験を使わせていただいた次第になります。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。
先生方の御意見を参考に、ウゴービ皮下注に関する費用対効果については、公的分析による分析結果を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、以上の再分析結果を費用対効果評価案として、中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、内示及び中医協に提出する資料に関しましては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。

