2024年9月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第5回議事録

日時

令和5年9月27日(金)13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、朝野 和典専門委員、岩田 敏専門委員、福田 敬専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○ ゾコーバ錠に係る総合的評価について

議事

〇費用対効果評価専門組織委員長
まずは、ゾコーバ錠に係る総合的評価について、御議論いただきます。
事務局から、説明をお願いしたいと思います。

(事務局より説明)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず本製品に係る総合的評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。

(意見陳述者入室)

○費用対効果評価専門組織委員長
私は費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、ゾコーバ錠の総合的評価に対する不服意見について御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
では、始めてください。

○意見陳述者
よろしくお願いいたします。
ゾコーバ評価案に対する企業側の不服意見の陳述を始めさせていただきます。
資料の3枚目を御覧ください。
こちらは評価案を一部抜粋したものでございます。エンシトレルビルは追加的有用性はなし、また、注のところに、エンシトレルビルはニルマトレルビル/リトナビルと比べて効果が劣ると判断されるという記載がございます。
続いて4枚目、こちらに対する企業側の意見でございます。
まず、追加的有用性に関しては、症状改善効果及び重症化予防効果がそれぞれRCT及びリアルワールドデータによって示されている。したがって、標準治療に対し、追加的有用性を有すると考えております。
また、9月11日に公表されましたニルマトレルビル/リトナビルの中断を受けまして、資料を暫定版から正式版で一部変更しております。こちらにおきまして、ニルマトレルビル/リトナビルと同様、エンシトレルビルの有効性、特に重症化予防効果に関しましては、実施中の前向き臨床研究の結果も参照する必要があると主張いたします。
また、患者割合に関しましても、最新の臨床実態を反映したものにしていただきますよう、こちらも意見を申し上げます。
5枚目を御覧ください。
本資料の内容でございます。
まず1の追加的有用性の評価に関しまして、(a)症状改善効果に関しまして、アセトアミノフェンの使用有無別の症状快復までの時間のデータを御紹介します。
また、(b)重症化予防効果に関しましては、レセプトデータベースを用いた解析により、受診から早期の時点での入院リスクの予防効果、また、高齢者(65歳以上75歳未満)における入院リスクの予防効果を御紹介します。
(c)に関しましては、実施中の前向きの臨床研究を御紹介します。
2の患者割合に関しましては、本日、お時間の都合上、省略させていただきます。
6枚目を御覧ください。
企業側の不服意見の主な内容でございます。
追加的有用性の評価に関しまして、オミクロン株/ワクチン接種下のRCTにおきまして、症状改善効果を有するデータは示されておりますので、標準治療に対し、追加的有用性があると考えます。
また、重症化リスク因子のある患者さんに関しましても、同じくオミクロン株/ワクチン接種下の日本におけるリアルワールドデータを踏まえ、入院予防効果を示唆するデータがございますので、標準治療に対し、追加的有用性が示されていると考えます。
したがって、エンシトレルビルはニルマトレルビル/リトナビルと比べて効果が劣ると判断できないと考えます。
実施中の前向き臨床研究に関しましては、有効性の評価に当たって、特に分析中断となったニルマトレルビル/リトナビルと同様に、重症化予防効果を中心に現時点のデータのみでは評価に当たっては不十分であり、日本において現在実施中の前向き臨床研究の結果を参照する必要があると申し上げます。
8枚目を御覧ください。
データに関してでございます。アセトアミノフェンの使用有無別の症状快復までの時間とレセプトデータベースの内容を御紹介いたします。
9枚目を御覧ください。
1(a)の部分でございます。追加的有用性に関して、費用対効果は極めて悪いことが示されていると記載がございますが、こちらは分析ガイドラインに則っていないのではないかというところを指摘させていただきます。
また、解熱鎮痛剤との併用に関しまして、フェーズ3の追加解析に基づき、症状改善効果に影響するとは言えないことが示唆されております。
10枚目がそちらのデータとなります。
上のテーブル、熱っぽさまたは発熱の快復までの時間に関しまして、使用の有無を問わない群、また、使用ありの部分集団におきまして、いずれも群間差はございます。特に使用ありでは、使用有無を問わない場合よりも症状快復までの時間は長引いておりますが、群間差は8.3時間、n数の問題でP値の有意差はございませんが、効果があると考えます。したがって、解熱鎮痛剤の併用の有無は症状改善効果に影響するとは言えないと考えます。
11枚目を御覧ください。
以降、重症化予防効果についてです。
まず、デルタ株・オミクロン株ではございますが、フェーズ2aパートにおいてエンシトレルビルの入院予防効果の可能性が示唆されております。一方、2bと3パートでは重症化のイベントは確認されておりません。しかし、抗ウイルス効果に関しては一貫して確認されております。また、エンシトレルビル以外の抗ウイルス薬にはなりますが、ウイルス消失と重症化予防効果の関係についても株間で傾向は一貫していたと報告されております。
続いて、リアルワールドデータについてです。今回、追加解析により、オミクロン株流行下、日本の臨床実態に基づく重症化予防効果の可能性を改めて説明いたします。これに基づき、エンシトレルビルは標準治療に対し追加的有用性を有すると考えますし、ニルマトレルビル/リトナビルと比べて効果が劣るとは判断できないと考えます。
続いて、12枚目を御覧ください。
オミクロン流行期以降、重症例の重症化までの時間は数日以内とされております。また、抗ウイルス薬は、早期に投与することで有効性を発揮すると考えられることから、リアルワールドデータにおきまして受診から早期の時点での入院予防効果を確認しております。
13ページ目を御覧ください。
こちらは追加解析ではありますが、Day7まで、また、Day10までを御覧いただきますと、重症化リスク因子ありの患者さんでは、エンシトレルビル群において、抗ウイルス薬なし群に比べ、それぞれ66%、また、54%入院リスクの統計的に有意な減少が確認されております。これは受診から早期の時点での入院予防効果を示し、エンシトレルビルの抗ウイルス効果によるものとされます。
続いて、14枚目を御覧ください。
こちらは、同じく追加解析により、65歳以上75歳未満の高齢者の集団での入院予防効果を確認したものです。エンシトレルビル群においては入院のイベントは確認されず、最も重要な重症化リスク因子である高齢者においても入院を予防する可能性が示唆されております。
続いて、15枚目を御覧ください。
こちらは、重症化リスク因子の有無を問わない、すなわち全集団における重症化予防効果を確認したものでございます。エンシトレルビルは、この全集団に対しても重症化を予防する可能性が示唆されております。
続いて、16枚目を御覧ください。
以上御紹介しましたリアルワールドデータは、後ろ向き研究でございます。また、専門組織による先日の御意見の中でも、前向きな意見がない状況では判断できないとコメントを頂戴しております。
前向き試験に関しましては、デルタ株・オミクロン株流行下で実施されましたフェーズ2aパートにおいて、プラセボ群では重症化リスク因子ありなしそれぞれに重症化イベントが1例ずつ確認されております。しかしながら、オミクロン株以降、フェーズ2bパートとフェーズ3パートでは重症化イベントはゼロ、確認できませんでした。したがって、現在の臨床環境におきまして、オミクロン株/ワクチン接種下重症化イベントが非常に減少している中で、この予防効果を前向きに証明するには大規模な試験が必要であると考えます。
そこで、17枚目を御覧ください。
弊社では、国立国際医療研究センター及び徳洲会グループとそれぞれ共同研究の前向き臨床研究を実施しております。これは、重症化予防効果を含むエンシトレルビルの有効性を評価するための試験でございます。イギリスで実施されておりますPANORAMIC試験とは異なり、PANORAMICがRCTなのに対し、こちらは観察研究ではございますが、日本における臨床実態、実施可能性を踏まえ、こちらの試験を進めている状況でございます。
18枚目を御覧ください。
また、抗ウイルス効果に関しましても、前向きの臨床研究をニルマトレルビル/リトナビルと比較する形で実施しております。こちらはオックスフォード大学との研究でございます。
19枚目を御覧ください。
罹患後症状抑制効果に関しましては、阪大病院との共同研究として、エンシトレルビルの罹患の症状に対する有効性を評価するためのRCTを実施しているところでございます。
20枚目を御覧ください。
以上をまとめまして、追加的有用性の評価に関しましては、まず症状改善効果に関しては、エンシトレルビルは標準治療に対し追加的有用性が示されていると考えます。
また、重症化リスク因子のある患者さんに関しましては、リアルワールドデータから入院予防効果を示唆するデータがあり、標準治療に対し追加的有用性が示されていると考えます。
したがいまして、エンシトレルビルは、現段階において、ニルマトレルビル/リトナビルと比べて効果が劣るとは判断できないと主張いたします。
また、エンシトレルビルの重症化予防効果、罹患の症状抑制効果などは、日本の臨床実態も踏まえた議論を行うためにも、現時点のデータでは不十分ということから、実施中の大規模な前向き臨床研究の結果も参照する必要があると考えます。
また、患者割合に関しましても、同様に最新の臨床実態、日本の臨床実態を反映した割合等を反映し、評価いただくべきと考えております。
ここで、臨床の専門家として○○先生から本件に関してコメントをいただきます。
お願いいたします。

○意見陳述者(専門家)
新型コロナはかぜではありません。2020年の1年間、死亡診断書にコロナと記載された方は約5万人です。今なお日本人の30人に1人はコロナの関連死亡です。若い方を中心に約10%以上の後遺症、多くの院内感染が今なお見られています。
その評価は、1点目、客観的な評価がされていないこと。2点目、企業側の意見陳述の内容とかみ合っていないこと。3点目、パキロビッドの取扱いとの矛盾があることによって、私はこの議論は全く公正、公平でないと考えます。
私たちは、2020年の治療薬がない時代に戻ることはできないのです。私は解熱剤でよくならないから来院する患者さん、抗ウイルス薬が投与されないで入院する患者さんを数多く見ている中で、解熱剤等でよいとする結論は社会へ極めて誤ったメッセージを送ることになりかねないと強く危惧します。
以上です。

○意見陳述者
○○先生、ありがとうございます。
以上で不服意見の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
今、企業からの意見陳述にもあったように、公的分析に対する御指摘が幾つかありましたので、これらの指摘に対して公的分析から御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
1点目、症状改善効果についてなのですけれども、アセトアミノフェンの使用有無別の症状が快復するまでの時間のデータをお示しいただきまして、新たなデータをお示しいただいたことは感謝申し上げるのですが、我々、解熱鎮痛剤については全く議論の対象としておりませんで、鎮咳薬あるいは抗ヒスタミン薬等が併用禁忌になっているということが結果にバイアスを及ぼしているのではないかということを指摘させていただいたところですので、この点は誤解いただかないようにお願いしたいなと思っております。
また、観察研究のデータにつきましては、先ほど申し上げたように様々な方法論上の問題があることから、我々としては受け入れられないと考えています。
また、前向きの臨床研究については、様々な研究をやられているということは理解するところですが、現時点ではその結果が得られていないというところと、また一方で、前向きの第3相試験であるSCORPIO-HR試験の結果というのはいまだに詳細なデータが公表されていないということでありますから、このようなデータは将来においてもしポジティブなデータがあれば御検討いただきたいと思っている次第です。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、今のお話を踏まえて、委員の方々から御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了させていただきます。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。

(意見陳述者退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、念のために議論に先立ちまして、企業からの不服意見がありましたので、改めて科学院から追加で御意見があればいただきたいと思いますが、先ほどの御意見にプラスアルファでございますでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
先ほど述べさせていただいた点で結構ですので、御議論をよろしくお願いいたします。

○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、当該品目につきまして御議論をお願いしたいと思います。
なお、議論に当たっては、企業からの不服意見を踏まえた企業からの提案と公的分析の再分析のどちらが科学的により確からしいかを相対的に評価することを踏まえて、御議論を進めていただきますようお願い申し上げます。
御専門の先生お二人にいつもいろいろと御意見をいただいているところでありますが、○○先生と○○先生に最初に御意見をいただきたいと思いますが、○○先生、よろしいですか。

○○○委員
○○でございます。どうもありがとうございます。
基本、今回の議論は、科学院の皆様の分析と同じように、科学的根拠という点でいうと十分ではないと言わざるを得ません。前向き研究も観察研究ですので、ぜひRCTをしっかりやって、そのためにはかなりの症例数が必要ですけれども、その根拠を示していただければと思います。
また、先ほど○○先生が非常に強い口調で現状を訴えてくだったと思うのですけれども、私も書かせていただきましたが、そもそもこの薬が今の値段でこの場で俎上に上がっていること自体が問題であると思います。むしろこれは厚労省の問題だと思うのですけれども、もちろん制度の問題なのですが、例えばこれと同等のものは何かというと、前回もお話しさせていただきましたけれども、抗インフルエンザ薬、これは12時間早く解熱させて、ウイルス量も早く少なくなる。幾らかというと3,000円なのですよ。3割だと1,000円なのです。それであれば臨床の現場で使えるのですよ。今、5万円でほとんど使えない状況が生まれていて、使いたいけれども使えないというのは決してここの追加的有用性云々の議論ではなくて、そもそも本体の値段の問題だと思います。それを下げられないという日本の医療の薬価の制度そのものが感染症に関しては非常に遅れた結果を生み出しているということがございます。
これは本当はこの分析の場で言う話ではないかもしれませんが、ぜひ厚労省あるいは制度を変えていただいて、感染症に関しては迅速に対応できて、使える薬を使える値段で使うということを御議論いただくということが必要かと思いますので、その上で、今の値段で、今の費用対効果でいうと科学的根拠が足りないということは公的分析のとおりだと思っております。
以上でございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、ありがとうございます。
公的分析に関する科学的な考え方については大変ありがたく承りました。
あともう一つ、価格水準の話については制度の話ですし、先生がおっしゃったとおりこの場で議論するものではないので、御意見としていただいておきます。ありがとうございます。
では、○○先生、お願いできますでしょうか。

○○○委員
ありがとうございます。○○でございます。
一応コメントに書かせていただいたので、必ずしも科学的な根拠には基づいていない私の感じたことが中心になっていますので、参考にしていただければと思います。
まず、不服意見書に書いてあったうちの抗ウイルス薬によるウイルス消失と重症化抑制効果の関係ということです。この辺は確かにデータがないので、科学院の分析のとおりなのかなと思うのですけれども、ただ、一般的に感染症においてはウイルス学的効果とか細菌学的効果といった微生物学的効果はほぼ臨床的な効果とパラレルな関係にあると私たちは考えています。ということで、ウイルス学的な効果ですね。早く減るというところ、それから、in vitroでは変異株でも近縁株でもあまりウイルス学的効果は変わらないというようなところで、ある程度臨床効果に対しての予測ということはできると考えています。
したがって、ニルマトレルビルを比較対照技術とした場合に、ウイルスRNA量のベースラインからの変化量の間接比較をもってエンシトレルビルの効果を予測できるのではないかという企業側の意見ですけれども、これに関しては確かに直接比較してデータを出したものがないので、なかなか科学的な分析としては評価できないのかもしれないのですけれども、臨床医としては一応許容できる内容なのかなと思っています。
それから、エンシトレルビルの重症化抑制効果については、確かにこのお薬自体がオミクロン株流行下で臨床試験が行われていて、そこでは重症化抑制というのを治験の中で証明することはほとんど難しかったので、臨床症状の改善というところの違いで見ているわけなのですけれども、ですから、直接重症化抑制効果を証明するエビデンスはないので、将来のRCTに期待するしかないのかなと思います。ただ、企業側が示したリアルワールドデータというのは現時点で示される最善のものなのかなと思いますけれども、保険のデータを使っているとかいろいろなリミテーションはたくさんありますけれども、一定の評価をしていただくことは可能なのかなと思っています。
それから、罹患後の症状抑制効果については、科学の分析どおりで異議はございません。
あと、エンシトレルビルの追加的有用性ということなのですけれども、これは先ほどお話ししたような内容で臨床試験が行われてきたわけなのですけれども、確かに費用対効果分析で○○先生がおっしゃったように非常に薬価は高いですし、このぐらいの改善があって、それが費用対効果に出るとは私も思わないのですけれども、ただ、追加的有用性は全くないと言われてしまうと臨床家としては違和感があって、例えば解熱鎮痛剤とか対症療法のお薬を使わないで治験が行われていますけれども、これは対照群もエンシトレルビル群も同じように使用の制限がかかっているので、そういうものを使わない状態で差が出たというところはある程度評価してもいいのかなと思っていて、その上で費用対効果がないという結論を出していただけるのだと納得できるのですけれども、初めから効果はないのですと言われてしまうと、これは臨床家としてはかなり違和感を感じるところでございます。
それから、エンシトレルビルの追加的有用性というところで、この辺、自分も科学院さんの話を聞いていてよく分からなかったところがあるのですけれども、ニルマトレルビル/リトナビルにエンシトレルビが劣っているから、もしニルマトレルビルがラゲブリオと比べて追加的有用性が証明できなければ、できた場合にはですね。ニルマトレルビルにエンシトレルビルが劣っているから評価しないというところ、そこのところ、僕はあまり理解がしにくかったので、もう一度説明していただけるとありがたいです。
最後に、全般的にこの感染症の場合、途中でウイルスが変異したり、ワクチンの接種が普及するとかといったことで感染症自体の背景が大きく変化する中で、抗ウイルス薬の評価をするのは非常に極めて難しいと思いますし、そういう中でこれまでいろいろ費用対効果について詳しい分析をしていただいて、すごく大変なことだったなと思うのですけれども、ただ、重症化防止に関する議論に関しては、RCTのデータを基本にして費用対効果を検討するという方針はそのとおりでいいと思うのですけれども、ただ、データがなかったり十分な評価ができないというような場合には、やはりリアルワールドのデータ、これもリアルワールドデータとしてあまり価値がないということを言われてしまうとそうなのですけれども、ほかのデータ、ほかの評価方法もなるべく使って前向きに検討していただけるといいのかなと感じておりました。
私のほうからは以上でございます。ありがとうございました。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
臨床現場から見た御意見も多々いただいたところでありますけれども、科学院さん、今の御意見に関して、意見とあと御質問が1点あったのですけれども、その辺り、解説も含めていただいてもよろしいでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
我々も追加的有用性がないということを断言できるかどうかというのは非常に難しいところだと思っているのですが、積極的なデータとして我々の見解としては追加的有用性を示すデータが存在しない、あるいは企業の提示したデータによって追加的有用性が示されていないと考えているところでありまして、それは追加的有用性がないということは少し違っているのかなと思っています。
また、パキロビッドとの比較の件についてなのですけれども、パキロビッドは分析中断となっているのですが、パキロビッドとラゲブリオを比べて、ラゲブリオに対して、パキロビッドの評価はラゲブリオと比較してやっているわけですけれども、プラセボと比べて、ラゲブリオが費用対効果の世界で追加的有用性がないと言われているものですから、パキロビッドについても追加的有用性がなければプラセボと同じだということになりますし、追加的有用性があれば、それはパキロビッドのほうが効果が高いということになるわけでありまして、ゾコーバが標準治療に対して有効性が示されていない以上、パキロビッドと比べると、それは間接的にでありますけれども、効果が劣っているというような見解になるのかなと考えているところです。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○先生、いかがでしょうか。

○○○委員
標準治療と比べた臨床試験ではないので、そこを標準治療と比べて劣っていると言い切ってしまっていいのかどうかというのはちょっと疑問に思ったのと、追加的有用性がないと判断されるからパキロビッドと比べると劣っているという評価になると思うのですけれども、その辺をちゃんと証明するガチンコで勝負したデータというのは絶対ないわけなので、そこをつなぐのはウイルス学的な効果ぐらいしかないのですけれども、そこのところを見るとあまり劣っているとも自分たちは臨床家としては判断していないので、そこがすっきりしないかなと思っているところです。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
私が申し上げるのもなんなのですが、今ある材料で皆さん全てものを多分テーブルに出して一生懸命工夫してどうにか議論してきていただいているというところなので、その点は御議論いただきながら、ただ、だからといってお薬のポテンシャルを全面的に否定しているわけではないというところも含めて整理をさせていただいているかなと思って伺っておりました。
あとは、先生方、御意見と御質問を含めてですが、いかがでしょうか。今回、企業様もいろいろ努力をされて新しいとお考えのデータを出してきていただいているところでありますが、リアルワールドデータ、所有データなどについても、特に最近そういった分析も多くなってきているところでありますが、○○先生にお伺いしたいのは、企業様が傾向スコア、Propensity Scoreとかをしながらバイアスをできるだけ下げるようにしてそれなりに持ってきてはいるのですが、やはりRCTが説明能力としてはもちろん一番で、かなりこういった観察研究とかリアルワールドデータというのは限界があるという理解でよろしいでしょうか。

○○○委員
もちろんその理解でよいとは思うのですけれども、かといって、RCTがいつもできるかというとそういうわけでもございませんので、やはりあるところではリアルワールドデータのエビデンスというのは使っていく必要はあるかと思います。ですので、そういう意味で言うと、リアルワールドデータだとレセプト病名がやはり情報エラーが含まれているからということをよく言われるのですけれども、そこがバイアスになるかどうかというのは比較群で偏って情報エラーが起こっているバイアスになりますが、均等に起こっている場合は、そこは相殺して考えられるという意味でいいのではないかというような評価もできますので、何が何でもリアルワールドデータは信用できないということになってしまうと、サイエンスを発展させることというのは今後なかなか難しくなってくるのではないかなと思います。ですので、IPTW、傾向スコア、逆数重み等、今考えられるベストな手法を使って調整はされている。日本人のデータを使われているというところで、逆に言うとRCTというのは特殊な環境下で行われている研究というのもありますので、やはり双方補って考えていくということが重要なのではないかなと思います。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今回においては、先生も事前の意見としては、全体を俯瞰すると公的の分析の考え方でよろしいとは伺っていたので、そういった内容を踏まえての御意見と考えさせていただければと思います。ありがとうございます。
○○先生、今の件で少し御意見をいただいていましたが、コメントはございますでしょうか。

○○○委員
私は、RCTで確認されている症状の短縮効果に関しては認めてもいいのではないかと。もちろんいろいろRCTの弱点はあるのでしょうけれども、短縮効果に関しては認めてもいいのかなとは思ってはいるのですが、企業が提出したICERの値は比較的いい値を提出しているのですけれども、これの計算の下になっている増分の効果の大半は恐らく罹患後症状の抑制効果に依っている部分が多いのではないかと思っていまして、その部分に関してはあまり十分なエビデンスはないということで、やはり症状の短縮効果だけを見ると、もの凄く費用が莫大な額になっているというのが直観的にも現実なのではないかなと見ているところです。なので、全体を見れば公的分析のほうがより妥当なのではないかなと思っています。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今までいろいろな御意見をいただいていますけれども、基本は公的分析が妥当ではないか、より確からしいのではないかという御意見が先生方の総論かなと思っております。
何か御意見は追加でございますでしょうか。
患者割合についても今回御提案がありましたが、科学院さん、いかがですか。最新のデータで議論すべきという話などもありますが、御意見をいただけますでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
患者割合につきましては、企業のほうから以前我々に出していただいたデータベースに基づいて、それを最新の情報に更新したというような形になっていますので、方法論としては一定妥当なのではないかなと考えていますので、企業側の見解というのを受け入れる余地もあるのかなとは考えているところです。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今のお話のとおり、今回の企業側の提案について、患者割合については受け入れてもいいのではないかというような話もございますが、先生方、いかがでしょうか。新しいデータで議論したほうがいろいろな意味でいいのかなとは思うのですが、異論がなければ、今回、患者割合については企業さんのほうから出した新しいデータで進めていくということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
では、○○委員、お願いします。

○○○委員
先ほどとかぶるので申し訳ないのですけれども、私としてはやはりリアルワールドデータのレセプト病名が怪しいので使えないというのは、全てのリアルワールドデータの性質でもあるので、そこは言い過ぎではないかなと。うちの教室でもデータベース研究はやっております。それはエビデンスとして価値がないと言い切られている節もちょっとありますので、やはりあのデータはあのデータで価値はあるものだと私は思いますので、何かそこを言い換えていただければと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今の件に関して、科学院さん、何かコメントはございますか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
レセプト病名についてはデータベースを解析する際に様々議論されているところだと思うのですが、一般にレセプト病名を使って調整するというのはあまりよろしくないという学術的なコンセンサスがあるのではないかと我々は認識しておりまして、かなりレセプト病名、特に非常に特異性の高いような病名であれば結構だと思うのですが、肥満であるとか、高血圧であるとか、あるいは高脂血症であるとか、そういうコモンディジーズに関するレセプト病名というのはかなり外的妥当性が危ういということがいろいろな実証研究で知られておりますので、レセプト病名で調整したもので、きれいに群間で実際の健康状態でバランスが取れているというのは、なかなか困難なのではないかなと考えているところです。
その点、○○先生あるいは○○先生等、そういう解析をされている先生方に御意見を頂戴できればと考えています。

○費用対効果評価専門組織委員長
では、○○委員、お願いします。

○○○委員
○○でございます。
今の白岩先生の説明どおりなのですが、今、資料にある不服意見に関する案だと、レセプト病名は全て駄目と。そもそもレセプト病名という言葉がレセプトに書いてある病名のことなのか、レセプト病名と言われている真の病態を反映していないような病名のことなのかということも誤解を招くような書き方になって、読みようによっては全てのこうした研究を否定するようにも読めるので、信頼性の低い病名を使った調整を今回は行っているので、今回の分析についてはいろいろ課題があるということまでは今日御参加の多くの委員の先生方は同意されると思うのですが、レセプトに書いてある病名を使った調整をした研究は全て駄目、あるいはリアルワールドデータ、レセプトを使った研究が全て駄目と間違ってこれを読まれてしまうと困るので、そこの部分の書きぶりだけを工夫していただくとよいのかなと思いました。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いいたします。

○○○委員
私も○○先生と同じ意見です。基本的にDRGとか医療資源を一番つぎ込んだ病名というのだと非常にはっきりしてくるのですが、それでも医療資源を最もつぎ込んだ、投入した病名ということで、それもいろいろ議論があると思うのですけれども、レセプトは確かに○○先生がおっしゃるように、本当にレアなものであればほとんどクラリファイというか固定できるのですけれども、こういった一般病名に関してはなかなか難しいというところは○○先生のおっしゃるとおりです。
本当に○○先生がおっしゃったことが一応落としどころというか、もう少し弱めて、信頼性が低いというところはニュアンスとして残してもいいと思うのですけれども、もう少し書きぶりを弱めていただければいいかなと思います。
以上です。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
今は不服意見に対する文章の話になっているかと思うのですが、この表現を少し変えていただくということは、科学院さんはいかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
少し強い表現だったかもしれないので、レセプト病名全てを否定するわけではなくて、特異性の高い病名ももちろん存在するとは思いますので、ぜひ少し調整はさせていただきたいと思っております。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
確かにレセプト病名だけで議論していると結構ミスリーディングが多かったりするので、我々などもデータベース研究をやらせていただきますけれども、これに実際の処方内容とかをandという形で議論して確実度を上げていくような話などもすることが多いのですが、今回は多分企業さんはそれをやっていないという話であれば、科学院さんの考え方でよろしいかなと思って伺っていましたが、表現を少し見直していただくということで今回は整理をさせていただきたいと思っております。
その他いかがでしょうか。
では、○○委員、どうぞ。

○○○委員
今、前向きの臨床研究も進んでいるということで、もうしばらくすればデータが上がってくる研究もあるかと思うのですけれども、そういうデータを待つという可能性もありますか。それとも現時点で結論を出していく必要があるとの理解でよろしいでしょうか。

○費用対効果評価専門組織委員長
待つ意味合いとか確度とか議論に対するインパクトというところで多分整理することになると思うのですが、これについては多分情報収集が一番進んでいる科学院さんのほうでお答えいただいたほうがいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
パキロビッドのときについては、目の前に症例登録が終了したRCTがあるということで、そういうことをお願いしたわけですけれども、観察研究で一体どこまで言えるのかというのは非常に難しいところでありましょうし、また、既に観察期間が終了して解析まで終了しているSCORPIO-HRというRCTについて、いまだに企業さんのほうからきちんとした詳細な解析結果が出されていないということもありますので、既に終わっている研究を無視して将来の研究を待つというのは少し問題なのかなと感じている次第です。

○費用対効果評価専門組織委員長
○○委員、よろしいですか。

○○○委員
今の説明でよく分かりました。ありがとうございます。

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
ここまでの議論をまとめますと、結論としては公的分析を皆さん認めていらっしゃるということで、一つは、患者さんの割合については企業さんのほうの最新のデータに置き換える議論と、あとは、不服に対するコメントについてはレセプト病名のところの文章を少し変えていただくという話になっていたと思います。
その他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
お時間のほうもそろそろ来ているところでありますので、まとめに入っていきたいと思いますが、なければ議決に入らせていただきたいと思います。
それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間、一時御退席をお願いいたします。

(○○委員 退室)

○費用対効果評価専門組織委員長
公的分析案を採用するという前提で、以上の先生方の御意見を参考に、ゾコーバ錠に関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、ゾコーバ錠に係る総合的評価について、患者割合については企業の案を受け入れた上で、専門組織で決定された総合評価のとおりとするということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告をいたします。
なお、企業に対する内示及び中医協に対する資料に関しては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。