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第43回ILO懇談会議事要旨
大臣官房国際課
日時
令和7年8月20日(水)16:30~18:30
場所
中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
(1)第113回ILO総会の報告
(2)2025年年次報告について
(2)2025年年次報告について
議事
- 1.第113回ILO総会の報告
- 政府側から資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。
(労働者側)
ILOの総会に出席して、この時代の中で、改めてILOの政労使の枠組みの重要性を非常に感じた。ただし、ILOはコンセンサスで、政労使で物事を決めていくことが原則であるが、基準適用委員会の結論の採択が投票になったということがあり、今後のILOの在り方に不安を覚える面もあった。
プラットフォーム経済の議論については、労働者側も強く求めていた勧告により補足される条約となることが決まった点は、非常によかったと思っている。まだまだ内容を詰める必要があり、定義が決まっただけであるので、今後の政労使の議論が非常に重要になる。
今パレスチナにおける紛争が世界でも注目されているが、「パレスチナのILOにおける地位及びILO会議における参加の権利に関する決議」が採択されたのも非常に大きかった。国連に準じてパレスチナが解放運動から非加盟オブザーバー国になったことにより、投票権はないものの、発言権が与えられたことは非常に大きい出来事だったと思う。
また、「ミャンマーに関し理事会がILO憲章第33条に基づき勧告した措置に関する決議」が採択されたのは非常に大きなことだと思っている。ただし、これを基に各国がいかにこれを前向きに実施するかについては、労働者側もさらに取り組みを続けていかなければいけない。
基準適用委員会でベラルーシに関する特別セッションがあったが、ベラルーシでは労働組合権は認められておらず、今でも労働組合活動家が拘禁されている。調査団を出し、どのような状況になっているかを調査したいと主張しているが、なかなかベラルーシ政府はこれに応じない。
そういう意味では、今回の基準適用委員会で結論が採択されたということを非常にありがたいと思っており、やはり拘禁されている労働組合活動家の釈放も含めて、ILOの審査委員会が出している勧告が実施されることを望んでいる。
(使用者側)
労働者側からあったように、政労使が対話を重ねることの重要性を、本当に再確認するような時代になったと思う。特に国連システム全体が、改革・統合するといった圧力にさらされており、財政的にも不安定な状況にある中で開催された総会ということもあり、ILOの中核的な使命とは何なのか、国際労働基準の設定や基準適用状況の審議、そして、その実現のための技術支援といった点を再確認する場となったのではないか。
また、今後、ILOの在り方をめぐる議論がさらに進展していくこととなるが、日本政府には、労使への適宜の情報共有と、日本国内における建設的な政労使の対話を引き続きお願いしたい。
また、ミャンマーに関して、憲章第33条に基づく措置が決定された際に、同国の労使代表にも発言の機会が与えられたことは、非常に大きな進展である。
使用者グループとしては、ミャンマーの商工会議所連合会のロザリン事務局長が求めていたように、この措置がミャンマーの労働者や企業を苦しめるものであってはいけないと、いわゆる経済的な措置ではないということをILOが明確にするように強く求めている。
ただし、ミャンマーが審査委員会の勧告に基づいて着実に前進できるように、日本政府においては、アジアの一員として、引き続き、ご尽力をお願いしたい。
少し補足的になるが、社会正義連合の年次フォーラムにおいては、人権を基盤とする経済をテーマとするところに、使用者グループを代表して日本も登壇して、各ステークホルダーがそれぞれの職務権限と強みを尊重し合いながら取り組む協調的なアプローチの重要性を強調させていただいた。
プラットフォームに関しては、先ほど、政労使のコンセンサスが基本であるILOの世界において、投票が多くなっているということの懸念が労働者側からあった。このプラットフォームの国際文書の形式については、使側は一貫して勧告を主張し、日本政府も同様だったと理解している。最終的にコンセンサスに至らず、投票の結果、勧告で補足された条約にすることになったことは、正直、残念である。
ILO総会での議論は遅々として進まず、大半が定義をめぐる議論に費やされ、全体で78パラグラフのうち11パラグラフしか採択、コンセンサスに至ることができなかったということは、この問題がいかに難しいかを証明している。特に雇用分類・安全衛生をどうするか、また、自動化システムの影響をどう考えていくかといった個別の論点については、来年の総会での議論に持ち越されており、来年の議論は大変重要なものになる。
ILOでのこの議論は、現在行われている国内における労働者性の研究会の議論にも一定の影響を及ぼす可能性があると理解している。
ILO事務局より、ブラウンレポートが先日公表された。今年のILO総会での議論の総括など、色々な記載がなされている中で、ILO事務局は、多くの国が批准でき、各国が実情に応じて適切な規制を講じていける、原則ベースの条約にしていくことが重要であるとパラグラフ12においてコメントしている。基本的には、そうした観点で来年のILO総会における議論に臨んでいきたい。限られた時間の中で、どこまでコンセンサスが得られるか、ILOと政労使は試されていると言える。
バイオロジカルハザードに関しては、一貫して勧告の採択を主張したが、大多数が条約つき勧告ということだったので、やむを得ないと受け止めている。他方で、使用者側としては、生物学危機、バイオロジカルハザードの定義について、最終的には使用者の管理下における労働環境に限定されるとなっており、企業が対応可能な条約の内容であるという点では評価をしている。
我が国が、この条約を批准するかはまだ承知していないが、使用者側としては、業務に関連した活動に起因する問題と、使用者が管理できない可能性が高い公衆衛生、パンデミックなどに起因するような問題については、それぞれの分野で対応していくべきと考えている。公衆衛生の部分は公衆衛生、企業がやるべきものは企業という区分が十分になされないと批准は難しいだろう。このあたりが我が国にとっての課題になるだろうと感じた。
- 2.2025年年次報告等について
- 政府側から資料に基づき説明を行い、その後意見交換が行われた。
(使用者側)
今回の育成就労制度に関して、ビジネスと人権の推進に関わってきた立場から一言申し上げたい。企業の人権デューデリジェンスに関連して、日本における人権リスクとしてしばしば指摘されてきたのが、技能実習制度に関する課題である。
そのため、外国人労働者の人権保護を主要な目的の1つとして、政府が制度の適正化に真摯に取り組んでいることは使用者側としても評価をしている。
今、国際社会において、移民労働者、外国人労働者の人権に対する関心というのは一層高まっている。EUにおけるサスティナビリティデューデリジェンス指令に加えて、国連ビジネスと人権作業部会が、今年9月の国連総会に提出する年次報告のテーマも、Labor Migration、国際労働移動とされている。
こうした中で、国際的にも注目を集めている育成就労制度が、グローバルに理解を得られる制度として発展することが重要である。
それが、ビジネスと人権への取組を進めている企業の切なる願いであり、今回の意見にも反映されていることをご理解いただきたい。
(労働者側)
MOC(2国間取決め)については、近年締結し出したものではなく前々からある課題として、労働者が借金を背負ってその借金の返済のために働くところ、その労働条件、処遇の劣悪さなどにより、結局借金も返せず失踪につながってしまっているとの指摘が我が国の制度の改正につながった。しかしながら、改正法の施行はまだ先であり、その間、今起きている問題への対応を行うことも必要であるため、政府あるいは関係者によるご尽力をお願いしたい。
また、外国人技能実習機構(以下「機構」という)について、改組されるのは先のことであって、その予算措置をどう考えるかというところはあるが、一方で、人を雇う、あるいは今いる方のスキルを高めるといったことは一朝一夕にはできないため、前広に対応していくことが必要である。
そのためには、早めの予算措置により、人員や事務所等の予算を充実させていくことが重要だと考えている。制度所管省庁の予算も厳しい中、どう対処していくのかという問題があるが、何もしないでいいということではないので、対応をお願いしたい。
最後に、労働相談について、我々にもいろいろな労働相談が寄せられており、中でも多いのが労働災害についてである。深刻な労働災害があったために帰国をさせられそうになり、我々のところに駆け込んでくるという問題が、実際に、今年も何件も来ている。そういった相談を、実習実施者、あるいは監理団体が受け止められない要因として、監理団体の相談体制が不十分であったり、監理団体が実習実施者の違反等を強く指摘できないなどの事例もある。それぞれの役割を適正に発揮できるよう、指導監督をお願いしたい。
第138号条約については、日本の公務員の定員法の規定があり、すぐには改善できないことは存じているが、ILO基準に真摯に近づけていく努力を、ぜひともお願いしたい。
(政府側)
まず、最初に、使用者側からいただいたビジネスと人権に関するご意見については、まさに人権の観点の重要性から、今回、技能実習制度を育成就労制度に発展的に変えていく趣旨である。その趣旨を実現できるように、現在、どういう運用をしていくかも労使の方々を交えた有識者会議でも議論しているところであり、その中で、その趣旨を実現できるように、制度施行に向けて準備してまいりたい。
続いて、労働者側のご意見について、育成就労制度になるまでの間についても尽力をということであるが、新たなMOCをつくるに当たって、各国政府とのやり取りがまた発生するので、そういう場も通じて、さらに連携をしっかり強めていきたいと考えており、また、現行のMOCに基づいた対応もしっかり取っていきたい。手数料の件でも、各国、実際に国内での規制を強めるという例も見られる。そういった取組を促していければと考えている。
機構の体制についてもご指摘のとおり一朝一夕にできるものではない。まず、令和9年4月の施行に向けて、予算をしっかり確保して強化を進めていくが、体制強化に至る間も、様々どうやったら業務を良くしていけるかを出入国在留管理庁(以下「入管庁」という)と機構とも協議しており、引き続き体制の強化に努めていきたい。
技能実習生からの相談への対応については、まず、実習実施者、監理団体が対応するというものであり、まずはそちらを徹底していくということではあるが、そこで対応し切れない部分については、機構でも、母国語相談での対応なども行っているところである。それでも、労働者団体に直接相談があるという話もあり、まず、機構の相談支援も含めてしっかり周知するとともに、どういったところがネックになっているかも見つつ、どういった支援をすることがより望ましいか考えていきたい。
(政府側)
先ほど、労災を受けたことを契機として強制帰国をされるという案件についてお話しがあった。技能実習生から相談を受けたら、当然機構において対応するということをやっているが、入管庁における独自の取組についても紹介させていただきたい。
残念ながら、強制的な帰国という形で監理団体の職員が技能実習生を空港に連れて行くということは、実際として起きると承知している。そのような場合に簡単に出国させないよう、入管庁においても出国の確認のタイミングにおいて、技能実習が基本3年程度、最長5年、満了していない場合には、審査官がアンケートを取ることとなっている。出国時の意思確認と呼んでいるが、令和6年においては、約1万8,500件のアンケートを行っており、それによって、実際に13件が強制帰国をされているという申告があった。
このような形で入管庁としても、残念ながら強制帰国のような案件が発生してしまったとしても、出国をさせない取組をしている。
(政府側)
ビジネスと人権は、本当に重要なことだと思っている。水産加工業としても、仮に飲食料品製造分野の中から水産加工区分の業務が切り分けられた場合にも、水産加工業を選んで外国人の方々が日本に来ていただく、選ばれる業界にならないと、制度がうまく回っていかないことから、外国人材にとっても魅力のある、また、人権に配慮された業界になっていくように、きちんと指導してまいりたい。

