- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 >
- 2024年8月23日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第4回議事録
2024年8月23日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第4回議事録
日時
令和6年8月23日 13:00~
場所
オンライン開催
出席者
田倉 智之委員長、齋藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員、中山 健夫委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、石原 寿光専門委員、福田 敬専門委員、国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
木下医療技術評価推進室長 他
議題
○ マンジャロ皮下注に係る総合的評価について
議事
○費用対効果評価専門組織委員長
前回、先生方に御議論いただきましたマンジャロ皮下注に係る総合的評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思っております。
まず、事務局から、説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に係る総合的評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、マンジャロ皮下注の総合的評価に対する不服意見について、御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
始めてください。
○意見陳述者
企業からの意見陳述をいたします。
2枚目を御覧ください。7月の専門組織での決定事項を示します。2点の御決定をいただいております。1つ目は、CHD、Strokeのリスク式補正について、2つ目は、QOL値に対するBMIの影響についてでございました。
3枚目を御覧ください。1点目のCHD、Strokeのリスク式補正について、企業から、新たな論点を提示します。公的分析報告書によりますと、CHD、Strokeのリスク式補正についてTanaka先生の報告を用い、外的妥当性の確認を取っています。企業は、その外的妥当性の確認結果の解釈に科学的に課題があると考えます。
4枚目を御覧ください。まず、CHDやStrokeの補正がどのようなロジックを用いて行われたかを図示し、その中で、7月の専門組織で企業がどのような課題を挙げたかを確認します。図の上半分の箱、「公的分析によるリスク式補正」と記載している箱を御覧ください。日本人のCHD発症割合は、ゴールドスタンダードとして、Tanaka先生の論文で報告された実際の5年CHD発症割合が2.92%でした。それに対し、その右に記載しておりますUKPDS Outcomes Model 2は企業が用いたモデルでございますが、このモデルによって公的分析がCHD発症割合を算出した結果、7.89%であったとのことで、ゴールドスタンダードとの間に2.7倍の乖離があり、これを補正するため、2.7で割る必要があるということが公的分析のロジックでありました。下半分の箱、Tanaka et al.を用いた公的分析の外的妥当性の確認の箇所を御覧ください。Tanaka先生の報告では、ゴールドスタンダードの2.92%とUKPDS risk enginesにより、CHD発症割合を推定した結果、9.66%の間に3.3倍の乖離があるとのことでありました。公的分析は、2つの比較の乖離度合いがおおよそ類似していることから、リスク式補正の外的妥当性が確認されたとしています。企業の挙げた課題を振り返りますと、右上の課題点1では、Tanaka先生のCHDの定義と当社の用いたモデルの心疾患、つまり、CHF、IHD、MIの合計とは同一の疾患ではなく、比較することが不能であること、当社の分析では、CHF、IHD、MIを独立事象とカウントするため、見かけ上、多く見えることを挙げました。右中段の課題点2では、もともとUKPDS risk enginesは当社の用いたUKPDS Outcomes Model 2とは違うモデルであり、UKPDS risk enginesの話を持ち出しても、企業分析が過大評価をしているとは言えないという点でありました。
5枚目を御覧ください。一方で、Strokeリスク補正についても、同様に見てまいりましょう。この補正のロジックは、CHDと同様に、Tanaka et al.で外的妥当性を確認できるかを見ます。上半分の箱で、ゴールドスタンダードというUKPDS Outcomes Model 2の差は0.62倍でした。一方で、Tanaka先生の論文で報告され乖離は1.39倍でした。0.62倍と1.39倍、一方は過小評価、もう一方は過大評価があると報告していて、これは逆転しておりますので、Tanaka先生の報告に照らすと、公的分析の方法には外的妥当性はありません。2つの研究の比較、ここではTanaka先生の研究との比較でありますが、CHDだけはTanaka先生の研究と比較して外的妥当性を確認しStrokeはそれを行わないという選択は、科学的には適切ではありません。よって、Strokeの補正においてTanaka先生の研究との逆転が見られた時点で、公的分析はCHDとStrokeに関する補正の両方に科学的妥当性が失われたとして、両者を取り下げるべきであったと考えます。
6枚目を御覧ください。次に、QOL値について、追加データの提出と新規論点を提示します。まず、7月の専門組織では、企業からの主張がBMI25から30での変動が存在するという説明であったことに対し、専門組織の協議ではBMI30未満でのQOLの変化が少ないことをもって企業の主張は退けられましたが、BMI30未満でもQOLが変化することはエビデンスを示せます。また、BMIが25から35の範囲でBMIとQOLの間に直線的な関連があることをお示しします。また、新規論点として、公的分析の提出したエビデンスの限界を指摘いたします。さらに、海外のHTA当局や研究グループにより企業と同じ方法が採用されていることを示します。
7枚目を御覧ください。7月の専門組織で提示いたしましたTakahashi先生の論文のSF-8の身体的機能ドメインの図を示します。黄色が標準体重であるBMI18.5から25、オレンジ色がBMI25から30です。BMI25から30でもQOLがはっきりと下がっていることが見え、さらにその差は、オレンジ色のBMI25から30と、赤色のBMI30以上のカテゴリーとの差と遜色がないことが分かります。
8枚目を御覧ください。こちらは、新たに提示する研究結果です。BMIとEQ-5D-5Lの関連を示しています。BMI25から35で直線的にQOLが下がっており、その度合いはBMI30以上と変わりません。
9枚目を御覧ください。さらに、公的分析の採用した論文の限界点を指摘します。7月の専門組織で御指摘のとおり、企業分析の採用した論文は体重が増えるごとに直線的にQOLが低下するかを評価していないことは事実です。直線的に下がっているかどうかは、当該研究のリサーチクエスチョンではありませんでした。しかし、その観点から見ますと、公的分析が採用した論文はBMI35までQOLが不変であるかを検証的に示したものではないこともまた事実です。企業分析、公的分析のいずれも批判的吟味にて評価することが重要ですので、両者の提示したエビデンス、それぞれに限界があることを基に御判断いただきたいと思います。
10枚目を御覧ください。公的分析が提示した研究では、EMI35までQOL値が変わらないと言うことはできません。まず、この研究では、サンプル数に対して、重回帰に用いたパラメータが多過ぎます。多重共線性の課題もありますので、BMI25から30や30から35での影響を評価する検出力に欠けると言えます。また、この研究のリサーチクエスチョンには、BMI35までQOL値が変わらないのかという点は生まれません。米国統計学会は、統計学的有意差がないことをもって差がないと結論づけることは適切ではないと言っています。前述のとおり、検出力に欠ける研究で有意差がないから差がないと言うことは、医学的・統計的に適切ではありません。
11枚目を御覧ください。また、企業の採用した方法は多くの研究で採用されていることをお示しします。これは当社製品に関連するもののみではなく、持続的血糖モニタリングや多剤の評価でもです。
12枚目を御覧ください。こちらは、リストの続きでございます。
13枚目を御覧ください。また、先行研究の多くで、BMIとQOLの間で、BMIの範囲にかかわらず、一定の直線的な関連があることを前提に分析が行われていることを提示いたします。
14枚目を御覧ください。企業分析に限界点があることは確かですが、公的分析にも限界があることは確かです。両者の分析を吟味していただき、改めてこの図を御覧いただいた上で、いずれの分析結果がより適切であるかを御検討いただきたく、お時間をいただきました。
本日は、○○先生に御出席をいただいておりますので、もしよろしければ、この後の質疑応答にて、臨床の立場からこのことを御確認いただけますと幸いでございます。
15枚目を御覧ください。最後に、この議論の結果、仮にICERが200万円を切った場合の薬価上げのルールにつきまして、1点、補足いたします。薬価上げの条件につきまして、The Lancet Diabetes & Endocrinologyは、SURPASS J-mono試験の論文が掲載された2022年時点で創刊9年になりましたが、この母体であるThe Lancetは、2022年時点で既に創刊199年でありましたことを、参考のため、御報告いたします。また、糖尿病領域の専門誌としては、当該雑誌のインパクトファクターが最も高いため、最新のHTAガイドラインに求められている論文が十分科学的に妥当であるという条件を満たすと考えております。
以上で、意見陳述を終了いたします。御清聴いただき、誠にありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ただいま企業からの意見陳述にもあったように、公的分析に対する指摘がございましたので、これらの指摘に対して、公的分析から、御意見があれば、お願いいたします。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
公的分析といたしましては、先ほど不服意見に対する見解を述べさせていただきましたので、それ以上に追加することはございません。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、今の御説明に対して、委員の方々から、御質問、御意見はございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は、御退室ください。
ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして企業からの不服意見がございましたということで、科学院から、改めて追加の御意見等があれば、いただきますが、いかがですか。よろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
特に追加コメントはありませんので、御議論をよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の先生方から、御意見、御質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○先生、BMIとこのQOLの関係で先生からもし御意見があれば、いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○○委員
どっちも100%のデータではないかとは思いますけれども、直線的というのは、何となく臨床の感覚とは違います。BMI30以下のところ、男性の35以下のところとかは、有意差がついていないことにはそれなりに意味があって、そんなに大きな差ではないのではないかなということは、感覚的には思っているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
委員の先生方、いかがでしょうか。
○○先生、お願いします。
○○○委員
なかなか微妙なところで、企業の説明も納得できるところもあるのですけれども、いずれにせよ、不確実性が高い話で、特に価格の引上げに関わるようなところで不確実性の低い限られたものでの大きな判断は難しいのかなという印象を持ちました。大きな判断をするにはもっと確実性の高いエビデンスに基づく必要があるのではと感じました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
BMIとQOLの解析に関して、これも不確実性があってという議論で、もっともなのですけれども、企業側の言う直線性が仮定された解析も問題があると思います。特に、生物学的データ、臨床データは、非線形であるデータのほうが多いことが一般的ですので、解析では本当に直線的な相関なのかそうでないのかというところを一旦確かめた上で、線形の場合は直線的なモデルを当てはめるというところで、この点では、科学院のされたカテゴリー化をしてモデル化をすることが一つの打開策になります。ただ、企業が言っているように、統計的有意差があるからといって35以上だけを差別化することは、症例数などの観点から、問題がありますので、例えば、4つのカテゴリーにBMIを分けたときのQOLの点推定値をそのまま解析に用いられたときに結果がどう変わるかという解析がされているのであれば、結果を教えていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さんで、今の御意見に対して、何か追加のコメントはございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
コメントをありがとうございます。
基本分析においては、ICERは260万円という結果を御提出させていただいているのですけれども、今、○○先生がおっしゃったように、それぞれのカテゴリーの推定値を用いた場合はICERが約251万円ということで、結果は大きく変わらないのではないかと考えているところです。
以上です。
○○○委員
納得できました。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。論点としては、CTD、Strokeのリスクの補正という話と、今御議論いただいていたBMIとQOLの関連性について、読み取り方も含めてということですが、いかがでしょうか。事前に意見書でも幾つか御意見をいただいているようですが、大体御議論は尽くしていただいたということでよろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。
○○委員におかれましては、議決の間、一時、御退席をお願いいたします。
(○○委員 退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
今までの議論を伺いますと、公的分析案を採用するということでございますので、○○委員を除く先生方の御意見を踏まえて、マンジャロ皮下注に関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、マンジャロ皮下注に係る総合的評価について、専門組織で決定された総合的評価とおりとするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しましては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
前回、先生方に御議論いただきましたマンジャロ皮下注に係る総合的評価に対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思っております。
まず、事務局から、説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品に係る総合的評価に対する不服意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○費用対効果評価専門組織委員長
私は、費用対効果評価専門組織委員長です。
早速ですが、10分以内で、マンジャロ皮下注の総合的評価に対する不服意見について、御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
始めてください。
○意見陳述者
企業からの意見陳述をいたします。
2枚目を御覧ください。7月の専門組織での決定事項を示します。2点の御決定をいただいております。1つ目は、CHD、Strokeのリスク式補正について、2つ目は、QOL値に対するBMIの影響についてでございました。
3枚目を御覧ください。1点目のCHD、Strokeのリスク式補正について、企業から、新たな論点を提示します。公的分析報告書によりますと、CHD、Strokeのリスク式補正についてTanaka先生の報告を用い、外的妥当性の確認を取っています。企業は、その外的妥当性の確認結果の解釈に科学的に課題があると考えます。
4枚目を御覧ください。まず、CHDやStrokeの補正がどのようなロジックを用いて行われたかを図示し、その中で、7月の専門組織で企業がどのような課題を挙げたかを確認します。図の上半分の箱、「公的分析によるリスク式補正」と記載している箱を御覧ください。日本人のCHD発症割合は、ゴールドスタンダードとして、Tanaka先生の論文で報告された実際の5年CHD発症割合が2.92%でした。それに対し、その右に記載しておりますUKPDS Outcomes Model 2は企業が用いたモデルでございますが、このモデルによって公的分析がCHD発症割合を算出した結果、7.89%であったとのことで、ゴールドスタンダードとの間に2.7倍の乖離があり、これを補正するため、2.7で割る必要があるということが公的分析のロジックでありました。下半分の箱、Tanaka et al.を用いた公的分析の外的妥当性の確認の箇所を御覧ください。Tanaka先生の報告では、ゴールドスタンダードの2.92%とUKPDS risk enginesにより、CHD発症割合を推定した結果、9.66%の間に3.3倍の乖離があるとのことでありました。公的分析は、2つの比較の乖離度合いがおおよそ類似していることから、リスク式補正の外的妥当性が確認されたとしています。企業の挙げた課題を振り返りますと、右上の課題点1では、Tanaka先生のCHDの定義と当社の用いたモデルの心疾患、つまり、CHF、IHD、MIの合計とは同一の疾患ではなく、比較することが不能であること、当社の分析では、CHF、IHD、MIを独立事象とカウントするため、見かけ上、多く見えることを挙げました。右中段の課題点2では、もともとUKPDS risk enginesは当社の用いたUKPDS Outcomes Model 2とは違うモデルであり、UKPDS risk enginesの話を持ち出しても、企業分析が過大評価をしているとは言えないという点でありました。
5枚目を御覧ください。一方で、Strokeリスク補正についても、同様に見てまいりましょう。この補正のロジックは、CHDと同様に、Tanaka et al.で外的妥当性を確認できるかを見ます。上半分の箱で、ゴールドスタンダードというUKPDS Outcomes Model 2の差は0.62倍でした。一方で、Tanaka先生の論文で報告され乖離は1.39倍でした。0.62倍と1.39倍、一方は過小評価、もう一方は過大評価があると報告していて、これは逆転しておりますので、Tanaka先生の報告に照らすと、公的分析の方法には外的妥当性はありません。2つの研究の比較、ここではTanaka先生の研究との比較でありますが、CHDだけはTanaka先生の研究と比較して外的妥当性を確認しStrokeはそれを行わないという選択は、科学的には適切ではありません。よって、Strokeの補正においてTanaka先生の研究との逆転が見られた時点で、公的分析はCHDとStrokeに関する補正の両方に科学的妥当性が失われたとして、両者を取り下げるべきであったと考えます。
6枚目を御覧ください。次に、QOL値について、追加データの提出と新規論点を提示します。まず、7月の専門組織では、企業からの主張がBMI25から30での変動が存在するという説明であったことに対し、専門組織の協議ではBMI30未満でのQOLの変化が少ないことをもって企業の主張は退けられましたが、BMI30未満でもQOLが変化することはエビデンスを示せます。また、BMIが25から35の範囲でBMIとQOLの間に直線的な関連があることをお示しします。また、新規論点として、公的分析の提出したエビデンスの限界を指摘いたします。さらに、海外のHTA当局や研究グループにより企業と同じ方法が採用されていることを示します。
7枚目を御覧ください。7月の専門組織で提示いたしましたTakahashi先生の論文のSF-8の身体的機能ドメインの図を示します。黄色が標準体重であるBMI18.5から25、オレンジ色がBMI25から30です。BMI25から30でもQOLがはっきりと下がっていることが見え、さらにその差は、オレンジ色のBMI25から30と、赤色のBMI30以上のカテゴリーとの差と遜色がないことが分かります。
8枚目を御覧ください。こちらは、新たに提示する研究結果です。BMIとEQ-5D-5Lの関連を示しています。BMI25から35で直線的にQOLが下がっており、その度合いはBMI30以上と変わりません。
9枚目を御覧ください。さらに、公的分析の採用した論文の限界点を指摘します。7月の専門組織で御指摘のとおり、企業分析の採用した論文は体重が増えるごとに直線的にQOLが低下するかを評価していないことは事実です。直線的に下がっているかどうかは、当該研究のリサーチクエスチョンではありませんでした。しかし、その観点から見ますと、公的分析が採用した論文はBMI35までQOLが不変であるかを検証的に示したものではないこともまた事実です。企業分析、公的分析のいずれも批判的吟味にて評価することが重要ですので、両者の提示したエビデンス、それぞれに限界があることを基に御判断いただきたいと思います。
10枚目を御覧ください。公的分析が提示した研究では、EMI35までQOL値が変わらないと言うことはできません。まず、この研究では、サンプル数に対して、重回帰に用いたパラメータが多過ぎます。多重共線性の課題もありますので、BMI25から30や30から35での影響を評価する検出力に欠けると言えます。また、この研究のリサーチクエスチョンには、BMI35までQOL値が変わらないのかという点は生まれません。米国統計学会は、統計学的有意差がないことをもって差がないと結論づけることは適切ではないと言っています。前述のとおり、検出力に欠ける研究で有意差がないから差がないと言うことは、医学的・統計的に適切ではありません。
11枚目を御覧ください。また、企業の採用した方法は多くの研究で採用されていることをお示しします。これは当社製品に関連するもののみではなく、持続的血糖モニタリングや多剤の評価でもです。
12枚目を御覧ください。こちらは、リストの続きでございます。
13枚目を御覧ください。また、先行研究の多くで、BMIとQOLの間で、BMIの範囲にかかわらず、一定の直線的な関連があることを前提に分析が行われていることを提示いたします。
14枚目を御覧ください。企業分析に限界点があることは確かですが、公的分析にも限界があることは確かです。両者の分析を吟味していただき、改めてこの図を御覧いただいた上で、いずれの分析結果がより適切であるかを御検討いただきたく、お時間をいただきました。
本日は、○○先生に御出席をいただいておりますので、もしよろしければ、この後の質疑応答にて、臨床の立場からこのことを御確認いただけますと幸いでございます。
15枚目を御覧ください。最後に、この議論の結果、仮にICERが200万円を切った場合の薬価上げのルールにつきまして、1点、補足いたします。薬価上げの条件につきまして、The Lancet Diabetes & Endocrinologyは、SURPASS J-mono試験の論文が掲載された2022年時点で創刊9年になりましたが、この母体であるThe Lancetは、2022年時点で既に創刊199年でありましたことを、参考のため、御報告いたします。また、糖尿病領域の専門誌としては、当該雑誌のインパクトファクターが最も高いため、最新のHTAガイドラインに求められている論文が十分科学的に妥当であるという条件を満たすと考えております。
以上で、意見陳述を終了いたします。御清聴いただき、誠にありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
ただいま企業からの意見陳述にもあったように、公的分析に対する指摘がございましたので、これらの指摘に対して、公的分析から、御意見があれば、お願いいたします。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
公的分析といたしましては、先ほど不服意見に対する見解を述べさせていただきましたので、それ以上に追加することはございません。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
それでは、今の御説明に対して、委員の方々から、御質問、御意見はございますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、これで質疑応答を終了いたします。
企業の方は、御退室ください。
ありがとうございました。
(意見陳述者退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、議論に先立ちまして企業からの不服意見がございましたということで、科学院から、改めて追加の御意見等があれば、いただきますが、いかがですか。よろしいでしょうか。
○国立保健医療科学院
ありがとうございます。
特に追加コメントはありませんので、御議論をよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
それでは、委員の先生方から、御意見、御質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○先生、BMIとこのQOLの関係で先生からもし御意見があれば、いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○○○委員
どっちも100%のデータではないかとは思いますけれども、直線的というのは、何となく臨床の感覚とは違います。BMI30以下のところ、男性の35以下のところとかは、有意差がついていないことにはそれなりに意味があって、そんなに大きな差ではないのではないかなということは、感覚的には思っているところです。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございました。
委員の先生方、いかがでしょうか。
○○先生、お願いします。
○○○委員
なかなか微妙なところで、企業の説明も納得できるところもあるのですけれども、いずれにせよ、不確実性が高い話で、特に価格の引上げに関わるようなところで不確実性の低い限られたものでの大きな判断は難しいのかなという印象を持ちました。大きな判断をするにはもっと確実性の高いエビデンスに基づく必要があるのではと感じました。
以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
○○委員、お願いします。
○○○委員
BMIとQOLの解析に関して、これも不確実性があってという議論で、もっともなのですけれども、企業側の言う直線性が仮定された解析も問題があると思います。特に、生物学的データ、臨床データは、非線形であるデータのほうが多いことが一般的ですので、解析では本当に直線的な相関なのかそうでないのかというところを一旦確かめた上で、線形の場合は直線的なモデルを当てはめるというところで、この点では、科学院のされたカテゴリー化をしてモデル化をすることが一つの打開策になります。ただ、企業が言っているように、統計的有意差があるからといって35以上だけを差別化することは、症例数などの観点から、問題がありますので、例えば、4つのカテゴリーにBMIを分けたときのQOLの点推定値をそのまま解析に用いられたときに結果がどう変わるかという解析がされているのであれば、結果を教えていただきたいと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
科学院さんで、今の御意見に対して、何か追加のコメントはございますでしょうか。
○国立保健医療科学院
コメントをありがとうございます。
基本分析においては、ICERは260万円という結果を御提出させていただいているのですけれども、今、○○先生がおっしゃったように、それぞれのカテゴリーの推定値を用いた場合はICERが約251万円ということで、結果は大きく変わらないのではないかと考えているところです。
以上です。
○○○委員
納得できました。
ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
その他、いかがでしょうか。論点としては、CTD、Strokeのリスクの補正という話と、今御議論いただいていたBMIとQOLの関連性について、読み取り方も含めてということですが、いかがでしょうか。事前に意見書でも幾つか御意見をいただいているようですが、大体御議論は尽くしていただいたということでよろしいでしょうか。
それでは、議決に入らせていただきたいと思います。
○○委員におかれましては、議決の間、一時、御退席をお願いいたします。
(○○委員 退室)
○費用対効果評価専門組織委員長
今までの議論を伺いますと、公的分析案を採用するということでございますので、○○委員を除く先生方の御意見を踏まえて、マンジャロ皮下注に関する費用対効果を総合的に評価いたしますと、マンジャロ皮下注に係る総合的評価について、専門組織で決定された総合的評価とおりとするということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。
それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。
なお、企業に対する内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しましては、委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
ありがとうございます。

