2023年2月24日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第11回議事録

日時

令和5年2月24日13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、斎藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員 中山 健夫委員、野口 晴子委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、弦間 昭彦専門委員、山口 正雄専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官

<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○ テゼスパイア皮下注に係る分析枠組みについて

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、テゼスパイア皮下注に係る分析枠組みについて御議論いただきます。
 まずは、事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
 
(事務局・国立医療保健科学院より説明)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の検証作業に関わる分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
 
(意見陳述者入室)
○事務局
 事務局でございます。
 委員長、準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でテゼスパイア皮下注に係る分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
 
○意見陳述者
 本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
 早速始めさせていただきます。
 パワーポイント形式の資料に沿って御説明いたします。
 まず、2ページ目を御覧ください。
 各スライドの左下にページ番号をつけております。
 まず、本剤テゼスパイアの概要をまとめております。本剤はTSLPを選択的に阻害するモノクローナル抗体で、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症または難治の喘息、いわゆる難治性喘息を適用としています。
 加算につきましては、本剤の作用機序の新規性、有用性が評価され、有用性加算5%が認められております。
 3ページ目を御覧ください。
 喘息の病態と治療に関するスライドです。下段には喘息の炎症経路を図で示しております。
 喘息のタイプは、病態や増悪にTh2リンパ球やILC2が関与する2型喘息とそれ以外の非2型喘息に分けられます。さらに、2型喘息は、図の左側にある好酸球の寄与が大きい好酸球性喘息と、図の中央辺り、特異的IgGが大きく寄与するアトピー型喘息に分けられます。
 喘息治療では吸入ステロイド薬がベースとされますが、高用量の吸入ステロイド薬に複数の長期管理薬を併用してもなおコントロール不良な場合は難治性喘息とされ、このような症例には生物学的製剤を追加することが推奨されています。
 生物学的製剤はそれぞれ作用機序が異なっております。抗IL-5抗体は好酸球性喘息の炎症経路、また、IgG抗体と抗IL-4抗体は主にアトピー型喘息の炎症経路に作用します。一方、本剤は炎症経路の上流に位置するTSLPを阻害するため、非2型喘息を含め、あらゆる喘息タイプで有効性を示しています。
 4ページ目を御覧ください。
 左に弊社の枠組み案を、右にC2Hの枠組み案を示しております。
 分析前協議を通じて、分析対象集団を血中好酸球数の多寡とIgG抗原感作の有無により分類することが合意されています。この2つの要素をマトリックスにした場合、上段の図のとおり、①~④の4つの集団に分けられます。このうち、②、③、④についてはC2Hと弊社で合意が得られておりますが、左上の①の部分、こちらは血中好酸球数が高く、かつIgE抗原感作が陽性というそれぞれの要素がオーバーラップした患者になります。このオーバーラップ患者の取扱いが論点として残っております。
 左の弊社案は、オーバーラップ患者を実際に投与されている生物学的製剤の種類に応じて好酸球性喘息とアトピー型喘息に分類するという提案。右側のC2H案は、IgE抗原感作陽性である点にのみ着目して、アトピー型喘息として扱うものです。
 この点について、分析前協議では合意に至らず、本日、この専門組織において臨床実態を踏まえて御判断いただくことになりました。
 5ページ目を御覧ください。
 弊社案とC2H案を臨床実態との親和性及び臨床データの信頼性の観点で比較しております。上段に記載のとおり、オーバーラップ患者の治療に際しては、担当医が好酸球性とアトピー型のどちらの炎症経路の寄与がより強いのかを総合的に判断し、適切な薬剤選択が行われています。にもかかわらず、C2Hの案はIgE抗原感作陽性であるという点だけに着目し、オーバーラップ患者を一律にアトピー型喘息として取り扱っており、臨床実態と大きく乖離するものと考えます。
 また、好酸球活性化因子IL-5を標的とするIL-5抗体はアトピー型の炎症経路には効果が期待できませんので、抗IL-5抗体による治療を受けている患者は好酸球性喘息と考えられます。したがいまして、抗IL-5抗体を投与されている患者は好酸球性喘息として取り扱い、それ以外の生物学的製剤が投与されている患者をアトピー型喘息と分類する弊社案のほうがより臨床実態に合致しており、信頼性の高い分析を可能とする点でも妥当であると考えます。
 本日、専門家の先生に御同席いただいておりますので、専門医のお立場からこうした臨床実態について補足いただきます。
 先生、よろしくお願いいたします。
 
○意見陳述者(専門家)
 よろしくお願いします。
 臨床医の視点から補足させていただきます。
 私ども臨床医は、好酸球やIgEなどのバイオマーカー、併存症の有無、喘息の病歴など、様々な要素を総合的に判断して治療に当たっています。生物学的製剤は、その作用機序によって、気道炎症のカスケードのどこに作用するか異なっていますので、現在論点となっていますオーバーラップ症例では、好酸球性とアトピー性、それぞれの要素の強弱を考慮して、最も効果が期待できる薬剤を選択しています。
 例えばですけれども、好酸球が200程度でアトピー性皮膚炎を併発しているような患者さんでは、アトピー素因が強いのかなということで、デュピルマブを選びます。また、アトピー感作はあるものの、好酸球が500と非常に高い患者さんの場合は、ベンラリズマブなどの抗IL-5クラスの抗体製剤を選択します。
 オーバーラップ症例では、およそ3分の2に抗IL-5クラスが投与されているという既報もございますので、こうした薬剤選択というのは専門医の間では一般的に行われていると考えます。
 そういう治療実態を考えますと、資料4ページの右側にあるC2H案のように、抗原感作陽性という点だけに基づいてオーバーラップ症例を均一な病態として扱うことは、臨床医としては違和感があります。実態からかけ離れていると考えております。
 また一方、左の案では、実際に投与されている薬剤の種類に基づいて喘息のフェノタイプを分類しています。喘息の病態と治療実態を踏まえての分類になりますけれども、こちらのほうが実臨床に即した妥当な分類と考えております。実際に抗IL-5クラスが投与されている患者さんというのは、好酸球性炎症の素因が明らかに強い症例とか、IgEは高いけれども、オマリズマブの効果が弱く、抗IL-5クラスクラスに切り替えると有効であったという症例ですので、こうした患者さんを好酸球性喘息に分類するということは臨床的には妥当かなと考えています。
 以上です。
 
○意見陳述者
 先生、ありがとうございました。
 弊社としましては、分析対象集団は可能な限り臨床実態に即して設定すべきものと考えますので、先生のコメントも踏まえ、御判断いただきますようお願い申し上げます。
 次に、6ページ目を御覧ください。
 好酸球性喘息における比較対照技術について補足させていただきます。
 仮に分析対象集団の設定において弊社案が受け入れられた場合、好酸球性喘息は抗IL-5抗体を使用している患者となりますので、必然的にその比較対照も抗IL-5抗体になるということで、こちらはC2Hとも合意されています。
 一方、仮にC2H案が妥当と判断される場合であっても、弊社としましては、好酸球性喘息における比較対照は好酸球活性化因子IL-5に作用し、好酸球数が高い患者での優先使用が推奨されている抗IL-5抗体とすべきであると考えています。
 C2H案では、抗IL-4抗体であるデュピルマブも選択肢に含まれていますが、デュピルマブは主に好酸球性以外の炎症経路に作用しますし、好酸球数が著しく高い患者では使用が推奨されていませんので、好酸球性喘息の比較対照技術に含めることは妥当ではないと考えております。
 この点につきましても、○○先生より御意見をいただきたいと思います。
 先生、よろしくお願いいたします。
 
○意見陳述者(専門家)
 好酸球150以上で抗原感作が陰性、つまり、好酸球だけが高い患者さんということだと思います。こういった患者さんでのデュピルマブの位置づけですけれども、デュピルマブはアトピー性皮膚炎を併発しているようなアトピー素因が強い患者さんによく効くという印象がございますし、好酸球数が高い場合は、好酸球性肺炎や好酸球増多症などが懸念されて、少し使いづらいという側面もございます。ですので、好酸球数だけ高い症例では、まず好酸球数を抑えるべきと考えますので、比較対照を1つ選ぶとすれば、やはり抗IL-5クラスのどちらかになるのではないかなと考えます。
 以上です。
 
○意見陳述者
 先生、ありがとうございました。
 以上を踏まえまして、7ページ目に弊社の枠組み案を示しておりますので、御確認ください。
 また、8ページ目以降に参考情報をおつけしております。
 弊社からは以上となります。ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。
 ○○先生、どうぞ。お願いします。
 
○○○委員
 大変分かりやすく御説明いただいて、ありがとうございました。
 2つ質問させていただきたいと思うのですが、先ほど好酸球だけが高い方では基本的にIL-5あるいはIL-5レセプター抗体という話がありましたけれども、一般的な言葉として、もうちょっと幅広い概念になるのかもしれませんが、好酸球性喘息といった場合に、それはIL-5/IL-5レセプター抗体を使うということとほぼイコールとお考えでしょうか。
 というのは、IL-5とかIL-5レセプター抗体を使っている患者さんは好酸球性喘息というのは間違いないと僕も思いますが、逆に好酸球性喘息という言葉で患者さんを取り上げた場合に、IL-5/IL-5レセプター抗体を使うということになるというところまでどの程度言えるかを教えていただければと思います。
 
○意見陳述者
 まず、弊社のほうから御回答させていただきます。
 確かに我々、弊社の案ですとIL-5が入っている患者さんを好酸球性喘息と分けておりますので、好酸球性喘息、必ずしもそれをきっちりと分けられるわけではございませんが、そういうふうな分け方をしますと、比較対照技術等もありますし、データのほうも使用しやすくなります。患者割合も設定できるということで、科学的にも妥当で、患者割合もきっちり枠組みに沿って計算ができると考えておりますので、臨床実態には近いと考えております。
 先生、何か補足がございましたらお願いいたします。
 
○意見陳述者(専門家)
 いえ、その御意見でよろしいかと思いますし、好酸球性喘息というところにアトピー素因との強さのバランスになると思うのですけれども、喘息の診断においてもアトピー素因よりも好酸球性炎症があるというほうが診断をより支持するというように、やはり重きは好酸球のほうに置かれていると思いますので、好酸球性喘息にアトピー素因があっても、実際の患者さんの病態としては好酸球のほうが有意に関与してくるのではないかなと考えますので、結果的に抗IL-5を使うことになるのではないかなと考えています。
 以上です。
 
○○○委員
 ありがとうございます。
 もう一つだけ質問をよろしいでしょうか。好酸球喘息でIL-5あるいはIL-5レセプター抗体を必ず使う場合と使わない場合、いろいろな患者さんがおられるのは分かっておりますが、デュピルマブに関しては、好酸球性喘息の中でもある程度デュピルマブを使う場面はあろうかと思います。デュピルマブを使う場面、使わないと選択する場面、そのカットオフ値のようなものは、デュピルマブに関しては何かしらあるのでしょうか。
 
○意見陳述者
 こちらは先生にお願いしてよろしいでしょうか。
 
○意見陳述者(専門家)
 ありがとうございます。
 喘息のガイドラインでも、PGAMといいます臨床医に向けてのガイドラインでも、末梢血好酸球数が1,500を超えると安全性が担保されていないという記載がございますし、実際に1,500を超えると臓器障害というのが起こってきますので、絶対1,500というのはあると思います。また、その下のレベルでどこまでかというのは微妙なのですけれども、個人的にはやはり1,000を超えると使わないようにはしております。500から1,000というのはグレーなところなのですけれども、そちらはデュピルマブの適応のある併存疾患の有無で考慮して、そちらがない場合は抗IL-5クラス抗体になろうかと思います。
 
○○○委員
 ありがとうございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の先生、いかがでしょうか。
 では、○○委員、お願いします。
 
○○○委員
 御説明どうもありがとうございました。
 ○○先生の御説明は専門家として納得がいくところではありました。ただ、それがどの程度全体、ほかの先生方にも共有されているかということについては、私も専門家ではありませんので、もちろん分からないのです。ですから、いろいろな反対の意見があるかどうか。それから、日米のガイドラインでの現時点での記述がどの程度のところまでがコンセンサスになっているか教えていただければと思いました。
 
○意見陳述者(専門家)
 ありがとうございます。
 一般の臨床医がどう判断しているかということで。
 
○○○委員
 この患者さんを診るレベルですから、かなりの専門医だとは思うのですけれども、そういった方々の中でということです。
 
○意見陳述者(専門家)
 まず、専門医でバイオを使う患者さんというのは、ほとんどがやはり専門医のところに集まってきますので、私ども、先ほどお話しさせていただいた判断基準というのは、皆さんそうされていると思います。バランスの問題でありまして、アトピー素因の強弱、好酸球性炎症の強弱、それがどのぐらい患者さんに影響しているかというのを判断した上で決めているというところですので。
 
○○○委員
 そんなにはコントラバーシャルではないということですね。
 
○意見陳述者(専門家)
 もちろんないです。
 
○○○委員
 ガイドラインの中にもどの程度の記述があると理解すればよろしいでしょうか。
 
○意見陳述者(専門家)
 ガイドラインも、同じようにバランスは考えるという記載はたしかあったと思いますけれども。
 
○○○委員
 推奨レベルではもちろんないですよね。
 
○意見陳述者(専門家)
 判断は私どもに委ねられています。
 
○○○委員
 分かりました。ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、○○先生、どうぞ。お願いいたします。
 
○○○委員
 私もそれなりには使うのですけれども、どちらかというと今の質問に近い呼吸器科医と思うのですが、基本的にIgEとエオジンが両方高いときにどちらのバランスを、例えば他の臓器障害とかそういうふうなものがあった場合は多少クリアとは思うのですけれども、両方高くてほかのいわゆるその前の薬は大体無理という状況になったときにどちらを使うかといったときに、割と僕自身はIL-5関係のほうを使うことが多いのですが、正直に言うと、迷いはあるのですけれども、その辺りの基準というのは、より専門家の立場からはどうなのでしょうか。
 
○意見陳述者(専門家)
 ありがとうございます。
 それはオマリズマブとの比較、ゾレアの比較ということでよろしいでしょうか。
 
○○○委員
 ゾレアはかなり使用頻度は減ってはいると思っているのですけれども、今、対象がゾレアとすると、ゾレアとの関係はどうでしょうか。
 
○意見陳述者(専門家)
 ゾレアについては、先生がおっしゃられたようにかなり頻度が減っています。というのは、実際に、歴史的にはゾレアが2009年からということで古いのですけれども、スイッチ例についての解析では、ほとんどがゾレアからIL-5クラスに移っているという解析がございますので、多くはやはり喘息でアトピー素因があったとしても好酸球で動いている可能性は高いかなと。いろいろな病態解析からもそれは言われるところでありまして、結局は抗IL-5クラスに行っているという既報がございます。
 
○○○委員
 ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 よろしいでしょうか。
 その他の委員の先生方、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。どうもお疲れさまでした。
 
(意見陳述者退室)
 
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方が退室されましたので、引き続き議論をお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、テゼスパイア皮下注に関わる分析枠組みについて、御議論をお願いいたします。
 ○○先生からお願いいたします。
 
○○○委員
 私、やはりIgEとエオジンの両方ポジティブのところでどういうふうに考えるかというところ、実際に迷う症例は、先ほど申し上げたようにあるのですけれども、オマリズマブというのは少し乱暴かなとは思っています。実態から少し離れているかなと。使わないわけではないのですけれども、かなり低くなっているということはあるので、ある種、実態にもう少し近づいたような形の方法のほうがいいのかなとは私は思っております。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 では、○○先生、お待たせしました。どうぞお願いいたします。
 
○○○委員
 ○○先生もおっしゃっておられたとおり、抗体製剤の使い分けはいろいろな、先ほどの資料にもありましたけれども、こういう場合にはこの薬1剤を使う、こういうデータならこの1剤を使うという明確な1剤を選ぶ使い分けというのはないのです。ですので、好酸球の要素が強ければIL-5のほうを使おうとするし、アトピーの要素が強ければIL-4のほうを使おうとしたり、でも、それが効かなければ、反対側のほうが効くかなといって反対側の薬を使うこともありますので、専門でない方々にとっては、実際にどういうふうに抗体製剤を選んでいるのかというのは非常に分かりにくいのではないかと思います。私自身もなかなか説明に困るのが実際だと思います。
 最初、企業側の抗体製剤で使っている患者さんと最初から指定して、抗体を使っている患者さんは抗体が効きそうな患者さんだから、病態的にもある程度好酸球なりアトピーなりの要素を持っているということが分かりますので、抗体製剤を選ぶというのも全く問題ないのならそれは一つあり得るかなと思いました。ただ、やはり抗体製剤を使っていることから群を決めていくというのも逆なのではないかなと思いまして、公的分析のほうが基本的にデータなどでオーバーラップなくきちんと患者さんを分けようとしているということで、公的分析の分け方のほうがいいのではないかな。ただ、評価対象の技術の決定は極めて難しいなと思いながら、資料を読ませていただき、意見も書かせていただきました。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の先生方、いかがでしょうか。
 今までの御意見を整理させていただきますと、○○先生にまた改めてコメントをいただかなければいけないと思っていますけれども、なかなかこれは現場の御専門の先生方では難しい、悩ましいお話になっているのかなと。まずは今回組織の先生方も含めて、理解は共有できたのではないかなと思っているところであります。
 それを踏まえて、今回、企業案もしくは公的分析案をいずれか選択しないといけないということでありますが、いずれにせよ、この分析対象集団というものについての考え方を少し整理させていただかなければいけないのかな。それに当たっては、臨床実態というのをどの程度考慮すべきかという話と、それに基づいた分析をするに当たってのフィージビリティーというのでしょうか。データ等がちゃんとあるのかどうかということも含めた議論をしていただかなければいけないかなと思いますが、先生方からいかがでしょうか。その観点から何か御意見はございますでしょうか。
 ○○先生のほうからもう少し御意見をいただきたいのですが、今回のこのお薬の評価について、オーバーラップのところの取扱いについて、公的分析案だけでは少し物足りないところもあるので、企業分析の考え方も反映した議論を進めていかなければいけないのかなということに関して、多分そういうようなメッセージを先生からいただいたのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
 
○○○委員
 まさにそのとおりです。そもそも先ほどの企業からの説明であった好酸球とアトピーの方々群というのは、きれいに線を引いてこういうふうに分けるというやり方は多分無理だと思いますので、ある程度まとめてしまって、だから、そういう点では公的分析の考え方になるのかなと思いますが、ただ、好酸球性とアトピー性を全部まとめて、重なった部分を一番薬価が安いのでデュピルマブが全部持っていくというのは、臨床医として納得いかないところかなと思います。
 さっきの企業の説明にもありましたが、好酸球が非常に多い患者さんというのはデュピルマブが不得意とする患者さんですので、そういう患者さんが実際にいるというのも反映させてもいいのかなと。デュピルマブの立ち位置も反映させてあげたほうがいいのかなと感じています。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 先生方からの事前の御意見でもその他の部分が多くて、臨床実態を反映すべきというような話とともに、そこについてのデータの有無などについても御意見をいただいているところでありますが、仮に、公的分析を基本としつつ、感度分析というかシナリオ分析のような形で今回論点となっている臨床実態のところをオーバーラップについて分析をしていただくというような考え方もあろうかと思うのですが、この辺りについて先生方からの御意見は何かございますでしょうか。
 具体性とか、もしくは留意点とか、実際に技術的なところもあろうかと思いますので、科学院さんのほうはいかがでしょうか。今のような議論に関して、何かコメントはございますでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。科学院です。
 我々のほうも、臨床実態については、臨床の先生方のご意見を伺ってという状況でありまして、ただ、ガイドライン上の記載として、○○先生がおっしゃってくださったように、好酸球数が1,500を超えるようなところではIL-5抗体を推奨しているというような実態があるところですので、そこの部分、好酸球数が非常に高値な集団については、IgE抗原感作が陰性かつ好酸球が高値な集団に関しては新たに集団を設定するということも考えられるのではないかなと我々のほうでは感じているところです。
 ただ、現時点では分析の可能性等を考慮できておりませんので、1,500を超える患者さんが一体どの程度の割合でいらっしゃるのか、あるいは企業のピボタル試験でどのぐらいそういう患者さんの集団がいらっしゃるのかというのは、検討できていないところでありまして、御参考までになのですけれども、テゼスパイアの臨床試験で好酸球数というのは全体集団で平均340で、SDが403ということでして、大体3SDぐらい離れているところなので、どの程度その患者さんがいるかというのはなかなか難しいところもあるかなと思うのですが、非常に分析可能性あるいはデータの利用可能性という点で課題があることを前提としていただいた上で検討せよということであれば、我々のほうとしてもやらせていただければと考えるところです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 今の科学院さんのお話は2つございまして、一つは、私の理解ですけれども、好酸球数の高値、1,500以上のところについては分けた議論をすべきということで、これは多分企業案に近づけたようなお話なのかなと思って伺っておりました。
 ただ一方で、フィージビリティーのところの御議論があるということでありますが、結局、これはオーバーラップしているところの議論にも当てはまることなのかなと思っているのですけれども、今回企業さんがお持ちのデータもしくは既存の公知情報で、今オーバーラップしているところについてのバランスを論じる、薬の内訳みたいなものを論じるようなことができるかどうかというところで、○○先生のほうにお聞きますけれども、どうでしょうか。既存の報告の実態から見て、そのような割合みたいなものを議論できるかどうかというと、いかがでしょうか。
 
○○○委員
 患者さんの割合、1,500以上の好酸球と限るとかなり少ないのは確かだと思いますので、1,500と決めてしまうよりは、それ以外にも例えば1,000とか500とか、何かしら数字を変えてでも好酸球が高い群で解析が可能になるように数字を選んでいただくという考え方もあるかなと思います。
 あと、オーバーラップする患者さん、一般的には好酸球が多い患者さんとアトピーの患者さん、どちらも半分ずつが重なっているという考えなので、いずれもかなりの患者さんはいます。だから、好酸球のみの方もいれば、アトピーのみの方もいれば、重なる患者さんもいますので、いずれの群も大きい。そういうのに一切引っかからない非2型というのは本当に1割とか2割弱というくらいの少数になります。
 感想としてはそのぐらいです。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。
 そうすると、何がしかのデータで今のオーバーラップのところの論点については議論できる可能性もありますし、1,500以上の好酸球数のところについては、数が少ないので、統計的な議論をするのであれば少し広げたほうがいいという話と、そもそも先ほど企業側の御専門の先生のほうも、1,000というような数字とか、アンダーのところについてのお薬の選択についてもコメントがございましたので、少し広めの議論をすべきという御指摘なのかなと思って伺っておりました。
 今の○○先生の御意見を踏まえて、いかがでしょうか。
 では、○○委員、お願いします。
 
○○○委員
 ○○先生にお伺いしようと思っていたら、今、言ってくださったので、さっき○○先生ですか。好酸球が1,000を超えると臓器障害が出ると言われていたので、1,000を超えてもそういうものは使わないとおっしゃったので、私、全然領域が違うのであれなのですけれども、好酸球が例えば1,000を超えると、臓器障害は具体的にどこに出るのですか。
 
○○○委員
 実際に好酸球が1,000を超えると臓器障害と結びつけられるというわけではないのかなと思いました。
 
○○○委員
 出やすくなるということですか。
 
○○○委員
 そうですね。
 例えば鼻茸を伴う好酸球副鼻腔炎などはかなり好酸球が増えるし、診断基準には好酸球の数というのも重要視されています。結構オーバーラップする方も多いので、上気道のそういう好酸球性の病態というのは確かに起こりやすいとは思います。ただ、血管炎とかチャーグ・ストラウス症候群、そこまでのものは議論に含めなくてもよいと思います。あれは特殊な病態ですので。
 
○○○委員
 今のことと関係するのですけれども、好酸球が多くなると、やはりIL-5クラスのものはそれに応じて効き目がはっきりしてくるというのはあるのですか。
 
○○○委員
 それは我々の共通認識としてあると思います。より悪さをする方は血中の好酸球数が多い、より喘息も悪いし、悪化も発作も起こりやすいという傾向はあります。
 
○○○委員
 ですから、カットオフは150なのでしょうけれども、例えば500、1,000、1,500とかというのでクラス分けしてみてというのも検討する価値はあるということですね。
 
○○○委員
 一応あります。数字の選び方というのは、学会レベルでそういう数字を提示しているわけではありませんので、根拠と言われるとちょっと弱いかも分かりません。
 
○○○委員
 1,500だから1,000とか500と言っているだけで、おっしゃるように、何かきちんとした根拠があるわけではないというのは分かりました。
 
○○○委員
 1,500は根拠としてはあると思いますが、ほかは不明瞭です。
 
○○○委員
 ありがとうございました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他、いかがでしょうか。
 今のところ、分析対象集団と、今回は対象集団が決まればおのずと比較対照技術も決まるというような構造、ロジックのようですけれども、この2つについて併せて御議論いただいているところですが、公的分析班を基本としても、臨床実態を考慮してオーバーラップのところはやはり企業側の意見を多少反映した議論をしないといけないということと、好酸球数の高値、1,500については考慮すべきという話にはなっているところでありますが、いかがでしょうか。
 科学院さん、公的分析というものについては、そうすると、好酸球数のところを1,500、もしくはカットオフのところは多少幅を持たせるかもしれませんが、何がしかの分類をして分析をするという何か修正案みたいなものはございますでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 我々のほうとしては、2型喘息のIgE抗原感陰性のところで1,500を超える集団、あるいは先ほどおっしゃられたように500、1,000、カットオフを決めたところを超える集団について別途集団を立てて解析するというのは問題ないと思っています。現時点では御提案する分析枠組みの資料はないのですけれども、早急に作成して閲覧いただけるようにしたいと思っております。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。
 そうすると、従来、委員の先生方が御覧いただいている公的分析案は、今、好酸球数のところを考慮するという形での修正案というものを科学院さんのほうが検討、御提案もいただいているということになろうかと思います。
 その点からいきますと、その他の先生方、いかがでしょうか。
 そうすると、今、科学院さんのほうから御提案いただいた公的分析案を修正する形のものに臨床実態を反映した議論をするということで、オーバーラップのところについて企業側の意見を取り入れるということで、薬剤の使用実態をある程度前提とした分析をしなければいけないということで、感度分析になろうかと思うのですけれども、それをしていただくというような方向でよろしいでしょうか。
 それでは、議論は尽くされたと思いますので、議決に入らせていただきたいと思います。
 先生方の御意見を参考に、テゼスパイア皮下注に係る分析枠組みについては、御議論いただきました内容で公的分析案を修正した枠組み案で了承するということでよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その上で、感度分析を実施していただくという形でありますので、感度分析として企業案の分析対象集団と比較対照技術とした分析を実施するということでよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 こちらもありがとうございます。
 よろしければ、分析枠組み案の修正については、委員長に一任させていただいてもよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 どうぞ。
 
○○○委員
 先生、一任でいいのですけれども、少し確認をしたいのですが、冒頭に○○先生がオマリズマブはあまり使わないから、それのみを比較対象にするのはどうかと言われたのですけれども、そちらについてはいかがでしょうか。少し考慮の対象にするぐらいの扱いなのでしょうか。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○委員、ありがとうございます。
 極端に使用実態が少ないものについては、それを比較対照技術として選択することが妥当であろうかという意見が出てくるということと思いますので、それは一度やっていただいた上で、組織で諮るというのはいかがかなと思っていますが、ただ、○○委員、ありがとうございます。
 
○○○委員
 それも含めて、委員長に御一任いたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 せっかくの御発言なので、○○先生、先ほど○○先生のお話を含めてどうでしょうか。今のようなお話に関しては。
 
○○○委員
 2つお話ししておきたいと思いますが、確かにゾレア、抗IgE抗体は安いのです。血液中のIgEの濃度と体重によって変わるのですけれども、そういうのが比較的小さめの方であれば本当に安く導入できます。ですので、抗IgE抗体は費用を安く収めたい、そして、さっきのような条件にある方であれば、安いものからまずやりますかなんて話はよくありますので、特にそういう方においては違和感はありません。
 ただ、実際の臨床使用実態で最近抗IgE抗体を新規に始める方、継続している方は非常に少ないです。恐らく抗IL-4レセプター抗体とIL-5関連の抗体がどちらも多く使われて、シェアとしてはそれらがしのぎを削っていて、抗IgEは比較的少ないという印象かなと思っています。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 そうすると、分析においては使用実績、実態、トレンドはやはり考慮した上で比較対照技術を設定いただくということでありますので、科学院さんも含めてその辺は御留意いただくということで、○○委員、いかがでしょうか。
 
○○○委員
 もちろん委員長の裁量の範囲だと思います。よろしくお願いします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それを含めた私への一任、ありがとうございます。