2022年9月30日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第6回議事録

日時

令和4年9月30日13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長、斎藤 信也委員長代理、池田 俊也委員、木﨑 孝委員、新谷 歩委員、新保 卓郎委員 中山 健夫委員、花井 十伍委員、飛田 英祐委員、米盛 勧委員、賴 建光専門委員、福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○ ケレンディア錠に係る分析枠組みについて

議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 続きまして、前回先生方に御議論いただきましたケレンディア錠について、その分析枠組みに対する企業からの不服意見聴取を行った上で、再び先生方に御議論いただきたいと思います。
 まずは事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
 
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、審議に入る前に、○○委員におかれましては、審議の間、一時御退席をお願いいたします。
(○○委員退室)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず本製品の分析枠組みに対する企業からの不服意見聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
 
(意見陳述者入室)
 
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でケレンディア錠に関わる分析枠組みに対する企業からの不服意見の御説明をお願いいたします。続いて、科学院からの説明の後に質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
 
○意見陳述者
 それでは、説明させていただきます。
 先日の専門組織でケレンディア錠の分析の枠組みについて御審議いただきまして、どうもありがとうございました。その審議結果につきまして、弊社としてより明確にさせていただきたい論点がございましたので、分析の枠組みの論点を改めて御審議いただきたい旨、陳述させていただきたく存じます。もちろん現時点で得られております限られた科学的なエビデンスの中で御検討いただくことですので、審議の難しさも十分理解しておりますけれども、説明させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、2ページ目でございます。こちらは審議結果に記載されておりました専門組織における主な専門組織の委員の方の意見でございます。2番目のブレットにおいては、異質性があるのは言い過ぎとのことで弊社の見解を御理解いただける御意見でございますけれども、最終的に最後の5番目の内容になりますが、審議結果に直接関わるポイントとして「日本人集団の取扱いをそもそも現時点で明確に決定することができないため、公的分析を採用する」という箇所に関しまして、弊社の見解を本日は陳述させていただきたく存じます。
 次の3ページ目が、専門組織で決定された枠組みとなりますけれども、「日本人集団でのデータを参照した分析も実施すること」とされておりまして、より具体的な方法については、科学院様と改めて後日相談して確定していってはどうかと厚労省の方からも御提案いただいております。
 さて、4ページ目を御覧ください。通知内容に対する意見としまして、弊社の見解を2点お示しいたします。こちらは不服申立ての書類に記載した内容でございますけれども、1つ目は「日本人集団の取扱いをそもそも現時点で明確に決定することができない」ということから、「その他」の欄における特記事項が決定されたことにつきまして、「現時点で明確に決定することができない」ということでございましたら、どのような状況になった場合に明確に決定することになるのかという点でございます。2つ目としまして、2019年から費用対効果評価の制度が導入されて、これまでにHTA品目が幾つかございますけれども、感度分析を実施する際には分析枠組みの中でその旨記載されておりました。分析結果に影響を与えると思われる事項につきましては、分析の枠組みを決める時点において規定しておくことは重要であると考えておりますので、今回のケレンディア錠につきましては、これまでの品目と状況は多少異なるかもしれませんけれども、日本人データの取扱いについてより具体的な記載内容にすることが可能かどうか、いま一度御検討いただければと考えております。
 さて、次の5ページ目ですが、弊社の意見についての根拠となります。読ませていただきますと、分析の枠組みを決定する際に、その時点でのエビデンスを確認することで分析の妥当性を担保できると思われますが、決定された枠組みの中で得られた値がそのまま評価につながってきてしまいます。このように、エビデンスがより明確になるまでは全体集団での分析と併せて日本人集団での分析も実施することとされておりますけれども、公的分析時点で新たなエビデンスが得られた際にその新たなエビデンスのデータを加味して分析することになるために、現時点での企業側の分析、日本人データを用いた分析結果は必要がなくなるのではないかと思います。また、2つ目のこれまでのHTA品目での記載との比較ですけれども、こちらについては先ほど述べたとおりでございます。重複しますので割愛いたしますが、これらにつきまして、弊社としましては、より具体的な論点を提示させていただきまして、改めての御審議を願いたく、次のページから説明させていただきます。
 6ページ目を御覧ください。論点が2つございまして、1つ目が「日本人集団の取扱いをそもそも現時点で明確に決定することができない」という点についてでございます。確実性の低いエビデンスでの分析結果と確実性の高いエビデンスでの分析結果を見比べることで費用対効果の評価が妥当となるとは到底考えにくいのではないかと思います。そのため、現時点で不確定要素の大きい日本人の有効性データを用いて企業分析を行うことにつきまして、日本人の有効性について現状のエビデンスを担保するようなデータが出てくる場合には、その結果を用いることが妥当と弊社も考えます。一方、それ以外の場合には、例えば公的分析における分析時に日本人の有効性がポジティブであるという新たなエビデンスが得られた場合、その新たなエビデンスのデータを用いた分析のほうが科学的に妥当なものとなりますので、現時点での日本人データで分析することにどこまで意味があるのかというところは、我々も疑問に感じております。一方で、現在弊社にて把握しておりますケレンディア錠が投与される日本人の臨床試験や臨床研究の結果は、2023年度中にはまだデータが収集されておらず、公表には至らないと想定しております。新たなエビデンスが出てくることは到底来年になっても考えにくく、日本人のエビデンスの有無の状況が変わらない場合は、現状と変わらないですので、日本人集団の取扱いを明確に決定することができずに、全体集団での分析結果を御評価いただくことになるのではないかと考えております。
 次の7ページ目ですが、2つ目の論点としまして、これまでのHTA品目の分析の枠組み決定時に、どのような協議がなされていたか分からないのですけれども、分析結果に大きな影響を与えるものについては事前に規定しておくことは、分析の枠組みで決める必要があるのではないかと考えます。例えば過去の品目でございますが、ユルトミリスなどでは「その他」の欄に感度分析を実施する理由が記載されており、対象となる患者数が少ないことが想定され、また、分析に不確実性が伴う可能性もあることから、基本分析とせず感度分析として実施することを検討したという記載がございました。若干本剤と状況が異なるかもしれませんが、かなり似ている状況ではあるかと考えております。そして、全体集団と日本人集団のデータの間に異質性があるということは言い過ぎであると専門組織の委員の方々からも御意見がございましたが、また、日本人集団での分析は症例数が少なくて大きな不確実性が伴うといったところから、今回のケレンディア錠での分析の枠組みとして、こちらのかぎ括弧で記載しておりますように「分析結果を評価する時点においても日本人の有効性エビデンスの状況に変化がない場合は、日本人サブ集団の取り扱いは感度分析とするが、新たなエビデンスが確認された場合はその限りでない。そのため、暫定的に日本人集団でのデータを参照した分析も実施する」というように、「その他」の欄に分析条件を事前に規定しておくことも分析の枠組みの一つではないかと提案させていただきたく、御審議のほどお願いしたく存じます。
 以上が弊社からの意見陳述になります。このようなお時間をいただきまして、ありがとうございました。御審議をどうぞよろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、企業からの不服意見について、科学院から御説明をお願いいたします。
 
○国立保健医療科学院
 御説明をありがとうございます。企業の皆さんとそこまで違ったものは見ていないのではないかとは思っているのですけれども、2つの論点について御説明させていただければと思います。
 論点の1点目ですけれども、分析の枠組み時に決定するものはあくまで対象とする集団や比較対照技術などに限られています。データの取扱い、例えば今回の場合であれば全体集団を用いるのか、日本人集団を用いるのかということ、これは公的分析におけるレビューあるいは再分析において検討されるべきものであると考えています。エビデンスが明確になるまでは全体集団の値を用いるということではなく、公的分析時点のエビデンスにおいてどちらが適切であるかという点について評価されるものです。これはもちろん企業側の主張する全体集団を用いた分析を採用しないということではありません。企業側の主張はもちろん理解するところですが、プロセスの問題として、あくまで公的分析実施時のエビデンス、特にシステマチックレビューの結果に基づいてどのような集団を用いるべきかが議論されるべきものであり、現時点ではそのような作業が実施されていないため、どちらが適切なものであるかは決定することができないと考えています。
 論点の2点目ですけれども、ユルトミリス等の感度分析については、対象集団や比較対照技術など、分析の枠組みの範囲内における感度分析の記載と考えています。そのため、本件とは状況が異なっていると考えています。また、繰り返しになりますが、現時点では日本人集団のデータを感度分析に用いるべきだということは、レビュー等を実施していないため、公的分析としては決めることができませんし、システマチックレビュー等を実施していない現時点では決めるべきものでもないと考えています。
 以上です。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、委員の方及び企業から御質問はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 企業さんはいかがでしょうか。今の科学院さんのコメントに関して何かございますでしょうか。よろしいですか。
 
○意見陳述者
 ありがとうございます。
 今、科学院様から御指摘いただいた点に関しては理解をいたしました。そのため、論点2の一番下に書いておりますけれども、現時点でシステマチックレビュー等を公的分析機関様のほうで行っていない以上、今すぐに決めることはできないという理解は同じでございます。したがいまして、今、決めるということではなくて、どのような状況に至った場合に決めるのかという条件をあらかじめ規定しておいてはどうかというのが、この2番目のブレットポイントに書いております、評価する時点においても変化がない場合は感度分析とすると。ただ、今、ないようなものが確認された場合はその限りではないというような条件を規定するというところで、科学院様から御指摘いただいたようなプロセス上もしくはその他の問題点に関してはクリアにした上で公正な事前の取決めができるのではないかと、このような書きぶりを今回新しく御提案させていただく次第でございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。御意見として伺っておきます。
 ちなみに、公正な議論はさせていただいておりますので、その点に関しては御安心ください。
 その他の委員の先生方、いかがでしょうか。何かコメントもしくは御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。お疲れさまでした。
 
○意見陳述者
 ありがとうございました。
 
(意見陳述者退室)
 
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方は退席されましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、ケレンディア錠に関わる分析枠組みについて御議論をお願いいたします。
 意見書を拝見しますと、○○先生、○○先生、○○先生からもしコメントがあればいただければと思いますが、いかがでしょうか。
 ○○先生、お願いいたします。
 
○○○委員
 ○○です。
 公的分析班の主張は十分理解できるところです。ただ、今まで企業が主張されていたところは、これぐらいの事項に関してはある程度決められていたことが多かったのかという印象でしたので、決めていてもよかったのかなとは思ったところですが、公的分析班の主張は理解できます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 では、改めて科学院さんに今回決め打ちができないようなところについての理由、背景を追加で御説明いただけますでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 ありがとうございます。
 企業側から御提案がありましたけれども、我々は現状のエビデンスを全て把握しているわけではありませんので、企業さんはいろいろ情報を持っているのかもしれませんが、我々はまだどういう状況か分からない状況ですので、その限りにおいてお時間をいただきたい、プロセス上、検討するお時間をいただきたいと考えています。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ○○先生、よろしいでしょうか。
 ○○先生、お願いいたします。
 
○○○委員
 私も○○先生と同じ意見なのですけれども、過去の例では「その他」のところに感度解析として日本人集団のデータを解析すると分析枠組みを決めるときに記載があったと企業は言われているのですけれども、今まではそういう記載も許容されていたのにもかかわらず今回許容しないとされた理由は何でしょうか。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 科学院さん、いかがでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 先ほども御説明したので繰り返しになるかもしれないのですけれども、今まで感度分析について記載した例としては、分析対象集団あるいは比較対照技術に関するものについて、つまり、分析枠組みを決める時点で設定しておかなければいけないものについて感度分析について記載したところでありまして、データの取扱い等々については再分析以降取り扱うということですので、そのような記載の例はないものと考えています。
 
○○○委員
 そうすると、特に日本人集団のサブ解析を感度解析とするというような記載が過去にあったわけではないということなのですね。
 
○国立保健医療科学院
 過去のものは分析対象集団と比較対照技術に限られていると考えています。
 
○○○委員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他、委員の先生方、いかがでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
 
○○○委員
 私は科学院さんがおっしゃるようにシステマチックレビューをしてみないと分からない、企業は自分がやっているからいろいろデータを持っているでしょうけれども、分からないからまずそれをやってから決めたいというのは大変よく理解できます。そのとおりだと思うのですけれども、○○先生がおっしゃった、さっきの日本人集団に限るというようなことはなかったかもしれませんけれども、今までもこの程度のものだったら決めていたような気もするのです。私も例を挙げてまでは言わないのですが、感覚的には○○先生と同じような部分もあるのです。先ほど科学院さんがもうちょっと時間が欲しいとおっしゃったのですけれども、単に時間的に押したからこうなったというのではなくて、この薬の特性でこうなっているという理解でいいのでしょうか。
 
○国立保健医療科学院
 すみません。私が余計なことを申し上げたかもしれないのですけれども、プロセスの問題として、どのデータを使うかということは分析枠組みが決まった後に検討を行うというプロセスになっていますので、そういう点で分析枠組みの後に御議論いただきたいというのが我々の考えです。
 
○○○委員
 分かりました。プロセス上の話ということで承知しました。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。
 企業側の御懸念もしくは御質問という形に関して、科学院さんが丁寧に御説明されているのではないかと思いますけれども、いずれにせよ、今、手持ちの情報で感度分析を行うというようなものを明記することが難しい、プラス、プロセス上の問題と御説明があったわけですので、それでよろしいのかと思いますが、先生方、いかがでしょうか。よろしいですかね。
 それでは、議決に入る前に、○○委員におかれましては、議決の間は一時御退席をお願いいたします。
 
(○○委員退室)
 
○事務局
 事務局でございます。
 ○○委員の退席が確認できましたので、よろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、議決に入らせていただきます。先生方の御意見を参考に、ケレンディア錠に関する費用対効果評価については、ケレンディア錠に係る分析枠組みについて、専門組織で決定された分析枠組みのとおりとするということでよろしいでしょうか。
 
(首肯する委員あり)
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局は○○委員に入室をしていただいてください。
 
(○○委員入室)
 
○事務局
 事務局でございます。
 ○○委員の入室が確認できましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。