2022年5月27日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第2回議事録

日時

令和4年5月27日(金)13:00~

場所

オンライン開催

出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
鳥海 弥寿雄専門委員 福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他

議題

○レットヴィモに係る分析枠組みについて

議事

議事内容

○費用対効果評価専門組織委員長
 続きまして、レットヴィモカプセルに関わる分析枠組みについて御議論いただきたいと思います。
 まずは、事務局及び公的分析から説明をお願いいたします。
○事務局 
(事務局より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論に先立ちまして、まず、本製品の検証作業に関わる分析枠組みに対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
○事務局
 事務局でございます。
 少々お待ちください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の準備ができておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は、費用対効果専門組織委員長の○○です。
 早速ですが、10分以内でレットヴィモカプセルに関わる分析枠組み案についての企業意見の御説明をお願いいたします。続いて、質疑応答をさせていただきます。
 始めてください。
○意見陳述者
 レットヴィモに関して、始めさせていただきます。
 まず、2ページ目を御覧ください。こちらが概要になります。品目名は、一般名、セルペルカチニブ。商品名は、レットヴィモカプセルです。薬理作用は、RET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤でして、RETは細胞膜貫通型の受容体タンパクであり、RET融合遺伝子などの機序により、腫瘍形成のドライバー遺伝子として機能いたします。本薬はRETのATP結合部位を競合的に阻害するように設計された低分子でありまして、RETに対して選択性の高い阻害剤となっております。この効果は既にRET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんで薬事承認されていまして、費用対効果のプロセスも進んでおりますけれども、このたび、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がんに対して承認が取得されました。そのほか、概要は資料を御覧ください。
 3ページ目を御覧ください。こちらには、疾患概要として、甲状腺がんの組織型及びRET遺伝子異常の頻度を記載させていただいております。甲状腺がんは、組織型により、分化型甲状腺がんである乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、また、未分化がん、髄様がんと分類されます。髄様がんは、散発性と遺伝性に分類されます。このうち、乳頭がんが92%以上と大多数を占めておりまして、その他組織型は、濾胞がんが5%、低分化がんが1%未満、未分化がんと髄様がんが1%程度となっております。また、RET遺伝子変異は髄様がんの散発性のうち、50~60%、遺伝性で90%以上の割合で有するとされております。
 次のページにお進みください。4ページ目には、甲状腺がんの治療体系を示しております。治療の中心は、どの組織型も外科的治療でして、その後、再発・進行し、根治切除不能となった場合に分子標的治療へと進みます。
 次のページにお進みください。5ページ目には、甲状腺がんにおける現在の分子標的薬についてまとめました。進行・再発甲状腺がんにおける分子標的薬の適用は、根治切除不能な甲状腺がんに、レンバチニブ、ソラフェニブ、根治切除不能な甲状腺髄様がんにバンデタニブが承認されております。甲状腺腫瘍診療ガイドラインの2018では、進行・再発の甲状腺分化がんに対しては、本文中にNCCNガイドラインも引用されておりまして、レンバチニブが奏功率65%、ソラフェニブが12%であることから、レンバチニブがプリファードエージェントとされていることに言及されています。進行・再発甲状腺未分化がんでは、レンバチニブが推奨されております。
 次のページにお進みください。6ページ目には、進行・再発の甲状腺髄様がんにおける分子標的薬の推奨を示しました。こちらは、フェーズIII試験のエビデンスを踏まえまして、バンデタニブが一段高い推奨となっております。
 次のページにお進みください。7ページ目には、セルペルカチニブの申請データであります国際共同第I相試験の001試験の試験デザインを示しております。フェーズⅠでは、ドーズエスカレーションにて第II相の推奨用量が160mgで1日2回ということが決定されまして、第II相で拡大パートが実施されております。患者様は、各コホート別に登録されておりまして、コホート1は標準治療歴のある既治療のRET融合遺伝子陽性の固形がん、2は未治療のRET融合遺伝子陽性の固形がん、コホート3はカボザンチニブまたはバンデタニブによる治療歴がある既治療のRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がん、コホート4は、未治療のRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がんです。このうち、右側の赤枠、有効性解析対象集団においては、既治療のコホート1、未治療のコホート2から、それぞれRET融合遺伝子陽性の甲状腺がんが18例及び14例、既治療のコホート3、未治療のコホート4から、それぞれRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がんが142例と108例、対象とされております。
 次のページにお進みください。8ページ目には、RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がんに対する奏効率を示しました。未治療で100%、既治療では奏効率は66.7%となっております。
 次のページにお進みください。9ページ目には、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がんに対する奏効率を示しております。未治療では67.6%、既治療では68.3%となっております。
 次のページにお進みください。
○意見陳述者
 10ページになります。続きまして、本剤の投与対象となる患者数について御説明いたします。分子標的薬を含みます薬物療法が対象となる遠隔転移を有する患者数、甲状腺が、融合遺伝子陽性の大半を占める乳頭がんを主な対象として考えまして、約1,500人、髄様がんでは数十人レベルと推計されております。こちらの推計は、年間の罹患数、つまり、新規患者数と遠隔転移率の9%を基に計算しております。この数字に、RET遺伝子異常の陽性率、それぞれ、11%、60%を掛けることで、本剤の対象患者数が得られ、乳頭がんで約170名、髄様がんでその約10分の1という推計となっております。本剤は、12歳以上の小児にも適応がありますが、小児患者の占める割合はかなり少ないと考えられます。一方、先行して費用対効果分析の対象となっております非小細胞肺がんの患者数につきましては、薬物療法の対象となる患者数が約5万人程度で、そのうちRET融合遺伝子陽性率が2%ですので、約1,000名程度が本剤の対象と考えられます。つまり、非小細胞肺がんに比べますと甲状腺がんの本剤が対象となる患者の割合はかなり低く、特に髄様がんは極めて限定的なものと予想されます。
 続きまして、11ページ目をお願いします。最後に、分析枠組みについての説明になりますが、先ほど示したとおり、髄様がんの患者数や小児の患者数は全体に比べてかなり限定的なものとなっていますので、分析対象は、それらの患者分を除いたRET融合遺伝子陽性の根治切除不能な成人の甲状腺がん患者として、比較対照技術は、当該患者層で反映されており、ガイドラインで最も高い評価を得ていますレンバチニブとすることで、C2としております。
 説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 委員及び企業から、御質問、御意見はございますでしょうか。いかがでしょうか。
 私から1点、素人の初歩的な質問で大変恐縮なのですけれども、先ほどの8ページの臨床成績は非常にすばらしい成績と思って拝見していたところでありますけれども、症例数がかなり少ないサンプルサイズで、今後、分析はこれぐらい少ないデータソースで議論されることになるのかどうかとともに、恐らくこれは薬事承認でも活用されたデータであると伺ってはおるのですけれども、先ほど除外する集団を御議論されていましたが、この分析結果の中からそういった集団が外れてしまって結果が変わる可能性はあるのかどうか、教えていただければと思います。
○意見陳述者
 こちらにつきましては、〇〇から回答させていただいたほうがよろしいかと思いますが、〇〇さん、大丈夫ですか。
○意見陳述者
 御質問をありがとうございます。
 解析の対象に含める範囲は、現実的に解析可能か、可能性と照らし合わせて、今後、検討していく必要があると思っております。
○費用対効果評価専門組織委員長
 分かりました。
 その他、委員の先生方、いかがですか。
 それでは、これで意見聴取を終了させていただきたいと思います。
 企業の方は、どうもありがとうございました。御退席をよろしくお願いします。
(意見陳述者退室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の退室が確認できましたので、よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 それでは、レットヴィモカプセルに関わる分析枠組みについて御議論をお願いしたいと思います。○○先生、お願いいたします。
○○○委員
 ○○です。
 この薬剤に関しては、甲状腺がんに使える薬剤というもの自体が非常に少ないのですけれども、レンバチニブが、意見書にも書かせていただきましたけれども、広く使われておりまして、甲状腺がんに関して単純に比較をするのであれば、レンバチニブが一番ふさわしいのではないかと思って、意見書を書かせていただきました。
 以上です。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 ○○先生、いかがでしょうか。
○○○委員
 今、大体コメントをいただきましたけれども、レンバチニブが、毒性管理の面でも割と使いやすくなっていまして、広く使われていることと、RETのところで、この薬剤は、少ないですけれども、対象になりますので、おおよそ説明としてはいいのかなと思います。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 その他の先生方、いかがですか。コメントをお願いできればと思います。
 ○○委員、お願いいたします。
○○○委員
 枠組みはいいと思います。ただ、せっかく○○先生がいらっしゃるのでお伺いしたいのですけれども、乳頭がんの中で、10~20%ぐらいですが、RET融合の陽性というものですけれども、同じ乳頭がんでも、もしRETが陽性だと、病態が違ってくるのですか。それは同じなのですか。
○○○委員
 今までRETのあれを調べていないので、よく自分的には分からないのですけれども、恐らくそんなに違いはないのではないかなと思っております。ただ、今後、こういう薬が出てまいりますと、状況によってRET遺伝子を調べていくということがルーチン化されていくのかなとは思っておりますが、すみません。そのぐらいしか。
○○○委員
 すみません。企業のスライドを見たら、髄様がんはRETがすごく関係しそうに見えるのですけれども、乳頭がんにも10~20%があるのだなということで、その割合、ドライバー遺伝子みたいなものが違うと、同じ乳頭がんでも髄様がんに似たような症状が出るとか、何かあるのかなと思ったので、お伺いしました。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他はいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 議決に入る前に、該当の委員におかれましては、議決の間、一時、御退席をお願いいたします。
(該当委員退室)
○事務局
 事務局でございます。
 退室が確認できましたので、続けていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 先生方の御意見をまとめますと、レットヴィモカプセルに係る費用対効果評価に関わる分析枠組み案を了解するということで、御承認いただいたと整理をさせていただきます。
 それでは、事務局は、該当の委員に入室いただいてください。
○事務局
 事務局でございます。
 確認いたしますので、少々お待ちください。
(該当委員入室)