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2023年5月26日 中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門組織 第2回議事録

○日時

令和5年5月26日(金)13:00~

 

○場所

オンライン開催

○出席者

田倉 智之委員長 斎藤 信也委員長代理 池田 俊也委員 木﨑 孝委員
新谷 歩委員 新保 卓郎委員 中山 健夫委員 野口 晴子委員
花井 十伍委員 飛田 英祐委員 米盛 勧委員
岩瀬 嘉志専門委員 土谷 一晃専門委員 福田 敬専門委員
国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター 白岩上席主任研究官
<事務局>
中田医療技術評価推進室長 他
 

○議題

○Expedium Verse Fenestrated Screwシステムに係る総合的評価について

○議事

○費用対効果評価専門組織委員長
 続きまして、Expedium Verse Fenestrated Screwシステムについて、公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析からの意見聴取を行った上で、企業分析の内容及び公的分析による再分析結果の審査並びに費用対効果評価案の策定について先生方に御議論いただきたいと思います。
 公的分析による再分析結果が提出されておりますので、公的分析及び企業からの意見聴衆を行った上でという辺りについては先ほど御説明のとおりでございますので、このExpedium Verse Fenestrated Screwシステムについて、まず、事務局から御説明をお願いいたします。
(事務局・国立保健医療科学院より説明)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございました。
 それでは、まず、本製品に関わる公的分析の再分析結果に対する企業意見の聴取を行いますので、事務局は企業を入室させてください。
(意見陳述者入室)
○事務局
 事務局でございます。
 委員長、企業の方の準備が整いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 私は費用対効果評価専門組織委員長です。
 早速ですが、10分以内でExpedium Verse Fenestrated Screwシステムの総合的評価について御説明をお願いいたします。続いて質疑応答をさせていただきます。
 では、始めてください。
○意見陳述者
 ありがとうございます。Expedium Verse Fenestrated Screwシステムの費用対効果、公的分析に関する企業の意見陳述を行わせていただきます。
 2ページをよろしくお願いいたします。こちらは繰り返しとなりますが、治療の概要から説明させていただきます。
 脊椎固定術は、脊椎を骨癒合させ、安定させることを目的として行う術式で、変形した脊柱の固定矯正、脊柱管狭窄症、すべり症などの変性疾患に対する除圧術後に行われます。
 3ページをお願いいたします。
 脊椎固定術を行う患者のうち骨粗鬆症等により骨強度が低下した患者に対して使用した場合に本製品の区分が算定できるとあることから、本品の分析対象集団は、脊髄スクリューを用いて脊椎固定術を受ける患者のうち骨粗鬆症等により骨強度が低下した患者と考えました。
 4ページをお願いいたします。
 脊椎固定術の患者様は御高齢の方が多く、この年代は骨粗鬆症が好発いたします。骨粗鬆症で骨強度が低下した患者様にこれらの術式を行っても、骨自体がスクリューを十分保持できないことから、既存のスクリューを使用した場合には、約6~18%にスクリューの緩みが、約9~23%の患者様には骨癒合が得られていないという報告がございます。
 5ページをお願いいたします。
 現在、これらの患者様には、スクリューを挿入する下穴に、あらかじめ人工骨を入れることで固定力を上げることが行われています。国内での目的に使用できる人工骨はハイドロキシアパタイトとリン酸カルシウム骨ペーストを用いたものの2種類があり、あらかじめスクリューを挿入する前に、椎体内に挿入した後にスクリューを挿入いたします。また、術後に副腎皮質ホルモンであるテリパラチド注射はほとんどの患者様に行われておりますし、場合によっては物理的に固定を追加することができますが、本品が代替する骨内の固定という意味では人工骨が当たると考えております。
 6ページをお願いいたします。
 本品は、脊椎スクリューにスクリューの強度を維持したまま横穴を開けることにより、スクリューを椎体内に挿入後、骨セメントであるポリメチルメタクリレート、PMMAを挿入することができる製品です。これにより、安全にPMMAを併用できるだけでなく、スクリュー挿入時に骨折があった場合や患者様の海綿骨のみで十分な強度がある場合にはセメントを挿入しないといった選択的なPMMA骨セメントの挿入を行うことが可能となります。
 7ページをお願いいたします。
 これらの理由で、今回の分析枠組みは、本品とPMMAも併用した患者に対し、比較対照群として、横穴のない脊椎スクリューに「人工骨専用型スクリュー併用用」、つまり、ハイドロキシアパタイトを使用した患者を設定する形で第1回の専門協議で合意したところでございます。
 8ページをお願いいたします。
 しかしながら、本品と比較対照群を直接比較したRCT等は存在せず、人工骨、つまり、ハイドロキシアパタイトの臨床における有用性を示した文献は非常に限られていることから、弊社としましては、非臨床試験にてハイドロキシアパタイトが十分な脊椎スクリューの固定効果がないと考えることを第2回専門組織で述べさせていただきました。
 9ページをお願いいたします。
 それらの情報を基に、企業分析ではYagi文献を用いまして、追加的有用性の判断が可能であると考えました。この論文は2021年5月14日までに報告された文献を含んでおりますが、その後の出版物についてはハンドサーチを行い、2020年2月の段階で追加で加えるべき論文がないことを確認しております。結果は2点、一つは、横穴つきスクリューは通常のスクリューと比較してスクリュー緩みの発生が少ないことが示されました。
 10ページをお願いいたします。
 それに加えまして、本文献では、本品を骨粗鬆症患者に使用した場合、脊椎インストゥルメントに関連する再処置率、再手術率を減らすことを示しております。
 11ページをお願いいたします。
 Yagiらの報告は、当初、PMMA骨セメントの有無を問わない横穴つきスクリューと、PMMA骨セメントを併用した例を除く、つまり、人工骨併用を含む横穴のないスクリューの比較としましたが、結果的に横穴のないスクリュー群に人工骨を用いた患者群は含まれませんでした。また、従来のスクリューと人工骨を併用した臨床試験の報告はなく、非臨床でも対照群と比較して強度の向上を示していないことから、人工骨の有無にかかわらず横穴なしスクリューに対して横穴つきスクリューの優位性は変わらず、骨内の固定及びそれに伴う再手術の向上が見込めると考えました。
 12ページをお願いいたします。
 この結果から、第2回専門組織にて、企業分析は、追加的有用性はあると考えました。一方、公的分析の結果では、本品と比較対照群を直接的に比較するために必要とされる適切なエビデンスが存在しないことから、追加的有用性の判断は難しいという結果を頂戴しております。
 13ページをお願いいたします。
 また、本品の使用は、企業分析時点では費用削減が見込めることから、企業分析は費用最小化分析を選択し、○○円の費用削減が可能であることを示しております。一方、公的分析は追加的有用性を有すると判断できないことから費用最小化分析を行い、費用増であるとの結果になりました。
 14ページをお願いいたします。
 これらを受けた企業の意見をまとめております。弊社としましては、公的分析の結果を受け入れますが、2点意見がございまして、こちらのページに記述させていただいております。
 1つ目、まず、有用性ですが、本品は臨床上有用性を有することは間違いなく、間接的にこれらを示すことができるとは考えております。しかしながら、ガイドライン上、直接的な差分の解析を行うための文献が存在しないため、有用性の判断が難しいといった公的分析の結果には同意いたします。
 2つ目、費用最小化分析の結果ですが、企業分析はガイドラインに従った解析を行っており、その結果は妥当であったと考えております。
 詳細を15ページで示します。
 公的分析と企業分析で費用最小化分析の結果が異なる点については、本品の対象集団として用いる横穴のない脊椎スクリュー、つまり、脊椎スクリュー可動型の金額が分析期間中に引き下がった点に起因しております。企業分析、公的分析、ともにガイドラインに従って分析を行っておりますが、最終的な評価結果が異なる点は分析実施時の違いと考えております。また、公的分析の第1版、第2版で結果が異なることは分析実施時の解釈の違いによるものという理解でございます。
 企業からの意見陳述は以上となります。ありがとうございました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、委員の方から御質問はございますでしょうか。
 ○○委員、お願いします。
○○○委員
 企業に御質問させていただきたいのですけれども、2点ございまして、1点目は、開発に当たりましてベンチテスト等で横穴つきスクリューにリン酸ペーストを使ったものと、あと、先込め式で人工骨を入れて、横穴のないペディクルスクリューを入れたもの等をベンチテスト等で力学的な比較評価は行っているのでしょうかというのが1点目。
 2点目としまして、横穴スクリューで、リン酸ペースト、人工骨のペースト状のものを使用しないで、横穴から例えばボーイングロースがあって強度を高めるようなこともお考えになっていたのでしょうか。
 この2点について御質問させてください。
○意見陳述者
 ありがとうございます。質問ですが、1点目は、開発時に弊社で両群を比較するようなベンチテストを行っていたかという質問。2点目に関しましては、人工骨や骨セメントを使わない場合も、横穴が存在することのみで強度が上昇することがあるかという質問であると考えております。
 1点目に関しましては、弊社では○○。一方で、今回示しましたYi先生の2015年の論文でこれらは比較されており、PMMAを入れたほうが引き抜き強度が高いことは示されているという理解でございます。
 2点目の、横穴があるだけで強度が上がるかという点に関しましては、1報、そのような論文は出ておりますが、弊社では横穴があるだけで、横穴に骨が新生することによって引き抜き強度が上がることは示すことが難しいと考えており、弊社ではこちらはバリューとしてうたっていないところでございます。お答えになっておりますでしょうか。
○○○委員
 よく分かりました。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 その他の委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、これで質疑応答を終了いたします。企業の方は御退室ください。どうもお疲れさまでした。
○意見陳述者
 ありがとうございました。失礼いたします。
(意見陳述者退室)
○事務局
 事務局でございます。
 企業の方の退室が確認できましたので、引き続き議論をお願いいたします。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、議論に先立ちまして、企業から公的分析について御意見がございましたが、科学院から何か御意見等はございますでしょうか。
○保健医療科学院
 ありがとうございます。
 いつの時点の価格を用いるかについてですけれども、分析ガイドライン上は分析実施時の最新時点という形にしております。この最新時点が、分析実施時が企業分析と公的分析で時点が離れるために比較対照技術の価格が異なってしまった例かなと考えているところです。ガイドライン上の表現がもしかしたら分かりにくかったのかもしれないなという点は反省しておりまして、その点を含めて少し検討させていただければと考えています。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
○○○委員
 よろしいでしょうか。
○費用対効果評価専門組織委員長
 では、お願いいたします。
○○○委員
 今回の分析の枠組みにのっとった評価方法としては、私は公的分析が適切な評価であると考えました。大変勉強になりましてありがとうございました。
 しかしながら、実臨床において、これらをある一定期間評価したデータがまだまだ世の中に存在していないことも事実でございますし、また、市場にもあまりこの横穴式のリン酸ペーストを入れるペディクルスクリューはそれほど出回っていないと考えられます。
 本品の構造とアイデアとしましては、中空型のスクリューを用いて、そして、その先端部に開けた横穴からリン酸ペーストを流して骨強度を高める、初期固定強度を高めるアイデアは、私は一定の評価をしてよいアイデアと考えております。そのため、一定期間を置いて、もう少し比較対照できるようなデータが出ましたらまた違った結果が出てくる可能性も十分あり得る。アイデア自体は、私は評価してよいアイデアだと考えました。
 以上でございます。失礼いたしました。
○費用対効果評価専門組織委員長
 貴重な御意見ありがとうございます。
 改めて、当該品目について御議論を始めていただければと思っております。
 なお、御議論に当たっては、企業分析結果と公的分析の再分析結果のどちらがより科学的に確からしいかを相対的に評価することを踏まえて御議論を進めていただきますようお願いいたします。
 ○○先生、いかがですか。臨床のお立場から御意見がもしあればいただきたいと思います。
○○○委員
 すみません。分析結果のことは細かく僕は評価できない、分析班の意見に、専門家に任せるのですけれども、○○先生と同じで、このスクリューはやはり横穴つきで、骨脆弱性がある脊椎には非常に初期固定がいいという特徴を持って、いいアイデアだと思うのです。
 それで、やはり今回は有用性を評価するような臨床研究はなかなか見つからなかったのですが、多分、これは○○先生と同じ意見なのですけれども、症例が増えたときに有用性を評価するような評価ができるかもしれないので、そういう点で、チャレンジ申請ではないのですが、もう一回評価することは可能なのでしょうか。全然、話がずれてしまったのですけれども。
○費用対効果評価専門組織委員長
 いや、重要な御指摘かなと思って伺っておりました。
 事務局さん、いかがですか。そのような考え方についてコメントがあればお願いします。
○事務局
 事務局でございます。
 今回、新たな臨床研究等が実施されて、例えば知見が集まってくるということで新たに評価すべき点が出てきた場合には、評価終了後の再評価ということで、H3という枠組みがございまして、再評価するスキームがございますので、そういった方法もあることはお知らせさせていただければと思います。
 以上でございます。
○○○委員
 高齢化社会でさらにこれが進行すると思うので、やはり患者さんのことを考えると、再評価は一回、頭に入れておいてもいいかなと思いました。すみません。ありがとうございます。
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 その他の先生方、いかがでしょうか。御意見、御質問はございますでしょうか。
 臨床家の先生の御意見をまとめますと、アイデアはすばらしいものの、まだ症例がなくて、データがないのが残念であるというお話なのかなと思っております。将来的なポテンシャルがある製品ではありますけれども、現時点ではデータが十分でなくて、先ほど来の科学院さんの御指摘も含めた状況になっているということかなと理解しておりますが、先生方の御意見はいかがでしょうか。
 意見書を拝見しますと、追加分析は不要と整理させていただきたいと思いますが、これについても特段異論はなさそうかなと思いますが、よろしいですか。
 その他、御意見がなければまとめさせていただきます。
 では、議決に入らせていただきます。
 先生方の御意見を参考に、Expedium Verse Fenestrated Screwシステムに関する費用対効果評価については、総合的評価について、公的分析による案を費用対効果評価案として決定するということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。
 それでは、専門組織で決定された総合的評価を費用対効果評価案として中央社会保険医療協議会に報告いたします。
 なお、企業に対して内示及び中央社会保険医療協議会に提出する資料に関しては委員長に一任していただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○費用対効果評価専門組織委員長
 ありがとうございます。 


 

(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第2係

代表: 03-5253-1111(内線)3140

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