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2019年3月25日 第5回「労災保険の業種区分に係る検討会」議事録

労働基準局 労災管理課 労災保険財政数理室

 

 

○日時

平成31年3月25日(月)14:00~14:45

 

○場所

厚生労働省労働基準局第一会議室(中央合同庁舎第5号館16階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

○出席者

委員(五十音順)

岡村 国和 (獨協大学経済学部教授)

片寄 郁夫 (株式会社りそな銀行年金業務部主席数理役(アクチュアリー))

小西 康之 (明治大学法学部教授)

酒井 正      (法政大学経済学部教授)

中益 陽子 (亜細亜大学法学部准教授)

花岡 智恵 (東洋大学経済学部准教授)

皆川 農弥 (東京海上日動火災保険株式会社企業商品業務部保有企画グループ担当課長(アクチュアリー))

森戸 英幸 (慶應義塾大学大学院法務研究科教授) (座長)
 

事務局

松本審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)、田中労災管理課長、久野労災保険財政数理室長、石原中央職業病認定調査官、平田労災保険財政数理室長補佐

○議題

 (1)第4回検討会における指摘事項について
 (2)報告書(案)について
 (3)その他

○議事


○労災保険財政数理室長補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第5回労災保険の業種区分に係る検討会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。なお、お手元にあるマイクは、議事録作成用の集音マイクとなります。御発言の際には、事務局が別のマイクをお持ちいたしますのでご留意ください。
報道機関や傍聴の方々におかれましては、写真撮影は以上までとさせていただきます。以後、写真やビデオ撮影、録音については御遠慮ください。それでは、座長に検討会の進行をお願いいたします。
○森戸座長 では議事に入りたいと思います。まず議題(1)「第4回検討会における指摘事項について」、事務局から説明をお願いします。
○労災管理課長 労災管理課長の田中でございます。恐縮ですが座らせていただき御説明を申し上げます。資料1です。「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の各細目の災害発生頻度及び重篤度という資料です。前回の検討会におきまして、「その他の各種事業」以外の業種の統合であるとか、分割といったことにつきまして御議論いただいたわけですが、その中で、「その他の各種事業」に次いで、非常に大きな業種の固まりになっている「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」というカテゴリーがありますが、これにつきまして細目別に見た場合に、発生頻度であるとかあるいは重篤度にどのような釣合いがあるかということについて、提示をしていただけないかという御指摘がありました。それを今回図示をさせていただいております。
3ページ目をお願いします。横紙になっていますが、横に災害発生頻度のパーセンテージを書かせていただいております。これは、適用労働者に占める新規受給者数の割合です。それから縦軸が災害の重篤度です。これは、新規の年金受給者数を新規の受給者数で割ったものです。この業種区分におきましては、細目が3つありまして、1つに卸売業・小売業というのがあります。それから2つ目としては宿泊業、3つ目に飲食店と、こういう3つの細目があるわけですが、各細目について重篤度と発生頻度を比較しますと、この図に書いてある形になっております。
宿泊業、飲食店につきましては卸売業・小売業に比べると、発生頻度がやや高いという状況です。重篤度については、3つとも少しずつずれている。卸売業・小売業がやや高めになっており、このばらつきをどう評価するかということですが、次のページが「その他の各種事業」のばらつき度合いです。これと比較するとそれほどばらついてないとも言えると思いますが、いずれにしても客観的な事実としてはこの3ページ目の図のようになるということです。私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○森戸座長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御意見のある方、御質問のある方がいらっしゃいましたらお願いします、いかがでしょうか。
○皆川委員 御説明ありがとうございます。こちらは、前回私からコメントさせていただいたところかと思います。正に、今おっしゃっていただいたようにこれをどう評価するかということなんですが、「その他の各種事業」のほうと比較しますと、相当ばらつきは小さいのかなと、私もこのグラフを見て思いましたので、ここについては、これをもって何らかの業種の細分化をしなければいけないとか、そういうことではないのかなと、私は理解いたしました。お答えをありがとうございます。
○森戸座長 ありがとうございます。ほかにどなたか御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、他に御意見、御質問がないようですので、次の議題に進みたいと思います。次は、議題(2)「報告書(案)について」、これも事務局から説明をお願いいたします。
○労災管理課長 それでは、報告書(案)について、資料2-1と2-2とありますが、資料2-2の本体のほうで御説明します。なお、資料2-1は概要で、報告書(案)をコンパクトにしたものです。
資料2-2ですが、ページをめくると目次になっています。目次として6項目あります。1.が、はじめにということで今回の検討会の背景を書いています。2.として、労災保険における業種区分の役割とこれまでの業種区分の見直しで、こちらもこれまでの経緯などを書いています。3.が、本検討会における検討対象で、大きく分けると2つですが、1つ目が「94その他の各種事業」における業種区分です。それから、前回御議論いただきましたが、「94その他の各種事業」以外の業種区分についてということです。4.「94その他の各種事業」における7つの細目の状況。これは、7つの細目を選び出すということが大前提ですが、7つの細目の状況や評価及び業種区分の見直しの案を書いています。5.もう1つの検討対象である「94その他の各種事業」以外の業種区分に係る検討です。6.最後ですが、本報告書の取扱いを書いています。順次御説明します。
3ページ目、まず、1.はじめにというところで今回の検討の背景を書いています。業種区分については、料率改定ごとに必要な見直しを行っています。最近においては、平成18年度の料率改定、あるいは平成27年度の料率改定において見直しを図っています。労災保険制度については、事業主の保険料負担の公平性を確保するとともに、労働災害防止のインセンティブを有効に機能させる仕組みがあるわけですが、この仕組みとして積立金による財政方式やメリット制とともに業種別の保険料率の設定、これも同じような機能を果たしていることを書いています。今回のきっかけになったのは、この業種区分の中に、「その他の各種事業」のように、非常に大きな母集団があると、全体の3割以上を占める大きな保険集団が存在しているということで、今回、業種区分の在り方について御議論いただきました。
2.ですが、業種区分の役割とこれまでの見直しの状況です。これは、先ほどの1.はじめにと少し重なるところがありますが、保険料率をおおむね3年ごとに改定しているということで、改定ごとに区分の見直しを行っています。現在、業種が54種類あることと、現行で54種類の業種区分の下に、細目が161あるということを書いています。
2.の(2)で、業種区分の見直しに係る考え方です。これまでどのような考え方だったかを4ページに書いていますが、まず平成17年に労働政策審議会の労災保険部会において、基本的な方針が決定されているということです。これは上から7行目辺りに書いていますが、a.平成17年基本方針のどのようなところをポイントにしているかというと、作業態様や災害の種類の類似性のある業種グループ等に着目し、分類するということが1つあります。それから、その際に業界団体の組織の状況等について考えるということを書いています。そして3つ目として、保険集団としての規模や日本標準産業分類に基づく分類といったものも勘案するということが書かれています。これは基本方針ということで、これをベースにするわけですが、これにもう1つ加味するものとして、平成25年3月21日に取りまとめられた報告書があり、今回の業種区分に係る検討会と同じような趣旨で設けられた検討会ですが、「労災保険の事業の種類に係る検討会」があります。この検討会において報告書が取りまとめられ、そこでは平成17年の基本方針を基本としつつも具体的には次のことも考慮すべきだということが書かれています。具体的には、4ページの下半分の所ですが、まず、業種区分を分離する場合、新しく独立させる場合ですが、これについては1番として労働災害防止活動を期待できること、2番として、労働災害防止インセンティブを事業主に喚起させる労災保険率であることと書かれています。
統合する場合の留意点は5つあり、1番「労災保険率がほぼ同等であること」、2番「作業態様が類似していること」、3番「業界団体等の組織・活動状況を斟酌すること」、4番「統合する対象に、年間の新規受給者数が1,000人未満という小さい業種区分を含むこと」、5番「統合した業種区分に係る災害率を経年的に把握・分析すること」。このようなことを考慮事項として書かれています。(3)として、今回の検討会においても、この基本方針や平成25年報告で示された一定の考え方をベースにし、業種区分の検討を行ったということを書いています。
5ページ、(4)近年の業種再編ということで、平成18年であるとか、平成26年と平成27年は同じときに見直しをしたものですが、平成26年、平成27年にも細目あるいは業種の統合などを行っているということを書いています。
5ページの下のところですが、本検討会における検討対象ということで2つ書いています。(1)「94その他の各種事業」における業種区分ということで、これは先ほど申し上げたように、適用事業場数あるいは適用労働者数が全体の3割以上を占めている、非常に保険集団として規模が大きいという状況になっています。これについて、6ページ上から2行目からですが、労働災害防止インセンティブの阻害要因となり得るものである、また、集団内の均質性を低下させるため、不公平感をもたらすおそれがあるということから、この「その他の各種事業」における業種区分について、保険集団として成立するだけの適切な規模とし、かつ可能な限り均質な集団であるように検討することとした。このようなことを書いています。
「94その他の各種事業」ですが、細目が17ありますが、そのうち今回は7つの細目を検討対象としたということです。対象とした理由として、6ページa.(a)ですが、検討対象を選定する視点と書いています。平成17年の基本方針に規定されている要素を書いていますが、これを踏まえて適用労働者数が100万人以上の細目、非常に保険集団として規模が大きい所を取り出す。2つ目として、災害発生頻度と災害重篤度に特徴がある所を選び出す。今回選び出したのは、災害発生頻度が高い一方重篤度は低い、逆に災害発生頻度は低いが重篤度は高い、このようなところを選び出すことを考えて7つを選び出したということです。
6ページ下、(b)に、選定された細目、今回は7つありますが、この7つについて先ほどどのような観点から選び出したかという観点に沿って、どれに該当するかを書いています。細目は「教育業」、「医療業」、「社会福祉又は介護事業」、「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」、「情報サービス業」、この7つを選び出したということです。
7ページ、(2)は「94その他の各種事業」以外の業種区分ですが、これについては、また後で検討結果については書いていますが、今回は今までの統合や分離などの状況を踏まえて、「その他の各種事業」以外のものについても幅広く検討したということを書いています。
今回の検討の結果部分に当たるところですが、4.として、「94その他の各種事業」における7つの細目の状況、評価及び業種区分見直しの方向性ということです。前回、骨子(案)として評価まではお示ししたわけですが、この評価を踏まえて見直しの方向性もお示ししているということです。(1)は業界ヒアリングの実施ということで、このようなヒアリングを行いましたということを書いています。(2)はヒアリングを踏まえた7つの細目の状況ということですが、詳しくは別添に書いていますが、それぞれの細目について、ヒアリングの結果把握したものの概要、あるいは日本標準産業分類との関係、保険集団の規模をそれぞれ掲げています。これが13ページまで続いています。また、これをまとめたものが13ページ以降ですが、13ページ以降に教育業から情報サービス業に至るまでの7つの細目について、ヒアリング結果を含む現状について書いています。これも、前回に評価というところでお示しをしている内容とほぼ同じなので省略します。
14~15ページにかけて、先生方からの御指摘いただいた事項について1番から14番までまとめています。8番までが、特に今回の業種区分の検討に係る直接的な指摘事項、9番から14番までが、今後も含めて中長期的なものも含めた指摘事項ということでまとめています。
15~16ページにかけて、細目についての評価と業種区分見直しの方向性を書いています。この評価については、前回骨子(案)でお示ししたものと同じなのですが、「教育業」については評価の所をもう1回読ませていただくと、適用労働者数が160万人以上、細目内の学校教育とそれ以外の教育において、災害状況等に相違が生じている可能性がある。分析のため、それぞれの集団のデータを取得できるようにする必要があるということです。これを受けて、見直しの方向性としては、まず細目を細分化する、学校教育とそれ以外の教育機関の相違が与える影響について、データを取得できるようにするということを書いています。細目を分けるということを書いています。
次は「医療業」ですが、適用労働者数が330万人以上、労働環境に対する業界としての認識も共通している。それから保険集団としての安定性や均質性も認められている。これを踏まえて、見直しの方向性としては、業種新設が可能と考えられる。なお書きとして、平成25年報告に掲げる要件への適合性につき留意が必要だということを書いています。これは、下にありますが、25年報告において、「労働災害防止インセンティブを事業主に喚起させる労災保険率であること」ということなので、このようなことを注意する必要はあるだろうということを書いています。
3つ目の業種ですが、「社会福祉又は介護事業」です。適用労働者数が240万人以上、細目内で利用者やサービス提供場所の相違が、災害状況等に影響を与えている可能性がある。分析のため、それぞれの集団のデータを取得できるようにする必要があるということで、これは「教育業」と似ているといえば似ているのですが、細目を細分化して利用者の年齢階層やサービス提供場所の相違が与える影響について、データを取得できるようにするということです。このようなところは方向性ということで、案を示させていただいています。
4~6つ目ですが、これは「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」ということですが、この3つの細目の境界が薄れつつあるものの、業務体制等には相違があるということです。現状、この3つの細目を合計しても、適用労働者数は50万人を下回るような状況です。ただし、集団の大きさがこれからどうなるかというのは流動的であろうということが評価のところに書かれています。そして、この評価を踏まえた見直し案ということですが、これは3つとも同じですが、今後の動向に留意しつつ、引き続き細目のデータを蓄積していくこととするということなので、当面はこのままということですが、引き続きデータを蓄積していこうということを書いています。
最後の7つ目の業種ですが、「情報サービス業」です。適用労働者数は110万人以上、発生している災害の種類に特徴があり、業界共通の課題としても認識されているということです。保険集団としての安定性や均質性が認められるということが評価ということですが、これを踏まえて業種新設が可能と考えられる、なお書きは先ほどの「医療業」と同じということです。
まとめた所は、16ページのやや下段に書いていますが、業種区分として新設することが可能と考えられるものは2つの細目、「医療業」と「情報サービス業」、更に細分化してデータを蓄積すべきものが2つの細目、「教育業」と「社会福祉又は介護事業」。それから、引き続きデータを蓄積すべきものということで、3つの細目ですが、「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」ということです。このようなところでまとめています。
次に5.として、「94その他の各種事業」以外の業種区分に係る検討ということです。これは、前回、1回御議論をいただいたということですが、17ページになります。まず、分離するかどうかというところで御議論いただいたのが、54業種のうち、「その他の各種事業」についで大きな保険集団、先ほども資料で御説明しましたが、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」ということです。これについては、17ページの中段から下段にかけて、まず平成18年の料率改定に併せて、「その他の各種事業」から新たな業種として分離したものということです。分離後にどうなったかですが、労災保険率の改定経過を見ると、平成18年度は1000分の5、と。5厘ということですが、平成30年度の改定では1000分の3まで、3厘まで下がっているということで、そのような意味では事業主の労災防止努力がしっかりしているのではないかと、料率に反映されているのではないかと考えられます。そのようなこともあり、新たな業種として新設したものということで、平成18年度に新設したということもあるので、このような状況も踏まえると、これも前回御議論いただいたところですが、直ちに業種区分の分離が必要というところまではいえないのではないかと思われるので、その旨を書いています。
17ページ、一番下の(2)統合に係る検討ということで、これはいろいろなパターンがあろうかと思いますが、前回もお示しした幾つかのパターンで考えてみたということです。19~20ページ、統合のパターンを書いています。これは前回も御議論いただいたパターンですが、どのようなパターンであっても様々な問題があるだろうということで、これも前回御議論いただいたとおりです。
19ページの真ん中から少し上ですが、1番から4番までありますが、このような問題が発生する可能性があるということもあります。したがって、その少し上になりますが、いずれのグループの統合パターンについても、平成25年報告書に照らすと複数の課題があるということで、これで検討をやめるということではなく、引き続き検討が必要ではないかということでまとめています。
20ページ、最後に、6.本報告書の取扱いですが、この報告書を労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会における審議に資するよう提言したものということです。当該部会において、業種区分の見直しを行う際には、今後の状況の変化等も勘案して議論されることを望むということで書いています。労災保険部会において、すぐに業種区分の見直しを行うという状況ではないので、少し時間が空くだろうということから、今後の状況の変化等も勘案してということを書いているということです。
簡単ですが、私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○森戸座長 ありがとうございました。事務局より報告書(案)について説明していただきました。第4回までの議論を踏まえて報告書(案)についての御意見を頂戴したいと思います。全体をまとめて結論と言いますか、その方向性のところも出ておりますので全体にいろいろ御意見おありかと思いますので、御意見それから事務局の説明についての御質問があればいただきたいと思います。よろしくお願いいたします、いかがでしょうか。
では、1点私から質問いいですか。17ページの真ん中辺の少し下で、「また、分離新設後における「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の話、分離した後どうだったかという話で、ずっと保険料率は改定の度に下がっていますと、だから分離して順調に、下がっていますということでそれはいいのですが、今さらですが確認ですけれども、このように下がってきているということはその業種で一定の災害が発生しないような努力が反映していると、素直に見ていいのかということで、思ったのは保険料率の計算、算定の話にもう一回戻ってしまうかもしれないのですが、全体的に例えば率が下がっている、つまりどこの業種もみんな頑張って労災が減ってきている中で、ただそれの中で減っているのではなくて、やはりここはより努力して頑張って減ってきているのですというような形で言えるのかという質問なのですが。意味は分かりますか、すみません確認のためにちょっと教えていただければ。
○労災管理課長 確かに過去20年、もっと前からも含めてですけれども、ずっと保険料率が全体的に下がっています。そういう意味では、全体的にほかの業種も含めて労災防止努力をしているかと思います。ここだけでは確かにないですが、すごく抜きん出ているかというとそこまでは言えないかとは思うのですが、どれぐらい下がっているかというのを考えますと、例えば平成18年だと、平均が1,000分の7だったのですが、今平成30年の改定のときに全体の平均にならすと1,000分の4.5ですので、65%程度ぐらいにはなったということです。この「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」のカテゴリーで見ますと、1,000分の5は1,000分の3になっていますので、6割になっているということで、若干ほかのところよりは平均的なところよりは少し下がったということから考えると、それを裏返して考えると労災防止努力は平均的なところよりは、やや頑張っているのではないかと考えられるかと思います。
○森戸座長 なるほど、分かりました。少なくともほかより頑張ってないことはないのは確かというような、ちょっと言い方はあれですが、分かりました、ありがとうございます。今のようなものを含め、時間もありますので、最後の報告書ですから御意見、御質問があれば是非いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。もちろん結論なり方向性のところも大事ですけれども、いろいろ皆さんの御意見を書いたところとかもありますし、まとめ方の点でもまだ修正可能ではありますので、もしあれば遠慮なくお願いします。
○花岡委員 御説明ありがとうございます。質問ですが15ページの13番、b.今後の業種区分の検討に係る提言の13番で、「既に存在しているデータを、統合・連結・紐付けする等して、活用することも必要ではないか」と書いていただいているのですが、具体的にどういうデータでこういうことができそうだということがもし分かったら教えていただければと思います。
○労災保険財政数理室長 今後いろいろ検討しなければいけないというようなこともありますけれども、例えば労働者死傷病報告の様式には労働保険番号の記入も求めているということがございます。現行のシステム上、給付のデータと紐付けはされていないところでございまして、データを紐付けるためには、システム上での特別処理方法を検討して、システムの改修なども必要になると考えられるところです。
12番の所にも書いてありますけれども、そうしたことなどが今後の検討としてあげられるのではないかというように考えております。
○花岡委員 今のことで追加でいいですか。お答えいただきありがとうございました。まず私の理解が正しいのか確認したかったのですが、労災保険の各細目で、労働災害の原因発生状況というのが統計で出ていないのではないかという理解があって、それが正しいかどうかを伺いしたかったのですが。その細目ごとの労働災害の原因発生状況が分からないから、そのかわりに本検討会では労働者死傷病報告に基づく安全衛生統計とか、ほかの統計でその細目に近い分類でこういう事故が起こっていますという資料を御提示いただいたと思うのです。今後将来的にですが、もし細目ごとに労働災害の原因発生状況が分かっていないのだとしたら、今言っていただいた労働者死傷病報告に労働保険の番号を付けることで、そうした細目ごとの事故の状況が正確に把握することができるのか。もしそれも労働者死傷病報告に労働保険番号を付けるだけでは難しい場合、どういうことをすれば細目ごとの正確な労働災害の原因発生状況が把握できるのかをお伺いしたいと思います。
○森戸座長 お願いします。
○労災保険財政数理室長 先生が言われるように、細目ごとの状況については、労働者死傷病報告と紐付けできる既存統計が存在しないことから、細目の区分と日本標準産業分類との対応ということを今回の検討会でも工夫をさせていただいて、その工夫の下で状況を把握したということです。実際に労働保険番号で紐付けしないと、完全には対応しているものをマッチングできないということだと思います。ただ、分析できる労働者死傷病報告の内容ですが、第1回、第2回検討会で日本標準産業分類で対応させた事故の型とか、起因物といったような、そういうデータにとどまっているというように思っています。労働保険番号で紐付けしても、どこまでのデータが取れるかは今後検討も必要だと思いますが、それ以上のデータが取れるようにするためには、現場での手作業、データの手入力も必要になりますので、その辺は、現場での作業量との兼ね合いも考えなければならないということだと思っています。
○花岡委員 ありがとうございます。
○森戸座長 よろしいですか。花岡委員の御指摘というか御意見は、この提言に一応含まれているというように考えて大丈夫ですか。
○花岡委員 はい。多分これ以上詳しく書くのは難しいのかなと思って、ここでとどまっているのかなと思ったのですけれども、これを読んだときに、これからこのデータを具体的にどうできるのかは分からないのですが、議事録に残ると思うので大丈夫かと思います。
○森戸座長 そこは議事録には確かに残りますので、今後何か機会があればと思いますが、ここはこれで大丈夫ということでよろしいですか。
○花岡委員 はい、ありがとうございます。
○森戸座長 ありがとうございます。ほかにもしあれば、御意見御質問をいただきたいと思いますが、ほかの委員の方もいかがでしょうか。
○皆川委員 報告書の19ページになりますが、統合の所の1番から4番で基準というのを出していただいています。こちらの1番は、「類似すると考えられる業種との間に、料率水準の乖離があるもの」という書き方ですが、平成25年の検討会の報告書には、「労災保険率がほぼ同等であること」ということで、ちょっと違う表現になっていて、こちら実際の議論はわりと「ほぼ同等であること」に近い議論をしたのかなと思います。そういったことだということがこの報告書では分からないので、平成25年のほうにそういうことがあって、そういうことを踏まえた議論をしたことが分かるようなまとめ方にしてもいいのかなと思いました。意見です。
○森戸座長 何か事務局から説明があればお願いします。
○労災管理課長 そうですね、これは問題点ということだったので、乖離というように言い直したのですけれども、それは裏返すと「ほぼ同等であること」ではないという意味ですので、おっしゃったような趣旨が分かるような形で、少し分かりやすく書いたほうがいいかもしれないです。乖離という言葉ではなくて、要するに「同等ではない」という書き方でもいいのかもしれないと思います。趣旨としては同じです。
○森戸座長 意図としては別にこれで何かを変えようというのではなくて、同等というのを裏から言ったというつもりであるということで、「25年報告書に照らすと、1番から4番の課題」と書いてありますから、一応そこはそういう意味で書かれているのかと思います。皆川委員は、言葉が変わっているとちょっと気になると、厳密には違うのではないかと。
○皆川委員 そうですね、前回の議論のときもわりとこの料率水準に乖離があるものということだったので、わりと委員の皆さんからも乖離はどのぐらいだったらいいのかという議論になったかなと思います。これがほぼ同等とは言えないという議論だとすると、もともとかなり狭いレンジだなということが、皆さんの共通理解になりやすかったのかなと思いました。
○森戸座長 同等と直すというのも考えなくもありませんが、ここの段落が全部変わってしまうけれども、ほかの所に影響が、全体に、ほかに影響が及び得るかどうかというのはちょっと分からないですけれども、事務局の今の感じだとここは別に変えてもやぶさかではないと考えていますか。
○労災管理課長 意味としては一緒かなと思ってはいるのですけれども。ここは何か表現ぶりの問題かなと思います。この前議論したときもその乖離の幅を確か申し上げたかと思うのですが、それほど大きな乖離幅というのを想定していませんので。
○森戸座長 だから事務局がおっしゃる乖離となっている所を同等という全部裏の表現に直すかどうかという話ですよね。
○労災管理課長 そうです、はい。
○労災保険財政数理室長 そこは(注)のところに書いていると思います。
○森戸座長 (注)にも一応乖離についてはという注意があるのですが。最初に事務局がおっしゃった、皆川委員のその趣旨を入れるとすれば、基本は25年報告書に照らすとというように書いてあるから、何かちょっと補足したらいいですか。
○小西委員 (注1)に書いてあります。
○森戸座長 (注1)の1番。
○小西委員 (注1)の1番の、料率水準の乖離についてはというのがあります。
○森戸座長 基本的には「統合する対象の業種双方の労災保険率が同率であることであり」と、ここで一応説明しているのではないかと。
○小西委員 幅みたいなところも書いてあるかと思います。
○森戸座長 そういうことではありますね。25年報告書では同等となっていたのを乖離とわざわざ言い換えて、(注)で同等と同じことですと言っているから、何でそうなっているのだという話ではあるのですけれど。だから一応、全体としては。
○岡村委員 ここに(注)があるから大体分かると思うのですが、ほぼ同等と言われても、ではどれぐらい乖離すればほぼ同等なのだと、裏の言葉が出てきますので、どっちの表現をとっても同じ意味になってしまうと思うのです。なので、ここの(注)のところがきちんと理解できるように書いてあれば、1番の料率水準の乖離があるもの、あるいは同等とは見られないものと、同じような書きぶりになると思うのです。なのでこちらでもこのままでも大きな問題にはならないとは思います。
○森戸座長 そうですね、「25年報告書に照らすと」とも書いてありますし、(注)も合わせて読めばそんなに違うことは言ってないだろうという感じで読めるかと思いますが、皆川委員いかがですか。これでも一応いけるかなと。
○皆川委員 そうですね、はい、分かりました。
○森戸座長 では、これはこのとおりいきましょう。趣旨が読めるかと思います。ありがとうございました。ほかはいかがでしょう。よろしいですか。もし誤字等があれば、その誤字等の直しで済むものがあれば、それはお任せいただきたいと思いますが、基本的にはこれで御意見もないようですので、特段の大きな修正意見はないということで、この形で報告書として取りまとめをさせていただきたいと思います。最終的なチェックは事務局に任せていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。
ありがとうございます。報告書(案)について皆さんの意見の一致を、これでよろしいという御意見を頂いたということでまとめさせていただきます。では、ちょっと早いですが本日の議論はここまでにさせていただきます。事務局から今後の予定等についてお願いします。
○大臣官房審議官 事務局の審議官の松本でございます。委員の皆様におかれましては、労災保険の業種区分について、専門的見地から5回にわたり熱心に御議論をいただきまして本日、報告書を取りまとめいただきましたこと、誠にありがとうございます。本日取りまとめていただいた報告書につきましては、近日中に今おっしゃいました精査をして体裁を整えた上で、プレスリリースをさせていただくとともに、もう今は3月ですから、来年度31年度に開催する労働政策審議会の労働条件分科会労災保険部会に報告させていただきたいと考えております。報告書の中にはその他区分について「9431医療業」と、それから「9436情報サービス業」の新設というのも、これは留意事項付きということで報告をいただいたところですので、労災保険部会で更に御議論、審議を重ねていただくように私ども事務局としても努力をしてまいりたいと思います。
本日取りまとめいただきまして、本当に御礼を申し上げまして、事務局からの発言とさせていただきます。ありがとうございました。
○森戸座長 ありがとうございました。では、「第5回労災保険の業種区分に係る検討会」は以上とさせていただきます。また今お話がありましたように以上をもちまして本検討会は終了とさせていただきます。
事務局の皆様、本当にいろいろと時間がない中で御努力いただいて、また委員の皆様も御協力いただきありがとうございました。これで終了いたします。お疲れさまでした。
○事務局 ありがとうございました。

(了)

 

 
<照会先>

労働基準局 労災管理課 労災保険財政数理室

(担当)料率係 土屋: 03(5253)1111(内線5454)

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