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2018年12月18日 第4回「労災保険の業種区分に係る検討会」議事録

労働基準局 労災管理課 労災保険財政数理室

○日時

平成30年12月18日(火)9:58~11:28

 

○場所

経済産業省別館227号各省庁共用会議室
(東京都千代田区霞が関1-3-1)

○出席者

委員(五十音順)

岡村 国和 (獨協大学経済学部教授)

片寄 郁夫 (株式会社りそな銀行年金業務部主席数理役(アクチュアリー))

小西 康之 (明治大学法学部教授)

酒井 正      (法政大学経済学部教授)

花岡 智恵 (東洋大学経済学部准教授)

皆川 農弥 (東京海上日動火災保険株式会社企業商品業務部保有企画グループ担当課長(アクチュアリー))

森戸 英幸 (慶應義塾大学大学院法務研究科教授) (座長)
 

事務局

松本審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)、田中労災管理課長、久野労災保険財政数理室長、石原中央職業病認定調査官、平田労災保険財政数理室長補佐

○議題

 (1)「94その他の各種事業」以外の業種について
 (2)報告書骨子(案)について
 (3)その他

○議事


○労災保険財政数理室長補佐 定刻よりも若干早いですが、ただいまから第4回労災保険の業種区分に係る検討会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。報道機関や傍聴の方々におかれましては、写真撮影は以上までとさせていただきます。以後、写真やビデオ撮影、録音については御遠慮ください。本日は亜細亜大学法学部の中益委員からは、所用により御欠席との御連絡を頂いております。
 なお、前回と同様ですが、先生方の座席にありますマイクは、議事録作成用の集音用のマイクとなります。御発言の際は、別途、拡声用のマイクを事務局にてお持ちいたしますので、併せて御利用ください。それでは、座長に検討会の進行をお願いいたします。
○森戸座長 では早速、議事に入ります。議題(1)「94その他の各種事業」以外の業種についてということで、事務局より説明をお願いいたします。
○労災保険財政数理室長 それでは、「94その他の各種事業」以外の業種について、御説明を申し上げます。資料の3ページです。第1回検討会から第3回検討会までは、規模の大きな「94その他の各種事業」について、再編の要否を検討してきたところですが、今回ここでは、「94その他の各種事業」以外の業種について、分割あるいは統合の要否について整理したいと考えています。
 まずは、1番目の業種の分割についてですが、「94その他の各種事業」以外の業種で、保険集団の大きさの観点から、業種分割の検討対象となり得るものとしては、現行54業種のうちで、2番目に大きな保険集団となっている、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」が挙げられます。「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の労災保険適用状況については、表の形で示していますが、平成28年度末時点で、適用労働者数が1,478万人となっています。
 ページが飛んで恐縮ですが、7ページを御覧ください。7ページは、現行54業種の適用事業場数及び適用労働者数の資料です。この資料は、第1回検討会における資料の再掲です。一番大きな保険集団となっておりますのが、一番下の行の「94その他の各種事業」でありまして、適用労働者数が2,098万人となっています。2番目に大きな保険集団となっておりますのが、下から3行目の「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」でして、1,478万人となっています。
 次に8ページを御覧ください。この資料も第1回検討会資料の再掲です。料率の改定経過表ですが、左側の表側の太線で囲んだところが、近年において業種の分割あるいは業種の統合をしたところです。「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」は、下から4行目にあります。第1回検討会で御説明申し上げましたとおり、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」は、平成18年度の労災保険率改定に合わせ、「94その他の各種事業」から分割・新設した業種です。文字が小さくて恐縮ですが、注5を御覧ください。注5に、平成18年4月1日に「通信業、放送業、新聞業又は出版業」と、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」と、「金融業、保険業又は不動産業」を「その他の各種事業」から分離独立させた、と記載しています。「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の料率の改定経過を見てみますと、平成18年4月の業種新設時には5厘でしたが、その後の3年ごとの料率改定の度に、順調に料率が下がってきております。平成27年度改定におきましては据え置きでしたが、それを除いては料率が下がってきておりまして、直近の平成30年度改定におきましても、3.5厘から3厘に料率が引き下げとなっております。
 次に9ページです。この資料も第1回検討会の資料の再掲です。細目の見直しの状況についてです。「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」は、3つの細目からなっております。「9801卸売業・小売業」、「9802飲食店」、「9803宿泊業」の3つの細目からなっておりまして、これら3つの細目についても「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の業種新設に合わせて、平成18年4月に新設した細目です。
 3ページに戻っていただきたいと思います。3ページの一番下のパラグラフのところですが、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」については、以上申し上げましたように、平成18年度の労災保険率改定時に分割・新設した業種であり、また、直近の平成30年度の労災保険率改定におきましても、3.5厘から3厘に料率が引き下げとなっておりまして、事業主の労働災害防止努力が料率に反映されていると考えられる状況です。このような状況を踏まえますと、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」については、直ちに分割が必要とまではいえないと考えられる、と考えています。以上が業種の分割についての整理です。
 続いて4ページですが、2番目の業種統合の可否について御説明申し上げます。業種の統合については、平成25年の「労災保険の事業の種類に係る検討会報告書」において、具体的に考慮すべき要件が整理されています。
 ページが飛んで恐縮ですが、一番後ろの32ページを御覧いただきたいと思います。下側の枠線内が平成25年の検討会の報告書です。第1回検討会における説明と重複してしまいますけれども、業種の区分の再編は平成17年3月25日制定の「労災保険率の設定に関する基本方針」を基本として、具体的には次のことも考慮すべきであるとされ、(2)の業種の区分の統合のところで、業種統合の要件を整理しています。具体的には、丸1統合する対象の業種双方の労災保険率がほぼ同等であること、丸2統合する対象の業種における作業態様が類似していること、丸3関係業界団体等の組織・活動状況を斟酌すること、丸4統合する対象に年間の新規受給者数が1,000人未満の業種区分が含まれていること、丸5統合した業種の区分に係る災害率を経年的に把握・分析すること、が掲げられております。なお、この丸5は、統合した場合の把握・分析についてですので、統合のための要件としては丸1から丸4までの4つとなります。そこで、今回の業種統合についても、丸1から丸4までのメルクマールに沿って検討することとしています。
 一番下のところになお書きがあります。業種の統合について、製造業以外の産業では、業種の区分数が少ないこと、産業の分類内の労災保険率に著しい差があることから、現状では製造業内での業種の区分の再編を図るべきであるとされています。平成25年の検討会における検討において、具体的に業種統合を図る必要があるとされたのは、「食料品製造業」と「たばこ等製造業」です。当時、「食料品製造業」と「たばこ等製造業」は、ともに料率が6厘で同じでしたが、平成27年度の労災保険率改定に合わせて統合されたところです。
 前置きの説明が少し長くなってしまいましたが、4ページに戻っていただければと思います。先ほど御覧いただきましたように、平成25年報告書の(2)の丸4のところに、統合する対象に年間の新規受給者数が1,000人未満の業種区分が含まれていることとございます。これを踏まえまして、年間の新規受給者数、正確には業務災害に係る新規受給者数ですが、新規受給者数が1,000人を下回る業種について、統合の可否を検討することとしたところです。54業種のうち、平成28年度におきまして、業務災害に係る新規受給者数が1,000人を下回る業種は22業種ございまして、具体的にはこの4ページの表に掲げております、「11海面漁業」から、一番下の「81電気、ガス、水道又は熱供給の事業」までの22の業種です。これら22の業種について業種統合の可否について検討していくことになりますが、統合の可否を検討していくに当たりまして、まずはこれら22業種について、統合を検討できそうな単位でグループ化をしてみたところです。グルーピングの結果は、5ページの表のとおりでありまして、13のグループにグループ化をしています。これら13のグループについて、それぞれのグループごとに、平成25年の報告書に照らして検討をしてみますと、いずれのグループについても、4ページの下のところに書いてあります4つの課題、すなわち丸1類似すると考えられる業種との間に料率水準の乖離があるもの、丸2作業態様の観点から類似する業種を見出すことが困難なもの、丸3業界組織の観点から類似する業種を見出すことが困難なもの、丸4類似すると考えられる業種を統合しても新規受給者数が1,000人前後に止まるもの、のいずれか、あるいはそのうちの幾つかの課題がありまして、業種統合の要件には適合していないと考えられます。また、仮に業種統合した場合には、事業主の労働災害防止インセンティブを阻害するおそれがあると考えられます。
 5ページの13のグループについて、1つずつ見てまいりたいと思います。一番上の「11海面漁業」、「12定置網漁業又は海面魚類養殖業」のグループですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離及び丸4の新規受給者数に係る課題があると考えられます。次のグループの、「21金属鉱業、非鉄金属鉱業又は石炭鉱業」、「23石灰石鉱業又はドロマイト鉱業」、「24原油又は天然ガス鉱業」、「25採石業」、「26その他の鉱業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離及び丸4の新規受給者数に係る課題があると考えられます。次の、「31水力発電施設、隧道等新設事業」と「37その他の建設事業」のグループですが、これは「31水力発電施設、隧道等新設事業」を「37その他の建設事業」へ統合することの可否について検討してみたものですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次のグループの、「32道路新設事業」、「33ほ装工事業」、「34鉄道又は軌道新設事業」のグループですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離及び丸4の新規受給者数に係る課題があると考えられます。次の、「32道路新設事業」、「33ほ装工事業」、「34鉄道又は軌道新設事業」、「37その他の建設事業」のグループですが、これは「32道路新設事業」、「33ほ装工事業」、「34鉄道又は軌道新設事業」を、今度は、「37その他の建設事業」へ統合することの可否について検討してみたものですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次のグループの、「45パルプ又は紙製造業」、「44木材又は木製品製造業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次の、「48ガラス又はセメント製造業」、「49その他の窯業又は土石製品製造業」、「62陶磁器製品製造業」、「66コンクリート製造業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離及び丸3の業界組織に係る課題があると考えられます。次の、「51非鉄金属精錬業」、「52金属材料品製造業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次の、「55めつき業」と「54金属製品製造業又は金属加工業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次の、「63洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業」、「54金属製品製造業又は金属加工業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次の、「64貴金属製品、装身具、皮革製品製造業」、「61その他の製造業」のグループですが、これは「64貴金属製品、装身具、皮革製品製造業」を「61その他の製造業」へ統合することの可否について検討したものですけれども、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。次の、「73港湾貨物取扱事業」、「74港湾荷役業」ですが、このグループについては、丸1の料率水準の乖離に係る課題及び丸4の新規受給者数に係る課題があると考えられます。最後の、「81電気、ガス、水道又は熱供給の事業」ですが、これについては作業態様及び業界組織の観点からも、統合を検討できそうな業種が見当たらないというところでして、そういった意味から、丸2の作業態様及び丸3の業界組織に係る課題があると考えられます。
 以上見てきましたとおり、13のグループについては、平成25年の報告書に照らして検討してみますと、いずれのグループについても課題があるところであり、22の業種については、業種統合の要件に適合していないと考えています。以上が、業種の統合についての整理です。議題(1)「94その他の各種事業」以外の業種についての説明は以上となります。
○森戸座長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明について、御意見のある方又は御質問のある方はいらっしゃいますか。「94その他の各種事業」以外の業種についての分割と統合の可否も検討しておくということですが、どなたからでも、いかがですか。
○酒井委員 御説明ありがとうございました。5ページの統合パターンの検討に関して、1点質問、1点コメントがあります。統合パターンの検討に関して、課題点として挙げられる項目が番号で右端に記されているところですが、ほぼ全ての統合パターンに関して、丸1が付いているということで、料率水準に乖離があることがほとんどの理由になっているかと思うのですが、具体的にどれぐらい料率水準が乖離していると、これは統合にふさわしくないことになるのか、その基準がもし大まかでもあるのでしたら教えていただきたい。これが1点目の質問です。
 それから、これはコメントになるのですが、課題丸1は、料率水準に乖離があるということですが、料率水準に乖離があるから何なのかというところが本来の課題ではないかと思うのです。私は、料率水準に乖離があったら、例えば統合した場合に、両グループでアンデンティティーが形成されないで、労働災害抑止のインセンティブも阻害することになりかねないといったところが理由かと思うのですが、乖離があるからどういう問題が生じるのかというところについて、言及があったほうがいいのではないかと思いました。以上です。
○森戸座長 事務局、いかがですか。
○労災保険財政数理室長 1点目ですが、課題丸1は、料率水準の乖離があるということで、どの程度の乖離に収まっていれば、統合検討に際しほぼ同等と評価できるのかという御質問だったと理解しております。先ほど説明の中で出てきましたが、平成25年3月の報告書のメルクマールに沿って統合したというのは、平成27年4月に統合した「食料品製造業」と「たばこ等製造業」の1度で、「食料品製造業」と「たばこ等製造業」は、当時6厘同士であり、同一の料率だったということで、平成27年4月に統合したということがあります。どの程度の乖離に収まっていればいいのかということですが、それは統合対象となる業種の当事者がどのように受け止めるかということにも依存すると思いますので、一概には言えないところもありますが、基本的には同一の料率であると思っております。最大限許容可能な範囲を申し上げれば、それは0.5厘とか1厘が最大限だろうと考えています。基本的には、同一の料率ということだろうと考えております。
 もう1つはコメントということですが、丸1で料率水準に乖離があると、どのような課題が生じるのかということで、先生からは、料率が大きく異なる業種が統合した場合には、アイデンティティーの問題とか労働災害防止のインセンティブが働かなくなるだろうといった趣旨のご指摘があったかと思いますが、そのように考えております。仮に異なる料率水準の業種を統合した場合には、少なくとも1つの業種については、現行の料率水準から大きく変化することになります。これは事業主の労働災害防止努力よりも、業種統合のほうが料率に与える影響が大きくなることを意味しており、そういった意味からも労働災害防止のインセンティブの阻害要因となり得ると考えております。
○森戸座長 ありがとうございました。そうすると、2つ目のなぜ乖離があってはいけないのかというのは、結局、乖離があるところを統合するということは、真ん中かどちらか知らないけれども、いずれにしてもどちらかの業種の料率が変わるから、それは変わってしまうこと自体がよくないからという趣旨ですよね、損をするほうの事業主が出てしまうと、そういう理解でいいのですかね。
 それと1つ目も関連していて、だから基本はほぼ同じ、もしかしたら0.5厘ぐらいの差でないと統合できないと、そうお聞きしたのです。この統合パターンの検討も、確かに18厘、38厘もあるけれども、9厘、11厘でも乖離があることになっているわけだから、もう2厘の差があったら駄目だと。つまり平成25年の報告書の、統合したときにほぼ同等であるであることというのは、非常に狭い、ほぼ同じでないと統合できないという趣旨で、実際、その時もそのように行われたと、そういう理解でよろしいですか。
○労災保険財政数理室長 乖離の幅に関しては、今、先生がおっしゃられたとおりと認識しております。乖離があるところと一緒になるとよろしくないのは何故かということですが、それは統合する業種双方の規模にもよりますが、小さいほうの業種は料率が大きく変わり、大きいほうの業種の料率は少し変わるということがあります。いずれにしても、料率が大きく変わる業種が出てくるものですから、そういたしますと、労働災害防止努力で災害を減らすことによって、料率を下げていこうというインセンティブよりも、統合したほうがより料率に影響を与えるということにもなり、そのようなことは事業主の労働災害防止のインセンティブを働かせるために業種区分を設けていることからすると、よろしくないのではないかと考えている次第です。
○森戸座長 いかがですか。
○酒井委員 御説明は分かりましたが、理屈上は2つの集団の大きさが大きく異なれば、もしかしたら統合しても損しない場合も出るわけですよね、理論上は。統合してみたら、一方が下がっただけで終わったと。それだったら、今の話は適用されないと思いました。だから、乖離とここで言っていることは意外と狭いのだということと、もう少し何か説明があったほうが。要するに、数字で何割離れていればいいとか、アウトとかいう問題ではないのだということは、少し分かるようにしておいたほうがいいのかなと、今、話を伺っていて思いました。
○森戸座長 ありがとうございます。その点はほかによろしいですか。その点あるいはほかの点も含めて、御質問はありますか。
○皆川委員 1点コメントと1点質問です。3ページですが、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」は既に細目を3つ持たれていると思いますので、「94その他の各種事業」の検討の際に、例えば災害の頻度と重篤度という形で、これだけばらけているのですというようなお示しを頂いたと思うのですが、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」についても細目があるということなので、例えば同じようなものを見せていただいて、保険集団としての均一性が、例えば「94その他の各種事業」と「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」でどれぐらい違うのかが、多分、確認という形になるのかもしれませんが、そういったものもあるといいと思いました。こちらはコメントです。
 質問は、4ページの一番下の行の丸4ですが、統合しても新規受給者数が1,000人前後に止まるものとあるのですが、1,000人前後だとしても、1回統合したほうがいいのではないかという考え方もあるのかと思いました。今、新規受給者の小さな業種区分があります。恐らく世の中の動きとして、労働災害防止は、安全のテクノロジーなどが進展してきているので、多分、こういうのは全体として今後も総枠としては減っていくのかと思います。だから、統合はある程度やっていかないと、こういう小さな業種区分がもっと増えてしまうのではないかという気もするのですが、1,000人前後だとやらないというところの理由を教えていただけますか。
○森戸座長 1点目は検討をお願いしたいと思います。今の御質問については、いかがですか。
○労災保険財政数理室長 最初の1点目については、細目ごとのデータ、頻度とか重篤度のデータを用意させていただきたいと思います。
 「94その他の各種事業」と「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の違いですが、8ページの料率の改定経過表を御覧いただきましたが、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」、これは「94その他の各種事業」から平成18年4月に分離独立させたものですが、「94その他の各種事業」は平成21年度の料率改定以後、料率が全然下がっておりません。これは問題があるだろうということで、細目ごとの分析等をいろいろとやってきたということです。一方、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」については、業種設定以来、料率が順調に下がってきているという状況です。
 このように「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」は、料率が順調に下がってきており、今まで大きな問題になっている業種でもないということであり、あえて今、業種を分割するだけの合理性があるか、また、その合理性について、業界側の理解を得ることができるかという観点も踏まえる必要があると思っております。そのようなことを考えますと、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」については、現時点では更に分割する必要はないのではないかと考えています。ご指摘のデータについては、御用意させていただきたいと思います。
 2点目ですが、これは統合のメルクマールの丸4で1,000人要件が出てくるが、統合した結果、1,000人に到達しなくても、人数が増えれば、それは保険数理的な観点からは安定性が向上するのではないか、何故、統合しないのかというご質問だったと思います。新規受給者が1,000人前後に止まる、あるいは1,000人未満に止まる、そういう組合せでありましても、料率水準とか作業態様等に大きな相違がなければ、保険数理的な観点からは統合したほうが安定した保険集団となるのは、御指摘のとおりということだと思っています。
 ただし、統合後の新規受給者数が1,000人前後に止まるところ、あるいはそれに満たないというところであれば、引き続き更なる再統合を検討していく必要があり、関係する業界の当事者からすると、いつまで調整を続ければよいのか分からない、という不透明性をもたらすことになり、それは好ましくないと考えております。また、作業態様や業界組織が異なる集団を統合する場合には、当事者にとっては単なる数合わせの統合のように映る可能性もあり、労働災害防止インセンティブの阻害要因となることが懸念されます。そのようなことから1,000人というところで線引きをしているということです。
○森戸座長 ありがとうございます。皆川委員、今のコメントに対しては何かありますか。
○皆川委員 1点目で、先ほど8ページを参照されて、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」は順調にレートが下がっていますということで、インセンティブが働いているということだったのですが、「94その他の各種事業」などもそういう意味では割と下がっているのかなというところはあって、そこだけがうまくインセンティブだと言えるのかというのは、どうなのかなというのは思いました。以上です。
○森戸座長 ありがとうございます。今、御指摘があったように、1,000人の話は、1,000人にならなくても、少しでも多くしたほうがましだろうというのは、確かにあり得る話です。ただ、室長のお答えにあったように、要はまとめるなら、1,000人を超えるレベルにしていくのだという方針だと理解しないと、小さいほうからなるべく無くしたほうがいいだろうという意見は出ると思うので、そう理解しないといけないですかね。どうせ統合するなら1,000人を超えたレベルまで持っていかないと、後々ややこしいし、統合してすぐ意味があることはできないと考えたほうがいいのでしょうね。だから、伺っていて、4ページの統合の4つの基準は結構ハードルが高いもので、これを完全に満たしていないと動かない、動かすべきではないという基準だと考えないと、これは別に幾らでも統合してもいいのではないか、という考えになり得るから、そういう整理をしたほうがいいのだろうという気がします。表現ぶりについても、今の御指摘のところもそうですが、ただ聞いただけだと、別に1,000人いかなくてもいいではないかという気もしてしまうので、その点が納得できる説明にはしたほうがいいと思って、今聞いていました。
 その点あるいはほかの点についていかがですか。この点は今日ここで集中的にやっておかなくてはいけませんので、ほかにいかがですか。少しややこしいですが、「94その他の各種事業」以外の業種についての分割と統合についてです。統合パターンの検討は、いろいろパターンを出していただいているのですが、例えば私が今思ったのは、目に付いただけなのですが、「32道路新設事業」、「33ほ装工事業」、「34鉄道又は軌道新設事業」の3つ、その下もあるのですが、鉄道は違うかと思うけれども、道路新設とほ装工事は似たようなものだという気もして、その2つだけの統合パターンとかの検討をしていないのは、何か理由はありますか。
○労災保険財政数理室長 もう少しグループ化を細かくして、先生が言われたように、「32道路新設事業」と「33ほ装工事業」の2つをグループにして統合を検討することも考えられると思います。その場合には、丸1の料率水準の乖離に係る課題があると考えられます。
 もう1つ、「33ほ装工事業」と「34鉄道又は軌道新設事業」の統合を検討するということもあろうかと思いますが、この場合はほ装工事と鉄道・軌道新設ということで、作業態様も異なるだろうと。作業態様が異なれば、労働災害の発生状況も異なるだろうということで、そうした課題が出てくるだろうと思っております。
 このグループ化ですが、3つ、4つのグループについては、それを細分化したグループでの検討も可能であると思いますが、いずれにしても丸1~丸4までの課題のいずれか、あるいはそのうちの複数個の課題が挙げられると考えております。
○森戸座長 表の作り方はお任せしますが、これが全部のパターンを網羅していないのだとすると、今みたいにこれとこれはどうなのだとか言えるから、例えば1,000人を超えるパターンしか出さないとか、そういう整理でもいいかと思って今見ていました。それはお任せしますが、御検討いただければと思います。
○片寄委員 今のちょうど「32道路新設事業」、「33ほ装工事業」、「34鉄道又は軌道新設事業」の話です。この検討会は、あくまでもこういう形で、今、分割や統合の話をしているのですが、それと料率はこの後決まるのですが、では、たまたまこの後料率を計算してみたら、「32道路新設事業」、「33ほ装工事業」、「34鉄道又は軌道新設事業」は同一になったと。現在11厘と9厘ですが、11厘、11厘、11厘になったら、逆に言えば丸1の要件が外れますので、そういう条件付きで、もしかしたら統合を考えることはあり得るのでしょうか。
○森戸座長 いかがですか。先ほどの最初の御質問にも少し関わるかと思うのですが。11厘になることもあるし、もしかしたら9厘になって、みんな下がってよかったということもあるかもしれないですよね。
○労災管理課長 料率の改定の検討をするのが平成32年度になりますので、随分先になりますが、その時になってみて、いろいろな事情が変われば、もしかすると、今回御議論いただかなかったパターンで見直すこともないとは言えないとは思いますが、すぐにそういう状況になるのかという気はしないでもないです。ですので、今回おまとめいただいたものが唯一無二ということには、多分ならないだろうと思います。そこは1年半ぐらいありますが、そこでもし劇的に何か変化があることになれば、別の統合なり分割なりを検討しなくてはいけないこともあり得るのかと思っています。
○森戸座長 そうすると、今のは、こういう検討会は検討会でやっているけれども、数字を出してみたら、場合によっては料率にものすごい差がついていたりしたら、そのときは業種区分をどうするかという話は、統合、分割も含めて、別途、検討することも考えられないわけではないということですか。
○労災管理課長 そういう可能性はゼロではないと思います。
○森戸座長 分かりました。ありがとうございます。片寄委員、よろしいですか。
○片寄委員 はい。
○森戸座長 ほかにいかがですか。この際、この点に関してはここでご質問いただければと思います。
○岡村委員 確認になりますが、4ページの丸1~丸4について、丸1の場合には、料率水準がほぼ同等ということで、許容範囲としては0.5~1厘程度と理解してよろしいかというのが1点。それから、丸4は、これは丸3の派生ですね。類似するとしても、1,000人前後に止まるものと。この場合は、一般的には母集団が大きいほうがいいという考え方がありますので、1,000人前後というところに括るもう少し分かりやすい説明をどこかに付けていただければ助かります。以上です。
○森戸座長 いかがですか。
○労災保険財政数理室長 1点目については、先ほど申し上げましたとおりであり、統合対象となる業種の当事者がどのように受け止めるかにも依存すると思いますが、0.5厘、1厘という幅が許容可能な範囲、目安だろうと思っています。
 それから、新規受給者の1,000人要件ですが、これは保険数理の信頼性理論を労災保険の保険数理に援用したものです。基本的な考え方を申し上げますと、災害の発生状況が、母集団数をNとして、災害の発生確率をpとした二項分布B(N,p)に従うと仮定した場合、新規受給者数は二項分布の平均のNpとなり、そのばらつきは標準偏差でルートNp(1-p)という形になります。実際に観測される新規受給者数は、偶然の変動によってばらつきを伴うことが想定されますが、そのばらつきはこの標準偏差で評価できると考えられます。新規受給者数のNpが大きければ、それに対する標準偏差が相対的に小さくなりますので、実際に観測される新規受給者数の揺らぎは小さいと考えられます。一方、反対に新規受給者数のNpが小さければ、それに対する標準偏差が相対的に大きくなりますから、実際に観測される新規受給者数が偶然の変動で大きく揺らいでいる可能性もあります。この新規受給者数の閾値の目安として、Np=1,000、新規受給者数が1,000人というものを信頼性理論を援用して採用しているということです。
○労災保険財政数理室長補佐 少し補足します。具体的な数字でイメージを持ってもらいますと、例えば新規受給者数がもっと少なく100人だったことをイメージしてもらいますと、そのルート、平方根は10です。10の2乗が100。統計的には、新規受給者数に対しておおむね平方根ぐらいがばらつきの目安になりますので、新規受給者数が100人というときには、その100という観測結果が10%程度揺らいでいる可能性があることになります。ところが、一方、新規受給者数が1,000人の場合は、そのルートを取ると大体31強。だから、1,000人に対して、せいぜい3%ぐらいの揺らぎになるということで、この揺らぎをできるだけ小さくできるような、より大きな保険集団、もちろん母集団、適用労働者数が大きいことも必要ですが、併せて実際に観測されている事故の件数も一定数大きな値になっていないと、揺らぎが小さいところまで統計的に推定することが難しくなります。ですので、新規受給者数として一定数以上、それを過去の検討会において1,000人という閾値を設けたという考え方になります。今回の資料には明示的に書いておりませんので、統計的な考え方についてもきちんと分かりやすく記載したいと思います。
○森戸座長 ありがとうございます。岡村委員、よろしいですか。私も今ちょうど聞こうと思っていたことを答えていただいたのですが、つまり、保険集団が大きくなくてはいけないというのは分かるのだけれども、なぜ集団の数ではなくて受給者数なのかということも聞いていて思っていたのですが、今、御説明いただいて、大体の趣旨はつかんだつもりです。
 今おっしゃったように、この4つの基準は、平成25年の報告書にも検討がちゃんとあって、それと一貫したことが書いてあると思うのです。どうまとめるかはもちろんお任せしますが、ちゃんと一定の根拠なりがあってこういうことになっているのですということは、ここでも確認しておく必要があるし、まとめるときも必要に応じて分かりやすく整理していただければと思います。
 「94その他の各種事業」以外の分割・統合に関してということですが、ほかはいかがですか。ほかの委員の方はよろしいですか。ありがとうございます。いろいろ重要な御指摘も頂き、事務局に補足でお願いしたい点も少し出てきたように思います。確認ですが、「94その他の各種事業」以外の業種で、「98卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」の分割をすべきか、逆に業種を統合すべきかは、私の聞いている限りでは、分割は最初にありましたが、統合も、これは乖離というのも、かなり料率が同じでなくてはいけない。1,000人も、やはり1,000人になる統合でないと意味がないというかなり厳しい基準で考えていくと、今この中でどうしても、これは絶対統合しないとまずいでしょうというところまでは出てきていないと、そういう整理がされている。
 基本的には、先ほど課長がおっしゃったように、もちろん将来的に何かあれば分からないのだけれども、今のところ、ここをどうしても統合する必要があるのではないか、あるいはここを絶対分割しなくてはいけないのではないかというところまではいっていないと理解して聞いていましたが、全体的な方向としてはよろしいですか。今日出た御質問等に関しては、事務局にもう少し補足で確認なり調べるなりしていただき、補足説明をいただく必要があると思いますが、それでよろしいですか。では、そういう方向で、あとは事務局で整理していただいて、次の検討会で報告いただければと思います。
 では、次の議題にいきます。次は報告書骨子(案)ですが、今新しく出た話はもちろん反映していない点もあるかもしれませんが、その点はまた後で修正するとして、一応次の議題にいきます。次の議題は、報告書骨子(案)ということで、説明をよろしくお願いします。
○労災管理課長 それでは、資料2を用いて御説明いたします。ただいま座長からお話がありましたように、第1回から第3回までの検討会のまとめをしたものですので、今日、御意見等がありましたものについては、また反映をさせていただきます。報告書の骨子ということですので、あくまでも今回はフレームのお示しをするということです。
 それでは、資料2の横向きの12ページです。骨子として最初に前提が書いてあります。これは労災保険率、業種区分の現状を書いてあります。労災保険率については、3年ごとに改定をすることになっております。次回の改定は平成33年度です。それに合わせて業種区分を検討するのが今回の前提です。事業主の労働災害防止インセンティブを有効に機能させるために、業種別に労災保険率の設定をしております。54に分かれており、更に、その中で細目が161に分かれているということです。
 業種区分の設定・見直しの考え方は、先ほどありましたように、平成17年の基本方針、平成25年の検討会の報告書に基づいて考えていくこととしております。基本方針においては、先ほど御覧いただきましたように、作業態様や災害の種類、災害率、業界団体がどうなっているか、保険集団の規模といったようなものを勘案すると、それから、平成25年の報告書にありますように、当該団体が労働災害防止活動を期待できるか、あるいは、実際に計算して、労災保険率が労働災害防止インセンティブを事業主に換起させるのかといったことを最終的には確認しなければいけないことになっております。
 今回、見直しをこの検討会でお願いした背景としては、業種区分を随時見直すのは当然のことですが、従前からの課題であります54の業種中の「94その他の各種事業」というところに、いろいろなものが入り込んでおります。今は全体の3割以上ということですが、これは適用労働者数や、あるいは事業場数どちらもですが、3割以上ここが占めていることになっております。果たして、これで労働災害防止インセンティブが機能するのかというところは問題になっているかと思います。
今回、見直しの対象として具体的にお願いしておりますのが、「その他の各種事業」のうち、集団として規模の大きいもの、あるいは災害率、これは発生頻度や重篤度といったようなものですが、これに特徴が見られる、細目として7つ選び出したということです。災害率や重篤度、集団としての規模がどれぐらいかということについては、後ろの資料にあります。例えば、22ページに図示したものがありますが、第1回の資料でお出ししたものに少しだけ加工してあります。適用労働者数が多いところなどに色が塗ってありますが、これで見ますと、重篤度が高いところと発生率の高いところ、それから数が多いところを7つ選び出したということです。
 12ページに戻り、その7つの事業として細目でいきますと、「教育業」、「医療業」、「社会福祉又は介護事業」、「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」、そして「情報サービス業」と、この7つを選び出したということです。これらについて、客観的なデータをお示しした上で、業界団体についてヒアリングをしました。ヒアリング結果については第2回、第3回でお話をしたとおりです。
 各細目の状況です。骨子ですので、大分、端折って書いておりますが、実際の報告書を作るときには、客観的な数字であるとか、ヒアリングの結果把握した情報についてもっと盛り込みたいと思っております。各細目の状況について、まず、「教育業」です。これは学校教育とそれ以外の教育も全部混ざっているものですが、やはり、その違いがあるのではないかと、業務内容や学習指導以外の業務量は異なるということで、災害発生状況に相違が生じている可能性があるのではないかということです。
 「医療業」については、医師や看護師等を中心に構成されているものです。事業主団体、職能団体いずれにおいても過重労働等の労働環境に対する課題の認識が共通化している状況です。
 「社会福祉又は介護事業」は、御案内のように訪問介護や施設介護、通所の介護といったものが全部混ざっているものです。利用者についても様々で、利用者の年齢階層やサービス提供場所の相違といったものが、作業態様や災害発生状況にも影響を与えている可能性があるのではないかと思います。福祉サービスの種類ごとにも業界団体が多数存在している状況になっております。
 「幼稚園」については、これは簡単に書いてありますが、担任制をとっている、あくまでも学校教育の一貫ということで、このような担任制をとっているということです。業態は似ているかもしれませんが、「保育所」においては、そのような状況ではないということです。開所の時間も長く、11時間以上の開所を前提としているような所もあるということです。「認定こども園」は、幼稚園と保育所の機能を併せ持つ所ですが、これは新しくできる所よりも、むしろ既存の幼稚園や保育所からの移行が多いというところで、そういう意味ではいろいろな業態の所が混ざっているのではないかという状況です。
 「情報サービス業」については、第3回の検討会でも資料をお出ししておりますが、労働災害の中で精神障害に係るものの割合が、ほかのものに比べると高いのではないかということです。長時間労働対策など、労働災害防止対策が業界共通の課題として認識されている状況があるということです。
 先生方からの御意見を13ページに書いてありますが、これは全体に係るもの、中長期的課題に係るものや、あるいは個別の業種区分に係るもの、様々なものがあります。羅列しているだけになっておりますので、実際の報告書を構成するときには、中長期的なものや今後の課題については、順番的には最後のほうに回したいと思っておりますが、今回は骨子ということで、主な先生方の御意見について列挙しております。30~31ページに、もう少し詳しいものがありますが、あまり大きな違いはないですが、もう少し詳しいものを掲載しております。
 最後は「各細目の評価」です。「その他の各種事業」をどう再編するかというところですが、まず、「教育業」についてです。適用労働者数が160万人以上ということで、かなり大きな集団だということです。細目内には学校教育だけでなく、学習塾などの、学校以外の教育といったものも含まれています。「教育業」の中でもいろいろ分かれているということです。そういうことで、災害状況等に相違が生じている可能性、要するに、保険集団として均質ではない可能性があるのではないかなどの御意見がいろいろとあったかと思いますが、分析のためにそれぞれの集団のデータを取得できるように、取り出すのではなく、細目を定めたほうがいいのではないかと、分割して細目としてデータを収集したほうがいいのではないかという評価ができるかと思います。
 「医療業」については、これも非常に大きな集団ということで、適用労働者数が330万人というところです。先ほど申し上げましたように、労働環境に対する業界としての認識も共通化しているということですし、保険集団としての安定性や均質性は認められるのではないかということです。これは業種として区分できる可能性があるのではないかということで、このような評価としております。
 「社会福祉又は介護事業」は、これは先ほど申し上げましたように、いろいろな業態のものが混ざっているということで、均質性はないという可能性があると、分析のために、これは先ほどの「教育業」と同じですが、もう少し分けて集団のデータを取得できるようにする必要があるのではないかという評価を書いております。
 「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」と3つ一緒にしておりますが、業態的には似ているところがあるかもしれませんが、今、「認定こども園」に「幼稚園」や「保育所」がシフトしつつあるということで、3つの細目の境界が段々薄れつつある状況です。ただ、適用労働者数は、先ほどの「教育業」や「医療業」、あるいは「社会福祉又は介護事業」に比べると、かなり少ない状況になっております。これもまた、様々な少子化対策の進展等々により、集団の大きさも流動的な状況にあります。業界のある意味、再編が行われていると、あるいは集団としての規模も流動的なところもありますので、このまま取り出すとか統合するのは少し待ったほうがいいのではないかということで評価しております。
 「情報サービス業」は、適用労働者数が非常に多いということと、先ほど申し上げましたように、発生している災害の種類に特徴もあると、それを業界も共通の課題として認識していることもあります。保険集団としての安定性や均質性は一定程度認められるのではないかと思いますので、これもまた、業種として取り出してもいいのではないかと、そのような可能性はあるのではないかということで評価できればと思っております。
 「その他の各種事業」以外のものについては、今回、御議論いただきましたので、それについても、この評価のところに付け足していきたいと思っております。簡単ではありますが、報告書骨子(案)については以上です。よろしくお願いいたします。
○森戸座長 ありがとうございます。事務局より、報告書骨子(案)について説明をいただきました。第3回までの議論も踏まえて、この案について御意見を頂戴したいと思います。事務局の御説明について何か御質問がありましたら、併せてお願いしたいと思います。いかがでしょうか。説明の中身自体についての御質問でもいいですし、骨子のまとめ方なりに関してもかまわないので、御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
 今日議論した「94その他の各種事業」以外の話の位置づけですが、見直しの対象として、「94その他の各種事業」の中をどうするかという話と、今日議論した話と、そもそもこの検討会として、優劣は別にないのですか。
○労災管理課長 優劣はないです。
○森戸座長 優劣はないけれども、プライオリティーというか、「94その他の各種事業」の話がメインかと理解していたので。今日の話も同様に、もし統合なり分割が必要ならやるべきだとか、同じレベルで検討すると、そういうのは併せてやるという理解ですか。
○労災管理課長 明確に「その他の各種事業」を分割するものと今日の話題と、プライオリティーがついているわけではないのですが、そういう意味では、最初に御議論を3回というか2.5回いただいている「94その他の各種事業」の分割のほうは、ややメインなのかと思います。ただ、報告書で並べるときには、1番目には、多分、そちらが上に来るのだと思いますが、2番目として、今日の御議論になると思います。それほどの優劣はつかないと思います。
○森戸座長 優劣と言いましたが、ただ、ヒアリングとかをきっちりやったのは前半だけなわけだから、やはり事実上、そこはまとめ方にもよります。だから、いずれにしても、骨子には今日の分も入れた上でまとまるのですから、そういう意味ではこの骨子はまだ全体ではないわけですね。
○労災管理課長 そうです。
○森戸座長 だから、入れ方の点において、前半に重点的に検討したのは事実だから、バランス的にはどうしても前半に重点が置かれるのでしょうが、別に今日の議論がついで、という話ではないわけですね。
○労災管理課長 はい。
○森戸座長 それはよく分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。まとめ方等について。
○小西委員 この報告書骨子(案)の最初、前提というところですが、平成25年3月の「労災保険の事業の種類に係る検討会報告書」の中身として、括弧の中に2つのことが書いてあるかと思います。今日お配りいただいた資料の32ページによると、業種の区分の分離に対応する2つのことが書いてあって、統合に関わる事柄がここには反映されていないようにも読めるのですが、この辺りはどうでしょうか。
○労災管理課長 おっしゃるとおりでして、これは骨子で、今回メインで御議論いただいたところを書かせていただいたのですが、おっしゃるように、分離のほうと統合のほうと両方ありますので、実際に報告書にするときには当然それも書かせていただきます。
○森戸座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。これは、基本的には評価というところである程度、明確に分離しろとか統合しろとかは言わないけれども、一応こういう、集団データを取得できるようにする必要があるとか、安定性、均質性が認められるということを言っています。実際に報告書が出てからの書きぶりですが、まとめのときは、だから分離しろとか、そういうことまでは言わない報告書だという感じですか。そこはまた正式に別途決める話だから、検討会としてはここの評価に書いてあるぐらいの表現で留まるという理解でいいですか。それは報告書を作るときに決まるのですが。
○労災管理課長 これは御議論いただいた結果ですので。特に語尾のところをどういうふうにするかはまた御議論いただくことになろうとは思いますが、この検討会で御議論いただいた結果については審議会で再度御議論いただくことになりますので、そういう意味では、最終決定ということではないのですが、ただ、おまとめいただくときにどのような表現にするかは、今後、年明けになりますが、報告書をまとめるときに御意見をいただきます。
○森戸座長 だから、書きぶりとかに関しても、もちろんここで決める話ではないのだけれども、御意見をいただければと思います。とはいえ、データを取得できるようにする必要があるというのは、それは細目があったほうがいいという話だし、均質性、安定性があるのは、もちろんそれらは分離し得るという前提ではあるのですが、それとの関連で、「幼稚園」、「保育所」、「認定こども園」はどう捉えたらいいのですか。状況は今伺ったとおりで分かったのですが、3つの境界が薄れつつある、集団の大きさ、流動的だというのは、様子を見ましょうみたいな感じですか。
○労災管理課長 おっしゃるとおりです。
○森戸座長 あまり明確な方向性があるわけでもなく、また、流動性もいろいろある中で、変化も起きそうだからという分析をしたという感じですか。
○労災管理課長 はい。そういうことです。
○森戸座長 分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○酒井委員 骨子(案)に関して、既に13ページの委員指摘事項の中でもたくさん書かれていることですが、労災に関するデータを整理して、蓄積を図るべきという意見は強調してし過ぎることはないかと思いますので、私のほうからも改めて要望しておきたいと思います。これも既に書かれていますが、特に新たな細目を立ててデータを蓄積するという側面も重要ですし、加えて、既にある統計間を統合して、連携させて、紐付けるような形でデータを活用することも必要ではないかと思います。それが1点です。
 あともう1点あります。最終的に報告書をまとめるに当たり、今回いろいろと丁寧にヒアリングをいただいたので、そういうところから得られた知見を何らか、今後につなげ得るような形にできればいいのではないかと思います。というのも、こういう業種区分は今後も定期的に検討していかなければいけないことだと思いますので、何かしらつなげられればいいと思います。その点で言いますと、前回の報告書の方針にのっとって、今後も業種区分を検討していくことに関しては何ら異論はないのですが、今後の業種区分を考えていく上で、こういう時代にあって、それだけで十分なのかというところもある気がします。例えば、昨今の労働市場の大きな変化としては、高齢就業者の増加とか、あるいは、女性の非正規雇用の増加といったことが挙げられるかと思います。例えば、あくまで仮の話ですが、そういったように、高齢就業者を増やした、あるいは、女性の非正規雇用を増やしたというような業種で、労災が著しく増えてしまったということが生じたときに、そこの業種だけを分離することが、昨今の人手不足あるいは政策的な動向との整合性を考えて、果たして妥当なのかということもあるかと思います。ですから、今後、配慮していかなければいけないのは、労災の増加理由がどういうことであるかということもかなり重要になってくる気がします。そういうこともデータの蓄積によって分かってくるかもしれません。
 今、私が申し上げたことは、今回のヒアリングについて当てはまることではないのですが、そういったことも配慮していくべきかと感じました。最終的な報告書のまとめ方ということで、感想として感じたことを述べさせていただきました。以上です。
○森戸座長 ありがとうございます。非常に貴重な御指摘で、データの話は既にこの検討会でもいろいろ議論しましたし、こちらのデータとそちらのデータは違うとか、微妙にずれているとかいうのは意外とあったので、そういう指摘も是非していただくべきだし、最後におっしゃったような点も、私も同じようなことを思います。この検討会では最終的に、この集団はこうで、だから分離とか統合の方向ですねということでいいのでしょうが、せっかくみんなで集まって議論したわけですから、委員指摘事項として、若しくはそれ以外の形でもいいと思うので、報告書に、将来に向けてこういう問題点があるのではないか、データにかかわらず、こういうことは改善していったらいいのではないかということがあれば、それは何らかの形で、こういう意見があったということは報告書に入れられると思うので、そういう有用なことは是非入れていく方向でお願いしたいと思います。
 委員からの御指摘がありましたが、産業構造なり働き方の変化のスピードはどんどん速くなっていますので、業種の話も、今後、それこそ状況がどんどん変わって、また見直さなければ、という話は常に出てくる可能性があるし、そもそもこういう区分でいいのかとか、より大きな話にもつながると思うので、だから、将来的にどういう基準にしていくか、どのようにこの問題を考えたらいいのか、今後考える上でも指標になるような話がきっとあると思うので、そういうことは報告書にも入れていただけたらいいと思いますし、実際に報告書(案)が出たときに、皆さんからも、是非こういうことを入れたほうがいいのではないかということをいただければ、多分、そんなに違和感無く入れられると思うので、是非今のような御意見をいただければと思います。
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。報告書のまとめ方でもよろしいですし、内容的な点で、こういうことを入れてくれと、それは後でもお伺いできますが、まとめ方等で、全体の大枠ですね。これに今日の分が入りますが、全体的な骨子としては、こういうことでいいかどうかを重点的にお聞きしたいと思います。
○花岡委員 13ページの、各細目の評価のところで質問させていただきます。「9425教育業」と「9432社会福祉又は介護事業」について、「それぞれの集団のデータを取得できるようにする必要がある」と書いていただいています。これは、平成25年3月21日の報告書に、また、基本方針にあるように、日本標準産業分類に基づいて、データを取得するために細目を立てることだと理解しているのですが、そのデータの取り方は日本標準産業分類で考えていらっしゃる、という理解でいいのかと質問させていただきたいのです。これが1点です。
 もう1点ですけれども、「社会福祉又は介護事業」で、委員指摘事項にもあるとおり、特に高齢者介護について、施設系と、個人宅をサービスの提供場所とする訪問介護について、作業態様が異なるということで、結果的に労働災害の種類が異なるという特徴を第3回の検討会で検討いただいたと思います。そのため、もし細目を立ててデータを取るときに、27ページに日本標準産業分類の表を付けていただいているのですけれども、日本標準産業分類の「854老人福祉・介護事業」だと、この中で施設系と訪問系が一緒くたになってしまっているので、訪問介護だけでもかなりの適用労働者数があったと思いますので、訪問介護は別に見ていただければと思います。以上です。
○森戸座長 事務局、いかがでしょうか。
○労災管理課長 1番目の御質問なのですけれども、「9425教育業」と「9432社会福祉又は介護事業」を細目に分けるとき、日本標準産業分類で分けるかということですが、もちろん、参考にさせていただくことになると思います。このとおりに分けるかどうかはまだ全然検討していないのですが、何もないところから分けることはありませんので、やはりそこは参考にさせていただくことになろうかと思います。2番目の御意見については我々もまだ全然検討していないのですが、検討する際に参考にさせていただければと思います。
○森戸座長 よろしいですか。いずれにしても、ここの検討会で、その場合はこういう分類にしろとまでは言えないと思いますが、ただ、そういう御意見があったことは、もちろん今日の議事録には残ります。御意見があったことは、報告書でも可能な範囲で入れられると思うので、それはまた御検討いただければと思います。
 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。報告書骨子(案)に関しての御意見ですが、よろしいですか。もちろん、実際に報告書(案)が出てくれば、それはまたいろいろ、表現ぶり等で意見は当然あると思うので、それをもう一回確認いただかなければいけません。大きなまとめ方として、こういう形で、加えて、今日の部分も入りますが、大体こういう感じで、事務局にお願いしてまとめてもらってよろしいですか。とはいえ、書いてみたら大変だというのがよくある話で、書いたものが出てきたらまたいろいろと意見が出ると思いますので、これで終わりではないのですが、事務局はこれからいろいろと大変かと思いますが、大枠としては一応こういうことで、今日の議論も踏まえて報告書(案)をまとめていただく方向でよろしいですか。はい。それでは事務局のほう、ここからは大変ですが、よろしくお願いいたします。
 では、骨子(案)に今日の部分も入れるということで一応御了解いただいたので、議論としては今日はここまでにさせていただければと思います。今後の予定も重要かと思いますので、事務局のほうから御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○労災保険財政数理室長補佐 これまで御議論いただいた内容を踏まえまして、報告書(案)を作成し、次回検討会において御議論いただきたいと思います。また、本日いただいた御指摘部分、骨子(案)についてもそうですし、統合、分割についていただいた御指摘もそうですが、本日いただいた御指摘を報告書(案)の中でどう反映させているかも分かる形で作成したいと思います。次回、第5回の日程につきましては、後日、改めて事務局より連絡を差し上げたいと思います。
○森戸座長 ありがとうございます。今後の日程調整ですが、次の5回目は報告書(案)が出てくるイメージということですね。
○労災保険財政数理室長補佐 はい。
○森戸座長 いずれにしても年度内に報告書をまとめるわけですよね。
○労災保険財政数理室長補佐 はい。年度内に改めてお集まりいただきたいと考えております。
○森戸座長 ですので、事務局が一番大変なのですが、今日の意見と議論を踏まえて、よろしくお願いいたします。では、そういうスケジュールということで伺いました。今日は第4回になりますが、「労災保険の業種区分に係る検討会」は以上とさせていただきます。
 

(了)


(注)丸付き数字は機種依存文字であるため、閲覧環境によって正しく表示されないことがございますので、配付資料の中の丸付き数字に言及した箇所においては、便宜的に「丸1」などと表記しています。

<照会先>

労働基準局 労災管理課 労災保険財政数理室

(担当)料率係長 北原: 03(5253)1111(内線5454)

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