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第15回厚生科学審議会結核部会 議事録
日時
令和8年3月16日(月)15:00~17:00
場所
中央合同庁舎第5号館 専用第22~24会議室
議題
(1)都道府県等における病原体サーベイランスについて
(2)感染症法に基づく結核に係る健康診断の方法の一部改正(案)について
(3)結核ハイリスクグループの整理を踏まえた結核対策の強化について
(2)感染症法に基づく結核に係る健康診断の方法の一部改正(案)について
(3)結核ハイリスクグループの整理を踏まえた結核対策の強化について
議事
○小谷結核対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまから、第15回「厚生科学審議会結核部会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
私、本日の議事進行を務めさせていただきます感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願い申し上げます。
本日の議事は公開となります。議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御協力と御理解をお願いいたします。
また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
本日はウェブ会議で開催することとしております。まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順でお願いいたします。
阿戸委員。
○阿戸委員 阿戸でございます。どうぞよろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
大角委員。
○大角委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
木添委員。
○木添委員 木添です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
慶長委員。
○慶長委員 慶長です。本日もよろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
佐々木委員。
○佐々木委員 申し訳ございません。今、ちょっとビデオの調子が悪いのですが、出席しております。ありがとうございます。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
釣永委員。
○釣永委員 釣永です。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
劔委員。
○劔委員 劔です。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
早川委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
藤田委員。
○藤田委員 藤田です。どうぞよろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
由藤委員。
○由藤委員 よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
和田委員。
○和田委員 和田です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
なお、笹本委員から遅れて御参加との連絡、三﨑委員から御欠席の連絡をいただいております。
本日は参考人として、神戸市健康局保健所部長(感染症対策・結核担当)の藤山理世様、大阪市保健所感染症対策課保健所医務主幹兼淀川区役所医務主幹の小向潤様の御参加をいただいております。
藤山様、よろしくお願いいたします。
○藤山参考人 藤山です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
小向様、よろしくお願いいたします。
○小向参考人 小向です。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
以上、現在、委員13名のうち11名の御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第、委員名簿、資料1から3になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は慶長部会長にお願いいたします。
○慶長部会長 改めまして、結核研究所の慶長です。それでは、本日の結核部会もよろしくお願いいたします。
議事に入りたいと思います。本日の議題(1)ですが、「都道府県等における病原体サーベイランスについて」ということで、資料1について事務局から御説明のほどお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 それでは、資料1について御説明させていただきます。
1枚目をおめくりください。都道府県等における病原体サーベイランスの現状についてです。現状におきましては、結核病原体サーベイランスは、積極的疫学調査の一環として都道府県知事又は厚生労働大臣によって行われることとされております。この内容については、現行の予防指針の第一の原因の究明の中でも記載されているところでございます。
次の1枚おめくりください。病原体サーベイランス(菌株収集)についての現状になります。こちらは菌株収集に関する自治体アンケートを踏まえた現状という形でまとめさせていただいております。
患者から採取された検体は、医療機関又は民間検査機関において培養検査を行い、結核菌が培養陽性となった際には都道府県等が収集・保存することとなっております。
都道府県等は、薬剤感受性検査やゲノム検査等の結果を保健所又は地方衛生研究所に集約し、接触者健診等における感染拡大規模の正確な把握、その公衆衛生的な影響の大きさなどの見積もりをしているところでございます。
しかし、都道府県等においては、域内培養陽性検体について、ほぼ全例、80%以上を収集できている例もある一方で、0%、全く収集を行っていない例もあります。こちら、下の円グラフはその157の都道府県等のデータでございますが、80%以上を収集しているという都道府県等が57、一方で、0%というところが26というふうに上がってきております。
こちらの実態についてアンケートの中身を確認しております。次のページ、御覧ください。アンケートのまとめとしましては、菌株収集が十分実施できない理由として、「人員・設備・収集体制の整備がされていない」、「菌株が外注先の民間検査機関や医療機関で検査後破棄されている」などが挙げられております。
また、この中には、特に患者が死亡した事例では、医療機関や民間検査機関で菌株が破棄されやすい現状があるという意見が出ております。
それ以外にも、菌株収集に関する目的の共有とか依頼方法、容器などの平時からの連携が不十分なため、適切な収集に至らない場合があるという形でコメントをいただいており、下のほうには、都道府県等単位での菌株及び情報共有のフロー図が描かれておりますが、それぞれのポイントにおいて課題があるということが分かってきているところでございます。
1枚おめくりください。今は菌株収集の点でございましたが、その中でも特に多剤耐性結核の薬剤感受性について、まとめさせていただいております。
イソニアジド、リファンピシンの両剤に耐性を有する結核菌を多剤耐性結核菌(MDR-TB)としており、こちらについては、長期間かつ専門的な治療を要するというふうにされております。
令和6年の我が国の多剤耐性結核の患者数は45名となっております。多剤耐性率は0.7%でした。これを日本出生者及び外国出生者別で見てみると、日本出生者は23名で、日本出生者の培養陽性例全体の0.44%でした。一方で、同様に国内における外国出生者の多剤耐性結核率は1.96%でした。減少傾向ではあるものの、依然として日本出生者と比して高い多剤耐性結核率を示していることも分かります。
次のページおめくりください。都道府県における薬剤感受性検査の現状でございますが、医療機関または民間検査機関において培養検査を行った際、基本的には培養陽性となった際には、原則薬剤感受性検査が同一機関で引き続き実施されるものと認識しております。その薬剤感受性検査を含めた検査結果というのは、菌株と同様に、都道府県等からの依頼に基づき、原則医療機関から報告される形になると考えております。
ただ一方で、薬剤感受性検査を把握していない自治体が21.7%存在することもございます。この理由としては、先ほどの菌株とも似たような部分がございますが、「患者が死亡した事例において当該医療機関内での薬剤感受性検査が中止された」あるいは「保健所から依頼があっても医療機関から検査結果が共有されない」などの課題が挙げられております。
下にありますのが薬剤感受性検査結果等の共有に着目したフロー図という形になっております。いずれも基本的には医療機関から保健所への回答という形になりますが、その利用・実態等について、十分な報告がなかなか得られていない自治体もまだあるということが、このデータからも分かるかと思います。
次の資料からは、神戸市様のほうから御提供いただいた資料になりますが、中身の菌株及び薬剤感受性検査の結果等についての詳細な部分は、この後、神戸市様から御報告いただきたいと思っておりますので、少し飛ばさせていただきます。
ページ飛びまして、10ページ目を御覧ください。こちらは国内で主に結核菌に対して実施されているゲノム検査、分子疫学的手法についてまとめてございます。主に実施されているものとしては、大きく2つ。VNTR(縦列反復配列多型)における検査と、WGS(ホールゲノムシークエンス)の2手法が行われているものと認識しております。
11ページ目、御覧ください。この両者につきまして確認すると、VNTRは大部分の自治体で実施されている一方、WGSは一部の自治体でしか実施されていないということが分かります。
左側がVNTRの実態でございますが、VNTRを全く実施していない自治体というのが20.6%でございますが、一方で、80%近くの自治体は何らかの形でVNTRを実施しているということになります。
一方で、右側、WGSに関する実態でございますが、全く実施していない自治体が逆に87%、8割を超えるような現状になっております。この実態につきまして、自治体のアンケート結果としましては、VNTRの実施については、自治体において菌株収集の割合は異なり、十分な解析が実施できていないというものがございますし、WGSを自分たちの自治体の中で実施するということに関して、具体的な方針が決まっていない。人材不足である等々の課題が挙げられているところでございます。
次のページからは、結核の分子疫学について、大阪市様のほうから取組を御報告いただきたいと思っております。こちらについても、事務局の後、御説明いただく形になりますが、一旦飛ばさせていただきます。
では、15ページ、御覧ください。都道府県等における結核病原体サーベイランスの現状と課題について、取りまとめております。
菌株収集については、都道府県等での病原体サーベイランスの確立のために、全ての結核菌株を収集することが必要である。特に、多剤耐性結核であるとか集団感染事例については、より重要性が高い一方で、医療機関・民間検査機関との連携、死亡事例の菌株収集への取組等が不十分であるということが分かっております。
薬剤感受性検査につきましては、医療機関において多剤耐性結核を含めた全ての結核に対する適切な治療が行われ、かつ、そのまん延を地域で防止するためには、感受性検査は陽性例について全例で実施する必要があると考えており、同時に、その結果については、都道府県等が把握する必要があると考えております。
一方で、培養陽性結核患者全数の薬剤感受性検査を把握していない自治体が2割程度存在しており、こちらについても、民間検査機関もしくは医療機関との情報共有のスキームの確立とか、死亡事例における実施などが課題とされております。
分子疫学的サーベイランスにおけるゲノム検査につきましては、結核菌に対するゲノム検査は、実地疫学調査を科学的に補強するという観点について、集団感染事例の評価などにおいて重要な役割を果たしておりますが、一方で、VNTRを用いた分子疫学的サーベイランスは約8割の都道府県等で実施されておりますが、WGSに関してはわずか13%にとどまることもあります。こういったものを実施する体制を確保することが求められるのではないかと考えております。
次のページ、御覧ください。これらを踏まえまして、事務局より御提示させていただきます。結核病原体サーベイランスの方向性についての案でございます。
都道府県等は、管内の医療機関・民間検査機関に対して、都道府県等からの感染症法に基づく結核菌株の共有の求めに応じて、死亡事例を含め、確実に菌株を提供する体制を構築するよう周知しつつ、全ての結核菌株を収集するよう努めてはどうか。その際、医療機関において、特に死亡事例を含めた全例を感染症法に基づいた届出を行うよう引き続き徹底してはどうか。
都道府県等は、医療機関・民間検査機関等で実施された表現型検査や迅速遺伝子検査等から得られた薬剤感受性検査の確実な把握を行う体制を確保してはどうかということ。
特に、薬剤感受性検査実施前に死亡した事例については、原則都道府県等を検査実施主体として、必要に応じて医療機関や民間検査機関に外部委託するなどし、確実な薬剤感受性検査の把握に努めてはどうか。
都道府県等は、ハイリスクグループにおける結核の発生状況や、地方衛生研究所における検査キャパシティ等を踏まえつつ、関係機関との連携の下、VNTRや全ゲノムシークエンス等を必要性及び実施可能性に応じて柔軟に活用しつつ、分子疫学的サーベイランスを実施する体制を確保してはどうかとさせていただいております。
なお、下に※書きで記載しておりますが、国が病原体サーベイランスについて果たすべき役割等については、次回以降の部会で改めて検討することとさせていただきたいと思っております。
以上、事務局から御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
○慶長部会長 事務局からの御説明ありがとうございます。
続いて、参考人の藤山様より、資料1の神戸市提出部分についての補足説明をお願いいたします。
○藤山参考人 神戸市保健所の藤山と申します。
神戸市の結核菌バンク事業として、結核菌の流行状況を把握し、感染経路を推定し、感染拡大防止に役立て、結核患者を減少させるということを目的に、平成15年度から開始しました。
平成12年に、神戸市では緊急5カ年結核対策指針を策定し、そこに調査研究を明記し、平成15年に結核対策特別促進事業として、市内の喀痰塗抹陽性患者の約7割が入院する病院から結核菌の収集を開始し、神戸市の地方衛生研究所である神戸市健康科学研究所で結核菌の感受性検査や分子疫学的解析・保存を開始しました。
結核病棟があるほかの病院、それから市民病院群にも徐々に収集体制を拡大し、平成19年に感染症法に統合されてからは、分子疫学的調査の第15条に基づく積極的疫学調査の一環となり、翌年から一般病院にも理解が得られるようになり(一般病院からも)結核菌の収集を開始しています。
平成23年、平成28年と、結核に関する特定感染症予防指針に明記され強化される間に、発生届が出てくる全ての医療機関に依頼し、自院で培養している病院からはもちろん、外注している医療機関からも理解が得られ、外注先の検査機関から直接健康科学研究所に菌を送ってもらうなどの協力が得られるようになり、さらに、一般の診療所からも協力が得られ、約10年の間に分離培養された結核菌の90%以上を回収できるようになりました。
次のページをお願いします。事業開始当初は、菌株をある程度まとめて運んでいましたが、徐々にタイムリーな収集・解析となり、主な病院からは月に一度、定期的に結核菌の譲渡を受け、外注先の検査機関でも菌が廃棄される前に受け取れるよう、公費負担の診査会後に速やかに依頼し、菌の確保に努め、さらに回収率を上げています。
図は、それぞれの部署でそれぞれの人が共通の目的を認識し、それぞれの役割を果たして情報を共有し、意識の向上と事業への理解につながり、さらに結核菌の回収率を上げ、事業を推進するという連携の図です。
まず、医療機関では医師が診断し、治療を開始し、発生届を看護師などメディカルスタッフが得た情報と一緒に保健所に届けます。医療機関では、結核菌の塗抹、培養、菌の同定、感受性検査まで必ず行っていただいています。保健所は、患者登録し、培養陽性を確認してリストを作成し、医療機関に送ります。医療機関で検査技師が実際に菌株を用意します。その際に、塗抹培養PCRはもちろん、菌の感受性検査までした結果もいただいています。
市内の医療機関で用意された菌株については、保健所の防疫手が菌を運んでいます。遠方の検査センターで検査されている外注の場合は、直接、健康科学研究所に業者を利用して搬送することもあります。健康科学研究所では、運び込まれた全ての結核菌を毎月20日過ぎにまとめてVNTR法による解析を行い、結果を月末までに出していただいて、その後、菌を保存してもらっています。迅速に結果が得られ、VNTR法によるクラスターの形成があるか否かを保健所の医師や保健師に示すので、その結果を基に耐性菌のクラスターでないか、大きいクラスターでないかなどをタイムリーに確認し、医療機関に返して臨床に役立てたり、接触者健診の検討に役立てたりしています。
また、実地疫学調査の結果と照らし合わせて、医療機関にも情報共有し、さらに調査を進め、2か月に一度、定例で健康科学研究所と保健所でミーティングを行い、情報共有を行っています。健康科学研究所では、平成28年の結核菌からは、全てに対し全ゲノム解析を実施しており、耐性遺伝子の有無や国外から流入してきているかどうかの推定や、ゲノムレベルでのクラスター形成を確認しています。令和7年は、Mycobacterium tuberculosis complexのうちのM.bovis, M.orygisを同定することもできています。そういうことが分かっていくという情報を医療機関にも返し、保健所の中でも共有していくことによって、さらに協力体制が充実していると思っています。
これらの情報を、医療機関へは年に一度の研修会で地域の流行状況を伝え、またDOTSカンファレンスやコホート検討会でも情報を共有しています。それぞれの立場の人間がそれぞれの役割を認識し、チームを大事にして患者に寄り添い、治療完遂に導く一方で、実地疫学調査も深めて、情報を菌株と一緒に保存し、後に菌の一致が判明したときにも患者情報があるようにしておく。また、継続して全ての分離株を収集し、保存・分析し、データを蓄積していく。これらの情報が適宜還元されて、さらに全体として感染拡大防止、結核患者の減少に向かっていくと考えています。
次のページお願いします。近年では、約110の病院・診療所及び17の検査センターに、結核菌株の譲渡について御協力いただいています。神戸市で結核患者を多数診ている病院は、院内で結核菌を培養しているところが多く、結核菌を収集しやすい状況と考えられ、1年に培養陽性となる例が120から150あるところ、回収できなかった例は1年に3から5例程度です。回収率が96から98%となっています。院内で結核菌を培養している医療機関からの回収が約6割、外注先の検査機関からの回収が約4割で、結核病棟のある病院からの回収と、それ以外の病院からの回収の割合は半々、年によっては後者のほうが約6割となるくらいです。たまにしか結核患者の届出がない医療機関にも迅速に連絡を取り、患者情報を確認するとともに、結核菌株の譲渡を依頼し、菌株を確保しています。
日頃からの連携と、携わる人たちの積極的疫学調査への理解と患者への支援、そして菌株を大事にする気持ちが結核患者を減らすという方向に向かって、この回収率につながっていると考えています。
以上です。ありがとうございます。
○慶長部会長 藤山先生、ありがとうございます。大変精力的に仕事を進めていただいている状況がよく分かりました。
それでは、続きまして、参考人の小向様より、資料1の大阪市提出分についての補足・説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○小向参考人 大阪市の小向です。
まず、左上の図を御覧ください。大阪市の結核分子疫学調査事業の概要を示しております。大阪市保健所、保健福祉センター、病院、そして地方衛生研究所である大安研、この4つが共同して実施しております。赤色の矢印で大安研と保健所の間をつないでいるところがあるかと思いますが、結核分子疫学検討会を定例で実施しておりまして、2025年度は3回行っておりました。内容としましては、VNTR型別一致例を中心にして疫学調査の情報の振り返りをしたり、情報共有等を行っております。
右上のところにこの事業の概要を示しておりますが、期待される主な効果のところを御覧ください。接触者健診における感染経路の解明であったり、疫学的に疑いがもたれなかった感染経路が究明されるケースがあったり、クラスターの評価なども行っております。
そして、左下に示したグラフを御覧いただけたらと思うのですけれども、培養陽性者から分離した結核菌株の搬送数をそちらに示しております。こちらを見ていただきますと、2024年データで見ますと300件を超える、400弱ぐらいの培養陽性株に対しまして、93%、菌株を搬送しているという状況になっております。
そして、右下のところにVNTRの概要を示しておりますけれども、先ほど事務局の方から御説明があったかと思いますけれども、大阪市では24Beijing-VNTRを実施しておりまして、そちらの下の表に一例として載せております24桁の数字で各菌株ごとにVNTRの型別の結果が載っております。例えば、患者丸1と患者丸2につきましては、型別の一致が見られないということになるのですけれども、患者丸3と患者丸4については、VNTRパターンが一致している。すなわち、クラスターを形成していて、患者間で関連がある可能性があるというふうに評価しています。
それでは、次のスライドをお願いします。こちらは活用事例を紹介した図ですけれども、まず、日本語教育機関での集団感染で分子疫学を活用した事例について御紹介したいと思います。
まず、患者A(20歳代)の方はX国出生の方なのですが、大阪市外在住の方でした。この方が感染性期間内に大阪市の日本語教育機関に在籍していたということで、調査の依頼がありました。接触者健診によりまして、患者B(20歳代)の方が同様にX国出生の方だったのですが、発見されまして、VNTRパターンが24領域、一致しました。また、それとは別で、当該学校とは全く無関係である、右側に示しました患者Cの方、60代の日本出生の方で、この方のVNTR型別を見たところ、この2人の方との一致が見られました。
そこで、これらにつきまして、先ほど申し上げました検討会で情報共有しまして、実地疫学情報の振り返りと、全ゲノムシークエンスに関しても大安研で見ていただきました。その結果、3株とも全ゲノム一致しておりまして、また、これらの株は北京型に分類され、X国由来株のコアゲノム系統樹解析より、X国に特徴的な系統であるということが示唆されました。また、表の一番右に記載しているのですけれども、実地疫学の情報を振り返ってみますと、患者Aの方は、大阪市在住時に患者Cと同アパートの同フロアに居住されていた方ということが分かりまして、患者AからCへアパートの共有部分で感染が生じた可能性が考えられました。
一番下のところにその評価といいますか、書いてありますけれども、VNTR分析によるスクリーニング、そして全ゲノムシークエンス等を行うこと、また実地疫学調査の組合せによって感染伝播の究明が可能となった事例を経験しました。本事例のような探知が早期にできますと、接触者健診など具体的な対策への活用が期待されるところです。
それでは、次のスライドを御覧ください。最後に、分子疫学の課題を示しております。
まず、左側にVNTRに主に関わるところを載せておりますが、2番目の菱形で示しておりますけれども、最初のスライドで申し上げましたとおり、9割は超えてきているのですけれども、全ての菌株を回収できていないという課題があります。破棄されているような株等もありますので、さらに回収率を高めるような工夫が必要と考えております。
また、3つ目の菱形で示しておりますが、400弱、毎年登録がありますけれども、予算上、全ての株に対してVNTR解析を実施することができないという状況がありますので、大阪市では、主に下に示しました5つの項目を優先して実施しております。疫学情報で明らかな関連があるケースや若年、外国出生、MDR、そして発生状況を踏まえた特定の地域等の患者を中心に行って、近年は9割弱の実施となっております。こういった課題があります。
右側の全ゲノムシークエンスのところも御覧いただけたらと思うのですが、全ゲノムにつきましては、VNTRよりも解像度が高く、より精緻に感染経路を解明できる可能性があります。しかし、コストであったり、所要時間、マンパワー、実施体制の構築、データ管理について課題があります。また、自治体を越えて全国的にデータを共有するためのスキームがありませんので、国内の状況を俯瞰できるような状態には至っていないと感じております。これらの病原体サーベイランスの実施に関しまして、予防指針等で有用性が明記されることによって、データ収集が円滑になり、対策に生かされることが期待されると考えております。
下のところを見ていただければと思うのですが、ほかの課題としましては、分子疫学事業によって得られた結果を対策に生かすために、現場、我々の中で保健福祉センターを主に考えているのですけれども、保健福祉センターへの還元方法というのが、課題としてはまだ十分解決できていないと考えております。VNTRでありますと24桁の数字が出てくるのですが、その数字をお返しするというだけでは対策に生かすことができませんので、今後、どのように還元していくかということを検討していきたいと思っています。
また、2つ目のところですけれども、どのような解析方法を行っても、実地疫学情報というのはとても重要になります。このスキルアップによって、実地疫学調査の質の向上というところも考えていく必要があると思います。
また、最後のところは繰り返しになりますけれども、このデータを自治体を越えて広域的に活用していくためには、個人情報とか運用面でまだ課題が残されていると感じております。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○慶長部会長 小向様、ありがとうございました。実際の具体例も出していただきまして、この分子疫学の手法が大変に重要であるというのが理解されたのではないかと思います。
それでは、議論いただく前に、本日、そういった実際解析をされている三﨑委員があいにく御欠席ということで、事前に御意見をいただいているということですので、事務局から代読いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 事務局でございます。
三﨑委員の御意見を代読させていただきます。
結核の病原体サーベイランスについて、前向きに進めていただき感謝いたします。
結核は潜伏期間が長いため、疫学調査の際には担当者が大変苦労しております。分子疫学解析を確実に実施することでリンクを可視化し、潜在的アウトブレイクの早期発見や隠れた感染源の探索、調査の精度の向上などに役立てることができると思います。
例えば、川崎市では、分子疫学解析については2015年からVNTR解析を、2025年からはWGS解析を事業として実施しており、医療機関から送っていただいた菌株は菌バンクとして保存しております。分子疫学解析が重要と考えた一例を挙げますと、孤発と思われた患者さんのVNTRの結果が数年前のアウトブレイク事例と一致したことがあり、念のためさらにWGS解析を行ったところ、同一であると判断されたことがありました。この結果を基に遡って調査や聞き取りをした結果、過去のアウトブレイクにおける接触者であり、当初の接触者調査では感染がないとして除外された方であることが分かりました。
このように疫学調査のみでは限界があるような事例においても、分子疫学解析結果と組み合わせることでリンクを確認し、さらに調査を進めることが可能となり、担当するスタッフの労力の削減にもつながるのではないかと考えます。
また、VNTR解析については、川崎市では結核研究所の先生方の御指導の下に24Beijing-VNTRという方法を採用しているところです。可能であれば国内において同じ方法で統一し、地方衛生研究所同士が連携して広域事例に対応できると、早期発見や感染源の探索につながり、結果を患者さんに還元できるのではないかと考えております。
国内での結核の報告数が減少してくると、特にその必要性は高くなると思いますので、全ての菌株を確実に収集して菌バンクという形で保存し、関連を明確にできるような体制をぜひ構築していただきたいと思います。
以上になります。
○慶長部会長 ありがとうございました。
三﨑委員からは、第13回のときに御発言をいただきまして、そのときには全結核患者の菌株の確保を目指して、それをゲノム解析してほしいというお話がありまして、そのときに私のほうから、ゲノム解析とおっしゃるのはVNTRまでのお話でしょうかとお聞きしましたら、VNTRはかなりの自治体でやっているので、今後は全ゲノム解析まで加えていくほうがよろしいのではないかというような御意見をいただいたのを覚えております。
このお話というのは、実際のところ、かなり専門的なところが大きいので、実際に関わっていらっしゃる方は当然というふうにお考えかもしれませんけれども、そうでもない方に関しては非常に分かりにくい話であろうかと思います。今回の方向性について、今、出していただいているものを見ますと、全部の菌株に関して、これはもともと現行の予防指針の中でも、全ての菌株を収集するように努めてはどうかと書かれているわけですね。ですから、そういう意味合いでは引き続きということになるのではないかと思います。
もう一つは、薬剤耐性の問題というのは大きくなってきているので、その薬剤耐性に関しての実際のデータをしっかりと把握しなければいけないということが2番目にありました。
それから、今、大阪市の話、神戸の話をいただきましたけれども、分子疫学というのは、結核は人から人へ伝播していくものですので、どういう方向でどういう形でうつっていくのか、その辺のところをはっきりさせないとどんどん広がってしまうわけです。その広がりを何とか明らかにするために菌株の情報を使って、二つの菌が同じ菌であって、別の人から同定されるのであれば、それはうつったのだというシンプルな話ですが。
その辺のところの連鎖をどういう形で解析していくかということで手法が幾つかあって、お話がありましたけれども、VNTRというものがずっとやられてきたのだけれども、WGSという手法が現在は世界標準になってきて、日本でもそういったことを取り入れていく必要性が出てきているのでは、というふうにまとめられるのではないかと思います。この件に関して、事務局の説明も踏まえて、何か御意見、御質問等ありますでしょうか。
大角先生、どうぞ。
○大角委員 この分子疫学の情報、特にWGSの情報を全国で収集するようにする、もしくは広域で収集するようにする方向が、この方針の最後のスライドの中ではちょっと見えなくなっています。国が何するかというのは次に議論します、ということですが、まずは都道府県でということで記載されていて。結局、大阪市さん、神戸市さん、川崎市さんもそうだったと思うのですけれども、自治体を越えての分子疫学情報共有がないと、分子疫学情報の有用性というのはなかなか限界がある状況は明らかかなと思います。先ほどの大阪市の小向先生からの報告、最後のスライドにありましたけれども、広域で分子疫学の情報を共有する課題の中で、個人情報の共有のことをおっしゃっていらっしゃると思いました。
そこで、分子疫学の情報を蓄積するために全結核菌を集めてWGSを実施し、その結果を地方自治体にタイムリーにフィードバックする体制づくり、そのための病原体サーベイランスを構築する場合に、壁になっている個人情報の共有について、積極的疫学調査の一環で実施していることをはっきりと確認する必要があると思います。地方自治体間で個人情報の共有も含めた情報共有という壁に対応するということがないと駄目と思いましたが、いかがでしょうか。
○慶長部会長 この点に関して、何か事務局から追加ないしコメントをいただくことはできますでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
御指摘いただいているのは、一元的な情報サーベイランス体制が必要ではないか、収集する体制が必要ではないかという御指摘でしょうか。という理解でよろしければ。
○大角委員 そうだと思います。だから、都道府県レベルで情報解析して蓄積して、それをシェアするというのは一元的というところにつながるかなと思うのです。いずれにしても、地方自治体を越えた情報共有ができないと、分子疫学の情報収集、フィードバック、そしてそれを実地の疫学に用いていくという体制がなかなかできないというがあろうかと思います。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
情報共有という点の有用性について、我々も認識しておりますし、それに対してどういった体制を取っていくのかということは、検討の余地が十分にあると思っております。一方で、今後、一元的な情報共有ネットワークであるとか、一元的なリポジトリ的なものをつくっていくのかという話になってくると、そのコストベネフィットとか実現可能性、実効性といった様々な論点を確認していく必要があるのではないかなと思っております。
一方で、現在の感染症法の中における情報収集とか積極的疫学調査における主体的なものは自治体等という表現をしている関係上、そこが主体となりながら進めていただくに当たって、どういった形のVNTRを、自治体等でも実施できる体制とかを含めた分子疫学的検査が自治体等でもできる体制をしっかり組んでいくということを、まず指針の中で打ち出していく。実施主体としては、基本的には自治体等で実施していきながら、情報共有に当たって、どのような体制が考えられるのかということは、そこに恐らく国といった枠組みが関わってくるかと思います。
なので、それは今後検討ですというところがよろしいのではないかと思っており、現在、国がどのような形でこのサーベイランスに関わるのかということについては、我々の中でもお諮りするに当たっての検討の時間が少し必要かと思っておりますので、そのような形で、今回方向性(案)という形で出させていただいております。
○大角委員 承知しました。
○慶長部会長 これは広域に広がっていく感染症全体の問題として、統一的なものが最終的にはでき上がることが望ましいと考えていらっしゃるのでしょうか、結核のみならず。事務局への御質問です。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
全ての感染症法に規定される感染症が一元的に情報共有され、必要に応じたサーベイランスを全ての感染症で実施するというのは、確かに言ってみれば理想的ではありますが、それを確実に実施するためのものを改めてつくっていくのか、結核を含めて全ての感染症にというのは、そこはどこまでの未来像を描きながら考えていくのかということになってくるかなというふうに考えています。現状においては、結核というのが、特に感染症の症例数とか長期間に及ぶ潜伏期間の観点から、濃厚接触者とか感染者をたどるのが難しいという特性に応じて御意見いただいているものと考えておりますので、共有体制というものにおいて、どういった枠組みが考えられるのかというところは今後の議論だと思っております。
○慶長部会長 ありがとうございました。
佐々木先生、よろしくお願いします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
私は臨床医でありますので、患者さんが感染して発病したときの社会的ダメージというものがございますので、これらの感染症サーベイランスの情報を、先ほど全ての患者さんにお返しするという言い方で表現されておられたのですが、患者さんにお返しするところまでは行き過ぎかなと思っております。なぜかといいますと、積極的疫学調査をして感染経路を判明しても、患者さんは治るわけではないということがございますので、それはあくまで今後の予防のためにやるという形になります。
ですので、もしこういう形で広域にやるのであれば、国としてもう少し積極的疫学調査の倫理的な背景を、まず自治体に説明していただいて、積極的疫学調査で国全体として何が得られるのかという。国として何かをやるというよりも、倫理的な指針を示していただいて、その中で自治体がどう考えるかということ、あるいはどこまでできるかということを、自治体がまず考えるという形にしないと、個人情報の観点から、自治体もどこまでできるのかということが分からないのではないかと思います。例えば、個人と個人を結びつけると、思いもよらない関係が見えてくることがもしあったとしたら、それは患者さんにとって知らないほうがいい情報も出てくる可能性があります。
ですので、これは取扱いが非常に難しい。人と人の接触を過去に振り返って結びつけてしまうものなので、積極的疫学調査、ここまでは国としては、情報は共有するけれども、ここからはある程度患者さんの情報というのは、どこまでの期間でしか公開しない。だから、自治体としてはこういうふうにやってくださいみたいな形で国としての倫理的な姿勢を出していただいて、その上で、自治体同士で情報を共有するという形で出していただいたほうが無難ではないかなというふうに思っております。
以上です。
○慶長部会長 ありがとうございます。
その点に関しては、何か事務局からコメントございますでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
御指摘は、個人情報の意義というか、どこまでを出せるのかといった点なのかなというふうにお聞きしておりましたが、少なくとも自治体が実施する感染症法に基づいた積極的疫学調査に当たって、最低限必要な個人情報というものについては整理できているのではないかなというふうに考えています。それが十分に伝わっていないのではないかという御指摘であれば、我々としても改めてしっかりと示していく形かと思いますし、今回、大阪市様などでいただいていた意見が、県をまたぐとか自治体をまたぐような形の中において、どう扱うのかという点についての個人情報の御議論だったかと思っています。
自治体をまたぐパターンというのは、もちろん結核以外にも、例えば麻疹のような非常に感染力の強い感染症に対して、濃厚接触者であることが確認された場合、自治体間をまたぎながら情報共有していくというプロセスも存在しております。ただ、その活用に当たって、濃厚接触者に対する積極的疫学調査が感染拡大防止という観点に立った際に、必要性というところは十分理解されるものの、それが例えば今回御指摘いただいている分子疫学的な手法に当たるまで、それを使っていいのかどうかということに関しての御議論という観点であれば、少し整理が必要かなというふうに感じております。
ただ一方で、繰り返しになってしまいますが、感染拡大を防止するという公衆衛生学的目的に応じて、必要な個人情報を自治体の中で収集する、あるいは感染症に応じて自治体間をまたいだ情報共有を行うということに関しては、一定整理は行われており、それを既に自治体等の中では活用されているものとは認識しておりますが、改めて、それについて自治体の中で認識とかのずれがあるのではないかという御指摘であれば、様々な機会を通じてお伝えしていくということは、我々としてもやっていくべきかなというふうに考えております。
○佐々木委員 私が申しましたのは、一番後のところで、扱う機関が多くなれば多くなるほど、整理をきちんとしておかないと大変なことになってしまう可能性はあるというふうに思っております。特に、結核の場合は、麻疹と違って即座に発病しないので、過去に遡って接触していたことがあるみたいなことが分かってしまったとき、何らかの通常の感染症と違うことが起きてしまう可能性があります。ですので、1年とか2年前に接触者とか、そういうことが出てきてしまうときに何が起こるか、ちょっと理解できないので、先ほどの分子疫学的手法による解析が最終的に患者さんに還元されるということは、ちょっとやめていただきたいなというふうに思っております。
以上です。
○慶長部会長 ありがとうございます。
還元するしないに関して、方向性の案の中には特にうたわれていないところだと思いますので、個人の意見だというふうに理解しますが、劔先生、どうぞ。
○劔委員 すみません、熊本県の劔です。
広域で一元化して共有して感染対策にという、大角先生がおっしゃっていたことに後押しの意見なのですけれども、技能実習生の感染者がすごく増えていて、最近、短期間で就業先を移転して追えなくなってしまうようなケースも保健所ではぱらぱら散見されているので、広域で共有するとか、追えるというのは、今後さらに重要になっていくかなと思いますので、ぜひお願いします。
あと、全部の自治体で分子疫学的調査ができるかというと、地衛研の体制が影響していることもあると思うので、そちらの御支援等もお願いできればと思います。
以上です。
○慶長部会長 ありがとうございます。
劔先生としても、全株あるいは全自治体でそういった支援があればやるべきであるということに関しては、異論はないということでよろしいですね。
○劔委員 そうです。よろしくお願いします。
○慶長部会長 ほか、いかがでしょうか。
方向性として書かれているところ、非常にリーズナブルなものであろうというふうに私、個人的には思いましたけれども、それ自体に関しても、何か、いや、ここがということがあればお聞きしておきたいと思いますが、大丈夫でしょうか。
特に、私どもも研究で WGS(ホールゲノムシークエンス)をやる機会がありますので、そうしますと、分子疫学の部分だけではなくて、薬剤の感受性に関わる情報、あるいはどこの由来の株であるかということもかなり分かりますので、非常に有用性が高い方法だというふうに認識しております。ぜひそういった形で広げていただければという、これは多分、三﨑先生の考えもそれと一致しているものだというふうに理解しております。よろしいでしょうか。
それでは、方向性に関しましては、御異議がなければ、それで進めさせていただきたいと思います。
(首肯する委員あり)
○慶長部会長 それでは、了承ということでまとめさせていただきたいと思います。
では、時間もたっておりますので、続いて、議題(2)に移らせていただきます。「感染症法に基づく結核に係る健康診断の方法の一部改正(案)について」ということで、資料について事務局から御説明をお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 引き続きまして、資料2について御説明させていただきます。「感染症法に基づく結核に係る健康診断の方法の一部改正(案)について」でございます。
1枚おめくりください。現状と課題でございます。
感染症法第53条の2において、事業者、学校の長若しくは施設の長又は市町村長は結核の定期健康診断を行うこととされており、本規定によって行うべき健康診断の方法については、感染症法第53条の9及び感染症法施行規則第27条の2の2により「喀痰検査、胸部エックス線検査、聴診、打診その他必要な検査」とされております。
感染症法第53条の13において、保健所長は、結核の予防又は医療上必要があると認めるときは、胸部エックス線検査その他厚生労働省令で定める方法による精密検査を行うものとされており、本規定によって行うべき健康診断の方法について、感染症法施行規則第27条の9により「結核菌検査、聴診、打診その他必要な検査」とされています。
この「行うべき健康診断の方法」に係る規定については、一部実態に即していないのではないかというふうに御指摘をいただいております。例えば、胸部エックス線検査等に比較して優先度が必ずしも高くない身体診察の手法(聴診、打診)が含まれている一方、結核性リンパ節炎を念頭に置いたリンパ節腫脹触診等、結核発見に有用な診察についての記載がないこと。聴診、打診等の必要な診察については、定期健康診断で行うべきものであり、精密検査で初めて行うべきものではないことなどが挙げられております。
これらの意見を踏まえ、方針(案)として提示させていただきたいのが、結核に係る健康診断の実態を踏まえ、感染症法施行規則第27条の2の2における「行うべき健康診断の方法」に係る規定から「喀痰検査」「聴診」及び「打診」を削除し、同施行規則第27条の9における規定から同様に「聴診」及び「打診」を削除した上で、実際の健診手順を踏まえた記載に改正することとしてはどうかとさせていただきたいと考えております。
改正案につきましては、現行と改正後案をつけた形で示させていただいております。
以降のページは参考例となりますので、また御覧いただければと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
○慶長部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局からの説明を踏まえて、何か御意見、御質問ありますでしょうか。身体診察をやるなとか、そういうことではないわけですね。今の話ですと、むしろ精密健診ということで、その他必要な検査も含めてというようなお話だったと思いますが、何かございますでしょうか。これはよろしいでしょうか。
臨床のほうの先生方からも特別な御意見がなければ、これに関しては特段の異論はないということで了承したということで進めてよろしいでしょうか。
○早川委員 国立国際医療センターの早川です。
特に臨床的に異論はございません。
(首肯する委員あり)
○慶長部会長 ありがとうございます。
それでは、この議題に関しましては、部会として了承ということでまとめさせていただければと思います。ありがとうございます。
続いて、議題(3)ですが、「結核ハイリスクグループの整理を踏まえた結核対策の強化について」ということで、資料3について事務局から御説明をお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 引き続きまして、資料3について御説明させていただきます。「結核ハイリスクグループの整理を踏まえた結核対策の強化について」でございます。
1枚おめくりください。日本におけるハイリスクグループの考え方につきましてまとめております。結核に関する特定感染症予防指針において、「結核発症の危険性が高いとされる幾つかの特定の集団」を「ハイリスクグループ」として定義し、特に早期発見や感染経路の把握が重要である旨を多面的に周知すべきこととされています。
1枚おめくりください。現在、御存じいただいているとおり、入国前結核スクリーニングというものが実施されております。入国前結核スクリーニングにつきましては、我が国における外国出生者の新規登録結核患者数の上位6か国について、2016年以降固定されており、令和6年はインドネシア、フィリピン、ネパール、ミャンマー、ベトナム、中国の順で多くありました。
ですので、こういった国々に対して入国前結核スクリーニング(JPETS)を、現在はフィリピン、ネパール、ベトナムに対して開始しているところでございます。
1枚おめくりください。結核ハイリスクグループの考え方につきまして、基本コンセプトとしましては、特定の地域や状況におけるリスク要因の分布の把握という観点に関して、患者中心で基本的人権に基づく結核医療提供体制を最適かつ公平に提供する上で重要であり、UHCやSDGsの達成にも寄与するとされています。
その中で、WHOからは、ハイリスクグループの考え方として以下の3つが提唱されており、患者や集団ごとに結核発症リスクを整理することが重要であるとされています。3つのグループとは、社会的・人口学的要因、生物学的・健康関連要因、構造的要因という3つの要因が提示されているところでございます。
次のページおめくりください。外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定の考え方につきまして、現状では、現行の「指針」の中で、結核の高まん延地域を管轄する市町村において、結核の発症率が高い住民層に対する定期の健康診断、その他の結核対策を総合的に講じつつ、人権の保護に十分配慮することを求めております。
文部科学省からは、児童生徒等の健康診断における「結核高まん延国」の対象を事務連絡で整理しております。その考え方としては、WHOが示すhigh burden countriesに、これらと同程度に結核の推定罹患率の高い国及び地域を加えたものを対象として取り扱っております。
課題としまして、基本的人権に基づく効果的な結核医療提供体制を強化することを目的とし、外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定についての具体的な考え方を示す必要があるものと考えております。
こちらを踏まえまして、現在、事務局からの方針(案)としまして出させていただいております。国は、外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定における1つの考え方として、児童生徒等の健康診断における「結核高まん延国」の考え方と同様に、WHOの「The global lists of high burden countries for TB, TB/HIV and MDR/RR-TB」に入っている国に加えて、うち「結核患者」が30か国の中で最も罹患率が低い国の罹患率以上の結核罹患率を有する国若しくは地域の出身者又はその国若しくは地域に一定期間以上滞在したことがある者、と整理してはどうかと考えております。
この定義は少しややこしいので、次のページでイメージ図として示しております。丸1と丸2がございますが、丸1はWHOの定めるhigh burden countriesに含まれる国として3つ、結核患者、多剤耐性及びリファンピシン耐性結核患者、HIV合併結核患者の項目がございます。この丸1に含まれないものの、上記「結核患者」30か国に含まれる国のうち、最も罹患率が低い国以上の罹患率を有する国若しくは地域を対象としてはどうか。この丸1と丸2を併せたものを対象としてはどうかというふうに考えているところでございます。
次のページを御覧ください。併せて、結核早期発見に関する啓発の方向性についてです。
国は、結核早期発見対策の強化や結核患者の人権保護を目的として、外国出生者に対する定期健康診断の対象者の設定の考え方をWHOの「The global lists of high burden countries for TB,TB/HIV and MDR/RR-TB」に含まれる国に加え、うち「結核患者」30か国の中で最も罹患率が低い国の罹患率以上の結核罹患率を有する国若しくは地域の出身者又はその国若しくは地域に一定期間以上滞在したことがある者として、また、結核ハイリスクグループを同じくWHOの考え方を用いてそれぞれ整理した上で、入国後の外国出生者における結核対策の強化について引き続き注意を呼びかけながら、以下のような取組を進めることで、国内の結核対策の強化につなげてはどうかとしております。
項目としては、大きく3つ。
都道府県は、外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定の考え方を考慮しつつ、他のハイリスク因子や地域の結核の発生状況等を踏まえ、定期健康診断その他の結核対策を強化する。
医療機関は、特にハイリスクグループかつ結核を疑う症状を認める者等に対し、積極的に結核早期発見を目的とした検査を行う等、結核患者の早期発見対策を強化する。
学校及び日本語学校並びに受入れ企業等、送出機関及び監理団体等の関係機関においては、結核を疑う症状を認めた者について、医療機関への受診を促すとともに、結核の正しい知識を踏まえ、個人の権利が大きく損なわれることのないよう細心の注意を図ることとする、としてはどうかと考えております。
以上になります。
○慶長部会長 ありがとうございます。
ハイリスクグループ、特に外国出生者ですけれども、それでは、事務局からの説明を踏まえて、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
私から1つだけ。文科省のほうの今後の方針というのは、今、お書きいただいた方向性と連動していくような形になるのでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおりでございます。基本的には同じ考え方で設定しておりますので、こうした形で取り組ませていただければと思っております。
○慶長部会長 ありがとうございます。
何かございますでしょうか。
木添先生、どうぞ。
○木添委員 木添です。
よく整理していただいたのかなと考えております。方針(案)まとめの最後に学校及び日本語学校というような文言が書いてありますけれども、この文章によって、保健所においても啓発がしやすくなるのではないかなというふうに考えておりますので、この文章があってよかったと私は考えております。ありがとうございます。
○慶長部会長 ありがとうございます。
ほかにコメントとか質問。
大角先生、どうぞ。
○大角委員 すみません、大角です。
確認ですが、結核高まん延国はここですよというのは、厚労省としては毎年、WHOに併せて、こうなっていますということを整理して公表することにするのでしょうか。学校健診の結核健診は、一応フィックスして、その後新しく出すまでこれでいきましょうということになっていると思います。毎年変えることはしていない。そこに関して、これは対象国が変わりますというのを毎年WHOの発表によるとこうなりますということを厚労省のホームページか何かで確認するということになるのでしょうか。
スライド6の※6、一番下のところ、2024年では中国とブラジル。中国は50いくつ、ブラジルは50を切っている。これも動きますというところですね。そこに関して動くというのは事実としてそうなのであれですけれども、毎年4月の時点でこうでしたとか、そこはどうする予定ですか。公表に関しての対応というのはどうするのでしょうか。
○慶長部会長 これも恐らく文科省との連動ということがあると思うのですけれども、事務局から今、何か回答できることはありますでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
公表の仕方等については、また我々のほうでもしっかり考えさせていただきたいと思っておりますが、WHOのこのhigh burden countries自身は、およそ5年おきぐらいに更新されているので、データとして収集されているとは認識しておりますが、毎年更新していくというものではないと認識しております。その上で、どのような形で公表していくのか、公開していくのが適切かということは、改めてまたよく検討させていただければと思います。
○大角委員 ありがとうございます。
WHOのほうでターゲットカントリーとして30か国を前回選んでいて、それが新しく更新されたときにそれを連動させるというのがいいのではないかと思います。毎年変えていくと、それはまた大変ですね。大きなところではあまり変わらないのではないかと思うのですが、結構な国のリストが上がってくるので、それを毎年確認するというのは必要ないのかなというふうに私も思います。
以上です。
○慶長部会長 恐らく、これまでも同じような意味合いで、文科省でやってこられたときは毎年ということはやっていなかったのではないかと理解しています。
○大角委員 していないと思います。
○慶長部会長 よろしくお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
こちらに関しましても、特段の異論がないようでしたらば、議題(3)につきましては、部会として了承というふうにまとめさせていただければと思いますが、この3題に関しましては、特に1題目の問題が非常に大きかったと思いますし、恐らく実際に関わっていない方にとっては、非常に分かりにくい内容だったように思います。これは難しいのですけれども、少し時間がまだあると思いますので、補足とか、ここは本当はもっとはっきりさせたかったということがあればお聞きしたいと思いますけれども、大丈夫でしょうか。
(首肯する委員あり)
○慶長部会長 別に手が挙がらないようでしたらば、本日の議題(1)から(3)に関しましては、方向性については、そのとおりということでまとめさせていただければと思います。
それでは、事務局のほうにお返しいたします。
○小谷結核対策推進室長 皆様、ありがとうございました。
本日の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
また、次回については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日はお忙しい中、皆様、御参加いただきありがとうございました。
構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず御出席いただき、誠にありがとうございます。
私、本日の議事進行を務めさせていただきます感染症対策部感染症対策課の小谷と申します。よろしくお願い申し上げます。
本日の議事は公開となります。議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しておりますユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御協力と御理解をお願いいたします。
また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
本日はウェブ会議で開催することとしております。まず、ウェブ会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言される場合は、まず挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載していただき、部会長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて委員のお名前をこちらから申し上げますので、一言お返事をいただければと思います。
五十音順でお願いいたします。
阿戸委員。
○阿戸委員 阿戸でございます。どうぞよろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
大角委員。
○大角委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
木添委員。
○木添委員 木添です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
慶長委員。
○慶長委員 慶長です。本日もよろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
佐々木委員。
○佐々木委員 申し訳ございません。今、ちょっとビデオの調子が悪いのですが、出席しております。ありがとうございます。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
釣永委員。
○釣永委員 釣永です。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
劔委員。
○劔委員 劔です。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
早川委員。
○早川委員 早川です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
藤田委員。
○藤田委員 藤田です。どうぞよろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
由藤委員。
○由藤委員 よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
和田委員。
○和田委員 和田です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
なお、笹本委員から遅れて御参加との連絡、三﨑委員から御欠席の連絡をいただいております。
本日は参考人として、神戸市健康局保健所部長(感染症対策・結核担当)の藤山理世様、大阪市保健所感染症対策課保健所医務主幹兼淀川区役所医務主幹の小向潤様の御参加をいただいております。
藤山様、よろしくお願いいたします。
○藤山参考人 藤山です。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
小向様、よろしくお願いいたします。
○小向参考人 小向です。よろしくお願いします。
○小谷結核対策推進室長 よろしくお願いいたします。
以上、現在、委員13名のうち11名の御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令に基づき、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。まず、議事次第、委員名簿、資料1から3になります。不備等がございましたら事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は慶長部会長にお願いいたします。
○慶長部会長 改めまして、結核研究所の慶長です。それでは、本日の結核部会もよろしくお願いいたします。
議事に入りたいと思います。本日の議題(1)ですが、「都道府県等における病原体サーベイランスについて」ということで、資料1について事務局から御説明のほどお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 それでは、資料1について御説明させていただきます。
1枚目をおめくりください。都道府県等における病原体サーベイランスの現状についてです。現状におきましては、結核病原体サーベイランスは、積極的疫学調査の一環として都道府県知事又は厚生労働大臣によって行われることとされております。この内容については、現行の予防指針の第一の原因の究明の中でも記載されているところでございます。
次の1枚おめくりください。病原体サーベイランス(菌株収集)についての現状になります。こちらは菌株収集に関する自治体アンケートを踏まえた現状という形でまとめさせていただいております。
患者から採取された検体は、医療機関又は民間検査機関において培養検査を行い、結核菌が培養陽性となった際には都道府県等が収集・保存することとなっております。
都道府県等は、薬剤感受性検査やゲノム検査等の結果を保健所又は地方衛生研究所に集約し、接触者健診等における感染拡大規模の正確な把握、その公衆衛生的な影響の大きさなどの見積もりをしているところでございます。
しかし、都道府県等においては、域内培養陽性検体について、ほぼ全例、80%以上を収集できている例もある一方で、0%、全く収集を行っていない例もあります。こちら、下の円グラフはその157の都道府県等のデータでございますが、80%以上を収集しているという都道府県等が57、一方で、0%というところが26というふうに上がってきております。
こちらの実態についてアンケートの中身を確認しております。次のページ、御覧ください。アンケートのまとめとしましては、菌株収集が十分実施できない理由として、「人員・設備・収集体制の整備がされていない」、「菌株が外注先の民間検査機関や医療機関で検査後破棄されている」などが挙げられております。
また、この中には、特に患者が死亡した事例では、医療機関や民間検査機関で菌株が破棄されやすい現状があるという意見が出ております。
それ以外にも、菌株収集に関する目的の共有とか依頼方法、容器などの平時からの連携が不十分なため、適切な収集に至らない場合があるという形でコメントをいただいており、下のほうには、都道府県等単位での菌株及び情報共有のフロー図が描かれておりますが、それぞれのポイントにおいて課題があるということが分かってきているところでございます。
1枚おめくりください。今は菌株収集の点でございましたが、その中でも特に多剤耐性結核の薬剤感受性について、まとめさせていただいております。
イソニアジド、リファンピシンの両剤に耐性を有する結核菌を多剤耐性結核菌(MDR-TB)としており、こちらについては、長期間かつ専門的な治療を要するというふうにされております。
令和6年の我が国の多剤耐性結核の患者数は45名となっております。多剤耐性率は0.7%でした。これを日本出生者及び外国出生者別で見てみると、日本出生者は23名で、日本出生者の培養陽性例全体の0.44%でした。一方で、同様に国内における外国出生者の多剤耐性結核率は1.96%でした。減少傾向ではあるものの、依然として日本出生者と比して高い多剤耐性結核率を示していることも分かります。
次のページおめくりください。都道府県における薬剤感受性検査の現状でございますが、医療機関または民間検査機関において培養検査を行った際、基本的には培養陽性となった際には、原則薬剤感受性検査が同一機関で引き続き実施されるものと認識しております。その薬剤感受性検査を含めた検査結果というのは、菌株と同様に、都道府県等からの依頼に基づき、原則医療機関から報告される形になると考えております。
ただ一方で、薬剤感受性検査を把握していない自治体が21.7%存在することもございます。この理由としては、先ほどの菌株とも似たような部分がございますが、「患者が死亡した事例において当該医療機関内での薬剤感受性検査が中止された」あるいは「保健所から依頼があっても医療機関から検査結果が共有されない」などの課題が挙げられております。
下にありますのが薬剤感受性検査結果等の共有に着目したフロー図という形になっております。いずれも基本的には医療機関から保健所への回答という形になりますが、その利用・実態等について、十分な報告がなかなか得られていない自治体もまだあるということが、このデータからも分かるかと思います。
次の資料からは、神戸市様のほうから御提供いただいた資料になりますが、中身の菌株及び薬剤感受性検査の結果等についての詳細な部分は、この後、神戸市様から御報告いただきたいと思っておりますので、少し飛ばさせていただきます。
ページ飛びまして、10ページ目を御覧ください。こちらは国内で主に結核菌に対して実施されているゲノム検査、分子疫学的手法についてまとめてございます。主に実施されているものとしては、大きく2つ。VNTR(縦列反復配列多型)における検査と、WGS(ホールゲノムシークエンス)の2手法が行われているものと認識しております。
11ページ目、御覧ください。この両者につきまして確認すると、VNTRは大部分の自治体で実施されている一方、WGSは一部の自治体でしか実施されていないということが分かります。
左側がVNTRの実態でございますが、VNTRを全く実施していない自治体というのが20.6%でございますが、一方で、80%近くの自治体は何らかの形でVNTRを実施しているということになります。
一方で、右側、WGSに関する実態でございますが、全く実施していない自治体が逆に87%、8割を超えるような現状になっております。この実態につきまして、自治体のアンケート結果としましては、VNTRの実施については、自治体において菌株収集の割合は異なり、十分な解析が実施できていないというものがございますし、WGSを自分たちの自治体の中で実施するということに関して、具体的な方針が決まっていない。人材不足である等々の課題が挙げられているところでございます。
次のページからは、結核の分子疫学について、大阪市様のほうから取組を御報告いただきたいと思っております。こちらについても、事務局の後、御説明いただく形になりますが、一旦飛ばさせていただきます。
では、15ページ、御覧ください。都道府県等における結核病原体サーベイランスの現状と課題について、取りまとめております。
菌株収集については、都道府県等での病原体サーベイランスの確立のために、全ての結核菌株を収集することが必要である。特に、多剤耐性結核であるとか集団感染事例については、より重要性が高い一方で、医療機関・民間検査機関との連携、死亡事例の菌株収集への取組等が不十分であるということが分かっております。
薬剤感受性検査につきましては、医療機関において多剤耐性結核を含めた全ての結核に対する適切な治療が行われ、かつ、そのまん延を地域で防止するためには、感受性検査は陽性例について全例で実施する必要があると考えており、同時に、その結果については、都道府県等が把握する必要があると考えております。
一方で、培養陽性結核患者全数の薬剤感受性検査を把握していない自治体が2割程度存在しており、こちらについても、民間検査機関もしくは医療機関との情報共有のスキームの確立とか、死亡事例における実施などが課題とされております。
分子疫学的サーベイランスにおけるゲノム検査につきましては、結核菌に対するゲノム検査は、実地疫学調査を科学的に補強するという観点について、集団感染事例の評価などにおいて重要な役割を果たしておりますが、一方で、VNTRを用いた分子疫学的サーベイランスは約8割の都道府県等で実施されておりますが、WGSに関してはわずか13%にとどまることもあります。こういったものを実施する体制を確保することが求められるのではないかと考えております。
次のページ、御覧ください。これらを踏まえまして、事務局より御提示させていただきます。結核病原体サーベイランスの方向性についての案でございます。
都道府県等は、管内の医療機関・民間検査機関に対して、都道府県等からの感染症法に基づく結核菌株の共有の求めに応じて、死亡事例を含め、確実に菌株を提供する体制を構築するよう周知しつつ、全ての結核菌株を収集するよう努めてはどうか。その際、医療機関において、特に死亡事例を含めた全例を感染症法に基づいた届出を行うよう引き続き徹底してはどうか。
都道府県等は、医療機関・民間検査機関等で実施された表現型検査や迅速遺伝子検査等から得られた薬剤感受性検査の確実な把握を行う体制を確保してはどうかということ。
特に、薬剤感受性検査実施前に死亡した事例については、原則都道府県等を検査実施主体として、必要に応じて医療機関や民間検査機関に外部委託するなどし、確実な薬剤感受性検査の把握に努めてはどうか。
都道府県等は、ハイリスクグループにおける結核の発生状況や、地方衛生研究所における検査キャパシティ等を踏まえつつ、関係機関との連携の下、VNTRや全ゲノムシークエンス等を必要性及び実施可能性に応じて柔軟に活用しつつ、分子疫学的サーベイランスを実施する体制を確保してはどうかとさせていただいております。
なお、下に※書きで記載しておりますが、国が病原体サーベイランスについて果たすべき役割等については、次回以降の部会で改めて検討することとさせていただきたいと思っております。
以上、事務局から御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
○慶長部会長 事務局からの御説明ありがとうございます。
続いて、参考人の藤山様より、資料1の神戸市提出部分についての補足説明をお願いいたします。
○藤山参考人 神戸市保健所の藤山と申します。
神戸市の結核菌バンク事業として、結核菌の流行状況を把握し、感染経路を推定し、感染拡大防止に役立て、結核患者を減少させるということを目的に、平成15年度から開始しました。
平成12年に、神戸市では緊急5カ年結核対策指針を策定し、そこに調査研究を明記し、平成15年に結核対策特別促進事業として、市内の喀痰塗抹陽性患者の約7割が入院する病院から結核菌の収集を開始し、神戸市の地方衛生研究所である神戸市健康科学研究所で結核菌の感受性検査や分子疫学的解析・保存を開始しました。
結核病棟があるほかの病院、それから市民病院群にも徐々に収集体制を拡大し、平成19年に感染症法に統合されてからは、分子疫学的調査の第15条に基づく積極的疫学調査の一環となり、翌年から一般病院にも理解が得られるようになり(一般病院からも)結核菌の収集を開始しています。
平成23年、平成28年と、結核に関する特定感染症予防指針に明記され強化される間に、発生届が出てくる全ての医療機関に依頼し、自院で培養している病院からはもちろん、外注している医療機関からも理解が得られ、外注先の検査機関から直接健康科学研究所に菌を送ってもらうなどの協力が得られるようになり、さらに、一般の診療所からも協力が得られ、約10年の間に分離培養された結核菌の90%以上を回収できるようになりました。
次のページをお願いします。事業開始当初は、菌株をある程度まとめて運んでいましたが、徐々にタイムリーな収集・解析となり、主な病院からは月に一度、定期的に結核菌の譲渡を受け、外注先の検査機関でも菌が廃棄される前に受け取れるよう、公費負担の診査会後に速やかに依頼し、菌の確保に努め、さらに回収率を上げています。
図は、それぞれの部署でそれぞれの人が共通の目的を認識し、それぞれの役割を果たして情報を共有し、意識の向上と事業への理解につながり、さらに結核菌の回収率を上げ、事業を推進するという連携の図です。
まず、医療機関では医師が診断し、治療を開始し、発生届を看護師などメディカルスタッフが得た情報と一緒に保健所に届けます。医療機関では、結核菌の塗抹、培養、菌の同定、感受性検査まで必ず行っていただいています。保健所は、患者登録し、培養陽性を確認してリストを作成し、医療機関に送ります。医療機関で検査技師が実際に菌株を用意します。その際に、塗抹培養PCRはもちろん、菌の感受性検査までした結果もいただいています。
市内の医療機関で用意された菌株については、保健所の防疫手が菌を運んでいます。遠方の検査センターで検査されている外注の場合は、直接、健康科学研究所に業者を利用して搬送することもあります。健康科学研究所では、運び込まれた全ての結核菌を毎月20日過ぎにまとめてVNTR法による解析を行い、結果を月末までに出していただいて、その後、菌を保存してもらっています。迅速に結果が得られ、VNTR法によるクラスターの形成があるか否かを保健所の医師や保健師に示すので、その結果を基に耐性菌のクラスターでないか、大きいクラスターでないかなどをタイムリーに確認し、医療機関に返して臨床に役立てたり、接触者健診の検討に役立てたりしています。
また、実地疫学調査の結果と照らし合わせて、医療機関にも情報共有し、さらに調査を進め、2か月に一度、定例で健康科学研究所と保健所でミーティングを行い、情報共有を行っています。健康科学研究所では、平成28年の結核菌からは、全てに対し全ゲノム解析を実施しており、耐性遺伝子の有無や国外から流入してきているかどうかの推定や、ゲノムレベルでのクラスター形成を確認しています。令和7年は、Mycobacterium tuberculosis complexのうちのM.bovis, M.orygisを同定することもできています。そういうことが分かっていくという情報を医療機関にも返し、保健所の中でも共有していくことによって、さらに協力体制が充実していると思っています。
これらの情報を、医療機関へは年に一度の研修会で地域の流行状況を伝え、またDOTSカンファレンスやコホート検討会でも情報を共有しています。それぞれの立場の人間がそれぞれの役割を認識し、チームを大事にして患者に寄り添い、治療完遂に導く一方で、実地疫学調査も深めて、情報を菌株と一緒に保存し、後に菌の一致が判明したときにも患者情報があるようにしておく。また、継続して全ての分離株を収集し、保存・分析し、データを蓄積していく。これらの情報が適宜還元されて、さらに全体として感染拡大防止、結核患者の減少に向かっていくと考えています。
次のページお願いします。近年では、約110の病院・診療所及び17の検査センターに、結核菌株の譲渡について御協力いただいています。神戸市で結核患者を多数診ている病院は、院内で結核菌を培養しているところが多く、結核菌を収集しやすい状況と考えられ、1年に培養陽性となる例が120から150あるところ、回収できなかった例は1年に3から5例程度です。回収率が96から98%となっています。院内で結核菌を培養している医療機関からの回収が約6割、外注先の検査機関からの回収が約4割で、結核病棟のある病院からの回収と、それ以外の病院からの回収の割合は半々、年によっては後者のほうが約6割となるくらいです。たまにしか結核患者の届出がない医療機関にも迅速に連絡を取り、患者情報を確認するとともに、結核菌株の譲渡を依頼し、菌株を確保しています。
日頃からの連携と、携わる人たちの積極的疫学調査への理解と患者への支援、そして菌株を大事にする気持ちが結核患者を減らすという方向に向かって、この回収率につながっていると考えています。
以上です。ありがとうございます。
○慶長部会長 藤山先生、ありがとうございます。大変精力的に仕事を進めていただいている状況がよく分かりました。
それでは、続きまして、参考人の小向様より、資料1の大阪市提出分についての補足・説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○小向参考人 大阪市の小向です。
まず、左上の図を御覧ください。大阪市の結核分子疫学調査事業の概要を示しております。大阪市保健所、保健福祉センター、病院、そして地方衛生研究所である大安研、この4つが共同して実施しております。赤色の矢印で大安研と保健所の間をつないでいるところがあるかと思いますが、結核分子疫学検討会を定例で実施しておりまして、2025年度は3回行っておりました。内容としましては、VNTR型別一致例を中心にして疫学調査の情報の振り返りをしたり、情報共有等を行っております。
右上のところにこの事業の概要を示しておりますが、期待される主な効果のところを御覧ください。接触者健診における感染経路の解明であったり、疫学的に疑いがもたれなかった感染経路が究明されるケースがあったり、クラスターの評価なども行っております。
そして、左下に示したグラフを御覧いただけたらと思うのですけれども、培養陽性者から分離した結核菌株の搬送数をそちらに示しております。こちらを見ていただきますと、2024年データで見ますと300件を超える、400弱ぐらいの培養陽性株に対しまして、93%、菌株を搬送しているという状況になっております。
そして、右下のところにVNTRの概要を示しておりますけれども、先ほど事務局の方から御説明があったかと思いますけれども、大阪市では24Beijing-VNTRを実施しておりまして、そちらの下の表に一例として載せております24桁の数字で各菌株ごとにVNTRの型別の結果が載っております。例えば、患者丸1と患者丸2につきましては、型別の一致が見られないということになるのですけれども、患者丸3と患者丸4については、VNTRパターンが一致している。すなわち、クラスターを形成していて、患者間で関連がある可能性があるというふうに評価しています。
それでは、次のスライドをお願いします。こちらは活用事例を紹介した図ですけれども、まず、日本語教育機関での集団感染で分子疫学を活用した事例について御紹介したいと思います。
まず、患者A(20歳代)の方はX国出生の方なのですが、大阪市外在住の方でした。この方が感染性期間内に大阪市の日本語教育機関に在籍していたということで、調査の依頼がありました。接触者健診によりまして、患者B(20歳代)の方が同様にX国出生の方だったのですが、発見されまして、VNTRパターンが24領域、一致しました。また、それとは別で、当該学校とは全く無関係である、右側に示しました患者Cの方、60代の日本出生の方で、この方のVNTR型別を見たところ、この2人の方との一致が見られました。
そこで、これらにつきまして、先ほど申し上げました検討会で情報共有しまして、実地疫学情報の振り返りと、全ゲノムシークエンスに関しても大安研で見ていただきました。その結果、3株とも全ゲノム一致しておりまして、また、これらの株は北京型に分類され、X国由来株のコアゲノム系統樹解析より、X国に特徴的な系統であるということが示唆されました。また、表の一番右に記載しているのですけれども、実地疫学の情報を振り返ってみますと、患者Aの方は、大阪市在住時に患者Cと同アパートの同フロアに居住されていた方ということが分かりまして、患者AからCへアパートの共有部分で感染が生じた可能性が考えられました。
一番下のところにその評価といいますか、書いてありますけれども、VNTR分析によるスクリーニング、そして全ゲノムシークエンス等を行うこと、また実地疫学調査の組合せによって感染伝播の究明が可能となった事例を経験しました。本事例のような探知が早期にできますと、接触者健診など具体的な対策への活用が期待されるところです。
それでは、次のスライドを御覧ください。最後に、分子疫学の課題を示しております。
まず、左側にVNTRに主に関わるところを載せておりますが、2番目の菱形で示しておりますけれども、最初のスライドで申し上げましたとおり、9割は超えてきているのですけれども、全ての菌株を回収できていないという課題があります。破棄されているような株等もありますので、さらに回収率を高めるような工夫が必要と考えております。
また、3つ目の菱形で示しておりますが、400弱、毎年登録がありますけれども、予算上、全ての株に対してVNTR解析を実施することができないという状況がありますので、大阪市では、主に下に示しました5つの項目を優先して実施しております。疫学情報で明らかな関連があるケースや若年、外国出生、MDR、そして発生状況を踏まえた特定の地域等の患者を中心に行って、近年は9割弱の実施となっております。こういった課題があります。
右側の全ゲノムシークエンスのところも御覧いただけたらと思うのですが、全ゲノムにつきましては、VNTRよりも解像度が高く、より精緻に感染経路を解明できる可能性があります。しかし、コストであったり、所要時間、マンパワー、実施体制の構築、データ管理について課題があります。また、自治体を越えて全国的にデータを共有するためのスキームがありませんので、国内の状況を俯瞰できるような状態には至っていないと感じております。これらの病原体サーベイランスの実施に関しまして、予防指針等で有用性が明記されることによって、データ収集が円滑になり、対策に生かされることが期待されると考えております。
下のところを見ていただければと思うのですが、ほかの課題としましては、分子疫学事業によって得られた結果を対策に生かすために、現場、我々の中で保健福祉センターを主に考えているのですけれども、保健福祉センターへの還元方法というのが、課題としてはまだ十分解決できていないと考えております。VNTRでありますと24桁の数字が出てくるのですが、その数字をお返しするというだけでは対策に生かすことができませんので、今後、どのように還元していくかということを検討していきたいと思っています。
また、2つ目のところですけれども、どのような解析方法を行っても、実地疫学情報というのはとても重要になります。このスキルアップによって、実地疫学調査の質の向上というところも考えていく必要があると思います。
また、最後のところは繰り返しになりますけれども、このデータを自治体を越えて広域的に活用していくためには、個人情報とか運用面でまだ課題が残されていると感じております。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○慶長部会長 小向様、ありがとうございました。実際の具体例も出していただきまして、この分子疫学の手法が大変に重要であるというのが理解されたのではないかと思います。
それでは、議論いただく前に、本日、そういった実際解析をされている三﨑委員があいにく御欠席ということで、事前に御意見をいただいているということですので、事務局から代読いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 事務局でございます。
三﨑委員の御意見を代読させていただきます。
結核の病原体サーベイランスについて、前向きに進めていただき感謝いたします。
結核は潜伏期間が長いため、疫学調査の際には担当者が大変苦労しております。分子疫学解析を確実に実施することでリンクを可視化し、潜在的アウトブレイクの早期発見や隠れた感染源の探索、調査の精度の向上などに役立てることができると思います。
例えば、川崎市では、分子疫学解析については2015年からVNTR解析を、2025年からはWGS解析を事業として実施しており、医療機関から送っていただいた菌株は菌バンクとして保存しております。分子疫学解析が重要と考えた一例を挙げますと、孤発と思われた患者さんのVNTRの結果が数年前のアウトブレイク事例と一致したことがあり、念のためさらにWGS解析を行ったところ、同一であると判断されたことがありました。この結果を基に遡って調査や聞き取りをした結果、過去のアウトブレイクにおける接触者であり、当初の接触者調査では感染がないとして除外された方であることが分かりました。
このように疫学調査のみでは限界があるような事例においても、分子疫学解析結果と組み合わせることでリンクを確認し、さらに調査を進めることが可能となり、担当するスタッフの労力の削減にもつながるのではないかと考えます。
また、VNTR解析については、川崎市では結核研究所の先生方の御指導の下に24Beijing-VNTRという方法を採用しているところです。可能であれば国内において同じ方法で統一し、地方衛生研究所同士が連携して広域事例に対応できると、早期発見や感染源の探索につながり、結果を患者さんに還元できるのではないかと考えております。
国内での結核の報告数が減少してくると、特にその必要性は高くなると思いますので、全ての菌株を確実に収集して菌バンクという形で保存し、関連を明確にできるような体制をぜひ構築していただきたいと思います。
以上になります。
○慶長部会長 ありがとうございました。
三﨑委員からは、第13回のときに御発言をいただきまして、そのときには全結核患者の菌株の確保を目指して、それをゲノム解析してほしいというお話がありまして、そのときに私のほうから、ゲノム解析とおっしゃるのはVNTRまでのお話でしょうかとお聞きしましたら、VNTRはかなりの自治体でやっているので、今後は全ゲノム解析まで加えていくほうがよろしいのではないかというような御意見をいただいたのを覚えております。
このお話というのは、実際のところ、かなり専門的なところが大きいので、実際に関わっていらっしゃる方は当然というふうにお考えかもしれませんけれども、そうでもない方に関しては非常に分かりにくい話であろうかと思います。今回の方向性について、今、出していただいているものを見ますと、全部の菌株に関して、これはもともと現行の予防指針の中でも、全ての菌株を収集するように努めてはどうかと書かれているわけですね。ですから、そういう意味合いでは引き続きということになるのではないかと思います。
もう一つは、薬剤耐性の問題というのは大きくなってきているので、その薬剤耐性に関しての実際のデータをしっかりと把握しなければいけないということが2番目にありました。
それから、今、大阪市の話、神戸の話をいただきましたけれども、分子疫学というのは、結核は人から人へ伝播していくものですので、どういう方向でどういう形でうつっていくのか、その辺のところをはっきりさせないとどんどん広がってしまうわけです。その広がりを何とか明らかにするために菌株の情報を使って、二つの菌が同じ菌であって、別の人から同定されるのであれば、それはうつったのだというシンプルな話ですが。
その辺のところの連鎖をどういう形で解析していくかということで手法が幾つかあって、お話がありましたけれども、VNTRというものがずっとやられてきたのだけれども、WGSという手法が現在は世界標準になってきて、日本でもそういったことを取り入れていく必要性が出てきているのでは、というふうにまとめられるのではないかと思います。この件に関して、事務局の説明も踏まえて、何か御意見、御質問等ありますでしょうか。
大角先生、どうぞ。
○大角委員 この分子疫学の情報、特にWGSの情報を全国で収集するようにする、もしくは広域で収集するようにする方向が、この方針の最後のスライドの中ではちょっと見えなくなっています。国が何するかというのは次に議論します、ということですが、まずは都道府県でということで記載されていて。結局、大阪市さん、神戸市さん、川崎市さんもそうだったと思うのですけれども、自治体を越えての分子疫学情報共有がないと、分子疫学情報の有用性というのはなかなか限界がある状況は明らかかなと思います。先ほどの大阪市の小向先生からの報告、最後のスライドにありましたけれども、広域で分子疫学の情報を共有する課題の中で、個人情報の共有のことをおっしゃっていらっしゃると思いました。
そこで、分子疫学の情報を蓄積するために全結核菌を集めてWGSを実施し、その結果を地方自治体にタイムリーにフィードバックする体制づくり、そのための病原体サーベイランスを構築する場合に、壁になっている個人情報の共有について、積極的疫学調査の一環で実施していることをはっきりと確認する必要があると思います。地方自治体間で個人情報の共有も含めた情報共有という壁に対応するということがないと駄目と思いましたが、いかがでしょうか。
○慶長部会長 この点に関して、何か事務局から追加ないしコメントをいただくことはできますでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
御指摘いただいているのは、一元的な情報サーベイランス体制が必要ではないか、収集する体制が必要ではないかという御指摘でしょうか。という理解でよろしければ。
○大角委員 そうだと思います。だから、都道府県レベルで情報解析して蓄積して、それをシェアするというのは一元的というところにつながるかなと思うのです。いずれにしても、地方自治体を越えた情報共有ができないと、分子疫学の情報収集、フィードバック、そしてそれを実地の疫学に用いていくという体制がなかなかできないというがあろうかと思います。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
情報共有という点の有用性について、我々も認識しておりますし、それに対してどういった体制を取っていくのかということは、検討の余地が十分にあると思っております。一方で、今後、一元的な情報共有ネットワークであるとか、一元的なリポジトリ的なものをつくっていくのかという話になってくると、そのコストベネフィットとか実現可能性、実効性といった様々な論点を確認していく必要があるのではないかなと思っております。
一方で、現在の感染症法の中における情報収集とか積極的疫学調査における主体的なものは自治体等という表現をしている関係上、そこが主体となりながら進めていただくに当たって、どういった形のVNTRを、自治体等でも実施できる体制とかを含めた分子疫学的検査が自治体等でもできる体制をしっかり組んでいくということを、まず指針の中で打ち出していく。実施主体としては、基本的には自治体等で実施していきながら、情報共有に当たって、どのような体制が考えられるのかということは、そこに恐らく国といった枠組みが関わってくるかと思います。
なので、それは今後検討ですというところがよろしいのではないかと思っており、現在、国がどのような形でこのサーベイランスに関わるのかということについては、我々の中でもお諮りするに当たっての検討の時間が少し必要かと思っておりますので、そのような形で、今回方向性(案)という形で出させていただいております。
○大角委員 承知しました。
○慶長部会長 これは広域に広がっていく感染症全体の問題として、統一的なものが最終的にはでき上がることが望ましいと考えていらっしゃるのでしょうか、結核のみならず。事務局への御質問です。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
全ての感染症法に規定される感染症が一元的に情報共有され、必要に応じたサーベイランスを全ての感染症で実施するというのは、確かに言ってみれば理想的ではありますが、それを確実に実施するためのものを改めてつくっていくのか、結核を含めて全ての感染症にというのは、そこはどこまでの未来像を描きながら考えていくのかということになってくるかなというふうに考えています。現状においては、結核というのが、特に感染症の症例数とか長期間に及ぶ潜伏期間の観点から、濃厚接触者とか感染者をたどるのが難しいという特性に応じて御意見いただいているものと考えておりますので、共有体制というものにおいて、どういった枠組みが考えられるのかというところは今後の議論だと思っております。
○慶長部会長 ありがとうございました。
佐々木先生、よろしくお願いします。
○佐々木委員 ありがとうございます。
私は臨床医でありますので、患者さんが感染して発病したときの社会的ダメージというものがございますので、これらの感染症サーベイランスの情報を、先ほど全ての患者さんにお返しするという言い方で表現されておられたのですが、患者さんにお返しするところまでは行き過ぎかなと思っております。なぜかといいますと、積極的疫学調査をして感染経路を判明しても、患者さんは治るわけではないということがございますので、それはあくまで今後の予防のためにやるという形になります。
ですので、もしこういう形で広域にやるのであれば、国としてもう少し積極的疫学調査の倫理的な背景を、まず自治体に説明していただいて、積極的疫学調査で国全体として何が得られるのかという。国として何かをやるというよりも、倫理的な指針を示していただいて、その中で自治体がどう考えるかということ、あるいはどこまでできるかということを、自治体がまず考えるという形にしないと、個人情報の観点から、自治体もどこまでできるのかということが分からないのではないかと思います。例えば、個人と個人を結びつけると、思いもよらない関係が見えてくることがもしあったとしたら、それは患者さんにとって知らないほうがいい情報も出てくる可能性があります。
ですので、これは取扱いが非常に難しい。人と人の接触を過去に振り返って結びつけてしまうものなので、積極的疫学調査、ここまでは国としては、情報は共有するけれども、ここからはある程度患者さんの情報というのは、どこまでの期間でしか公開しない。だから、自治体としてはこういうふうにやってくださいみたいな形で国としての倫理的な姿勢を出していただいて、その上で、自治体同士で情報を共有するという形で出していただいたほうが無難ではないかなというふうに思っております。
以上です。
○慶長部会長 ありがとうございます。
その点に関しては、何か事務局からコメントございますでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
御指摘は、個人情報の意義というか、どこまでを出せるのかといった点なのかなというふうにお聞きしておりましたが、少なくとも自治体が実施する感染症法に基づいた積極的疫学調査に当たって、最低限必要な個人情報というものについては整理できているのではないかなというふうに考えています。それが十分に伝わっていないのではないかという御指摘であれば、我々としても改めてしっかりと示していく形かと思いますし、今回、大阪市様などでいただいていた意見が、県をまたぐとか自治体をまたぐような形の中において、どう扱うのかという点についての個人情報の御議論だったかと思っています。
自治体をまたぐパターンというのは、もちろん結核以外にも、例えば麻疹のような非常に感染力の強い感染症に対して、濃厚接触者であることが確認された場合、自治体間をまたぎながら情報共有していくというプロセスも存在しております。ただ、その活用に当たって、濃厚接触者に対する積極的疫学調査が感染拡大防止という観点に立った際に、必要性というところは十分理解されるものの、それが例えば今回御指摘いただいている分子疫学的な手法に当たるまで、それを使っていいのかどうかということに関しての御議論という観点であれば、少し整理が必要かなというふうに感じております。
ただ一方で、繰り返しになってしまいますが、感染拡大を防止するという公衆衛生学的目的に応じて、必要な個人情報を自治体の中で収集する、あるいは感染症に応じて自治体間をまたいだ情報共有を行うということに関しては、一定整理は行われており、それを既に自治体等の中では活用されているものとは認識しておりますが、改めて、それについて自治体の中で認識とかのずれがあるのではないかという御指摘であれば、様々な機会を通じてお伝えしていくということは、我々としてもやっていくべきかなというふうに考えております。
○佐々木委員 私が申しましたのは、一番後のところで、扱う機関が多くなれば多くなるほど、整理をきちんとしておかないと大変なことになってしまう可能性はあるというふうに思っております。特に、結核の場合は、麻疹と違って即座に発病しないので、過去に遡って接触していたことがあるみたいなことが分かってしまったとき、何らかの通常の感染症と違うことが起きてしまう可能性があります。ですので、1年とか2年前に接触者とか、そういうことが出てきてしまうときに何が起こるか、ちょっと理解できないので、先ほどの分子疫学的手法による解析が最終的に患者さんに還元されるということは、ちょっとやめていただきたいなというふうに思っております。
以上です。
○慶長部会長 ありがとうございます。
還元するしないに関して、方向性の案の中には特にうたわれていないところだと思いますので、個人の意見だというふうに理解しますが、劔先生、どうぞ。
○劔委員 すみません、熊本県の劔です。
広域で一元化して共有して感染対策にという、大角先生がおっしゃっていたことに後押しの意見なのですけれども、技能実習生の感染者がすごく増えていて、最近、短期間で就業先を移転して追えなくなってしまうようなケースも保健所ではぱらぱら散見されているので、広域で共有するとか、追えるというのは、今後さらに重要になっていくかなと思いますので、ぜひお願いします。
あと、全部の自治体で分子疫学的調査ができるかというと、地衛研の体制が影響していることもあると思うので、そちらの御支援等もお願いできればと思います。
以上です。
○慶長部会長 ありがとうございます。
劔先生としても、全株あるいは全自治体でそういった支援があればやるべきであるということに関しては、異論はないということでよろしいですね。
○劔委員 そうです。よろしくお願いします。
○慶長部会長 ほか、いかがでしょうか。
方向性として書かれているところ、非常にリーズナブルなものであろうというふうに私、個人的には思いましたけれども、それ自体に関しても、何か、いや、ここがということがあればお聞きしておきたいと思いますが、大丈夫でしょうか。
特に、私どもも研究で WGS(ホールゲノムシークエンス)をやる機会がありますので、そうしますと、分子疫学の部分だけではなくて、薬剤の感受性に関わる情報、あるいはどこの由来の株であるかということもかなり分かりますので、非常に有用性が高い方法だというふうに認識しております。ぜひそういった形で広げていただければという、これは多分、三﨑先生の考えもそれと一致しているものだというふうに理解しております。よろしいでしょうか。
それでは、方向性に関しましては、御異議がなければ、それで進めさせていただきたいと思います。
(首肯する委員あり)
○慶長部会長 それでは、了承ということでまとめさせていただきたいと思います。
では、時間もたっておりますので、続いて、議題(2)に移らせていただきます。「感染症法に基づく結核に係る健康診断の方法の一部改正(案)について」ということで、資料について事務局から御説明をお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 引き続きまして、資料2について御説明させていただきます。「感染症法に基づく結核に係る健康診断の方法の一部改正(案)について」でございます。
1枚おめくりください。現状と課題でございます。
感染症法第53条の2において、事業者、学校の長若しくは施設の長又は市町村長は結核の定期健康診断を行うこととされており、本規定によって行うべき健康診断の方法については、感染症法第53条の9及び感染症法施行規則第27条の2の2により「喀痰検査、胸部エックス線検査、聴診、打診その他必要な検査」とされております。
感染症法第53条の13において、保健所長は、結核の予防又は医療上必要があると認めるときは、胸部エックス線検査その他厚生労働省令で定める方法による精密検査を行うものとされており、本規定によって行うべき健康診断の方法について、感染症法施行規則第27条の9により「結核菌検査、聴診、打診その他必要な検査」とされています。
この「行うべき健康診断の方法」に係る規定については、一部実態に即していないのではないかというふうに御指摘をいただいております。例えば、胸部エックス線検査等に比較して優先度が必ずしも高くない身体診察の手法(聴診、打診)が含まれている一方、結核性リンパ節炎を念頭に置いたリンパ節腫脹触診等、結核発見に有用な診察についての記載がないこと。聴診、打診等の必要な診察については、定期健康診断で行うべきものであり、精密検査で初めて行うべきものではないことなどが挙げられております。
これらの意見を踏まえ、方針(案)として提示させていただきたいのが、結核に係る健康診断の実態を踏まえ、感染症法施行規則第27条の2の2における「行うべき健康診断の方法」に係る規定から「喀痰検査」「聴診」及び「打診」を削除し、同施行規則第27条の9における規定から同様に「聴診」及び「打診」を削除した上で、実際の健診手順を踏まえた記載に改正することとしてはどうかとさせていただきたいと考えております。
改正案につきましては、現行と改正後案をつけた形で示させていただいております。
以降のページは参考例となりますので、また御覧いただければと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
○慶長部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局からの説明を踏まえて、何か御意見、御質問ありますでしょうか。身体診察をやるなとか、そういうことではないわけですね。今の話ですと、むしろ精密健診ということで、その他必要な検査も含めてというようなお話だったと思いますが、何かございますでしょうか。これはよろしいでしょうか。
臨床のほうの先生方からも特別な御意見がなければ、これに関しては特段の異論はないということで了承したということで進めてよろしいでしょうか。
○早川委員 国立国際医療センターの早川です。
特に臨床的に異論はございません。
(首肯する委員あり)
○慶長部会長 ありがとうございます。
それでは、この議題に関しましては、部会として了承ということでまとめさせていただければと思います。ありがとうございます。
続いて、議題(3)ですが、「結核ハイリスクグループの整理を踏まえた結核対策の強化について」ということで、資料3について事務局から御説明をお願いいたします。
○小谷結核対策推進室長 引き続きまして、資料3について御説明させていただきます。「結核ハイリスクグループの整理を踏まえた結核対策の強化について」でございます。
1枚おめくりください。日本におけるハイリスクグループの考え方につきましてまとめております。結核に関する特定感染症予防指針において、「結核発症の危険性が高いとされる幾つかの特定の集団」を「ハイリスクグループ」として定義し、特に早期発見や感染経路の把握が重要である旨を多面的に周知すべきこととされています。
1枚おめくりください。現在、御存じいただいているとおり、入国前結核スクリーニングというものが実施されております。入国前結核スクリーニングにつきましては、我が国における外国出生者の新規登録結核患者数の上位6か国について、2016年以降固定されており、令和6年はインドネシア、フィリピン、ネパール、ミャンマー、ベトナム、中国の順で多くありました。
ですので、こういった国々に対して入国前結核スクリーニング(JPETS)を、現在はフィリピン、ネパール、ベトナムに対して開始しているところでございます。
1枚おめくりください。結核ハイリスクグループの考え方につきまして、基本コンセプトとしましては、特定の地域や状況におけるリスク要因の分布の把握という観点に関して、患者中心で基本的人権に基づく結核医療提供体制を最適かつ公平に提供する上で重要であり、UHCやSDGsの達成にも寄与するとされています。
その中で、WHOからは、ハイリスクグループの考え方として以下の3つが提唱されており、患者や集団ごとに結核発症リスクを整理することが重要であるとされています。3つのグループとは、社会的・人口学的要因、生物学的・健康関連要因、構造的要因という3つの要因が提示されているところでございます。
次のページおめくりください。外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定の考え方につきまして、現状では、現行の「指針」の中で、結核の高まん延地域を管轄する市町村において、結核の発症率が高い住民層に対する定期の健康診断、その他の結核対策を総合的に講じつつ、人権の保護に十分配慮することを求めております。
文部科学省からは、児童生徒等の健康診断における「結核高まん延国」の対象を事務連絡で整理しております。その考え方としては、WHOが示すhigh burden countriesに、これらと同程度に結核の推定罹患率の高い国及び地域を加えたものを対象として取り扱っております。
課題としまして、基本的人権に基づく効果的な結核医療提供体制を強化することを目的とし、外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定についての具体的な考え方を示す必要があるものと考えております。
こちらを踏まえまして、現在、事務局からの方針(案)としまして出させていただいております。国は、外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定における1つの考え方として、児童生徒等の健康診断における「結核高まん延国」の考え方と同様に、WHOの「The global lists of high burden countries for TB, TB/HIV and MDR/RR-TB」に入っている国に加えて、うち「結核患者」が30か国の中で最も罹患率が低い国の罹患率以上の結核罹患率を有する国若しくは地域の出身者又はその国若しくは地域に一定期間以上滞在したことがある者、と整理してはどうかと考えております。
この定義は少しややこしいので、次のページでイメージ図として示しております。丸1と丸2がございますが、丸1はWHOの定めるhigh burden countriesに含まれる国として3つ、結核患者、多剤耐性及びリファンピシン耐性結核患者、HIV合併結核患者の項目がございます。この丸1に含まれないものの、上記「結核患者」30か国に含まれる国のうち、最も罹患率が低い国以上の罹患率を有する国若しくは地域を対象としてはどうか。この丸1と丸2を併せたものを対象としてはどうかというふうに考えているところでございます。
次のページを御覧ください。併せて、結核早期発見に関する啓発の方向性についてです。
国は、結核早期発見対策の強化や結核患者の人権保護を目的として、外国出生者に対する定期健康診断の対象者の設定の考え方をWHOの「The global lists of high burden countries for TB,TB/HIV and MDR/RR-TB」に含まれる国に加え、うち「結核患者」30か国の中で最も罹患率が低い国の罹患率以上の結核罹患率を有する国若しくは地域の出身者又はその国若しくは地域に一定期間以上滞在したことがある者として、また、結核ハイリスクグループを同じくWHOの考え方を用いてそれぞれ整理した上で、入国後の外国出生者における結核対策の強化について引き続き注意を呼びかけながら、以下のような取組を進めることで、国内の結核対策の強化につなげてはどうかとしております。
項目としては、大きく3つ。
都道府県は、外国出生者に対する定期健康診断の対象者設定の考え方を考慮しつつ、他のハイリスク因子や地域の結核の発生状況等を踏まえ、定期健康診断その他の結核対策を強化する。
医療機関は、特にハイリスクグループかつ結核を疑う症状を認める者等に対し、積極的に結核早期発見を目的とした検査を行う等、結核患者の早期発見対策を強化する。
学校及び日本語学校並びに受入れ企業等、送出機関及び監理団体等の関係機関においては、結核を疑う症状を認めた者について、医療機関への受診を促すとともに、結核の正しい知識を踏まえ、個人の権利が大きく損なわれることのないよう細心の注意を図ることとする、としてはどうかと考えております。
以上になります。
○慶長部会長 ありがとうございます。
ハイリスクグループ、特に外国出生者ですけれども、それでは、事務局からの説明を踏まえて、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
私から1つだけ。文科省のほうの今後の方針というのは、今、お書きいただいた方向性と連動していくような形になるのでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおりでございます。基本的には同じ考え方で設定しておりますので、こうした形で取り組ませていただければと思っております。
○慶長部会長 ありがとうございます。
何かございますでしょうか。
木添先生、どうぞ。
○木添委員 木添です。
よく整理していただいたのかなと考えております。方針(案)まとめの最後に学校及び日本語学校というような文言が書いてありますけれども、この文章によって、保健所においても啓発がしやすくなるのではないかなというふうに考えておりますので、この文章があってよかったと私は考えております。ありがとうございます。
○慶長部会長 ありがとうございます。
ほかにコメントとか質問。
大角先生、どうぞ。
○大角委員 すみません、大角です。
確認ですが、結核高まん延国はここですよというのは、厚労省としては毎年、WHOに併せて、こうなっていますということを整理して公表することにするのでしょうか。学校健診の結核健診は、一応フィックスして、その後新しく出すまでこれでいきましょうということになっていると思います。毎年変えることはしていない。そこに関して、これは対象国が変わりますというのを毎年WHOの発表によるとこうなりますということを厚労省のホームページか何かで確認するということになるのでしょうか。
スライド6の※6、一番下のところ、2024年では中国とブラジル。中国は50いくつ、ブラジルは50を切っている。これも動きますというところですね。そこに関して動くというのは事実としてそうなのであれですけれども、毎年4月の時点でこうでしたとか、そこはどうする予定ですか。公表に関しての対応というのはどうするのでしょうか。
○慶長部会長 これも恐らく文科省との連動ということがあると思うのですけれども、事務局から今、何か回答できることはありますでしょうか。
○小谷結核対策推進室長 ありがとうございます。
公表の仕方等については、また我々のほうでもしっかり考えさせていただきたいと思っておりますが、WHOのこのhigh burden countries自身は、およそ5年おきぐらいに更新されているので、データとして収集されているとは認識しておりますが、毎年更新していくというものではないと認識しております。その上で、どのような形で公表していくのか、公開していくのが適切かということは、改めてまたよく検討させていただければと思います。
○大角委員 ありがとうございます。
WHOのほうでターゲットカントリーとして30か国を前回選んでいて、それが新しく更新されたときにそれを連動させるというのがいいのではないかと思います。毎年変えていくと、それはまた大変ですね。大きなところではあまり変わらないのではないかと思うのですが、結構な国のリストが上がってくるので、それを毎年確認するというのは必要ないのかなというふうに私も思います。
以上です。
○慶長部会長 恐らく、これまでも同じような意味合いで、文科省でやってこられたときは毎年ということはやっていなかったのではないかと理解しています。
○大角委員 していないと思います。
○慶長部会長 よろしくお願いいたします。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
こちらに関しましても、特段の異論がないようでしたらば、議題(3)につきましては、部会として了承というふうにまとめさせていただければと思いますが、この3題に関しましては、特に1題目の問題が非常に大きかったと思いますし、恐らく実際に関わっていない方にとっては、非常に分かりにくい内容だったように思います。これは難しいのですけれども、少し時間がまだあると思いますので、補足とか、ここは本当はもっとはっきりさせたかったということがあればお聞きしたいと思いますけれども、大丈夫でしょうか。
(首肯する委員あり)
○慶長部会長 別に手が挙がらないようでしたらば、本日の議題(1)から(3)に関しましては、方向性については、そのとおりということでまとめさせていただければと思います。
それでは、事務局のほうにお返しいたします。
○小谷結核対策推進室長 皆様、ありがとうございました。
本日の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと思います。
この後、当方で記者ブリーフィングとして議事の概要を説明させていただく予定としております。
また、次回については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
本日はお忙しい中、皆様、御参加いただきありがとうございました。

