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2018年6月25日 第4回労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会 議事録

○日時

平成30年6月25日(月) 14:00~16:00

 

○場所

労働委員会会館 講堂

○議題

(1)健康情報の事業場内での取扱いルールに関することについて
(2)その他
 

○議事

○富賀見室長補佐 土肥先生は30分ほど遅れるという御連絡をいただいております。それ以外の皆様方はおそろいですので、第4回の検討会を始めさせていただきます。もし、カメラ撮影などありましたらここまでとさせていただきます。
本日は欠席されている委員は森先生です。今回は委員のほうに1名変更がありましたので紹介させていただきます。日本看護協会の中板委員から鎌田委員に変更になっております。
○鎌田委員 鎌田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○富賀見室長補佐 それでは座長、お願いしたいと思います。
○座長 皆さんこんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。それでは、資料の説明をお願いいたします。
○富賀見室長補佐 本日の資料です。1枚目は次第、次に資料1、(骨子案)、資料2、これも骨子案の別の1枚物、参考資料1は前回の議事録、参考資料2、要綱、参考資料3は委員名簿となっております。お手元に不足等がありましたら、事務局まで申し出てください。以上です。
○座長 それでは、資料1の骨子案について事務局から説明をお願いいたします。
○富賀見室長補佐 お手元の資料1、2の説明させていただきます。資料1は骨子案、これまでも各委員に御議論いただいてきたもので、前回も幾つか御指摘・御議論いただきましたので、それを踏まえて反映しているものです。事前に送付させていただいてますので、詳細は割愛しますが、大きく変えた所だけ紹介しますと、2ページ、2の(5)、不利益取扱いの例示などです。ここは、ほぼ、文章の形になっておりますが、これは平成27年11月にストレスチェック指針を作るときに、この不利益取扱いの例示等もずいぶん御議論いただいた経緯もありまして、その並びで幾つかの指針を改正したものがありました。
そういった過去のものを当てはめるのがよろしかろうという御意見をいただいていましたので、その当時に改正した「健康診断結果を踏まえた事後措置指針」の構成が今回のものにも当てはめやすい形でしたので、その整理を(5)マル1マル2マル3というところで準用させていただいております。
あとは3の(1)も岡村村先生に御意見をいただきながら修正しております。(2)の所は、前回は文章で書いてありまして、ちょっと見にくかったり一覧性という意味で不足もありましたので、表の形で改めて整理させていただいております。
4ページから、資料上修正が間に合っておりませんので、お手元で修正をお願いしたいのですが、この修正の過程で項ずれがあり、それが反映できてない部分があります。(3)の3行目「上記(3)」となっているのは「(2)」に修正してください。その下、「また」書きの所で、また「上記(3)」、これも同様に「(2)」に修正いただきたいと思います。次の「(5)」が「(4)」、「(6)」も「(5)」、その文中、5ページ、上から4行目「(3)のマル2」は「(2)」の間違いです。
最後の4、健康情報の適正管理の(4)ですが、事前説明の際に岡村委員のほうから追加の御指摘がありまして、(4)を新しく追加しております。事前送付にこの部分が間に合っておらず、委員の皆様には、ここで改めて初めて御覧になる部分かと存じますが御了承いただき、また御確認いただければと思います。
資料2ですが、これは今まで骨子案の検討に当たって議論が必要ではないかと、皆様方から御提案いただいていた項目を、これまで備忘録的に付けておりました。なお、各項目につきましては、この場で、これらを踏まえた御意見はおおむね頂戴したものと考えております。骨子案そのものではありませんので、今回資料として切り離して、1枚物として添付しております。御議論し足りない項目がないかを最後に皆様方に御確認いただければと思います。以上です。
○座長 それではまず、資料1につきまして委員の皆さまから御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。
○岡村委員 短時間の間にいろんな修正をまとめていただき、どうもありがとうございました。その上で、事前に今、少し申し上げたのですが、4ページの印刷物では(5)になって、今、修正で(4)ですよということをおっしゃった黒ポツの3つ目の所に、1番目の黒ポつにも使用目的、3番目も使用目的というのがございます。これは個人情報保護法にいうところの利用目的であって、厚労省の従前の関係規定等々からすると使用目的という言葉をお使いになっている関係上、それと齟齬がないような形でこのお言葉をお使いになっていると理解しておりますけれども、これは、問題は使用目的と利用目的と両方、並べなくてはならないのかという誤解が生じないようにお願いしたいので、例えばこれに注を付ける、この使用目的というのは、個人情報保護法でいうところの利用目的の意味であるという注を付けるというやり方も1つあろうかと存じますし、あるいは今後、肉付けしていく中で、Q&A等々でそこを明らかにしていただくという方法もあろうかと思いますし、何らかの方策で使用目的と利用目的を2つ重ねて作る必要はないのであることを、明確化していただくようお願いしたいと思います。でないと、使用者も労働者のほうも両方とも混乱するということになっても困りますので是非ともお願いいたします。以上です。
○座長 何らかの形で付け加えていただくということでよろしいですか。
○富賀見室長補佐 そうですね、誤解ないように工夫します。
○岡村委員 お願いいたします。
○座長 ほかにはいかがでしょうか。
○増田委員 1ページ目の1の(1)(2)(3)と読みますと、(2)と(3)だけ見ますと、これを初めて読んだ方は、「要配慮個人情報」についても事業場ごとにルールを定めたら取り扱ってよいというように誤解してしまうのではないかと思いますので、そうではないということが分かるような書きぶりにしていただくといいのではないかと思います。
○座長 どこをどう、書くとよろしいでしょうか。
○増田委員 具体的な書き方についてはまだ考えてなかったのですが、(2)と(3)だけを読みますと、特に、産業保健の現場にいて健康情報を取り扱っている人が読みますと、この(1)の内容は当然、理解しているはずなのですが、それに続いてこの(2)(3)と読みますと、「要配慮個人情報」であってもそれぞれの事業場でルールを決めたら、例えば、個別の同意ではなくて一括同意で収集していいというように読んでしまうのではないかと思います。あくまでも(2)(3)は要配慮個人情報以外のお話だと理解していますので、それが分かるように、ただし書か何かを入れていただければいいのではないかと思います。
○座長 いかがでしょうか。これは機密性が高い情報である。ちょっとどう書いていいか、私も分からないのでコメントいただけますか。
○富賀見室長補佐 文章でちょっと書いてみて、また、個情委とか、先生にも御相談させていただきながら整えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○座長 よろしくお願いいたします。
○岡村委員 一番、異論がないやり方として、(1)の最後の行に近い所に、健康情報の適切な取扱いのためのというのがありますが、その前に「関係法令の範囲内で、」というのを付ければ、特に異論はないのではなかろうかと。法令に従うというのは当り前のことでありますので、それであれば、先生が御心配の何やっても、どんなルーリングでも構わないというような話にはならないのではないかと。更に念のため、入れるのであれば、(2)の1行目のルールについての所に、上記ルールについてはというような形をすればなおさら、上記を踏まえたというような形になろうかと存じますので、そういうやり方もあるのではなかろうかということで一例として申し上げた次第です。以上です。
○座長 では、三柴先生。
○三柴委員 前回の検討会はお休みをしていたのですけれども議事録は拝見しまして、これは岡村先生が、今言われたことに結論的にはなるのかもしれませんけれども、前回、交わされていた議論で、要配慮個人情報であるものについては、平成27年改正でオプトアウトが許されなくなったということと、個別同意でなければならないことが結び付けて考えられていたのではないかと。
○岡村委員 所属に対しての事前同意がいると。
○三柴委員 その事前同意は包括同意でも良いのではないかと思うのです。要するに、同意の取り方については、多様性が一定程度認められているのではないかということが1つ。それと関連して、健康情報の取扱いの適正化というのを目的にする場合に、やはり念頭に置いておかないといけないのは、以前にジャーマンウイングスというドイツの航空会社のパイロットがうつ病なりにかかっていて、相当数の死者を出す事故を起こした。本人は主治医にかかっていたのだけれども、その情報が会社には知らされず、会社の産業医にも知らされず、結果として非常に痛ましい事故を起こしている。
だから、健康情報の取扱いというのは、一方でプライバシーを保護する必要があるけれども、他方ではその労働者本人とその周囲の健康もきちんと視野に入れて適正化をしないといけない。ただ、ルールで締めつけを強化するというのではいけない。今の例は、もちろん個情法でも、一定の正当化が図られるのでしょうが、適正な運用を強調しないと、内閣府などから報告書も出ているように、過剰反応を生んでしまう。ですので、包括同意ではいけないという議論にしてしまうことには疑問を感じております。あと、それに関連して申し上げたいことあるのですけれども、また、該当の箇所において申し上げたいと思います。
○座長 三柴先生の今の御意見は、先ほどの岡村先生の修正意見に対する御意見ということですか。
○三柴委員 そうです。ですので、結論的には、岡村先生の御意見に賛成です。法令を守っていれば良いということでいいと思うのです。ただし、個別同意でないといけないという書き方は避けていただいたほうがいいのではないかと。
○座長 それは別な箇所で出てきますかね。では、忘れないように留意をしておきますが、ほかにこの所について御意見ございますでしょうか。
○栗原委員 実は今、ルールのところで、2の(1)(2)とあるのですけれども、1ページ、実は、前回いただいた資料の中には、(1)と(2)の間に(2)として、ルールに定める事項には、マル1健康情報の取扱いの目的、マル2健康情報を取扱う者及び権限とうんぬんという形で5項目ほど取り上げてあったのですね。実は今回、それが削除されている。私たちのほうで拝見していまして、非常に内容が難しくて、なかなか理解しづらいことが結構ある。その中でこの元の(2)のマル1~マル5については非常に具体的であって、我々としては非常に分かりやすいなと思っていたところ、むしろ逆に、ここは我々一般、一般というのは言葉は悪いですけれども、見たら、こういうのを守らないといけないんだねと分かるのが、今回削除されているのでその辺のところの理由をもしかしたらお聞かせ願えればと思いますので、よろしくお願いします。
○富賀見室長補佐 そこ、ちょっと今、修正箇所として言いそびれまして失礼いたしました。4ページの、項ずれを修正した後の3の(4)になりますけれども、ここに「ルールに定めるべき事項」として、ポツで並べてあるものになると思います。前回、何人かの委員から御指摘いただきまして、2の(2)にも重複して書いてありましたので、今回この3の(4)の所にまとめてもってきているということです。
○栗原委員 こっちに持ってきた、まとめたということ。
○富賀見室長補佐 まとめたということですね。ただ、もし、本日、3の(4)として後になって出てくることになってしまったので、2の(2)のように初めの方にあったほうが読み手には理解しやすかったとか、もし、御意見を頂戴できれば検討したいと思いますけれども、とりあえず集約しております。
○栗原委員 分かりました。
○座長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがですか。
○椎葉委員 2の(3)なのですけれども、以前より引っ掛かってはいたのですが、やはり引っ掛かってしまったのであえて発言させていただきますが、小規模事業場に対しては「就業規則への記載により周知」と書いてあるのですけれども、そうではない、小規模ではない所は、衛生委員会の議事録に関する周知でよいという、その、何となくバランス感が、小規模事業場のほうが重い印象を受けるのですけれども、いかがでしょうか。
○座長 いかがでしょうか、重いですかね。衛生委員会の中だけみたいに考えると就業規則のほうが重いように見えますが、衛生委員会での議論の内容をきちんと労働者に、きちんと周知するということがなされていれば、そんなに軽くないようにも思いますが、やはり重さが違いますか。
○椎葉委員 就業規則に記載するというのは重い印象があって、それを小規模事業場のほうに課して、大中規模は課してないというところに引っ掛かっております。
○座長 確かに、ここでもう、後ろに「等」と付いているのですが、大分、就業規則から等まで離れているので、就業規則に書くということは確かに大変なこと、そんなに簡単に変えれないしみたいな、ちょっと何か。
○神ノ田労働衛生課長 例えば提案ですけれども、下から2行目の所で、「労働者に通知し共有することが必要であり」という所を「必要である」と一度止めて、それ以降の文章は大規模も小規模も両方に掛かるという整理でいかがでしょうか。大きいところは衛生委員会を持っているところも共有することが必要であると。小さいところは事業者が定めた上で共有することが必要であると。その共有する方法としては、ということであればよろしいのでしょうかね。
○座長 少し椎葉委員の御意見と私と、もしかしたら違うかもしれないのですけれども、多分、衛生委員会での議事録を残して、都度、いろんな変更がなされて、みたいな、かなり柔軟性がありますよね。それに対して、就業規則というのはそんなにコロコロ変わるものではなくて、かなりがっちりしたもので、そこに書き込むということと、衛生委員会の議事録で周知してみたいなことと、議論、審議調査してということと、多分、そういう意味ですよね。少し重みが違うかなという、そういう御意見なのだと思いますが、就業規則に書くって、なかなか大変なことだと。
○座長 何か文章として残すとか、何かそういうことなのですよね、趣旨は、恐らく。最後の1行は、もともとは小規模事業場のために書かれた文章ですよね。
○富賀見室長補佐 そうですね、椎葉委員と座長の2つの論点があったと思います。一つは、その通知の方法の例示として、就業規則への記載により行う方法だけここに掲げてますけれども、就業規則への記載が、これだけのレベルでの方法を取ることが必要なのかどうなのかという論点が、座長の方からはそういう御指摘だと思うのですけれども、そこは御議論をお願いできればと思います。
もう一つは、現在の文案は、確かに椎葉委員のおっしゃるように、小規模事業場のほうの文章の中に、就業規則という例示が登場するので、かえって小規模事業場のほうがハードル高く書いてあるのではないかという点は今、課長のほうから申しました、一度句点で区切って、共通して通知の方法の例示を書くということにはできるのですが、その就業規則への記載ということ自体がもう少し他の方法がないのか。このレベル感がやはり、労使で共有する方法として適切なレベルであるのかというところは、実態なども踏まえて判断していただく点かと思いますので、御議論をお願いできればと思います。
○座長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。
○鎌田委員 今の議論のところで、文章の表現のところなのですが、一番最後、今、話題になっています「就業規則への記載により周知する方法等が考えられる」、ここにあえて「等」と書いてあるということは他にいろいろ方法が、通知の方法があるということで考えてあるのであれば、それを提案していただくと、他にどんな方法があるのかといったところで、そこに重みとか、どれが一番適切なのかといったところが議論できるかなと思いましたけれども、いかがでしょうか。
○岡村委員 何度も申し訳ございません。これ、相場感としては、通常の中小企業がやっているのは、同報メールをBCCの方針、厚労省さんが委員会の委員に送付するのと同じようなスタイルでやるのが、相場感としては通常行われている方式であると認識しております。したがいまして、座長がおっしゃるとおり、就業規則への記載というのは相当重たい、それが小規模事業場ということと、どうもしっくりこないのではないかという御指摘であれば、具体例として、BCCによる同報メールの一斉送信とか、そういうようなものを具体例として書いて、「等」というようなスタイルという手もあろうかと思いますので御参考までに申し上げました。
○神ノ田労働衛生課長 御議論をいただければと思っているのですが、これはルールを周知するということですので、一時的にお知らせするというよりはこの事業場ではこういうルールがあるんだという、存在を決めた以降も、ちゃんとみんなに共有されていなくてはいけないのかなということで、例示としては一例として就業規則への記載を挙げてますけれども、それ以外の方法で何か共有する方法があれば、掲示するという方法、あるいは。
○富賀見室長補佐 ……法令の解釈等ではよく、閲覧に供するために書類を備えつけるとか、あと、社内イントラネット上で共有するとか、周知をさせる方法として示したものがありますので、このような周知のバリエーションを、もう少し書き加えたほうがいいのかなと思うのですけれども。
○増田委員 3ページの(2)の表です。マル2の取扱いの原則の欄を見ますと、3つポツがあって一番上に、本人の同意を得るとあるのですけれども、そもそもマル2は安衛法令に基づき、事業者が本人の同意を得ずに取得することが可能であるものとなっているものですので、本人の同意を得る必要はないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。ここで求められているのは、同意を得る必要はないのだけれども労働者に丁寧に説明するとか、そういった対応が求められているものであって、本人の同意を得る必要はないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○座長 すみません、本人の同意というのはどこのことでしょうか。
○増田委員 3ページの(2)の表の、健康情報の分類のマル2の上から3行目の所の左から3列目、取扱いの原則の欄の3つ黒ポツが並んでいる所の本人の同意を得るという記載、ここは本人の同意を得る必要はないのではないかという指摘です。
○座長 1ページを終えてからでよろしいですか。1ページと関連しているのですか。では、今の増田委員の御意見は、ちょっとペンディングにして後に回しまして、1ページの所を仕上げてしまいたいと思います。これは原則ですから、(3)はルールを定めるに当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与の下で検討して、定められたルールはきちんと周知共有をすることというのが1つ目のポイントですよね。周知する方法として、例えば就業規則への記載みたいなこともあるし、ほかにもいろいろな方法がありますよね。就業規則というのは、これは最初の文脈だと小規模事業場の話で出てきているので、そこはちょっと取りやめにして、周知の方法として何か例示を出すのだったらこれだけではなくて、幾つかの例を出していただけばいいと。
ルールを定めるに当たって衛生委員会が設置されていない場合については、事業者がルールを、でも、こういう場合はただ通知するだけではなくて、何らかの形でやはり労働者と話合いをして決めたほうがいいですよね。ということは、衛生委員会が設置されていない場合でも、労使で話合いをして決めることが望ましいということですね。
○松本委員 1つの方法としては、逆にこの通知の方法としてはを小規模事業場の前に持っていってしまえばいいわけなので、共有することが必要であると。通知の方法としては、共有の方法としては就業規則への記載の方法が考えられるの後に、小規模事業場においてはのほうにしてしまったらそれでもういいのではないでしょうか。小規模事業場のほうはそれで考えていただければいいわけだから、そこまでにしてしまえば、逆にしてしまったらいいのではないかと。
○座長 そういうことですね。では、事務局でそのように修正していただくということでお願いいたします。栗原委員、すみません、お待たせいたしました。
○栗原委員 最初の趣旨・総論の所、(1)の上から6行目の所で、「労働者が雇用管理において労働者の不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことがなく」という表現があるのですけれども、総論の所でこういう表現はいかがなものかと。むしろこの「不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことはなく」というのは、はっきり言ってなくても、そのまま「安心して産業医等による健康診断を受けられるようにするとともに」とかというように、つなげてしまってもいいのではないかとちょっと思ったものですから、ちょっと提案させていただきました。
○座長 そうすると、「労働者の不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく」を削除という御意見ですか。
○栗原委員 表現的にはどうかと思いました。ほかに何か適切な表現があれば結構なのですけれども。
○座長 ほかの委員の皆様は、いかがでしょうか。
○若月委員 労働者の不利益な取扱いについてですが、趣旨にこのような記載があるのはいかがなものかと言うことは理解できます。また、後段には不利益取扱い項目が明記されておりますので、そちらで担保できるのでも良いのかと思いつつ、不利益取扱いに対する不安はもっているので、ルールがきちんと守られるようにしてもらいたいという思いがあることだけは理解していただきたいと思います。
○座長 ほかにはいかがでしょうか。
○石塚委員 同じく労働を代表してというところで、確かに文面上はなくても意味は通じるのかなというところではありますが、この内容は、大前提として労働者の健康を確保するという意味で、そこを踏まえてこの不利益な取扱いという不安がかなりあると思います。ここの部分を除いてしまうと今後のこの扱いそのものに対して、ここがある意味核となると思うので、ここは是非残していただきたいと思っております。お願いいたします。
○座長 ほかにはいかがでしょうか。私も安心して産業医等による健康相談を受けられるという、この安心してというのがいろいろなコンテキストで、文脈で安心するかどうかと。その中で、特に前段の文章がその安心するということの意味を規定しているという意味ではあったほうがいいのかと思いましたが、いかがですか。よろしいですかね。
○栗原委員 皆さんの御意見であれば、それでよろしいと思います。
○土肥委員 遅れて来て申し訳ございません。1ページの中で気になる所は、2の(1)の2行目です。1行目には、「一義的な目的は、健康確保や事業者の安全配慮義務の履行であり」と書かれながら、その次の所は、「事業者は、労働者が、自らの健康情報が健康確保以外の目的のために使用され」と書いてありますけれども、ここはきちんと一義的な目的が健康確保であるとか事業者の安全配慮義務の履行であれば、これら以外の目的のために使用され、労働者が不利益な取扱いを受けるという不安がないようにするため、としたほうが文章としては正しい文章で、ここの部分は前文と続きの部分では意味が違うことが書いてあるのではないかと思いますので、同じにしたほうがよろしいのではないかと1つ思います。
○座長 どう修正するかがちょっと分からなかったのですが、土肥先生の御意見だとどこを削除するのですか。
○土肥委員 2行目の、「の履行であり、これら以外の目的のために使用され、労働者が不合理な、不利益な取扱いを受けるという不安がないようにするため」としてしまえば、そのまま文章が続くかと思います。
○座長 私もいいと思います。委員の先生方はいかがですか。よろしいですか。では、事務局でそこは修正をお願いいたします。
○土肥委員 先ほどの議論で、(3)の所も皆さんの御議論のとおりだと思いますが、やはりここは、事業者がルールを定めるところでは労働者と協議の上とか、何か一文きちんと、どのような協議であるかについては事業場の実態によって違うものとしても、事業者が一義的に決めてしまうと、今やっていることをそのまま是認してOKだよねと言われたら、どうしようもなくなってしまうというのは適切ではないと思うので、何らかの形で労働者と協議の上という文言が入ることが適切ではないかと私も思います。
○座長 よろしいでしょうか。では、その点について事務局で文章の修正をお願いいたします。
先ほどの増田委員の3ページの(2)のマル2の所です。すみません、ちょっと時間がたってしまったので、もう一回だけおっしゃっていただいていいですか。
○増田委員 先ほどは失礼いたしました。3ページの(2)の健康情報の分類のマル2です。上から3行目の取扱いの原則、一番右の列の所ですが、マル2は本人の同意を得ずに取得することが可能な情報についての項目のはずですので、取扱いの原則の黒ポツ3つ目の一番上の本人の同意を得るというのは、矛盾していておかしいのではないかという指摘です。
○座長 いかがでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 マル2の分類は、法令上は同意を得ずに取得することが可能なのだけれども、労働者が安心して相談等をできるようにするために、あえて制限することが適当であると。制限の仕方として、一例として同意を得るということもあり得ますので、ここは矛盾していないと理解しております。法令上は同意を得ることを求めてはいないのだけれども、事業場のルールとして、より厳格に制限をするという1つの方法として同意を得るという方法があるということです。
○増田委員 同意を得る必要がないものについて同意を得なければならないというのは、やはりちょっとおかしいのではないかと考えます。ここでの趣旨は先ほども申し上げたように、同意は得る必要はないのだけれども、あえてきちんと丁寧に説明して理解を得るというところをやりなさいという趣旨だと思いますので、そういう内容が来るのであれば分かるのですけれども、同意を得なければならないというのはやはり違うのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○岡村委員 結局、増田委員がおっしゃることが生じている原因は、講じる必要があるという言い方になっているので、同意を得ることが必要事項であるというような誤解を受けるのではなかろうかという御趣旨と私はお聞きしました。等の措置を適切に講じることが考えられるとか、必要であるというマストドゥーというところではなくて、恐らく自主規制として本人の同意を得るような自主規制を行う等の方法もありますという意味で、少し表現を軟らかくするという意味でもともとはお書きだと思いますので、適切に講じる必要があるというのを、適切に講じることが考えられる、ぐらいの表現にお直しいただくということであれば誤解も少ないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○座長 ちょっと個人的に懸念がありますのは、事業者と言っている場合、事業者の範囲は必ずしも明確ではないと思うので、事業者と言っている中に本来、健康情報を取り扱わなければいけない人が漠然と含まれていると、増田委員がおっしゃるように矛盾になってしまうと思います。これの趣旨は、事業者というよりも特定の人が取り扱うとか、それを閲覧するとかというような、場合に応じて同意を得たり制限をしたり、必要に応じて加工をしたりということですよね。だから、事業者がと言ってしまうよりも、取り扱う者に応じてというような趣旨の表現のほうがいいような気がします。本人の同意を得る必要があるというのは、私も岡村委員がおっしゃるように、考えられる、ぐらいにしたほうがいいと思いますが。
○松本委員 増田委員のおっしゃっていることは、確かによく分かります。やはり何か非常に矛盾を感じることがあります。ここのマルポツの3つを同率に扱うのではなくて、例えば本人の同意を得るという方法も1つの選択肢としてあるよという書きぶりにして段を分けてしまったほうがいいかと。講じる必要があるの下に、例えば先ほど岡村先生がおっしゃったようなやり方もあろうかと思いますけれども、もう1つはこの3つを同率に並列しなくてもいいような気もします。本人の同意を得るというやり方も方法としてあるという形で、逆に下に落としてしまうのも方法かと思います。
○三柴委員 結論的には、私も増田委員の意見に賛成です。理由ですが、たしかに、座長が先ほど御指摘になられた事業者の概念の曖昧さを埋めるためにも、本人同意を取ったほうが良いといえる半面、そもそも法定健診なりで事業者に情報を集めるようにしている背景は、要するに、事業者に当事者意識を持って健康管理をやってもらうということにあるので、したがって、その組織の中で健康管理の責任を負うべきポジションの人には、きちんと健康情報を一定の形で扱わせるというほうが望ましいわけで、その意味では前提の柱書、マル2の3項目の柱書はこれで良いように思います。その上で、本人同意については必要に応じて取るというニュアンスの書きぶりでよいのではないかと私も思います。
○座長 使用目的に必要な範囲を踏まえという所に、使用目的のほかに使用者・使用目的、ちょっと文言は考えてほしいのですが、それごとにルールを定めるという書きぶりにしたほうがいいのではないかと思います。「本人の同意を得る」は、この際削除するということでよろしいですか。
○土肥委員 今の部分で、本人の同意を得るということがある意味書いてあったほうがいい部分は、もともと定期健康診断の項目自体の定義が曖昧な部分があるので、例えば病歴と書いて薬の取扱いの内容を全て聞いて、それは本人の同意を得ずに当然事業者が知っていいという前提でいいという御判断だと理解しますが、それでよろしいわけですね。同意を得ないということは、書いたらもう同意をしているものだと考えるという理解でいいということでよろしいのであれば、いわゆる問診だとか、労安法の健康診断というのは項目がはっきり定義されている部分と、例えば診察とか問診とか既往歴というものは、実際には明確な定義ではないのです。既往歴は比較的明確かもしれないけれども、そういう明確な定義のないものについても当然同意を得ずに取り扱うということを前提にしてしまいますよというのであれば、今の議論でよろしいかなと思います。
一方、「同意を得る」という文言を外すとすると、私が心配するのは、「使用目的の達成に必要な範囲を踏まえ、事業者が取り扱うことが重要である」ではなくて、「適切である」ではないかと思います。重要と適切の、下は必要があるとか、適切である、必要である、重要であるという言葉の使い分けをしたときに、ここには最も厳しい文言が入ってきて、本人の同意については別途書かれるということにしないと、重要だったらやらなければいけないのか、やらなくていいのかという話になるとちょっと議論が分かれると思います。適切であるということは、やらなければ不適切だということに通じるのであれば、本人の同意を避けるのであれば下の2つは必ずしてほしいので、適切であるというような文言のほうがよろしいのではないかと。その上で、本人の同意を得るか十分な説明、理解をする必要があるとか、そういう文章を下に付け加えることによって整理するというのはどうでしょうかと思います。
○座長 だんだん複雑になってきて、私もよく分からなくなってきてしまいました。この場合は、「使用目的の達成に必要な範囲を踏まえ、事業者は必要なルールを定める必要がある」ではないのですか。この、事業者が取り扱うことが重要であるという文言が誤解を生んでいるような気がしてきましたが。そのルールの例としては、利用者ごとにいろいろなことを定める、措置を講ずるような方法が考えられると。事業者が取り扱うと言ってしまうと、それはもう事業者が全部取り扱うことが前提みたいな表現になってしまっていますので。
もう一回言いますと、「使用目的の達成に必要な範囲を踏まえ、事業者は必要なルールを定めることが必要である。ルールとしては、使用者、使用目的ごとで」ポツに、その場合だったら本人の同意を得るを入れてもいいかと思います。その3つのポツなどが考えられるみたいな表現でいかがでしょうか。増田先生、その場合は使用者ごとにと言っておけばいいのですよね。例えば、その場合は本人の同意を得ずに、全てを調べるか。
○増田委員 かなり複雑になってしまいましたが、先ほど土肥委員がおっしゃった内容は、どちらかというとマル3に掛かってくるところかと思います。法定項目と法定外項目の境界が不明確である、それは前回と前々回の検討会でも私から指摘申し上げているとおりです。ただ、私があくまでもこだわったのは、マル2の同意を得ずに取得することが可能な内容に限ったお話ですので、既に明確になっているものについて先ほど申し上げたように、境界の線引きについての方向に議論が飛んでいくとは思っていませんでした。ちょっと言い訳がましいですが、先ほどの土肥委員の御指摘は、また別途議論させていただければと思いました。
○座長 これは、かなり最初の頃からマル1とマル2を分けようと。マル1とマル2を分ける中で、使用者によっては本人の同意を取る必要があるみたいなことが必要ではないかという議論で、ずっと来たような気がするので、それはちょっとどうかなと。皆さんの御意見で削除したほうがよければ、削除をお願いいたします。削除でよろしいですか。
○三柴委員 前にも少し言及したJAL労組事件というのがあって、健康情報も含めて労組がいろいろな方法で集めた情報の取扱いの合法性が問題になったのですけれども、裁判所は、結論的には取得の段階で合法であれば、その後の取扱いについては、本人が同意しているものと擬制できると考えて構わないと言っているので、確かに本人の同意を重ねて書いてしまうと、やや萎縮を招くような感じを受けます。書くことはいいとしても、ニュアンスを弱める必要があるように思います。
最初の柱書の部分ですが、私は「重要」を「必要」に変えるのは別に構わないと思うのですけれども、いずれにせよ左の升で並んでいるのが法定健診の結果等ですから、日本の安衛法では事業者がそうした情報を取って、責任を持って健康管理をしてくださいという前提がここの升にあると思いますので、事業者の当事者意識をしっかり打ち出す表現にすべきだろうとは思います。
○座長 では、本人の同意を得るというのは削除ということで、可能性のある幾つかの方法を、今2つですね、取り扱う者を制限するのと、情報を加工するということを残すということでよろしいですか。
○神ノ田労働衛生課長 ちょっと内部でも検討したいと思うので、引き取らせていただいてよろしいですか。
○座長 そうですね、ではよろしくお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。
○栗原委員 ちょっと別件です。2ページの(7)に「事業者は、ルールに基づく運用が適切に行われなかった場合は、原則として、労働者にその旨を説明するとともに、再発防止に取り組むことが必要である」となっていますが、ルールに基づく運用が適切に行われなかった場合というのはどういう形でチェックされるのでしょうか。事業主が気が付かない場合もあるかも分かりませんが、その辺はどうなのでしょうか。
○座長 私に対する質問ですか、事務局でしょうか。
○栗原委員 事務局にお聞きしたほうがいいと思います。
○神ノ田労働衛生課長 そうですね、気付かない場合はなかなかアクションが取れないと思うので、ルールを定め、ルールに基づいて適正に運用されていないと気付いた場合には、しっかりと説明してほしいと、そういう趣旨の文です。
○栗原委員 気付いたというのは、誰がそれを保証するというか、担保するというのか、要するに、労働安全衛生法違反となれば労働基準監督署とかそういうところがきちんとした指導をすると思いますが、この場合はそこに入るのかどうか、この文章ではちょっとよく分からないので。
○岡村委員 個人情報やセキュリティーなどの場合には、皆さん御存じのPDCAという形で、Cはチェック、つまり、確認作業を行う。外部監査を入れるような重たい場合もあれば、内部で監査をする、あるいはもっと簡単に所属部門長が確認をしたり、所属部門をたすき掛けで確認作業ををするとか、そういう形で、いわゆるチェックを行うということが多く行われています。しかし、これも少なくとも個情法上の義務ではありませんので、もし書くとすれば、(6)になるのか(7)になるのかではありますが、そうした遵守状況の確認が重要であるとか、そういうようなことを付け足すぐらいの形になるのではないかと思います。
○神ノ田労働衛生課長 監督署という話が出ましたが、そこまでは考えていません。これは、あくまでも事業場の中でのルールなので、内部でのチェックと御理解いただければいいと思っております。
○座長 違いますよね。改めて読みますと、ルールを遵守する義務というのは当然あるわけですね。その遵守する義務というのは何をもって発生することになるのでしょうか。
○岡村委員 基本的には、第一に安衛法上に規定があるのであれば、その解釈上どこまでの義務が生じるのかということになろうと思いますし、御存じの、労働法理の中の安全配慮義務の裏返しとして、これだけのことをやらなければいけないということが、事案に応じて生じてくるところではあろうと思います。また、個人情報保護法と一般法に基づいて義務を負う場合も、使用主としてというか事業主として、あり得ます。ただ、チェックせよというまでは、法的義務としては、少なくとも個人情報保護法にも記載がありませんし、安衛法にもチェックせよというような文言の規定はないものと理解していますので、そういう意味で、やらなければいけないという法的義務があるとまでは書けないから、重要であるとか望ましいとかいうようなスタイルで、書き足すとすると、少し度合いを落とした形で書かなければ仕方がないのではないかという趣旨で申し上げた次第です。
○座長 これは、あくまでも社内のルールですね、ここで言っているルールというのは。安全衛生法に基づくルールとか、そういうことではないと思います。そうすると、そのルールに基づいた運用が適切になされるように、周知するとかというようなことは事業者に求められるわけですね。
○栗原委員 それは、ある意味で、その上の(6)の所に。
○座長 (6)にありますか。
○栗原委員 書かれているというか、「教育やルールの見直し等措置を行うことが必要である」と書いてあります。今、座長がおっしゃったようなことと関連することは。
○座長 そうですね、(6)のほうですね。
○神ノ田労働衛生課長 よろしいでしょうか。この場では明確に言っていなかったのですが、この実施事項骨子案については、法律が通れば厚生労働大臣の指針にこういった趣旨のことを盛り込むことを前提に御議論いただいています。
○座長 そういうことですね。
○神ノ田労働衛生課長 指針に盛り込まれた場合に、それに基づく指導的なことは、一応できるようにはなります。
○座長 では、法律に準じるような。
○神ノ田労働衛生課長 そこまで義務付けることになるかどうかは分かりませんが、こういった指針に基づいて事業場ごとにルールを作ってくださいと。ルールを作るからには、当然、守ることを前提に作るので、法律上の義務ということにはならないと思いますが、事業場のルールはしっかりと作ったら守るように、そういう仕組みを考えてくださいというようなことになると思います。
○座長 こちら側にも、そういうものがあったほうがいいですね。(6)の「関係者への教育」という所がそれに相当するのではないかと思いますが、ルールの遵守を徹底する必要があるというような何か文言があったほうがいいような気がしますね。その上で、(7)で、適切な運用が行われなかった場合には、それを説明して再発防止に取り組むという流れのほうが分かりやすいのかなと思います。
○三柴委員 ルールの話は、まあまあ重要な感じがするので発言させて頂きたいのですが、一般的に労働法の分野では、事業場の中で使用者が主導して作られたルールは就業規則になると考えられていて、就業規則として合理的であれば契約になるというふうに理解されているのです。そうすると、今、この文書で「ルール」と出てきているものは、一応全て契約になる前提で書かれているようにも読めます。しかし、ルールというのは、違反したときにどうなるかという意味での効果が非常に重要で、効果によってそのルールの性格が決まるという面があって、その点では、(7)が契約であるとまでは読めないような書き方になっている。労使間の契約であるというところまでは拘束性が見えない書き方になっている。さらに、遡りますが、先ほどの椎葉委員からの御意見に対応した議論では、2の(3)の「ルール」という文言は、ガイドラインのような拘束性のないものも含むように解釈されたので、そうすると、ここで言うルールというのが、どこまでの拘束性を持っているのか、あるいは、文書によって「ルール」の意味が違うのかという点については、ある程度、明確化したほうがいいのではないかと思います。
○座長 ありがとうございます。今のことを私も知りたいと思ったのです。最初にこの骨子案をお考えになった時点で、あくまでも事業場あるいは企業単位だから「ルール」という表現をしていますが、事業場あるいは企業の中では適切に遵守されるべきものを想定しているということでよろしいのですよね。でないと、やらせる道がない。
○神ノ田労働衛生課長 労働者に安心していただけるようにというコンセプトで対応していただくことですので。守られないルールを作っても安心できないとは思いますが。
○座長 そうですよね。そうすると、先ほどの1ページの最後の所に戻って、今の三柴先生のお話だと、こういう場合には就業規則にきちんと書き込まないと担保されないと、そういうことになるのですか。
○三柴委員 先ほどの椎葉委員の御意見は、就業規則に書くというと実態として重過ぎるということだったので、この箇所の「ルール」というのは、就業規則とは違う、もっと柔らかいものだと読むような議論で先ほどは終わったと思うのです。
○座長 いえ、多分あのときの議論は、小規模で衛生委員会も設置されていないような事業場で就業規則に書けということについて、それで、それ以外のところは衛生委員会で審議すべしというようなことなので、そのバランスが悪いのではないか、という。
○三柴委員 衛生委員会で議論して出来上がったルールの拘束力です、そこについては、必ずしも就業規則ほどの強制性を持つものでなくてもいいという議論になっていたように思うのです。先ほど申し上げましたが、(7)の表現も、遵守は重要だけれども、かといって、労使間の契約にする、就業規則であるというほど強制力は見えない。ですので、就業規則ほど拘束力の強いルールでなくてもいいというのであれば、そのことは書いておいたほうがいいのではないかということです。守ってほしいけれども、尊重はしてほしいけれども、就業規則である、したがって合理的なら契約になると、裁判規範というのですが、裁判所で準拠されるような、そういうものではなくてもいいということであれば、それは書いておいたほうがいいのではないか。
○座長 今の話はすごく重要なポイントだと思うので、多分、原則の所でしょうか。
○岡村委員 今、三柴先生がおっしゃったことはよく分かるのですが、今回、二面性を有しているというのは、いわゆる労働法令に基づく部分と、それから、個人情報の取扱いという個情法に基づくものとの間の二面性があります。例えば、ファイアーウォールを幾つ乗せるとか、外部との間に何センチの防御壁を作るとか、そんなものはもともと就業規則で決めるような性質の事柄ではありませんので、やはり、両面あるという状態の下で、ここでの取扱いのルールというのは個人情報関連の扱いのルール全般の話ではなくて、あくまでも労働者に関わる部分だというように限定しておかないと、逆に、何でも彼でも個人情報に関する問題は就業規則で決めろというような誤解が生じても困ります。
そこはやはり、これはこうですという注でも結構ですので、明確化しておいていただかないと、例えば、プライバシーポリシーを取締役会決議で決めたような場合に、それは就業規則なのですかと言われると、労働基準監督署は持ってこられても困るでしょうし。ということで、正に2通りあるということで結構なのではないかと思います。それから、セキュリティ的な規程もたくさん入ってまいりますが、そういう場合に、必ずしも就業規則のペナルティー、つまり懲戒の対象としないような、こうやるほうがうまくいくという手引的なものを作る場合も現場では多いわけであり、手引ですので、それに違反したから懲戒の対象にできるわけでもありませんが、やはり作らないと非常に分かりにくい部分があるというのも現実です。というようなことで、ここに言う「ルール」イコール就業規則というような、非常に堅い、狭いものだという誤解は与えないようにしていただきたいことを強くお願いする次第です。
ちなみに、前提としてこの場では場違いなのですが、安衛法にしても個情法にしても、基本的には法令ですので、いわゆる経営陣が法令に違反したような場合には、会社法上の内部統制の基本方針の構築義務に違反したということになりますし、経営上の善管注意義務に違反したという、今度は会社法理でペナルティーを受ける部分もあれば、個情法上で勧告とか命令を受ける場合もありますので、多重的なペナルティーがあるということについても、ここで付加的に御説明を付け加えさせていただきたいと思います。
○土肥委員 就業規則に加えるか加えないかという意味では、「ルール」という言葉を用いて、就業規則とは別ものだと扱われるので、私は適当だと思っています。会社の中のルールには当然社則があって、階層を持って規則が成立しているのが圧倒的ですから、そのどこに位置付けるかによって、その企業のポリシーが分かるといったほうがいいわけです。ですから、就業規則ではなく、他の規則の個の規則として制定することによってルール化するという方法論があって然るべきだと思いますので、就業規則である必要性はないのではないかと考えています。
○菱沼委員 就業規則の絡みで意見が出ていると思うので、一言言わせていただきます。厚生労働省のホームページから就業規則のモデルを拝借したのですが、厚労省の就業規則の58条で「健康上管理上の個人情報の取扱い」といって、2項を読み上げますと、「労働者の定期健康診断の結果・労働者から提出された診断書・産業医からの意見書・長時間労働者への面接指導の結果・ストレスチェクの結果及び高ストレス者への面接指導の結果・その他労働者の健康管理に関する情報は、労働者の健康管理のために利用するとともに、必要な場合は産業医等に意見聴取等のために提供するものとする」と、一応もうモデルとして出ていると思うのです。確かに厚労省としては、就業規則もあるし、他の方法もあると、今後、Q&Aなどを作られるということなので、それは1つの手としてあっていいのではないかと私は思っています。
○座長 ほかには、いかがでしょうか。
○松本委員 私も土肥委員の意見に賛成いたします。
○座長 そうしますと、もうピンポイントで就業規則で定めるべきと書くのか、あるいは、ルールが適切に遵守されるような仕組みというかを、会社できちんとその仕組みを作るべきとするか。その1つが、もしかすると就業規則に明記することかもしれませんし、もう少し一般的な書き方で、遵守が適切になされるような仕組みを作るべきというような文言にしてはどうかと思いますが、それでよろしいでしょうか。それが先ほどの(6)の所になるのか、場所は御検討いただきたいと思います。2の(6)でしょうか。三柴先生、そういうことでよろしいでしょうか。
○三柴委員 はい、私はそれで結構です。
○座長 岡村先生もよろしいですか。
○岡村委員 結構です。
○座長 では、他の事項について御意見がございましたらお願いいたします。
○土肥委員 3ページの(2)のマル1の所です。少し変更されていますが、取扱いの原則で、「全ての情報を使用目的の達成に必要な範囲において、事業者が取り扱うことが必要である」というのは当然の話で、逆に、必要な範囲を取り扱わなかったら法令に違反しているということです。ですので、これをどういう意味で書かれたのかということと、逆に言えば、先ほど一部御意見が出たと思いますが、事業者というのが非常に曖昧なので、どこまでの事業者に取り扱わせるかについて労働者が不安を抱いているということが、もし不安の一部を成すとするならば、私は、「全ての情報を使用目的の達成に必要な範囲に限定して事業者が取り扱う必要がある」と書かれたほうが妥当ではないかと考えます。
○座長 他の委員の皆様、いかがでしょうか。右上の2行目ですね。「必要な範囲において」を「必要な範囲に限定して」と。よろしいでしょうか。では、そのように修正をお願いいたします。ほかには、いかがでしょうか。
○椎葉委員 2ページの(5)のマル2の文章が、一般的に見て非常に分かりにくいので、もう少し分かりやすい文章に変えていただけるとありがたいと思っております。非常に読みにくくてですね、例えばですが、健康情報に基づく就業上の措置の実施に当たっては、医師の意見を聴取し、医師の意見を勘案し、必要と認められる範囲内にすることが求められるが、その内容・程度と著しく異なっていたり、労働者の実情が考慮されていないうんぬん、というようにしてはいかがかと考えてもおりました。
○座長 確かに分かりにくいので、修正をお願いいたします。よろしいでしょうか。ほかには、いかがでしょうか。
○椎葉委員 もう1つ、続けて、申し訳ありません。マル3に関してですが、黒ポツの4つ目に、配置転換と職位の変更に関してだけ前置きがあるのは、これは上記3項目とレベル感が違うので、わざわざ前段を表現されたということでよろしいのでしょうか。
○富賀見室長補佐 これは当時の整理をそのまま持ってきたものなので。どういたしましょうか、今回、改めてそれを検討するとなると。その辺りは、当時も随分と御議論いただいた末にこのように統一して、安衛法の各指針にも統一している表現でして、今、取りあえず、その並びを取って同じように当てはめているというのがこの形です。なので、この形のまま少し補足するような何か注意書きみたいなものが可能であるとか、もし御議論がありましたら、この際、頂いておけば、反映することができなくもないのではないかと思いますが。
○土肥委員 ここの文章は、今でもストレスチェック等の不利益な取扱いについて書かれてきた文章をそのままコピーで載せていると思いますので、私は、ここに書いた文章は余り変えないほうがよろしいのではないかと考えています。そこで解説が何か必要であれば、付け加えるという事務局の御意見がよろしいのではないかと思います。当然、4ポツは「不当な動機・目的をもって」というのは違うから書いてある文章であって、配置転換、職位の変更は就業上の配慮として行う可能性を持っているので、当然こういう文章が付け加わっていて妥当であろうと考えています。
○座長 ほかの皆さん、いかがでしょうか。読んで分からなくはないと私も思いますが、多分、健康確保とか安全配慮義務の履行などとは懸け離れて、不当なことだと判断される場合には、まずいということで、よろしいのではないかと思います。椎葉委員、いかがでしょうか。よろしいですか。ほかには、いかがでしょうか。
4ページや5ページはよろしいでしょうか。その辺は余り変わっていませんね。よろしいですか。
○増田委員 5ページの上から3行目以降の所ですが、例示として衛生推進者に取り扱わせるという方法が出ています。確か前回も、守秘義務を課されていない人が取り扱うことについての議論があったと思うのですが、ここは安衛法の第104条に守秘義務の規定があるかと思いますが、その104条に基づいて、守秘義務を課している人に限定しなくても大丈夫でしょうか、という点を確認させていただければと思います。
○座長 事務局、いかがでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 先生の御意見は、法律上、守秘義務が掛かっている職種に限定して、取り扱わせるべきではないかということでよろしいでしょうか。
○増田委員 実はそこまでは考えていないのですが、ただ、104条の守秘義務の規定は、50人未満の事業場でも適応外とはなっていなかったと思うので、法律の矛盾する内容がここに書き込まれることになるのではないかという素朴な疑問です。
○座長 では、事務局でその辺を確認していただいて、適切な対応をお願いしたいと思います。
○神ノ田労働衛生課長 分かりました。
○座長 私は104条というのが、どんな内容か分からないのですが。
○三柴委員 104条との関係だったら多分、大丈夫ではないかなと。この記載は、104条とは矛盾しないように思います。というのは、要は104条が規制しているのは、健診等の実施事務従事者なので、それが何々でなければならないという、どういう職種の人間でなければならないということまでは指定していないので、その役に当たった人間が104条の規制を受けるということと、この記載は必ずしも矛盾しないように思います。
○座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
○三柴委員 では、併せてもう1点だけ。3の(1)に戻るのですが、ほかの箇所にも関わるので申し上げます。ここでは、本人同意がなくても取扱いが許される例外的な場合を並べて書いていただいていると思います。その中にある「安衛法令及びその他法令に基づく場合」というのは、これは個情法でも例外として取扱いを許している。いろいろ規制を掛けているけれども、その例外として許している場合に当たるのですが、その前に「労働者の健康確保や事業者の安全配慮義務の履行」が目的に当たると書いていただいて、これも個情法と矛盾しないように、民事上の安全配慮義務の履行のためにも、取扱いが基本は許されるのだという趣旨を明確にされているのだと思います。
そこで、改めて個人情報保護委員会の星田さんに、個情法上の法令の意味合いについて確認させて頂ければと思うのですが、個情法上、法令上認められている場合には、いろいろ規制を外しますよという、あの法令の読み方をどうするかというところなのですが、私は結論的には、安衛法の履行との関係では努力義務を入れていいのではないかと理解しています。というのは、民事上の安全配慮義務の内容として、安衛法上の努力義務が多々参照されてきていて、例えばメンタルヘルス指針についても、根拠法は確か69条だから努力義務だったりするわけです。だから、個情法上の法令から、安衛法上の努力義務を外してしまうと、結構大変なことになるのではないかなと思うのです。健康管理のための情報の取扱いが、かなり制限されてしまうのではないかと思うのです。
ただ、じゃあ努力義務全てを法令として読み込んでいいかというと、それも違うと思うので、努力義務を法令として理解・解釈できる場合があるというような、ケースバイケースなのだというような解釈を、ここで打ち出すほうが、健康管理の促進につながるのではないかと思います。だから、努力義務を排除するということではなくて、ケースバイケースで健康管理のために入れて解釈することがあるというのでいいのかなと。
星田さんが前回か前々回の会で、法令の解釈については一定程度、所管の機関で判断していただいて構わないとおっしゃっていたと思うので、そこについて改めて申し上げた次第です。
○個人情報保護委員会事務局 個人情報保護委員会です。前々回に御指摘は頂いています。そのときにも申しましたが、基本的に法令に基づく場合がどういう場合かというのは、その法令によるということをお話したと思います。今の場合であれば、例えば労働安全衛生法に基づく場合であるか否かは厚生労働省が、この行為が労働安全衛生法に基づいているのか否かというのを判断する、というのが基本です。
そこで努力義務規定ですが、そのときには、今は思い浮かぶものはないという形でお答えしましたが、努力義務規定であれば、必ず常に「法令に基づく場合」には該当し得ない、ということはない。言い換えれば、努力義務規定も「法令に基づく場合」に該当する場合があると考えています。以上です。
○座長 よろしいでしょうか。
○増田委員 先ほど三柴委員がおっしゃったケースバイケースは、産業保健の現場としては非常に関心事になると思うのですが、具体的にどうやって決めていく、あるいは示していくことができるものでしょうか。お聞かせいただければと思います。
○三柴委員 私がお答えしても良いのでしょうか。では、私見を申し上げて、もし補っていただけるようでしたら、あるいは訂正を頂けるようでしたらお願いしたいのですが、基本的に民事上の安全配慮義務の内容になるかどうかというのが、重要な基準になると思うのです。では、民事の安全配慮義務とは何かというと、結局私なりの調査検討の結果では、リスク管理義務なのだろうと思うのです。その職場ごとに区々異なるリスクをあぶり出して、アセスメントしてあぶり出して、それに対して適正な対応をとっていくということが、裁判所がいう民事上の安全配慮義務の内容になっていると思うのです。
ですから努力義務規定や、それに基づくガイドラインに書いてあるにすぎない内容であっても、その職場にあるリスクとの関係でこれは対応しないと、到底、産業保健として仕事をしたことにならないだろうというケースであれば、そこは個情法との関係でも、情報の取扱いが緩められると考えています。これは私見です。
○個人情報保護委員会事務局 補足させていただきますと、申し上げておりますとおり、個別の法令の規定ぶりですとか、個別のケースによってまいるという以上のことは、今は申し上げづらいです。今、個別の具体的な条文を見ていませんし、まだ整理も行ってきていないところですので、いずれにせよ個別の事例、法令に基づく整理によるということになってこようかと思います。
○増田委員 ありがとうございました。であれば、民事の安全配慮義務関係の話になるのであれば、是非、資料2の骨子案、この後またお話があるのかもしれませんが、(4)の「産業保健スタッフだけが把握する情報の位置付けについても検討する必要がある」という所の議論をさせていただけたらと思います。
委託事業のときに、この論点を私が申し上げたのですが、そのときは確か民事の判断に係る内容の議論はそぐわない、ということで、こちらの資料2に回されたのですが、実際のところ、特にこの検討会は骨子案のどこかに書いてありましたように、労働者の不利益につながる不安なく、安心して健康相談が受けられるようにする、というのが目的の一つですので、そうなりますと、産業医だけが知る情報というのがどうしても出てくることになって、その取扱いがどうなるかというのが、やはり関心事にもなってきますし、事業者としても産業医が知らせてくれなかったから対応がとれなかったということが、やはり懸案事項として上がってくるかと思いますので、その辺りの整理について、少し道筋をつけていただけたらと希望します。
○座長 増田先生、具体的にここにこういう文言をと。
○増田委員 文言を入れるのは、この資料2が今後どうなっていくかにもよりますし、必ずしも骨子案に入れてくださいというわけではないのですが、ただ今後、手引やガイドラインを作られるということであれば、その中である程度のアンサーを示していただけたらと希望します。
○座長 引き続き議論を続けていきますので、その中で御意見を出していただくということでよろしいですか。
○増田委員 分かりました、お願いします。
○岡村委員 三柴先生がおっしゃった部分については、非常に非定型かつ従業員が多いときには、かなり同意を取るのが、例えば何千人からいろいろな細かいことについて同意を取れるのかということもありますので、つまりなかなか同意を取るのは困難だと。そういう場合には、人の生命・身体・財産の保護のために必要な場合であって、本人の同意を得ることが困難である場合、これに当たるという形で外れる場合が、実際上は多いと思います。
人というのは、要は特に限定がないわけでありますし、本人の利益を図る場合も含まれているわけでありますので、事故が起こってもらっては困るからこういう措置をやるというのも、中には入ってくる。これは指摘させていただきたいと思います。ただ、他方で現場が混乱しないように、過剰反応が起こらないようにというためには、これまで個情委の皆さんは、できるだけガイドラインで具体的に争いがない問題については、箇条書きで明らかにするという形をされてきておられますので、こちらもガイドラインで、できるだけ安衛法上、これはセーフですよということが明確なものは、箇条書きで明らかにしていき、また、その後も見直し、あるいはQ&A等々で補充するということ。現に個情委もQ&Aで補充するということをされていますので。そういうことも考えていくことで、とにかく過剰反応にならないように具体化していくことが重要だと思います。
○座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
○西野委員 4の(4)ですが、「小規模事業者においては、個人情報保護法ガイドライン(通則編)の8も参照しつつ」ということで、「義務を履行し得るような手法を検討することとすることが適当である」ということになりますが、この手法を検討するのは小規模事業者になるのでしょうか。
ガイドラインQ&Aや雛型が出されて、小規模事業者はそれに従って履行するというようなことであれば、表現方法が違うのではないかなと思いました。
○座長 これは、事務局としてはいかがでしょうか。
○岡村委員 代わりにお答えしてよろしいでしょうか。
○座長 どうぞ。
○岡村委員 これは論理的に考えられるところとすれば、厚労省としてどうするかという問題と、あと、ある程度フレームワークの枠内で、事業の更にどこが小さいかという規模であるとか、性格であるとか、取り扱う情報の量であるとか、質であるというようなことも含めて、自主的なルーリングで決めていく部分と両方あると思いますので、そういう意味で現時点で余り主語を明確にするよりは、役所としてもここまでやる必要があるのだったらやるよと。それから、また自主的なルールとしてこういうことが考えられるよということが、次の肉付けをしていく過程の中で考えられるように、あえて主語は抽象的と言って非常に恐縮ですが、現時点ではこういう形が望ましいのではなかろうかと、個人的には思います。
○座長 ほかにはいかがでしょうか。
○三柴委員 掻い摘んで2、3点申し上げます。まず、先ほど岡村先生が言われた、ガイドライン等で、例外が許される場合について水先案内を図っていくべきである、これは私も賛成です。ただし、今、個情法のガイドラインの通則で書かれている内容というのは、例えば挙げられている例などが、結構ハードルが高いのです。だから努力義務規定についてもどうなのかというようなことは、とても読み込めない内容になっているので、これはこちらの労働衛生の所管のほうで、もう少し踏み込んだ内容を示されたほうがいいのではないか、そのためにも、この検討会があるのかなと思います。
2点目は最初のほうに遡って恐縮なのですが、利用と使用について岡村先生から御指摘があったのですが、これまで労働衛生課が出してきたガイドライン等では、利用という文言を使っていても、第三者提供や提供は入らないと解釈したものがあったのです。一方、個情法のほうでは、解釈例規などでは、利用といった場合には第三者提供も入るような解釈を取っていて、そこが一致していないので、もしこれから文言の説明を付けていただくのだったら、そこに留意して書いていただければなと思います。
最後に、中小零細企業における取扱いの規制なり誘導については、哲学として2方向のどちらでいくか、あるいは両方を図るのかについて、スタンスを決めたほうがいいのかなと思うのです。1つには誘導策として、中小でも情報取扱いのコンプライアンスを高めていくという方向性。もう1つは中小では最低限やってもらえばいいという方向性。このどちらでいくのか、あるいは両方でいくのかということを決めたほうが良いように思います。最低限路線でいくのだったら、本人同意、事業場自治によるルール化、産業保健の役割を果たす人による情報の一元管理と、それ以外の人に対する情報の加工提供ということになる。これを原則として、なるべく実施してくださいと。他方でレベルを引き上げていくということであれば、以前から産業医の仕組みについて言われてきたように、共同選任の仕組みなど、中小でも利用しやすい仕組みを作った上で、こういう仕組みがあるのだから利用してくれれば、今よりもコンプライアンスのレベルが引き上がるのだというように持っていく。だから、そこはどういう哲学でいくのかということを決めたほうがいいのかなと思っています。
○座長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、資料1につきましては、今頂いた御意見を反映したバージョンを、とりあえずこの検討会での最終バージョンということにしまして、本文のほうに進んでいくということでよろしいでしょうか。もちろん骨子案の最終版は、委員の皆さんに確認をしていただきたいと思いますが、そういうことでよろしいですか。
○岡村委員 ……の部分は後で申し上げたいと思います。あくまでもテクニカルの部分ということで、また別途。
○富賀見室長補佐 そうですね。本日、御意見を頂いた内容を踏まえて、本文案という形にこれからしていきます。その過程でまた御指導を頂きながら、次回は本文案の形にして、御覧いだいて、それを基に御議論いただく形にしたいと思います。
○座長 ということでよろしいでしょうか。あと、資料2については最初から定められている論点についてですが、この資料2については何かありますか。よろしいでしょうか。では、骨子案の検討はこれで終了ということにしたいと思います。
次回はもう来週ですが、そこからは本文案の検討に進んでいきたいと思います。本文案の検討で、また更に委員の皆様から多くの意見が出されると思いますが、骨子案は一応これで、今日の御意見を修正した版を皆さんに御覧いただいて、確認していただいて、確定というか、骨子案ですから確定も何もないのですが、本文の検討でいろいろなことが出てきたものを、骨子案に反映するのはなかなか大変だと思いますので、これから本文案に集中して御検討いただくということでよろしいでしょうか。では、事務局のほうでそのように進めていただきたいと思います。事務局から何かありますか。
○富賀見室長補佐 本日は長い時間にわたりまして、御議論をありがとうございました。事務連絡です。次回の検討会ですが、座長からありましたようにちょうど1週間後、7月2日(月)です。今度は厚生労働省の会場になりますので、20階の共用第8会議室になります。開始時間は14時30分からを予定しています。当初、御案内しましたのが14時からでしたが、こちら側の所用のための30分後ろ倒しの変更で申し訳ありません。変更になっておりますので、御注意ください。終わる時間は、もともと調整していたものがありますので、16時というのは後ろ倒ししない予定です。なので、時間は1時間半になろうかと思いますが、またよろしくお願いします。
また、本日の議事録は追って各委員に御確認いただいた上で、公開をさせていただくことになります。本日は長い間、御議論いただきましてありがとうございます。これで閉会とさせていただきます。
○座長 正式な御案内は、またメールと文書で各委員のほうに行くと思います。
○富賀見室長補佐 長時間の御議論、ありがとうございました。これで終わります。

(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 第4回労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会議事録(2018年6月25日)

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