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2018年4月27日 第3回厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会

健康局 結核感染症課

○日時

平成30年4月27日(金)13:00~15:00


○場所

田中田村町ビル(港区)8E会議室(8階)


○議題

(1)薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗について
(2)抗微生物薬適正使用の手引きの改正について
(3)報告事項
   1.平成30年度診療報酬改定について
   2.院内感染対策について
   3.抗微生物薬の添付文書の記載事項の見直しについて
   4.医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)について
(4)その他

○議事

 

 

○結核感染症課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「薬剤耐性(AMR)に関する小委員会」を開催いたします。

 本日は、19名中16名の委員の皆様方に御出席いただいております。また、本日は遠藤委員、中板委員、舘田委員より御欠席の連絡をいただいております。

 現時点で、定足数以上の委員の方々に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。

 また、今回、国立感染症研究所薬剤耐性研究センターより菅井参考人、日本医療研究開発機構より宮川参考人に御出席をいただいております。

 次に、事務局より資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料7、参考資料1から参考資料5を用意しております。

 不足の資料がございましたら、事務局にお申しつけください。

 それでは、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

(カメラ退室)

○結核感染症課長補佐 以降の議事運営につきましては、渡邉委員長にお願いをいたします。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 皆さん、こんにちは。渡邉です。よろしくお願いいたします。

 まず、本日の議題を確認したいと思います。皆さんのお手元に議事次第がありますので、まず議題(1)として「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗について」、議題(2)として「抗微生物薬適正使用の手引きの改正について」、議題(3)として「報告事項」、議題(4)として「その他」を予定しております。

 皆様の円滑なる議事進行のために御協力をよろしくお願いいたします。

 まず、議題(1)に沿いまして、皆さんの資料1をごらんいただきたいと思います。

 資料1に基づいて、事務局から説明をお願いいたします。

○結核感染症課長補佐 それでは、資料1をごらんください。「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの進捗について」厚生労働省結核感染症課より御報告させていただきます。

 1ページ目は、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)」の項目でございます。6つの目標がございまして、グレーにしているところが主に農林水産省、そのほかに厚生労働省以外のところが主に担当するところでございまして、黒字に示しているところは厚生労働省がかかわって、対策を進めている項目でございます。

 2ページ目に、「薬剤耐性(AMR)に関する検討体制」について示しております。厚生科学審議会感染症部会のもとに薬剤耐性(AMR)に関する小委員会を設置しております。その下に抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会が設置されております。それとまた別に薬剤耐性ワンへルス動向調査の検討会というものを設けております。それぞれAMR対策のアクションプランに対する対策のうち厚生労働省が所管する専門的、技術的事項の審議及び、アクションプランのうち主として、ヒトの健康に関する対策の進捗状況の評価等がこの小委員会の役割ということになります。

 3ページ目でございますけれども、これは薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの中にも示しております、抗微生物薬の使用状況の国際比較をしたものでございます。日本の特徴といたしましては、人口当たりの抗菌薬の使用量そのものは他国と比べまして、必ずしも多くはないのですけれども、セファロスポリン系、キノロン系、マクロライド系といういわゆる広域抗菌薬の使用の割合が他国と比べて高いというのが特徴でございます。したがって、これらの適正使用の推進によって、使用量及び使用割合を減らすことが重要であるということが見てとれるかと思います。

 そのような状況を踏まえまして、抗微生物薬適正使用に向けた取り組みということで4ページ目にございますけれども、「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」を昨年6月1日に発表しております。こちらは急性気道感染症及び急性下痢症を対象といたしまして、診断治療の考え方、さらに患者家族への説明内容等を示しておるものでございます。

 5ページ目、このような抗微生物薬適正使用の推進のためには啓発が大変重要になってまいりまして、医療従事者のみならず患者、家族の方々にも御理解を深めていただく必要があるということで、このような啓発のポスターを作成いたしまして、自治体や関係団体等に配布したということでございます。

 6ページ目、薬剤耐性ワンへルス動向調査のイメージについてでございますけれども、こちらはアクションプランの目標2に、薬剤耐性に関する動向調査、監視を行うという目標が掲げられております。ヒト、動物、環境の各分野における薬剤耐性微生物の検出、あるいは抗微生物薬の使用状況等のデータを収集いたしまして、統合的な分析、評価を実施するというものでございます。こちらは、さらに年次報告書として、毎年この調査を行うことによりまして、本アクションプランの成果指標であるところの薬剤耐性率であるとか、抗微生物薬の使用量について評価をしていくというものでございます。

 昨年度、平成29年度の報告を10月に公表しております。この報告書につきましては、机上配布資料もございますので後ほど確認いただければと思います。

 7ページ目でございますけれども、こちらは厚生労働省の委託事業といたしまして、「AMR臨床リファレンスセンター事業」というものを昨年度設置して開始いたしました。こちらは、アクションプランに基づく情報や教育にかかわる業務を行う目的で設立されたものでございます。こちらの活動内容につきましては、後ほど大曲委員より御報告いただきたいと考えております。

 8ページ目でございますけれども、アクションプランの目標の6番目であります「国際協力」ということを目的といたしまして、「AMRワンへルス東京会議」という国際会議を昨年11月に開催いたしました。参加者ですけれども、主にアジア太平洋諸国の保健省及び農水省のAMR担当者、さらに国際機関の担当の方にお集まりいただきまして、アクションプランの各国の策定状況でありますとか、抗微生物薬の推進のための対策、あるいはワンへルスサーベイランスの体制等につきまして意見の交換、情報共有をいたしました。その上で、国際機関等との協力体制についても議論をいたしたところでございます。この会議の成果のサマリー文書につきましては参考資料5につけておりますので、こちらも御確認いただければと思います。2日目には、英国よりサリー・デイビス英政府主席医務官を初めといたしまして、国内外の有識者担当の方よりAMR対策の取り組みについて、情報共有を行ったというところでございます。

 最後、9ページ目に薬剤耐性アクションプランの進捗状況をサマリーしております。主立った対策内容につきまして、真ん中をブルーで示しておりますけれども、各項目といたしましては、右手のほうに各々の代表的なものを抜粋しておりますが、こういった取り組みを6つの目標それぞれにつきまして進めているところでございます。

 事務局からは以上です。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 まず、資料1、資料2、資料3を先に報告していただいたら、その後に皆さんから御質問を受けたいと思います。

 資料2について、大曲先生からお願いいたします。

○大曲委員 国際医療研究センターの大曲と申します。資料2に入ります。

 アクションプランの進捗ということで、我々は主に医療分野の対策を担う部門として、昨年当院にAMR臨床リファレンスセンターが設置されましたけれども、1年間のセンターによる活動の進捗を御報告します。

 おめくりいただきまして、右下のページの1番のところであります。こちらがリファレンスセンターの構造であります。部屋が2つあります。左にお示ししましたのが臨床疫学の事業でありまして、こちらでは、主にAMRに関連するさまざまな統計を集めてサーベイランスを行う、その取りまとめをするというところを担っております。

 右にお示ししましたのがAMR対策の情報・教育支援事業ということで、医療分野の対策を実際に進めるには教育啓発が非常に重要でありまして、そのために必要なさまざまな情報、資材といったものを集めるあるいは編集をして、お配りをするといった仕事をしてまいりました。

 2ページ目ですけれども、その中で特に教育の部門のお話をしたいと思いますが、教育では実際に資材をつくることを行っています。それはガイドラインであったり、先ほどのようなポスターであったりとか、情報のリーフレットでやったりするわけです。もう一つの重要な役割としては人材育成を担っております。これは既に感染症にかかわるさまざまな学会、職能団体と先生方が活動を行われていますので、それを効果的に行うという意味で、こうした職能団体、専門学会の方々にお集まりいただいて、そこをコンソーシアムという形でまとめてやっていこうということで進めてまいりました。その概要がこちらにお示ししたところであります。主に左側が教育啓発のプロジェクトというところで、さまざまな活動等を行いましたし、右側ではガイドラインやマニュアルをつくるというところで、専門の先生方にお集まりをいただいて、実際にこの活動を進めてきたところです。

 おめくりいただきまして、3ページ目でありますけれども、こちらにお示ししましたのは、実際にその情報をお伝えするために我々が用いた媒体でありまして、左側の上にありますのはウエブサイトであります。昨年9月15日というところで、一般の方、医療従事者向けということで、主に我々がつくった資材あるいは情報といったものをお載せしていますし、右下にはSNSを使っていこうというところで、専用のフェイスブックとツイッターを設けまして、こちらからも情報を伝えてまいりました。

 4ページ目ですけれども、実際にどういう資料をつくったのかということで例をお示ししたいと思います。左手がインフォグラフィックでありまして、なかなか文字だけの情報では、こういった大事なメッセージは伝わりにくいというところがありますので、目に入りやすいイラストを用いて、キーメッセージをわかりやすく示して、そして、お伝えしたい情報を伝えていこうということで、このような形でつくってまいりました。右側にお示ししたのは啓発に用いたポスターでありまして、これは先ほど御説明をいただいたとおりであります。

 おめくりいただきまして、5ページ目でありますけれども、それだけではなくて、実際に医療従事者、一般の方あるいは子供さんたちといったところを対象にして、対面で教育啓発を行うことも非常に重要ということで、さまざまなセミナーを行ってまいりました。上半分は、AMRのセミナーでありまして、医療従事者あるいは歯科の先生方対象、これは歯科医師会の先生方と共催で行いましたし、公衆衛生セミナーということで保健所の先生方とセミナーを行ったりということもありました。あとは、川柳を公募したりですとか、メディアの方々にも知っていただきたいのでメディアセミナー、そして、こうした取り組みをウエブサイトで紹介する。あるいは啓発のイベントを行いました。

 アウトリーチ活動として行ったのは、品川のとある小学校で小学生を対象に行った授業であります。こういう形でAMRの問題、お薬のことを知っていただくということでありましたし、こうやって子供向けの活動を行っておりますと、保護者の方々からも関心が寄せられまして、右側にお示ししましたのは保護者の方々に向けて行ったセミナーであります。

 6ページ目であります。こちらは主に臨床疫学の部門で行った仕事の御紹介をしたいと思うのですけれども、一番大きな仕事がこちらでありまして、J-SIPHEというこれはサーベイランスのプラットフォームです。既存の日本のさまざまなサーベイランスを集めて、その情報をしっかりと見えるようにするためのプラットフォームをつくったというところであります。「Japan Surveillance for Infection Prevention and Healthcare Epidemiology」ということで、頭文字をとってJ-SIPHEと呼んでおります。どういう構造かといいますと、日本には、例えばJANISがありますし、抗微生物薬の使用量のサイトとしてはJACSがございますが、これらに提供されるデータをうまく生かしながら労力をふやさずにして、見られるようにしていきたいということでつくっています。病院のほうで、このようなデータが我々の持っているサーバーに集められていきます。そうすると、実際のAMRの発生の動向ですとか抗微生物薬の使用量、あるいは医療関連感染症や抗菌薬の適正使用を進めるのに必要な指標を出すといったことが可能になります。

 それらをわかりやすくしたというところが一番の狙いでして、それをどう活用していただくかというところは下半分にお示ししてございますけれども、例えば一番左端でいきますと、感染防止対策の加算の1と2の連携の輪の中でデータを共有していただくですとか、日本の中では、都道府県によってはかなり県レベルで医療機関のデータが共有できているところがありますので、その中で共有していただくですとか、あるいはデータをうまくとって、日本の代表値を出すといったところを行っております。昨年度の間に一応つくりあがりまして、新年度から今は試行運転をして、不具合等々があったところを直しているところでありまして、年度内に本格的に登録が始められればと思っております。

 7ページ目でありますけれども、先ほどワンへルスの動向調査のお話がございました。これは報告書がしっかりまとまってありますけれども、非常に重要な情報が含まれていますので、それらを、グラフ等を使って見やすくまとめたサイトを私どもでつくりました。

 8ページ目でありますけれども、AMRに関する統計はなるべく目に見えるようにしていくということで、一つは都道府県の抗菌薬の販売量の集計データをお示ししました。これは4月3日にお示ししたものでありますが、もとになったのは卸しからの販売量のデータでありますけれども、これを2013年~2016年の4年間分を掲載しております。かなり販売量に地域差があるということが予想されましたので、販売量を地域、都道府県で分けてお示しするといったことを行っております。

 以上で、AMR臨床リファレンスセンターの活動の進捗を御報告します。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 資料3に基づいて、薬剤耐性研究センターの問題について、菅井先生からお願いいたします。

○菅井参考人 感染症研究所の薬剤耐性研究センターの菅井でございます。1月1日から赴任しまして、今後、センターでの研究を開始したいと思いますのでよろしくお願いいたします。

 今回は来て間がないので、今後の展望という形で、今後のAMR研究活動について御紹介したいと思います。

 1枚めくっていただきまして、1ページに現在の感染研の中にある薬剤耐性研究センターの陣容を示しております。7室ございまして、現在はそのうちの3室が実際に稼働しております。第1室はMolecular biologyを行っているところで、第2室が左上にありますけれども、Lab of Surveillanceという、いわゆるJANISを行っているところであります。第3室がLab of One Health Researchと真ん中にありますが、ワンへルスの部屋ということで、あとの部屋に関しては現在併任で研究員が活動しておられます。ですので、感染研にあるこのセンターでは、この3室を中心に活動を現在始めているということでございます。

 この後にいろいろな活動について御紹介したいと思いますけれども、最初にNational Surveillanceということで、国内のAMRのサーベイランスを行っていく。今まではJANISがありますが、JANISでは患者情報あるいは菌体のMICの情報がありますけれども、菌そのものの情報については全く感染研、JANISの中では持っておりませんので、そういったものについて、病原体のサーベイランスを並行して行うということを考えております。特にCREについては地域格差が非常にありますので、詳細な全国のマップをつくりたいと考えています。その収集ソースは急性期病院、検査室を持たない開業医さんのグループ、そして、慢性期病院、介護老人施設についてターゲットを絞って行いたいなと考えています。

 次から具体的なことについて少し触れております。4ページは「国内JANISの拡充」ということで既にJANISは動いておりますけれども、これをさらに発展させるということで、5ページ、6ページ、7ページにわたって、JANISの現在の状況、今までのデータの集計のアキュムレーションの状況は記載されておりますが、最初は非常に少なかったのにどんどんふえていっておりますけれども、そのほとんどが当初は急性期病院の大きな病院に限られていました。

 7ページにありますけれども、これは少し前のデータですが、900床以上あるいは500床以上の病院に関してはかなりデータが集まってきておりますけれども、200床以下の病院についてはまだデータが少ないと。こういったところはこれから充実させていく必要があるかなと考えています。

 その次のページにちょっとしたイメージを書きましたけれども、今後JANISあるいは病原体サーベイランスについても、いわゆる急性期病院のデータではかなり充実してきましたが、その氷山の一角で、その下にある療養型病院、介護療養型医療施設、介護老人保健施設、特養等における状況というのは、今後もう少し具体的に明らかにしていく必要があると考えまして、JANISの目標としてはそういうものを立てております。

 ページをめくっていただきまして、9ページにJANISもそうですけれども、薬の薬剤の感受性というのがさまざまな機器を使って行っていますが、その試験精度というので統一化したものがないということで、これについて、さらに管理の充実を図っていきたいと。それに資するデータを出していきたいと考えております。

10番目ですけれども「病原体サーベイランス」で、これに一番力を入れたいなと思っているのですが、国内サーベイランスを行いたいと思います。ターゲットは一応今のところESBLの産生の腸内細菌科細菌、CREMDRPMRSAという大きく4つの薬剤耐性菌に絞って、ソースとしては急性期病院、そして、検査室を持たない開業医さん、それから慢性期病院、介護老人施設のそれぞれのクラスにおけるサーベイランス、状況を全国レベルで調べたいと考えております。

11ページですけれども、病原体サーベイランスに関しては、既に地衛研にリファレンスセンターがございます。リファレンスセンターと今後さらに協力を密にして、あるいは全国の大学病院であったり、あるいは地域の医療施設といったものと連携をとりながら、このサーベイランスを行って、ネットワークを充実させたいと考えております。

 サーベイランスを行った上で、出てくる菌株についてですけれども、12ページから少し具体的なアイデアをここに記載しておりますが、耐性菌バンクというものをAMRセンターの中につくって、そこに集積をするということを考えています。これは単に国内のサーベイランスの収集菌株のみならず、海外の薬剤耐性菌のパネルを大きな海外のCDCであったり、ヨーロッパの医療施設が持っていますので、そういったものを受け入れる。さらには臨床研究(共同研究)で行う収集菌株を集める、あるいはWHOが求める菌株等の薬剤耐性調査に関係する菌を集める。そういったものをこの耐性菌バンクに入れて、それを研究に使うと同時に国内のAcademia、あるいはBiopharmaへの譲渡を通して、国内での薬剤耐性菌に対するR&Dの促進を図るためのバンクを考えています。

13ページ、14ページとありますけれども、昨今は、耐性菌にはゲノム情報を付与したものをバンクとして登録する。つまり、データベースとしてそこに入れ込むということを考えております。

14ページに大体のアウトラインを書いていますけれども、左側にさまざまな耐性菌のソースがありますが、そういったものをバンクに入れて、それを大学や製薬企業への基礎研究あるいは創薬事業に使ってもらう、あるいは各国の研究機関との共同での研究等に用いるということで、こういったものを計画しております。

 2番目に研究ですけれども、15ページから研究の今後の展望についてちょっとお話ししたいと思います。

 まず、先ほども申し上げましたけれども、CREについては地域によって非常に偏りがある。遺伝子のタイプにも偏りがあることがわかってきておりますので、これについて日本全国の詳細な耐性菌のマップをつくりたいと考えています。それとともに我が国でのクリティカルな耐性菌のリストというものを作成したい。WHOあるいはCDCはつくっておりますけれども、それに相当する日本版のクリティカルな耐性菌リストをつくりたいと思っています。これは個別研究をさまざまな形で行っていきたいと考えています。

16ページは、一つの耐性菌マップの例ですけれども、既に先行研究で行ったものを見ましても、例えば関東地方と西日本とでは、遺伝子のタイプも違いますし、遺伝子が持っているプラスミドの種類も違いますので、そういった状況についてもう少し細かい詳細なマップをつくりたいということでございます。

17ページは繰り返しになりますけれども、CREの分布もかなり地域差がありますし、そういったものをもう少しきちんとしたいということと、右側にあるのはCDCのリストですが、これに相当する日本版のリストをつくりたいと考えています。

 3番目が18ページから「One health collaboration」ということで、現在ワンへルスの研究活動として、これからAMRセンターで行おうと思っていることは大きく3つあります。1つは、Global Sewage Surveillance projectといって、世界中の下水、排水のメタゲノム解析等のプロジェクトというのが始まっていまして、それに参画したいと考えています。もう一つは、WHOTricycle Projectといって、ヒトと食品、河川の3つにまたがる大腸菌のESBL産生菌についてのサーベイランスをWHOがこれから行うということなのですけれども、これに参画したいと考えています。あわせて、日本国内での病院排水のメタゲノムの解析を行いたいと考えております。プラス個別研究です。

 今のお話が19ページ、特に20ページにありますけれども、ヒトと食品、食品は鳥肉ですが、環境は河川です。そこでのESBLウイルスの産生大腸菌についてのサーベイランスを行いたいということでございます。

 4番目が国際コラボレーションということで、JANISは既に国際展開を今図っているところですけれども、一つは、23ページ、24ページをごらんいただきたいのですが、WHOのサーベイランスシステムでGLASSというものがございます。GLASSは世界中からのサーベイランスの結果をまとめて、そこで発表するという形になっていますけれども、ここにJANISも登録して、発表していきたいと思っています。昨年にはJANISのデータを出したのですが、日本語とのシステムの違いから今回は採用されなかったので、それについては早急に対策をとって、今後JANISのデータをGLASSに反映させたいと考えております。

 もう一つは25ページからですけれども、「東南アジア諸国への海外版JANISの導入」ということで、特にWHOSEAROあるいはWPROと協力して、現在27ページで記載がありますが、あと、モンゴルで今試行がされていますけれども、今後タイのWHOのヘッドクオーターから5月に関係者が来られますので、その方たちと協力して、東南アジアにおける海外版JANISの導入というのを積極的に行っていきたいと考えております。

 もう一つは、海外展開としては28ページから記載がありますけれども、東南アジアにおける研究協力ということで、29ページ、30ページに今まで行ってきたことを記載していますが、カンボジア、ベトナムあるいは中国における共同研究というのを今後も続けていきたいと考えています。また、31ページにありますけれども、J-GRIDというのが今走っていますが、その中で感染研も一翼を担っていますので、これについても今後菌株あるいはゲノムのデータの取得をしていきたいと考えています。

 5番目がAMRセンターの「Think Tank Function」ということで、そこに2つ記載してございますが、特に「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の耐性基準の検討」ということで、34ページに、既に2014年に施行されました「カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症5類全数報告疾患に指定」というのがございますけれども、2014年で既に5年たちましたので、この間に感染症疾患に規定する耐性菌が実際にどんなものであったかということについて、ここでもう一度検討して、それを実際の新しい施行につなげることができたなと考えております。

 こういうことを行っていく上では、感染研のAMRセンターだけではできませんので、33ページにありますようにさまざまな学会の先生方、あるいは動物薬検査所、あるいはNCGM、あるいは厚労省と密接に関係を持って、その専門家会議のようなものをつくって、その中で議論していきたいと考えております

 以上でございます。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 資料1、資料2、資料3に基づいて、皆さんから簡潔に報告をいただきましたけれども、これから御質問を受けたいと思います。先ほど厚労省から薬剤の動向調査の結果について、机上配布資料でワンへルスの年次報告書2017の日本語版が皆さんに配られていますが、おとといでしたか、英語版のバージョンも発表されたということで、日本のアクティビティーが世界に向かって知らされる状況ができましたということは、非常に皆さん、多くの関係者の努力の賜物だと思いますので、やはり我が国がやっていることが国内だけではなくて、海外の方々にも知っていただいて、そして、海外とのいろいろな連携というものが模索されていくということは、非常に結構なことだと思いますので、ちょっとつけ加えておきます。

 資料1について、何か御質問等がありましたらお願いいたします。厚労省がNational Action Planに基づいて、いろいろな取り組みを行ってきたという経過をサマライズされたわけですけれども、こういうところをもう少しはっきりさせたいとか、こういう点は今どうなっているのだという御質問等がありましたらお願いいたします。

 座長から質問ですけれども、多分こういう計画を立てた場合に、当然いわゆる成果というか、そういうものが適切に行われているかどうかということの 評価というのが当然伴わないといけないかなと思うのですが、その辺は今後どういう形でやっていくかを教えていただけますか。

○結核感染症課長補佐 薬剤耐性対策アクションプランは、政府全体の取り組みでございまして、厚生労働省以外の関係省庁もかかわりますので、内閣官房が取りまとめまして、進捗状況の管理というのは行っております。昨年も6月あたりに会議が行われまして、その進捗状況が共有されたところでございますし、今年度も同じぐらいの時期にそれが開催される予定になっておりまして、そこでさまざまな御評価、御意見を伺いながら、またその対策を考え直していくという作業になります。厚生労働省が担当している分野に関しましては、この小委員会が本日のような進捗状況について御意見等をいただきまして、それを今後の対策に生かしていくという形で考えております。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 そういうことですので、ぜひ皆さんから今までなされてきた活動というか、それに対して、御忌憚のない御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 お願いします。

○荒川委員 余り質問が出ないようなので、この薬剤耐性問題を解決する、あるいは効果を上げるためには、ワンへルス的な観点の対応が非常に重要だと思うのですけれども、「環境」というのが6ページの下にありますが、海の川が流れ込んでいるあたりとか、あとは養魚場というところの耐性菌の状況の調査も非常に重要になってくると思うのですけれども、厚労省さんの守備範囲ではなくなってくると思うのですが、ワンへルスの調査の中での環境省のコントリビューションといいますか、あるいはその役割分担、連携というのはどういうふうになっているのかをちょっと教えていただきたいです。

○結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。

 ヒト分野、動物分野に比べますと、そもそも環境分野は情報が大変少ないという現状がございます。これは日本だけでなく、各国も同じような状況で、さまざまな研究が今はなされているような段階でありますし、WHOでも、先ほど菅井参考人から御紹介いただきましたようなプロジェクトが始まったところという状況でございます。

 国内につきましては、環境省もいろいろな水質調査等は行っておりますけれども、この中に薬剤耐性のものが部分的に化学物質の一部として含まれている部分もございますが、余り系統立ってAMRに関する情報、あるいはデータを収集しているような状況ではございません。この状況を改善するためにということで、まず、環境中にどのような薬剤耐性微生物あるいは抗生物質の成分などがどれぐらいあるのかということ及び、それがどのようにヒトあるいは動物に影響を及ぼすかというところの調査、研究をしなければならないということです。厚生労働省でも研究班をつくりまして、こちらの研究を開始したというところでございますし、そのほかの省庁でも同じような取り組みというのが始まっているように聞いております。まとめますと、環境については各国も含めまして、日本につきましても、まだ少し研究が始まった段階であるということでございます。環境省のほうとも少し情報の共有、あるいは現在行っている調査の中で何らかのコラボレーションができるかできないかということに関しては、今後、少し情報を得ながら考えていきたいと思っております。

 ワンへルス動向調査検討会には、環境の分野に大変造詣の深い専門家の先生方もおられますので、そのような先生方からの意見も大いに参考にしながら進めていきたいと考えております。

○渡邉委員長 ありがとうございます。よろしいですか。

 お願いします。

○柴山委員 感染研の柴山でございます。

 このアクションプランには、成果指標として薬剤耐性菌を具体的に何パーセント減らすといった数値目標が書いてあったと思います。それを評価していくというのは非常に重要なことだと思うのですけれども、一つの技術的な問題として、薬剤耐性の判定基準が割と頻繁に変わるということがございます。私たちはJANISを担当しているのですが、私たちは病院のほうが採用している判定基準に合わせて、私たちのサーベイランスも変更しているという状況にあるのですけれども、なかなか判定基準が変わってしまうと、最初に使った数字がちょっとわからなくなってしまうという問題がございますので、この辺をどういうふうに評価していったらいいかというのは私たちも検討していきたいと思いますし、厚生労働省とも一緒に皆様で考えていければと思います。

○渡邉委員長 数字が一人歩きをしてしまうと、なかなか大変なことになるので、かといって、比較ができるような形にしておかないとまずいと思うので、そこは何か今後方針がありましたら。

○結核感染症課長補佐 アクションプランの成果指標は、基本的にJANISのデータに基づきまして、2013年、2014年のあたりのデータに基づいて、その目標値というのが立てられておりますので、そこを基準として、そこから判定あるいは算出の仕方というものがずれないような形でフォローアップしていけるような、今、柴山委員より御指摘のありましたようなところで算出の仕方につきましては、少し検討を深めながら進めていきたいと考えております。

○渡邉委員長 よろしくお願いいたします。

○荒川委員 一ついいですか。今の件は昔からの課題でして、アメリカのCLSIなどは臨床的な効果があるかないかということを一応指標にして、ブレークポイントを定期的に変えていますね。JANISにしろ、厚生労働省の発生動向調査というか感染症に基づくレポートはやはりサーベイランスなので、その基準をころころ変えてしまうと、何を見ているかがわからなくなることになります。ある年から急にふえたり減ったりというわけのわからない現象が起きますから、CLSIの基準の変更は確かに考慮する必要がありますけれども、サーベイランスを継続的に行うという観点からは、JANISあるいは厚労省の基準もそんなに大きく変えるようなことをしょっちゅうやるということは、サーベイランスそのもの自体の意味がなくなりますので、もし可能であれば、病院の検査パネルの中にサーベイランス用の薬剤のセットみたいなものを幾つか入れてもらって、そのデータを中心に見ていくとか、それが難しいのであれば、先ほど菅井センター長がおっしゃっていたように、研究班として継続的に耐性菌の菌株を集めてきて、実際に耐性率というものを見ていく。それをサーベイランス、JANISのデータと照合しながら、適宜補正していくような技術的なことをしていって、研究とサーベイランスを一緒に連動していくような体制が必要ではないかなと思います。

○渡邉委員長 どうぞ。

○結核感染症課長補佐 ただいま御指摘いただきましたとおりのように我々も考えておりまして、基準を変えることによって率が大きくずれてしまうということはないようにと考えておりますので、そこにつきましては、柴山委員や今回の菅井センター長と十分に議論しながら、そういう外的要因と申しますか、本質的ではないところによって指標の算出の仕方がぶれないように考慮していきたいと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 先ほど、菅井先生からJANISのデータがWHOGLASSにアクセプトされなかったという言い方だとちょっときついけれども、一応そういう状況だという話が出たので、その辺の耐性菌の情報の集め方の問題ですね。どういう基準でどういうふうに集めるのかということをもう一度関係者で話し合って、余りぶれないような体制を構築していただきたいと思うので、よろしく今後検討をお願いしたいと思います。

 ほかにありますか。きょうは日本医師会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本獣医師会、日本歯科医師会の先生がいらしておりますので、現場から見たときにアクションプランの進捗状況をどういうふうに評価していらっしゃるのか、コメントをいただければと思いますけれども、よろしくお願いします。

○釜萢委員 御指名をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の進捗状況を見る上では、抗微生物薬の使用の手引きが新たに発出されたということは大変大きなことでありまして、これは医療現場において、この手引きをしっかり見ながらこれまでの医療のやり方で改める点があれば、また改めていかなければいけないということになるわけでありまして、その変化の様子をなるべく逐一見ていきたいなと思っております。年ごとに変化の様子がわかる何らかのデータが示されるとありがたいです。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 歯科医師会から杉山先生がいらしていますが、いかがでしょうか。

○杉山委員 歯科医師会の杉山でございます。ありがとうございました。

 歯科口腔領域の感染症について言うと、さまざまなガイドラインをつくらせていただいているのですが、歯科口腔感染症といいましても、部位によって状況が違ってくるということで、どういう対応のガイドラインをつくるかということについては、各学会で鋭意検討しているところでございます。

 それから、きょうの会議の後でまた出てくると思うのですが、歯科の医療現場における抗菌薬の使用量の問題については、厳密に今の日本の中ではそういうデータ7分析がありません。ですから、そういったことをまず基本的なデータとして調べていかなければいけないと思います。

 以上でございます。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 病院薬剤師会のほうで前田先生からお願いします。

○前田委員 日本病院薬剤師会から参りました前田と申します。よろしくお願いします。

 このアクションプランができまして、各病院がこれに向けて、みんな努力はしているのですが、例えばブドウ球菌のMRSA50%平均などでも、かなり努力していても各耐性菌が全く変わらないのです。これ以外にいろいろな資料、ガイドラインに遵守してやっているのですが、なかなか減らないというのと、ESBLの大腸菌がどんどんふえているような気がして、商品名を言って申しわけありませんけれども、うちの病院でもサワシリンとかケフラールといったものよりも第3世代の経口セフェムが結構使用されているので、そういったほうにも取り組んでいけたらなと思っております。こういうものがあるからかなりよくなるのではないかなとは思っております。ありがとうございます。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 日本薬剤師会の宮崎先生、お願いします。

○宮崎委員 薬剤師会の宮崎です。

 昨年、抗微生物薬の適正使用の手引きが出たのを受けて、日本薬剤師会では全国会議の中で講演をしていただいたりとか、手引きの簡易版を全会員に向けて配るという対応をとらせていただいています。なぜなら処方動向がもし変わっていった場合に、どういう背景で変わったのかということを患者さんたちに私たちが説明せざるを得ない場合がありますので、そういった取り組みを行っているところです。

 ただ、病院の薬剤師さんと違って、ダイレクトに処方されるドクターに、これはいいのではないですかなんてことはなかなか言えるものではないですので、地域での抗菌薬の使用状況を薬局で調査できるのか、そういったものを含めて今後検討はしていかないといけないなと思いますが、このアクションプランに示されている削減目標というものについては、薬剤師会としてどう取り組んでいけるかというのは検討しているところです。ただ、現場で私が開局の一薬剤師として見ているところによると、急激に減ったわけではないですが、処方動向が少し変わっている先生はいるなという意識は受けております。

 以上です。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 現場の先生方からの貴重な御意見、ありがとうございます。

 こういうものをやったらすぐにどうこうという問題ではなくて、やはりある程度の時間をかけながらゆっくり経過を見ているということが多分重要なのではないかなと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 どうぞ。

○山野委員 製薬協の山野ですけれども、幾つかのアクションプランの中でいろいろ動かしていただいてありがたく思います。ただ、5番目の薬剤耐性菌に関する研究開発あるいは創薬の推進というところが、今回余りアクションの進捗として出てこなかったような気もしますので、何か進捗として御報告いただけることがあれば、教えていただければありがたいと。

○結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 厚生労働省そのもので研究を進めるといったものではございませんで、厚生労働省としてはそれを支援するという立場でございますので、こちらにつきましては、本日の報告事項で宮川参考人から御報告いただくような研究開発、あるいはその支援ということにつきまして、厚生労働省は今後も積極的にかかわっていきたいと考えております。

○渡邉委員長 AMEDから➂でまた発表させていただきますので、またそのときに御質問いただければと思います。

 ほかに全体的なことで、資料1、資料2、資料3に基づくコメント等がありましたらいかがでしょうか。

 大曲先生にお聞きしたいのですけれども、国立国際医療センターにAMR臨床リファレンスセンターができて、ある意味のリスクコミュニケーションを担っているのだと思うのです。ホームページに載せるというのは非常に重要なことだと思うのですが、それが実際にどういうふうに一般の方々、また、医療従事者も含めて利用されているのか、またはそれが浸透しているのか、およびどのような効果があるのかというのは、このセンターとしては、どういうふうに評価していく予定かをお話しいただければ、お願いします。

○大曲委員 ありがとうございます。

 まず、資材自体の使われている動向に関しては、例えば実際に配布した数といったものは見られると思います。もう一つは効果がなければいけませんので、それはそれなりに物差しが要りまして、例えば一つは厚労科研で行っているものなのですけれども、一般の方々の意識調査をやっています。正確には、AMR、抗微生物薬に関する知識と意識、行動に関しては調査を行っています。どれぐらいの感覚でやるかは検討が必要ですけれども、それを定期的にやることによって、それらの意識、知識、行動といったものが変わってきているかというところははかれるのではないかと思っています。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 精力的にいろいろなデータを一括で見られるようなサイトをつくっていただくというのは非常にいいことだと思う。今まではどちらかというと、どこを引いたらいいかがよくわからないということを海外の人からもよく言われて、どこに日本のデータが載っているのかがよくわからないと。それがこういう形で一つのところで見られるというのは、非常に日本の姿勢を示す上でも重要なことだなと思うのですけれども、先ほど年次報告書が英文で出たということに合わせて、このサイトも将来的にはそういう方向性になるのですか。

○大曲委員 英語でお示ししたいと思います。

○渡邉委員長 よろしくお願いいたします。

 ほかに御質問等がありましたら、どうぞ。

○荒川委員 AMR臨床レファレンスセンターは、今、何人ぐらいの人がかかわっておられるのかということ、というのは、JANISを立ち上げたときにマンパワーがなくて、非常に苦労した経験があって、2007年ぐらいからようやくその予算を少しふやしてもらったりして、やはり人が重要だと思うのです。ですから、その辺がどのぐらいなのか、あるのかもしれませんけれども厚労省に予算をつけていただかないと、遠慮なく言っていただいたほうがいいかなと思うのです。

○大曲委員 先生、ありがとうございます。

 今、少し人をリクルートしたりというところがあって、私は正確な数字がぱっと出てこないのですけれども10人前後です。ただ、その中には、私を含めて本務と兼任でやっている者も3~4人おります。あと、事務職も含めるともう3~4人おりますが、印象としては、やはり人は必要だなと思います。もちろん私らが最初に思っていたのは専門的知識と経験があって、頭を働かせる人間がいるというのは当然思っていたのですけれども、進めていくとそれをうまく伝えられる、加工できる人が必要でして、広報の専門家ですとかSEさん、これだけサイト等をいじっていますと、SEさんが内部にいないととても動かなくて、実際に我々は採用しました。いろいろな方々に対してわかりやすく、場合にはITを使って物事を伝えるとなると、その分野の専門職も要ります。予算の中で何とか今のところはやっているところです。

○荒川委員 もう一点ですけれども、ホームページを充実していくというのは非常にいい方法だと思うのですが、例えばCDCなどはSNS、フェイスブックというものをうまく使って、それでいろいろな情報をたくさんの人にアクティブに提供するようなことをやっていますね。そういうことはAMR臨床リファレンスセンターでは計画しておられるのかどうか。

○大曲委員 SNSは非常に大事だと思っていまして、実際に使っております。フェイスブックとツイッターですけれども、我々の中の専門の人間が直接出すこともありますし、我々が持つ専門家としてのメッセージがそのままでは伝わりにくいこともありますので、それを広報する専門の集団に検討していただいて、彼らがメッセージ化して、それを伝えるといったこともやって、何とかAMRということを御存じないような方々に届けたいと思って、今、活動しています。

○渡邉委員長 杉山先生。

○杉山委員 歯科医師会の杉山でございます。

 大曲先生のところのリファレンスセンターのお話なのです。2月4日に歯科医師会と共催で指導啓発事業をさせていただきました。現場スタッフの数の問題があるにも拘わらず、実際に講習会を経験させていただいてとても感動しました。かなりタイトな時間であるにも関わらずきゅっと的を絞って、すばらしい講演をして頂きました。そのときも会場いっぱいの100名ぐらいがお見えになったのですが、アンケートをさせていただいて、とても効果が高いように感じました。そのような形でやっていただいていることについて、この場をかりて、お礼を申し上げたいなと思います。ありがとうございました。

 以上です。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 高野先生。

○高野委員 慶應の高野です。

ワンヘルスの報告書がきちんとしてまとめられているのを拝見はしたのですけれども、医療の現場にいると、手引きのほうはすごく広まったのではないかなと思うのですが、その手引きと同じぐらいとても簡単でもいいので、家畜など動物に対する抗菌薬がどのような状況を目標にして、進捗がどうなっているのかということももう少し医療者にわかるようになっていくといいのかなという印象を持っているのが一つの意見です。

 もう一つが、アクションプランの「3.感染予防管理」というところで、「3.3 薬剤耐性感染症の集団発生への対応能力の強化」というところがあるのですけれども、ここに関しては進捗というか、内容がどのようになっているのかというのが一つの質問です。

○渡邉委員長 厚労省からいいですか。

○結核感染症課長補佐 まず事務局のほうからでございますけれども、ワンへルス動向調査年次報告書そのものは文字と数字ばかりの大変味気ないものとなっておるのですが、こちらの情報をわかりやすく提示して、アクセスしていただくという面で大曲先生の臨床リファレンスセンターでウエブサイトを開設したという経緯になっておりまして、大曲先生の資料2の7ページにそのようなものがございます。これは、大曲先生から御照会いただいたほうがいいかもわかりませんけれども、まだ設置して間もないですが、こちらを充実させていく形で情報を発信していければと考えております。

 もう一つ、目標3の「感染予防管理」につきましてですけれども、こちらは医療従事者を中心とした関係の方々への啓発です。こちらが重要な鍵を担っていると考えておりまして、こちらもAMR臨床リファレンスセンターで進めていっていただいているところでございます。あと、公衆衛生の観点で、保健所の方々にも院内感染対策にかかわっていただきますように、このリファレンスセンターで同じく公衆衛生を担っている方に対するセミナーも昨年度開始していただいておるところです。

 また、J-SIPHEというサーベイランスのプラットフォームの御紹介もございましたように、こちらのほうは登録していただく病院を今後リクルートしていくことになりますけれども、これによって情報の収集とフィードバックがうまくできれば、そちらもかなり院内感染対策の推進に効果があるものと期待しているところでございます。

○渡邉委員長 3.3の集団発生への対応能力というのは、恐らく地域で発生した場合にそれの相談場所というか、今のところ保健所がそれに対応するという形に多分なっているのだと思うのですけれども、その辺の説明をちょっとお願いします。

○結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 資料2の2ページ目に臨床リファレンスセンターでやっていただいている「感染症教育コンソーシアム」の中で、「ガイドライン・マニュアルプロジェクト」の一つに「院内アウトブレイク対応」というのがございまして、こちらを今リファレンスセンターで作業していただいているところでございます。比較的大きな病院はアウトブレイクの対応に関しましても、いろいろノウハウであるとか、マンパワーというのがある程度おられるものと思われますけれども、中規模あるいは小規模の医療機関におきましては、こういった対応のときに苦慮されたりするケースも多いと思いますので、ここのガイドラインあるいはマニュアルの作成を進めていっていただいている。

 その際に、先ほど保健所の方々の関与というお話はいたしましたけれども、こういったときに保健所の方々と医療機関の方々とで連携しながら進めていただけるような形で、啓発とガイドラインの策定というのを同時といいますか、並行して進めていくという方針で考えております。

○渡邉委員長 あと、ここに地方衛生研究所の先生もいらっしゃいますけれども、アウトブレイクが起こったときの実際の現場でのいろいろなサジェスチョンとか、例えば保健所となると思いますが、菌株等々の解析は地方衛生研究所がやはりサポートすると一応なっているのだと思うのですけれども、その辺はそれでよろしいですか。

○結核感染症課長補佐 それはおっしゃるとおりでございます。

○渡邉委員長 保健所のほうから。

○山中委員 補足させていただきますけれども、今、全国保健所長会では、AMRの対策のための事業班が国から補助をいただいて動いております。その一つの目的は、院内感染アウトブレイクが起きたときに圏域ごとに医療機関、行政に御相談できたり、情報共有できるような仕組みづくりというのを進めております。全ての保健所管内でできているわけではないのですけれども、それをつくるための手引きを昨年度つくりました。また、保健所は感染症担当に発生届として、例えばCREが発生しましたという届け出が来ます。

 先ほど御説明がありましたが、それを院内感染という観点で院内感染担当と情報共有しながら対策を講じるセミナーも昨年福岡市でやっておりますけれども、今年度はもう少し範囲を広げて、それから行政だけではなくて、その地域のICDとかICNの方々にも入っていただいたセミナーをリファレンスセンターの先生方にも御協力いただきながら、何カ所かでやりたいと考えておりますので、引き続き行政としても、こういった対策を強めてまいりたいと思っております。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 あと、地研から菌株のサーベというか、アウトブレイクのときの対応というのは、何かコメントがありましたら、皆川先生が地研の代表という形になっているものですから。

○皆川委員 まずサーベイランスにつきましては、菅井先生の感染研のセンターのもとに地域レファレンスセンターがありますし、CREなどの菌株の感受性に関する遺伝子のPCR等は担当してやっておりますアウトブレイク対応については保健所等からの要請に応じてパルスフィールドゲル電気泳動などの分子疫学等は、対応できると思います。

 ただ、医療機関が行政の仕切りを越える形で連携されていたりとか、患者さんが動かれたというときは、やはり感染研にお伺いするような形で菌株を国に集めるなどという広域の連携等も必要になってくるかと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 地研と感染研の連携の上に病原体サーベイランスは、特にアウトブレイク等に対しては対応できるようになっていると解釈してよろしいわけですね。ありがとうございます。

 ほかに御質問等ありましたら、よろしいでしょうか。

 八木先生。

○八木委員 今、国立国際医療センターのAMR-CRCとかリサーチセンターのいろいろな包括的な取り組みを御紹介されて、非常に薬剤耐性菌の対策が広く包括的に進んできたということがわかりました、非常に理解ができました。薬剤耐性菌の大きな問題はやはり抗菌薬の適正使用ということはあるのですけれども、病院の中とか、そういうところを見てみますと、それは感染対策とかいろいろなことの包括的な取り組みの結果で下がってくるものであって、抗菌薬の適正使用だけではいけないというところはあります。ただ、抗菌薬の適正使用というのは非常に病院の中でも、または一般のクリニックのレベルでも浸透させるのが非常に難しくて、我々も病院の中でかなりいろいろ取り組んではおりますけれども、実際の使用量がどうなっているかというと、なかなか減ってこない。非常に地道にそういった努力を続けなければいけなくて、今回も加算等で補助していただくことになりましたので、いろいろな全体としての問題が今度はJANISなども統合されたJ-SIPHEという新しいプラットフォームが出てきて、見える化されてくるということになりますので薬剤耐性菌の問題をそういった医療機関の中で取り扱うところで、抗菌薬の適正使用、感染対策、いろいろなことが見えるようになってくるということで、それをうまく活用して、地域連携といったことを生かして、面というか、もっと広げていくということが大事なのではないかなと思います。

AMR-CRCのセンターの啓発活動にも協力させていただきましたけれども、名古屋はちょっと参加が少なかったかもしれないのですが、興味を持っておられる方は参加していただけるのですけれども、そういったところに来られないような方、または一般の市民の方で、アンケートに答える方はそういったことをあらかじめ興味を持っておられる方ではないかということがあって、そういったところで幅広く意見を聞いて、浸透させていくことが今後大事なのではないかなと思います。ありがとうございます。

○渡邉委員長 どうも貴重な意見、ありがとうございます。

 これをなし遂げていくためには、ここにいらっしゃるいろいろな団体、または関係者の方々の御協力及び、それ以外の隅々までの方々の協力がなくては、恐らく厚労省が掲げている目標値を達成するというのは非常に難しいことだと思うのですけれども、きょう皆さんの御意見を伺っていると、それに向かってやるという意気込みが非常に感じられるところで、そういう意味では未来があると感じているところであります。

 もし、ほかにないようでしたら、今、抗生物質の適正使用の問題の話が八木先生から出ましたので、次の議題(2)に移らせていただきまして、「抗微生物薬適正使用の手引きの改正について」ということで資料4ですね。

○結核感染症課長補佐 それでは、事務局より資料4を用いて説明させていただきます。「『抗微生物薬適正使用の手引き』の改正の方向性について」というものでございます。

 まず、背景ですが、AMR対策アクションプランの目標の一つに抗微生物薬の適正使用がございますけれども、これを推進するために先ほども説明いたしましたが、昨年6月に手引きの第一版というものを出しました。こちらは学童期以降の小児及び成人を対象として、対象疾患といたしましては、急性気道感染症と急性下痢症であります。さらに抗微生物薬の適正使用を進めるためには、手引きで取り扱う領域を拡大していく必要があるという意見が本委員会、あるいはその他感染症部会等でも出されております。

 そこで、どの領域から優先的に対象とすべきかということを評価して、その上で、次にこの手引きを使う領域を拡大していこうという考え方に立ちまして、厚生労働科学研究で、大曲先生を研究代表者とした研究班におきまして、今後手引きで扱うべき領域の優先度を評価することといたしました。

 評価するときに考慮したポイントは大きく2つでございまして、1つは国内の学会等から出されているガイドラインで扱われていない領域であること、2つ目が抗微生物薬の不必要使用が多い領域であることです。不必要使用というのは、本来必要でない状況、あるいは疾患において抗菌薬が使われているということであり、適正でない使用の一つとして不必要使用と呼びます。その、不必要使用が多い、その問題が重大であるような領域は何かということです。この1番、2番の2つのポイントで領域を検索してみました。

 その結果が2ページ目にございます。結果の概要でございますけれども、まず国内のガイドラインの策定の状況につきましては、次のページの表に示してありますように、国内のガイドラインは感染症のほぼ全ての領域に対して作成されていたということでございます。

 「2)抗微生物薬の不必要使用が課題である領域の重大性の評価」ということで、この不必要使用がどれぐらい多くて問題になっているかということで、その情報を調査しましたところ、国内では、急性気道感染症等を除くと、十分な検討が行われていないということがわかりました。諸外国の検討では、急性気道感染症以外に皮膚軟部組織感染症あるいは尿路感染症、あるいは歯科処置などが挙げられておりますが、国内では、それに該当するような情報というのは検索した限りで見つけることはできなかったという状況でございます。そして、現在発行されております手引きの第一版におきましては、急性気道感染症における学童期以降が対象になっているという状況でございますけれども、逆に言うと、学童期未満についてはこの手引きで扱われていないという状況にあります。

 そのような状況、調査、評価の結果を踏まえまして、「4.今後の方向性」として2点、まず第1点として、急性気道感染症等におきまして、学童期未満の小児を対象とした手引きの改正を行うこととしたいということ。2番目がそのほかの領域については、日本人における個別の疾患群または診断という個別の領域につきまして、抗微生物薬の使用量あるいは不必要使用の割合等を検証する情報収集を継続して行う、及び日本人における安全性、有効性に関するような調査研究を引き続き進めていく、という2つの方向性でもって進めていきたいと考えております。

 事務局からは以上です。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 これで、厚生労働科学研究の代表の大曲先生から何か追加、またはコメントがありましたら。

○大曲委員 ありがとうございます。

 骨子は、今、御説明いただいたとおりであります。2ページ目のところで少しだけ補足をいたしますと、日本の中で抗微生物薬が比較的使われている領域として、急性気道感染症としてはどうも挙がってきます。これは今回のこの場には間に合わなかったのですけれども、レセプトデータの検討でやはり見えてまいりました。その中でも、5歳以下の子供さんたちに処方される抗菌薬が非常に多いというところがありまして、これは当然ターゲットになるだろうというところがあります。前回、手引きで急性気道感染症を中心に指針をお出ししたのですけれども、実際、それを現場でどう感じていらっしゃるかというところを聞いて回りますと、これは、やはり小児科の先生方から5歳以下の子供たちに対する指針が欲しいという声は非常に強いところがありましたので、私たちとしては、現場の声も含めますと、先ほど御提示していただいたような方針ではどうかと思っています。

 あと、今回レビューをして、よくわかりましたのが「4.今後の方向性」の○の2番目にありますけれども、要は、抗生物質、抗菌薬が適正に使われているかどうかをちゃんと見ようとしますと、病気単位でものを見なければいけなくなりまして、診断が妥当なのか、そこで使われている抗生物質の使用量、そもそもそれが必要か、不必要かというところを実は丹念に切り分けてみないといけなくなりますが、実は、我々の不作為もあって、日本はまだ余りデータがありません。こちらに関しては厚労科研等で、次にまた検討するときに必要となるようなデータを出して、その上で検討をさせていただいて、方針の案をお示しさせていただければと思います。

 以上です。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 今、厚労省と大曲先生から説明がありましたけれども、今後、ガイドラインの手引き等の改正をするに当たって、5歳未満の学童期未満の小児を対象にしてやったらどうかというのが一つ挙がっているかと思うのですが、この方向性に関して御意見等がありましたら、皆さんのほうからお願いしたいと思います。

 先生、いかがですか。

○釜萢委員 小児科は、これまでも小児に対する抗微生物薬の使用については、かなり慎重に必要なケースに限って使うことがかなり徹底されてきたと自負しています。さらに学童以前の適正使用の手引きというのが新たに出されて、それも踏まえて、日常の診療に携わることができれば、さらに適正な使用がより高められると思っておりまして、大変期待を申し上げているところでございます。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 今までちゃんとしていなかったから、これに集中してやるというのではなくて、今までつくったのが成人に近い人たちをターゲットにした急性気道感染症を中心につくられていたので、そこに含まれていない5歳以下を今回はターゲットに当てるという意味でよろしいのですね。

○結核感染症課長補佐 そのとおりでございます。

○渡邉委員長 そういうことで、ほかに御意見等はございますか。

 どうぞ。

○杉山委員 歯科医師会の杉山でございます。

 先ほども申し上げたように、歯科の感染症における抗菌薬の使い方についてという問題でございます。歯科医師会としても、ここ数年なのですけれども、積極的に対応させていただく中で、感染症学会あるいは化学療法学会ガイドラインに従う形でしようとすると、きょうこの場で議論することとは違う問題があります。し多くは保険診療の中で使用していきます。当たり前ですけれども、そのときに歯科疾患の適応がないと使えない。本来ですと、例えばファーストチョイスに使いたい抗菌薬の中に歯科口腔感染症の効能がないという不都合が現場では起こっています。この問題については、現在、歯科医師会独自で厚生労働省に対して、さまざまなアクションを起こさせていただいているということを御報告させていただきたいと思います。

 以上です。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 各薬剤の主要項目を入れ込むというのは、医政局か何かがやるのですか。こういう使用を追加というのは。

○結核感染症課長補佐 基本的には、そのような適応症等につきましては、製造、販売している企業からの申請といいますか、それを審査する形になりますので、今、御提示いただきました問題点といいますか、課題についての対応というのは、そういう関係の方々との意見を聴取しながら進められる部分に関しては進めていきたいと考えています。もう一つは、研究班等で必要な情報等を収集することによって、その辺を進めやすくなってくることも考えられますので、もうちょっと研究の分野で研究を進められるようにこちらもサポートしていきたいと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 よろしいですか、杉山先生。

 ほかに御意見等がありましたら、八木先生。

○八木委員 小児期の学童以下のポピュレーションの方のいろいろな感染症、気道感染症を扱うときに、例えば中耳炎というか副鼻腔炎といったものに関しては、耳鼻科の先生もかかわられますでしょうし、小児科の先生ももちろんそうですけれども、ファミリーフィジシャンというかゼネラルフィジシャンの方も診られることもあると思うのですが、どういうドクター層というか、いろいろな方があると思うのですけれども、同じ疾患を診るにしても、例えばどういうところに不適正使用が多いというデータはもちろんないでしょうし、新しくできるガイドラインというのは、それらの全てのポピュレーションに対して理解を求めるというか、スタンダードになるようなものを目指すということでよろしいのでしょうか。

○渡邉委員長 どうぞ。

○結核感染症課長補佐 このような手引きは、現場で受け入れていただかなければ意味が少なくなってきますので、今後の手引きの実際の作成の作業につきましては、そのような関係の学会もそうですし、いろいろな団体の方々の御意見を聴取しながら反映させるような形で、作成を進めていきたいと考えております。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 ほかに御意見はありますか。

 どうぞ。

○荒川委員 資料4の表とか、ここに現在のガイドライン等の状況が示されていますけれども、これは疾患ごとのいろいろなガイドラインは充実されてきていますが、例えばESBL産生菌による感染症の場合の抗菌薬をどういうふうに使うかという横断的なものがあると、ESBL産生菌、敗血症があったり、尿路感染症もあったり、いろいろな感染症がありますので、その疾患を縦とすれば、横糸を耐性菌という形にして、CRE感染症の場合はどういう治療法がリコメンドされるかとか、ESBL産生菌の感染症の場合は疾患ごとにどういう薬がいいかというものがあると、非常に現場の人は参考になるのではないかなと。これはほかの多剤耐性の肺炎球菌とか、いろいろな緑膿菌というものも含めて、主に臨床的に問題となるような菌ごとのものがあるといいかなと思うのです。例えば、ESBL産生菌について、幾つかのガイドラインを横並びに見ると血流感染症とか尿路感染症。

 例えば、ESBL産生菌の感染症の場合は、海外のいろいろなガイドラインを参考にしたと思うのですけれども、カルバペネムの投与はやはり推奨されている場合が多いかなという印象はあるのです。ただ、今はESBL産生菌が非常にふえていますので、その感染症にカルバペネムをリコメンドしていくと、カルバペネムの使用量がかなりふえていくのではないかということでカルバペネムでなくても、ESBL単独産生菌の場合は、セファマイシンとかオキサセフェムみたいなものがかなり感受性を残していますから、そういうエビデンスを集めるとか、あるいは実際に研究をするとかして、ESBL産生菌の場合は、いきなりカルバペネムがいいというところにワンクッション入れられるような工夫があるといいかなと思うのです。

○渡邉委員長 どうぞ。

○結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。

 さまざまな領域という中で、荒川委員からは微生物という耐性菌単位のものも考えるべきという御示唆かと思います。そのような切り口といいますか、分け方でのガイドラインというのも候補としては当然挙がってくるかと思いますので、これにつきましても情報収集はしていくべきだとは思います。

 今回、提示しました方向性に関して申し上げますと、不適正使用の中で、この感染症は抗菌薬が必要である、領域の中でどれを選ぶのかといった意味での適正性というのと、もう一つは必要でないのに使われていないかという2つの不適正の意味合いというのがあるとは思いますけれども、その中で不必要時に使われているほうを優先させるといいますか、重視して、今回検討してこの方向性に示しておりますので、今後、改正の方向をまた改めて検討する上で、今の御意見というのは十分参考にさせていただきたいと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 荒川先生の指摘のポイントというのは非常に重要だと思うので、その辺をちゃんとわきまえて使わないと、今のESBLだったらカルバペネムの使用と現場によっては安易にいってしまう可能性もあるので、適切にインフォメーションを与えられるかというところが非常に重要なポイントだと思うのでよろしくお願いします。

○結核感染症課長補佐 補足ですけれども、抗微生物薬適正使用を進める上で、手引きというのは大変重要なものだと思いますが、それ以外にもいろいろな形で適正使用を進めるための取り組みというのはあると思いますので、主にはリファレンスセンターからの情報あるいは教育啓発というところにもなるでしょうし、あるいはサーベイランスデータにおける耐性菌の動向などが疫学事業のほうで、使用の状況の違う病院における差などという形であらわれるかどうかといったことを調査研究する余地があるかと思いますので、そういう情報を集約しながら検討を進めて、情報を発信するといったものも含めて、この適正使用の進め方という手引き以外の方法も含めて進めていきたいと考えております。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 ほかに何か御質問はありますか。

 どうぞ。

○結核感染症課長 ガイドラインをつくって、今後、子供等でつくろうという話もあるのですけれども、いろいろ大曲先生に調べていただいて、今後、我々が独自でつくるガイドラインというものをどんどん量産ができる範囲は余りないのではないかなという話もあると。今、少し荒川先生からいただいたヒントとかもいろいろあると思うのですが、今後、ここに既にあるガイドラインとのコラボレーションみたいなものが可能性としてあるのか、さらに言えばこういうところというのは、専門家の先生方がこういうときにこういう治療をしなさいというのは書いてあるはずなのですけれども、こういうときは使わなくてもいいのだよ、不必要なのだよということをある程度ちゃんと書いておいてあげられるところが、もしここで議論したことによってそういうガイドラインに反映できる。それによってそれぞれのガイドラインが充実するし、専門家の方々と合意の上で、より適正な使用のガイドラインになるみたいな考え方というのがあり得るかどうかというのは、少し先生方に教えていただけたらと思うのです。

○渡邉委員長 今、課長から逆質問が出たのですけれども、賀来先生。

○賀来委員 ありがとうございます。

 東北大の賀来ですけれども、きょうは感染症学会の理事長の舘田先生がお越しになっていませんが、日本感染症学会、化学療法学会、環境感染学会、臨床微生物学会の4学会は常にいろいろなディスカッションをしていまして、課長に今言っていただいたことは非常に重要だと思いますし、私たちも大曲先生といつもディスカッションしていますので、これまでの資料4の表にあるさまざまなガイドラインの中で、今、言われたようにどういったときは余り考えなくてもいいのではないかということをつくっていく必要があると思います。

 そういう意味では、理事長懇談会というものがありまして、その4学会の理事長が一堂に集まってディスカッションする機会がありますので、今度は6月の合同学会のときにありますので、今いただいた御提案をその理事長懇談会のときに伝えて、学会もぜひ御協力させていただくということで進めさせていただきたいと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 ガイドラインばかりができても、どれに従ってやったらいいかと現場の先生方が非常に困ると思うので、本来はいろいろなところで出ているものを統一する方向に日本全体としては向かうべきなのではないかなと思うのです。多分それぞれの学会がそれぞれの独自性を出そうということで、いろいろなガイドラインができているのだと思うのですけれども、これからはそれを統一する方向に向かうということが重要だと思います。今、先生からありました理事長懇談会も含めて、そこに厚労省も加わって、どういう形で日本としての一本化ができるかということを討議していく時期なのではないかと。この表を見ただけでもこんなにいっぱいあるので、多分臨床の現場の先生はどれを見たらいいのかという話になるのは当然と思われます。

○賀来委員 できるだけわかりやすく多くの先生方に利用していただけるように、課長からいただいた御提案も含めて、少しそういったことを学会も一緒に取り組んでいきたいと思います。

○渡邉委員長 ぜひその辺をよろしくお願いします。

 きょうは提案として、学童期未満と小児を対象にという形でこういうことが挙がっていますので、ある意味でこれを一つの手始めとして、日本統一ガイドラインというのがいいのかどうか、その辺に少し向きを変えて進めるということで、この提案をこの委員会としては認めていただくということでよろしいでしょうか。そのときにぜひお願いしたいのは、これをつくるメンバーには必ず学会のそれにかかわっている先生方を入れて、特にそれなりの発言力を持っている先生も含めて入れていかないと、なかなか合意ができないと思うので、そこのメンバー選出のこともぜひ考えながらやっていただきたいと思います。余り多くても大変だと思うので、その辺の誰をどういうふうに選ぶかというのはなかなか大変なところがあると思うのです。

○結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 前回の手引きの作成の際にも、参考人としていろいろな先生方をお呼びして、さらに小委員会のレベルでも特に学会を代表する重鎮の先生方に来ていただいて、御意見をいただくということがございます。今回は特に小児科の領域になりますと、小児科の先生方も少なくとも参考人で入っていただいて、相談しながらまずはたたき台をつくった上で、この小委員会に戻していくような形にしたいと思っております。

○渡邉委員長 よろしくお願いいたします。

 今後の方向性の提案に沿った形で進める。そのときはいろいろな学会の先生方の意見等もそこに含める、できれば日本の統一的なガイドラインというか、名前をどういうふうにつけるかは別としても、そういう考え方でもって進めていくという方向でよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、議題(3)の「報告事項」をお願いいたします。事務局から資料5と資料6ですね。

○保険局医療課長補佐 保険局医療課でございます。資料5をごらんいただければと思います。

 今般、改正いたしました平成30年度の診療報酬改定に関しまして、AMR対策の観点から行ったものに関して御説明をさせていただきます。

 まず、1コマ目でございますけれども、「これまでの取組」と「新たな取組」という形で図をお示ししております。感染症対策という観点からはこれまでの取り組みとして、主に感染防止に関しての診療報酬での評価ということを行ってまいりました。ただ、AMR対策に関しての重要性がますます増してきたというところでございまして、今般の新たな取り組みとしましては、入院の観点では抗菌薬適正使用支援加算、こちらは抗菌薬の適正使用支援チームをつくるなどの体制を整えた場合の加算というところでございますけれども、新たに新設したところでございます。

 また、外来に関しましては下の段でございますけれども「新たな取組」としまして、小児科外来診療料などにおきまして、抗菌薬の適正使用に関する小児抗菌薬適正使用支援加算を新設するとともに地域包括支援加算などにおきまして、こうした抗菌薬適正使用の普及啓発の取り組みを行っていることを要件化するといった要件を含めております。

 具体的なものに関しましては、1枚おめくりいただきまして、2コマ目をごらんいただければと思います。

 まず、入院に関しての観点ですけれども、「薬剤耐性(AMR)対策の推進、特に抗菌薬の適正使用推進の観点から、抗菌薬適正使用支援チームの組織を含む抗菌薬の適正使用を支援する体制の評価に係る加算を新設」という形で、感染防止対策加算の中に抗菌薬適正使用支援加算というものを新たに新設しております。

 右下にチームの大まかなイメージ図のようなものを載せておりますけれども、医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師などのチームがこうした抗菌薬適正使用支援のためのチームの業務を行った場合の評価ということになります。具体的な業務に関しましては、左下のところに➀~➅という形で具体的にお示しをしているところでございます。

 3コマ目をごらんいただければと思います。

 こちらは、外来におけるAMR対策という観点でございまして、1つ目は「小児外来診療における抗菌薬の適正使用の推進」という形で、小児科の外来診療料及び小児のかかりつけ診療料におきまして、小児の抗菌薬適正使用支援加算というものを設けております。

 [算定要件]というところに、急性気道感染症または急性下痢症により受診した基礎疾患のない小児の患者さんに対して、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないために抗菌薬を使用しないものとして、療養上必要な指導などを行った場合、さらにそれを文書により説明した場合の加算という形になっております。

 また、下の段でございますけれども、外来診療における抗菌薬の適正使用も推進するという観点から、地域包括診療加算、認知症地域包括診療加算などにおきまして、先ほど御説明もございました「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考にして、抗菌薬の適正使用の普及啓発に関しての取り組みを行っていくといったものを要件として組み込んだところでございます。

 資料5に関しては以上でございます。

○医薬・生活衛生局医薬安全対策課副作用情報専門官 続きまして、資料6「抗微生物薬の添付文書の記載事項の見直しについて」御説明いたします。

 資料6をお手元に御用意いただければと思います。

 こちらは、平成28年4月の薬剤耐性AMR対策アクションプランの中で、医療機関における抗微生物薬の適正使用を推進するための具体的な取り組みといたしまして、抗微生物薬の添付文書の記載事項、使用上の注意等の科学的根拠に基づく見直しというのが掲げられていることを踏まえ、今般対応したものでございます。

 具体的な対応といたしましては、先ほども話がありました「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」に基づきまして、第一版の対象とされております急性気道感染症及び急性下痢症関連の適応を有する医薬品の添付文書におきまして、手引きに基づき、適正使用がなされるよう注意喚起を行うというものでございます。

 具体的な対象の医薬品といたしましては、資料6の「記」の下にございます「咽頭・喉頭炎」「扁桃炎」「急性気管支炎」「感染性腸炎」または「副鼻腔炎」のいずれかの効能・効果を有する抗微生物薬といたしました。

 注意喚起の文言といたしましては、裏面をごらんいただければと思いますが、「効能又は効果に関連する使用上の注意」の項に、今申し上げた効能・効果での使用に当たっては、「「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。」という文言を追記することとしたものでございます。こちらは今年の3月27日付で日本製薬団体連合会を通じまして、各製薬企業に添付文書の改訂を求めているところでございます。

 資料6についての御報告は以上になります。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 資料5と資料6に関して、御質問等がありましたらお願いいたします。

 どうぞ。

○荒川委員 資料5で、感染防止対策加算で新たに抗菌への適正使用の加算とかつけていただくのは、非常に前向きなこととは思いますけれども、こういった加算がその目的にちゃんと使われているかどうかは、いろいろな加算がいっぱいありますから、その中で、感染対策あるいはAMR対策のための加算がちゃんとその目的に使われているかどうかです。要するに、病院の会計に全部繰り込まれてしまって、何に使われているのかがわからないような形にならないように、そういう目的にちゃんと沿って使われているかどうかのチェックを、例えば医療監視ですか、自治体がそういうときに確認するということをしていただくと、よりこの加算の効果が期待できるのではないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○保険局医療課長補佐 ありがとうございます。

 御指摘の点に関しましては、先生方の御指摘にございました医療監査のような形で、実際に加算、あるいは診療報酬全体にかかわることかと思いますけれども、こうした点数に関して実際の取り組みがどれぐらい行われているかということに関しましては、適正にそういった評価というものは行っているところでございます。また、こちらの点数にかかわらず、新しく診療報酬の中に組み込みましたものに関しましては、フォローアップの調査であるとか、あるいは現場の先生からの御意見も伺いながら引き続きどういった点で改善ができるのかということは、順次見直して行っているところでございますので、いただいた御意見を踏まえまして、今後の検討に生かしていきたいと思っております。

○荒川委員 例えば、CREが出たというときにCREの検査は、感受性試験までは健康保険がききますけれども、例えば福島で広がったKPCみたいなものとかいろいろなものがありますので、そういうものを調べようと思うと保険がききませんね。保険というのは個人の患者さんの診断治療に必要な検査ですから、感染制御のための検査は保険でできないのは当然なのですけれども、そういったものについて、感染防止対策加算みたいなものがちゃんと使えるようにしていかれるようなことが重要かなと思うのです。いろいろ聞いていますと、なかなかそういう検査ができないという病院もたくさんあるようで、感染防止のための検査は十分しづらいという声も聞きますので、ぜひそういう点での改善を促していただけるとありがたいなと思います。

○渡邉委員長 どうぞ。

○保険局医療課長補佐 ありがとうございます。

 御指摘のところに関しましては、実際各医療機関での取り組み、あるいは各医療機関を超えて、専門的な施設での検査という役割分担の部分もあるかと思いますし、あるいはこうした抗菌薬対策のために新しく設けた加算というものが、うまく院内でのAMR対策により活用されるようにといった観点での、現場での運用の仕方というところもあるかと思いますので、そうしたことに関しましては、先ほどと同じような形で先生方からさまざまな御意見を伺いながらどういった形で設定していくのがいいのか、見直していくのがいいかということを引き続き検討してまいりたいと思っております。

○渡邉委員長 なかなか点数、加算の問題は難しい点があるのかなと思うのですけれども、現場の先生方、今のようなことでよろしいですか。

 宮崎先生。

○宮崎委員 薬剤師会の宮崎ですが、添付文書の改正の件でちょっとお尋ねをしたいのですけれども、国がいかにAMR対策に力を入れているのかというのは、添付文書の改訂の依頼をするということでも覗えます。添付文書の文言を変更するというのは、製薬メーカーがさまざまな試験をしたりでないとできないです。それが今回こういった文言が入るということは、これは診療報酬上の算定に関係してくるとも考えられるのですけれども、そのあたりはそこまで考えておいでなのか。それとも、ただ単に努力目標的にこれは書きましたよということなのかとお尋ねしておきたいのです。

 それから、こういうふうに「適正使用の手引きを参考にして、云々投与すること」と書いてありますので、医師の方々はこれを参考にした上で、投与したのですよという証拠をレセプト上で出せということはないのですねということもお尋ねしておきたいなと思うのです。

○医薬・生活衛生局医薬安全対策課副作用情報専門官 御質問ありがとうございます。

 今回の改訂につきましては、医薬品医療機器等法において、最新の知見に基づき、添付文書は作成することと定められておりまして、今回の手引きが昨年6月に出たことをもって、その最新の知見を添付文書に反映するために改訂を行ったというものでございます。

○渡邉委員長 多分、今の宮崎先生の御意見の裏には、本剤の投与が適切と判断される場合というのは誰が判断するのかということと、万が一現場でお医者さんが投与した場合に保険点数の審査のところで、これはだめだということで返されるようなことがあった場合には、多分医療従事者の間では、どうしたらいいのかと迷いが出てくるのではないかなと思うのですけれども、その辺はどういうふうになるのですか。

○医薬・生活衛生局医薬安全対策課副作用情報専門官 「適切と判断される場合に投与すること」の判断につきましては、処方する医師の御判断ということになろうかと考えております。

○渡邉委員長 医者が適切だと思えば、よろしいということなのですか。

○保険局医療課長補佐 保険局医療課でございます。

 ここに書かれたものに関しまして、実際に最終的に判断するのは現場で診療していただいている先生方、あるいは医療者の方々と考えております。ですので、個別具体的な話にはなってくるかと思いますけれども、この文言をもってして、これは不適切なので、診療報酬上査定がありますということに必ずしも直結するわけではないと考えております。

○渡邉委員長 どうぞ。

○宮崎委員 最近、ドクターの方は御存じと思いますが、添付文書の内容をもってして、算定云々ということは結構機械的にされているということをよく聞きますので、書くことについてはいいかなと思うのですが、例えばウイルスあるいは細菌感染が確実に疑われるという検査もした上で、あるいはそういった文言が書かれていなかった場合に、全部切られるということがないようにしていただかないと困るのではないかなと思って、一応発言させていただきました。

○釜萢委員 宮崎先生から御心配をいただいていますが、そのようなことは一切ありません。そのような懸念を私どもは全く持っていなくて、これは現場において、きちんと適切に抗生剤が使われるということに対する注意であって、これによって何か新たな保険診療が縛られるという判断は全くしておりませんので御心配なく。

○宮崎委員 わかりました。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 ほかによろしいでしょうか。

 もし、御質問がないようでしたら次に行かせていただきます。

 あと、資料7に基づいて、AMEDから説明をお願いいたします。

○宮川参考人 日本医療研究開発機構の感染症研究課でございます。

 資料7の1枚目でございますが、「薬剤耐性(AMR)研究支援に係る連携」ということで、不鮮明な資料で大変申しわけございません。ウエブサイトにもありますので、そちらも御参照いただければと思います。

 薬剤耐性、特に創薬の関係に関しましては、ここにございます感染症研究課のみならず、AMEDの中で創薬戦略部でありますとか、その他の部署でそれぞれ関係するものがございます。それらの方々と創薬を推進するという視点で、産学官での連携という観点からこのようなシンポジウムを昨年9月に開催をいたしました。この際、厚労省、感染症学会に加えて、製薬協の方々などにも多数参加をいただきまして、いろいろと御議論をいただきました。もちろん研究の支援という観点でAMEDは最大限取り組んでいるわけですけれども、ここの意見交換の中などでも話題になりましたものは、単に研究開発を推進するというだけではなかなか最後までつながらない。国のインセンティブでありますとか研究開発に加えて、さらなる支援が必要であるという御意見も多数受けとめられたところであります。

 そういう観点から2ページ目でございますけれども、AMEDでは、今年度から外部の三菱総研に依頼をしておるわけですが、このような事業を一つ進めております。これはほんの一例でございますけれども、先ほど議題(1)で菅井先生からも御報告がありましたが、耐性菌のバンクの活用ということが言われております。これはアクションプランの中でも、分離株の保存の推進と産学官で利用可能な分離株バンク、これは仮称でございますが、その整備の推進を取り上げられている。それから海外、アメリカでは既にそういう分離株バンクというものが利用されている状況があるということでございます。

 それらを踏まえて、具体的にどんな菌株を選んでいくとか、何が研究開発上重要であるのか、そういうことをよく整理をする。菌株みずからをつくるというわけにはいかないですから、既存の菌株を保存している企業だけではなくて、アカデミア、研究機関等々の情報も集約をいたしまして、実際にどういう菌株を選んで、海外の菌株はどのように利用しているかということも収集をいたしまして、最終的には、具体的にどんな菌株のバンクのような部分を制度的なものも含めて検討するということをしていく予定にしております。これは本年9月まで半年間の事業で行う予定にしておりまして、これがまとまりましたら厚労省の方々、関係の方々とも御相談をして、できるだけ早く研究の基盤になるようなものができていくように取り組んでいきたいと思っております。

 3ページ目でございますが、これはAMEDが海外のファンディングエージェンシーと連携をしているもので、これはアクションプランにも書かれているものですけれども、JPIAMRという取り組みがございます。これは2013年から始まっておりまして、主にヨーロッパの国、現在、韓国やアルゼンチン、南アフリカ、カナダというヨーロッパ以外の国も入っておりますけれども、24カ国の研究支援を行っている機関が連携をするコンソーシアムであります。AMED2015年から参加をしてございます。

 ここの活動では、研究公募、ネットワークの共同公募であったり、最近の取り組みでは、3の➂にありますような具体的な研究所というわけではなくて、バーチャルな研究所のようなものを設けて、それでAMR関係の研究の推進をするとか、各国がやっているAMRの研究課題のマッピングを共有していくとか、課題を共有するようなマッピングの作業をするというのが行われております。ヨーロッパの研究機関、ファンディングエージェンシーと共同での公募というのは、いろいろ制度的なもので解決すべき課題が多いので、今のところ実際にやられているものはないのですけれども、研究課題のマッピングであるとかVirtual Research Instituteというワークショップであるとかには、日本からもAMED及び感染研の先生方、感染症、AMRの研究をされている先生方に御参加をいただいて、議論に加わっていただいているという状況であります。

 4ページ、5ページ目でございますが、これが現在AMEDで研究支援を行っているAMR関係の研究開発課題の一覧でございます。幾つか補足をいたしますと、AMEDの中では、課題に関するデータベースがございまして、それの中で薬剤耐性、AMRという2つのキーワードを中心に検索をかけて抽出したものであります。ただ、若干細かなことになりますけれども、分担研究などの課題も、個別に取り上げられていることもここには入ってございます。ですから、代表される研究課題のみならず、その下に入っている分担研究なども若干取り上げているということになります。

 それから、ここでリストされているものをざっと見ていただきますと、感染症分野での研究のみならず、創薬の基盤研究でありますとか、創薬支援のための事業、5ページ目になりますけれども、裏面になりますが、国際的な連携のプロジェクトでありますとか、橋渡し研究といって創薬に結びついていくもの、最後には、昨年度から始まっております、いわゆるCiCLEと言われている研究開発のための新たな事業ですけれども、こちらにも一課題のAMR分野があります。平成30年度はおおよそAMEDで、ここの一覧にあるものを全部足しますと、約21億弱の研究費を今年度単体で出してございます。

 大変申しわけないですけれども、昨年度終了している課題も1、2課題含まれております。そのあたりは見逃していただければと思います。

 以上でございます。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

AMEDで行っている研究事業についての説明をいただきましたけれども、山野先生、よろしいですか。

○山野委員 はい。大丈夫です。

○渡邉委員長 皆川先生。

○皆川委員 2ページにあります動向調査の件で、幾つか確認といいますか、お尋ねしたいのですけれども、これは薬剤耐性菌に関する動向とありますが、伺っていますと標準菌株を今の時点で何株か選定して、それをワンポイントで選んで、配布するシステムをつくりますということでよろしいのでしょうか。今後また更新するとか、毎年幾つか菌株を集めていくというものではないという理解でよろしいですか。

○宮川参考人 まさにそのあたりのことも含めて、議論をしているところです。実は昨日に1回目の会議を行いまして、薬剤耐性というのは年によってといいますか、毎年いろいろなタイプが出てきたりもするわけですから、10年前と10年後で大分様子が違っている可能性もあるわけですので、ここで言うところのバンクに保存するべき菌株を、どういうものをどういうふうに集めて、また、それを保存していくのか、また、それを利用していくのかということをかなり大かがりな議論をしようとしています。ただ、利用するという観点では、一つは基礎的な研究から創薬のときに薬剤耐性を持っている標準的な菌にシーズとして見つけてきた株を当ててみることにも使っていただくというのを目標にしています。ただ、余り手を広げ過ぎてもお金もかかりますし、人も必要になりますので、どういうものから始めていくのかも含めて検討していただいているというのは、そのような状況であります。

○渡邉委員長 よろしいでしょうか。

 ほかに何かご質問はありますか。

 どうぞ。

○荒川委員 AMRセンターのレポートのところでちょっと関連することなのですけれども、AMRセンターの先ほどの菅井先生が御紹介いただいたときにちょっと飛ばされた9ページのところなのですが、薬剤耐性菌の最近の検査はほぼ自動化されてきていまして、ある菌が耐性か感受性かということが判定されて出てきまして、それはJANISに登録されたりしているのですけれども、ここで見ていただくように非常に機種間差が結構あるのです。

 機種間差の精度管理は、当然重要なことになってきますけれども、先ほど添付文書を改善するようにという厚労省からの指示が出たように、こういったいろいろな自動検査装置の精度管理をもっと強化するように、ここは頻出型のIMP-6の産生株の検出状況が例に挙がっていると思うのですが、MRSAとか一般的な肺炎球菌というものもブレークポイントあたりのところで、ある検査装置を使うと耐性と出たり、ある検査装置では感受性と出てしまったりして、まだまだ問題点があるという話も聞きますので、この検査をする、特に薬剤感受性試験をするところの精度管理を国として促していかれることもAMR耐性の上では、重要ではないかと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございます。

 発生動向調査委員会でも精度管理のあり方というのは、いろいろな御意見が出てきているところですし、今回のWHOへの報告のところにも、それが一部かかわっているのだと思うのです。ここは、今、先生がおっしゃられるように、測定方法、どういうものを使うかによって、ブレークポイントの違い等もあって、耐性ととるか、感受性ととるかということが違ってくると。これは非常に重要な問題というか、今、実際に厚労省はJANISのデータをもとにして目標値を決めているわけですけれども、ここが違ってしまうと、その辺のところが崩れてくる可能性もあるので、これを発生動向調査委員会、または各関係者にも議論していただいて、今後どうするかということを検討していただく時期だと思うので、よろしいですか、厚労省からどうぞ。

○結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。

 アクションプランの目標の中にも、検査手法の標準化ないし検査機能の強化という項目が設けられておりますので、専門の先生方や関係の方々からの情報、あるいは御意見をいただきながら、どういう対処法をするかということについては検討いたしたいと思います。

○渡邉委員長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 ほかによろしいですか。

 無いようでしたら、これでクローズにしたいと思います。

 事務局からよろしくお願いします。

○結核感染症課長補佐 次回、第4回の開催につきましては日程調整の上、改めて御連絡いたします。

 事務局からは以上です。本日はどうもありがとうございました。

 

 


(了)

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