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2018年5月7日 第7回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成30年5月7日(月) 17:00~19:00


○場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A
東京都港区西新橋1-15-1 大手町建物田村町ビル


○議題

(1)高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)案のパブコメ結果について
(2)高齢者の医薬品適正使用の指針(詳細編)のあり方について
(3)構成員等からの情報提供
(4)その他

○議事

 

○医薬安全対策課長 開会に先立ちまして、傍聴の皆様方にお知らせをいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただくようにお願いをいたします。本日の検討会は従来の取扱いと同様、公開で行うこととしております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミの皆様にも御協力をお願いいたします。

 ただいま定刻となりましたので、第7回高齢者医薬品適正使用検討会を開会いたします。御出席の構成員の先生方におかれましては、御多用のところ、また、足元の悪い中御出席を頂きまして誠にありがとうございます。本日、北澤構成員は欠席との御連絡を頂いております。池端構成員も遅れて到着との御連絡を頂いております。本日は、構成員19名のうち17名の出席をもちまして検討会を開催させていただきます。これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力をよろしくお願いいたします。それでは、以降の進行は座長の印南先生にお願いしたいと存じます。印南先生、よろしくお願いいたします。

○印南座長 それでは議事を進めてまいります。初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○課長補佐 お手元にお配りした資料、一番上に議事次第と配布資料一覧、開催要項、裏面に構成員名簿、座席表です。続いて資料を確認します。資料1-1「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)案」、指針の別添としてホチキス止めの資料。資料1-2「医薬品適正使用の指針(総論編)案パブコメ結果について」。資料2「高齢者の多剤処方見直しのための医師・薬剤師連携ガイド作成に関する研究」、資料3「高齢者医薬品適正使用の指針(詳細編)のコンセプトについて」。参考資料1「今後の進め方について」。本日の資料は以上です。不足等がありましたら申し付けください。

○印南座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。議題1は、高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)案のパブコメ結果についてです。これにつきまして、事務局より説明をお願いします。

○課長補佐 それでは、資料1-1及び資料1-2について説明します。高齢者の医薬品適正使用の指針案につきましては、323日から421日までパブリックコメント募集を行い、その結果24件の御意見を頂きました。資料1-1は、パブリックコメントを踏まえて一部修正をした指針案です。

 まず、資料1-1について、パブリックコメントを踏まえて修正を行った部分について説明させていただきます。本文中の修正は特になく、別添の表に関する修正を行っています。

1つ目の修正点について、別添資料の17ページを御覧ください。糖尿病治療薬に関する留意点について、SGLT2阻害薬に関する記載、中ほどの下線が引いてある部分です。「腎機能障害で使用を避ける」との記載について、腎機能障害でも程度により注意喚起のレベルが異なることを鑑み、「高度腎機能障害患者では効果が期待できない。また、中等度腎機能障害患者では効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断する。」との記載に修正するとともに、SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendationの記載を参考にシックデイにおける休薬の話を入れています。

 続いて、資料18ページの脂質異常症治療薬に関する留意点の部分で、他の薬効群の薬剤との相互作用に関する注意の欄の4行目です。「併用が必要な際はエゼチミブの投与を考慮する。」という記載について、エゼチミブがフィブラートの代替になるかのように読めること、当該部分ではスタチンとフィブラート系の薬剤の併用禁忌について記載した部分なので、エゼチミブの記載は削除する修正をさせていただいております。以上、パブリックコメントを踏まえて修正した部分は2点になりますが、その他、記載の誤記の修正や言い回しを分かりやすくする等の修正を行っています。

 さらに別添中で、薬物有害事象と副作用の用語が混在して使用されていたところですが、考え方としては指針として全般の注意を行う、疾病・症状から見る等の場合は「薬物有害事象」又は「有害事象」、添付文書に副作用として記載されている個別の疾病・症状を単独で指す形容詞的に使う場合は「副作用」ということで、改めて記載整備をさせていただきました。

 資料1-11ページ目を御覧ください。※の内容は変わっておりませんが、読みやすくするために、副作用と有害事象の表現の記載整備を行っております。

 続いて資料1-2を御覧ください。こちらは、パブリックコメントの御意見及びそれに対する考え方をまとめています。一つ一つの説明は省略させていただきますが、先ほどの指針の修正に関する御意見の他、今後の施策への参考とさせていただくもの、さらには今後の指針作成の参考とさせていただくもの等ありました。説明は以上です。

○印南座長 これらの部分につきまして御意見、御質問等ありましたらお願いします。

○伴構成員 伴でございます。今修正があった資料1-1の「はじめに」の※ですけれども、「薬剤の使用後に発現する有害な症状」と書いてありますが、多分、症候が正しいのだろうと思うのですね。症状だけではなく、客観的な問題が生じても有害事象というのでしょうから。一般の方用なら別に言葉にこだわることはないと思いますが、専門の方が使うと謳っていますので、症候とした方がいいのではないかと思います。

○印南座長 ただいまの御意見に関しまして、他の先生方、いかがでしょうか。症状ではなく症候ということだと思うのですが。

○伴構成員 実際に症候と症状は、かなり厳密に使い分けるのです。ですから、症状と徴候を合わせて症候と言っているわけです。

○印南座長 もし御異論がなければ、事務局どうですか。

○医薬安全対策課長 事務局で確認をさせていただきますけれども、症状又は症候というよりは、今おっしゃられたように、症候1本で書いた方がよいという感じでしょうか。

○伴構成員 それは、どちらでもいいと思います。

○医薬安全対策課長 そうしましたら、もし御異論がなければ、症状又は症候という形にさせていただければと思います。

○伴構成員 症状又は徴候ですね。

○医薬安全対策課長 徴候ですね。

○印南座長 ただいまの事務局の提案に対しまして、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。御異論がないようですので、そのようにさせていただくことにしたいと思います。他に何かあればおっしゃってください。

○林構成員 医学的な用語ではないですし、もともとの用語との関連もありますが、ここでは、インプットとアウトプットというか、何か病因論があって症状又は症候が現れてくるというものだけではなく、用語の解説の中に用語が出てきていいのかという概念があるかもしれません。これは正に事象を想定しているのかなという気もします。いかがでしょうか。有害な事象で良いと思いました。というのは、例えば転倒するということに対して、完全に関連を証明することはなかなか難しかったりするので、事象という言葉を使い分けることはあるので、症状か症候かという、もちろん言葉の使い分けも大切だとは思うのですが、作り込んできている文言は、事象の方が合っているのかなと感じました。後からの提案で恐縮ですが、皆様の御意見を確認できればと思います。

○医薬安全対策課長 事務局です。参考までにICHで定義をしている言いぶりを紹介します。ICHでは「意図しない徴候」という言葉で定義をしておりますので、徴候という言葉は国際的な定義でも使っているので、そのとおりでよろしいのではないかと思っております。

○林構成員 皆さんがその方が分かりやすいし、グローバルな定義と一致するということであれば、私も異論があるところではありません。一応申し上げたような趣旨を感じたので、述べました。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○伴構成員 今の修正でないところでもいいですか。

○印南座長 今の件についてまず決着を付けたいので、症状又は徴候でいいかどうかです。事象だという御意見もあったので、そこの部分だけ決着を付けたいと思います。

○島田構成員 今の転倒という非常に具体的な例があって、これは、在宅では、ふらつきの一番見付けやすい1つの症状というか現象ではあるので、これが徴候という言葉で使っていくとなると、現在現場で主に使っている事象とか出来事という言葉との整理がしにくくなる心配がありますので、今の林構成員の意見に私も同調するものであります。

○松本構成員 そういう言葉もよろしいのですが、薬剤の因果関係の有無を問わない概念なのに、薬物有害事象という言葉は適当なのですか。このような言葉を使うと、薬剤によって有害な事象が起きたと、どうしても思ってしまうのではないですか。

○林構成員 用語の定義については、ICHWHO、いろいろなものがありますし、もちろん厚労省関係の書類にもあると思います。私が知っている範囲だと、医療現場で起こる出来事、いわゆる事象に関しては、患者さんにとっても医療従事者にとってもプラスでない、不利益としか言いようがない事象が起こるわけなのですけれども、それが確かに松本先生のおっしゃるように薬との関係があるのかどうなのかを証明しようと思うと、なかなか個別事例では難しいことがあると思います。

 副作用の定義に関する公文書あるいは論文などでは、タイプA、タイプB、タイプCというような言い方をしているものもあります。タイプAの場合には、薬理作用あるいは薬物の毒性と関連する、いわゆる副作用的なものなので、個別症例でも比較的判定しやすいですし、マネージメントしやすくなっています。タイプBの副作用というのが、いわゆるアラージックな自己免疫が関与しているもので、誰に起こるかが分からずに、ですが肝障害であっても皮疹発現とかいろいろなものが、先生方も御存じのものだと思います。

 実はタイプCというのが病気の経過でも起こり得るのですけれども、それをあとひと押し、薬がしていないかどうかというのは、なかなか判断がつきにくいもの、これをタイプCといっているようなすみ分けもあります。その場合に、タイプCのものをいつまでも放置するのかというと、因果関係の特定まではできないけれども、少しでも患者さんのために問題意識をもって臨床活動をしようとなると、因果関係が特定できていないので副作用までは関連が明確ではないのですが、一応有害事象、薬物投与中に起こった全ての有害な事象ということで、有害事象という言葉を使ってモニタリングを行ったり、患者ケアプランを立てることは実際にはあります。結局医療の現場、リアルワールドで白黒付かない、個別症例では白黒付けにくいことがあるので、こういう言葉が存在していると、私自身は理解しています。もしも参考になれば。

○松本構成員 そのような講義をしていただかなくても、ある程度私も理解しているつもりなのですが、このような言葉を使うということも、ここでは考えた方がいいのではないかという、問題提起として取っていただきたかったと思います。私の言い方が悪かったと思いますので反省します。結局、このような言葉がひとり歩きすると、パブリックコメントにありますように、この方曰く、何が悪かったというと、それは医師の処方による薬のせいだと思い込んでいるわけですよね。恐らく、そこには薬物による有害事象も否定できませんというようなことがあったと思うのですね。だから、今までの定義はあるのでしょうけれども、このような言葉がひとり歩きしてしまうと、かえって誤解を生むのではないかということを言わせていただきました。だから、私は皆さんがよければという言い方もしません。

○医薬安全対策課長 事務局です。今、松本先生の御指摘にもありましたが、ここでの指針で使っている言葉では、あくまで薬剤との因果関係の有無を問わない概念ということで明確にさせていただいておりますので、その辺りを含めてこの指針を周知させていただく際には、我々の方でも言葉遣いについては注意をさせていただこうと思っております。

○印南座長 結局、そうなると私は不明確なのですが、論点が2つあって、転倒が典型的な事例で、それが症状や徴候に含まれるかどうかですよね。含まれるのだったら症状や徴候でいいと思うのですが、含まれないのだったらこれは事象だということで論理的にはなると思うのですね。もう1つ松本構成員が言われたのは、因果関係は問わないのに、薬物有害事象と確定的に決めるように書いてあることについて、誤解を招くのではないかという御指摘だったので、これについてどうするか、この2点だと思うのです。

○秋下座長代理 ワーキンググループの主査という立場もありますので。順番を逆にしたら、逆に少しここは目立つようになってしまったのですね。副作用を見ていただくと、薬剤との因果関係を疑う、要するに必ずしも明確ではないけれども疑いがある。だから、薬物有害事象というのは、副作用も含めてより広く、薬が悪いということではないけれども、使用中に起きやすいものは全部薬物有害事象と捉えているので。そこが最初に出てきて逆に目立ってしまって、副作用からの方が本当はよかったかなとも今の議論を聞いていて思いました。

○松本構成員 事務局から説明があったように、言葉の定義といいますか、薬剤との因果関係の有無を問わないけれども、概念としてあるのですよ。そうであれば、小さな字ではなく同じ大きさの字で、最初に書いてほしい。この指針では、このような言葉遣いでやりますよ、決して変な意味ではありませんよという気持ちを、もう少し出していただけるような書きぶりをしてほしいと思います。

○林構成員 もう一点、症状又は徴候なのか、事象なのかについては、隣の席でありましたので伴先生と少しコミュニケーションしましたが、その話を伺うと、私も症状又は徴候で、そういった事象も含まれると多くの先生方が考えているということが理解できましたので、もとの案の症状に徴候を足すという考え方で私もよろしいかなと判断しました。

○印南座長 よろしいでしょうか。では、その部分については、そのようにさせていただくことにします。

○医薬安全対策課長 今御指摘いただいたように、フォントについては、大きな文字に変えて、きちんと読者の方が理解できるような形にさせていただきます。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○伴構成員 これも細かいのですが、表1ですね。せん妄のところでネオフィリンというのがあるのですが、これは商品名ですよね。他のところは一般名で書くという原則でやっておられるようですので、そうしたら、アミノフィリンということになると思います。

○印南座長 今のご指摘は資料1-17ページの表1ですね、そのせん妄の部分ですね。

○医薬安全対策課長 この部分は平仄が合っていないので統一し、修正します。ありがとうございました。

○印南座長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の議論を踏まえて修正を入れた上で、指針(総論編)の最終版とさせていただきます。よろしいでしょうか。これをもって、指針(総論編)に関する議論は終了いたします。委員の皆様方には、昨年より長期間にわたり御尽力いただき、大変お疲れ様でした。事務局から、今後の指針の取扱い、周知などについて説明をお願いします。

○課長補佐 最終版の指針につきましては、本日修正いただいたものになりますが、関連団体、都道府県経由で全国の医療機関、薬局に周知させていただく予定です。以上です。

○印南座長 承知しました。それでは、議題1を終了します。続いて議題2に移ります。指針の中でも、多職種間の協働・連携が重要であると記載されている所です。今後の議題の参考となりますように、今回は、昨年度まで秋下先生が関わられました、高齢者の多剤処方見直しのための医師・薬剤師連携ガイド作成に関する研究について、研究代表として御発表をお願いしております。よろしくお願いします。

○秋下座長代理 それでは20分程度お話をさせていただきます。今日の総論編と今後の詳細編とどちらにも関わる話ではあるのですが、この2年間にわたって行ってきました研究の成果、特に「医師・薬剤師連携ガイド」というものを作り、今週末には発刊されますので、その内容を含めてお話させていただきます。ここに書いてある方々が、分担研究者です。当初、平井みどり先生が分担でいらっしゃいましたが、退任に伴い矢野先生に交代され最終的な分担研究者になっておられます。

 今回、こちらの検討会でお作りいただいた厚労省の指針があるわけですが、2015年に厚労科研からAMEDに移りました研究班と老年医学会で、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」というものを出しております。これはシステマティックレビューを行い、Mindsのガイドラインの作り方に則って作成されたものですが、この時に薬剤師の役割を検討する必要があるだろうということで、2005年版にはなかった章を設けた。また、在宅医療と介護施設、これは後ほど詳細編で御議論いただく点にも関わるわけですが、その点に関してのシステマティックレビューを行い、その結果に基づいて推奨文等を書かせていただいたのが、このガイドラインの1つのポイントです。

 しかし、この検討会でも様々に議論されておりますとおり、このようなガイドラインを作ったからといって、物事は解決しないのが実情です。具体的には、医療提供体制の中で、まだまだその検討会で議論されているポリファーマシーの問題に関わる職種の協働や幾つもの医療機関にまたがって多くの重複処方があったりするような問題では、その情報共有ツールの問題や高齢者の薬物療法は、そもそもエビデンスが足りない、意識の問題などもあるということで、正にこの指針の総論編でそのようなことも入れていただいたのかと理解しております。

 その中で、多職種で関わることが非常に重要ですが、まずセンターラインをしっかりさせようではないかというのが、この研究班を立ち上げたきっかけです。多職種の中でも医師と薬剤師、薬の専門家である薬剤師と、日本で唯一処方する職種は医師ですので、この2つの職種が関わっていく、その体制を作っていくためには何をしたらいいのかを考えましょうということで始めた研究です。ここで医師・薬剤師を中心に考えているわけですが、幾つかの病院で行われておりますような多職種カンファレンスによる処方見直しも実際には動いており、このようなことも研究成果の中には盛り込ませていただいております。

 これがロードマップで、最初から2年間ということで設定されておりましたので、本当はもう1年ぐらいやりたかったのですが、2年間で打ち止めがはっきりしていたのです。2年目の最後にはこの連携ガイドを作ると最初から設定された課題でしたので、それを目標として、そのために必要な調査、文献のレビュー、それから、実は最後に作る予定だった一般向けの啓発パンフレットは、前倒しで作る結果になりました。医師と薬剤師がほぼ半数からなる分担研究者から、そして、それ以外の職種の方にもかなり多く協力を頂いたと思っています。

 成果ですが、最初に連携モデルの取組やポリファーマシーの実態調査です。いろいろな医療現場がありますので、病院、こちらについては分担研究者の施設である東大病院、こちらのデータについては後ほど申し上げます。それから国立長寿医療研究センター、これは現在この名前ではなくて、高齢者薬物療法適正化チームという名前でやっています。このデータについては、既に溝神構成員から発表がありましたので、今日は割愛させていただきます。それから、平井先生が中心となられて、以前より神戸大学で取り組んでおられたものについても、データとしては出していただいたということです。それから、在宅医療での現場でのデータも、今日はデータを出しませんが、薬剤師と現場で協働しながら処方を見直していくという手法を取り入れられている高瀬先生、ふくろうクリニック等々力の山口先生方の研究成果を盛り込んでおりますし、もう1つは、介護施設ということで老健施設のデータをまとめました。

 それから、保険薬局については、こちらに書いてあるとおりで多くのデータは集まっているのですが、今のところはまだかなりの段階で疑義照会に留まっているということです。特に、循環器系の薬物に関しては、非常に多くの疑義照会がなされていることが分かりました。

 一部のデータを具体的に紹介させていただきたいと思いますが、これは東大病院モデルです。もともと病棟配置の薬剤師が大きな病院にはおられます。それが評価される保険上の仕組みもあり、薬剤師が持参薬評価テンプレートというのを使っていたのです。どのような薬を飲んでいらっしゃるのかと、複数の施設のものがあります。それを入力して、主治医がそれを見て考えるということだったのですが、もう少しアクションをやろうということで、右側の赤で囲んでいる所を拡大してみますが、私ども医師側と薬剤部、それから、電子カルテのシステムに乗せるということから企画情報運営部、それと医事課でチームを作り、このようなテンプレートを使ったシステムを作りました。

 まず、薬の種類が6種類以上という方を対象にしています。そして、7つの評価項目を設定し、ここに挙げてあるようなスクリーニングの評価の項目、この検討会でいうポリファーマシーの考えは正にここに入っていると思いますが、薬の種類が多いだけではなくて、プラスアルファの問題点を持っていらっしゃるということで、このどれかに該当すれば、スクリーニングに引っかかるということです。そして、実際に薬剤師側から何らかの処方に関する意見あるいは提案といったものがなされて、それが医師の方に伝言メールで送られる。それで、医師がその方の電子カルテを開くと、メールが来ていて、それによってどう影響を受けるかは医師次第ということになります。

 このシステムは平成287月から実際には運用していたのですが、その1112月の頃のデータです。全ての診療科ではなくて、当初は老年病科、糖尿病代謝内科、腎臓・内分泌内科、血管外科の4診療科の入院症例で行ったということです。そして、こちらを見ていただきたいわけですが、スクリーニングの対象となった方々を見ますと、もともと10種類が9種類で、約1種類減っていたと。当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、その効果は、スクリーニングで引っ掛けなかったグループでは全く変化がなかったことを考えると、意味があったかもしれません。

 今日お示ししませんが、薬剤部の大野先生方が行われた最近のアセスメント、解析結果ですと、6種類以上でもスクリーニングに引っ掛からなかった方は、薬剤数は減らないということでして、何らかの問題があって、それを指摘し、スクリーニングに掛けて、それを医師に提出することを行う。そこを薬剤師の方がやってくださることによって、医師側も処方を見直す意識が高まるし、具体的な問題が分かるということだと思います。このシステムは病院としてよく動くということから、昨年の11月より全診療科に拡大して行っています。ただ、介入効率の問題等もあって、この4診療科以外は10種類以上を1つのカットオフとしており、そこら辺は今後経過を見たいところです。

 このようなデータを幾つも積み重ねながら、医師・薬剤師連携ガイドというものに生かすのが最終的なゴールでした。最初は多剤処方を見直すためということで始めていたわけですが、この検討会でも随分議論いただいたように、ポリファーマシーというものと多剤服用は同じではないという考えに基づき、ポリファーマシー見直しのための医師・薬剤師連携ガイドを作成することに最終的にしました。

 この編成ですが、最初に総論が来ております。内容的には、この検討会で議論いただいた総論編の指針の内容とかなり重複する部分があるかと思っております。それは私が主になってやっているというところもあって、ある程度は御了承いただきたいと思います。

1つの目玉は、この連携のためのアクションチャートというものでして、いわゆるフローチャートです。総論編の指針の中にも1つチャートが入っておりますが、この研究では医師と薬剤師がどう連携するのかを対比する形で作っていて、外来、入院、介護施設、在宅医療という4シーンのものを作っているということです。それから、普通のよくあるガイドラインで見られるQ&A、クリニカルクエスション、CQに対して推奨文があるのですが、それに似せて作ったQ&A41並べております。

 あとは、そういうものをこれらのアクションチャートやQ&Aに従って、実際にどのような症例で、どのような対応ができたのかを22症例、班員の先生方から寄せていただいたものを、みんなでブラッシュアップしながら、まとめたということです。あとは、連携ガイドですので、情報連携が非常に重要ですから、そのツールをいろいろ集め、サンプルとして載せました。

 これはもう一回確認のためにお出ししているわけですが、ここでポリファーマシー見直しのためのというように称しているのは、薬の数だけの問題ではないです。これは、やはり有害な問題につながるものをポリファーマシーと考えるという、この検討会で定義付けされたポリファーマシーというものと一致したものを採用しているということです。

 具体的に、アクションチャートを外来のものだけお出ししたいと思います。こちらは医師で、その次が薬剤師です。もちろん、まだ病院にも外来はあるわけですが、基本的には診療所の医師を想定して作らせていただいたアクションです。ここではポリファーマシー患者としていますが、外来に患者さんが来られたら評価をする。その時に総合的な評価が当然必要であるということで、CGA(Comprehensive Geriatric Assessment)、高齢者総合機能評価がありますが、それを積極的に利用していただきたいということで、前面に出していることが1つの特徴です。

 そして、先ほども東大システムの中にあったような問題、同じではないですが、ポリファーマシーに関連した問題点の存在を挙げていて、そこに引っ掛かれば、当然協議する必要があるので、薬局側からも情報を得たり、他にかかっている医療機関もあるわけですので、そのような所から情報提供を受けて、保険薬局も間に入っていただきつつ、協議しましょうということです。

 それから、問題がなくても、薬剤師側からその情報が入ってくることがあります。こちらもそうです。こちらで、「なし」「なし」「なし」と行ってしまう場合もあるわけですが、途中で引っ掛かりますと、やはり協議するシステム、フローチャートになっていると。処方見直し、病状の変化観察と、この辺も指針の総論編にあった内容ということです。最終的にはケアカンファレンスやお薬手帳などを利用し、多職種間での情報交換、定期的な処方の見直しを継続するということで、フローがぐるぐる回るようになっているということです。

 まず医師側のほうを示しましたが、こちら側は薬剤師。特に、外来の現場を想定していますので、保険薬局の薬剤師のアクションということです。医師と同じでは少しきついだろうということもあり、薬歴、患者背景の情報収集などということで、医師と違う目線を少し入れております。この辺は同じ。そして、ここら辺も同じです。こちらは、薬局側で問題を認識したら、医師、他の医療機関なども含めて協議をしていただくということですが、ここで問題を認識しなかったとしても、医師側から相談が来ることも今は普通にありますので、相談が来れば協議をする。それで、再検討の結果、何か検討する必要があるということになれば戻るということで、やはり医師側と同じようにチェックポイントを幾つも設けて、ここに流す仕組みになっておりますし、最終的には同じフローに入るということです。

 このようなアクションチャートを、その他に、先ほど言いましたように入院、介護施設、在宅医療という形で医師、薬剤師が対になるように、本の中でも見開きでにしております。こちらはQ&Aですが、薬学的な問題に関するものが17個、環境に関するものが7つ、病態に関するものが幾つかと、あと、高齢者で問題となりやすい薬物、総論編の中でも別表などに作っていただいていますが、そのようなものに関してのQ&Aを作っているということです。

 そして、症例集です。22例、複数診療科、多剤服用、サプリメントの問題や、腎機能障害などのよくある問題や、認知症の方、それから、ここでは敢えて注射薬なども取り上げていますし、転倒という先ほど出たような話、介護施設での問題というようなものを取り上げた症例です。

 情報連携ツールですが、これも幾つものパターンがあります。医療機関から医療機関へ、つまり医師から医師へというものがあれば、医師から薬剤師へというものもあります。薬剤師から薬剤師へというものがあれば、薬剤師から薬剤師でも、病院の薬剤師から薬局の薬剤師へ、保険薬局の薬剤師から病院の薬剤師へと、いろいろな方向性があるわけですが、ここでは敢えて、保険薬局の薬剤師からかかりつけの医師へということで作らせていただいたものを示しております。患者からの同意があるかどうかも含めて載せておりますが、処方に関する情報と、例えば残薬などが分かれば、どのようなことかを薬剤師なりに評価したものを入れていただき、これを疑義照会とは別にではなくて、ファックス等で送っていただくと。今は服薬情報提供書というシステムがありますので、それに乗せていただくものです。平成30年度から服薬情報提供書を使ってかかりつけ医師に処方の見直しを提案し、実際に6種類以上飲んでいる人が2種類減薬されると、薬局側に125点付くという診療報酬制度もできましたが、そのようなものに資する情報提供を行うということです。

 こちらは、検討会でも配っていただいている一般向けの啓発パンフレットですが、医師と薬剤師、それから他の職種という関係で我々がいろいろ考えている中で、結局、患者及び家族がきちんと理解できていないと駄目だろうということで、どう向き合っていただくのかということのパンフレットを作り、各種ホームページ等に掲載させていただくとともに、マスコミにも取り上げていただいたりして、世の中の意識を変えていくというアクションを一つ起こしたということです。

 次に、当初の計画に入れていなかったのですが、日本医師会の職員でいらっしゃる薬剤師の野村さん、明治薬科大学の赤沢先生方が作業をされていたものを、我々も協力して作成ました。先ほどの老年医学会の、特に慎重な投与を要する薬物のリストに、抽象的に書かれているものも結構あるのですが、そうすると、どれが該当して、どれが該当しないのかが分かりにくいので、該当する一般名とそれのコード、ATCコードは国際コードですが、これを入れたものを作成し、日本だけではなくて、海外の中でもアジア諸国で利用いただきたいという考え方で、このようなものが作られてたということです。ちなみに、エクセルバージョンを作り、老年医学会と老年薬学会のホームページに昨年度公開させていただいておりますので、うまく電子システムの中に取り込めば、処方薬が該当するかどうかがコードからチェックできると、このような形のものも作らせていただいたということです。

 最初の調査の所に戻るようですが、国立長寿医療研究センターで溝神先生方が行われたアンケート調査、これが私どもが保険薬局の薬剤師をまず開拓しなければと思ったところです。アンケートの細かい中身に関して溝神先生からもお話がありましたが、ポリファーマシーの認知度は、保険薬局の薬剤師の方は結構高いのですが、実際には対応もガイドラインの活用などもあまりされていない。それから、特に薬剤師の方からの医師への連携は疑義照会が多くて、先ほどのような服薬情報提供書などはまだまだされていなかったということです。今回、保険点数も付きましたので、アクションは変わるのではないかと思いますが、医師・薬剤師連携ガイドとか、それに関連する研究を行ったというのは、タイムリーであったのではないかと私としては考えている次第です。

 こちらは最後のスライドになりますが、このようなものを作っても、まだまだ課題は残るということで、今回連携ガイドを作りましたが、関連する指針を含めてどのように普及させていくのかです。今回のこちらの指針、総論編でも、随分この検討会で、あるいはその下部のワーキングでももんでいただいた点は、関連するいろいろなガイドラインとか、関連する職種の方々の現場での利便性、このようなものがないと、大きなバリアになってしまうということで、なるべくこれを普及するとともに、必要に応じて、このガイド自体も見直しをしていかなければいけないと思っています。せっかく作りましたので、今日御参集のメディアの方々にも、これをしっかりとまずは広めていただければと思っています。

 それから、この作業をする中で明らかに分かったのは、まだまだエビデンスが足りないということで、我々が必要だと思っているものをまとめて、ガイドラインではなくてガイダンス的なものである指針を作りましたが、こちらも連携ガイドと言っているぐらいで、厳密にエビデンスのレベルが非常に高いものではないと。我々のコンセンサスにかなり基づいているものであるということで、東大システムでもいいですし、国立長寿医療研究センターのカンファレンスモデルでもいいのですが、そのようなものが普及し、それを利用した研究成果が挙がってくれば、正にそれがエビデンスになるのではないかということで、このようなこともこの検討会などを通じて今後普及を広めていただければと思っています。 以上です。御清聴どうもありがとうございました。

○印南座長 ありがとうございました。ただいまの秋下構成員の御説明に、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。

○島田構成員 いろいろありがとうございます。薬剤師をこれだけ関わらせていただくことは私たちも責任を重く感じているところであります。先ほどにまた戻ってしまうかもしれませんが、ここでも有害事象というのがまたたくさん出てくる中で、例えば15ページの副作用情報提供書を使う場合に、ここの薬剤師からの情報提供に、先ほどのふらつきや転倒は有害事象として書き込んでよろしいかどうか。またもう少し深めたいと思うのですが、先ほど決裁された総論の中では、「発現する有害な症状と徴候」というように書き分けられるわけですけれども、症状と言ってしまうと、当然医師の診断が必要なものになってくると理解をしています。

○秋下座長代理 ありがとうございます。そういう意味では、疑うことはあるかと思いますが、最終的な判断は医師の手に委ねられるべきだと思っておりますので、薬剤師側からは薬物有害事象ということで、因果関係を問わず提案いただいて、それが薬とは全く関係がなく、本来の疾病の経過の中で出ていて、むしろ積極的に治療する対象なのか、薬を中止、減量をして様子を見るべき対象なのか、それを御判断いただいたり、提案した後にはやはりディスカッションが行われるべきだと思いますが、そのためにはまず広く取っていくことが大切だと思いますので、そういう意味での薬物有害事象ということです。

○島田構成員 決して1つのものに同定するという意味ではなくて、複数の薬を含め広い意味では薬物以外のものも検討の中に入れて御相談をする、「有害事象」という言葉を使わせていただいてよろしいのでしょうか。

○秋下座長代理 そのようなことであれば、薬剤師の職能とかスキルで対応は十分できるのではないかと思っています。

○島田構成員 ありがとうございました。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○池端構成員 秋下先生ありがとうございました。このスタディで1つ質問ですが、78ページの、東大病院でのスタディと入院の方に関して、今お聞きした中で、薬剤師から多剤の情報が行く、今回のスタディは、4診療科ということです。老年病科であれば恐らく総合的に診ている主治医がいると思うのですけれども、その他の科はやはりある程度専門の立場の主治医という形になると思うのです。そのポリファーマシーに関する薬剤に関しては恐らく多岐にわたっている。あるいは他科にわたっているものが合わせてなっていますという状況で、その時に、他科依頼をしながら減らしていくのか。あるいは入院されたその病棟の主治医が責任を持って減薬を試みられるのか、その辺の調整とかはどのようにやっていらっしゃるのでしょうか。

○秋下座長代理 今、総合評価加算というものがあります。これはDPC病院でも取られるのですが、東大病院は非常に高い率でそれが取得される。つまり入院時にADLとか認知機能とか気分、そのようなものに関してしっかり取られていて、加算にもつながっているのですけれども、実は看護師による入院時の情報取得が義務化されている部分も多いのです。そのようなことでかなり情報が取られていて、それを土台にしながら医師の方で追加の評価、例えば認知機能などは少し加える必要がありますので、そのようなものを加えていただいて、やっていただいています。問題等があれば東大病院の場合は老年病科があるのでそこにコンサルトが来るということで、こちらの薬剤のスクリーニングもそれとセットになっている部分がありますので、そのようなADL、認知機能をきちんと評価できないところでこれをどう運用するかというのは、少しまた話が変わってくるのではないかなと思います。できたらそこの評価を全ての医師にやっていただけると有り難いなと思っています。計測は医師以外でも構わないことになっていますので、ナース等の職種の手を借りてスコアを付けていただき、それを最終的に医師が評価するということであれば問題ないのかなと思っています。

○池端構成員 例えば、糖尿病代謝内科に入った患者さんの主治医は、糖尿病の専門医がいらっしゃいますね。

○秋下座長代理 はい。

○池端構成員 そこに情報が入って、これとこれを減らしたらどうですかということで、あとはYESNOを押すだけという形になるということですか。

○秋下座長代理 違います。情報はこのような形で上がってくるのですが、入院している経過中に、例えばそう言われてみると少し認知機能が悪いかもねとか、残薬の問題なども指摘されると、あまり飲まれていないことが分かったので、実際に飲んでいなくてこの状態であればこの薬はやめましょうとか、重複の指摘などもあるので、そのようなものは専門医でも全く問題なく対応できますので、認知機能やADLを踏まえて、どうするかというようなことが診療科によっては難しい部分があるので、そこを老年病科がサポートしたり、糖尿病に関しては今は老年医学会と共同で作った高齢者の血糖管理目標値などがありますので、このようなところで薬を見直すのには貢献しているかなと思います。

○池端構成員 しつこくお聞きしたのは、例えば我々は在宅や慢性期の現場でいくと、急性期の循環器や神経内科などたくさん薬を取っていて、それをこちらが減らしたいと思ってもなかなか手を出せないことがあるので、その辺が病院の専門家同士で自由に意見が言えるような環境があるのかなと、その辺をお聞きできますか。

○秋下座長代理 院内だけの場合は、話は比較的スムーズにいきますし、特に高齢者で老年病科が間に入っていれば、うちで全部引き受けますからということで、最後、出口は一本化されてしまうのでそれで終わるのですが、そうでないケース、特に院外から出ているものについてどうするかというのは、我々でもかなり議論になります。やはり照会、問合せをして、このようなものが出ていて、こう思うのですけれどどうしますかという話はやはりしないと、結局元に戻ってしまうということにもなりますので、その努力はしなければいけないと思います。

○池端構成員 分かりました。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○美原構成員 教えていただきたいのですが、スライド15の服薬情報提供書の問題です。これは調剤薬局からドクターサイドに流れるものだと思うのですが、ここのところで、患者さんからの同意を得た、得ていないと2つの選択肢になっていますが、得ていない場合は、患者さんの同意を得ないままに診療報酬が発生すると理解してよろしいのでしょうか。

○秋下座長代理 いや、得ていない場合はこれを慎重に取り扱うべき必要があるということだと思います。

○美原構成員 例えば、調剤薬局側で患者さんの同意を得ないままにこれが回ってきた場合に、当然調剤薬局側はそれを請求するわけですよね。

○秋下座長代理 いや。

○美原構成員 そういうわけではないのですか。

○秋下座長代理 それは請求できないのではないでしょうか。

○美原構成員 できないのですか。

○秋下座長代理 どうでしょうか。私は同意が得られていない場合は情報の扱いも含めて慎重に行うべきと考えています。明らかに問題が分かっているのに、それを情報提供しないということは医学的に問題なのですが。

○島田構成員 おっしゃるとおりで、原則は患者さんの同意が得られないと、薬を減らす場合も増やす場合も原則はそうですので、まずこの辺のところは、主治医の先生方と十分議論した上で、最終的には同意の得られる方向にはもっていきたいと思います。すべからく患者さん御自身の御理解があってから、次の作業に進みます。

○美原構成員 どうもありがとうございました。これは非常に重要な問題だろうと思うのです。情報は欲しいけれども、その時にこのようなお金を請求されたのだけれどと患者さんから言われると、とても大きい問題だろうと思うのです。ですから、これは私たちが減らしたいと思っても、調剤薬局側のサイドでしっかりとお話をしていただかないと、後でトラブルに、もちろん医学的な重要性と経済的な問題もありますので、その辺を調剤薬局がしっかりとしていただいた方がいいのではないかなと思いました。

○島田構成員 御本人の理解が得られる場合と家族の方の御理解で療養されている場合と、この辺の対象者はどちらから了解を得るかというのは、これはケースバイケースで簡単には言葉だけで言い切れないところもあるのではないかと思います。これは個々の事例として、もちろん家族の御理解を頂いたという前提でお話をしています。

○秋下座長代理 ですので、正にここの下の赤い字の所に書いていますけれども、FAXによる情報伝達は疑義照会ではありませんということで、処方が出た当日に、この処方はそのまま調剤していいのかどうかは疑義照会をされるわけですが、この服薬情報提供書というのはむしろ後で患者さんに御意見をお聞きしながら出てくる。そのような意味では十分に理解をしていただいた上で後日出してくるものであると、このようなことだと思うのです。ですので、これを一方的に出していくものでもないし、そこは疑義照会と分けて考えていただくことが重要なのかなと思っています。

○美原構成員 そうだろうと思うのですが、なぜここで言うのかというと、当然同意は得るべきであって、診療というのは契約に基づくものですから、同意がないということをここの中に入れることに関して問題があるのではないかと。しかしながら先生のおっしゃるように同意がなくても必要な情報は提供すべきだというのは、調剤薬局の善意だろうと思うのです。その辺で、ここの所にこれを入れることに関してどうなのか、その同意を得た、得ていないということを入れることがどうかと思いました。

○秋下座長代理 ありがとうございました。

○松本構成員 結局、減薬すると診療報酬で手当が付くということ自体が、私は非常に問題だと思います。そのようなことで減薬するわけではないわけですので、かえって報酬上手当を付けたということで、曲がって捉えられることに非常に懸念をしています。先生がおっしゃる、いわゆる情報提供ツールとして非常にいいものだと思いますけれども、美原先生が指摘された同意の部分というのとは少し違うことで、診療報酬のことを触れられるとかえって話がややこしくなってしまうのではないかなと。

○秋下座長代理 分かりました。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○勝又構成員 1つ、16枚目のスライドですが、これは一般向けの啓発パンフレットですけれども、高齢者が薬との付き合い方の中で、5つ目の「薬は優先順位を考えて最小限に」というのは、高齢者の自ら優先順位を考えて最小限にということではないですよね。

○秋下座長代理 そういう意識を持ちましょうと。何でもかんでもお薬で手当していこうという発想をお持ちの方も、中には結構いらっしゃる。うちの親などもそうですけれども、私がこのようなことで一生懸命取り組んでいる中、実家に戻ると、この症状に効く薬はないだろうかと必ず言われますので、ないというような話をするのです。そういう意識を変えていくという意味なのですね。だから自分で減らしてくださいということは、むしろ1番、冒頭に書いている「自己判断で薬の使用をやめない」ということ、これが第一なので、そのことを守りつつ、意識として、増えないようにと、そのような意識を持ってくださいというニュアンスです。

○伴構成員 興味深い発表をありがとうございました。スライド185ですが、2番の「ポリファーマシーに対する減薬アプローチと高齢者の安全な薬物療法ガイドラインなどの活用」という所で、薬剤師は同じようなパーセンテージなのですが、医師の場合、減薬アプローチはかなりやっているけれども、ガイドラインなどの活用はしていないと、これはどのような解釈になっているのでしょうか。

○秋下座長代理 私としてはこれを見て大変がっかりしたと。だから、厚労省の指針、あるいは日本医師会からの手引き、要するにより普及するものが出てこないといけないなということは感じています。溝神構成員がこの研究をされたので、もしよろしければ補足していただければと思います。

○溝神構成員 分担研究者として補足させていただきますと、3番の「高齢者の安全な薬物療法ガイドラインなどの活用」とさせていただいたのは、いわゆる潜在的不適切な薬物リスト、Beersクライテイアとか、STOPPクライテリアと呼ばれるような、PIMsの薬物のリストを活用されているかどうかをお聞きしたくてこのような質問にさせていただいたところ、このような形でありました。ポリファーマシーに対する減薬のアプローチの問いに関しては、有害事象等々があればその疑わしい薬剤を減らすなどというような、それ以外のお薬に対するアプローチもされているというところで、医師の減薬アプローチのところの割合が高くなっているのではないかと思っております。

○伴構成員 秋下先生ががっかりしたというのは、医師はガイドラインなんか要らないと言っているというように感じたということでしょうか。

○秋下座長代理 そこまでは思っていないのですが、存在は知っているけれども中身を余り知らないということが背景にあるのかなと。現場で診療の忙しい合間にそのようなものをいちいち見ていられるかというようなこともあるのかもしれません。やはり、より簡便なものがもっと必要なのかなということを強く印象付けられた結果だったということです。

○樋口構成員 ありがとうございます。私も先ほど先生がおっしゃいました18ページの5のポリファーマシーに関する医師と薬剤師の意識調査で、特に御指摘のございました2番のポリファーマシーに関する減薬アプローチが、なぜこんなに41.3%と7.2%という、桁の違う、その桁も何倍も違う差が出てくるのか、びっくりいたしました。秋下先生の御見解も承りたいのですけれども、私どもが年末に調査させていただきました一般の高齢者の5,000人調査で見ましても、やはり薬剤師の方からはなかなか先生に言いにくいというような意見も散見いたしましたので、一つ伺いたいと思いました。

 それからついでですが、片仮名の薬品の名前が出てきたら、私などは何も分かりませんけれども、今回、医師と薬剤師の方々が御一緒にこのような研究をしていただいたことは私どもにとってもとても有り難いことと思っております。特に16ページに、「一般向け啓発パンフレット」というのを作っていただいて、現物も拝見したと思いますけれども、大変分かりやすくてきれいなパンフレットだったと思います。しかしこの中で、「高齢者の薬との付き合い方」と言われて、他にもっと書いてありませんでしたでしょうか。

○秋下座長代理 付き合い方はこの5項目だけだったと思います。

○樋口構成員 5項目でしたか。そうすると特に123はまずはよろしいといたしまして、「若い頃と同じだと思わない」、これは大事なことでございまして、私の友人がこの間も若い頃と同じ気になって4kmの道を自転車で走って、ブロック壁に激突して、今左腕骨折でうめいておりますし、私自身も本当に無茶をしてはひっくり返ったりしております。

 ただし、この服薬に関して言えば、若い頃と同じだと思わないということは、むしろ処方なさる医療者に私どもも申し上げたいわけでございまして、40歳で高血圧の薬を処方されて以来、ずっと飲んでおりますけれども、その時と比べて私は残念ながら体重は余り減らないですけれども、身長は5cm縮んでおります。そして、様々な機能が大分低下しているはずでございます。それでいいのかなと、いつまでも同じ年齢と思わない、若い頃と同じだとは思わないなどという辺りは、どうしてこの人生100年の時代に小児用と大人用しかないかということを含めまして、是非、これはお答えをお出しくださるのは先生方だと思いますけれども、御検討いただきたいと思います。

 それから次の「薬は優先順位を考えて最小限に」、これはごもっともでございますし、是非そうありたいと思いますが、優先順位というのは基本的に我々素人だから分からないです。先日私が少し風邪を引いて胃腸も壊しまして、さっき申し上げたように高血圧剤はずっと飲んでおります。4種類しか飲まずに、循環器内科の先生は薬を増やさないで、とても偉い先生なのですけれども、風邪と胃腸で少しお医者さんに掛かりましたら、きちんとこういうところに発言するからと思って数えてきましたけれども、あっという間に12種類に増えました。もう2週間ですからこれで止めようと思っておりますけれども、では、止める時に、血圧はお陰さまで非常に安定しております。だけど、まだ胃腸は残っております。こちらの方を残して血圧安定剤を止めるのかとか、そのようなことは我々の判断の外でございまして、これは専門家のお医者さんの、あるいは薬剤師の先生の関与だと思いますし、是非このような「優先順位を考えて最小限に」ということでの患者への御指導をよろしくお願いします。これはお願いでございます。

○秋下座長代理 ありがとうございました。これは見出しだけが並んでいるので、少し刺激的な文言だけになるのですが、この説明などを改めて私も読んでいますけれども、例えば最後に、「薬は優先順位を考えて最小限に」は、「かかりつけの医師に薬の量と数についてよく相談してみましょう。医師は副作用を避けるために次のことに配慮して薬の量と数を調整しています。」「1.薬の優先順位を考えます。」というようなことを書いております。

 要するに、我々医療者がいくら頑張っても、私などはずっとこれに取り組んでいるのですが、やはり患者の理解がないとこの問題は先に進まないという意識を非常に強く持っていたので、このようなことを入れさせていただいたところはございます。本人もそう思っていただき、医療者はもちろんそのことは分かっているのだという前提でやっております。ただ、もしそれが私の誤解だとしたら、それこそこのデータで、減薬アプローチは医師の40%はなさる。要するに処方を変更するというのは日常的にされているので、その中で当然増やすこともあれば、減らすこともあるということだと思いますが、薬剤師の側はそこに一歩踏み出せないで、特にこれは保険薬局の薬剤師ですので、まだそれが十分にできていなかったということだと思います。これにはいろいろな背景や問題があると思いますけれども、一様ではないと思います。ただ、やはり変えていかなければいけないことは確かなので、青字にさせていただいております。

○印南座長 よろしいでしょうか。時間も押しておりますので、このまま続けていくと次の議題の議論ができなくなってしまうのですが、どうしてもということであれば、よろしいですか。

○池端構成員 1点だけお願いです。6ページのこの研究の対象が病院ということと、在宅と老健施設と保険薬局となっているのですが、今後、病院だけの急性期と回復期、慢性期という、ある程度ジャンルが違ったものの病院連携は非常に大事になって、むしろ昔よりは回復期とか慢性期でフィルターを通して在宅に戻すことでかなり解決できてくるのではないかと思うので、次にもし研究等があれば我々も仲間に入れていただければという気がします。一応、お願いです。

○秋下座長代理 ありがとうございます。病院の中にはそのようなものを含めて、書くときにはそういうものを意識しながらさせていただいたつもりではあります。データ等については今後よろしくお願いしたいと思います。

○印南座長 それでは、これで議題2を終了いたします。

 次の議題は、「高齢者の医薬品適正使用の指針(詳細編)の在り方について」です。本検討会では2年度計画で、昨年度は「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」を作成し、今年度は詳細編で、指針の各論の追補を作成する計画としておりました。今年度作成する予定の指針のコンセプトについては、419日に開催したガイドライン作成ワーキンググループで御議論いただきました。本日は当検討会に報告がありますので、事務局から説明をお願いします。

○課長補佐 それでは、資料3を御覧ください。今年度作成予定の指針のコンセプトについて、419日に開催されたワーキンググループで議論された結果を提示しております。まず、左側の青い四角の部分が、昨年度に取りまとめた指針(総論編)の内容です。この総論編の内容を踏まえ、当該指針の追補という形で、今年度は作成することにしております。

 追補は、患者の療養環境別に大きく3つの形を想定しております。1つ目は、外来・在宅医療についてです。ここには特別養護老人ホームに入所されている高齢者も含みます。2つ目の追補は、慢性期、回復期等の入院医療についてです。地域包括ケア病棟に入院されている患者も、こちらに含みます。さらに、追補の3つ目はその他の療養環境として、療養病床や老健施設に入所されている患者を想定したものです。この3つのそれぞれの療養環境における処方について、見直しのタイミングや見直しの留意点、多職種連携の役割の他、それぞれの入退院、入退所時等の環境間を移行する際の引継連携についても、留意点を記載することとしています。急性期の入院患者については、指針(総論編)の方で読み込んでいる部分がありますので、今回、特に追補として対応することはせず、総論編に括弧書きで「急性期を含む」とさせていただき、こちらで対応させていただくということを記載しております。

 さらに別添として、指針(総論編)の疾患領域毎の薬剤に関する留意事項については、追加の疾患領域、例えば骨粗鬆症、認知症、がん・緩和医療等における留意事項、参考情報として、多病の患者における処方見直しの事例の例示集の作成も検討することとしています。

 最後に右下に、追補1から3に関する国民への啓発ということで、昨年度から先生方に御指摘いただいた課題についても、今年度に取り組むことを予定しております。以上でございます。

○印南座長 ただいまの御説明に関して、質問や御意見等がありましたらお願いしたいと思います。

○池端構成員 ワーキンググループのメンバーでありながら、質問するのは申し訳ありませんが、今ほどの説明の中で資料3の追補3、その他の療養環境(介護を含む)での処方に、療養病床をはじめとするということをおっしゃいましたね。しかし、療養病床は、追補2の慢性期の入院医療の方に入っていると思うのですが。

○課長補佐 失礼しました。訂正いたします。介護医療院とか、そちらの方です。介護医療院は追補3で読み込んでいます。

○山中構成員 今の点について、追補2と追補3が場面的に整理が付きづらいのです。もう少し明確に、23の違いを表現していただけると分かりやすいかと思います。

○印南座長 具体的に申しますと、どのような点でしょうか。

○山中構成員 追補1の在宅・外来医療は、恐らくどの先生も認識が一致すると思うのですけれども、今の療養病床の問題とか介護医療院の問題とか、その辺を含めて慢性期、回復期等々、「その他の療養環境」という言葉だけでは、どのような場面かはっきりしないのです。

○印南座長 同じものではないかとか、違うけれども、中身が混在しているというところがはっきりしないということですね。この点についてはいかがでしょうか。

○松本構成員 同様に、ここに特養とか地域包括ケア病棟というのを※でわざわざ書いていますが、老健はどこに含まれるのか、介護医療院はどうなのか。介護医療院と特養に「在宅復帰率」という名前は消えましたけれども、それはカウントされるのに老健はカウントされなくなったという、そちらからのアプローチもありますよね。もちろん病態から行けば、そのようなものは関係なくやるべきかもしれませんけれども、この辺の区別が非常に付きにくい。しかも、介護医療院は3に入るということがあると、注が分かりにくいと思います。

○印南座長 事務局から御説明をお願いします。

○医薬安全対策課長 ワーキングでの議論の経緯も含めて、少し御説明させていただきます。もともとワーキングで議論を始めたときは、追補2と追補3は一体のものとして議論をスタートさせていただきました。その中でも入院をされる状況の方と介護医療院等に入所される方では、やはり処方の見直しの環境が大分違うのではないかという御議論がありました。そこを分けた方が恐らく分かりやすいだろうということで、慢性期、回復期の入院と、主に介護医療院等を対象とした形での追補3に分けさせていただいたというのが議論の経緯となっております。その際、介護保険で給付している世界と医療保険で給付している世界、特に投薬・注射等も含むのですが、特養では投薬部分は医療保険の方で給付しているという世界でもありますので、むしろ外来や在宅のほうに特養を含めた方がいいだろうという議論があって、※にして、このような形にさせていただいたというのがワーキングでの議論の経緯です。

○松本構成員 まるめで見るからどうとか、外出しで報酬上の違いがあるからということではないように思います。まるめでやっているから、どうせ放っておいても減薬するだろうという考え方ですか。

○医薬安全対策課長 診療報酬上の話がメインではなく、これは特養の事情で、むしろ外来・在宅に含めた方がいいだろうということで上に乗せているので、報酬上の切り口で123を切ったということではありません。

○松本構成員 それは最初の説明で言わなかったですか。

○医薬安全対策課長 それがメインではなく、そのようなこともあるのでということで特養の説明に加えました。

○印南座長 よろしいでしょうか。

○松本構成員 いや、よろしくない。

○医薬安全対策課長 これはコンセプトですので、今日頂いた意見をワーキングの方にフィードバックさせていただきます。23のくくりの所は、これから指針の骨子を作成する段階までに、今日の意見も踏まえてワーキングの方で再度検討させていただいてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○池端構成員 今の状態でワーキングに送っても、また同じような雰囲気ではないかと思います。ワーキングの会議で揉めたというか、難しかったのです。追補2というように出したのは、これはあくまでも多職種が揃った処方をする、いわゆる入院医療という枠で、ここで1つ整理ができるのではないかと思います。それ以外の介護医療院とか老健といった所は介護保険施設として括れるのではないかということで、この方がいいのではないかという意見で、後は事務局がお預かりという形になったかと思っています。

 特養をどうするかというのは、現時点では特養もむしろ介護保険施設なので、追補3にしておいた方が一般的には分かりやすいのかなという気が、私も個人的には思っています。確かに(特養は)在宅扱いではありますが、では、いわゆるサービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどはどうするのかとか、いろいろな話が出てくるので、あくまでも介護保険施設と入院医療ということで、追補23を分ける方がすっきりするという気もします。その辺は皆さんから御意見を頂いてから、またワーキングでということにさせていただいてもいいのではないかという気はします。

○印南座長 他にいかがでしょうか。

○勝又構成員 私も池端構成員の意見に賛成です。もう1つ気になっていることは、追補1などでは全部、「処方」というように記載されているのですけれども、上の所には総論編の指針の追補として、「薬剤の追加の留意点」というように書かれているのです。これは処方と処方の見直しに限定された追補になるのか、それとも医薬品の適正使用についての追補なのかというところが、少し分からないので教えていただきたいと思っています。要するに、処方に限定した追補にするのかというところを教えていただきたいと思います。

○印南座長 事務局からいかがでしょうか。

○医薬安全対策課長 ワーキングでの御議論で御説明をさせていただきます。追補123の括りの本体の四角の中、入退院時の情報の引継ぎとか見直しのタイミング、留意点、地域内での多職種の役割、チームの形成という所を御覧いただいてもお分かりだと思いますけれども、多職種の役割も含めて、様々な区分に対して追補というもので書き込んでいくようなイメージで書かれているものです。ですから「処方」と表題に書かれているのは場面場面ということで、在宅や外来での処方という場面ということで書いているので、これは必ずしも処方だけに限定しているところではないだろうと捉えています。

○勝又構成員 それならば「外来・在宅医療での適正使用」とか、そのように書いていただいたほうがいいかと思います。これは意見です。

○印南座長 他に御意見、御質問等はありませんか。

○伴構成員 総論編で気になったのです。今の御意見とも関連するのですけれども、これは医薬品適正使用ということなので、医薬品にターゲットを絞っているというのはよく分かります。しかし身体活動とか食事療法など、非薬物療法の言及が少ないような気がするのです。ですから是非、追補はそのようなところにもかなり言及したことを御検討いただいたらいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○印南座長 ただいまの御意見について、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 その点は可能な限り、しっかりと入れたいと思っています。そのような意味では、例えば追補1の外来・在宅医療などは比較的書きやすいですし、介護施設なども書きやすいところがあるのですが、追補2の辺りでどこまで書けるか。回復期でしたら当然、リハビリを提供していますから、そのようなところの意義はもちろんですが、厚労省も担当が違う局で、介護の検討会などもやっているのです。ただ、なかなか十分なエビデンスがないというところもあり、薬物療法もそうですけれども、同じように限界がある中で、多分苦労しながら書くのだろうと思っています。その辺はまた皆さんに原案を見て御議論いただければと思います。御指摘はごもっともかと思います。

 そのような意味では、先ほど勝又構成員から御指摘いただいた「の処方」というのは取ってしまった方が、すっきりするような気はいたしました。そこ以外の所ばかり気になって、あまり議論をしなかったように思いましたので、ありがとうございます。そのような方向で進めたいと思います。

○印南座長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは御確認いただきましたので、本日頂いた御意見や修正も踏まえながら、御報告いただいたコンセプトを踏まえ、ワーキングでの作成作業を進めていただくことにしたいと思います。以上で議題3を終了いたします。

 本日も活発な御議論を頂き、ありがとうございました。以上で本日予定していた議題は全て終了となりますが、その他に御発言等はありますか。

○平井構成員 秋下先生の御発表でおっしゃっていた「連携ガイド」は、私も一部拝見したのですけれども、全体がまだ見られていないので、すごく期待しているのです。その中で同職種間の情報連携ツールということで、例えば医師同士とか、クリニック同士とか、クリニックと病院とか、そのようなもののツールはどのようなものを提示されているのですか。というのは、結局ドクターの場合、例えば前医の処方に触らないという不文律みたいなものがあって、他の先生の処方に対しては、なかなか意見されたりすることが少ないのです。だから、そのようなものをきちんと情報交換するというのがすごく重要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○秋下座長代理 医師同士の場合は、いわゆる診療情報提供書ということになります。その中に薬に関する情報を、しっかりと入れるフォーマットを一応提供しているつもりです。

○平井構成員 割とドクターというのは治療ということで、薬はその一部という認識ですよね。

○秋下座長代理 そうですね。ただ一覧を書くだけで終わっているというのがこれまでで、なぜこの薬を使っているのかということを、薬の横に全部書いていく必要があると思うのです。

○平井構成員 そうですよね。それがないと。

○秋下座長代理 そのようなことを意識したものを。

○平井構成員 それがないと、やはりなかなか意見もしにくいだろうと思います。あと、もう一点いいですか。溝神先生のデータから出された「ポリファーマシーに対しての減薬アプローチ」というのは、ポリファーマシーに対して認知している方に関してという意味ですか。

○溝神構成員 お答えいたします。ポリファーマシーと認知している患者に対して、減薬のアプローチをしているか、していないかという形で質問させていただきました。

○平井構成員 では、それは並行してお尋ねになったのですね。ポリファーマシーを知っている方に対して聞いたわけではないのですね。

○溝神構成員 はい。

○平井構成員 分かりました。3番が少ないのは、一部を取ってやっているからかなと思ったものですから。ありがとうございます。

○印南座長 他によろしいでしょうか。

○美原構成員 今お話のあったスライド18です。ポリファーマシーに対する減薬アプローチが、薬剤師から少な過ぎるという御意見が多かったようにあるのですが、実を言うと私は、結構多いなと思いました。というのは、これは対象が一般の開業医と調剤薬局ですよね。今、調剤薬局はどこに行ってもいいわけです。私は自分が開業医でないので分かりませんが、自分の病院の患者がどこの調剤薬局に行っているかなど、全然分からなくて顔が見えないわけです。

 そのような中でどういう処方を出しているのか、たった1つ分かるのは、たった1つとは言わないけれども、その多くの情報の供給源は小さなおくすり手帳です。そのおくすり手帳だけで開業している薬剤師が、ましてや偉いお医者さんに何か言えるかといったら、ほとんど言えないと思います。そういう意味では、疑義照会以外に病院に連絡したときに、「これおかしいよね」と言うのは、薬剤師として当然やるべき仕事で、その中の10%が「減らした方がいい」と言っているというのは、私はとても大きいと思います。

 ここでこれから何を増やしていかなければならないか、薬剤師からドクターサイドに行くのに、どのようにうまくやっていったらいいかというのは、正にこの問題ですよね。ドクターと薬剤師の連携をどのようにうまくやっていくか。これはガイドラインだけなのか。あるいは「顔が見える関係」とよく言いますよね。カンファレンスを開くとか、いろいろなことが言われていますが、現実的にはどこの調剤薬局に行ってもいいという話ですよね。もし、それが自分の病院の中、クリニックの中に薬局があれば、このような話は全然なくなってしまうわけです。しかし「医薬分業だ」と言った結果、このような状況が起きてしまったと私は捉えています。医薬分業になった時に改めてドクターと一般の調剤薬局の人が、どうやって顔の見える関係を作っていくかというのが、これから問われるだろうと私は思いました。ちょっとした感想です。

○松本構成員 今の話に少し関連するかもしれませんが、秋下先生にお聞きしたいのです。例えば患者を対象に入れて、薬物有害事象がありましたと。薬物による副作用が考えられる、その原因としてポリファーマシーを疑うという日本語は正しいですか。

○秋下座長代理 それはないでしょうね。ポリファーマシーが背景にあるということはあって、多分先生はそれをおっしゃりたいのだと考えますが、原因となる薬物というのは1つではないかもしれません。複数ある場合も多いと思います。そこはかなり特定されるべきものだと思います。ただ、それが本当に原因となっているかどうかというのは、止めてみないと分からないという部分がありますので、広く薬物有害事象と取って対応を考えると。

○松本構成員 今のお話にもありましたが、そのようなものも背景にあって、先生の御研究の18番目のスライドで、いわゆる減薬アプローチを薬剤師の方からしにくいというのは、やはり医師と薬剤師の信頼関係が、なかなか築けていないということがあると思うのです。確かに院内処方だったら、全然問題のないところですけれども、患者さんに医師の方から「どこどこの薬局で処方してもらいなさい」と誘導するわけにもいきません。

 そういう現状がある中で、例えば門前だったらどうか。意外と門前だと、結構信頼関係ができていたりする。ただ、患者がいろいろな所へ行きますと、それぞれで門前があれば門前になる。それだとやはり連携が取りにくい。患者が複数の医療機関を受診していて、1つの調剤薬局でかかりつけ薬剤師としてもらうというのも、今度は薬剤師の方から医療機関の方へアプローチしにくいというのがあると思うのです。その辺の解決は難しいかもしれませんけれども、せっかくこれをやられるのであれば、できれば何かヒントになるようなことを書いていただければ有り難いなと。そうでないと、医薬分業は間違っていたのではないかというところに、また戻っていくと思いますので、その辺はよろしくお願いします。

○秋下座長代理 本当にそこは重要なところです。そのためにこの検討会があると言っても過言ではないのではないかと思います。もちろん「連携ガイド」の作成というのは、この検討会の前から始まっていたわけで、一応出来上がりましたけれども、先ほども言いましたように、まだまだ穴だらけだと思います。例えばQの一覧もそうです。結局、問題が発生し、その問題にどう答えを出したかということを現場でストラグルしている状況を、このようなところから汲み取っていただき、自分の現場に当てはめて、どうしたらいいかというヒントが少しでもあればいいなという趣旨で作らせていただいたのが、この症例集の意味だと私は思っています。

 情報連携ツールも、あくまでもそれをそのまま使ってくださいというものではない。先ほど美原構成員から、「同意の有り無し、得ている得てない」という表現はというのがありました。そのように感じられる方はいると私も思います。これは提供いただいたものをそのままで、私も気になった所ではあるのです。もう少しやんわりとした表現の方がいいかもしれませんし、必ず同意を得てから使うという場合もあると思うのです。これはあくまでもひな形ですので、それをそのまま使ってくださいということではない。そこはそのように書かせていただいていますので、どんどんいいものをもっと作っていただきたいと思っています。宿題だらけの「連携ガイド」ということで、今のところはこの辺で御容赦いただいて、出来たものを見て、またいろいろと御意見を頂きたいと思います。ありがとうございます。

○島田構成員 先生方がおっしゃるのは、本当にとても大事なところだと思います。先ほどの樋口構成員の御発言の時に申せば良かったと思うのですが、いわゆるペア薬局というか、マンツーマンでうぶ声を上げて、今、一元化に進んでいます。その1つが、おくすり手帳での情報の共有化です。樋口構成員は慮って、「お医者さんに気を遣って」とおっしゃっていたとは思うのですけれども、決して遠慮しているわけではありません。例えば重複投与から始まって、「ポリファーマシー」「減薬」という言葉とは、また違うのかもしれませんけれども、このようなことを始めています。

 しかし、高齢化になって多剤療法の有害事象の捉え方というものを、私どもも急速に急いでいるところです。松本構成員がおっしゃるように、決して薬による障害だけでなく、個体差や代謝機能の変化、アレルギーなど、相手はたくさんあります。その辺は処方医と十分議論をさせていただきながらなくしていっております。先生方も以前の検討会でお話がありましたように、切っていくことは、私たちも在宅でよく経験するのです。もし切って何かあったときにという先生方からのお話が一言二言ありますと、処方医の先生と同じ悩みと言いますか、同じ苦しみの中で、処方の様子見というのが現実にはあるのではないかと思うのです。今回の指針を含めて、また処方医の先生方や施設等の連携が重なっていけば、解決策がたくさん出てくるのではないかと思いますので、努力していきたいと思っています。

○印南座長 他にいかがでしょうか。それでは、最後に事務局から連絡事項はありますか。

○課長補佐 今後の大まかなスケジュールに関しては、参考資料1として本日、先生方に配布しております。次回は7月から9月頃を目処に、ワーキンググループで作成した指針の追補の骨子案について、御議論いただく予定です。次回の検討会の具体的な日程については、日程調整の上、改めて事務局より御連絡させていただきます。なお、本日の議事録については、後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。修正後、御確認いただいた後は厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。

○印南座長 それでは、これで閉会いたします。本日はどうもお疲れ様でした。


(了)

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