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2018年5月10日 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会(第1回)議事録

医政局医事課

○日時

平成30年5月10日(木)13:00~15:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)
東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館


○出席者

石川 英樹 (公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会 業務執行理事(法制局長))
磯部 哲 (慶應義塾大学法科大学院 教授)
加護 剛 (奈良県橿原市健康部 副部長)
釜萢 敏 (公益社団法人日本医師会 常任理事)
木川 和広 (アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士)
坂本 歩 (学校法人呉竹学園 理事長(公益社団法人東洋療法学校協会 会長))
小川 幹雄 (社会福祉法人日本盲人会連合 副会長)
福島 統 (東京慈恵会医科大学 教育センター長(公益財団法人柔道整復研修試験財団 代表理事) )
前田 和彦 (九州保健福祉大学 教授)
三橋 裕之 (公益社団法人日本柔道整復師会 理事)
南 治成 (公益社団法人日本鍼灸師会 副会長)
三宅 泰介 (健康保険組合連合会 医療部長)
山口 育子 (認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML 理事長)

○議事

○松田医事専門官 定刻になりましたので、ただいまから「第 1 回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」を開催いたします。構成員の先生におかれましては、本日は大変お忙しい中、御出席を賜り誠にありがとうございます。

 私は医政局医事課で医事専門官をしております松田と申します。これより座長を選出するまでの間、進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 まず、開催に当たり、椎葉大臣官房審議官より御挨拶申し上げます。

○椎葉審議官 大臣官房審議官の椎葉でございます。よろしくお願いします。

 「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」の開催に当たりまして一言御挨拶を申し上げます。本日は大変お忙しい中、御出席を頂きまして誠にありがとうございます。また、構成員の皆様方には日頃から厚生労働行政の推進、特にあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師につきまして御尽力いただきまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 我が国におきましては、世界に類を見ない速度で高齢化が進展しているところでございます。これにより、疾病や身体的な不調などが複合する患者さんが増加していくことが見込まれているところでございます。これまでも、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復は長く我が国の社会に受け入れられ、国民の健康の保持に大きく寄与してこられましたが、これからもその役割が重要になるものと考えているところです。

 あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復の施術所における広告につきまして、社会保障審議会医療保険部会におきまして適正化を行うべきとの御指摘があったところです。一方、都道府県等から広告可能事項の明確化の要望があったことを踏まえまして、患者さんが知りたい情報が適切に提供される仕組みとするためにも、現行の広告規制に関する御意見を十分に踏まえながら、慎重に検討していく必要があるというように考えているところでございます。構成員の皆様方には様々な視点から忌憚のない御意見を賜りまして、活発な御議論をお願いしたいというように考えているところです。どうぞよろしくお願いいたします。

○松田医事専門官 椎葉審議官におかれましては、公務の都合で途中退席させていただく予定です。

 議事に入ります前に、五十音順に本検討会の構成員の御紹介をさせていただきます。公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会業務執行理事、石川英樹構成員です。慶應義塾大学法科大学院教授、磯部哲構成員です。奈良県橿原市健康部副部長、加護剛構成員です。公益社団法人日本医師会常任理事、釜萢敏構成員です。釜萢先生におかれましては、交通事情により遅れるという連絡が入っております。

 続いて、アンダーソン・毛利・友常法律事務所弁護士、木川和広構成員です。学校法人呉竹学園理事長、坂本歩構成員です。社会福祉法人日本盲人会連合会長、竹下義樹構成員です。竹下構成員におかれましては、代理として小川幹雄日本盲人会連合副会長にお越しいただいております。東京慈恵会医科大学教育センター長、福島統構成員です。九州保健福祉大学教授、前田和彦構成員です。

 ただいま、釜萢敏構成員がいらっしゃいましたので改めて御紹介させていただきます。公益社団法人日本医師会常任理事、釜萢敏構成員です。

 公益社団法人日本柔道整復師会理事、三橋裕之構成員です。公益社団法人日本鍼灸師会副会長、南治成構成員です。健康保険組合連合会医療部長、三宅泰介構成員です。認定 NPO 法人ささえあい医療人権センター COML 、山口育子構成員です。

 続きまして事務局を御紹介させていただきます。大臣官房審議官の椎葉です。医事課長の武井です。医事課課長の日巻です。

 次に、お手元に配布しております資料の確認をいたします。座席表、議事次第、資料 1 から資料 4 、参考資料として 1 2 がございます。よろしいでしょうか、不足の資料がございましたら事務局にお申し出いただけますでしょうか。

 座長の選出をさせていただきます。資料 1 にありますように、検討会開催要綱の項目 4 、運営とあります。運営の中では「座長は構成員の互選とする」とあります。どなたか御推薦はありますでしょうか。

○石川構成員 とても高名でもありますし、会議経験が本当に豊富な福島構成員が適任ではないかと思っております。

                                   ( 異議なし )

○松田医事専門官 異議がないようですので、福島構成員に本検討会の座長をお願いしたいと思います。福島構成員におかれましては座長席に御移動いただき、今後の議事をお願いしたいと思います。

○福島座長 ただいま、皆様から御推薦いただきました慈恵医大の福島です。座長という大役を仰せつかりまして、しっかりやっていきたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。

 今回の広告のあり方というのは、患者さんのこともございますので大変重要な課題です。是非、皆様の協力を頂いて、きれいな形で円滑にまとめていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○松田医事専門官 事務局から資料の御説明をいたします。右上、資料 2 という資料を御覧ください。今回の検討会の開催の目的です。あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復等の広告については、社会保障審議会医療保険部会「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」「柔道整復療養費検討専門委員会」において、違法広告の適正化を行うべきとの指摘があったところです。また、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告について見直しが行われたこと等を踏まえ、国民に対するあはき柔整等の情報提供の内容のあり方について検討を行うため、今回開催するものです。

 続いて、資料の下のほうを御覧ください。【現状】としまして、患者保護の観点から、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師等の告知において、広告が認められた事項以外、広告ができないとなっております。

 まず、【現状】としまして、広告可能事項として、あん摩マッサージ指圧師のほうですけれども、 1 から 5 の項目がございます。 1 については施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所、 2 として第 1 条に規定する業務の種類、 3 については施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項、 4 として施術日又は施術時間、 5 については、その他厚生労働大臣が指定する事項として、資料にございますとおり、告示で1から9の項目が掲げられているところです。

 次のページは広告可能な事項として柔道整復師の場合です。先ほどのあん摩マッサージ指圧師と同様の形になっていますが、広告可能な事項としては 1 、柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所、 2 、施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項、 3 、施術日又は施術時間、 4 、その他厚生労働大臣が指定する事項として、告示のほうで下に掲げている1から7の事項が定められているところです。この項目に違反した場合は 30 万円以下の罰金を処されることになっています。

 下のほう、【参考】として、医療法等の一部を改正する法律案の概要を付けさせていただいております。昨年の通常国会で成立しました改正医療法になります。項目の 3 を御覧ください。この中に医療に関する広告規制の見直しが今回盛り込まれておりました。法律の成立後、医療法施行規則等の一部改正をする省令、告示等については、つい最近、 5 8 日に公布されたところです。

 次のページ、具体的な医療に関する広告規制の見直しです。新たな規制として右端ですが、医療法に関し、医療機関のウェブサイト等についても虚偽・誇大等の不適切な表示を禁止し、中止・是正命令及び罰則を科すことができるような措置をしたということになっております。

 参考資料として下の見直し2を御覧ください。これは具体的なイメージ図になります。当初、ウェブサイトは対象外となっておりましたが、見直し後につきましてはホームページも広告の中に該当することになります。ただ、一番下にございますように、一部限定解除が設けられております。広告等可能事項を限定、ただ一部限定を解除というのは何かと言いますと、次のページです。広告可能事項の限定解除として、考え方とすると、患者が自ら求めて入手する情報については、適切な情報提供が円滑に行われる必要があると。そこで、対応としては、医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合は、下記1から4のいずれの要件も満たす場合と整理し、省令を規定するというようにございます。

 続いて、実際の医療機関等の広告可能事項につきましては下に掲げたとおりです。1から 14 というようにございます。先ほどの繰り返しになりますが、柔整、あん摩マッサージの項目については、医療機関についてはかなり形式の様相が違いますが、項目についてはかなり多く、医療機関については可能な事項として載せられております。

 最後のページを御覧ください。今回、御議論いただく論点として 3 つ挙げさせていただいております。規制の対象となる広告の範囲等について明確に定めた規制がなく、都道府県様により、指導等の差が生じていくということがあり、今回、広告に関するガイドラインの作成についてどう考えるか。また、正確な情報を提供し、その選択を支援する観点から、広告事項の拡大を考えてはどうか。あと、望ましくない広告が無資格類似業者においてある、その指導・保護についてどう考えるのかということで、無資格類似業者の広告のあり方について、今回検討会で検討したいと思っております。

 資料 3 に移ります。あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等という資料です。この資料は昨年 5 月、都道府県様のほうに実態調査をさせていただいた内容です。今回、こういったガイドラインの作成に向けて、指導等の状況又はガイドライン作成に対しての要望等を都道府県から聴取したものになります。

 次のページ、項目の 1 として、施術所に関する広告とあります。これは先ほどの使用可能な事項ということで、法律事項で限定列挙されている事項になります。実際、使用可能としている事例としては、中段になりますが、はり、きゅうのイラストの表示があったり、また英語表記が掲げられています。実際、施術所の名称の中にはロゴマークが表示されている所もあります。あとは、 FAX 番号、ホームページの URL が載っているものとあります。

 一方、下のちょっと中段になりますけれども、主な指導事例として、施術所の名称のロゴマークを指導しているという所もあります。実際、資料にございますとおり、ある県ではロゴマークは認めている、しかしある県では、ロゴマークは認めていない。純粋に、法律事項の広告事項を守ってロゴマークを認めていないという指導を行っている所もあるということです。

 都道府県の要望としては、業務の種類として「柔道整復」という広告は可能とすべきではないか、イラストや外観の写真等については可能とするべきではないか、ホームページの URL や電子メールアドレスについても広告可能とすべきではないかという御意見を頂いております。

2 ページ目を御覧ください。施術所名についてどういった状況になっているかをまとめさせていただきました。届出されている施術所の名称ですが、病院又は診療所に紛らわしい名称として、○○治療院、○○総合治療院という名称が用いられることもありました。紛らわしい名称につきましては、医療法のほうで類似名称の使用制限がございます。その中で抵触するということで、こういった名称を使っている所が中にはあったということです。

 中段になりますけれども、対象者を限定している、施術内容を含んでいる名称として、女性専門治療院、在宅マッサージ、訪問マッサージ、スポーツマッサージ等、幾つかの項目が届けられているという状況です。

 あと、指導事例としては、病院・診療所名称に紛らわしい名称を使用しないように指導しているということです。

3 ページ、都道府県の要望としては、施術所の名称に関する基準を明確化してほしいということです。一番最後のポツですが、「整骨」という名称は一般的に認知されており、広告可能事項に追加してはどうかということです。実際、広告可能な事項としては、先ほども挙げましたが、ほねつぎ、接骨については認められていますが、整骨については確かに法律上、認められていないということが現状です。これをどう考えるかということについて今回、検討会の中で御意見を頂きたいと思います。

4 ページ、施術者等に関する広告です。実際、使用可能としている事例として、施術者の顔写真、似顔絵、性別、年齢、あと院長や副院長等の肩書き、挨拶文を認めています。あと、ここについても先ほどと同様ですが、基準を明確化してほしいということです。

5 ページ目を御覧ください。施術日、施術時間に関する広告です。実際、使用可能とする事項としましては、施術日又は施術時間ですが、現場におきましては受付時間、施術時間ということではなくて施術曜日、休日、治療中、待ち時間ということで、いろいろと対応されている項目がございました。主な指導事例として、診察日、診療日、診察時間を改めよと、指導しているということです。ただ中には都道府県の要望としまして、基準を明確化してほしいということで、「診療、診察」「治療」という文言の使用可否について、どう考えるか。実際、医療機関と同様に、「診療時間」という表記をしている所が多いという御意見を頂いております。

 続いて 6 ページ、保険取扱い等に関する広告です。現状としましては、医療保険療養費支給申請ができる旨が、広告可能として掲げられている事項です。実際、各種保険取扱であったり、労災保険取扱という掲示がされている所がかなり多いということです。あと、これについても基準を明確化してほしいという御意見を、都道府県様から頂いております。

 続いて 7 ページ、 5 の適応症、効果・効能等に関する広告です。適応症、効果・効能等については、広告不可となっているところですが、実際、適応症等として肩こり、腰痛、骨折、脱臼、捻挫という広告が掲げられている所があると、イラストされている所がかなり多いと聞いております。ここでも都道府県の要望としましては、基準を明確化してほしいということです。骨折・腰痛等の写真・イラストの使用可否についてどう考えるかということです。

8 ページ、料金に関する広告です。料金については、広告不可となっている現状ですが、実際、幾つかの施術所におきましては、料金の表記があるということです。ここにつきましても都道府県様から、基準を明確にしてほしいという御意見を頂いているところです。

9 ページ、その他の広告です。これも幾つかございますように、個室○室完備、ゆったりした待合室、きれいな院内といったバラエティーに富んだ広告が今回、見受けられたということです。

10 ページ、有資格者以外の施術所に関して、「マッサージ」という表現を使っている所があったり、「鍼灸を行っている」という所、それから病院、診療所と誤解されるような広告がある所がございました。明確になっていない所、自由に広告している所が多いということです。

 参考までに、 11 ページ以降は、都道府県様に出した調査票の様式です。後ほど御参考にしていただければと思います。

 続いて資料 4 です。具体的な検討会のスケジュール案です。 6 回程度、検討会を開催させていただきたいと考えております。あくまで、検討会の進捗状況によるかと思いますが、平成 30 年の末にはガイドライン案を作成したいという段取りを考えております。平成 31 年の施行、平成 32 年の取締強化に向けて、やはり平成 30 年末には、何とかガイドラインを作成の段階に組み込めないかということです。以上、事務局より資料を御説明させていただきました。

○福島座長 確認をしたいのですが、ガイドラインの中に広告可能な内容とか、こういうことはしてはいけないとか、こういうふうに都道府県に取り締まってほしいとかということも含めた上でのガイドラインという意味ですか。それとも、ガイドラインにはまた別の意味があるのですか。

○松田医事専門官 そこはガイドラインの作成に当たっての中でも、広告可能な事項の範囲をどこまで広げるかどうかも含めて、概要なども一緒に考えさせていただきたいと思います。

○福島座長 そうしますと、要はガイドラインの出来上がりを想定しているのですが、ガイドラインが出来ました、実際には取り締まるのは都道府県だと思いますが、それがそこに下りて、実際にこういう広告は良い、こういう広告は駄目と分かるようなガイドラインをここで作っていくと理解してよろしいですか。

○松田医事専門官 事務局としてもそういうふうに、今、考えているところです。

○福島座長 分かりました。そうすると、このガイドラインの作成と、広告可能事項の見直しは一緒の内容になりますよね。

○松田医事専門官 はい、そのとおりです。

○福島座長 そうしますと、構成員の先生方から何か御意見があればどうぞお願いします。

○石川構成員 広告可能事項の見直しといった場合には、ガイドラインを作るだけではなく、省令を見直すということも入りますよね。

○松田医事専門官 当然、ガイドラインの作成に当たってどこまで規制するか、省令改正も念頭にありますが、あくまでも今回の検討会の中での御意見を踏まえながら、省令改正等どこまでやるか事務局で検討していきたいと思います。

○三橋構成員 今、指導という話がありましたが、今までも、例えば広告の規制ということで、我々のほうから、いわゆる不正な広告が上がっているという情報提供を保健所にするわけですが、保健所がどこまで施術所の中に入っていけるのか。例えば、看板だけを見て、この看板はおかしいですよと言うだけで帰ってくるパターンがほとんどなのです。例えば中まで入って行って指導するとか、そこまでなかなか至らないケースが多くて、そこまで保健所に指導権限を与えていただけるのかどうかというのも、 1 つの課題ではないかと思いますが。

○福島座長 今日はどちらかというとフリーディスカッションの日なので、むしろ論点抽出をするためにばらばらな御意見でもいいと思います。事務局でどんな意見が出たかメモしていきますので、いろいろな御意見を出して、今みたいに、どこまで規制するための規制を作るのかということがないと分からないよねという御意見もありました。そういう意味では、いろいろな御意見を頂いた上でと思っていますので、ばらばらになって構いませんので、どうぞ山口構成員。

○山口構成員 私たちの所では、 28 年前から電話相談ということで、これまで 6 万件近い電話相談をお聞きしています。その中で、特に柔整のことについての相談が数多く届いています。特に最近目立つのが、広告の問題で言いますと、やはりクーポンとか割引券といった広告が横行していて、そのことによって、かなり誘導されてトラブルになっていると、このような例が多いということもあります。また、先ほどから御説明に出ていた診察日、診療日、診察時間、こういう医療機関と思ってしまうような表記がかなりされていて、一般の方が医療機関との区別が付いていない。まして、柔整の方たちも先生と呼ばれていることが多いので、その方たちが、例えば「私は完全に治してあげるよ」とか「痛み止めなんかは飲まないほうがいい」と整形外科で行われている治療に対して意見を言うということで、一般の方がかなり混乱しているという問題を感じています。

 それとプラスして言いますと、保険請求ができるということもありまして、費用請求に対しての不信感が結構あって、実際に医療費のお知らせが来たときに、実際に行った回数と違っているとか、打撲はしていないのに打撲と書いてあると。こういった御相談がかなり以前から届いています。特にいわゆる混合診療は医療ではできませんが、この分野ではできるということも一般的には知られていませんので、その辺り、かなり混乱しているような状況があるのではないか。そういった問題意識をこれまで持ってまいりました。

 そういったときに、今回ガイドラインを作るという方向性ですが、ガイドラインを作るときに、一般の方にもどういうことが守備範囲なのかとか、何ができて、何ができないのかということをしっかりと、今一度改めて情報提供をしていくことが必要ではないかということです。

 それから、医療法に関しての広告規制の見直しのところで、私は 2012 年からずっと関わってきましたが、そのときに、いきなり法制化はできないのだと。まずはガイドラインを作って、それでも無効であれば法制化をするということが決まったことによって、 2012 年にガイドラインが作られて、今回、医療法の改正になったという経緯があります。ただ、そういう時間の流れを見ていますと、今これだけインターネットが普及している中で、余り時間を置いて考えていていいものかということに少し疑問を覚えております。できれば、いきなりは無理だとしても、短かいスパンで効力があるかどうか、ガイドラインによって、本当に今までやってはいけない広告まで出ている所に対して、規制が掛けられるのかどうかを見直しながら、もしそれで無理であれば法制化も視野に入れて考えていく必要があるのではないか。特に今はホームページがいろいろと情報提供になっていますので、医療法の中でネットパトロールが昨年の 8 月から行われていますので、それをこちらにも適用することによって監視して、情報提供を都道府県にしていくことも始めたらどうなのかと思っております。

 今、御説明いただいたのを聞いておりまして、中には例えばロゴマークとか FAX とか URL とか、もうそれはそろそろいいのではないですかと思うようなものもあります。都道府県の御要望ももっともなのかなと。ただし治療を認めることについては、私は反対と思っております。適応症についても広告不可ということですが、例えば外観のガラスの所にイラストで、文字化はしていないですが、明らかに「腰痛」と分かるように表示してあるものもありますので、そういったことも含めて議論していく必要があるかと思います。

○小川代理 日盲連の小川です。実際、あん摩、はり、きゅうで患者さんが困るのは、あはきの情報を知りたいということもありますが、資格のない人たちの広告によって、あはきかどうかの見分けが付かない、紛らわしいということで、実際に患者さんに無資格者の被害も出ておりますので、無資格者の取締りの明確化。そして、この問題については指導体制を整備してほしいと思います。実際、届けを出した者に対しては、指導監督が行き届くのでしょうが、全く届けを出していない人、無資格者の行為に対して、どのように情報を得て指導するか、これをまず 1 点はやっていただきたいと思います。

 もう 1 つは、先ほどからお話があるように、あはきが医療と紛らわしいというのは、そのとおりだと思います。併せて、あはきの免許のない人たちの広告、あはきに紛らわしいような広告も、やはりきちんとアウトの対象にして取り締まっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○三宅構成員 健保連です。今回、初回ということで総論として幾つか意見を申し上げたいと思います。まず私どもも保険者として、問合せ等相談を受ける立場です。保険者の立場としては、やはり不適切な広告で誤解を招いて、患者さんが誘引されることがあってはならないと考えております。例えば意見としては重なりますが、医療機関だと誤解して誘引をされたり、先ほど来から出ている治療や治療院という言葉を使ったり、あるいは施術自体全てが健康保険の対象だと誤解をし、誘引されるということがあってもならないと考えております。もちろんその結果が、患者の健康被害に、あるいは無理・強引な誘引は不正請求につながると私どもは考えておりますので、その点は厳しく対応すべきと考えております。

 現在の広告の状況は、非常に不適切なものが多く、荒れていると考えております。健保組合は全国に 1,400 ありますが、その一部で作られた「保険者機能を推進する会」というグループがありまして、こちらが千代田区内の柔整の施術所の看板広告をほぼ全件歩いて調査をしたことがありました。これは新聞でも取り上げられて相当数の問題が見付かったということで話題になっております。そうした実態も踏まえて、早急に患者を守る、あるいは不正を防ぐという観点で、法令なりガイドラインを明確に規定していただきたいというのが 1 点です。

 次は医療法との関連ですが、今回、医療法がかなり整備されたこともあり、虚偽の広告や比較優良広告等々、明確に規制されたということがあります。やはりこの方向性をもとに、こちら側でも、法律なのかガイドラインなのかという議論は今後していくとは思いますが、医療法の方向性に沿って、合わせるような形でガイドライン等もまとめていくべきだと考えております。

 また、先ほど来から各先生方から指導の問題も御指摘がありましたが、医療法の中には、広告違反の場合は 30 万円の罰金という条項が第 87 条にあります。それ以外に第 6 条の 8 などでは、都道府県知事が例えば必要な報告を命じたり、立ち入ったり、検査をしたり、中止、是正の命令ができるなどという明確な規定があります。柔整あはき法にはそこまでの規定がなく、 30 万円の罰金条項だけだというところです。

 この辺りは私ども一般人には指導根拠がよく分からないというか、恐らく地域保健法や、各都道府県の条令等でしっかりしていただいているかとは思いますが、指導根拠の規定はどこかに明確に 1 つの柱を置く必要があるのではないかと考えております。そのことによって、いきなり告発して罰金というのは難しいとは思いますので、しっかり指導をしていけるようにそういったことが必要だと考えております。

 さらに柔整あはきの場合は、療養費という保険の対象になる場合があります。この療養費の世界におきましては、受領委任取扱規程による受領委任という仕組みがあります。これは保険者も入りまして、契約協定を結ぶというものです。やはりこの中で、今回作られたガイドラインに沿って広告の規制という項目もしっかり明示して、厚生局にも指導をしていただいて、一定期間従わないような場合は、受領委任の取扱いを中止することが必要だと考えております。

 不正を調査するのには大変時間が掛かるということは理解ができます。ただ広告、看板などについては、ガイドラインさえきちんと整理すれば、それが違法かどうか、適切か不適切かというのは、すぐに分かる話ですので、そこはすぐに指導して改善命令をしていただいて、ほかの不正の調査とは別にできるはずだと思っておりますので、法や受領委任取扱規程に基づいて、厳しい対応を取っていただきたいと考えております。そうしなければ、患者さんの健康に不利益が生じる心配もありますし、また真面目にやっていらっしゃる施術所さんも浮かばれないと考えております。

 もう 1 つ、現行、施設の名称については広告が可能だということですが、ただ名称に規制がなければ、名称自体を看板に掲げれば事実上広告になるわけです。やはり、治療、治療所というような、先ほど来からお話もありますが、名称に対する規制というか、指導基準も今回のガイドラインの整備の中で明確にしていただきたいと考えております。以上です。

○福島座長 先ほど名称の前に、他の不正とは別に広告の指導をちゃんとするということでしたが、他の不正というのは不正請求とか、そういうことですか。

○三宅構成員 そうですね。

○福島座長 分かりました。坂本構成員、お願いします。

○坂本構成員 私は法律の専門ではないのですが、医療なのか、そうではないのかという話がちらっとあったものですから、そこだけ私の個人的な見解としてお話させていただきます。医師以外であはき、柔整の業をする場合に、あはき師とか或いは柔整師という国家資格を持っていないといけないということになっていると思います。つまり、ある意味では医業の一部限定解除の資格を持っている人たちの業という考え方を私はしております。

 その上で、先ほど山口構成員が言われた利用者の利便を考慮するというのは大いに賛成です。利用者の誤解を招くような広告のあり方は是正すべきであると。ところが、医療かそうではないかという話で枠を決めてしまうと、何となくいろいろなところの言葉に規制が掛かり過ぎてしまうような気がしています。例えば、本当に個人的な見解ですから、これは御批判いただいて結構ですが、治療院という名称があった場合に、これを医療機関と認識する人たちは一体どれぐらいいるのでしょうか。むしろ治療院と言うと、多分、鍼灸とか柔整の治療院のことなのかなという認識のほうが多いのではないかという気がしております。

 それと、今回ガイドラインの中で指導権限を明確にするべきというのは賛成です。それがなければ結局ガイドラインがあっても、行政が十分な手続を踏めないという事態になりますので、その辺りを明確にするべきではないかと思います。

 今、資料の中にありましたが、医師の場合、専門性の技能等々については、ある一定の水準が担保されているケースでは制限がされていない、一般的に医師の専門医とか、こういうものはある程度広告が可能になってきていると思います。ですから、鍼灸、柔整のほうもそれなりの団体の担保があるとか、ある程度の勉強を積んでいる人たちということが明らかであれば、一定の広告の緩和というのはあってもいいのかなと思います。少し勝手なことを申し上げました。

○福島座長 ありがとうございました。それでは三橋構成員、どうぞ。

○三橋構成員 先ほどから名称の話が出ていますが、実は我々日本柔道整復師会に新入会の柔道整復師が来られるのですが、その中で、治療院という名称で届出をしてくる柔道整復師が何人かいるのです。そうしますと、保健所で例えば治療院と名前を付けて通ってしまうと、厚生局でも受けざるを得ないというところで、厚生局に電話をしても、「いや、もう、一度保健所で通ってしまうと」というようなことで、実は変えられないみたいな話になってしまって、我々から逆に施術者にその話をして、改めて治療院という名称を外させて、接骨院という名前で登録させるということをしております。しかし、例えば個人でやられているような柔道整復師の方々は、そのまま通ってしまうと、治療院という名前で恐らくやられていると思います。通常であれば、これは法的にも認められていないので、これはいかがなものかなと思いますので、先ほど申し上げたとおり、保健所と厚生局の情報提供、あるいはつながりがどうなっているのか、もう一度考えなければいけないかと思います。

 先ほど健保連の委員から、受領委任の取扱いのお話がありました。今回、新たに我々の受領委任の取扱いの中で、規定が一部変更になって、今までは広告については、ただ柔道整復師法だけでしたが、今回、新たに施術の担当方針ということで、「違法な広告により、患者が自己の施術所において施術を受けるように誘引してはならない」という規定が載りました。ということで、今回から、違法な広告をして患者を集めれば、いわゆる受領委任の取扱いの停止処分にもなり得るという形で、取扱いの規定が変わったのです。その中でも、違法と判断するのはどこなのだと、所管は保健所ということで、医療課から Q&A が出ていますが、保健所に尋ねると、保健所の所管は分かるのですが、そこからどのような形で厚生局に情報提供するのか、あるいはどのような形でその情報を持っていくのか全く記されていないと。もう 1 つ何かステップ的に、こういう形で文章を上げろとか、こういう形で保健所から段階を経て上のほうに、例えば厚生局、厚生労働省なり何なりに上げていくような文章をもう一本出してもらわないと、なかなか動けないという情報も頂いております。

 その中で、我々きちんとやっている施術者からすると、今、柔道整復師法で決められているものは、患者さんがそれを見ても果たして分かるかどうかと思いますが、昔はほねつぎと言えば接骨院だなと思っていただいたのですが、今、ほねつぎと言っても、何をやっているのかさっぱり分からないと。中には無資格の整体がどちらかというと接骨院よりも知名度が上がって、どちらが本当の接骨院なのか分からなくなっている。中には整体院の看板を見ますと、次世代型接骨院だと。何とか整体院と書いてある所もあるのです。そういうのを見ますと、我々のほうからも、接骨院というのは骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷を扱っているのだぐらいはせめて表記をさせていただけると非常に有り難いと思います。先ほどから話が出ているように、いわゆる無資格の方々の看板を我々も考えていかなければいけないのかなと。例えば接骨院、あるいは病院でも「院」というのが付きます。あるいはあはきのほうでも鍼灸院とか「院」が付きますが、「院」というのは公共性を保つものであって、例えば「院」は無資格者は使えないとか、そのような規定ももしできればいいのかなと思います。以上です。

○前田構成員 九州保健福祉大学の前田です。医事法学というものを専門にしているのですが、通常、柔整の皆さんとも、あはきの皆さんともよくお仕事をさせていただいているので、両方に共通する形でお話をさせていただきます。

 先ほども他の構成員から、今回の医療法の改正をベースにというお話がありましたが、私もそれはベースにすべきものと考えてきたのですが、もしそうであれば、先ほど坂本構成員がおっしゃったように、柔整、あはきは医療であるという前提から医療法をベースにするということになると思います。もしかしたら、これも個人的意見としたほうがいいのかもしれませんが、やはり医療の中で、患者さんがどう思われるかということが、まず広告制限と医療の本質であるとするならば、患者さんが医療と思って来ていることをベースにこの審議会を進めるならば、柔整もあはきも医療の中にあるものとして私は考えているということです。

 医療法をベースにすると言いましても、やはり特質的なものが柔整とあはきにはあるのです。 2 つばかり考えていたのですが、 1 つはまずは広告ですから、患者さんが誤解されないこと。これについては誘引的な文章又は名称に当たるもの、あとは治療と使わなくても、施術内容の効果に対して明言するものは制限を受けるのだろうと考えております。もう 1 つは、先ほどあはきの構成員からお話がありましたが、資格がない所で同様の資格があるような広告、無資格の方だと思いますが。実はこの審議会に先立ちまして、実は柔整だけではなくあはきの先生方からお話を聞いてみますと、様々な名称が来るのですが、例えば柔整だと「整体」という名前を使って、整体は国家資格ではありませんので、いわゆる広告制限は余り掛かっておりません。それに対して、届出のほうは接骨院になっているので、柔整師になっていますので、保険が適用できる。いわゆる療養費が使えると。こういったところで、非常にあり得ないような広告をした上で患者さんを集めて請求だけを行っている方が全国的に非常に多くなっている点があったので、やはり無資格に対しての広告制限もきちんと捉えた内容を作るべきだと考えております。

 恐らくこれは医療法改正のときの美容エステについても同じなので、もちろん整体とかカイロプラクティックの方がすべて行っているわけではなく、一部だとは思いますが、そういったところを 1 例として考えを詰めてはいかがかと思っております。

 ガイドラインの作成について一番問題があったのは、今まで他のものもそうだったのですが、明確性が少し欠けていたことで各都道府県で対応が違うと。これが非常に問題になりましたし、個人的なことですが、私は両方の国家試験に関わってきたのですが、問題を出すと、途中で、この件は認めているとか、認めていないということが上がってきて、非常に困るというのが、実は法規を担当している国家試験員としてはありますので、身に染みて感じていたところです。

 ということは、やはり明確化が必要だろうと。明確にした後は何があるかと言ったら、先ほど三橋構成員からもありましたが、何かあれば保健所が見に行くことになりますが、権限が余り大きくないということと、あとその範囲が恐らくは明確化されていないのだろうと。都道府県別に対応が違っているのは、まずこの点だと思います。ということは、省令を動かす必要があるのだろうという気がしております。それによって、もしかしたら、保健所以外の所もある程度監査に入れたりとか、一見、見に行っているわけではなくて、再度見るというシステムにするとか。今、私は宮崎県延岡市におりまして、その周辺の地域からお聞きしたことですが、交通事故専門、腰痛、肩こりとのぼりを立てている接骨院があると。保健所に通報して、行ってみるとさっと引っ込めるのですが、翌週にはもう出ていると。これでは全然意味がないことになります。しかし、保健所の記録には「指導」と残るわけです。

 これは全国的に同じような状況であると考えられるのですが、ここをもう少し明確性と権限を持たせるという点で、ガイドラインプラスいずれは省令、先ほど山口構成員がおっしゃられたと思いますが、そろそろ省令を動かす時期に来ているのかなということは、医事法学をやる者としては考えていた点です。まだいろいろありますが、取りあえず入口としてはこのようなことを申し上げたいと思いました。

○福島座長 いかがですか。山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 先ほど無資格者の話が出ていたのですが、私たちの所でも整体とかカイロプラクティック、マッサージ屋さんと言うのでしょうか、アルバイトの人がやっているようなもみほぐしとか、そういう所できつく押されて被害を受けたという御相談が結構あります。ところが、相談のときに、いや、整体やカイロプラクティックというのは資格がないのだということを言うとびっくりされるのです。ですから、今、どの人がどの資格を持っていて、何を対象にしているのかということが非常に分かりにくくなっています。

 先ほど治療ということをおっしゃったのですが、例えば施術という言葉を使えば、治療ではないのですねというイメージになるわけです。今、どういう資格者がやっているのかということが分からない実態になるような名前であることに非常に問題があって、特にあはき、柔整というのは国家資格ですから、やはり、国家資格であることを一般の方が知ることができるような内容にする必要があるのではないか。

 そうすると、無資格者がやっていることについては、なぜここまで許されているかと、今、すごく重なっている部分があると思います。資格者はここまでできるが、無資格者でもこんなことをやっているではないか。そこをもう少し整理していく必要があって、それを一般の人がちゃんと使い分けができるように、ガイドラインの中できちんと整備していく必要があるのではないかと思います。

○福島座長 いかがですか。前田構成員、どうぞ。

○前田構成員 今の御意見で話させていただいてもいいかなと思ったのですが、有資格者と無資格者の間での広告制限等の違いはいろいろ問題になっていたと思います。今、山口構成員がおっしゃったように、資格を持っている人間ができる範囲とほとんど変わらないか、もしかしたら、制限がないぐらい無資格者のほうがいろいろなものを挙げているというのはやはりおかしいと思います。通常で考えると、今医療法等も広告制限というのは制限列挙から包括方式に変わってまいりましたので、その点では広まってはいるのですが、これは逆に有資格者だからこそと捉えることもできるのではないかと思っております。つまり、無資格者にとっては、元の制限列挙にしてくれれば、このような事態は起こらないので、同じか又は全く負担が掛からない形で即、広告できること自体が、無資格者の今の現状に関わっているのではないかと思っております。少し広告のあり方も有資格者、無資格者で変えていくべきではないかと考えます。

○釜萢構成員 日本医師会の釜萢です。今、皆様からお話がありましたように、私どもも無資格者の方の広告のあり方が一番、今回の検討の中で大事だと思っております。なかなか無資格者の方の広告をどう規制するかというのは、実際にはとても難しいとも感じます。それぞれの法律の中で、この業務はこの資格がないとできないということになると、資格がないのにそれをやれば虚偽ということになりますから、そういう整理が確かにいいのだろうと思いますが、実際にそれが果たしてうまくいくのかということについては、現時点では非常に難しそうだなという予想を持っております。それを今回の検討の中で、しっかり実のあるものにしなければいけないと思って今日は出てまいりました。

 柔整やあはきが医療に入るのかどうかという議論については、医師の中にも様々な意見がありまして、そのところは医師の中で必ずしも意見が統一されていないのが現状です。と申しますのは、特に柔整、あはき等は非常に長い歴史があって、伝統によってずっと積み重ねられてきたいろいろな知見の中で、実際に施術が行われるわけですから、国民の皆さんは、医療とどう違うのかというところについては、はっきりした認識をなかなか持てないという面があるだろうと思います。一方、医業と医業類似行為をしっかり分けて、そこのところは線引きをしっかりすべきだという強い意見もあります。

 このところを今回の広告の検討の中で、そこまでしっかり整理することはなかなか難しいかと思いますが、この問題はまだしっかりと決着できていないというか、大多数の意見の集約ができていないと私は感じております。その現状を踏まえた上で、どうすればよいかというのをこの検討会では考えなければいけないだろうと思っております。

 もう一点は、山口構成員からもお話がありましたが、医療法の改正の中で、ネットパトロールという問題が話題になりました。これだけインターネットによるホームページの閲覧が非常に増えている中では、是非この件について扱わなければいけないと思うのですが、医師あるいは医療機関の広告をしっかりパトロールするということも実はなかなか難しくて、どれだけの費用と人材をそこに投入できるかというと、医療機関においてもまだ難しいというところがあります。その範囲を広げていくことについて、是非やるべきだと思いますが、予算的な裏付け等がどうやったらより確実なものになるのかということについても検討し、都道府県が実際にできるようなところをお示ししないといけないと思います。保健所の機能についても全くそのとおりで、保健所もいろいろやるべきことがある中で、実際にはなかなか手が回らないという現実がありますので、それをどう改善していくかヒントになるようなことを踏まえて、今回検討するガイドラインを作らなければいけないと感じております。以上です。

○三宅構成員 ありがとうございます。今回、厚生労働省から資料を御提出いただいておりまして、資料 3 で各自治体で様々な基準をお考えになられているということで、例えば奈良県橿原市さんをはじめ、多くの自治体がこうした広告の指導の判断の基準を作られて、そして指導の実績を上げていらっしゃると聞いております。

 各自治体さんにおける広告可能の可否の判断について、今回の資料では使用可能、それから指導事例の中で同じ内容のものが混在していたり、あるいは要望という項目があったり、ちょっと分かりにくい点が多いので、例えばいろいろ意見はあるけれど、これはもうおおむね一致しているというものなのか、それとも意見が真っ二つに分かれているものなのか、あるいは何か明確なエビデンスがあるのか、また例えば要望事項の中で、こういうエビデンスがあるから、こういう要望を出しているのだとか、そういう各自治体の判断における、もう少し詳細な整理とまとめをお願いできればと考えています。

○福島座長 事務局のほうはよろしいですか。

○松田医事専門官 この調査については昨年度に実施し、今回まとめさせていただいたところなのですが、都道府県さんから出ている意見が、どこまでエビデンスがあって判断されているかというのは、現状だとつかめていないところがありますので、改めてもう一回調査をやり直すのかというところもありますが、そこはまた事務局のほうで検討させてもらいたいと思っています。

○福島座長 都道府県が出てまいりましたが、いかがでしょうか。

○加護構成員 奈良県橿原市の加護です。先ほど南構成員からも御指名いただきましたが、先ほど来、三橋構成員、山口構成員、その他構成員の先生方から出ていますが、指導権限を与えよというところですが、これは明確に県、若しくは厚生労働局というのが決められています。

 現場としては実際、根性論なのです。すみません、言葉は非常に悪いです。うがった捉え方をしていただきたくはないのですが、何度注意しても聞いてくれない所に追い込みを掛ける根性はあるのかどうか。それが、ほぼない。県の職員や厚生労働局の職員が駄目だと言っているわけではありません。手が少ない。なかなか全体にわたって、全てを回ることができないというのが現状です。

 しかしながら、先ほど言ったような悪意を持って営業をなされる施術所に関しては、ほかの施術所に影響が出ますので、迷惑が掛かりますので、何遍でも注意しに行くのですが、そこを県、厚生労働局のほうに、きっちり法的指導をせよという要望を上げても、実際、犯罪に手を染めるまで行かない。はっきり言って法律違反ですので、犯罪と言えば犯罪です。しかしながら大きな金が掛かっているとか、被害者が出たという場合であっても、半年掛かります。半年掛けて、潜入をするような事態になります。

 私ども市町村からしたら、市民の声を頂いて、すぐさま、「あなたの所はこういうことをしているけれども、それはおかしいのではないですか。市民から困惑した電話が掛かってきていますよ。そこは是正できるものなら、すぐさま是正してください」というお電話を掛けさせていただきます。それで、「それは申し訳なかった」と言って、すぐさま対応していただける所も多々ありますが、中には一切聞いてくれない所がある。「お前、誰にもの言うてんねん」という所も出てきます。「お前、誰にもの言うてんねん」と言われたら、「私たちは市民の声をお伝えしています」という言い方をさせていただきます。

 しかしながら、それを県、近畿厚生局に上げていったところで、なかなか動いてもらえない。実際の話、国から動けというように、このガイドラインの中で定めていただければ有り難いのですが、こうなったら動けよと決めていただかなければ、はっきり言って動かないです。県のほうから文句が掛かってきても、私は受けて立ちますが、動かないです。一部、動いておられる都道府県もあります。ちゃんとした所もあります。そうしたら、それはどこで違うのかと言ったら、根性なのです。追い込みを掛ける根性があるのかどうかだけなのです。ごめんなさい、言葉は悪いです。別段、ケンカを売りに行っているわけでも何でもありませんしね。市民、県民、住民が紛らわしいので迷惑を被っている。

 これは先ほども出ましたが、スポーツをしている絵の下に「保険申請可」と書いてあるわけです。怪我をしたら仕方ないでしょう。早く治療してもらって、早く治してもらわないといけません。しかしながら、今日は 5,000m 走ったから疲れている、揉んでもらうと言って実際に行かれます。行かれるのは別段問題ないです。自費で行かれたらよろしい。でも、「保険申請可」と書いてあるので、保険申請できると思っておられます。そういう所に私、お電話させてもらったのですが、親からえらい剣幕で電話が掛かってきます。「いやいや、お父さん、こうこうこうなんですよ。施術所の先生から、そういう説明を受けられたでしょう」、「そんなもん、関係あるかい」という話になってしまいます。

 それを、きっちり現場に行って、「保険申請可というのは別に書いてもらえませんか」とか、「そういう絵は取り除いてもらえませんか」と。先ほども出ましたが、腰を曲げて、ここにクラッシュマークを付けて、腰痛に対して下に「保険申請可」と書いてあるわけです。

 怪我をされたら仕方ないです。当然のことです。でも、それで行かれるのは慢性の腰痛の方です。それを、きちんと先生は説明してくれたでしょうと。だから、きっちりした先生は説明してくれます。一部、説明しないで「署名もいいから、こっちで書いておくから」と言う方もいらっしゃいます。

 そういうところをきっちりしていこうと思うと、職員のやる気になってくるのです。それで各都道府県、各市町村で差があってはならない。かく言う私どもの所も、新規に開設しようという人がどんどん減っています。やめて隣町に行かれる方がいる、ちょっと間違った捉え方をしていただいていると思うのですが。

 そういうところで言っていったら、 2 時間の会議、この回数でガイドラインを決められますか。決めなければいけませんが、これだけ委員さんが集まって、いろいろな意見を出して、決めなければいけませんが、いろいろなケースがあります。

 私はケースを何本か出せよと言われたら、帰る新幹線に間に合わないほど出せます。東京の協会の方とも一緒にお仕事をさせてもらったこともあるし、当然、社団の先生方ともさせていただいています。いろいろなケースがあります。金額が何千万という不正請求から、 24 万ぐらいとか、 5,000 円とか、そういうところでやっているから今度訴えられるのですが、先ほど少し出ました受領委任のやり方で訴えられるのですが。

 今回は広告の検討会ということですので、極論、先ほどから言っています、根性論で仕事をしなければならないのかとなったら、今は男女同権で、女性の方も当然一緒に仕事をしてもらっています。かく言ううちも担当は女性です。女性だから良い悪いではないです。そういう場面に、上司としてかわいい部下を、ウワーッて怒鳴りつける所にお前行って来いって行かせられるかというと、やはりもう一人誰かついて行けよという話になります。

 私どもは市内全域ですが、今は国保も県域化、平成 30 年度から全国で都道府県化されています。そうなってくると範囲が広くなって、国保の支援センターのほうが指導しに行くというのがしんどくなってくる。だから、ますますそういう悪い人らを、故意に違法行為をする人たちを、押さえ込むことができなくなってしまうので、ここについてはきっちり、そんな根性論で仕事をしなくていいように、先ほど先生も言ってくれましたが、そういう明文化できるガイドライン、いろいろな問題に対して明文化できるものを、ここで作らせていただきたいと考えています。長々とすみません。

○小川代理 先ほどから指導体制の問題が出ていますが、そのとおりだと思います。実際、今の都道府県が保健所を通じてでも、指導がなされていないのも確かですし、なかなか今後も仕事の面、人員の面で難しいことが起こるだろうと思います。

 それで、私は今の橿原市で大変関心しました。市民の代弁者として、チェックしていかれる。それは、やはり橿原市だけではなくて、全国の市町村、本当に身近な問題ですので、遠くまで行かなくていいわけですから、パトロールもできるわけですから、もっと第 1 次チェックぐらいは市町村にやってもらうような方法を考えなければ、実際にガイドラインを作ったり、省令を変えたりしても、なかなか効果が上がらないので、そういう指導体制そのものも見直していただけたらと思います。

○石川構成員 全日本鍼灸マッサージ師会の石川です。今、構成員の皆様の意見を聞いていると、本当にいろいろな考え方があって、私も勉強になるなと思うところがあるのですが、まず今日は第 1 回目ということもありまして、もう一度、現状はどうなのかというのを、私たちの認識を分かってもらいたくて、それを話させていただこうと思います。

 私たち鍼灸マッサージ業は本当に幅広い、いろいろなことをやっていまして、来る患者さんからすると、本当に治療行為を求めて来る方もいらっしゃれば、慰安行為を求めて来る方もいらっしゃいます。それを全て受け入れています。

 そこで、今話が出てきている中で 2 つに分けなければいけないのかなと思っているのが、例えばいわゆる医療行為なのかどうかというのは置いておきまして、医療を求めて来る場合のケースです。昨今、療養費のほうも受領委任制度に移行することが決まりましたがなりましたし、私たちは医師の同意がないと、保険は使えない立場です。それでも、その中では保険を使ってやらせていただいております。この面だけにおいても、正直、医師のより広告ガイドライン規制はよりとても規制が厳しい状況です。なので、この面をせめて医師並みにしていただければ、私たちはもっと狭いところでやっていますので、せめて医師並みにしていただければと思います。

 あと、もう一方、いわゆる自由診療と言われるほうです。実は私たちの業界というのは、保険を使っていない治療院のほうが圧倒的に多いのです。ここに関して、先ほどから幾つか話が出ていますが、いわゆる整体、カイロなどですが、一概に全てを否定するわけではありません、個人的な意見ですが。しかし、確かにここを私たちが自由競争にするのであれば、こちらに関してはもっと規制を緩めていただく、自由競争を今、現状はできないような状態になっているのです。

 ですから自由競争をさせるのか、これをどちらに持っていくのか、どれも難しい問題だと思うのです。医療のほうに寄るのか、自由競争のほうに寄るのか。ですから、これは本当に掘り下げれば掘り下げるほど、もしかすると、あはき法のほうまで突っ込まなければいけなくなるのかもしれないですし、それが無理だとしても、先ほど山口構成員がおっしゃっていたように、国民の健康を守るという観点から、平成 27 5 26 日に消費者庁さんから確か発表していただいた内容になると思うのですが、結構、いわゆる国家資格がない所で怪我をしている方がいらっしゃるという現状があるのであれば、私たちが幾ら発信しても、そんなに浸透性がなかったりとも思われてしまいますので、せめてそこは、国家資格があるのかないのかというところを分かってもらえるような、発信を国からしてもらえるような、そういう体制だけでも国に責任を持って作ってもらえれば、国民が安心して鍼灸マッサージ施術を受けられるのかなと思っています。以上です。

○三橋構成員 何回も申し訳ありません。今、石川構成員からもお話がありました、いわゆる自由診療という部分で自由競争、実はここに一番引っ掛かってくるのは、今、我々柔整のほうでも一番問題になっているのが、ウェブサイトの広告なのです。いわゆる交通事故について、これも厚生労働省からしてみると、うちの範疇ではない、管轄ではないということで、はねられてしまうのです。私はこの問題で、国交省、金融庁、もちろん厚生労働省とも話をしたのですが、なかなか取り合ってもらえない。いわゆる自由料金という部分で、確かに自賠責保険ですが自由料金になっていますので、そこの部分については触れないということで、なかなか規制が加わらない。

 そこで、平成 26 年に医事課のほうから、いわゆる「交通事故専門」、「むち打ち専門」というのは違法広告ですよという文書は出してもらいました。しかしながらウェブサイトでは、今、例えば交通事故でその接骨院に行くと見舞金が 5 万円もらえるとか、本当に目を覆いたくなるような、いろいろな広告が出ています。しかしながら、なかなか持っていきようがない。その中で、例えば現在のところでは広告会社がウェブサイトを作りませんかと、うちなんかにも毎日のように電話が掛かってきます。そこに、今は弁護士事務所がついているんですね。弁護士事務所が同じようになって、こういう形で載せませんか、いわゆるコンサルティングしませんか、受けませんかという、弁護士事務所から毎日のようにダイレクトメールが入ってきます。そんな中で今、交通事故のウェブサイトというのは作り上げられているような状況もあって、これを何とかしなければいけないだろうと。

 今はチラシとか看板、確かに目に余るものはありますが、それ以上にウェブサイト。先ほど釜萢構成員から話がありましたネットパトロール、本当にこれができるのであれば、今日からでもやっていただきたい、我々普通にやっている施術者からすると何とかしてほしい。特に今は昔と違って、自身で開業して施術所を持つのではなくて、いわゆる企業がグループみたいな形で、何十店、何百店という形で接骨院を増やしてやる。そうすると、全く同じような広告、全く同じようなウェブサイト、それを使って広告を広げていくような、その内容が本当に集客を目的とした内容なものですから。先ほどウェブサイトまでのガイドラインという話がありました。そこまで、もしできるのであれば、本当に嬉しい話ですが、なかなかそこまでは難しいのかなと思いますけれど。医療のほうでそれがある程度認められてきたわけですから、我々柔整、特にあはきも含めて、何らかの形でウェブサイトの規制、それから何らかの形で処罰の厳格化、そこまで求められればいいのかな。

 先ほど橿原市の委員がおっしゃいましたが、私も会員から近所に不正な広告、こんなのを上げているから何とかしてくれと言われて、保健所に行きました。保健所は取り合ってくれません。それから、区役所に行きました。区役所も取り合ってくれません。都庁も行きましたが駄目です。警視庁も行きました、 JARO も行きました。警視庁に行ったら、まず区役所に言って駄目だったら、もう一回言ってくれと。それでも駄目だったら、今度は都庁に持って行ってくれと。都庁で駄目だったら、もう一回都庁に言ってくれと。それでも駄目だったら警視庁に来てくれと。警視庁のほうからも、事件性がなければなかなか取り上げられないと、では、どこに持って行ったらいいのだということなのです。そんなこともありましたので、何らかの形でこのガイドライン等が出来ればいいなと思って、参加をさせていただきました。以上です。

○坂本構成員 先ほどの自由診療部分に関して、自由競争と石川構成員は言われましたが、自由競争ではなくて自由診療であるからこそ、内容をちゃんと伝えられるようなことが必要なのだと思います。こういうことをやるから幾らなのだと、そういったことが患者さんにとって適切な情報になるわけであって、それで適正な診療というか、業ということが言えるのではなかろうかと思うのです。

 ですので、もちろん虚偽・誇大な広告は制限するべきなのですが、むしろちゃんと「こういったことをやりますよ」ということは、伝えられるようなことが重要なのかなと思います。

○石川構成員 坂本先生、ありがとうございます。私は多分、誤解される言い方をしてしまったみたいで、自由競争をしたいと言っているのではなくて、例えば二面性があるので、自由競争の範疇に入ってしまうのがあるのではないかなと言っただけの話でして、先生のおっしゃるとおりです。私もそう思っています。

○南構成員 日本鍼灸師会の南です。今まで様々な構成員の先生方のお話を聞いていて、この広告の問題を考える上で、これは大変だなというのが実感なのですが、釜萢構成員もおっしゃられました、あはき柔整が医療か医療でないかというのは、当然ながら意見の集約は見ていないというところで、それが医療か医療でないかというところを単純に考えるのではなくて、この場は広告の問題を考える場ですから、国民、患者さんが医療と思って来ているか来ていないかという点においてのみを考えて、広告というものを考えていったほうが、考えやすいのではないかなと。でないと、本当に医療か医療でないかというところの議論だけに終始して終わってしまう可能性が高いなというのがある。

 また、加護構成員や三宅構成員からもお話がありましたが、指導者権限、権限は決まっているけれども、その権限を有効に活用して、実効性のあるものにすることができるのかというところになると、人材、お金、コストの問題が出てくると思います。そうなると、実効性がある程度あるためには、私はやはり経済的インセンティブといいますか、そういったものを使わないと。罰金が 30 万円でしたか。それでは、事業の継続性という意味においては、 30 万円は正直痛くも痒くもないですよね、現実問題。それを考えると、ここに違反してしまうと事業の継続性が危ういのだというぐらいの、恐怖心を植え付けるぐらいの、何かそういったものがないと、実効性のあるものにはならないのではないか。幾ら役所の方たちが一生懸命頑張られたところで、イタチごっこになってしまうのではないかというところも含めた議論というのを、この場でするべきではないのかなと思います。

 基本的には広告ですから、我々施術者側からすると、広告というのは集客のためと考えますが、そうではなくて、やはり国民や患者さんがどこへ行こうかという選択をするときに、正しい情報をどのように集められるかと。そのときに虚偽であったりとか、惑わすような情報をどう排除するかと。そういうところの点に関してのみ議論しないと、加護構成員がおっしゃられましたが、 6 回でガイドラインまでいくというのは、ちょっと厳しいのではないのかなと、個人的には考えています。

○磯部構成員 医療か医療でないかなど、是非どっしりと腰を落ち着けて取り組みたい議論もあるところで、ただ、この医業類似行為については、私は前田先生のように医事法の専門家ではないのですが、医事法学においても必ずしもきちんと取り組まれていなくて、どう扱ったらいいのかという整理が非常に難しいところのような気がします。

 しかし、少なくとも実定法上は医師法 17 条の医行為があり、それには当たらないが一定の危険性を有するものとして、「医業類似行為」というのがあはき法で、一応 6 文字の言葉として定義され、そして、それに当たらないものは未規制の放任されている行為だということのはずなのです。その 3 つがある中で、果たして法定 4 業務だけに限るのか、さらにその他の民間療法等も含んで医業類似行為と見るべきかという、狭義、広義の使い方は歴史的にそれぞれやられてきたと思いますが、改めてそれを規制する根拠が何なのかということを、考えなければいけないのだなということを強く感じた次第です。そうでもなければ、仮に業務自体が免許制等の下に置かれていない行為についても、なぜ広告が規制できるのかということの、やはり説明ができないような気がするからです。

 従前、医業類似行為の規制については 2 つのポイントがあって、直接的に人体に有害となるという意味で、積極的な弊害があるという点に加えて、そういうのに頼ることで、患者が適切な医療を受ける機会を失するおそれがあるという、消極的弊害もあると。この 2 つを当初、厚生省は規制の根拠に挙げていたはずですが、昭和 30 年代の最高裁が、いろいろな理屈はあるのですが、職業選択の自由にも関わる話だしということで、積極的な弊害が具体的にあるようなものについてのみ、要は積極的弊害がある場合のみを規制対象とするという解釈をしているものですから、恐らくその点、そこは狭く解しているところがあると思うのです。あん摩、はり、きゅう、柔整以外の医業類似行為については、医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰にするけれど、それ以外については放任しているというのが、恐らく今までの運用のような気がするのですが、そもそもその考え方自体、学説上は批判があって、結論から言えば消極的弊害ということをやはり重視するべきではないかと、私などは考えていますし、恐らく多数説はそうではないかと思います。

 そういう意味では、放任行為であるとされている業務に従事する人も、医業ないしは医業類似行為へのアクセスを不当に害するような形で広告等をする場合には、それは広告行為が規制されてもよいでしょうし、医業類似行為を行う業務においても、国民が医療へのアクセスを損なわれてしまうような、そういう消極的弊害が起こり得るような広告であれば、これも規制の対象としていいのだという、そういう考え方に立って、今後このガイドラインについて考えるということでよいのであれば、それはそれで私は大賛成だなという気がしている次第です。もちろん法律の改正なども、この際やりたいような気もするのですが、いずれにしても基本的な考え方としては、そういうことでよいのではないかということを、今日の議論で感じたところでした。

 という感想が 1 つと、あと 1 点だけ。恐らくあはき法が出来て、昭和 22 年に国家資格の仕組みになる以前は、この業務は府県ごとの、明治時代から許可制だったり、届出制だったり、ばらばらというところだったのです。なので、だからかというとあれですが、現在においても都道府県ごとに、いろいろ運用がばらばらになっているというのも、歴史的にもそうだったしなということを感じてはいたのですが、つまるところ、そのしわ寄せが受診者にいってしまうのでは意味がないだろうと思いますので、具体的に明確なガイドラインを作るということ、その方向については、これは賛成なのです。

 ただ、その際に全て国がガイドラインを示すのがよいのか。それとも、柔整師なら柔整師、あはきならあはきの各業界団体が、どのような自己規律の営みをやっていて、それがどのぐらい制度的基盤として活用できるのか、それで補えないところを、どのように国がガイドラインを示すのかという、そういう複層的な規範の構造、あり方を考えていいのではないかなという気がします。ですので、もし可能であれば実際どんなことを専門職団体としてやられているのかといったことを、今後また教えていただければなと感じた次第です。すみません、長くなりましたが以上です。

○福島座長 ありがとうございます。職能団体のほうのプロフェッショナルオートノミーのお話も出てまいりました。確かに今のお話を聞いていると、ガイドラインで実際にいろいろなことを取り締まるというか規制していくもの、明確な基準というものは、当然必要でしょうし、その基準というのはもしかすると、かなり早いテンポで変えていかなければいけないもので、やったら 10 年そのままというものではないような気がします。それから、先ほどのネットの話でも、ネットの使い方というのはこれからまたどんどん変わっていくので、そういう意味ではリジッドなものを作って、はいおしまいということではないように思います。

 それと同時に、やはり一番大事なのはペイシェントセーフティなので、先ほどの消極的弊害ということに関しても、これはどうやって患者を守るかということを考えていくというのが、大きな視点だなということを、ずっと伺ってきました。そうすると、ただガイドラインを作るというだけではなくて、そのガイドラインが本当に運用されるためには、職能団体がどういう行動をするのかということも含めて、それから、どこまで患者さんたちに向けて、理解できる言葉で書けるのかということも含めて、もちろん市町村の権限も含めて、やっていかなければいけない。

 それと同時に、やはり今できる規制というのは受領委任払いだと思うのです。そうすると、受領委任払いというところで、どういう広告の規制とを絡めていくのかということが、非常に大きな議論なのかな。すみません、素人なのでよく分からなかったのですが、そんなことを感じました。

 さて、もう少し時間がありますから、もう少し論戦をしたいと思います。いかがでしょうか。

○木川構成員 弁護士の木川です。先ほど「医療かどうかではなく、患者が医療と思って来られるかどうかを基準に考えるべきだ」という御指摘があり、非常に鋭い御指摘だと思いました。それを前提として、だから医療的なものを認めるのか、あるいは医療的なものを制限していくのかという方向性をまず決めたほうがいいと思うのです。

 先ほどいろいろ御意見がありましたけれども、それによって「院」を認めるのか、あるいは「治療」を認めるのかということが決まってくるのではないかと思います。ですので、まず、それをどちらの方向性で進めるのかということを議論していただいたらいいのではないかと思いました。

○釜萢構成員 今、木川構成員からそのような指摘があって、確かにそういう面があると思うのですが、この議論はずっと長年にわたってやってきまして、なかなかそう簡単にはいかないのです。ですから、それを整理するためのステップの中で、今回の検討会が役割を果たすことは是非必要だと思うのですが、それぞれの職種によっても違うし、合意形成はなかなか簡単ではない、皆さん同じ意見とはなり得ないと感じております。一方、国民の医療安全ということは是非しなければならないので、そのためにこの検討会が何を成すべきかということ。

 それから、先ほど磯部先生からお話がありまして、消極的な弊害というのは私は初めて伺ったのですが、それはすごく大事で、無資格者をどうやって規制していくかという根拠が私はよく分からなかったので、すごく難しいだろうと思っていたのですが、医療安全を確保する意味から、国民を守るためにどのようにしっかりと規制の網を掛けるかということが大分見えてきたような気がしまして、そこを是非しっかりと詰めていくことが大事だなと感じた次第です。

○前田構成員 私も今の御意見に賛成だと思いました。先ほど「個人的な」という前置きでお話をいたしましたが、医療であるか医療でないかというのは、ここで全部やっても間に合わないぐらいだと思います。

 と言いましても、全く無視して進めるわけにはいかないのですが、医療を受けに来る、その医療の意味が何かという審議は置いておいて、今の時点で患者が受けに来ることについて、いかに安全性と誘引されない公平な医療が保たれ、真面目に行う施術者が救われるのかというところを議論の中心として、ガイドラインを作っていただければいいのではないかと思います。

 あと、先ほど行政の方、加護構成員がおっしゃっていた話を、奈良県はすごいなと思いながら聞いていました。私もあちこちで聞いますと、実際に 1 人、 2 人で抱えている件数が非常に多くて、まず回らないと。ですから、そういう所に権限だけを与えても駄目なのでしょうから、予算であったり、もっと上の形での何か、省令なのか法律なのかはまた別ですが、そういった形で安心して行政の方が当たれるようなものを作らなければ、結局はガイドラインだけが出て終わってしまうような気がしております。

 地元の行政では個人情報保護の審査会なども参加しているのですが、同じようにガイドラインが一人歩きできなくて行政が困っていたのも見ておりましたし、医療はもっと広範になりますので、恐らくその点で、一緒にガイドラインとして行政の方がきちんと動けるものとしたガイドラインを作るというのが、 1 つの方向性として必要だと考えています。

○坂本構成員 医療か医療ではないかの議論は、私が火を付けてしまったような気がします。大変申し訳ありませんでした。釜萢先生に後で怒られると思います。と言うのは、釜萢先生も私も座長もドクターの立場で、多分 3 人とも考え方は少しずつ違うのだと思うのです。ですので、このことを殊更この検討会で議論するつもりは私もありません。

 ただ、先ほど来「医療法」という言葉が出てきますので、医療法にのっとって何とかという議論は、どうしてもこのガイドライン作りの中には出てくるのかなということですので、では、どこの部分を医療法として考えるのかという辺りは御議論いただいたほうがいいのかなと思っております。

○福島座長 難しい議論になります。いかがでしょうか。

○木川構成員 長い議論があるということは伺って理解しているのですが、とは言えどちらかに決めないと、ガイドラインにどう書くか決まらないというところもありますので、もし長い議論があって、医療には含まれないという意見がまだあると、であるから医療に含まれない前提で考えましょうということであれば、それはそれで結構なのです。そうであれば、「院」というのは使えない、あるいは「治療」というのは使えないということになるのだと思います。それなので、どちらかには方向性を決めていただかないと、なかなか議論が先に進まないのではないかと思っております。

○福島座長 座長は窮地に陥っております。

○前田構成員 非常に難しいことを議題に上げていただいてしまったようなのですが、もともと個々の医療法規を見ますと、例えばあはきや柔整も入っていそうなところもあれば、これは医師なのかなとか、又は院内医療従事者に限られそうなのかなと、でも、断定できない部分であるとは思うのですが。この審議会は、あはきと柔整、そして無資格の方までを含んで議論を進める上では、例えば医療法をベースにして考えた場合には、その中で例えばあはきとか柔整に関わって同意を頂くのはドクターなのです。そうすると、その関わりの中で、もし医療ではないと断定してしまうと、医師の同意が意味をなくしてしまう部分が出てきますので、やはりこれは医療そのものと、今この場で決められなくても、患者が受けにくる医療の中で進められているものと、施術なら施術という形で議論を進められないと、ガイドラインを作るのに非常に支障が出てくるのではないかと思うのですが、ほかの先生方はいかがでしょうか。

○木川構成員 私の理解としては、あはき法で、医師以外の者で、あはきをしようとするときには免許が要ると書いてあるわけです。そうすると、イメージ的には絶対的医行為と相対的医行為の話のようなもので、要は看護師であれば医療だけれども一部できると、だけれども医師でなければ絶対にできない行為があると、そういう区分けなのかなというイメージを持つのです。

 そうすると、別に結論を出したいわけではないのですが、何となく素人考えとしては医療の一部なのかなと思うし、患者もそのように思って来られるのではないかと感じております。

○石川構成員 全日本鍼灸マッサージ師会の石川です。今の話、これを突っ込んで話すと全然ガイドラインのほうは進まなくなってしまうというのは、私もそのように思っています。今、木川構成員がおっしゃったように、そこが医療かどうかを掘り下げるというよりは、患者様がどのように判断するかというところをベースに、国民に危険性がないような、そのようなためのガイドラインというように持っていければ一番いいのではないかと思います。

 そのためには、私たちが今ここでどのように思っているかというのは、思っていることとして置いておいて、考えるところ、目線は違うところ、国民の為というほうがいいのではないかと考えております。

○山口構成員 これだけ違いが分かっている方たちで議論をしていても、法律のことなどこれだけの違いがあるというか、考え方が違うわけです。それを、例えば、あはきと柔整が医療法の下ではないということは一般的には全然知られていないわけです。ですので、今、安全性ということを言っていただきましたが、それを確保するとすれば、一般の方にもっと分かりやすくしないといけないと思います。医療の一部であることには変わりないのだと思いますが、管轄の法が違うということになってくると、その違いを明確にしない限りは、一般の方に判断できません。皆さんがおっしゃっている医療を受けると思って患者が来るというような理解と、一般の方たちが言っているときというのは、診断してくれるとか、治療行為というか、医療で行われている治療行為と同じレベルのものだという想定をされていることが多いので、それはやはり違うのだということだと思うのです。

 ですので、専門家の方でなくても、ごくごく一般の方が見たときの違いということを明らかにしていかないと、そういうことが明らかになるようなガイドラインにしないと、今の状況は打開できないのではないかと思います。

○三宅構成員 「医療」と一言で言っても医療の中にもいろいろあります。私ども保険者の立場としては、保険診療、療養の給付もあれば、その外に出ている自由診療も医療だと。医療という一言を取っても、いろいろな観点から見れば、いろいろとまた見方が変わってきます。

 我々の立場からしますと、療養の給付に関わる立場ですので、あくまでも柔整やあはきの施術というのは、療養の給付の補完であるということで位置付けられておりますので、医師の同意がある施術だから医療なのだということではないと考えております。医療の中にもいろいろあるということで、そこは簡単に一括りにされては私どもとしては違うのではないかと考えております。

○三橋構成員 山口構成員から、あはきや接骨院は医療機関ではないと。そうではなくて、我々は患者にそのようなことを言った覚えなどはないし、きちんと接骨院あるいは鍼灸院という看板を上げて施術しているわけで、「うちは病院だ」と言ったことは 1 回もありません。「医師だ」と言ったこともなくて、我々は「柔道整復師です」ということで看板を上げて施術をしているわけです。

 そこを総論的な話をしてもなかなか終わらないと思いますので、せっかく厚生労働省に昨年の 5 月から実態調査をしていただき、各都道府県からいろいろな調査報告が上がってきて、例えば要望もあるわけですから、この場でこれを整理して、何が良い悪いということではなくて、作業部会でも構いませんので、例えば良いものと悪いものを分けていただく、こういう要望が上がってきている、このことについてはこういう要望がある、このことについては駄目ではないのかということをしっかりと厚労のほうで分けていただく。そして、それをしっかりとこの場でまとめていかないと、今日は「いろいろな意見を言ってくれ」という座長のお言葉もありましたので、そういうことでお話をしていますが、今後まとめていくのであれば、今までの実態調査でまとめていただいたものを検討していくような作業が必要ではないかと思います。

○木川構成員 医療行為か医療行為ではないかという二択というよりは、医療行為と医療行為でないものの中間的なものなわけです。準医療行為というか医業類似行為と。そうすると、その中間的なものでもって、どういうことまで言ってもいいのかということを議論すればいいのかなと思いました。つまり、中間的なものでも「治療」というのは使ってもいいのか、それとも「施術」だったらいいのかとか、「院」というのは使ってもいいのか悪いのかということなのかなと思いました。

○磯部構成員 磯部でございます。私が先ほど申し上げたのは、「医業類似行為」というのは、それは 6 文字のそういう言葉の行為であって、医行為とは違うのです。医師が業を独占し、一部看護師ができるというのはあくまでも医行為の話であって、これは医業類似行為ということである。それを、なぜ法定 4 業務でなければ免許なくやってはいけないのかという規制根拠の話を先ほど申し上げて、それはそれ相応の人体に有害性があることもあるし、また医業類似行為であるからこそなのでしょうね。それを頼ることで、かえって患者が適切な医療を受ける機会を奪われてしまってはいけないということなので、私の先ほどの理解では、そういう消極的な弊害も規制の根拠として位置付けるのであれば、「○○院」という言葉を使って、本来は病院にアクセスしようと思っていたにもかかわらず間違って医業類似行為にかかってしまうようなことは、やはり望ましくないということになるはずなのです。

 ただ、そうは言っても、医業類似行為として脈々とやられてきた実績があるので、それを根底から引っ繰り返してゼロからにしろというつもりはもちろんないのですが、そこは分けたほうがいいという感覚です。

○木川構成員 今、正に先生がおっしゃったことというのが、伝統的にあはきで広告できることがすごく制限されてきた根本的な理由だと思うのです。恐らく今要望されているのは、それが余りにも厳しすぎるところがあるので、一定程度は常識的な範囲内でというか、世の中的にも当然として受け取られているようなことは許容してもいいのではないかと、これが 1 つの議論なのだと思うのです。

 それを考える上で私が申し上げたいのは、準医療行為的なものであれば許される範囲というはどこまでなのかということを考えないと、どこまで緩めていいのかということはなかなか決まってこないのかなと思った次第です。

○福島座長  1 つ疑問点が出てきたのですが、結局、受領委任払いで行われるというか、保険適用の部分の責任範囲ということと、先ほど「自由診療」と言っていましたが、保険を使わない自由診療で行っている領域とでは、その内容が違う可能性もあるとすると、例えば広告のあり方も違うという考え方ももちろん出てくるのだと思うのです。

 一方、例えば国家資格である柔道整復師がやっていること、国家資格であるあはき師がやっていることというように行く人は思うと思ったら、国家資格としての柔道整復師、あはき師という括りで患者は行くのだと思ったら、そこと受領委任払いだとか自由診療だとかというのは、ちょっとまたそれは意味が違ってくるのではないかと感じて疑問に思ってしまったのですが、どなたか教えていただければと思います。

○木川構成員 回答を申し上げるわけではなくて、私も同じようなところで疑問点があります。「自由診療」といった場合に何を意味しているのかがよく分からないと思いまして、あはきで有資格でなければできなくて、医師の同意があれば保険の適用になることを、あえて保険適用せずにやることを自由診療と言っているのか、それとも、そもそもあはきの免許を持っていてもできないことをやるのであるから、当然自由診療になってしまうわけですが、そういうことを議論しているのか。それは、今はどちらを議論しているのでしょうか。

○南構成員 少し混乱しているような感じなのですが、要は受領委任払い制度の療養費の部分というのは、あはきの場合の守備範囲の認められたある一部分で、いわゆる 6 疾患、あの一部分のみです。例えば私は鍼灸師なのですが、私の所には、私の専門は精神科ですので、精神科領域の鬱病の患者など来られるわけです。全然療養費の範疇に入っていないわけです。その場合は自由診療になります。要は内科の主訴として来られる場合などです。療養費のものというのは決まっていますので、その範疇のみを考えるのであればそうですけれども。あるいはその領域だけをもって、それを保険請求するかしないかで自由診療か療療費の請求かという観点だけではなくて、適用範囲が全然違うというように考えていただいたらいいかなと思うのですが、どうでしょうか。

○木川構成員 医療のほうで自由診療といった場合は、そもそも保険適用にならないものをやるのがメインですよね。保険適用になるものを保険を使わずにやっても自由診療なわけですが。そこで、もともと保険でできるものを保険を使わずにやることについては、広告していいけれども、もともと保険適用にならないものは広告してはいけませんとか、そのような区分けになっていたと思うのですが。今、保険が適用になるものでお客さんを呼んで保険が適用にならないものを施術することを問題にされているわけではないということなのですか。

○南構成員 そのようなことではありません。

○木川構成員 確認ですが、そうすると、単純に無資格者がやる行為というのは無資格医業だから、広告以前の話なのではないかと思うのですが、それをなぜここで議論しなければいけないのかというのも分からなかったのです。

○南構成員 先生の疑問は私もそのままそうなのです。無資格の広告の問題というのが出てきました。それも議論の論点の案に挙がっています。いわゆる整体だったら整体屋ということで看板が上がっています。マッサージでしたらマッサージ屋ということで看板が上がっています。いわゆる国家資格を取得していない方が、人の体に触わって何らかの施術をしているということそのもの、業としてやっていること自体が、あはき法であったり、医師法であったり、既に現行法に違反しているのではないかという議論は常にあって、先ほど磯部構成員がおっしゃられた最高裁の判例があるとか、職業選択の自由があるとか、私も 100 %詳しいわけではないのですが、そういう部分があって、そこに突っ込んでいくと、それこそ先ほどの医療か医療ではないかというのと同レベルか、それ以上の問題が出てきて、広告の話ではなくなってしまうようなところなのです。

 ただ、実態として、現状を我々としては飲み込みにくいところなのですが、産業としてはそれなりに日本国中にあって、実際に動いているという中で、そこで健康被害を生まないためにどうするのだ、誤解を生まないような広告というのは何なのだということを考えていくしかないのかなというように、私はそういう気がしています。

○坂本構成員 正にそうだと思うのです。無資格の業者というのは山ほどいて、ややもすれば誇大な広告に走っている所もあるのではなかろうかと思うのです。そういった所に広告制限を掛けなくて、資格者のほうにばかり制限を掛けたら何の意味もないというところは実際はあるのだと思います。したがって、先ほどどなたかが言われていましたが、鍼灸治療院、接骨院ということを掲げているために医療機関だと思って患者が来るという実態よりも、そちらのほうが怖いなと。

 お聞きしたいことがあって、山口構成員だったらお分かりになるかもしれませんが、いわゆる医療機関だと思って行ってしまうというような実態というのは、かなりあるのですか。

○山口構成員 実際にお話を伺っている中で、「それは医療機関ではないですよね」と言ったら、混乱されているというようなことはあります。だから、見分ける基準が明確に分かっていない。それで、「先生」と呼ばれる人はみんな医師だろうという感覚です。

○坂本構成員 どのぐらいそういう事例があるのか分からないのですが、もしそうだとすると、きちんと説明する必要はあるのだろうと思います。ただ、その前に無資格が横行しているという問題というのは、もっと大きな問題であるということは、この検討会では御認識いただきたいと思っております。

○釜萢構成員 この広告の検討の中で無資格を扱わなければならない理由は、国民の医療の安全が脅かされているという大変強い危機感からであり、そういう資格がなくて業に携わっている方を排除するということでは決してないのですが、国民の安全を守るためには、資格のない業者に対してもしっかりと目を光らせていかなければいけないという認識です。そうでないと、健康被害の事例は医師の所にたくさん来るわけです。そういう無資格の施設で術を受けることによって健康被害が生じた事例を、私どもはたくさん経験しております。ですから、それを何とかしなければいけないだろうという危機感から、 1 つはこの検討会が開かれていると認識しております。

○武井医事課長 医事課長でございます。今日は活発に御議論いただきましてありがとうございます。この検討会を立ち上げる趣旨は、今日出ている資料のとおりではありますが、議論の中で「スコープをどの辺りに絞っていくのか」というところが非常に大事になってきているかと思います。

 今回、法律で区切っていただくのが一番分かりやすいかなと思いまして、あはき法と柔整師法をベースにして、その中で広告となっていることについてどう考えていくかというところで、医療法は医療法で、既に別途広告については議論が進んでおりますので、そうした議論を参考に、今回議論をしていくというのはあり得るのですが、そういった意味においては、資料 2 の一番最後に御議論いただく論点を出しております。 1 点目がガイドラインで、今日もたくさん御議論いただきました。奈良県から出された意見は私は非常に大事だと思っておりまして、現場が動くようにしていく。動きやすいようなガイドラインにしていくことが重要だと思っており、これはいろいろなものを明確化していくということとか、今まで都道府県ごとにある程度ばらばらであったものを全国共通のガイドラインにしていくということかと思います。

2 つ目の広告可能とか無資格者についてですが、山口構成員からもありましたように、患者の利便性の向上というのは、今回の広告の中でも非常に重要な要素になっていると思います。それと併せて有効性や安全性、特に安全というところは非常に大事かと思いますので、国民の健康を守るという視点で、どういった広告がいいのかというところを御議論いただくということになろうかと思っています。

 それから、今日出された意見で我々のほうもしっかりと受け止めたいと思っているのは、運用面での議論です。例えば国や県、市町村の役割分担、保健所も含めて機能的に現場が動いていくためにはどういったものが必要なのかという、ガイドラインプラスアルファの話になってくると思いますが、そういったものも今後はしっかりと議論の中で、将来的な方向性を議論して進めていきたいと思っています。また、運用面で出た非常に有効な議論の要素としては、ネットパトロールということだと思います。これは医療法のほうで既に動き出しておりますので、そういったものを参考にしながら、あはき、柔整の世界でどう考えていくのかというところかと思います。

 それから、無資格者についても、今日多々意見が出されておりますが、これはやはり国民の健康を守っていくという観点が重要ですし、なぜ最初にスコープの話をさせていただいたかと言うと、あはき法、柔整師法の中で、例えば鍼の施術をするときに無資格の方がやったら明らかに被害が出てくると思うのです。そういったことに対してはきちんとした対応が要ると思うので、その辺りの御意見を頂きたいと思っています。

 それと、最後にコンセンサスを形成していって、それをガイドラインにしていく必要がありますので、恐らく医療法の中でも御議論いただいて、虚偽・誇大広告というのがあったと思うのですが、それをやるというのは問題だということになると思いますので、そういった例示などもたくさん今回のガイドラインの中に盛り込んでいく。こういったことはよくないのだというネガティブリスト、逆に言うとポジティブリストも必要かもしれませんが、そういったものをガイドラインの中でうまくまとめていけないかなと事務局としては考えているところです。

 座長がおっしゃったように、今日はオープンなディスカッションでいろいろな御意見を頂いたところで、それは非常に貴重な意見として我々は受け止めさせていただきたいと思います。

○福島座長 ほとんど時間がないのですが、最後にこれだけはという方はいらっしゃいますか。

○木川構成員 無資格者の話を広告に限定していった場合に、要するに無資格者が医業類似行為をやっていると誤認させるような広告をしてはいけないということになるのかなと思うのです。そうした場合に、医業類似行為とそこに至らないものは何かという話になってきて、鍼灸は分かりやすいと思いますが、マッサージ、体に触わるものがどこから以上だったら医業類似行為で、どこから以下ならそうならないのかということが明確になれば、それ以下のものをやっているということについては、医業類似行為をやっていると誤認させることにならないし、それ以上をやっているということになったらそれは誤認させるということになるのかなと思います。

 例えば体に触わるものというのは、通常のエステのようなものもあると思いますが、エステを誰もマッサージだとは思わないのかもしれませんし、それもマッサージに含まれると思うのかもしれませんし、具体例を挙げていけば、どこかである程度の線引きができるのかなとも思います。

○福島座長 時間を過ぎてしまいました。今日はいろいろな御意見を頂きまして、事務局としては少しお時間を頂かないとまとめられないので、今日頂いた御意見、それから医事課長がネガティブリストというようなこともおっしゃっていましたので、そういったことも含めて、事務局と今後の検討会の次の議題作りをさせていただきたいと思っておりますので、今後まとめて進めていきたいと思っております。事務局からお願いいたします。

○松田医事専門官 座長の御発言にもあったとおり、今後の議論の進め方については座長と御相談の上進めさせていただきたいと思います。次回の開催日程については、追って事務局から御連絡させていただきたいと思います。

○福島座長 今日はありがとうございました。また次回、白熱した議論をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


(了)

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