ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 第5回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議議事録(2018年11月22日)

 
 

平成30年11月22日 第5回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議 議事録

老健局老人保健課
保険局高齢者医療課

○日時

平成30年11月22日(木) 14:00~16:00
 

○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)
 

○議題

高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議報告書(案)について

○議事

○遠藤座長 それでは、定刻より若干時間はございますけれども、構成員の皆様は全員御着席でございますので、これより第5回「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」を開催したいと思います。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、どうもありがとうございます。
会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況等について事務局から報告をお願いします。
○小森補佐 事務局でございます。
構成員の方の出席状況ですが、大澤構成員から御欠席の御連絡をいただいており、代理といたしまして、群馬県健康福祉部保健予防課健康増進主監、阿部絹子様に御出席をいただいております。
鎌田構成員から御欠席の御連絡をいただいておりまして、代理といたしまして、公益社団法人日本看護協会健康政策部部長、村中峯子様に御出席をいただいてございます。
藤井構成員から御欠席の御連絡をいただいており、代理といたしまして、全国健康保険協会参与、六路恵子様に御出席をいただいております。
前葉構成員から御欠席の御連絡をいただいており、代理といたしまして、三重県津市健康医療担当理事、松岡浩二様に御出席をいただいております。
また、辻構成員、山本構成員から御欠席の御連絡をいただいてございます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
本日は都合により、構成員の皆様には資料を紙で配付いたしております。
資料は議事次第、開催要項、座席図のほか、資料1及び資料2並びに事務局作成の参考資料と横尾構成員から提出のお申し出をいただきました参考資料2がございます。お手元に不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
○遠藤座長 ありがとうございます。
資料はよろしゅうございますか。
それでは、議事に移りたいと思います。冒頭のカメラ撮りはこれまでにしていただきたいと思います。
本有識者会議はこれまで4回にわたって開催をいたしまして、構成員の皆様には精力的な御議論をいただいたところです。本日は、これまでの御議論を踏まえて報告書の取りまとめをさせていただきたいと考えております。
前回お示ししました論点整理について、皆様からいただいた御意見を踏まえ、事務局において資料1の報告書案と資料2のスキーム図をまとめております。
本日の進め方でございますが、この資料1及び資料2について事務局から説明をいただいて、その後、一括して皆様に御議論いただきたいと考えております。
それでは、事務局から資料1、資料2について御説明をお願いしたいと思います。
○込山課長 恐れ入ります。高齢者医療課長でございます。
では、早速でございますけれども、資料1の報告書案と資料2のスキーム図につきまして御説明申し上げます。少々お時間を頂戴しますが、お許しいただきたいと思います。
まず、資料1の報告書案でございますけれども、まずおめくりいただきまして、目次がございます。これまでの御議論における御意見などをもとに、これを集約させていただきました。目次の章立てにつきましては、前回の論点整理などをもとに設定させていただいた次第でございます。
具体的に申し上げますと、1から11までございます。「1.はじめに」に始まりまして、「2.後期高齢者の特性等」「3.後期高齢者の保健事業の現状等」「4.保健事業と介護予防の一体的な実施の意義・目的等」「5.具体的な取組のイメージ」「6.事業の具体的な実施体制等」「7.医療専門職の活用に向けた体制整備」「8.医療・介護情報等の一体的な分析、データ活用等」「9.対象者の参加促進に向けた取組」「10.財源の在り方等」、そういった構成でつくらせていただいているところでございます。
1ページ、まず「1.はじめに」でございますが、こちらは御議論の前提としていろいろ御意見をいただいているところでございますけれども、今後我が国の社会全体の活力維持のために、この健康寿命の延伸というのが大きな政策課題になっているといったようなこと、そのために、介護予防、フレイル予防、重症化予防等の効果的な実施が必要であるといったこと、第3段落でございますが、そういった政策の方向性につきまして、骨太方針などにも明記されているといったことについて、書かせていただいております。
「2.後期高齢者の特性等」でございますが、こちらはまさにそのフレイル等の状況、高齢者の方の特性について触れさせていただいています。
2ページ、今、申し上げましたフレイルの特性、要するに、身体的脆弱性、精神・心理的な脆弱性、社会的脆弱性といったことを書いてございます。とりわけ社会的脆弱性につきまして、その社会的なつながりの弱まりなどがこういったフレイルの状態につながっていく、疾病などにもつながっていくといったことに触れさせていただいております。
「3.後期高齢者の保健事業の現状等」でございます。最初に制度創設時の状況につきまして、第1段落で書いてございます。平成20年の制度創設以来、保険者である後期高齢者医療広域連合が実施するとされてきたところでございます。法律上も広域連合が努力義務を負うということとされております。ただ、保健事業の重点が74歳以下のメタボ対策というものに中心があったということも触れさせていただいております。
2段落でございますが、その一方、75歳以上の後期高齢者の方につきましては、むしろ医学的な管理の一環として必要な検査を受けることが適当といった整理等があったということ、また、早期発見、重症化予防の観点から健診の実施を促してきたといった経緯を書いてございます。
次でございますが、平成27年の医療保険制度改革以降の状況についてでございます。3ページをおめくりいただきたいと思います。
27年の制度改革の際の整理でございます。第1段落でございますが、高齢者の特性、とりわけフレイル状態に着目した取り組みとして、運動、口腔、栄養、社会参加のアプローチというものを意識的に制度化したものでございます。
具体的にはこの3つポツが並んでございますが、高齢者の心身の特性に応じた保健事業を行うこと、また、メニューといたしましても、健康教育や健診に加えて保健指導・健康管理、疾病予防といったものに対する支援、また、NDBの活用、また、介護の地域支援事業との連携といったことも明記された次第でございます。
そうした法律上の制度変更がございまして、第2段落でございますが、このような流れを受け、28年、29年度にはモデル事業などを実施し、また、保健事業のあり方検討ワーキンググループも設置させていただきまして、本年4月には保健事業のガイドラインをまとめさせていただいた次第でございます。
第3段落でございますけれども、そのガイドラインの内容ですが、介護との連携が期待される栄養や口腔の方面だったり、また、国保とのつながり、重症化予防等ですが、そういったことを整理して書いてございます。また、そういった取り組みを進めるに当たりまして、市町村との連携のもとに推進されることが重要という旨をガイドラインに記載しているところでございます。
また、財政的な面でございますけれども、一番下の段落でございますが、平成28年度から後期高齢者医療制度の特別調整交付金を活用して、保険者インセンティブ措置などを実施しているという旨を記載してございます。
4ページ、ただいま申し上げました保険者インセンティブ措置につきましても財源を拡大、拡充してございまして、平成28年度は20億円であったところ、平成30年は100億円としてきた旨、記載してございます。
最後の段落でございますが、こうしたいろいろな取り組みを講じてきたところでございますが、健診の結果を踏まえた重症化予防、疾病管理、低栄養防止といった積極的な取り組みになかなかつながっていないといったこと、さらには、社会参加を含むフレイル予防の要素を十分には取り入れることができていないといった課題を指摘してございます。こうした問題につきましては、ある意味、保健事業の体制上の課題にもつながる点でございます。
次はそうした課題を踏まえての問題意識でございますけれども「4.保健事業と介護予防の一体的な実施の意義・目的等」でございます。こちらにつきましては、資料2の1ページにもつけさせていただいておりますけれども、この検討会でもいろいろ御議論いただいた次第でございます。
第1点目ですが、国保の保健事業と後期高齢者医療制度の保健事業の接続の問題です。いわゆる75歳での断絶の問題が第1段落、第2段落に記してございます。
第3段落でございますけれども、広域連合につきましては、その組織的な特性ゆえにきめ細かな支援を実施することが困難であるといった状況。
第4段落でございますけれども、市町村に委託等を行っている次第でございますが、5ページですが、その事業の内容は健診のみの実施となっている自治体が多くを占めているといった現状でございます。
また、2行目でございますが、市町村における国保部局におきましては、制度の問題もございますが、75歳以降の高齢者の方については、市町村の所掌外であるといった意識も見られる。そういったことがもろもろございまして、なかなか支援が接続していないといった指摘もございます。また、その点につきましては、情報の共有といったことでも問題を抱えているところでございます。
一方、下の保健事業と介護予防の一体的な実施についてでございます。先ほど申し上げたように身体的脆弱性、また、精神・心理的な脆弱性、そして、社会的な脆弱性といったフレイルの問題がございますが、そういった観点を持った取り組みに拡大していく必要があるといった点。
第2段落でございますが、そういったことを踏まえますと、生活習慣病等の重症化を予防する取り組みと生活機能の低下防止の取り組み、これを双方一体的に実施していく必要性が高いという旨、記載してございます。
繰り返しでございますが、ただ、そういった必要性がございますけれども、現状としては、そういった幅広い取り組みにはなかなか結びついていないといったことを第3段落で書いてございます。
6ページにかけて、若干繰り返しでございますけれども、ただいま申し上げたような観点から、例えば健康課題にも対応できるような通いの場とか、通いの場を活用した健康相談、受診勧奨の取り組みの促進など、こういった一体的な実施を進める必要がある旨記載してございます。
そういった点から、体制の問題ですが、後期高齢者医療広域連合と市町村の連携について、6ページから触れてございます。こういった一体的に実施していく必要がある中で、まず、広域連合は後期高齢者医療制度の保険者として財政運営責任を有しており、効果的な保健事業を実施していく一義的な責任があるということでございます。
そういった観点から、広域連合といたしましては、例えばデータヘルス計画を策定するとかといったことで保健事業の方向性を示していく、また、広域的な観点からの事業を実施していくといったことを行っていただいているところでございます。
第2段落でございますけれども、一方、広域連合につきましては、先ほど申し上げたとおり、きめ細やかな対応が困難という課題がある一方で、市町村さんの場合には市民の方にも身近で、また、従来からの保健事業のノウハウを有している等々といったことを記載してございます。
そういった状況を踏まえますと、一体的実施の必要性もあわせて考えますと、一番下の段落ですけれども、後期高齢者の保健事業につきまして、広域連合においては構成市町村と協議を行い、地方自治法の規定により作成する広域計画に広域連合と構成市町村の連携内容を明示するといったことが制度的にも考えられるのではないかといった指摘をさせていただいています。
7ページ、今、申し上げたような枠組みを含めまして、こういった内容を明確化することが重要であるといったことに触れてございます。
そういった問題意識なり、制度的な関心のもとで、具体的な取り組みをどう進められるかという点につきまして「5.具体的な取組のイメージ」に書かせていただいております。市町村が中心となって取り組むことによって、具体的に次のような取り組みを行うことができるであろうということを例示させていただいております。
まず、イ)、ロ)でございますけれども、事業全体のコーディネートなどを初めとする医療専門職の方を市町村に配置することが考えられます。そうした医療専門職の方が、KDBシステムなどを用いまして、支援すべき対象者を抽出する、スクリーニングする、そして、一体的な取り組みにつなげていくといったことが考えられます。
ハ)でございますが、さらには、その地域の健康課題の整理・分析を行うといったこと。
ニ)でございますが、通いの場などにおきまして、保健指導とか生活機能の向上等の支援、場合によっては、必要に応じて医療・介護サービスにつなげていくといったことの関与も可能だと考えます。
また、比較的健康な高齢者の方につきましても、引き続きその気づきの機会を促していくといったことを8ページにかけまして書かせていただいています。
次のホ)ですけれども、そういった情報分析とともに、多様な情報ルートの中から、閉じこもりがちな高齢者の方に対してアウトリーチ支援を実施するといったことも考えられます。
さらに、ヘ)でございますけれども、通いの場における支援とともに、例えばショッピングセンターなどの日常生活拠点におきまして、日常的な健康相談を実施するといった取り組みも考えられます。
さらに、ト)でございますけれども、地域の医療職能関係団体の皆様と積極的な連携を図るといったキーパーソンとしての役割も考えられます。
さらに、チ)でございます。スポーツジムなどの民間の取り組み、そういった社会資源との連携、そうした取り組みを促すための個人に対するインセンティブ措置といったことも考えられます。
その他、リ)、ヌ)でございますが、国保との連携、接続等々について、具体例として触れさせていただいている次第でございます。
9ページ、ただいま申し上げたような具体的な取り組みを実施するに当たりまして「6.事業の具体的な実施体制等」でございます。
最初に事業の方向性の明確化でございます。こうした一体的な実施を広く展開していくため、まず国におきまして保健事業の指針やガイドラインがございますが、こちらの中で一体的な実施の方向性とか具体的なメニューの内容を提示する必要があるといった点。
第2段落でございますが、こうした指針などを踏まえまして、広域連合におきましては、広域計画やデータヘルス計画等に、広域連合と市町村との連携内容を規定するといったことが考えられます。
また、市町村におきまして、こうした広域計画に基づきまして、具体の事業を実施していただくとすれば、その市町村においてどのように実施していくかいったことを計画などで明らかにしていただくことが必要ではないかといったことを書いてございます。
第3段落ですが、そういったデータヘルス計画であったり、市町村国保のデータヘルス計画、介護保険事業計画等々ございますが、こうした計画策定に当たりまして、過剰な負担にはならないような配慮は必要だということも入念的に書いてございます。
今申し上げたような計画も含めたスキームにつきまして、法令上、明確にすることも必要ではないかということを御提案させていただいております。
9ページの一番下でございますが、次は市町村における具体的な実施体制でございます。こちらも種々御議論を頂戴していた次第でございます。そうした一体的な実施をするに当たりまして、市町村部局の中での連携といったことが課題になります。2行目のおしまいからでございますが、例えば国保の担当部局が中心となって実施する場合とか、健康づくり部局であったり、また、介護保険部局であったり、そうしたさまざまなパターンが考えられますが、この点につきましては、それぞれの市町村の御事情に応じて、得意な方法で工夫して実施していけるようにすることが大切ではないか。そうした核となる部局を中心に連携を講じていただきたいということでございます。
10ページ、加えまして、都道府県さんによる援助等でございます。こちらの1段落目でございますが、都道府県につきましては、高確法において、既に都道府県は必要な助言及び適切な援助をするものとするという規定が設けられております。こういった規定を活用いたしまして、例えば保健事業の展開に当たって、好事例の横展開の支援など、必要な支援を市町村さんに行っていただくことが考えられると思います。
また、2段落目でございますが、こういった事業を展開するに当たりまして、都道府県単位での三師会さんなどの医療職能関係団体の皆様に対して、都道府県のレベルでそうした技術的な援助をお願いするといったことも考えられようかと思います。また、保健所も積極的に活用し、市町村に援助していただくといったことが考えられる旨、記載してございます。
11ページ、「7.医療専門職の活用に向けた体制整備」でございます。医療専門職の確保というテーマでございます。
先ほど来申し上げているとおり、こうした一体的な実施につきまして、医療・介護情報を一体的に分析し、地域の健康課題を整理し、対象者の方を抽出(スクリーニング)し、さらに、効果的な事業の企画・実施を進める。加えて、通いの場などで専門的な健康相談を行っていただく。そういった事業全体のコーディネートということが求められてきます。
そうした取り組みを実施していくに当たりまして、次の段落ですが、医療専門職の方による対応が不可欠であります。ただ、現状の市町村におきましては、現行の体制で現在のお仕事をしていただく中で、非常に体制的な難しさがございますので、こうした新たな業務のための医療専門職の体制整備というものが求められると考えられます。
そういったことに対応するため、第3段落でございますけれども、医療専門職を確保できるよう、市町村さんに対して交付する財源を確保する必要がある旨、指摘してございます。
続きまして、国保中央会・国保連による支援でございます。一体的な実施を推進するに当たりまして、専門的知見に基づく分析など、こういった一体的実施の全体像を企画するという役割が必要になりますが、かなり高度な取り組みになります。こういった高度な取り組みをしていただくためにも専門的な支援ということが必要不可欠になってまいります。
12ページ、こうした支援を行っていただくに当たりまして、例えば高確法におきましては、国保中央会は高齢者医療の保健事業に関し、必要な援助を行うよう努めなければならない旨の規定は既にございます。ただ、現状、さらにこの市町村さんにもろもろの取り組みをお願いするとすれば、各県における国保連にも同様の役割を担っていただくことが必要ではないかということを書かせていただいてございます。
続きまして、地域の医療職能関係団体等との連携でございます。一体的な実施の展開に当たりましては、国保の保健事業等と同様、三師会等の地域の関係団体の御協力が不可欠であるといったこと。とりわけ、企画の段階から早目に相談し、保険者や市町村の企画に対する助言・意見などを得ながら、関係者への周知等々を含め、協議を重ねていく。そういった手順が連携の具体的な第一歩になる旨記載してございます。
具体的には、次の段落ですが、フレイル状態にある方を適切な医療サービスに接続するとか、また、場合によってはかかりつけ医の先生から通いの場への参加勧奨をしていただくとか、そういったいろいろな連携がございますが、その点につきまして、あらかじめ関係団体ときちんとした協議、調整を行っていくことが必要なことであります。
続きまして、12ページから13ページにかけて、こういった一体的実施の具体的な事業取り組みに当たりまして、場合によっては市町村だけではなかなか対応し切れない部分がございますので、三師会さん等に協力を要請して、委託等を通じて取り組んでいただくこともあろうかと思います。そういった旨を記載してございます。
13ページの下、「8.医療・介護情報等の一体的な分析、データ活用等」でございます。こちらにつきましても、種々御議論を頂戴しておりました。KDB等による医療情報等の接続であります。こうした一体的実施を含めまして、保健事業や介護予防を効果的に実施するためには、一人一人の医療・介護情報や健診等の情報を一定期間時系列に沿ってひもづけし、心身の状況を把握する必要がございます。
例えば、市町村が後期高齢者の方の状況を把握するに当たって、市町村さんが持っている情報だけではなく広域連合が持っている情報にも当然アクセスしなければなりませんし、また、市町村の庁内の中でも介護部局、国保部局などがそれぞれまたがって情報を見ることができるような環境が必要でございます。
一番下にもございますように、さらに言えば、後期高齢者の方の過去の履歴みたいな部分についても情報を把握することは必要なことでございます。
そういったことから、14ページの第2段落ですが、KDBのシステム上にはそういった情報が個人個人でひもづけされて、システムの機能的には一体的な把握が可能な状態になっています。しかし、個人情報の問題もございますので、第3段落にございますように、広域連合と市町村間、さらに市町村の庁内におきまして、保険者主体が異なりますとその情報の共有が困難なケースが多く見られて、結果的に一体的に把握・分析できないケースが多い状況でございます。
こういった障壁をクリアするために、例えば次の段落にございますように、個人情報保護法において、「法令に基づく場合」には本人の同意を得ないでデータを第三者に提供することができるということが可能でございますので、そういった旨を法律上明確化し、情報の一体的な活用を促すといったことが考えられる旨、記載してございます。
14ページ下段につきましては、そういった情報を活用しての保健事業の推進につきまして、補足として触れさせていただいております。
15ページ、「9.対象者の参加促進に向けた取組」でございます。できるだけ多くの方にこうした取り組みに加わっていただくといったことから、支援対象者の幅広い把握が必要になります。一つのアプローチといたしまして、ただいま申し上げたKDBの活用ということもございますし、また、日々の生活の中での人間関係を活用させていただく。具体的には民生委員さんの御協力を得るというようないろいろな形でこういった対象者の方を幅広く把握することが必要だという旨を記載しています。
また、さらに、こうした通いの場などに参加していただくということですが、通いの場自体をさらに魅力のあるものにする必要がございます。15ページの一番下にございますが、健康・フレイルに関する指導、相談機能を有するような場であること、また、本人の「気づき」の機会に出会えるような場であること、要するに、参加意欲を促すような取り組みであるといったこと、そういった場にしていくことを意識しておくことが大切であります。
また、先ほど申し上げましたように、日常生活等の拠点においてもそうした健康相談などに触れる機会を用意するといったことも必要な視点だということを書かせていただいています。
さらに、次の次の段落でございますが、行政が直接的にかかわっていないスポーツジム、高齢者向けスポーツの機会など、こういった地域資源を活用するということも必要であり、また、その地域資源がどのような実態となっているかを広く把握する必要があるという点についても指摘してございます。
16ページの下、さらに、市民の参加等、通いの場のあり方についてでございます。こういった取り組みにつきましては、専門職の方々の御協力のみならず、市民の方みずからが参画するといったことが大切になってまいります。具体的には、市民の方がサポーターとなって、個別的な支援には医療専門職の方がかかわりつつ、見守りの視点から市民の方も広くかかわっていくといった取り組みの重要性を指摘してございます。
17ページ、「10.財源の在り方等」でございます。繰り返しでございますけれども、第1段落に医療専門職の体制整備が必要となってまいりますが、市町村の既存の体制では既に多大な業務を負っていることなどから、新たに医療専門職を配置する必要があります。
さらに、2段落でございます。今後の大きな政策課題である健康寿命の延伸、さらには、その地域間格差の解消ということが大きなテーマになっています。そういったことを踏まえますと、全ての広域連合及び全ての市町村において、こうした一体的な実施を広く着実に進めていくための環境を整えることが必要であります。
そうしたことを踏まえますと、実施の財源につきましては、後期高齢者医療制度の保険料財源を基本としつつ、広域連合に交付される特別調整交付金を活用し、専門職人材の新たな配置といった一体的な実施の核となる取り組みについての費用の一部を市町村に交付するといったことが考えられます。加えまして、冒頭のほうで御紹介申し上げた保険者インセンティブ措置なども活用する旨を記載してございます。
また、次の段落でございますが、現状、高齢者の低栄養防止・重症化予防等に関しまして、そのモデル的な事業につきまして国庫補助を行っているところでございますが、今後、保険料財源を基本としつつ、特別調整交付金を活用していくことを踏まえ、安定的な事業展開となるまでの間、先進事例であって、また、他の自治体の参考になるような取り組みについて、国庫補助を行うといったことについても付記してございます。
下の事業の円滑な運用についてでございます。こうした形での財源を市町村におきまして積極的に活用していただくことが必要になってまいります。こういった取り組みに対しまして、市町村が積極的に取り組んでいただくためには、現場での負担感ができるだけ少なくなるようなスキームを採用することが必要です。このため、市町村にとってなるべく自由度の高い形で事業が実施できるような仕組みとすることが必要でございます。
本会議においても御指摘いただいたところでございますけれども、例えば対象となる高齢者の方についてでございますが、75歳以上に限定して声がけするのではなくて、75歳未満の方も含めてお声がけすることが有意義だといった事業がございます。確かに75歳未満の高齢者の方でありましても、いずれは後期高齢者となり、広域連合の被保険者となる可能性が高いということからすれば、早期の健康づくりを開始するといった点で意義があるものであろうと考えます。
また、現場の事務負担といたしましても、年齢で区切って参加者さんを分けるといったことは非常に煩雑な事務を生み出すといったこともございますので、75歳未満の高齢者の方が一部対象となるようなことも前提として、後期高齢者の保健事業の費用を交付するといったことも考えられます。
また、こうした財源を市町村で具体的に活用するに当たりまして、市町村の会計に組み入れるということになりますけれども、そこはそれぞれの御事情に応じまして、適当な会計に組み入れることを可能にするといったこと。こういったことを含めまして、市町村の創意工夫を発揮できる方式を採用することも検討するべきであると記載してございます。
「11.おわりに」でございますが、今後、先進的なモデルの取り組みなどのイメージをもとに、一つに決め打ちすることなく、さまざまなロールモデルを示していくといったようなこと。また、そうした国からのガイドライン等を参考にしていただきまして、広域連合、市町村におきまして、それぞれ協議を進めていただいて、どういった事業展開が考えられるか、国保連さんなどの御協力も得ながらこういった事業を推進していくことが期待されるという形で結ばせていただいております。
続きまして、資料2でございます。1枚目につきましては、前回もごらんいただいております保健事業と介護予防の現状と課題という形でまとめたもの、2枚目でございますけれども、広域連合を中心といたしまして、さまざまな関与者の役割についてスキーム図としてまとめさせていただいております。さらに3枚目でございますけれども、具体に市町村を舞台としてどういった事業が展開されていくのか、展開を期待するのかといったことをこのイメージ図の中にまとめてございます。
小さい番号で恐縮ですが、1から10にかけて、順番にフローを追っていただくような形でごらんいただければありがたいと思います。可能であれば、このそれぞれのスキーム図やイメージ図につきまして、わかりやすい形でごらんいただくためにも、報告書の中にこれも盛り込む形でまとめることができればと考えている次第でございます。
時間が長くなってしまいまして恐縮でございますが、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいま説明のあった内容につきまして、御意見、御質問等をいただければと思います。いかがでございましょう。
横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
実は、きょうお手元に参考資料を配らせていただいておりますが、これは今、御説明いただいたことと密接に関係いたしますので、先に説明と意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元の資料の「フレイルの予防を考える」というホチキスでとめていただいた分と、追加でカラーのより見やすくしたものを配っています。
まず、カラーで追加した「定期健康診断結果一覧」を見ていただくと、実はこれは保健指導の現場で使っているものでございます。この資料は74歳の架空の方ですけれども、皆さんにこのようなデータを見ていただいて、実際に自分の健康がどのようになっているかを示し、血液検査やその他の検査によって注意喚起をするとともに、必要な指導を行うというのがこの表なのです。
これに基づいて、次のページ「健診経年結果一覧」を見ていただくと、10年間にわたって健診結果がどうなっているのかというのを見られるようになっているものがあります。いろいろな面から御本人の健康状況を把握していくわけですけれども、過去の状態や変化をついつい忘れては困りますし、今もお隣の三重県津市健康医療担当理事、松岡さんと話していましたが、よくなったと聞いたから安心して薬をやめたとか、そもそも対策をやめるようになった、健康診査に行かなくなった、それで数年後に悪くなるケースが多々あるようです。そういうことがないようにこういった中長期的なフォローをエビデンスベース、いわゆるきちんとした数値、健康データで示す、KDBが、まさにこれに役立つわけですが、こういったことを行っているわけです。
これに基づいて、ページをめくっていただくと、私ども多久市の保健師が使っている資料をきょう持ってきましたが、糖尿病のタイプはいろいろありますよという説明もさせていただいて、その特徴を御本人様によく示しをしていく。
さらに、もう一枚めくっていただきますと、そもそも血糖値が上がるとどんなふうに体によくないのですかということも、こういったできるだけわかりやすい資料をいろいろなところから調べてきて、それをお示ししながら具体的に説明し、単なる数値ではないですよ、行く行くあなたの血管のこと、内臓のこと、健康全体にかかわりますよということをわかりやすくお示ししながら啓発に努めているところです。
そして、最初のページに戻っていただきたいのですけれども、この会議でもフレイルに関する議論がありますので、私も地元に戻った折に多久市の保健師やドクターの方々と意見交換をさせていただきました。
通常、フレイルというとどうしても筋力が低下してけがをするとか、そちらのほうにも話題が行きがちなのですけれども、長い目で見ていくと、ただいまデータで示しましたように、内臓疾患、特にこの図で見ますと、左側にある高血圧、糖尿病、脂質関係の異常から出てくる病気があります。
これもその次のところにありますように、心疾患、脳疾患、そして、腎臓ですね。CKDは慢性腎臓病ですけれども、こういったものへのシフトが大きくあります。実際にこのことによる疾病とその治療費などについて、私自身は数値が入ったものを見ましたが、それぞれに費用もかかるし治療費もかかるということを具体的にフォローしているところです。
特にこれらの病気に転じていくような傾向をなくす意味でも、本文にも書かれていましたけれども、実はフレイル対策には体全体の健康を保つことが非常に重要であることと、そのことを努力しながら、右側にありますけれども、転倒や骨折を予防するのみならず、健康に努めながら認知症をできるだけ予防していく。そして、生活に困らない体づくりを内臓ともどもしていくことがとても大切だということを、私どもの保健師のスタッフは、この会議の皆さんや多くの関係の皆さんに知ってほしいという気付きとともに、「我々は現場を回っていて本当に強く思いますよ、市長さん」という報告を受けましたので、このことを皆様に、実際に使っている資料の一部を添付しながら御紹介をさせていただいているところでございます。参考になればと思います。
皆様の中でも、特定保健指導とか、受けていらっしゃる方はおそらく類似したものを、あるいは御自身のものを見られたと思いますけれども、まさにこういったことを現場で行っています。これが実は74歳までの前期高齢者がやられるわけですね。そして、後期高齢者に移行するという形になります。
後期高齢者に関しても、ただいま御説明をいただいたような本文の説明にありましたように、途絶えることなくつないで、接続してちゃんと健康のことを管理、指導ができるような体制をすることがとても大切と思っています。後期高齢者の医療制度の立ち上げのときには、まず名称が末期高齢者と勘違いされるのではないかとかいろいろな議論もあって、10年前は、それはそれは騒々しい議論が世論で巻き起こりまして、政治にも大きい影響を与えたところでございました。でも、当時からもいろいろな形の声であったのは、健康のことをきちんとチェックしてやっていくことの重要性、特にこの会議で扱っている保健事業の重要性はどなたもおっしゃっていました。そのことは近年、ますます高まってきていると認識しています。
一方では、組織的に見ますと、複数の構成員の方もおっしゃったように、では、保健師や専門職を後期高齢者医療、広域連合においてきちんと指導すべきではないかという御意見がございましたが、これも本文に書かれていますけれども、組織的な現状から見ますと、なかなかすぐにはこれができない状況があることは否めないところであります。そういった意味でも、本文では「連携」あるいは「密な連結」という旨で書いてありますけれども、構成市町村との協力をきちんとやっていくことが何よりも大切なことかなと認識しています。
しかし、この全体を推進するには、広域連合も法に基づいた保険者でございますので、費用負担を負う分は普通にしなければやむを得ないだろうなと考えておりますが、一方では、国におかれてもぜひ相応の支援をしていただきたいというのが、多分切なる全ての広域連合の思いではないか、ひいては、それは市町村の思いではないかと考えておりますので、ぜひ勘案いただくようにお願いしたいと思っています。
2点目に申し上げたいのは、このような体制をつくって、実際に今日、本文に書かれていること、大変複雑なものを非常にわかりやすく、また、綿密にまとめていただいたと私は思っています。後期高齢者医療広域連合が行うべき保健事業、例えば後期高齢者医療広域連合本体が司令塔的な役割をするのが一番いいかもしれませんし、理想形かとも思います。しかし、現状はただいま申し上げましたように、すぐにはなかなかできない体制でございますので、必要な職員の確保あるいは財政的な支援ということももちろんですけれども、関係する機関と位置づけられている国・都道府県、国保中央会・国保連などの関係される方々の十分な関与あるいはサポートや支援という体制をぜひ明確に確立していただくと、よりよい実施になるのではないかと改めて思っています。
加えて、このことにつきましては、現在、デジタル化社会のトランスフォーメーションが進もうとしていますので、過去にも申し上げましたが、将来、近々予定されるIoTやAIを使った医療とか保健事業の仕事がどんどん入ってくると思います。新たなサービスが可能になる時代ですので、ぜひこういったことも加味したものになっていくと、現場の負担も減りますし、より利便性の高い形で個人個人の方々もお手持ちのスマホで自分の健康をチェック、パーソナルヘルスレコードを見られる時代はもう目の前ですので、ぜひそういったことを加味した対応をお願いしたいと思っています。
各後期高齢者医療広域連合は、47都道府県全てにございますが、それぞれ特徴もございますので、一概に全てが全て同じとは必ずしも言えない面はございますけれども、法制化等に向けましては、国から各後期高齢者医療広域連合にしっかりと御説明もしていただきたいところです。私、後期高齢者医療広域連合を代表して来ていますが、全国高齢者医療広域連合協議会といたしましては、本日示された案には協力をしながら、年配になっても、100歳になっても、元気で健やかにその人らしく暮らすことのできる社会を目指してぜひ努力していきたいなと思っています。
最後に1つだけ付言いたしますと、前回も申し上げたのですけれども、制度的に言いますと退職をされるときの「退職に向けての研修会」などのときに、ぜひフレイルの学習、研修とか、あるいはその後、体はどうなるかということを指導できるようなことも国として施策の中で勘案いただくと、より多くの方々が自分の健やかな老後ということをエンジョイできるではないかと思いますので、あわせてお願いしたいと思っています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 よろしくお願いいたします。
報告書について、気づいた点を幾つか述べさせていただきたいと思います。
2ページ、高齢者の医療保険者としての保健事業の現状について記載があるのですけれども、介護予防事業の現状についてももう少し記述を厚くしていただくことはいかがでしょうか。介護予防事業ではこういう取り組みがあるのだけれども、まだ課題もある、というような課題については、5ページに「保健医療の視点を取り入れる事例は少なく」と、この2行の課題の記載はあるのですけれども、介護予防の観点から見て一体的な実施のメリットもわかるような記載をこれまでの経緯のところに加わえていただくといいのかなと感じました。
それから、横尾構成員もおっしゃいましたように、健診データの活用が非常に重要なのですけれども、モデル事業においてKDBを見てみますと、対象の25%のデータしか登録がなかった。市町村で健診は受けているのだけれども、74歳までは特定健診だから全数をKDBに登録するのだけれども、75歳以上の健診データは義務ではないので取り込んでいなくてデータ化されていないものがあるということです。愛知県でも3分の2ぐらいのデータは取り込んでいるけれども、3分の1ぐらいは取り込めていないということも伺っております。そういう点で言いますと、今後、保健事業で健診データを積極的に活用するに当たっては、KDBなどデータベースへの登録率を高めること。さらには今後の検討になるかとは思いますけれども、質問票の活用も非常に重要になりますので、フレイルに着目した項目など、高齢者の保健事業につながる質問項目などを検討する必要があるのではないかと思いました。
市町村については縦割りになることなくというような記載があるわけですけれども、都道府県についてもこの通達が高齢者の保健事業の担当に行ったとしても、衛生部門に届かなかったりしますと、都道府県から広域連合や市町村へのこのスキーム図にあるような技術的援助がなかなかできにくいのではないかと考えられます。10ページに都道府県は都道府県内の健康課題を俯瞰的に把握できる立場にあり云々ということですが、健康日本21とか医療計画とかの部局と違うと情報が一元化できないということが現実にあるかと思います。都道府県の中での連携について、さらに強化していくことを記載していただいたらいかがかなと。どこの担当課がこの技術支援をするのか、ということについて、現在の記載でははっきりしないような気がします。
それから、広域連合が保険者として非常に重要ですけれども、組織的になかなか動けないところがあるということなのですが、モデル事業を見ていると市町村が積極的に広域連合に働きかけているところがうまくいっているように見えます。市町村が主体的に動く、まずは第一段階としてはそういう取り組みからスタートし、そして、広域連合がノウハウを得るとさらに全県的に広げていくという動きになっているように思います。広域連合が動きやすくするために、まず市町村からの積極的な広域連合へのアプローチが必要ではないかと感じています。
専門職の配置は非常に重要なのですけれども、事務職さんのリテラシーというか、骨組みといいますか、さまざまな健康関連の情報が政策上必要になっていると考えます。専門職を配置すればこれがすぐうまくいくかというと、そうでもないかもしれないという気もしておりまして、広域連合の方も事務職さんが多いわけですから、積極的にこの仕組みについて研鑽を積む機会をつくっていただくのがいいのではないかと考えます。
以上、気づいた点を申し上げました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、手を挙げられた順番で行きますと、石田構成員、阿部代理、まずお願いします。
○石田構成員 ありがとうございます。
今の津下構成員のお話ともちょっと関連するのですけれども、まず、17ページにあります財源のあり方の真ん中あたりで、実施の財源については後期高齢者医療制度の保険料財源を基本とするという形、後期高齢者医療広域連合に交付される特別調整交付金を活用するということ。これがメーンに据えられているということはよくわかったのですけれども、資料2にありますこの図です。その図の一番下には介護保険の説明がされており、相互に関連するという意味の矢印もついております。それから、介護予防・日常生活支援総合事業というものが位置づけられておりまして、この後期高齢者の医療保険ということと、介護保険のほうの予防に関連した財源は、当初、並立した形で考えておりました。今回、財源が後期高齢者医療制度の保険料が基本になるという関連からでしょうか、内容的にも介護予防のところが薄くなっているのではないかという印象を私も同じように受けております。
ですから、この図の中で、いわゆる介護予防という言葉に関連した介護保険の部分は、どのように今回の一体的事業と関連しているかというところを、双方向矢印の意味する内容についてを含め、もう少しわかりやすい形でお示ししていただいたほうが理解できるのではないかということを感じました。ぜひその点のところを検討していただきたく、意見を述べさせていただきました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
阿部代理、お願いいたします。
○阿部代理人 先ほどの津下構成員のお話にも通じることですが、6の実施体制に関わるところで、都道府県による援助等においては健康課題を俯瞰的に把握し、一体的な実施の取り組みが着実に進むよう好事例の横展開の支援を都道府県の役割を明記していただいたのは非常にありがたいと受けとめております。この好事例の展開については都道府県内だけにとどまらず全国的にしっかりと共有することが大事ではないかと思っております。
第1回の本会議で川原部長からも紹介させていただきましたけれども、全国知事会としても、健康立国宣言に基づいて、先進優良事例の横展開ワーキングを現在進めております。現在、全部で21のワーキングを進める予定と聞いておりますけれども、その中で、地域包括ケアシステム分野のワーキングにはさまざまな自治体や専門職の方が参加しておりますので、このワーキングの中で報告書が共有され、検討が進められていくことが津下構成員の御意見にも通ずるところがあるかと思います。ぜひ、この全国知事会のワーキングの中で一体的な実施についても議論ができるように情報を共有していただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
もう一点、先ほど津下構成員から医療専門職の確保の話が幾つか出てきましたけれども、前回の本会議で発言させていただきましたが、市町村が実施すべき役割において必要な職種をしっかりと人材を確保するための財源確保のお願いをしましたけれども、その点につきましては先ほど石田構成員からもお話がありましたが、財源の確保を含めて必要性について11ページに明記していただいたことについては本当にありがたいと思っております。
しかし、イメージ図の1の1を見ますと、保健師等の医療専門職となっております。しかし、先行事例の中では管理栄養士も役割を担っておりましたし、津下構成員からは事務職の役割もありましたので、このようなイメージ図は1回出てしまうと、ここにこういう職種が明記されているということがいろいろなところで重要視されてきます。先進事例からも、市町村においてはまずどの専門職種を配置していくべきかというときには、本文の中にも保健師、管理栄養士の人材確保が明記されておりますので、もし保健師を書くのであれば管理栄養士もぜひ書いていただきたいと思います。そういう意味では、このイメージ図は非常に大事なので、文言とか職種の明記については、少し御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、先ほど手をお挙げになられていた、城守構成員、小玉構成員、お願いします。
○城守構成員 ありがとうございます。
今、何人かの方からお話が出たところと一部通ずるところもあるのですが、まず、この事業ですね。実施主体は基本的には市町村ということになろうかとは思うのですが、先ほど津下先生からもお話がございましたように、うまくいっているところは広域連合とうまく連携できているということですね。
これは本文中にもありますし、ポンチ絵の2枚目にもございますが、広域連合は広域計画を立てて、市町村との連携内容を規定するということになっていて、それを受けて市町村が実施主体ということになるのだろうと思いますが、市町村からすると、余り逆にわかっていない広域連合からいろいろな縛りをかけられた計画を立てられると、かなりやる気をなくすだろうなというところも想定されます。そのあたり、広域連合の広域計画、そして、広域連合が市町村に対してどのようにコミットするかということに関しては、一定の幅を持ったような形の書きぶりをしていただいたほうが、市町村も広域連合もわかりやすいのではないかと思うのが一点でございます。
もう一点は、都道府県の関与ということですが、これは10ページにも都道府県による援助等と書いてございますが、やはりこれを見せていただいていると、やや関与が薄いといいますか、弱いところも見られます。やはり年に一度は評価などを受けるのは恐らく広域連合という形になると思うのですが、都道府県にも報告をして、一度顔を合わせるという機会をつくるということを明記していただいたほうがいいかなと私は思います。
同じように、10ページにも少し書かれておりますが、医療関係団体との連携、これはこの手の計画、事業に関しましては、従来より市町村は独自に勝手にフレームを完全につくってしまって、これで医師会さん、歯科医師さん、よろしくお願いしますよという申し出が多々ございました。それではなかなかうまく連携できないことも多いですので、ここにも記載してございますように、本当にこの企画の段階から各団体と連携して、一緒に組み入れて、それで事業を立案していくということを強く記載していただきたい。
最後にもう一点だけ、この2枚目のポンチ絵の事業の一部を民間機関に委託できるというのが右下のほうにございます。当然、いろいろな難しい分析等も含めて、民間機関に委託しなければならないということは想定されますが、民間機関といいましてもいろいろございますし、場合によってはこの一文で市町村は民間にほぼさらに再委託みたいな、丸投げをされるということもないわけではないと思います。このあたりもしっかりとチェックできる、監視できる体制を組み入れておくということを付記していただければよいかと思います。
私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
小玉構成員、どうぞ。
○小玉構成員 ありがとうございます。
私からは、12ページに記載されておりますオーラルフレイルにつきまして、意見を述べさせていただきたいと思います。また、11ページの医療専門職の確保について、一つ確認をお願いさせていただきたいと思います。
オーラルフレイルは、高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインにも記載されておりますけれども、食べこぼしとか口に関するささいな衰えから始まるもので、フレイルの前段階と言われているものでございます。ただ、可逆的なものでございますので、この18ページの中にも75歳未満の高齢者に対しても対象を広げて対応していただくという記載がございまして、その点、ありがたいなと思っているところでございます。
このオーラルフレイル、フレイル対策が、健康寿命延伸のために寄与するということは重要なものであると考えてございます。日本歯科医師会といたしましても、医師、保健師、管理栄養士との連携に加えて、地域の歯科衛生士とも連携しながら、このオーラルフレイル対策を推進していきたいと思ってございます。
人間の健康状態の変化は、ふだんの生活の中で、このフレイルとかオーラルフレイルに示されるささいな変化からその予兆段階を把握して、それの対策を行うことによって疾病予防につなげるという取り組み、この有識者会議でもそういったことが目途になっていると思います。
そして、健康づくりの場や通いの場で専門職とかかわりを持つことによって、国民一人一人が得られるさまざまな健康情報、先ほど横尾構成員からパーソナルデータということもございましたし、また、津下構成員からも75歳以上のデータをより充実するということがありました。そのデータを得て、必要な情報を得られるのですけれども、さらにそれを適切に理解して解釈して分析して活用するという健康のリテラシーを国民一人一人が高めることも非常に重要なので、今後そのことにも期待したいと思います。
オーラルフレイル、フレイルの対策に関する国民への普及啓発、そのため、市町村と地域の歯科医師会との連携等や、かかりつけ歯科医を通じた通いの場への参加勧奨など、さらに広がりを持って国民の健康寿命の延伸に向けてそれを充実するために我々も頑張っていきたいと思います。
そこで、一つ確認なのですけれども、このような観点から、11ページ目に市町村が実施すべき役割において必要となる保健師や管理栄養士といった専門職を確保できるようにという記載がございます。一つ、歯科衛生士は、フレイル対策の口腔に関する事柄を中心に通いの場における口腔に関する健康相談等に加えまして、地域における保健事業と介護予防の一体的な実施を企画する役割を担うものと考えてございます。
したがいまして、この歯科衛生士を積極的に活用することを考えていただきながら、オーラルフレイル対策を推進していくことも重要と思ってございますけれども、ここに歯科衛生士の活用を想定されておられるかどうかは事務局に確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いいたします。
○込山課長 御質問ありがとうございます。
今、御指摘いただいた点につきましては、今後の事業をどう組み立てていくかという中での今後の検討課題だと考えています。今回、こういった形で記載させていただいたのは、この会で先進事例の御紹介なども含めて、地域全体の保健事業をコーディネートして取り組んでいらっしゃる例として、保健師さんや管理栄養士さんという方に御登場いただきましたので、そういった意味で書かせていただきましたが、現段階で何か決め打ちをしているわけではございませんので、そこは幅を持って今後検討することだと思っています。
○遠藤座長 小玉構成員、どうぞ。
○小玉構成員 市町村の介護予防事業では、既に歯科衛生士がかなり積極的にかかわっておられますし、オーラルフレイルという観点から見れば、歯科衛生士のいろいろな場面での活用というのはあると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
近藤構成員、それから、齊藤構成員、松岡代理の順番でお願いします。
○近藤構成員 まず、この資料2の3枚目の絵、こういうものをいろいろな人が見ながら理解するのがとても大事だと思うのですが、この前のところでは、国保と後期と介護保険、この3つをできるところを一体化するのだというのがあるのですけれども、この絵の中に後期高齢という言葉が見出しとしてはないような感じで、どこに位置づくのだろうと一生懸命解読したのですけれども、この赤い右向き矢印の先あたりに何かあるのかなとも読めるのです。後期高齢がどの辺に位置づくというのは明示していただいたほうが、その3者がどういう形で歩み寄るというか、一緒にやるのだというのが伝わりやすくなるのではないかというのが、まず1点、要望です。
そういう意味では、先ほどどなたかも言っていましたけれども、保健事業から介護予防に近づく面と、介護予防が保健事業を活用する面と、矢印は両方からあるべきではないかとか、その辺は絵の問題ですけれども、こういうものは多くの方がごらんになるので、後期高齢はどこへ行ってしまったのというのは何とかしてほしいなというのが1点目です。
2点目が、津下先生もおっしゃっていましたけれども、介護予防のほうでこの間どういうことが行われて、どういう見直しがあって、そして、今、ここに来ているという流れを文章のほうにももう少し加えていただきたいと私も思いました。
その中では、介護予防は基本チェックリストを全員に送ってやる、いわゆるハイリスクアプローチが中心だったのですけれども、でも、それだけだと空回りするようだという反省から、ポピュレーションアプローチというか、地域づくりで介護予防なのだというほうに、昔から両方大事だと言われていたもう一方の足を太くしてきたような経緯があります。
そういう意味では、今回の一体化を通じて、保健事業にもそういうポピュレーションアプローチというか、地域づくりによる健康なまちづくりという視点を入れるのだというニュアンスは入れていただく必要があるのではないかなと。
前に御紹介したかどうかよく覚えていませんけれども、ある市町村のデータをいただいて分析しますと、同じ市内にも糖尿病の率が2倍多い地域などが見つかったりします。そういう地域課題を分析して、その地域にある環境要因などを徐々に減らしていくような、そんな地域の課題全体を見ていくようなアプローチを一体化することを通じてぜひ進めていただきたいと思います。
それで言いますと、このシェーマの上にある医療・介護データ解析のところが少し気になるのですが、2の情報源が、今、データベースのマークで並んでいるのですけれども、3の地域の健康課題をどうやって把握して整理するのかというデータが、このデータでできるのですかというのはあって、今そういう情報源としては、介護保険のほうの通称、ニーズ調査が一番情報量が多いように思います。そのことを明示していただいたほうが、そういうものを活用して、地域の健康課題の整理・分析するのですよということが明確に伝わるのではないかと。絵にも加えていただきたいですし、本文で言うと、16ページの真ん中辺がこれに対応するような場所かなと思うのですけれども、その16ページの真ん中辺に、地域資源がどのような実態となっているのかを広く把握していくとあるのですけれども、これをニーズ調査等を活用してという形で明示していただくと、市町村がそういうものを使ってやればいいのだという理解が進みやすくなるのではないかと思います。
文章のほうには、ちゃんと地域資源という言葉はあるのですけれども、シェーマのほうには、健康課題を整理・分析とあるのですが、地域の資源を把握するということが入っておりませんで、そこは課題と資源、両方を把握することでどういう資源が足りないところで健康課題が多いのかというのは分析すると見えてくるところはかなりあるように思いますので、資源と課題を両方把握して、資源が足りないところは資源開発していく。そのようなつながりが見えるようにしていただきたいと思います。
あと、データ解析とかデータ分析というものはあちこちにちりばめていただいたのですが、その前の段階にあるデータ結合のところが、昔に比べれば進んできているのですけれども、それをさらに一段進めるぞというのをぜひあちこちで明示していただきたいと思います。そうしないと、今使えるデータでできる範囲の分析ということになると、先ほど言ったような地域の資源の把握とか、それと地域と健康課題の関連などはいつまでたっても見えてこないので、ぜひデータを結合するぞというところも加えていただきたいと思います。
それで言うと、文章のほうで言いますと、14ページのところがデータベースを活用した保健事業等の推進あるいはそのちょっと上の法令に書くぞというところ、これはよくぞ書いていただいたという気がするのですけれども、これも共有は可能になったとは書いてあるのですが、誰がそれを進めるのかとか、誰が結合する中心になるのかみたいなことが書かれていなくて、また美しい譲り合いが始まってしまわないかというのが心配でして、もう市内のことは市町村がやるでしょうし、市町村間比較になると都道府県でしょうし、さらに、そういう他地域で比較しようと思いますと、国がこういう調査票を使って、ニーズ調査については国がひな形を示していますので、それができます。
あと、こういう指標を使ってそういう地域診断を進めるぞという指標については国が示さないと、今までいろいろな自治体とおつき合いしていますと、皆さん独自の項目を工夫してしまって、調査票の文言もちょっと変えたいと言って変えてしまって、結局比較に使えないということをさんざん経験しておりますので、地域の資源の把握とか健康課題の把握等については国のほうでひな形を示して、その地域の評価指標については共通のものでやるのですということは明示しておいていただいたほうが、一体的な取り組みが本当に効果を検証しながらPDCAサイクルを回しながら進めるのに大きな力を発揮すると思いますので、ぜひ御検討ください。
○遠藤座長 ありがとうございました。
御提案あるいは御指摘ということでよろしいですね。とりわけコメントは必要ありますか。
では、どうぞ。
○込山課長 恐れ入ります。念のため、恐縮です。
まず第1点目のポンチスキーム図の3枚目に広域連合がどこへ行ってしまったのというお話なのですが、資料の仕立てがわかりづらくて恐縮なのですが、2枚目がこの全体としてのスキーム図で、3枚目が、このスキームを受けて、市町村でどう事業を展開していただくかということで、ある意味で2枚目と3枚目をセットで考えていただくとありがたいと思います。
という意味で、2枚目にいわゆる保険者たる広域連合がこの一体的な実施も含めて、中心としてこういった関与をするといったことと、加えて申し上げますと、3枚目も一番大事なところですが、1の医療専門職さんを市町村に配置するというところに必要な財源を広域連合で手当てさせていただくという旨をここに記載させていただいているところでございます。
2点目の地域づくりの視点が疾病予防の面で足りないのではないかという御指摘もあったのですが、若干、文章の力が及んでいないのかもしれませんけれども、むしろ事務局としてはその辺を意識的に書いたつもりでございまして、例えば5ページの保健事業と介護予防の一体的な実施の必要性の背景として、疾病予防の面でもこういった社会参加といったアプローチは必要になってきているということは、恐縮ですが、ある意味、意識的に書かせていただいたつもりではありました。
健康課題の把握といった点でございますが、ポンチ絵の3枚目の地域の健康課題を整理・分析といった点がございました。ここは御議論いただきましたKDBデータの活用を念頭に置いています。KDBとしていろいろなもろもろの情報がそれぞれひもづけとしてあって、加えて申し上げますと、個々人のひもづけだけではなく、市町村内の個々の地域ごとに地区分析ができるような仕立てになっています。そうしますと、この地域で一体どういった疾病が課題になっているか、予防の面ではどういった問題があるかという分析ができるだろうということで、これはKDBを活用して、そういった意味での地域課題の分析のツールになると考えています。
それに関連して、医療・介護データの解析にとどまらず結合という御指摘もいただいたのですが、御案内のとおり、KDBデータ自体が既に結合されているデータです。それを逆に専門職の方がどう活用するかという問題で、そういった点で書かせていただいています。もしかしたら先生の問題意識とちょっとずれているのかもしれませんが、趣旨としてはそういうことで書かせていただいた次第です。
もし足りない部分があれば、老健局なりで補足していただければと思います。
○遠藤座長 どうぞ。
○近藤構成員 最後の点だけにとどめますけれども、課題だけだと、課題があることはわかった、でも、何でなのというところがわからないと、結局対策をとにかく頑張ろうみたいなことになって、何を頑張るのかが出てこない。それは資源のことが、今情報がくっついていなくて分析できないからで、それをこちらが一部の自治体にお願いしてやってみたら、それなりにありそうだということが見えてきている、既に市町村は介護保険ならばデータを持っている、でも、それは結合されていないから結局わからないという、その堂々めぐりをしております。ぜひ介護保険課がお持ちのニーズ調査データも、KDBを使ってでもいいですけれども、しっかり結合して分析できるような取り組みが広がると、多くの自治体でこういうことだったのかと納得していただけるものがあるのではないかと思っていて、健康課題だけではなくて資源もぜひ把握することを加えていただき、そのデータとしてのニーズ調査は既に市町村はお持ちですよということを明示していただけたらという趣旨でございました。
○遠藤座長 事務局、何か追加でコメントはありますか。
○黒田課長 老健局総務課長でございます。
このお話は近藤先生のお話のように、これまで医療保険は医療保険、介護は介護とやってきたわけですが、複数のものを組み合わせながら市役所調査、町村の取り組みを応援しましょうというお話ですので、今のお話につきましてはこの文言を調整する中に市町村として活用可能なデータにどんなものがあるのかということを少し書き下すような形で修正を考えたいと思います。どうもありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせいたしました。齊藤構成員、どうぞ。
○齊藤構成員 ありがとうございます。
15ページ以降に、対象者の社会参加の取り組みの重要性について非常にわかりやすくまとめていただきまして、まずはありがとうございます。
通いの場については、御承知のとおり、介護保険でも多様な通いの場をつくっていこう、広めていこうということで出ておりまして、特に日常生活支援総合事業の中ではそれがうたわれて、大半の人たちがそれに取り組むということになっているわけでありますけれども、16ページの最後の段階に、一番最後の行なのですが「また、今後、通いの場の効果検証を行うことも必要である」という書き方がされております。言葉尻をとって恐縮なのですが、今後通いの場の検証を行う必要もあるのではなくて、むしろ通いの場の検証が行われる必要があるからこれをやるのだろうと理解すべきではないかと感じました。
その意味では、何をやるかは各自治体によっていろいろなやり方、取り組みがあるのだろうと思いますが、効果検証をしていくことはとても大事で、やっているかという意味よりは、これからはやっている意味はどういうことなのかということをわかり合っていくことがとても大事ではないか。そういう意味では、PDCAサイクルをちゃんと回すのだ、そして、通いの場の有効性というものをより高めていくのだというようなことがこの中で見てとれるように、記述としてあらわしていただけるとありがたいと感じました。
城守構成員から御指摘がありました、資料2の2ページ目でありますが、私も同様に、この図では小さく委託となって本当に一部委託で小さな書きぶりになっているのですが、悪い例では、介護保険の初期の段階においては、いろいろと事業者サイドの計画が先行してどこの自治体も同じような計画ができていたのではないかというかつての反省を踏まえると、市町村において人の数も少ない、また、多忙だということになると、どうしてもこの隅っこの委託のほうに逃げがちになってはまずいなという気持ちが強くあります。この一部委託ということの意味を、もう少し事務局としては市町村に御理解いただく意味で、幅広ではなくて、少し狭目に書いていただくほうが、市町村の主体性を持った取り組みとしてはありがたいと感じました。
以上であります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいまの御指摘を受けて、事務局、何かコメントはありますか。一部委託についての話です。
お願いいたします。
○黒田課長 まず、前半のお尋ねについてお答え申し上げます。通いの場の効果検証という言葉の語感の話だと思います。先生のお話のとおり、この場所は市役所や町村の役場の皆様や専門職の方々の御理解もいただきながら、比較的必要だよねという実感を持っていただきながらふやしていただいている取り組みだと思っています。そういう意味でいくと、まず検証をしましょうというよりは、広げながら効果を図っていく、効果の実感をしていただきながらバージョンアップしていただくということだと思いますので、そういったニュアンスが酌み取りやすいような文言に直していきたいと思います。前半のお尋ねです。
○遠藤座長 高齢者医療課長、どうぞ。
○込山課長 委託につきましても、貴重な御指摘をありがとうございました。御指摘は全くごもっともだと思います。今回のスキームが、後期高齢者の保健事業として市町村さんも絡めて展開していくに当たって、広域連合さんから、ひいてはお年寄りの方から保険料を頂戴して、その貴重な財源をもとに展開するものでございますので、その内容については相当きちんと厳格に考えていく必要があると思います。
なので、今後の検討ではあるのですけれども、かたく申し上げれば、こういった新たな事業については、基本的には市町村さんが何らかの形で専門職の方をお雇いいただいて、そういった中で展開していくのが基本の形だと思います。ただ、なかなかそれでは地域の実情に応じてうまくいかないよという話ももちろんあろうと思いますので、原則、そういったところにおさえつつ、どういったことができるのか考えていきたいと思っています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。先ほどお手を挙げていた松岡代理人、お願いいたします。
○松岡代理人 ありがとうございます。
今回の一体的実施につきまして、専門的人材確保のための財源措置とか、財源を使いやすい形にということの書き込みがございまして、市町村でやっていくということが基本になるということは理解した上での意見なのですけれども、9ページにもそのようなことが書かれておりまして、城守構成員さんも広域連合の広域計画のことを触れておられました。広域連合で何をやるのか、市町村で何をやるのかが、現在曖昧な状況というのは御承知のとおりだと思います。資料2のイメージ図においても、広域連合の保健事業というのは、市町村に委託・補助、それから、健康診査のみの実施がほとんど、こういったフレーズが書かれております。これがややもすると、今後もそうなってしまわないかなというところも心配するところでございます。
というのも、津市において国保のデータヘルス計画、これを見てみましても、広域連合のデータヘルス計画を見てみましても、高齢者の保健事業の接続というか、連携にかかわるきちんとしたフレーズはなかったように思っております。ですので、今後広域連合の広域計画の中で、きちんと一体的実施についての役割分担を、市町村と調整しながら明確に御記入いただければと感じるところでございます。役割分担が明確になるということで、必然的に我々のデータヘルス計画、それから、介護保険事業計画、こういったものも整合性を持たせることが必要になってまいりますので、そういったことも今後考慮していかなければならないのではないかと、このように思っております。
資料2の3ページ、イメージ図で行くと、広域連合はお金を出すだけみたいな表現になっていますけれども、2枚目のスキーム図の中に、広域連合は広域計画に、広域連合と市町村の連携内容を規定、データヘルス計画に事業の方向性を整理と書かれておりますので、こういったことは重要かなと。意見というよりは感想ということで、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、特段御意見はありますか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
ほかにどうぞ。
それでは、河本構成員、村中代理人、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
今回、先ほども出ておりましたけれども、国、広域連合、市町村、さらに、都道府県、その役割をきちんと整理されて、それぞれの連携について整理いただいたと考えております。その中で若干危惧するのは、市町村による取り組みの違いというか、質の面、量の面を含めて、そういった市町村による取り組みの違いみたいなものが出てきてしまうということがないのか。当然ある程度の違いはやむを得ないと思うのですけれども、その取り組みの違いをミニマイズする取り組みが必要なのかなと考えております。
もちろん広域計画をきちんとつくり、データヘルス計画をつくって、それをそのPDCAを回していく、チェックしていくというのもございますし、先ほどの都道府県の役割の中で助言という話も出ておりましたけれども、市町村の取り組みの違いが余り大きくならないような仕組みというものは必要なのかなと考えております。
感想でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
続きまして、村中代理人、お願いいたします。
○村中代理人
大きくは4点ございます。先ほどお話がございましたように、都道府県において分野横断的な取り組みが必要ということではございましたけれども、市町村においても大変分野横断的な取り組みが必要と考えます。市町村では衛生部門が主に保健活動を行っておりますので、俯瞰的な立場から保健事業を見ることのできる統括的な保健師の意見も踏まえて、既存の保健事業の目的や実施の視点を尊重し、地域性を考慮した取り組みとなるように、加筆いただきたい。
また、このたび、専門職の配置について加筆いただきました。既に市町村では、私どもの調査でも100を超える保健事業を行っておりまして、十分な人の確保ということが重要です。人の確保につなげていただきたいと思っています。
あわせて、市町村が実施しやすいということで申し上げますと、報告書の18ページに「75歳未満の高齢者が一部対象となることも前提として、後期高齢者の保健事業の費用を交付することが考えられる」とございますけれども、一歩進めて「必要である」という書きぶりにしていただきたい。
また、今、市町村ごとの質についての話もございました。市町村を技術的な支援も含めて実際に行っているのは保健所でございますので、ぜひ県及び県保健所ということを入れていただきたい。保健所としてもこうしたことに関わることで質の担保の役割を十分に発揮していただけるのではないかと期待しておりますので、保健所を入れていただきますようお願いしたい。
また、地域の医療職能団体との連携のところでは、ガイドラインには今、実際には三師会等の地域の関係団体と書いていただいていますけれども、看護協会ですとか、栄養士会さんの名前も入ってございますので、ガイドラインの表現と合わせていただけますとありがたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
御要望だったわけですけれども、もし事務局で何かコメントがあれば承りますが、何かありますか。
高齢者医療課長、どうぞ。
○込山課長 恐れ入ります。御意見ありがとうございました。引き続き、検討させていただきたいと思います。
恐縮です。保健所の件につきましては、先ほど都道府県の関与のところですが、10ページです。説明が不十分だったのですけれども、下から7行目から8行目ぐらいですが、保健所も積極的に市町村を援助していくことが考えられるという形でさらっと書かせていただいていた次第でございます。
以上でございます。
○遠藤座長 どうぞ。
○村中代理人 本文のほうに書いていただいているのですけれども、スキームのところにもぜひ、こちらのほうにも都道府県・保健所と入れていただけますとありがたいと思います。
○込山課長 失礼いたしました。検討させていただきます。
○遠藤座長 横尾構成員、どうぞ。
○横尾構成員 今の都道府県の関与についての意見に絡むわけではないのですけれども、政令指定都市は保健行政を持っていると思うのです。ですから、一概に保健所と言ってしまうと、混乱しないようにする必要がありますので、ぜひ整理していただいたほうがいいと思います。
それと一点、気づきなのですけれども、専門職を全ての市町村に置くべきだという意見がどんどんふえてきているように感じているのですが、組織体制が中規模以上だったら大丈夫と思いますが、ごく小規模の自治体などの場合は、1人のスタッフを抱える人件費並びに保健師を1人雇った場合のケースの数とか対応とかがありますので、単独で行くべきなのか、広域連携でも可能なのかなどなど、いろいろな方法を厚生労働省でも考えていらっしゃると思うので、もし検討されることがあるならばそういったことも含んでいただいて、より柔軟で効果的な方法ができるような配慮もしていただくと、それぞれの地域ごとにいろいろな連携もできるのではないかというのが一つの気づきです。
16ページに、「疾病の可逆性」について触れていただいているところがございます。私は、結構この部分は大事かなと思っています。重症化してしまうと、もう戻れない、後はないのかとなってしまうと、希望もなく努力もできなくなりますので、可逆性の可能性が高い場合や可逆性の可能性がある場合については、「もっと努力したらいいですよ」ということをPRしていくこともとても大切ではないかということを改めて感じているところです。
次に、本文中では極めて短いフレーズで入れていただいているのですけれども、15ページに「その人の自己実現も大事にする」というワンフレーズが入っています。とても意味のある記述だなと感じています。多くの方々はそれぞれの立場で人生で自己実現というのも夢でもありますので、こういった配慮があるものは多としたいと思っています。
あと、市町村の創意工夫を入れるようなフレーズが18ページあたりに出ていますし、事務上の負担軽減ができるような配慮を簡素化するというのを入れていただいていますので、ぜひこういったことがより具体的に進むような配慮をお願いしたいと思います。
前回の会議で申し上げましたが、これは老婆心の勝手な杞憂であることを願いますが、国の部局が2つある場合、末端も結局2つになってしまったり、でも、実際には対象者は1人のお年寄りだったり、やっていることはほぼ同じことだったりしますので、それが重複とか複雑な事務作業にならないようにしていただかないと、現場では、「趣旨はわかっている、私たちもいずれ行く人生の後半だなと。でも、何で2つも書類を書かなければいけないの、あるいは何で2つの調査をしなければいけないの」というように、狙いとは違うノイズになってしまいますので、そこら辺は厚生労働省におかれまして、うまく調整なり、シンプリファイするなり、ぜひ御配慮をお願いできたらと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 ありがとうございます。
かなり市町村のほうがやりやすいような形で全体的にまとめられていて、わかりやすい表現が多かったかなと思います。
14ページ、これはお願いといいますか希望なのですが、個人情報の保護法についてというところで、かなり踏み込んで書いていただいて、これで一つ安堵するところもあるのですが、やはり表現がとても美しい表現で、最後のところで「一体的な活用を促すことが考えられる」と。ここを「これでできる」という表現にしていただくことは可能なのかな、さらにいけるのかなという気がいたしました。
それと、これは私が余り詳しくないからからもしれないのですが、最後の財源のところの18ページ、例えば資料2のイメージ図のところで、介護予防のところのサービスを使って実際にそこで保健指導していくときに、財源が、また、それぞれの市町村の実情や事業の中心となる部署に応じて、市町村の適当な会計に組み入れることを可能にするなどと書いてあるのですが、これが地方調整交付金で、地域支援事業でという、その辺が迷われるというか、お金がダブってはいけませんし、その辺、もう少し説明していただけませんでしょうか。
○遠藤座長 それでは、2つございましたので、お願いいたします。
事務局、どうぞ。
○込山課長 恐れ入ります。まず、個人情報の関係でございますけれども、法的な手当てをどう講じて、市町村さんがうまく動けるようにするかは引き続き検討したいと思います。方向性としては、もちろんこういった一体的な実施が可能となるという方向で法的な検討も進めていきたいと思っています。
財源のほうなのですけれども、適当な会計というくだりでした。これは事業の実施体制にもかかわるお話なのですが、今回のようなこういったコラボというか、ミックスのような取り組みについて、要するに、専門職の方が後期高齢者の保健事業としてこの事業を展開し、かつ介護予防なりと一緒にやっていくというスキームになってくるわけです。例えば主たる部署などがどこになるかということで、その辺は市町村さんのそれぞれの御事情があるかと思います。これは仮定の話ですが、例えば、健康づくり部局が中心となってやりますというときには一般会計に投入するということもありますし、国保部局が中心となりますとなれば国保特会に入れることもあるかもしれないし、さらに言えば、地域支援事業のところで介護のほうが主役になりますよと。そこに保健事業がお手伝いするような組み込みもあります。そういった場合には介護特会ということになろうかと思います。そういったいろいろな市町村ごとの得意なやり方に合わせた形で会計上の処理もできるようにという趣旨で書かせていただいております。
○遠藤座長 田中構成員、いかがでしょうか。
○田中構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 補足をお願いします。
○黒田課長 先ほどの田中構成員のお話に若干補足させていただきます。
事業の実施の形態は通いの場を活用する。これは介護のほうで用意する場所。それに医療専門職の方がお知恵をプラスして組み合わせてやっていくという話です。お金の話をまずしますと、お金は、例えば介護保険の事業については介護保険特会の中で、根拠法もはっきりしていてということになりますし、今回新しく組み込まれるこの制度は、恐らく高齢者医療確保法に基づく事業ということになるので、まず、法令のレベルでは一応の区別がされた状態になっています。なので、まざり合ってしまうということではありません。お金はそれぞれとして明確な根拠がある。
あとは、それを現場で組み合わせていただきやすくするための実務上の工夫は、今までのものを超えて柔軟にできるようにしていきましょうというのが発想なので、ここに書かれている適切な会計云々は、それがやりやすくするための会計上の工夫などの、これはむしろ市役所の皆様や町村の役場の皆様とやりやすいやり方をよく工夫しながらやりましょうという意味なので、お金がまじり合ってしまうということではないということだけ追加させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○田中構成員 ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、六路代理人、お願いいたします。
○六路代理人 ありがとうございます。
これはこの会議の当初から申し上げていることですけれども、この事業の評価をしっかりとしていただきたいということを繰り返し申し上げてきたかと思っております。今回のこの中にも、広域の計画あるいはデータヘルス計画でPDCAを回すということを書かれておりますけれども、ここはしっかりと評価をしていただき、効果が上がるもの、上がる事業をつくり上げていくということを今回改めてお願いしたいと思っております。
それと、先ほど来からいろいろと話題は出ているかと思うのですが、私もこの事業に詳しくないものですから、改めてこのイメージ図で見ますと、私も現場の保健師なので、現場でどうやって対象の人の重症化予防あるいは疾病予防、そしてフレイル予防、これを実現させていくのかということをイメージしたときに、高齢者の方、個人差が非常に大きいですし、どの人に対して何をやるかということがどうも具体的にイメージがしづらいなということを思っております。今回の報告書の中にも最後のほうにフローチャート等をつくるということを書かれていますけれども、ここも現場で使えるものにちゃんと形をしていただきたいという、これもお願いでありますけれども、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、絵についてはいろいろと御注文が出ていますけれども、何かコメントはありますか。
○込山課長 できるだけわかりやすい形でまとめたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 ということで、まだ修正があるということです。
津下構成員、お願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。
9ページの事業の具体的な実施体制のところなのですけれども、事業の方向性の明確化、市町村における具体的な・・、都道府県における援助とありますが、この1番目の括弧のところは国の役割と広域連合の役割というようにしたほうがわかりやすいのかなと思いました。国はガイドラインをつくる、また、具体的な進め方や事業評価をするなどの国としての役割は実施体制づくりをする。
次の「こうした」以降は、広域連合のことが書いてあると思うのです。広域連合はこれを進めるために計画をつくるということもそうなのですけれども、計画をつくるときに、国保連合会とか都道府県と一緒になって、また、市町村の意見も聞きながらその計画をつくるということや、広域的な保健事業をする。広域連合は市町村にまたがる事業について、さまざまな啓発の事業などもやっていらっしゃるところもあるので、ここに広域としての具体的な実施の中身ももう少し記載してはいかがでしょうか。先ほどでました市町村格差の是正、やらない市町村に対してでも広域的な事業ができるということになろうかと思います。
広域の役割、もう一つ、インセンティブ制度で得られた財源をどう自治体に配分して保健事業に活用してもらうかという市町村への財政的な支援が重要な役割と思います。市町村への委託という形でどう配分するかなど、広域連合の役割は非常に大きい。なので、具体的な広域連合の役割をここに明記していただくのはどうかと。現に書いてあるのですけれども、そういうタイトルをつけていただいたらいいのではないかと思います。
それから、ガイドラインについてです。先ほど六路代理が言われたことは、ガイドラインの中には記載があるのですけれども、必要に応じて一部こちらに参考資料でつけるとか、または、現行のガイドラインは一体実施を想定したガイドラインでは実はないところもありますので、今回の一体実施の方向性を見きわめながら、ガイドラインもさらにブラッシュアップしていく必要性などについても記載していただいたらどうでしょうかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
原文に対する御指摘をいろいろといただいたわけですが、事務局、何かコメントがあればお願いします。
○込山課長 済みません。書き方が不分明だったところを少し反省しておりますけれども、6のところで書かせていただいたのは、国と広域連合と、そして、市町村にやっていただく、その事業内容をきちんと明確化するという立て方にしたいと思っていました。なので、広域連合だけではなくて、最初に国の事業の指針、ガイドラインをきちんと定めますよと。2点目として、広域連合が広域計画を始め、こういった計画を立てます。2段落目の最後のところがわかりづらかったかもしれませんが、そうした広域計画などを踏まえて、市町村で今度それを具体にどう実施していただくのかを、市町村の計画等で明らかにしていただきますよという3者の主体に即してどういったものをつくっていただくか。そういったことを表現しようかと思ったのですが、そこら辺がわかりにくい点がありますので、整理はさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 見出しの整理をしていただくとわかりやすいのかなと思いました。
一方、市町村のことなのですけれども、これは高齢者担当が読むようになってしまっていて、先ほどの御指摘もありましたが、国保の重症化予防事業では、かなり広域連合と後期高齢と連携して行ってくださいということを国保のプログラムのほうにも書き込んでいるところですので、そのあたりとの接合がいいような記載もふやしていただけるといいのかなと思いました。よろしく御検討ください。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかに、御意見をどうぞ。
飯島構成員、どうぞ。
○飯島構成員
ありがとうございます。
この会議で話し合ってきたものが積み上げられて、きょう提示されているこのワード資料とポンチ絵ができ上がって、特に「国、続いて広域連合、そして市町村という単位がどう連携し支援していくのか」という一番の大きなグランドデザインとフレームワークが示されました。それは素晴らしいことであり、大きく一歩踏み出すにあたり、大きな意義を持つと思います。それを踏まえた上で、これから言うコメントは少し細部の話になってしまうかもしれませんので、この文言にどう盛り込むのかという強いお願いという意味ではなく、一応、この有識者会議の場において関係者全員で意識合わせをしておきたいと思います。その趣旨でコメントさせていただきたいと思います。
先ほどからの全体のグランドデザインとして、集いの場や通いの場において、比較的早期の段階からフレイルの視点に立った評価が下せるように、その流れをどう作るのかという方向で進んできました。その流れの中で、本会議冒頭に横尾構成員から現実的に使われているフローチャート等も見せていただいて、「フレイルというのが単なる筋肉が細まりましたということだけに変に軽く見られてしまわないように」とのコメントをされました。
おっしゃる通りだと思います。少しだけ医学的な話になってしまいますが、実は、フレイル化の最大なる要素として「筋肉の減弱(サルコペニア)」があるのですが、このサルコペニアは自然の加齢変化(すなわちnatural ageing)によって起こってくる一次性のものと、基礎疾患や異常な状態を背景としてさらに惹起・加速される二次性サルコペニア、このような分け方が存在します。そして、そこに強く関連している筋骨格系の障害(ロコモティブシンドローム)、そこに付随する脆弱性骨折や骨粗鬆症なども無視できません。また、普段からそれらをいかに簡便にチェック評価出来ているのか、等、これら危険因子との複雑な絡みのなかで、実は地域や医療機関との上手い連携の中で早期の評価が出来ている訳ではありません。具体的には、脆弱性骨折や骨粗鬆症への評価出来ている高齢者も数少ない現状です。
そう考えますと、確かに大きく2つ考えなければならないと考えます。まず、一つ目と課題として、通いの場や集いの場において、フレイルの視点に立った簡便なチェックをし、評価の結果、「○・△・×」という結果に分かれます。その時の簡易評価のために何の項目をチェックするのか、そして、その地域の場には医療関係者が数多く同席してくれる訳ではないです。その場においていかに簡便かつ切れ味の良い評価項目をどう導入していくかという視点が非常に重要です。
あと、2つ目の視点として、この資料の3枚目のスライドイメージ図において、推進する方向性が1から10まで連続してリストアップされ掲載されております。本日の会議では余り触れられておりませんが、先ほど六路構成員からコメントがありましたように、確かに既存の貴重なデータベースが突合・解析されてしっかりリスクのある住民がリストアップされ、全体を包括的に支援できるような体制を整備したいということになっております。このイメージ図において、5の項目以降は右側にフローが流れて行くわけですが、その中で、例えば、「7通いの場にこの医療専門職が積極的に関与」、「8かかりつけ医等」と書いてあります。すなわち、医療専門職種がどのぐらいの受け皿となって受け止めることが出来るのかという部分があります。さらに、「10最後にフレイル状態にある方を適切に医療サービスに接続を」と記載されております。本会議のまず目指そうとしている方向性は、これら全てが、広域連合、そして市町村自治体という、行政視点が軸となったフレームワークのなかでこのシステム体系を一体的実現するために作成していると理解しております。行政視点のフレームワークの再構築も本会議の一番の軸ではありますが、同時に、この7、8、そしてこの適切に医療サービスに接続とい部分におきましても、非常に大ききなポイントかなとは思っています。
なぜそのような視点を改めて強調したかと言いますと、先ほどコメントしましたように、一言、「フレイル、その背景にある筋肉減弱(サルコペニア)、ロコモ、個々の生活習慣病や危険因子の管理、等」といっても、住民自体が、そしてそこに指導する専門職種自信がこれらの基礎知識を持っていなければなりません。この有識者会議の成果報告書の中のイメージ図にはあえて言葉として載せる話ではないと思いますが、「フレイルとはどのような概念なのか、なぜフレイル要望や対策が求められているのか、なぜそれが地域ぐるみで地域づくりの中で実現することを求められているのか、等」の基礎知識とその対応策、スキームが全体的に啓発・教育されなければなりません。
今回の報告書内のイメージ図では全体的な大きなグランドデザインを示すものですので、本日の会議における私のこのコメント自体は少し細部になってしまいますが、それらの基礎知識の底上げもしっかりと並行して強化し、行政視点での枠組み整理に加えて、「地域の現場でどのようにトリアージし、どのように具体的にリスク住民を継続的にレールに乗せるのか、という落とし込みの部分」をしっかりと構築出来ればと願っております。
長くなり、申し訳ございいませんでした。
○遠藤座長 ありがとうございました。
事務局にお尋ねしますけれども、このようなより詳細な具体的な事柄と今回の報告書あるいはそれに付随するイメージ図との関係、どのように考えたらよろしいかということ、説明してください。
○込山課長 ありがとうございます。
ただいま飯島先生からもお話があったとおりでございまして、今回はこの事業の実施に当たりまして、どういうスキームで行っていくか、そういうことを中心にまとめさせていただきました。今後、この「11.おわりに」にも書かせていただきましたけれども、ロールモデルであったりフローチャートであったり、そういったことをガイドラインの検討なども含めて今後検討させていただきたいと思います。
また、この点、老健局ともきちんと連携をして、具体のメニューについて、さらなる今後の検討として引き続きやっていきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
したがいまして、御発言があったような内容につきましては、今後の検討という形でまた対応させていただくということなのだと思います。
ほかにございますか。
津下構成員、どうぞ。
○津下構成員 関連して、今、飯島先生がおっしゃったことは、住民全体の健康意識の向上とか知識の普及ということで、衛生部局がこれまでやってきた土台があってのこういうハイリスクというか、リスク抽出ということになると思うのです。
実は昨日、衛生部門の保健師等に対する研修会を愛知県でやったのですが、この一体的取り組みや高齢者の保健事業についてどれだけ知っているかと尋ねると、衛生部門の保健師さんのほうにはほとんど情報が入っていっていないと。フレイルという言葉は知っているし、介護予防はもう随分浸透してきているのですが。衛生部門の保健師さんたちは健康日本21とか、いろいろ市の政策に関与しているのですけれども、そこに本事業をどう入れていくかというのが大きな課題と思います。何度も伝えているつもりなのだけれども、これだけ熱心に議論されていることが現場にうまくなかなか入っていかない。衛生部門の巻き込みというものを意識的に健康局さんとかも一緒になって取り組んでいくこと、健康寿命の延伸ということでは一緒の観点なものですから、そのあたりの記載もまた御検討いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
事務局、この後、お願いします。
○黒田課長 老健局総務課長です。
先生のおっしゃるとおりだと思います。私どもはどちらかというと都道府県行政、市町村行政の分野を扱っていまして、その中で市町村や県とのつき合いもありますので、私どものラインでもこの話をお伝えしております。
恐らく保険局では、どちらかというと自治体とのおつき合いは国民健康保険を通じたおつき合いが中心でして、国保の保健事業の意識は多分あると思いますが、後期のこの分野の今、議論されているテーマについては、新しい分野だという認識だと思います。だから、このルートでもきちんとお伝えする必要があります。
また、先生がおっしゃってくださった健康政策全体のお話を市町にとりあえず特におりていきますと、保健師さんを初め、実際のヘルス行政をやっていらっしゃる方々へのお伝えの仕方も非常に重要です。なので、この3つのラインで私どもはまずきちんと情報をおろすことから取り組む必要があると思います。
その上で、これを後押しするきちんとした形でできるのですと。よくあるのです。国も一過性の予算だけを確保してやっている事業はよくやるのですが、今回の話はそうではないのですよという話をあわせてお伝えできるかどうかで受けとめていただき方は随分違うだろうというのが、私どもの受けている印象です。ですので、私どもとしても、先生のお話はまことにそのとおりだと思いますし、部局の縦割りということではなくて、それぞれのラインできちんとお伝えをした上で、今回は今までの予算だけに頼った事業とは少し違うのですという話がきちんとお伝えできるように準備をしていくということで、肝に銘じたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。よろしいですか。
ほかにいかがでございましょうか。
石田構成員、どうぞ。
○石田構成員 最後にといいますか、きょう、こういう形で新しい一体化事業の基盤ができ上がったのかなと思っております。こうしたさまざまな基盤の整備、例えば法的な整備もそうですし、財源などの整備、それから、人材の配置というのもあると思います。
そこで、この先を見据えていきますと、この事業がこれから動き出していって、最後のところで実際に地域に暮らす住民の方々、市民の皆さんの参画がどのように位置づけられ、実践されていくかが最も重要になってくると思います。ですから、最終的にこの図も変わってこなければならにと思います。現在のところ、これはあくまでも専門職をはじめとする専門部門のところの全体が見渡せる図になっていると思います。そこで、今後の課題として考えられていくことだと思いますけれども、市民がどのようにこの事業にかかわっていくかということも、新しい観点で見ていく必要があるのではないかと考えます。これから展開されていく新しい事業については、市民が多様な形でかかわっていくことを想定し、それが従来のようなボランティアの形になるのか、一部この事業に関する委託を請け負うといったて役割を担っていくという形もあろうかと思います。
今後のいろいろな事業展開が行われていく中、ぜひ今回の新しい事業はつねに進展、進化する事業であるという内容を明示していただきたいという要望です。よろしくお願いします
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかに何か。
城守構成員、どうぞ。
○城守構成員 杞憂だと思うのですが、この事業は高齢者の方を適正な医療・介護予防につなげていくためにどういう取り組みをすればいいのか。その中で一つ通いの場というところがクローズアップされているわけですが、この通いの場はここに書いてあるように、医療専門職の方が常駐するということもなかなか難しいだろうという中において、ややもすると、怪しげな商売とはいいませんけれども、そこでいろいろなチラシを配ってこっちに来たらいいよみたいな場所にもなりかねないというところがあり得るかもしれない。そういうところも含めて、この通いの場は何も中立性を担保せよと言っている厳しい話ではないのですが、そのあたりはどう考えておられるのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○黒田課長 ありがとうございます。老健局総務課長です。
通いの場については、介護保険の中で提供されているフォーマルなサービス、デイサービスとかといったものとは違う住民主体の集まりの場所だということなので、形としては公民館を使っているケースもありますし、いろいろな形態があるというのが、その中で広げていただいているというのが今の姿で、どちらかというとウイングを広げていただくところに今は各自治体で注力していただいていると思っています。
一方で、今回の事業は、これは介護予防ではなくて、むしろ法的にもそうですが、高齢者の保健事業、これは国民健康保険の保健事業の系譜を引き継ぐ後期高齢者医療制度における保健事業ですので、これの真ん中にいるのは市町村で、それと広域連合がタイアップしてやりますということなので、これは保健事業の流れをくむものだと私どもは思っています。
保健事業は、先生から先ほどお話がありましたように、市町村と医師会、歯科医師会、薬剤師会を初めとする医療専門職の方々が企画の段階から相談をして始めるというのが保健事業の伝統ですので、そこはすぐれて広域的な事業だと思います。
その2つが出会う場所が通いの場だということだと思っていまして、そういう意味でいっても、今回の形で仮にできて、介護の場所にこういった事業の恩典がもたらされる場合には、透明性、公平性を求められますし、石田構成員からお話がありました住民の方がそれを見ていただきやすいようにということも多分必要だと思います。
これまではそれぞれで歩んできた分野ですが、ここがもしかしたら新しい結節点になるのかもしれませんし、こういったタイアップというのは市役所、町村のお力がなければできませんし、同時に郡市医師会、歯科医師会、薬剤師会を初め、先生方の御協力がなければどうしても形にすることができないと思いますので、今回のものをきっかけにして、ここは非常に広域的な部分、ここはむしろ住民の力があるという役割分担をはっきりさせながら整理していきたいと思います。どうもありがとうございます。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。
横尾構成員。
○横尾構成員 今、出されている案に対してではないのですけれども、議論の途中で後期高齢者医療、広域連合は、ややプロフェッショナルではなくてリーダーシップ、イニシアチブを発揮できていないのではないかという含みの御意見がありましたので、現状だけを説明させていただきます。
いろいろな機会に聞かれているので、構成員の皆さんも御理解が進んでいると思いますが、後期高齢者医療に関する広域連合は10年前に発足しているのです。各構成市町村が人を出してまず組織をしていまして、そこが事務局を担っています。当然、全てが医療職やメディケアとか保健に詳しい人ばかりが来ているわけではないですが、部署部署の必要性に応じて、ある自治体からはこういった専門家、こういった詳しい人を出してくれという形で人員構成をしてそれぞれ運用しているところです。ですから、小なりとはいえども、一つのチームとしてちゃんと機能を果たせる準備をしながらやっていますので、各広域連合でのスタッフはそれなりのやりがいを感じ、使命感も感じ仕事をしているところです。
でも、「それではプロフェッショナル意識が足りないのではないか」という御意見があるのならば、それはこれからの情報収集や切磋琢磨だろうと思っているのです。必要なところは審議会その他で関わっていただいている医師会を初めとした先生方の医療的な知見、また、行政に関しましては、県庁並びに都道府県庁、厚生労働省からのさまざまな情報提供や協議ということなど、全体としてのチーム編成が重要であります。
そして、最も重要なことは、厚生労働省の高齢者医療課長さんにおかれては、実は全国6ブロック全てに足を運んでいただいて、事務局長レベルとの密な懇談会、意見交換会を率直にしていただいています。これは本制度甲斐市から歴代の高齢者医療課長さんもそうされています。その中で、実務的にこういった制度改革が必要だという場合は、6月に首長が構成する広域連合長会議で承認された要望を大臣宛てに行いますけれども、秋の時期には、事務的なことを詰めた上での要望・提案活動もしているところです。
そういったキャッチボールをしながらやっておりますので、それでも「まだまだ君たちは足りないよ」ということであるならば、それはそれとして我々もしっかり受けとめて、よりよい制度の発展のために努力しなければなりません。ちょうど今回、この保健事業と介護予防を一体的に実施するという動きの中でこういった議論になりました。これをよりよくしていくためには、実は厚生労働省のほうで考えていただきたいのは、これはこれでいいのですけれども、次のステージとして、では本当に高齢者になった方々の医療行政や介護行政をどうまとめていくのか、どう一体化するのかというのも次の議論で出てくると思うのです。このことについては、既に議論は厚生労働省内でされていると思いますけれども、ぜひそういったことも重要かなと思っています。
さらに、それを俯瞰して広げていきますとどうなるかというと、ほかの保健行政があるのです。保険者機能もほかにいっぱいあるのです。では、トータルとしてどうするのか。国民健康保険といいながら、今までは市町村保険だったのですね。今度は都道府県保険になるのです。本当に国民健康保険になるならば、ほかの機能もあわせて国としてどうするか。そのことがよりよい福祉国家のベースになっていく議論だと思いますので、ぜひタブー視せずに、積極的な庁内の議論とか識者の方の聴取をしていただいて、あるべき姿を追求し、我々ともまた意見交換をさせていただいて、よりよいものをつくっていくことが人生100年時代のよりよい健康保険、医療につながっていくと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
予定していた時刻にそろそろ近づいておりますので、まとめていかなければなりませんけれども、この報告書案につきましては、有識者会議の報告書という形にしまして、社会保障審議会医療保険部会と介護保険部会に報告をするという段取りになっております。
したがいまして、本日はこの報告書をかためたいと思いますが、いろいろな御意見、非常に示唆的な御意見が出ました。これについてどう扱うかということでございますけれども、もしよろしければ、これは座長預かりという形にさせていただければと思いますが、それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、事務局と相談をしながら修文等々を必要であればさせていただくということで対応させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
本有識者会議、新しいスキームをつくるという大きなミッションを持っていたわけでありますが、およそ2カ月半という短期間に5回、皆様から積極的な御意見をいただきまして、このような報告書ができ上がりました。私からも厚く御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、これをもちまして「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」、終了したいと思います。本当にどうもありがとうございました。
 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 第5回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議議事録(2018年11月22日)

ページの先頭へ戻る