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平成30年10月5日 第3回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議 議事録

老健局老人保健課
保険局高齢者医療課

○日時

平成30年10月5日(金) 10:00~12:00
 

○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)
 

○議題

(1) 事例発表、ヒアリング
  ・ 静岡県、静岡県袋井市
  ・ 国民健康保険中央会
  ・ 津下構成員(高齢者の保健事業のあり方検討ワーキング座長)
(2) 質疑・意見交換

○議事

○遠藤座長 それでは、まだ予定した時間に若干ございますけれども、構成員の皆様、全員おそろいですので、これから第3回「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」を開催したいと思います。
構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、どうもありがとうございます。
会議に先立ちまして、出欠状況等、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○小森補佐 事務局でございます。
構成員の方の出席状況ですが、大澤構成員から御欠席の御連絡をいただいておりまして、代理といたしまして、群馬県健康福祉部長川原武男様に御出席をいただいております。
また、藤井構成員からも御欠席の御連絡をいただいており、代理といたしまして、全国健康保険協会参与六路恵子様に御出席をいただいてございます。
また、鎌田構成員、山本構成員から御欠席の御連絡をいただいております。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。
資料は、開催要綱、座席図のほか、資料1から資料3まで、また、参考資料といたしまして、事務局で作成いたしました参考資料1及び2、また構成員の方から提出の申し出のございました資料といたしまして、参考資料3から参考資料8までがございます。
また、津下構成員の御発表に関連しまして「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン」とその別冊資料集、参考資料をお配りいたしております。配付は構成員の方に限らせていただいておりますが、ガイドラインは厚生労働省のホームページで公開いたしておりますので、傍聴者の方はそちらを御参照いただければと存じます。
さらに、石田構成員からも「高齢者のクスリと今」という題名の冊子をお配りさせていただいております。こちらも数の限りがございまして、構成員の方のみの配付といたしております。
お手元に不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、議事に移りたいと思います。冒頭のカメラ撮りをされている方は、これまでで終了していただきたいと思います。
本日は、まず、議題(1)といたしまして、前回に引き続いて、静岡県及び静岡県袋井市の方から事例発表をいただきます。次いで、関係団体からのヒアリングといたしまして、国民健康保険中央会の方から御発表いただきたいと思います。続きまして、前回申し上げましたとおり、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」の座長を務めておられます津下構成員から御発表いただきたいと思います。これらの御発表が終わりましたらば、議題(2)といたしまして、質疑や意見交換を行いたいと考えております。
なお、前回までにいただいた主な御発言、論点ごとに事務局に整理してもらいまして、参考資料1として机上に配付してあります。次回以降、取りまとめに向けた議論を円滑に進めていくための材料としていただければと思います。
それでは、発表者につきまして、事務局から御紹介をお願いしたいと思います。
○小森補佐 事務局でございます。それでは、順次、御紹介申し上げます。
静岡県健康福祉部理事土屋厚子様。
○土屋静岡県理事 よろしくお願いします。
○小森補佐 静岡県袋井市総合健康センター健康づくり課主幹大石優子様。
○大石静岡県袋井市主幹 よろしくお願いします。
○小森補佐 公益社団法人国民健康保険中央会審議役松岡正樹様。
○松岡国民健康保険中央会審議役 よろしくお願いします。
○小森補佐 事務局より、以上でございます。
○遠藤座長 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の進め方でございますけれども、まず、御紹介いただきましたお三方と津下構成員から順番に御発表いただきまして、その後にまとめて質疑と意見交換をしたいと思います。
なお、時間の都合上、大変恐縮でございますけれども、お一人につきまして10分から15分程度でお願いしたいと思います。
初めに、静岡県の土屋様と大石様にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○土屋静岡県理事
皆様、おはようございます。静岡県の健康福祉部理事の土屋と申します。きょうは、静岡県の発表と袋井市の発表をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。このような場で発表できることをとても光栄に思っておりますが、ちょっと足ががくがくしながらやっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
静岡県は、人口370万人で、全国で10位の県になります。最近のトピックスとしては、県立大学の顧問の本庶佑先生がノーベル賞を受賞されました。また、いろいろと自然とか文化とか、恵まれたような土地になっております。そして、健康寿命ですけれども、おかげさまで22年、25年、28年の平均の健康寿命は全国2位ということですが、28年は男性6位、女性が13位ということで、トップクラスが危ういような状況です。健康寿命を何とか延ばそうということで、いま一度、県の体制を組み直しております。
そして、静岡県は健康長寿プロジェクトを24年度から、このような5つの項目でやっておりました。その対策としては、今まで健康関心層にいろいろターゲットを当てた取組をしてきましたが、今、人口の7割と言われる無関心層を対象とした健康づくりが必要ということで、企業、事業所、市町村と一緒に大学の先生たちの御協力も得ながら健康づくりの実施体制をつくりました。
そして、静岡県では、平成11年から行ったコホート調査をもとに、運動と栄養と社会参加した方の死亡率が、全く何もやっていない方に比べて半減しているということで、この3分野を使って、ふじ33プログラム、シニア版ふじ33プログラムというものを作成し、33の市町でやっております。
それから、静岡県の健康課題は脳血管疾患が多いということですから、120人の方に協力していただき、24時間蓄尿をやりまして、その結果から、ふじのくにお塩のとりかたチェックを作成しました。市町の特定健診の事後指導とか重症化予防のときとか、いろいろなところで活用していただいております。その紹介は、また袋井市さんのほうからあると思います。
そして、インセンティブ事業ですが、県で健康いきいきカードというものをつくりまして、協力店が今、約900店舗あるのですが、県内、どこでもこのカードが使えて、30の市町がやってくださっております。
県の健康づくりの課題として、、働き盛り世代と子供世代のところにいま一度ターゲットを当てたいということで、健康経営の視点を取り入れた事業を昨年度から進めております。その中で、企業の皆様がCSRというか、地域貢献をしたいという御要望もありまして、社内のヘルシーメニューの提供をいろいろ考えてくれています。地域のひとり暮らしの高齢者が企業の社員食堂を利用して、お食事をしていただけるような取組ができ、孤食を防ぐことにつながればと思っております。
データ分析について御説明いたします。平成8年に総合健康センターというものができまして、ここに県の職員が4名ほど駐在しております。すみません、資料の訂正をお願いしたいのですが、ちょっと古い資料で、健保組合が今、42あります。スズキとかヤマハとか鈴与とかの健保です。その42健保から27年度は全部データをいただきましたので、そういうところで、すみません、訂正をお願いします。
県の役割として地区分析をして、県民の皆様に、自分の地域には、どのような健康課題があるかということを理解していただけるように、国保だけでなく、健保組合、協会けんぽ、共済組合などの全医療保険者から協力をいただいております。健保組合については、一件一件、お願いに歩いてデータを集めました。個人情報を全部消していただいたような状態でデータをいただいております。そして、これは特定健診ですので、40から74歳のマップをつくりました。有意に高いものが赤です。また、65歳から74歳までのマップもこのようにつくりまして、市町のほうに、どのような年代が課題なのかということを今、やっております。
これが高血圧の有病者の女性になります。
こちらのほうが糖尿病の有病者になります。
そして、65歳から74歳がこのようなマップで、男性です。
次に、地区分析ですが、郵便番号をいただいておりますので、全保険者を市町の要望に応じて、小学校区とか中学校区とか、小さな町はちょっと無理なのですけれども、このような分析をしておりまして、県平均と比べるとどれぐらい高いのか、どんな状況なのかというのをやっております。
そして、東部のほうが先ほど赤かったものですから、そのようなことがなぜ起こるのかということで、このように食事の頻度調査もして、なるべくデータを見やすくやっております。
そして、保健事業と一般介護予防事業の連携になりますが、28年度調べでは、35市町のうち、連携ありが13になります。35市町の中には、政令市の浜松市、静岡も入った数字になります。今、最後に御提案したいのが、保健事業はデータヘルス計画に基づき実施されておりまして、介護予防事業は、介護保険事業計画に基づいて実施しております。私は、理事という立場で、また、保健師でもあり、今、県庁内の縦割りのすき間を埋めて市町を支援する形をつくるため、昨年度から取り組んでいるところですが、そこのところがうまくいかないところも実はいろいろと課題があります。
最後にお伝えしたいことですが、保健事業と介護事業を調べてみましたら、8,000人ぐらいの町で、通いの場に来てくれる保健事業の対象者は2人でした。ですので、家に閉じこもって、そこの通いの場まで来られないような高齢者の対策を、保健師として地区分担というものをしながらやっていくという必要性を感じております。
たどたどしい発表でしたが、以上で発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○大石静岡県袋井市主幹 それでは、よろしくお願いします。私は、袋井市の大石と言います。
袋井市は静岡県の西部に位置しています、人口8万8000人、高齢化率23.1%の都市であります。
袋井市は、日本一健康文化都市を宣言していまして、保健・医療・介護構想を策定し、その構想に基づいて平成27年5月に総合健康センターを整備しました。総合健康センターは、1階に介護と福祉を担当する地域包括ケア推進課、社会福祉協議会。2階に保健事業を担当する健康づくり課(保健センター)。そして、同じ建物内に医療として袋井市立聖隷袋井市民病院があり、横の連携を図りながら事業を進めています。
そのうち健康づくり課は、4つの係に分かれていまして、地域健康推進係で地域の健康づくりということで、子供からお年寄りまで、そして介護予防事業も担当しています。職員は、正規、嘱託、臨時、合わせますと、保健師が9名、栄養士6名、看護師4名、事務職4名います。
そのうちの介護予防事業の連携体制ですが、当係の職員を4つのチームに分けまして地区を担当しています。同じく4つのエリアに分かれている地域包括支援センターと連携をとり合いながら事業を進めています。また、健康づくり課から社会福祉協議会に介護予防教室の一部を委託しています。それと、地域包括ケア推進課では、聖隷袋井市民病院の理学療法士、作業療法士と連携をとりながら、この方たちも地域に出て、一緒に介護予防事業に参加してもらっています。
具体的な介護予防事業の地域活動ですけれども、主に3つの教室、事業があります。
1つは、しぞーかでん伝体操と言いまして、DVDを見ながら、公会堂など身近な場所で市民が主体的・継続的に行う体操で、誰でも参加可能というグループです。
2番目に、地域活動サークル、シニアサークルと言いますけれども、運動講師を市から派遣しまして、自主的に公会堂など身近な場所で継続的に運動を行っているグループです。
それと、3番目に、楽笑教室、これは社協に委託している教室ですけれども、市内14カ所、コミュニティセンターがあります。そこで毎月2回、軽運動や仲間との交流を図る教室です。これは、介護認定を受けていない65歳以上の方で、基本チェックリストの項目が一つでも該当する方を主に対象としてやっております。週1回以上の通いの場となりますと、市内53カ所で活動しているところです。
そのうち、しぞーかでん伝体操の経過を簡単に説明させていただきますと、平成27年にこの活動が始まりました。それ以来、徐々に自治会単位で広がってきました。最初は、地域包括支援センターが始めたわけですけれども、その活動を見まして、これはとてもいいのではないかということで、今度は健康づくり課で市内全域を一緒に協力しながらやりましょうということで、今に至っています。
平成29年度は、自治会連合会長会議において、しぞーかでん伝体操を説明して、関係者と連携を図り、プレゼンテーションしながら自治会に広めています。
今年度、平成30年度においては、法人にしぞーかでん伝体操の普及促進事業を委託しましてプレゼンテーションを主にやっていただき、健康づくり課と地域包括支援センターと一緒になって広めているところであります。
このしぞーかでん伝体操は、このように市内全域に、赤い星は週1回以上やっているところ、白い星は週1回未満ということで、月1回から2回、やっているところがありまして、このように広がっています。参加者は1300人程度です。
そして、地域活動サークル、シニアサークルのほうは、1000人ぐらいの方が活動しています。
そして、楽笑教室です。これも市内全域で、行政主体ですけれども、各地区で月2回やっているところです。
今度は、介護予防活動における保健事業の状況です。こちらのほうは、しぞーかでん伝体操のグループに専門職、主に保健師、栄養士、歯科衛生士が出かけていきまして健康講話をしているところです。
シニアサークル活動についても、楽笑教室についても、定期的に出かけて講話をしています。
具体的な内容としては、感染症、インフルエンザの予防であるとか、食事の関係のお話、お口の関係の話と、多種多様の話をさせていただいております。
また、特定健診・保健指導において、フレイル予防と一般介護予防事業について紹介したり、対象者の年齢状況に応じて、市で実施している運動教室を勧めています。特に、高齢者の方は、お住まいの地域のしぞーかでん伝体操等の資料を渡しまして、この地区では、こんな感じで、この場所でやっているよということで参加を勧めています。自分の歩いて行ける場所ですと、皆さん、参加してみようという気持ちになりまして、参加する人数もふえているのかなと感じています。
今度は、保健事業における県との連携ですけれども、先ほどの紹介にもありましたが、県が作成しました特定健康診査の結果から見る静岡県の健康課題、このデータを活用して、地域の健康教室の場で健康教育を実施しております。うちの袋井市は、この図にはないですけれども、糖尿病が多くて、そこだけぼんと赤くなっているというマップがあるのですけれども、それを利用しながら、市民の方に、袋井市は糖尿病が多いということを説明しますと、結構インパクトがありまして、皆さん、関心を持っていただけているのかなと思います。
それと、生活習慣病重症化予防のための若い世代への個別健康教育ということで、減塩と糖分のとり方を、県が作成しました、ふじのくにお塩のとりかたチェックを使用して、若いお母さん方を対象に乳幼児相談の待ち時間に行っています。
次に、取組の成果ですけれども、このように要介護(要支援)認定者数の推移を見ますと、要介護2から5の認定者が、平成28年、29年からだんだんと減っているかなと思われます。これは、ただ単に通いの場が広まったからというだけじゃなくて、介護保険担当の者に聞きますと、袋井市はデイサービスに行っている方がとても多いのですけれども、そこでも介護度を少しでも軽く、ひどくならないように、高くならないようにということで取組を一生懸命やっているということで、そこの取組と通いの場の取組で、このような重症化が少しでも予防されているのかなとちょっと感じております。
それと、認定率の推移を見ますと、県の平均を28年度、同じように下回ってきまして、そのまま維持しているということで、何らかの効果はあるのかなと感じております。
もう一つ、介護保険料も今年度から100円下がったということがありまして、そのことを市民に言いますと、皆さん、とてもやる気になるのかなという感じを受けております。
まとめですが、通いの場等を活用して、フレイル対策や疾病予防等の健康講話を行うことで、より多くの高齢者等に健康情報の提供を行うことができました。平成29年の要介護・要支援の認定者のうち、要介護2から5の認定者が減少して、通いの場の普及も要因の一つと考えられます。通いの場の普及が始まった平成28年から29年の要介護・要支援認定率が0.1%減少していることから、保健事業との一体化を推し進めることで、より効果が期待できるのではないかと感じています。
ところが、通いの場に来ることができない方もたくさんいらっしゃいますので、そういう方の把握とアプローチの方法を検討することが、これからの大事な対策になるのかなと感じております。
以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、国保中央会の松岡参考人から御報告をお願いしたいと思います。
○松岡国民健康保険中央会審議役 国保中央会の審議役を務めております松岡と申します。本日は、「国保データベースシステムの活用及び都道府県在宅保健師会等の活動について」ということでお話しをさせていただきたいと思います。
まず、国保中央会の業務についてでございますけれども、国保連合会及び国保中央会が保険者支援として行う保健事業はさまざまございますけれども、このスライドにあるとおり、今回は本検討会の議論に特に関係いたします、枠で囲んでいるKDBの話と在宅保健師会のお話しをさせていただきたいと思います。
それでは、KDBの関係でございます。KDBシステムは、国保連合会が保険者からの委託を受けて行います各種業務を通じて管理いたします健診・医療・介護保険の情報を活用して、統計情報や個人の健康に関する情報を提供いたしまして、保険者の効率的かつ効果的な保健事業の実施をサポートすることを目的としております。
KDBシステムを使いますと、具体的には保険者等が被保険者ごとの特定健診の結果の分析を行って、個別保健指導の対象者と指導内容を決定できる。
2つ目が、保険者等が、他と比較して、みずからの集団としての特徴を把握して健康課題を明らかにしていくということができます。先ほどの袋井市さんのお話などがございました。こういった保健活動を支援するものに使えるということでございます。
KDBの特徴でございますが、4つございます。
1つ目は、健診・医療・介護の情報を個人単位でひもづけしているということ。
2つ目は、保険者単位より、さらに細分化した地区単位で集計・分析が可能であるということです。
3つ目は、都道府県、同規模保険者、全国集計との比較が可能であるということです。
4つ目は、経年比較、性・年齢別の集計が可能であるということで、こういったことを組み合わせながら分析できるということでございます。
KDBは、毎年、いろいろ機能追加とかしておりまして、30年度からは都道府県でもKDBシステムを利用できるということです。
それから、保健事業単位での集計・分析が可能になるということです。
3つ目が、適正受診・服薬取組の把握が可能になるといったことでございます。
KDBの全体像を簡単に御説明いたしますと、国保連合会のほうで各システムで扱っております健診・医療・介護のデータを、二重の暗号化を行って閉鎖的なネットワークを介して中央会にデータを送ります。中央会のほうでは、右のほうにございますが、データを突合させて個人単位でひもづけをして集計処理を行って、KDB帳票で見ることができる統計情報、個人のデータを作成いたします。処理したデータは、連合会に戻りまして暗号が解除され、ここで個人が特定できるデータとなります。この閉鎖的なネットワークを介して、保険者等がKDBの端末を通して見ることができるという流れになっているわけでございます。
KDBの取り扱っている情報でございますが、ここの図にございますように、国保で扱っている後期高齢者の健診、それから国保・後期高齢者で扱う医療情報、それから介護保険の情報でございます。被用者保険の健診とか医療のデータは入っておりません。
具体的な対象データはこちらになりますが、また後ほど御参照いただければと思います。
それから、先ほどお話しした話の4つの特徴は、ここに示したとおりでございます。
続きまして、データの保有量等でございますが、今、ほぼ100%の保険者に参加していただいております。個人のひもづけのほうですが、健診・医療・介護はかなり高くなっておりますが、国保と後期のほうでは、被用者保険から入ってこられた方など、なかなかひもづけができないということで低くなっております。
次が帳票の例でございます。具体的などんな帳票があるかということですが、まず地域の全体像の把握をする帳票でございます。左のほうに人口構成、被保険者構成などの基礎情報がございまして、真ん中に行きまして赤のところがございますが、健診情報としての質問票の結果、健診結果の集計情報、青のところで医療の情報、右の介護の情報でございます。
上のほうにありますが、このデータを県とか全国で見ていくと比較が行えることになっております。
続きまして、健診の状況の帳票を示しております。ここでは、受診率、メタボの該当者・予備軍、非肥満高血糖の方について出していますが、これを他と比較できることにしております。画面でこのように見えますが、CSV出力することで他のグラフにも加工することが可能でございます。
それから、KDBの医療費の状況を示したのが、この帳票でございます。
次が、被保険者台帳という帳票でございます。個人ごとに健診・医療・介護を受けているかどうか、年度単位で把握できるものになっています。上段が帳票イメージ、下段が帳票をCSV出力した際のイメージです。ここにあります○と●を集計することで、例えば3年間で健診を受けていない人のうち、医療機関は受診しているかどうか。している人はどういった人か。その人は介護を受けているのか等々、人数を集計したり、個別に確認したりするといったことができるものでございます。
こちらは、介護からのデータを使っているものを、帳票からCSV出力してグラフに加工して、認定の状況などを見ているといったこともできるというものでございます。
次が、介護と医療の情報をつなげていきまして、介護の認定を受けている方がどんな病気を持っているかといったことを示した帳票になります。
例として、下段にありますが、多い疾病順から並べてみますと、1号認定者では4番目、5番目に高い脳疾患と糖尿病というのが、2号認定者では脳疾患が2番目、糖尿病が4番目に高くなっている。こんな状況になっていますので、特に65歳以下に対する脳疾患と糖尿病の予防対策が必要ではないかといった分析ができてくるといったことでございます。
続きまして、対象者の抽出と事業参加者の実施前後の比較を行える帳票の紹介でございます。こちらは、本有識者会議の構成員でもあられます津下先生からも御助言をいただきまして、ことしの8月から稼動しているシステムでございます。左側のほうに、後期高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドラインにおける事業の流れがありまして、右側に水色の事業実施概要に沿ってKDBシステムの対応を示しているものでございまして、抽出条件の設定等々の流れを示しているものでございます。
この流れに沿って、例として挙げていますが、画面から入っていくということで操作の仕方を示していますが、介入支援対象者の絞り込み、栄養・重症化予防のところで示していますが、それを選択していくということでございます。
いろいろ入力しまして、例えば低栄養に着目して、前期高齢者のうち、健診結果からBMIが18.5未満の方など、こういった条件を入力して絞っていくということでございます。
介入支援対象者の帳票に移りまして、ここで条件に合致する人などを見て、実際に事業を行っていく実施予防者を選定してチェックを入れていくという形になります。さらに、この人たちについて保健指導して、その状況を帳票に入力する。この入力の状況に応じて、事業参加群、未参加群、中断群に分けられるという形になります。
それぞれの群ごとに比較することになりまして、1つ目に、この中で個人ごとに経年比較できる帳票が上にありまして、参加状況の分類ごとの平均値での比較ができるという形でございます。
画面の帳票の表示項目については、次のページとその次のページを見ていただければと思います。
それで、次に行きまして、服薬の管理の関係も同様にございますが、また後ほど御参照いただければと思います。
以上でございますが、今回の議題についてのKDBシステムの活用の課題でございますが、1つ目は、保険制度をまたいだデータの閲覧といった問題がございます。今のKDBのシステムでは、各保険者が保険制度をまたいで閲覧する場合、基本的には保険制度内で閲覧を閉じるという設計になっております。ただ、各保険者間において、個人情報保護審査会や契約等の調整の上、閲覧権限を設定するということによって、保険制度をまたいで閲覧が可能となっていますが、実現に至っていない保険者も多くございます。こういったことを解消するには、個人情報の保護のもと、制度をまたいだデータを閲覧できる方法の検討が必要だということでございます。
2つ目が、地域包括ケアにかかわる在宅医療関連のデータはKDBの帳票にありませんので、突合CSVを用いて分析するということになります。この在宅医療の状況というのは、都道府県が策定する医療計画で参考資料として活用されていますが、そういったことがございますので、もしやるとすると、さらに開発が必要になってくるということでございます。
KDBシステムについては、国からの御支援をいただいて開発が行われまして、平成25年10月から稼動開始をしておりまして、機能の改善を順次図っておりまして、多数の保険者の方々によってデータヘルスを進めるということで使われております。今後、保険者・連合会から御意見を伺いながら機能の改善・向上を図るとともに、より使いやすくするためのマニュアル作成・研修などを行ってまいりたいと考えております。
次が、在宅保健師会のことでございます。
在宅保健師会の活動の状況でございますが、在宅保健師会は平成10年ごろから主に市町村支援のマンパワーとして各都道府県において設立されてまいりました。県・市区町村等を退職された方が多く在職する保健師などの専門職の会でございます。平成29年10月の調査では、40都府県で設置されていまして、3793人が会員となっております。
活動状況としては、一番多いものは、健康づくり等イベントへの参加となっておりまして、地域住民へのポピュレーション的な活動を行っております。近年は高齢者の保健事業や介護予防事業を地域の中で支援しておりまして、地域サロン活動も全国19都府県で行っております。
事例として、青森・鹿児島の活動を御紹介いたします。青森県でございますが、健康講話の指体操やレクリエーションなどが行われています。鹿児島県では、健康チェックや茶話会などが行われているということでございます。サロン活動を通して、住民からは、閉じこもり予防につながっている。おしゃべりが楽しく、頭の活性につながっているなど開催が待ち遠しく、喜ばれているようでございます。国保連合会では、このような活動を支援しながら、国保・高齢者の保健事業を進めておるところでございます。
私どもの発表は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、最後になりますが、津下構成員から御報告をお願いしたいと思います。
○津下構成員 御紹介ありがとうございます。構成員の津下と申します。
私は、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキング」の座長を務めておりまして、そのガイドライン等について御紹介させていただければと思います。資料3と、きょうはお荷物が多くなりまして大変申しわけないですけれども、ガイドラインの本冊、それから100の事例からまとめました事例集、そしてエビデンス集と、KDBの使用の仕方を掲載しました参考資料集、ワーキングではこのようなものを作成しまして、自治体の方々がこの事業に取り組んでいただけるように支援しているものでございます。
それでは、発表させていただきます。
まず、経緯でございます。平成26年度にフレイルの概念が提唱され、これが27年度に経済財政諮問会議で総合対策が必要だという言及がされました。その27年度に厚生労働科学研究で「後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究」が行われ、辻先生や近藤先生をはじめとする研究者、私も参加しましたけれども、報告書をまとめ、保健事業におけるフレイルの概念整理と取組のエビデンスの検討、ガイドラインの素案を作成いたしました。
28年度には、改正高確法のもと、高齢者の特性に応じた保健指導が広域連合の努力義務となりました。これにあわせまして、28年、29年度と、そのモデル事業が実施されましたが、参加自治体が実施しやすいようにガイドラインの策定に努めるということ、モデル事業の支援・評価に努めるという役割を担うワーキンググループが保険局の検討会のもとで動いております。
具体的な動きですけれども、28年度、29年度、それぞれ28年度にはガイドラインの暫定版、29年度にはガイドライン策定を行いまして、また、今年度、ワーキングおよび作業チームを開きながら、ガイドラインをより現実的に、世の中の状況や市町村の状況に応じて使いやすいものにしていくということで改定作業を進めているという動きをしております。
このガイドラインですけれども、詳しくは本冊を見ていただければと思いますが、大部ですので、抜粋して御説明したいと思います。
まずは、この目的ですけれども、高確法に基づき、広域連合が実施することが望ましい健診や保健指導などの保健事業の内容や手順について、科学的知見を踏まえて提示するということ。特に、広域連合と市町村が協働して一緒になって行う高齢者の健康づくり、また、介護予防等の事業と連携しながら事業を行う場合の役割分担や留意点について整理するという内容でございます。ガイドラインですのでエビデンスに基づいてはいるけれども、現実にどう動いているか、を重視ています。広域連合や市町村がさまざまな形でさまざまな事業をされているわけですけれども、それに横串を刺して、共通的なことはどうなのか、他自治体へ広げられることと広げにくいことがあると思いますので、それを整理してガイドラインとしてまとめたということでございます。
その内容でございますが、保健事業としては、高齢者の特性として低栄養・フレイルが進行していくことや重症化予防ということで、先ほどのKDBのデータ分析にもありましたけれども、要介護の方は多くの病気を抱えているということで、介護予防と疾病の重症化予防の一体的な実施が非常に重要だろうと考えています。
また、役割分担としては、広域連合は健診・レセプトデータを持っておりますけれども、保健事業としては市町村が住民に身近なところで実施することが一般的です。またなかには広域連合が直営で行う場合もあるということで、それぞれの関係性について整理しています。
それから、取組の主な対象者になりますのは、在宅高齢者でフレイル対応、または重症化予防が必要な方。右側にありますけれども、栄養、口腔、服薬、重症化予防などが主な保健事業の内容になっております。
基本的な考え方、このあたりはエビデンスに基づくということで、高齢者特有の加齢に伴う症状群・疾患群と、若いころから引き続き持っている慢性的な疾患の併存が重症化してくる。このようなことを私たちは見ていかなければいけない。また、栄養については、後期高齢者、特に80歳、85歳になると低栄養の方がふえてくる実態や、それから、サルコペニア。内臓脂肪はたまっているけれども、筋肉量が減ってくるような方々も多くいて、BMIはそれほど下がっていないけれども、栄養上の問題が起こっている方もいるということ。
それから、医療費で見ますと、循環器疾患の医療費が伸びてくる。女性においては、筋・骨格系。それから、外因、転倒・骨折などだろうと思われますけれども、こういう疾患群。
そして、NDBを分析した日医総研ワーキングペーパーからの御紹介ですけれども、薬剤の使用の状況で、最も多い、最頻値につきましては、年齢が高くなると疾患の数が7疾患、8疾患、9疾患、そして薬剤も最も多いところで5剤。なかには16剤以上処方の場合もあるというデータ。特に、高齢者で注意しなければいけない薬を重ねて飲んでいる場合もあるという実態も明らかになっております。また、このような薬剤の多剤併用の害というのも近年、警鐘が鳴らされているところであります。
重症化予防につきましては、国保で今、重症化予防事業に取り組んでおりますけれども、透析のピークは後期高齢者にありまして、75歳以上。透析開始年齢はどんどん高齢化しているということがありますので、国保と後期高齢が連携した取組というものが非常に重要になってきます。ただ、若い世代とは違う基準が必要とされます。低血糖防止などが非常に重要になってくるということで、若い方へのガイドラインがそのまま使えるわけではないということを踏まえまして、このガイドラインを作成しています。
後期高齢者の保健事業としましては、在宅で自立した生活が送れる高齢者が増加してくること。そのために生活習慣病の重症化予防や、心身機能の低下防止ということで、ここに示したような事業をやっていこうといことであります。
広域連合はデータヘルスの一環として、どういう状況があるかということを把握することができますので、対象者の抽出とか全体の分析というのは、医療保険者として実施していくということが重要だろうと思います。また、これまでの保健事業でカバーできない対象者について検討していくことが重要だということを記載しています。
ここに記載しましたように、さまざまな国保から連続しての問題、介護予防と連続した問題などが含まれていて、地域全体で取り組む課題として位置づけております。
まさにこの会議ですけれども、保健事業と介護予防が一体的に実施できるといいですねという話をよくしているところでございます。
具体的な取組に入ります。広域連合と市町村が、事業の体制整備、また地域連携体制、事業企画、事業実施、評価とその活用、各段階でそれぞれ持っている機能が異なるところがありますので、広域的な分析やデータを使った事柄については広域連合、また保健事業については市町村に委託するとか、どんなやり方がいいのかということをチェックリスト化しております。
それから、どういうことに取り組むかということについては、医学的な必要性から考えることも大事なのですけれども、その地域でやりやすいことも考慮してメニューを選んでいくことも推奨しています。例えば地域連携の関係で、在宅栄養士や歯科医師会等が協力的だったり、さまざまな関係団体が協力してもらえると、どういうメニューが動きやすいという、地域ごとで動きやすさが違っている。これは、いくら市町村がやりたいと思っても、市町村だけではできないという実態をあらわしているのではないかと思います。
先ほど、対象者の抽出については、健診や基本チェックリストなどを用いて抽出している自治体が多かったということでありますが、モデル事業の中では、該当する対象者は何人いましたかという、全体の自治体での対象者数の把握が不十分な状況というのも多く見受けられました。そこで、ガイドラインでは、例えば健診やレセプトデータ、一定の基準で対象者、右側ですけれども、抽出基準の該当者は何人いますかをまずは把握してもらいます。
さらに、例えば医師が参加を認めない方とか、要介護度から参加が適当ではないという条件を外して予定者を決め、そして、その中でどれだけ参加したかということで、事業のカバー率を正確に把握できるだろうように思います。保健事業ですと、参加者のCの中での変化はどうだったという話はよくあるのですけれども、全体の中でどれぐらいの対象者に仕事をしていて、一方、目の前にあらわれていない人がどれだけいるのかということを把握する上では、このような対象者、基準に合った人がこの地域、自治体に何人いるのかということを把握するのが重要ではないかと考えております。
そこでKDBが非常に役に立つわけですけれども、健診データのある、なし、それからレセプトのある、なしで、このモデル事業参加自治体の状況を見てみますと、健診データがある人が25%、ない人が75%。医療機関を受診している人が上半分で、医療機関を受診していない人が5%ぐらいということであります。健診もデータもなく、医療データもない人がDに入りまして、4.2%。この方たちは健康状態がどうなっているか、よくわからないので、まず一度確認する必要があるかもしれないということ。
A、Bの方は健診データがあるので、健診データから保健事業を考えていくことができるということで、A、Bは健診事業から考えることができる。Cは、健診を受けていないので、自治体にはデータがないけれども、医療機関を受診していて必要性を把握することもできるし、レセプトから状況を間接的に把握することができるだろうという対象者で、この対象の状況に応じて、健診結果から一定の条件で絞り込みをかけ、さらに例えば医療機関で中断しがちな人とか、この人は保健事業を受けてもらったほうがいいだろうかということを、かかりつけ医と相談した上で事業に入っていくなどの取組が推奨されるのではないかと考えています。
健診データから、先ほどKDBで条件設定をするということがありましたが、その基準の例なども示していまして、まずは、この基準で抽出してみる。だけれども、その人数が多過ぎて、とても手が回らない。さらに絞り込むなら、こういう基準はどうだろうかという例示をしているところでございます。レセプトも同じように、レセプトでの抽出条件をかけて、対象者を見ていくということが可能なのですけれども、例えば、誤嚥性肺炎の既往がある方は口腔のプログラムに参加していただいたほうがいいのではないかとか、生活習慣病で言えば、定期的に受診が必要な人であるのに受診中断しがちとか、もともとかかっているのだけれども、ずっと検査も受けていないという状態の検出などができるのではないかと考えています。
それから、健康状態が健診レセプトでわからない場合も、介護情報とか、さまざまな地域の情報などによってグループ分けをしていくということで、ここのところで介護保険のデータが活用できると、より対象者を的確に選定できるのではないかと考えております。これは、昨年度策定した段階での医療保険、保健事業、介護保険との関係性を整理したものでございますけれども、より運用しやすいような仕組みづくりが必要かなと思っています。
また、重症化予防では、国保において、かかりつけ医、専門医、行政が一体となって行う事業が動いておりますので、これと連続性を持って行っていくということも推奨しています。ここから、実際に多くのモデル事業では、こういう連携体制図をつくったり、それから、どういう流れに沿って選定、個別アセスメントをし、指導します。指導はどういう回数でやりますというプログラムを明文化していただくことをお願いしています。マニュアルがない自治体も結構ありますので、どういう対象者に何をやるかということを丁寧に行うということが大切です。
そして、考え方としては、保健指導でできないことに目をつけるのではなく、本人ができることに着目して、それを維持してふやしていくとか、効果を実感できるようにする。また、医療機関へのつなぎや他の地域の事業へのつなぎをしながら、保健事業として掘り起こしをするのですけれども、そこでずっと抱えるのではなく、つないでいくということが非常に重要だろうということ。
それから、テーマも、例えば口腔のテーマから入ったけれども、栄養の問題があるし、運動の問題があるしということで、お互いに関係しております。入り口はどこかにあるかもしれないけれども、複合的な目で高齢者をサポートしていくことが必要だろうと思います。
事業評価については、ストラクチャー、プロセス、アウトプット、アウトカムの指標でチェックしていただくということをやっております。ストラクチャー、プロセスについては、どこまでできているかということをチェックしていただくという進行管理シートをつくりまして、進捗管理、モデル事業でやってまいりました。例えば、最初、着手の状態がだんだんふえてきているという状況も、地域連携も進みつつありますが、それにしても、まだ広域連合と市町村の連携は8割です。マニュアル策定は、ここにありますように37%ですから、6割、マニュアルをつくっていないとか、まだまだ改善していく余地はあるのかなと。
ただ、こういう進捗管理をすることで、この時点で医師会と相談する必要があったかなということを落とさず進めていけるので、いいのではないかという声をいただいています。
それから、事業評価につきましては、自治体で取り組まれている評価例は、このようなものを各プログラムに応じてされていました。
まだ更新する前のKDBシステムを使って、どういうことがわかるかということもやってみました。モデル事業参加自治体住民100万人対象者の中で、健診受診者24.6%、健診未受診者がこの図のとおりで、医療機関も未受診の方が4万5000人いました。それから、データについても、例えば健診の結果血圧が160とか、非常に高いレベルでいる方が何人いるかということが枝分かれのツリーでわかりますので、対象者を取りこぼさず対応できるのではないかと思っています。
また、事業参加者の平均年齢82歳ということでした。今回の非参加群というのは登録していただいた自治体分でありまして、厳密に比較可能というわけではありませんが、どういう対象者が参加しているのだろうか、医療費の状態はどうなのだろうか。医療、介護、歯科医療、介護給付費などがどういうふうに推移していくのだろうか。それから、27年度には罹患していなかったけれども、新規発症がどのぐらい出ているのだろうかなどの観点でKDBを使った分析を試みているところで、今後、多くの自治体がKDBで事業評価ができるようになれば、メニューごとの評価をきちんと効果を見ていくということもできるのかなと思っています。
長期的に見ていかなければいけない事業もありますので、このところは丁寧に分析していく必要があるということをワーキングの中でもディスカッションしているところでございます。
後期高齢者は医療費が急速にふえてまいりますけれども、その前の世代からの予防の重要性ということは変わりありませんし、今後、高齢者がふえ、若い人が減っていく中で、この事業はますます重要と考えております。
以上で私の発表を終わります。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、これから質問及び御意見をいただきたいと思います。本日は、今回、御発表いただいた内容、あるいは前回御発表いただいた内容も踏まえながら、一体的な実施に向けた広域連合とか市町村の体制づくり、あるいは情報の連携等といった視点からの御意見をいただければと思います。
それでは、自由に御発言いただければと思います。いかがでございましょうか。
それでは、前葉構成員、お願いいたします。
○前葉構成員 いつも冒頭で申しわけございません。
今、袋井市さんのお話も聞かせていただいたとおり、地域包括と健康づくり、あるいは社協というところがしっかりと連携してやっていただいているということがよくわかりました。
国保中央会さんからの発表にもありましたように、このKDBの話も、退職後は皆さん、国保へ来るということ。それから、後期高齢者、75歳以上のところ、あるいは介護保険、これら全て市町村がやっておりますので、この専門家会議のテーマの保険と健康づくり、あるいは地域福祉というもののすき間をどう埋めていこうかということになると、市町村でやらせていただくということが、まずもって基本であろうということ、報告を聞けば聞くほど、我々のところがしっかりやらないといけないなと決意を新たにしておるところですが。
問題はやり方なのですけれども、いろいろなやり方があるということで、今、津下構成員からちょっとおっしゃっていただいたように、得意なやり方でやればいいのではないかというスライドも出てきたようでございます。国保が中心となってやるところもあれば、保健師が中心となって動くところもあれば、あるいは高齢福祉の観点から社協さん、民生委員さんなどと一緒にやっていこうということを表に出すところもあるということで、いろいろな得意なやり方を工夫してやっていこうということであろうかと思います。
その際のお金ですが、厚生労働省健康局からいただくという極端な考え方もあるかもしれませんが、そこまでは行かないとしても、まずはメーンターゲットが75歳以上だということでれば、後期高齢者医療広域連合のところへ国費を出していただいて、そこで1回受けとめて、計画的に市町村が、先ほど申し上げましたように得意なやり方でやっていくというスタイルが一番いいのではないかと、報告を聞かせていただきながら考えておりました。国とのフェイスは各県の後期高齢者医療広域連合が受けて、そして市町村に自由度が高い形で、それぞれの高齢者保健事業が実施できるような仕組みをつくっていっていただくということが、ぜひとも必要ではないかと思いました。
済みません、質問になっていなくて、意見だけになってしまいましたが、以上でございます。
○遠藤座長 もちろん、御意見で結構でございます。
ほかに何かございますか。
それでは、横尾構成員、お願いいたします。
○横尾構成員 たまたま後期高齢者の医療についておっしゃっていただいたので、つながってお話しさせていただきます。
後期高齢者の医療保険については、広域連合で対応している訳です。47都道府県単位で広域連合をまとめる組織、全国協議会がありまして、それぞれ意見交換し、具体的な改善提案については、年に2回、厚生労働省に提案・提出もさせていただいているところです。
実際、現場を見ていくと、前回、前々回の話とも関係してくるのですが、市区町村の職員として抱えている、あるいはそこに所属されている保健師さんの意識、行動力が非常に重要です。これがうまく機能できるようにサポートすることが重要だろうと思っています。前回は専門職を置かないのかという御意見もありましたけれども、そこは今のところは市区町村と広域連合の連携と思うところです。
あと、個人的に今日、説明を聞いて感じたことを幾つか述べさせていただきます。
1つは、今日、KDBの資料でも出ていますが、できれば構成員の皆様に、自治体現場の保健師がどのようにデータ整理をしたものを一人ひとりの個人に見せて行動変容につなげているかというデータをお示ししたほうがいいかなとも思いました。
今日、見せていただいたビッグデータも、趨勢を捉える意味で非常に効果があるのですけれども、印象的に言うと、あたかも中央指令室で全体の飛行機の運営を見ているような状況ともいえる訳ですが、実際は一人ひとりの人が本気になって自分自身の健康をつくろうということで動かない限り、受診をせず、健康診査もちゃんと活用しないということで、知っていても行動を変えないということになるのです。行動を変えない限り、生活習慣病や糖尿病は改善できませんので、そういったことのデータが多久市にありますので、よかったらある機会にお示しできればなと思っています。保険者全体としての視点もありますが、一人ひとりの意識や行動ををいかに変えて健康にしていくかということも、より強めていかなければいけないということを改めて感じました。
2点目には、きょう、発表の中で問題提起が国民健康保険の方からありましたが、保険者制度をまたぐデータの閲覧のあり方です。これは極めて大切と思っています。このことは、先に報告がありました静岡県の例でも、総合健康センターをつくられて、いろいろなデータを共有してやっているということで、大変興味深く拝見したのです。けれども、このことには個人情報保護条例も関係します。実は市長会等では有志の市長さんで研究会をしていて、私も入っています。国の方で地方自治体の個人情報条例に関するものをまとめる新たな法整備をしていただいたほうが、効率が極めて高いと思います。
こういった議論をすると、よく霞が関の省庁では、地方分権に反するのではないかとか、個々の事例を大事にしなければいけないと言うことになりがちなのですけれども、そのようなことでは真の変革になりません。どんなことが起こるかといいますと、例えば大規模災害が起こり対応をするとしますと、各々の自治体によって個人情報に関する規則や扱いが違っていますと、それをクリアするための手続きをとるために時間がかかって、情報のリンクができず、迅速な対応ができません。改革改善のスピードアップもできません。
ところが、命を救うことや健康に関することは、日本列島の北にいようと、南にいようと、どこでも同じことが重要ですので、自治体で異なるのではなく、同じ個人情報保護の新しい法体系の中でやったほうが、より的確になると感じております。そういった意味でも、きょう、問題提起された保険制度をまたぐ閲覧、あるいは情報に関する共有、また活用といったことを可能とする新しい法整備が必要と改めて強く感じたところです。
また、ずっと説明を聞いていて思いましたは、将来のマンパワーのことを少し考えさせられました。これだけのことを国家事業としてやったほうがいいと思います。全国のあらゆる方々が自分の健康のことを知って、自分で自分の健康をより良く変えていくことが重要だと思うのです。仮にマニュアルがあっても、指導する保健師の数や自治体職員の数は限りがあります。最終的には、多分、一人一人が本気になって自分のことを思っていて、みずから考え、みずから動くようにしていく必要があると思います。
そういう意味でも、新しい啓発というものをぜひ国にリードしていただきたいと思っています。キャッチコピー的に言うなら、「脱、言われてやること」ということですね。言われてからやっているということは、要は自分で考えていないので、継続性がないことになるのです。意識がないと日々変わりませんので、ぜひそこを啓発するようなことを国としてやっていくことが重要です。今回の内閣改造でも、第一声で安倍総理大臣が言われましたが、静かに迫る国家的危機という中に人口減少と長寿化に関する問題がありますので、マンパワーを確保する意味でも、「みずから考え、みずから動く」人をつくっていくような啓発・広報といったことも、この保健あるいは健康事業の中や、施策の中にぜひ入れていただきたいと思っています。
この3つの意見を言わせていただきます。
1つ質問は、特定健診データを共有して集約してということで、10ページに静岡県の例があったのですけれども、特に大きな苦労とか問題はなかったかどうか、非常にうまく行っているか、行っていないかということを質問させていただきたいと思っております。
○遠藤座長 では、御質問が出ましたので、土屋参考人、お願いいたします。
○土屋静岡県理事
御質問ありがとうございました。
健保組合の常務理事のところを一件一件、回りました。最初、全然相手にしてもらえなかったのですけれども、どうしても静岡県民の健康寿命を延ばしたいということと、県民の皆さんが、自分の地域は血圧が高い地域なのか、糖尿病が多い地域なのか、どんな地域なのかというのを知って、先ほど横尾構成員からもありましたが、一人一人の自覚を促したい。あと、市町長とか市町の職員の皆さんにもわかってほしくて、そのような動きをしました。ただ、単年でしかデータがまとまっていないので、そこは今、とても問題になっております。
以上です。
○遠藤座長 横尾構成員、どうぞ。
○横尾構成員 という現状でございますので、できれば国のほうで決めていただいて、このデータは全部集約する、都道府県単位で健康管理のために活用するという方向性を示して施策にも生かしてもらったほうが、こういった一件一件、巡回する御苦労も、1年でやめなくていいということもできますので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、ほかにどなたか御意見ございますか。
石田構成員、どうぞ。
○石田構成員 ありがとうございます。
静岡の事例について質問が幾つかありますので、教えてください。
20ページにあります保健事業、介護予防の一体的実施の中で、御発表では、これを現在、進めているけれども、なかなか難しい点が多々あるとのことでした。差し支えない範囲の中で具体的にどんな困難があるかということをちょっと教えていただきたいなというのが1点です。
それから、これは袋井の事例でございますけれども、24ページにあります地域健康推進係の2つの内容を拝見いたしますと、保健師さんに加えて栄養士さんのかかわりに非常に特色があるかなと思います。これは、意図的にこういった形でスタッフをそろえたのかということと、栄養指導とか食生活管理のところに重点を置いているのか、その辺を教えていただきたいと思います。
もう一つ、27ページにあります「しぞーかでん伝体操」といった、いろいろな地域に根づいた活動につきまして、ここを運営するスタッフで、先ほど普及促進事業は法人に委託してというお話がありました。この法人というのがどういった法人なのか。例えば、市民のNPOとかを活用しているのか、退職していらっしゃる方々のマンパワーとかを有効に活用した事業なのかどうか、以上の全部で3点、教えていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 では、土屋参考人、大石参考人、それぞれお願いいたします。
○土屋静岡県理事
御質問ありがとうございます。
20ページの保健事業と介護予防事業の連携ですけれども、まず、県庁では、理事という立場で私もかかわらせていただいているのですが、連携を強化するために、組織的にはなるべく打ち合わせ会も持とうとしているのですが、担当課が煩雑で、縦割りのところでなかなか全体が把握できない状況もあります。
そして、静岡県は保健事業と介護予防事業を、35市町村それぞれの県庁の担当者がヒアリングの形で、年2回ぐらい、市町村がどんなことに困っているのか、どんな施策が県として必要なのかというのを聞き取り調査に行ったり、うまく回っている好事例とかを教えていただき、横展開をしようとしている状況にあるのですが、現場のほうは、母子の関係の事業が保健師の業務量的に7割ぐらい占めているところもあるものですから、保健事業とか介護予防事業のほうに保健師の業務量が割けないところもあります。そういう中で、先ほど津下先生がお話してくださったような優先順位をどう決めるのかというのが、現場では大変悩んでいるような状況もあります。
以上です。
○大石静岡県袋井市主幹 袋井市ですけれども、先ほどの1つ目の質問で栄養士の関係ですが、袋井市役所には栄養士が全部で6名います。これは、うちの市長の狙いで、食育にもっと力を入れていこうということで、もともとその人数がいるわけですけれども、そのうちの5名は保健センターで、もう一名は学校給食の関係の課にいます。主には、子供たちの食育と地区活動、食推協の活動等を中心にやっていますけれども、地区活動も介護予防についても、保健師以上にもしかしてやっているかもしれませんけれども、そちらのほうを一緒になってやっております。
それと、しぞーかでん伝体操の委託は、高齢者の生活支援を行っている一般社団法人に所属する市民の方が、自分の90歳を過ぎている親がこの体操をやったら、数年たった今でも介護度が悪化せず維持できているということで、これはぜひとも多くの方にお勧めしたいということで、プレゼンしながら、市民の方に一生懸命PRしてくれています。主には、ホームヘルプサービスとか、ほかのこともやっているのですけれども、これも市からの委託を受けてやりたいということで、一生懸命やってくれています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
それでは、近藤構成員、お願いいたします。
○近藤構成員 主に津下先生に質問になるのですが、健診を受けている人が24%ぐらいというのはわかったのですが、そこで保健事業の対象になりそうな人がどれぐらいで、誘って、どれぐらいの人が来るのかというのが、今、資料を見た範囲で読み取れなかったので、そこを教えていただきたい。
それから、国保連合会のKDBに参加者と非参加者の比較ができるシステムができて、きょう、8月から動き出したというのを知って、大変大きな一歩だなと思いました。ただ、こういうことをやると、元気なほうが保健事業に来ていて、無関心の悪い人が来ていないから、単純な比較では効果はわからないじゃないかと言われてしまいます。来ている人と来ていない人の、来る前の、指導する前の状態が同じになるようにそろえてから比較しないと効果じゃないと言われてしまうのですが、そのようなことが既にできるのか、そういうことをやろうという計画があるのか、その辺もお尋ねしたいと思います。
○遠藤座長 それでは、順番にお答えいただけますか。
○津下構成員 先生、45ページをごらんください。事業の種別によって把握できるわけではありませんけれども、例えばこれが100万人のうち、健診受診者、未受診者があり、さらに医療機関を受診しているか、受診していないかでツリーが分かれ、また健診受診者については、受診勧奨判定値、これは特定健診の基準に基づいて、一定の異常があるかないか。さらに、一番右側ですけれども、受診勧奨で、例えばA1cが7%とか血圧が160-100など、治療が必要か、医療管理が必要な方だけれども、治療につながっていない方が何人いるとか、こういうツリーで保健事業の対象者を絞り込む。
これはその検査データなのですけれども、例えばBMIが20未満とか、健診データのある方はそういう絞り込みがかけられる。今回のKDBの改修で、そういう対象者の一定の基準を入れると何人というのがざっと出て、フラグで参加、非参加が登録できるので、やる気のある人だけじゃなくて、保健事業に自分から手を挙げない人たちにアプローチするためには、こういう情報も必要なのかなと思います。
それから、その次の47ページですけれども、参加群と非参加群のベースラインがすごく違うかというと、そんなに違わなかった。切り口によって若干違う部分もありますけれども、非参加群のデータ数が多ければ、ベースラインをそろえることも十分可能だろうと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、国保中央会、お願いいたします。
○松岡国民健康保険中央会審議役 このシステムについては、8月からこういう形で参加群、非参加群を分けて集計できるというのをやり始めたところですので、今、先生からあった御指摘のことなども今後検討していくということで、課題だと思っております。今、津下先生からもお話がございましたように、その辺の背景を見ることもできますので、そういったところを我々としても課題として受けとめて検討してまいりたいと思います。
○近藤構成員 追加質問があるのですけれども、引っかかった人がこれぐらいというのが46ページでわかるのですが、その人たちに呼びかけて、どれぐらい来てくれるかという。
○津下構成員 今のところ、そういうデータをきちんと出せる自治体は限られています。なので、参加が10人ありました、20人ありました。では、そのバックグラウンドに何人いますかというデータを出すのが難しいのが、現在の状況ではないかと思います。
また、BMIとか、検査値で区切れるものは比較的簡単なのですけれども、それこそ問診などで集めたほうがいい方々については、質問票の利活用というのは非常に大きな課題と思っていまして、こういう保健事業につながる人をうまく発見できるような質問項目についても検討が必要だと、ワーキングの中では議論しているところです。
○近藤構成員 これは厚労省へのお願いになるかと思うのですけれども、基本チェックリストで対象者を見つけて介護予防教室に呼ぼうというのをやっていた9年間で、高齢者人口の5%ぐらいは虚弱に当たりそうだから、その人たちに来てもらおうと頑張ったのだけれども、最終年度でたしか0.8%にとどまって、期待したようになかなか動いてくれないというか、案内しても来ない方がすごく多かったという経験を既にしています。なので、これで絞り込まれるようになったというのは大きな前進だと思いますけれども、果たして打率がどれぐらいなのかもモニタリングしながら。
○津下構成員 多くのところはアウトリーチで、個別に訪問したり、サロンなどで面会するということを保健事業でやっておられます。来てくださいという、手挙げ方式のやり方ではないやり方をとっている自治体が多かったと思います。アウトリーチが大事ではないかと思います。
○近藤構成員 ぜひ、それをやっていただきたくて、今までの呼びかけ方式とこんなに違うのだということを示すと、今までやっていなかったところもすごく動機づけられます。またそういうことをやると、意識の高い人だけではない、むしろ来ない人たちのところにこちらから行ってしまうと、何と表現していいかわからないですけれども、効率というか、ガバレッジというかが高まると期待できますので、ぜひその辺はモニタリングしていただきたいなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、小玉構成員、どうぞ。
○小玉構成員 御発表の皆さん、ありがとうございました。
前回の議論の中でも各地の取組を教えていただいたのですけれども、今回も特定健診で地域の状態がいろいろ違うと。それから、それに対応するいろいろなやり方も、前からやっていらっしゃる特徴的なところで効果も非常に上がっておられるところで、それは病気に対することもそうですし、介護予防についてもそうだなと強く感じました。
津下先生の資料の中でも、対象者の抽出は、レセプトデータを持ってきたり、今も問診がないとなかなかわからない部分もあったと思いますけれども、そういった今までやった健診の中で出てくる方と、これから問診票じゃないとわからない方と、いろいろなレベルの方を同じ高齢者の集いの場でやっていこうという形になります。すると先程市町が中心になってやるという話がありましたけれども、市町の中でもいろいろ違いがあったり、今までの取組の違いがあります。もっと言えば、地域性が大きかったり、文化的な背景が違ったり、住民の方同士のそういったものに対する考え方が基本的に違ったり、かなり大きな問題がまた出てくるかなと思います。
一つの場所でやるのだとすると、国民の皆さんの意識をどう変えていくかという話もありましたけれども、気持ちをどう掘り起こすかとか、それが制度でいくのか、人材でいくのか、そこのまちでの人とのつながりでいくのかというところは、また1つの課題であると思いますので、そのあたり、話が大きくなってしまって申しわけないですけれども、そのような取組も考えてもらえるとありがたいなと思います。
○遠藤座長 どなたかのコメントは要らないですね。御意見ということでよろしゅうございますね。
それでは、お待たせしました。齊藤構成員、どうぞ。
○齊藤構成員 静岡県さんと袋井市さん、ありがとうございました。大変参考になる事例、興味深く拝聴いたしました。その中で、静岡県さんが、特にデータを活用して県内の健康度の状況をマップで見せる。非常に見える化して、わかりやすいということと、それが市町村支援につながっているのだなということを実感いたしましたが、資料の20ページに、連携している市町村は13市町村で、連携なしがまだ多いという資料がございました。恐らくいろいろ御苦労があろうかと思いますが、一番ネックになっている、この連携がなかなかできないという問題はどういう点にあるとお考えなのか、お聞かせいただければと思います。
あわせて、袋井市さんのほうで、現場で実践されて、特に体操が好評で非常に多数の参加者がいらっしゃるということだったのですが、ほかの自治体でも御当地体操といって、いろいろな名称で体操をされておられて、それを元気な高齢者がサポートするという体制も徐々に広がっているなと理解しておりますけれども、ほかの自治体のものも資料を拝見させていただきますと、圧倒的に写真写りは女性が多くて、女性だけの体操教室なのかなという印象を受けてしまうことがままございます。
この会議の冒頭で申し上げましたが、特に男女で見ると、男性の皆様が体操に限らず、いろいろな通いの場に出てくるということが苦手だという感じがいたしておりますけれども、袋井市さんの1300名、男女で構成をどんなふうに見ておられるのか、教えていただければありがたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長 それでは、土屋参考人、大石参考人の順でお願いします。
○土屋静岡県理事
御質問ありがとうございます。
保健事業と介護予防事業の連携の関係ですけれども、地域包括支援センターが一般介護予防事業をやっていたり、民間企業がやっていたり、いろいろな形態があるのですけれども、そこと健康づくりの担当、国保も入るのですが、そこの連携の仕方がまだ打ち合わせレベルで終わってしまっています。打ち合わせをしているだけでは、連携していないと回答している市町もあり、認識の違いもあるものですから、今年度はもう少し精査しないといけない部分があります。
あと、縦割りがネックのところがありまして、人口規模の小さいところでしたら、隣の課の顔が見える関係もあるのですけれども、なかなかそうもいかないところもあったりしておりまして、28年度の調査時点では、県として、こういう連携体制が必要ということをしっかりお伝えするようなこともまだなかなかできていかなかったという状況もあります。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大石参考人、どうぞ。
○大石静岡県袋井市主幹 最初の質問の女性が多いということですけれども、まさに全国の例と一緒でして、女性のほうが多くて、七、八割女性で、そのほかが男性ということになっています。そういう男性は、皆さんが集まって交流みたいな感じでやる場所はどうしても出にくいというのが本当ですけれども、袋井市の総合健康センターでやっている教室に筋トレマシン教室というものがありまして、それはセンターに筋トレマシンをいつも置いていまして、通ってきて筋トレをする教室があるのですけれども、そういう教室だったら男性が多く来ているかなという感じがしますし、男のための健康道場という教室もありまして、男性だけの教室というと男性が結構集まってくるのです。
ということで、男性は男性の集まりやすい、いろいろな形をメニューとしてそろえて、それで呼びかけるというのが大事なのかなと思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
それでは、田中構成員、それから飯島構成員の順番でお願いいたします。
田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 すばらしい発表、どうもありがとうございます。
袋井市さんのほうにちょっとお伺いしたいのですが、地区診断ですが静岡県さんがつくられたようなデータですが、ここの市には糖尿病が多くて、ここには何が多いとか、それを活用してされているということですが、袋井市さんのほうで、恐らく部門は違うかもしれないですが、データヘルス計画をお立てになっているのではないかと思いますが、そういうところとの連携が今後重要になっていくかと思うのですが、データヘルス計画もしくはKDBをどのように利用されて活用されているのか、もしくは課題と思われているなら教えていただきたい。
それから、もう一つ、一体的に進めている中で、介護予防と健康づくりと連携されているみたいですが、その中で、何か問題があるなと思う方と、医師会やかかりつけ医の先生とどういう連携体制をとられているのか、2つお聞きいたします。
○遠藤座長 では、大石参考人、お願いいたします。
○大石静岡県袋井市主幹 最初のデータヘルス計画との連携ということですけれども、そちらのほうは、確かに健康づくり課の中の検診指導係というところでデータヘルス計画を進めておりますけれども、その結果については、共有化を図りながら、袋井市の健康課題として、こういうことがあるのだということは共有化しているところです。具体的に、うちのほうは一般的な広報活動、PR、周知とか、健康情報の提供というところを役割として持ってやっていこう。そして、個別指導のところは、検診指導係の栄養士さんを中心にした個別指導のほうをやっていこうということで、役割分担をしながら進めているところです。
KDBについては、今、説明を聞いたときに、こういうふうに使えるのだというのは、まだしっかりと使えていない状況で、これからもっと使わなければいけないなと感じたところです。こういう活動をしていますと、例えば通いの場で、袋井市の南部地域あたりは一生懸命頑張ってたくさんやっているのですけれども、そういう地域はほかと比べると介護度とか、そういうものがよくなっているのだろうか、本当に差があるのだろうかを調べるのにとても労力がかかるということで、何かこういうKDBを使いながらできると、またいいのかなと、さっき聞いて思いましたけれども、これからもっと使っていきたいなと感じたところです。
以上です。
○遠藤座長 田中構成員、よろしいですか。
○田中構成員 医師会とのかかわりは。
○大石静岡県袋井市主幹 残念ながら、介護予防と医師会との連携というところで、うちで直接何かしているかというと、そういうことはありませんけれども、いろいろな介護予防の健康教育とかに来るときに、地元の先生に講座をお願いするという形の連携かなというところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
お待たせいたしました。飯島構成員、お願いします。
○飯島構成員 東京大学の飯島と言います。
質問というよりは、コメント及び話題提供をさせて頂きます。
先ほど横尾構成員から、KDBも含めた大きなデータによってエビデンスを出していくことの重要性と同時に、一人一人の市民にどう伝えるのかが課題であるというコメントがありました。確かに、一人一人の市民に対して、意識変容、そして行動変容を促すというのは、実は言うは易しで、とても難しいです。情報や専門職からの助言をご本人の耳に伝えるだけでは、そう簡単には人間は変わらないという現実があります。さらにもう一回り、ご本人の「心に落とす」という、いわゆる「気づき」、「自分ごとのように思わせる」という一工夫、二工夫がなければ基本的には変わらないのではないかと思っております。
そこに、また「フレイル概念」を打ち立てた日本老年医学会側としまして、フレイルの本当の概念を、全ての専門職種や行政メンバーがしっかりと熟知した上で、対応して欲しいと願っております。すなわち、そのロジックをどういう風に市民に落とし込んでいくのか、それにより本人の意識がどのように変わってくるかという視点を、専門職も含む関係者がもう一回りしっかりとやらないと、予防活動のなかでも漫然とした形が続いてしまうのではないかという危機感があります。それこそ、私自身が研究を通して「フレイルドミノ」という言葉も世に出していますが、多面的な要素が絡み合っているフレイル状態に対して、しっかりと包括的なアプローチが求められるのです。
そこで、参考資料4番になりますが、数分お時間いただいて、ちょっとだけ御説明して終わりたいと思います。この情報提供は、私自身の活動をご提示するということだけではなく、わが国の取り組んできた予防施策のなかで「今までの弱かったところ」をどうカバーできるのか、という視点をしっかりと考えて、自分自身のモデル活動を構築してきました。
まず、原点は「集う」ということ。次に、そこで「市民が知って気づく」ということ。そして、「自分自身の改善につなげる」ということ、これが一連であり、かつ重要な原点です。市民の全員に向けて、同じ情報を伝え、同じことに参加してくださいと言っても、基本的にはあまり意味がないと思います。むしろ、本人の心の中で「自分自身において、継続性のあることとは何か」ということを本人自身がどう思うのかが重要だと思います。そこに、健康長寿の3つの柱としての「栄養・運動・社会参加」を、自分において三位一体としてどれだけ底上げできるのかという視点を、単に伝えただけではそれこそ鼓膜がただ震えているだけで終わってしまいますので、そこから心に落としていくのかが重要です。そこに一工夫、二工夫が必要なのでしょう。さらに、私自身のこのモデル活動においては、特に男性陣をなるべく入れていこうと工夫してまいりました。
この資料を簡単にご説明いたします。「フレイル予防を通した健康長寿のまちづくり」というタイトルです。集いの場をいかに気づきの場に変えていくのかということにこだわって、モデル構築をしてまいりました。
まずは2ページ目ですが、1、2、3、4と書いてあります。これは詳しい説明は割愛しますが、市民に伝え、意識変容を狙う際に、その情報はエビデンスベースでなければなりません。従って、大規模なコホート研究なども展開し、科学的根拠を積み重ねてまいりました。
そこに、2番に示すように、私は「集いの場、通いの場」において、地域の元気シニアをフレイルサポーターとして養成しております。今は、早二十数自治体が導入してくださっていまして、今年度末で35を超えるくらいの導入自治体になります。それを、元気シニアのサポーターたちが同世代目線で「フレイルチェック」という簡易チェックを実施し、自分もこういう風に気づいたということを同世代目線で伝えていくわけです。それを特に「栄養・運動・社会参加」という三位一体のものとして伝えていく場が展開されております。
そして、3番はその活動が現在全国展開しているということです。実際に、来週からも地方の大都市がどんどん導入されております。そして、全国のデータを集約し、大きなデータベースを構築していく戦略です。
3ページ目ですが、私のこのモデル活動に含まれている「2つの狙い」を示しております。1つ目は、「まず集う」ということ。そして、ただ集えば何でもOKというものではないので、そこにフレイルチェックというものに市民は必ず触れる。このフレイルチェックは全てエビデンスベースで考案してあります。いいデータには青シール、悪いデータに赤シールを貼ります。やりっ放しではなくて、半年単位で必ず継続というレールに乗らなければならない。半年後には、赤信号シールを1枚でも青信号シールに変える。それは、まずは同世代の元気シニアから「私はこうやっている。私はこのように気がついた」という生の言葉を聞いて、参加した市民自身も意識を変容させ、取り入れていくというものです。
2つ目の狙いは、明らかにサポーター自身のためになります。健康管理への考え方とか地域貢献などの気持ちが強く出てきます。全国データをまとめてみますと、現時点では、全国で養成されているこの市民フレイル予防サポーター達の3割強は男性陣が入ってくださっております。特に、都内のモデル地域では半分男性が占めております。
続いて、4ページ目には、この「市民主体のフレイルチェック活動」における特徴とこだわりを列挙してありますので、また御参考にしていただきたいと思います。基本的には「導入自治体の腕くらべ」ということになっております。ですから、我々はこの活動の最低限の基盤を構築してありますが、さらにそのレールの上に乗りながら、どのように工夫したり、どのように市民の再度の参加の割合、いわゆるリピート率を高くしたりするのか、などを各自治体でどう考えるのか、まさに腕くらべという側面があります。
5ページ目以降は、グラフが並んでいます。本日の会議ではお時間がないので、全てを詳細にご説明しませんが、「フレイルはなぜ無視できないのか」という視点で、大規模コホート研究からのエビデンスを並べております。そして、すでに二十数自治体で展開している全国のフレイルチェック活動のデータを集約し、新たなエビデンスを見出したデータも並んでおりますので、後ほどご覧いただければと思います。
例えば6ページ目を見ていただきたいのですが、この「市民主体のフレイルチェック活動」というものは高齢者市民同士だけでワイワイ盛り上がりながら実施するものです。専門職種、特に保健師様とか医師会の先生方などは実際に忙しいこともあり、基本的に市民だけでやるスタイルになっております。しかし、そこではしっかりとした(実測も入った)評価をするということには重きを置いており、必ずトリアージをしていく。言ってしまえば、赤信号シールが多かった方は、やりっ放しは絶対許されないということになっております。リスクの高そうな市民に対して、地域包括支援センター等の専門職につなぐというトリアージ機能を持っております。
あと、筋肉減弱サルコペニアの危険度を評価する「指輪っかテスト」等々を含めて、いかにシンプルなチェックで、そこにエビデンスの強いメッセージがあって、さらに、そこにエンターテインメント性があって楽しく、市民が前向きに参加意欲を持って食いついてくる感じを求めて考案してきたのです。市民の方々に「またいつものあれね」という感情にならないように工夫しなければなりません。そして、資料の写真にありますように、「同世代の人が黄緑色Tシャツであるユニフォームを着てサポーター役をやっているけれども、私は次回からはむしろサポーター側をやってみたい」と思わせたいのです。今のところ、3人に1人の市民は次回にはサポーター側をやりたいと答えてくださっているという結果もあります。
資料にある数々の解析データを見ておいて頂きたいのですが、比較的青シールが多かった市民は、その後の継続傘下において基本的に赤シールは何も増えておりません。一方で、赤シールが多かった市民は、次回には着実に青シールが増えてくるという結果が判明いたしました。それらの結果を踏まえると、市民の方々の心に何かの意識が落ちているかなと、すなわち、意識変容・行動変容を促せているのではないかという手応えは感じております。
例えば、8ページ目に関しましても、これはただ市民活動を構築して実施すればうまくいくという話ではありません。そこには「行政改革」というものが同時にセットで行われなければなりません。先ほど来、自治体行政の縦割り構造の話がありましたが、この活気に溢れた原点となる市民活動、このクリエイティブな市民主体の活動を、オール自治体としてどのように複数の部署でサポートできるのかという部分も重要ではないかと思います。
先ほどの話題としてありましたように、広域連合そして市町村自治体の連携でデータベースをどう構築するのかという大きなお話がありました。それから比較しますと、やや末端の話に聞こえるかもしれませんが、市民の意識変容を狙う、すなわち市民の心に落としていくという視点で考えますと、私が今回ご提示したような市民活動なども行政活動の中にしっかりと位置づけして頂きながら、既存のシステムにどう乗せて上手く連動させていくのかが重要です。そこにもっと一工夫が必要ではないかと思います。
長くなりましたが、話題提供させていただきました。
○遠藤座長 貴重な情報、ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
有澤構成員、どうぞ。
○有澤構成員 ありがとうございます。
意見ですが、薬局というのは、決して医療の提供ばかりでなく、さまざまな薬等、サプリメントというものの提供の場でありまして、最近、フレイルとか、そういうものを耳にして尋ねてくる方も結構いらっしゃいます。そういった中でぜひ活用していただきたいということでありまして、薬局にそういう方が来られると、集いの場があって、こんなことをやっていますよということを広報はできると思うのですね。ぜひ、そういったところで声をかけていただいて活用していただければ、少しでも役に立つのかなと思います。
もう一点は、服薬の重複といったものに関して、お薬手帳というものがかなり普及していまして、前は医療機関ごとに持っていたのが、今、集約化を図って、調べてみると、高齢者の9割ぐらいの方は持っておられて、さらにそれを1冊にまとめられている方が8割ぐらいいます。そういう点からも、これをしっかりと普及させていく。今、電子化という方法もありますので、年齢からすると難しいかもしれませんが、1冊に集約していれば、わざわざデータ化しなくても、かかりつけ薬局というものを決めていただいた中で、そこのところは改善させることもできますので、そういうことも含めて、活用の方法もあるということを発言させていただきます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
城守構成員、どうぞ。
○城守構成員 本日、御発表の皆様方、ありがとうございました。
津下先生と国保連合会の方に少しだけお聞きしたいことがございます。
津下先生、きょうの御発表の29ページ、健診データとレセプトのある、なしで非常にきれいな分析をされて、これが基本の形になるだろうなと見させていただいたのですが。この中で、先ほどのフレイルのお話もそうですけれども、そういう人たちをまず健診・医療につなぐ。つないだ後、さらに集いの場につなぐということが、この事業を成功させるかどうかという大きな一つのキーポイントになると思いますけれども、そのつなぎの役割に関して、先生はいろいろな市町村の取組を見ておられると思いますけれども、医療にかかっている方に関しては、かかりつけ医とか、ある程度明確な部分というのは見てとれるのですが、それ以外に関しては、かなり多くの人材が要ると思います。
保健師さん、栄養士さん、いろいろなことが考えられると思いますけれども、現実問題、これを進めていこうとしたときには、都道府県・国として、基本、何を軸にするのかということは、先生からごらんになって、どう思われるのかというのが1点です。
あと、国保中央会さんに関しては、KDBの取扱範囲に関しては後期高齢者の医療情報が入っているわけですけれども、各市町村にお聞きしますと、なかなかうまくデータがもらえないとか。何がハードルになっているのかわからないのですけれども、そこがうまく連結できていないことが多いとお聞きしています。そのあたり、国保中央会さんのほうから各市町村さんに、こうすればいいのではないかというアドバイスみたいなものがあれば、お願いしたいと思います。
お願いします。
○遠藤座長 それでは、津下構成員からお願いしたいと思います。
○津下構成員 ありがとうございます。
29ページにありますように、健診で市町村が直接顔の見えるというか、健康状態もわかってアプローチできる方が25%しかいない。その残りの部分について、まずはかかりつけ医にかかっていますので、また地域の資源などでどれだけ掘り起こしができるのかということが大事だと思います。
ただ、現状、例えばサロンにその人が行っているかどうかの情報が、KDBとかデータベースにないのです。ですので、その方が介護予防の事業に参加しているからつながっているのだねと把握できていない中で保健事業をやらざるを得ない状況です。アウトリーチすべき人数が余りに多いところはマンパワー面でも保健事業として成り立たないと思うので、対象者を絞り込むことになりますが、この絞りこみの条件に、介護予防に参加しているとか、地域で何らかの活動をしている人とかの把握ができると効率的かなと思います。
今回のKDB改修で後期高齢の保健事業としてかかわっている人のフラグを登録できるようになりましたが、それだけじゃなくて、さまざまな事業への参加の状況がKDB等にフラグが立っていると、本当にアウトリーチしなければいけない人がより絞られてくると思います。今、それがないので、対象者のさらなる絞り込みということができにくい状況にあります。介護認定を受けている人はわかるのですけれども、介護予防の事業、サロン活動に参加しているかどうかということの情報も実は重要なので、そこも一元化できたら非常にいいのかなと思います。先ほど薬局もという、さまざまな事業の参加の状況をどう把握するのか、が課題です。
地域とすでにつながっている方は、できるだけ自立して取り組んでいただいて、どうしても行政がアウトリーチをしなければいけない方はどういう範囲なのかということを見きわめができる形になると、これは将来像なのですけれども、非常にいいのかなと思っています。今は一部の人しか訪問できないというのが現実ではないかと思いますので、保健事業のデータの一元化ということも大事だと思います。
あと、先ほど飯島先生から、心に刺さるとか元気になるとか、私はもう年だと言う人に、まだやれるとか元気が出るような案内を出す。重症化予防で通知をしても来なかった人の中で、10%、15%ですけれども、動いてくださる。それは、通知の工夫とか、これから電話のときにどういうふうに誘いかけるか、このあたりが非常に重要かなと思います。自治体もかなり工夫しているところなので、情報収集したいと考えています。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、松岡参考人、お願いいたします。
○松岡国民健康保険中央会審議役 御指摘、どうもありがとうございます。
KDBをより使いやすくしていくということ、非常に大事でございまして、そういう意味で使い方のマニュアルを示しておりますけれども、それを改善していくといったことでありますとか。
それから、中央会が連合会の研修を行って、連合会のほうが市町村対象にやったりとかございますけれども、そういったところでKDBの使い方とかの研修を行う。そういったことも1つ大事ではないかと思っています。
それから、帳票類でこういったものを入れてほしいという御要望も、保険者の方や連合会からもありますので、それも順次取り入れたりして改善を図っていくということも努力していきたいと思います。
また、国保の保険者努力支援制度でいろいろな指標がありますけれども、そういったことを実施していく上で、KDBを活用するといろいろなデータがとれたり、事業を進めていくことができます。そういったことがどういった点があるかということも、御紹介させていただいてお知らせするといったことでKDBを使っていけば、保険者努力支援制度あるいは国保の後期高齢者のインセンティブ制度がございますけれども、そういったものにも取り組んでいけるといったことも事例としてお示しするということがあろうかと思います。
また、KDBを使った、いい事例もございますので、そういったことを収集して、お知らせをしていくことも大事だと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
城守構成員、よろしいですか。
○城守構成員 ありがとうございました。
そのあたり、各市町村にもそういう事例を丁寧に提示していただいてサポートしていただきたい。
あと、中央会と広域、都道府県にあるわけですけれども、そこで連携の重要性というものも話し合っていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それと、津下先生、ありがとうございました。結局、御高齢の方の把握を誰がするのかという話になって、これは個人情報を含めた個人の問題と大きくバッティングするわけですけれども、どなたがということではなくて、基本的には市町村がどこまでそれに関与できるのかという話になろうと思いますので、そこは先生、将来的には何か絵は描けそうですか。
○津下構成員 一体的な実施の中で行政として共有するということのほか、本人が参加している状況を自分で記録することもあり得るかなと思います。PHRみたいな形、交通系のパスのような形など、さまざまな情報でこの人が動いているのだなということが把握可能であれば、加入者全体を把握した上で行政が手を出さなければいけない範囲というものを絞り込めると思うのです。今は情報がばらばらにあったり、また登録されていなかったりします。本人にも登録してもらうような形も含めて、PHRとか、そういうことも含めて、可能性はいろいろ期待したいなと思っているところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかにございますか。
初めての方を優先しようかと思いますが、ほかにお手が挙がっていないので、小玉構成員、どうぞ。
○小玉構成員 今も高齢者の方の心に届くとか、刺さる、いいことがたくさん伝わるといいのではないかという話もございましたけれども、専門職や行政でそういったところを伝えられればいいかなと思います。私は歯科医師の立場で「食べる楽しみ いつまでも」という標語が歯の衛生週間にあるのですけれども、そういった中で、今、飯島先生が御説明いただいたフレイルの中に、第1回目の会議で申し上げましたけれども、フレイルの先駆けは、かつ舌の低下や食べこぼしや、かたいものがうまく食べられなくなるオーラルフレイルということがあります。その点につきまして、私どもも参考資料7として出させていただいています。
ささいな変化で、健診やいろいろなデータには出てこない部分があります。そこの部分のささいな変化を集った人にわかってもらうということには非常に有効な方法だし、そういった部分でのみんなの気づきが大切かなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、横尾構成員、どうぞ。
○横尾構成員 先ほどから、市区町村がどこまでかかわれるか、無関心層を含め、どうやって参加させるかというのが話題になっていまして、大変重要なことだと思っています。例えば、特定健診受診率等を見ましても、6割になるところもあれば、3割程度にとどまっているところがあります。多久市は努力して、6割台と、かなり上げてきています。そういうことが重要ですが、これから先のことを考えると、実はマイナンバーカードがもう存在しているわけですね。マイナンバーカードを使って記録をとっていくという形にしていけば、時系列的にも捕捉できると思いますし、セキュリティについてはクラウド上にデータを置くとか、いろいろな方法も新たに出てきていますので、そういったことも厚生労働省のほうでぜひ考えていただきたいと思います。
もちろん、医療関係の番号でも、結構ですけれども、国民から見れば、自分に関わる、よいサービスを受けられる制度であるならば参加率は高まっていくと思います。今、享受できるサービスがわからないままにカードをつくりなさいと言われても、なかなか普及できないというのが現状だと思っています。もともとワンカード化しようと安倍総理大臣も官邸でおっしゃったように、そういったことをやっていけば、個別の情報もわかるし、ビッグデータとしての活用も十分可能と思います。ぜひ将来像を含めて検討いただくのが大切かと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
まだ御意見はあるかと思いますけれども、予定した時間に近づいておりますので、本日の御議論はこのぐらいにさせていただきたいと思います。本日、非常に貴重な御報告をいただきました皆様には、大変感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それで、次回は、これまでの御議論を踏まえまして、保健事業と介護予防の一体的な実施についてのスキーム等々について、総合的な議論をしていただくことを考えております。
それから、冒頭申し上げましたように、これまでの議論につきましては、参考資料として事務局がまとめたものがございます。次回以降、これらを中心に、また議論して進めていければと思います。
何か事務局から補足がありますか。
○込山課長 お時間迫った中で恐縮でございます。参考資料1と2をお目通しだけいただければと思います。
座長の先生からも今、お話がございましたように、次回、総合的に御議論を賜りたいと思いますけれども、参考資料1のほうで論点の分類をお示しさせていただいています。
まず、1ページ、1点目でございますが、一体的実施等に関する根本的なテーマでございます事業の目的です。国保の保健事業、後期高齢者の保健事業、それぞれ実施者が分断されているような状況ですが、それをどう考えるか。さらに、保健事業のさまざまな手法の広がりの中で、介護予防との一体化をどういうふうに考えていくのかということでございます。
2点目、2ページでございますが、実施主体について、本日もいろいろ御議論いただいております。後期高齢者の保健事業につきましては、広域連合が保険者として実施の努力義務を負っているところでございますが、きめ細かい対応という面でなかなか困難がある。この点をどういうふうに考えるのかということ。
2ページの下でございますが、専門職人材の活用、体制の整備ということにつきまして、どういった方策があるのかという点でございます。
3ページでございます。保健事業や介護予防の効果的な実施という面でございます。データヘルス計画であったり、介護保険事業計画、それぞれの計画に基づいて実施しておりますが、この辺を一体的に実施するために、どう対応を講ずることができるかということ。さらに言えば、介護予防の場に保健事業の専門性を融合させることで、介護予防自体をどうレベルアップすることができるかといったこともあろうかと思います。
さらに、恐縮です。4ページでございますが、財源の在り方についてでございます。広域連合が保険者として実施する保健事業につきまして、市町村を舞台に効果的に展開するために、財源の在り方、またその活用の仕方について、どういったことを検討すべきであるかという点でございます。
また、4点目、無関心層も含めた参加者の拡大方策といった点。
そして、最後、5ページでございますが、きょうも御発表等いただきましたデータの活用、データの一体的な分析ということの重要性についてでございます。
雑駁で恐縮です。参考資料2も、今、申し上げたことを1枚の紙に論点を図示させていただいております。とりわけ赤字の点線で囲ませていただいた部分が、この保健事業と介護予防をめぐる大きなテーマになろうかと思います。
大変恐縮ですが、次回以降、引き続き御議論を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 次回以降、今、事務局から示されたようなテーマについて御意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次回の日程につきまして、何か事務局ありますか。
○小森補佐 次回につきましては、10月24日水曜日10時から、厚生労働省18階の専用第22会議室で開催させていただきたいと思っております。追って、開催通知を送付させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日は大変活発な御意見をいただきまして、ありがとうございました。これにて終了したいと思います。
どうもありがとうございます。
 

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