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平成30年9月20日 第2回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議 議事録

老健局老人保健課
保険局高齢者医療課

○日時

平成30年9月20日(木) 16:00~18:00
 

○場所

全国都市会館 第2会議室(3階)
 

○議題

(1) 事例発表
  ・ 三重県津市
  ・ 神奈川県大和市
  ・ 滋賀県東近江市
(2) 質疑・意見交換

○議事

○遠藤座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第2回「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」を開催したいと思います。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、また、足元のお悪い中、御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
 会議に先立ちまして、本日の構成員の出欠状況等につきまして、事務局から報告をお願いしたいと思います。
○小森補佐 事務局でございます。
 まず、本日より御出席の構成員の方を五十音順に御紹介させていただきます。
 公益社団法人日本薬剤師会常務理事有澤賢二様。
○有澤構成員 よろしくお願いいたします。
○小森補佐 全国市長会副会長、三重県津市長でいらっしゃいます前葉泰幸様。
○前葉構成員 よろしくお願いいたします。
○小森補佐 全国町村会副会長、岩手県軽米町長でいらっしゃいます山本賢一様。
○山本構成員 山本です。よろしくお願いします。
○小森補佐 続きまして、構成員の方の出席状況でございますが、大澤構成員から御欠席の御連絡をいただいており、代理といたしまして、群馬県健康福祉部保健予防課健康増進主監阿部絹子様に御出席をいただいております。
○阿部代理人 よろしくお願いいたします。
○小森補佐 また、藤井構成員からも御欠席の御連絡をいただいておりまして、代理といたしまして、全国健康保険協会参与六路恵子様に御出席をいただいております。
○六路代理人 よろしくお願いします。
○小森補佐 また、田中構成員につきましては、少しおくれて御出席されるとの御連絡をいただいてございます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 資料は、次第、開催要綱、座席図のほか、資料1から3までございます。お手元に不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
 また、資料1~3につきましては、きょう御発表いただきます自治体様の発表資料となってございまして、正面のスクリーンに映し出されますが、位置の関係でちょっと見づらい先生方いらっしゃるかと思いますので、適宜、資料も御参照いただきながら御発表をお聞きいただければと思います。
 事務局からは以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは議事に入らせていただきます。冒頭のカメラ撮りは、これで終了させていただきたいと思います。
 本日は、前半に議題(1)といたしまして、高齢者の保健事業と介護予防について、連携を図りながら取組を進めていらっしゃる事例として、社会保障審議会医療保険部会だったり、介護保険部会あるいは前回の有識者会議などにおきまして紹介されております自治体の方3名から事例報告をいただきたいと思います。そして、後半には議題(2)といたしまして、自治体の方への質疑や事例発表を踏まえた意見交換を行おうと考えております。
 それでは、発表者につきまして、事務局から御紹介をお願いしたいと思います。
○小森補佐 事務局でございます。それでは、順次御紹介申し上げます。
 三重県津市健康福祉部健康医療担当参事兼健康づくり課長栗本真弓様。
○栗本参事 栗本でございます。よろしくお願いいたします。
○小森補佐 神奈川県大和市県高福祉部長目代雅彦様。
○目代部長 目代でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小森補佐 滋賀県東近江市市民環境部保険年金課長夏原善治様。
○夏原課長 夏原です。どうぞよろしくお願いいたします。
○小森補佐 事務局より、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の進め方でございますが、まず、御紹介のありましたお三方から順番に、それぞれの自治体の取組につきまして御発表いただきます。その後に、質疑と意見交換をしたいと思います。
 なお、時間の都合上、大変恐縮ですが、お一人につき20分程度でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでははじめに、三重県津市の栗本様よりお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○栗本参事 こんにちは。初めまして、三重県の津市から参りました、津市健康づくり課長の栗本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、津市が行いました平成27年から29年までの「フレイル予防でいつまでも元気に過ごそう!(栄養パトロール)」事業について御報告をさせていただきます機会を頂戴いたしましたことを大変光栄に思っております。どうもありがとうございます。
 それでは、ちょっとなれておりませんので、前座ということで私の話を聞いていただけたらと思います。
(PP)
 まず、少しだけ津市を紹介させていただきます。津市は日本のほぼ中央に位置します、三重県の県庁所在地になります。人口はここに書いてあるとおりでございます。ただ、津市は割とアクセスのいい市になりまして、京都から1時間40分程度、大阪から1時間半程度、東京から2時間30分程度ということでアクセスできますし、中部国際空港からも、津市が運営しております高速船で約45分という立地条件になっております。海も山も田畑も豊かな自然に恵まれた地域でございます。
 津市は、平成18年1月1日に大規模な合併をしております。2市6町2村という、全国でもまれな大きな合併をしております。
(PP)
 その津市は10の町が合併しましたので、そのそれぞれの町に合併前から保健センターがございました。そのまま現在13年目を迎えますが、保健センターを置かせていただいております。その地域に保健センターが地域活動をする場としてありますことも、今回の活動がスムーズに展開できた要因の1つかと考えております。
ここに示させていただいたように、旧の市・町の境目が地図になっているのですが、それぞれのところに保健センターがございます。赤い印が中核的な保健センターということで、私は「中央」と書いてあるところの健康づくり課におります課長でございます。それぞれを4つの地域保健センターを管轄する中央エリアと久居エリアと考えて、運営をしております。
 今回のモデル事業の舞台となりましたのは、美杉と書かせていただいております保健センターから山間部に約13キロ、本庁舎から数えますと約70キロ離れた地域になります。
(PP)
 この地域を紹介させていただきますと、グラフに示させていただきますように、非常に高齢化率の高い地域になります。これは現在でございますが、事業を始めました27年のときでも、もう既に58%ぐらいの高齢化率がございました。人口減少や交通の便、公共交通機関はもちろんございません。コミュニティバスのみになります。山間部で、病院がございません。
 ただ、ここでとても強みと思えたことが、自分の役割と自分の仕事を幾つになっても皆さん知っておられたり、地域のつながり、コミュニケーション力が非常にある地域でございました。また、昭和30年代からこの地域には保健師が常勤でおりまして、保健師さんということにも地域としても非常になじみのある地域でございました。
 ただ、高齢者がこの地域で病気になられて入院をされますと、なかなか家に帰って来られない、サービスがない、医療がない、交通の便がないということで、なかなか地域に帰って来られない。そうなったら、どうか、自立する期間を少しでも長くしていられないか、自分の住み慣れた地域で暮らしていけないかということを、日々、保健師も考えておりましたし、地域の先生ともそういう話をしておりました。
 そんなときに、平成27年のこの事業が紹介されて、後期高齢者医療調整交付金事業の長寿健康増進事業から始まっております。
(PP)
 栄養パトロールの概要でございます。
 栄養パトロールは、後期高齢者の特徴を踏まえて、身近な既存の拠点施設、市民センターというか住民センターですね。あと、集会所など、そこに人が集まって来ておられましたので、そこを活用して管理栄養士や保健師がその場を巡回し、栄養相談や訪問指導を実施していきました。そこで、栄養スクリーニングということで、健康チェックや、基本チェックリストはもちろんのこと、生活の状況などを聞かせていただいております。
 詳しくは、次のページで御紹介をさせていただきます。
(PP)
そこで把握した方の中で、健康な方、フレイルの危険性のある方、疾病の重症化の危険性のある方を見きわめまして、必要な方にかかりつけの先生に御相談をするとか、フレイルの栄養状態のことで御心配な方につきましては、管理栄養士や保健師が何度か訪問するという形で個別栄養支援を行ってまいりました。
また、その地域の現状については、地域の栄養ケア支援という形で地域栄養ケア会議を開催することで、地域でみんなで共有していこうというような考え方で進めてまいりました。
(PP)
個別栄養支援でございます。地域で行われるサロンの場にこちらのほうから出向いて、保健師・管理栄養士が出向きました。食べることを考えていたときに、口の中がちゃんとかめる状態があるのかな、飲み込めるのかなということから、歯科医師会と歯科衛生士会の御協力をいただいて、歯科衛生士さんも一緒に回るようになったのが平成28年度からになります。
住民の方は集まりの場に参加することで、この栄養パトロールチェックを受けいただくことになり、健康またはそのリスクがあるかどうかということで判定をさせていただいて、食生活に関する相談支援を繰り返して行うということをさせていただきました。この栄養パトロールチェックで私たちが行ったことは、かかりつけの先生がおられるか、または、どんな薬を飲んでおられるのか。生活のリズムで起床時間や睡眠時間、また、排便の状況や食欲はあるか。どんなものをいつも食べているのか。かみにくいことはないのか、飲み込めるのかなども聞かせていただいておりますし、もちろん基本チェックリストも実施させていただいております。体重測定や握力測定、開眼片足立ちなどの身体チェックも行いました。そこからアセスメントをして、支援の必要な方には定期的な訪問を繰り返すという形をとりました。
このときに、私たちがとても大事にしたことが1つございます。それが、健康な方も、フレイルリスクのある方も、この栄養パトロールチェックに参加していただいた全ての方に「あなたのこれから将来の夢は何ですか」「どうしたいですか」「どんな希望をお持ちですか」ということを聞かせていただき、それをちょっとゆっくり待たせていただいて、本人からその言葉を引き出させていただいた上で、それを長期目標とさせていただいて、短期目標を一緒に考えていくという姿勢をとりました。これを食べたらいいんじゃないかというような指導というよりは、提案をさせていただきましたけれども、その中から本人に選んでいただくというような形をとらせていただいて、その目標を書いていただいたところに署名をしていただいて、毎回、訪問したりしたときに、それも確認するように進めてまいりました。
(PP)
 「地域栄養ケア支援」でございます。地域の栄養課題を、地域の人と暮らしている皆さんと意見交換しながら、地域の栄養課題をどうやったら改善していけるかということを話し合う場が絶対必要だよね、専門職だけが知っていてもだめだよねということから、最初からこういう場を設ける必要があると考えておりました。
 その場には、下に書かせていただいておりますが、自治会や老人クラブや地域の住民さんやボランティアさんや先生やという方に声をかけさせていただいて、参加していただいております。この地域栄養ケア会議を進めていく中で、住民の人から、ひとり暮らしの人の食事が心配、ひとり暮らしの人の見守りが必要だと思っていたけれども、どんなことを気にして見守ったらいいのかがわからないので、それを教えてもらうといいなとか、特に男の人がひとり暮らしになると、なかなか姿を見かけなくなって、どうしておるのやろ、たまに回覧板を持っていくと、何かいつも同じようなものを食べているような気がするなどの意見が聞かれました。そこで研修会の開催ということで、地域の住民さんたちが見守るポイントがわかるようにという研修会を次の年度にさせていただくことにつながっていきました。
また、男性が出かける場が少ない。男の人がひとりになると何食べておるのやろな、心配やわというような意見も聞かれて、楽しく料理を学ぶような場ができるといいな、そこで話ができるといいなということで、男の料理教室を開催しようという意見が、この会議の中から盛り上がりました。
(PP)
 これが支援のイメージ図になります。住民さんは集まりの場に出てきていただく。そこで、栄養パトロールチェックを行う。そのことによってアセスメントし、必要な方は個別支援を行っていく。また、お元気な方は次の集まりにも来ていただく。これは定期的に行うというような形を繰り返していきました。
 ただ、ここでわかってきたことやデータでわかるようなことなどは、この地域栄養ケア会議のところで話し合いながら、地域の皆さんとどうしていったらいいのやろということを共有して、このメンバーもそうですし、会議には来ないけれども、住んでいるほかの皆さんが見守り役ということで、見守っていくというようなサイクルをつくっていきました。
 また、栄養パトロールで支援が必要な方につきましては、病院の先生、かかりつけの先生や地域包括支援センターや社会福祉協議会などと連携をしながら進めてまいりました。
(PP)
 ここからは実績になります。このような実績になりますが、27年は、75歳以上の方は30名、75歳未満の方は10名、同様に、こちら側が75歳以上の方に個別栄養支援をした方になります。地域は高齢化率の非常に高いところでございますので、集まりの場にお越しになっている方が75歳以上の方だけということはもう全然ございませんので、大体60後半ぐらいからの方がお越しになっておりますので、その方々も一緒に同じようにさせていただいております。
 右側の国からいただいたお金に関しましては、こちら側の列にある分につきましてのお金いただいた分を書かせていただいております。
(PP)
 これも実績になります。地域栄養ケア会議の実績になります。27年に3回。まずは、この栄養ケア会議を知っていただくということで始めさせていただいて、3回させていただきました。ただ、この事業を始めるに当たっては、地域の老人会、自治会、民生委員さん、ボランティアさん、いろいろな方に個別に御相談を申し上げてお話を伺って始めることとさせていただきました。
 そんな中で、地域社会福祉協議会や包括支援センターの方にもこの地域の高齢者の健康状態をどう考えておられるのかと聞いたときにも、スーパーとか買い物に行くところがない、交通の便が非常に悪いというようなこととか、今までですと、結構野菜物はつくっていたのですけれども、獣害の被害が大変ございますことから、野菜をつくっていても、猿とかいろいろものにとられてしまうこともあって、張り合いがなくなって作らないということもあったりして、食べることがとても楽しみな世代なのだけれども、食べることが楽しみになっていない、とても心配だというような意見も聞かれておりました。それで、このような会議をさせていただきました。
(PP)
 また、こちらは、先ほど支援会議の中でも、自分たちは見守りをしていきたいけれども、どんなことを気にかけたらいいのかがわからないので、それを教えてほしいとか、どういうことを声かけたらいいのやろねというようなことを学びたいということで、民生委員さんや地域の方々、ボランティアさんたちを対象に、28年は研修会を主にさせていただきました。
 29年は、今後に向けてということで、津市の保健師全体や、また、管理栄養士や栄養士、歯科衛生士などに、この事業についてどう関わってきたか、また、どう関わっていこうとするかということについての研修会をさせていただいております。
(PP)
 また、先ほどの話にもあったのですが、男の人は出かける場が少ないということで、男性の料理教室が始まりました。そこから派生して、今度は料理だけではなくて、体も動かそうねということで、こういう会が始まっております。スタートにはもちろん保健師も関わっていたのですが、今はほとんどその地域のボランティアさんたちが、健康づくりの推進委員さんとか、食生活改善の推進委員さんとか、民生委員さんたちが、自分たちで社会福祉協議会とかに声をかけて、そのサロン事業として地域の活動として、これを今運営していただいております。
(PP)
 結果でございます。個別栄養支援では、集団健康教育の事前事後のMNA値、これは先ほど出てこなかったのですが、こういうものも測っておりました。でも、数値であらわれるものはほとんどなかったのです。個別栄養支援では、個食状態の人に栄養課題のたんぱく質の摂取が少ないとか、脱水状態が見られるということが多くありました。この関わりをしている間に体脂肪がふえたという人が多く見られたこともわかりました。
 また、介護状態に入っていく人がふえなかったという事実もございました。地域栄養ケア会議では、ひとり暮らしは食生活が乱れることや男性が出かける場が少ないことなど、地域の状態を確認する機会となり、何とかしたいという市民の思いを形にする場となりました。
(PP)
 栄養パトロールなど身近な場所での相談は、住民が自分の体調を早期に気づくことができました。地域包括支援センター等と連携を図ることで、その気づいた体調の変化に早期に介入し、重症化を予防することにつながりました。
 住民同士が栄養パトロールを始めたことで、自分だけが元気でもだめやな、友達が仲間がおらんと寂しいわということで、自分のことも人のことも気にかけなければなということを言っていただくようになりました。地域住民がフレイルについて知識を得ることもできましたし、近隣住民を気にかけて、フレイルのリスクを早期に発見し、重症化を予防する機会となっておりました。
 自分の体調を意識して、また、関心を持って低栄養やフレイルの予防を自分自身がちょっと勉強したことで、自立して暮らせる。生活の意欲につながった。こうやって食べていかないかんなとか、こうやってしていたことでちょっと元気になったわとかいう実感とともに、やっていたことを確認されておりました。
(PP)
 現在は細々と地域でこういう活動を続けております。ただ、細々ととは申しましたけれども、全地域のやれるところでやっております。M地域だけではございません。
(PP)
 この地域で事業を進められたのは、本当に地域の力が大きかったかなと思います。この地域は本当に高齢者が多いことから、他人事ではなくて、もうすぐ自分のことだと思っていただいていましたし、近所の隣のおじさんがひとりで暮らしていることも家族のように心配してくださっているということもございました。また、保健師とか地域の活動ということが昭和30年代からあったという地域であったことも大きな要因であったと思いますし、合併後13年たちましたけれども、人口からいきますと4,300人しかいない地域でございますが、保健センターがそこにそのままあって、この事業を進めることができました。高齢者の思いや夢を大切に把握したことも大きなポイントだと感じております。
(PP)
 最後に、高齢者の低栄養・フレイル予防に今回の取組は有効な取組であったと思います。
対象者の絞り込みや評価には、後期高齢者の健康診査結果や国民健康保険のレセプトデータ等を活用するKDBシステム等をもっと有効に使うことが必要であったとは思いますが、今回は、十分に使い切れませんでした。
地域包括支援センターや社会福祉協議会、保健センター、自治会や民生委員さん等のふだんからの顔の見える気持ちのいい関係があったことも重要であったと考えております。
最後に、これが本当に地域で進めていく中で大変重要になるのですが、医師会や歯科医師会等の御協力と後方支援・御理解があることで、この事業はより力強く進めていけるものだと思っております。
御静聴ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、神奈川県大和市の目代様にプレゼンテーションをお願いしたいと思います。
 なお、大和市の参与として取組に参画されておられます田中構成員からも補足の御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○目代部長 改めまして、こんにちは。神奈川県大和市健康福祉部長の目代と申します。これから、説明をさせていただきたいと思います。
(PP)
 まず最初に、大和市の紹介をさせていただきたいと思います。大和市は神奈川県の中央部に位置しているところでございます。人口が約23万7,000人ということでございまして、市内には3つの路線が、これは全部私鉄でございますけれども、走っておりまして、8つの駅がございます。非常に小さい地域ですけれども、その中に8駅ということで、通勤・通学の便が非常によいこともございまして、ちなみに、横浜には20分程度、渋谷・新宿には40分ほどで着くということで、ベッドタウンとしてそういう地域柄でございます。参考に、人口密度は、川崎に次いで2番目ということで、非常に人口密度の高い、横浜よりも高いところでございますので、そういった特性がございます。いまだに、人口のほうもまだ増加しているということで、なかなか珍しいところかなと思っているところでございます。高齢化率につきましては、全国平均よりやや低い23.6%という状況でございます。
(PP)
 続きまして、本市の特徴でございますけれども、大和市の場合は、全てが健康につながる政策ということで、「健康都市 やまと」の宣言を2009年に行っております。人の健康、まちの健康、社会の健康ということで、3つの健康を軸にして、すべての市のメインの計画になります総合計画がこちらのほうで組まれているということでございます。
(PP)
 具体的には、全て政策は健康を基軸に据えておりまして、先ほど言いました3つの健康の中に全ての1,000以上の事業がこの中にぶら下がっているというような構成になっているところでございます。
(PP)
 最近、これが、大和が非常に有名になっているところでございますけれども、社会の健康政策の中で、市のランドマーク的に「文化創造拠点シリウス」と、最近聞かれた方もあるかもわかりませんけれども、図書館ですね。「健康図書館」という形で、今、高齢の方が一人で外出しないということがございますので、それを解消するため、誰でも気軽に寄れる図書館ということで、非常に力を入れているところがございます。
星印のところですけれども、この(健康度見える化コーナー)中には健康をチェックするコーナーですね。5つの測定機器を入れておりまして、気軽に市民が測定をできるということで、毎日100人以上の方が測定をしているという状況がございます。
 また、「健康テラス」という4階にあるのですけれども、そういった健康に対する勉強みたいな、講座ができる場所がございまして、そちらで保健師あるいは管理栄養士が市民向けに講座を毎日やっているというようなことも実施しているところでございます。
 そういったことで、シリウスが図書館としては、非常に多くの来館者があるということで、開館2年で500万人を超えているという、今、視察等も非常に多く来ていただいている図書館でございます。来館者数も日本一になっているところでございます。
(PP)
 続きまして、「管理栄養士による訪問栄養相談」ということで、メインのテーマになってまいりますけれども、こちらは、きょうは特に低栄養予防ということを中心に御紹介してまいりたいと思います。この活動は先進的な取組ということで、過去2回ほど、厚生労働省の保険局あるいは老健局の方も視察に来ていただいているところでございます。
(PP)
 それでは、まず対象者について御説明を申し上げますけれども、低栄養対象者ですね。これは基本チェックリストから抽出しております。現在は、対象者はリスクに応じて2段階に分けておりまして、まずは平成25年度。こちらからはBMIが18.5未満、それから、6カ月の間に2kg以上体重減少があった方、まず、こちらのほうを訪問栄養相談の対象として開始をしております。
 その後、もう少し幅広くということで、平成28年度からは、低栄養に陥る前の段階、BMI20以下というところまで広げておりまして、新たに追加をしているところでございます。
 事業の予算につきましては、介護予防アンケートは高齢福祉課という福祉の担当が所管しているところでございます。介護保険特別会計を利用して実施しているところでございます。また、訪問に関する事業費あるいは非常勤栄養士の賃金等は、一部は広域連合の補助も受けて実施していることもございます。
(PP)
 続きまして、こちらのほうは低栄養以外に訪問している対象者についても御説明申し上げたいと思います。糖尿病性腎症重症化予防は、保健師も導入しまして、25年度から開始をしております。その活動の中で、重症化しやすい高齢者の特徴といたしまして、オーラルフレイルに課題が挙がってきたことを確認したことによりまして、平成29年度から新たに口腔機能低下予防という取組も新たに開始しております。このように、訪問すべき対象者を確実に抽出するために、課をまたがって、先ほど申しました高齢福祉課あるいは保険年金課、そういったところとも協力しながらデータ活用を行っているという状況でございます。
(PP)
 続きまして、「データの所管と共有方法」でございますけれども、こちらは訪問事業で利用しているデータとその所管課について図式化したものでございます。見るとわかると思いますけれども、高齢者の低栄養予防、口腔機能低下予防については、介護予防アンケートの結果が必要となりますので、こちらにつきましては高齢福祉課ですね。共有ホルダーを構築いたしまして、データを共有して行っているというところ。それから、高齢福祉課は、健康づくり推進課、メインの所管でございますけれども、そちらと同じフロアにいるということもございまして、非常に連携がとりやすい。そういった状況にもございます。
 また、医療費の削減効果は、評価を行う必要が当然ございますので、こちらについては個人情報保護審査会を通しまして、保険年金課がデータ自体を持っておりますので、そちらのほうのレセプト等も閲覧できるように、権限を得ているという状況で、非常に連携をとっているところでございます。
(PP)
 訪問の方法でございます。こちらはまず始まるに当たりましては、医師会あるいは薬剤師会、歯科医師会で事前に、これから訪問を行いますということの説明を行っております。これを行うことによって、こういう活動を行いますので、何かありましたら、ぜひ、うちのほうにもつなげてくださいということを、事前にアピールをしております。そういったことで、医師・薬剤師等も非常に協力をしていただけているところでございます。
 訪問の方法でございますけれども、すべての訪問事業の流れは、6カ月に1クールということで、1人について管理栄養士が3回訪問・介入をしてまいります。初回は、アセスメントと計画を立案する。そして、3カ月後には中間評価ということで、電話の場合もありますし、訪問する場合もあります。6カ月後には、最終的には、再度訪問をかけて、目的に応じて最終の評価を実施するという流れで、3回行っております。
初回のアセスメントにつきましては、まず、主に健康状態とか、食事の環境、あるいは、実際に訪問しますので、その方の生活の状況とか、ちょっと見れば趣味等もわかりますので、そういったことでいろいろ訪問することによって情報を得てまいります。
こちらは、高齢者の場合、ほとんど病院に通院していることが非常に多ございますので、そういう場合には、医療の状況についても必ず確認をとっているようにしております。
(PP)
 こちらは初回訪問で聞き取った低栄養者該当者の主な体重減少の理由になりますけれども、時間の関係上、ちょっとここは一覧で見ていただければと思います。こういった形でいろいろ特徴があることが把握できているところでございます。話の内容としては、こちらから専門的な話をするのではなくて、ストレスが原因で食欲がなくなっているとか、まず傾聴することが大事だなということで、できるだけ聞くことを心がけているところでございます。
(PP)
 こちらは、低栄養対象者に介入した体重変化の結果でございます。大和市の場合は、改善は1kg以上の増加、維持は体重変動1kg未満、悪化は1kg以上ということで定義をさせていただいております。基本チェックリストによる低栄養リスク者の約8割、低栄養早期予防対象者が約9割ということで、体重維持・改善に大きく効果があることがわかっております。こちらのデータをごらんいただければと思います。
(PP)
 こちらは基本チェックリストによる低栄養リスク者について介入した分と介入してない分、それぞれの重症化割合を比較したものでございます。介入につきましては、管理栄養士による6カ月に3回訪問が完了した者、それから、非介入者につきましては、この訪問については実施しましたけれども、拒否あるいは不在等により訪問が成立しなかった方のことでございます。重症化につきましては、要介護認定または死亡ということになります。その結果、介入した人たちは約10%であったのに対し、介入してない群は約46%ということで、介入により重症化した者の割合は4分の1に抑えられているという状況がわかったところでございます。
(PP)
 こちらは先ほどの重症化率の比較から、社会保障費の削減効果について試算したものでございます。結果を出すことが大事ということで、結果をしっかりと出しております。介入によって、約65名の重症化を予防できたと推計されまして、平成28年度の大和市在宅サービスの平均介護給付費が104万円になりますので、全体ではそれを掛けて、約6,760万円の削減効果があったと試算をいたしました。
(PP)
 さらに、こちらは医療費でございますけれども、医療費の削減効果を試算したところ、介入後、1人当たり平均約2,000円削減ができていたということになりますので、年間試算をいたしますと、全体の削減効果を推測しますけれども、こちらによって約500万円試算ができたところでございます。
 こちらは先日、低栄養予防による社会保障費削減効果につきまして、これは5月に経済財政諮問会議でも取り上げていただきまして、このような形で出たところでございます。
(PP)
 こちらは糖尿病性腎症重症化予防の介入結果を参考でお示しさせていただいたところでございますが、訪問活動によってHbA1cが62%、eGFRは86.7%が維持・改善をしたという結果になってございます。
 さらに、介入した人の中には、かなり状態の悪い方も実際におられましたけれども、新規に人工透析を導入された方はおりませんでした。こういったことで医療費削減効果があったということで、確認できているところでございます。
(PP)
 本市では、これらの活動の実績をもとに結果をしっかり示すことが大事でございますので、こういったことをもとに、保健師あるいは管理栄養士の増員を行ってきております。結果を出して、これだけ削減できますよということをしっかり示して、増員のほうを図ってきたところでございます。
 後期高齢者の栄養状態の悪化が原因で、歯のふぐあいが少なからず存在することが課題になりましたので、平成29年度からは口腔機能低下予防の取組にも新たに開始したところでございます。
(PP)
 次は、こちらを充実するため、各関係機関との連携を強化してまいりました。これが大事なところでございますので、当然、医師会、医療機関ですね。それから、歯科医師会、地域のボランティアさんとか、薬剤師会さん、こういったところと非常に連携を図りまして、地域や会議などへの出席の依頼もふえてきておるところでございます。
(PP)
 こちらは平成29年度から新規に取り組んでいる口腔機能低下予防の介入結果でございます。それぞれ100%のところから、食べにくさは64%、むせについては55%、口の渇きが32%改善されております。食べこぼしにつきましても64%、食事量減少についても41%が改善されたということで、非常に介入の効果があったのかなと感じているところでございます。
(PP)
 こちらがかかりつけ医との連携を図るために、大和では、こういった「健康相談連絡票」をつくりまして、医師が行政に健康相談を依頼できる仕組みをつくっております。これをすることによって医師からの連絡が市のほうにも伝わるということで、それを、また、市のほうからも返すというような取組を行っております。
連絡方法につきましては、在宅医療・介護連携会議の場の中で、医師、ケアマネ等に周知を図ったところでございます。最初は、栄養指導が必要な糖尿病患者を想定して作成してまいりましたけれども、今では、体重が減っているから低栄養予防の栄養指導をしてほしいとか、食事からフレイルを予防してほしいといった依頼も医師のほうからいただいているところでございます。
(PP)
 こちらが実際の連絡票でございます。連絡票につきましては、医師とも調整させていただきながら、医師が診療の中で簡単に書き込めるような、非常にシンプルな形にしております。健康相談実施後は、別途、「実施報告書」を医療機関に送っておるところでございます。
 ここまでが管理栄養士の訪問事業について御紹介をさせていただきました。
(PP)
 この後は、「KDB等を利用した庁内での連携」ということで、担当をかわりまして、田中から御説明を申し上げます。
○田中構成員 田中のほうから補足して御連絡いたします。
 KDB等を利用した連携が重要ということを先ほどありますが、その連携は共有するものが必要で、その共有の中で、大和の中ではKDBが大きな位置を1つ占めるかと思いまして、ちょっとお話しさせていただきます。
(PP)
 先ほどお示ししましたようなこの図ですが、このような形で連携をとっているのですが、KDBのほうで見ますと、例えば、大和のようなフラットな山がないようなところでも、地域によりまして、死亡とか要介護しやすい地域はやはりございまして、地域の差があります。そういうところは、例えば坂が多かったり、駅から遠かったり、食料店舗が少なかったり、これは農水省のところからとったものですが、そういう地域の特徴があるということです。こういうこともKDBの中から引っ張れるということです。
(PP)
 そういうことがわかりましたので、まちづくり総務課、インフラの部門がコミュニティバスの路線とかを配布しておりますので、そういうものを使いまして、外出手段が少なくて、食料品を得ることが、いくら栄養の知識が入りましても、実際買いに行くのに困るということになりますので、このような形でバスのルートマップを栄養相談のときに渡して、通院のときとか買い物のときに使っていただく。この辺もとても喜ばれております。これはインフラ部門と連携するという話です。
(PP)
 KDBでさらに見てみますと、栄養改善の該当者の多い地区、低栄養の基本チェックリストに該当する人が多い地区は、比較的認定の医療費が特に高い地区でもございまして、大和市はもともと県や同規模に比べて1.3倍とちょっと高いのですが、桜ヶ丘とか上福田、南林間とかになりますと、さらに高い。例えば桜ヶ丘ですと、大きな団地がありまして、一挙に高齢化が進んでいるような地域でございます。
(PP)
 さらに今度は、死亡や要介護しやすい地区は、これは認定者の医療費も高いですし、当たり前と言えば当たり前ですが、認定者と認定なしの差がさらに大きい。認定なしと要介護認定されるところの医療費の差は2.1倍ですが、平成26年度の下鶴間とか中央林間とか上草柳では、3倍以上の差が開いているという形のもの。これもKDBのほうから比較的簡単に地域の診断ができるということです。
(PP)
 これは直近の数字ですが、28年度に基本チェックリストで低栄養のリスク者と判断された人が、約1年半後ぐらいでしょうか、9月10日現在で見ますと、この青色が要介護になった方、赤色が死亡された方、それを市全体で平均しますと39.4%で、薄い青のところが前期の要介護になった方、濃い青のところが後期で要介護になった方、薄い赤のところが前期で死亡した方、濃い赤のところが後期で死亡した方と、その地区によっても前期と後期の割合もかなり違う。これは「健康かるて」から抽出したものではございますが、このような情報と、地域資源、通いの場にどのように通っているかとか、医療情報とか重ねていきますと、今のところ、まだここまでの分析ではあるのですけれども、さらに有効な事業が展開できるのではないかと思っております。
(PP)
○目代部長 ということで、「健康都市やまとの実現」ということで、大和市の場合、連携体制が一番肝なのかなというところで、各課の連携はもちろん、医師会とも非常に良好な関係を築いておりますし、そういった中で全てが健康に向けた施策について非常にうまく言えるような環境をつくっております。今後もこういった流れを続けていって、連携が整った。そして、また、結果を上げていきたいと考えております。
 以上でございます。御静聴ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、滋賀県東近江市の夏原課長にプレゼンテーションをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○夏原課長 東近江市の夏原といいます。どうぞよろしくお願いします。2つの自治体さんと若干違うのは、私、保険年金課で国保を主とした担当課長でありますので、ちょっと見方が違うようなお話になろうかと思いますけれども、ちょっとおつき合いいただければと思います。
(PP)
 テーマといたしましては、国民健康保険をスタートとして後期高齢でステップアップして介護保険を将来的な軸とした事業連携という形で、きょう報告させていただきます。
(PP)
 まず東近江市ですけれども、右の上に滋賀県の図がございます。赤色の部分が東近江市になっておりまして、左の上に琵琶湖と書いてあって、右側に三重県、琵琶湖から三重県までをつなぐ市になっております。右側の緑色の部分が山間部で、ほとんど半分ぐらい山になっているのですが、耕地面積は近畿で1位ということで8,300haあるような市でございます。
(PP)
 東近江市は、今、人口は11万4,517人ということで、1市6町で17年、18年で2回合併をしています。ですので、7つの自治体で構成されているのですけれども、3段目の国保被保険者は大体毎年0.5~0.8%ずつ減少しています。後期高齢のほうは、逆に、1万4346人ということで年々ふえているような市になっています。
(PP)
 組織図ですけれども、先ほども大和市さんのほうから連携のお話があったのですが、私が所属していますのは保険年金課で職員が臨時職員を含めて37名いるのですけれども、こちらの中で4つの係がございまして、国民健康保険と後期高齢と一番下の後期介護保険料ということで、実は介護保険の料金もうちの課の中で扱っています。
これと連携をする形で、下の健康福祉部が健康推進課で国保の特定保健指導とか、重症化予防(ハイリスク訪問)とか、高齢者健康づくり事業、介護予防をしていただいていまして。その下の福祉総合支援課が地域包括支援センターとか介護予防事業、長寿福祉課が介護予防の認定・給付をしています。このほかに、国保の病院とか診療所は市内に点在をしています。
(PP)
 最初に、1市6町と申し上げたのですけれども、7つの自治体がございましたので、このデータヘルス計画を昨年つくらせていただいたときに、6町はそのままで、一番大きな八日市という市があったのですが、それが8地区で、14地区で14個のデータヘルス計画をつくっています。これは地区担当制が平成26年に入ってから、各担当の保健士がその14地区の計画をつくると。これがKDBを設定するときに、この9市・町の6つと八日市の8つをもともとKDBで地区別設定をしていますので、後期と国保の分については、この地区別でデータ分析ができると、そういう構図になっております。
(PP)
 平成26~29年度の主な取組ということでずらっと挙げた中で、赤色の文字のところですけれども、7番目と10番目と11番目と一番下の「後期高齢者ウエルカム事業」という、この4つについて報告をさせていただきます。
(PP)
 まず、「国保・介護・後期データ分析」と、次に、「後期高齢者ウエルカム事業」、3番目に連携のフレイル対策。最後に、資料提供ということで、「服薬情報通知の取組」を入れております。
(PP)
 まず、庁内連携ですけれども、国民健康保険・介護保険・後期高齢者ということで、主に3つを縦に割っています。
 まず、国民健康保険の欄を見ていただきたいのですけれども、薄い紫色のところが関係課ということで連携をしている課になります。一番上の市民環境部・保険年金課がうちの課でありまして、次の欄に健康福祉部の健康推進課・福祉総合支援課・長寿福祉課ということで、国保については健康推進課さんと連携をしながら、総務部とか商工観光部とか税務部さんと連携をしながら、今現在、事業をしています。真ん中の介護保険に至りましては、保険年金課と健康推進課・福祉総合支援課・長寿福祉課ということで、4つの課が連携をしています。一番右側の後期高齢は、同じく4つの課で連携をしていまして、横につなげますと、データ分析はこの4つという形で、今現在進んでおります。
(PP)
 1つ目の「国保・介護・後期のデータ分析」については、平成23年から、糖尿病の重症化予防でレセプトのデータ分析をさせていただいていまして、それを今後どういうふうな形で進めていくかということになったときに、滋賀県さんから、介護保険のデータを医療のデータとつないだ分析をしてもらえませんかということが、県内各市・町に打診があったのですけれども、どちらも手を挙げられなかったということもありまして、東近江としてはやりたいということで、今回、手を挙げさせていただきました。
 ただ、このときには、単純に国民健康保険と後期高齢と介護保険のデータをつないでください。それで、どんな結果が出るかというのは、そのときは全然予測ができませんでしたので、とりあえずつないで、どんなものになるかというふうなお話になりました。
 平成26年にこの事業を始めさせていただいて、今、4年ちょっとやっているのですけれども、左側がデータ分析の主なつないだデータのつなぎ方になっています。総合データシステムという右側がどういうふうな形でやったかと。ここから見えてきたものが、下にありますデータ分析の基本となった2つのPDCAということで、人生前半のPDCAサイクルと人生の後半におけるPDCAサイクルが、この分析の中から見えてきています。ただ、これは、まだ、現在、分析をさせていただいていまして、継続になってございます。
(PP)
 左側が、6データベースの関連ということで、40歳以上の健診から国保・介護・後期・死亡に至るまでのデータをつないでいます。一番の問題は、介護保険のレセプトを、実は、国保と後期はデータベース上は同じ様式になっているのですけれども、介護保険だけは、実は二重構造になっていまして、一番困ったのが、医師の意見書をデータ化するという作業です。それはほとんどPDFで手書きになっていたのですけれども、それを全部手打ちにかえていただいて、それをつないだというふうなデータベースになっています。
 右側が、二千何年というのを書いていると思うのですけれども、こういうふうな形で、今、データを全部つなぎ合わせた形で分析を行っています。
(PP)
 これをやりますと、先ほど申し上げましたデータヘルス計画のときの14地区ごとの地区分析が可能になってきまして、一番上が4資源使用ということで、1人当たり、1月当たりの総費用とか入院費用とかというのがわかってきます。
 なぜ、こういうことをやってきたかといいますと、国民健康保険の医療費が下がったと言って喜んでいたら、実は介護保険の給付費が上がっていると。要するに、実は一体化で考えないと、自治体としては、医療と介護をつないだ形で医療費全体を見ないと本当の医療費の適正化が進まないということがこの分析から見えてきています。実際、国保が安くなったといっても、介護保険が上がったりとかいう現実がございました。
下のほうが、自宅とか福祉施設の死亡割合を14地区別で見ています。1つだけ永源寺というところが突出しているのは見ておわかりだと思うのですけれども、これは36%ということで、実は、ここはみとりを中心にやっていただいている診療所がございます。ですので、ほかの地区に比べると突出した形で自宅での志望者が多いのが、このデータ分析でわかっています。
 右側につきましては、お薬の処方期間の平均数になっています。もう御存知だと思いますけれども、右側の高齢になればなるほどお薬の量がふえていくというふうな形で結果が出ています。
(PP)
 最初、この介護保険をつないだときに何をしようという話になったかといいますと、右の上の表を見ていただきたいのですけれども、十字の形になっているのは死亡されたときになります。死亡から元気なときにさかのぼっていって、レセプトを全部つないで、どういうふうなライフスタイルを送ったかというのを見ていこうと。どのタイミングで何をやったら効果的であるかというのが分析できないかというふうにやったのですけれども、いろいろな型があって、一概に一つのもので全体がしゃべれないというのがこの分析の中でわかってきました。
ただ、生涯医療費が、例えば70歳男性の方が亡くなられるまでにどれぐらいの生涯医療費を使っているかとか、そういうふうなことは分析で出てきますので、国保と介護と後期をつないだことによって、一人の方にかかる医療費が全体像として浮かび上がってきます。
「見えてきたもの」と書いていたら生涯医療費が見えてきたのと、ちょっと気づかなかったのですが、介護認定をされるデータはもちろんこの中に存在しているのですけれども、これをよくよく見ていくと、実は、医療の結果がこの介護認定の中から出てくると。これを、今後、いかに活用していくかというのがこれからのデータ分析のテーマかなと考えています。
(PP)
これ、61歳女性の分です。
(PP)
 続きまして、「後期高齢者ウエルカム事業」ということで御紹介させていただきます。こちらは新規の後期高齢者、75歳になられる方、全国民入る保険ですけれども、75歳になられる前に、前月にできるだけ全員の方にお声がけをして集まっていただいて説明をするというものです。これは27年2月に滋賀県の後期高齢のワーキングの中で、来年の事業の検討というのがありまして、そこから厚労省さんにお願いをしながら、27年4月に新規事業として採択をいただきまして、その年の7月下旬に事業をスタートさせていただいています。
 ここで一番ポイントになったのは、27年4月に新規事業として採択をいただいた後、関係課で集まって、事業名から相談をしたということです。事務局は保険年金課でやっているのですけれども、会計は一般会計で、委託契約は保険年金課、介護保険との共同事業の場合ということで、以下のようなことになってございます。
(PP)
 どのようなことをやっているかといいますと、75歳になる方に、誕生日から後期高齢の保険証の該当になりますので、例えば10月生まれの方ですと、9月上旬に案内を出します。参加していただけませんかということで、最初は、地図を見ていただきますと結構広いので、市内4カ所で、今、午前・午後行っています。
大体2時間半から3時間のメニューで、受付の開始から測定をして、開会挨拶からということで、制度の説明、適正受診、口腔ケアということで、赤の吹き出しになっているところが関係でその立ち上げのときに関わってきていただいた方々の課になります。広域連合さんしかり、保健所さん、健康推進課、保険年金課、長寿福祉課、福祉総合支援課と。
最後に、「終活」ということで、「豊かに老いる」というのをさせていただいて、「健康貯金」という後期高齢用のインセンティブもこの中に入れています。
(PP)
 「健康貯金」ということは、どういうふうにしようということで、いろいろな関係課で話をしたのですけれども、とりあえず何でもいいから書いてもらおうという話になりまして、毎日できる目標を2つ決めていただいて、右側に日誌の例があるのですけれども、そちらにその目標をできたら○をしてもらう。○をつけると1ポイントという形でポイントはたまります。この毎日の充実した日々をポイントにかえてすてきな商品をということで、1ポイント2円で換算をさせていただいて、商品と交換する。そういうふうな高齢者向けのインセンティブになっております。一応3カ月ごとに出していただくようになっておりまして、実は、これは27年の7月から始めていますので、今、2年を超えて卒業していただく方があって、卒業いただいた方は一番最初の「BIWA-TEKU」という健康推進アプリのほうへ移行していただくようにお願いをしています。
(PP)
 「健康貯金」の流れは、このような流れになっていまして、一番下の結構日誌を被保険者の方が市役所に出すと、それをポイントバンクさんに送って、そこから「あなたのポイントは何ポイントですよ」という通知とか、「交換されるのだったらこんな商品があります」という通知が行くようになっています。
(PP)
 その中で、商品を大きく分けて4つの部門で準備をしていました。健康グッズとか、商品券とか、特産品とか、ボランティア基金へ寄付というのをしたのですけれども、およそ95%ぐらいは2番の商品券でした。2番の商品券とか地域の商品券を、皆さんもそちらで、残りの5%は実は4番目の子供さんが通う学校への寄付、文房具とか、ポイントの端数などは全部そちらへやられる方がたくさんおられます。
(PP)
 27年からやらせていただきまして、実は目標は、50%を目標に頑張ろうと言っていたのですけれども、来ていただける方が30%をちょっと超えたぐらいで、平均しますと、27年7月からこの30年7月までで集計しましたら、3,511人の対象者に1,095人ということで、31.2%の方が参加をいただいているようなところです。
欠席の場合に、当月に案内を2回送るのですけれども、一応欠席理由を書いていただいている方で、極端な欠席理由になっています。75歳の方には健康な方がおられて、例えばゴルフに行くとか、家の用事が忙しいとか、75歳だけど、そんな保険のことは聞きたくないと言われる方と、逆に、病院に行く、デイサービスがあるから行けないとか、本当に極端な形になっています。これは、今、実は、集計と分析と健康貯金修了者ということで、191名の中の79名修了で、修了した方の実はレセプトと健康診査のデータを分析させていただきまして、どういうふうな形で変わっていっているかというのをこれから見ていこうかなと考えています。
(PP)
 ここで思ったのですけれども、「医療保険の流れと節目」ということでちょっと整理をしてみると、今現在、国民健康保険を担当しているのですけれども、特定健診が平成20年に始まって、2~3年で一番びっくりしたのは、40でもう重症になっている人が多かったのです。
ここを何とかしたいと思って進めていたら、実は、上の健康保険組合さんとか共済組合さんとか全国健康保険協会を退職されて、入って来ている方が今ここ数年重症となった被保険者の加入がすごいふえてきています。入ってすぐ透析に移られる方も実際ありますので、ここを何とかしないとだめなのかなと考えているのですけれども、上の矢印は人生の節目で考えています。ここで、何とか市としてアプローチを全市民さんにできる。例えば20は二十ですので、成人式で何かできないかとかいうのをこれから考えようという話をしています。
(PP)
 最後に、「各課連携によるフレイル対策」ですけれども、先ほど一番最初に組織図のところで御紹介をさせていただきました庁内連携。介護保険部局ということで健康福祉部の連携がございます。
福祉総合支援課さんと特にさせていただいている部分では、「認知症予防対策」で、物忘れ相談プログラムを保険年金課とで購入させていただいて、窓口に不定期的に設置をするとか、「ふれあいサロン」とか、「出前講座」で活用をいただいているというふうな形でやっています。
(PP)
 フレイル対策の関係図としてデータをつけさせていただいたのですが、ちょっと見にくいとは思うのですが、先ほど、これの前に紹介をさせていただきました後期高齢者の「いきいきシニア75」のところで、チェックリストをやったりとか、プログラムをやったりして、リスクのある人を見つけていきます。
 この中で、上が高齢者健診とか特定健診、健康貯金プログラムを保険年金課のほうでやりながら、長寿福祉課さんでは計画をつくっていただく。いろいろな「認知症カフェ」とかいうのがあるのですけれども、これが図の右側の部分になります。
(PP)
 上が「いきいき運動教室」とか、「パタカラ教室」、大体年間160~170回開催をしています。
 下が「ものわすれ相談室」とか、認知症の交流チームで対応していただく。この中で、「認知症カフェ」とかそういうふうな事業を、今、福祉総合支援課さんのほうでやっていただいています。
(PP)
 これが「いきいきシニア75」の対象者への案内ということで、「ものわすれ相談室」を毎月開催をさせていただいていまして、タッチパネルで5分もかからない間でリスクのある方が発見できますので、こういう人を、また、教室につなぐというふうな形で取組をさせていただきます。
(PP)
 最後に、資料提供・情報提供で、服薬情報通知を平成28年から東近江ではさせていただいていまして、もともとは医師会の先生方といろいろな健診を初め調整をさせていただいている中で、本人さんにお薬が出ているけれども、自分が出しているお薬には責任は持てるけれども、ほかでどんな薬が出ているかわからないので、そういう情報が何とかならないかという御相談を受けておりました。
それをもとにして、個人情報のことはもちろんありますので、審査会を経て、やり方としては、本人さんに本人の情報を送るのであれば大丈夫だという話になりまして、通知を本人に送って、その通知を本人さんがかかりつけ医さんとか薬局さんに持っていっていただくと、そういうふうなシステムとして構築をしております。
(PP)
 お薬が60歳から急激に量がふえていきますので、60歳以上を対象にしようということで、事業目的及び抽出条件については、以下のとおりとなってございます。
(PP)
 平成28年5月に初めて薬剤師会の会長さんのところへお願いに行きまして、その後、医師会の会長さん、各定例会に何度か説明をして意見集約をして、全体の説明会を経て、10月27日に国民健康保険の加入者の方に初めて1,152名アンケート、通知を出しています。その後、今、継続して、ずっとこれを出させていただいているようなところです。
(PP)
 最後に、報道機関の反応がありましたので、つけさせていただいておりますので、また、参考に見ていただければと思います。
 これで情報提供を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 大変先駆的な事例をプレゼンテーションしていただきまして、ありがとうございます。改めて、感謝申し上げたいと思います。
 それでは、ただいまの御報告に関連していろいろな意見交換をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、その際、自由に意見交換をしていただいて結構なのですけれども、次のような視点、1つは自治体でどのような体制を整備しなければいけないのか、また、広域連合としてどのような役割や市町村へのアプローチを強化していけばよいかといったような視点も踏まえて、意見交換できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、どなたでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、前葉構成員お願いいたします。
○前葉構成員 ありがとうございます。
 津市に発表の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 先ほど発表した者以外の実際に保健師がどんな感想を持ったかというのをちょっと聞いてみたところ、アウトリーチはいいことだと。あるいは、対面はとても大事だと。そして、管理栄養士との連携はとてもいいことだと。こういうことを言った上で、「まあ、でも、やっぱり介護保険・介護予防の仕事かなとも思ったりもしました」という正直な感想が返ってきました。
 介護予防でやっていることは、65歳以上のところを全部カバーしますから、しっかり定着をしておるのは確かだと思います。一方で、高齢者の健康づくりとか、健康寿命を延ばすということでこういうことをやろうとすることはいいことだと思いますので、今、座長がおっしゃったように、それは自治体がしっかりとやらなければいけない。自治体と言っても、基礎自治体、市町村がしっかりやらなければいけない。我々は責任もあると思うし、それから、意欲もあります。
 そこで、どういう体制を組まなければいけないかということなのですが、これは厚生労働省さんにこれから、ぜひそういう形でお願いしたいのは、市町村がやりやすい仕組みを国のほうでつくっていただいて、御支援いただければ大変ありがたいなと思うのですよね。やりやすいというのは、今現在、例えばモデル事業でやってみて、やりにくかった点をうまくカバーしていただければということで、例えば1つは、65歳と75歳の問題があります。横尾市長が恐らくこの後、お話しなさるのだと思いますが、後期高齢者医療広域連合への補助をいただいたとしても、それは市町村に委託事業として、また、出していくということになって、結局は市町村単位でやらなければいけないので、国から言えば、広域連合にぱんとお金を出せばそれで物事は進むだろうということになるかもしれませんが、実際、その先をどんなふうにしていくかということをある程度しっかりと頭の整理をしておかなければいけないだろうなと、こんなふうに思っております。
 例えば、今のモデル事業でも、75歳以上の人とそれ以下の人は、厳密に言うとアロケーションが必要で、参加者に「おじいちゃんは75だっけ、6だっけ」とか言って確認して、「おばあちゃんは74だよね」と。「あなたは後期高齢の対象で、こちらは対象外」とか、こういうことをやらなければいけない。これは非常に事務の手間が大変なのです。ですから、ここは後期高齢でぱーんと来るとそういう問題が出てくるというのが1つ。
 それから2つ目は体制のことですが、大和市さんのように非常に充実した体制を直営で持っておられる市町村ばかりではないと思います。例えば、現時点で、栄養士とか歯科衛生士を直営というのは非常に少ない。保健師も結局赤ちゃん健診とかがん検診とか喫煙のこととかいろいろなことをやっていますから、なかなか高齢者の健康というところだけに物事を集中していくのは難しいと思います。したがって、例えば体制づくりに対する、どういう形でやるかということをしっかりと我々も考えておかなければいけないと思っております。
 いずれにしてもお金が要る話なので、ここから先はいろいろと御意見があると思いますが、例えば保険の種類に関わらず、一般施策として、高齢者保健事業を組み立てていただいて、それをいわば交付金のような形で、市町村に任せるよというふうに渡していただくというようなことを仮にしていただければ、これは責任持ってやれると思いますし、我々もその自覚を持って取り組んでいきたいなと、こんなふうに思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、横尾構成員どうぞ。
○横尾構成員 ありがとうございます。
 今、お話しいただきました津市の事例や大和市、東近江市の事例は大変勉強になりました。同じ地方自治体の取組として、刺激がとてもあったと思います。具体的に改善努力をされていること、ベストプラクティスをお互いにリアルに共有してよりよいものにしていくというのは極めて大切だということを改めて認識をさせられる思いがしたところです。そこで、ちょっと幾つかお尋ねをさせていただきたいと思っています。
 1つは大和市の事例ですけれども、医療費削減効果について順調に右肩上がりで、この数年間は1年に1人ずつ管理栄養士をふやしておられるのですけれども、最終的に何人までにしようとか、そういうビジョンがあるのかどうかをぜひ知りたいなというのが1点目でございます。
 また、データについてはそれぞれ非常に連携をして、関係課連携はすばらしいなと思ったのですけれども、例えば東近江市の例で言いますと、そこで気づいた課題として、データ連携のことがあります。実は我々も含めほとんどの全国の自治体が気づいていると思いますが、国民健康保険制度と後期高齢者医療制度は同じようなアプリといいますかシステムで動いているのですけれども、介護との違いがあって、どうしても橋渡しや連携に手間や時間やコストがかかるのですけれども、こういったのは、例えば厚生労働省でまとめて、日本人の健康システムはこれで行くというのがあれば非常にいいし、ベストなものをつくっていただいて、フリーウェアで配ってもらったらコストもかからないしというようなことを思ったりもするのです。そういったニーズが東近江市でおありになるのか。あるいは、厚生労働省はそれを受けて、改革実行をされるというような返事は今すぐできないでしょうから、考えていくような方向性があるのかどうかを教えていただければと思っています。
 ウエルカム事業で「いきいきシニア75」。受付、体重、測定から始まって、最後は終活まで教えていただくというのは、大変多くの方々が実は関心があることです。どこに聞きに行ったらいいのだろうかというニーズが高いものをうまくとらえていただいて、パッケージされていていいなと思いました。いろいろなところで、こういった3つの事例を参考にどんどんいろいろな展開が出ていくとともに、非常に重要なところは、今も前葉津市長さんもおっしゃっていましたけれども、できれば、厚生労働省のほうで基幹となる柱を立てていただいて、そこにも若干といいますか、応分の財政支援、情報支援もしていただきながら、よりよい仕組みが広がっていくことを期待したいと思っています。
 2点の御質問を教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長 それでは、いかがでしょうか。
 では、大和市さんへの御質問だと思いますので、お願いいたします。
○目代部長 どこの市もなかなか人員削減等がノルマとは言いませんけれども、そういう中で、特に専門職をふやすのは確かに難しいと認識しております。私どもでも、当初はかなり反対的な部分がございました。ただ、まず結果を見せて、一人投入することによって、その投入以上の削減効果が出るというところをしっかりアピールしていって、そこでつけていただいたというところがございます。
 今回、まず平成25年から1名増員させてもらったのですけれども、その増員の分で、当然、それ以上の効果が出たということで、また、その翌年もふやしてもらうと、そういう形でやっておりましたけれども、大和市の人数の最適な到達点というところでございますけれども、大和市は非常に縦長の市でございまして、土地柄が北部・中部・南部というのでうまく切れるのですね。そういう中では、まず最初1名ふやしていただいたときに、市役所の保健センターに一番近い中部のところを取り組みました。そこで実際に実証をして、その効果を得たことによって、北の部分と南の部分もつけてくださいということで、1名ずつふやしていった経緯がございます。ですから、地区が3つあるので、3人ふやしていただきました。
 そういう中で、この後、口腔関係とか、認知等も含めて、そういったところにも切り込んでいきたいということで、6名の管理栄養士が配置されておりまして、そこで一つの島を、係をつくっております。そういう中では、現在は、当面はこの6名で行おうと思っておりますけれども、ただ、この後も、管理栄養士が非常にできる範囲が意外と大きいのがだんだんわかってまいりましたので、こういった中では、ほかのところにも、また、いろいろのところから情報を得て、管理栄養士が活躍できる部分があれば、もっと多く採用することも当然考えていくことでございます。ただ、当面はこの6名ということでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 もう一つ御質問がありましたが、これはデータベースの話ですね。東近江市への御質問ということになりますか。
○横尾構成員 できれば。それで、厚生労働省がやるぞという意欲があるかを。一番聞きたいのは厚生労働省に聞きたいです。
○遠藤座長 では、厚労省、何かコメントがあれば。
○込山課長 恐れ入ります。
 第1回のときも資料で御説明申し上げたのですが、それに近いシステムはKDBのシステムがあろうかと思います。先ほどもお話もありましとおり、健診のデータと医療のレセプト、さらに、介護のレセも、KDBのシステムの中でかなり取り込んでいますので。ただ、画面上どういった分析ができるかとかいうのはまだまだ検討、工夫をしていかなければいけないと思いますが、データ的にはそこは全部整っていますので、そういった分析のツールとしては可能だと思っています。
○遠藤座長 横尾構成員、よろしいですか。
○横尾構成員 はい。
○遠藤座長 津下構成員、それから、城守構成員の順番でお願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。
 事例発表ありがとうございます。今回の議論は高齢者の保健事業と介護予防の一体化ということですが、その逆は、縦割りとか分断ということになるかと思うのですけれども、データが一体化することで全体像を把握して、課題を共有することができて、作戦をみんなで立てられる。それから、保健事業の実施方法も一体化することで、重複している事業の整理とか、また、今まで漏れ落ちている事業がどういうところにあるのか、どういうところに手が届いてないのかというのが把握できて、そこに動いていけるという点で、一体化は不可欠なのだなと感じた次第です。
 そこで御質問があるのですけれども、例えば津市さんでは、美杉地区ではこれが非常に進んでいますという話がありまして、それはすばらしいことなのだと思います。他の地区に広げるときにどうすればよいのか。美杉地区ではこれができた。それはもともとあった資源も十分活用したと。さらに他地区に広げるためにはどんな工夫が必要なのかという点についてお尋ねしたい。
 それから、住民主体の動きと連動しているというところやサロン活動と連動しているというところは、とてもいいところだなと思うのですけれども、住民主体の活動と専門職しかできないこと、住民に知識を得てもらえば住民が動けることと、これは専門職がしっかり関わっていくべきものの整理が必要で、そこが、先ほどの人材の投入量にも関わってくると思うので、そのバランスをどうとるかという点をお尋ねしたいです。
 それから、大和市さんは効果分析を丁寧にされて結果を出しているから、さらに、予算を獲得できるという好循環に入っているのですけれども、気になったところは、非介入群です。非介入群まで把握していることは大切な点で、今までの事業では、参加者のデータはあるけれども、参加しなかった方のデータはないのがほとんどではないでしょうか。参加した人は効果がありました。だけど、参加しない人の状態と比較ができませんということなのですけれども、KDBとかで、この事業の参加者と非参加者を区別して分析することで、より効果が可視化できるという点は大きな進歩と思います。
 次の課題としてはは、非介入群、介入できなかった人は一体どんな方で、そこの方々へのさらなる対策としてはどんなことを考えていらっしゃるのかというようなことについてお尋ねしたいです。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、まずは栗本様からお願いします。
○栗本参事 津市のほうからですけれども、御質問ありがとうございました。
 先ほどの他の地域へ進めていくためにということで、1つは発表の中でも示させていただきました人材育成ということで研修をさせていただきながら、そのツールとしてこちらのような冊子をつくらせていただきまして、その中にフレイルについてとか、それから、どんなふうにこの支援をしていくかということも含めまして、チェックシートももちろんあるのですけれども、個人の人がお家で頑張る体操も含めまして、それから、何を食べたかとか、体重をはかってどうだったかとかいう記録シートとかもつくらせていただいていて、本人さんもそうですし、見守る側の人たちもということも研修をさせていただいています。
 その中で、地域に広げていくために専門職の研修をさせていただいておりまして、主に、27年に関わった者が講師を務める形で、どういう視点で進めてきたかとか、どういうところで一番重要なポイントとしてやっていけたかということも含めて伝えて、うちの保健師全員に向けての研修もさせていただきましたし、また、うちは、管理栄養士を委託契約という形で雇って今回のモデル事業を実施しておりますので、その管理栄養士だけではなくて、地域の栄養士会とかにももちろん声をかけさせていただいて、一緒にその研修を受けていただいて契約をしていただく方をふやしていただいて、地域で活動をしていただくようにということで、同様に、歯科衛生士さんについても研修を一緒にさせていただいて、実施をしていっております。
 3年間続けていった中で、現在は、こういうツールも使いながら、地域を広げて実施しておるところでございます。
 もう一点御質問いただきました、専門職と見守りをしております市民とという辺りでは、市民さんにはあくまでも見守りという視点で、近隣者として気にかけるということを中心に考えておりますので、個別栄養支援の必要な方につきましては、現在も保健師・栄養士等が繰り返しで訪問もさせていただきながら支援をしております。
 そのようなことでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
○遠藤座長 それでは、もう一つの御質問がありました、大和市の目代様にお願いします。
○目代部長 津下さんがおっしゃるように、非介入者へのアプローチは非常に難しいところではございます。当初は、どこの市町村も恐らくそうだと思いますけれども、こういう介入できなかった方については、通常、一般的な市は、まず何とか教室をやりますよというところで来ていただくというのがまず一般的なやり方だと思います。ただ、このやり方ですと、本当に関心がある方だけが参加する。へたすれば、10人来てくれればいいかなと、そんなような状況だというふうにどこの市でも思います。
 私どもの市としましても、やはりそういう状況でございました。ただ、低栄養は普通に生活する分には特に困らないですね。そういう方を引っ張り出すのは非常に難しいということで、アウトリーチをかけてやっていこうというところでございました。
確かに、介入者も限定される。ある人しか対応できていない。これは事実でございますけれども、非介入者への対応という課題は承知しておりますけれども、これはまずポピュレーション的なアプローチですね。啓発等も含めた部分とか、うちの場合は、幸いに、先ほどちょっと言いました「健康図書館」的なところへ、一人でも気軽に来て、測定したりとか、そういった保健士あるいは管理栄養士の講座みたいなのを聞けるとか、そういう気軽に入りやすいところもありますので、まずはそういうところからアプローチしていくのかなとは現在考えているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、先ほど城守構成員、その次に田中構成員で、お願いします。
○城守構成員 貴重な御報告ありがとうございました。それぞれ取組の内容とか状況は違いますけれども、今の御報告をお聞きしていますと、保険制度として、75歳を境に後期高齢者医療制度、広域連合というものができたわけですけれども、高齢者の保健事業の連続性を考えると、先ほども少しお話しされましたけれども、一体として保健事業に関しては市町村が中心となって、新たなその事業枠というか制度枠をつくることが必要になってきているなという印象を強く受けております。
 その中で、東近江の取組は非常に興味深く拝聴させていただきました。特に、レセデータと介護データとの連結というか、その接合をしたということなのですけれども、まず1点、介護データとしては、先ほど、主治医の意見書を打ち直して、それを添付か何かで入れるのかなと思うのですけれども、それ以外に何か介護データとしてそのデータを入れられていることがあるのかどうかということ。
 そして、いわゆる国保データと後期高齢者の広域連合のデータを連結するときに、何か問題になることがあるのかないのかということは、各市町村さんもちょっとお知りになりたいのではないかなと思いますので、その辺りをお教えいただいて、津市さんと大和市さんが連結をされているのかどうかということもお伺いしたいのが大きな1点です。
 もう一点は、それぞれの市町村において、特に津市さんにおいては、コミュニティ力は非常に高いということで、恐らくそのピックアップはコミュニティを通じて容易にできたのだろうと思いますが、大和市さんはアンケートをされたのですね。そのアンケートは、ある一定の基準で人をピックアップされているのか。その基準はどういう基準でされているのかどうかということですね。それは東近江市さんもあれば、お伺いしたいなと思うのですけれども、よろしくお願いします。
○遠藤座長 幾つかありますが、まずは東近江の夏原様にお聞きすることになると思いますが、よろしいでしょうか。
○夏原課長 済みません。介護データですけれども、一応介護のレセプトに書いているものについては、全て連結の対象として、後期と国保と、3つとも同じ状態で全部つなげた状態で、個人個人のファイルが全部でき上がっている状態になっています。ですので、40歳以上になっていたのですけれども、それ以降の例えば3年ずっと追っている方であれば、全てが整った状態でデータとして保有している状態になっています。
 国保の場合は、国民健康保険の担当課ですと容易にレセプトデータが連合会から提供いただけるのですけれども、後期の場合は広域連合さんに自治体から依頼をして、それから提供いただくという方法になっています。広域連合さんがレセプトデータを全部管轄しているのですけれども、その自治体に住んでおられる方のレセプトデータは、申請をすれば提供いただけますので、そのフォーマットも、一応滋賀県の場合は連合会さんにフォーマットを全部そろえていただいている関係があって、国保と後期は自動的につなげられるようなフォーマットになっています。そこに介護保険を後でつなげていただくと、そのような形です。
 以上です。
○遠藤座長 お答えとしてはそれでよろしいですか。まだ、幾つかありましたね。ほかの2市が同じようなことをやるかどうかということですね。
○城守構成員 連結をされているかどうかということですね。
○遠藤座長 いかがでしょうか。同じような連結をされておられるのかどうかということで、大和市さんと津市さん。
○目代部長 大和市では、そこまではしておりません。
○栗本参事 同じく、津市もそこまではしておりません。
○遠藤座長 あと、アンケートというようなお話を。
○城守構成員 対象者のピックアップの話ですね。
○遠藤座長 それは、どなたにお聞きしますか。
○城守構成員 できましたら、皆さんに。
○遠藤座長 では、3市にということで。まず、栗本様からお願いします。
○栗本参事 津市でございます。津市は、スタートの段階では、まずは、後期高齢者の健康診査の場面に直接出向きまして、そこで出会った方々から関わりを始めております。
また、自治会の方に御相談した時に、ある地域は全戸訪問してほしいということで、スタートから全戸訪問をさせていただいて歩かせていただきました。2年目以降は、全戸訪問はマンパワー的にちょっと難しいということで、通いの場、集いの場、サロンの場とかというところに行かせてもらって、関わりをさせていただいております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、ほかの市にお願いいたします。
○目代部長 私どもの場合は、介護予防アンケートを行っておりますので、その中の基本チェックリストの中で、栄養状態を問う欄がございまして、そこのチェックによって対象者を決めているということでございます。
○遠藤座長 いかがでしょう。
○夏原課長 東近江ですけれども、うちの場合は、75歳の「いきいきシニア」の対象の方に案内文を送るときに、基本チェックリストの表を同封しておりまして、そちらを返送いただいて、それに基づいて対象者がもしいる場合は、そこでリスクのある方を抽出して、いろいろなカフェとか地域のサロンにつないだりとかというふうな形で対応をさしあげています。
○遠藤座長 では、城守構成員どうぞ。
○城守構成員 例えば、そのアンケートをして、チェックリストが返ってくると、その回収率はどれぐらいあるのですか。結構高いのですか。
○遠藤座長 お願いします。
○夏原課長 高いときで大体8割ぐらい返ってくるときがあります。ただ、うちの人口規模で、1カ月大体1,000人弱挙がってくるのですけれども、多いときは確かに8割返ってくる月もあるのですけれども、逆に、50%ぐらいのときもありまして。月単位で若干波があるのですが、平均すると5~6割は返ってきているのかなと思います。
○城守構成員 お聞きしたいのは、大体医療にかかっておられる方は、前回もその話が出ましたけれども、そして、通いの場等にはいるけれども、医療にはかかっておられない方と、そして、全くアクセスができない方と、医療・介護を含めて、社会的なフレイルという意味においても、多分そういう3パターンぐらいの方がおられると思うのですよ。
医療にかかっておられる方はかかりつけ医なりの先生方の保健指導とかでいけるのですけれども、通いの場にはいるのだけれども、医療にはかかってなかったりという人は、そこに保健士さんなり、管理栄養士さんなりが行かれて、「ちょっと一回健診を受けられたほうがいいですよ」とか、ないしは、「診療所の先生に診てもらったほうがいいですよ」と、それにつないでいく必要がありますので、そういうときには医師会等を窓口にしていただいたら、スムーズにいくこともあると思うのですよ。
 問題は、ノンアクセスの人ですから、その人に対してどういうアプローチをされるかということも、ノンアクセスの方は非常にリスクの高い人が多いと思いますので、その方たちをいかに表に出て来ていただくかという取組が一番重要になってくるかと思いますので、その辺りも今後御検討をお願いします。
 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしました。田中構成員、どうぞ。
○田中構成員 質問と申しますよりも、先ほど津下先生のほうから御質問がありました、無関心層というか、届かない人にはどのような方法を考えられますかというところですが、そのうちの1つとしまして、お会いできない方というか、実際は、拒否はあまりいなくて、不在だった方はいたのですけれども、そういう特徴の1つに、ひとり暮らしの人がやはり多い。ひとり暮らしの人がもともと多いというのもあるのかもしれないのですが、今年から、高齢福祉課のところの地域支援事業の予算で、ひとり暮らしの方にアンケートをとっております。いろいろなエッセンスを入れてアンケートをとって、そこから、アプローチを別の角度からしていこうというのも1つの案としているということでございます。
 それと、先ほどの城守先生のところの御質問でもあるのですが、大和市の介護予防アンケートは、要介護認定を除く65歳以上全員に送っておりまして、四万何千人のところで、回答率が80%で三万何千人という形での回答を得た状況でございます。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、小玉構成員、それから、鎌田構成員、石田構成員の順番でいきましょう。
○小玉構成員 それぞれの発表をいただいた皆さん、ありがとうございました。歯科医師会の小玉でございます。
 最初、津の発表の中で、食べる楽しみは大切なんだけど、それが食べることがなかなか楽しみになっていないという話がございました。専門職との関わりといいますと、実際の体制整備の中で、今、歯科衛生士さんが管理栄養士さんと一緒にそれぞれのお宅に行かれて、口の中も診ていただいているのですけれども、1つは、口の中を診ても、治療をしないと難しいという方がいらっしゃるのではないかなと思いますけれども、そういったときに専門職にどういうふうにつなげていただいているかということをお伺いしたいと思います。
 それから、大和市さんの対応は、オーラルフレイルを特出ししていただいて、特にこの中で後期高齢者の低栄養の方で歯のふぐあいによる食事量の減少が多いというところで、ピンポイントで対応していただいているのはすばらしいなと思うのですけれども、この中でも、専門職へのつながり方がどういうふうになっているのかなということをお伺いしたいと思います。
 あと、東近江の御発表の中では、データのとり方が本当にすばらしいなと思うのですけれども、この中で歯に関するデータがどこかに盛り込まれているのかなということをお伺いしたいのと、あと、「健康貯金」の中で目標にされることを決めていただいて、市民の方を巻き込んでということなのですけれども、この中に歯の目標などが書かれている方がどれぐらいいるのかどうか、わかれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、3市に対するそれぞれの御質問ですので、津市、大和市、それから、東近江の順で、それぞれお答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○栗本参事 津市でございます。
口腔に関して、歯科衛生士さんに一緒に回っていただくように平成28年からなっております。ちょっと苦い思い出ということなのですけれども、そんなときに、詳しい状況ではございませんが、うまくかめないということもありましたので、一度歯医者さんに診ていただいたらいいと思うよというようなことをお伝えさせていただいたのですが、御高齢の方でありましたことから、回って来てくれた役場の人たちが「先生のところへ行ったら治るよ」と言われたということで、先生は診ても、多分治る状態ではなかったのだろうと思うのですが、そんな安易なことを言っては困りますよというふうなお叱りを受けたことも正直ございまして。
 ただ、もうちょっと私どものほうから行かれる医療機関さんをちゃんと把握して、事前に個別にこういう方が行かれますよという御連絡をさせていただくなり、今後は、医療機関のかかりつけの先生とか歯医者さんとかに御連絡する連絡票というのを今ちょっと検討しておりまして、うまく連絡できるような形をつくっていきたいと考えておるところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 では、大和市さんお願いします。
○目代部長 当然、歯科医師会との連携のほうはやる前からお話をさせていただいておりますので、歯科医師会につなぐことは当然やっているところでございます。
 また、ほとんどの高齢者の方はかかりつけの歯科医師さんをお持ちですので、そちらほうとの連携もあると思いますし、市のほうでも、歯科医院の市内の全部の一覧表等もございますので、かかりつけ歯科医がいないのであれば、それで紹介したりとか、そういう体制をとっているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、東近江市さんどうぞ。
○夏原課長 東近江の場合は、歯科の部分ですけれども、まず、分析のデータの中には、当初は歯科のレセプトは入っていませんでした。レセプトのデータをつなげる中に入れる入れ方が明確になっていませんでしたので、そこは、今、調整をしていただいています。
というのは、一昨年から、集団健診の会場で、日本医師会さんのホームページでアンケート調査のソフトがあったと思うのですけれども、あれを活用させていただいて、健診の申込があった方にそれを全部送らせていただいて、記入したものを持ってきてもらって、会場で全部入力をして、それに基づく口腔の指導を健診の中でさせていただいています。そのような形で、その場合は、地元のかかりつけの歯医者さんに行っていただくようにお願いをして、また、レセプトで確認をしながら、受診勧奨を継続してやっていると、そういうような形で対応させていただいています。
 以上です。
○遠藤座長 小玉構成員。
○小玉構成員 ありがとうございます。
 今度、特定健診・特定保健指導の項目の中にも、口の中をちょっと調べられるようなことが入りましたし、介護予防の中にも、皆さんに役立てていただいている3項目があります。それから、今度は後期高齢者の歯科健診の中でも、口腔の機能について調べてくれるとよりいいよという厚労省のお話もそれぞれの市町村にも行っていると思いますので、改めて、いろいろとよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、お待たせいたしました。鎌田構成員どうぞ。
○鎌田構成員 本日は、すばらしい取組の発表ありがとうございました。
 このような事例を聞きまして、本当に地域づくりとか関係づくり等が重要であるなと思いましたし、そのようなプロセスを評価して、インセンティブをつけるような仕組みが必要ではないかなということを実感しております。皆様方がきょう発表された保健事業は、現状の課題に対応するものでもありますし、その根底には、それぞれ一部発表されましたけれども、過去、「健康日本21」を初めヘルスプロモーションの理念に基づいて、地域住民とともに市町村の保健師さん、栄養士、いろいろな専門職、事務職、が連携して、さまざまな取組を脈々と続けてきた結果、今ここに来ているのかなといったところでは、その原点に立ち返りながら各自治体やっていけば、スムーズに行くのかなとも思っております。そのように考えると、評価の中に「健康日本21」の取組であったり、地域づくり、関係づくりのプロセスの評価をしっかり加えたほうがいいと思います。
 1つ質問ですが、大和市さんの資料の20ページに健康相談連絡票の紹介がありました。高齢になると、さまざまな複数の疾病を抱えますが、ここに医師といろいろな関係機関との連絡票がありますが、そこには、例えば医師から連絡票が来る。そこに何らかの報酬とかそのようなものは発生しているのか、本当にサービスでそのような連絡票を出して、お互いに返しているのかといったところを、その辺の予算の使い方もあると思うのですが、そこがどうなのかなということを1つ聞きたいなと思います。
 それと、先ほど質問されていましたが、管理栄養士さんを増員されていると同様に保健師さんのほうも本当に毎年増員されていますが、その増員の理由は、管理栄養士さんと同じような理由でよろしいでしょうか。
 よろしくお願いします。
○遠藤座長 では、大和市さん、お答えをお願いいたします。
○目代部長 健康相談連絡票でございますけれども、個人のクリニックですね、こういうところにつきましては、その医療機関の中には管理栄養士というところまではほとんどいらっしゃらないのが現実でございます。看護師は当然いますけれども、そういう中では、栄養的なところは医療機関では対応が難しいというところが非常にあると思いますので、そういったところに今回ちょっと着目させていただきまして、気軽に栄養の関係ですね、体重が減っているところとか、そういう栄養に関するところを大和市のほうに連絡していただければ、市のほうから直接その対象者にアプローチ等をさせていただきますよというところも含めて、お互いにちょっと弱い部分を補うような、そういうところをメインにやっておりますので、そういった意味では本人にとっては、医療機関の指導もあるし、市の管理栄養士からの指導もあるということで、両方ともプラスになってくるのかなということでございます。
○遠藤座長 よろしいですか。
 鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 となると、かかりつけの先生は本当にサービスではないけれども、そこには、連絡票を書いても何も報酬は発生しないということでよろしいのですか。
○目代部長 今回は、費用については全く発生しておりません。
○遠藤座長 それでは、お待たせしました。石田構成員どうぞ。
○石田構成員 ありがとうございます。
 まず、津の事例につきまして、27年~29年の3年間の補助金の事業の中で、一番高齢化の進んでいるエリアについて、栄養パトロールという仕組みをつくって、きちんと予防に努めたという実績があったのですけれども、たまたまその発表の中で、今現在、平成30年は「細々と継続している」というようなご発言がちょっと印象に残っておりまして。
つまり、どこの自治体も、多分こういう補助金事業を終えた後にどうしていくかということは非常に重要になってくるのではないかと思っています。先ほど、前葉構成員から、新たな財源確保の仕組みが必要ではないかというような御意見があったので、確かに、各自治体が今後それに取り組んでいくときの財源のどのように確保していくかというところは非常に重要なことになってくるのではないかと思います。
 そこで、大和市さんでは、多くの構成員からも指摘がありましたように、非常に人材もきちんきちんと確保していき、中には、県の栄養士会に委託しながら、そういった訪問の方たちも増やしている。さらに、歯科衛生士さんも新たに増員していくというような仕組みをちゃんとつくり上げていらっしゃるのですけれども、いわゆるそういった人件費等も含めた財源の確保についての方法といいますか、どういったような工夫でそれを確保し、今後その事業を進めていく方針なのかというのをちょっと教えていただきたいというのが1点あります。
 それから、もう一点は、東近江市のところで非常に関心を持ったのが、最後の服薬の仕組みは非常におもしろいなと思いました。最後のページで、平成29年は、全部通知書を発送したというところまでは御報告があるのですが、その後、例えば市民の方からのリアクションであったり、その事業の実施の内容のその後の成果のようなものがもしあれば、教えていただきたいなと。以上、2点でございます。
○遠藤座長 それでは、大和市さんと東近江市さん、それぞれ御回答いただければと思いますが、よろしくお願いします。
○目代部長 結構管理栄養士をふやしているところに対しては、どこの市町村からも本当に驚きの声をいただいているところではございます。私どもは、ただふやしているということではなくて、成果が見える化、最初はどうしても結果を出さなければいけないというところに重きを置いてまいりましたので、そういった意味では結果が出なかったときの苦しさもあるのですけれども、今、結果的には出ておりますので、そういった中では、今のところは順調につけていただいておりますけれども、どこの市町村でもそういうことができるというのはちょっと難しいと思いますので、そういった面では、一時期、今も一部は行っておりますけれども、県の栄養士会に一部お願いして、訪問のほうを手伝っていただいたりとか、そういった工夫もしていかないと、直営で全部賄うのは非常に厳しいところがあるのかなと思います。
そういう中で、地域の栄養士会とかそういったところも活用させていただきながら、そういうところに補助金をちょっとつけていただいたりとか、そういうこともこれを進めていくには必要なのかなとは感じているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、東近江市さんお願いします。
○夏原課長 服薬の成果については、きょうは資料をつけてないのですけれども、10月27日に発送した後、定期的に薬局の薬剤師の先生と医師会さんのほうからアンケート調査を、12月にとらせていただいています。持参率とか、その後の発送のときに通知した方が、3カ月~半年後を見たときにどのように変わっているかというのの検証もさせていただいているような状態になっています。
逆に、医療機関のほうからは、例えばそれを持って来られて、こういうふうな形で書いたとかいうふうな御報告もいただいているようなところで、今後、これも集計をさせていただく必要があるのかなと思っておりますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、飯島構成員、有澤構成員、河本構成員の順番でお願いします。
○飯島構成員 飯島といいます。ありがとうございました。
 まず、3つの取組をお聞きした上で、フレイルという概念を立ち上げた立場として、こういう個々の市町村の取組を実際、理念だけではなく、名前として取り上げていただいて、しかも、複数の行政の中の部署と、そして、医師会、歯科医師会も含めた専門職能団体と、本当にチームプレイ的にある程度やっていただいていて、本当にありがたいと思っています。
 このフレイルの概念に対して入れたメッセージは、可逆性、頑張れば戻せるというところと、多面的というところで、そこに体の要素、心の要素、そして、社会的なフレイルというところを入れたので、そこら辺が、今、ここに来て、ぐっと市町村に落とし込んでくださっているのかなと実感しました。
その中心のところが栄養なのだろうということなのですけれども、これはちょっと御質問ですけれども、これはどこの市に対してという御質問ではなくて、お答えを持っているところで手を挙げていただければと思うのです。先ほど、いろいろな取組で、当然、効果判定というところはこだわってやっていらっしゃって、例えば体重1kgふえたらば改善ありとかといろいろスケールを決めていらっしゃいました。
もう一つ重要なのが、栄養士さんとか歯科衛生士さんとかいろいろ専門職種が関わって、最初の3カ月、最初の半年間でどこまでブレーキかけられましたかということも当然重要なのですが、その後の専門職種が行かなくなった後のいわゆる継続性というところ、そこがある意味一番真価の問われるところではないかなと思うのですけれども、そこら辺、まだ2年目です、3年目です。そこら辺がまだ十分追えていませんということだったら、追っていただきたいなと思いますし、ある程度専門職が行かなくてもこれだけ維持できているのだと。しかも、社会参加というところも促せながら栄養面を維持できているのだという、その継続性というところに対して手応えであったり、それを検証するデータがあるならば、ちょっと教えていただきたいなと思います。
○遠藤座長 それでは、どなたでも結構ですので、何かコメントがあれば。
 では、栗本様どうぞ。
○栗本参事 津市でございます。
 データというのが、私ども上手に見せるという力がなかなかなくて、上手にとれてないのが正直なところではございますが、先ほど細々とと言ってしまったのですが、それは3年間関わった地域につきましては、継続的に栄養個別支援が必要な方には、今も継続的に関わらせていただいているということでございます。
 先ほど、市役所の本庁舎から一番遠いと言いました、そこの地域は、地域の住民さんたちが見守る体制や料理教室などをしながら、そこの場でお互いに確認をしながら、また、保健師も定期的に参加をしておりますので、そこでその人たちの様子を継続的に確認もさせていただきながらという状況でございます。
○飯島構成員 いわゆる集いの場に継続参加させながら、やんわりとモニタリングしているという印象でしょうか。
○栗本参事 そうです。
○飯島構成員 わかりました。
○遠藤座長 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、有澤構成員お願いいたします。
○有澤構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の有澤でございます。
 まず最初に、それぞれの市に御質問をさせていただきたいのですが、その前に、それぞれの自治体の中で、それぞれの自治体のスタイルに合った形で、このようなフレイルに対する事業をやっていることに対して、大変いい話を聞かせていただいたと思います。
 その上で、津市さんですけれども、7ページに、「支援体制イメージ図」がありまして、栄養パトロールをやった上で、それぞれ薬局、訪看、地域支援センター、診療所、社協、こういった連携があるという図になっていますけれども、例えば薬局に対して具体的な連携の事例等があれば教えていただきたいということ。
 それから、もう一つは大和市さんですけれども、21ページに半分に折って「お薬手帳」にはさめる大きさということで、情報共有をするような形で先生に書いてもらうというのは、多分、手帳にはさむイメージでやっていると思うのですが、これ自体が保健士、栄養士と医師の間だけばかりではなくて、それぞれの関連する職種の人たちが共有するという目的を持つためにやっているのだと思いますが、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
実際に、手帳の持参率がほぼ高齢者にあっては8割方持っているという状態ですし、当然、ケアマネジャーと介護に入る際も必ず「お薬手帳」を提示させているという実態もありますので、「健康管理手帳」等があれば、また、別ですが、手っとり早く、今、高齢者が必ず持っているものなので、今、こういったものをどういうふうに考えて出したのかということをお聞かせいただきたい。
 東近江市さんにあっては、20ページに「医療保険の流れと節目」と出ていまして、まさに、被用者保険からずっとなって国保に入ったときいきなり悪くなる。私どもでも、そういう事例の処方箋を実際によく受けていて、退職した後に急に悪いという人がたくさん出てきたりする事例も見たりするのですが、特に全国の協会健保などは組織が大きいですから、こういったところと被用者あるいは被扶養者も含めて地域保険と一緒にそういった事業を展開していく予定があるのか、あれば、どういった内容をやっているのかということも含めて教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 では、それぞれの市で。津市さんからお願いします。
○栗本参事 津市でございます。ありがとうございます。
 7ページですが、よく見ていただきますと、これはイメージ図と書かせていただいておりまして、訪問看護ステーションさんと薬局さんのところの太字でない状態を見ていただきますと、イメージで今後ということで、この地域は医療機関がございませんので、薬局さんもございません。今のところ、直接的な連携をしたことはないのです。今後ということで、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、大和市さんお願いします。
○田中構成員 目代部長にかわりまして、田中がお答えしたいと思います。
 まず、この連絡票ですが、最初の内科の先生からの御提案でもともと始まったもので、こういうものがつくれないかということで、最初に御提案がありまして。「簡単に連絡できるものがいいよ」ということで、お互いの報酬とかお金のやりとりは全くなしで始めているものですが、実際、今は、薬剤師会とは年に1~2回勉強会をしているぐらいで、情報共有等々をしているということで、後々は、「お薬手帳」にはさめる大きさにして、薬剤師の方や、薬局のほうとも連携をとりたいということで、大きさをどれぐらいにしようかと話し合った時に、「お薬手帳」に合うようにしましょうと決めたのが形ということです。先生のほうも、小さい紙でとおっしゃられたので、「お薬手帳」のところかなというところで決めたという経緯でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、東近江市さんお願いします。
○夏原課長 20ページの件ですけれども、協会健保さんとは、26年度に事業連携、基本協定を結ばせていただきまして、健診と保健指導を今一緒にさせていただいています。
2年前からは、協会健保の被保険者の方の保健指導を市が受託をさせていただきまして、実施をしておるのですけれども、これが、辞めて入って来られる方が少しでも何らかの形で関わりたいという思いで2年前から始めているような次第です。今後は、やり方とか手法については、また、検討をしていきたいなと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせいたしました。河本構成員お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
 本日は、貴重なプレゼンを聞かせていただきまして、まことにありがとうございます。
 東近江市さんに御質問させていただきたいのですが、「健康貯金」という取組をされているということで、実は、私ども健保組合も、この種のいわゆる健康ポイントとか、そういった取組は比較的多くの健保組合で実施をしておるのですけれども、まず、事業費が今回どのぐらいかかっておられるのか。
それから、私どもの場合ですと、参加者が、健康に関心の高い方が中心に参加をして、そうではない方の参加を期待してもなかなか出て来ないという、悩みがある。
それから、こういう取組をすることで生活習慣をきちんと変えていただくことをねらいにしているのですけれども、短期間ではなかなか変わってくれない。そのとき頑張ってやっても、いつのまにか、元に戻ってしまうみたいな悩みもあるのですけれども、その辺り、東近江市さんの場合はどういう状況だったのか。あるいは、どういうふうにお考えなのか教えていただければと思います。
○遠藤座長 それでは、東近江市さんお願いします。
○夏原課長 まず事業費ですけれども、平成27年から始めさせていただきまして、大体1年間に400~450万ぐらいの事業費を見ております。ただ、これは厚労省さんの高齢者の健康づくり事業という補助金がありますので、10分の10で補助をいただきまして、実施をしております。補助の形態が変わりますので、それについては対応できるような補助事業に、また、事業内容を若干変えながら載せていくというふうな形を考えています。「健康貯金」は2年ですけれども、当初は、「健康貯金」の商品代は、まだ2年たっていないので見る必要はなかったのですけれども、2年もたってきますと、そこそこかえられる方もふえてきまして、それについては一般財源で見ています。ですので、総計して450万前後ぐらいで毎年事業を運営していっていると。
これについては、この事業に関わっていただく人件費とか、プログラムの中に栄養士さんとか歯科衛生士さんが出てきてもらう場面があるのですけれども、うちのほうの嘱託の担当が空かない場合には、雇い上げという形でその人件費も見させていただいていると。それと、「健康貯金」の点数の管理とかそちらについては、業者委託をさせていただいていますので、そちらが費用として出ています。
なお、滋賀県の場合は、保険者努力支援制度で後期のインセンティブに出たと思うのですけれども、今年度から、やっている業務の内容に基づいて、交付金を各市・町に配分されるような方向に変わってきていまして、いかにいろいろな事業を展開するかというのが滋賀県内の後期高齢の担当の中では出てきていまして、これは、来年度、滋賀県内のほかの市・町さんでも幾つかやられるような方向に、今、動いています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、六路代理人、齊藤構成員、近藤構成員の順番でお願いします。
○六路代理人 協会健保の六路です。
 先ほど、協会健保を退職して国保に入ってから非常に悪化した状態で入るというお話がありました。御指摘のとおり、国民の3.2人に1人が協会健保の加入者でして、加入者の方たちの健康づくり、重症化予防を協会だけではなく、きょう伺ったいろいろな具体的な事例からも、いかに連携できるかということを模索しているという状況だと思っております。
 協会も、実は、退職して国保に移ってからどんな状態になっているかは、何も情報がないのですね。ですから、そんな事例をそれぞれ皆さんと一緒に共有しながら、どういう人たちが悪くなっていて、協会の場合どうするべきなのかということも、逆に振り返りながら考えなければいけないなということを、痛感しています。
 それと、今回、3つの非常に先進的な事例をたくさん伺いましたけれども、協会も人材がなかなか集まらず非常に不足しております。保健師も募集しても集まらず3桁の欠員がずっと続いている状況です。先進的なところがこれだけ人材を集められて、しっかりとした保健事業ができると理想的な形だと思うのですけれども、全国各地でこれをどのように展開していくのか。少ない専門職の中で、幅広くどのようなことができるのかということは、ぜひ、これから皆さんからもアイデアをいただきたいし、また、国でどう考えるのかということも伺いたいと思っております。
 それと、結果を出すという非常に力強いお言葉をいただきましたけれども、事業評価をして、良いプログラムをつくっていかないとなかなかうまくいかないのかなということも思っております。意味では特定健診・特定保健指導にこの10年取り組んできまして、改善を繰り返しながら成果も出てきたというのが今の状況かと思っておりますので、ぜひ、効果的なプログラムを検討していただくと、支援金を出している保険者の立場としても、非常に期待しているところですので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 お待たせいたしました。齊藤構成員どうぞ。
○齊藤構成員 ありがとうございます。
 1点ずつ質問をさせていただきたいと思います。
 東近江のさまざまな分析をしておられるのは、大変興味深い、関心の高い問題として、説明を聞かせていただきました。この中で特に具体性を持ったのは、多剤投与に関しての情報提供ということがあったのですが、有澤構成員からもお話がありましたように、今、「お薬手帳」が大分普及をされている。例えば、地元の薬剤師会としっかりと連携する、また、医師会と連携していれば、「お薬手帳」を持って来てもらえば、どういう服薬されているのか、データでなくても管理できるのではないかと思ったのですが。お答えいただきたいと思います。
 2つ目は大和市ですが、7ページ以降の資料で、対象者に対しての成立率といいますかね、いわば関われたということをあらわしているのですが、それぞれのものによって多少の違いがある。人工透析系については非常に関心が高いから、こういうふうなデータになるのか、オーラルフレイル予防についてはまだまだこれからなので、関心の度合いがまだまだ低い、そういうふうな物の見方をしていいのかどうかということは、分析されたほうのお立場としての意見を伺いたいということであります。
 それから、津市さんですが、恐らく多くの自治体では、きょう、お三方の中では一番入口としては入りやすい情報だったのではないかなと思います。ただ、ある意味では非常にやりやすい地域から取り組まれたというような印象があるのですが、財源の問題を別にして、津市の中でほかに広めるとすれば、何が一番課題だとお考えなのか。そこの点を1点お聞きさせていただきたいと思います。
 以上であります。
○遠藤座長 では、東近江市さん、大和市さん、津市さんの順番でお願いします。
○夏原課長 「お薬手帳」ですけれども、この服薬の通知をやる前に、薬剤師会さんと一緒に、「防災のお薬手帳」というのを実は一緒につくらせていただいて、無料で薬局に配置をして配っていただいていたのですけれども、その利用状況を見ると、薬局ごとに「お薬手帳」を持っておられる方が実はたくさん。現状そうだったのです。それプラス、医療機関にも、実は医療機関ごとに「お薬手帳」を持って行っておられる。
 ということで、先生のほうが一番困られたのは、自分のところのお薬プラスアルファほかで出されているのを実は見たいのだけれども、その手帳の中にそれは書かれていない。ですので、何とかならへんかというふうなお話もあって、それでしたら、一度出して、本人さんに持って来ていただくことによって、それで効果が一定見られるのかなということで、多分、本来ですと、実は、滋賀県内の市・町さんで同じようなことをしようとされたときに、医師会さんとか薬剤師会さんがなかなか理解をしていただけないところもあったみたいなのです。ただ、うちの場合は、医師会の先生方が本当に何とかしようかというふうな、うちの場合は「三方よし研究会」ということで、医療実態の関係される方々がいろいろ考えていただいている部分もあって、今回こういうふうなことができたのかなとは思っています。
○遠藤座長 大和市さん、お願いします。
○目代部長 成立率でございますけれども、特にオーラルフレイルに関しては、担当しているのは、これは正職の配置ではありませんので、特に口腔系につきましては、非常勤の歯科衛生士であり、どうしても行く回数が制限されてしまうということが大きいのかなと感じています。もうちょっと行ければ成立率も上がるかもしれませんけれども、まだ、非常勤で対応しているというのが一番大きいのかなと思います。
○遠藤座長 津市さん、お願いします。
○栗本参事 今おっしゃっていただきました津市が、一番関わりやすい、本当に穏やかな山間部で始まったことは正直そのとおりでございます。地域に広げていくに当たっての課題はやはり人の問題でございます。この地域は、出生は1桁でございます。地区担当といいましても、赤ちゃんの訪問に行ったりとか、レアなケースはもちろんございますけれども、本当に子供に関わることが少ない地域でございます。だからこそできる部分で、市街地ではとてもとても難しいことでございますので、人の問題が一番大きいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 近藤構成員、辻座長代理がちょっと予定があるということですので、先に、辻座長代理にお願いします。
○辻座長代理 済みません。抜けなければならないので申しわけないですけれども、感想だけ一言申し上げたいと思います。
 きょうは、本当にすばらしい優良事例をお聞かせいただき、非常に勉強になりました。このような優良事例を聞いて、私はいつも国に帰って、知っているところにこういうことをやろうよという話をすると、「いやいや、あそこができるのは市長がいいからだ」とか、「あそこができるのはスーパー保健士がいるからだ」とか、そういう何か属人的なところとか、「いや、あそこはああいうネットワークがあるからうまくいっているのですよ」とか、「いや、うちは違う」みたいな話になってしまうのですね。
 逆に、ちょっと皮肉っぽい言い方をすると、そういうことをしなくても成立している現実があることも、それ自体問題だと思うのですけれども、その一方で、優良事例を横展開するという点では、今かなり頑張っているというか、先を競ってやっているような業界がありまして。これは、例えばデータヘルスとか、健康経営というほうになると、優良事例を我が社も入れようとか、我が保険組合も入れようとか、かなり広がってきているのですね。
 それはどうしてなのかというと、加算・減算の問題とか、あるいは、優良法人の認定制度とか、実際に見える化する部分とか、あるいは、インセンティブがきっちりあるわけですよね。ですから、そういったところを市町村自治体あるいはこういった介護予防、健康寿命というところにも持っていく必要があるのかなということをきょう伺って、思いました。
 もうお帰りになられましたけれども、前葉市長は、先ほど、高齢者保健事業ということをとにかく置かれるので、高齢者保健事業を交付するなり補助金で出してもらって、それを各自治体の実情にあわせて使わせてもらいたいという話がございましたけれども、これは非常に重要な話だと思うのですが、そこに少し絡ませた形のインセンティブというか、そういったことも重要なのではないかと思いますね。
我々、この会議あるいは国なり、あるいは各都道府県の広域連合がこれからすべきことは、そういった事業評価あるいはアウトカム評価、そういったものをきっちりとできるようなスキームをつくって、そして、もう一つは、事例としてはいろいろな事例があることを紹介するようなものはつくって、最終的には、このアウトカム評価あるいはプロセス評価も含めて、そういった評価に基づいたインセンティブのスキームをつくっていくということがあれば、恐らく自治体も本気になってという言い方はちょっと差し支えありますけれども、さらに努力をステップアップしてくださるのかなと思いますので、そういった感想を持ちました。
 どうもありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、近藤構成員、お待たせしました。どうぞ。
○近藤構成員 いろいろあるのですけれども、時間がこんな状況ですので、最低限に絞って発言したいと思います。
 きょう、いろいろ聞かせていただきながら、一体的な実施とは、何と何を一体化させるという論点があるのかを考え、8つぐらいの視点・論点があると私の中では整理できました。
 まず、どの部局が中心になってまとめるのか。一体と言っても、どこか中心がいるだろう。それをどこに置くのか。きょうも、保険年金課の方が報告されたり、どこが中心になるのかというのも論点になります。2番目にどの財源でやるのかという財源の組み合わせもあるでしょうし、比率もあるでしょう。3番目が何を予防しようとするのかという点で、これも、また、重きがあったり、統一的に考えるのかどうかというのがあります。4番目がどういう対象者に対してやろうとするのか、5番目にどの専門職が関わるのかというのもあります。6番目が、それをどういう場面でやるのか、7番目にどのようなアプローチでやるのかというのがあります。最後8番目としては、どのようにデータをつないで、生かしながらやるのかという点です。次回、一体的実施のスキームが示されると、事前レクで聞いていますので、厚生労働省の提案資料で、私はこの8つの視点からどのように一体化しようとしているのかというのを出していただけると、私としてはすっきりするなと思いながら聞いておりました。
 ちょっと時間がないので、最後のデータのところだけ補足説明します。前回も言ったことですけれども、今データは、NDBやKDBでかなり結合が進んでいるのは事実で、きょうも東近江市の9ページでも、統合データベースでこのようなことができるところに来ています、ちょっと手間をかければできますよというのが示されました。しかし、実は、これを見てみますと、特に予防の効果評価に使えるのか疑問が湧きます。今、辻先生も言われたプロセスとか効果の見える化ができるかという視点で見ますと、足りないものが3つあるのです。
 まず1つは、どのような対象者に行ったのかという情報、保健事業・介護予防を始める前のベースラインの情報が入ってないのです。単純に、介入群・非介入群で比べると、後期高齢者では「わしはもういい」とか言う人が拒否したりして対象者から漏れれば、若い人ほど対象者になりやすくなります。そうすると、単純に、介入者と非介入者を比べると、非介入者のほうに後期高齢者は多くなるわけですから、予防効果を比べると絶対悪くて、介入した群で確実に効果が出てしまうわけですよね。そうすると、ベースラインの介入者と非介入者の背景要因をそろえてから比べないと効果評価ができないことになると思います。
 2番目が、どのような事業に参加してもらったのかというのが、今のこのデータベースの中にはないのです。別の言い方をすると、参加者名簿がないということです。
 3番目が、いろいろな市町村がいろいろな試みをされるので、どのような内容と量で介入したのかという情報がないと、どういう中身がより効果が大きいとか、例えば通いの場にしても、お茶だけ飲んでいるところもあれば、体操をやっているところもあれば、歌っているところもある。「お茶飲んでいるだけでも効果はあるのですか」ということを知るには、体操もやっているところと比べたりとか、そういう比較評価をやろうと思うと、プログラムの中身がわかる情報がないといけない。それらがあって初めて健診データがよくなったとか、要介護認定率が減ったとかが比べる意味がある。効果指標の一部は今のレセプトデータ等でもできますが、その前段階の3つの要素の情報がないまま、今結合できているデータだけで分析しろと言われたら、それは非介入群のほうが悪いという結果は出ますよ。もう評価する前から結果がわかっている。今回の一体的実施を機に、データも一体化して政策評価に役立つデータベースをぜひつくっていただきたいなと思います。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございました。
 まだ御意見があるかとは思うのですけれども、予定した時間、座長の不手際でかなりオーバーしてしまいまして、きょうはこのぐらいにさせていただきたいと思います。
 3市の非常に先進事例を御報告いただきまして、本当にありがとうございました。我々の今後の議論に本当に役に立ったと思います。改めて、感謝申し上げたいと思います。
 それでは、本日の会議はこれにて終了させていただきたいと思います。
 次回も、自治体及び関係団体のヒアリングを行う予定としておりますが、それとあわせまして、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」で座長を務めておられる津下構成員に、高齢者の保健事業の検討の経過やその内容、あるいは、自治体における地域連携や庁内連携などについて、御報告をいただきたいと思います。そういう段取りにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、津下構成員よろしくお願いいたします。
 それでは、そのように取り進めさせていただきます。
 次回の日程等につきまして、事務局何かありますか。
○小森補佐 次回につきましては、10月5日(金)午前10時から、会場は、また、ここの会議室の隣の第1会議室で開催させていただきたいと思います。追って、開催通知等を送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、本日は閉会としたいと思います。どうも、長時間ありがとうございました。
 

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