ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 第1回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議議事録(2018年9月6日)

 
 

平成30年9月6日 第1回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議 議事録

老健局老人保健課
保険局高齢者医療課

○日時

平成30年9月6日(木) 16:00~18:00
 

○場所

全国都市会館 第1会議室(3階)
 

○議題

(1) 座長の選出について
(2) 今後のスケジュールについて
(3) 高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について

○議事

○小森補佐 まだお一人様お見えになっていらっしゃいませんが、定刻を過ぎましたので、ただいまから、第1回「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして、まことにありがとうございます。
本有識者会議は、保険局長、老健局長のもと開催するものでございます。第1回会議の開催に当たりまして、保険局長の樽見から御挨拶を申し上げます。
○樽見保険局長 保険局長の樽見でございます。皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議」ということでお願いをしているところでございますけれども、きょうの資料の中で開催要綱があって、そこに会議の目的にも書いてありますとおり、人生100年という時代も遠からず到来するのではないかと思われるわけでございます。こうした長い人生を安心につなげるためには、健康寿命の延伸が大変重要な課題であると考えているところでございます。
とりわけ、多くの高齢者の方々が、加齢に伴う身体的な機能の低下や複数の慢性疾患に加えて、認知機能や社会的なつながりの低下といった多様な課題や不安を抱えているわけでございまして、介護予防あるいはフレイルの防止、疾病の重症化予防等を効果的に実施していくことが求められているという状況にございます。
この点、後期高齢者医療制度の保健事業では、健康上のリスクが高い方を中心に保健指導等を実施し、介護予防では、高齢者の社会参加の促進などを主眼に、住民主体の「通いの場」の取組といったようなものを推進しているところでございますけれども、それぞれさらなる取組の拡大や高齢期の多様な課題への対応が求められているという課題を抱えているという状況でございます。また、保健事業は広域連合、介護予防は市町村と、実施主体が異なっておりますけれども、特に広域連合では、きめ細かな支援が難しいといった状況もございます。
こうした中で、高齢者お一人お一人の健康状態や生活状況等を適切に把握しながら、ニーズに応じた保健事業や介護予防のサービスを効果的・効率的に提供していくためにはどうしたらよいか。また、そうした対象となる高齢者は同じでございますので、これらのサービスを参加していただきやすい形で、効果的・効率的に提供していくための体制や取組といったものも考えられるのではないかといった観点から、皆様方のさまざまな御意見をいただいて、今後の取組につなげていきたいと考えているところでございます。
短い期間での繰り返し開催、検討をお願いすることになりますけれども、皆様方におかれましては、ぜひ、精力的に御議論いただけますよう、恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○小森補佐 引き続きまして、事務局より、構成員の皆様の御紹介をさせていただきます。お名前を五十音順で御紹介させていただきます。
公益社団法人日本薬剤師会常務理事 有澤賢二様につきましては、本日御欠席の御連絡をいただいており、代理で御出席いただいております、公益社団法人日本薬剤師会副会長森昌平様。
東京大学高齢社会総合研究機構教授 飯島勝矢様。
特定非営利活動法人高齢社会をよくする女性の会理事 石田路子様。
国立社会保障・人口問題研究所所長 遠藤久夫様。
全国知事会理事(群馬県知事) 大澤正明様につきましては、本日、御欠席の御連絡をいただいており、代理で御出席いただいております、群馬県健康福祉部長 川原武男様。
公益社団法人日本看護協会常任理事 鎌田久美子様。
健康保険組合連合会常務理事 河本滋史様。
公益社団法人日本医師会常任理事 城守国斗様。
公益社団法人日本歯科医師会常務理事 小玉剛様。
千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門教授 近藤克則様。
公益財団法人全国老人クラブ連合会常務理事 齊藤秀樹様
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科教授 田中和美様。
東北大学大学院医学系研究科教授 辻一郎様。
あいち健康の森健康科学総合センターセンター長 津下一代様。
全国健康保険協会理事 藤井康弘様につきましては、本日御欠席の御連絡をいただいており、代理で御出席いただいております、全国健康保険協会参与 六路恵子様。
全国市長会副会長(三重県津市長) 前葉泰幸様、
並びに、全国町村副会長(岩手県軽米町長) 山本賢一様につきましては、本日御欠席の御連絡をいただいております。
全国後期高齢者医療広域連合協議会会長(佐賀県後期高齢者医療広域連合長・佐賀県多久市長) 横尾俊彦様。
続きまして、事務局で参加しております職員を御紹介いたします。
老健局から、
老健局長 大島一博でございます。
大臣官房審議官(老健、障害保健福祉担当) 諏訪園健司でございます。
総務課長 黒田秀郎でございます。
老人保健課長 真鍋馨でございます。
振興課長 尾崎守正でございます。
総務課企画官 川口俊徳でございます。
認知症対策推進室長 田中規倫でございます。
介護保険データ分析室長 木内哲平でございます。
保険局から、
保険局長 樽見英樹でございます。
大臣官房審議官(医療介護連携担当) 山本麻里でございます。
総務課長 鹿沼均でございます。
国民健康保険課長 野村知司でございます。
高齢者医療課長 込山愛郎でございます。
私、暫時、司会進行を担当させていただきます、高齢者医療課長補佐の小森でございます。
議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
資料につきましては、議事次第、開催要綱、座席図のほか、資料1及び資料2がございます。お手元に不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、議事に入ります。カメラの方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。
まず、議題1「座長の選出について」でございます。
開催要綱の3.の(2)に基づき、互選により選出することとされております。
事務局といたしましては、「社会保障審議会医療保険部会」及び「社会保障審議会介護保険部会」で部会長を務められております、遠藤構成員に座長をお願いできればと存じますが、皆様いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○小森補佐 ありがとうございます。
それでは、御異議なしとのことでございますので、遠藤構成員に座長をお務めいただきたく存じます。
それでは、座長席にお移りいただきまして、以降の進行をお願いいたします。
(遠藤座長、座長席へ移動)
○遠藤座長 ただいま御指名を受けました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
冒頭、保険局長からお話がありましたように、非常に重要な課題を、ミッションをこの検討会は有しているわけでございます。皆様方、それぞれの分野の第一線のエキスパートでございますので、皆様方のお知恵を拝借して、ぜひ、よりよい形のものに仕上げたいと思っておりますので、御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、座長代理の選任をさせていただきたいと思います。開催要綱の3.の(2)に基づきまして、座長代理につきましては、座長が指名することとされております。
健康日本21(第二次)推進専門委員会の委員長を務められるなど、医療と介護の両分野におかれまして大変造詣の深い辻構成員にお願いしたいと私は思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、辻構成員、恐縮ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
(辻座長代理、座長代理席へ移動)
○遠藤座長 それでは、次の議題に移りたいと思います。議題(2)でございます。事務局から資料が出されておりますので、説明をよろしくお願いします。
○込山課長 恐れ入ります。保険局高齢者医療課長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
早速でございますが、議題の(2)今後のスケジュールに関しまして、資料を御説明申し上げます。
開催要綱にもございますように、本有識者会議におきましては、医療上の疾病予防と介護の介護予防など、こういった両者のニーズをあわせ持つ高齢期のニーズに応じまして、これらの取組をどう一体的に、効率・効果的に実施していくのかといったことにつきまして、御検討をいただきたいと存じます。
開催要綱の2.の「検討事項」がございます。(1)から(5)まで並んでございます。
(1)一体的実施の意義・目的、(2)効果的な支援のあり方を中心といたします実施内容。さらに、こうした取組を踏まえまして、(3)と(4)とございますけれども、その実施主体間での役割分担をどうあるべきなのか。また、(4)事業スキームにつきまして、どのように考えるかと、こういった点につきまして、御検討を賜りたいと存じます。
資料1でございます。「今後のスケジュールについて(案)」という形でお示し申し上げるところでございます。
大変恐縮でございますけれども、本有識者会議の取りまとめといたしまして、年内にこの取りまとめを医療保険部会・介護保険部会、両部会に御報告をさせていただければと考えております。日程上、大変タイトでございますけれども、本日を第1回といたしまして、今後、11月22日まで3カ月弱の中で5回会議を開催させていただければと存じます。
本日は、この一体的実施に関しまして、その前提となる事業の内容であったり、現状等について、概括的な資料を御説明申し上げた上で、御意見を賜りたいと存じます。
第2回と第3回でございますけれども、こうした一体的実施という観点で、先進的なお取組をされている自治体さんをお呼びして、その取組の内容・課題等につきまして、ヒアリングを行わせていただければと存じます。また、あわせて、こういった一体的実施に関連します関係団体につきましても、同様に、ヒアリングをお願いしたいと思っております。
今後、このヒアリングの対象につきましては、座長と事務局で御相談の上、決めさせていただければと思います。
また、第3回目の後半ないし第4回でございますけれども、こちらでは、一体的実施の事業スキームにつきまして、取りまとめに向けて御議論をいただきたいと考えております。
簡単ではございますが、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
いかがでございましょうか。今後のスケジュール等について、事務局の原案が出されましたけれども、何か御質問・御意見等あれば、承りたいと思います。
よろしゅうございますか。
ありがとうございます。
確かに、事務局がおっしゃるように、かなりタイトなスケジュールではございますけれども、ぜひ、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に進みたいと思います。議題の(3)でございます。事務局から資料が出されておりますので、資料の説明をお願いしたいと思います。
○込山課長 恐れ入ります。資料2「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について」と題する資料でございます。
この資料につきましては、先ほど申し上げたとおり、この一体的実施の御議論を賜る前提といたしまして、これまでの議論の経緯であったり、また、介護予防・保健事業、それぞれの各事業の概要や取組状況、さらに、加えまして、介護と保健事業の一体的な分析などのツールとして資する国保のデータベース(KDB)の内容、さらに、自治体さんにおきます先進的な取組事例等につきまして、御紹介を申し上げたいと思います。
では、早速でございますが、これまでの議論の経緯でございます。資料の3ページをお開きいただきたいと思います。
3ページの資料につきましては、今年の4月12日に、加藤厚労大臣から経済財政諮問会議に提出した資料の抜粋でございます。今後の政府の横断的な課題といたしまして、この健康寿命の延伸が位置づけられております。御案内のとおり、高齢化が急激に進行していく。また、あわせて、現役世代の急激な減少を迎える中で、この社会の活力を維持していくことが大きな課題になっております。その1つの大きなテーマといたしまして、健康寿命の延伸が位置づけられております。
そういった延伸に向けた取組といたしまして、重点取組分野が真ん中から下にかけて掲げられております。その中の1つといたしまして、フレイルの予防、介護予防と保健事業の一体的実施が位置づけられているところでございます。
そうした御議論を賜った上で、4ページでございますけれども、骨太の方針2018、または、「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」、両者におきまして、通いの場を中心とした介護予防・フレイル対策や疾病予防・重症化予防、就労・社会参加支援等を市町村が一体的に実施する仕組みの検討をするという旨が明記されたところでございます。
こうした方針に基づきまして、本年7月19日の医療保険部会等におきまして御議論を賜りました。資料は5ページ以降でございます。御案内の資料の繰り返しで恐縮でございますが、簡単に内容を御説明申し上げます。
先ほど来申し上げたように、健康寿命の延伸が大きな政策課題となっております。高齢者の方につきましては、疾病予防・重症化予防とともに、また、その生活機能の低下を予防するための介護予防といったものの対策が重要になっております。その両面での対策が必要になってきています。
とりわけ、フレイルという概念の中で、このフレイルというのは、一方で生活機能の低下をもたらし、かつ、一方で疾病であり、また、負傷の原因にもなるものでございますので、こういった対策につきましては、一体的に講ずることが重要になっています。
しかし、5ページの右側でございますが、介護予防、保健事業、フレイル対策等が、それぞれ実施主体がばらばらになっているという現状がございます。
6ページでございます。そういった現状の中で、医療保険部会や介護保険部会における御提案の内容が、こちらの資料でございます。高齢者の通いの場などを中心といたしまして、介護予防と疾病予防・重症化予防を一体的に実施できないかという御提案でございます。
下のイラストがございますけれども、この左側が、通いの場などの介護予防の取組でございます。それに対して右側が、保健事業における疾病予防の取組と言えるかと思います。介護予防におきましては、いわゆる通いの場であったり、居場所づくりであったりといった、そういった社会的なアプローチを中心とした対策が講じられています。一方で、右側の疾病予防・保健事業では、主に個別のリスクに着目いたしまして、対象者を抽出してというような形での個別アプローチが行われております。
こういった社会的なアプローチと個別のアプローチをどう融合させていくのかというのが大きな課題で、一つの場といたしましては、この通いの場とか、さらに言えば、その地域のさまざまな場を舞台にこういった一体的な連携ができないかという御提案でございます。
ちょっと細かいお話になって恐縮ですけれども、7ページでございます。それぞれ医療保険上の保健事業と介護保険上の介護予防についての制度的なたてつけについてまとめたものでございます。左側が保健事業、右側が介護予防となっております。
保健事業でございますが、こちらは高齢者の医療確保法に基づきまして、広域連合はこうした保健事業を行うように努めなければならないという形で、努力義務として位置づけられております。
ただし、前回の改正におきまして、特に高齢者の心身の特性に応じてという形で、いわばフレイルに着目してというようなことが改正されたところでございます。
一方で、介護保険法でございますが、こちらは諸々の地域支援事業の一つとしてこの介護予防が位置づけられております。事業内容・事業スキームでございますけれども、先ほども申し上げましたが、医療保険の保健事業におきましては、主に個別アプローチによる取組が中心になってございます。一方で介護予防でございますが、こちらは住民主体の取組なども含めまして、いわば集団的というか社会的なアプローチといったことも重視した形になってございます。
財源でございますが、保健事業のほうは、ほかの医療保険と同じように、基本的には保健事業に要する費用も含め保険料で負担していただくことになってございますが、こういった保健事業を推進するため、また、そういった事業内容を充実させるために、国庫等による補助が行われております。保健事業の中にある、従来よりある健診などにつきましては、国が3分の1、地方財政措置が3分の1というような形で入っております。ただ、モデル的に実施をしているフレイル予防に関しましては、現在、そういった先進的な事例を収集するというような意味も持ちまして、国が10分の10という形で負担をしているところでございます。
一方、介護予防でございますが、こちらは地域支援事業の一部と申し上げました、その地域支援事業のたてつけの中で、公費が半分、保険料が半分、公費の中で国と自治体それぞれがこの割合で御負担をしていただいているという形になってございます。
8ページから9ページでございますが、同様に、7月の医療保険部会等で、それぞれの両事業につきまして課題を整理させていただいた資料でございます。お目通しいただきますが、1つは、まず高齢者の保健事業に関してでございます。ただいま申し上げたとおり、こういったフレイル対策につきまして、国庫補助金によって助成をされているところではございますが、現状のところ、その実施状況の広がりはなかなか乏しい状況であることが言えます。
一方で、介護予防に関してですが、通いの場などを地域支援事業を通じて実施していただいている箇所数等は、例えば7万6000以上というような形で広がりが見えているところでございます。ただ一方で、その参加率を見ますと、28年度のデータで見ますと、4.2%となっているように、さらなる拡大が求められているところでございます。
9ページでございますが、こちらはそれぞれ両面重なる事業ではございますけれども、現状、実施主体がばらばらになっているという意見がございます。
その下でございますが、広域連合上の課題でございますが、こちらは組織的な問題からも派生する点でございますが、広域連合では、保健事業などに着目して、専門職の方を確保することが非常に難しい状況になってございます。広域連合における専門職の配置状況ということで下の表がついてございますけれども、現状、このような形になっているところでございます。
10ページでございます。こちらは老年医学会さんなどのフレイルの定義につきまして、その概念図も含めて借用させていただいております。フレイルの概念でございますが、加齢に伴いまして、身体的等々の予備能力が低下してきて、ストレスに対する耐性が弱まってくるというような形になってございます。下の枠の中に定義の文言を掲げさせていただいております。お読みいただければと思いますけれども、加齢に伴う予備能力の低下、それによるストレスに対する回復力が低下した状態でございますが、次ですが、要介護状態に至る前段階として位置づけられるものですが、その内容といたしまして、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性、さらに、社会的脆弱性などの多面的な問題を有すると、こういった形で包括的な概念として位置づけていただいております。いわば、この社会的脆弱性は、社会的なつながりとか、社会的なネットワーク、そういった部分も脆弱をして、こういった状態を引き起こしているというようなことだと思います。
また、加えて申し上げれば、それぞれただ低下していくということではなくて、しかるべき介入によってその状態を戻すことができる。そういった可逆性というものがあることも御指摘いただいているところでございます。
11ページから12ページにつきましては、それぞれ医療保険部会・介護保険部会でいただいた御意見を掲げております。
医療保険部会における御議論といたしまして、代表的なものをピックアップさせていただきましたが、とりわけ、市町村の役割が非常に重要であるといったこと、また、専門職の方の力を活用することが重要であるといった御指摘もいただきました。また、一番下でございますけれども、諸々の分析等を行うに当たって、KDBシステムを活用したデータ分析も必要であるといったような御意見をいただいたところでございます。
12ページでございますが、介護保険部会での御意見でございます。同様の御意見も多ございましたけれども、実施体制の面ですが、多くの疾患を抱えている場合が十分に考えられるので、医療面も含めて連携的な支援は必要であろうといったこと。また、3つ目の○でございますけれども、医学的な視点、科学的な根拠、エビデンスに基づいての取組が重要であろうということで、こういった科学的なエビデンスも意識する必要があるといった御意見もいただいてございます。また、その専門職の配置等についての御指摘もいただいたところでございます。
以上が、簡単でございますが、これまでの議論の経緯等について御紹介申し上げました。
13ページからは、それぞれの保健事業・地域支援事業につきまして、現在の事業の内容を簡単に御説明申し上げる資料でございます。
まず14ページでございますが、後期高齢者医療制度の保健事業についてでございます。後期高齢者医療制度におきましては、保健事業を推進するために公費が投入されているところでございます。健康診査(歯科健診)等をはじめといたしまして、国費3分の1等の事業が実施されているところでございます。加えて、重複・頻回受診者の方や重複投薬者の方への個別の訪問指導等につきましても、こちらは、補助率は2分の1という形で多くなってございますが、実施されているところでございます。
(4)がフレイル対策に関連するものでございますが、高齢者の低栄養防止、重症化予防の推進という形で、まさに市町村さんとの連携をしたこういった一体的な実施につきましても、モデル事業の収集というようなことも含めまして、こういった事業を設定しているところでございます。
その他、14ページ下にございますが、特別調整交付金なども活用した保健事業がございます。
15ページ以降は、今申し上げたそれぞれの事業の個票でございますので、こちらは割愛させていただきますが、18ページで1点だけ御説明申し上げます。先ほど申し上げた介護予防との一体的な実施の先行的な取組につきまして、国費10分の10で御支援を申し上げているものでございます。概要としては書いてあるとおりでございますけれども、まさにモデル的な実施につきまして先行事例を収集するといった意味合いも持ってございます。
下の事業イメージが、いわば現行における一体的実施の考え方をある程度示したものだと言えようかと思います。具体的に申し上げますと、左の上のほうですが、広域連合さんから例えば市町村さんへ委託によって実施をする。広域連合におきましては、保有する健診レセプト情報をきちんと活用する。その上で、関係団体等との連携を図る。受託を受けた市町村におきましては、保健部局のみならず国保部局や介護部局等々関係部局と連携をして、この事業設計をしていただくということだと思います。
一方で、右側でございますが、先ほどのイラストと同様の図がございますけれども、通いの場、介護予防の場を活用して、こういったところで一体的に実施をするというイメージでございます。そこの結節点といたしまして、いわばコーディネート役を務める真ん中の専門職の方の役割も重要だと認識しています。
繰り返しでございますが、こういった参加のアプローチと個別のアプローチを一体的に実施するといったような意味を持ってございます。介護予防の場をも活用しながら個別アプローチをすることが1つ。また、疾病予防といたしましても、フレイル対策が重要になってきました。このフレイル対策の中では、個別だけではなく、その社会参加という手法も非常に重要性が指摘されてきているところでございます。さらに申し上げれば、介護予防で実施する社会参加の場におけるメニューをさらに充実させるお手伝いが何らかできないのかと。そういったような形でこの両者のアプローチを統合させていく、融合させていくことが視点として必要だと考えているところでございます。
以降、19ページから22ページまでちょっと割愛させていただきます。
23ページでございますが、こちらからは介護保険制度における一般介護予防を中心とする地域支援事業の全体像でございます。地域支援事業という形で、例えば要支援者の方などを中心に日常生活上の支援の取組、加えて、介護予防の取組が実施されております。また、担い手として、専門職の方の御協力も得ながら、住民主体の取組という形で、まさに一体的な地域づくりが進められているところでございます。こうした介護保険の制度・財源を使って、現在、いろいろな市町村さんでまさに地域支援の掘り起こしであり、充実でありということが取り組まれているところでございます。
その一つの大きな社会資源として、この一般介護予防事業があるということでございます。その一般介護予防事業の内容が24ページ、25ページに掲げてございます。一般介護予防を含む総合事業の全体でございますが、その中の(2)のハに、今申し上げた介護予防について掲げてございます。
さらに、細かくて恐縮ですが、25ページの(2)が一般介護予防事業の内容でございます。追加ですが、(1)では、予防とあわせて日常生活の総合的な支援をするという形での生活上の支援事業があります。こちらが両者相まって地域支援としての場になっているというところでございます。
26ページ、一般介護予防事業のいわゆる通い場の取組の概念図でございます。
27ページが一般介護予防に加えてでございますが、それぞれ住民主体で実施されている、いわゆる総合事業のBとかC型とかございますが、そちらの内容を掲げてございます。
その他、28ページ、認知症地域支援推進員の取組なども、こちらも資料をつけさせていただいております。
こういった形でそれぞれ保健事業・介護予防事業が実施されているところではございますが、それぞれの課題を29ページにまとめさせていただいております。左側に、後期高齢者の方のフレイルの視点などから見た特性を掲げてございます。それに対しまして、保健事業・介護予防事業の取組状況と課題ということで、右側に書いてございます。「マル保」が保健事業、「マル介」が一般介護予防事業の課題でございます。
上のほうから見ていただきたいと思いますが、まず保健事業といたしまして、現状、身体的な脆弱性への支援が中心となっていて、社会参加を含む多様な課題まで視野に入りづらいということ。一方で、介護予防のほうでは、医学的な観点を盛り込むことはなかなか難しいというようなことであったり、また、保健事業のほうで、広域連合の限界ということで、その専門職さんを確保しづらいというようなことがございます。
また、一番下でございますけれども、保健事業といたしましては、健康診査を受診していただいた方とか、また、医療の受診者につきましては、そのレセプトを通じた情報の把握、それに基づく個別の支援が可能ではあるのですけれども、そういったことのない方につきましては、なかなかアプローチが困難であるということ。また、介護予防といたしましても、通ってくださる方は把握なりとらまえることができるのですが、そもそもの無関心層への働きかけが課題になっているという状況でございます。
駆け足で恐縮ですが、30ページからが国保データベース(KDB)システムについての概要の御紹介でございます。ざっとお目通しいただければと思いますが、ポイントは、国保データベース(KDB)システムにつきましては、健診のデータと医療のレセプト、さらに、介護のレセプトを統合して分析することが可能になっているということでございます。それぞれのレセプト情報につきまして右側にございますが、もちろんデータ分析の上での匿名化等々は行いますが、これを個人単位でひもづけすることができるという形になっております。この分析をする国保中央会さんの段階では、個人情報を暗号化するという形で匿名化しますが、これを国保連なり保険者さんにお戻しする段階では、それぞれ特定の個人さんはわかった上で、その方の健診・医療・介護の全データが分析可能になっているというものでございます。
そういった内容が32ページにも書いてございます。後期高齢者という視点で見ますと、医療のレセプト、さらに、健診を受けられていればその健診のデータ、さらに、介護保険のデータということが統合的に分析することが可能です。
具体的に、33ページでございますけれども、1.の今申し上げたような健診・医療・介護の突合という分析、さらに、個人ベースだけではなくて、2.の地区割りによる分析も可能になっています。これも市町村全域のみならず市町村の中での学区単位等々、そうした特定の地区の中での健康課題を分析するようなこともできる形になってございます。さらに、大きな分析といたしまして、県内での分析、全国との比較等ができるような形になってございます。
お話変わりまして、34ページからでございますけれども、こうした一体的な実施という観点で種々取り組んでいらっしゃる自治体さんの取組を御紹介させていただきます。ただ、この内容につきましては、恐縮ですが、7月の医療保険部会等で御紹介したものを借用させていただいております。
まず35ページですが、三重県津市における取組でございます。具体的な取組内容にいろいろ書いてございますけれども、諸々の高齢者の方の集まりの場に、栄養パトロールチェックと称して保健師さん、管理栄養士さん、歯科衛生士さんによる健康教育を行ったり、また、個別の訪問で相談を実施するというようなことも取り組んでいらっしゃるものでございます。
37ページは、東京都の多摩市の事例でございます。こちらはさまざまな関係者の方と連携をして取り組んでいるものでございますが、フレイル予備群のような方を早期に把握して、それをさまざまな社会資源につなげていくということをやっていただいております。事業概要というところでございますが、リスクに応じて、さまざま、諸々のサービス、そこには民間事業者の取組もございますが、一番ふさわしいサービスを御紹介するというような取組でございます。
さらに、39ページは静岡県下の市町村さんでの取組の事例でございます。1つは、例えば介護予防教室と健康相談を一体的に実施するというような取組であったり、また、下のほうですが、健診の内容を見て、その方に対して介護予防教室などを紹介するといったような取組、同様でございますが、通いの場で健康教育や健康相談などを実施するといったような取組もございます。
40ページでございますけれども、いろいろな高齢者の方向けのレクチャー、講座をするに当たりまして、介護制度のみならず保健事業であったり、そういったものを総合的に御紹介をする。また、御相談に応じるというような取組もございます。同様に、40ページ下でございますが、こちらも特定健診の結果から介護予防事業への御紹介をするといったこともございます。
41ページが大和市さんの事例でございますが、こちらは糖尿病性腎症重症化予防の取組という形での情報でございますが、この前提といたしまして、大和市さんでは、広域連合さんと連携をし、かつ、庁内で国保担当課、後期高齢者担当課、さらに、健康づくり推進課、さらには、高齢者推進課等と、庁内全体的な連携を組んでいるというようなことが前提となっております。
42ページでございますが、佐賀県多久市さんの取組でございます。こちらにおきましては、まさに世代問わず、地区の担当保健師さんが個別に関与されるという形。また、個人の方のみならずご家族全体を支援するという形、また、生活のそれぞれの御背景と個人の健診データを結びつけての分析と、それに基づく保健指導などを行っているというものでございます。42ページの一番下に書いてございますが、市町村国保から後期高齢への切れ目ない支援を実施していただいています。保険者がかわっても、その健診データをポータブルに移動して、それで、切れ目のない支援を行うというような取組をしていただいているところでございます。
その他、43ページが東近江市さんの事例でございますが、こちらも後期高齢者制度に御加入されるに当たりまして、後期高齢者医療制度の御説明のみならず、介護保険の説明、さらには、高齢者の健康づくり全体の説明をトータルで講座等を通じて御説明していただく。こういった「いきいきシニア75」事業をしていただいています。また、インセンティブ的な「健康貯金」といった取組も実施していただいているというような内容でございます。
ざっと申し上げましたけれども、46ページと47ページでございますが、今、種々申し上げたそれぞれの自治体さんの取組のポイントという形でまとめております。もちろん、それぞれの自治体さんいろいろなやり方があって、それぞれのパーツパーツがあると思いますが、それぞれのパーツをあわせて御紹介すれば、こういったことが言えるのではないかという図でございます。
まず1つは、データ活用。例えば医療レセ・介護レセを総合的に分析活用して、フレイル予備群の方などを抽出するといったこと。さらには、その地域地域の健康課題を整理分析するといったような役割。
2点目でございますが、同様に、圏域内の高齢者の方を、医療・介護双方の視点からスクリーニングするということ。それぞれの対策を考える。
3点目でございますが、その対策の一環といたしまして、例えばフレイル予備群の方などに対してアウトリーチを実施する。また、必要に応じまして、例えば、医療への受診も勧奨する。介護サービスの利用も促すといったこともあわせて実施をするということでございます。
一方で、通いの場の充実ということでございますが、健康課題にも対応できる通いの場などをつくる、そういった社会資源を創出するためのアドバイス、また、通いの場におけるメニューの改善などのアドバイスといったことも行われている。また、具体的に、それぞれ通いの場などで、みずから健康相談などに応ずるといったこともあろうかと思います。さらに加えて、そういった場には通われていませんけれども、お医者さんにはかかっていらっしゃるという方に対して、通いの場への参加を呼びかけるといったこともあろうかと思います。
その他、47ページでございますが、今申し上げたような内容を、このフレイルの概念に即してどんな取組が考えられるかということ、自治体さんの取組を踏まえて、こういった形で事例をまとめさせていただいております。それぞれのステージステージで介入するやり方は違うと思いますが、まだ健康度の高い方につきましては、そういった場に参加していただきつつ、健康課題に気づいていただくということであったり。ただ、フレイルが若干進行されているような方につきましては、そういった方をきちんと抽出して、また、その気づきをもたらすといったこと、そういった場につなげていく。場合によっては受診勧奨を行うというようなこと。ただ、フレイルが相当進行しているような方につきましては、個別の重症化予防といった取組も重要になってございますので、そういった疾病管理の部分を含めた支援が必要になってくるということでございます。
いずれにせよ、47ページの上にございますけれども、そういったフレイル予防の観点から、通いの場の事業内容を強化する。そういった取組をしていただいていると思います。地域全体としての社会参加を促す機会について、市町村さんなり専門職さんなりを中心に取り組んでいらっしゃるということが言えようかと思います。
済みません、ちょっと長くなって、大変恐縮でございますが、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ただいま、事務局から報告がありましたけれども、これに関連して、何か御質問・御意見があれば承りたいと思います。初回ということもございますので、特定の領域に絞らずに、全体どこでも結構でございますので、皆様方の御専門のお立場から御発言いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
いかがでございましょうか。
横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
全国後期高齢者医療広域連合協議会の会長をしていますが、そういったこともありますので、最初に、僣越ながら、発言をお許しいただいてありがとうございます。
人生100年時代になって、本当に健康が大事だということを改めて痛感します。自分自身の家族のことや友人の家族とかを見ても、やはり70代、80代、90代、100歳となると健康の重要性を感じることがしばしばあります。9月は、実は敬老の年で、私が市長を務めております多久市では、毎年10名から十数名が100歳になられます。一番元気な方は軽トラを運転して、牛を5頭飼っている方もおられますが、多くの方は比較的御家庭で静養風にされているか、施設に入居されている方がいらっしゃいます。しかし、そこに至るまでに、本日お示しされた47ページのまとめの整理の図があるように、体力的にフレイルの状況がふえていくと虚弱化していくということです。こういったことを予防するためには、前のほうの大きな説明でもありましたように、身体的・心理的・社会的、こういったことでどうディフェンドするかというのはとても大事なことだなということを改めて思います。
たまたま私どもの市の取組の紹介がありました。実は、こういった分野は本当に地道なことが大事なことだと思っています。保健師から現場の話をよく聴きながら、できるだけ臨機応変に対応できるようにという工夫をしているところです。保健師が、目立たない努力を一生懸命やってくれていまして、主に彼女たちと言ったほうがいいかもしれませんが、おかげで、例えば今年の場合、目標とした糖尿病性腎症に国民健康保険から入る人を今のところゼロにしています。これは結構画期的なことのようで、大学医学部の先生も「なかなか地道な成果が出てきましたね」ということなのですね。あるいは、筋力についても非常に注目しましたので、高知県が始められたのですかね、「100歳体操」がありましたので、指導者の方を招いて、今、行政区にふやしながら展開をしているところです。参加して、そこでお友達ができて、社会的な活性化ができたり、自分の筋力も回復したりということがあります。「100歳体操」は皆さんご存知の方は多いかと思います。ここから例えば、この席からそこの席まで数分かかってやっと歩いている人が、何とかトレーニングすると、十何秒で歩けるようになるというぐらい、実は、筋力というのは回復できる部分があるということを知りました。
そういったことを考えて、きょうは専門の先生方もいらっしゃると思うのですけれども、我々首長としてもいろいろなことにアンテナを張って努力をしていますが、知見の高い分析やビジョン的な医学的な健康学的なものもちゃんと踏まえて、こうしたらよくなるということをお互い知って、それをどう実践していくかということがとても大事だなと思います。そういった連携が今後必要になるかと思っています。
100歳ということを考えていくと、孔子に縁のある書物に『論語』がありますが、私ども多久市には孔子廟があるのですけれども、残念なことに、論語には70代までしか書いてないのですね。「七十而從心所欲」とかですね。100歳まであったらもっとよかったのになと思ったりもしているところです。
そこで、ちょっと意見として申し上げたいのは、後段のほうにも出ていましたが、データの重要性のことです。ファミリーケア(家族単位の健康づくり)を私どもは努力しています。ページで言いますと、11ページに医療保険部会での発言の内容の一部が引用をいただきました。ここにありますように、私も委員として参加をさせていただいていて、家族の誰もが地域に住んでいるから、一体的な対応や市町村の役割がとても大きいことを認識しています。上段のほうにあります。周知啓発のところでは、退職前の現役の段階から、このフレイルに関する知識を得て、トレーニングの仕方を覚えておけばスムーズに入っていけるだろうし、あるいは、もっと年齢を下げて子どものころから、健康とかいうことに関する意識を持って、知識を持っていれば、例えば独身であるときとか、就職をしたときとか、あるいは、いろいろな健康状況にあったときに、自分にふさわしい食生活とか、健康の保持ができると思います。また、「スマートに年を重ねていこう」というような呼びかけで、多くの方々にそういったものに参加いただくことも重要と思っています。こういったことを進めていく上での一つの重要なことはデータだと思っています。
先ほど紹介しました保健師の活躍の場合も、ポイントは行動を変えていただくことなのです。しかし、なかなか変わりません。習慣はなかなか変わらない。でも、どうやって変わっていったかを追跡していくと、データを見せて「あなたのHBA1cの数値はこうです。先々こうなります。そのときにはこんな症状が出てきて、何年後にはこうなって、その後こうなって、大変なことになりますよ」ということを数度お話をして、その方が本気になってデータを見て意識をすれば、実は次第に本気になられて、そこで初めて行動が変わって、治療とか健康回復が本気になった取組になっていくのです。そういった意味では、このデータということを、ぜひ、ここにもありますように、よりよく活用できるようにしていくことが必要と思っています。
わけても、自治体として思っていますのは、我々首長等は、例えば選挙で、市民の皆さんの健康を守る政策をやりたいと言います。でも、残念なことに、現状では、すべての市民のすべてのデータは必ずしもわかりません。国民健康保険についてはわかりますが、一般の企業系の健康保険組合がされているものの詳細はわかりません。
しかし、ご家庭単位で考えていくと、おじいちゃんおばあちゃんは後期高齢者医療制度の健康保険で、現役のお父さんたちは共済組合かそういう健保組合で、子どもたちは学校保健法に基づくケアで、周産期の場合は、そこの乳幼児に関するケアになっているのですね。できれば、こういったものがちゃんとわかって、客観的な意味で方策を考えていく。専門の知見の方々の助言もいただきながら新たな対策も考えていく。
そういうことができるように、今後は、データに関しては厚生労働省のほうで所管いただいて、ぜひ、統合的にこれを見ることができるように、そして、市町村の保健あるいは医療、今回の介護等に生かせる施策の場所にその情報が来るように、そんなことをぜひ進めていただくと、よりよいデータベースの事実に基づいた対策が高まっていくだろうと思っているところです。
2点目に申し上げたいのは実際の事例ですが、ある方の例ですが、民間の会社で仕事をし、その後、経団連で一部仕事をし、今、リタイアされている先輩がいらっしゃいます。この先輩とフェイスブックをお互いにやっています。近況を見て感心したのは、御自身の健康トレーニングプログラムをフェイスブックで公開されていました。何をやっているかというと、一日やるべきルーティンが全部書かれていました。やったかやってないかを○×△で書いてありました。
すごいなと思ったのは、かかとをおろすトレーニングがありますよね。30回おろすと血糖値が下がるとかいろいろありますが、そういう細かいことも含め一日間でやることを考えて書かれています。それを地道にやっていらっしゃる。なぜかというと、多分その人は100歳になっても活躍したいと思っていらっしゃる気がするのですね。そういう実例もありますので、やればできるということを思います。できれば、退職前後のころから、80代の自分はどう生きているのか、90代になったらどうなっているのか、100歳をどうやって迎えるのかということをお互い考えて、そのときに必要な、きょう課題とされている身体的なもの、心理的なもの、社会的なもの、これをどうするかということも、啓発を厚生労働省や政府のほうから呼びかけていただいて、人生100年時代をどう生きるかということをぜひリードしていただければいいかなと感じています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
鎌田構成員、どうぞ。
○鎌田構成員 日本看護協会の鎌田でございます。今の横尾構成員から保健師の話をしていただきましたので、それに追加してということで発言させてもらいます。
保健師は、今、横尾構成員からもありましたとおり、どのような事業におきましても、医療の視点を持って対象者の把握や事業の運営、見直し、また、いろいろな委託をする場合は、その制度管理、事後評価等を行い、必要であれば、先ほどお話もありましたように、戸別訪問をしたり、いろいろな教室等を行っております。
そうした中では、広域連合のほうに専門職の配置が少ないといったところは非常に問題だなと思っております。今、9ページにも数を示してありますけれども、この方々の雇用の形態、配置状況がどうなのかということを教えていただければと思いました。常勤で雇用されているのか、非常勤、いろいろあるかと思いますが、その辺りの情報をいただきたいということ。
この中で、今回の紹介事例を見てみますと、健診後の対応と、その際に介護教室を紹介しているような紹介もありましたが、既存の介護予防事業や教室の一部の時間で、健康相談や健康講座を開催しているものもあれば、本当に希望者のみ、手を挙げられた方のみに開放しているような実態もあるかと思います。
そういった意味で、一体的というコンセプトは非常に重要だと思いますが、そこで、職員の役割を含めたすみ分けをどうするのかということと、その予防と保健事業と介護の一体的といったところで、その予算の調整とか、現場では非常に苦労をされるかなということで、市町村の負担をできるだけ少なくするようなスキームも必要ではないかなと思います。
8ページにも、非常に参加率が低いといったような状況が示してあります。もともと後期高齢者が参加しにくい介護事業との一体的な実施を考える場合、今の介護予防事業の参加率を上げる工夫をしている自治体があれば、そういったところも紹介していただけると、今後の参考になるのではないかなと思いました。
28年度から29年度のモデル事業で実施されたように、KDBなどを活用し、閉じこもりや本来の重症予防やフレイル対策の対象者の掘り起こしをしっかりとやる必要があると思っております。その中でも、そもそももしかしたら後期高齢者の中で、介護予防事業の参加につなげられるような、もう少しわかりやすいスキームが必要ではないかなということと、参加できる少数の事業に偏らない事業展開も今後検討していかないと、これが広がっていかないのかなということを今思っております。
よろしくお願いします。
それと、済みません、専門職の配置が非常に難しいといったところでは、退職された看護職の活用も非常に重要でありますし、今現在、そういったところで、いろいろな場で活躍されている方もいらっしゃるのですが、看護界の中では、そういう方々を、セカンドキャリアもしくは、「プラチナナース」と呼んでいる傾向もあります。そういう方々の活用が必要かなと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、質問に答えるという形ですね。横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 今のお尋ねについて、厚生労働省は違う見解かもしれませんが、現場を把握している関係で紹介をしたいと思います。
いただいたのは、9ページに出ている専門職が少ないのではないかという御指摘です。実は、我々もニーズは感じてはいるのです。しかし、後期高齢者医療広域連合の組織は、都道府県別に構成されていまので、構成市町村から職員を派遣して事務局をつくっています。いろいろな経費についても、それぞれの負担を各議会を通して集まって、それでケアをしているわけですね。ですから、人員的に言っても、発足から10年ぐらいですけれども、本当にこれを恒久的にやるのかどうかまで見きわめないと、中途半端に専門家の方を採用しても、なかなか課題があるなというのが1点。
もう一点は、後期高齢者医療広域連合が全てのことをやっているわけではございません。今申し上げましたように、構成している全市区町村と連携をしておりますので、市区町村にも当然保健師がいらっしゃいますから、例えば地域ケアとか家族ケアとか熟知された方、熟練の方がおられます。こういった方々に活用をしていただいたほうが効率もいいし、効果も早く出るということもあって、連携をしているところです。
ただ、今、御指摘のように、ある程度それをリードしていく、まとめていく、チーフになるような方はやはり必要ではないかなと感じているところです。
フレイルのための参加とか、どんなことがあるかということで、ちょっと気づいたところを一、二だけ御紹介すると、例えば私どもは、百余の地区の区長さんたちが集まっていただく会議では、実は、必ずデータを書いたものを渡します。それは、各地区別の健康受診率・特定健診あるいは指導を受けた数、あるいは、健診がわかったらその数値の悪い・良いということですね。これをいちいち細かく指摘はしませんが、見ればわかりますよね。隣の人と実はすぐ見合ってライバル意識を燃やされて、うちは100%にしようとかいうところもおられます。そうすると、意識が上がってきます。
それと、フレイル対策については、先ほど申し上げた「100歳体操」などを先進的にも取り組んで、呼びかけをする。しかも、網羅的にはできませんので、地区ごとに手を挙げる方式でやる。そして、手を挙げたところに見に来た方が、うちでもやりたいというふうに広がっていくようにも思っているところです。そういう工夫も、そこには必ず保健師がいて、実は説明とかリードとかは全部保健師さんにお世話になっています。鎌田構成員に御縁のある方には大変お世話になっていると思っています。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、津下構成員、お待たせしました。
○津下構成員 よろしくお願いします。
高齢者の保健事業に関するワーキングや、国保・後期高齢の重症化予防の検討をしています。資料の10ページにありますように、高齢者の健康課題については、その前の世代、国保世代の生活習慣病の重症化が引き続きの課題であるのと同時に、一方、高齢者特有の低栄養とか筋力低下などの問題が重なってきます。透析も後期高齢者にピークが来ているように生活習慣病の重症化と生活機能の低下の両面で、健康状態の問題が重積しています。
高齢者は健康に対して不安が強いので、あちこち受診されて、多剤服用とか重複受診になりがちで、それが、また、転倒の危険性を増しています。大切なことは高齢者の不安を取ることかなと思いますが、国保までは市町村が直接保険者となりますので、保健事業の手が届きやすいのですけれども、後期高齢は広域連合・高齢担当に担当がかわり、制度的には途切れてしまう自治体も少なくない状況です。自治体によっては担当課同士が連携・工夫して取り組まれている状況ですけれども、そうでないところもあります。どこの市町村でも連続的に取組が進んでいくことが非常に重要なので、今回の一体的な取組というのには大きな期待を寄せているところであります。
一方、通いの場に通う人は、もう通っている人で、気になるのは通っていない人であります。先ほどのKDBで健診を受けている人やレセプトがある人というのはわかるのですけれども、介護保険の中で予防事業に参加している人・しない人のデータの状況は必ずしもそうではないです。データがあれば、参加していない人との状況がわかるので抽出できるかなと思うのですけれども、その辺がどうなのか。工夫されている自治体もあるようですが、そのデータがないところがあるようです。そこの事業の参加状況が、何人参加したとか、それは継続的に参加しているのか、どういう効果なのか、通いの場の住民のカバー率とか、そういうものが気になるところです。一方では、通いの場に来れなくなった人たちに対して専門職が関わっていくのかなどに課題が残ります。通っている人だけに関わっていくと、少し対象が少ないのかなと思います。
一方、都市部では、こういうサロンとかではなく、高齢者がそれこそ自発的に通っている場がいろいろありまして、何の補助金も入ってないわけですけれども、そういう通いの場というか、自然的に集まっている場の活用も非常に重要なのかなと思いました。
それから、46ページにありますけれども、後期高齢者の医療レセプト分析をすると、9割以上医療機関にかかっているので、医療受診者に対する通いの場の働きかけをすれば、カバー率で言うとかなり高くなると思います。ここから、その人の保健事業につなげる入口をどう持っていくのかというのも検討すべきかと思います。ここの働きかけが動くと、かなり多くの住民のなかで、特に関わらなければいけない人を選定していくには重要なポイントなのかなと思います。それがうまく制度化というか、形に示されるといいのかなと考えています。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、城守構成員、どうぞ。
○城守構成員 従来の高齢者の保健事業、特に医療データを用いたものを、フレイルを含む介護予防につなげていくというこの取組というか考え方自身は、どなたも異論はないとは私は思うのですが、その中でこの考え方を具現化していくというためには幾つかポイントがあると思うのですね。
その1つは、まず医療データがフレイルを含めた介護予防に科学的にどのように効果があるのかということを、学問的にも確立をしていった上で、それを適用していくということはどうしても必要でしょうし、その場合に、この医療データと介護データを、つないでいくというお話は最近よく耳にするのですが、もともとが医療データは血液の検査データであったり画像データであったりと、ある程度明確なデータですけれども、それに対して介護データは、現場でいろいろな指標を使っておられると思うのですよ。その辺りが実際問題、どういう形でつながっていくことを厚労省としては想定されておられるのかなということをまずお聞きしたいのと。
それと、この制度が、先ほどからお話に出ていますように、現実問題、介護業界の方に医療の情報をトランスレートしていくという役割は、先ほど保健師さんが、確かに一つ重要な役割だとは思うのですが、なかなか人数的にかなり厳しいと。
その中で、先ほどちょっとお話しになりましたけれども、医療機関ですね。特にかかりつけ医とかがおありの方はかかりつけ医を利用されるのも非常に大きなことになると思うのですが、その辺りの、つなぎ役というものをどういう形で養成をする、ないしは構築していくということを考えておられるのかということ。
そして、そのつないでいった先に介護業界があるわけですが、従来、介護予防をしておられると思うのですよ。そことの整合性をどういうふうにしてとっていくのかということとかはしっかりと検討しておいていただきたいと思います。
それと、さっきもちょっとお話が出ていましたけれども、基本的には、通いの場にかかっておられる方はある程度データもある、ピックアップできる。ところが、通われてない高齢者の方、ここに健康に無関心層と書いてありますが、こういう方たちをどのように抽出するのかということに関して、どういう形、誰を使うというか、誰にその役割を担っていただくのかということを想定しているのかとか、その辺り。それを最終的には市町村を含めてどういう役割、バックアップ体制をとるのかということになると思いますが、その辺りをお教えいただければと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 今後、検討会で議論をする内容も随分含まれていたと思うのですが、教えていただきたいというのは、厚労省にお聞きしたいという、そういう意図でございますか。
○城守構成員 事務局としてですね。
○遠藤座長 わかりました。
では、事務局として、コメントをいただければと思います。
○込山課長 恐れ入ります。御質問ありがとうございました。
まず1点は、こういった取組を進めるに当たって、そのエビデンスというか科学的な分析も必要だというお話がございました。現在、我々としても、国庫事業のほうでモデル事業を実施させていただいていまして、構成員の先生の御協力もいただきながら、これまでの成果をエビデンスとして収集して、その効果検証ということも行わせていただいています。また、その他、アカデミアの先生方のいろいろな取組の成果もございますので、そういったことを今後も引き続き分析していきたいと思っています。
一方、御質問のあった医療データと介護データのデータ突合ということでございます。NDBなどをはじめとするこういった検討も開始されておりますけれども、今回、我々が御提示させていただいたのは、KDBの活用というようなことでございます。こちらは個々の方の受診状況、健診状況等を一体的に分析ができるというツールだと思います。ただ、今後、科学的な検証、マクロでの実証みたいなものは、さらに、先生方のお知恵を頂戴して考えていく必要はあろうかと思っております。
○真鍋課長 老人保健課長の真鍋でございます。
城守構成員から重要な御指摘をいただきました。医療と介護のデータをリンクという話なのですけれども、そこは遠い将来できることを目指して頑張ることなのですけれども、私ども、この段階でより重要なのは、保健事業とかかりつけ医がきちんとリンクをするというか、保健事業からちゃんと受診勧奨されてかかりつけ医の先生につながったり、そして、また、かかりつけ医の知見が保健師さんにちゃんと伝わって、保健事業としての内容をちゃんとアップしていくというようなことが大事であろうと。その場合は、介護予防あるいは通いの場であろうというふうなことを受けとめております。
ですので、いきなり医療の知見を介護の場にということは、この数カ月で何かすぐできるとは思っていませんけれども、今できることとすれば、通いの場で、そこに、例えば保健師のような医療の知見のある方にいらしていただいて、何かあれっと思ったときにちゃんとかかりつけ医につなげていただいたり、そういうようなことが重要なのではないかと思っているところであります。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、城守構成員、どうぞ。
○城守構成員 ありがとうございました。
医療機関にかかっておられる方は、それなりにピックアップも非常にしやすいということはわかるわけですが、問題は、医療機関にもかかっておられない方とかそういう方をどういうふうな形で抽出していくというか、見つけ出して、そして、そういう通いの場所とかも含めてですけれども、健康に関心を持っていただくかという役割をどういう形でするのかというのが、この事業をさらに効率を上げることにつながると思いますので、その辺り、また、検討をお願いしたいと思います。
○遠藤座長 横尾構成員、どうぞ。
○横尾構成員 たびたびで申しわけありません。
医療機関にかかってないかというのは実はわかります、国民健康保険に関してですけれども。医療機関に5年10年かかってない人を抽出して、そういう人全員に手紙を出しました。「病院にかかっていませんけれども、本当に大丈夫ですか」というのが1つ。「必要ならかかってください」「理由を教えてください」というふうなこともしました。地域の民生委員さんから大体フォローしている場合がありますけれども、その場合は、市役所にデータが来たら、保健師を訪問させて「大丈夫ですか」とお声をかけたり、そういうことをするということをできるだけ捕捉するようにしています。
○遠藤座長 城守構成員、どうぞ。
○城守構成員 ありがとうございます。本当にすてきなコメントを。
これは、皆さんにもなかなかいい御示唆になったのではないかなと思いますけれども、実際問題、今おっしゃったように、地域のことをしっかりと認識しておられるのは、民生委員さんが一番重要度が高いと。そこに地域包括支援センターがリンクをしていくことによって、そういう人たちを拾い上げていくことが可能になると思いますので、貴重なお話ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
今の話と直接関係がありますね。
○津下構成員 はい。
○遠藤座長 実は、先ほど来、石田構成員が手を挙げておられますが、今の件に直接関係あるということで、津下構成員を先にお願いします。
○津下構成員 保険者の持つデータベースから、以前には糖尿病治療を受けていたけれど治療を中断した人をリストアップしたりとか、それから、健診も医療も両方受けてないというような方をリストアップして、保健事業としてそういう対象者に働きかけるという動きが可能です。自分からは来ない人たちにアウトリーチをするために、そういうデータの利活用が進んでいるところですので、この事業にも十分活用できるのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
今のディスカッションと直接関係のあることで御意見がある方はいらっしゃいますか。
よろしゅうございますか。
それでは、お待たせしました。石田構成員、お願いします。
○石田構成員 済みません、よろしくお願いします。
先ほどからお話が出ておりますように、介護予防を目的として設けられた通いの場への参加率が非常に低いということがあります。当事者の方々にお話を聞くと、「よく誘われるけれども、面倒くさいので行かない」であるとか、「一度試しに行ったが、もう行きたくない」ということを言われます。
どうしてかというと、あくまでお客さんの立場であり、自分のことと捉えていないのではないか。「住民主体」という言葉はよく使われておりますが、実際に当事者がなかなか主体になれない。そういった方々を主体的に取り込むというか、事業に関わってもらうためにどうしたらいいか、その仕組みを考えることが大事じゃないかなと思います。先ほど、厚労省の説明で、これは今後使えるなという言葉がありました。つまり、「社会的な脆弱さ」ということです。私たちは、身体的に脆弱化する以前に、社会的に脆弱化していく。つまり、社会的な役割を喪失していくというところがあるわけです。
定年退職の前ぐらいから、退職されたら、地域のこういった活動で主体的にやっていただきたいというようなプログラムができていると、それを目指して、退職後はこうしたいというような主体的なプランができるのではないかなと思っているのですね。
つまり、自分の住んでいる地域づくりについて、今後は企画・運営・実施という何らかの事業へ貢献していくというようなプログラムの構築が必要なのではないかと思います。ですから、通いの場づくりも、最初の企画とかそういったところから、当事者の方々に参画していただく。あくまで専門職の方とか自治体の方はサポーターというか、後方支援に回るというような形のプログラムができたほうがいいのではないかなと思っています。
例えば、18ページなどの図にあるのですけれども、通いの場、介護予防。住民が「参加」となっていますが、これは「参画」までいかないとだめじゃないかなと思います。「参加」は、あくまでお客さんですよね。ちょっとのぞいて見ようかではなしに、自分がその内容を企画して、おもしろいものがあったら、どんどん新しいアイディアなどを取り入れていくというような、そういった形が必要ではないかと思います。
その際に、実はもう一つ提案があって、もちろんボランタリーな活動は重要ではありますが、そういったことが事業ということになれば、事業運営に関わる人にはそれなりの対価がきちんと支払われていくというような仕組みもつくっていかないと、持続性がちょっと難しいのではないかと考えております。
それから、もう一つは、26~27ページにありました、こういった中で一番重要とされる市町村の役割ですけれども、地域支援事業等の話はありますが、実際に1,700ほどある自治体のいかほどが、積極的な事業推進を行っているのでしょうか。ここに挙げられているような先進的な取組をしている自治体の事例は幾つか出てくるのですけれども、ただ、圧倒的多数の自治体は本当にこの中でどんな動きをしているのか。
私自身もいくつかの自治体とのかかわりがある中で、典型的なケースは、右を見て、左を見て、隣の市町村はどうしているのかなと様子を伺い、あるいは県はどういう意向なのかなと指示・連絡を待ちつつ、ちょっと自らの自治体独自の行動は抑えて、とりあえずみんなと同じようにやっていこうかというところが非常に多いのではないかという印象なのですね。
ですから、なんにもないところで、うちは何の特色もないというような自治体が、それでも、今言ったみたいに、住民主体型の何か取組を工夫してつくっているというような事例について、つまり、何もない自治体でもできるよというような励みになる事例も、ぜひ、こういった会議の中の事例として取り上げていただければと、今後の課題として、それをお願いしたいなと思っております。
意見でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
ほかに。
齊藤構成員、それから、小玉構成員、お願いします。
○齊藤構成員 石田構成員も高齢者の団体の代表として出ておられますが、私も日ごろ高齢者とのおつき合いの多い立場から少し意見を申し上げたいと思います。
大臣レクの資料にも、また、先ほど来から構成員の何名かの方々から、無関心層というお話がたびたび出ていて、少し気になる言葉だなと思って伺っておりました。私どもが高齢者に接しておりますと、高齢者の最大の関心は健康ですね。ですから、健康に無関心な人はいない。ただ、健康に対して諦めを持っている方々は大勢いらっしゃるかもしれない。
主治医とか専門職の方々との関連ですが、例えば、私どもが高齢者の人たちから多く聞くのは、いろいろな疾病症状が出てくる、有病率が高くなる。医療機関に行くと、「加齢に伴うものですね」と言われて、大体「加齢が一番の原因です」ということで、諦めざるを得ないというような感じで受けとめられている高齢者が非常に多い。
そうではなくて、先ほど、横尾構成員からお話があったように、若いときのようにはいかないけれども、一定程度頑張れば効果は出ますよと言って応援していただいて、こんなことをすればこうなるのだということを、少し前向きの話をしていただく。そういうことが高齢者に対するアプローチとしては大事なのだろうと思います。
そういう意味で、きっかけづくりとしての学びの場は非常に大事で、情報が十分に行き届いてない可能性がある。また、偏って情報が届いているという可能性がありますので、情報が正しく行き渡るように、いろいろな学びの場をつくってあげることはとても大事ではないかと思います。
きょうの事例の中でも、三重県の津の事例でも栄養から入っていますね。低栄養とフレイルの関係とか、それから、静岡の事例でも、低栄養に関する食事のことをみんなで勉強しましょう。入りやすいところから入って、自分の食生活とこういうところに気をつければいいのだということを学び、また、仲間ができるということで、継続的に学びの場と実践の場が繰り返されていく。ここが大事な部分だと思いますね。
特に、女性の人たちはこの学びの場に出て、仲間と一緒に実践をするということが比較的得意なのですが、問題は男性ですね。男性がそういう場に行って、なかなか仲間をつくれないで、孤立して学んで、孤立して行動をしている。
後で近藤先生からお話があると思いますし、きょうの資料にもあると思うのですが、一人でやってはだめだと。みんなでやって、健康になるのだと。一人でやるよりもみんなでやることが大事なのだということが、そういう学びの場とか訓練の場で体感をしていくことがとても大事ではないかなと思います。
通いの場は、確かに、今、4.数%で少ないわけですが、徐々に広がっている。徐々に広がっているということは、今後、こういう場を通して広げていく。自治体もその努力をしていただく。また、自主的に高齢者自身も主体性を持って、そういう自分たちの通いの場を自分たちがつくっていくということができていくと思いますが、ここで大事なのは、時々、専門職が介入していただくこと、また相談機能を持っていただくことがとても大事だと思います。
私どもは、毎年、医師会の先生や歯科医師会や薬剤師会の先生たちに来ていただいて、リーダーの人たちに健康学習の場をつくっているのですが、終わった後の質問が多いのですね。自分が飲んでいる薬に関して、後で先生に聞いてみたい、歯科医で歯は治療しているけれども、どうも何か腑に落ちない点があったから、ちょっと聞きたいという、実は、自分の問題としての関心の度合いが高いですから、ちゃんと相談機能を持ってあげる。一方的に何か伝えるということではなくて、「伝える」のが半分、「聞く」のが半分というような専門職の立ち位置になっていただくと、仲良しの関係ができていくのではないかなと思います。地域の中で専門職と高齢者がつながっていくような、そういう場が、こういう機会を通して広がっていくことをぜひ期待したいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
小玉構成員、それから、田中構成員の順でお願いします。
○小玉構成員 歯科医師会の小玉でございます。よろしくお願いいたします。
今のお話にもございましたけれども、私の市・町でも、65歳以上の方に「何を一番要介護にならないためにやっていますか」と言うと、大体「口のケア」というのがずっと第1位で、その後、運動とか栄養と続くのですけれども、おかげさまで要介護の認定率が割と低くて今のところ済んでいるようです。
今の齊藤構成員のお話にもございましたけれども、通いの場で、どういうふうなことが皆さんを魅力的に引きつけて、どういうことをして、どういった成果を得られるか。成果を得られるかというのはすぐには難しいとは思うのですけれども、先ほどもお話がございました、地道な対応と目立たない努力というのがありますけれども、歯科的な対応も多分その中に含まれているのかなと思います。
と申しますのは、6ページの中でも、今のお話のあった専門的な職種とどうつながるのか。先ほど、広域連合さんが専門的な方が少ないとおっしゃっていましたけれども、だんだんふえてきていますし、あと、同じ口腔・栄養の地域支援事業をやっても、市・町は割とそういった関わりが多いようなのですね。ですから、そこで歯科医師が入ったり、我々の分野で言えば、栄養士さん以外にも歯科衛生士さんが入ったりとなると、そこで住民が安心する。こんなことを相談もできてよかった、こんなこともよくなってよかったと。特にフレイルの中で、栄養・口腔といいますと、大体高齢者の方は、少し体が弱くなると、歯医者に通えなくなって、大体そのままで、7割ぐらいは歯の状態が悪いという方がいらっしゃいます。そういった状態も把握しつつ、全体によかったねというような環境をつくっていただけると、非常にありがたいなと思います。
ですから、歯の疾患への対策、あと、最近、口腔機能の低下というのも言われていますけれども、それがフレイルにつながる、その前の段階、オーラルフレイルというのを飯島先生がいろいろと指導をいただいていますけれども、それがフレイルにつながるということもありますので、そのもうちょっと前の段階での気づきというところも一緒に検討をしていただければ、非常にありがたいなと思ってございます。
以上です。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、田中構成員、お待たせしました。
○田中構成員 私は栄養のほうの代表でおりまして。食というのは、必ずみんながとるものであって、楽しみでもございますし。大和市のところで私も関わっておりましたけれども、齊藤構成員様や小玉構成員様がおっしゃられましたように、まず歯の問題とは切っても切れない問題が、特に後期高齢者になってきますと非常に多い。歯科衛生士と管理栄養士が訪問するのを去年から大和市でも行っているのですが、やはり非常にいい結果が得られます。
先ほど、相談のところがとても大事とおっしゃられたのですが、まずはアウトリーチにおきまして、栄養の方で効果が出るためには、まず最初は傾聴が大事です。その人の生活をまず受け入れる。いきなり「体重をふやしましょう」という話はあり得なく、まず、その人を受け入れた状況で、その方の生活の課題をちゃんと把握した上で、栄養改善をしていくと。そういうことが非常に効果を得るということは実感しております。
そのときに、今回のこの検討の中にあります、通いの場につながっていくとき、大和市でも、何件も通いの場につなげているケースはございます。
そのときに大事なのは、例えばHbA1cはこれだけ高いとか、体重が3キロ減ったとかそういうことでスクリーニングをした人に、アウトカムとしては、スクリーニングをした項目でアウトカムを図るわけですが、そのときに、本人が介護予防的な感覚を持って訪問をするというか、目的を立てないと、2キロ減ったから2キロふやそうという話ではそこで途切れてしまう。それが介護予防的なところにもつながっていくためには、護保険で言いますと、その人の自己実現のようなものをとても大事にするような栄養指導をしていく。そういうところが非常に重要になってくるかというのが私の実感でございます。
まだまだ管理栄養士のところも、その辺が教育のところで現場のほうも根づいてないところもありますので、今後は、研修等の課題と、それから、これは栄養士・保健師だけでなく、今後の検討課題だと思いますが、市町村でこれをやるときに、今のところ、大抵部署が分かれておりますので、どこがどのようにやっていくのか、もう、これの肝に尽きると思います。それによって方向性を決めていけば、比較的行くところは柔軟に行くのではないかと思われます。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
近藤構成員、お願いします。
○近藤構成員 4点意見を言いたいと思います。
まず1つは、両局長にお願いすることになるのでしょうか。全国の市町村及び都道府県、国保連合会宛てに、ぜひ文書を用意していただきたいというお願いです。あちこちにデータに基づいてやろうとか、ちゃんと評価してエビデンスでと書いてあるのですが、そういうことを少しでもモデルケースをつくりたいと思って、今年の1月から3つの都道府県にお願いして回っています。
ところが、市町村に聞いてみると、KDBのデータが、国保連合会までは戻ってきているのだけれども、それが市町村単位に分轄されてないという都道府県が実は結構ありました。分轄して、それをもらってくださいとお願いしたところ、国保連合会に予算がない、業者に頼むと数十万円とられる。それを県が手配してくれるのかみたいな話になって、さらに、KDBがそれで手に入ったとしても、今度は介護保険課がデータを出すことを渋ったりすると、結局、一体的に分析ができないというので、この1月から動き出して、まだ1つも市町村からデータが全部そろった形でいただけてないのです。
ねらった都道府県が悪かったのかもしれませんが、やってみてわかったのは、都道府県と国保連合会と後期の医療の広域連合と、あと、市町村の介護保険課と国保担当部署、この5カ所の担当者みんなが、これをやろうというふうに意見が一致して、多少困難があっても出すぞと言ってくれない限り出てこないということが、経験を通じてわかりました。
そのやりとりの中で、あるところから、「国がやれとか何かそんな文書でもあれば別なのだけどね」という発言が実際にあって、その5者が自主的に足並みそろって出そうというのはなかなか大変なことだということがよくわかったものですから、その辺は今度一体的実施ということも出たので、ぜひ、やるようにという感じのは、ぜひ御準備いただけたらなというのが1つ目のお願いです。
それから、2つ目は、特に予防は、何かやっている人とやってない人で違いが出るのかということを追跡して初めて効果評価ができます。それでいきますと、今のKDBのデータと要介護認定データだけを幾ら結合しても、予防の効果はわからないと思います。高齢者がどういう行動をとっていたのかというベースラインと言ったりしますけれども、スタート時点の違いの情報があって、その人たちを追跡して初めて、こういうことをやっているといいのだねとか、だめなのだねとか言って初めて効果評価とか、あるいはエビデンスができます。
それでいきますと、市町村に聞いてみますと、通いの場で参加者名簿をつくってないところがかなりあります。いいところでも、参加者名簿はあるけれども、紙ベースで、電子化されてない。それで、「データを御提供いただけませんか」と言うと、「先生のところで電子化してくれるお金を出してくれるのだったら、個人情報審議会にかけますけど」という、そんな調子でして。なかなかすぐ分析に使える形になっていませんので、何か今後効果評価しながらやるので、その参加者名簿をつくるようにということと、それを電子化するようにというようなことは、ぜひ御検討をいただきたいなと思います。
それから、もう一つ、ぜひ御活用いただきたいのがニーズ調査です。ニーズ調査は多くの市町村がやっているのですけれども、それが十分に活用されてない実態があります。例えば、今回出されている資料でいきますと、55ページなどに、通いの場に行っているような人たちが全人口の4.2%であるというようなのがありますが、私どもで、41市町村に御協力いただいたニーズ調査の中に、「こういう行政がやっているサロンに行っているか」というのをお尋ねしたところ、私も本当かなと思うのですけれども、高齢者に聞くと、15%が「行っている」と答えているのです。
この55ページのを見てみましても、実は、都市部のところが背が低いのですね。都市部になると、行政が把握していないサロンのようなものが、住民たちが既にやっているのだけれども、行政から補助金みたいなのを少しもらえるのだけれども、そうすると、いろいろ縛られて面倒くさいから、もう申請しないなんていうところが結構ありまして。行政が把握している数字が日本の実態かというと、都市部ほど乖離が多分大きいのです。その辺は高齢者に直接聞いてしまったほうが早いので、ニーズ調査・サンプリング調査ですけれども、高齢者の実態がよく見えるので、それもぜひ御活用いただきたいというのが2番目の後半です。
それから、55ページを見てみますと、都市部で背が低いのにはもう一つ理由があると思います。それは、例えばカラオケとかフィットネスクラブへ昼間行くと、ほとんどデイサービス状態だとある人が表現していました。カラオケには、弁当を持ってお友達同士で行って、歌いまくっているグループが結構いるとかいう話があります。そういうのは通いの場ではないのか。行政がやってないから、把握してないから通いの場ではないのかというと、それは、自分たちで自腹切って行っていただいている分、それは十分オーケーではないかと。
そういう目で見てみますと、ニーズ調査のほうで、何らかの通いの場に行っている方を集計すると、多いところだと、7割の高齢者がどこかには通っているというか、属しているというか、参加しているのですね。そういう実態もとらえた上で政策を練らないと、行政が把握しているところに来ている人は4%だと、これではだめだという論議は、ちょっと実態をとらえない、ちょっと判断を誤るのではないかなというので、ニーズ調査を活用していただきたいということと。
もう一つ、3番目に強調したかったのは、都市部では、民間事業者とかNPOとか、そういうインフォーマルな力とかを積極的に使うという政策を意図的にやるべきではないか。特に、通いの場をふやそうというのであれば、これから高齢者がふえるのは都市部ですので、この都市部において、民間をもっと使うのは戦略的に位置づけるべきではないかなと思います。
最後、4番目ですけれども、民間にどうやって協力してもらうかということを考えたときに有効なのがいわゆるインセンティブで、今、ソーシャルインパクトボンド(SIB)についてもいろいろ検討が始まっているのですけれども、それをもう少し使いやすくできるようなこともあわせて御検討いただけないかというのが4点目です。これは幾つかの自治体と、介護予防でソーシャルインパクトボンドできませんかねというので御相談したところ、次のような問題点が挙がってきました。
市町村にとっては、例えば給付が1億円減った。1億円も減らした企業とかボランティアの人たちに、半分の5,000万ぐらい返したらどうですかと聞いたら、1億円給付が減っても、市町村で減るのはその12.5%にすぎない。半分が保険料で半分が国で、8分して都道府県。そうすると、市町村で浮いたお金は12.5%だから、全額返せたとしても12.5%であると。これでは、とてもじゃないけど、民間のほうは意欲がわかない額でして。これ、せっかく頑張って減らしてくれた場合、そのインセンティブの財源をどうするかということは、今回、せっかく一体的にいろいろスキームから考え直すチャンスだということであれば、何かちょっと御検討いただけないかなと思います。
以上、4点でした。
○遠藤座長 ありがとうございます。非常にフィールドワークをされている近藤先生のいろいろなお立場から御要望あるいは御意見だと受けとめてよろしゅうございますね。特段、事務局からのコメントは現在必要かどうか。
○近藤構成員 もし、お時間があったら聞きたいです。
○遠藤座長 では、答えられるものがもしあれば、事務局から何かコメントをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大島老健局長 老健局長です。
先生、御指摘いただいた点は、今後、通いの場を、今回の一体的なものと組み合わせる以前の問題として、通いの場をどうやって育てていくのか、広げていくのか。その際には、住民参加であったり、民間活力の活用でしたり、あるいは、SIBも含めた取組の最初の取りつきやすさ、こういったものも考えなければいけないと思っていまして、考えていきたいと思います。
それから、予防段階でのデータをとらないと効果がはかれないというのは、まさにそのとおりだと思いますので、参加者名簿という形をどういうふうにとればいいのか。その参加者名簿も、名簿だけなのか、1回2回の参加なのか。多分、いろいろ詳細は考えないといけないと思いますし、極力、市町村間で同じような形でとれたほうが、全国的には活用もしやすいと思いますので、これも、せっかくこういう一体検討の実施の場もできましたので、あわせて、そのベースとなる通いの場のあり方について、さらに、老健局の中でも検討をさせていただいて、保険局とも相談して、一体的な場にそれがうまくつながるようにしていきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それではほかに。
お待たせいたしました。飯島構成員、お願いいたします。
○飯島構成員 飯島といいます。いくつかポイントをお話ししたいと思います。
まず、今回の会議ですが、私自身は東京大学という所属として参加しておりますが、日本老年医学会代表という意味も兼ねて発言いたします。この「フレイル」という概念は、ちょうど4年前に我々が世に出しましたが、徐々に認知が広まってきまおり、しかも厚労省の施策に大きく取り上げて頂き有難く思っております。
特に、このフレイルを世に出すにあたり、どのようなメッセージを盛り込んだかというと、先ほど来の議論の中で飛び交っているように、まさに「頑張れば戻れるよ」という、いわゆる可逆性という視点です。さらに、これは決して運動習慣を持っているか否かということでフレイルが決まる訳ではないのです。運動を日課のようにやれる人はなるべくやった方がいいのですが、基本的に、運動を日課としてやれる人は比較的一部です。そういう意味では、社会的フレイル、精神/心理的フレイル等、多面的な要素が複合的に絡み合いながら、負の連鎖(スパイラル)のように落ちていくのだという部分を色濃く国民に伝えたかったのです。
そこで、従来の介護予防というのは、要介護にならないようにと目指したものです。先程の議論で何度も取り上げられている右斜め三角形の図で言えば、いわゆる要介護のぎりぎり手前でくさびを打とうという今までのアプローチだった訳です。一方で、我々のイメージしているフレイルをご説明しますと、今お示しした部分も当然ながら含まれているのですが、その段階は様々な機能をやや戻しにくい段階に入っている時期なのです。その段階よりももっと二、三歩手前から予防に踏み出して頂きたいですし、さらに、それこそ「まちづくりの一環として、まちぐるみの中で取り組んで欲しい」というメッセージをこのフレイルに盛り込んだという背景がございます。
そこで、2つのコメントを述べます。まず、先程から介護予防を取り上げておりますが、そこで集いの場に個別指導のような要素も入れられないかというお話がございました。そこには専門職種がいたりする訳なのですが、そこで市民に何を伝えるのかが重要です。なぜかというと、例えば、なるべく普段から歩かないと足腰が弱って歩けなくなってしまいますよとか、しっかり幅広い食事バランスは重要ですよとか、あとは、例えば筋肉維持のためにはたんぱく質をしっかり摂りましょうね、などという言葉が実際飛び交っているのです。これらの言葉は何も否定はしませんが、もう国民の常識になっており、はっきり言って新たな学びはないのですね。
ですから、もう一回り、もう二回り、いわゆる「つぼどころ、目からうろこ」風の具体性を持った、いわゆる耳で聞いただけでなくて、すとんと心に落ちるようなことを混ぜていかないと、もうおそらく「なるほど」という感じには全くならないというのが、僕の全国歩いてきた経験であります。
そういう意味も含めて、一つご紹介したいと思います。これは決して私自身の活動の自己紹介という意味ではないのですが、厚労省の今回の資料6ページのイメージ図に、「通いの場+保健指導等、その上にフレイルチェック」があります。このフレイルチェックは私自身が開発したフレイルチェックを意味しているのかどうかは分かりませんが、今までの虚弱化(フレイル化)に対する予防施策のまだ足りないところを相当補おうとしていろいろ考案して構築してきたものです。
その足りない部分が何なのかというと、一つには先ほどお伝えしたように、次のようなことを具体的に国民に伝えなければならないと思います。例えば、「歳をとるごとに、カロリー摂取に対する考え方のギアチェンジが徐々に起こっていくのですよ」という考え方をしっかりと国民にうまく伝えてあげなければなりません。これは「メタボ予防からフレイル予防へ」ということを意味しているのですが、メタボ予防は関係ないということを意味しているのではありません。中年層から高齢者の入口辺りは、メタボ予防を意識したことをやらなければなりません。イメージとして前期高齢者では個別指導というところも入ってきますし、徐々に後期高齢者に入っていきますと、今度はカロリーを積極的に摂っていかなければいけないのです。すなわち、カロリー摂取に対する認識を変えていかなければならない。その部分がうまくいっていないようです。なぜならば、例えば75歳を超えた方々で、まだ体重を2~3kg痩せなければならないと思っている方が結構いるのですね。ですから、そこら辺の考え方のギアチェンジをうまく伝えればなということ。
もう一つとして、先ほど、私が構築しました市民主体のフレイルチェック活動においての「こだわり」の部分ですが、先ほど石田構成員も言っていただいたように、確かに、集いの場・社会参加と簡単に言っても、そこには住民の「参加した感」が必要となります。すなわち、参加より「参画」という言葉に表されますね。集いの場が住民にどのように見えているのかという課題はかなり大きな問題ではないかなと思っています。
先ほど、近藤先生からもコメントがありましたが、オフィシャルな場ではなくても、ちょこちょこ様々な場(カラオケ屋など)に高齢者の方々が集っているという現実があります。そこに何の興味があるから集まっているのか。逆に一方で、本当に通いの場というオフィシャルな場における参加率が低いならば、なぜ、そのように低いのか。特に高齢者の方にとってどのように見えているのか、これは大きな課題であります。参加率が本当に低ければ、住民には楽しそうで継続して通いたくなるような魅力的な場に見えていない、ということを表していると思います。そこが1つの大きなポイントなのでしょう。
私自身がやっている取り組みは、特に通いの場や集いの場に高齢者市民主導のフレイルチェック活動を導入し、高齢者同士で一緒にチェックをし、一緒に気づき合っていくというものです。その場を通して、とにかく参加市民をしっかりとリスト化し、各自治体でデータベースとして構築していくのは当たり前の話だと思います。全てにおいて、必ず継続して追跡して前後比較や効果判定をやならければ、色々なメッセージが見えてきませんので。ですから、私自身の取り組みにおいても、まだ20強の自治体に取り組んでいただいているだけで、今年度末で約40強の自治体で導入済みになります。そして、そこには必ず参加市民はリスト化され、リピート率なども必ずチェックし、リピートされている市民にはどのようにデータが改善していくのかという効果判定も行われております。さらに、私がちょっとこだわっているもう一つの要素は、男性高齢者の方々をいかに多く参画してもらうのかという点です。私のモデル活動の中で、元気シニアにより構成される「フレイルサポーター」を改めて養成し、見据える頂の高い究極の役割を与えております。以上のように、我が国日本の現状では、一つ一つの活動はあるのですが、うまく絡み合っていないという印象を持っておりますので、そこをやっていきたいと思っております。
最後にもう一点。「無関心層」の話が先ほどあり、これは確かに永遠の課題なのかもしれません。まずは、我々医療関係者などが頑張り、さらに地域の民生委員様などの力も借りたりすることも当然大きい役割です。しかし、もう一つは、食と口腔の栄養、運動、社会参加など、フレイル概念のなかの多面性のメッセージを無関心層にどうにか伝えるためには、「フレイル予防の産業」を活性化しなければいけないと思います。それは厚労省のこの会議の場で話し合う話題ではないと思うのですけれども、あえて話題提供します。ショッピングセンターとかコンビニエンスストアとか、あとコマーシャルでの広報など、ちょっとしたお店や媒体を通して、無関心層の方も買い物をしたりしているわけです。そういうところから彼らに情報が入るという部分も強化する必要があると思います。私はそういう視点を持って、底上げしなければ情報が伝わらないと考えており、私自身は踏み出しております。
以上です。長くなりました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
では、森代理人、お願いします。
○森代理人(有澤構成員代理) ありがとうございます。
今、飯島構成員からも、わかっていてもやるのが難しいという話もあったと思うのですが、私も実は今までの経験で実感していることがあります。骨粗鬆症の予防には、若いころからのカルシウムの摂取と生活習慣が重要で、これは多分国民全員が知っていることだと思います。何年か前の国民栄養調査の結果を見たら、15歳までは、1日当たりに必要なカルシウムを摂っており、16歳から上の年齢では、全年齢層で必要量を満たしてないという調査結果が出ていました。15歳まではなぜかといったら給食です。これで、食事は大切だということを改めて認識したのですけれども、多分、国民みんながカルシウムをとらなければいけないというのはわかっていても、この結果を見るとできていない現状があると思います。
そう考えると、さまざまなことに関して、無関心な人には関心を持つようにすることが重要ですけれども、関心を持っている人に実際取り組んでもらうのにはどうすればいいのか考えていかなければいけないと思います。そのためには、もちろん高齢になってからもですけれども、若いころから、子供のころからの教育をどうしていくのかなということが1つあると思います。
それから、先ほどフレイルのことで小玉先生からあったのですけれども、実は、薬局でも、見た目で体重が減ったということがわかる患者さんもいれば、薬の量が気になり確認するために、体重を定期的に聞いているのですけれども、そうした中で体重が減ってきたことに気が付くときもあります。先日あったのは、入れ歯が合わなかったのが原因で体重が減少した例でした。話していったら、どうもおかしい、入れ歯があわないのではということで、歯科医に紹介したのですけれども、病気が原因だと思われる時にはかかりつけの医師に、栄養管理ができない人だと、栄養士の人に、中には、調理がなかなかできなくなっている人。うちの母親も今93歳なのですけれども、余りできないので、うちのかみさんが手伝ったり、週何回かヘルパーさんに来ていただいています。そういう意味では多職種が連携をしてそういう人を掘り起こして、どうやって対応していくかということが非常に重要ではないかと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、河本構成員、どうぞ。
○河本構成員 健保連の河本でございます。
私ども、介護の世界も後期高齢者の部分も、費用負担者だけど保険者ではないという微妙な立場で、今日はいろいろな御議論を大変興味深く聞かせていただきました。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施は、コンセプトはすばらしいと思っております。それをいかにうまくやっていくかということで、この会があり、今日のいろいろな御議論があったと思っております。けれども、さっき申し上げた微妙な立場から言わせていただくと、いろいろな都道府県、市町村の施策もこの中に書かれており、まさにデータ云々という話も随分出ておりましたが、拡大してやっていく上においては費用対効果の高い施策をぜひやっていただきたい。当たり前の話でございますけれども、費用負担者としては、その辺の費用対効果を十分に考えて施策を研ぎ澄ませていただいて、それを拡大していただきたいと考えています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
では、同じく保険者ということで、六路代理人、お願いいたします。
○六路代理人(藤井構成員代理) 私も医療保険者という立場で発言させていただきます。協会けんぽの加入者の方は、おおよそ65歳ぐらいで退職になりますけれども、それまでの間、メタボ対策中心に取組んでいるところですけれども、減量だけではなくて、望ましい生活習慣の定着という視点で行っております。しかし、フレイル対策となると、少し方向が違うというお話も伺いましたが、保険者として、働き盛りのときに何をすべきか考えると、健診を退職してもきちんと毎年受ける習慣、それが当たり前というところから始まらないと、その先、高齢者の健康につながらないということを認識しました.
協会としても、加入者の方たちの健康づくりに事業主と連携しながら取組んでおりますが、退職してからのことも含めた事業主との連携も考えていきたいと思いながら伺っておりました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ほかに。
それでは、川原代理人、お願いいたします。
○川原代理人(大澤構成員代理) 群馬県の川原でございます。都道府県代表ということで、一言お話をさせていただきます。
全国知事会におきましても、保健事業・介護事業の一体的な取組、非常に重要であるということで、7月の全国知事会におきまして、「健康立国宣言」、地方においてもしっかりと地方の責任において取組を進めていくということで、先月8月に、持続可能な社会保障制度の構築に向けた会議を全国知事会で設置しまして、まず、全国の先進事例・優良事例を把握しようということで、都道府県全て調査をさせていただいているところであります。それを横展開していって全国的に広げていく。そこに国の制度とかそういったものが支障になる部分があるとすれば、国に対しても今年度中にしっかりと提言をまとめて要望していこうという動きを行っているところであり、有識者会議とあわせてそういった取組が進められていることを報告させていただきます。
この取組については、都道府県から見ると、都道府県でかなり格差があるというお話もありましたが、県から見ると、市町村においてもやはり大きな格差があります。そういった中で1つ。例えば通いの場にしてみても、積極的に進められているところ、全く取り組んでいないところという差があるのが実態でありますけれども、先ほども構成員の方からちょっとお話がありましたけれども、進んでいない市町村に取組を進めていただくには、モデル的な事業をしっかりと先進事例・優良事例を紹介していくことが必要で効果的かなと思います。地域包括ケアシステムの構築でも、システムという名前がちょっと誤解があったかもしれないのですが、それぞれの市町村の状況に合った取組を、住民も含めて多職種の方が集まって考えてくださる。これはなかなか進まなかったところを、それぞれ例えば都市部あるいは中山間地のモデルなどを示しながら進んできたという実態もありますので、群馬県としても、そういった県内の先進事例・優良事例を、今しっかりと把握して、それを紹介していくこととしております。
取組が進んでいる事例としては、先ほどもお話があった、自治体主導ではなくて、住民が積極的に参画して住民主導型、あるいは、先ほどの男性の参加率がよくないという話では、男性については、現役時代の知識や経験をしっかりと生かしていただいて、社会的な役割を担っていただくのが、男性の参加の取組が上がっているような実績があります。
あとは、これもお話がありましたが、通いの場などには専門家に参画いただくと、毎回でなくても、月に一度とか参画いただくと、それが正しい指摘、あるいは、データに基づく指導により、その後も続いていくのかなという実感があります。
あと一点としては、各市町村長の皆さんにその意識を強く持っていただくということで、群馬県でも、来月、35市町村あるのですが、全ての市町村長を対象にトップセミナーということで、この保健事業と介護事業の一体的な取組という内容で、今回、構成員になられています辻先生にも群馬県へいらして講演いただきますけれども、そういった取組をしていくことが効果的かなと考えております。
あと一点、市町村からの意見としては、地域包括システムが構築されて、地域包括支援センターで通いの場の取組が進められている中で、地域包括ケアシステムの推進で手いっぱいで、通いの場あるいは保健事業との一体的な取組はとても手が回らないよというお話が多々出てきておりますので、地域包括支援センターの体制の整備、特に人がなかなかいないという部分があろうかと思いますので、そういったところが課題かなと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
関連で、横尾構成員、お願いします。
○横尾構成員 手短に、済みません。2つの情報提供と1つの問題提起です。
2つというのは、以前、ひところ言われたのは、病院の待合室で、「あのおばあちゃん来なくなったね。きっと病気だね」という話がありましたよね。通院に来ているけれども、みんなそこで寄り合いに来ている、通いの場になっているわけですね。それが、今、多趣味になって、いろいろな機会ができているので多様化はしていると思いますが、どなたかもおっしゃった、実態をよく把握した上でのアプローチが必要と思っています。
例えば昼のワイドショーに厚生労働大臣が出て、あえて、健康のレクチャーをやるとかですね。場合によっては、遠藤座長が出て、ちょっとディスカッションに入って話すというふうなことをして、一般の多くの今まで関心のない方にも気づいていただく必要があるかなと思っています。
健康については、ローカルな地方では典型的ですけれども、グランドゴルフとかをやっている人が多いです。この方々は極めてお元気です。ですから、これは必ずしも厚生労働省のデータには多分出てないと思います。
もう一つ問題提起と言いましたのは、きょうは比較的、体とかの面が多かったのですけれども、今後、私も非常に気になっているのは認知症の問題です。学術的な根拠に基づく対策がいいかと思いますが、ぜひ、そういったものがわかれば、どうやったら予防ができるのか、どうやったら早く発見をしてケアができるのかについても、ぜひ、この会議の中で協議いただいて、国民の皆さんにその最先端の知見を知っていただくようなことで、よりよい予防ができるように進めていただければありがたいと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
辻先生、最後にお願いします。
○辻座長代理 先ほど、飯島の先生のお話にちょっと戻るのですけれども、フレイルチェック非常に重要な話だと思うのですが、それをどこでやるかという議論なのですが、通いの場とかでは、4%ということでなかなか難しいだろうということなのですが、私としては、これはかかりつけ医で行うべきではないのか。それはどうしてかというと、後期高齢者ですと、8割9割以上の方が年に1回は必ずかかりつけ医のところへ行っていますので、そこで何かフレイルチェック、それから、社会参加とか活動状況ですね。そういったことを調べて、それは何か診療報酬として出て、そのデータがそのままKDBのほうに行くという形になれば、先ほどから出ています予防についてもデータベース化できる、そして、評価できるということになりますので、そのようなことも少しお考えいただいたほうがいいのかなと思いました。
それから、この数年、私は個人的には保険局とのおつき合いで言うと、データヘルスとか健康計画のほうでいろいろさせていただいたのですが、データヘルスなどは、データに基づいてPDCAを回していくとかなり科学的なところが出てきているのですが、今回、久しぶりに介護予防のお話を伺って、ちょっと言い方は悪いのですが、何か手づくり感が満載な感じで進んでないなと正直思いました。
その一方、KDBは実は宝の山だと。しかも、使われていない。近藤先生がおっしゃったように、いろいろなバリアがあって使われていないということはよくわかりましたので、そのKDBをもとに、データヘルスの介護予防版といいますか、そういったことを市町村の方でもちゃんとできるようにして、データをもとに地域診断をして、対策をつくれて、そして、アウトプットもその中で立案できるようにして、最終的には評価につなげると、そういったことは十分可能なのではないかなと思いますので、それについては、また、別途、マニュアルをつくっていただいたりとか、自治体支援ということを別途しなければいけないと思うのですが、これもかなり大きな課題だなと感じました。
それから、3つ目ですが、きょうは多くの方から、無関心層というお話を伺いましたけれども、これは実は、若い人とか中年の人たちが無関心で健康づくりに参加しない、あるいはたばこを吸い続けるというのとはちょっと違うと思うのですね。先ほど、齊藤構成員もおっしゃいましたけれども、諦めの世界だと思うのですよね。
私も、特に被災地で被災者の方々は、今でもずっと支援していますけれども、それを見ると、身寄りを失った方々は非常に孤独な状態の中で孤立しているのですね。そして、閉じこもって鬱状態になってどんどん悪くなっていくというところがあります。
ですから、そういった方々にインセンティブを与えても絶対来ないと思いますね。むしろ、アウトリーチなり、社会的なつながりの中で、地域そのものを変えていかなければいけないと思うのですけれども、そこのところは、まだ私も具体的な提案はできないので悩んでいる最中ですので、これくらいにしておきます。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
大体予定していた時間になりました。また、全員の構成員の方が御発言いただけたと思いますけれども、第1回であるにもかかわらず、非常に内容のある積極的な御審議いただけたと思って、大変感謝申し上げる次第でございます。
それでは、本日は用意した内容につきまして、全て終了いたしましたので、本会議を終了させていただきたいと思います。
それから、最初に事務局から報告がありましたように、次とその次につきましては、団体あるいは自治体からのヒアリングということになります。
それから、次回の日程等につきまして、事務局から何かあれば、お知らせいただきたいと思います。
○小森補佐 次回の日程につきましては、9月20日(木)16時から、会場につきましては、また、同じここの全国都市会館になりますが、本会議室の隣の第2会議室で開催させていただきたく思います。追って、開催通知を送付させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、皆様よろしくお願いします。
では、どうもありがとうございました。
 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 保険局が実施する検討会等> 第1回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議議事録(2018年9月6日)

ページの先頭へ戻る